JP2017025011A - 抗bmp9抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒト骨形成蛋白質(BMP)9に結合する、抗BMP9モノクローナル抗体又は該抗体断片の提供。
【解決手段】以下の(a)及び(b)から選ばれる1の抗体、又は該抗体と競合してヒトBMP9に結合し、ヒトBMP9への結合解離定数が1×10−10mol/L以下であるモノクローナル抗体又は該抗体断片。下記(a)又は(b)から選ばれる一の抗体が結合するエピトープに結合する。ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体から選ばれる、一の遺伝子組換え抗体であるモノクロナール抗体又は抗体断片。(a)3つの相補鎖決定領域(CDR)がそれぞれ特定のアミノ酸配列を含む抗体のH鎖を含み、かつ特定のアミノ酸配列を含む抗体のL鎖を含む抗体(b)上記配列とは異なる特定のアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域を含み、かつ特定のアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域を含む抗体
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトBMP9(Bone morphogenetic protein 9)に結合する、抗BMP9モノクローナル抗体又は該抗体断片、該抗体又は該抗体断片を産生するハイブリドーマ、該抗体又は該抗体断片をコードするDNA、該DNAを含むベクター、該ベクターを導入して得られる形質転換体、該ハイブリドーマ又は該形質転換体を用いる抗体又は該抗体断片の製造方法、該抗体又は該抗体断片を有効成分とする治療薬に関する。
また本発明は、前記抗体又は該抗体断片を有効成分として含有する、腎性貧血若しくはがん性貧血などの貧血、又は肝疾患、腎疾患、強皮症、心疾患若しくは肺線維症などの線維性疾患の治療に使用するための医薬組成物並びにそれを用いた貧血及び線維性疾患の治療方法に関する。
BMP9は、Bone morphogenetic protein 9の略で、別名GDF2とも呼ばれる。BMP9は約20種類からなるBMP(骨形成蛋白質)ファミリー分子に属し、ヒトBMP9は429アミノ酸からなる分泌蛋白質である(非特許文献1)。
BMP9は、胎児期では脊髄又は体節間膜で、成体期では肝臓で主に発現し(非特許文献2、3及び4)、ヒトBMP9は血液中に2−12ng/mLの濃度で存在する血中循環因子であることが知られている(非特許文献5)。
生体内におけるBMP9の役割について、これまでBMP9欠損マウス又は動物への抗BMP9抗体投与に基づく報告は行われたことがないが、in vitroの知見に基づく報告はいくつか行われている。
例えば、肥大軟骨細胞の形成又は間葉細胞から軟骨への分化に対する促進作用の発現(非特許文献6、7及び8)、又は血液前駆細胞の産生若しくはコロニー形成に対する促進作用の発現(非特許文献9)である。また、BMP9には、臓器の線維化を促進する作用があることが報告されている(特許文献1)。
抗BMP9モノクローナル抗体として、BMP9に対する中和活性を有するモノクローナル抗体であるクローンNo.360107(R&Dシステムズ社製)、6D10−1−1及び10D5−2−3(特許文献2)、並びに3C7−3−1(特許文献3)が知られているが、その他の抗体は知られていなかった。
貧血とは“単位容積血液中の赤血球数、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値が正常より低下した状態”を指す(非特許文献10)。赤血球産生調節には種々な因子が働くが、最も重要かつ特異的な因子はエリスロポエチン(以下、EPOと表記する)である。
EPOは後期赤芽球コロニー形成細胞(colony−forming unit−erythroid:CFU−E)の増殖・分化を促進し、結果的に生体内の赤血球を増加させる(非特許文献10)。EPOは165アミノ酸からなる分子量30kDaの糖蛋白質ホルモンであり、主に腎臓から産生される(非特許文献10)。
腎疾患に伴う貧血(腎性貧血)は、EPOの産生組織である腎臓が障害を受けることによりEPOの産生が低下し、赤血球数が低下する、慢性腎疾患(CKD)患者に最も頻度の多い合併症である(非特許文献11)。腎性貧血は、QOLに影響を与えるだけでなく、心血管病変の発症・進展・腎機能障害の進行にも影響を与えることが知られている(非特許文献11、12)。
腎性貧血治療薬である遺伝子組換えヒトエリスロポエチンと、最近発売された血中半減期が長い持続型の第二世代EPO製剤は、広くESA(erythropoiesis−stimulating agent)と称される(非特許文献13)。
ESAは強力な赤血球造血作用を有するが、腎不全透析患者の15−20%にはESAを投与しても貧血改善効果が乏しい症例が存在する(これをESA抵抗性貧血又はESA低反応性貧血と呼ぶ)(非特許文献13)。
このようなESA抵抗性を呈する患者へのESAの過剰投与は、生命予後の悪化を引き起こすことが大規模介入臨床試験(CREATE試験及びCHOIR試験)の結果より示されている(非特許文献11、12、13)。
悪性腫瘍に伴う貧血(がん性貧血)は、種々のがんで認められる症状であり、その原因としては、失血を含む病状の進行に伴うものと、化学療法又は放射線療法などに関連したものとの2つがある(非特許文献14)。
がん性貧血に対してもESAは有効であることが示されているが、ESA投与によるがん増殖促進の可能性又は血栓梗塞症の増加の懸念も指摘されている(非特許文献14)。
線維性疾患は、慢性炎症に伴って臓器の機能を担う上皮細胞・組織がI型コラーゲンなどの細胞外マトリックスに置き換わる症状であり、線維化が進行すると最終的には臓器不全に至る。
国際公開第2010/128158号 国際公開第2014/007198号 国際公開第2014/051109号
J.Biol.Chem.,280,26,25111(2005) Nat.Biotechnology,21,294(2003) J.Biol.Chem.,275,24,17937(2000) J.Physiology−Paris,96,53(2002) Circ.Res.,102,8,914(2008) Gene Ther.,11,17,1312(2004) J.Biol.Chem.,284,1,649(2009) J.Boneminer.Res.,26,6,1166(2011) Growth Factors,21,2,71(2003) 標準血液病学(医学書院)(2000) 血液フロンティア,18,2,17(2008) 腎と透析,71,2,247(2011) 臨床透析,26、2,59(2010) 臨床透析,26,2,276(2010)
本発明が解決する課題は、抗BMP9抗体を有効成分とする、治療剤を提供することにより、腎性貧血若しくはがん性貧血などの貧血、又は肝疾患、腎疾患、強皮症、心疾患若しくは肺線維症などの線維性疾患を改善することにある。
本発明者らは、抗BMP9抗体の生体内における作用を明らかにする目的で、BMP9欠損マウスを用いて抗BMP9抗体の取得を試みたところ、既存抗体に比して、著しくBMP9に対する中和活性が向上した抗BMP9抗体の取得に成功した。更にこの抗BMP9抗体は、既存抗体よりも強い赤血球造血作用を有することを見出した。
本発明者らはこれらの知見に基づき、抗BMP9抗体を有効成分とする、腎性貧血若しくはがん性貧血などの貧血、又は肝疾患、腎疾患、強皮症、心疾患若しくは肺線維症などの線維性疾患に対する治療剤を提供できると考え、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(15)に関する。
(1)以下の(a)及び(b)から選ばれる1の抗体、又は該抗体と競合してヒトBMP9に結合し、かつ、ヒトBMP9への結合解離定数が1×10−10mol/L以下であるモノクローナル抗体若しくは該抗体断片。
(a)相補鎖決定領域(complementarity determining region、以下CDRと記す)1〜3がそれぞれ配列番号28〜30で表されるアミノ酸配列を含む抗体のH鎖を含み、かつCDR1〜3がそれぞれ配列番号31〜33で表されるアミノ酸配列を含む抗体のL鎖を含む抗体
(b)配列番号26で表されるアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域を含み、かつ配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域を含む抗体
(2)前記(a)及び(b)から選ばれる1の抗体が結合するエピトープに結合する、(1)に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
(3)遺伝子組換え抗体である、(1)または(2)に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
(4)ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体から選ばれる1の遺伝子組換え抗体である、(3)に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
(5)以下の(c)及び(d)から選ばれる1のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
(c)CDR1〜3がそれぞれ配列番号28〜30で表されるアミノ酸配列を含む抗体のH鎖を含み、かつCDR1〜3がそれぞれ配列番号31〜33で表されるアミノ酸配列を含む抗体のL鎖を含むモノクローナル抗体及び該抗体断片
(d)配列番号26で表されるアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域を含み、かつ配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体及び該抗体断片
(6)配列番号2で表されるヒトBMP9 mature領域のアミノ酸配列のうち、少なくとも、1番目から37番目までのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸に結合する、(1)〜(5)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
(7)Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)及びCDRを含むペプチドから選ばれる1の抗体断片である(1)〜(6)のいずれか1に記載の抗体断片。
(8)(1)〜(7)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片をコードするDNA。
(9)(8)に記載のDNAを含有する組換えベクター。
(10)(9)に記載の組換え体ベクターが宿主細胞に導入された形質転換株。
(11)(10)に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に(1)〜(7)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を生成蓄積させ、培養物から該モノクローナル抗体又は該抗体断片を採取することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片の製造方法。
(12)(1)〜(7)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を用いるヒトBMP9の免疫学的検出又は測定方法。
(13)(1)〜(7)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片と薬理学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
(14)(1)〜(7)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を投与することを含む、ヒトBMP9が関与する貧血の治療方法。
(15)(1)〜(7)のいずれか1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を投与することを含む、ヒトBMP9が関与する線維性疾患の治療方法。
本発明の抗体は、in vitroだけでなく、in vivoにおいても、既存抗体に比して、著しくBMP9に対する中和活性が向上した抗BMP9抗体である。BMP9は貧血及び線維性疾患等への関与が指摘されている分子である。このような特性を有する本発明の抗体を有効成分とすることにより、腎性貧血若しくはがん性貧血などの貧血、又は肝疾患、腎疾患、強皮症、心疾患若しくは肺線維症などの線維性疾患に対する治療剤を提供することができる。
図1は、取得した抗BMP9モノクローナル抗体のBMP9への結合特異性を酵素結合免疫吸着法(ELISA)によって測定した図である。縦軸は吸光度(波長450−570nm)を示す。 図2は、取得した抗BMP9モノクローナル抗体のBMP9 mature2量体への結合活性をELISAによって測定した図である。縦軸は吸光度(波長450−570nm)を示す。 図3は、取得した抗BMP9モノクローナル抗体の各種BMP分子に対する中和活性を調査した図である。縦軸は阻害活性(%)を示す。 図4は、ALK1/Id1−Luc/CHO細胞を用いて、取得した抗BMP9モノクローナル抗体のBMP9中和活性を先行抗体と比較したグラフである。横軸は抗体の添加濃度を、縦軸は阻害活性(%)を示す。三角は10D5−2−3抗体、四角は255−13−13抗体を示す。 図5(A)及び図5(B)は、取得した抗BMP9モノクローナル抗体の投与(4週間)による、マウス赤血球造血に対する作用を示す図である。図5(A)のグラフは赤血球数(RBC)の変化を示す。図5(A)のグラフの横軸は抗体名と抗体投与量(mg/kg)を、縦軸は赤血球数(×10Cells/μL)を示す。図5(B)のグラフはヘモグロビン(Hb)濃度の変化を示す。図5(B)のグラフの横軸は抗体名と抗体投与量(mg/kg)を、縦軸はヘモグロビン濃度(g/dL)を示す。図内のエラーバーは標準誤差(SE、n=8)を示す。溶媒投与群に対する各抗体投与群の測定値の統計学的有意差はStudent’s t−testを用いて解析し、**はP<0.01、***はP<0.001を示す。
本発明は、ヒトBMP9に結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片に関する。
ヒトBMP9は、配列番号1で表されるアミノ酸配列を持つ、一本鎖の前駆体蛋白質(Pre−Pro体)として合成される。この一本鎖のPre−Pro体は、配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち、ゴルジ体にて、1番目から22番目までのシグナルペプチド領域が切断された後、392番目に存在するシステイン残基間によるジスルフィド結合を介し、2量体(Pro2量体)を形成する。
その後、furin様プロテアーゼにより、配列番号1で表されるアミノ酸配列の319番目と320番目のアミノ酸残基間で切断がおこり、ジスルフィド結合を持たないN末側段片のpropeptide領域(配列番号1で表されるアミノ酸配列のうち、23番目のアミノ酸から319番目のアミノ酸までを含むペプチド)と配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるC末側断片(mature領域)に分割される。
前記mature領域は、propeptide領域の切断後も、配列番号2の73番目に残るシステイン残基間によるジスルフィド結合を介し、2量体を形成する(以下、mature2量体と表記する)。切断されたN末側のpropeptide領域の2分子は、このmature2量体1分子と非共有結合を介し複合体(以下、complex体とも言う)を形成し、その複合体の形で細胞から分泌される[J.Biol.Chem.,280,26,25111(2005)]。mature2量体及びmature2量体にN末propeptide領域が結合した複合体のいずれも、BMP9の機能を有している。
従って、本発明におけるヒトBMP9としては、配列番号1又はGenBankアクセッション番号NP_057288で示されるアミノ酸配列のうち、mature領域に相当する320番目から429番目までのアミノ酸配列(配列番号2)を含み、かつヒトBMP9の機能を有するポリペプチド、mature領域に相当する320番目から429番目までのアミノ酸配列(配列番号2)において、1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつヒトBMP9の機能を有するポリペプチド、及び配列番号2で示されるアミノ酸配列と60%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチド、最も好ましくは95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつヒトBMP9の機能を有するポリペプチド、ならびに上述のmature2量体、及びmature2量体にN末propeptide領域が結合した複合体も包含される。
前述のBMP9の機能としては、BMP9の細胞内のシグナル伝達への関与をいう。細胞内のシグナル伝達では、BMP9がTGFβスーパーファミリーに属するタイプI及びタイプIIの2つの受容体に結合することにより、当該受容体が活性化され、Smad1/5/8がリン酸化され、さらにリン酸化により活性化されたSmad1/5/8が、Smad4と複合体を形成後、核内に移行し、転写因子として機能する。
タイプI受容体としては、ALK1及びALK2が挙げられる。また、タイプII受容体としてはBMPタイプII受容体(BMPRII)、activinタイプIIa受容体(ActRIIa)、及びactivinタイプIIb受容体(ActRIIb)が挙げられる。
配列番号2で示されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、又は付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを得る方法としては、部位特異的変異導入法[Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、Current Protocols inmolecular Biology、John Wiley&Sons(1987−1997)、Nucleic Acids Research、10、6487(1982)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79、6409、(1982)、Gene、34、315(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82、488(1985)]などを用いて、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする遺伝子に部位特異的変異を導入する方法が挙げられる。
