JP2017022332A - レーザアニール装置及びレーザアニール方法 - Google Patents

レーザアニール装置及びレーザアニール方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アニールの正常性を容易に確認することが可能なレーザアニール装置を提供する。【解決手段】レーザ光源から出力されたパルスレーザビームが入射する位置にアニール対象物が保持される。アニール対象物からの熱放射光が赤外線検出器で検出される。アニール対象物から赤外線検出器までの熱放射光の経路に、波長1μmより短い光を赤外線検出器に入射させない光学素子が配置されている。制御装置が、赤外線検出器の検出値の正常性判定の基準となる許容範囲を定義するデータを記憶している。制御装置は、ステージに評価用ウエハが保持された状態で、レーザ光源からパルスレーザビームを出力させ、パルスレーザビームの、評価用ウエハへの入射に同期して赤外線検出器の検出値を取得する。その後、赤外線検出器の検出値が許容範囲に収まっているか否かを判定し、判定結果を表す情報を出力装置に出力する。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザアニール装置及びレーザアニール方法に関する。
絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の製造工程では、基板の背面から1〜3μm程度の深い領域にバッファ層が形成される。このため、深い領域にイオン注入されたドーパントを活性化させる必要がある。特許文献1に、深い領域に注入されたドーパントの活性化アニールに適したレーザアニール装置が開示されている。このレーザアニール装置では、レーザダイオードに、トップフラットの時間波形を有するパルス電流が供給される。これにより、低いピークパワー密度でも、十分なアニールを行うことができる。
特開2013−74019号公報
浅い領域に注入されたドーパントの活性化アニールが正常に行われているか否かは、例えばアニール後のウエハのシート抵抗を測定することにより確認可能である。シート抵抗は、例えば四探針法を用いて測定することができる。
ところが、深さ1μm〜3μm程度の深い領域のドーパントの活性化率は、四探針法を用いたシート抵抗によって評価することが困難である。深い領域のドーパントの活性化率を評価する方法として、例えば拡がり抵抗を測定する方法が挙げられる。拡がり抵抗を測定するためには、アニール後の試料を斜めに研磨しなければならない。通常のメンテナンス作業において、正常なアニールが行われる状態が維持されているか否かを確認することが望まれる。ところが、メンテナンス作業において試料の拡がり抵抗を測定することは、メンテナンス作業の長時間化及びコストの増大に繋がる。
本発明の目的は、アニールの正常性を容易に確認することが可能なレーザアニール装置及びレーザアニール方法を提供することである。
本発明の一観点によると、
パルスレーザビームを出力するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力された前記パルスレーザビームが入射する位置にアニール対象物を保持するステージと、
前記ステージに保持されている前記アニール対象物からの熱放射光を検出する赤外線検出器と、
前記アニール対象物から前記赤外線検出器までの前記熱放射光の経路に配置され、波長1μmより短い光を前記赤外線検出器に入射させない光学素子と、
出力装置と、
制御装置と
を有し、
前記制御装置は、
前記赤外線検出器の検出値の正常性判定の基準となる許容範囲を定義するデータを記憶しており、
前記ステージに評価用ウエハが保持された状態で、前記レーザ光源から前記パルスレーザビームを出力させ、
前記パルスレーザビームの、前記評価用ウエハへの入射に同期して前記赤外線検出器の検出値を取得し、
前記赤外線検出器の検出値が前記許容範囲に収まっているか否かを判定し、判定結果を表す情報を前記出力装置に出力するレーザアニール装置が提供される。
本発明の他の観点によると、
パルスレーザビームを出力するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出力された前記パルスレーザビームが入射する位置にアニール対象物を保持するステージと、
前記ステージに保持されている前記アニール対象物からの熱放射光を検出する赤外線検出器と、
前記アニール対象物から前記赤外線検出器までの前記熱放射光の経路に配置され、波長1μmより短い光を前記赤外線検出器に入射させない光学素子と
を有するレーザアニール装置を用いたレーザアニール方法であって、
前記ステージに評価用ウエハを保持した状態で、前記レーザ光源から前記パルスレーザビームを出力させ、
前記パルスレーザビームの、前記評価用ウエハへの入射に同期して前記赤外線検出器の検出値を取得し、
前記赤外線検出器の検出値が許容範囲に収まっているか否かを判定し、
前記赤外線検出器の検出値が前記許容範囲に収まっている場合、前記ステージに、ドーパントが注入されたアニール対象ウエハを保持し、
前記レーザ光源から前記パルスレーザビームを出力して、前記アニール対象ウエハのアニールを行うレーザアニール方法が提供される。
波長が1μm以上の熱放射光を検出することにより、評価用ウエハの深い領域の温度情報を得ることができる。これにより、深い領域のアニールの正常性を確認することができる。
