JP2017021279A - 溶接状況のモニタリング装置及びこのモニタリング装置に用いられるプリズム - Google Patents

溶接状況のモニタリング装置及びこのモニタリング装置に用いられるプリズム Download PDF

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Abstract

【課題】 大がかりで高価な設備を用いることなく、低輝度から高輝度までの広い輝度範囲に亘る溶接対象の鮮明な撮像を可能とする。
【解決手段】本発明の溶接状況のモニタリング装置1は、溶接対象3を撮像する1つの撮像部5と、撮像部5と溶接対象3との間に配備されていて、溶接対象3が写り込むと共に溶接対象3に対して視差のある2つの光路を生成するプリズム6と、プリズム6で生成された一の光路P1上に配備される第1の光学フィルタ7Aと、プリズム6で生成された他の光路P2上に配備され且つ第1の光学フィルタ7Aとは異なる光学特性を備えた第2の光学フィルタ7Bとを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、溶接状況のモニタリング装置、及びこのモニタリング装置に用いられるプリズムに関する。
従来、アーク溶接などを行う際に、溶接対象乃至は溶接状況を遠隔からモニタリングしつつ、適切な溶接が行われているかを確認することがあった。
溶接対象のモニタリングを行うに際しては、高輝度なアークや溶融池と、低輝度なシームやギャップとの両方を撮像する必要がある。このような撮像においては、高輝度の箇所と低輝度の箇所とが混在するため、撮像部(カメラ)に必要とされるダイナミックレンジが非常に大きなものとなり、様々な工夫が必要とされる。
例えば、特許文献1には、高輝度部と低輝度部に対し、光路を分岐して2台のカメラもしくは2つの別々のCCD素子で撮像する技術が開示されている。すなわち、特許文献1は、「画像を照度の高い部分と照度の低い部分との2画像に分離処理する画像2方向分離処理部と、この画像2方向分離処理部により分離処理された上記2画像を1つの画像に合成処理する画像合成処理部と、この画像合成処理部により合成された画像を再生する合成画像再生部とを具備してなる画像モニタリング装置」を開示する。
また、特許文献2には、低輝度部に強力な照明を当て、高輝度部と同等の輝度にするといった技術が開示されている。すなわち、特許文献2は、「溶接部を保護ガスにより包被しながら溶接を行うガスシールドアーク溶接におけるシールドガス流を観察する方法において、溶接アーク光の分光強度が比較的弱い波長帯域に属し、かつ該波長帯域における溶接アーク光の分光強度に比較して十分大なる強度を有する可視光レーザ光線をシールドガス流に照射し、前記シールドガス流と周囲空気層との屈折率の差により両者の境界面に生ずるレーザ光の回折像を前記レーザ光線の波長を含む狭波長帯域のみを透過させるフィルタを通して観察することを特徴とするアーク溶接シールドガス流観察方法」を開示する。このように、輝度の高いレーザ光線を低輝度部に照射すれば、低輝度部の輝度レベルが上がって高輝度部との輝度の差が小さくなり、明瞭な画像を得ることができる。
一方、上記した技術とは異なるものとして、ダイナミックレンジが大きなカメラ(ワイドダイナミックレンジカメラ)を使用して溶接現象を観察する手法が、非特許文献1に開示されている。
また、特許文献3、4には、低輝度部と高輝度部とのそれぞれに対してシャッタースピードや絞り値を変えることで、低輝度〜高輝度に亘る広い輝度範囲を有する被写体に対して鮮明な撮像を可能とするハイダイナミックレンジ合成(HDR)の技術が開示されている。
実公平04−16541号公報 特公昭59−41836号公報 特開平08−150475号公報 特許第3165599号公報
ワイドダイナミックレンジ視覚センサによる溶接現象の観察、関ら、溶接学会誌 70(7)、678-682、2001年10月5日、社団法人溶接学会
