JP2017027847A - 電力貯蔵デバイス - Google Patents

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Kenro Mitsuta
憲朗 光田
博人 西口
Hiroto Nishiguchi
博人 西口
貴仁 井田
Takahito Ida
貴仁 井田
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Abstract

【課題】水素ガスを利用することにより、固体活物質の充電可能域を超えた領域でも電力を貯蔵できるように構成された電力貯蔵デバイスにおいて、負極板の損傷および劣化を抑制する。【解決手段】負極板100は、セパレータ300と対向しない側に第1主面101を有する。第1主面101に沿って延びるガス流路120と、ガス流路120との間で、水素ガスを送受できるように構成された水素貯蔵タンク141とが設けられている。正極板200は、セパレータ300と対向しない側に第2主面201を有する。第2主面201に沿って延びる液体流路220と、液体流路220との間で、液体を送受できるように構成された第1液体タンク241および第2液体タンク242とが設けられている。第1主面101の少なくとも一部には、撥水性部位105が形成されている。撥水性部位105は、ガス流路120の少なくとも一部を構成する。【選択図】図1

Description

この発明は、電力貯蔵デバイスに関する。
特開2010−15783号公報(特許文献1)には、いわゆるニッケル水素二次電池の基本構成に、水素ガスを貯蔵する水素貯蔵室と、酸素ガスを貯蔵する酸素貯蔵室とを付加した電力貯蔵デバイスが開示されている。
特開2010−15783号公報(段落0027、図3)
ニッケル水素二次電池では、負極活物質に水素吸蔵合金を使用し、正極活物質に水酸化ニッケルを使用する。水素吸蔵合金は、充電時に水素を吸蔵し、放電時に水素を放出する。民生用の密閉型ニッケル水素二次電池を満充電にした後、さらに充電する(すなわち過充電する)と、正極板において水の電気分解が起こり、酸素ガスが発生する。発生した酸素ガスは、負極板へと移動し、水素吸蔵合金内の水素(プロトン)と結合して水を生成する。このため負極板における水の電気分解、すなわち水素ガスの発生が抑制される。
このように密閉型ニッケル水素二次電池では、酸素ガスを負極板で消費させ、水素ガスを発生させないことにより、圧力の上昇を抑制し、密閉構造を保つ工夫がなされている。しかしその一方で、水の生成反応が発熱反応であるため、過充電分の電気エネルギーは、熱として失われることになる。
特許文献1では、過充電時に水を生成させず、負極板から発生する水素ガスと、正極板から発生する酸素ガスとをそれぞれ貯蔵する構成が開示されている。この構成によれば、貯蔵された水素ガスおよび酸素ガスは、放電時に電気エネルギーに変換して再利用できるとされている。
しかしながら、本発明者の検討によると、次の点に改善の余地がある。
第1に、負極板の内部で水素ガスが発生する場合がある。これにより負極板が膨張、変形し、負極板が損傷する可能性がある。負極板が損傷すると、電力貯蔵デバイスの耐久性が低下する。また負極板の膨張、変形を考慮すると、電極板の大面積化が困難である。
第2に、正極板で発生した酸素ガスは少なからず、負極板へと移動する。民生用の密閉型ニッケル水素二次電池では、正極板で発生した酸素ガスを負極板で速やかに消費させるために、負極板に余分な容量(充電リザーブ)を設けている。しかし特許文献1の構成では、負極板が過充電状態(すなわち充電リザーブが無い状態)となっているため、酸素ガスは水となって消費されず、水素吸蔵合金と反応する可能性がある。これにより水素吸蔵合金が酸化され、劣化が促進される可能性がある。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたものである。すなわち、この発明の目的は、水素ガスを利用することにより、固体活物質の充電可能域を超えた領域でも電力を貯蔵できるように構成された電力貯蔵デバイスにおいて、負極板の損傷および劣化を抑制することである。
この発明に係る電力貯蔵デバイスは、水素吸蔵合金を含有する負極板と、水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれかを含有する正極板と、該負極板と該正極板との間に介在し、アルカリ電解液を保持するセパレータとを含む、単位セルを備える。負極板は、セパレータと対向しない側に第1主面を有する。正極板は、セパレータと対向しない側に第2主面を有する。
さらに、電力貯蔵デバイスは、第1主面に沿って延びるガス流路と、該ガス流路との間で、水素ガスを送受できるように構成された水素貯蔵タンクと、第2主面に沿って延びる液体流路と、該液体流路との間で、液体を送受できるように構成された第1液体タンクおよび第2液体タンクと、を備える。
第1主面の少なくとも一部には、撥水性部位が形成されている。撥水性部位は、ガス流路の少なくとも一部を構成する。
この発明において、負極板の第1主面に形成された撥水性部位は、アルカリ電解液をはじき、アルカリ電解液に濡れ難い部位である。このため撥水性部位では、固相(負極板)、液相(アルカリ電解液)および気相(水素ガス)からなる三相界面が形成される。三相界面では、水の電気分解すなわち水素ガスの発生が促進される。よって、三相界面以外の部分(たとえば負極板の内部)では、水素ガスの発生が抑制されることになる。さらに撥水性部位は、ガス流路の少なくとも一部を構成している。したがって発生した水素ガスは速やかに負極板から取り除かれ、水素貯蔵タンクへと送られる。これにより、水素ガスの発生に伴う負極板の損傷が抑制される。
また、この発明では、正極板の第2主面に液体流路が形成されている。液体流路に、正極活物質粒子を含む懸濁液を流通させることにより、正極板が過充電となることを抑制できる。これにより、正極板が過充電となり、酸素ガスが発生することに伴う、負極板の劣化が抑制される。
実施の形態1の充電動作を示す概略概念図である。 実施の形態1の放電動作を示す概略概念図である。 ガス流路の第1例を示す概略断面図である。 ガス流路の第2例を示す概略断面図である。 溝状の流路の形成方法を図解する概略図である。 溝状の流路の断面形状の第1変形例を示す概略断面図である。 溝状の流路の断面形状の第2変形例を示す概略断面図である。 溝状の流路の断面形状の第3変形例を示す概略断面図である。 ガス流路の平面形状の第1例を示す概略図である。 ガス流路の平面形状の第2例を示す概略図である。 ガス流路の平面形状の第3例を示す概略図である。 実施の形態2の充電動作を示す概略概念図である。 実施の形態2の放電動作を示す概略概念図である。 実施の形態3の構成と水素ガスの流れとを示す概略概念図である。 実施の形態3の構成と正極液体の流れとを示す概略概念図である。 バイポーラ板を負極板側から見た場合の概略図である。 バイポーラ板を正極板側から見た場合の概略図である。 実施の形態4の構成と水素ガスの流れとを示す概略概念図である。
以下、この発明の実施の形態を説明する。ただし、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。以下では、適宜図面を参照しながら、実施の形態を説明する。本明細書では、同一または対応する要素に同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。また「第1液体タンク」等の序数を含む用語において、序数はある構成を他の構成から区別する目的でのみ使用され、それ以上に限定的な意味を有しない。
