JP2017020399A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】1サイクルにおいて燃料を分割して噴射する回数に基づき過給圧を適切に制限することで、プリイグニッションなどの異常燃焼の発生を効果的に抑制することができるエンジンの制御装置を提供する。
【解決手段】ターボ過給機4を備えるエンジン20を制御するエンジンの制御装置(ECU44)は、エンジン20において異常燃焼が発生する可能性を判定し、この判定結果に応じて、ターボ過給機4による過給圧を制限するための制限過給圧を設定して、過給圧がこの制限過給圧を超えないようにエンジン20を制御する。具体的には、エンジン20は、1サイクルにおける燃料の噴射を複数回に分割して行い、ECU44は、エンジン20において燃料を分割して噴射する回数が少ないほど、異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、エンジンの制御装置に係わり、特に、過給機を備えるエンジンを制御するエンジンの制御装置に関する。
従来から、過給機を備えるエンジン(過給器付きエンジン)において、過給機による過給圧が高くなると、燃焼室内の混合気の火花点火後に未燃混合気が自着火するノッキングのような異常燃焼が発生する可能性が高くなることが知られている。このような異常燃焼の発生を抑制すべく、例えば特許文献1には、吸気温やエンジン水温が高い運転状態において過給圧を高めと、ノッキングが発生する可能性が高くなるものと判断して、吸気温やエンジン水温が高い場合に、過給圧を低下させる制御を行う技術が提案されている。
特開2002−310046号公報
近年、車両の動力性能を低下させることなく省燃費性能を向上させるために、エンジンの排気量を小型化して燃費を向上させつつ、過給機による過給を行うことで動力性能を維持する、いわゆるダウンサイジングコンセプトを適用したエンジンが開発されている。そのような過給機付きエンジンでは、過給機により圧縮された高温・高圧の新気が燃焼室内に吸入されるので、自然吸気エンジンと比較して筒内圧や筒内温度が高くなりやすく、燃焼室内の混合気が気筒の点火時期より前に自着火する異常燃焼、具体的にはプリイグニッション(過早着火)が発生しやすい。プリイグニッションが発生すると、筒内圧の急激な上昇に伴う騒音や振動が発生するだけでなく、プリイグニッションが継続することによってエンジンの破損を招く可能性もある。
ここで、エンジンの低回転数且つ高負荷の運転領域においては、ピストンやシリンダライナに付着した燃料(デポジット)や、このデポジットが剥離して生じたスモークが、燃焼室内で加熱されることにより着火源(言い換えると熱源)となって、上記したようなプリイグニッションが発生する場合がある。特に、過給機付きエンジンでは、過給圧が高くなると、圧縮行程の圧力が高くなるため、圧縮行程中に燃焼室内の着火源の化学反応が促進されて着火することで、そのようなプリイグニッションが発生しやすくなる。
他方で、従来から、エミッション性能の向上や、エンジンにおける燃焼安定性の確保などを図って、1サイクルにおける燃料の噴射を複数回に分割することが行われている。燃料を分割して噴射する回数(以下では適宜「分割噴射回数」と呼ぶ。)が多い場合には、1回の燃料噴射の貫通力が弱くなり、ピストンやシリンダライナに燃料が付着しにくいのに対して、分割噴射回数が少ない場合には、1回の燃料噴射の貫通力が強くなり、ピストンやシリンダライナに燃料が付着しやすくなるため、プリイグニッションが発生しやすいと考えられる。そのため、上記した過給機付きエンジンでは、分割噴射回数が少ない場合には、プリイグニッションの発生を抑制すべく、過給圧を下げるように制御を行うことが望ましいと考えられる。従来の技術では、分割噴射回数に基づいて、過給機による過給圧を制限することは行われていなかった。