ところで、特許文献1の技術では、2方向に分離された光路をそれぞれカメラで撮像する必要があるため、カメラが複数台(2台)必要となり、設備コストの高騰を招く可能性がある。1台のカメラで2つの撮像素子を持つものもあるが、特殊仕様であり安価ではない。
また、特許文献2では、高価で大がかりな照明設備が必要となり、設備コストの高騰を招きやすい。特許文献2の技術は実験室レベルでは実現可能であっても、生産現場では実現が困難なものとなっている。
非特許文献1に開示されるようなワイドダイナミックレンジカメラは、特殊用途向けのカメラであり、装置自体のサイズが大きかったりして、本発明が意図する目的のために選択できるカメラとは言い難い。
さらに、特許文献3、4に開示されるHDR技術は、溶接対象の撮像が連続に行えなず間欠的な撮像となり、溶接対象の観察には不適であると思われる。加えて、画像の合成・表示に時間を要し、撮像した画像のリアルタイム処理、表示が出来ない。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、大がかりで高価な設備を用いることなく、低輝度から高輝度までの広い輝度範囲に亘る溶接対象の鮮明な撮像を可能とする溶接状況のモニタリング装置、及びこのモニタリング装置に用いられるプリズムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の溶接状況のモニタリング装置は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の溶接状況のモニタリング装置は、溶接対象を撮像する1つの撮像部と、前記撮像部と前記溶接対象との間に配備されていて、前記溶接対象が写り込むと共に前記溶接対象に対して視差のある2つの光路を生成するプリズムと、前記プリズムで生成された一の光路上に配備される第1の光学フィルタと、前記プリズムで生成された他の光路上に配備され且つ前記第1の光学フィルタとは異なる光学特性を備えた第2の光学フィルタと、を有することを特徴とする。
なお、好ましくは、前記プリズムは山型プリズムとされ、前記山型プリズムを構成する一の傾斜面を前記一の光路が通過し、前記山型プリズムを構成する他の傾斜面を前記他の光路が通過するものとされているとよい。
なお、好ましくは、前記第1の光学フィルタとして、前記溶接対象である溶融池又はアークに対応した輝度又は波長を透過可能な光学フィルタが用いられ、前記第2の光学フィルタとして、前記溶融池の周囲に存在する部位に対応した輝度又は波長を透過可能な光学フィルタが用いられているとよい。
なお、好ましくは、前記第1の光学フィルタ及び第2の光学フィルタは、前記山型プリズムにおける撮像部側又は反撮像部側に配備されているとよい。
なお、好ましくは、前記一の光路が前記撮像部に内蔵された撮像素子の一方側に結像し、前記他の光路が前記撮像素子の他方側に結像しているとよい。
一方、本発明のプリズムは、溶接対象が写り込むと共に前記溶接対象に対して視差のある2つの光路を生成すると共に、前記2つの光路のうちの一の光路上に配備された第1の光学フィルタと、他の光路上に配備され且つ前記第1の光学フィルタとは異なる光学特性を備えた第2の光学フィルタとを有することを特徴とする。
本発明の溶接状況のモニタリング装置及びプリズムによれば、大がかりで高価な設備を用いることなく、低輝度から高輝度までの広い輝度範囲に亘る溶接対象の鮮明な撮像が可能となる。
溶接ロボットに本実施形態のモニタリング装置が設置された状況を示す模式図である。 溶接対象を拡大して示した図である。 本実施形態のモニタリング装置の内部構造を模式的に示した図である。 モニタリング装置で得られる2つの画像(低輝度部の画像、高輝度部の画像)を示した図である。 本実施形態のモニタリング装置の内部構造の変形例を模式的に示した図である。
