JP2017027868A - レドックスフロー電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極側での放電反応により還元されたメディエーターを非水系溶媒中で再生する事ができる充放電可能なレドックスフロー電池の提供。
【解決手段】メディエーターを正極2で反応させるレドックスフロー電池100であって、Liイオンの吸放出ができる負極1、正極2、セパレータ3、メディエーターを含有する電解液が循環する循環路4及び循環装置5、メディエータ酸化部8から構成される。電解液は、触媒、有機溶媒、及びメディエーターを含有する非水系電解液であり、前記メディエーターにはバナジウムを含有するポリオキソメタレート、触媒には酢酸マンガン等の所定の物質が使用される。当該構成において、メディエータ酸化部8では酸化剤供給装置6から供給された酸化剤と、正極放電反応により還元されたメディエーターとが非水系溶媒中の触媒存在下で酸化反応し、メディエータが再生されることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】メディエーターを正極2で反応させるレドックスフロー電池100であって、Liイオンの吸放出ができる負極1、正極2、セパレータ3、メディエーターを含有する電解液が循環する循環路4及び循環装置5、メディエータ酸化部8から構成される。電解液は、触媒、有機溶媒、及びメディエーターを含有する非水系電解液であり、前記メディエーターにはバナジウムを含有するポリオキソメタレート、触媒には酢酸マンガン等の所定の物質が使用される。当該構成において、メディエータ酸化部8では酸化剤供給装置6から供給された酸化剤と、正極放電反応により還元されたメディエーターとが非水系溶媒中の触媒存在下で酸化反応し、メディエータが再生されることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、レドックスフロー電池に関する。
レドックスフロー電池とは、少なくとも一方の電極において還元剤及び酸化剤を直接反応させるのではなく、電極へ循環して供給するレドックス対(メディエーター)を反応させる電池である。
特許文献1には、メディエーターを含有する非揮発性カソライト溶液をカソードと再生器間で循環するレドックス燃料電池が記載されている。このレドックス燃料電池では、再生器内で非揮発性カソライト溶液に空気等を吹き込むことにより、カソードで還元されたメディエーターを、酸化して再生する。
ここで、高い電圧とエネルギー密度を実現するために、負極活物質としてLi金属などを使用する場合には、高い電位窓を持つ非水系溶媒をカソライトとして使用する必要があるが、特許文献1に記載の手法では、水系溶媒中で還元型メディエーターを酸化することはできるものの、非水系溶媒中で還元型メディエーターを酸化することはできない。
従って、従来技術では放電により還元されたメディエーターを非水系溶媒中で酸化して再生することが可能なレドックスフロー電池を実現することができなかった。
ここで、高い電圧とエネルギー密度を実現するために、負極活物質としてLi金属などを使用する場合には、高い電位窓を持つ非水系溶媒をカソライトとして使用する必要があるが、特許文献1に記載の手法では、水系溶媒中で還元型メディエーターを酸化することはできるものの、非水系溶媒中で還元型メディエーターを酸化することはできない。
従って、従来技術では放電により還元されたメディエーターを非水系溶媒中で酸化して再生することが可能なレドックスフロー電池を実現することができなかった。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、正極側で放電反応によって還元されたメディエーターを非水系溶媒中で酸化して再生する事ができる充放電可能なレドックスフロー電池を提供することを目的とする。
本発明のレドックスフロー電池は、メディエーターを正極側で反応させるレドックスフロー電池であって、Liイオンの吸放出ができる負極、正極、前記負極と前記正極の間に配置され、Liイオンを通過できるセパレータ、メディエーターを含有する電解液が循環する循環路、前記循環路内に前記電解液を循環させる循環装置、前記循環路内に酸化剤である酸素を含む気体を供給する酸化剤供給装置を備え、前記循環路は、前記正極が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター還元部、及び、前記酸化剤供給装置が配置され、前記電解質で満たされたメディエーター酸化部を有し、前記負極は前記循環路からセパレータによって隔離され、前記電解液は、触媒、有機溶媒、及びメディエーターを含有する非水系電解液であり、前記メディエーターは、バナジウムを含有するポリオキソメタレートであり、前記触媒は、酢酸マンガン、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、塩化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、コバルト(II)ポルフィリン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)、塩化マンガン(II)、バナジルアセチルアセトナート、酢酸パラジウムからなる群より選択されることを特徴とする。
本発明によれば、正極側で放電反応によって還元されたメディエーターを含有する非水系電解液中に酸化剤として酸素を含む気体を吹き込むことによって、当該還元型のメディエーターを酸化する事ができる充放電可能なレドックスフロー電池を提供することができる。
