JP2017023161A - 歯科矯正ブラケット撤去用具および歯科矯正ブラケット撤去用具の制御方法 - Google Patents

歯科矯正ブラケット撤去用具および歯科矯正ブラケット撤去用具の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】歯科矯正ブラケットを歯から容易かつ安全に撤去する。【解決手段】歯科矯正ブラケット撤去用具(1)の作業端部(5)に超音波を導く超音波伝導路(2,3,4)を具備し、作業端部(5)は、超音波によって振動するような高剛性部材によって形成され、歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入する形状とされ、作業端部(5)の振動によってブラケットスロットの形成面と作業端部(5)との間で摩擦熱を発生させ、摩擦熱を歯科矯正ブラケットから接着剤に伝え、接着剤に伝えられた摩擦熱が接着剤を軟化させて、歯科矯正ブラケットを歯から撤去可能とした。【選択図】図1

Description

本発明は、歯科矯正ブラケット撤去用具および歯科矯正ブラケット撤去用具の撤去方法に関する。
位置異常の歯を動かして、口腔内での歯の位置を適切となるように改善する歯科矯正治療が広くおこなわれている。歯科矯正治療の代表的な治療においては、矯正器具として知られている歯科矯正ブラケットおよびアーチワイヤを使用する。歯科矯正ブラケットは小さな溝(ブラケットスロット)を配した装具であり患者の歯に固着され、アーチワイヤは歯科矯正ブラケットのブラケットスロット内に配置される。治療の間、アーチワイヤは、歯科矯正ブラケットに固着された歯の位置をアーチワイヤの張力を用いて適正な位置へと誘導する。アーチワイヤの末端部は、患者の大臼歯に固着される場合が多い。歯科矯正ブラケットと歯との固着に際しては、歯のエナメル質表面と歯科矯正ブラケットとを接着剤によって接着する。治療が完了すると、アーチワイヤは歯科矯正ブラケットのブラケットスロットから取り除かれ、次に、歯科矯正ブラケットを接着剤で固着された歯から取り除く。ここで、歯科矯正ブラケットを歯から取り除くための以下のような種々の技術が公にされている。
特許文献1には、第1のつかみ具と、第2のつかみ具と、第1のつかみ具と第2のつかみ具との間を延びるブレードとを有し、歯科矯正ブラケット(歯科矯正用ブラケットの用語が特許文献1では用いられている)を歯から取り外すための手用器具が開示されている。また、歯科矯正ブラケットを歯から取り除くに際しては、ブレードが歯科矯正ブラケットを解放可能に締め付けて、機械的な力によって歯科矯正ブラケットを歯から剥離する技術が開示されている。
特許文献2には、歯科矯正ブラケット(歯列矯正用ブラケットの用語が特許文献2では用いられている)をそれぞれの歯に接着させている接着剤を切削する傾斜切削面と、残余接着剤を研磨する平滑面とを有する器具が開示されている。
特許文献3には、歯科矯正ブラケット(歯科用ブラケットの用語が特許文献3では用いられている)を加熱する電熱式の加熱手段と、加熱手段に連接しており歯科矯正ブラケットに引張力を加えることができる引張手段を具備する器具が開示されている。また、加熱手段は歯科矯正ブラケットを加熱し、引張手段は加熱されて弛緩した接着剤の接合力を凌駕する引張力で歯科矯正ブラケットを歯から除去する技術が開示されている。
特許文献4には、正中遠位側と鞍状溝とを有する歯科矯正ブラケット(歯科矯正用ブラケットの用語が特許文献4では用いられている)と、歯科矯正ブラケットの正中遠位側と鞍状溝とにぴったりと装着する脱着用作業端部を有する歯科矯正ブラケット除去器具が開示されている。また、電熱により熱せられた脱着用作業端部は急速に歯科矯正ブラケットを加熱して、歯科矯正ブラケットを歯に接着している接着剤を軟化して歯科矯正ブラケットを歯から除去する技術が開示されている。
非特許文献1には、通常の歯科医療で用いるレーザーの数倍の強度のレーザーを利用して接着剤を破壊して歯科矯正ブラケットを歯から除去する技術が開示されている。
特表2010−512969号公報 特表2014−500064号公報 特開平02−013451号公報 特開平04−242639号公報
「Nd:Yagレーザーを用いて接着剤を破壊し撤去する方法」Kotaro Hayakawa、AJODO雑誌 Vol.123,No.5,p.638−647,November, 2005
歯列の矯正に用いられる歯科矯正ブラケットはそのものが変形しにくいような材質、例えば、ステンレス鋼で作られているため治療終了後にそれを歯から撤去するに当たりその困難さを克服するために、背景技術において上述したような公知の種々の技術が採用されてきた。しかしながら、近年、歯に歯科矯正ブラケットを固定するための接着剤の接着力が技術の進歩とともに強固なものとなり歯科矯正ブラケットの撤去に際してはより困難さが大きくなり、より慎重に歯科矯正ブラケットの撤去をおこなう必要性が生じている。
