JP2017025624A - 地盤改良体施工方法、地盤改良装置及び地盤改良底盤 - Google Patents

地盤改良体施工方法、地盤改良装置及び地盤改良底盤 Download PDF

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【課題】薬液の注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体を形成する。【解決手段】水と反応してゲル化する主薬液EAを対象地盤12が割裂しない注入圧力で対象地盤12に横方向に卓越させて浸透注入させることで、対象地盤12に上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体50を形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、地盤改良体施工方法、地盤改良装置及び地盤改良底盤に関する。
薬液を注入して対象地盤に地盤改良体を形成する薬液注入工法が知られている。
特許文献1には、ゲル化時間を1昼夜以上に調製した薬液を用い、その薬液を加圧空気によって地盤中に少なくとも1昼夜以上にわたって連続的に注入する技術が開示されている。
特許文献2には、薬液の注入圧力を経時的かつ連続的に増減させ、増減の繰り返しの度に注入圧力の最大値及び最小値を増加させて注入する技術が開示されている。
ここで、薬液注入工法で地盤に形成される地盤改良体は略球形状とされている。よって、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体を形成する場合、略球形の地盤改良体の直径を大きくする必要があり、薬液が多く必要である。
特開2002−242173号公報 特許3757400号
本発明は、上記事実を鑑み、薬液の注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体を形成することが目的である。
請求項1の地盤改良体施工方法は、水と反応してゲル化する薬液を対象地盤が割裂しない注入圧力で前記対象地盤に横方向に卓越させて浸透注入させることで、前記対象地盤に上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体を形成する。
請求項1に記載の発明によれば、対象地盤が割裂しない注入圧力で対象地盤に横方向に卓越させて浸透注入させることで、対象地盤に上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体を形成する。したがって、薬液の注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体を形成することができる。
請求項2の地盤改良体施工方法は、請求項1に記載の方法において、水と反応してゲル化する副薬液を前記対象地盤の上部及び下部へ前記薬液よりも先に注入して止水部を形成し、前記止水部の間に前記薬液を浸透注入させる。
請求項2に記載の発明によれば、対象地盤の上部及び下部に副薬液を薬液よりも先に注入して止水部を形成する。そして、止水部の間に薬液を横方向へ浸透注入させる。このように上下に止水部を形成した後に、薬液を注入することで、止水部によって上下方向への浸透が抑えられ、薬液が横方向により卓越して浸透する。よって地盤改良体は、更に上下方向に扁平な扁平形状となるので、横方向に対して更に広範囲に地盤改良体を形成することができる。
請求項3の地盤改良底盤は、上下方向よりも横方向が長い扁平形状とされた複数の地盤改良体が、横方向の端部同士が互いに重なり、且つ平面視において隙間ができないように横方向に並び、前記端部同士の重なり部分は、横方向の長さが上下方向の長さよりも長い。
請求項3に記載の発明によれば、地盤改良体を扁平形状とし、横方向の端部同士が互いに重なり、且つ平面視において隙間ができないように横方向に並び、その端部同士の重なり部分を横方向の長さが上下方向の長さよりも長くなることで、薬液の注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良底盤を形成することができる。
