JP2017024333A - 射出成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】物理発泡剤を用いる発泡射出成形方法において、物理発泡剤を含む溶融樹脂の樹脂密度を安定化させる。
【解決手段】
物理発泡剤を用いる発泡射出成形方法であって、第1の圧力を有する物理発泡剤を可塑化シリンダ内へ導入する前、スクリュのスクリュ背圧を第2の圧力に制御することと、少なくとも前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入する間、前記スクリュ背圧を第1の圧力より低い第3の圧力に制御することと、前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入した後、前記スクリュ背圧を第1の圧力より高い第4の圧力に制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、加圧流体を物理発泡剤として用いた発泡成形体の射出成形方法に関する。
近年、自動車用途を中心として、発泡成形体を樹脂部品として採用する動きが広がっている。このような発泡成形体は、例えば、超臨界流体(SCF)等を用いた発泡射出成形方法により成形される(特許文献1)。発泡射出成形方法では、まず、物理発泡剤として機能する超臨界状態の窒素や二酸化炭素を溶融状態の樹脂に導入し、混錬して溶融樹脂と均一相溶させる。その後、溶融樹脂を金型内に射出充填して成形体を成形すると、樹脂中の高圧流体が相分離してガス化し、成形体中に発泡セルを形成する。
上記の従来の発泡成形技術は、化学発泡剤を用いた発泡射出成形と比較し、クリーンであり発泡剤の残渣が残らない、発泡セル径が微細化するため成形体の機械強度が低下しにくいという利点を有する。更に、高圧の物理発泡剤は溶融樹脂の可塑剤として機能するため、射出充填時の樹脂粘度が低下し流動性が向上する、発泡時のガス圧力により樹脂が固化した際の収縮によるヒケを抑制する、発泡時に溶融樹脂内部の潜熱を奪うことにより冷却歪及び反りが小さくなる、といった利点も有する。
射出成形方法では、可塑化シリンダ内の溶融樹脂の樹脂内圧をスクリュ背圧によって制御する。従来の発泡成形技術では、スクリュ背圧で制御された樹脂内圧以上の圧力を有するSCFを可塑化シリンダ内に導入する。そして、スクリュ背圧で溶融樹脂の圧力と密度を制御しながら、スクリュを任意の回転数で回転させて溶融樹脂を前方に送りつつ、可塑化計量を行う。
特開2009‐220387号公報
しかし、可塑化シリンダ内に樹脂内圧以上の圧力を有する物理発泡剤を導入すると、樹脂内圧に変動が生じる。導入された物理発泡剤の影響で樹脂内圧が急激に上昇してスクリュが過剰に後退し、可塑化シリンダ内の樹脂密度が低下することも起こりうる。これは、物理発泡剤を含む溶融樹脂の樹脂密度を不安定にする。樹脂密度の不安定化は、スクリュによる溶融樹脂の計量動作を不安定にし、ショット毎の溶融樹脂に導入される発泡剤の量の変動、可塑化計量される樹脂量(金型に充填される樹脂量)の変動を引き起こし、成形体の発泡不良やショートショット(充填不良)等の原因となる。
本発明は、上記課題を解決するものであり、物理発泡剤を用いる発泡射出成形方法において、物理発泡剤を含む溶融樹脂の樹脂密度を安定化させ、成形不良を抑制することを目的とする。
本発明によれば、射出成形方法であって、回転自在で、且つ回転軸方向に進退自在に配設されたスクリュを備え、内部に物理発泡剤を導入するための導入口が形成された可塑化シリンダを用い、前記可塑化シリンダ内において、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とすることと、前記導入口から、第1の圧力を有する物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入して前記溶融樹脂と混合することと、前記物理発泡剤を混合した溶融樹脂を前記可塑化シリンダから射出して発泡成形体を成形することと、前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入する前、前記スクリュのスクリュ背圧を第2の圧力に制御することと、少なくとも前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入する間、前記スクリュ背圧を第1の圧力より低い第3の圧力に制御することと、前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入した後、前記スクリュ背圧を第1の圧力より高い第4の圧力に制御することとを含む射出成形方法が提供される。
本発明においては、第2の圧力が、第1の圧力より高くてもよい。また、前記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入の開始と同時又は開始前に、前記スクリュ背圧を第2の圧力から第3の圧力に低下させ、記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入の停止と同時又は停止後に、前記スクリュ背圧を第3の圧力から、第4の圧力に上昇させてもよい。
前記導入口には、導入バルブが設けられており、前記スクリュ背圧を第2の圧力から第3の圧力に低下させてから第1の所定時間経過後に、前記導入バルブを開放して前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入してもよい。第1の所定時間が、0.1秒〜10秒であってもよい。
