〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る固体撮像装置100を含むデジタルカメラ105の概略構成を示すブロック図である。
(デジタルカメラの構成)
図1に示すように、デジタルカメラ105(電子情報機器)は、固体撮像装置100と、制御部102と、記憶部であるメモリ103と、表示部であるLCD(Liquid Crystal Display)104とを含む。
制御部102は、固体撮像装置100の後述する出力部9から出力された画素信号に基づいて、撮像された画像の画像データを生成する。制御部102は、画像データに基づいて画像をLCD104に表示させるとともに、画像データをメモリ103に記憶させる。
(固体撮像装置の構成)
図1に示すように、固体撮像装置100は、複数の画素1と、複数の選択信号線Lsと、複数の読出信号線Lrと、垂直走査回路5と、水平走査回路6と、複数のCDS(Corelated Double Sampling、相関二重サンプリング)回路7と、複数の選択スイッチ8と、出力部9と、を含む。また、固体撮像装置100は、本実施形態においてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであるが、他の撮像装置または撮像素子であってもよい。
複数の画素1は、マトリックス状(行列状)に配列されている。以後、図1における横方向に並ぶ複数の画素1を纏めて画素行とし、図1における縦方向に並ぶ複数の画素1を纏めて画素列とする。
複数の選択信号線Lsは、画素行に対応するように設けられ、垂直走査回路5から図1における横方向に延伸するように設けられている。また、選択信号線Lsは、垂直走査回路5から画素1へ選択信号SELを送るための信号線である。
複数の読出信号線Lrは、画素列に対応するように設けられ、CDS回路7へ図1における縦方向に延伸するように設けられている。また、読出信号線Lrは、画素1からCDS回路7へ、画素1で発生した出力信号(リセット電圧と光電変換電圧)を読み出すための信号線である。
垂直走査回路5は、複数の画素行から1つの画素行を選択する選択信号SELを発生させる回路である。
水平走査回路6は、複数の選択スイッチ8から1つの選択スイッチ8をオンさせる走査信号を発生させる回路である。これにより、オンした選択スイッチ8に対応するCDS回路7と画素列とが選択されて、出力部9に接続される。
CDS回路7は、相関二重サンプリング回路であり、読出信号線Lrを介して画素1と電気的に接続されている。したがって、CDS回路7は、画素1で発生したリセット電圧と光電変換電圧とをサンプリング(抜き出し)して差分をとる。差分をとることにより、出力部9から出力される画素信号からノイズが除去される。
選択スイッチ8は、CDS回路7の出力端子と出力部9の入力端子との間に設けられ、水平走査回路6からの走査信号に従って、オンになり、対応するCDS回路7を出力部9に接続する。
出力部9は、CDS回路7からの出力を、画素信号として出力する回路である。出力部9には、積分回路および増幅回路等が含まれてもよい。
(画素の回路構成)
以下に、画素1の回路構成について、説明する。
図2は、図1に示した固体撮像装置100の画素1の概略構成を示す回路図である。
画素1は、フォトダイオードPDと、転送トランジスタTtrと、リセットトランジスタRtrと、選択トランジスタStrと、増幅トランジスタAtrと、信号電荷蓄積部FDと、を含む。また、画素1は、読出信号線Lrと、転送信号TXを送る転送信号線と、リセット信号RSTを送るリセット信号線と、選択信号SELを送る選択信号線Lsと、電源電圧Vddを供給する電源電力線と、に電気的に接続されている。
フォトダイオードPD(センサ素子)は、光電変換を行い、受光した光(入射光)の光量に応じた信号電荷(電気信号)を発生させる。また、フォトダイオードPDにおいて、アノードが接地され、カソードが転送トランジスタTtrのソースに接続されている。画素1は、フォトダイオードPDの代わりに、他の種類の受光素子およびセンサ素子等を含んでもよい。
転送トランジスタTtrは、スイッチング素子であり、N型のエンハンスメント型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)FET(Field Effect Transistor)であり、一般的なLDD(Lightly Doped Drain)構造を有する。また、転送トランジスタTtrにおいて、ゲートが転送信号線に接続され、ドレインが信号電荷蓄積部FDに接続されている。これにより、転送トランジスタTtrは、転送信号TXに従ってオンになることにより、フォトダイオードPDで発生した信号電荷を信号電荷蓄積部FDへ転送する。転送トランジスタTtrは、MOSFET以外の種類のトランジスタであってもよい。