特許文献1に記載の技術によれば、手用器具は機械力のみによって歯科矯正ブラケットを歯から除去する。接着剤がより強固なものとなったことによって除去時により大きな力が歯に加わるという問題があった。
特許文献2に記載の技術によれば、超音波振動を用いて接着剤を切削し、超音波振動を用いて残余接着剤を研磨する。ここで、接着剤を切削するに際しては、歯と歯科矯正ブラケットとの隙間から切削面を接着剤に接触させなければならず切削効率が悪い。よって、接着剤がより強固なものとなったことによって、接着剤の切削に際してより長時間を必用とするようになりツールビットの切削面が歯のエナメル質を傷つけるおそれがより顕著となっている。この問題は歯科用スケーラが有する一般的な問題点でもある。
特許文献3および特許文献4に記載の技術によれば、接着剤がより強固なものとなったことによって、歯科矯正ブラケットの電熱加熱量をより大きくしなければならず、熱を歯まで導く電熱経路がより大きくなるとともに歯および歯の周囲に対する望ましくない加熱をより増大してしまうおそれがあった。また、熱伝導度が良好な電熱経路は大型であり、ひいては、除去器具も大型であるところ、接着剤の接着強度がより強固なものとなったことによって、電熱経路、除去器具はさらに大型化した。
また、安全性の面から見ると上述した背景技術が本来的に有する問題点が、接着剤が歯と歯科矯正ブラケットとをより強固に接着するようになったことによってより顕著なものとなった。治療終了の段階で歯科矯正ブラケットを歯の表面から安全に撤去しなければならないが、特許文献1ないし特許文献4に記載の方法では、歯に無理な力を掛けていて危険な要素があり、接着剤の加熱の際に危険な器具を用いなければならないおそれがあった。特に、歯のエナメル質に傷をつけるおそれがあり、外傷により動揺している歯に過度の力を掛けるおそれがあった。非特許文献1の技術においては、接着力が強固となるにしたがい接着剤を破壊するために必要なレーザー光の強度は増大する。強度の高いレーザー光を発生させる装置は高価であるとともに、強度の高いレーザー光が網膜に当たると失明のおそれがある。
接着剤がより強固なものとなる他に、近年は、ステンレス鋼の歯科矯正ブラケットに代えて審美性がよいセラミックの歯科矯正ブラケットが普及してきた。セラミックはステンレス鋼よりも熱伝導性が悪く、外力によって壊れ易いという性質を有している。したがって、熱源を用いてセラミックの歯科矯正ブラケットを歯から撤去する際には、ステンレス鋼の歯科矯正ブラケットを撤去する際よりもより強力な熱源が必要となり、接着剤がより強固なものとなったことによる熱源の強化に加え、さらなる熱源強化が必要となった。また、機械力を用いてセラミックの歯科矯正ブラケットを歯から撤去する際には、患者の口腔内でセラミックの歯科矯正ブラケットは簡単に破壊してしまうので危険であった。
本発明の解決課題は、接着剤の接着力がより強固となったこと、および/または、ステンレス鋼に代えてセラミックの歯科矯正ブラケットを用いること、によって生じる上述した問題点を解決するものである。すなわち、歯科矯正ブラケットの撤去に際して、歯および歯科矯正ブラケットに過剰な機械力、過剰な熱を加えず、患者に長時間の苦痛を与えず、容易に歯科矯正ブラケットの撤去ができる、歯科矯正ブラケット撤去の技術を提供する。
本発明の歯科矯正ブラケット撤去用具は、歯と接着剤によって接着している歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去する歯科矯正ブラケット撤去用具であって、前記歯科矯正ブラケット撤去用具の作業端部に超音波を導く超音波伝導路を具備し、前記作業端部は、前記超音波によって振動するような高剛性部材によって形成され、前記歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入する形状とされ、前記作業端部の前記振動によって前記歯科矯正ブラケットの前記ブラケットスロットの形成面と前記作業端部との間で摩擦熱を発生させ、前記摩擦熱を前記歯科矯正ブラケットから前記接着剤に伝え、前記接着剤に伝えられた前記摩擦熱が前記接着剤を軟化させて、前記歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去可能とする。
本発明の歯科矯正ブラケット撤去用具の撤去方法は、歯と接着剤によって接着している歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去するための歯科矯正ブラケット撤去用具の撤去方法であって、前記歯科矯正ブラケット撤去用具の作業端部に超音波を導き、前記歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入された前記作業端部を前記超音波によって振動させ、前記作業端部の前記振動によって前記歯科矯正ブラケットの前記ブラケットスロットの形成面と前記作業端部との間で摩擦熱を発生させ、前記摩擦熱を前記歯科矯正ブラケットから前記接着剤に伝え、前記接着剤に伝えられた前記摩擦熱が前記接着剤を軟化させて、前記歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去可能とする。