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、1サイクルにおいて燃料を分割して噴射する回数に基づき過給圧を適切に制限することで、プリイグニッションなどの異常燃焼の発生を効果的に抑制することができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、過給機を備えるエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、エンジンにおいて異常燃焼が発生する可能性を判定し、この判定結果に応じて、過給機による過給圧を制限するための制限過給圧を設定して、過給圧がこの制限過給圧を超えないようにエンジンを制御するエンジン制御手段を有し、エンジンは、1サイクルにおける燃料の噴射を複数回に分割して行い、エンジン制御手段は、エンジンにおいて燃料を分割して噴射する回数が少ないほど、異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、エンジンにおいて燃料を分割して噴射する回数が少ない場合(1回のみ燃料を噴射する場合も含む)に、ピストンやシリンダライナに燃料が付着しやすく、燃焼室において着火源が生成されやすいため、異常燃焼(特に、燃焼室内の混合気が点火時期よりも前に自着火する異常燃焼)が発生する可能性が高いものと判断して、過給機による過給圧を制限するための制限過給圧(過給圧に対して課す上限に相当する)を低く設定する。これにより、過給機による過給圧を低下させて、言い換えると過給圧が上昇しないようして、燃焼室内の付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が進むことを抑制することができ、異常燃焼の発生を適切に抑制することが可能となる。
本発明において、好ましくは、エンジンは、可変バルブタイミング機構を備え、この可変バルブタイミング機構によって吸気バルブのバルブタイミングを変化させ、エンジン制御手段は、更に、可変バルブタイミング機構によって吸気バルブの閉じタイミングが基準閉じタイミングから進角された量が大きいほど、異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。
このように構成された本発明によれば、可変バルブタイミング機構による吸気バルブの閉じタイミングの進角量が大きい場合に、筒内圧の上昇により、燃焼室において着火源の化学反応が促進されやすいため、異常燃焼が発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、異常燃焼の発生を適切に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、更に、エンジン回転数が低いほど、異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。
このように構成された本発明によれば、エンジン回転数が低い場合に、エンジン回転数が高い場合と比較して、1サイクルの時間が長く、燃料の点火までに燃焼室内の着火源の化学反応が進む傾向にあるため、異常燃焼が発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、異常燃焼の発生を適切に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、更に、エンジンのインテークマニホールドの圧力であるインマニ圧が高いほど、異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。
このように構成された本発明によれば、インマニ圧が高い場合に、燃焼室において着火源の化学反応が促進されやすいため、異常燃焼が発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、異常燃焼の発生を適切に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、更に、エンジンの吸気温が高いほど、異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。
このように構成された本発明によれば、エンジンの吸気温(例えばインマニ吸気温)が高い場合に、燃焼室において着火源の化学反応が促進されやすいため、異常燃焼が発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、異常燃焼の発生を適切に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、更に、エンジンに供給される燃料と空気の量の関係を示す当量比が小さいほど、異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。