本発明のレドックスフロー電池は、メディエーターを正極側で反応させるレドックスフロー電池であって、Liイオンの吸放出ができる負極、正極、前記負極と前記正極の間に配置され、Liイオンを通過できるセパレータ、メディエーターを含有する電解液が循環する循環路、前記循環路内に前記電解液を循環させる循環装置、前記循環路内に酸化剤である酸素を含む気体を供給する酸化剤供給装置を備え、前記循環路は、前記正極が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター還元部、及び、前記酸化剤供給装置が配置され、前記電解質で満たされたメディエーター酸化部を有し、前記負極は前記循環路からセパレータによって隔離され、前記電解液は、触媒、有機溶媒、及びメディエーターを含有する非水系電解液であり、前記メディエーターは、バナジウムを含有するポリオキソメタレートであり、前記触媒は、酢酸マンガン、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、塩化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、コバルト(II)ポルフィリン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)、塩化マンガン(II)、バナジルアセチルアセトナート、酢酸パラジウムからなる群より選択されることを特徴とする。
本発明のレドックスフロー電池において、放電により生じた還元型メディエーターを酸化型メディエーターに再生するプロセスでは、非水系の電解液中で還元型のメディエーターに酸化剤である酸素ガスを直接接触させて酸化させる。
従来技術では、非水系の電解液中で還元型メディエーターの酸化を進行させることができなかった。本発明では、バナジウムを含有するポリオキソメタレート(以下、V−POMと称することがある。)をメディエーターとして用いること、及び、特定の触媒を用いることによって、酸素を含有する気体との気液反応により、非水系電解液中で還元型メディエーターを酸化させることが可能となった。
従来技術では、非水系の電解液中で還元型メディエーターの酸化を進行させることができなかった。本発明では、バナジウムを含有するポリオキソメタレート(以下、V−POMと称することがある。)をメディエーターとして用いること、及び、特定の触媒を用いることによって、酸素を含有する気体との気液反応により、非水系電解液中で還元型メディエーターを酸化させることが可能となった。
本発明のレドックスフロー電池の基本構成について図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明のレドックスフロー電池100は、Liイオンの吸放出ができる負極1、正極2、負極1と正極2の間に配置され、Liイオンを通過できるセパレータ3、メディエーターを含有する電解液が循環する循環路4、循環路4内に備えた前記電解液を循環させる循環装置5、前記循環路4内に備えた酸化剤である酸素を含む気体を供給する酸化剤供給装置6から構成される。
また、循環路4は、正極2が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター還元部7、及び、酸化剤供給装置6が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター酸化部8を有する。
電池の出力変動に対応して酸化型メディエーターの供給量を調整できるように、循環路4は電解液収容部9を備えることが好ましい。
図1に示すように、本発明のレドックスフロー電池100は、Liイオンの吸放出ができる負極1、正極2、負極1と正極2の間に配置され、Liイオンを通過できるセパレータ3、メディエーターを含有する電解液が循環する循環路4、循環路4内に備えた前記電解液を循環させる循環装置5、前記循環路4内に備えた酸化剤である酸素を含む気体を供給する酸化剤供給装置6から構成される。
また、循環路4は、正極2が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター還元部7、及び、酸化剤供給装置6が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター酸化部8を有する。
電池の出力変動に対応して酸化型メディエーターの供給量を調整できるように、循環路4は電解液収容部9を備えることが好ましい。
本発明のレドックスフロー電池は、Liイオンの吸放出ができる負極1、正極2、負極1と正極2の間に配置され、Liイオンを通過できるセパレータ3によって構成される電池セルを有する。図1では、模式的に単セルとして示しているが、前記電池セルを複数備えるセル集合体であってもよく、当該セル集合体としては、例えば、平板セルを複数積層した電池スタックなどが挙げられる。
負極1及び正極2は、負荷に電気的に接続される。
負極1及び正極2は、負荷に電気的に接続される。
負極1では活物質としてLiイオンの吸放出ができる材料を使用する。Liイオンを吸放出できる活物質としては、一般的に用いられているLi金属、Liイオンがインターカレートした炭素系材料、Li合金等が挙げられる。中でも、エネルギー密度の観点から、Li金属が好ましい。
正極2は、正極集電体を備える。当該正極集電体がメディエーターを還元する反応場となる。正極集電体の材料には、循環する電解液中の反応種と電子のやり取りを効率的に行えるもので、電気化学的かつ化学的に安定であるものが好ましい。具体的には、カーボンペーパー、金属メッシュ等が挙げられる。中でも、グラッシーカーボンが好ましい。
セパレータ3には、電解液が透過せず、Liイオンを伝導することができる材料を使用する。このような材料としては、非水系ポリマー電解質、酸化物固体電解質、ガラス電解質などのLiイオン伝導性固体電解質が挙げられる。
本発明のレドックスフロー電池では、メディエーターを含有する電解液の循環路4内に、前記電解液を循環させる循環装置5及び酸素を含む気体の供給装置6を備えている。当該循環装置5には、通常、液体ポンプなどを用いることができる。
循環路4は、正極2が配置され電解液で満たされたメディエーター還元部7、酸化剤供給装置6が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター酸化部8を有する。前記電解液はメディエーター還元部7、メディエーター酸化部8の内部を通過して、循環路4内を循環する。
ここで、負極1はセパレータ3によって、循環路4から隔離されているため、正極が配置されたメディエーター還元部7中に満たされている電解液が、負極側へ漏れ出すことはない。