欠失、置換又は付加されるアミノ酸の数は特に限定されないが、好ましくは1個〜数十個、例えば、1〜20個、より好ましくは1個〜数個、例えば、1〜5個のアミノ酸である。
ヒトBMP9をコードする遺伝子としては、配列番号3又はGenBankアクセッション番号NM_016204で示される塩基配列が挙げられる。そのうち、mature領域に相当する配列番号4で示される塩基配列において、1以上の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列からなり、かつヒトBMP9の機能を有するポリペプチドをコードするDNAを含む遺伝子、配列番号4で示される塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有する塩基配列、好ましくは80%以上の相同性を有する塩基配列、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列からなり、かつヒトBMP9の機能を有するポリペプチドをコードするDNAを含む遺伝子、ならびに配列番号4で示される塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAからなり、かつヒトBMP9の機能を有するポリペプチドをコードするDNAを含む遺伝子なども、本発明のヒトBMP9をコードする遺伝子に包含される。
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、配列番号4で示される塩基配列を有するDNAをプローブに用いた、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハイブリダイゼーション法、サザンブロット・ハイブリダイゼーション法、又はDNAマイクロアレイ法などにより得られるハイブリダイズ可能なDNAを意味する。
具体的には、ハイブリダイズしたコロニー若しくはプラーク由来のDNA、又は該配列を有するPCR産物又はオリゴDNAを固定化したフィルター又はスライドガラスを用いて、0.7〜1.0mol/Lの塩化ナトリウム存在下、65℃でハイブリダイゼーション[Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、Current Protocols inmolecular Biology、John Wiley&Sons(1987−1997)、DNA Cloning 1:Coretechniques、A Practical Approach、Second Edition、Oxford University、(1995)]を行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルター又はスライドグラスを洗浄することにより同定できるDNAを挙げることができる。
前記ハイブリダイズ可能なDNAとしては、配列番号4で示される塩基配列と少なくとも60%以上の相同性を有するDNA、好ましくは80%以上の相同性を有するDNA、さらに好ましくは95%以上の相同性を有するDNAを挙げることができる。
真核生物の蛋白質をコードする遺伝子の塩基配列には、しばしば遺伝子の多型が認められる。本発明において用いられる遺伝子に、このような多型によって塩基配列に小規模な変異を生じた遺伝子も、本発明のBMP9をコードする遺伝子に包含される。
本発明における相同性の数値は、特に明示した場合を除き、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であってよいが、塩基配列については、BLAST[J.Mol.Biol.、215、403(1990)]においてデフォルトのパラメータを用いて算出される数値など、アミノ酸配列については、BLAST2[Nucleic Acids Res.、25、3389(1997)、Genome Res.、7、649(1997)、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/information3.html]においてデフォルトのパラメータを用いて算出される数値などが挙げられる。
デフォルトのパラメータとしては、G(Cost to open gap)が塩基配列の場合は5、アミノ酸配列の場合は11、−E(Cost to extend gap)が塩基配列の場合は2、アミノ酸配列の場合は1、−q(Penalty for nucleotide mismatch)が−3、−r(reward for nucleotide match)が1、−e(expect value)が10、−W(wordsize)が塩基配列の場合は11残基、アミノ酸配列の場合は3残基、−y[Dropoff(X)forblast extensions inbits]がblastnの場合は20、blastn以外のプログラムでは7、−X(X dropoff value forgapped alignment in bits)が15及びZ(final X dropoff value forgapped alignment in bits)がblastnの場合は50、blastn以外のプログラムでは25である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/html/blastcgihelp.html)。
配列番号1又はGenBankアクセッション番号NP_057288で示されるアミノ酸配列の部分配列からなるポリペプチドは、当業者に公知の方法によって作製することができ、例えば、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするDNAの一部を欠失させ、これを含む発現ベクターを導入した形質転換体を培養することにより作製することができる。
また、上記の方法で作製されるポリペプチド又はDNAに基づいて、上記と同様の方法により、配列番号1又はGenBankアクセッション番号NP_057288で示されるアミノ酸配列の部分配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを得ることができる。
さらに、配列番号1若しくはGenBankアクセッション番号NP_057288で示されるアミノ酸配列の部分配列からなるポリペプチド、又は配列番号1若しくはGenBankアクセッション番号NP_057288で示されるアミノ酸配列の部分配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列を有するポリペプチドは、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)法、t−ブチルオキシカルボニル(tBoc)法などの化学合成法によって製造することもできる。
本発明の抗体及び該抗体断片として、具体的には、以下の(a)及び(b)から選ばれる1の抗体、又は該抗体と競合してヒトBMP9に結合し、かつ、ヒトBMP9への結合解離定数が1×10−10mol/L以下であるモノクローナル抗体若しくは該抗体断片が挙げられる。
(a)相補鎖決定領域(complementarity determining region、以下CDRと記す)1〜3がそれぞれ配列番号28〜30で表されるアミノ酸配列を含む抗体の重鎖(以下、H鎖と記す)を含み、かつCDR1〜3がそれぞれ配列番号31〜33で表されるアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖(以下、L鎖と記す)を含む抗体
(b)配列番号26で表されるアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域(以下、VHと記す)を含み、かつ配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域(以下、VLと記す)を含む抗体
本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片は、ヒトBMP9への結合解離定数が1×10−10mol/L以下であり、下限は特に限定されないが、通常1×10−12mol/L以上である。
本発明のモノクローナル抗体及び該抗体断片の結合解離定数(K値)は、Biacoreシステム(GE Healthcare社製)を用いて測定したセンサーグラムから、シングルサイクルカイネティクス算出法(BIAevaluation Software ver.3、GE Healthcare社製)により解析することで、算出することができる。
本発明において、前記(a)及び(b)から選ばれる1の抗体と競合してヒトBMP9に結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片とは、ヒトBMP9に前記(a)及び(b)から選ばれる1の抗体と同一又は部分的に同一のエピトープ(抗原決定基ともいう)を有し、該エピトープに結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片をいう。
前記(a)及び(b)から選ばれる1の抗体が結合するエピトープと同一又は部分的に同一のエピトープに結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片とは、前記(a)及び(b)から選ばれる1の抗体が認識するヒトBMP9のアミノ酸配列と同じ配列を認識し結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片をいう。
本発明のモノクローナル抗体及び該抗体断片として、具体的には、以下の(c)及び(d)から選ばれる1のモノクローナル抗体及び該抗体断片が挙げられる。
(c)CDR1〜3がそれぞれ配列番号28〜30で表されるアミノ酸配列を含む抗体のH鎖を含み、かつCDR1〜3がそれぞれ配列番号31〜33で表されるアミノ酸配列を含む抗体のL鎖を含むモノクローナル抗体及び該抗体断片
(d)配列番号26で表されるアミノ酸配列を含む抗体のVHを含み、かつ配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む抗体のVLを含むモノクローナル抗体及び該抗体断片
さらに、本発明のモノクローナル抗体及び該抗体断片としては、前記(c)及び(d)から選ばれる1のモノクローナル抗体が結合するヒトBMP9に存在するエピトープと、同じエピトープに結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片を挙げることができる。
本発明のモノクローナル抗体及び該抗体断片としては、具体的には、配列番号2で表されるヒトBMP9 mature領域のアミノ酸配列のうち、少なくとも、1番目から37番目までのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸に結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片が挙げられる。
本発明におけるヒトBMP9のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号2で表されるヒトBMP9 mature領域のアミノ酸配列を2つ含み、73番目のシステイン残基間がジスルフィド結合を形成しているものが挙げられる。
本発明におけるALK1としては、配列番号6又はGenBankアクセッション番号AAH42637で示されるアミノ酸配列のうち、細胞外領域に相当する22番目から118番目までのアミノ酸配列を含むポリペプチドが挙げられる。
本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片が、ヒトBMP9のアミノ酸配列又はその立体構造に結合することは、固相抗原を用いた酵素結合免疫吸着法(ELISA)など、ヒトBMP9又はヒトBMP9を発現した組織に対する公知の免疫学的検出法、特定の抗原と特定抗原に対する抗体の結合活性を調べることができる方法などにより確認することができる。
例えば、Biacoreシステム(GE Healthcare社製)などを用いた表面プラズモン共鳴又はITC(DKSH社製)などを用いた等温滴定カロリメトリーなどの方法が挙げられる。
抗原に対する抗体の結合解離定数(K値)は、ELISA、表面プラズモン共鳴、等温滴定カロリメトリー、いずれの方法からも、スキャッチャード・プロット、又は各装置の添付文書に従った解析を行うことで、求めることができる。
また、公知の免疫学的検出法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice、Third edition、Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などを組み合わせて確認することもできる。
ヒトBMP9を発現した組織としては、該BMP9を発現していればいずれの組織でもよく、例えば、血液又は肝臓などが挙げられる。
本発明のモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマにより生産される抗体、又は抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した形質転換体により生産される遺伝子組換え抗体を挙げることができる。
モノクローナル抗体とは、単一クローンの抗体産生細胞が分泌する抗体であり、ただ一つのエピトープ(抗原決定基ともいう)を認識し、モノクローナル抗体を構成するアミノ酸配列(1次構造)が均一であることが特徴である。
エピトープとしては、例えば、モノクローナル抗体が認識し、結合する単一のアミノ酸配列、アミノ酸配列からなる立体構造、糖鎖が結合したアミノ酸配列及び糖鎖が結合したアミノ酸配列からなる立体構造などが挙げられる。
本発明のモノクローナル抗体及び該抗体断片は、ヒトBMP9のアミノ酸配列若しくはその立体構造を認識し、かつ結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片、又はヒトBMP9のアミノ酸配列若しくはその立体構造に結合するモノクローナル抗体及び該抗体断片であることが好ましい。また、本発明のモノクローナル抗体が結合するエピトープは、ヒトBMP9のアミノ酸配列に含まれることが好ましい。
本発明におけるヒトBMP9の立体構造としては、配列番号1、GenBankアクセッション番号NP_057288又は配列番号2で示されるアミノ酸配列を含むヒトBMP9が天然状態でとりうる構造と同等の構造を有していればいずれの構造でもよい。
ヒトBMP9が天然状態でとりうる立体構造とは、ヒトBMP9の天然型の立体構造のことをいう。
ハイブリドーマは、例えば、上記のヒトBMP9を抗原として調製し、該抗原を免疫した動物より抗原特異性を有する抗体生産細胞を誘導し、さらに、該抗体生産細胞と骨髄腫細胞とを融合させることにより、調製することができる。該ハイブリドーマを培養するか、又は該ハイブリドーマ細胞を動物に投与して該動物を腹水がん化させ、該培養液又は腹水を分離、精製することにより抗BMP9モノクローナル抗体を取得することができる。
抗原を免疫する動物としては、ハイブリドーマを作製することが可能であれば、いかなるものも用いることができるが、好ましくはマウス、ラット、ハムスター、ニワトリ又はラビットなどが用いられる。また、このような動物から抗体産生能を有する細胞を取得し、該細胞にin vitroで免疫を施した後に、骨髄腫細胞と融合して作製したハイブリドーマが生産する抗体なども本発明の抗体に包含される。
本発明における遺伝子組換え抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト型CDR移植抗体、ヒト抗体又は抗体断片など、遺伝子組換えにより製造される抗体を包含する。遺伝子組換え抗体において、モノクローナル抗体の特徴を有し、抗原性が低く、血中半減期が延長されたものは、治療薬として好ましい。遺伝子組換え抗体としては、例えば、上記本発明のモノクローナル抗体を遺伝子組換え技術を用いて改変したものが挙げられる。
ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVH及びVLとヒト抗体の重鎖定常領域(以下、CHと記す)及び軽鎖定常領域(以下、CLと記す)からなる抗体をいう。本発明のヒト型キメラ抗体は、前記のハイブリドーマより、VH及びVLをコードするcDNAを取得し、ヒト抗体のCH及びCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、好ましくはhIgGクラスのものが用いられ、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3又はhIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラス又はλクラスのものを用いることができる。
本発明のヒト型キメラ抗体として具体的には、配列番号26で表されるアミノ酸配列を含む抗体のVHを含み、配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む抗体のVLを含むキメラ抗体が挙げられる。
ヒト型CDR移植抗体とは、ヒト化抗体という場合もあり、ヒト以外の動物の抗体のVH及びVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVH及びVLの適切な位置に移植した抗体をいう。本発明のヒト型CDR移植抗体は、ヒトBMP9を特異的に認識し、かつヒトBMP9のアミノ酸配列、又はその立体構造に結合するヒト以外の動物のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから産生されるヒト以外の動物の抗体のVH及びVLのCDRのアミノ酸配列を任意のヒト抗体のVH及びVLのフレームワーク領域(以下、FRと表記する)に移植したV領域をコードするcDNAを構築し、ヒト抗体のCH及びCLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト型CDR移植抗体のCHとしては、hIgに属すればいかなるものでもよいが、好ましくはhIgGクラスのものが用いられ、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3又はhIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型CDR移植抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラス又はλクラスのものを用いることができる。
本発明のヒト型CDR移植抗体として具体的には、CDR1〜3が配列番号28〜30で表されるアミノ酸配列を含む抗体のVHを含み、かつCDR1〜3が配列番号31〜33で表されるアミノ酸配列を含む抗体のVLを含むヒト化抗体が挙げられる。