本発明の歯科矯正ブラケット撤去技術によれば、作業端部の振動によって歯科矯正ブラケットのスロットの形成面と作業端部との間で摩擦熱を発生させ、摩擦熱を歯科矯正ブラケットから接着剤に伝え、接着剤に伝えられた摩擦熱が接着剤を軟化させて、歯科矯正ブラケットを歯から撤去可能とすることができる。このようにして、大きな機械力、強力な熱源を用いることがないので、これらによって歯および歯の周辺部にダメージを与えることがない。接着剤を軟化させるための熱は接着剤に接する歯科矯正ブラケットにおいて局所的に発生するので極めて安全性が高い。
歯科矯正ブラケット撤去用具の斜視図である。 歯科矯正ブラケットと歯との位置関係を示す図である。 歯科矯正ブラケットの拡大斜視図である。 ブラケットスロットに作業端部が嵌入された状態の一例を示す図である。 作業端部の断面形状の一例を示す図である。 歯科矯正ブラケットおよび作業端部の写真である。
実施形態の歯科矯正ブラケット撤去用具は、歯と接着剤によって接着している歯科矯正ブラケットを歯から撤去するものである。歯科矯正ブラケット撤去用具の作業端部に超音波を導く超音波伝導路を具備する。作業端部は、超音波によって振動するような高剛性部材によって形成されているので高速に振動する。作業端部は、歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入する形状とされているので作業端部はブラケットスロット内で振動することができる。そして、作業端部の振動によって歯科矯正ブラケットのブラケットスロットの形成面と作業端部との間で摩擦熱を発生させる。この摩擦熱を歯科矯正ブラケットから接着剤に伝え、摩擦熱が接着剤を軟化させる。このようにして、歯科矯正ブラケットを歯から撤去可能とする。ここで、作業端部とは、歯科矯正ブラケット撤去用具の超音波伝送路の中で歯科矯正ブラケットの撤去時に歯科矯正ブラケットに接する部分のみならず歯科矯正ブラケットの近傍にある部分を含み、嵌入、摩擦熱の発生、超音波振動の伝達、に寄与する部分をいう。
実施形態の歯科矯正ブラケット撤去用具の撤去方法は、歯科矯正ブラケット撤去用具の作業端部に超音波を導き、歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入された作業端部を超音波によって振動させ、作業端部の振動によって歯科矯正ブラケットのブラケットスロットの形成面と作業端部との間で摩擦熱を発生させ、摩擦熱を歯科矯正ブラケットから接着剤に伝え、接着剤に伝えられた摩擦熱が接着剤を軟化させて、歯科矯正ブラケットを歯から撤去可能とする。
歯科矯正ブラケット撤去用具は、作業端部のブラケットスロットに対する位置を制御するために手で把持可能とされる連結部を具備してもよく、連結部の一端に配され超音波発生部と着脱可能とするハンドル結合部を具備してもよく、作業端部を歯科矯正ブラケットのブラケットスロットへ嵌入容易とする湾曲部を具備してもよく、湾曲部の一端を連結部の他端に結合するシャフト部を具備してもよく、湾曲部の他端が結合される作業端部を具備してもよい。歯科矯正ブラケット撤去用具の全体を超音波伝導路として機能するように構成してもよい。ここで、超音波発生部は形状が大きいので、口腔内に挿入して使用するために小型であることが要求される歯科矯正ブラケット撤去用具と離れた位置に設置され、歯科矯正ブラケット撤去用具とは別の超音波伝導路によって歯科矯正ブラケット撤去用具と超音波発生部とは結合するようにしてもよい。
作業端部は実施形態における要部であり、作業端部と歯科矯正ブラケットとの間で生じる摩擦熱を最短経路で接着剤に伝達するのであるから作業端部をどのように構成するかによって、実施形態の歯科矯正ブラケット撤去用具の性能が左右される。作業端部は超音波を損失無く伝達して歯科矯正ブラケット撤去用具に摩擦熱を発生するために剛性が高い材質であることが要求される。例えば、作業端部はステンレス鋼によって形成してもよい。また、作業端部の先端が尖っているようにして細かな接着剤を?離する作業にも適すようにしてもよい。
次に、作業端部の各部の寸法について説明する。患者の姿勢が直立であるか、上向きであるか、横向きであるか、下向きであるかに応じて歯科矯正ブラケット撤去用具の絶対位置が変化するので、厚さ、幅、長さ、の通常の用語をそのまま用いると、その意味内容に混乱をきたす。歯科矯正ブラケット撤去用具の使用状態においては歯科矯正ブラケット撤去用具を歯科矯正ブラケットに当接する。より詳細には、歯科矯正ブラケット撤去用具の使用状態においては作業端部をブラケットスロット内面に当接する。そこで、患者の歯の位置を基準にして以下のように作業端部の各部の長さを定義して以下の説明において用いることによって用語の意味内容の混乱を防止する。