請求項4の地盤改良装置は、注入井戸に挿入され、水と反応してゲル化することで地盤改良体を形成する薬液をストレーナー部から吐出する注入管と、前記注入井戸における前記注入管の前記ストレーナー部の外側に設けられたフィルター部と、を有し、前記フィルター部の軸方向長さLと外径φとの比L/φが4以上に設定されている。
請求項4に記載の発明によれば、注入井戸に挿入する注入管にストレーナー部を設けると共に、このストレーナー部の外側にフィルター部を設けることで、スクリーン構造となり、フィルター部での乱流が抑制され、薬液の浸透方向を横方向に卓越させることができる。
更に、フィルター部の径φと軸方向長さLとの比L/φを4以上に設定することで、上下方向の外側の薬液ほど水との接触面積が大きくゲル化が先行する。よって、後続薬液の上下方向への浸透を抑制する効果が発揮され、この結果、薬液の浸透方向を横方向により卓越させることができる。
よって、薬液が水と反応してゲル化することで形成される地盤改良体は、上下方向よりも横方向が長い扁平形状となる。したがって、薬液の注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体を形成することができる。
本発明によれば、薬液の注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体を形成することができる。
本実施形態の地盤改良装置の概略構成を示す構成図と本実施形態の地盤改良体を模式的に示す縦断面図である。 図1に示す注入井戸の要部を示す縦断面図である。 制御装置での制御を示すフローチャートである。 (A)は本実施形態の地盤改良体を模式的に示す縦面図であり、(B)は水平断面図である。 (A)は本実施形態の第一適用例の遮水壁及び地盤改良底盤を模式的に示す縦断面図であり、(B)は本実施形態の第二適用例の遮水壁及び地盤改良底盤を模式的に示す縦断面図であり、(C)は本実施形態の第三適用例の遮水壁及び地盤改良底盤を模式的に示す水平縦断面図である。 (A)は比較例の地盤改良体を模式的に示す縦面図であり、(B)は水平断面図である。 (A)は比較例の第一適用例の遮水壁及び地盤改良底盤を模式的に示す縦断面図であり、(B)は比較例の第二適用例の遮水壁及び地盤改良底盤を模式的に示す縦断面図であり、(C)は比較例の第三適用例の遮水壁及び地盤改良底盤を模式的に示す水平縦断面図である。 フィルター部のL/φと主薬液の上下方向の拡散比との関係を示すグラフである。 注入深度における地盤改良体の半径とフィルター部のL/φとの関係を示すグラフである。
<実施形態>
本発明の一実施形態に係る地盤改良装置及び地盤改良体施工方法について説明する。
(全体構造)
図1に示す地盤改良装置100の全体構造について説明する。地盤改良装置100は、地盤10における地下水位WL以深の対象地盤12に地盤改良体50を形成する装置である。
地盤改良装置100は、注入井戸110と、この注入井戸110に挿入された後述する注入管120(図2参照)と、この注入管120に主薬液EA及び副薬液EBを供給する供給装置102と、この供給装置102を制御する制御装置104と、を有している。
注入井戸110は、主注入部112と、この主注入部112の上下に設定された副注入部114U、114Lと、を有している。注入井戸110の主注入部112は、地盤改良体50を形成する対象地盤12の深度に設けられている。
主薬液EAは、注入井戸110の主注入部112から対象地盤12に注入され、地下水と反応してゲル化することで地盤改良体50を形成する。一方、副薬液EBは、注入井戸110の副注入部114U及び副注入部114Lから、それぞれ対象地盤12の上部12U及び下部12Lに注入され、地下水と反応してゲル化することで、対象地盤12の上部12U及び下部12Lに止水部60U及び止水部60Lを形成する。
供給装置102は、後述する注入管120(図2参照)に供給する主薬液EA及び副薬液EBの供給量を調整することで、対象地盤12に注入する主薬液EA及び副薬液EBの注入圧力を調整することが可能となっている。また、供給装置102は、注入管120(図2参照)に供給する主薬液EA及び副薬液EBのpHを調整することが可能となっている。