以下、本発明のモニタリング装置1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、溶接ロボット2に本実施形態のモニタリング装置1が配備された状況を模式的に示したものであり、図3は、本実施形態のモニタリング装置1の内部構造を模式的に示したものである。
本実施形態のモニタリング装置1は、溶接中の溶接対象3を撮像してモニタなどの表示部4に表示するものであり、溶接対象3に対してオペレータなどが遠隔地からモニタリングすることを可能とするものである。
図3に示すように、モニタリング装置1は、溶接対象3を撮像する1つの撮像部5と、撮像部5と溶接対象3との間に配備されていて、溶接対象3が写り込むと共に溶接対象3に対して視差のある2つの光路P1,P2を生成するプリズム6(山型プリズム)と、プリズム6で生成された一の光路P1上に配備される第1の光学フィルタ7Aと、プリズム6で生成された他の光路P2上に配備され且つ第1の光学フィルタ7Aとは異なる光学特性を備えた第2の光学フィルタ7Bと、を有するものとなっている。
このモニタリング装置1は、溶接対象を撮像可能な場所に設置される。設置される場所は限定されないが、例えば、図1に示すように、溶接ロボット2のアームの先端部に設置されてもよい。
図1に示すように、溶接ロボット2のアームの先端には、溶接ツール8が取り付けられている。溶接ツール8は、溶接ロボット2のアーム先端に取り付けられた溶接トーチ9と、溶接トーチ9の中心部を貫通状に通って、溶接トーチ9の外部に先端側が突出した溶接ワイヤ10を有している。
溶接ワイヤ10にはアーク発生に必要な電流が通電可能となっていて、溶接トーチ9からはアーク放電を安定して発生可能なシールドガスなどが供給される。このような状況下で、図2に示すように、溶接ワークWに対する溶接が行われる。
図2に示すように、溶接時は、溶接ワークW同士の継ぎ目(シームS)に沿って溶接が行われる。この際、シームSの位置やシームSの間隔(ギャップ)を正確に把握する必要がある。加えて、アークAの発生状況や溶融池Mの大きさなどを把握する必要もある。溶接直後のビードBの状態を把握する必要もある。
本実施形態のモニタリング装置1は、アークAや溶融池Mのような高輝度部と、シームS、ビードBのような低輝度部の両方を確実に撮影し、オペレータに対して鮮明な画像として提供するものである。
次に、本実施形態のモニタリング装置1の詳細、すなわち、モニタリング装置1を構成する撮像部5、プリズム6、第1の光学フィルタ7A及び第2の光学フィルタ7B、表示部4について説明する。
撮像部5は、例えばCCDカメラで構成され、撮像素子11としてCCD素子を備えている。撮像素子11は、溶接対象3を鮮明に映し出すことが可能な画素数を有するものとなっている。加えて、撮像部5は、撮像対象を撮像素子11上に結像させるためのレンズ12を有している。
この撮像部5においては、溶接状況(溶融池M、アークA、シームS、ギャップなど)がレンズ12を介して撮像素子11上に結像し、撮像素子11に結像した画像は画像データとして取り込まれ、取り込まれた画像データが表示部4で表示される。
図3に示すように、プリズム6は、撮像部5のレンズ12の前側、言い換えれば、撮像部5と溶接対象3との間に配備されていて、溶接対象3が写り込んだ光をこのプリズム6を透過させて撮像部5に入射させる構成となっている。また、プリズム6は、溶接対象3が写り込んだ光を撮像部5に入射させるに際して、2つの光路を生成可能となっている。これらの2つの光路は、溶接対象3に対して視差があり、例えば、一の光路P1は溶接対象3を向かって右側から見た場合の像を結び、他の光路P2は溶接対象3を向かって左側から見た場合の像を結ぶものとなっている。
図3に示すように、このプリズム6は、光透過性の部材(例えば、石英ガラスなど)で構成されており、平面視断面が山型形状(逆V字形状)となっている「山型プリズム」である。山型プリズム6の山稜線を構成する右側の面(右斜面13R)と左側の面(左斜面13L)とは、左右対象で配置されている。右斜面13R及び左斜面13Lに対面する面はプリズム6の底面13Bとされ、底面13Bは水平に形成されている。