このように構成された本発明によれば、当量比が小さい場合に、当量比が大きい場合と比較して、燃料による筒内冷却の効果がほとんど得られず、燃焼室における着火源の化学反応が抑制されないので、異常燃焼が発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、異常燃焼の発生を適切に抑制することができる。
本発明において、好ましくは、エンジン制御手段は、エンジンの運転領域が、エンジン回転数が所定値未満で且つエンジン負荷が所定値以上である、低回転数且つ高負荷の領域である場合にのみ、制限過給圧を設定する。
このように構成された本発明によれば、エンジンの異常燃焼は、エンジンの運転領域が低回転数且つ高負荷の領域である場合に発生する傾向にあるので、低回転数且つ高負荷の領域である場合にのみ、制限過給圧を設定して過給圧を制限する。これにより、制限過給圧の設定に要する処理負荷を軽減することができる。
好ましくは、本発明は、燃料を気筒内に直接噴射するガソリンエンジンに適用される。
このように構成された本発明では、上記したように制限過給圧を設定することで、過給器付きのガソリンエンジンにおいて発生し得る、燃焼室内の混合気が点火時期より前に自着火する異常燃焼、具体的にはプリイグニッション(過早着火)を、適切に抑制することが可能となる。
本発明のエンジンの制御装置によれば、1サイクルにおいて燃料を分割して噴射する回数に基づき過給圧を適切に制限することで、プリイグニッションなどの異常燃焼の発生を効果的に抑制することができる。
本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。 本発明の実施形態によるエンジンにおける燃料噴射タイミングの一例を示すタイムチャートである。 過給圧と異常燃焼(プリイグニッション)の発生回数との関係を概略的に示す図である。 本発明の実施形態による制限過給圧を設定するための制御ブロック図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置について説明する。
[装置構成]
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンの装置構成を説明する。図1は、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置が適用されたエンジンシステムの概略構成図である。
図1に示すように、エンジンシステム100は、主に、外部から導入された吸気(空気)が通過する吸気通路10と、この吸気通路10から供給された吸気と、後述する燃料噴射弁23から供給された燃料との混合気を燃焼させて車両の動力を発生するエンジン20(本実施形態ではガソリンエンジン)と、このエンジン20内の燃焼により発生した排気ガスを排出する排気通路30と、エンジンシステム100全体を制御するECU(Electronic Control Unit)44とを有する。
吸気通路10には、上流側から順に、外部から導入された吸気を浄化するエアクリーナー2と、通過する吸気を圧縮して吸気圧力を上昇させる、ターボ過給機4のコンプレッサ4aと、通過する吸気を冷却するインタークーラ9と、通過する吸気量を調整するスロットルバルブ11と、エンジン20に供給する吸気を一時的に蓄えるサージタンク13と、が設けられている。
また、吸気通路10には、ターボ過給機4のコンプレッサ4aを迂回して吸気を流すエアバイパス通路6が設けられている。具体的には、エアバイパス通路6は、一端がコンプレッサ4aの下流側で且つスロットルバルブ11の上流側の吸気通路10に接続され、他端がコンプレッサ4aの上流側の吸気通路10に接続されている。また、このエアバイパス通路6上には、エアバイパス通路6を流れる吸気を制御するエアバイパスバルブ7が設けられている。
エンジン20は、気筒21が設けられたシリンダブロック22(なお、図1では、1つの気筒21のみを図示するが、例えば4つの気筒21が直列に設けられる)と、このシリンダブロック22上に配設されたシリンダヘッド23と、シリンダブロック22の下側に配設され、潤滑油が貯留されたオイルパン8とを有している。各気筒21内には、コンロッド24を介してクランクシャフト12と連結されているピストン14が往復動可能に嵌挿されている。シリンダヘッド23と、気筒21と、ピストン14とは、燃焼室16を画定する。