制御装置104は、主注入部112及び副注入部114の近傍に配置された図示していない注入圧力センサー及びpHセンサーからの情報に基づいて、供給装置102を制御し、主薬液EA及び副薬液EBの供給量及びpHを調整する。なお、この制御装置104の制御に関する説明は後述する。
(主注入部の構造)
次に、注入井戸110における主薬液EAを吐出する主注入部112の構造について説明する。
図2に示すように、注入井戸110には、二重管ダブルパッカー構造の注入管120が挿入されている。注入井戸110における主注入部112に対応する部位の上下には、シール材126が設けられ、これらシール材126に注入管120が挿通されている。なお、本実施形態のシール材126は、ベントナイトペレットで構成されている。
二重管ダブルパッカー構造の注入管120は、主注入部112以外は既存の構造である。具体的には、注入管120は、外管120Aと図示していない内管とで構成され、内管の先端部には、薬液を吐出する吐出部分の上下にダブルパッカーと呼ばれる二段のパッカーが取り付けられている。
注入管120における主注入部112に対応する部位(上下のシール材126の間)には、主薬液EAを吐出するストレーナー部122が設けられている。ストレーナー部122には、スリット124が複数形成されている。なお、本実施形態では、スリット124による開口率は5.0%以上とされている。
ストレーナー部122の外側にはフィルター部130が設けられている。また、フィルター部130は、注入井戸110における上下のシール材126で仕切られた間に設けられている。なお、フィルター部130は、玉砂利などのフィルター材132で構成されている。
そして、前述した注入管120の内管を外管120A内に挿入して、内管の先端部の吐出部分をストレーナー部122に対応する位置に配置し、吐出部分から主薬液EAを吐出することで、主注入部112から対象地盤12に主薬液EAが注入される。
本実施形態では、フィルター部130(主注入部112)の軸方向長さLと外径φとの比L/φが4以上になるように設定されている。本実施形態では、L/φが5〜6程度に設定されている。
なお、図1に示す副薬液EBを注入する副注入部114は、L/φが4未満であること以外は、主注入部112と同様の構造であるので、説明を省略する。
(主薬液及び副薬液)
次に、本実施形態の主薬液EA及び副薬液EBについて説明する。
本実施形態の主薬液EA及び副薬液EBは、シリカゾルグラウト(登録商標)を用いている。また、シリカゾルグラウト(登録商標)は、水ガラスのアルカリを酸で中和したシリカゾル(登録商標)を主材とする液体である。
なお、本実施形態では、主薬液EAは、対象地盤12におけるゲルタイムが10時間以上になるように調整されている。また、本実施形態では、副薬液EBは、対象地盤12におけるゲルタイムが主薬液EAよりも短時間(数秒〜数分程度)となるように調整された瞬結型薬剤である。
ここで、対象地盤12におけるゲルタイムは主薬液EA及び副薬液EBのpHにより影響される。よって、上記のようなゲルタイムとするため、対象地盤12でのpHが、地下水による中和及び希釈効果を考慮し、事前に浸透解析や実験等によって設定したpH管理値以下となるよう供給装置102にて配合している。
そして、供給装置102は、主薬液EAのpHを1〜2程度に配合し、副薬液EBのpHを2〜3程度に配合している。なお、この主薬液EAのpHの値が、後述するpH管理値である。
(地盤改良体施工方法)
次に、地盤10における地下水位WL以深の対象地盤12に地盤改良体50を形成する地盤改良体施工方法について説明する。
図1に示すように、先ず注入井戸110の上側の副注入部114から副薬液EBを対象地盤12の上部12Uに注入して上側の止水部60Uを形成し、次に下側の副注入部114から副薬液EBを対象地盤12の下部12Lに注入して下側の止水部60Lを形成する。なお、止水部60U、60Lは、図1以外は図示を省略している。
また、副注入部114から副薬液EBを対象地盤12に注入させる方法は、どのような方法であってもよい。本実施形態では、注入井戸110の注入管120の外管120Aに挿入する内管の先端部の吐出部を副注入部114に対応する位置に配置して副薬液EBを吐出している。