ヒト抗体は、元来、ヒト体内に天然に存在する抗体をいうが、最近の遺伝子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリー及びヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗体なども含まれる。
ヒト体内に天然に存在する抗体は、例えば、ヒト末梢血リンパ球を単離し、EBウイルスなどを感染させ不死化し、クローニングすることにより、該抗体を産生するリンパ球を培養でき、培養上清中より該抗体を精製することができる。
ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入することによりFab、scFvなどの抗体断片をファージ表面に発現させたライブラリーである。該ライブラリーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望の抗原結合活性を有する抗体断片を表面に発現しているファージを回収することができる。該抗体断片は、さらに、遺伝子工学的手法により2本の完全なH鎖及び2本の完全なL鎖からなるヒト抗体分子へも変換することができる。
ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、ヒト抗体遺伝子が細胞内に組込まれた動物を意味する。具体的には、例えば、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、該ES細胞をマウスの初期胚へ移植後、発生させることによりヒト抗体産生トランスジェニックマウスを作製することができる。
ヒト抗体産生トランスジェニック動物からのヒト抗体は、通常のヒト以外の動物で行われているハイブリドーマ作製方法を用い、ヒト抗体産生ハイブリドーマを取得し、培養することで培養上清中にヒト抗体を産生蓄積させることにより作製できる。
上述の抗体又は抗体断片を構成するアミノ酸配列において、1つ以上のアミノ酸が欠失、付加、置換又は挿入され、かつ上述の抗体又は該抗体断片と同様な活性を有するモノクローナル抗体又は該抗体断片も、本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片に包含される。
欠失、置換、挿入及び/又は付加されるアミノ酸の数は1個以上でありその数は特に限定されないが、部位特異的変異導入法[Molecular Cloning 2nd Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、Current Protocols inmolecular Biology、John Wiley&Sons(1987−1997)、Nucleic Acids Research、10、6487(1982)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79、6409(1982)、Gene、34、315(1985)、Nucleic Acids Research、13、4431(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82、488(1985)]などの周知の技術により、欠失、置換若しくは付加できる程度の数である。例えば、好ましくは1〜数十個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個である。
上記の抗体のアミノ酸配列において1つ以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたとは、次のことを示す。即ち、同一配列中の任意、かつ1若しくは複数のアミノ酸配列中において、1又は複数のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入又は付加があることを意味する。また、欠失、置換、挿入又は付加が同時に生じる場合もあり、置換、挿入又は付加されるアミノ酸残基は天然型と非天然型いずれの場合もある。
天然型アミノ酸残基としては、例えば、L−アラニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、又はL−システインなどが挙げられる。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の好ましい例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2−アミノブタン酸、メチオニン、O−メチルセリン、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン
B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2−アミノアジピン酸、2−アミノスベリン酸
C群:アスパラギン、グルタミン
D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2、4−ジアミノブタン酸、2、3−ジアミノプロピオン酸
E群:プロリン、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン
F群:セリン、スレオニン、ホモセリン
G群:フェニルアラニン、チロシン
本発明において、抗体断片としては、Fab、F(ab’)、Fab’、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)及びCDRを含むペプチドなどが挙げられる。
Fabは、IgGを蛋白質分解酵素であるパパインで処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のFabは、本発明のモノクローナル抗体をパパインで処理して得ることができる。また、該抗体のFabをコードするDNAを原核生物用発現ベクター又は真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物又は真核生物へ導入することにより発現させ、Fabを製造することもできる。
F(ab’)は、IgGのヒンジ領域のジスルフィド結合の下部を蛋白質分解酵素であるペプシンで分解して得られた、2つのFab領域がヒンジ部分で結合して構成された、分子量約10万の抗原結合活性を有する断片である。
本発明のF(ab’)は、本発明のモノクローナル抗体をペプシンで処理して得ることができる。また、下記のFab’をチオエーテル結合又はジスルフィド結合させ、作製することもできる。
Fab’は、前記F(ab’)のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。本発明のFab’は、本発明のF(ab’)をジチオスレイトールなどの還元剤で処理して得ることができる。また、該抗体のFab’断片をコードするDNAを原核生物用発現ベクター又は真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物又は真核生物へ導入することにより発現させ、Fab’を製造することもできる。
scFvは、1本のVHと1本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、Pと表記する)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドで、抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明のscFvは、本発明のモノクローナル抗体のVH及びVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクター又は真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物又は真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
diabodyは、scFvが二量体化した抗体断片で、二価の抗原結合活性を有する抗体断片である。二価の抗原結合活性は、同一であることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。
本発明のdiabodyは、本発明のモノクローナル抗体のVH及びVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAをペプチドリンカーのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、該DNAを原核生物用発現ベクター又は真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物又は真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
dsFvは、VH及びVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシステイン残基に置換したポリペプチドを該システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基は既知の方法[Protein Engineering、7、697(1994)]に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。
本発明のdsFvは、本発明のモノクローナル抗体のVH及びVLをコードするcDNAを取得し、dsFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクター又は真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物又は真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
CDRを含むペプチドは、VH又はVLのCDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数のCDRを含むペプチドは、直接又は適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。
本発明のCDRを含むペプチドは、本発明のモノクローナル抗体のVH及びVLのCDRをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクター又は真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物又は真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法、又はtBoc法などの化学合成法によって製造することもできる。
本発明のモノクローナル抗体には、本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片に放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、蛋白質などを化学的又は遺伝子工学的に結合させた抗体の誘導体を包含する。抗体の誘導体を検出方法、定量方法、検出用試薬、又は定量用試薬として使用する場合には、本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片に結合する薬剤として、通常の免疫学的検出又は測定法で用いられる標識体が挙げられる。
本発明における、抗体の誘導体は、本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片のH鎖又はL鎖のN末端側又はC末端側、抗体又は該抗体断片中の適当な置換基又は側鎖、さらにはモノクローナル抗体又は該抗体断片中の糖鎖などに、放射性同位元素、低分子の薬剤、高分子の薬剤、蛋白質などを化学的手法[抗体工学入門、地人書館(1994)]により結合させることにより製造することができる。
また、本発明における、抗体の誘導体は、本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片をコードするDNAと、結合させたい蛋白質をコードするDNAを連結させて発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを適当な宿主細胞へ導入し、発現させる遺伝子工学的手法より製造することができる。
放射性同位元素としては、例えば、131I、125I、90Y、64Cu、99Tc、77Lu、又は211Atなどが挙げられる。放射性同位元素は、クロラミンT法などによって抗体に直接結合させることができる。また、放射性同位元素をキレートする物質を抗体に結合させてもよい。キレート剤としては、例えば、1−イソチオシアネートベンジル−3−メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX−DTPA)などが挙げられる。
低分子の薬剤としては、例えば、アクリジニウムエステル若しくはロフィンなどの発光物質、又はフルオレセインイソチオシアネート(FITC)若しくはテトラメチルローダミンイソチオシアネート(RITC)などの蛍光物質などが挙げられる。
低分子の薬剤と抗体とを結合させる方法としては、例えば、グルタールアルデヒドを介して薬剤と抗体のアミノ基間を結合させる方法、又は水溶性カルボジイミドを介して薬剤のアミノ基と抗体のカルボキシル基を結合させる方法などが挙げられる。
高分子の薬剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(以下、PEGと表記する)、アルブミン、デキストラン、ポリオキシエチレン、スチレンマレイン酸コポリマー、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、又はヒドロキシプロピルメタクリルアミドなどが挙げられる。
これらの高分子化合物を抗体又は抗体断片に結合させることにより、(1)化学的、物理的又は生物的な種々の因子に対する安定性の向上、(2)血中半減期の顕著な延長、(3)免疫原性の消失又は抗体産生の抑制、などの効果が期待される[バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店(1993)]。
PEGと抗体を結合させる方法としては、例えば、PEG化修飾試薬と反応させる方法などが挙げられる[バイオコンジュゲート医薬品、廣川書店(1993)]。PEG化修飾試薬としては、リジンのe−アミノ基への修飾剤(日本国特開昭61−178926号公報)、アスパラギン酸及びグルタミン酸のカルボキシル基への修飾剤(日本国特開昭56−23587号公報)、又はアルギニンのグアニジノ基への修飾剤(日本国特開平2−117920号公報)などが挙げられる。
蛋白質としては、例えば、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ若しくはルシフェラーゼなどの酵素が挙げられる。
また、本発明は、本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片を有効成分として含有するBMP9が関与する疾患の治療剤に関する。
BMP9が関与する疾患としては、血液又は造血機能自体に原因がある一次性貧血、他の病気が原因でひき起こされる二次性貧血及び線維性疾患が挙げられる。一次性貧血としては、例えば、鉄欠乏性貧血、巨大赤芽球性貧血、溶血性貧血又は再生不良性貧血などが挙げられる。二次性貧血としては、例えば、腎疾患、感染症(例えば、結核、感染性心内膜炎又は肝膿瘍など)、膠原病(例えば、慢性関節リウマチ又は全身性エリテマトーデスなど)、がんなどの悪性疾患、肝疾患又は内分泌疾患などが挙げられる。
がんとしては、例えば、血液がん、乳癌、子宮癌、大腸癌、食道癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、腎臓癌、直腸癌、甲状腺癌、子宮頸癌、小腸癌、前立腺癌又は膵臓癌などが挙げられ、好ましくは血液がん、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌又は前立腺癌が挙げられる。
血液がんとしては、例えば、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia、CML)、骨髄異形成症候群(myelodysplasticsyndromes、MDS)、多発性骨髄腫(multiple myeloma)、皮膚T細胞性リンパ腫(cutaneous Tcell lymphoma、CTCL)、末梢T細胞性リンパ腫(peripheral Tcell lymphoma、PTCL)、未分化大細胞型リンパ腫(anaplastic largecell lymphoma、ALCL)、急性リンパ性白血病(acute lympatic leukemia、ALL)、慢性リンパ性白血病(chronic lympatic leukemia、CLL)、その他リンパ性白血病、NK細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、又は、バーキットリンパ腫をはじめとする非ホジキンリンパ腫などが挙げられる。
肝疾患としては、例えば、肝線維症、慢性肝炎、肝硬変又は肝不全などが挙げられる。内分泌疾患としては、例えば、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症、下垂体機能低下症又は副甲状腺機能亢進症などが挙げられる。
また線維性疾患とは、臓器組織の局所に線維成分が増加する線維化、及び、臓器の全体に広がる線維症を引き起こす疾患である。線維性疾患としては、肝臓、肺、腎臓、皮膚、骨髄、心膜又は血管等の組織で発生するものであれば、いずれでもよい。より具体的には、例えば、肝線維症、慢性肝炎、肝硬変若しくは肝不全を含む肝疾患、肺線維症、腎疾患、強皮症、骨髄線維症、心疾患又は血管線維症等が挙げられる。
本発明の治療剤としては、上述した本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片を有効成分として含有する。
本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片、又はこれらの誘導体を含有する治療剤は、有効成分としての該抗体若しくは該抗体断片、又はこれらの誘導体のみを含むものであってもよいが、通常は薬理学的に許容される1以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野において公知の任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが好ましい。
投与経路は、治療に際して最も効果的なものを使用するのが好ましく、経口投与、又は口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内若しくは静脈内などの非経口投与が挙げられ、好ましくは静脈内投与若しくは皮下投与を挙げられる。
投与形態としては、例えば、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、坐剤、注射剤、軟膏、又はテープ剤などが挙げられる。