酸化剤供給装置6は、酸化剤である酸素を含む気体をメディエーター酸化部8中に満たされた前記電解液に供給する。気体の供給とは、例えば、気体を吹き込む、或いは、バブリングするなどの方法を用いることができる。バブリングする場合には、前記電解液と酸素の気液反応面積を広げるため、細かい気泡を出すことができるバブラーを用いることが好ましい。反応速度を制御するために、気体の温度を調整する温調機10を酸化剤供給装置6に設置しても良い。酸素を含む気体とは、通常、空気である。
メディエーター酸化部8で生成されたリチウム酸化物は、非水系電解液に不溶であるため、メディエーター酸化部8は析出したリチウム酸化物を回収するための析出物回収材11を備えることが好ましい。析出物回収材としては、金属製メッシュ、カーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス等の多孔体を用いることができる。
また、後述するようにメディエーターであるV−POMの酸化の程度は電解液の色から判断できることから、メディエーター酸化部8に電解液色測定機構12と電解液排出弁13を設置し、電解液色測定機構12により電解液排出弁13を制御することにより、メディエーター酸化部8から流出するV−POMの酸化度合いを制御することが可能となる。
また、メディエーター酸化部8に電気化学充電極14を設けて電位を印加することにより、メディエーターの酸化を促進することもできる。
循環路4は、正極2が配置され電解液で満たされたメディエーター還元部7、酸化剤供給装置6が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター酸化部8を有する。前記電解液はメディエーター還元部7、メディエーター酸化部8の内部を通過して、循環路4内を循環する。
ここで、負極1はセパレータ3によって、循環路4から隔離されているため、正極が配置されたメディエーター還元部7中に満たされている電解液が、負極側へ漏れ出すことはない。
酸化剤供給装置6は、酸化剤である酸素を含む気体をメディエーター酸化部8中に満たされた前記電解液に供給する。気体の供給とは、例えば、気体を吹き込む、或いは、バブリングするなどの方法を用いることができる。バブリングする場合には、前記電解液と酸素の気液反応面積を広げるため、細かい気泡を出すことができるバブラーを用いることが好ましい。反応速度を制御するために、気体の温度を調整する温調機10を酸化剤供給装置6に設置しても良い。酸素を含む気体とは、通常、空気である。
メディエーター酸化部8で生成されたリチウム酸化物は、非水系電解液に不溶であるため、メディエーター酸化部8は析出したリチウム酸化物を回収するための析出物回収材11を備えることが好ましい。析出物回収材としては、金属製メッシュ、カーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス等の多孔体を用いることができる。
また、後述するようにメディエーターであるV−POMの酸化の程度は電解液の色から判断できることから、メディエーター酸化部8に電解液色測定機構12と電解液排出弁13を設置し、電解液色測定機構12により電解液排出弁13を制御することにより、メディエーター酸化部8から流出するV−POMの酸化度合いを制御することが可能となる。
また、メディエーター酸化部8に電気化学充電極14を設けて電位を印加することにより、メディエーターの酸化を促進することもできる。
本発明のレドックスフロー電池で使用する電解液は、触媒、有機溶媒、及びメディエーターを含有する非水系電解液である。
本発明の非水系電解液に使用する有機溶媒としては、後述するメディエーターであるV−POMを分解することなく安定かつ高濃度に溶解できること、及び、Li金属に安定であることを満たす有機溶媒を使用する。具体的には、アニソール、ジメトキシエタン、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、及びジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称することがある。)などを用いることができ、V−POMの溶解性の観点からアセトニトリル又はDMSOであることが好ましく、DMSOであるとさらに好ましい。
本発明の非水系電解液に使用する電解質塩は、上記有機溶媒に溶解するリチウム塩であれば特に制限はなく、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、酢酸リチウム、過塩素酸リチウム、硝酸リチウム等を使用することができる。
本発明の非水系電解液に使用する有機溶媒としては、後述するメディエーターであるV−POMを分解することなく安定かつ高濃度に溶解できること、及び、Li金属に安定であることを満たす有機溶媒を使用する。具体的には、アニソール、ジメトキシエタン、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、及びジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称することがある。)などを用いることができ、V−POMの溶解性の観点からアセトニトリル又はDMSOであることが好ましく、DMSOであるとさらに好ましい。
本発明の非水系電解液に使用する電解質塩は、上記有機溶媒に溶解するリチウム塩であれば特に制限はなく、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、酢酸リチウム、過塩素酸リチウム、硝酸リチウム等を使用することができる。
本発明のレドックスフロー電池では、バナジウムを含有するポリオキソメタレートをメディエーターとして使用する。電解液中のV−POMの溶解量は、反応率と粘度の関係から定まるため、必要とする電流密度や電解液の流速から適宜設定すればよい。
使用するバナジウムを含有するポリオキソメタレートには特に制限はないが、酸化還元反応が進行しやすいという観点から、HxLMyVzO40(L=P、Si、B、M=Mo、W)の一般式で表される化合物であることが好ましく、H5PMo10V2O40、H10SiV3W4O40、H7SiV3W12O40等を用いることがさらに好ましい。