本発明においては、前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入する間のみ、前記スクリュ背圧を第3の圧力に制御してもよい。また、前記スクリュ背圧を第2の圧力から第3の圧力に低下させることにより、前記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入を開始してもよいし、前記スクリュ背圧を第3の圧力から第4の圧力に上昇させることにより、前記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入を停止してもよい。
前記物理発泡剤導入口には、導入バルブが設けられており、前記導入バルブを閉鎖して前記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内へ導入を停止してから第2の所定時間経過後に、前記スクリュ背圧を第3の圧力から第4の圧力に上昇させてもよい。また、前記スクリュ背圧を第2の圧力から第3の圧力に低下させる制御は、前記スクリュの回転軸方向における、前記可塑化シリンダ内の前記スクリュの位置に同期させて行ってもよい。
本発明においては、第2の圧力と第4の圧力が、同じ圧力であってもよい。また、第1の圧力、第2の圧力、第3の圧力及び第4の圧力が、それぞれ一定の圧力であってもよい。第2の圧力と第1の圧力との差が、0.1MPa〜30MPaであってもよく、第3の圧力と第1の圧力との差が、0.1MPa〜30MPaであってもよく、第4の圧力と第1の圧力との差が、0.1MPa〜30MPaであってもよい。また、前記物理発泡剤が、窒素又は二酸化炭素であってもよい。
本発明の発泡成形体の射出成形方法は、スクリュ背圧を多段階に制御することで、
物理発泡剤を効率的に可塑化シリンダ内に導入でき、更に、物理発泡剤を含む溶融樹脂の樹脂密度を安定化させる。これにより、発泡不良やショートショット等の成形不良が解消され、発泡成形体の品質が向上する。
実施形態の射出成形方法のフローチャートである。 実施形態におけるスクリュ背圧制御を説明する図である。 実施形態の変形例1におけるスクリュ背圧制御を説明する図である。 実施形態の変形例2におけるスクリュ背圧制御を説明する図である。 実施形態の変形例3におけるスクリュ背圧制御を説明する図である。 実施形態の変形例4におけるスクリュ背圧制御を説明する図である。 実施形態で用いた発泡成形体の製造装置の概略図である。 比較例1におけるスクリュ背圧制御を説明する図である。 比較例2におけるスクリュ背圧制御を説明する図である。
本実施形態の射出成形方法は、発泡射出成形方法であり、例えば、図7に示す製造装置1000を用いて実施できる。まず、製造装置1000について説明する。
[製造装置]
図7に示すように、製造装置1000は、可塑化シリンダ210を有する混練装置(射出成形装置)200と、物理発泡剤を可塑化シリンダ210に供給する物理発泡剤供給装置100と、金型251が設けられた型締めユニット250と、物理発泡剤供給装置100、混練装置200及び型締めユニット250を動作制御する制御装置(不図示)を備える。
物理発泡剤供給装置100は、物理発泡剤となる加圧流体を収容するボンベ10と、物理発泡剤を超臨界状態として可塑化シリンダ210へ供給する超臨界流体供給装置(SCF供給装置)11と、可塑化シリンダ210へ供給される超臨界状態の物理発泡剤の流量を制御するSCF流量調整機構12を含む。
混練装置200は、可塑化シリンダ210と、可塑化シリンダ210内に回転自在、且つ回転軸方向に進退自在に配設されたスクリュ20と、スクリュ20を駆動させるスクリュ駆動機構260とを備える。本実施形態では、可塑化シリンダ210内において、可塑化溶融された溶融樹脂は、図7における右手から左手に向かって流動する。したがって、本実施形態の可塑化シリンダ210の内部においては、図7における右手を「上流」又は「後方」、左手を「下流」又は「前方」と定義する。
スクリュ駆動機構260は、可塑化シリンダ210の上流側の後端部に接続され、例えば、スクリュ20を回転させるスクリュ回転駆動機構と、スクリュ20を軸方向に移動するスクリュ移動機構と、スクリュ20にかかる圧力、即ち、スクリュ背圧を検出するロードセル等の圧力センサを有する。「スクリュ背圧」とは、樹脂の可塑化計量時、即ち、スクリュ20が正回転することにより溶融樹脂が可塑化シリンダ210の前方へ送られ、その樹脂圧力によりスクリュ20が後退する時に、スクリュ20を後方から前方へ押す圧力を意味する。本実施形態では、スクリュ背圧はスクリュ駆動機構260によって制御される。
尚、本実施形態の混練装置200は、従来公知の混練装置の構成と同様に、可塑化シリンダ210の後方側から見た場合に、スクリュ20を反時計回りに回転させると溶融樹脂を前方(ノズル部側)に送る正回転をし、時計回りに回転させると逆回転するように構成されている。
可塑化シリンダ210の上部側面には、上流側から順に、熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給するための樹脂供給口201及び物理発泡剤を可塑化シリンダ210内に導入するための導入口202が形成されている。これらの樹脂供給口201及び導入口202にはそれぞれ、樹脂供給用ホッパ211及び導入バルブ212が配設されている。また導入バルブ212は、混練装置200の外に設けられる物理発泡剤供給装置100と接続される。可塑化シリンダ210の外壁面には、バンドヒータ(図示せず)が配設される。