プリズム6は、撮像部5の前側に配置されており、撮像部5のレンズ12に対面するようにプリズム6の底面13Bが配置される。プリズム6の右斜面13R及び左斜面13Lは溶接対象3を向いており、溶接対象3から発せられる光が、右斜面13R及び左斜面13Lに進入するようになっている。
このプリズム6の前面(右斜面13R及び左斜面13L)に入射した光は、それぞれの斜面でプリズム6の中央側を向くように屈折して、プリズム6の後面(底面13B)から出射し、撮像部5のレンズ12へと進むことになる。
図3のプリズム6の場合であれば、山型プリズム6を構成する2つの傾斜面13R,13Lのうち、左斜面13Lに入射した光は、プリズム6を透過する際に右側に屈折し、撮像部5のレンズ12を通って、撮像素子11の右側に結像する。一方、2つの傾斜面13R,13Lのうち、右斜面13Rに入射した光は、プリズム6を透過する際に左側に屈折し、撮像部5のレンズ12を通って、撮像素子11の左側に結像する。
このようにプリズム6で生成される2つの光路には視差が存在するが、使用する撮像部5の口径が小径であること、溶接対象3の箇所が限定的であることから視差はわずかである。また、この視差の影響が多少あったとしても、2つの光路P1,P2のいずれにも、溶融池Mの位置や形状、シームSの位置、ギャップの幅などが写り込んでおり、溶接状況をモニタリングするにあたって、必要な情報を得る上では大きな問題とはならない。仮に視差の影響があっても、左右の画像それぞれに補正すればよく、各画像から取得したい情報、例えば、溶融池Mの位置や形状、溶接ワークWのギャップ幅、シームSの位置の検出を確実に取得することが可能である。
第1の光学フィルタ7Aは、上述したプリズム6(山型プリズム)に設けられる2つの傾斜面のうち、一方の傾斜面(図3の右斜面13R)に配備された光学フィルタであり、入射した光のうち高輝度の光のみを選択的に透過する構成となっている。
具体的には、この第1の光学フィルタ7Aは、特定波長の光のみを通すようなバンドパスフィルタと、入射する光の量を減少させる減光フィルタ(NDフィルタ)とを有している。
それゆえ、上述したプリズム6で生成された2つの光路のうち、一の光路P1を通る光が第1の光学フィルタ7Aに入射されると、溶融池M、アークAなどの高輝度の光のみが第1の光学フィルタ7Aを透過し、周辺環境から発した低輝度の光は第1の光学フィルタ7Aを透過しない。それゆえ、撮像部5の撮像素子11の左側には高輝度の光のみが結像し、溶融池Mなどが映った画像を得ることができる。
一方、第2の光学フィルタ7Bは、上述したプリズム6に設けられる2つの傾斜面のうち、他方の傾斜面(図3の左斜面13L)に配備された光学フィルタであり、入射した光のうち、高輝度から低輝度に亘る光を透過する構成となっている。
具体的には、第2の光学フィルタ7Bは、特定波長の光のみを通すようなバンドパスフィルタのみから構成されており、減光フィルタ(NDフィルタ)は備えていない。
それゆえ、上述したプリズム6で生成された2つの光路P1,P2のうち、他方の光路P2の光が第2の光学フィルタ7Bに入射すると、高輝度の光も低輝度の光も双方とも撮像素子11に達するが、高輝度の光は輝度が高いままであるためハレーションを起こした状態で結像する。しかし、シームS、ギャップなどの低輝度の光は、ハレーションを起こすことなく撮像素子11上に結像する。その結果、表示部4には低輝度の箇所のみが鮮明な画像として表示されることになる。
上述した第1の光学フィルタ7A、及び第2の光学フィルタ7Bでは、各フィルタにおける透過率を露光指標に基づいて設定し、それぞれの光路から明瞭な画像を撮像できるようにしている。露光指標は、透過率と露光時間の積で示される値で、この露光指標が所定の範囲内であれば、撮像部5により鮮明な画像として撮像されることになる。