図1は、実施例によるレーザアニール装置の概略図である。 図2は、アニール対象物にパルスレーザビームを1ショット入射したときのパルスレーザビームの波形、及び赤外線検出器からの出力信号波形の測定結果を示すグラフである。 図3は、熱放射光のピーク強度と、リンの活性化率との関係を示すグラフである。 図4は、熱放射光のピーク強度と、リンの活性化率との関係を示すグラフである。 図5は、熱放射光の強度の積分値と、リンの活性化率との関係と示すグラフである。 図6は、熱放射光の強度の積分値と、リンの活性化率との関係と示すグラフである。 図7は、アニール用レーザビームの正常性を確認する手順のフローチャートである。 図8は、他の実施例によるレーザアニール装置の概略図である。 図9は、図8の実施例によるレーザアニール装置の検出系の概略図である。 図10は、図8の実施例によるレーザアニール装置の動作モード選択処理のフローチャートである。 図11は、図8の実施例によるレーザアニール装置のメンテナンスモードの動作のフローチャートである。
図1に、実施例によるレーザアニール装置の概略図を示す。レーザ光源10がパルスレーザビームを出力する。レーザ光源10から出力されたパルスレーザビームのビームプロファイルが、均一化光学系11によって均一化される。均一化光学系11を通過したパルスレーザビームが、ダイクロイックミラー12に入射する。ダイクロイックミラー12は、レーザ光源10から出力されるパルスレーザビームの波長域の光を反射する。ダイクロイックミラー12で反射されたパルスレーザビームが、レンズ13で集光されて、アニール対象物30に入射する。アニール対象物30は、ステージ31に保持されている。アニール対象物30は、例えばドーパントイオンが注入されたシリコンウエハ、評価用シリコンウエハ等である。
ステージ31は、制御装置20から制御されて、アニール対象物30を面内方向に移動させる。アニール対象物30を移動させながら、パルスレーザビームを入射させることにより、アニール対象物30の表面の全域をアニールすることができる。
パルスレーザビームがアニール対象物30に入射すると、入射位置の表層部が加熱されることにより、ドーパントが活性化する。加熱された部分から熱放射光35が放射される。熱放射光35の一部は、レンズ13で収束される。ダイクロイックミラー12は、波長1μm以上の波長域の光を透過させる。レンズ13で収束された後、ダイクロイックミラー12を透過した熱放射光35は、全反射ミラー14で反射され、光学フィルタ15及びレンズ16を透過して、赤外線検出器17に入射する。
光学フィルタ15としては、波長が1μmより短い波長域の光を透過させないロングパスフィルタまたはバンドパスフィルタが用いられる。アニール対象物30から赤外線検出器17までの経路に配置されているレンズ13、16等の光学素子を構成する光学ガラスは波長約3μm以上の光を吸収する性質を持つため、赤外線検出器17で検出可能な熱放射光の波長の上限は、約3μmである。従って、光学フィルタ15としてバンドパスフィルタを用いる場合には、長波長側のカットオフ波長を3μm以上とすることが好ましい。赤外線検出器17の前に光学フィルタ15を配置することにより、熱放射光のうち波長が1μmより短い成分は赤外線検出器17で検出されず、波長が1μmより長い成分の強度のみが、赤外線検出器17により検出される。
光学フィルタ15に代えて、1μmより短い波長の熱放射光を赤外線検出器17まで到達させない他の光学素子を配置してもよい。一例として、ダイクロイックミラー12が1μmより短い波長の光を反射する場合、ダイクロイックミラー12が、1μmより短い波長の熱放射光を赤外線検出器17まで到達させない光学素子としても機能する。
赤外線検出器17による熱放射光の検出値が制御装置20に入力される。制御装置20は、パルスレーザビームの各ショットに同期して、赤外線検出器17からの検出値を取得する。取得された検出値は、アニール対象物30の面内の位置と関連付けて、熱放射光検出値23として記憶装置21に格納される。一例として、パルスレーザビームの1ショットごとに、熱放射光の強度の時間変化が得られる。記憶装置21に格納される検出結果は、例えば、パルスレーザビームの1ショットごとの熱放射光の強度のピーク値、または積分値である。
レンズ13及びレンズ16は、アニール対象物30の表面を、赤外線検出器17の受光面に結像させる。結像倍率は、例えば1倍である。赤外線検出器17の受光面は、例えば直径約1mmの円形である。アニール対象物30の表面におけるパルスレーザビームのビームスポットは、例えば長さ約2.5mm、幅約0.25mmの長尺形状である。この場合、ビームスポットの幅方向の全域が、赤外線検出器17の受光面に収まる。長さ方向に関しては、ビームスポットの一部分のみが受光面に収まる。赤外線検出器17の受光面の位置を調整することにより、長さ方向に関して、ビームスポットの所望の位置からの熱放射光を受光することができる。例えば、長さ方向に関してビームスポットの中心からの熱放射光が受光面に入射する。
赤外線検出器17の受光面の大きさや結像倍率を変更することにより、ビームスポットの幅方向に関して全域を検出せず、一部分のみを検出することも可能である。ビームスポットの全域に対して、受光面で検出される領域の面積比を小さくすることは、赤外線検出器17から出力される信号強度の低下につながる。必要な信号強度に応じて、結像倍率や、赤外線検出器17の受光面の大きさを決定することが好ましい。
制御装置20の記憶装置21に、活性化率換算データ22が格納されている。活性化率換算データ22は、赤外線検出器17によって検出される熱放射光の強度と、アニール対象物30に注入されているドーパントの活性化率との対応関係を定義している。
制御装置20は、記憶装置21に格納されている熱放射光検出値23と、活性化率換算データ22とに基づいて、活性化率の推定値を求める。この推定値が、出力装置25に出力される。一例として、出力装置25は画像表示装置であり、アニール対象物30の面内における活性化率の分布が画像、グラフ、または数値で表示される。
活性化率換算データ22は、ドーパントの種類ごと、及びドーパントのイオン注入条件ごとに予め準備されている。制御装置20は、アニール対象物30に注入されているドーパントの種類、及びイオン注入条件に対応する活性化率換算データ22を参照して、活性化率の推定値を求める。