投与量又は投与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、及び体重などにより異なるが、通常成人1日当たり10μg/kg〜10mg/kgである。
さらに、本発明は、BMP9のアミノ酸配列、又はその立体構造を特異的に認識し、かつ結合するモノクローナル抗体又は該抗体断片を有効成分として含有する、BMP9の免疫学的検出又は測定方法に関する。
本発明においてBMP9の量を検出又は測定する方法としては、任意の公知の方法が挙げられる。例えば、免疫学的検出又は測定方法などが挙げられる。
免疫学的検出又は測定方法とは、標識を施した抗原又は抗体を用いて、抗体量又は抗原量を検出又は測定する方法である。免疫学的検出又は測定方法としては、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)、酵素免疫測定法(EIA又はELISA)、蛍光免疫測定法(FIA)、発光免疫測定法(luminescent immunoassay)、ウェスタンブロット法又は物理化学的手法などが挙げられる。
以下に、本発明の抗体の製造方法、疾患の治療方法、及び疾患の診断方法について、具体的に説明する。
1.モノクローナル抗体の製造方法
(1)抗原の調製
抗原となるBMP9又はBMP9を発現した組織は、BMP9全長又はその部分長をコードするcDNAを含む発現ベクターを、大腸菌、酵母、昆虫細胞、又は動物細胞などに導入することにより、得ることができる。また、BMP9を多量に発現しているヒト組織からBMP9を精製し、得ることが出来る。また、該組織などをそのまま抗原として用いることもできる。さらに、Fmoc法、又はtBoc法などの化学合成法によりBMP9の部分配列を有する合成ペプチドを調製し、抗原に用いることもできる。
本発明で用いられるBMP9は、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)又はCurrent Protocols inmolecular Biology、John Wiley&Sons(1987−1997)などに記載された方法などを用い、例えば以下の方法により、該BMP9をコードするDNAを宿主細胞中で発現させて、製造することができる。
まず、BMP9をコードする部分を含む完全長cDNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターを作製する。上記完全長cDNAの代わりに、完全長cDNAをもとにして調製された、ポリペプチドをコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を用いてもよい。次に、得られた該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、ポリペプチドを生産する形質転換体を得ることができる。
発現ベクターとしては、使用する宿主細胞における自律複製又は染色体中への組込みが可能で、ポリペプチドをコードするDNAを転写できる位置に、適当なプロモーターを含有しているものであればいずれも用いることができる。
宿主細胞としては、大腸菌などのエシェリヒア属などに属する微生物、酵母、昆虫細胞、又は動物細胞など、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。
大腸菌などの原核生物を宿主細胞として用いる場合、組換えベクターは、原核生物中で自律複製が可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、BMP9をコードする部分を含むDNA、及び転写終結配列を含むベクターであることが好ましい。また、該組換えベクターには、転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。さらに、該組換えベクターには、プロモーターを制御する遺伝子を含んでいてもよい。
該組換えベクターとしては、リボソーム結合配列であるシャイン・ダルガルノ配列(SD配列ともいう)と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。
また、該BMP9をコードするDNAの塩基配列としては、宿主内での発現に最適なコドンとなるように塩基を置換することができ、これにより目的とするBMP9の生産率を向上させることができる。
発現ベクターとしては、使用する宿主細胞中で機能を発揮できるものであればいずれも用いることができ、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(以上、ロシュ・ダイアグノスティックス社製)、pKK233−2(ファルマシア社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX−1(プロメガ社製)、pQE−8(キアゲン社製)、pKYP10(日本国特開昭58−110600号公報)、pKYP200[Agricultural Biological Chemistry、48、669(1984)]、pLSA1[Agricbiol.Chem.、53、277(1989)]、pGEL1[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82、4306(1985)]、pBluescript II SK(−)(ストラタジーン社製)、pTrs30[大腸菌JM109/pTrS30(FERM BP−5407)より調製]、pTrs32[大腸菌JM109/pTrS32(FERM BP−5408)より調製]、pGHA2[大腸菌IGHA2(FERM BP−400)より調製、日本国特開昭60−221091号公報]、pGKA2[大腸菌IGKA2(FERM BP6798)より調製、日本国特開昭60−221091号公報]、pTerm2(米国特許第4686191号明細書、米国特許第4939094号明細書、米国特許第5160735号明細書)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400[J.Bacteriol.、172、2392(1990)]、pGEX(ファルマシア社製)、pETシステム(ノバジェン社製)、又はpME18SFL3などが挙げられる。
プロモーターとしては、使用する宿主細胞中で機能を発揮できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、又はT7プロモーターなどの、大腸菌又はファージなどに由来するプロモーターを挙げることができる。また、Ptrpを2つ直列させたタンデムプロモーター、tacプロモーター、lacT7プロモーター、又はlet Iプロモーターなどの人為的に設計改変されたプロモーターなども用いることができる。
宿主細胞としては、例えば、大腸菌XL−1Blue、大腸菌XL2−Blue、大腸菌DH1、大腸菌MC1000、大腸菌KY3276、大腸菌W1485、大腸菌JM109、大腸菌HB101、大腸菌No.49、大腸菌W3110、大腸菌NY49、又は大腸菌DH5αなどが挙げられる。
宿主細胞への組換えベクターの導入方法としては、使用する宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、69、2110(1972)、Gene、17、107(1982)、Molecular&General Genetics、168、111(1979)]が挙げられる。
動物細胞を宿主として用いる場合、発現ベクターとしては、動物細胞中で機能を発揮できるものであればいずれも用いることができ、例えば、pcDNA I、pcDM8(フナコシ社製)、pAGE107[日本国特開平3−22979号公報;Cytotechnology、3、133(1990)]、pAS3−3(日本国特開平2−227075号公報)、pcDM8[Nature、329、840(1987)]、pcDNA I/Amp(インビトロジェン社製)、pcDNA3.1(インビトロジェン社製)、pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE103[J.Biochemistry、101、1307(1987)]、pAGE210、pME18SFL3、又はpKANTEX93(国際公開第97/10354号)などが挙げられる。
プロモーターとしては、動物細胞中で機能を発揮できるものであればいずれも用いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のimmediate early(IE)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター、又はモロニーマウス白血病ウイルスのプロモーター若しくはエンハンサーが挙げられる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、例えば、ヒト白血病細胞Namalwa細胞、サル細胞COS細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣細胞CHO細胞(Journal of Experimental Medicine、108、945(1958);Proc.Natl.Acad.Sci.USA、60、1275(1968);Genetics、55、513(1968);Chromosoma、41、129(1973);Methods in Cell Science、18、115(1996);Radiation Research、148、260(1997);Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77、4216(1980);Proc.Natl.Acad.Sci.USA、60、1275(1968);Cell、6、121(1975);Molecular Cellgenetics、Appendix I、II(pp.883−900))、CHO/DG44、CHO−K1(ATCC番号:CCL−61)、DUkXB11(ATCC番号:CCL−9096)、Pro−5(ATCC番号:CCL−1781)、CHO−S(Life Technologies、Cat#11619)、Pro−3、ラットミエローマ細胞YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20(又はYB2/0ともいう)、マウスミエローマ細胞NSO、マウスミエローマ細胞SP2/0−Ag14、シリアンハムスター細胞BHK又はHBT5637(日本国特開昭63−000299号公報)などが挙げられる。
宿主細胞への組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。例えば、エレクトロポレーション法[Cytotechnology、3、133(1990)]、リン酸カルシウム法(日本国特開平2−227075号公報)、又はリポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、7413(1987)]などが挙げられる。
以上のようにして得られるBMP9をコードするDNAを組み込んだ組換えベクターを保有する微生物、又は動物細胞などの由来の形質転換体を培地に培養し、培養物中に該BMP9を生成蓄積させ、該培養物から採取することにより、BMP9を製造することができる。該形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
真核生物由来の細胞で発現させた場合には、糖又は糖鎖が付加されたBMP9を得ることができる。
誘導性のプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養する場合にはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなどを、trpプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養する場合にはインドールアクリル酸などを培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、例えば、一般に使用されているRPMI1640培地[The Journal of the American Medical Association、199、519(1967)]、EagleのMEM培地[Science、122、501(1952)]、ダルベッコ改変MEM培地[Virology、8、396(1959)]、199培地[Proc.Soc.Exp.Biol.Med.、73、1(1950)]、Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium(IMDM)培地、又はこれら培地に牛胎児血清(FBS)などを添加した培地などが挙げられる。
培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、5%CO存在下などの条件下で1〜7日間行う。また、培養中必要に応じて、カナマイシン又はペニシリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。
BMP9をコードする遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、分泌生産又は融合蛋白質発現などの方法[Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]を用いることができる。
BMP9の生産方法としては、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌させる方法、又は宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、使用する宿主細胞、又は生産させるBMP9の構造を変えることにより、適切な方法を選択することができる。
BMP9が宿主細胞内又は宿主細胞外膜上に生産される場合、ポールソンらの方法[J.Biol.Chem.、264、17619(1989)]、ロウらの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86、8227(1989)、Genes Develop.、4、1288(1990)]、日本国特開平05−336963号公報、又は国際公開第94/23021号などに記載の方法を用いることにより、BMP9を宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
また、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子などを用いた遺伝子増幅系(日本国特開平2−227075号公報)を利用してBMP9の生産量を上昇させることもできる。
得られたBMP9は、例えば、以下のようにして単離、精製することができる。
BMP9が細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後に細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、又はダイノミルなどを用いて細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。
前記無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、通常の蛋白質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安などによる塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化学社製)などのレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(ファルマシア社製)などのレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロースなどのレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、又は等電点電気泳動などの電気泳動法などの手法を単独又は組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
BMP9が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、上記と同様に細胞を回収後破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分として該BMP9の不溶体を回収する。回収した該BMP9の不溶体を蛋白質変性剤で可溶化する。該可溶化液を希釈又は透析することにより、該BMP9を正常な立体構造に戻した後、上記と同様の単離精製法によりポリペプチドの精製標品を得ることができる。
BMP9又はその糖修飾体などの誘導体が細胞外に分泌された場合には、培養上清において該BMP9又はその糖修飾体などの誘導体を回収することができる。該培養物を上記と同様に遠心分離などの手法により処理することにより可溶性画分を取得し、該可溶性画分から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
また、本発明において用いられるBMP9は、Fmoc法、又はtBoc法などの化学合成法によっても製造することができる。また、アドバンストケムテック社製、パーキン・エルマー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジインストルメント社製、シンセセル−ベガ社製、パーセプチブ社製、又は島津製作所社製などのペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
(2)動物の免疫と融合用抗体産生細胞の調製
3〜20週令のマウス、ラット又はハムスターなどの動物に、(1)で得られる抗原を免疫して、その動物の脾、リンパ節、末梢血中の抗体産生細胞を採取する。また、免疫原性が低く上記の動物で充分な抗体価の上昇が認められない場合には、BMP9ノックアウトマウスを被免疫動物として用いることもできる。
免疫は、動物の皮下、静脈内又は腹腔内に、例えば、フロインドの完全アジュバント、又は水酸化アルミニウムゲルと百日咳菌ワクチンなどの適当なアジュバントとともに抗原を投与することにより行う。抗原が部分ペプチドである場合には、BSA(ウシ血清アルブミン)、又はKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)などのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製し、これを免疫原として用いる。
抗原の投与は、1回目の投与の後、1〜2週間おきに2〜10回行う。各投与後3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、その血清の抗体価を酵素免疫測定法[Antibodies−A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]などを用いて測定する。免疫に用いた抗原に対し、その血清が十分な抗体価を示した動物を融合用抗体産生細胞の供給源とする。