リセットトランジスタRtrはスイッチング素子であり、LDD構造でないシングルドレイン構造を有している。リセットトランジスタRtrは、具体的には、N型のデプレッション型のオフセットゲートMOSFETである。また、リセットトランジスタRtrにおいて、ゲートがリセット信号線に接続され、ドレインが電源電力線に接続され、ソースが信号電荷蓄積部FDに接続されている。これにより、リセットトランジスタRtrは、リセット信号RSTに従ってオンすることにより、信号電荷蓄積部FDに蓄積された信号電荷を排出し、信号電荷蓄積部FDの電圧をリセットする。
なお、オフセットゲートMOSFETは、オフセットゲート構造を有するMOSFETであり、オフセットトランジスタと称されることもある。オフセットゲート構造は、ゲート電極がソースおよびドレインと重ならないようなゲート構造である。
選択トランジスタStrはスイッチング素子であり、LDD構造でないシングルドレイン構造を有している。選択トランジスタStrは、具体的には、N型のデプレッション型のオフセットゲートMOSFETである。また、選択トランジスタStrにおいて、ゲートが選択信号線Lsに接続され、ドレインが電源電力線に接続され、ソースが増幅トランジスタAtrのドレインに接続されている。これにより、選択トランジスタStrを介して、増幅トランジスタAtrのソースは、電源電力線に接続される。これにより、選択トランジスタStrは、選択信号SELに従ってオンになることにより、固体撮像装置100に複数配置された画素1のうち、選択された画素行の画素1のみが読出信号線Lrに信号電圧を出力する。
増幅トランジスタAtrは、電圧利得一定でゲート電圧(入力電圧)に追従するようにソース電圧(出力電圧)が変化する(ソースフォロア回路として動作する)ソースフォロアトランジスタであり、一般的なLDD構造を有する。また、増幅トランジスタAtrにおいて、ゲートが信号電荷蓄積部FDに接続され、ソースが読出信号線Lrに接続されている。これにより、増幅トランジスタAtrは、信号電荷蓄積部FDの電圧を増幅した信号電圧を読出信号線Lrへ出力する。増幅トランジスタAtrは、MOSFET以外の種類のトランジスタであってもよい。
信号電荷蓄積部FDは、信号電荷が蓄積されるフォローティングディフュージョン領域である。このため、蓄積された信号電荷の量に応じて信号電荷蓄積部FDの電圧が変化する。
(画素の平面配置)
以下に、画素1の平面配置について、説明する。
図3は、図1に示した固体撮像装置100の画素1の概略構成を示す平面配置図である。図3において、素子(フォトダイオードおよびトランジスタ等)を電気的に分離するための埋め込み酸化膜が形成されている領域を、不活性領域として白塗りで示し、素子(トランジスタ、フォトダイオード等)の一部として機能する半導体領域を、活性領域として薄い網掛けで示し、トランジスタのゲート電極を、濃い網掛けで示す。なお、ゲート電極は、不活性領域および活性領域に重なっている。また、図3において、ゲート電極の周囲に形成される側壁(側壁スペーサ、側壁酸化膜、サイドウォールなどと称される)の図示が省略されている。
画素1は、基板10の上に、N−拡散層11、N+拡散層12〜15、埋め込み酸化膜16、ゲート電極21〜24、およびその他の拡散層等を形成し、配線を形成することにより、形成される。
基板10は、汎用のシリコン基板であるが、他の種類の半導体基板であってもよい。
N−拡散層11は、フォトダイオードPDのカソードであり、転送トランジスタTtrのソースでもある。また、N−拡散層11の面積がフォトダイオードPDの受光面積になる。フォトダイオードPDの受光面積が大きいほど、画素1の感度が高い。このため、画素1の面積に対するN−拡散層11の面積の割合が大きくなるように、N−拡散層11は形成されている。逆に、フォトダイオードPDの受光面積が小さいと、フォトダイオードPDで発生する信号電荷が減少し、画素1の出力信号がノイズの影響を受けやすくなる。
N+拡散層12は、転送トランジスタTtrのドレインであり、リセットトランジスタRtrのソースでもあり、電荷蓄積部FDでもある。N+拡散層12は信号電荷を蓄積するために、ある程度の面積を有することが好ましい。
N+拡散層13は、リセットトランジスタRtrのドレインであり、選択トランジスタStrのドレインでもある。N+拡散層14は、選択トランジスタStrのソースであり、増幅トランジスタAtrのドレインでもある。N+拡散層15は、増幅トランジスタAtrのソースである。
埋め込み酸化膜16は、浅溝素子分離(STI:Shallow Trench Isolation)のためのシリコン酸化膜である。埋め込み酸化膜16は、画素1の中に形成されている素子(フォトダイオードPD、転送トランジスタTtr、リセットトランジスタRtr、選択トランジスタStr、および増幅トランジスタAtr)を、適宜、電気的に分離すると共に、基板10に形成されている複数の画素1を互いに電気的に分離する。