活性化率の推定値を求めるための赤外線検出器17の検出値として、パルスレーザビームの1ショットごとに検出される熱放射光の強度のピーク値を採用することができる。その他に、1ショットごとに検出される熱放射光の強度の積分値を採用することも可能である。
1μmより長い波長域の光は、シリコンウエハを透過する。このため、波長が1μmより長い熱放射光は、アニール対象物30の深い領域からも外部に放射される。これに対し、波長が1μmより短い熱放射光は、アニール対象物30によって吸収されやすいため、深い領域で発生した波長1μmより短い熱放射光は、アニール対象物30の外部まで達しにくい。このため、1μmより短い波長の熱放射光の強度には、主に浅い領域の温度情報が反映される。これに対し、1μmより長い波長の熱放射光の強度には、浅い領域と深い領域との両方の温度情報が反映される。実施例においては、1μmより短い波長域の熱放射光が遮光され、1μmより長い波長域の熱放射光が、赤外線検出器17で検出される。このため、アニール対象物30の浅い領域のみならず、深い領域の温度情報を得ることも可能である。
アニール対象物30の深い領域の温度情報が、赤外線検出器17の検出結果に反映されるため、深い領域に注入されているドーパントの活性化率を推測することが可能である。
アニール対象物30の温度が上昇すると、エネルギバンドギャップが狭くなるため、1μmよりやや長い波長域の熱放射光もアニール対象物30を透過しにくくなる。このため、1μm近傍の波長域の熱放射光には、アニール対象物30の浅い領域の温度が大きく反映され、深い領域の温度は反映されにくくなる。全体として、1μmより長い波長域の熱放射光に、浅い領域の温度が相対的に大きく反映されることになる。
アニール対象物30の温度が上昇しても、熱放射光の強度に、深い領域の温度を十分反映させるために、光学フィルタ15によって、1.5μmより短い波長の熱放射光をカットすることが好ましく、2μmより短い波長の熱放射光をカットすることがより好ましい。
光学フィルタ15としてロングパスフィルタを用いる場合に、1.5μmより短い波長の熱放射光をカットするためには、カットオフ波長を1.5μm、またはそれよりも長くすればよい。光学フィルタ15としてバンドパスフィルタを用いる場合には、短波長側のカットオフ波長を1.5μm、またはそれよりも長くすればよい。2μmより短い波長の熱放射光をカットするためには、カットオフ波長を2μm、またはそれよりも長くすればよい。
ロングパスフィルタのカットオフ波長、またはバンドパスフィルタの短波長側のカットオフ波長を長くし過ぎると、熱放射光のほとんどの成分が、光学フィルタ15によってカットされてしまう。赤外線検出器17に入射する熱放射光の強度を保つために、カットオフ波長は2.5μm、またはそれよりも短くすることが好ましい。
バンドパスフィルタの長波長側のカットオフ波長は、3μm以上にすることが好ましい。約3μm以上の波長の熱放射光は、アニール対象物30から赤外線検出器17までの経路に配置されているレンズ13、16等の光学素子によって吸収されてしまう。従って、バンドパスフィルタの長波長側のカットオフ波長を3μmより長くすると、検出すべき波長域の熱放射光の透過率を高く維持することができる。言い換えると信号強度の低下を抑制することができる。
制御装置20の記憶装置21に、熱放射光の検出値の許容範囲24を定義するデータが格納されている。許容範囲24は、赤外線検出器17の検出値の正常性判定の基準となる。赤外線検出器17の検出値(例えば熱放射光のピーク強度、熱放射光の強度の積分値)が許容範囲24に収まっている場合、赤外線検出器17の検出値は正常であると判定される。赤外線検出器17の検出値が正常であることは、目標とする条件でレーザ照射が行われていることを示す。
レーザアニール装置の動作を指令するための種々のコマンドが、入力装置26を通して制御装置20に入力される。
図2に、アニール対象物30にパルスレーザビームを1ショット入射したときのパルスレーザビームの波形、及び赤外線検出器17からの出力信号波形の測定結果を示す。横軸は経過時間を単位「μs」で表し、縦軸は信号強度を表す。実線aがパルスレーザビームの波形を示し、実線bが、赤外線検出器17からの出力信号波形を示す。赤外線検出器17の出力信号の強度は、アニール対象物30からの熱放射光の強度に対応する。
パルスレーザビームが立ち上がった直後は、アニール対象物30の温度の上昇が十分ではないため、熱放射光の強度が赤外線検出器17の検出限界以下である。パルスレーザビームが立ち上がってから約10μs経過した時点から、赤外線検出器17の出力信号強度が増加し始める。温度シミュレーションによると、このときのアニール対象物30の表面温度は約800℃であった。アニール対象物30の表面温度が800℃以上になると、熱放射光の強度を計測することが可能になる。なお、熱放射光の強度が計測可能になる表面温度は、赤外線検出器17の感度や、アニール対象物30から赤外線検出器17に達するまでの経路での熱放射光の減衰量に依存する。
パルスレーザビームが立ち下がった時点から、赤外線検出器17の出力信号強度が低下し始める。これは、アニール対象物30の温度が低下し始めたことを意味する。
レーザ光源10から出力されるパルスレーザビームのパルスエネルギ密度を最大定格値に設定した条件でアニールを行なった時に、赤外線検出器17の信号強度が飽和しないように、赤外線検出器17の受光面における熱放射光の強度を調整することが好ましい。この調整には、例えば反射型ニュートラルデンシティフィルタを用いることができる。
次に、図3〜図6を参照して、活性化率換算データ22(図1)の例について説明する。
