JP2017024360A - 化粧シートの製造方法及び化粧材の製造方法 - Google Patents

化粧シートの製造方法及び化粧材の製造方法 Download PDF

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【課題】短時間の処理で耐傷付き性を向上できる化粧シートの製造方法及び化粧材の製造方法を提供する。【解決手段】化粧シート1の製造方法は、基材シート3上に絵柄模様層4、透明接着層5、アイソタクチックペンタッド分率75%以上のポリプロピレンを含有する透明熱可塑性樹脂層6、及び表面保護層7をこの順に積層して積層体を形成する積層工程と、積層体に対し過熱水蒸気を噴霧する噴霧工程と、を備えている。また、化粧材10の製造方法は、この製造方法により製造された化粧シート1を準備する化粧シート準備工程と、化粧シート1を基材2に貼り合わせる貼着工程と、備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シートの製造方法及び化粧材の製造方法に関する。
従来、例えば建築物の内装、建具、家具等の表面装飾等に化粧材が広く用いられている。化粧材は、例えば木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の基材の表面に化粧シートが貼り合わされて構成される。化粧シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール、ポリエステル、アクリル、又は共重合体樹脂等の合成樹脂からなるプラスチックフィルム系化粧シートが用いられる場合がある。
プラスチックフィルム系化粧シートにおいては、その結晶性が物性に影響を与え、例えば透明性や曲げ加工性、耐傷付き性については特に影響が大きい。中でも、耐傷付き性向上のためには高い結晶性を持たせることが重要で、その方法も様々である。例えば材料の種類及び組成、化粧シートを形成するフィルムの製膜条件の設計はもちろん、フィルムの製膜後にも結晶性を高める方法が存在する。その中の一つに加熱によるアニール処理があり、フィルムを適切な温度条件下に置くことで結晶化を促進させることができる。例えば特許文献1には、溶融させたポリオレフィン系樹脂をガラス転移温度より高く融点未満の温度で所定時間保持することにより、ポリオレフィン系樹脂の結晶性を高めることが開示されている。
特開2012−166407号公報
ところで、従来のアニール処理によっても化粧シートの耐傷付き性を向上することは可能であるものの、化粧シートの更なる性能向上を図る上で、耐傷付き性を一層向上することが望まれている。また、従来のアニール処理では、所定の温度条件下に置かれた化粧シートが十分に加熱されるまでに長時間を要するため、より短時間の処理で耐傷付き性を向上できる方法が望まれている。
そこで、本発明は、短時間の処理で耐傷付き性を向上できる化粧シートの製造方法及び化粧材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る化粧シートの製造方法は、基材シート上に絵柄模様層、透明接着層、ポリプロピレンを含有する透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層をこの順に積層して積層体を形成する積層工程と、積層体に対し過熱水蒸気を噴霧する噴霧工程と、を備え、プロピレンは、アイソタクチックペンタッド分率75%以上であることを特徴としている。
この化粧シートの製造方法では、過熱水蒸気の噴霧によって、透明熱可塑性樹脂層に含有されるアイソタクチックペンタッド分率75%以上のポリプロピレンの結晶化が促進されるため、化粧シートの耐傷付き性を向上できる。また、過熱水蒸気を積層体に噴霧する場合、積層体への熱の伝達効率が高いため、積層体が十分に加熱されるまでの時間を短縮できる。以上により、短時間で耐傷付き性を向上できる。
上記の化粧シートの製造方法において、基材シートは、着色熱可塑性樹脂を含有してもよい。この場合、基材シートの色を自由に選択できることから、基材シートに積層される絵柄模様層の下地色としての色相を自由に選択することができる。
上記の化粧シートの製造方法において、表面保護層は、熱硬化型樹脂を含有してもよい。この場合、噴霧工程において積層体に対し過熱水蒸気が噴霧されると、表面保護層に含有される熱硬化型樹脂が熱により硬化するため、耐傷付き性を一層向上できる。
上記の化粧シートの製造方法において、表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有し、積層体に対し電離放射線を照射する照射工程を更に備えてもよい。この場合、照射工程において積層体に対し電離放射線が照射されると、表面保護層に含有される電離放射線硬化型樹脂が電離放射線により硬化するため、耐傷付き性を一層向上できる。
上記の化粧シートの製造方法では、積層工程において、表面保護層として、熱硬化型樹脂を含有する第1表面保護層を積層した後に電離放射線硬化型樹脂を含有する第2表面保護層を積層し、積層体に対し電離放射線を照射する照射工程を更に備えてもよい。この場合、噴霧工程において積層体に対し過熱水蒸気が噴霧されると、第1表面保護層に含有される熱硬化型樹脂が熱により硬化し、また、照射工程において積層体に対し電離放射線が照射されると、第2表面保護層に含有される電離放射線硬化型樹脂が電離放射線により硬化する。更に、熱硬化型樹脂を含有する第1表面保護層は、透明熱可塑性樹脂層との密着性が高い。以上により、耐傷付き性を一層向上できる。