また、本実施形態では、対象地盤12の上部12U及び下部12Lを割裂させて注入する割裂注入で行うが、浸透注入で行ってもよい。更に、先に下側の副注入部114から副薬液EBを対象地盤12の下部12Lに注入して下側の止水部60Lを形成してもよい。
次に、図1及び図2に示すように、注入井戸110の主注入部112から主薬液EAを対象地盤12に注入する。このとき対象地盤12を割裂させないで注入する浸透注入とする。具体的には、主薬液EAの対象地盤12に注入する注入圧力を、対象地盤12が割裂する割裂圧力未満の予め定められた圧力管理値以下となるように、供給装置102(図1参照)が注入管120(図2参照)に供給する主薬液EAの供給量を制御装置104(図1参照)が制御する。
なお、対象地盤12が割裂する注入圧(割裂注入圧)は、地盤10の対象地盤12を掘削して分析調査することで求められる。
また、前述したように、制御装置104は、主薬液EAを予め定められたpH管理値以下となるように供給装置102を制御する。
次に、この制御装置104での制御について、図3に示すフローチャートを用いて詳しく説明する。具体的には、注入井戸110の主注入部112の近傍に配置された図示していない注入圧力センサー及びpHセンサーからの情報に基づいて、主薬液EAの供給量及びpHを調整する制御について説明する。
図3に示すように、ステップ300で主薬液EAの対象地盤12への注入(注入管120への主薬液EAの供給)を開始し、ステップ302に進み注入圧力センサーで注入圧力(初期注入圧力)を測定する。なお、このステップ302で測定した初期注入圧力は、浸透注入可能な注入圧力の最低値である。このようにステップ302で注入圧力(初期注入圧力)を確認したのち、ステップ304に進む。
ステップ304では、注入圧力センサーで測定した測定注入圧力が圧力管理値以下(且つ初期圧力以上)であるか否かを判定する。注入圧力が圧力管理値よりも大きい場合は、ステップ306に進み供給量を調整し、ステップ304に戻る。ステップ302で注入圧力が圧力管理値以下である場合は、ステップ308に進む、
ステップ308では、主薬液EAのpHセンサーで測定した対象地盤12内の測定pHがpH管理値以下であるか否かを判定する。測定pHがpH管理値よりも大きい場合は、ステップ310に進み主薬液EAのpHを調整し、ステップ308に戻る。ステップ308で主薬液EAの測定pHがpH管理値以下である場合は、ステップ312に進む。
ステップ312では、総注入量が設計注入量以上であるか否かを判定する。総注入量が設計注入量未満の場合は、ステップ304に戻る。総入量が設計注入量以上である場合は、ステップ314に進み主薬液EAの対象地盤12への注入(注入管120への主薬液EAの供給)を停止する。
なお、上記フローチャートは一例であって、これに限定されない。例えば、測定注入圧力が圧力管理値以下であるか否かを判定するステップ304と、測定pHがpH管理値以下であるか否かを判定するステップ308との順番は逆であってもよい(ステップ308が先でステップ304が後でもよい)。
<作用及び効果>
次に、作用及び効果について説明する。
注入圧力を対象地盤12が割裂しない圧力管理値以下で対象地盤12に主薬液EAを注入することで、浸透注入となる。また、注入井戸110の注入管120にストレーナー部122を設けると共に、このストレーナー部122の外側にフィルター部130を設けることで、スクリーン構造となり、主注入部112の周囲の乱流が抑制され、主薬液EAの浸透方向を横方向に卓越させることができる。
更に、フィルター部130(主注入部112)の径φと軸方向長さLとの比L/φを4以上に設定することで、上下方向の外側の主薬液EAほど地下水との接触面積が大きくゲル化が先行し、中央部ほど地下水との接触面積が小さくゲル化が遅くなる。よって、後続する主薬液EAの上下方向への浸透を抑制する効果が発揮され、この結果、主薬液EAの浸透方向を横方向により卓越させることができる。なお、このことを表しているのが、図2の破線EAMである。
また、図1に示すように、本実施形態では、対象地盤12の上部12U及び下部12Lに副薬液EBを主薬液EAよりも先に注入して止水部60U及び止水部60Lを形成したのち、これら上下の止水部60Uと止水部60Lとの間に主薬液EAを横方向へ浸透注入させている。したがって、上下の止水部60U、60Lによって主薬液EAの上下方向への浸透が抑えられ、主薬液EAが横方向により卓越して浸透する。