このような構造の混練装置200では、樹脂供給口201から可塑化シリンダ210内に供給された熱可塑性樹脂は、バンドヒータによって加熱され、更にスクリュ20の回転による剪断発熱も加わり、可塑化溶融されて溶融樹脂となり、スクリュ20が正回転することにより下流に送られる。そして、導入口202近傍まで送られた溶融樹脂は、導入された物理発泡剤と高圧下、接触混練される。そして、さらに前方に送られた溶融樹脂はスクリュ20の先端部に押し出され、溶融樹脂の圧力がスクリュ20に対する反力となり、該反力でスクリュ20が後退することにより計量が行われる。尚、可塑化シリンダ210には、溶融樹脂と物理発泡剤との接触混練を効率的に行うため、可塑化シリンダ210に導入口202を複数設けてもよい。
可塑化シリンダ210のノズル先端にはエアーシリンダの駆動により開閉するシャットオフバルブ36が設けられ、可塑化シリンダ210の内部を高圧に保持できる。ノズル先端には、金型251が密着し、金型が形成するキャビティ内に、ノズル先端から溶融樹脂が射出充填される。
[射出成形方法]
次に、図1に示すフローチャートに従い、本実施形態の射出成形方法について説明する。まず、熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給し、可塑化シリンダ210内で可塑化溶融して溶融樹脂とする(図1のステップS1)。
熱可塑性樹脂としては、目的とする成形体の種類に応じて種々の樹脂を使用できる。具体的には、例えば、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ABS樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、及びこれらの複合材料を用いることができる。また、これらの熱可塑性樹脂にガラス繊維、タルク、カーボン繊維などの各種無機フィラーを混練したものを用いることもできる。
次に、スクリュ20のスクリュ背圧と、可塑化シリンダ210の導入口202に設けられる導入バルブ212とを制御して、第1の圧力P1を有する物理発泡剤を導入口202から可塑化シリンダ210内へ導入する。
まず、物理発泡剤について説明する。物理発泡剤としては、加圧窒素や加圧二酸化炭素等の加圧流体を用いることが好ましい。これらの物理発泡剤は、人体に無害であり、また溶融樹脂への拡散性に優れ、しかも溶融樹脂から容易に除去可能であり、更に、溶融樹脂の可塑剤としても機能する。物理発泡剤の可塑化シリンダ210への導入圧力(以下、適宜「第1の圧力P1」と記載する)および温度は、物理発泡剤の種類によっても適切な条件は異なり任意であるが、密度が高く安定であることから、物理発泡剤は液体状態又は超臨界状態が好ましい。加圧窒素又は加圧二酸化炭素を物理発泡剤として用いる場合には、第1の圧力P1は2〜25MPa、温度は10℃〜100℃が好ましい。第1の圧力P1が3MPa以上であれば安定して可塑化シリンダ210へ導入でき、25MPa以下であれば装置への負荷が小さくなる。また、温度が10℃〜100℃の範囲であれば、系内での物理発泡剤の制御が容易となる。尚、本実施形態において物理発泡剤として用いる加圧窒素及び加圧二酸化炭素は、可塑化シリンダ210内で瞬時に高温になり圧力も変動する。よって、上述の物理発泡剤の状態、温度及び導入圧力(第1の圧力P1)は、加圧シリンダ210に導入する前の安定な状態の物理発泡剤の状態、温度及び圧力の値である。本実施形態では、SCF供給装置11により、物理発泡剤の導入圧力(第1の圧力P1)を決定する。
物理発泡剤を調製する方法及び可塑化シリンダ210へ供給する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を使用できる。本実施形態では、市販のSCF供給装置11及びSCF流量調整機構12を用いて、ボンベ10に収容される加圧流体から超臨界状態の物理発泡剤を調製し、可塑化シリンダ210へ供給する。また、例えば、シリンジポンプ等により、物理発泡剤の調製及び可塑化シリンダ210への供給を行ってもよい。
以下に、図2に示す本実施形態のスクリュ背圧及び導入バルブ212の制御について説明する。本実施形態では、まず、第1の圧力P1を有する物理発泡剤を可塑化シリンダ内へ導入する前、スクリュ20のスクリュ背圧を第2の圧力P2に制御する(図1のステップS2)。
第2の圧力P2は、物理発泡剤の導入圧力である第1の圧力P1より高いことが好ましい。本実施形態では、図2に示すように、第2の圧力P2を第1の圧力P1より高くする。第2の圧力P2を第1の圧力P1より高くすることで、可塑化シリンダ内の溶融樹脂の樹脂密度を安定化できる。一方で、スクリュ背圧が高すぎると、装置への負担が大きくなる。以上を鑑み、第2の圧力P2と第1の圧力P1との差は、1MPa〜10MPaが好ましく、2MPa〜5MPaがより好ましい。また、第2の圧力P2は、3MPa〜30MPaが好ましく、15MPa〜25MPaがより好ましい。尚、樹脂密度を安定に保つ観点から、第2の圧力P2は、一定の圧力が好ましい。
スクリュ背圧を第2の圧力P2に制御する時間は特に限定されず、物理発泡剤を可塑化シリンダ内へ導入する前の一定の時間であればよいが、樹脂密度を安定に保つ観点からは、可塑計量の開始から、後述する背圧を第3の圧力P3に低下させるまでの間、常にスクリュ背圧を第2の圧力P2に制御することが好ましい。また、本実施形態では、スクリュ背圧を第2の圧力P2に制御している間、導入バルブ212は閉じておく。これにより、溶融樹脂が物理発泡剤の導入口202から膨出して、導入口202を塞ぐことを防止できる。