上記の化粧シートの製造方法において、過熱水蒸気の温度は、100℃以上350℃以下であってもよい。この場合、積層体に噴霧される過熱水蒸気の温度が100℃以上であることにより、透明熱可塑性樹脂層に含有されるアイソタクチックペンタッド分率75%以上のポリプロピレンの結晶化が促進されるため、化粧シートの耐傷付き性を向上できる。また、積層体に噴霧される過熱水蒸気の温度が350℃以下であることにより、過剰に高い温度の過熱水蒸気が噴霧されることによる化粧シートへのフレアの発生を抑制できる。
また、本発明は、上述した何れかの化粧シートの製造方法により製造された化粧シートを準備する化粧シート準備工程と、化粧シートを基材に貼り合わせる貼着工程と、備えることを特徴とする化粧材の製造方法の発明として捉えることも可能である。この化粧材の製造方法によれば、化粧シートの製造方法と同様に、上述した効果を奏することが可能となる。
本発明によれば、短時間の処理で耐傷付き性を向上できる化粧シートの製造方法及び化粧材の製造方法を提供することができる。
本発明に係る製造方法で製造される化粧材の断面構成を示す模式的な断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る化粧シートの製造方法、及び、化粧材の製造方法について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
まず、本発明に係る製造方法で製造される化粧シート及び化粧材の構成について説明する。図1は、本発明に係る製造方法で製造される化粧材の断面構成を示す模式的な断面図である。図1に示すように、化粧材10は、化粧シート1を基材2に貼り合わせて構成されている。化粧シート1は、基材シート3と、絵柄模様層4と、透明接着層5と、透明熱可塑性樹脂層6と、表面保護層7と、が裏面側から表面側に向かってこの順に積層されている。
基材シート3としては、特に限定されるものではないが、例えば各種の樹脂、紙、布等の材料を用いることができる。ここでは、基材シート3として、着色熱可塑性樹脂を含有した材料を用いている。基材シート3を構成する熱可塑性樹脂を着色する方法としては、例えば基材シート3のシーティングにおいて顔料等の着色剤を混合すること又は練り込むことが挙げられる。着色熱可塑性樹脂を含有した基材シート3を用いることにより、化粧シート1を基材2に貼り合わせて形成された化粧材10において、基材2が化粧シート1上から透けて視認されてしまうことを抑制できる。また、基材シート3の色を自由に選択できることから、基材シート3に積層される絵柄模様層4の下地色としての色相を自由に選択することができる。なお、基材シート3として透明熱可塑性樹脂を用いてもよい。この場合、基材シート3上に着色ベタ印刷を施して絵柄模様層4を形成することで、基材2が化粧シート1上から透けて視認されてしまうことを抑制できる。
絵柄模様層4は、化粧シート1に絵柄模様を付与するための層である。絵柄模様層4においては既知の印刷手法を用いて絵柄の印刷を行うことが可能であり、例えば基材シート3が巻き取りの状態で用意できる場合にはロールツーロールの印刷装置で印刷を行うことができる。印刷手法は特に限定されるものではないが、生産性や絵柄の品位を考慮すれば例えばグラビア印刷法を用いることができる。
絵柄模様層4に付与される絵柄模様は、化粧材10としての意匠性を考慮して任意の絵柄模様を採用すればよい。例えば、木質系の絵柄として、絵柄模様層4に各種木目模様を付与してもよく、また、木目以外にもコルクを絵柄模様として付与してもよい。或いは、例えば大理石等の石材の床や建具をイメージした絵柄として、絵柄模様層4に大理石の石目などの絵柄模様を付与してもよい。また、これらの天然材料の絵柄模様以外に、これらをモチーフとした模様や幾何学模様等の人工的絵柄模様を付与してもよい。
絵柄模様層4において絵柄模様の印刷に用いられる印刷インキについては、特に限定するものではないが、印刷方式に対応したインキを適宜選ぶことができる。特に基材シート3に対する密着性、印刷適性、及び化粧材10としての耐候性を考慮して選択することが好ましい。
透明接着層5は、絵柄模様層4と、絵柄模様層4上に積層される透明熱可塑性樹脂層6と、の接着を強固にする目的で設けられる。この接着を強固にすることによって、化粧シート1に対し、曲面や直角面に追随する曲げ加工性を付与することができる。
透明熱可塑性樹脂層6は、化粧シート1に意匠的な厚みや深みを出すと共に、化粧シート1の耐候性、耐磨耗性能を向上させるための層である。透明熱可塑性樹脂層6は、ポリプロピレンを含有して構成され、そのポリプロピレンは、アイソタクチックペンタッド分率75%以上とされる。なお、「ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率」とは、メチル基が5個連続で同方向を向いているプロピレンのモノマー数/プロピレンモノマー数×100[%]として規定されているものである。アイソタクチックペンタッド分率は、A.Zambelliらによって、Macromolecules,6,925(1973)に発表、記載されているような、13C−NMRを使用した方法によって測定される。ただし、NMRの吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)などが参考となる。具体的には、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチックペンタッド分率が測定される。また、透明熱可塑性樹脂層6において、樹脂のグレードや組成はシーティングの容易性や印刷適性、曲げ加工に対する適性を考慮して選択される。特に曲げ加工性においては、曲げ部の白化や割れが発生しにくくすることを考慮して選択することが重要である。