シリンダヘッド23には、気筒21毎に、各々独立した2つの吸気ポート18及び2つの排気ポート19が形成されていると共に、これら吸気ポート18及び排気ポート19には、燃焼室16側の開口を開閉する吸気バルブ25及び排気バルブ27がそれぞれ配設されている。吸気ポート18は吸気通路10に接続され、排気ポート19は排気通路30に接続されている。また、シリンダヘッド23の下面は、燃焼室16の天井26を形成している。この天井26は、中央部からシリンダヘッド23下端まで延びる2つの対向する傾斜面を有する、いわゆるペントルーフ型となっている。
シリンダヘッド23にはまた、気筒21毎に、気筒21内に燃料を直接噴射(直噴)するインジェクタ28が取り付けられている。インジェクタ28は、その噴口29が、燃焼室16の天井26の周縁部において2つの吸気ポート18の間から斜め下方に向かってその燃焼室16内に臨むように配設されている。このインジェクタ28は、エンジン20の運転状態に応じて設定された噴射タイミングでかつ、エンジン20の運転状態に応じた量の燃料を、燃焼室16内に直接噴射する。
シリンダヘッド23にはまた、気筒21毎に、燃焼室16内の混合気に強制点火する点火プラグ39が取り付けられている。点火プラグ39は、燃焼室16の天井26の中央部から下方へ延びるように、シリンダヘッド23内を貫通して配置されている。点火プラグ39には、点火プラグ39に電圧を供給する点火回路40が接続されている。
シリンダヘッド23にはまた、各気筒21の吸気バルブ25及び排気バルブ27をそれぞれ駆動するバルブ駆動機構41が設けられている。このバルブ駆動機構41は、例えば、吸気バルブ25及び/又は排気バルブ27のリフト量を変更することが可能な図外の可変バルブリフト機構(VVL)、及び、吸気バルブ25及び/又は排気バルブ27についてのクランクシャフト12に対するカムシャフトの回転位相を変更することが可能な図外のバルブ位相可変機構(VVT)、のうちの少なくとも一方によって構成される。
図外の燃料タンクとインジェクタ28との間は、燃料供給経路によって互いに連結されている。この燃料供給経路上には、インジェクタ28に所望の燃料圧力で燃料を供給することが可能な燃料供給システム42が介設されている。インジェクタ28に供給される燃料の圧力は、エンジン20の運転状態に応じて変更される。
排気通路30には、上流側から順に、通過する排気ガスによって回転され、この回転によって上記したようにコンプレッサ4aを駆動する、ターボ過給機4のタービン4bと、例えばNOx触媒や三元触媒や酸化触媒などの、排気ガスの浄化機能を有する排気浄化触媒37、38と、が設けられている。
また、排気通路30には、排気ガスを吸気通路10に還流するEGR(Exhaust Gas Recirculation)通路32が接続されている。このEGR通路32は、一端がタービン4bの上流側の排気通路30に接続され、他端がスロットルバルブ11の下流側の吸気通路10に接続されている。加えて、EGR通路32には、還流させる排気ガスを冷却するEGRクーラ33と、EGR通路32を流れる排気ガスを制御するEGRバルブ34とが設けられている。
更に、排気通路30には、ターボ過給機4のタービン4bを迂回して排気ガスを流すタービンバイパス通路35が設けられている。このタービンバイパス通路35上には、タービンバイパス通路35を流れる排気ガスを制御するウエストゲートバルブ(W/Gバルブ)36が設けられている。
また、エンジンシステム100は、インテークマニホールドの圧力(インマニ圧)を検出する圧力センサ66と、インテークマニホールドの吸気の温度(インマニ吸気温)を検出する温度センサ68と、クランクシャフト12の回転角を検出するクランク角センサ70と、エンジン冷却水の温度(エンジン水温)を検出する水温センサ72と、エンジン20の振動を検出する振動センサ74と、車両のアクセルペダルの操作量に対応したアクセル開度を検出するアクセル開度センサ(図示省略)などを有する。これらの各種センサの検出信号S66、S68、S70、S72、S74は、ECU44に入力される。
ECU44は、CPU、メモリ、カウンタタイマ群、インターフェース及びこれらのユニットを接続するパスを有するマイクロプロセッサで構成されている。ECU44は、上記した検出信号S66、S68、S70、S72、S74などに基づいて種々の演算を行うことによってエンジン20や車両の状態を判定し、これに応じてインジェクタ28、点火回路40、バルブ駆動機構41、燃料供給システム42等へ制御信号を出力する。なお、ECU44は、本発明における「エンジンの制御装置」に相当し、本発明における「エンジン制御手段」として機能する(詳細は後述する)。