このように、主薬液EAを対象地盤12が割裂しない注入圧力で対象地盤12に横方向に卓越させて浸透注入させることで、図4(A)及び図4(B)に示すように、対象地盤12に上下方向の長さYAよりも横方向の長さXAが長い扁平形状の略円盤状の地盤改良体50が形成される。
換言すると、主薬液EAを対象地盤12が割裂しない注入圧力で対象地盤12に上下方向よりも横方向により浸透させて浸透注入することで、図4(A)及び図4(B)に示すように、対象地盤12に上下方向の長さYAよりも横方向の長さXAが長い扁平形状の略円盤状の地盤改良体50が形成される。
また、本実施形態では、対象地盤12におけるゲルタイムが10時間以上になるように主薬液EAが配合及び調整されている。よって、対象地盤12での主薬液EAの早期のゲル化に伴う注入圧力の上昇による注入限界と浸透範囲の狭小が回避されるので、主薬液EAを長時間に亘って大量に注入することが可能となる。
したがって、主薬液EAの注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体50が形成される。つまり、直径XAの大きな略円盤状の地盤改良体50が形成される。
(主薬液の浸透方向が横方向に卓越することの確認)
次に、上記実施形態の地盤改良装置100で主薬液EAを対象地盤12に横方向に卓越して浸透注入され、略円盤状の地盤改良体50が形成されることの確認実験について説明する。
具体的には、主薬液EAの総注入量及び注入率と、原位置透水試験(測定井戸)によって確認できた地盤改良体50の半径r(XA/2)とから、上下方向への浸透幅、すなわち地盤改良体50の厚さt(YA)を計算した。なお、形成される地盤改良体50は円盤状(円柱状)と仮定する。
総注入量Q:15000L(15.0m
注入率λ:31.5%
改良半径r:4.0m
とすると、
Q=πrt×λ
t=Q/πrλ
=15.0/(π4×0.315)
=0.947(m)
となる。
このように、左右方向の浸透幅(XA)は8.0m(半径4.0m)に対して、上下方向への浸透幅(YA)は0.947mであるので、上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体50が形成されることが確認された。つまり、主薬液EAの浸透方向が横方向に卓越することが確認された。
(フィルター部のL/φを4以上に設定することで横方向に卓越することの確認)
次に、フィルター部130(主注入部112)の径φと軸方向長さLとの比L/φを4以上に設定することで、主薬液EAの浸透方向が横方向に卓越して浸透注入され、略円盤状の地盤改良体50が形成されることを確認したコンピューターシミュレーションについて説明する。
図8は、フィルター部130のL/φと主薬液EAの上下方向の拡散比との関係を示すグラフである。なお、薬液濃度60%以上となる領域を地盤改良体50とした。
主薬液EAの上下方向の拡散比は、フィルター部130から1m離れた位置における地盤改良体50(薬液濃度60%以上となる領域)の上下方向の長さの比である。つまり、上下方向の長さが2.5mであれば、拡散比は2.5m/1m=2.5である。
そして、地盤改良体50が仮に真球であれば、この拡散比は2m/1m=2.0となり、2.0よりも大きければ地盤改良体50は上下方向に長い扁平形状となり、2.0未満であれば地盤改良体50横方向に長い扁平形状になる。
図8のグラフからフィルター部130のL/φが大きくなるに従って主薬液EAの上下方向の拡散比が小さくなり、L/φが4以上で拡散比が2.0未満となる。つまり、フィルター部130のL/φを4以上に設定することで、主薬液EAの浸透方向が横方向に卓越して、横方向に長い略円盤状の地盤改良体50が形成されることがわかる。
なお、図8を見ると判るように、L/φが大きくなるに従って拡散比は小さくなる。よって、図8のグラフにはプロットしていないが、L/φが40よりも大きい場合も拡散比は2未満以下であることがコンピューターシミュレーションで確認されている。
また、図9は、注入深度における地盤改良体50の半径とフィルター部130のL/φとの関係を示すグラフである。なお、薬液濃度60%以上となる領域を地盤改良体50とした。