次に、スクリュ背圧を第2の圧力P2から、第1の圧力P1より低い第3の圧力P3に低下させる。スクリュ背圧の低下から第1の所定時間T1経過後に、導入バルブ212を開き、可塑化シリンダ210内へ物理発泡剤の導入を開始する。そして、少なくとも物理発泡剤を可塑化シリンダ210内へ導入する間、スクリュ背圧を第3の圧力P3に制御し、可塑化シリンダ210内で物理発泡剤と溶融樹脂とを混合する(図1のステップS3及びS4)。
スクリュ背圧を第1の圧力P1より低い第3の圧力P3に制御することで、第1の圧力P1を有する物理発泡剤を効率良く可塑化シリンダ210内へ導入できる。一方で、スクリュ背圧が低すぎると、樹脂密度が不安定になる虞がある。以上を鑑み、第3の圧力P3と第1の圧力P1との差は、0.1MPa〜10MPaが好ましく、1MPa〜5MPaがより好ましい。また、第3の圧力P3は、1MPa〜25MPaが好ましく、10MPa〜20MPaがより好ましい。尚、溶融樹脂への物理発泡剤の溶解量を安定に保つ観点から、第3の圧力P3は、一定の圧力が好ましい。
スクリュ背圧を第3の圧力P3に制御する時間は特に限定されず、少なくとも物理発泡剤を可塑化シリンダ210内へ導入する間、常にスクリュ背圧を第3の圧力P3に制御すればよい。本実施形態では、スクリュ背圧をP3に低下してから第1の所定時間T1経過後に導入バルブ212を開く。即ち、塑化シリンダ210内へ物理発泡剤を導入する前から、スクリュ背圧を第3の圧力P3に制御する。スクリュ背圧の低下と、導入バルブの開口との間に、第1の所定時間T1のタイムラグを設けることで、スクリュ背圧に追従して可塑化シリンダ210内の実際の圧力が十分に下がった後に、導入バルブ212が開口する。これにより、効率よく物理発泡剤を可塑化シリンダ210内に導入できる。第1の所定時間T1は、可塑化シリンダ210内の実際の圧力が十分にP3まで下がるのに要する時間に設定することが好ましい。例えば、第1の所定時間T1は、0.1秒〜5秒が好ましく、1秒〜3秒がより好ましい。
スクリュ背圧を第2の圧力P2から第3の圧力P3に低下させる制御、更に、導入バルブ212を開く制御は、スクリュ20の回転軸方向における、可塑化シリンダ210内のスクリュ20の位置に同期させて行うことができる。たとえば、本実施形態では、以下のようにスクリュ背圧及び導入バルブ212を制御する。溶融樹脂はスクリュ20の正回転により可塑化シリンダ210の前方に送られ、その樹脂圧力によりスクリュ20は後退を始める。後退するスクリュ20が、可塑化シリンダ210内の所定の位置に到達すると、これを知らせる信号が混練装置200を動作制御する制御装置(不図示)に送られる。信号を受けた制御装置は、スクリュ駆動機構260におけるスクリュ背圧の設定圧力を第2の圧力P2から第3の圧力P3切り替え、同時に、第1の所定時間T1の計測を開始する。第1の所定時間T1経過後、制御装置は導入バルブ212を開く。これにより、可塑化シリンダ210内へ物理発泡剤の導入が開始される。この様に、スクリュ背圧の制御を可塑化シリンダ210内のスクリュ20の位置に同期させて行うことで、計量動作中の溶融樹脂に物理発泡剤導入を導入するタイミングが安定する。
本実施形態では、物理発泡剤導入は、導入バルブ212の開閉によって制御され、図2に示すように、導入バルブ212を開放している間、物理発泡剤が可塑化シリンダ210に導入される。即ち、物理発泡剤を導入する時間は、導入バルブ212を開放する時間と同じである。物理発泡剤を導入する時間は、物理発泡剤の圧力、1ショット分の樹脂量等に基づいて適宜決定できるが、例えば、0.1秒〜10秒、好ましくは0.5秒〜5秒とすることができる。
次に、導入バルブ212を閉じて、可塑化シリンダ210内への物理発泡剤の導入を停止する。それと同時に、スクリュ背圧を第3の圧力P3から、第4の圧力P4に上昇させ、その後、第4の圧力P4に制御する(図1のステップS5)。
スクリュ背圧を第4の圧力P4に制御することで、スクリュ20は、前方に送られた溶融樹脂により急激に後方へ押し戻されることがなく、樹脂密度が安定する。これにより、ショット毎の溶融樹脂に導入される物理発泡剤の量、可塑化計量される樹脂量(金型に充填される樹脂量)が安定し、発泡不良やショートショット等の成形不良が解消される。また、スクリュ背圧を第1の圧力P1より高くすることで、スクリュ20先端部での物理発泡剤と溶融樹脂の分離が抑制される。これにより、スワールマーク、破泡、成形体表面の膨れの発生が抑制され、発泡成形体の品質が向上する。一方で、スクリュ背圧が高すぎると、装置への負担が大きくなる。以上を鑑み、第4の圧力P4と第1の圧力P1との差は、1MPa〜10MPaが好ましく、2MPa〜5MPaがより好ましい。また、第4の圧力P4は、3MPa〜30MPaが好ましく、15MPa〜25MPaがより好ましい。また、樹脂密度を安定に保つ観点から、第4の圧力P4は一定の圧力が好ましい。同様に樹脂密度の安定化、更にスクリュ背圧制御の簡素化から、第4の圧力P4は、第2の圧力P2と同じ圧力が好ましい。更に、第4の圧力P4と第3の圧力P3との差は、1MPa〜10MPaが好ましく、2MPa〜5MPaがより好ましい。第4の圧力P4と第3の圧力P3との差をこの範囲内とすることで、装置負担を大きくせずに、より効率的に樹脂密度の安定化を図れる。
スクリュ背圧を第4の圧力P4に制御する時間は特に限定されず、物理発泡剤を可塑化シリンダ210内へ導入した後の一定の時間であればよいが、樹脂密度を安定に保つ観点からは、背圧を第4の圧力P4に上昇させてから、溶融樹脂の可塑化計量が完了するまで、即ち、金型キャビティ内に溶融樹脂を射出する前まで、常にスクリュ背圧を第4の圧力P4に制御することが好ましい。