<実施の形態1>
(基本構成)
図1は、この発明の実施の形態1を示す概略概念図である。図1に示す電力貯蔵デバイス1001は、負極板100と、正極板200と、負極板100と正極板200との間に介在するセパレータ300とを含む、単位セル400を備える。
負極板100は、負極活物質である水素吸蔵合金を含有する。正極板200は、正極活物質である水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれかを含有する。水酸化ニッケル(Ni(OH)2)は放電状態の正極活物質であり、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)は充電状態の正極活物質である。セパレータ300は、アルカリ電解液を保持する。アルカリ電解液は水を含有する。
負極板100は、セパレータ300と対向しない側に第1主面101を有する。第1主面101の少なくとも一部には、撥水性部位105が形成されている。負極側端板110は、第1主面101側に配置されている。負極側端板110には、第1主面101に沿って延びる第1溝1が形成されている。第1溝1および撥水性部位105は、ガス流路120を構成している。ガス流路120は、ガス配管131を経由して、第1水素貯蔵タンク141に接続されている。第1水素貯蔵タンク141は、ガス流路120との間で水素ガスを送受できるように構成されている。第1水素貯蔵タンク141は、容量可変型のタンクである。第1水素貯蔵タンク141は、たとえば蛇腹構造を有する。
正極板200は、セパレータ300と対向しない側に第2主面201を有する。正極側端板210は、第2主面201側に配置されている。正極側端板210には、第2主面201に沿って延びる溝状の液体流路220が形成されている。
液体流路220は、第1液体配管231を経由して、第1液体タンク241に接続されている。第1液体配管231において、液体流路220と第1液体タンク241との間には、第1液送ポンプ251が配置されている。第1液体タンク241は、正極充電液貯蔵タンクと呼んでもよい。すなわち第1液体タンク241には、充電状態の正極活物質(オキシ水酸化ニッケル)粒子を含む懸濁液が貯蔵される。以下、正極活物質粒子を含む懸濁液を「正極液体」とも記す。
また液体流路220は、第2液体配管232を経由して、第2液体タンク242に接続されている。第2液体配管232において、液体流路220と第2液体タンク242との間には、第2液送ポンプ252が配置されている。第2液体タンク242は、正極放電液貯蔵タンクと呼んでもよい。すなわち第2液体タンク242には、放電状態の正極液体が貯蔵されている。放電状態の正極液体とは、放電状態の正極活物質(水酸化ニッケル)粒子を含む懸濁液である。
(充電動作)
次に電力貯蔵デバイス1001の動作を説明する。
先ず充電動作を説明する。図1は、電力貯蔵デバイスが充電によって、放電状態から充電状態に遷移する過程を示している。図1および後述の図2において、矢印FGは水素ガスの流れを示し、矢印FLは正極液体の流れを示している。
負極板100における充放電反応を下記式(1)および(2)に示す。下記式(1)および(2)において、左辺から右辺に向かう反応が充電反応であり、逆に右辺から左辺に向かう反応が放電反応である。
(放電) M+H2O+e-←→MH+OH- (充電) (1)
(放電) 2H2O+2e-←→H2+2OH- (充電) (2)
上記式(1)中、「M」は水素吸蔵合金を示し、「MH」はプロトン(H+)を吸収した水素吸蔵合金を示す。充電時、負極板100では上記式(1)に示すように、水素吸蔵合金(M)にプロトン(H+)と電子(e-)が取り込まれて、水酸化物イオン(OH-)が放出される。第1主面101の撥水性部位105では、上記式(2)の反応が優先して生起し、水素ガス(H2)が発生する。撥水性部位105において、三相界面が形成されるためである。
負極板が撥水性部位を有しない場合、負極板の内部、あるいはセパレータと対向する側からも水素ガスが発生することになる。負極板の内部で水素ガスが発生すると、負極板が膨張、変形し、負極板が損傷する可能性がある。またセパレータと対向する側で水素ガスが発生すると、電極反応が妨げられ、充放電効率が低下する可能性がある。実施の形態1では、これらの現象を抑制できるため、たとえば電力貯蔵デバイスの耐久性の向上が期待できる。また電極板の大面積化も可能となる。
撥水性部位105は、ガス流路120の一部を構成している。発生した水素ガスは、ガス流路120およびガス配管131を経由して、速やかに第1水素貯蔵タンク141に送られる。
発生した水素ガスの一部は、放電状態の水素吸蔵合金に吸収される場合もある。水素ガスの発生量が増加すると、ガス配管131内の圧力が上昇する。実施の形態1では、第1水素貯蔵タンク141が蛇腹構造を有する容量可変型のタンクである。第1水素貯蔵タンク141は、蛇腹構造を拡張させることにより、圧力の上昇を緩和する。
正極板200における充放電反応を下記式(3)および(4)に示す。下記式(3)および(4)において、左辺から右辺に向かう反応が充電反応であり、逆に右辺から左辺に向かう反応が放電反応である。
(放電) Ni(OH)2+OH-←→NiOOH+H2O+e- (充電) (3)
(放電) 4OH-←→O2+2H2O+4e- (充電) (4)
充電時、正極板200では上記式(3)に示すように、水酸化ニッケル(放電状態)がオキシ水酸化ニッケル(充電状態)に変化し、電子が放出され、水が生成される。正極板200における充電反応が進行し、水酸化ニッケルが減少すると、上記式(4)に示すように、酸素ガスが発生することになる。しかし実施の形態1では、第2主面201に形成された液体流路220に、正極液体を流通させることにより、酸素ガスの発生を抑制できる。
すなわち実施の形態1では、第1液送ポンプ251と第2液送ポンプ252とが連動して、第2液体タンク242に貯蔵される放電状態の正極液体が、第2液体配管232を経由して液体流路220に送られる。液体流路220において、正極液体に含まれる水酸化ニッケル粒子が、正極板200と接触する。これにより正極板200における水酸化ニッケルの減少が補填され、充電反応が継続することになる。したがって、上記式(4)に示す酸素ガスの発生反応が抑制される。上記式(3)に示すように、正極液体は充電状態となり、第1液体配管231を経由して第1液体タンク241に送られる。
液体流路への正極液体の供給は、目的とする充電量よりも多少余分に行うとよい。正極液体に含まれる水酸化ニッケル粒子の中には、正極板と接触できず、放電状態のまま液体流路220を通過するものもあるためである。第1液体タンク241は、攪拌装置を備えていてもよい。これにより正極活物質粒子の沈降を抑制できる。
負極側における水素ガスの発生反応は、大きな過電圧を必要とせず、効率的な反応である。その一方、正極側における酸素ガスの発生反応は、大きな過電圧を必要とする。したがって特許文献1のように、充放電動作に酸素ガスの発生および還元を伴う、電力貯蔵デバイスでは、高い充放電効率が得られない可能性がある。前述のように実施の形態1では、酸素ガスの発生を抑制できるため、電力貯蔵デバイスにおいて、充放電効率の向上も期待できる。
(放電動作)
図2は、電力貯蔵デバイスが放電によって、充電状態から放電状態に遷移する過程を示している。
上記式(1)に示すように、負極板100における放電反応では、水素吸蔵合金に含まれる水素がプロトンと電子となって放出される。