実際に活性化アニールを行って、熱放射光の強度と活性化率とを計測する評価実験を行なった。アニール対象物30(図1)として、リンがイオン注入されたシリコンウエハを用いた。レーザ光源10として、発振波長808nmのレーザダイオードを用いた。アニール対象物30の表面におけるビームスポットは、長さ2.5mm、幅0.25mmの長尺形状である。このビームスポットを、幅方向にオーバラップ率67%で移動させて主走査を行い、その後長手方向にオーバラップ率50%で移動させて副走査を行う。主走査と副走査とを繰り返して、アニール対象物30の表面のほぼ全域のアニールを行った。
図3及び図4に、熱放射光のピーク強度と、リンの活性化率との関係を示す。図3及び図4の横軸は、熱放射光のピーク強度を、赤外線検出器17からの出力信号の単位「V」で表し、縦軸は、リンの活性化率を単位「%」で表す。図3及び図4の丸記号及び四角記号は、それぞれパルス幅20μs及び15μsの条件でアニールを行ったときの活性化率を示す。図3及び図4の評価実験で用いたアニール対象物30は、それぞれ加速エネルギ3MeV及び2MeVでリンがイオン注入されたシリコンウエハである。リンのドーズ量は、図3及び図4のいずれの評価実験においても、5×1012cm−2である。
加速エネルギが3MeVの条件でリンをイオン注入した場合、深さ約2μmで不純物濃度がピークを示し、深さ約4μmまで不純物濃度分布の裾野が延びる。加速エネルギが2MeVの条件でリンをイオン注入した場合、深さ1.6〜1.8μmで不純物濃度がピークを示し、深さ約3μmまで不純物濃度分布の裾野が延びる。
図3及び図4から、熱放射光のピーク強度が大きくなるに従って、活性化率が高くなっていることがわかる。このため、熱放射光のピーク強度と活性化率との対応関係を参照することにより、熱放射光のピーク強度から活性化率の推定値を求めることができる。
図5及び図6に、熱放射光の強度の積分値と、リンの活性化率との関係と示す。図5及び図6の横軸は、熱放射光の強度の積分値を、赤外線検出器17からの出力信号強度の積分値の単位「μVs」で表し、縦軸は、リンの活性化率を単位「%」で表す。積分範囲は、パルスレーザビームの1ショットに相当する。図5及び図6の丸記号及び四角記号は、それぞれパルス幅20μs及び15μsの条件でアニールを行ったときの活性化率を示す。図5及び図6の評価実験で用いたアニール対象物30は、それぞれ加速エネルギ3MeV及び2MeVでリンがイオン注入されたシリコンウエハである。リンのドーズ量は、図5及び図6のいずれの評価実験においても、5×1012cm−2である。
図5及び図6から、熱放射光の強度の積分値が大きくなるに従って、活性化率が高くなっていることがわかる。このため、熱放射光の強度の積分値と活性化率との対応関係を参照することにより、熱放射光の強度の積分値から活性化率の推定値を求めることができる。
一例として、図1に示した活性化率換算データ22によって、熱放射光のピーク強度と活性化率との対応関係を定義することが可能である。他の例として、活性化率換算データ22によって、熱放射光の強度の積分値と活性化率との対応関係を定義することも可能である。これらの対応関係は、パルス幅、イオン注入の加速エネルギ、及びドーパントの種類ごとに定義される。また、これらの対応関係は関数式で表してもよいし、数値テーブルで表してもよい。
制御装置20は、パルスレーザビームの1ショットごとに、熱放射光のピーク強度、または熱放射光の強度の積分値を算出する。この算出値と、活性化率換算データ22とに基づいて、活性化率の推定値を算出することができる。
記憶装置21に記憶されている許容範囲24(図1)は、目標とする活性化率を得るための赤外線検出器17の検出値の適正な範囲を定義している。赤外線検出器17の検出値が許容範囲24に収まっている場合、目標とする活性化率が得られると考えられる。
次に、図7を参照して、レーザアニールを行う前に行われるアニール用レーザビームの正常性を確認する方法について説明する。この正常性の確認は、例えば、日常のメンテナンスの際に行われる。
図7に、アニール用レーザビームの正常性を確認する手順のフローチャートを示す。ステップS1において、ステージ31(図1)に評価用ウエハを載せる。評価用ウエハは、実際にアニールを行う対象ウエハと同一の材料で形成されている。絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の裏側に形成されるコレクタ層の活性化アニールを行う場合には、表側の面に、エミッタ、ベース、ゲート等の素子構造が形成されているが、評価用ウエハには、これらの素子構造が形成されていない。さらに、評価用ウエハには、必ずしもドーパントを注入しておく必要はない。評価用ウエハとして、例えばシリコンウエハを用いることができる。
ステップS2において、制御装置20が、ステージ31及びレーザ光源10に動作指令を与える。これにより、ステージ31に保持されている評価用ウエハが面内方向に移動するとともに、レーザ光源10からパルスレーザビームが出力される。このパルスレーザビームの出力条件は、実際のアニール時の出力条件と同一である。評価用ウエハから放射された熱放射光が赤外線検出器17で検出される。制御装置20は、赤外線検出器17の検出値を取得し、記憶装置21に、熱放射光検出値23として記憶する。熱放射光検出値23として、1ショットごとの熱放射光のピーク強度を採用してもよいし、1ショットごとの熱放射光の強度の積分値を採用してもよい。
評価用ウエハに対するレーザ照射が終了すると、ステップS3において、ショットごとに、熱放射光検出値23が許容範囲24に収まっているか否かを、制御装置20が判定する。熱放射光検出値23が許容範囲に収まっている場合、ステップS4において、制御装置20は、判定結果として、熱放射光検出値23が許容範囲24に収まっていることを表す情報を、出力装置25に出力する。熱放射光検出値23が許容範囲に収まっていない場合、ステップS5において、制御装置20は、判定結果として、熱放射光検出値23が許容範囲24から外れていることを表す情報を、出力装置25に出力する。