ゲート電極21は、転送トランジスタTtrのゲート電極である。ゲート電極22は、リセットトランジスタRtrのゲート電極である。ゲート電極23は、選択トランジスタStrのゲート電極である。ゲート電極24は、増幅トランジスタAtrのゲート電極である。また、ゲート電極21〜24は、N+型の多結晶シリコンである。
N−拡散層11は砒素Asおよび燐P等をイオン注入することにより形成され、不純物濃度は1×1017ion/cm3程度である。
N+拡散層12〜15およびゲート電極21〜24は砒素Asおよび燐P等をイオン注入することにより形成されている。N+拡散層12〜15およびゲート電極21〜24における不純物濃度は1×1020ion/cm3程度である。また、ゲート電極22、23の図3における縦方向の長さ(ゲート長)は、0.35μmであり、ゲート電極22、23の図3における横方向の幅(ゲート幅)は、0.3μmである。また、ゲート電極24の図3における縦方向の長さ(ゲート長)は、0.7μmであり、ゲート電極24の図3における横方向の幅(ゲート幅)は、0.3μmである。
上述のような構成により、フォトダイオードPDと転送トランジスタTtrとリセットトランジスタRtrと選択トランジスタStrと増幅トランジスタAtrとが、同一の活性領域に配置されている。これにより、画素1の面積に対する不活性領域(埋め込み酸化膜16)の面積を小さくすることができ、フォトダイオードPDの受光面積および増幅トランジスタAtrのチャネル面積を大きくすることができる。なお、画素1の面積が十分に大きい場合、不活性領域により分離された活性領域に、各素子(転送トランジスタTtr、リセットトランジスタRtr、選択トランジスタStr、増幅トランジスタAtr)が個別に形成されてもよい。
(リセットトランジスタの断面構造)
以下に、リセットトランジスタRtrの断面構造について、説明する。
図4は、図1に示した固体撮像装置の画素における増幅トランジスタAtr、リセットトランジスタRtrおよび選択トランジスタStrの概略構成を示す断面構造図であり、図3のA−A矢視断面図である。図4においては、ゲート電極の周囲に形成される側壁が図示されている。
リセットトランジスタRtrは、ソースであるN+拡散層12、ドレインであるN+拡散層13、ゲート電極22、ゲート酸化膜32、側壁42、チャネルとなるN−拡散層52(チャネル領域)を含み、Pウェル層17の上に形成されている。
Pウェル層17は、基板10にホウ素Bをイオン注入することにより形成され、不純物濃度は、1×1017ion/cm3程度である。なお、基板10にホウ素Bをイオン注入する代わりに、適当なP型基板を用いてもよい。
ゲート酸化膜32は、ゲート電極22の下に酸化シリコンSiO2等で形成されている。また、側壁42は、ゲート電極22の周囲(ドレイン側側面とソース側側面とその他の側面)に窒化シリコンSi3N4等で形成されている。また、N−拡散層52は、ゲート酸化膜32および側壁42の下に、砒素Asおよび燐P等をイオン注入することにより形成されている。N−拡散層52における不純物濃度は1×1017ion/cm3程度である。
リセットトランジスタRtrは、ゲートオフセットMOSFETであるため、ゲートがドレインから離れている。このため、ゲートとドレインとの間の電位差が大きくなりにくく、ドレインの端部からホットキャリアが発生しにくい。また、N−拡散層52がチャネルになり、N+拡散層12がソースであり、N+拡散層13がドレインであるため、ドレインの端部に発生する空乏層の電界が高くならない。このため、ドレインの端部からホットキャリアが発生しにくい。したがって、リセットトランジスタRtrにおいては、LDD構造でないシングルドレイン構造を有するにもかかわらず、ホットキャリア効果が抑制されている。
N−拡散層52の側壁42の下にある部分には、ゲート電圧が印加されない。それにもかかわらず、リセットトランジスタRtrは、デプレッション型であるため、オン時に、ソースドレイン電流がN−拡散層52を流れることができる。なお、仮にリセットトランジスタRtrがエンハンスメント型である場合、側壁42の下にドレイン又はソースでなくチャネルとなる層を形成すると、リセットトランジスタRtrはトランジスタとして機能しない。
(ゲート長オフセット効果)
発明者らは、上述のリセットトランジスタRtrの構成においては、チャネル長(ソースとドレインとの間の距離)が、ゲート長(ゲート電極22のソースドレイン方向の長さ)と側壁42の側壁寸法Dr(図4における、側壁42の断面とN−拡散層52の断面との境界線の長さ)の2倍との和であることを発見した。そして、ここでは、ゲート電極の周囲に側壁が形成されているデプレッション型のゲートオフセットMOSFETにおいて、チャネル長がゲート長より長くなる効果を、「ゲート長オフセット効果」と称する。