通常、上記式(2)の放電反応(右辺から左辺に向かう反応)は生起し難い。三相界面が存在しないためである。しかし実施の形態1では、第1主面101に撥水性部位105が形成されている。前述のように撥水性部位105では、三相界面が形成される。これにより、上記式(2)の放電反応が生起し、ガス流路120内の水素ガスが消費される。水素ガスの消費に伴い、ガス流路120およびガス配管131内の圧力が減少すると、容量可変型の第1水素貯蔵タンク141が、圧力の減少を補填するために、蛇腹構造を収縮させる。これにより第1水素貯蔵タンク141からガス配管131およびガス流路120へと水素ガスが供給される。
このように容量可変型の第1水素貯蔵タンク141を備える実施の形態1によれば、第1水素貯蔵タンク141内の圧力のみならず、ガス配管131およびガス流路120内の圧力もその変動幅を小さくできる。したがって実施の形態1によれば、耐圧構造を簡素化できる可能性がある。
上記式(3)に示すように、正極板200における放電反応では、オキシ水酸化ニッケルが還元されて、水酸化ニッケルが生成される。
また第1液送ポンプ251と第2液送ポンプ252とが連動して、第1液体タンク241に貯蔵される充電状態の正極液体が、第1液体配管231を経由して液体流路220に送られる。液体流路220において、正極液体に含まれるオキシ水酸化ニッケル粒子が、正極板200と接触する。これにより正極板200におけるオキシ水酸化ニッケルの減少が補填され、放電反応が継続する。このため、正極板200が過放電となることが抑制される。
充電時と同様に、液体流路への正極液体の供給は、目的とする放電量よりも多少余分に行うとよい。正極液体に含まれるオキシ水酸化ニッケル粒子の中には、正極板と接触できず、充電状態のまま液体流路220を通過するものもあるためである。第2液体タンク242は、攪拌装置を備えていてもよい。これにより正極活物質粒子の沈降を抑制できる。
なお電力貯蔵デバイス1001は、正極液体が無い状態でも動作可能である。この場合でも、水素ガスの発生に伴う負極板の損傷は抑制される。電力貯蔵デバイスでは、定期的に正極液体をフレッシュなものと入れ替える等の運用を行ってもよい。デバイスの運転開始時、第1液体タンクおよび第2液体タンクの双方に正極液体が貯蔵されていてもよいし、片方のみに正極液体が貯蔵されていてもよい。ただし、充電側また放電側のどちらからでも運転が開始できるように、第1液体タンクおよび第2液体タンクには、それぞれある程度の量の正極液体が貯蔵されていることが望ましい。
(各部の構成)
以下、電力貯蔵デバイスの各部の構成について説明する。これらの構成は後述の実施の形態2以降にも適用可能である。
(負極板)
負極板は、水素吸蔵合金を含有する。水素吸蔵合金は、水素の吸蔵が可能である限り、合金組成は限定されない。水素吸蔵合金は、たとえば、Mm−Ni−Co−Mn−Al系合金(「Mm」はミッシュメタルと称される希土類元素の混合物を示す)、Mm−Mg−Ni−Al系合金(「コバルトフリー合金」とも称される)、MmNi5、LaNi5等が挙げられる。負極板は2種以上の水素吸蔵合金を含有していてもよい。負極板は、たとえば水素吸蔵合金の成形体としてもよい。水素吸蔵合金の成形体は、民生用のニッケル水素二次電池でも採用されている。
(撥水性部位)
負極板の第1主面には、撥水性部位が形成されている。撥水性部位では、液体がはじかれることにより、固体、液体および気体からなる三相界面が形成される。三相界面では、水素ガスの酸化還元反応が促進される。
撥水性部位は、水をはじく性質を示す限り、その構成は特に限定されない。撥水性部位は、たとえば撥水性の被膜を含んでいてもよい。撥水性の被膜は、たとえばフッ素樹脂を含有する被膜であってもよい。フッ素樹脂を含有する被膜によれば、たとえばガス流路にアルカリ電解液が侵入することを抑制する効果も期待できる。
フッ素樹脂を含有する被膜は、たとえば次のようにして形成できる。先ず乳化重合により、フッ素樹脂粒子が懸濁した懸濁液を調製する。懸濁液を撥水性部位となるべき部分に塗布し、乾燥させる。塗膜をフッ素樹脂の溶融温度以上の温度で熱処理する。これにより、フッ素樹脂を含有する被膜を形成できる。ここでフッ素樹脂とは、分子内にフッ素原子を含有する樹脂を示している。フッ素樹脂としては、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等でよい。フッ素樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。すなわち、フッ素樹脂は、PTFE、FEP、PFAおよびETFEのうち少なくとも1種でもよい。熱処理温度は、たとえばPTFEの場合、300℃以上である。
撥水性部位は、水素ガスの酸化還元反応を促進する触媒を含有していてもよい。そうした触媒としては、たとえば白金(Pt)、パラジウム(Pd)等が挙げられる。水素ガスの酸化還元反応が促進されることにより、たとえば充放電効率の向上が期待できる。
撥水性部位に触媒を含有させる方法としては、前述の被膜に触媒を含有させる方法が考えられる。すなわち、フッ素樹脂を含有する被膜は、水素ガスの酸化還元反応を促進する触媒を含有していてもよい。たとえば、次のようにして被膜に触媒を含有させることができる。先ず、触媒の担持体として、アセチレンブラック、ファーネスブラック等の多孔質粒子を準備する。担持体の平均粒子径は、たとえば20〜150nm程度でもよい。次いで担持体よりも粒径が小さい触媒粒子を準備する。触媒粒子(Pt)等の平均粒子径は、たとえば1〜10nm程度でもよい。これらを、たとえば液中で接触させることにより、アセチレンブラック等の担持体と、白金等の被担持体とを含む複合粒子を形成する。複合粒子を、前述のフッ素樹脂粒子を懸濁した懸濁液に混合する。その後、前述のように塗布、乾燥および熱処理を行うことにより、フッ素樹脂および触媒を含有する被膜を形成することができる。担持体および触媒粒子の平均粒子径は、たとえばレーザ回折・散乱法、動的光散乱法等によって測定できる。
撥水性部位は、アルカリ電解液に対する接触角が高い部位を含んでいてもよい。たとえば、第1主面において撥水性部位となるべき部位を熱処理することにより、接触角が高い部位を形成することができる。
(ガス流路)
ガス流路は、第1主面に沿って延びる。ガス流路の少なくとも一部には、前述の撥水性部位が含まれる。ガス流路は、たとえば第1主面すなわち負極板に形成された溝状の流路であってもよいし、負極側端板に設けられた溝状の流路であってもよい。あるいは、ガス流路は、単純に第1主面と負極側端板との間に形成された隙間であってもよい。この場合、第1主面の全体が撥水性部位であってもよい。
図3は、ガス流路の第1例を示す概略断面図である。図3では、水素ガスの発生反応(充電反応)が模式的に示されている。図3では、負極側端板110に第1溝1が形成されており、第1主面101は平坦である。第1溝1と撥水性部位105とが、ガス流路120を構成している。すなわち、撥水性部位105はガス流路120の少なくとも一部を構成している。この構成によれば、充電時に撥水性部位105から速やかに水素ガスを取り除き、かつ放電時に撥水性部位105に水素ガスを効率的に供給できる。
図4は、ガス流路の第2例を示す概略断面図である。図4では、負極板100に第2溝2が形成されており、負極側端板110は平坦である。この例では、第2溝2と負極側端板110とが、ガス流路120を構成している。第2溝2の側壁は、撥水性部位105から構成される。すなわち撥水性部位105は、ガス流路120の少なくとも一部を構成している。この例では、負極板100の内部からも水素ガスを発生させ、かつ当該内部に水素ガスを供給することができる。さらにこの例によれば、撥水性部位の面積を大きくできるという利点もある。したがってこの例によれば、充放電効率の向上が期待できる。