通常、レーザ光源10から出力されたパルスレーザビームのパルスエネルギを計測するレーザ光エネルギ計測系が設置される。レーザ光エネルギ計測系の計測結果に基づいて、アニール対象物30に入射するパルスレーザビームのパルスエネルギが目標範囲に収まるように、パルスエネルギの制御が行われる。アニール対象物30の表面におけるパルスエネルギ密度は、パルスレーザビームのパルスエネルギと、ビームスポットの面積とで決まる。
オペレータは、出力装置25に出力された情報に基づいて、パルスエネルギ密度が目標範囲に収まっているかを判断することができる。言い換えると、レーザ光学系及びレーザ光エネルギ計測系が正常な状態であるか否かを判断することができる。熱放射光検出値23が許容範囲24に収まっている場合には、アニール対象ウエハをステージ31に載せて、レーザアニールを行うことができる。熱放射光検出値23が許容範囲24から外れている場合には、レーザアニール装置のレーザ光学系またはレーザ光エネルギ計測系の調整を行うことが望ましい。
上記実施例では、評価用ウエハの拡がり抵抗の測定を行うことなく、レーザアニール装置が、目標とする活性化率が得られる状態であるか否かを判定することができる。このため、日常のメンテナンス作業の簡略化、時間短縮、及びコスト低減を図ることができる。
次に、図8〜図11を参照して、他の実施例によるレーザアニール装置及びレーザアニール方法について説明する。以下、図1〜図7に示した実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
図8に、本実施例によるレーザアニール装置の概略図を示す。このレーザアニール装置は、第1のレーザ光源51、及び第2のレーザ光源61を有する。第1のレーザ光源51には、レーザダイオードが用いられる。第1のレーザ光源51は、赤外域のパルスレーザビーム、例えば波長808nmのパルスレーザビームを出力する。第2のレーザ光源61は、固体レーザ発振器61A及び61Bで構成される。固体レーザ発振器61A及び61Bは、緑色域の波長を有するパルスレーザビームを出力する。固体レーザ発振器61A及び61Bには、例えば2次高調波を出力するNd:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVOレーザ等が用いられる。
第1のレーザ光源51から出力されたパルスレーザビーム、及び第2のレーザ光源61から出力されたパルスレーザビームが、伝搬光学系57を経由して、アニール対象物30に入射する。第1のレーザ光源51から出力されたパルスレーザビームと、第2のレーザ光源61から出力されたパルスレーザビームとは、アニール対象物30の表面の同一の領域に入射する。アニール対象物30はステージ31に保持されている。
次に、伝搬光学系57の構成及び作用について説明する。第1のレーザ光源51から出力されたパルスレーザビームが、アッテネータ52、ビームエキスパンダ53、ビームホモジナイザ54、ダイクロイックミラー55、及びレンズ13を経由して、アニール対象物30に入射する。第1のレーザ光源51、ビームホモジナイザ54、ダイクロイックミラー55、及びレンズ13が、それぞれ図1に示したレーザ光源10、均一化光学系11、ダイクロイックミラー12、及びレンズ13に相当する。
一方の固体レーザ発振器61Aから出力されたパルスレーザビームが、アッテネータ62A及びビームエキスパンダ63Aを経由して、ビームスプリッタ65に入射する。他方の固体レーザ発振器61Bから出力されたパルスレーザビームが、アッテネータ62B、ビームエキスパンダ63B、及びミラー64を経由して、ビームスプリッタ65に入射する。2つの固体レーザ発振器61A、61Bから出力されたパルスレーザビームが、ビームスプリッタ65で合流し、共通の経路に沿って伝搬する。
ビームスプリッタ65で1本の経路に合流したパルスレーザビームは、ビームホモジナイザ66、ダイクロイックミラー67、ダイクロイックミラー55、及びレンズ13を経由して、アニール対象物30に入射する。
ダイクロイックミラー55は、800nmの波長域の光を反射し、その他の波長域の光を透過させる。ダイクロイックミラー67は、緑色の波長域の光を反射し、その他の波長域の光を透過させる。制御装置20が、第1のレーザ光源51、第2のレーザ光源61、及びステージ31を制御する。
アニール対象物30からの熱放射光35が、レンズ13、ダイクロイックミラー55及び67を透過し、全反射ミラー14で反射されて、検出系70に入射する。検出系70は、可視の波長域の参照光を出力する。検出系70から出力された参照光は、全反射ミラー14で反射された後、ダイクロイックミラー67、55を透過し、レンズ13で収束されてアニール対象物30に入射する。アニール対象物30に入射した参照光は、アニール対象物30の表面で反射する。アニール対象物30からの反射光が、参照光の経路と同一の経路を逆方向に辿って検出系70に入射する。
ダイクロイックミラー67は、第2のレーザ光源61から出力されたパルスレーザビームと、検出系70から出力された参照光とを、共通経路に合流させる光合流器としての機能を有する。ダイクロイックミラー55は、第1のレーザ光源51から出力されたパルスレーザビームと、検出系70から出力された参照光とを、共通経路に合流させる光合流器としての機能を有する。共通経路を伝搬する参照光及びパルスレーザビームは、レンズ13によってアニール対象物30上に集光される。
第1のレーザ光源51から出力されたパルスレーザビームは、主としてアニール対象物30の深い領域を加熱する。これにより、深い領域のドーパントが活性化する。