次に、物理発泡剤を混合した溶融樹脂を可塑化シリンダ210から射出して発泡成形体を成形する(図1のステップS6)。発泡成形体の成形方法は、特に限定されず、金型キャビティ内に、金型キャビティ容積の75%〜95%の充填容量の溶融樹脂を充填して、気泡が拡大しながら金型キャビティを充填するショートショット法を用いてもよいし、また、金型キャビティ容積100%の充填量の溶融樹脂を充填した後、キャビティ容積を拡大させて発泡させるコアバック法を用いてもよい。得られる発泡成形体は内部に発泡セルを有するため、熱可塑性樹脂の冷却時の収縮が抑制されてヒケやソリが軽減され、低比重の成形体を得られる。
以上説明した本実施形態の発泡成形体の射出成形方法は、少なくとも物理発泡剤を可塑化シリンダ210内へ導入する間、スクリュ背圧を第1の圧力P1より低い第3の圧力P3に制御し、物理発泡剤を可塑化シリンダ210内へ導入した後、スクリュ背圧を第1の圧力P1より高い第4の圧力P4に制御する。これにより、効率良く物理発泡剤を可塑化シリンダ210に導入可能であると共に、物理発泡剤導入後の樹脂密度を安定化させ、ショット毎の計量される樹脂量の変動や物理発泡剤と溶融樹脂の分離を抑制できる。
以上説明した実施形態においては、図2に示すスクリュ背圧及び導入バルブ212の制御について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。以下に、本実施形態の変形例について説明する。
<変形例1>
上述の実施形態では、物理発泡剤導入を導入バルブ212の開閉によって制御するが、本実施形態はこれに限定されない。本変形例1では、図3に示すように、物理発泡剤導入をスクリュ20のスクリュ背圧によって制御する。まず、上述の実施形態と同様に熱可塑性樹脂を可塑化溶融する(図1のステップS1)。そして、スクリュ背圧を第1の圧力P1より高い第2の圧力P2に制御して(同、ステップS2)、導入バルブ212を開放する。次に、導入バルブ212を開放したまま、スクリュ背圧を第2の圧力P2から第3の圧力P3に低下させ、可塑化シリンダ210内への物理発泡剤の導入を開始する。物理発泡剤を導入する間、スクリュ背圧を第3の圧力P3に制御し、物理発泡剤と溶融樹脂とを混合する(同、ステップS3及びS4)。その後、スクリュ背圧を第3の圧力P3から第4の圧力P4に上昇させ、物理発泡剤の導入を停止する。スクリュ背圧を第4の圧力P4に制御した状態で(同、ステップS5)、導入バルブ212を閉鎖し、溶融樹脂の可塑化計量を完了する。そして、溶融樹脂を可塑化シリンダ210から射出して発泡成形体を成形する(図1のステップS6)。
本変形例では、導入バルブ212を開放していても、スクリュ背圧が第2の圧力P2又は第4の圧力P4である場合、スクリュ背圧より低い第1の圧力P1を有する物理発泡剤は可塑化シリンダ210へ導入されない。導入バルブ212を開放した状態で、スクリュ背圧を第1の圧力P1より低い第3の圧力P3に低下させている間のみ、物理発泡剤を可塑化シリンダ内へ導入できる。スクリュ20の背圧の切り替えは、導入バルブ212の開閉よりも、制御が単純で、且つ応答性が良い。したがって、スクリュ20の背圧の切り替えによって、物理発泡剤の導入を制御することで、本変形例では物理発泡剤の導入時間、導入量をより正確に制御できる。
また、本変形例では、スクリュ背圧を第3の圧力P3に低下させると同時に物理発泡剤の可塑化シリンダ210への導入が開始されるので、図2に示すようなスクリュ背圧の低下と物理発泡剤の導入との間に、第1の所定時間T1のようなタイムラグは存在しない。即ち、本変形例では、物理発泡剤を導入する間のみ、スクリュ背圧を第3の圧力P3に制御する。このように、スクリュ背圧を第1の圧力P1よりも低い第3の圧力P3に制御する時間を最小限とすることで、可塑化シリンダ内の樹脂密度を更に安定に保てる。
尚、本変形例では、上述のように、物理発泡剤の導入はスクリュ背圧によって制御され、導入バルブ212の開閉とは無関係である。したがって、導入バルブ212等の駆動弁が無くとも本変形例は実施可能である。
但し、本変形例の場合、高いスクリュ背圧により溶融樹脂が逆流し、導入口202が詰まる場合も考えられる。これを確実に防止する観点からは、導入口202には、樹脂の逆流を防止する逆流防止機構を有する導入バルブ212を設けることが好ましい。逆流防止機構は、バネ等の反力により、スクリュ背圧が物理発泡剤の導入圧力(P1)よりも高い場合には、逆流防止機構により、導入バルブ212は開かないようにすることが好ましい。
<変形例2及び3>
上述の実施形態では、導入バルブ212の閉鎖と同時にスクリュ背圧を第3の圧力P3から第4の圧力P4に上昇させるが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図4に示す変形例2のように、導入バルブ212の閉鎖後に、スクリュ背圧を第4の圧力P4に上昇させてもよいし、図5に示す変形例3のように、スクリュ背圧を第4の圧力P4に上昇させた後に、導入バルブ212を閉鎖してもよい。
変形例2では、図4に示すように、導入バルブ212を閉鎖して物理発泡剤の可塑化シリンダ210内への導入を停止してから第2の所定時間T2経過後に、スクリュ背圧を第3の圧力P3から第4の圧力P4に上昇させる。スクリュ背圧が高いと、導入口202から溶融樹脂が膨出して導入バルブ212を塞ぐ危険性が高まる。本変形例では、導入バルブ212を閉鎖してから所定時間T2経過後に、スクリュ背圧を上昇させることで、溶融樹脂膨出の危険性を低下させる。一方で、物理発泡剤導入後にスクリュ背圧が低い状態が続くと、物理発泡剤を含む溶融樹脂の樹脂密度が不安定となる虞がある。以上を鑑み、第2の所定時間T2の長さは、0.1秒〜5秒が好ましく、1秒〜3秒がより好ましい。