抗原の最終投与後3〜7日目に、免疫した動物より脾臓などの抗体産生細胞を含む組織を摘出し、抗体産生細胞を採取する。脾臓細胞を用いる場合には、脾臓を細断、ほぐした後、遠心分離し、さらに赤血球を除去して融合用抗体産生細胞を取得する。
(3)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスから得られた株化細胞を用い、例えば、8−アザグアニン耐性マウス(Balb/C由来)骨髄腫細胞株P3−X63Ag8−U1(P3−U1)[Current Topics in Microbiology and Immunology、18、1(1978)]、P3−NS1/1Ag41(NS−1)[European J.Immunology、6、511(1976)]、SP2/0−Ag14(SP−2)[Nature、276、269(1978)]、P3−X63−Ag8653(653)[J.Immunology、123、1548(1979)]、又はP3−X63−Ag8(X63)[Nature、256、495(1975)]などが用いられる。
該骨髄腫細胞は、正常培地[グルタミン、2−メルカプトエタノール、ジェンタマイシン、FBS、及び8−アザグアニンを加えたRPMI1640培地]で継代し、細胞融合の3〜4日前に正常培地に継代し、融合当日2×10個以上の細胞数を確保する。
(4)細胞融合とモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの調製
(2)で得られる融合用抗体産生細胞と(3)で得られる骨髄腫細胞をMinimum Essential Medium(MEM)培地又はPBS(リン酸二ナトリウム1.83g、リン酸一カリウム0.21g、食塩7.65g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、細胞数が、融合用抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、遠心分離した後、上清を除く。
沈澱した細胞群をよくほぐした後、ポリエチレングリコール−1000(PEG−1000)、MEM培地及びジメチルスルホキシドの混液を37℃にて、攪拌しながら加える。さらに1〜2分間毎にMEM培地1〜2mLを数回加えた後、MEM培地を加えて全量が50mLになるようにする。遠心分離後、上清を除く。沈澱した細胞群をゆるやかにほぐした後、融合用抗体産生細胞にHAT培地[ヒポキサンチン、チミジン、及びアミノプテリンを加えた正常培地]中にゆるやかに細胞を懸濁する。この懸濁液を5%COインキュベーター中、37℃にて7〜14日間培養する。
培養後、培養上清の一部を抜き取り、後述のバインディングアッセイなどのハイブリドーマの選択方法により、BMP9を含む抗原に反応し、BMP9を含まない抗原に反応しない細胞群を選択する。次に、限界希釈法によりクローニングを2回繰り返し[1回目はHT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目は正常培地を使用する]、安定して強い抗体価の認められたものをモノクローナル抗体産生ハイブリドーマとして選択する。
(5)精製モノクローナル抗体の調製
プリスタン処理[2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(Pristane)0.5mLを腹腔内投与し、2週間飼育する]した8〜10週令のマウス又はヌードマウスに、(4)で得られるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを腹腔内に注射する。10〜21日でハイブリドーマは腹水がん化する。このマウスから腹水を採取し、遠心分離して固形分を除去後、40〜50%硫酸アンモニウムで塩析し、カプリル酸沈殿法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラム又はゲル濾過カラムによる精製を行ない、IgG又はIgM画分を集め、精製モノクローナル抗体とする。
また、(4)で得られるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを、10%FBS添加を添加したRPMI1640培地などで培養した後、遠心分離により上清を除き、Hybridoma−SFM培地に懸濁し、3〜7日間培養する。得られた細胞懸濁液を遠心分離し、得られた上清よりプロテインA−カラム又はプロテインG−カラムによる精製を行ない、IgG画分を集め、精製モノクローナル抗体を得ることもできる。なお、Hybridoma−SFM培地には5%ダイゴGF21を添加することもできる。
抗体のサブクラスの決定は、サブクラスタイピングキットを用いて酵素免疫測定法により行う。蛋白量の定量は、ローリー法又は280nmでの吸光度より算出する。
(6)モノクローナル抗体の選択
モノクローナル抗体の選択は以下に示す酵素免疫測定法によるバインディングアッセイ、及びBiacoreによるkinetics解析により行う。
(6−a)バインディングアッセイ
抗原としては、(1)で得られるBMP9をコードするcDNAを含む発現ベクターを大腸菌、酵母、昆虫細胞、又は動物細胞などに導入して得られた遺伝子導入細胞、リコンビナント蛋白質、又はヒト組織から得た精製ポリペプチド又は部分ペプチドなどを用いる。抗原が部分ペプチドである場合には、BSA又はKLHなどのキャリア蛋白質とコンジュゲートを作製して、これを用いてもよい。
抗原を96ウェルプレートなどのプレートに分注し、固相化した後、第1抗体として血清、ハイブリドーマの培養上清又は精製モノクローナル抗体などの被験物質を分注し、反応させる。PBS又はPBS−Tweenなどで、よく洗浄した後、第2抗体としてビオチン、酵素、化学発光物質又は放射線化合物などで標識した抗イムノグロブリン抗体を分注して反応させる。PBS−Tweenでよく洗浄した後、第2抗体の標識物質に応じた反応を行ない、免疫原に対し特異的に反応するモノクローナル抗体を選択する。
また、本発明のモノクローナル抗体は、上述のバインディングアッセイ系に、被検抗体を添加して反応させることで取得できる。すなわち、被検抗体を加えた時にモノクローナル抗体の結合が阻害される抗体をスクリーニングすることにより、BMP9のアミノ酸配列、又はその立体構造への結合について、取得したモノクローナル抗体と競合するモノクローナル抗体を取得することができる。
さらに、本発明のモノクローナル抗体が認識するエピトープと、同じエピトープに結合する抗体は、上述のバインティングアッセイ系で取得された抗体のエピトープを同定し、同定したエピトープの、部分的な合成ペプチド、又はエピトープの立体構造に擬態させた合成ペプチド等を作製し、免疫することで、取得することができる。
(6−b)Biacoreによるkinetics解析
Biacore T100を用い、抗原と被験物の間の結合におけるkineticsを測定し、その結果を機器付属の解析ソフトウエアで解析をする。抗マウスIgG抗体をセンサーチップCM5にアミンカップリング法により固定した後、ハイブリドーマ培養上清又は精製モノクローナル抗体などの被験物質を流し、適当量結合させ、さらに濃度既知の複数濃度の抗原を流し、結合、解離を測定する。
得られたデータを機器付属のソフトウエアを用い、1:1バインディングモデルによりkinetics解析を行い、各種パラメータを取得する。又は、ヒトBMP9をセンサーチップ上に、例えばアミンカップリング法により固定した後、濃度既知の複数濃度の精製モノクローナル抗体を流し、結合、解離を測定する。得られたデータを機器付属のソフトウエアを用い、バイバレントバインディングモデルによりkinetics解析を行い、各種パラメータを取得する。
2.遺伝子組換え抗体の作製
遺伝子組換え抗体の作製例として、以下にヒト型キメラ抗体及びヒト型CDR移植抗体の作製方法を示す。
(1)遺伝子組換え抗体発現用ベクターの構築
遺伝子組換え抗体発現用ベクターは、ヒト抗体のCH及びCLをコードするDNAが組み込まれた動物細胞用発現ベクターであり、動物細胞用発現ベクターにヒト抗体のCH及びCLをコードするDNAをそれぞれクローニングすることにより構築することができる。
ヒト抗体のC領域は任意のヒト抗体のCH及びCLを用いることができる。例えば、ヒト抗体のγ1サブクラスのCH及びκクラスのCLなどを用いる。ヒト抗体のCH及びCLをコードするDNAには、cDNAを用いるが、エキソンとイントロンからなる染色体DNAを用いることもできる。
動物細胞用発現ベクターには、ヒト抗体のC領域をコードする遺伝子を組込み発現できるものであればいかなるものでも用いることができる。例えば、pAGE107[Cytotechnol.、3、133(1990)]、pAGE103[J.Biochem.、101、1307(1987)]、pHSG274[Gene、27、223(1984)]、pKCR[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78、1527(1981)]、pSG1bd2−4[Cytotechnol.、4、173(1990)]、又はpSE1UK1Sed1−3[Cytotechnol.、13、79(1993)]などを用いる。
動物細胞用発現ベクターのうちプロモーターとエンハンサーには、SV40の初期プロモーター[J.Biochem.、101、1307(1987)]、モロニーマウス白血病ウイルスLTR[Biochem.Biophys.Res.Commun.、149、960(1987)]、又は免疫グロブリンH鎖のプロモーター[Cell、41、479(1985)]とエンハンサー[Cell、33、717(1983)]などを用いる。
遺伝子組換え抗体発現用ベクターには、遺伝子組換え抗体発現ベクターの構築の容易さ、動物細胞への導入の容易さ、動物細胞内での抗体H鎖及びL鎖の発現量のバランスが均衡するなどの点から、抗体H鎖及びL鎖が同一のベクター上に存在するタイプ(タンデム型)の遺伝子組換え抗体発現用ベクター[J.Immunol.Methods、167、271(1994)]を用いるが、抗体H鎖及びL鎖が別々のベクター上に存在するタイプを用いることもできる。タンデム型の遺伝子組換え抗体発現用ベクターには、pKANTEX93(国際公開第97/10354号)、pEE18[Hybridoma、17、559(1998)]などを用いる。
(2)ヒト以外の動物由来の抗体のV領域をコードするcDNAの取得及びアミノ酸配列の解析
非ヒト抗体のVH及びVLをコードするcDNAの取得及びアミノ酸配列の解析は以下のようにして行うことができる。
非ヒト抗体を産生するハイブリドーマ細胞よりmRNAを抽出し、cDNAを合成する。合成したcDNAをファージ又はプラスミドなどのベクターにクローニングしてcDNAライブラリーを作製する。
前記ライブラリーより、マウス抗体のC領域部分又はV領域部分をコードするDNAをプローブとして用い、VH又はVLをコードするcDNAを有する組換えファージ又は組換えプラスミドをそれぞれ単離する。組換えファージ又は組換えプラスミド上の目的とするマウス抗体のVH又はVLの全塩基配列をそれぞれ決定し、塩基配列よりVH又はVLの全アミノ酸配列をそれぞれ推定する。
非ヒト抗体を産生するハイブリドーマ細胞を作製するヒト以外の動物には、マウス、ラット、ハムスター、又はラビットなどを用いるが、ハイブリドーマ細胞を作製することが可能であれば、いかなる動物も用いることができる。
ハイブリドーマ細胞からの全RNAの調製には、チオシアン酸グアニジン−トリフルオロ酢酸セシウム法[Methods in Enzymol.、154、3(1987)]、又はRNA easy kit(キアゲン社製)などのキットなどを用いる。
全RNAからのmRNAの調製には、オリゴ(dT)固定化セルロースカラム法[Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]、又はOligo−dT30<Super>mRNA Purification Kit(タカラバイオ社製)などのキットなどを用いる。また、Fast Track mRNA Isolation Kit(インビトロジェン社製)、又はQuick Prep mRNA Purification Kit(ファルマシア社製)などのキットを用いてハイブリドーマ細胞からmRNAを調製することもできる。
cDNAの合成及びcDNAライブラリーの作製には、公知の方法[Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、Current Protocols inmolecular Biology、Supplement 1、John Wiley&Sons(1987−1997)]、又はSperScript plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning(インビトロジェン社製)、又はZAP−cDNA Synthesis Kit(ストラタジーン社製)などのキットなどを用いる。
cDNAライブラリーの作製の際、ハイブリドーマ細胞から抽出したmRNAを鋳型として合成したcDNAを組み込むベクターには、該cDNAを組み込めるベクターであればいかなるものでも用いることができる。
例えば、ZAP ExPress[Strategies、5、58(1992)]、pBluescript II SK(+)[Nucleic Acids Research、17、9494(1989)]、λZAPII(ストラタジーン社製)、λgt10、λgt11[DNA Cloning:A Practical Approach、I、49(1985)]、Lambda BlueMid(クローンテック社製)、λEx Cell、pT7T3−18U(ファルマシア社製)、pcD2[Mol.Cell.Biol.、3、280(1983)]、又はpUC18[Gene、33、103(1985)]などを用いる。
ファージ又はプラスミドベクターにより構築されるcDNAライブラリーを導入する大腸菌には、該cDNAライブラリーを導入、発現及び維持できるものであればいかなるものでも用いることができる。例えば、XL−1Blue MRF[Strategies、5、81(1992)]、C600[Genetics、39、440(1954)]、Y1088、Y1090[Science、222、778(1983)]、NM522[J.Mol.Biol.、166、1(1983)]、K802[J.Mol.Biol.、16、118(1966)]、又はJM105[Gene、38、275(1985)]などを用いる。
cDNAライブラリーからの非ヒト抗体のVH又はVLをコードするcDNAクローンの選択には、アイソトープ又は蛍光標識したプローブを用いたコロニー・ハイブリダイゼーション法、又はプラーク・ハイブリダイゼーション法[Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)]などを用いる。
また、プライマーを調製し、mRNAから合成したcDNA又はcDNAライブラリーを鋳型として、Polymerase Chain Reaction法[以下、PCR法と表記する、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Second Edition、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、Current Protocols inmolecular Biology、Supplement 1、John Wiley&Sons(1987−1997)]を行うことよりVH又はVLをコードするcDNAを調製することもできる。
選択されたcDNAを、適当な制限酵素などで切断後、pBluescript SK(−)(ストラタジーン社製)などのプラスミドにクローニングし、通常用いられる塩基配列解析方法などにより該cDNAの塩基配列を決定する。塩基配列解析方法には、例えば、ジデオキシ法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、74、5463(1977)]などの反応を行った後、ABI PRISM3700(PEバイオシステムズ社製)又はA.L.F.DNAシークエンサー(ファルマシア社製)などの塩基配列自動分析装置などを用いる。
決定した塩基配列からVH及びVLの全アミノ酸配列をそれぞれ推定し、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列[A.L.F.DNA、US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することにより、取得したcDNAが分泌シグナル配列を含む抗体のVH及びVLの完全なアミノ酸配列をコードしているかをそれぞれ確認する。
分泌シグナル配列を含む抗体のVH及びVLの完全なアミノ酸配列に関しては、既知の抗体のVH及びVLの全アミノ酸配列[A.L.F.DNA、US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することにより、分泌シグナル配列の長さ及びN末端アミノ酸配列を推定でき、さらにはそれらが属するサブグループを知ることができる。
また、VH及びVLの各CDRのアミノ酸配列についても、既知の抗体のVH及びVLのアミノ酸配列[A.L.F.DNA、US Dept.Health and Human Services(1991)]と比較することによって見出すことができる。
また、得られたVH及びVLの完全なアミノ酸配列を用いて、例えば、SWISS−PROT又はPIR−Proteinなどの任意のデータベースに対してBLAST法[J.Mol.Biol.、215、403(1990)]などの相同性検索を行い、VH及びVLの完全なアミノ酸配列が新規なものかを確認できる。
(3)ヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築
(1)で得られる遺伝子組換え抗体発現用ベクターのヒト抗体のCH又はCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流に、それぞれ非ヒト抗体のVH又はVLをコードするcDNAをそれぞれクローニングすることで、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。
非ヒト抗体のVH又はVLをコードするcDNAの3’末端側と、ヒト抗体のCH又はCLの5’末端側とを連結するために、連結部分の塩基配列が適切なアミノ酸をコードし、かつ適当な制限酵素認識配列になるように設計したVH及びVLのcDNAを作製する。
作製されたVH及びVLのcDNAを、(1)で得られるヒト型CDR移植抗体発現用ベクターのヒト抗体のCH又はCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現する様にそれぞれクローニングし、ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築する。