まず、歯科矯正ブラケットと歯との接着面を基準面とする。歯科矯正ブラケット撤去用具を歯科矯正ブラケットに当接した使用状態においては、この基準面と歯科矯正ブラケットのブラケットスロットの凹部底面とは平行している。上述したように基準面を定めると、社会通念上の作業端部の高さは、歯科矯正ブラケット撤去用具を歯科矯正ブラケットに当接した使用状態において歯科矯正ブラケットと歯との接着面に対して直交する方向の作業端部の長さと定義できる。また、社会通念上の作業端部の幅は、歯の長軸方向である上下方向の作業端部の長さと定義できる。また、社会通念上の作業端部の長さは、上下方向に直交する方向である左右方向の作業端部の長さと定義できる。
大きな摩擦熱を発生させるには、作業端部とブラケットスロット内面との接触面積を大きくする必要があり、ある程度の大きさの圧力によって作業端部をブラケットスロット内面に押し当てる必要もある。効率的に発熱させるには、作業端部の広い面をブラケットスロットの凹部底面に当接するのが最も望ましい。よって、歯科矯正ブラケットと歯との接着面に対して直交する方向の作業端部の長さと、上下方向の作業端部の長さと、左右方向の作業端部の長さとをどのように選択するかが重要となるが、これについては後述する。
ここで、アーチワイヤが嵌入されるブラケットスロットの長さは国際的に規格化されている。アーチワイヤの末端部は、患者の大臼歯に固着される場合が多い。
摩擦熱を発生する作業端部の振動方向は、上下方向、左右方向、接着面に直交する方向のいずれであってもよい。原則論として、上下方向の作業端部の振動は、ブラケットスロットの底面と作業端部との摩擦によって摩擦熱を発生させる。左右方向の作業端部の振動は、ブラケットスロットの底面と作業端部との摩擦によって摩擦熱を発生させる。接着面に直交する方向の作業端部の振動は、ブラケットスロットの側面と作業端部との摩擦によって摩擦熱を発生させる。上下方向の摩擦面の広さと、左右方向の摩擦面の広さと、接着面に直交する方向の摩擦面の広さと、作業端部とブラケットスロットとの間の隙間の大きさと、に応じて摩擦熱の発生量は異なる。また、上下方向、左右方向、接着面に直交する方向の振動の2つ以上の組み合わせによっても摩擦熱を発生させることができる。作業端部のどの振動方向を使って発熱させた場合に発熱効率が高くなるかは、作業端部の形状、作業端部とブラケットスロットの位置関係、作業端部の上下方向の長さ、左右方向の長さ、接着面に直交する方向の長さに依存する。
作業端部の各方向の長さについては以下の制約がある。ブラケットスロットの上下方向の長さよりも短くなければブラケットスロットに作業端部を嵌入させることができないので作業端部の上下方向の長さの制約は絶対的である。作業端部の左右方向の長さは、歯科矯正ブラケットの左右方向の長さに応じて変化さてもよく、歯科矯正ブラケットの左右方向の長さよりも若干長いことが好ましい。作業端部の接着面に直交する方向の長さは、接着面に直交する方向のブラケットスロットの長さよりも若干長いことが好ましい。このように作業端部の各部の長さをブラケットスロットから出るまで伸ばして、作業端部とブラケットスロットの各面との接触面の面積が大きくなるようにすることが望ましい。作業端部の上下方向の長さ、左右方向の長さ、接着面に直交する方向の長さには、ブラケットスロットの各面との接触する部分の長さだけではなく、作業端部をブラケットスロットに嵌入するための機能を有する部分の長さ、歯科矯正ブラケットスロットとの接触面積を安定して確保するためのマージン長も含まれる。
理論上では最も発熱効率が高い作業端部の形状は、左右方向に伸びる歯科矯正ブラケットスロットの形状にぴったりと合う直方体(直方体は正方体も含む)である。この形状において左右方向に作業端部を振動させれば、理論上は歯科矯正ブラケットスロットの底面と側面のすべての部分が作業端部と常時、摩擦を生じるので最大の摩擦熱が得られることになる。しかしながら、願書に記載の発明者が、鋭意実験を繰り返して歯科矯正ブラケット撤去用具としての他の性能も評価すると歯科矯正ブラケットスロットの形状にぴったりと合う直方体が最も望ましい形状とはいえないことが分かった。
発明者の実験によれば、直方体の作業端部は、歯科矯正ブラケットスロットに嵌入することが極めて難しい。その理由は直方体の作業端部の場合には、最初の嵌入における寸分狂わない直方体の位置と歯科矯正ブラケットスロットの位置との位置合わせが難しいところにある。また、直方体の作業端部の角が歯に当たれば歯を痛め、歯茎等に当たれば当たった部分を痛めてしまう。そこで、発明者は、改良を加えて以下の実施例のような作業端部の形状に辿り着いた。