変形例3では、図5に示すように、スクリュ背圧を第3の圧力P3から第4の圧力P4に上昇させて物理発泡剤の可塑化シリンダ210内への導入を停止してから、導入バルブ212を閉鎖する。導入バルブ212の開閉よりも応答性の良いスクリュ20の背圧の切り替えによって、物理発泡剤の導入の停止を制御することで、本変形例では物理発泡剤の導入時間、導入量をより正確に制御できる。
<変形例4>
更に、本実施形態では、様々は変形例が存在する。例えば、図6に示す変形例4では、まず、熱可塑性樹脂を可塑化溶融し(図1のステップS1)、スクリュ背圧を第1の圧力P1より高い第2の圧力P2に制御した状態で(同、ステップS2)導入バルブ212を開放する。そして、導入バルブ212を開放したまま、スクリュ背圧を第3の圧力P3に低下させて物理発泡剤の導入を開始する。物理発泡剤を導入する間、スクリュ背圧を第3の圧力P3に制御し、物理発泡剤を溶融樹脂と混合する(同、ステップS3及びS4)。そして、スクリュ背圧を第3の圧力P3に制御したまま、導入バルブ212を閉鎖し、物理発泡剤の導入を停止する。物理発泡剤の導入を停止してから第2の所定時間T2経過後に、スクリュ背圧を第3の圧力P3から第4の圧力P4に上昇させる。スクリュ背圧を第4の圧力P4に制御した状態で(同、ステップS5)、溶融樹脂の可塑化計量を完了し、可塑化シリンダ210から射出して発泡成形体を成形する(同、ステップS6)。
本変形例では、上述した実施形態と異なり、物理発泡剤の導入を導入バルブ212の開放ではなく、スクリュ背圧を第3の圧力P3に低下させることにより開始する。導入バルブ212の開閉よりも応答性の良いスクリュ20の背圧の切り替えによって、物理発泡剤の導入の開始を制御することで、本変形例では物理発泡剤の導入時間、導入量をより正確に制御できる。また、本変形例では、導入バルブ212を閉鎖してから第2の所定時間T2経過後に、スクリュ背圧を上昇させる。このため、溶融樹脂膨出の危険性を低下させることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づき更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例及び比較例に限定されるものではない。
[実施例1]
物理発泡剤として窒素を用い、熱可塑性樹脂としてタルク含有ポリプロピレン(PP)樹脂を用いて発泡成形体を製造した。
<製造装置>
本実施例では、図7に示す製造装置1000を用いた。製造装置1000において、混練装置200として発泡射出成形装置(日本製鋼所製、J40EL 3−DK)を、ボンベ10として窒素が14.5MPaで充填された容積47Lの窒素ボンベを、超臨界流体供給装置11として、SCF供給装置(昭和電工ガスプロダクツ製、SII TRJ−10)を用いた。発泡射出成形装置は、導入バルブ212としてエアオペレートバルブを有していた。また、金型251として、4cm×6cm×0.2cmの平板形状のキャビティを有する金型を用いた。
<射出成形方法>
物理発泡剤の導入圧力(第1の圧力P1)は、18MPaとした。スクリュ背圧としては、導入圧力より2MPa高い20MPa(第2の圧力P2及び第4の圧力P4)と、導入圧力より3MPa低い15MPa(第3の圧力P3)の2種類の圧力を設定し、図2に示すように適宜、切り替えて用いた。
まず、発泡成形体中のタルク含有量が16重量%となるように、タルクを含有しないPP樹脂(プライムポリマー製、プライムポリプロJ105G)と、タルクを80重量%含有するPP樹脂(マスターバッチ)(出光ライオンコンポジット製、MP−480)を80:20の重量比率でドライブレンドした。混練装置200において、樹脂供給用ホッパ211から、ドライブレンドした熱可塑性樹脂を可塑化シリンダ210に供給し、可塑化シリンダ210の外壁面に設けられたバンドヒータ(図示せず)により加熱し、スクリュ20を正回転させた。これにより、該熱可塑性樹脂を過熱、混練し、溶融樹脂とした。このとき、スクリュ背圧は、20MPa(第2の圧力P2)に制御した。
スクリュ20を正回転することにより、溶融樹脂を可塑化シリンダの前方に流動させた。スクリュ20は、熱可塑性樹脂の可塑化溶融開始時、可塑化シリンダ210内において最も前進した位置(以下、適宜「開始位置」と記載する)に位置していたが、前方に流動させた溶融樹脂の樹脂圧力により後退を始めた。スクリュ20が、開始位置から後方に15mmの位置に到達したとき、これを知らせる信号が制御装置(不図示)に送られ、制御装置は、スクリュ駆動機構260におけるスクリュ背圧の設定圧力を20MPa(第2の圧力P2)から、15MPa(第3の圧力P3)に切り替えた。スクリュ20が、上記15mmの位置に到達してから2秒(第1の所定時間T1)経過後、即ち、スクリュ背圧が15MPaに低下してから2秒後に、導入バルブ212を2秒間開き、物理発泡剤を可塑開シリンダ210内に導入し、溶融樹脂と混合した。そして、導入バルブ212を閉鎖して物理発泡剤の導入を停止すると同時に、スクリュ背圧を15MPa(第3の圧力P3)から、20MPa(第4の圧力P4)に上昇させた。尚、本実施例では、1ショットの溶融樹脂に対して、物理発泡剤が0.5重量%含まれるように、物理発泡剤の導入量を決定した。
スクリュ背圧を20MPa(第4の圧力P4)に制御したまま、物理発泡剤を混合した溶融樹脂をスクリュ20の前方へ送り、溶融樹脂の可塑化計量を完了した。その後、シャットオブバルブ36を開放して、キャビティ内に、キャビティの容積の85%の充填率となる様に溶融樹脂を射出充填して平板形状の発泡成形体を成形した(ショートショット法)。以上説明した発泡成形体の射出成形を連続して50ショット行い、50個の発泡成形体を得た。