この図9のグラフからフィルター部130のL/φが大きくなるに従って地盤改良体50(薬液濃度60%以上となる領域)の半径が大きくなり、L/φが4以上になると半径が約5m以上になることが判る。
(比較例)
次に、比較例について説明する。
図6(A)及び図6(B)に示すように、対象地盤12に横方向に卓越させることなく、主薬液EAを注入すると、対象地盤12に上下方向の長さYBと横方向の長さXBとが略同じ長さの略球形状の地盤改良体850が形成される。
このような略球形状の比較例の地盤改良体850と、図4に示す本実施形態の横方向に扁平形状の略円盤状の地盤改良体50と、を比較すると、同じ主薬液EAの注入量であれば、本実施形態の略円盤状の地盤改良体50の方が横方向に広範囲に広がっている(XA>XB)。別の観点から説明すると、比較例の略球形の地盤改良体850を、本実施形態の略円盤状の地盤改良体50と同じ横方向の長さXBとするためには、比較例の地盤改良体850の直径を大きくする必要があり、主薬液EAが多く必要である。
したがって、比較例の略球形の地盤改良体850と比較し、主薬液EAの注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良体50を形成することができる。
[適用例]
次に、本実施形態の略円盤状の地盤改良体50の適用例を、比較例の略球形状の地盤改良体850と比較しつつ説明する。なお、本実施形態の略円盤状の地盤改良体50と比較例の略球形状の地盤改良体850とでは、主薬剤EAの注入量は同じとする。
(第一適用例)
図5(A)に示すように、地盤10には矩形枠状の遮水壁500が構築されている。この遮水壁500の下端部510は、支持基盤14には達していない。よって、遮水壁500内への地下水の進入を防ぐために、遮水壁500の内側の底部に、地盤改良底盤54を形成する。
図5(A)に示すように、地盤改良底盤54は、横方向に扁平形状とされた略円盤状の複数の地盤改良体50を、横方向の端部(外縁部)50A(図4参照)同士が互いに重なり、平面視において隙間ができないように横方向に並べて配置することで、形成されている。
この地盤改良底盤54を構成する地盤改良体50の端部50A同士の重なり部分52は、横方向の長さ52Aが上下方向の長さ52Bよりも長い。なお、重なり部分52の長さ52A、52Bは、隣接する注入井戸110の位置と注入井戸110の位置とを結ぶ線分に沿った断面における重なり部分52の長さ52A、52Bである。
一方、図7(A)に示す比較例の場合も、遮水壁500の内側の底部には、略円形状の比較例の複数の地盤改良体850を、横方向の端部850A同士が互いに重なり、且つ平面視において隙間ができないように横方向に並べて配置することで、地盤改良底盤854が設けられている。
しかし、比較例の地盤改良底盤854を構成する地盤改良体850の端部85A同士の重なり部分852は、横方向の長さ852Aが上下方向の長さ852Bよりも短い。
図5(A)と図7(A)と比較すると判るように、図5(A)の地盤改良底盤54の円盤状の地盤改良体50の個数の方が、図7(A)の地盤改良底盤854の略球形状の地盤改良体850の個数よりも少ない。つまり、本実施形態のほうが、主薬液EAの注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良底盤54を形成することができる。
(第二適用例)
図5(B)に示すように、遮水壁500の下端部510は、一部のみが支持基盤14に達している。よって、遮水壁500内への地下水の進入を防ぐために、遮水壁500の内側の支持基盤14に達していない部分に地盤改良底盤54を形成する。
第一適用例と同様に、地盤改良底盤54は、横方向に扁平形状とされた略円盤状の複数の地盤改良体50を、横方向の端部(外縁部)50A(図4参照)同士が互いに重なり、且つ平面視において隙間ができないように横方向に並べて配置することで、形成されている。
第一適用例と同様に、地盤改良底盤54を構成する地盤改良体50の端部50A同士の重なり部分52は、横方向の長さ52Aが上下方向の長さ52Bよりも長い。