また、非ヒト抗体VH又はVLをコードするcDNAを、適当な制限酵素の認識配列を両端に有する合成DNAを用いてPCR法によりそれぞれ増幅し、(1)で得られる遺伝子組換え抗体発現用ベクターにクローニングすることもできる。
(4)ヒト型CDR移植抗体のV領域をコードするcDNAの構築
ヒト型CDR移植抗体のVH又はVLをコードするcDNAは、以下のようにして構築することができる。
非ヒト抗体のVH又はVLのCDRのアミノ酸配列を移植するヒト抗体のVH又はVLのFRのアミノ酸配列をそれぞれ選択する。選択するFRのアミノ酸配列には、ヒト抗体由来のものであれば、いずれのものでも用いることができる。
例えば、Protein Data Bankなどのデータベースに登録されているヒト抗体のFRのアミノ酸配列、又はヒト抗体のFRの各サブグループの共通アミノ酸配列[A.L.F.DNA、US Dept.Health and Human Services(1991)]などを用いる。抗体の結合活性の低下を抑えるため、元の抗体のVH又はVLのFRのアミノ酸配列とできるだけ高い相同性(少なくとも60%以上)のFRのアミノ酸配列を選択する。
次に、選択したヒト抗体のVH又はVLのFRのアミノ酸配列に、もとの抗体のCDRのアミノ酸配列をそれぞれ移植し、ヒト型CDR移植抗体のVH又はVLのアミノ酸配列をそれぞれ設計する。設計したアミノ酸配列を抗体の遺伝子の塩基配列に見られるコドンの使用頻度[A.L.F.DNA、US Dept.Health and Human Services(1991)]を考慮してDNA配列に変換し、ヒト型CDR移植抗体のVH又はVLのアミノ酸配列をコードするDNA配列をそれぞれ設計する。
設計したDNA配列に基づき、100塩基前後の長さからなる数本の合成DNAを合成し、それらを用いてPCR反応を行う。この場合、PCR反応での反応効率及び合成可能なDNAの長さから、好ましくはH鎖、L鎖とも6本の合成DNAを設計する。
また、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、(1)で得られるヒト型CDR移植抗体発現用ベクターに容易にヒト型CDR移植抗体のVH又はVLをコードするcDNAをクローニングすることができる。
又は、設計したDNA配列に基づき、1本のDNAとして合成された各H鎖、L鎖全長合成DNAを用いることで実施できる。
PCR反応後、増幅産物をpBluescript SK(−)(ストラタジーン社製)などのプラスミドにそれぞれクローニングし、(2)に記載の方法と同様の方法により、塩基配列を決定し、所望のヒト型CDR移植抗体のVH又はVLのアミノ酸配列をコードするDNA配列を有するプラスミドを取得する。
(5)ヒト型CDR移植抗体のV領域のアミノ酸配列の改変
ヒト型CDR移植抗体は、非ヒト抗体のVH及びVLのCDRのみをヒト抗体のVH及びVLのFRに移植しただけでは、その抗原結合活性は元の非ヒト抗体に比べて低下する[BIO/TECHNOLOGY、9、266(1991)]。
ヒト型CDR移植抗体では、ヒト抗体のVH及びVLのFRのアミノ酸配列の中で、直接抗原との結合に関与しているアミノ酸残基、CDRのアミノ酸残基と相互作用するアミノ酸残基、及び抗体の立体構造を維持し、間接的に抗原との結合に関与しているアミノ酸残基を同定し、それらのアミノ酸残基を元の非ヒト抗体のアミノ酸残基に置換することにより、低下した抗原結合活性を上昇させることができる。
抗原結合活性に関わるFRのアミノ酸残基を同定するために、X線結晶解析[J.Mol.Biol.、112、535(1977)]又はコンピューターモデリング[Protein Engineering、7、1501(1994)]などを用いることにより、抗体の立体構造の構築及び解析を行うことができる。また、それぞれの抗体について数種の改変体を作製し、それぞれの抗原結合活性との相関を検討することを繰り返し、試行錯誤することで必要な抗原結合活性を有する改変ヒト型CDR移植抗体を取得できる。
ヒト抗体のVH及びVLのFRのアミノ酸残基は、改変用合成DNAを用いて(4)に記載のPCR反応を行うことにより、改変させることができる。PCR反応後の増幅産物について(2)に記載の方法により、塩基配列を決定し、目的の改変が施されたことを確認する。
(6)ヒト型CDR移植抗体発現ベクターの構築
(1)で得られる遺伝子組換え抗体発現用ベクターのヒト抗体のCH又はCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流に、構築した遺伝子組換え抗体のVH又はVLをコードするcDNAをそれぞれクローニングし、ヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築することができる。
例えば、(4)及び(5)で得られるヒト型CDR移植抗体のVH又はVLを構築する際に用いる合成DNAのうち、両端に位置する合成DNAの5’末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、(1)で得られるヒト型CDR移植抗体発現用ベクターのヒト抗体のCH又はCLをコードするそれぞれの遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するようにそれぞれクローニングする。
(7)遺伝子組換え抗体の一過性発現
(3)及び(6)で得られる遺伝子組換え抗体発現ベクター、又はそれらを改変した発現ベクターを用いて遺伝子組換え抗体の一過性発現を行い、作製した多種類のヒト型CDR移植抗体の抗原結合活性を効率的に評価することができる。
発現ベクターを導入する宿主細胞には、遺伝子組換え抗体を発現できる宿主細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができるが、例えば、COS−7細胞(ATCC番号:CRL1651)を用いる[Methods in Nucleic Acids Res.、CRC Press、283(1991)]。
COS−7細胞への発現ベクターの導入には、DEAE−デキストラン法[Methods in Nucleic Acids Res.、CRC Press、(1991)]、又はリポフェクション法[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、84、7413(1987)]などを用いる。
発現ベクターの導入後、培養上清中の遺伝子組換え抗体の発現量及び抗原結合活性は酵素免疫抗体法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice、Third edition、Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)、単クローン抗体実験マニュアル、講談社サイエンティフィック(1987)]などを用いて測定する。
(8)遺伝子組換え抗体を安定に発現する形質転換株の取得と遺伝子組換え抗体の調製
(3)及び(6)で得られた遺伝子組換え抗体発現ベクターを適当な宿主細胞に導入することにより遺伝子組換え抗体を安定に発現する形質転換株を得ることができる。
宿主細胞への発現ベクターの導入には、エレクトロポレーション法[日本国特開平2−257891号公報、Cytotechnology、3、133(1990)]などを用いる。遺伝子組換え抗体発現ベクターを導入する宿主細胞には、遺伝子組換え抗体を発現させることができる宿主細胞であれば、いかなる細胞でも用いることができる。
例えば、CHO−K1(ATCC番号:CCL−61)、DUkXB11(ATCC番号:CCL−9096)、Pro−5(ATCC番号:CCL−1781)、CHO−S(Life Technologies、Cat#11619)、ラットミエローマ細胞YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20(又はYB2/0ともいう)、マウスミエローマ細胞NSO、マウスミエローマ細胞SP2/0−Ag14(ATCC番号:CRL1581)、マウスP3−X63−Ag8653細胞(ATCC番号:CRL1580)、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子が欠損したCHO細胞[Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77、4216(1980)]、レクチン耐性を獲得したLec13[Somaticcell and Molecular Genetics、12、55(1986)]、α1,6−フコース転移酵素遺伝子が欠損したCHO細胞(国際公開第2005/035586号、国際公開第02/31140号)、ラットYB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞(ATCC番号:CRL1662)などを用いる。
発現ベクターの導入後、遺伝子組換え抗体を安定に発現する形質転換株は、G418硫酸塩などの薬剤を含む動物細胞培養用培地で培養することにより選択する(日本国特開平2−257891号公報)。
動物細胞培養用培地には、RPMI1640培地(インビトロジェン社製)、GIT培地(日本製薬社製)、EX−CELL301培地(ジェイアールエイチ社製)、IMDM培地(インビトロジェン社製)、Hybridoma−SFM培地(インビトロジェン社製)、又はこれら培地にFBSなどの各種添加物を添加した培地などを用いる。
得られた形質転換株を培地中で培養することで培養上清中に遺伝子組換え抗体を発現蓄積させる。培養上清中の遺伝子組換え抗体の発現量及び抗原結合活性はELISA法などにより測定できる。また、形質転換株は、DHFR増幅系(日本国特開平2−257891号公報)などを利用して遺伝子組換え抗体の発現量を上昇させることができる。
遺伝子組換え抗体は、形質転換株の培養上清よりプロテインA−カラムを用いて精製する[Monoclonal Antibodies−Principles and practice、Third edition、Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]。また、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー及び限外濾過などの蛋白質の精製で用いられる方法を組み合わすこともできる。
精製した遺伝子組換え抗体のH鎖、L鎖或いは抗体分子全体の分子量は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法[Nature、227、680(1970)]、又はウェスタンブロッティング法[Monoclonal Antibodies−Principles and practice、Third edition、Academic Press(1996)、Antibodies−A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory(1988)]など用いて測定することができる。
3.精製モノクローナル抗体又は該抗体断片の活性評価
精製した本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片の活性評価は、以下のように行うことができる。
BMP9及びBMP9発現組織に対する結合活性は、前述の1−(6−a)記載のバインディングアッセイ及び(6−b)記載のBiacoreシステムなどを用いた表面プラズモン共鳴法を用いて測定する。また、蛍光抗体法[Cancer Immunol.Immunother.、36、373(1993)]などを用いて測定できる。
4.本発明の抗BMP9モノクローナル抗体又は該抗体断片を用いた疾患の治療方法
本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片は、BMP9が関与する疾患の治療に用いることができる。
本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片、又はこれらの誘導体を含有する治療剤は、有効成分としての該抗体若しくは該抗体断片、又はこれらの誘導体のみを含むものであってもよいが、通常は薬理学的に許容される1以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野において公知の方法により製造した医薬製剤として提供される。
投与経路としては、例えば、経口投与、又は口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内若しくは静脈内などの非経口投与が挙げられる。投与形態としては、例えば、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、坐剤、注射剤、軟膏、又はテープ剤などが挙げられる。
経口投与に適当な製剤としては、例えば、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などが挙げられる。
乳剤又はシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール若しくは果糖などの糖類、ポリエチレングリコール若しくはプロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油若しくは大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、又はストロベリーフレーバー若しくはペパーミントなどのフレーバー類などを添加剤として用いて製造する。
カプセル剤、錠剤、散剤又は顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、ショ糖若しくはマンニトールなどの賦形剤、デンプン若しくはアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム若しくはタルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース若しくはゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤又はグリセリンなどの可塑剤などを添加剤として用いて製造する。
非経口投与に適当な製剤としては、例えば、注射剤、坐剤又は噴霧剤などが挙げられる。
注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、又はその両者の混合物からなる担体などを用いて製造する。
坐剤はカカオ脂、水素化脂肪又はカルボン酸などの担体を用いて製造する。
噴霧剤は受容者の口腔及び気道粘膜を刺激せず、かつ本発明のモノクローナル抗体又は該抗体断片を微細な粒子として分散させ、吸収を容易にさせる担体などを用いて製造する。担体としては、例えば乳糖又はグリセリンなどを用いる。また、エアロゾル又はドライパウダーとして製造することもできる。
さらに、上記非経口剤においても、経口投与に適当な製剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。使用する試薬類は、特に記載がない限り、添付文書に従い使用するものとする。
[実施例1]
抗ヒトBMP9モノクローナル抗体の作製
1−1)ホモ接合型BMP9KOマウスの作製
ホモ接合型BMP9KOマウスは、国際公開第2014/007198号の実施例1−6に記載の方法に従い作製し、抗BMP9モノクローナル抗体取得には、雌雄個体各10匹を使用した。
1−2)免疫原の調製
免疫原には、furin非切断体のヒトBMP9組換え蛋白質(ヒトBMP9 Pro2量体)を用いた。ヒトBMP9 Pro2量体は、国際公開第2010/126169号の実施例12に記載のヒトBMP9発現ベクターとfurin阻害活性を持つalpha1−PDX発現ベクターを293F細胞に共遺伝子導入させることにより作出した。培養上清からのヒトBMP9 Pro2量体の精製は、国際公開第2010/126169号の実施例12に記載の方法に従い行った。
用いたalpha1―PDX発現ベクターは、[Proc Natl Acad Sci USA.、95、7293(1998)]の論文に準じ、以下の方法で作製した。配列番号7はヒトalpha1−PDX蛋白質のアミノ酸配列を示す。この配列をコードする配列番号8の塩基配列を、pEAK8ベクター(Edge Biosystems社製)のEcoRI/NotIサイトにIn−fusion Advantage PCR Cloning Kit (タカラバイオ社製)を用いて挿入し作製した。
1−3)動物への免疫と抗体産生細胞の調製
アジュバントに、RIBIアジュバント(シグマ社製)、又はAlum+百日咳ワクチンアジュバント(ナカライテスク社製)を用いて、実施例1−2で調製したヒトBMP9 Pro2量体を抗原とする抗原懸濁液を添付文書に従い調製した後、実施例1−1で得られたBMP9 KO(−/−)マウスにi.p.及びs.c.経路で免疫した。免疫は、最終ブーストを含めて計3回又は4回行った。
摘出した脾臓をPBS(phosphate−buffered saline)中で細断した後、脾細胞を遠心分離(1500rpm、3分間)により回収した。得られた脾細胞画分は、赤血球を含むことから、RED Blood Cell Lysing Buffer(シグマ社製)を添加し、氷上で処理することにより、赤血球を除去した。得られた脾細胞は、DMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s Medium;インビトロジェン社製)培地で2回洗浄した後、細胞融合に供した。
1−4)マウス骨髄腫細胞の調製
8−アザグアニン耐性マウス骨髄腫細胞株p3−U1[P3X63Ag8U.1、ATCC:CRL−1597、European Journal of Immunology、6、511(1976)]をRPMI1640培地(インビトロジェン社製)にグルタミン(1.5mol/L)、2−メルカプトエタノール(5×10−5mol/L)、ゲンタマイシン(10μg/mL)及びFBS(10%)を添加した培地(以下、正常培地と表記する)で培養し、細胞融合時に必要な細胞数(2×10個以上)を確保し、細胞融合に供した。
1−5)ハイブリドーマの作製
実施例1−3で得られたマウス脾細胞と実施例1−4で得られた骨髄腫細胞を8:1になるよう混合し、遠心分離(1200rpm、5分間)した。得られた沈殿画分(細胞群)に対して、ポリエチレングリコール−1000(PEG−MEM−DMSO)500μLを、穏やかに揺らしながら、徐々に加えた。次に、該細胞液にMEM培地5mLを穏やかに揺らしながら加え、更にMEM培地を45mL添加した。次に、上記の該細胞液を含むチューブを遠心分離(900rpm、5分間)した。
得られた沈殿画分(細胞群)を、HATを含む正常培地を用いて96ウェルプレートに200μLずつ播種した。このとき、脾細胞数がプレート1枚当たり1.5×10個/mLになるように調整し、37℃、5%COの条件下で培養した。培地交換は、ウェル内の細胞がスクリーニングに適した細胞数になるまで、HATを含む正常培地を用いて適宜行った。
1−6)抗BMP9抗体産生ハイブリドーマの取得