図5は、オン時の、従来技術のリセットトランジスタRtr_cと本発明に係るリセットトランジスタRtrとの相違を説明するための図である。図5の(a)は従来技術のリセットトランジスタRtr_cの概略構成を示す断面構造図であり、図5の(b)は図4に示したリセットトランジスタRtrの概略構成を示す断面構造図である。
従来技術のリセットトランジスタRtr_cは、ソースであるN+拡散層112、ドレインであるN+拡散層113、ゲート電極122、ゲート電極122の下に形成されているゲート酸化膜132、ゲート電極122の周囲に形成されている側壁142、N+拡散層112側にある側壁142の下に形成されているNLDD拡散層154、及びN+拡散層113側にある側壁142の下に形成されているNLDD拡散層155を含み、Pウェル層117の上に形成されている。また、オン時に、ゲート酸化膜132の下にあるPウェル層117の一部が反転して、チャネルとなるN−拡散層152(反転層)が発生する。
このような構成により、従来技術のリセットトランジスタRtr_cのチャネル長は、オン時に発生するN−拡散層152のドレインソース方向の長さであり、ゲート電極122のドレインソース方向の長さ(ゲート長)である。したがって、従来技術のリセットトランジスタRtr_cにおいては、チャネル長は、ゲート長と同等である。
これに対し、本実施形態のリセットトランジスタRtrのチャネル長は、N−拡散層52のドレインソース方向の長さであり、ゲート電極22のドレインソース方向の長さ(ゲート長)と側壁42の側壁寸法Drの2倍との和である。したがって、本実施形態のリセットトランジスタRtrにおいては、チャネル長は、ゲート長より、側壁寸法Drの分長い。
(ゲート長の短縮)
発明者らは、「ゲート長オフセット効果」により、リセットトランジスタRtrのスイッチング能力を維持しながら、リセットトランジスタRtrのゲート長を短くすることを考案した。以下に、「ゲート長オフセット効果」による短チャネル効果の抑制について、説明する。
短チャネル効果は、チャネル長が短いほど顕著になる効果である。例えば、MOSFETのチャネル長が短いほど、オフ時にソースからドレインへ流れる微小な電流(サブスレッショルド・リーク電流)が増大し、MOSFETのスイッチング能力が低下する。したがって、MOSFETのスイッチング能力を維持できるチャネル長の長さを確保する必要がある。
図5(a)のような従来技術のリセットトランジスタRtr_cにおいては、チャネル長が、ゲート長と同等である。このため、MOSFETのスイッチング能力を維持できるチャネル長の長さより、ゲート長の長さを短くすることができない。これに対し、図5(b)のような本実施形態のリセットトランジスタRtrにおいては、チャネル長が、ゲート長より長い。このため、MOSFETのスイッチング能力を維持できるチャネル長の長さより、ゲート長の長さを短くすることができる。
したがって、本実施形態においては、リセットトランジスタRtrのゲート長を0.5μm以下にしても、リセットトランジスタRtrがスイッチング能力を維持できる。リセットトランジスタRtrのゲート長が0.2μmより短いと、短チャネル効果により、リセットトランジスタRtrのスイッチング能力が顕著に低下した。このため、製造誤差および安全率などを見込んで、本実施形態では、リセットトランジスタRtrのゲート長を0.35μmとした。
なお、チャネル長は、ゲート長と側壁寸法とにより決まるので、精度よく制御することができる。本実施形態のリセットトランジスタRtrにおいて、側壁42の側壁寸法Drは、0.1μmである。したがって、リセットトランジスタRtrにおいて、チャネル長は、ゲート長より0.2μm長い。
(選択トランジスタの断面構造)
以下に、選択トランジスタStrの断面構造について、図4を参照しながら、説明する。
選択トランジスタStrは、ドレインであるN+拡散層13、ソースであるN+拡散層14、ゲート電極23、ゲート酸化膜33、側壁43、チャネルとなるN−拡散層53(チャネル領域)を含み、Pウェル層17の上に形成されている。
ゲート酸化膜33は、ゲート電極23の下に形成されており、酸化シリコンSiO2等である。また、側壁43は、ゲート電極22の周囲(ドレイン側側面とソース側側面とその他の側面)に窒化シリコンSi3N4等で形成されている。また、N−拡散層53は、ゲート酸化膜33および側壁43の下に、砒素Asおよび燐P等をイオン注入することにより形成されている。N−拡散層53における不純物濃度は1×1017ion/cm3程度である。