透明接着層5及び透明熱可塑性樹脂層6は、例えば共押し出しで両者を同時に押し出して形成することができる。
表面保護層7は、透明熱可塑性樹脂層6の上に設けられる。表面保護層7は、熱硬化型樹脂を含有していてもよく、また、電離放射線硬化型樹脂を含有していてもよい。表面保護層は単層でもよく、複数の層を重ねて設けてもよい。ここでは、表面保護層7は、熱硬化型樹脂を含有する第1表面保護層7aと、電離放射線硬化型樹脂を含有する第2表面保護層7bと、を化粧シート1の裏面側から表面側に向かってこの順に有している。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は加工適性、生産性、硬度等を考慮して1種又は複数種を混合して用いることができる。また、熱硬化型樹脂には、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。硬化剤として、例えば、イソシアネート又は有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加され、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加され、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加される。
電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基を有する単量体、プレポリマー又はポリマーを挙げることができる。これらの単量体、プレポリマー又はポリマーは、単量体で用いられるか、又は、複数種混合して用いられる。なお、本明細書において、例えば(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートの意味で用いる。また、電離放射線とは、電磁波ないし荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、紫外線、電子線等が挙げられる。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。このプレポリマーとしては、通常、分子量が10000程度以下のものが用いられる。分子量が10000を越えると、硬化した樹脂層の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性、耐汚染性等の表面物性が悪化する。上記のアクリレートとメタアクリレートとは共用し得る。しかし、電離放射線での架橋硬化速度はアクリレートの方が速いため、高速度、短時間で効率よく硬化させるためにはアクリレートを用いる方が有利である。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル、ウレタン系ビニルエーテル、エステル系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂、環状エーテル化合物、スピロ化合物等のプレポリマーを挙げることができる。
ラジカル重合性不飽和基を有する単量体については、例えば、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンテレフタレート等を挙げることができる。
また、ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体として、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等を挙げることができる。
カチオン重合性官能基を有する単量体としては、上記のカチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体を用いることができる。
上記の電離放射線硬化型樹脂を紫外線の照射により硬化させる場合には、増感剤として光重合開始剤を添加することができる。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系に対する光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエートを単独で又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系に対する光重合開始剤としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシキソニウムジアリルヨードシル塩等を単独で又は混合して用いることができる。なお、これら光重合開始剤の添加量は、一般に、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度である。
以上説明した化粧シート1が貼り合わされる基材2としては、南洋材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、日本農林規格に規定される普通合板等を使用可能である。また、木紛添加オレフィン系樹脂を含有する材料も基材2として使用可能である。基材2の厚みは3〜25mm程度が好適である。
続いて、化粧シート1及び化粧材10の製造方法について説明する。まず、基材シート3上に絵柄模様層4、透明接着層5、透明熱可塑性樹脂層6、及び表面保護層7をこの順に積層して積層体を形成する(積層工程)。ここでは、表面保護層7として、熱硬化型樹脂を含有する第1表面保護層7aと、電離放射線硬化型樹脂を含有する第2表面保護層7bと、を有している。具体的には、第1表面保護層7aは透明熱可塑性樹脂層6上に積層され、第2表面保護層7bは第1表面保護層7a上に積層されている。