抗BMP9抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには、ELISA用プレートに、ヒトBMP9を固相化させた固相抗原ELISA系を用いた。具体的には、実施例1−2で調製したヒトBMP9 Pro2量体、実施例3−1に記載のヒトBMP9 propeptide体、又はヒトBMP9 mature2量体(R&Dシステムズ社製、Cat#3209−BP)を、50mmol/L NaHCO緩衝液(Wako社製、Cat#191−01305)にて2.0μg/mLに調製したものを96ウェルのELISA用プレート(F96 MAXISORP NUNC−IMMNO PLATE、Thermo Fisher Scientific社製、Cat#442404)に50μL/ウェルで分注し、4℃にて一晩静置して吸着させた。
固相化液を取り除いた後、1%BSA−PBS(ナカライ社製、Cat#099968−35)を200μL/ウェル加え、室温にて1時間静置してブロッキングし、PBST(PBS、0.05%Tween20)で5回洗浄した。次に、一次抗体としてハイブリドーマ上清を50μL/ウェルで分注し、室温にて1時間静置した。
このプレートをPBSTで5回洗浄した後、1%BSA−PBSで400倍希釈したpolyclonal Rabbit anti−mouse immunoglobulins/HRP(DAKO社製、Cat#P0260)を50μL/ウェルで分注し、室温にて1時間静置した。
このプレートをPBSTで10回洗浄し、ABTS基質液を50μL/ウェルで添加して発色させ、適当な発色が得られたところで、5%SDS溶液を50μL/ウェルで添加し、サンプル波長415nm、リファレンス波長490nmにおける吸光度(415nm−490nm)をプレートリーダー(Spectra Max,Molecular Devices社製)を用いて測定した。
上記のスクリーニングにて陽性と判断されたハイブリドーマは、S−CloneクローニングメデュームCM−B(エーディア社製)を含むコンプリート培地にて限界希釈し、96ウェルプレートに播種しクローン化を行った。クローン化は、1回目に陽性と判断したウェル由来のハイブリドーマに対して計1回行った。以上の操作により、255−13−13抗体を産生するハイブリドーマを単離した。
1−7)ハイブリドーマのeRDF培地への馴化
抗体を大量取得するため、ハイブリドーマの培地をクローニングメデュームからeRDF培地[Ultra−Low IgG FBS(GIBCO社製)1v/v%、Transfelin 5.5μg/mL、インシュリン 10μg/mL、エタノールアミン 1.53μmol/L、及びSodium Selenite 4.3ng/mLを含むe−RDF培地(極東製薬製)]に、段階的に置換し、ハイブリドーマ細胞のeRDF培地への馴化を行った。
1−8)ハイブリドーマからの抗体の大量取得
実施例1−7で馴化したハイブリドーマを、大フラスコボトル10本に播種した。培地にはeRDF培地を用いた。37℃にて6−8日間培養した後、細胞を含む培地を回収した。回収した培地を遠心分離し、得られた培養上清を0.22μmフィルターによりろ過した。
フィルターでろ過した培養上清から、Ab−Capture(プロテノバ社製)を充填したオープンカラムを用いて、255−13−13抗体を精製した。
[実施例2]
固相抗原を用いた酵素結合免疫吸着法(ELISA)による取得抗体の特異性の評価
取得した抗体のBMP9への特異性を確かめるため、ヒトBMP9及びヒトBMP9とホモロジーが最も高い分子であるヒトBMP10への結合活性を比較する実験を行った。
2−1)mature2量体にN末propeptide領域が結合した複合体の調製
評価には、ヒトBMP9、ヒトBMP10共に、mature2量体にN末propeptide領域が結合した複合体(complex体)を用いた。ヒトBMP9については、国際公開第2010/126169号の実施例12に記載のcomplex体を、ヒトBMP10については、国際公開第2014/007198号の実施例20−2に記載のヒトBMP10を、本実施例における“complex体”として調製した。
2−2)固相抗原を用いたELISAによる取得抗体の特異性の評価
実施例2−1で取得したヒトBMP9 complex体及びヒトBMP10 complex体を、それぞれ、50mmol/L NaHCO緩衝液(Wako社製、Cat#191−01305)にて3.0μg/mLに調製したものを96ウェルのELISA用プレート(F96 MAXISORP NUNC−IMMUNO PLATE、Thermo Fisher Scientific社製、Cat#442404)に50μL/ウェルで分注し、4℃にて一晩静置して吸着させた。
固相化液を取り除いた後、1%BSA−PBS(ナカライ社製、Cat#099968−35)を200μL/ウェル加え、室温にて1時間静置してブロッキングし、PBSTで5回洗浄した。次に、255−13−13抗体を1%BSA−PBSにて500ng/mLに調製した溶液を、一次抗体として50μL/ウェルで分注し、室温にて1時間静置した。
このプレートをPBSTで5回洗浄した後、1%BSA−PBSで2000倍希釈したpolyclonal goat anti−mouse immunoglobulins/HRP(DAKO社製、Cat#P0447)を50μL/ウェルで分注し、室温にて1時間静置した。
このプレートをPBSTで10回洗浄し、TMB基質液(TMB+ Substrate−Chromogen、Dako社製、Cat#S1599)を50μL/ウェルで添加して発色させ、適当な発色が得られたところで、1N硫酸溶液(Wako社製、Cat#192−04755)を50μL/ウェルで添加し、サンプル波長450nm、リファレンス波長570nmにおける吸光度(450nm−570nm)をプレートリーダー(Spectra Max、Molecular Devices社製)を用いて測定した。結果を図1に示す。
図1に示すように、255−13−13抗体は、ヒトBMP9に強く結合するが、ヒトBMP10には結合しないことが示された。この結果より、255−13−13抗体はヒトBMP9に特異的に結合する抗体であることが確認された。
[実施例3]
固相抗原を用いたELISAによる取得抗体のヒトBMP9に対する結合活性
3−1)ヒトBMP9 propeptide体の調製
ヒトBMP9 propeptide体発現ベクターは以下の手順で作製した。国際公開第2010/126169号の実施例12−1で使用したpLN1V5_hBMP9プラスミドをNheI及びXhoIを用いて酵素処理し、アガロースゲル電気泳動に供した後、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用いて精製した。
一方、ヒトBMP9 propeptide体をコードするcDNAクローニングは、国際公開第2010/126169号の実施例12−1で使用したpLN1V5_hBMP9プラスミドをテンプレートとして、配列番号9、10に示したFwd/Rvのプライマーを用いてPCRを行った。PrimeSTAR HS(Premix)を用い、96℃にて2分間保温した後、98℃にて10秒間、55℃にて5秒間、及び72℃にて2分間を1サイクルとして32サイクル反応を行った。切断したベクターと同様に、アガロースゲル電気泳動により、得られたインサートを精製した。
In−fusion Advantage PCR Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いて、インサートをpLN1V5ベクターに挿入してサブクローニングを行い、pLN1V5_hBMP9 propeptideとした。配列番号11及び12に、ヒトBMP9 propeptide体のアミノ酸配列及び塩基配列をそれぞれ示した。配列番号13及び14に、pLN1V5_hBMP9 propeptideのNheI、XhoI認識部位間へ挿入された塩基配列及び発現される蛋白質のアミノ酸配列をそれぞれ示した。
pLN1V5_hBMP9 propeptideを用いて大腸菌DH5αを形質転換した。NucleoBond Xtra Maxi(タカラバイオ社製、U0414B)を用いてベクターを調製した。Freestyle 293 Expression System(ライフテクノロジーズ社製)を用いて、ヒトBMP9 propeptide体を培養液中に発現させた。細胞上清を遠心分離と0.22μmフィルターを用いた濾過により取得した。
続いて、Ni−NTA Agarose(キアゲン社製)を用いてヒトBMP9 propeptide体を精製した。Binding bufferとして20mM HEPES−NaOH(pH7.4)、500mM NaCl、40mM Imidazoleを用い、Elution bufferとして20mM HEPES−NaOH(pH7.4)、500mM NaCl、200mM Imidazoleを用いた。
NAP−25カラム(GEヘルスケア社製)を用いて、バッファーをPBSに置換した。280nmの吸光度を測定してヒトBMP9 propeptide体の濃度を決定した。分子吸光係数として、1.05mL/(mg・cm)を使用した。
3−2)固相抗原を用いたELISAによる取得抗体の特異性の評価
実施例2−1で取得したヒトBMP9 complex体、実施例3−1で取得したヒトBMP9 propeptide体、ヒトBMP9 mature2量体(R&Dシステムズ社製、Cat#3209−BP)を、それぞれ、50mmol/L NaHCO緩衝液(Wako社製、Cat#191−01305)にて3.0μg/mLに調製したものを96ウェルのELISA用プレート(F96 MAXISORP NUNC−IMMUNO PLATE、Thermo Fisher Scientific社製、Cat#442404)に50μL/ウェルで分注し、4℃にて一晩静置して吸着させた。
固相化液を取り除いた後、1%BSA−PBS(ナカライ社製、Cat#099968−35)を200μL/ウェル加え、室温にて1時間静置してブロッキングし、PBSTで5回洗浄した。
次に、255−13−13抗体を1%BSA−PBSにて500ng/mLに調製した溶液を、一次抗体として50μL/ウェルで分注し、室温にて1時間静置した。 このプレートをPBSTで5回洗浄した後、1%BSA−PBSで2000倍希釈したpolyclonal goat anti−mouse immunoglobulins/HRP(DAKO社製、Cat#P0447)を50μL/ウェルで分注し、室温にて1時間静置した。
このプレートをPBSTで10回洗浄し、TMB基質液(TMB+ Substrate−Chromogen、Dako社製、Cat#S1599)を50μL/ウェルで添加して発色させ、適当な発色が得られたところで、1N硫酸溶液(Wako社製、Cat#192−04755)を50μL/ウェルで添加し、サンプル波長450nm、リファレンス波長570nmにおける吸光度(450nm−570nm)をプレートリーダー(Spectra Max、Molecular Devices社製)を用いて測定した。結果を図2に示す。
図2に示すように、255−13−13抗体は、ヒトBMP9 propeptide体には結合せず、ヒトBMP9 complex体及びヒトBMP9 mature2量体に結合することが示された。
[実施例4]
取得した抗体のエピトープ解析
4−1)ヒトBMP9/10キメラ蛋白質及びヒトBMP10蛋白質の調製
実施例2及び3の結果より、255−13−13抗体はヒトBMP9 mature領域に結合するが、ヒトBMP9と最も高い相同性を有するヒトBMP10には交差結合しないことが示された。次に、255−13−13抗体のエピトープ領域を探索する目的で、ヒトBMP9 mature領域の一部をヒトBMP10 mature領域に置換したキメラ蛋白質を種々作製し、それらへの結合活性の有無を調べた。
置換体を作製するにあたり、国際公開第2014/051109号の実施例20に従い、ヒトBMP9 mature領域(配列番号2)を3つの領域に分け、それぞれヒトBMP9 mature領域A、B及びCと定義した。
より具体的には、ヒトBMP9 mature領域Aは配列番号2で表されるヒトBMP9 mature領域の1番目から37番目までのアミノ酸配列であり、ヒトBMP9 mature領域Bは配列番号2で表されるヒトBMP9 mature領域の38番目から74番目までのアミノ酸配列であり、ヒトBMP9 mature領域Cは配列番号2で表されるヒトBMP9 mature領域の75番目から110番目までのアミノ酸配列である。
またヒトBMP10 mature領域についても、BMP9との一次構造の相同性を基にして、対応する3つの領域に分け、それぞれヒトBMP10 mature領域A、B及びCと定義した。
より具体的には、ヒトBMP10 mature領域Aは配列番号15で表されるヒトBMP10 mature領域の1番目から36番目までのアミノ酸配列であり、ヒトBMP10 mature領域Bは配列番号15で表されるヒトBMP10 mature領域の37番目から73番目までのアミノ酸配列であり、ヒトBMP10 mature領域Cは配列番号15で表されるヒトBMP10 mature領域の74番目から108番目までのアミノ酸配列である。
これらの配列情報を基にして、BMP9 mature領域の領域A、B及びCのアミノ酸残基を、BMP9と対応するBMP10のアミノ酸残基に置換したキメラ蛋白質A、B及びCを設計した。
ヒトBMP9/10キメラ蛋白質及びヒトBMP10 complex体は国際公開第2014/051109号の実施例20−2に従い、調製した。
4−2)255−13−13抗体のBMP9/10キメラ蛋白質に対する特異的結合活性
取得したキメラ蛋白質を用いて、取得抗体の固相抗原ELISAを行った。実施例2−1及び実施例4−1で調製したヒトBMP9 complex体、BMP10 complex体、BMP9/10キメラ組換え蛋白質A、B及びCを50mmol/L NaHCO緩衝液にて3μg/mLに調製したものを96ウェルのELISA用プレート(F96 MAXISORP NUNC−IMMUNO PLATE、Thermo Fisher Scientific社製、Cat#442404)に50μL/ウェル加え、4℃にて一晩静置して吸着させた。
固相化液を取り除いた後、1%BSA−PBSを200μL/ウェル加え、室温にて1時間静置してブロッキングし、PBSTで5回洗浄した。次に、255−13−13抗体を1%BSA−PBSにて500ng/mLに調製した溶液を、一次抗体として50μL/ウェルで分注し、室温にて1時間静置した。
このプレートをPBSTで5回洗浄した後、1%BSA−PBSで2000倍希釈したpolyclonal goat anti−mouse immunoglobulins/HRP(DAKO社製、Cat#P0447)を50μL/ウェル加え、室温にて1時間静置した。
プレートをPBSTで10回洗浄し、TMB基質液(TMB+ Substrate−Chromogen、Dako社製、Cat#S1599)を50μL/ウェル添加して発色させ、適当な発色が得られたところで、1N硫酸溶液(Wako社製、Cat#192−04755)を50μL/ウェル添加し、Multiskan Spectrum(Thermo Labsystems社製)を用いて450、570nmの吸光度を測定した。
結果を表1に示す。表1内の+及び−は、吸光度の値が1以上であった場合を+とし、1未満であった場合を−とした。
Figure 2017025011
表1に示すように、255−13−13抗体はヒトBMP9 complex体、ヒトBMP9/10キメラ蛋白質B及びヒトBMP9/10キメラ蛋白質Cに対する結合に比べ、ヒトBMP9/10キメラ蛋白質Aに対する結合はかなり弱かった。このことより、今回取得した255−13−13抗体は、BMP9 matureのA領域を認識する抗体であることが分かった。
これまで、A領域のみを認識する抗体は報告されていない(国際公開第2014/051109号、国際公開第2014/007198号)。従って、今回取得した255−13−13抗体は、既知抗体とは異なるエピトープを認識する抗体であることが明らかとなった。
[実施例5]
取得抗体の各種BMPシグナルに対する阻害作用
255−13−13抗体がBMP9に対する特異的な中和抗体であることを再確認するため、各種BMP蛋白質のシグナルを検出可能にした細胞(以下、BMPシグナル検出用細胞)を用いて、255−13−13抗体の各種BMPシグナルに対する阻害作用を検討した。
5−1)BMPシグナルを検出可能にした細胞の作製
BMPシグナル検出用細胞は、Id1−LucプラスミドをCHO−K1細胞株に遺伝子導入させることにより作製した。
Id1−Lucプラスミドは、pNL4.01[Nluc_minP_Hygro]ベクター(Promega社製ベクターを改変して作製)をNheIサイトにより切断した後、配列番号16に示される改変Id1プロモーターの塩基配列をDNA Ligation Kit Ver.2.1(タカラバイオ社製)によって挿入することにより、作製した。
pNL4.01[Nluc_minP_Hygro]ベクターは、pNL2.1[Nluc_Hygro]ベクターにpNL3.1[Nluc_minP]のminP部分を移植して作製したベクターである。
作製したId1−Lucプラスミドは、エレクトロポレーション法にてCHO−K1細胞に遺伝子導入した。Hygromycineを500μg/mLとなるよう添加し、薬剤耐性株を選別することにより、Id1−Luc/CHO細胞とした。
5−2)取得抗体の各種BMPシグナルに対する阻害作用
96ウェル蛍光・発光用プレート(コーニング社製、Cat#3916)に、ヒト各種BMP mature2量体を終濃度で10ng/mLになるように、次いで255−13−13抗体希釈液を終濃度で1.0μg/mLになるように添加した。
ヒト各種BMP mature2量体には、ヒトBMP2、ヒトBMP4、ヒトBMP6、ヒトBMP7、ヒトBMP9、ヒトBMP10、ヒトBMP15、ヒトGDF5、ヒトGDF7(いずれもR&Dシステムズ社製)を用いた。
その後、Excell 325培地[Excell 325 PF CHO(SAFC社製、Cat#14340C−1000mL)、4mM L−グルタミン、1×Penicillin、1×Streptomycin(ナカライ社製、Cat#09367−34)、0.5μg/mL hygromycin]にて懸濁したId1−Luc/CHO細胞液を5×10個/ウェルになるように添加した。
すべてのサンプル添加後、ウェル内の液をプレートミキサーで均一にした後、37℃にて20時間培養した。20時間後、添付文書に従い調製したNano−Glo Luciferase Assay測定液(Promega社製、Cat#N1120)を40μL/ウェル加え撹拌した後、Glomax(Promega社製)にてLuciferase活性を測定した。
抗体の阻害活性(%)は、抗体を添加せず、BMP mature2量体のみを添加したウェルの値を0%、抗体を添加せず、Excell 325培地のみを添加したウェルの値を100%として算出した。結果を図3に示す。