使用するバナジウムを含有するポリオキソメタレートには特に制限はないが、酸化還元反応が進行しやすいという観点から、HxLMyVzO40(L=P、Si、B、M=Mo、W)の一般式で表される化合物であることが好ましく、H5PMo10V2O40、H10SiV3W4O40、H7SiV3W12O40等を用いることがさらに好ましい。
本発明のレドックスフロー電池で使用する触媒は、酢酸マンガン、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、塩化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、コバルト(II)ポルフィリン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)、塩化マンガン(II)、バナジルアセチルアセトナート、酢酸パラジウムからなる群より選択される。中でも、V−POMの酸化反応を強く促進するという観点から、酢酸マンガン、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、塩化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、からなる群より選択されることが好ましく、実用上の観点から酢酸マンガンであるとさらに好ましい。
図2を参照しながら、本発明のレドックスフロー電池の作動状態の概要について説明する。なお、ここでは負極活物質としてLi金属を使用した場合を例に説明する。
負極においてLi金属が以下の式(1)に従い酸化される。
Li2→2Li++2e−・・・・式(1)
負極で生成したLiイオンはセパレータを透過して正極へ移行し、電子は負荷を経由して外部回路を通して正極へ移行する。
負極においてLi金属が以下の式(1)に従い酸化される。
Li2→2Li++2e−・・・・式(1)
負極で生成したLiイオンはセパレータを透過して正極へ移行し、電子は負荷を経由して外部回路を通して正極へ移行する。
正極が配置されたメディエーター還元部において、酸化型のV−POMOx(Li5[H5PMo10V2O40])は、セパレータを透過して正極へ移行したLiイオン、及び外部回路を通して正極へ移行した電子と反応し、以下の式(2)に従い還元され、還元型のLi配位V−POMRed(Li7[H5PMo10V2O40])となる。
Li5[H5PMo10V2O40]+2Li++2e−→Li7[H5PMo10V2O40]・・・・式(2)
ここで、酸化型のV−POMOxが還元型のV−POMRedとなる反応としては、上記式(2)の他に、以下の式(2a)も想定できる。
Li5[H5PMo10V2O40]+2Li++2e−→Li5[H5PMo10V2O39]+Li2O・・・・式(2a)
しかし、本発明では、放電反応後の還元型のV−POMRedをICP−AESによって分析すると、Pが1.7質量%、Vが6.4質量%、Moが50質量%であり、放電反応後の還元型のV−POMRedが[H5PMo10V2O40]の組成であること、及び、放電反応後の電解液中にLi2Oの生成が認められないことから、メディエーター還元部において、式(2a)ではなく式(2)の反応が起こっていることがわかる。
Li5[H5PMo10V2O40]+2Li++2e−→Li7[H5PMo10V2O40]・・・・式(2)
ここで、酸化型のV−POMOxが還元型のV−POMRedとなる反応としては、上記式(2)の他に、以下の式(2a)も想定できる。
Li5[H5PMo10V2O40]+2Li++2e−→Li5[H5PMo10V2O39]+Li2O・・・・式(2a)
しかし、本発明では、放電反応後の還元型のV−POMRedをICP−AESによって分析すると、Pが1.7質量%、Vが6.4質量%、Moが50質量%であり、放電反応後の還元型のV−POMRedが[H5PMo10V2O40]の組成であること、及び、放電反応後の電解液中にLi2Oの生成が認められないことから、メディエーター還元部において、式(2a)ではなく式(2)の反応が起こっていることがわかる。
還元型のV−POMRedを含有する電解液は、正極が配置されたメディエーター還元部から流出し循環路を通じてメディエーター酸化部へ流入する。
メディエーター酸化部において、還元型のV−POMRedを含有する電解液に酸化剤供給装置から酸素を含む気体が供給されると、還元型のV−POMRedが以下の式(3)に従い、化学的に酸化される。
Li7[H5PMo10V2O40]+1/2O2→Li5[H5PMo10V2O40]+Li2O・・・・式(3)
Li7[H5PMo10V2O40]+1/2O2→Li5[H5PMo10V2O40]+Li2O・・・・式(3)
メディエーター酸化部で少なくともV−POMRedの一部が酸化されたV−POMOxを含有する電解液は、酸化部から流出し循環路を通して、正極が配置されたメディエーター還元部へ流出する。
前記式(1)から(3)の収支を合わせると、本発明のレドックスフロー電池システムの全反応は式(4)となる。
2Li+1/2O2→Li2O・・・・式(4)
2Li+1/2O2→Li2O・・・・式(4)
従来、非水系電解液中では、酸素を含む気体との気液反応によって還元型メディエーターを酸化することができなかった。そのため、起電力やエネルギー密度は高いが、水系電解液中では使用することのできないLi金属などの負極活物質を使用し充放電可能なレドックスフロー電池を実現することはできなかった。
これに対し、本発明のレドックスフロー電池では、メディエーターとしてV−POMを含有した非水系電解液中に特定の触媒を混合することにより、電気化学反応によりV−POMを還元し、還元されたV−POMを、酸素を含む気体との気液反応によって酸化するサイクルを繰り返し行うことができるので、起電力やエネルギー密度の高いLi金属などのLiイオンの吸放出できる負極活物質を使用した充放電可能なレドックスフロー電池を実現することが可能となった。
本発明により、還元型のV−POMを、酸素を含む気体との気液反応によって酸化できる理由は明らかではないが、図3に示すように前述の特定の触媒(ここでは触媒として酢酸マンガンを使用した例を記載した。)とV−POMの中心金属であるバナジウムとの間に何らかの相互作用があるため、まず酸化型の触媒(Mn3+‐O2 −)を生成する式(5)の素反応が促進され、この酸化型の触媒(Mn3+‐O2 −)が、還元型のV−POMからLiイオンと電子を同時に放出する前記式(3)の酸化過程を協奏的に活性化しているためだと推定される。