[燃料噴射タイミング]
次に、図2を参照して、本発明の実施形態によるエンジン20における燃料噴射タイミングの制御について説明する。なお、当該燃料噴射タイミングの制御は、ECU44がインジェクタ28を制御することで実現される。
図2(a)〜(c)は、本発明の実施形態によるエンジン20における燃料噴射タイミングの一例を示すタイムチャートであり、図2における横軸は圧縮上死点前のクランク角を示す。また、図2(a)〜(c)のそれぞれに示したハッチングしたバーの長さは、燃料噴射量の大きさを大まかに表している。
本実施形態では、エンジン20の運転状態などに応じて、エミッション性能の向上や、エンジン20における燃焼安定性の確保(プリイグニッションなどの異常燃焼の抑制)などを図って、1サイクルにおける燃料の噴射を2回又は3回に分割して実施する、若しくは、燃料の噴射を分割せずに1サイクルにおいて燃料の噴射を1回のみ実施する。
図2(b)及び(c)に示すように、例えばエンジン20の運転領域が低回転数且つ高負荷の領域である場合に、燃料の噴射を2回又は3回に分割して実施する。燃料の噴射を2回に分割する場合には、気筒21の吸気行程中に設定された1つの所定時期と、気筒21の圧縮行程中に設定された1つの所定時期との2つの時期に分割して、インジェクタ28から燃料を噴射させ、燃料の噴射を3回に分割する場合には、気筒21の吸気行程中に設定された2つの所定時期と、気筒21の圧縮行程中に設定された1つの所定時期との3つの時期に分割して、インジェクタ28から燃料を噴射させる。他方で、図2(a)に示すように、例えばエンジン20の運転領域が低回転数且つ高負荷の領域外である場合には、気筒21の吸気工程中に設定された1つの所定時期に、インジェクタ28から燃料を一括噴射させる。
なお、図2では、1サイクルにおける燃料の噴射を2回又は3回に分割して実施する例を示したが、1サイクルにおける燃料の噴射を4回以上に分割して実施してもよい。
[制御内容]
次に、本発明の実施形態においてECU44が実行する制御内容について、具体的に説明する。
最初に、図3を参照して、ターボ過給機4による過給圧が高くなると異常燃焼が発生しやすくなる理由について説明する。図3は、過給圧を上昇させていったときの異常燃焼(特にプリイグニッション)の発生回数を計測した結果を概略的に示している。
図3に示すように、過給圧が高くなると、プリイグニッションの発生回数がかなり多くなることがわかる。これは、過給圧が高くなると、圧縮行程の圧力が高くなるため、この圧縮行程中に、燃焼室16内の付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応(Caの化学反応など)が促進されて、これが着火することにより、プリイグニッションが発生しやすくなるからである。このようなプリイグニッションは、ピストンやシリンダライナに付着したオイルや燃料(デポジット)や、このデポジットが剥離して生じたスモークなどが、燃焼室16内の着火源となって発生する異常燃焼であり、噴射した燃料が圧縮上死点付近で自着火するプリイグニッション(つまり噴射した燃料が直接的な原因となる自着火)とは異なる異常燃焼である。
本実施形態では、ECU44は、上記のような付着燃料やスモークなどの着火源に起因するプリイグニッションの発生を抑制すべく、エンジン20においてプリイグニッションが発生する可能性を判定し、この判定結果に応じて、ターボ過給機4による過給圧を制限するための制限過給圧(過給圧に対して課す上限に相当する)を設定して、過給圧がこの制限過給圧を超えないようにエンジン20を制御する。つまり、ECU44は、エンジン20の運転状態などに基づき、プリイグニッションが発生する可能性を判定し、プリイグニッションが発生する可能性が高いほど、制限過給圧を低く設定する。換言すると、ECU44は、燃焼室16内において付着燃料やスモークなどの着火源が発生しやすい状態において、制限過給圧を低く設定する。本実施形態では、このように制限過給圧を低く設定することで、ターボ過給機4による過給圧を低下させて(言い換えると過給圧が上昇しないようにし)、燃焼室16内の付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が進むことを抑制するようにして、プリイグニッションの発生を抑制している。