図3に示すように、255−13−13抗体は、ヒトBMP2、ヒトBMP4、ヒトBMP6、ヒトBMP7、ヒトBMP10、ヒトBMP15、ヒトGDF5及びヒトGDF7によるシグナルは一切抑制せず、ヒトBMP9によるシグナルのみ特異的に抑制する抗体であることが明らかになった。
[実施例6]
ヒトALK1発現レポーター細胞を用いた新規取得抗体及び既知抗体のBMP9中和活性の比較
255−13−13抗体と既知抗体のBMP9に対する中和活性についてヒトALK1発現レポーター細胞を用いて比較した。既知抗体には、10D5−2−3抗体(国際公開2014/007198号)を用いた。
6−1)ヒトALK1発現レポーター細胞の作製
ヒトALK1発現レポーター細胞(ALK1/Id1−Luc/CHO細胞)は、実施例5に記載のBMPシグナル検出用細胞Id1−Luc/CHO細胞に全長ヒトALK1を強制発現させることにより作製した。
ヒトALK1発現プラスミドは、両端にEcoRI及びNotI制限酵素サイトを持つヒトALK1の全長cDNAを、pCI−neo発現ベクター(Promega社製)にIn−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ社製)を用いて組み込むことにより作製した。ヒトALK1の全長cDNA(配列番号17)は、ヒト肺cDNAライブラリーとプライマーFwd/Rv(配列番号18、19)を用いたPCRにより作製した。
作製したヒトALK1発現プラスミドは、エレクトロポレーション法にてId1−Luc/CHO細胞に導入した。G418を500μg/mLとなるよう添加し、薬剤耐性株を選抜することにより、ALK1/Id1−Luc/CHO細胞とした。
6−2)新規取得抗体及び既知抗体のBMP9中和活性の比較
96ウェル蛍光・発光用プレート(コーニング社製、Cat#3916)に、ヒトBMP9 mature2量体(R&Dシステムズ社製、Cat#3209−BP)を終濃度で0.3ng/mLになるように、次いでBMP9抗体(255−13−13抗体又は10D5−2−3抗体)希釈液を終濃度で10、30、100、300、1000又は3000ng/mLになるように添加した。
その後、Excell 325培地にて調製したALK1/Id1−Luc/CHO細胞懸濁液を5×10個/ウェルになるように添加した。すべてのサンプル添加後、ウェル内の液をプレートミキサーで均一にした後、37℃にて20時間培養した。
20時間後、添付文書に従い調製したNano−Glo Luciferase Assay測定液を40μL/ウェル加え、撹拌した後、Glomax(Promega社製)を用いてLuciferase活性を測定した。抗体の阻害活性(%)は、抗体を添加せず、BMP9 mature2量体のみを添加したウェルの値を0%、抗体を添加せず、Excell 325培地のみを添加したウェルの値を100%として算出した。結果を図4に示す。
図4に示すように、いずれの抗体もBMP9に対する阻害作用を示した。10D5−2−3抗体は、BMP9活性を90%以上阻害するために1000ng/mL以上の濃度が必要であったのに対し、255−13−13抗体は30ng/mL以上の添加でBMP9活性をほぼ完全に阻害した。
以上の結果より、255−13−13抗体は、既知抗体よりも著しくBMP9中和活性が向上した抗体であることが明らかになった。
[実施例7]
正常BALB/cマウスの赤血球造血に対する取得抗体の作用
BMP9抗体には赤血球増加作用があることが知られている(国際公開第2014/007198号)。そこで、255−13−13抗体及び既知抗体の赤血球増加作用を比較した。
既知抗体には、10D5−2−3抗体(国際公開2014/007198号)を用いた。実験には8週齢の雄性BALB/cマウス(日本チャールズリバー社製)を用いた。飲水は滅菌水道水を、食餌は固形飼料CE−2(日本クレア社製)を自由摂取で与えた。
予備飼育後、体重を指標にして、5群に群分けし(各群n=8)、255−13−13抗体及び10D5−2−3抗体を0.2mg/kg、1.0mg/kgの投与量になるように皮下投与した。具体的には、各々の抗体を生理食塩水にて0.02mg/mL又は0.1mg/mLになるように調製したものを10mL/kgの用量にて投与した。媒体群にはPBSを10mL/kgの用量にて皮下投与した。
抗体又は媒体は、週1回の頻度で計4回投与した。初回投与から4週間後、イソフルラン麻酔下にて開腹後、後大静脈より採血を行い、EDTA入り採血管に加えて血液サンプルとした。得られた血液サンプルを生理食塩水にて2倍希釈し、自動血球計数装置ADVIA120(バイエルメディカル社製)を用いて、赤血球数及びヘモグロビン濃度を測定した。結果を図5(A)及び図5(B)に示す。
図5(A)に示すように、1.0mg/kg投与群では、255−13−13抗体及び10D5−2−3抗体のいずれも、コントロール群に対して有意に赤血球数を増加させた。図5(B)に示すように、255−13−13抗体は、0.2mg/kg及び1.0mg/kg投与群のいずれも、ともにコントロール群に対して有意にヘモグロビン濃度を増加させ、10D5−2−3抗体は、1.0mg/kg投与群において、コントロール群に対して有意にヘモグロビン濃度を増加させた。
以上の結果より、255−13−13抗体は、in vitroだけではなく、in vivoにおいても既存の抗体の活性を上回る抗体であることが示された。
[実施例8]
取得抗体のVH及びVLをコードする遺伝子配列の単離
8−1)255−13−13抗体産生ハイブリドーマ細胞からの総RNAの調製並びにVH及びVLの遺伝子クローニング
255−13−13抗体産生ハイブリドーマ細胞からの総RNAの調製及びVH及びVLの遺伝子クローニングは、国際公開第2014/007198号の実施例19に記載の方法に従い、実施した。
8−2)抗ヒトBMP9モノクローナル抗体V領域の遺伝子配列の解析
実施例8−1で得られた255−13−13抗体のVHのシグナル配列を含む全塩基配列を配列番号20に、該配列から推定された、VHのシグナル配列を含む全アミノ酸配列を配列番号21に、VLのシグナル配列を含む全塩基配列を配列番号22に、該配列から推定された、VLのシグナル配列を含む全アミノ酸配列を配列番号23にそれぞれ示す。
また、255−13−13抗体について、配列番号20で表される塩基配列からシグナル配列を除いたVH塩基配列を配列番号24に、配列番号22で表される塩基配列からシグナル配列を除いたVL塩基配列を配列番号25に、配列番号21で表されるアミノ酸配列からシグナル配列を除いたVHアミノ酸配列を配列番号26に、配列番号23で表されるアミノ酸配列からシグナル配列を除いたVLアミノ酸配列を配列番号27にそれぞれ示す。
既知のマウス抗体の配列データ[SEQUENCES of Proteins of Immunological Interest、US Dept.Health and Human Services(1991)]との比較から、単離した各々のcDNAは分泌シグナル配列を含む255−13−13抗体をコードする完全長cDNAであることが確認できた。
255−13−13抗体のVH及びVLのCDRを、既知の抗体のアミノ酸配列と比較することにより同定した。255−13−13抗体のVHのCDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列を配列番号28、29及び30に、VLのCDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列を配列番号31、32及び33にそれぞれ示す。
[実施例9]
取得抗体のキメラ抗体作製及びビアコアによる結合活性の評価
9−1)255−13−13キメラ抗体の作製
255−13−13抗体のVHをコードするcDNAをヒトγ鎖の定常領域と結合させ、当該抗体のVLをコードするcDNAをヒトκ鎖の定常領域と結合させ、それぞれ、抗体発現ベクター(N5KG1、Biogen IDEC社製)のSalI及びBamHIサイト間、並びにBglII及びEcoRIサイト間に挿入した。
抗体発現ベクターに挿入した255−13−13キメラ抗体の重鎖塩基配列及び軽鎖塩基配列を配列番号34、35に、これによって発現する255−13−13キメラ抗体の重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列を配列番号36、37にそれぞれ示す。
作製した発現ベクター及びExpi293F Expression System Kit(Life Technologies社製)を用いて組換えキメラ抗体を発現させた。培養上清から、Mab Select SuRe(GEヘルスケア社製)を用いて抗体を精製した。
NAP−25カラム(GEヘルスケア社製)を用いてバッファーをD−PBS(−)に置換した後、280nmの吸光度を測定して抗体の濃度を決定した。分子吸光係数として、1.59mL/(mg・cm)を使用した。
9−2)ビアコアによる255−13−13キメラ抗体のヒトBMP9蛋白質への結合活性の評価
実施例9−1で得られた255−13−13キメラ抗体と、既知抗体である10D5−2−3キメラ抗体(国際公開2014/007198号)のヒトBMP9に対する結合活性を比較することを目的とし、ヒトBMP9 mature2量体(R&Dシステムズ社製、Cat#3209−BP)に対する結合活性を表面プラズモン共鳴法(SPR法)によるBiacoreT100(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて測定した。
Anti−human IgG antibodyを、Human Antibody Capture Kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて、添付のプロトコルに従い、CM5センサーチップ(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に固定化した。
Anti−human IgG antibodyを固定化したフローセルに、1μg/mLに調製した255−13−13キメラ抗体又は10D5−2−3キメラ抗体を10μL/分の流速で30秒間添加した。
次いで、100ng/mLより4倍希釈で段階的に5濃度にて調製したヒトBMP9組換え蛋白質を30μL/分の流速で、結合反応を2分間、解離反応を15分間モニターした。取得したセンサーグラムは、Bia Evaluation Software(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて解析し、各抗体の速度論定数を算出した。
算出された各抗体の結合速度定数(ka1)、解離速度定数(kd1)及び解離定数[kd1/ka1=K]を表2に示す。
Figure 2017025011
表2に示すように、255−13−13キメラ抗体は、ヒトBMP9蛋白質に対し、1.1E−11程度の特異的な結合活性を有していることが確認された。また、その結合活性は、10D5−2−3キメラ抗体よりもK値として2倍程度強いものであった。
配列番号1:ヒトBMP9蛋白質のアミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号2:ヒトBMP9 mature領域のアミノ酸配列
配列番号3:ヒトBMP9蛋白質をコードする塩基配列(シグナル配列含む)
配列番号4:ヒトBMP9 mature領域をコードする塩基配列
配列番号5:ヒトBMPRIIのアミノ酸配列
配列番号6:ヒトALK1のアミノ酸配列
配列番号7:ヒトalpha1−PDX蛋白質のアミノ酸配列(シグナル配列含む)
配列番号8:ヒトalpha1−PDX蛋白質をコードする塩基配列(シグナル配列含む)
配列番号9:ヒトBMP9 propeptide領域に特異的なプライマーFwdの塩基配列
配列番号10:ヒトBMP9 propeptide領域に特異的なプライマーRvの塩基配列
配列番号11:ヒトBMP9 propeptide体のアミノ酸配列(シグナル配列含む)
配列番号12:ヒトBMP9 propeptide体をコードする塩基配列(シグナル配列含む)
配列番号13:pLN1V5_hBMP9 propeptideのNheI、XhoI認識部位間へ挿入された塩基配列
配列番号14:pLN1V5_hBMP9 propeptideによって発現される蛋白質のアミノ酸配列(シグナル配列除く)
配列番号15:ヒトBMP10 mature領域のアミノ酸配列
配列番号16:pNL4.01ベクターに挿入された改変Id1プロモーターの塩基配列
配列番号17:ヒトALK1の全長cDNA
配列番号18:ヒトALK1に特異的なプライマーFwdの塩基配列
配列番号19:ヒトALK1に特異的なプライマーRvの塩基配列
配列番号20:255−13−13抗体のVH全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号21:255−13−13抗体のVH全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号22:255−13−13抗体のVL全塩基配列(シグナル配列を含む)
配列番号23:255−13−13抗体のVL全アミノ酸配列(シグナル配列を含む)
配列番号24:255−13−13抗体のVH塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号25:255−13−13抗体のVL塩基配列(シグナル配列を除く)
配列番号26:255−13−13抗体のVHアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号27:255−13−13抗体のVLアミノ酸配列(シグナル配列を除く)
配列番号28:255−13−13抗体VHのCDR1アミノ酸配列
配列番号29:255−13−13抗体VHのCDR2アミノ酸配列
配列番号30:255−13−13抗体VHのCDR3アミノ酸配列
配列番号31:255−13−13抗体VLのCDR1アミノ酸配列
配列番号32:255−13−13抗体VLのCDR2アミノ酸配列
配列番号33:255−13−13抗体VLのCDR3アミノ酸配列
配列番号34:抗体発現ベクターに挿入した255−13−13 キメラ抗体重鎖塩基配列
配列番号35:抗体発現ベクターに挿入した255−13−13 キメラ抗体軽鎖塩基配列
配列番号36:発現させた255−13−13 キメラ抗体重鎖アミノ酸配列(シグナル配列除く)
配列番号37:発現させた255−13−13 キメラ抗体軽鎖アミノ酸配列(シグナル配列除く)

Claims (15)

  1. 以下の(a)及び(b)から選ばれる1の抗体、又は該抗体と競合してヒトBMP9に結合し、かつ、ヒトBMP9への結合解離定数が1×10−10mol/L以下であるモノクローナル抗体若しくは該抗体断片。
    (a)相補鎖決定領域(complementarity determining region、以下CDRと記す)1〜3がそれぞれ配列番号28〜30で表されるアミノ酸配列を含む抗体のH鎖を含み、かつCDR1〜3がそれぞれ配列番号31〜33で表されるアミノ酸配列を含む抗体のL鎖を含む抗体
    (b)配列番号26で表されるアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域を含み、かつ配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域を含む抗体
  2. 前記(a)及び(b)から選ばれる1の抗体が結合するエピトープに結合する、請求項1に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
  3. 遺伝子組換え抗体である、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
  4. ヒト型キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体から選ばれる1の遺伝子組換え抗体である、請求項3に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
  5. 以下の(c)及び(d)から選ばれる1のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
    (c)CDR1〜3がそれぞれ配列番号28〜30で表されるアミノ酸配列を含む抗体のH鎖を含み、かつCDR1〜3がそれぞれ配列番号31〜33で表されるアミノ酸配列を含む抗体のL鎖を含むモノクローナル抗体及び該抗体断片
    (d)配列番号26で表されるアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域を含み、かつ配列番号27で表されるアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域を含むモノクローナル抗体及び該抗体断片
  6. 配列番号2で表されるヒトBMP9 mature領域のアミノ酸配列のうち、少なくとも、1番目から37番目までのアミノ酸配列に含まれるアミノ酸に結合する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片。
  7. Fab、Fab’、F(ab’)、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)及びCDRを含むペプチドから選ばれる1の抗体断片である請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体断片。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片をコードするDNA。
  9. 請求項8に記載のDNAを含有する組換えベクター。
  10. 請求項9に記載の組換え体ベクターが宿主細胞に導入された形質転換株。
  11. 請求項10に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を生成蓄積させ、培養物から該モノクローナル抗体又は該抗体断片を採取することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片の製造方法。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を用いるヒトBMP9の免疫学的検出又は測定方法。
  13. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片と薬理学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  14. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を投与することを含む、ヒトBMP9が関与する貧血の治療方法。
  15. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体又は該抗体断片を投与することを含む、ヒトBMP9が関与する線維性疾患の治療方法。
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