[実施例2]
本実施例では、物理発泡剤として二酸化炭素を用い、熱可塑性樹脂として実施例1と同様のタルク含有ポリプロピレン(PP)樹脂を用いて発泡成形体を製造した。
<製造装置>
本実施例では、ボンベ10として、圧力6MPaの液体二酸化炭素ボンベを用いた以外、実施例1と同様の構成の図7に示す製造装置1000を用いた。
<射出成形方法>
物理発泡剤の導入圧力(第1の圧力P1)は、20MPaとした。スクリュ背圧としては、導入圧力より5MPa高い25MPa(第2の圧力P2及び第4の圧力P4)と、導入圧力より5MPa低い15MPa(第3の圧力P3)の2種類の圧力を設定し、図2に示すように適宜、切り替えて用いた。また、1ショットの溶融樹脂に対して物理発泡剤が1.0重量%含まれるように物理発泡剤の導入量を決定した。それ以外は、実施例1と同様の方法により、発泡成形体の射出成形を連続して50ショット行い、50個の発泡成形体を得た。
[比較例1]
本比較例では、スクリュ背圧を常に15MPaと一定に制御したこと以外、実施例1と同様の方法により、発泡成形体の射出成形を連続して50ショット行い、50個の発泡成形体を得た。即ち、本比較例では、図8に示すように、スクリュ背圧を物理発泡剤の導入圧力(第1の圧力P1)の18MPaより3MPa低い15MPaに常に制御した。
[比較例2]
本比較例では、スクリュ背圧を常に20MPaと一定に制御したこと以外、実施例1と同様の方法により、発泡成形体の射出成形を連続して50ショット行い、50個の発泡成形体を得た。即ち、本比較例では、図9に示すように、スクリュ背圧を物理発泡剤の導入圧力(第1の圧力P1)の18MPaより2MPa高い20MPaに常に制御した。
<発泡成形体の評価>
以上説明した実施例1及び2、比較例1及び2で製造した発泡成形体について、以下に説明する評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)重量のばらつき
それぞれの実施例及び比較例で得られた50個の発泡成形体の重量ばらつきを標準偏差(σ)を重量平均値(ave.)で割った値(σ/ave.(%))で評価した。
(2)発泡状態
実施例及び比較例で得られた50個の発泡成形体の外観及び断面を観察し、内部に十分な密度で発泡セルが形成されて所望の形状が得られ、且つ射出成形時に金型のゲート近傍に位置していた部分の発泡セル径が50〜100μm程度と微細な成形体を発泡状態が良好であると判断し、発泡状態が良好な成形体の数により、以下の評価基準に従って発泡状態を評価した。

評価基準:
○:50個全ての成形体の発泡状態が良好であった。
△:発泡状態が良好な成形体が、30〜49個であった。
×:発泡状態が良好な成形体が、30個以下であった。
(3)膨れ
実施例及び比較例で得られた50個の発泡成形体の外観を観察し、以下の評価基準に従い、成形体表面の膨れを評価した。尚、成形体表面の膨れは、溶融樹脂から物理発泡剤が分離した場合に発生する。

評価基準:
○:成形体表面に膨れが発生した成形体は存在しなかった。
×:成形体表面に膨れが発生した成形体が1個以上存在した。
(4)ショートショット(充填不良)
実施例及び比較例で得られた50個の発泡成形体の外観を観察し、以下の評価基準に従い、ショートショット(充填不良)を評価した。ショートショットとは、一部が欠けた不完全な形状の成形体が成形され、金型キャビティと同等の形状の成形体が得られない現象である。尚、ショートショットは、物理発泡剤の不足により、成形体内部に十分な発泡セルが形成されない場合に発生する。

評価基準:
○:ショートショットが発生した成形体は存在しなかった。
×:ショートショットが発生した成形体が1個以上存在した。
Figure 2017024333
表1に示すように、実施例1及び2では、重量のばらつきが、それぞれ1.0%、0.5%と小さかった。また、実施例1及び2で得られた50個全ての成形体において、射出成形時に金型のゲート近傍に位置していた部分の発泡セル径は、それぞれ、50μm程度、100μm程度と微細であり、キャビティへの溶融樹脂の充填量が85%であるにも関わらず、内部に十分な密度の発泡セルが形成されて所望の形状を有していた(発泡状態:○)。実施例1及び2の成形体の比重は、共にソリッド(無発泡の成形体)と比較して10%低減した。また、実施例1及び2で得られた50個全ての成形体において、成形体表面の膨れ、ショートショットは発生しなかった(膨れ:○、ショートショット:○)。実施例1及び2では、スクリュ背圧を多段階に制御したことで、物理発泡剤を効率的に可塑化シリンダ内に導入でき、また、物理発泡剤を含む溶融樹脂の樹脂密度を安定化できたと推測される。このため、発泡不良やショートショット等の成形不良が発生せず、発泡成形体の品質が向上したと推測される。
尚、実施例1及び2で、発泡セル径が異なったのは、物理発泡剤の種類が異なるためだと推測される。物理発泡剤を含む溶融樹脂が金型のキャビティ内に射出充填されると、減圧により、成形体内に発泡セルが形成される。実施例2で物理発泡剤として用いた二酸化炭素は、実施例1で用いた窒素と比較して溶融樹脂に対する溶解度が高い。このため、実施例2では、減圧による物理発泡剤の気泡核形成が遅れ、発泡成形体のセル径が大きくなったと推測される。