なお、必要な場合には、絵柄模様層4と透明接着層5との接着性向上を目的として、絵柄模様層4の上に接着層を設けることができる。これに用いる樹脂は特に限定するものではないが、例えば2液硬化型ウレタン樹脂などを用いることができる。接着層は、例えばコーティング装置やグラビア印刷装置等を用いて設けることができる。
次に、積層体に対し過熱水蒸気を噴霧する(噴霧工程)。過熱水蒸気が噴霧されると、透明熱可塑性樹脂層6に含有されるアイソタクチックペンタッド分率75%以上のポリプロピレンの結晶化が促進されるため、化粧シート1の耐傷付き性が向上する。また、過熱水蒸気が噴霧されると、化粧シート1は短時間で十分に加熱される。以上により、短時間の処理で耐傷付き性が向上する。なお、表面保護層7として第1表面保護層7a及び第2表面保護層7bを有する場合、第1表面保護層7aを積層した後に1回目の噴霧工程を実施し、第2表面保護層7bを積層した後に2回目の噴霧工程を実施してもよい。
噴霧工程において積層体に対し過熱水蒸気が噴霧されると、第1表面保護層7aに含有される熱硬化型樹脂が短時間で溶剤乾燥すると共に熱により硬化するため、短時間の処理で耐傷付き性が一層向上される。
積層体に噴霧される過熱水蒸気の温度は、100℃以上350℃以下であることが好ましい。過熱水蒸気の温度が100℃以上であることにより、透明熱可塑性樹脂層6に含有されるアイソタクチックペンタッド分率75%以上のポリプロピレンの結晶化が促進されるため、化粧シートの耐傷付き性を向上できる。また、過熱水蒸気の温度が350℃以下であることにより、過剰に高い温度の過熱水蒸気が噴霧されることによる化粧シート1へのフレアの発生を抑制できる。なお、フレアの強い化粧シート1を基材2に貼り合わせようとすると、フレア部分に空気が入って貼り合わせ難くなり、また、フレア部分が折れてしわになり易くなる等の問題が生じることがある。
次に、積層体に対し電離放射線を照射する(照射工程)。照射される電離放射線は、紫外線、電子線等とすることができる。積層体に対し電離放射線が照射されると、第2表面保護層7bに含有される電離放射線硬化型樹脂が電離放射線により硬化するため、耐傷付き性が一層向上される。
以上の工程により、化粧シート1を得ることができる。また、このようにして化粧シート1を準備し(化粧シート準備工程)、化粧シート1を基材2に貼り合わせることにより(貼着工程)、化粧材10を得ることができる。
以下に本実施形態を具体的に説明した実施例を例示する。本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
基材シートとして、着色熱可塑性樹脂であるポリプロピレンフィルム(リケンテクノス(株)製「OW」)を使用し、その片面に絵柄模様層としてグラビアインキ(東洋インキ製造(株)製「ラミスター」)で木目印刷をグラビア印刷機により印刷して設けた。その後、基材シートにおける絵柄模様層とは反対側の面に、シリカ粉末を含有する2液ウレタン系プライマー樹脂を乾燥後の厚みが1μmとなるようにグラビア塗工した。その後、接着層として、絵柄模様層上に、ポリエステルポリオールを主剤としイソホロンジイソシアネートを硬化剤とする2液ウレタン樹脂系接着剤を、乾燥後の塗布量が2g/mになるように塗工した。その後、接着層上に、透明接着層(マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂)10μmと、アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン(プライムポリマー(株)製「Y2000GP」)を主成分とした透明熱可塑性樹脂層80μmと、を透明接着層が絵柄模様層側になるように共押し出しラミネートした。その後、その表面に第1表面保護層として、熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス(株)製)とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させた。更に、第2表面保護層として熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させて目的の化粧シートを得た。
<実施例2>
実施例1における透明熱可塑性樹脂層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、透明熱可塑性樹脂層において、アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン(プライムポリマー(株)製)及びランダムポリプロピレン(プライムポリマー(株)製)を混合してアイソタクチックペンタッド分率80%に調整したポリプロピレンを主成分として用いた。具体的には、アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン100質量部に対してランダムポリプロピレン19質量部を加えることで、全体としてアイソタクチックペンタッド分率80%のポリプロピレンを作製した。ここで、ポリプロピレンがアイソタクチックペンタッド分率80%に調整されていることは、上記アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン及びランダムポリプロピレンを混合した後に、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率を測定して確認した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<実施例3>