例えば、一の光路P1に対して第1の光学フィルタ7Aを用いて溶接対象3の撮像を行った場合に、透過率10%の減光フィルタ(NDフィルタ)を用いて露光時間300μs、絞りf8で、高輝度の光の画像が明瞭に得られたとする。この場合の露光指標は、露光時間「300」に透過率の「0.1」をかけて「30」という値になる。つまり、高輝度の箇所を撮像するにあたっては、「露光指標=30」であれば、鮮明な画像を撮像することができる。
一方、他の光路P2に対して第2の光学フィルタ7Bを用いて溶接対象3の撮像を行った場合に、露光時間3000μs、絞りf8で、低輝度の光の画像が明瞭に得られたとする。この場合の露光指標は、露光時間「3000」に透過率の「1」をかけて「3000」という値になる。つまり、低輝度の箇所を撮像するにあたっては、「露光指標=3000」であれば、鮮明な画像を撮像することができる。
ここで、第1の光学フィルタ7Aを通った高輝度の光と、第2の光学フィルタ7Bを通った低輝度の光とを、1つの撮像部5で一度に撮像する場合(同じシャッター速度と絞りで撮像する場合)を考える。この場合、第1の光学フィルタ7Aを通った高輝度の光も、第2の光学フィルタ7Bを通った低輝度の光も、同じ露光時間と絞りで撮像することになる。
その場合、第1の光学フィルタ7Aを通る光路P1(高輝度な光路)に対する露光指標は上述のように「30」であるから、光学フィルタの透過率は、露光指標30÷露光時間3000=0.01となり、第1の光学フィルタ7Aとしては、透過率1%の減光フィルタを用いる必要があることがわかる。
また、第2の光学フィルタ7Bを通る光路P2(低輝度な光路)に対する露光指標は上述のように「3000」であるから、光学フィルタの透過率は、露光指標3000÷露光時間3000=1となり、第2の光学フィルタ7Bとしては、透過率100%の減光フィルタを用いる、言い換えれば、減光フィルタ不要であることがわかる。
このように、露光指標をもとに、第1の光学フィルタ7A及び第2の光学フィルタ7Bの特性(透過率など)を適切に決めることで、一つの撮像部5で2つの光路P1,P2を一度に撮像することが可能となる。
撮像された溶接対象の画像は、図4に示すような形で表示部4に表示される。
なお、表示部4では、左側の画面に一の光路P1による画像が表示され、右側の画面に他の光路P2による画像が表示される。すなわち、表示部4ではL画面に第1の光学フィルタ7Aを通った高輝度部の画像が表示され、R画面に第2の光学フィルタ7Bを通った低輝度部の画像が表示される。
図4に示す如く、表示部4の画面の左側を見ると、溶接状況の中でも、高輝度の光を放つアークA及び溶融池Mのみが表示され、それ以外の部分は表示されていない。これは、低輝度の光は、透過率の低い第1の光学フィルタ7Aを通過できないからである。一方、表示部4の画面の右側を見ると、低輝度の領域にあるシームSやギャップが鮮明に映し出されており、アークA及び溶融池Mの部分はハレーションとして映し出される。
以上述べた溶接状況のモニタリング装置1であれば、既存の設備に備え付けられていたCCDカメラなどの撮像部5の前に、第1及び第2の光学フィルタ7Bを貼り付けたプリズム6(本発明のプリズム6)を取り付けるだけで溶接対象3の明瞭な画像が得られるため、大がかりで高価な設備を用いることなく、低輝度から高輝度までの広い輝度範囲に亘って溶接対象3の鮮明な撮像を可能とすることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、実施形態の説明において、撮像部5をCCDカメラとしているが、CMOSカメラなどでも問題はない。
また、上述した実施形態の光学フィルタは、1個のプリズム6のみで形成されていたが、プリズム6を2個用いて、直交に配置することで一度に4つの溶接対象3の画像を撮像できるようにしてもよい。