溝の深さは特に限定されない。負極板に溝を形成する場合、溝の深さは、たとえば負極板の厚さに対して、5〜50%程度としてもよいし、10〜40%程度としてもよい。負極板の厚さは、たとえば0.1〜10mm程度としてもよい。
第1主面に溝状の流路を設ける方法としては、たとえばプレス成形を挙げることができる。図5は、溝状の流路の形成方法を図解する概略図である。負極板100は、基材90と負極活物質層91とを含む。基材90は、たとえば金属メッシュから構成される。金属メッシュは、たとえばニッケル製であってよい。負極活物質層91は、負極活物質である水素吸蔵合金粒子を含有する。負極活物質層91は、たとえば、水素吸蔵合金粒子を含有するペーストを調製し、該ペーストを基材90に塗布、含浸させた後、乾燥させることにより、形成される。
成形装置は、上型31と下型32とを有する。下型32には、突起部33が設けられている。上型31と下型32との間に、負極板100を配置し、プレスする。これにより、突起部33の外形に沿って、負極板100に溝状の流路が形成される。プレス成形は加熱しながら行ってもよい。撥水性部位の形成は、溝の形成前であってもよいし、溝の形成後であってもよい。
溝の断面形状は、図4に示すU字状に限定されない。溝の断面形状は、たとえば図6に示す第3溝3のようにV字状であってもよい。溝の断面形状は、たとえば図7に示す第4溝4のように台形状であってもよい。溝の断面形状は、たとえば図8に示す第5溝5のように矩形状であってもよい。図4に示す第2溝2のように、溝の断面形状をU字状とすることで、たとえばプレス成形により負極板に溝を形成した際、基材の損傷あるいは負極活物質層の脱落等を抑制できると考えられる。溝の断面形状において、開口部の幅は、たとえば0.1〜10mm程度である。
次にガス流路の平面形状を説明する。ガス流路の平面形状は、後述の液体流路にも適用され得る。図9は、流路の平面形状の第1例を示す概略図である。図9に示す第1流路121は、いわゆるサーペンタイン流路である。すなわち第1例によれば、ガス流路は第1主面に沿ってサーペンタイン状に延びる流路である。「サーペンタイン」とは、蛇に因んだ呼称である。サーペンタイン流路は、たとえば固体高分子形燃料電池等のガスセパレータにも利用されている。サーペンタイン流路では、流体(水素ガスまたは正極液体)の流速を高めることができる。さらに流体が平面内を複数回に亘って行き来するため、流体と電極板(負極板または正極板)との接触効率を高められる。したがって、ガス流路にサーペンタイン流路を採用することにより、電力貯蔵デバイスにおいて、たとえば負荷特性の向上、充放電効率の向上等が期待できる。
図10は、ガス流路の平面形状の第2例を示す概略図である。図10示す第2流路122は、複数のサーペンタイン流路を複合した流路である。この流路パターンでは、1本のサーペンタイン流路と同様に、流体の流速を高め、かつ流体と電極板との接触効率を高める効果が期待できる。またサーペンタイン流路を複数とすることにより、流量の増加および圧力損失の低減が期待できる。さらに1本のサーペンタイン流路において、たとえば目詰まり等が発生しても、残りのサーペンタイン流路により充放電を継続することができる。また大面積化にも適した形状といえる。
図11は、ガス流路の平面形状の第3例を示す概略図である。図11に示す第3流路123は、ストレート流路からなる流路である。この流路パターンでは、サーペンタイン流路に比し、圧力損失を小さくできる。よって、この流路パターンは、大面積化に特に好適な形状といえる。
上記第1流路〜第3流路はあくまで例示である。流路形状は、たとえば第1流路と第3流路とを組み合わせた形状としてもよいし、第1流路〜第3流路と類似の形状としてもよい。
この実施の形態では、電極板および流路の面積として、たとえば10000mm2以上(たとえば150mm×120mm程度)を想定している。電極板および流路の面積は、たとえば前述したサーペンタイン流路、ストレート流路等において、流路本数を増やす等の態様により、500000mm2以上(たとえば1000mm×800mm程度)とすることも可能である。
(ガス配管)
ガス配管は、たとえば金属製の配管である。配管の材料には、銅、ステンレス等を用いることができる。これらの金属材料は、水素ガスバリア性が高く、水素ガスの漏えいを抑制できる。また、たとえば金属薄膜等によるガスバリア加工が施されていれば、ガス配管は、カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)等から構成することも可能である。
(水素貯蔵タンク)
容量可変型の水素貯蔵タンクは、たとえば蛇腹構造を有する金属製の容器である。一定の水素ガスバリア性があれば、容器は樹脂製あるいはゴム製としてもよい。樹脂製の容器等において、水素ガスバリア性を高める方法としては、金属薄膜によるライニングを施すこと等が考えられる。容器は、たとえば金属と樹脂との複合材としてもよい。水素貯蔵タンクは、たとえば風船のようなものでもよい。後述の実施の形態2で示すように、水素貯蔵タンクは圧力可変型としてもよい。
(正極板)
正極板は、水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれかを含有する。前述のように水酸化ニッケルが放電状態の正極活物質であり、オキシ水酸化ニッケルが充電状態の正極活物質である。これらの正極活物質は、必須構成元素であるニッケル、酸素および水素以外に、たとえばコバルト(Co)等を含有していてもよい。
正極板には、民生用のニッケル水素二次電池における正極板の構成を適用してもよい。その場合、正極板は、焼結式でもよいし、非焼結式でもよい。焼結式の正極板は、たとえば次のようにして作製される。先ず、ニッケルメッキが施されたパンチングメタルの両主面に、ニッケル粒子を含有するペーストを塗着し、1000℃程度で焼結する。これにより焼結板を得る。焼結板にニッケル塩溶液を含浸する。含浸後、焼結板をアルカリ水溶液に浸漬する。ニッケル塩溶液の含浸と、アルカリ水溶液への浸漬とを繰り返すことにより、焼結板に水酸化ニッケルを担持させ、正極板とすることができる。
非焼結式の正極板は、ニッケル製の多孔質基材に、水酸化ニッケル粒子を含有するペーストを含浸させ、さらに乾燥、圧延を行うことにより、作製される。多孔質基材には、たとえば発泡ニッケル、マット状のニッケル繊維等が用いられる。
(正極液体)
正極液体は、水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれかを含有する正極活物質粒子を含む懸濁液である。正極液体はゲル状であってもよい。正極液体の液体成分は、アルカリ水溶液でよい。
正極活物質粒子には、たとえば、焼結した水酸化ニッケル粒子を粉砕した粒子、あるいは非焼結式の正極板を粉砕した粒子等を用いることができる。正極板との接触効率、正極液体中での流動性を考慮すると、正極活物質粒子の粒子形状は、球形状が望ましい。よって、たとえば粉砕後の粒子に球形化処理を施してもよい。球形化処理は、たとえばボールミル等を用いて行うことができる。正極活物質粒子は、たとえば水酸化コバルト、水酸化マンガン等を含有していてもよい。
正極活物質粒子の粒径は、0.1μm以上1mm以下程度が望ましい。粒径を0.1μm以上とすることにより、正極板と正極活物質粒子との接触効率が向上し、電子の受け渡しが容易となる。粒径を1mm以下とすることにより、たとえば正極活物質粒子が液体流路内で凝集して目詰まりを起こす等の不具合が抑制される。ただし、液体流路の断面積を大きくした場合にはこの限りでない。