選択トランジスタStrにおいては、リセットトランジスタRtrと同様に、LDD構造でないシングルドレイン構造を有するにもかかわらず、ホットキャリア効果が抑制されている。また、「ゲート長オフセット効果」により短チャネル効果が抑制されている。
したがって、選択トランジスタStrのゲート長(ゲート電極23のソースドレイン方向の長さ)を0.5μm以下にしても、選択トランジスタStrがスイッチング能力を維持できる。選択トランジスタStrのゲート長が0.2μmより短いと、短チャネル効果により、選択トランジスタStrのスイッチング能力が顕著に低下した。このため、製造誤差および安全率などを見込んで、選択トランジスタStrのゲート長を0.35μmとした。なお、側壁43の側壁寸法Ds(図4における、側壁43の断面とN−拡散層53の断面との境界線の長さ)は、0.1μmである。したがって、選択トランジスタStrにおいて、チャネル長は、ゲート長より0.2μm長い。
(増幅トランジスタの断面構造)
以下に、増幅トランジスタAtrの断面構造について、図4を参照しながら、説明する。
増幅トランジスタAtrは、ドレインであるN+拡散層14、ソースであるN+拡散層15、ゲート電極24、ゲート酸化膜34、側壁44、およびLDD構造を形成するNLDD拡散層54、55を含み、Pウェル層17の上に形成されている。
ゲート酸化膜34は、ゲート電極23の下に形成されており、酸化シリコンSiO2等である。また、側壁44は、ゲート電極22の周囲に窒化シリコンSi3N4等で形成されている。
NLDD拡散層54は、N+拡散層14側にある側壁44の下に形成され、NLDD拡散層55は、N+拡散層15側にある側壁44の下に形成される。また、NLDD拡散層54とNLDD拡散層55とは、砒素Asおよび燐P等をイオン注入することにより形成されている。NLDD拡散層54及びNLDD拡散層55における不純物濃度は1×1018〜1×1019ion/cm3程度である。
増幅トランジスタAtrは、ソースフォロアトランジスタであり、転送トランジスタTtrを除く、画素内の他のトランジスタ(リセットトランジスタRtr、選択トランジスタStr)よりチャネル面積が大きい。増幅トランジスタAtrのチャネル面積が大きいため、画素1の出力信号のランダムノイズのノイズレベルの低減されている。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図6〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(画素の回路構成)
以下に、画素2の回路構成について、説明する。
図6は、本実施形態に係る固体撮像装置の画素2の概略構成を示す回路図である。
上述の実施形態1の画素1と同様に、画素2は、固体撮像装置にマトリックス状に配列されている。また、画素2は、フォトダイオードPDと、転送トランジスタTtrと、リセットトランジスタRtrと、増幅トランジスタAtrと、信号電荷蓄積部FDと、を含む。また、画素2は、読出信号線Lrと、転送信号線と、リセット信号線と、電源電力線と、に接続されている。さらに、画素2は、リセット電圧Vrを供給するリセット電力線に接続されている。
上述の実施形態1の画素1と異なり、画素2は、選択トランジスタを含まないため、選択信号線Lsに接続されていない。代わりに、画素2は、リセット電力線に接続されている。このため、リセットトランジスタRtrにおいて、ドレインがリセット電力線に接続されている。また、増幅トランジスタAtrにおいて、ドレインが直接的に電源電力線に接続されている。
また、選択信号による選択の代わりに、本実施形態においては、リセットトランジスタRtrのゲート電圧(リセット信号)により、画素2が選択される。具体的には、画素2が選択されたときに増幅トランジスタAtrがオンになり、かつ、画素2が選択されていないときに増幅トランジスタAtrがオフになるように、リセットトランジスタRtrのゲート電極に電圧を印加する。
(画素の平面配置)
以下に、画素2の平面配置について、説明する。
図7は、図6に示した画素2の概略構成を示す平面配置図である。図3と同様に、素子(フォトダイオードおよびトランジスタ等)を電気的に分離するための埋め込み酸化膜が形成されている領域を、不活性領域として白塗りで示し、素子(トランジスタ、フォトダイオード)の一部として機能する半導体領域を、活性領域として薄い網掛けで示し、トランジスタのゲート電極を、濃い網掛けで示す。なお、ゲート電極は、不活性領域および活性領域に重なっている。また、図7において、ゲート電極の周囲に形成される側壁の図示が省略されている。
画素2は、基板10の上に、N−拡散層11、N+拡散層12〜15、埋め込み酸化膜16、ゲート電極21、22、24、およびその他の拡散層等を形成し、配線を形成することにより、形成される。また、選択トランジスタがないため、N+拡散層13とN+拡散層14とが、埋め込み酸化膜16により区切られ、電気的に互いに分離されている。