Mn2++O2→Mn3+‐O2 −・・・・式(5)
前述したように、この触媒の作用は、V−POMの中心金属であるバナジウムと触媒との間での相互作用により引き起こされるため、全てのバナジウムを含有するポリオキソメタレートに対して有効であると考えられる。
これに対し、本発明のレドックスフロー電池では、メディエーターとしてV−POMを含有した非水系電解液中に特定の触媒を混合することにより、電気化学反応によりV−POMを還元し、還元されたV−POMを、酸素を含む気体との気液反応によって酸化するサイクルを繰り返し行うことができるので、起電力やエネルギー密度の高いLi金属などのLiイオンの吸放出できる負極活物質を使用した充放電可能なレドックスフロー電池を実現することが可能となった。
本発明により、還元型のV−POMを、酸素を含む気体との気液反応によって酸化できる理由は明らかではないが、図3に示すように前述の特定の触媒(ここでは触媒として酢酸マンガンを使用した例を記載した。)とV−POMの中心金属であるバナジウムとの間に何らかの相互作用があるため、まず酸化型の触媒(Mn3+‐O2 −)を生成する式(5)の素反応が促進され、この酸化型の触媒(Mn3+‐O2 −)が、還元型のV−POMからLiイオンと電子を同時に放出する前記式(3)の酸化過程を協奏的に活性化しているためだと推定される。
Mn2++O2→Mn3+‐O2 −・・・・式(5)
前述したように、この触媒の作用は、V−POMの中心金属であるバナジウムと触媒との間での相互作用により引き起こされるため、全てのバナジウムを含有するポリオキソメタレートに対して有効であると考えられる。
なお、本発明のレドックスフロー電池では、酸化部に電極を設置して、電位を印加することにより電気的にV−POMの酸化反応を促進することも可能なので、最もエネルギー効率の高い条件で、V−POMの酸化反応を行うことができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施例においては、メディエーター還元部とメディエーター酸化部を循環路で接続することなく、それぞれを単独で使用することで、メディエーターを還元(放電)及び酸化(再生)できるか検証した。
[製造例]
<バナジウム系ポリオキソメタレート(10−モリブド−2−バナドリン酸[H5PMo10V2O40])の合成>
24.4gのNaVO3を100mLの沸騰水に溶解させた溶液Aを準備した。また、8.9gのNa2HPO4・2水和物を100mLの沸騰水に溶解させた溶液Bを準備した。
溶液Aと溶液Bをすべて混合し、室温まで冷却後、5mLの濃硫酸を添加して溶液Cとした。
ここで、121gのNa2MoO4・2水和物を200mLの水に溶解させた溶液Dを準備した。
溶液Cと溶液Dを混合し、攪拌しながら、85mLの濃硫酸を添加して溶液Eとした。
溶液Eを分液ロートに入れ、200mLのジエチルエーテルを添加して振とうすることにより、[H5PMo10V2O40]を抽出した。この抽出操作を3回繰り返した。
抽出物中のジエチルエーテルを磁器性蒸発皿で蒸発させ、固形分を得た。この固形分を水に溶解させ、[H5PMo10V2O40]の結晶が析出するまで、80℃で水分を蒸発させた。析出した[H5PMo10V2O40]の結晶に、少量の水を加え濾過洗浄を行った。
このように得られた[H5PMo10V2O40]の結晶を粉砕後、60℃で乾燥し、以下の検討に使用した。(以下、実施例においては[H5PMo10V2O40]をV−POMと称することがある。)
<バナジウム系ポリオキソメタレート(10−モリブド−2−バナドリン酸[H5PMo10V2O40])の合成>
24.4gのNaVO3を100mLの沸騰水に溶解させた溶液Aを準備した。また、8.9gのNa2HPO4・2水和物を100mLの沸騰水に溶解させた溶液Bを準備した。
溶液Aと溶液Bをすべて混合し、室温まで冷却後、5mLの濃硫酸を添加して溶液Cとした。
ここで、121gのNa2MoO4・2水和物を200mLの水に溶解させた溶液Dを準備した。
溶液Cと溶液Dを混合し、攪拌しながら、85mLの濃硫酸を添加して溶液Eとした。
溶液Eを分液ロートに入れ、200mLのジエチルエーテルを添加して振とうすることにより、[H5PMo10V2O40]を抽出した。この抽出操作を3回繰り返した。
抽出物中のジエチルエーテルを磁器性蒸発皿で蒸発させ、固形分を得た。この固形分を水に溶解させ、[H5PMo10V2O40]の結晶が析出するまで、80℃で水分を蒸発させた。析出した[H5PMo10V2O40]の結晶に、少量の水を加え濾過洗浄を行った。
このように得られた[H5PMo10V2O40]の結晶を粉砕後、60℃で乾燥し、以下の検討に使用した。(以下、実施例においては[H5PMo10V2O40]をV−POMと称することがある。)
[実施例1]
<放電によるメディエーターの還元>
図1に示したレドックスフロー電池において、負極活物質としてセパレータとの界面面積が1.0cm2のリチウム金属(本荘ケミカル株式会社製)、正極集電体として表面積0.196cm2のグラッシーカーボン(ビー・エー・エス株式会社製)、セパレータ(東レ株式会社製)を使用した構成でメディエーターの還元を行った。
メディエーターを含有する電解液には、有機溶媒としてDMSO(ナカライテスク株式会社)、メディエーターとして製造例で合成した[H5PMo10V2O40]、電解質塩としてトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(和光純薬工業株式会社製)、触媒として酢酸マンガン[Mn(CH3COO)2](和光純薬工業株式会社製)を用いた。
メディエーター含有電解液の各成分の濃度は、[H5PMo10V2O40]が1mol/L、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.1mol/L、酢酸マンガンを0.4mol/Lとなるように調製した。