正極液体は、増粘成分を含有していてもよい。正極活物質粒子の分散状態を安定化させるためである。増粘成分は、耐アルカリ性であることが望ましい。耐アルカリ性の増粘成分としては、たとえばポリ−N−ビニルアセトアミド(PNVA)、ポリオレフィン綿状繊維等が挙げられる。
正極液体は、チクソトロピー性流体であることが望ましい。正極液体のチクソトロピー性を高める方法としては、たとえば、正極液体に炭素粉末を混合すること等が考えられる。
(液体流路)
液体流路は、第2主面に沿って延びる。液体流路は、正極板の第2主面に形成された溝状の流路であってもよい。正極板に溝状の流路を形成する場合、負極板と同様に、プレス成形を行ってもよい。
液体流路は、正極側端板等に設けられた溝状の流路であってもよい。すなわち液体流路は、正極板と対向する部材の表面に形成された溝状の流路であってもよい。正極板と対向する部材としては、正極側端板の他、後述するバイポーラ板、正極両面流路板等が挙げられる。
液体流路の流路パターンには、ガス流路と同様の構成を採用できる。液体流路は、たとえばサーペンタイン状に延びる流路であってもよい。
(負極側端板および正極側端板)
負極側端板および正極側端板には、カーボン板、CFRP板、耐アルカリ性を示す金属板(たとえばステンレス板)等を用いることができる。前述のように負極側端板および正極側端板は、溝状の流路を有する場合もある。溝状の流路は、プレス成形、切削加工等により形成することができる。
(第1液体配管および第2液体配管)
第1液体配管および第2液体配管は、耐アルカリ性を示す材料から構成されることが望ましい。液体配管は、たとえば塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、フッ素ゴムおよびステンレス等の材料から構成されていてもよい。ここでフッ素ゴムとは、分子内にフッ素を含有するゴムを示している。
(第1液体タンクおよび第2液体タンク)
第1液体タンクおよび第2液体タンクも、液体配管と同様に、耐アルカリ性を示す材料から構成されることが望ましい。液体タンクは、液体配管と同様に、フッ素樹脂、フッ素ゴムおよびステンレス等の材料から構成されていてもよい。
(第1液送ポンプおよび第2液送ポンプ)
第1液送ポンプおよび第2液送ポンプは、耐アルカリ性であり、かつ両方向に液送可能なポンプであることが望ましい。液体配管にフッ素ゴム等の可撓性材料を用いている場合には、たとえば蠕動ポンプが好適である。蠕動ポンプとは、内部が液体で満たされた可撓性の管を、回転運動するローラ等で外部から圧迫することにより、管内の液体を圧送するポンプである。なお今回の実施の形態1では、液送ポンプを2つとしたが、十分な液送能力があれば、液送ポンプは1つでもよい。
(セパレータ)
セパレータは、負極板と正極板との間に介在する。セパレータは電気絶縁性であり、負極板と正極板との電気的な接触を防止する。セパレータは、アルカリ電解液を保持し、プロトンを透過させる。セパレータには、電気化学デバイスのセパレータとして利用される各種材料を使用できる。セパレータは、たとえばポリオレフィン製の不織布、微多孔膜等であってもよい。ポリオレフィンは、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等でもよい。セパレータは、イオン交換能を有していてもよい。セパレータは、表面に親水化処理が施されたものであってもよい。親水化処理の例としては、たとえばセパレータの表面をスルホン化すること、あるいはセパレータの表面をプラズマ処理すること等が挙げられる。
(アルカリ電解液)
アルカリ電解液は、アルカリ水溶液でよい。アルカリ電解液は、イオン伝導率が高いことが望ましい。アルカリ電解液は、たとえば高濃度の水酸化カリウム(KOH)水溶液でもよい。KOH濃度は、たとえば10〜40質量%程度である。アルカリ電解液は、複数の水酸化物を含有していてもよい。アルカリ電解液は、たとえばKOHおよび水酸化ナトリウム(NaOH)の2種の水酸化物を含有していてもよいし、KOH、NaOHおよび水酸化リチウム(LiOH)の3種の水酸化物を含有していてもよい。
<実施の形態2>
図12は、実施の形態2を示す概略概念図である。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
実施の形態2と実施の形態1との主たる相違点は、水素貯蔵タンクおよびガス配管にある。すなわち電力貯蔵デバイス1002は、圧力可変型のタンクである第2水素貯蔵タンク142と、ガス流路120と第2水素貯蔵タンク142との間を、水素ガスが循環できるように構成された循環配管132とを備える。さらに電力貯蔵デバイス1002は、循環配管132において、ガス流路120と第2水素貯蔵タンク142との間に配置され、循環配管132内の圧力を調整する圧力調整装置134を備える。
(充放電動作)
電力貯蔵デバイス1002の動作を説明する。
図12は、電力貯蔵デバイスが充電によって、放電状態から充電状態に遷移する過程を示している。図13は、電力貯蔵デバイスが放電によって、充電状態から放電状態に遷移する過程を示している。図12および13中、矢印FGは水素ガスの流れを示し、矢印FLは正極液体の流れを示している。電力貯蔵デバイス1002では、負極板100側に溝状のガス流路120が形成されている。
循環配管132内には、循環ポンプ133が配置されている。循環ポンプ133は、水素ガスを、ガス流路120内および循環配管132内に循環させる。水素ガスを循環させることにより、放電容量の減少を抑制する効果が期待できる。
ガス流路120内に空気が混入した場合、空気中の酸素ガスは水素と結合して水となるため取り除くことができる。しかし窒素ガスは取り除くことができず、ガス流路内に滞留する可能性がある。ガス流路内において窒素ガスは、水素ガスと負極板との接触を妨げる。すなわち窒素ガスは、放電反応を阻害する。上記のように水素ガスを循環させることにより、窒素の滞留を抑制することができる。これにより放電容量の減少が抑制される。
圧力可変型の第2水素貯蔵タンク142は、水素ガスの圧力を高めることにより、大量の水素ガスを貯蔵できる。よって圧力可変型のタンクを採用することにより、電力貯蔵デバイスのコンパクト化が期待できる。
圧力調整装置134は、循環配管132内の圧力が過度に高くならないように、圧力を調整する。これにより、高圧状態となる水素貯蔵タンクに合わせて、循環配管、ガス流路、負極板の耐圧性能を高めておく必要性が減ぜられる。圧力調整装置は、循環配管内の圧力を、たとえば1MPa以下に調整し、好ましくは0.5MPa以下に調整する。配管内の圧力が0.5MPa以下であれば、配管のシール構造を簡素化できる。圧力可変型の水素貯蔵タンクには、たとえば燃料電池自動車等で採用されている水素圧力容器を用いることができる。水素圧力容器によれば、容器内の最大圧力を90MPa程度まで高めることができる。
電力貯蔵デバイス1002は、熱交換器を備えるものであってもよい。熱交換器は、たとえば水素ガスの循環配管の途中に設けるとよい。水素ガスは熱伝導率が高いため、熱交換に適する。こうした態様によれば、たとえば充放電の繰り返しによって、電力貯蔵デバイスの本体部分が発熱した場合にも、水素ガスを用いて本体部分を冷却できる。あるいは、本体部分の温度を室温よりも高い温度に制御し、酸化還元反応の速度を高めることもできる。ただし、温度が過度に高いと、活物質等の劣化が促進される場合もある。本体部分の温度は、たとえば40〜60℃程度に設定してもよいし、好ましくは45〜55℃程度に設定してもよい。