以下、図を参照して具体的な実施例について説明をする。
図1は実施例の歯科矯正ブラケット撤去用具の斜視図である。
図1に示す歯科矯正ブラケット撤去用具1は、連結部2とシャフト部3と湾曲部4と作業端部5とハンドル結合部6と液噴出孔7とを主なる構成部として具備している。歯科矯正ブラケット撤去用具1のサイズは口腔内に容易に挿入できるように、ハンドル結合部6から作業端部5までの長さを10mmないし40mmの範囲、例えば、30mmとする。高さを例えば8mmとし、幅を例えば4mmとする。歯科矯正ブラケット撤去用具1の材質は、オートクレーブによる滅菌作業に耐える金属材料、例えば、ステンレス鋼で形成される。
連結部2は、歯科矯正ブラケット10(図2を参照)のブラケットスロット11(図2を参照)に対する作業端部5の位置を制御するための手で把持可能とされる構成部である。連結部2の一端にはハンドル結合部6が配される。ハンドル結合部6は図示しない超音波発生部と着脱可能とされる。超音波発生部は歯科医療器具として周知技術であるので説明を省略する。また、ハンドル結合部6には図示しない液輸送ポートが備えられ、液輸送ポートは図示しない液供給装置と着脱可能とされる。液供給装置は歯科医療器具として周知技術であるので説明を省略する。
湾曲部4は、作業端部5を歯科矯正ブラケット10に構築されている溝(ブラケットスロット11)に水平に当てるための十分なオフセットを与える。上述したように作業端部5を左方向からブラケットスロット11に嵌入する場合(右利き用)と、作業端部5を右方向からブラケットスロット11に嵌入する場合(左利き用)とでは、湾曲部4の曲がり方は異なる。湾曲部4には液噴出孔7が配され、液噴出孔7から射出される液体によって冷却が必要な際には過渡の加熱を防止するとともに口腔内の異物を洗い流す。
シャフト部3は、湾曲部4を連結部2に結合するものである。連結部2は、作業端部5のブラケットスロット11に対する位置を制御するために手で把持可能とされる。
作業端部5は、接着剤を加熱する機能を有する部材である。作業端部5は、ブラケットスロット11の底面および側面に沿うように厚みを有する平らな面を構成する。作業端部5の断面は角を丸くした長方形であり、超音波の振動を作業端部5に付与中には常に作業端部5はブラケットスロット11の内部に程よく収まっているようにされる。長方形の角を丸くした理由は、角を丸くした直方体の作業端部の角が歯、歯茎等に当った場合に当たった部分を痛めることを防止するためである。
図2は、歯科矯正ブラケット10と歯との位置関係を示す図である。
図2は歯科矯正ブラケットと歯との位置関係を示す図であり、位置関係が解るように描かれているので図に示す各部の寸法は厳密ではない。図2(a)は歯の表面方向から見た図、図2(b)は歯の断面方向から見た図、図2(c)は歯の断面方向から見たブラケットスロット11の図である。以下、図2を参照して歯科矯正ブラケット10とブラケットスロット11とについて説明をする。
図2(a)を参照して説明をする。ブラケットスロット11は、歯科矯正ブラケット10の表面に配される溝部であり、歯列の矯正中においては、ブラケットスロット11の内部に図示しないアーチワイヤが配される。
図2(b)を参照して説明をする。接着剤は例えば公知の歯科用レジンあるいは歯科用セメントである。
図2(c)を参照して説明をする。ブラケットスロット11の各面について図2(c)に示すように、断面では2つの側面と1つの底面とが表されているが、実際には4つに分割された側面を有している(図3を参照)。
図3は、歯科矯正ブラケット10の拡大斜視図である。
図3を参照して、歯科矯正ブラケット10の各面の説明、各部のサイズの説明をする。歯科矯正ブラケット10は、符号A、符号B、符号H、符号I、符号J、符号Kを付した歯科矯正ブラケット10の外面を有している。また、符号C、符号D、符号E、符号F、符号Gを付したブラケットスロット11の内面を有している。符号C、符号D、符号E、符号Fを付した各内面はブラケットスロット11の側面であり、符号Gを付した内面はブラケットスロット11の低面である。符号A、符号B、符号C、符号D、符号E、符号F、符号G、符号H、符号I、符号J、符号Kを付した各面を外面A、外面B、側面C、側面D、側面E、側面F、底面G、上面H、上面I、上面J、上面Kと各々定義して以下の説明において用いる。外面Aと外面Bとは平行する。側面Cと側面Dとは同一平面(第1平面)上に位置し、側面Eと側面Fとは同一平面(第2平面)上に位置し、上面Hと上面Iと上面Jと上面Kとは同一平面(第3平面)上に位置する。第1平面と第2平面とは平行する。外面Aおよび外面Bと第1平面および第2平面とは直交する。外面Aと外面Bと第1平面と第2平面とは、底面Gと直交する。第3平面は底面Gと平行する。