上記構成で、正極に未使用のメディエーター含有液100mLを10mL/minの流速で循環させて、放電によるメディエーターの還元反応を行った。
<放電によるメディエーターの還元>
図1に示したレドックスフロー電池において、負極活物質としてセパレータとの界面面積が1.0cm2のリチウム金属(本荘ケミカル株式会社製)、正極集電体として表面積0.196cm2のグラッシーカーボン(ビー・エー・エス株式会社製)、セパレータ(東レ株式会社製)を使用した構成でメディエーターの還元を行った。
メディエーターを含有する電解液には、有機溶媒としてDMSO(ナカライテスク株式会社)、メディエーターとして製造例で合成した[H5PMo10V2O40]、電解質塩としてトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(和光純薬工業株式会社製)、触媒として酢酸マンガン[Mn(CH3COO)2](和光純薬工業株式会社製)を用いた。
メディエーター含有電解液の各成分の濃度は、[H5PMo10V2O40]が1mol/L、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムを0.1mol/L、酢酸マンガンを0.4mol/Lとなるように調製した。
上記構成で、正極に未使用のメディエーター含有液100mLを10mL/minの流速で循環させて、放電によるメディエーターの還元反応を行った。
<還元型メディエーターの酸化>
放電によって還元したメディエーター含有電解液20mLを、図1に示す容積50cm3の酸化部(電解液色測定機構12、電解液排出弁13、電気化学充電極14は備えない。)に加えた。酸化剤供給装置からの空気の供給量は10cm3/minとして、酸化部内のメディエーター含有電解液に直径約50μmの気泡を25℃で30分間供給した。
放電によって還元したメディエーター含有電解液20mLを、図1に示す容積50cm3の酸化部(電解液色測定機構12、電解液排出弁13、電気化学充電極14は備えない。)に加えた。酸化剤供給装置からの空気の供給量は10cm3/minとして、酸化部内のメディエーター含有電解液に直径約50μmの気泡を25℃で30分間供給した。
[実施例2]
電解液中の触媒をマンガン(II)アセチルアセトナートとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒をマンガン(II)アセチルアセトナートとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例3]
電解液中の触媒をマンガン(III)アセチルアセトナートとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒をマンガン(III)アセチルアセトナートとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例4]
電解液中の触媒を塩化銅(I)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒を塩化銅(I)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例5]
電解液中の触媒をトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウムとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒をトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウムとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例6]
電解液中の触媒をコバルト(II)ポルフィリンとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒をコバルト(II)ポルフィリンとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例7]
電解液中の触媒を塩化亜鉛としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒を塩化亜鉛としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例8]
電解液中の触媒を塩化鉄(II)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒を塩化鉄(II)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例9]
電解液中の触媒を塩化マンガン(II)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒を塩化マンガン(II)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例10]
電解液中の触媒をバナジルアセチルアセトナートとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒をバナジルアセチルアセトナートとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[実施例11]
電解液中の触媒を酢酸パラジウムとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒を酢酸パラジウムとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[比較例1]
電解液中の触媒を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[比較例2]
電解液中の触媒をピリジンとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒をピリジンとしたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
[比較例3]