熱交換器は、第1液体配管および第2液体配管に設けてもよい。この場合、正極液体を用いて、本体部分を冷却することが可能になる。熱交換に液体を用いることにより、熱交換効率の向上が期待できる。熱交換は、空気、水等を用いて行ってもよい。また電力貯蔵デバイスは、ヒータを備えるものであってもよい。すなわちヒータにより、本体部分を加熱して、酸化還元反応の速度を高めることもできる。
<実施の形態3>
図14は、実施の形態3の構成と水素ガスの流れとを示す概略概念図である。図14では、ガス配管、液体配管、タンク類の詳細は省略されている。これらの構成については、前述した実施の形態1および実施の形態2と同様の構成を採用できる。
実施の形態3と実施の形態1との主たる相違点は、電力貯蔵デバイスが複数の単位セルを含むこと、および正極液体の液系統(配管ネットワーク)にある。
図14に示す電力貯蔵デバイス1003は、複数(合計6個)の単位セル400を備える。こうした構成はセルスタックとも称される。図14では、各単位セルの電気的な結合が模式的に示されている。複数の単位セル400は、電気的に直列接続されている。複数の単位セル400は、隣接する2つの単位セルにおいて、負極板100と正極板200とが対向するように積層されている。電力貯蔵デバイス1003は、単位セル400と単位セル400との間に、電子伝導性を有しかつガスバリア性を有するバイポーラ板113を備える。単位セル400の積層方向の両端には、負極集電板112と、正極集電板212とが配置されている。
このように、電力貯蔵デバイスにおいて、複数の単位セルを直列接続することにより、充放電効率を高めることができる。すなわち直列接続により、電圧を高めることで、同じ電力の充放電でも、電流を小さくすることができる。電気抵抗による電力損失は、電流の2乗に比例する。直列接続された単位セルの積層数を増やし、電流を小さくすることにより、電力損失を低減し、充放電効率を高めることができる。
(ガス系統)
図14中、矢印FGは、充電時および放電時における水素ガスの流れを示している。循環配管(図14では図示せず)内の水素ガスは、ガス入口171を通ってデバイス内に導入される。水素ガスは、第1ガスマニホールド161において分流し、各単位セル400に並列的に供給される。各単位セル400のガス流路(図14では図示せず)を通過した水素ガスは、第2ガスマニホールド162において合流し、ガス出口172から循環配管に戻される。
(液系統)
図15は、実施の形態3の構成と正極液体の流れとを示す概略概念図である。実施の形態3では、正極液体の分配に関し、複数の単位セルを、複数のセル群に区分する。すなわち、電力貯蔵デバイスは、複数の単位セルを含むセル群を複数備える。図15では、閉塞部265によって、複数の単位セル400は、第1セル群501と第2セル群502とに区分されている。第1セル群501は4個の単位セル400を含み、第2セル群502は2個の単位セル400を含む。
図15中、矢印FLは放電時における正極液体の流れを示している。正極液体は、第1液体タンク(正極充電液タンク)側から、液入口271を通ってデバイス内に導入される。閉塞部265は、入口側液マニホールドを第1液マニホールド261と、第3液マニホールド263とに分割している。正極液体は、第1液マニホールド261において分流し、第1セル群501内の各単位セル400に並列的に供給される。第1セル群501を通過した正極液体は、第2液マニホールド262において合流する。第2液マニホールド262において、正極液体は、第1セル群501から第2セル群502に側に向かって流れる。正極液体は再び分流し、第2セル群502内の各単位セル400に並列的に供給される。図15に示すように、第1セル群501内における正極液体の流れる方向と、第2セル群502内における正極液体の流れる方向とは逆方向となる。第2セル群502を通過した正極液体は、第3液マニホールド263において再び合流し、液出口272から第2液体タンク(正極放電液タンク)側に排出される。
この構成において、第1液マニホールド261、第2液マニホールド262および第3液マニホールド263ならびに閉塞部265は、配管ネットワーク260を構成する。すなわち電力貯蔵デバイス1003は、配管ネットワーク260を備える。配管ネットワーク260は、複数のセル群(第1セル群501および第2セル群502)に、正極液体を直列的に流通させる。さらに配管ネットワーク260は、各セル群内(第1セル群501内または第2セル群502内)において、複数の単位セル400に、正極液体を並列的に流通させる。
放電時、上記の配管ネットワーク260において、充電状態の正極液体は、第1セル群501を通る間に徐々に放電し、充電状態を低下させる。正極液体は、第2セル群502を通る間にさらに充電状態を低下させ、放電状態の正極液体となって液出口272から排出される。このように、液出口272に近い第2セル群502は、液入口271に近い第1セル群501よりも、充電状態が低い正極液体が供給される。そのため第2セル群502に含まれる単位セル400では、電圧が下がりやすくなる。
この傾向は、第1セル群501の電圧を測定する第1電圧計801と、第2セル群502の電圧を測定する第2電圧計802とから確認できる。放電が進むにつれて、第2電圧計802が示す電圧は、第1電圧計801が示す電圧よりも低くなる。セル群ごとの電圧監視を行うことにより、局所的な過放電が起こらないように、放電量を調整することができる。
なお第1電圧計801と第2電圧計802との間に配置される電圧プローブ803は、単なる電圧測定線である。電圧プローブ803は、たとえば絶縁被覆した細い電線である。電圧プローブ803は、導電性のバイポーラ板113に接触していればよい。
図15では、放電時の正極液体の供給に関し、上流(第1セル群501):下流(第2セル群502)=4:2の比率とした。ただしセル群の分割態様はこれに限定されない。たとえば、配管ネットワークにおける閉塞部を増やすことにより、上流:中流:下流=2:2:2等の比率としてもよい。このようにセル群の分割数を増やすことで、各部における充電状態を精度よく測定できるようになる。
(バイポーラ板)
バイポーラ板113は、一方の主面において負極板100と接し、他方の主面において正極板200と接する。ゆえにバイポーラ(両極)板との呼称が用いられている。バイポーラ板は、電子伝導性を有し、かつガスバリア性を有する。
バイポーラ板は、たとえば導電性物質が添加された樹脂をモールド成形することにより、安価に作製できる。樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱硬化性樹脂でもよい。導電性物質は、たとえばカーボン粒子等である。バイポーラ板は1枚で構成してもよいし、2枚で構成してもよい。すなわち、1枚のバイポーラ板の表裏に、ガス流路および液体流路を設けてもよいし、ガス流路が設けられた板と液体流路が設けられた板とを貼り合わせてバイポーラ板としてもよい。前述したように、負極板(第1主面)または正極板(第2主面)に、溝状の流路が設けられている場合には、バイポーラ板において、溝状の流路と対向する面は平坦でもよい。
図16は、バイポーラ板を負極板側(第1主面側)から見た場合の概略図である。また図17は、バイポーラ板を正極板側(第2主面側)から見た場合の概略図である。図16および図17における流路形状は、あくまで一例である。バイポーラ板の流路形状は、前述したガス流路および液体流路を適宜選択し、あるいは組み合わせて構成できる。