第1平面と第2平面との離間距離が上下方向長L1であり、外面Aと外面Bとの離間距離が左右方向長L2(通常、長径と称される)であり、第3平面は底面Gとの離間距離が接着面と直交する方向長L3(通常、深さと称される)である。ブラケットスロット11のサイズは、上下方向長L1(幅)が例えば0.457mm、左右方向長L2(長径)が例えば3.0mm、接着面と直交する方向長L3(深さ)が例えば0.75mmである。上下方向長L1は国際規格によって2種類の規格が定められており、第1規格によれば上下方向長L1=0.018インチ(0.457mmに相当する)であり、第2規格によれば上下方向長L1=0.022インチ(0.559mmに相当する)である。発明者は、歯科矯正ブラケット10がセラミックで形成されるものであっても、ステンレス鋼で形成されるものであっても同様の寸法を有する第1規格または第2規格に適合する規格品を用いる歯科矯正ブラケット撤去用具1であれば同様の効果を奏することを確認した。
図4は、ブラケットスロット11に作業端部5が嵌入された状態を示す図である。
図4において、作業端部5は先端5a(右方向の端部)から破線で示す外面Bの位置までである。作業端部5の先端5aは尖っている。このように先端5aを尖らせることによって、作業端部5は容易にブラケットスロット11に嵌入する。また、先端が尖っている作業端部は細かな接着剤を?離する作業にも適す。作業端部5は湾曲部4の一部として構成されており、外面Bによって区切られる湾曲部4の先端が結果的に作業端部5の境界となる。以上は作業端部5を左方向からブラケットスロット11に嵌入する場合であって、図示はしないが、作業端部5を右方向からブラケットスロット11に嵌入する場合には外面Aによって切断される湾曲部4の先端が結果的に作業端部5の境界となる。すなわち、作業端部5は、一体連結される他の部分と物理的形状または化学的組成が異なるものではないが、容易にブラケットスロット11に嵌入する機能およびブラケットスロット11の内面とこすれて摩擦熱を発生する機能を有する部位である。すなわち、作業端部5は、嵌入時における角度、加えられる力の大きさ等々に応じて、これらの機能を発揮する範囲に若干のばらつきを有する機能部分である。
図5は、作業端部5の断面形状を示す図である。
図5(a)は、作業端部5を上下方向から見た左右方向の切断面による断面図であり、図5(b)は、作業端部5の外面Aを含む平面を切断面とする断面図と、外面Bを含む平面を切断面とする断面図である。外面Aによる切断面の断面と外面Bによる切断面の断面とはいずれも角に丸みを有する長方形である。
ブラケットスロット11の撤去に際しては、作業端部5の底面Gに対面する平坦面は、平坦面が底面Gに接するように配置され、作業端部5の側面C、側面D、側面E、側面Fに対面する平坦面は、平坦面が、側面Cおよび側面Dまたは側面Eおよび側面Fのいずれか一方に接するように配置される。
作業端部5の先端5aにより近い先端程、高さHが小さくなり、作業端部5の先端5aにより近い先端程、幅Wが小さくなるテーパ形状である場合について説明をする。図5(b)において、幅W1<幅W2、高さH1<高さH2は作業端部5の先端が尖るテーパ形状であることを表している。
このような形状にすると、最初に断面積が小さい先端を最初に嵌入することによって作業端部5に要求される容易に嵌入が可能であるという機能を達することができる。また、このような形状を採用することによって、作業端部5をどこまで嵌入するかを設定できる。左方向から作業端部5を嵌入する場合は、作業端部5の幅W2が上下方向長L1以上になると外面Bがストッパーとして機能して、それ以上の嵌入はできなくなる。作業端部5の外面Aによる切断面と作業端部5の外面Bによる切断面との離間距離は、左右方向長L2である。よって、作業端部5の外面Aによる切断面から飛び出した部分の長さL4の大きさは幅Wのテーパが大きい程小さくなる。幅Wのテーパが大きくなると長さL4はやがて負値となり作業端部5の先端5aはブラケットスロット11の内部に留まる。
作業端部5の平坦面が、側面Cおよび側面Dに接するように配置される場合には、底面Gと接する面と側面Cおよび側面Dと接する面とが摩擦熱を発生する部位となる。または、作業端部5の位置を若干ずらすと、作業端部5の平坦面が、側面Eおよび側面Fに接するように配置されるようになり、底面Gと接する面と側面Eおよび側面Fと接する面とが摩擦熱を発生する部位となる。このような断面形状を有する作業端部5は、底面Gと4つの側面(側面C、側面D、側面E、側面F)の中の2つの側面(側面Cおよび側面Dまたは側面Eおよび側面F)が摩擦熱を発生する部位の面積(摩擦熱発生面面積)として利用できるので、熱発生効率が高い。ここで、幅Wのテーパおよび高さHのテーパの量は、摩擦熱発生面面積に関係する。高さHのテーパが小さい程側面の摩擦熱発生面面積が大きくなり、幅Wのテーパが小さい程底面の摩擦熱発生面面積が大きくなることは、図5から明らかである。しかしながら、(高さH1)>(接着面と直交する方向長L3)となれば高さHによらず側面の摩擦熱発生面面積が最大となることは、図5から明らかである。