上述のような構成により、フォトダイオードPDと転送トランジスタTtrとリセットトランジスタRtrとが、同一の活性領域に配置されている。これにより、画素2の面積に対する不活性領域(埋め込み酸化膜16)の面積を小さくすることができ、フォトダイオードPDの受光面積および増幅トランジスタAtrのチャネル面積を大きくすることができる。なお、画素2の面積が十分に大きい場合、不活性領域により分離された活性領域に、各素子(転送トランジスタTtr、リセットトランジスタRtr)が個別に形成されてもよい。
また、増幅トランジスタAtrは、転送トランジスタTtrを除く画素2内の他のトランジスタ(リセットトランジスタRtr)より、チャネル面積が大きい。増幅トランジスタAtrのチャネル面積が大きいため、画素2の出力信号のランダムノイズのノイズレベルが低減されている。
(画素の断面配置)
以下に、画素2の断面構造について、説明する。
図8は、図6に示した固体撮像装置の画素における増幅トランジスタAtrおよびリセットトランジスタRtrの概略構成を示す断面構造図であり、図6のB−B矢視断面図である。図8においては、ゲート電極の周囲に形成される側壁が図示されている。
リセットトランジスタRtrは、ソースであるN+拡散層12、ドレインであるN+拡散層13、ゲート電極22、ゲート酸化膜32、側壁42、チャネルとなるN−拡散層52を含み、Pウェル層17の上に形成されている。
増幅トランジスタAtrは、ドレインであるN+拡散層14、ソースであるN+拡散層15、ゲート電極24、ゲート酸化膜34、側壁44、およびLDD構造であるNLDD拡散層54、55を含み、Pウェル層17の上に形成されている。
埋め込み酸化膜16が、N+拡散層13とN+拡散層14との間に、Pウェル層17に食い込むように、形成されている。
本実施形態においても実施形態1と同様に、リセットトランジスタRtrにおいて、LDD構造でないシングルドレイン構造を有するにもかかわらず、ホットキャリア効果が抑制されている。また、「ゲート長オフセット効果」により短チャネル効果が抑制されている。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図9〜図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(画素の回路構成)
以下に、画素3の回路構成について、説明する。
図9は、本実施形態に係る固体撮像装置の画素3の概略構成を示す回路図である。
上述の実施形態1の画素1と同様に、画素3は、固体撮像装置にマトリックス状に配列されている。また、画素3は、2つのフォトダイオードPDと、2つの転送トランジスタTtrと、リセットトランジスタRtrと、選択トランジスタStrと、増幅トランジスタAtrと、信号電荷蓄積部FDと、を含む。また、画素3は、読出信号線Lrと、転送信号線と、リセット信号線と、選択信号線Lsと、電源電力線と、に接続されている。
(画素の平面配置)
以下に、画素3の平面配置について、説明する。
図10は、図9に示した画素3の概略構成を示す平面配置図である。図10において、素子(フォトダイオードおよびトランジスタ等)を電気的に分離するための埋め込み酸化膜が形成されている領域を、不活性領域として白塗りで示し、素子(トランジスタ、フォトダイオード)の一部として機能する半導体領域を、活性領域として薄い網掛けで示し、トランジスタのゲート電極を、濃い網掛けで示す。なお、ゲート電極は、不活性領域および活性領域に重なっている。また、図10において、ゲート電極の周囲に形成される側壁の図示が省略されている。
画素3は、基板10の上に、N−拡散層11、N+拡散層12〜15、埋め込み酸化膜16、ゲート電極21〜24、およびその他の拡散層等を形成し、配線を形成することにより、形成される。
上述の実施形態1の画素1と異なり、画素3は、フォトダイオードPDを2つ含み、転送トランジスタTtrを2つ含む。したがって、画素3においては、隣接する2組のフォトダイオードPDと転送トランジスタTtrに対し、1組のリセットトランジスタRtrと選択トランジスタStrと増幅トランジスタAtrとが、共通に設けられている。これにより、画素3の面積に対するフォトダイオードPDの受光面(N−拡散層11の面積)の割合が大きい。
フォトダイオードPDの受光面が大きいため、フォトダイオードPDで発生する信号電荷が大きく、画素3の出力信号はノイズの影響を受け難い。なお、画素3が含むフォトダイオードPDと転送トランジスタTtrとの組は、2組より多くてもよい。