実施例1における第1表面保護層及び第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第1表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させ、また、第2表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させ、更に、紫外線(高圧水銀灯、約200mJ/cm)を照射して第1表面保護層及び第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<実施例4>
実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)及び熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)を質量比1:1になるように混合し、イソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス(株)製)と混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥し、更に、紫外線(高圧水銀灯、約200mJ/cm)を照射して第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<実施例5>
実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)及び熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)を質量比7:3になるように混合し、イソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス(株)製)と混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥し、更に、紫外線(高圧水銀灯、約200mJ/cm)を照射して第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<実施例6>
実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(DICグラフィックス(株)製)を乾燥後の厚み約6μmで塗工して塗膜形成し、温度120℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥し、更に、紫外線(高圧水銀灯、約200mJ/cm)を照射して第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<実施例7>
実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度200℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させて第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<実施例8>
実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度300℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させて第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<実施例9>
実施例1における第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第2表面保護層として、熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度400℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させて第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<比較例1>
実施例1における第1表面保護層及び第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第1表面保護層として、熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス(株)製)とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度60℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させ、また、第2表面保護層として熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度60℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させて第1表面保護層及び第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<比較例2>
実施例1における第1表面保護層及び第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第1表面保護層として、熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス(株)製)とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度120℃の熱風を12秒間吹き付けることで溶剤乾燥させ、また、第2表面保護層として熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度120℃の熱風を12秒間吹き付けることで溶剤乾燥させて第1表面保護層及び第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<比較例3>
実施例1における透明熱可塑性樹脂層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、透明熱可塑性樹脂層において、アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン(プライムポリマー(株)製)及びランダムポリプロピレン(プライムポリマー(株)製)を混合してアイソタクチックペンタッド分率70%に調整したポリプロピレンを主成分として用いた。具体的には、アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン100質量部に対してランダムポリプロピレン36質量部を加えることで、全体としてアイソタクチックペンタッド分率70%のポリプロピレンを作製した。ここで、ポリプロピレンがアイソタクチックペンタッド分率70%に調整されていることは、上記アイソタクチックペンタッド分率95%のポリプロピレン及びランダムポリプロピレンを混合した後に、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率を測定して確認した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<比較例4>
実施例1における透明熱可塑性樹脂層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、透明熱可塑性樹脂層において、ランダムポリプロピレン(プライムポリマー(株)製)を主成分として用いた。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<比較例5>
実施例1における第1表面保護層及び第2表面保護層の形成手順を下記の通り変更して化粧シートを作製した。すなわち、第1表面保護層として、熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤(DICグラフィックス(株)製)とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度60℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させ、また、第2表面保護層として熱硬化型アクリルウレタン樹脂(DICグラフィックス(株)製)とイソシアネート系硬化剤とを混合した塗液を乾燥後の厚み約6μmになるように塗工して塗膜形成し、温度60℃の過熱水蒸気を12秒間噴霧することで溶剤乾燥させ、更に、40℃雰囲気下に3日間置いて第1表面保護層及び第2表面保護層を形成した。なお、それ以外は実施例1と同様の手順で化粧シートを作製した。
<評価用化粧材の作製>
実施例1〜9、比較例1〜5で作製した化粧シートを、基材である厚み3mmのMDF(広葉樹)の表面に接着剤で貼り合わせた。接着剤として2液水性エマルジョン接着剤(ジャパンコーティングレジン(株)製リカボンド(登録商標)BA−10L/BA−11B=100:2.5)を用い、ウエット状態において80g/mの塗工量で貼り合わせた。次いで7日間養生して化粧材とした。
<評価項目及び評価方法>
実施例1〜9、比較例1〜5に係る化粧シートを用いて作製した化粧材について、下記の評価項目及び評価方法によって試験、評価した。評価結果を表1に示す。
(1)鉛筆引掻き試験
試験方法はJIS−K5600「引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して行った。評価基準は下記のとおりである。
◎:塗膜が剥がれない最高硬度が3H以上であり、かつ表面に凹みが見られない最高硬度がHB以上の場合。
○:塗膜が剥がれない最高硬度が2H以下であり、かつ表面に凹みが見られない最高硬度がHB以上の場合。
×:塗膜が剥がれない最高硬度が2H以下であり、かつ表面に凹みが見られない最高硬度がB以下の場合。
(2)コインスクラッチ試験
10円硬貨を45度の角度で傾けた状態で化粧材表面に当て、荷重を1kg、2kg、3kg、4kgで変化させて、10円硬貨を傾けた方向へスクラッチした。評価基準は下記のとおりである。
◎:塗膜の剥がれが見られない場合。
○:塗膜が剥がれる最小荷重が4kgの場合。
×:塗膜が剥がれる最小荷重が3kg以下の場合。
(3)フレア状態
実施例1〜9、比較例1〜5に係る化粧シートを用いて作製した化粧材ついて、フレアの程度を評価した。評価基準は、下記のとおりである。
○:シートにフレアが見られない場合。
×:シートにフレアが見られる場合。
(4)製造時間
実施例1〜9、比較例1〜5に係る化粧シートについて、その作製に要した製造時間を評価した。評価基準は、下記のとおりである。
○:最短の製造時間が30時間未満。
×:最短の製造時間が30時間以上。
<評価結果>
Figure 2017024360