一方、図7(B)に示す比較例の場合も、遮水壁500の内側の支持基盤14に達していない部分に地盤改良底盤54を形成する。同様に、地盤改良底盤854は、略球形状の複数の地盤改良体850を、横方向の端部(外縁部)850A同士が互いに重なり、且つ平面視において隙間ができないように横方向に並べて配置することで、形成されている。
しかし、比較例の地盤改良底盤854を構成する地盤改良体850の端部85A同士の重なり部分852は、横方向の長さ852Aが上下方向の長さ852Bよりも短い。
第一適用と同様に、図5(B)と図7(B)と比較すると判るように、図5(B)の地盤改良底盤54の円盤状の地盤改良体50の個数の方が、図7(B)の地盤改良底盤854の略球形状の地盤改良体850の個数よりも少ない。つまり、本実施形態のほうが、主薬液EAの注入量を抑えつつ、一箇所の薬液注入で横方向に対して広範囲に地盤改良底盤54を形成することができる。
(第三適用例)
図5(C)及び図7(C)に示すように、位置を特定できない遮水壁500の不良部501がある場合、この不良部501に重なるように略円盤状の地盤改良体50又は略球形状の地盤改良体850を形成する。これら図5(C)と図7(C)とを比較すると判るように、略円盤状の地盤改良体50の方が、平面視における遮水壁500に接触する幅が広いので(図5(C)の幅SAと図7(C)の幅SBとを比較参照)、注入箇所数を少なくすることができきる。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、地盤改良体50は、略円盤状、つまり平面視で略円形状であったが、これに限定されるものではない。平面視で楕円形状であってもよいし、平面視において外縁部に凹凸がある形状であってもよい。要は、全体として上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体であればよい。
また、止水部60U、60L(図1参照)は形成しなくてもよい。要は、主薬液EAを対象地盤12が割裂しない注入圧力で対象地盤12に横方向に卓越させて浸透注入させることで、上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体50を形成すればよい。更に、どのような施工方法であっても、全体として上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体が形成さればよい。
また、地盤改良体50の大きさ(上下方向の厚さ及び左右方向の幅)は、限定されるものではない。また、地盤改良体50の大きさ(上下方向の厚さ及び左右方向の幅)に応じて、フィルター部130の軸方向の長さL及びフィルター部130の外径φを適宜設定すればよい。
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない
12 対象地盤
50 地盤改良体
54 地盤改良底盤
60U 止水部
60L 止水部
100 地盤改良装置
110 注入井戸
120 注入管
122 ストレーナー部
130 フィルター部
EA 主薬液(薬液)

Claims (4)

  1. 水と反応してゲル化する薬液を対象地盤が割裂しない注入圧力で前記対象地盤に横方向に卓越させて浸透注入させることで、前記対象地盤に上下方向よりも横方向が長い扁平形状の地盤改良体を形成する地盤改良体施工方法。
  2. 水と反応してゲル化する副薬液を前記対象地盤の上部及び下部へ前記薬液よりも先に注入して止水部を形成し、前記止水部の間に前記薬液を浸透注入させる、
    請求項1に記載の地盤改良体施工方法。
  3. 上下方向よりも横方向が長い扁平形状とされた複数の地盤改良体が、横方向の端部同士が互いに重なり、且つ平面視において隙間ができないように横方向に並び、
    前記端部同士の重なり部分は、横方向の長さが上下方向の長さよりも長い地盤改良底盤。
  4. 注入井戸に挿入され、水と反応してゲル化することで地盤改良体を形成する薬液をストレーナー部から吐出する注入管と、
    前記注入井戸における前記注入管の前記ストレーナー部の外側に設けられたフィルター部と、
    を有し、
    前記フィルター部の軸方向長さLと外径φとの比L/φが4以上に設定されている地盤改良装置。
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