また、上述した実施形態の光学フィルタ7A,7Bは、溶接対象3とプリズム6との間(プリズム6の前側、言い換えれば、反撮像部側)に配備されていたが、図5に示すように、本発明の光学フィルタはプリズム6と撮像部5との間(プリズム6の後側、言い換えれば、撮像部側)に配備されていてもよい。
さらに、光学フィルタ7A,7Bに用いたバンドパスフィルタの特性を適切に選択することで、1つの撮像部5で異なる波長の画像を得ることができ、溶接以外の技術分野に用いることも可能となる。
また、透過率が調整可能な減光フィルタを光学フィルタ7A,7Bに組み込み、透過率を任意に調整することで、撮像対象に存在する様々な輝度に対応可能な構成としてもよい。このように、光学フィルタ7A,7Bに、どのような特性のバンドパスフィルタ、NDフィルタを用いるかは、使用者が適宜選定可能である。また、光学フィルタ7A,7Bに、バンドパスフィルタやNDフィルタを採用しない場合もあり得る。
なお、本願発明のモニタリング装置1は、車載カメラで他の自動車をモニタリングする場合のように、ヘッドライト(ハイビームや逆光)と道路周辺とのような輝度差が多い対象物を撮像する際にも用いることができる。
1 モニタリング装置
2 溶接ロボット
3 溶接対象
4 表示部
5 撮像部
6 プリズム(山型プリズム)
7A 第1の光学フィルタ
7B 第2の光学フィルタ
8 溶接ツール
9 溶接トーチ
10 溶接ワイヤ
11 撮像素子
12 レンズ
13R 右斜面
13L 左斜面
13B 底面
A アーク
B ビード
M 溶融池
P1 一の光路
P2 他の光路
S シーム
W 溶接ワーク

Claims (6)

  1. 溶接対象を撮像する1つの撮像部と、
    前記撮像部と前記溶接対象との間に配備されていて、前記溶接対象が写り込むと共に前記溶接対象に対して視差のある2つの光路を生成するプリズムと、
    前記プリズムで生成された一の光路上に配備される第1の光学フィルタと、
    前記プリズムで生成された他の光路上に配備され且つ前記第1の光学フィルタとは異なる光学特性を備えた第2の光学フィルタと、
    を有することを特徴とする溶接状況のモニタリング装置。
  2. 前記プリズムは山型プリズムとされ、前記山型プリズムを構成する一の傾斜面を前記一の光路が通過し、前記山型プリズムを構成する他の傾斜面を前記他の光路が通過するものとされている
    ことを特徴とする請求項1に記載の溶接状況のモニタリング装置。
  3. 前記第1の光学フィルタとして、前記溶接対象である溶融池又はアークに対応した輝度又は波長を透過可能な光学フィルタが用いられ、
    前記第2の光学フィルタとして、前記溶融池の周囲に存在する部位に対応した輝度又は波長を透過可能な光学フィルタが用いられている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接状況のモニタリング装置。
  4. 前記第1の光学フィルタ及び第2の光学フィルタは、前記山型プリズムにおける撮像部側又は反撮像部側に配備されていることを特徴とする請求項2または3に記載の溶接状況のモニタリング装置。
  5. 前記一の光路が前記撮像部に内蔵された撮像素子の一方側に結像し、前記他の光路が前記撮像素子の他方側に結像していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶接状況のモニタリング装置。
  6. 溶接対象が写り込むと共に前記溶接対象に対して視差のある2つの光路を生成すると共に、前記2つの光路のうちの一の光路上に配備された第1の光学フィルタと、他の光路上に配備され且つ前記第1の光学フィルタとは異なる光学特性を備えた第2の光学フィルタとを有する
    ことを特徴とするプリズム。
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