電解液中の触媒を塩化コバルト(II)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
電解液中の触媒を塩化コバルト(II)としたこと以外は、実施例1と同様にメディエーターの還元及び酸化を行った。
<触媒性能評価>
電解液中の[H5PMo10V2O40]の酸化還元状態を評価するために、紫外可視吸収測定及び目視による評価を行った。
紫外可視吸収測定による評価では、300〜1000nmの波長で電解液のスペクトルを測定し、657nmを中心とするブロードなピークが確認される場合には、V−POMが還元型であり、657nmを中心とするブロードなピークが確認さない場合には、V−POMが酸化型であることを利用して、評価を行った。
また、目視による評価では、電解液が黄色又は黄緑色の場合にはV−POMが酸化型であり、電解液が青色の場合にはV−POMが還元型であり、電解液が緑色の場合にはV−POMの一部が酸化型であると判断した。
電解液中の[H5PMo10V2O40]の酸化還元状態を評価するために、紫外可視吸収測定及び目視による評価を行った。
紫外可視吸収測定による評価では、300〜1000nmの波長で電解液のスペクトルを測定し、657nmを中心とするブロードなピークが確認される場合には、V−POMが還元型であり、657nmを中心とするブロードなピークが確認さない場合には、V−POMが酸化型であることを利用して、評価を行った。
また、目視による評価では、電解液が黄色又は黄緑色の場合にはV−POMが酸化型であり、電解液が青色の場合にはV−POMが還元型であり、電解液が緑色の場合にはV−POMの一部が酸化型であると判断した。
<電気化学評価>
参照極として銀/硝酸銀(Ag/AgNO3)を、作用極に直径5mmグラッシーカーボン電極、対極に白金メッシュを用いた電解セルを用いてサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。定電流、電極の回転速度を400rpmとし、20mV/secでCV測定した。
まず、グローブボックス中で、製造例で合成した[H5PMo10V2O40]を0.01mol/L、酢酸マンガン(II)を0.001mol/L、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)を1.0mol/Lの濃度でDMSO中に溶解した電解セル中の電解液にアルゴンガスを1時間バブリングした状態で、CV測定を行った。
次に、グローブボックスから電解セルを取り出し前記電解液に空気を1時間バブリングした状態で、CV測定を行った。
さらにアルゴンガスをバブリングした状態、空気をバブリングした状態での測定を繰り返し、3サイクル、合計で6回のCV測定を行った。
参照極として銀/硝酸銀(Ag/AgNO3)を、作用極に直径5mmグラッシーカーボン電極、対極に白金メッシュを用いた電解セルを用いてサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。定電流、電極の回転速度を400rpmとし、20mV/secでCV測定した。
まず、グローブボックス中で、製造例で合成した[H5PMo10V2O40]を0.01mol/L、酢酸マンガン(II)を0.001mol/L、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTFS)を1.0mol/Lの濃度でDMSO中に溶解した電解セル中の電解液にアルゴンガスを1時間バブリングした状態で、CV測定を行った。
次に、グローブボックスから電解セルを取り出し前記電解液に空気を1時間バブリングした状態で、CV測定を行った。
さらにアルゴンガスをバブリングした状態、空気をバブリングした状態での測定を繰り返し、3サイクル、合計で6回のCV測定を行った。
(評価結果)
図4に示すように、作用極に直径5mmグラッシーカーボン電極、対極に白金メッシュ、電解液溶媒にLiTFSを含有するDMSO、触媒に酢酸マンガン(II)、メディエーターとして[H5PMo10V2O40]を使用して実施したCV測定の結果では、酸化型のV−POMを還元することによる還元電流(a)は観測されるが、それを酸化することによる酸化電流(b)はほとんど観測されなかった。
このことから、電気化学的還元反応によって、酸化型のV−POMを還元(放電)することは可能であるが、電気化学的酸化反応によって、以下の想定反応式(6)に従って還元型のV−POMを酸化(再生)することは困難であることが明らかとなった。
Li7[H5PMo10V2O40]→Li5[H5PMo10V2O40]+2Li+2e−・・・・式(6)
よって、以下、化学的酸化反応により、還元型のV−POMを酸化することを試みた。
図4に示すように、作用極に直径5mmグラッシーカーボン電極、対極に白金メッシュ、電解液溶媒にLiTFSを含有するDMSO、触媒に酢酸マンガン(II)、メディエーターとして[H5PMo10V2O40]を使用して実施したCV測定の結果では、酸化型のV−POMを還元することによる還元電流(a)は観測されるが、それを酸化することによる酸化電流(b)はほとんど観測されなかった。
このことから、電気化学的還元反応によって、酸化型のV−POMを還元(放電)することは可能であるが、電気化学的酸化反応によって、以下の想定反応式(6)に従って還元型のV−POMを酸化(再生)することは困難であることが明らかとなった。
Li7[H5PMo10V2O40]→Li5[H5PMo10V2O40]+2Li+2e−・・・・式(6)
よって、以下、化学的酸化反応により、還元型のV−POMを酸化することを試みた。
図5に実施例1において、未使用(a)、放電後(b)及び空気酸化後(c)の各状態におけるV−POM含有電解液の紫外可視吸収測定によるスペクトルを示す。未使用(酸化型)のV−POM含有電解液は、600nm以上の波長域が平坦なスペクトル(a)を示すが、放電反応により還元部にて前記式(2)によってV−POMが還元されると、657nmを中心とするブロードなピークを有するスペクトル(b)に変化した。また、還元型のV−POMは酸化部にて前記式(3)によって酸化されると、657nmを中心とするブロードなピークは小さくなり、600nm以上の波長域が比較的平坦なスペクトル(c)に変化した。