結論としては、高さHのテーパ、幅Wのテーパが大きい程、嵌入は容易となる。特に幅Wのテーパは嵌入の容易さに関係することは図5から明らかである。しかしながら、高さHのテーパ、幅Wのテーパが大きい程、摩擦熱発生面面積は小さくなる。反対に、高さHのテーパ、幅Wのテーパが小さい程、嵌入は困難となるが、摩擦熱発生面面積は大きくなる。高さHのテーパの大きさは嵌入の容易さにあまり影響を与えないので、高さHのテーパを小さくして摩擦熱発生面面積を大きくするのが効果的である。
例えば、最も好ましい作業端部5の形状は、作業端部5の断面を角に丸みを有する長方形とし(図5を参照)、作業端部5の上下方向の長さについては、作業端部5の先端5aに近くなる程短くし(図4、図5のテーパ形状を参照)、作業端部5の先端5aから所定長だけ離れた位置においてブラケットスロット11の上下方向の長さと等しくなるようにするものである(図4、図5を参照)。ここで、作業端部5の先端から所定長だけ離れた位置とはB面の位置である。所定長は、図5において、(L2+L4)である。所定長は、作業端部5のブラケットスロット11への嵌入を妨げるストッパーの位置を決める機能を有する寸法である。作業端部5のテーパの大きさを定めることによって所定長を所望の値にすることができる。
数値を当てはめる。B面の位置で作業端部5の幅W2が0.457mmとなればこれ以上、作業端部5を第1規格のブラケットスロット11の内面に嵌入することができない(図4を参照)。なお、第2規格のブラケットスロット11では、B面の位置で作業端部5の幅W2が0.559mmとなればこれ以上、作業端部5をブラケットスロット11の内面に嵌入することができない。作業端部5の先端5aとB面の位置とは所定長離れているが、所定長は予めA面における幅W1の値またはテーパの大きさを予め定めることによって容易に設定できる。この所定長が作業端部5の左右長(図4では、先端5aから外面Bと同一面上に表示されている破線までの長さ)である。作業端部5の長さは、摩擦熱を発生させる領域の面積を定め、過度に作業端部5をブラケットスロット11の内面に嵌入することを防止して使い勝手をよくする点において重要である。例えば、幅W1=0.3mm〜0.4mmの範囲で設定する。
高さH1<高さH2と設定すれば、テーパが付き、嵌入がより容易となる。例えば、高さH1=0.4mm、高さH2=1mmと設定をすることもできる(図4を参照)。高さH1、高さH2には物理的な制限がないので、例えば、高さH1=高さH2=0.75mm〜0.8mmに設定すれば、摩擦熱を効率的に発生させることができる。
作業端部5は、超音波によって振動するような厚みを持った高剛性部材であるステンレス鋼によって形成されているので超音波振動をする。ここで、振動周波数は30kHz前後である。作業端部5は、連結部2とシャフト部3と湾曲部4とハンドル結合部6からなる超音波伝導路と結合され、さらには、図示しない別の超音波伝導路によって図示しない超音波発生部と結合されている。そして、作業端部5の振動によって歯科矯正ブラケット10のブラケットスロット11の内面と作業端部5との間で摩擦熱を発生させる。この摩擦熱を歯科矯正ブラケット10から接着剤に伝え、摩擦熱が接着剤を軟化させる。このようにして、歯科矯正ブラケット10を歯から撤去可能とする。撤去に際しては、作業端部5を3秒ないし5秒の範囲の時間だけ振動させ接着剤を軟化させ歯科矯正ブラケット10をピンセット等で挟んで歯科矯正ブラケット10の撤去が簡単におこなえる。背景技術に示すようにプライヤー使うことなく、チゼルによる大きな破壊力を加えることもなく、あるいは大きな熱源で歯科矯正ブラケット10を高温に熱することない。このように歯に強い外力を加えることなく、超音波振動を止めるか、ブラケットスロット11と作業端部5と接触を断つと作業端部5はすぐに低下するため高温を維持する時間が短縮されて安全になり、その安全性確保の効果は極めて大きいものである。
図6は、歯科矯正ブラケットおよび作業端部の写真である。
図6の上段の写真は歯科矯正ブラケットの写真であり、下段の写真は歯科矯正ブラケットのブラケットスロットに作業端部を嵌入したときの写真である。
歯科矯正ブラケットを歯から除去するに際して、従来はプライヤーにより歯科矯正ブラケットをもぎ取る方法、チゼルにより接着剤を破壊する方法、高熱のコテを口腔内に入れる方法などが提案されているが、本発明は従来にない方法で歯科矯正ブラケットを歯から除去する。本発明の方法によれば、動揺している歯や乳歯、治療済みの歯あるいは表面の弱っている高齢者の歯から、より安全で、特別な技術を必要とせずに短時間で歯科矯正用ブラケットの撤去が可能となりその効果は大きく、本発明は産業上の利用可能性が高いものである。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態の各要素を組み合わせた実施可能な実施形態も含まれ、さらに、言うまでもなく、これらと技術的思想を同一とする実施形態も本発明に含まれる。