図16では、負極板側に溝状のガス流路が形成された例を示している。バイポーラ板113は、中央に負極板100を保持する保持部11と、保持部11の周囲に第1ガスシール部12とを有する。保持部11は凹部となっており、嵌め合いにより負極板100を保持する。保持部11の深さは、負極板100の厚さより若干浅い程度とするとよい。たとえば負極板の厚さが5mmの場合、保持部の深さは5mmよりも1mm程度浅くする。保持部11に負極板100を嵌め込んだ際に形成される段差が解消されるように、面圧を印可することにより、高いガスシール性が実現できる。これにより負極板側(第1主面側)の水素ガスが正極板から隔離され、隣接する単位セル同士を直列接続することができる。ガスシール性を高めるため、たとえばゴム製あるいは樹脂製のガスケット等を用いてもよい。
第1ガスシール部12の四隅には、ガス導入穴13、ガス排出穴14、液導入穴15および液排出穴16が設けられている。ガス導入穴13およびガス排出穴14は、ガス流路と連絡している。またガス導入穴13は、図14中の第1ガスマニホールド161と接続されている。ガス排出穴14は、図14中の第2ガスマニホールド162と接続されている。
図17では、正極板が平坦であり、バイポーラ板側に液体流路が形成された例を示している。バイポーラ板113は、中央に液体流路220と、液体流路220の周囲に第2ガスシール部22とを有する。第2ガスシール部22の四隅には、ガス導入穴13、ガス排出穴14、液導入穴15および液排出穴16が設けられている。液導入穴15および液排出穴16は、液体流路220と連絡している。液導入穴15は、図15中の第1セル群501においては、第1液マニホールド261と接続され、第2セル群502においては、第2液マニホールド262と接続されている。液排出穴16は、図15中の第1セル群501においては、第2液マニホールド262と接続され、第2セル群502においては、第3液マニホールド263と接続されている。
(自己放電対策)
正極液体は、アルカリ水溶液を含み、イオン伝導性である。そのため、複数の単位セル400が、正極液体により電気的に短絡すると、自己放電することになる。自己放電は、充放電効率の低下および電力損失につながる。自己放電を抑制するために、前述の第1マニホールド、第2マニホールドおよび第3マニホールドの内壁に絶縁被膜を形成することが望ましい。絶縁被膜は、電気絶縁性の樹脂から形成できる。電気絶縁性の樹脂は、たとえばフッ素樹脂等である。
同理由から、バイポーラ板の液導入穴および液排出穴の内壁にも絶縁被膜を形成することが望ましい。さらに、バイポーラ板の液導入穴および液排出穴にボトルネックを設けてもよい。ボトルネックとは、局所的に穴径が細くなっている部分を示す。ボトルネックでは、イオン伝導抵抗が高くなるため、自己放電の抑制が期待できる。単位セルの積層方向が鉛直方向に沿う場合、ボトルネックによって、充電状態の異なる正極液体同士が混ざることを抑制することもできる。ただし、電力貯蔵デバイスにおいて、単位セルの積層方向は、鉛直方向および鉛直方向に沿う方向に限定されない。積層方向は、たとえば水平方向であってもよいし、鉛直方向または水平方向と交差する方向であってもよい。
<実施の形態4>
図18は、実施の形態4の構成と水素ガスの流れとを示す概略概念図である。実施の形態4と前述の実施の形態3との主たる相違点は、単位セルが電気的に直列ではなく並列接続されている点である。
電力貯蔵デバイス1004は、複数(合計6個)の単位セル400を備える。複数の単位セル400は、電気的に並列接続されている。複数の単位セル400は、隣接する2つの単位セル400において負極板100同士が互いに対向するか、または正極板200同士が互いに対向するように積層されている。すなわち、各単位セル400は、1セルずつ向きを反転させられながら、積層されている。
さらに電力貯蔵デバイス1004は、隣接する負極板100同士の間に、両面にガス流路が形成された負極両面流路板114と、隣接する正極板200同士の間に、両面に液体流路が形成された正極両面流路板214と、を備える。
以上のように構成された実施の形態4では、実施の形態3のように正極液体を通じて、単位セル同士が短絡する可能性が低い。したがって配管ネットワーク(マニホールドの内壁等)に、絶縁被膜を形成する必要性が減ぜられる。
(負極両面流路板および正極両面流路板)
負極両面流路板および正極両面流路板は、両主面(表裏)に、前述した流路が設けられている。負極両面流路板および正極両面流路板は、電子伝導性でもよいし、絶縁性でもよい。絶縁性とする場合、たとえばポリカーボネート等の樹脂を用いてもよい。負極両面流路板および正極両面流路板が絶縁性の場合、図18に示すように、各負極板100から負極集電タブ118を、各正極板200から正極集電タブ218をそれぞれ引き出して電気的に接続する。各集電タブは、たとえば超音波溶接により接続できる。
負極両面流路板および正極両面流路板は、前述の側端板およびバイポーラ板と同様に、電子伝導性としてもよい。負極両面流路板および正極両面流路板は、たとえばカーボン板、金属板等から構成してもよい。
負極両面流路板および正極両面流路板は、単位セルの周辺部材にガスシールおよび液シールがなされていれば、ガスバリア性でなくてもよい。負極両面流路板および正極両面流路板は、液体を保持できれば、たとえば多孔質としてもよい。
実施の形態3と実施の形態4とを組み合わせることにより、単位セルが電気的に直列接続された部分と、単位セルが電気的に並列接続された部分とを併せ持つ構成としてもよい。こうした態様によれば、さらに大容量の電力貯蔵デバイスを構成可能である。
<電力貯蔵デバイスの用途>
以上に説明した実施の形態に係る電力貯蔵デバイスは、たとえば太陽光発電、風力発電等の自然エネルギー発電の貯蔵を目的とする定置型電力貯蔵デバイスに好適である。太陽光発電、風力発電等では、設備容量によって最大入出力(kW)が決められる。しかし、これらの自然エネルギー発電は、気象条件の影響を受けやすく、単位時間内の発電量(kWh)は一定でない。したがって、自然エネルギー発電の貯蔵には、最大入出力(kW)が一定であり、かつ蓄電容量(kWh)が可変である、電力貯蔵デバイスが必要である。また定置型であること考慮すると、電力貯蔵デバイスはコンパクトな構成であることが望ましい。
ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池等の密閉型二次電池は、容量が可変でない。密閉型二次電池では、電池内に充填された固体活物質の量によって、蓄電容量が制約されるためである。密閉型二次電池を用いて、蓄電容量を増やすためには、複数の単電池からデバイスを構成する必要がある。しかし単電池を増やすと、最大入出力も不必要に増えることになり、自然エネルギー発電の貯蔵には適しない。
実施の形態に係る電力貯蔵デバイスでは、固体活物質と、流体活物質(水素ガスまたは正極液体)とを併用する。これにより、固体活物質による蓄電容量の制約を緩和できる。また水素ガス貯蔵タンク、液体タンクの容量を変更することで、デバイス本体をコンパクトに構成しつつ、蓄電容量を変更することができる。またこの実施の形態に係る電力貯蔵デバイスは、固体活物質が過充電となる領域でも使用できるため、単位セルを積層した構成としても、最大入出力の増大を緩和できる。したがって、この実施の形態に係る電力貯蔵デバイスは、密閉型二次電池よりも、自然エネルギー発電の貯蔵に適する。
前述のように自然エネルギー発電は、出力が不安定である。実施の形態に係る電力貯蔵デバイスには、自然エネルギー発電の出力平準化に寄与することも期待される。自然エネルギー発電の出力を平準化するためには、短周期変動(数分〜数十分程度の周期での出力変動)および長周期変動(数十分〜数時間程度の周期での出力変動)の両方に対応できる必要がある。