よって、放電によりV−POMを酸化すること、触媒として酢酸マンガンを使用することにより、DMSO中でも酸化剤として空気を用いて化学的にV−POMを酸化できることが明らかとなった。
よって、放電によりV−POMを酸化すること、触媒として酢酸マンガンを使用することにより、DMSO中でも酸化剤として空気を用いて化学的にV−POMを酸化できることが明らかとなった。
ここで、放電後のV−POM含有電解液に放電生成物としてLi2Oの生成は認められなかったが、空気酸化後のV−POM含有電解液に充電生成物としてLi2Oの生成が認められた。
なお、この紫外可視吸光スペクトルの変化は、V−POM含有電解液を目視することでも定性的に判別可能であった。未使用の酸化型V−POMは黄色、放電反応後の還元型V−POMは青色、空気酸化後の酸化型V−POMの場合は黄色、黄緑色、緑色を呈した。
なお、この紫外可視吸光スペクトルの変化は、V−POM含有電解液を目視することでも定性的に判別可能であった。未使用の酸化型V−POMは黄色、放電反応後の還元型V−POMは青色、空気酸化後の酸化型V−POMの場合は黄色、黄緑色、緑色を呈した。
表1に、還元型V−POMの空気酸化における触媒性能の目視による評価結果をまとめた。
また、酸化反応の触媒として、ピリジンを使用した比較例2及び塩化コバルト(II)を使用した比較例3でも、空気酸化後も電解液は青色のままで酸化反応は進行しなかった。
これに対して、触媒として、酢酸マンガンを使用した実施例1、マンガン(II)アセチルアセトナートを使用した実施例2、マンガン(III)アセチルアセトナートを使用した実施例3、塩化銅(I)を使用した実施例4、及び、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウムを使用した実施例5においては、バブリング後に電解液は黄色又は黄緑色を呈し、化学的にV−POMを酸化できることが明らかとなった。
また、触媒として、コバルト(II)ポルフィリンを使用した実施例6、塩化亜鉛を使用した実施例7、塩化鉄(II)を使用した実施例8、塩化マンガン(II)を使用した実施例9、バナジルアセチルアセトナートを使用した実施例10、及び、酢酸パラジウムを使用した実施例11においては、バブリング後に電解液は緑色を呈し、実施例1〜5で使用した触媒より若干反応の進行は遅いものの、化学的にV−POMを酸化できることが明らかとなった。
以上の結果より、本発明により、非水系電解液を用いる場合であっても放電で還元されたメディエーター(V−POM)を、酸素を含む気体により化学的に酸化する事ができる充放電可能なレドックスフロー電池を提供できることが明らかとなった。
1 負極、2 正極、3 セパレータ、4 循環路、5 循環装置、6 酸化剤供給装置、7 メディエーター還元部、8 メディエーター酸化部、9 電解液収容部、10 温調機、11 析出物回収材、12 電解液色測定機構、13 電解液排出弁、14 電気化学充電極、100 本発明のレドックスフロー電池
Claims (1)
- メディエーターを正極側で反応させるレドックスフロー電池であって、
Liイオンの吸放出ができる負極、
正極、
前記負極と前記正極の間に配置され、Liイオンを通過できるセパレータ、
メディエーターを含有する電解液が循環する循環路、
前記循環路内に前記電解液を循環させる循環装置、
前記循環路内に酸化剤である酸素を含む気体を供給する酸化剤供給装置、
を備え、
前記循環路は、
前記正極が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター還元部、及び、
前記酸化剤供給装置が配置され、前記電解液で満たされたメディエーター酸化部、
を有し、
前記負極は前記循環路からセパレータによって隔離され、
前記電解液は、触媒、有機溶媒、及びメディエーターを含有する非水系電解液であり、
前記メディエーターは、バナジウムを含有するポリオキソメタレートであり、
前記触媒は、酢酸マンガン、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート、塩化銅(I)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、コバルト(II)ポルフィリン、塩化亜鉛、塩化鉄(II)、塩化マンガン(II)、バナジルアセチルアセトナート、酢酸パラジウムからなる群より選択されること、を特徴とする、レドックスフロー電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015147220A JP2017027868A (ja) | 2015-07-24 | 2015-07-24 | レドックスフロー電池 |
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Publication Number | Publication Date |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN112534629A (zh) * | 2018-08-06 | 2021-03-19 | 藤仓复合材料科技株式会社 | 金属空气电池及其使用方法 |
WO2021229855A1 (ja) * | 2020-05-15 | 2021-11-18 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | レドックスフロー電池 |
CN114730902A (zh) * | 2019-09-17 | 2022-07-08 | 路博润公司 | 具有2,5-二巯基-1,3,4-噻二唑(“dmtd”)和其衍生物的氧化还原液流电池电解质 |
CN116207313A (zh) * | 2023-05-06 | 2023-06-02 | 苏州擎动动力科技有限公司 | 自增湿膜电极及其制备方法 |
-
2015
- 2015-07-24 JP JP2015147220A patent/JP2017027868A/ja active Pending
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