本実施形態においても実施形態1と同様に、リセットトランジスタRtrおよび選択トランジスタStrにおいて、LDD構造でないシングルドレイン構造を有するにもかかわらず、ホットキャリア効果が抑制されている。また、「ゲート長オフセット効果」により短チャネル効果が抑制されている。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(画素の回路構成)
以下に、画素4の回路構成について、説明する。
図11は、本実施形態に係る固体撮像装置の画素4の概略構成を示す回路図である。
上述の実施形態1の画素1と同様に、画素4は、固体撮像装置にマトリックス状に配列されている。また、画素4は、フォトダイオードPDと、リセットトランジスタRtrと、選択トランジスタStrと、増幅トランジスタAtrと、信号電荷蓄積部FDと、を含む。また、画素4は、読出信号線Lrと、リセット信号線と、選択信号線Lsと、電源電力線と、に接続されている。上述の実施形態1の画素1と異なり、画素4は、転送トランジスタを含まず、転送信号線に電気的に接続されていない。
増幅トランジスタAtrは、ソースフォロアトランジスタであり、画素内の他のトランジスタ(リセットトランジスタRtr、選択トランジスタStr)よりチャネル面積が大きい。増幅トランジスタAtrのチャネル面積が大きいため、ランダムノイズのノイズレベルの低減されている。
本実施形態においても実施形態1と同様に、リセットトランジスタRtrおよび選択トランジスタStrにおいて、LDD構造でないシングルドレイン構造を有するにもかかわらず、ホットキャリア効果が抑制されている。また、「ゲート長オフセット効果」により短チャネル効果が抑制されている。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る固体撮像装置は、入射光の光量に基づいた電気信号を発生させるセンサ素子(フォトダイオードPD)と、前記電気信号を増幅する増幅トランジスタ(Atr)と、前記増幅トランジスタのゲート電圧をリセットするリセットトランジスタ(Rtr)と、を含む画素(1〜4)が複数配置された固体撮像装置(100)であって、前記リセットトランジスタは、シングルドレイン構造を有するデプレッション型のオフセットゲートMOSFETであり、前記リセットトランジスタのゲート電極(22)のドレイン側側面とソース側側面とに、側壁(42)が形成されており、前記リセットトランジスタの前記ゲート電極および前記側壁の下に、チャネル領域(N−拡散層52)が形成されている。
上記構成によれば、リセットトランジスタは、ゲートオフセットMOSFETであるため、ゲートがドレインから離れている。このため、リセットトランジスタのゲートとドレインとの間の電位差が大きくなりにくく、ドレインの端部からホットキャリアが発生しにくい。したがって、リセットトランジスタにおいて、LDD構造でないシングルドレイン構造であっても、ホットキャリア効果が抑制されている。
また、上記構成によれば、リセットトランジスタのチャネル長は、リセットトランジスタのゲート長と側壁寸法の2倍との和である。言い換えると、リセットトランジスタにおいて、チャネル長は、ゲート長より側壁寸法分長い。このため、短チャネル効果を抑制してリセットトランジスタのスイッチング能力を維持しながら、スイッチング能力を維持できる維持できるチャネル長の長さより、ゲート長の長さを短くすることができる。
さらに、リセットトランジスタのゲート長を短くすることにより、リセットトランジスタのゲート面積を小さくすることができる。これにより、増幅トランジスタのゲート面積およびチャネル面積を大きくすることができる。また、センサ素子の受光面積を大きくすることもできる。
増幅トランジスタのチャネル面積が大きい場合、増幅トランジスタのゲート酸化膜(34)に電荷が捕獲されても、捕獲された電荷の影響は比較的小さい。このため、増幅トランジスタの出力特性(増幅率)の変動を抑制することができ、画素の出力信号がランダムノイズの影響を受けにくくなる。また、センサ素子の受光面積を大きい場合、センサ素子が発生させる電気信号の強度が高くなり、相対的にノイズが弱くなる。
したがって、上記構成によれば、画素の出力信号のノイズ比を低減することができる。
本発明の態様2に係る固体撮像装置は、態様1に記載の固体撮像装置(100)であり、前記画素(1、3、4)は、当該画素を選択するための選択トランジスタ(Str)を含み、前記選択トランジスタは、シングルドレイン構造を有するデプレッション型のオフセットゲートMOSFETであり、前記選択トランジスタのゲート電極(23)のドレイン側側面とソース側側面とに、側壁(43)が形成されており、前記選択トランジスタの前記ゲート電極および前記側壁の下に、チャネル領域(N−拡散層53)が形成されていてもよい。