また、実施例1及び2で、成形体の重量のばらつきが異なったのは、物理発泡剤導入時のスクリュ背圧(P3)と、物理発泡剤導入後のスクリュ背圧(P4)との差圧(P4−P3)が異なるためだと推測される。実施例1における差圧(P4−P3)は5MPa、実施例2における差圧(P4−P3)は10MPaである。このように、差圧(P4−P3)が大きい実施例2は、実施例1と比較して、スクリュ20先端部における樹脂密度がより安定化し、その結果、ショット間の成形体の重量のばらつきを小さくできたと推測される。
一方、比較例1では、重量のばらつきが、2.5%と大きかった。また、発泡状態が良好で、ソリッド(無発泡の成形体)と比較して比重が10%低減した成形体も**個存在していたが(発泡状態:△)、500μm程度の肥大した発泡セルを有する成形体や、表面の膨れ、ショートショットが発生した成形体も存在した(膨れ:×、ショートショット:×)。
比較例1では、スクリュ背圧が物理発泡剤の導入圧力(P1)より低いため、可塑化シリンダ210内に物理発泡剤を導入できた。しかし、常にスクリュ背圧が物理発泡剤の導入圧力(P1)より低いため、スクリュ20先端の溶融樹脂の樹脂密度が安定化しなかったと推測される。この結果、成形体重量のばらつき、発泡セルの肥大、成形体表面の膨れ、ショートショットが発生したと推測される。
比較例2では、重量のばらつきが、1.0%と小さかったが、50個の成形体中、成形体内部に十分な発泡セルを有する成形体は存在せず(発泡状態:×)、50個全ての成形体において、ショートショットが発生した(ショートショット:×)。比較例2では、スクリュ背圧を物理発泡剤の導入圧力(P1)より、常に高く制御した。このため、比較例2では、導入バルブ212を開放しても、可塑化シリンダ210内に物理発泡剤が、ほとんど導入されず、発泡不良が発生したと推測される。また、溶融樹脂が物理発泡剤をほとんど含んでいないため、溶融樹脂からの物理発泡剤の分離に起因して発生する成形体表面の膨れが、比較例2においては発生していなかったと推測される(膨れ:○)。
本発明によれば、溶融樹脂計量時のスクリュ動作が安定する。このため、発泡不良やショートショット等の成形不良が解消され、発泡成形体の品質が向上する。従って、本発明によれば、発泡成形体を工業的に安定して製造できる。
20 スクリュ
100 物理発泡剤供給装置
200 混練装置
201 樹脂供給口
202 導入口
210 可塑化シリンダ
212 導入バルブ
250 型締めユニット
260 スクリュ駆動機構
1000 製造装置

Claims (7)

  1. 射出成形方法であって、
    回転自在で、且つ回転軸方向に進退自在に配設されたスクリュを備え、内部に物理発泡剤を導入するための導入口が形成された可塑化シリンダを用い、
    前記可塑化シリンダ内において、熱可塑性樹脂を可塑化溶融して溶融樹脂とすることと、
    前記導入口から、第1の圧力を有する物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入して前記溶融樹脂と混合することと、
    前記物理発泡剤を混合した溶融樹脂を前記可塑化シリンダから射出して発泡成形体を成形することと、
    前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入する前、前記スクリュのスクリュ背圧を第2の圧力に制御することと、
    少なくとも前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入する間、前記スクリュ背圧を第1の圧力より低い第3の圧力に制御することと、
    前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入した後、前記スクリュ背圧を第1の圧力より高い第4の圧力に制御することとを含む射出成形方法。
  2. 第2の圧力が、第1の圧力より高いことを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
  3. 前記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入の開始と同時又は開始前に、前記スクリュ背圧を第2の圧力から第3の圧力に低下させ、
    記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入の停止と同時又は停止後に、前記スクリュ背圧を第3の圧力から、第4の圧力に上昇させることを特徴とする請求項2に記載の射出成形方法。
  4. 前記導入口には、導入バルブが設けられており、
    前記スクリュ背圧を第2の圧力から第3の圧力に低下させてから第1の所定時間経過後に、前記導入バルブを開放して前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入することを特徴とする請求項2又は3に記載の射出成形方法。
  5. 前記物理発泡剤を前記可塑化シリンダ内へ導入する間のみ、前記スクリュ背圧を第3の圧力に制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形方法。
  6. 前記スクリュ背圧を第2の圧力から第3の圧力に低下させることにより、前記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入を開始することを特徴とする請求項2又は3に記載の射出成形方法。
  7. 前記スクリュ背圧を第3の圧力から第4の圧力に上昇させることにより、前記物理発泡剤の前記可塑化シリンダ内への導入を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の射出成形方法。

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