第2のレーザ光源61の2つの固体レーザ発振器61A、61Bから出力されるパルスレーザビームのパルス幅は、100ns程度である。すなわち、第1のレーザ光源51から出力されるパルスレーザビームのパルス幅の1/100より短い。また、固体レーザ発振器61A、61Bから出力されるパルスレーザビームのピーク強度は、第1のレーザ光源51から出力されるパルスレーザビームのピーク強度よりも十分大きい。第2のレーザ光源61から出力された短パルスかつ高強度のパルスレーザビームは、アニール対象物30の表層部を溶融させる。溶融した表層部が再結晶化するときに、ドーパントが活性化する。第2のレーザ光源61は、相対的に浅い領域のドーパントの活性化に用いられる。
検出系70からレンズ13までの参照光の経路に、ターゲット部材90、91、92が配置される。例えば、ターゲット部材90は、全反射ミラー14とダイクロイックミラー67との間に配置され、他のターゲット部材91は、ダイクロイックミラー67とダイクロイックミラー55との間に配置され、さらに他のターゲット部材92は、ダイクロイックミラー55とレンズ13との間に配置される。
ターゲット部材90は、メンテナンス位置と待機位置との間で移動可能である。アクチュエータ93が、制御装置20からの制御により、ターゲット部材90を移動させる。同様に、アクチュエータ94、95が、それぞれターゲット部材91、92を移動させる。
ターゲット部材90、91、92は、それぞれのメンテナンス位置に配置されたとき、参照光が目標経路から外れた位置を通過するときの透過率を、目標経路を通過するときの透過率よりも低下させる。ターゲット部材90、91、92は、例えば貫通孔が設けられた遮光板を含む。ターゲット部材90、91、92がメンテナンス位置に配置されたとき、各ターゲット部材90、91、92の貫通孔が参照光の目標経路に一致する。参照光が目標経路からずれていると、参照光のビーム断面の中心が、貫通孔の中心からずれる。このため、参照光の透過率が低下する。参照光のビーム断面と貫通孔との重なりが無い場合には、透過率が0%になる。
ターゲット部材90、91、92が待機位置に配置されているときは、遮光板が参照光の経路から外れる。このため、参照光、パルスレーザビーム、熱放射光が、ターゲット部材90、91、92に遮られることはない。
全反射ミラー14、ダイクロイックミラー67、55、及びレンズ13は、支持部材100に支持されている。より具体的には、全反射ミラー14、ダイクロイックミラー67、55は、機械的精度で位置及び姿勢が調整されて、支持部材100に固定されている。ターゲット部材90、91、92をメンテナンス位置に配置する場合には、ターゲット部材90、91、92が支持部材100に対して機械的精度で位置決めされる。例えば、位置決め部材96、97、98が、支持部材100に機械的に固定されている。ターゲット部材90、91、92が、それぞれ位置決め部材96、97、98に接触することにより、メンテナンス位置に位置決めされる。
図9に、検出系70の概略図を示す。アニール対象物30(図8)からの熱放射光、反射光が、全反射ミラー14で反射し、検出系70に入射する。全反射ミラー14、光学フィルタ15、レンズ16、及び赤外線検出器17の構成は、図1に示した実施例の構成と同一である。全反射ミラー14と光学フィルタ15との間に、ダイクロイックミラー71が配置されている。ダイクロイックミラー71は、1μm以上の波長域の光を透過させ、600nm以上1μm未満の波長域の光を反射する。ダイクロイックミラー72で、所望の波長域から外れた波長の光が反射されると、表面温度検出器74で得られる信号に、所望の波長域から外れた波長の光に起因するノイズが混入する。この場合には、適切な光学フィルタを設置して、不要な波長の光を除去してもよい。
伝搬光学系57から検出系70に入射した熱放射光のうち、1μm未満の波長域の光は、ダイクロイックミラー71で反射され、次のダイクロイックミラー72に入射する。ダイクロイックミラー72は、860nm以上940nm以下の波長域の光を反射し、波長633nmの光を透過させる。ダイクロイックミラー72で反射した熱放射光は、レンズ73で収束された後、表面温度検出器74に入射する。表面温度検出器74には、例えばアバランシェフォトダイオードを用いることができる。
表面温度検出器74は、アニール対象物30の極表層部からの熱放射光を検出する。表面温度検出器74には、短パルスによる短時間の溶融を検出するために、高速応答性が求められる。表面温度検出器74にアバランシェフォトダイオードを用いることにより、十分な高速応答性を確保することができる。
参照用光源81が、参照用のレーザビーム(参照光)を出力する。参照用光源81には、例えばHeNeレーザ発振器を用いることができる。HeNeレーザ発振器の出力波長は約633nmである。参照用光源81から出力された参照光が1/2波長板80を透過した後、ビームスプリッタ77で分岐される。
ビームスプリッタ77を直進した参照光は、参照光検出器82に入射する。ビームスプリッタ77で反射した参照光は、1/4波長板76、3枚の全反射ミラー75、ダイクロイックミラー72、71、及び全反射ミラー14を経由して、伝搬光学系57に入射する。
アニール対象物30(図8)に入射した参照光の反射光が、同一の経路を逆方向に辿り、ビームスプリッタ77に入射する。参照光は、往路と復路で1/4波長板76を2回通過しているため、反射光はビームスプリッタ77を直進する。その後、レンズ78で収束され、反射光検出器79に入射する。反射光検出器79は、反射光の強度を検出する。
赤外線検出器17、表面温度検出器74、反射光検出器79、及び参照光検出器82の検出結果が、制御装置20に入力される。制御装置20は、表面温度検出器74の検出結果から、アニール対象物30の溶融した表層部の温度を求める。さらに、制御装置20は、反射光検出器79及び参照光検出器82の検出結果から、アニール対象物30の表面の反射率を算出する。アニール対象物30の表層部が溶融すると、反射率が高くなるため、反射率の算出結果から、溶融時間を算出することができる。溶融していた時間に基づいて、溶融した部分の深さを算出することができる。なお、参照光の強度が一定である場合には、反射光検出器79の検出結果のみから、アニール対象物30が溶融しているか否かを判定することができる。