従来、短周期変動に特化した蓄電デバイスと、長周期変動に特化した蓄電デバイスとを組み合わせることによる出力平準化が検討されている。前述したように、この実施の形態では、負極板の損傷、劣化を抑制できるため、電極板の大面積化が可能である。電極板を大面積とすることで、負荷特性が向上し、短周期変動に追随することができる。さらに電力を水素ガスとして貯蔵することにより、長周期変動にも対応できる。
ところで容量可変の電力貯蔵デバイスとしては、レドックスフロー電池も知られている。しかしレドックスフロー電池は、正極側および負極側の双方に液体貯蔵タンクが必要であり、コンパクトな構成とすることが困難である。またレドックスフロー電池では、両極液が混じることにより、自己放電が起こり、電力が損失する可能性もある。
実施の形態に係る電力貯蔵デバイスでは、液体貯蔵タンクが正極側のみであり、レドックスフロー電池よりもコンパクトである。また負極側は固体および気体であるため、レドックスフロー電池のように、両極液が混じることによる自己放電が生じない。したがって、実施の形態に係る電力貯蔵デバイスは、レドックスフロー電池よりも、自然エネルギー発電の貯蔵に適する。
さらに、実施の形態に係る電力貯蔵デバイスでは、ガス配管あるいは液体配管を長くすることにより、デバイス本体から離れた位置に、水素貯蔵タンクおよび液体タンクを設置することもできる。したがって、たとえば設置場所、設置面積等の条件に応じて、デバイス構成を柔軟に変更できる。またこれにより、デバイスの保守、運用が容易になる場合もある。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 第1溝、2 第2溝、3 第3溝、4 第4溝、5 第5溝、11 保持部、12 第1ガスシール部、13 ガス導入穴、14 ガス排出穴、15 液導入穴、16 液排出穴、22 第2ガスシール部、31 上型、32 下型、33 突起部、90 基材、91 負極活物質層、100 負極板、101 第1主面、105 撥水性部位、110 負極側端板、112 負極集電板、113 バイポーラ板、114 負極両面流路板、118 負極集電タブ、120 ガス流路、121 第1流路、122 第2流路、123 第3流路、131 ガス配管、132 循環配管、133 循環ポンプ、134 圧力調整装置、141 第1水素貯蔵タンク、142 第2水素貯蔵タンク、161 第1ガスマニホールド、162 第2ガスマニホールド、171 ガス入口、172 ガス出口、200 正極板、201 第2主面、210 正極側端板、212 正極集電板、214 正極両面流路板、218 正極集電タブ、220 液体流路、231 第1液体配管、232 第2液体配管、241 第1液体タンク、242 第2液体タンク、251 第1液送ポンプ、252 第2液送ポンプ、260 配管ネットワーク、261 第1液マニホールド、262 第2液マニホールド、263 第3液マニホールド、265 閉塞部、271 液入口、272 液出口、300 セパレータ、400 単位セル、501 第1セル群、502 第2セル群、801 第1電圧計、802 第2電圧計、803 電圧プローブ、1001,1002,1003,1004 電力貯蔵デバイス、FG,FL 矢印。

Claims (12)

  1. 水素吸蔵合金を含有する負極板と、水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれかを含有する正極板と、前記負極板と前記正極板との間に介在し、アルカリ電解液を保持するセパレータとを含む、単位セルを備え、
    前記負極板は、前記セパレータと対向しない側に第1主面を有し、
    前記正極板は、前記セパレータと対向しない側に第2主面を有し、
    さらに、
    前記第1主面に沿って延びるガス流路と、
    前記ガス流路との間で、水素ガスを送受できるように構成された水素貯蔵タンクと、
    前記第2主面に沿って延びる液体流路と、
    前記液体流路との間で、液体を送受できるように構成された第1液体タンクおよび第2液体タンクと、を備え、
    前記第1主面の少なくとも一部には、撥水性部位が形成されており、
    前記撥水性部位は、前記ガス流路の少なくとも一部を構成する、電力貯蔵デバイス。
  2. 前記ガス流路は、前記第1主面に形成された溝状の流路である、請求項1に記載の電力貯蔵デバイス。
  3. 前記液体は、水酸化ニッケルまたはオキシ水酸化ニッケルの少なくともいずれかを含有する正極活物質粒子を含む懸濁液である、請求項1または請求項2に記載の電力貯蔵デバイス。
  4. 前記撥水性部位は、フッ素樹脂を含有する被膜を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
  5. 前記被膜は、前記水素ガスの酸化還元反応を促進する触媒を含有する、請求項4に記載の電力貯蔵デバイス。
  6. 前記ガス流路と前記水素貯蔵タンクとの間を、前記水素ガスが循環できるように構成された循環配管と、
    前記循環配管において、前記ガス流路と前記水素貯蔵タンクとの間に配置され、前記循環配管内の圧力を調整する圧力調整装置と、をさらに備える、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
  7. 前記ガス流路は、サーペンタイン状に延びる、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
  8. 前記液体流路は、サーペンタイン状に延びる、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
  9. 前記液体流路は、前記第2主面に形成された溝状の流路である、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
  10. 複数の前記単位セルを含むセル群を複数備え、
    複数の前記単位セルは、電気的に直列接続され、かつ前記負極板と前記正極板との積層方向に沿って積層され、
    さらに、
    前記単位セルと前記単位セルとの間に、電子伝導性を有しかつガスバリア性を有するバイポーラ板と、
    複数の前記セル群に、前記液体を直列的に流通させ、かつ前記セル群内において、複数の前記単位セルに、前記液体を並列的に流通させるように構成された配管ネットワークと、を備える、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
  11. 複数の前記単位セルを備え、
    複数の前記単位セルは、電気的に並列接続され、隣接する2つの前記単位セルにおいて前記負極板同士が互いに対向するか、または前記正極板同士が互いに対向するように積層され、
    さらに、
    隣接する前記負極板同士の間に、両面に前記ガス流路が形成された負極両面流路板と、
    隣接する前記正極板同士の間に、両面に前記液体流路が形成された正極両面流路板と、を備える、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
  12. 前記液体流路は、前記第2主面と対向する部材の表面に形成された溝状の流路である、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の電力貯蔵デバイス。
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