上記構成によれば、選択トランジスタは、ゲートオフセットMOSFETであるため、ゲートがドレインから離れている。このため、選択トランジスタのゲートとドレインとの間の電位差が大きくなりにくく、ドレインの端部からホットキャリアが発生しにくい。したがって、選択トランジスタにおいて、LDD構造でないシングルドレイン構造であっても、ホットキャリア効果が抑制されている。
また、上記構成によれば、選択トランジスタのチャネル長は、選択トランジスタのゲート長と側壁寸法の2倍との和である。言い換えると、選択トランジスタにおいて、チャネル長は、ゲート長より側壁寸法分長い。このため、短チャネル効果を抑制して選択トランジスタのスイッチング能力を維持しながら、スイッチング能力を維持できる維持できるチャネル長の長さより、ゲート長の長さを短くすることができる。
さらに、選択トランジスタのゲート長を短くすることにより、選択トランジスタのゲート面積を小さくすることができる。これにより、増幅トランジスタのゲート面積およびチャネル面積を大きくすることができる。また、センサ素子の受光面積を大きくすることもできる。
増幅トランジスタのチャネル面積が大きい場合、増幅トランジスタのゲート酸化膜(34)に電荷が捕獲されても、捕獲された電荷の影響は比較的小さい。このため、増幅トランジスタの出力特性(増幅率)の変動を抑制することができ、画素の出力信号がランダムノイズの影響を受けにくくなる。また、センサ素子の受光面積を大きい場合、センサ素子が発生させる電気信号の強度が高くなり、相対的にノイズが弱くなる。
したがって、上記構成によれば、画素の出力信号のノイズ比を低減することができる。
本発明の態様3に係る固体撮像装置は、態様1または2に記載の固体撮像装置(100)であり、前記画素(1〜3)は、前記電気信号を前記センサ素子(フォトダイオードPD)から前記増幅トランジスタ(Atr)のゲートへ転送する転送トランジスタ(Ttr)を含んでもよい。
上記構成によれば、転送トランジスタによりセンサ素子から電気的に分離された電荷蓄積部(FD)を設けることが可能になる。電荷蓄積部により、センサ素子において暗電流が抑制されるため、画素の出力信号のノイズ比を低減することができる。
本発明の態様4に係る固体撮像装置は、態様3に記載の固体撮像装置(100)であり、前記画素(4)は、複数の前記センサ素子(フォトダイオードPD)と複数の前記転送トランジスタ(Ttr)とを含み、前記増幅トランジスタ(Atr)と前記リセットトランジスタ(Rtr)とは、複数の前記センサ素子と複数の前記転送トランジスタとに共通に設けられてもよい。
上記構成によれば、画素の面積に対してセンサ素子の受光面積を大きくすることができる。受光面積が大きいため、センサ素子が発生させる電気信号の強度が高くなり、相対的にノイズが弱くなる。したがって、画素の出力信号のノイズ比を低減することができる。
本発明の態様5に係る固体撮像装置は、態様2に記載の固体撮像装置(100)であり、前記リセットトランジスタ(Rtr)および前記選択トランジスタ(Str)のゲート長は、0.2μm以上0.5μm以下であってもよい。
上記構成によれば、ゲート長が0.2μm以上であるため、短チャネル効果が抑制され、リセットトランジスタおよび選択トランジスタのスイッチング能力が維持される。また、ゲート長が0.5μm以下であるため、リセットトランジスタおよび選択トランジスタのゲート面積が小さい。これにより、増幅トランジスタのゲート面積およびチャネル面積を大きくすることができる。
本発明の態様6に係る固体撮像装置は、態様1から5の何れか1態様に記載の固体撮像装置(100)であり、前記増幅トランジスタ(Atr)は、ソースフォロア回路として動作する、LDD構造を有するMOSFETであってもよい。
上記構成によれば、ソースフォロア回路であるので、増幅トランジスタの出力インピーダンスが低い。
本発明の態様7に係る固体撮像装置は、態様2または5に記載の固体撮像装置(100)であり、前記リセットトランジスタ(Rtr)および前記選択トランジスタ(Str)のチャネル面積は、前記増幅トランジスタ(Atr)のチャネル面積より小さくてもよい。
上記構成によれば、増幅トランジスタのチャネル面積を大きくすることができる。
本発明の態様8に係る固体撮像装置は、態様1から7の何れか1態様に記載の固体撮像装置(100)であり、前記画素(1〜4)が、行列状に配置されていてもよい。
上記構成によれば、複数の画素からの出力信号の配置も行列状であるため、出力信号を信号処理しやすい。
本発明の態様9に係る電子情報機器は、態様1から8の何れか1態様に記載の固体撮像装置(100)を備えることを特徴とする電子情報機器(デジタルカメラ105)。
上記構成によれば、本発明に係る固体撮像装置を備える電子情報機器を実現できる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。