アイソタクチックペンタッド分率75%以上のポリプロピレンを透明熱可塑性樹脂層の主成分として使用した化粧シートに過熱水蒸気を噴霧した実施例1〜実施例9においては、いずれも耐傷付き性に関する評価項目において○以上の評価結果であり、アイソタクチックペンタッド分率75%未満のポリプロピレンを透明熱可塑性樹脂層の主成分として使用した比較例3及び4においては、相対的に耐傷付き性の低下が見られた。これは、結晶性を高め易いポリプロピレンを使用し、過熱水蒸気噴霧により化粧シートの結晶性をより高めることが、耐傷付き性を向上させることを示している。
過熱水蒸気の代わりに熱風を吹き付けた比較例2においては、相対的に耐傷付き性の低下が見られた。これは、熱風によって熱を与えるより、過熱水蒸気によって熱を与える方が、化粧シートの耐傷付き性を効率よく向上する効果があることを示している。また、比較例5のように化粧シート作製後に加熱しながら養生をすることによっても耐傷付き性の向上がある程度見込まれるが、過熱水蒸気を噴霧した場合に比べて耐傷付き性は劣り、かつシート作製時間は長くなるという結果となった。
第1表面保護層を構成する成分に熱硬化型樹脂を含み、かつ第2表面保護層を構成する成分に紫外線硬化型樹脂を含む実施例4〜6においては、他の実施例または比較例に比較して耐傷付き性が特に優れていた。これは第2表面保護層に含まれる紫外線硬化型樹脂が表面硬度を上げ、耐傷付き性を上げることに効果があることを示している。しかし、同じく第2表面保護層に紫外線硬化型樹脂を含む実施例3は高い耐傷付き性を示していないが、これは透明熱可塑性樹脂と第1表面保護層との密着性が高くないためと考えられる。このことから、この密着性を高くするために、第1表面保護層には熱硬化型樹脂を用いることが好ましい。
過熱水蒸気を200℃及び300℃の温度でそれぞれ噴霧した実施例7及び実施例8においては、鉛筆引掻き試験及びコインスクラッチ試験の何れの評価項目においても、過熱水蒸気を120℃の温度で噴霧した実施例1と同等の評価結果となった。
過熱水蒸気を400℃の温度で噴霧した実施例9においては、耐傷付き性においては過熱水蒸気を120℃の温度で噴霧した実施例1と同等の評価結果となっている一方で、シート状態についてはフレアが発生しており、後加工のし易さを考慮するとあまり好ましいシート状態ではなかった。これは、ある温度以上の過熱水蒸気を噴霧すると、その熱の影響で化粧シートにフレアが発生してしまうことを示している。
これらの結果を総合すると、透明熱可塑性樹脂層としてアイソタクチックペンタッド分率75%以上のポリプロピレンを用い、過熱水蒸気を噴霧することによって、耐傷付き性の高い化粧シートを得ることができることが確認された。特に、実施例4〜6のように、第1表面保護層として熱硬化型樹脂を含む層を設けると共に、第2表面保護層として紫外線硬化型樹脂を含む層を更に設けた場合は、耐傷付き性をより向上できることが確認された。また、化粧シートのフレアを抑制するためには、実施例1〜8のように、噴霧する過熱水蒸気の温度を100℃以上350℃以下とすることが好ましいことが確認された。
以上の結果から、本発明によれば、短時間の処理で耐傷付き性を向上できる化粧シートの製造方法及びそれを用いた化粧材の製造方法を提供可能であることが検証された。
1…化粧シート、2…基材、3…基材シート、4…絵柄模様層、5…透明接着層、6…透明熱可塑性樹脂層、7…表面保護層、7a…第1表面保護層、7b…第2表面保護層、10…化粧材。

Claims (7)

  1. 基材シート上に絵柄模様層、透明接着層、ポリプロピレンを含有する透明熱可塑性樹脂層、及び表面保護層をこの順に積層して積層体を形成する積層工程と、
    前記積層体に対し過熱水蒸気を噴霧する噴霧工程と、を備え、
    前記ポリプロピレンは、アイソタクチックペンタッド分率75%以上であることを特徴とする化粧シートの製造方法。
  2. 前記基材シートは、着色熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
  3. 前記表面保護層は、熱硬化型樹脂を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧シートの製造方法。
  4. 前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有し、
    前記積層体に対し電離放射線を照射する照射工程を更に備えることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の化粧シートの製造方法。
  5. 前記積層工程において、前記表面保護層として、熱硬化型樹脂を含有する第1表面保護層を積層した後に電離放射線硬化型樹脂を含有する第2表面保護層を積層し、
    前記積層体に対し電離放射線を照射する照射工程を更に備えることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の化粧シートの製造方法。
  6. 前記過熱水蒸気の温度は、100℃以上350℃以下であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の化粧シートの製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の化粧シートの製造方法により製造された化粧シートを準備する化粧シート準備工程と、
    前記化粧シートを基材に貼り合わせる貼着工程と、備えることを特徴とする化粧材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019084762A (ja) * 2017-11-07 2019-06-06 凸版印刷株式会社 化粧シート、化粧板、化粧シートの製造方法

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