図10に、本実施例によるレーザアニール装置の動作モード選択処理のフローチャートを示す。ステップSA1において、制御装置20(図8、図9)が出力装置25(図8、図9)に動作モード選択画面を表示する。ステップSA2において、オペレータが入力装置26(図8、図9)を通して、動作モードを選択する。動作モードには、メンテナンスモード、モニタモード、アニールモードが含まれる。例えば、出力装置25として、液晶表示装置を用いることができる。入力装置26として、例えばポインティングデバイスを用いることができる。
オペレータがメンテナンスモードを選択した場合には、ステップSA3において、制御装置20がレーザアニール装置をメンテナンスモードで動作させる。オペレータがモニタモードを選択した場合には、ステップSA4において、制御装置20がレーザアニール装置をモニタモードで動作させる。モニタモードでは、図7に示したフローチャートの処理と同一の処理が実行される。オペレータがアニールモードを選択した場合には、ステップSA5において、制御装置20がレーザアニール装置をアニールモードで動作させる。アニールモードでは、アニール対象ウエハの活性化アニールが行われる。オペレータが動作終了を選択した場合には、制御装置20がレーザアニール装置の動作を終了させる。
図11に、メンテナンスモードの動作のフローチャートを示す。ステップSB1において、ステージ31(図8)に評価用ウエハを載せる。例えば、制御装置20が搬送装置を駆動することにより、評価用ウエハをストック位置から搬出し、ステージ31に載せる。ステップSB2において、制御装置20がアクチュエータ93、94、95を動作させて、ターゲット部材90、91、92をメンテナンス位置に配置する。
ステップSB3において、制御装置20が参照用光源81(図9)を動作させる。これにより、参照用光源81から参照光が出力される。参照光検出器82で参照光の強度が測定され、反射光検出器79で反射光の強度が測定される。ステップSB4において、制御装置20が、参照光検出器82の検出値及び反射光検出器79の検出値を取得する。取得された検出値に基づいて、反射率が算出される。
ここで、「反射率」は、必ずしも評価用ウエハの表面における参照光の反射率に一致する必要はない。参照光検出器82で検出される参照光の強度は、ビームスプリッタ77を透過した成分の強度に等しく、評価用ウエハに入射する参照光の強度とは異なる。参照光検出器82で検出される強度と、評価用ウエハに入射する参照光の強度とは、比例関係を有する。従って、参照光検出器82の検出値を用いて算出した反射率と、現実の反射率とは、比例関係を有する。このため、参照光検出器82の検出値を用いて算出した反射率に基づいて、現実の反射率を評価することが可能である。
ステップSB5において、反射率の算出値が規定範囲内か否かを、制御装置20が判定する。反射率の規定範囲は、光軸調整が完了した状態で測定した反射率に基づいて予め決定されている。この規定範囲を定義するデータは、制御装置20の記憶装置21に格納されている。
参照光が目標経路を通過する場合には、反射率の算出結果が規定範囲に収まる。参照光が目標経路からずれている場合には、検出系70から出力された参照光、及び評価用ウエハで反射した反射光が、ターゲット部材90、91、92によって少なくとも部分的に遮られる。このため、反射率の算出値が規定範囲よりも小さくなってしまう。
反射率の算出値が既定範囲に収まっている場合には、ステップSB6において、光軸が正しく調整されていることを示す情報が、出力装置25に出力される。反射率の算出値が既定範囲から外れている場合には、ステップSB7において、光軸の調整が不十分であることを示す情報が、出力装置25に出力される。オペレータは、出力装置25に出力された情報から、光軸調整が完了しているか否かを容易に認識することができる。
参照光の光軸調整が未完了である場合には、オペレータが、3枚の全反射ミラー75の少なくとも2枚の姿勢を微調整することにより、光軸調整を行う。参照光の光軸調整が完了したら、参照光を基準として、第1のレーザ光源51から出力されたパルスレーザビームの光軸調整、及び第2のレーザ光源61から出力されたパルスレーザビームの光軸調整を行う。参照光を基準とすることにより、これらのパルスレーザビームの光軸調整を容易に行うことができる。
参照光は、アニールを実行している期間に、アニール対象ウエハの表層部が溶融しているか否かの判定に使用される。本実施例においては、溶融の判定を行うための参照光を、光軸調整用の光学系と兼用することができる。光軸調整用の専用の光学系を配置する必要がないため、レーザアニール装置の光学系の複雑化を回避することができる。
図8に示した実施例では、3個のターゲット部材90、91、92が参照光の経路に配置される。他の構成として、ターゲット部材の個数を1個または2個にしてもよい。少なくとも1つのターゲット部材を配置すれば、参照光の光軸調整を行うことができる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
10 レーザ光源
11 均一化光学系
12 ダイクロイックミラー
13 レンズ
14 全反射ミラー
15 光学フィルタ
16 レンズ
17 赤外線検出器
20 制御装置
21 記憶装置
22 活性化率換算データ
23 熱放射光検出値
24 許容範囲
25 出力装置
26 入力装置
30 アニール対象物
31 ステージ
35 熱放射光
51 第1のレーザ光源
52 アッテネータ
53 ビームエキスパンダ