1 歯科矯正ブラケット撤去用具
2 連結部
3 シャフト部
4 湾曲部
5 作業端部
6 ハンドル結合部
7 液噴出孔
10 歯科矯正ブラケット
11 ブラケットスロット
本発明は、歯科矯正ブラケット撤去用具および歯科矯正ブラケット撤去用具の制御方法に関する。
本発明の歯科矯正ブラケット撤去用具の制御方法は、歯と接着剤によって接着している歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去するための歯科矯正ブラケット撤去用具の制御方法であって、前記歯科矯正ブラケット撤去用具の作業端部に超音波を導き、前記歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入された前記作業端部を前記超音波によって振動させ、前記作業端部の前記振動によって前記歯科矯正ブラケットの前記ブラケットスロットの形成面と前記作業端部との間で摩擦熱を発生させ、前記摩擦熱を前記歯科矯正ブラケットから前記接着剤に伝え、前記接着剤に伝えられた前記摩擦熱が前記接着剤を軟化させて、前記歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去可能とする。

Claims (4)

  1. 歯と接着剤によって接着している歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去する歯科矯正ブラケット撤去用具であって、
    前記歯科矯正ブラケット撤去用具の作業端部に超音波を導く超音波伝導路を具備し、
    前記作業端部は、前記超音波によって振動するような高剛性部材によって形成され、前記歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入する形状とされ、
    前記作業端部の前記振動によって前記歯科矯正ブラケットの前記ブラケットスロットの形成面と前記作業端部との間で摩擦熱を発生させ、
    前記摩擦熱を前記歯科矯正ブラケットから前記接着剤に伝え、
    前記接着剤に伝えられた前記摩擦熱が前記接着剤を軟化させて、前記歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去可能とする、
    歯科矯正ブラケット撤去用具。
  2. 前記作業端部の上下方向の長さは、
    前記作業端部の先端に近くなる程短くなり、
    前記作業端部の先端から所定長だけ離れた位置において前記ブラケットスロットの上下方向の長さと等しくなり、
    前記作業端部の断面は角に丸みを有する長方形である、請求項1に記載の歯科矯正ブラケット撤去用具。
  3. 前記歯科矯正ブラケット撤去用具は、
    前記作業端部の前記ブラケットスロットに対する位置を制御するために手で把持可能とされる連結部と、
    前記連結部の一端に配され超音波発生部と着脱可能とするハンドル結合部と、
    前記作業端部を前記歯科矯正ブラケットの前記ブラケットスロットへ嵌入容易とする湾曲部と、
    前記湾曲部の一端を前記連結部の他端に結合するシャフト部と、
    前記湾曲部の他端が結合される前記作業端部と、を具備し、
    前記連結部と前記ハンドル結合部と前記湾曲部と前記シャフト部と前記作業端部とは前記超音波伝導路として機能する、請求項1に記載の歯科矯正ブラケット撤去用具。
  4. 歯と接着剤によって接着している歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去するための歯科矯正ブラケット撤去用具の撤去方法であって、
    前記歯科矯正ブラケット撤去用具の作業端部に超音波を導き、
    前記歯科矯正ブラケットに設けられたブラケットスロットに嵌入された前記作業端部を前記超音波によって振動させ、
    前記作業端部の前記振動によって前記歯科矯正ブラケットの前記ブラケットスロットの形成面と前記作業端部との間で摩擦熱を発生させ、
    前記摩擦熱を前記歯科矯正ブラケットから前記接着剤に伝え、
    前記接着剤に伝えられた前記摩擦熱が前記接着剤を軟化させて、前記歯科矯正ブラケットを前記歯から撤去可能とする、
    歯科矯正ブラケット撤去用具の撤去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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