54 ビームホモジナイザ
55 ダイクロイックミラー55
57 伝搬光学系
61 第2のレーザ光源
61A、61B 固体レーザ発振器
62A、62B アッテネータ
63A、63B ビームエキスパンダ
64 ミラー
65 ビームスプリッタ
66 ビームホモジナイザ
67 ダイクロイックミラー
70 検出系
71、72 ダイクロイックミラー
73 レンズ
74 表面温度検出器
75 全反射ミラー
76 1/4波長板
77 ビームスプリッタ
78 レンズ
79 反射光検出器
80 1/2波長板
81 参照用光源
82 参照光検出器
90、91、92 タオゲット部材
93、94、95 アクチュエータ
96、97、98 位置決め部材
100 支持部材

Claims (6)

  1. パルスレーザビームを出力するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出力された前記パルスレーザビームが入射する位置にアニール対象物を保持するステージと、
    前記ステージに保持されている前記アニール対象物からの熱放射光を検出する赤外線検出器と、
    前記アニール対象物から前記赤外線検出器までの前記熱放射光の経路に配置され、波長1μmより短い光を前記赤外線検出器に入射させない光学素子と、
    出力装置と、
    制御装置と
    を有し、
    前記制御装置は、
    前記赤外線検出器の検出値の正常性判定の基準となる許容範囲を定義するデータを記憶しており、
    前記ステージに評価用ウエハが保持された状態で、前記レーザ光源から前記パルスレーザビームを出力させ、
    前記パルスレーザビームの、前記評価用ウエハへの入射に同期して前記赤外線検出器の検出値を取得し、
    前記赤外線検出器の検出値が前記許容範囲に収まっているか否かを判定し、判定結果を表す情報を前記出力装置に出力するレーザアニール装置。
  2. さらに、
    参照光を出力する参照用光源と、
    前記レーザ光源から出力された前記パルスレーザビームと、前記参照用光源から出力された前記参照光とを、共通経路に合流させる光合流器と
    前記参照用光源から出力された前記参照光の強度を検出する参照光検出器と、
    前記アニール対象物の表面に入射した前記参照光の反射光の強度を検出する反射光検出器と、
    メンテナンス位置に配置されたとき、前記参照光が目標経路から外れた位置を通過するときの透過率を、前記目標経路を通過するときの透過率よりも低下させるターゲット部材と
    を有し、
    前記制御装置は、
    前記参照光検出器の検出値と、前記反射光検出器の検出値とに基づいて、光軸が正しく調整されているか否かを判定し、
    判定結果を前記出力装置に出力する請求項1に記載のレーザアニール装置。
  3. さらに、
    前記共通経路に配置され、前記パルスレーザビーム及び前記参照光を集光するレンズと、
    前記光合流器及び前記レンズを支持する支持部材と
    を有し、
    前記光合流器は、前記支持部材に機械的に固定されており、
    前記ターゲット部材は、前記支持部材に対して機械的精度で前記メンテナンス位置に位置決めされる請求項2に記載のレーザアニール装置。
  4. パルスレーザビームを出力するレーザ光源と、
    前記レーザ光源から出力された前記パルスレーザビームが入射する位置にアニール対象物を保持するステージと、
    前記ステージに保持されている前記アニール対象物からの熱放射光を検出する赤外線検出器と、
    前記アニール対象物から前記赤外線検出器までの前記熱放射光の経路に配置され、波長1μmより短い光を前記赤外線検出器に入射させない光学素子と
    を有するレーザアニール装置を用いたレーザアニール方法であって、
    前記ステージに評価用ウエハを保持した状態で、前記レーザ光源から前記パルスレーザビームを出力させ、
    前記パルスレーザビームの、前記評価用ウエハへの入射に同期して前記赤外線検出器の検出値を取得し、
    前記赤外線検出器の検出値が許容範囲に収まっているか否かを判定し、
    前記赤外線検出器の検出値が前記許容範囲に収まっている場合、前記ステージに、ドーパントが注入されたアニール対象ウエハを保持し、
    前記レーザ光源から前記パルスレーザビームを出力して、前記アニール対象ウエハのアニールを行うレーザアニール方法。
  5. 前記レーザアニール装置は、さらに、
    参照光を出力する参照用光源と、
    前記レーザ光源から出力された前記パルスレーザビームと、前記参照用光源から出力された前記参照光とを、共通経路に合流させる光合流器と
    前記参照用光源から出力された前記参照光の強度を検出する参照光検出器と、
    前記アニール対象物の表面に入射した前記参照光の反射光の強度を検出する反射光検出器と
    を有し、
    前記参照光が目標経路から外れた位置を通過するときの透過率が、前記目標経路を通過するときの透過率よりも低下するように、前記参照光の経路にターゲット部材を配置し、
    前記ターゲット部材が配置された状態で、前記参照光検出器の検出値と、前記反射光検出器の検出値とに基づいて、前記参照光の光軸調整を行い、
    前記参照光の光軸調整を行なった後、前記参照光の経路を基準として、前記レーザ光源から出力される前記パルスレーザビームの光軸調整を行う請求項4に記載のレーザアニール方法。
  6. 前記アニール対象ウエハのアニールを行なっている期間に、前記参照用光源から前記参照光を出力し、前記参照光検出器の検出値及び前記反射光検出器の検出値に基づいて、前記アニール対象ウエハの表面が溶融したか否かを判定する請求項5に記載のレーザアニール方法。
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