具体的には、ECU44は、エンジン20の運転状態や、ドライバによるアクセルペダル操作に応じたエンジン20の要求トルクなどに基づいて、ターボ過給機4による過給圧の目標過給圧を設定し(目標過給圧の設定には公知の種々の手法を適用することができる)、この目標過給圧が上記の制限過給圧以上である場合には、目標過給圧を制限過給圧に設定する。他方で、目標過給圧が制限過給圧未満である場合には、ECU44は、この目標過給圧をそのまま適用する。例えば、エンジン制御部44bは、実際の過給圧(圧力センサ66によって検出されたインマニ圧に対応する)が、このようにして設定された目標過給圧を超える場合には、ウエストゲートバルブ36を開いて、ターボ過給機4のタービン4bを迂回して排気ガスを流すことで(つまりタービンバイパス通路35に排気ガスを流す)、過給圧を低下させるようにする。
また、本実施形態では、ECU44は、以下に示すような種々のパラメータを用いて、プリイグニッションが発生する可能性を判定して、この判定結果に応じて、過給圧を制限するための制限過給圧を設定する。
(a)エンジン水温
本実施形態では、ECU44は、水温センサ72によって検出されたエンジン水温が低いほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、エンジン水温が低い場合には、燃焼室16内のピストンやシリンダライナに付着した燃料などが蒸発しにくく、付着燃料やスモークなどの着火源が生成されやすいからである。
(b)オクタン価
本実施形態では、ECU44は、エンジン20に供給される燃料のオクタン価が高いほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、オクタン価が高い燃料は、オクタン価が低い燃料と比べて、着火しにくくため、燃焼室16においてスモークなどの着火源が生成されやすいからである。
ここで、ECU44は、上記したようにオクタン価に応じて制限過給圧を低く設定した場合、これによるエンジン出力の低下分を補うように、エンジン20の点火時期を進角させてエンジン出力を上昇させる制御を行う。こうするのは、オクタン価が高い燃料を用いた場合には、オクタン価が低い燃料を用いた場合と比べて、ノッキングを生じさせることなく、点火時期を適切に進角させることができるからである。例えば、ECU44は、オクタン価に応じて制限過給圧を低く設定したことによるエンジン出力の低下分を、所定の演算式又はマップから求め、そして、求めたエンジン出力の低下分を補うことができる点火時期の進角量を、所定の演算式又はマップから求めて、求めた進角量だけ点火時期を進角させる。但し、オクタン価に応じて制限過給圧を低く設定したことによるエンジン出力の低下分の全てを補うように点火時期を進角させることに限定はされず、このエンジン出力の低下分の一部を補うように点火時期を進角させてもよい。点火時期を進角させることで上昇させることができるエンジン出力には限界があるからである。
なお、ECU44は、例えば、給油されるごとに、点火プラグ39及び点火回路40を制御して点火時期を進角させていき、振動センサ74を用いてノッキングが発生しない点火時期の限界を求めて、この点火時期の限界に基づいて、燃料のオクタン価の値(RON)を求める。
(c)分割噴射回数
本実施形態では、ECU44は、1サイクルにおいて燃料を分割して噴射する回数(以下では単に「分割噴射回数」と呼ぶ。)が少ないほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、分割噴射回数が多い場合には、1回の燃料噴射の貫通力が弱くなり、ピストンやシリンダライナに燃料が付着しにくいのに対して、分割噴射回数が少ない場合には(例えば1回のみ噴射(一括噴射)する場合)、1回の燃料噴射の貫通力が強くなり、ピストンやシリンダライナに燃料が付着しやすくなり、燃焼室16において着火源が生成されやすいからである。
(d)エンジン回転数
本実施形態では、ECU44は、クランク角センサ70の検出信号S70に対応するエンジン回転数が低いほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、エンジン回転数が低い場合には、エンジン回転数が高い場合と比べると、1サイクルの時間が長く、噴射した燃料の点火までに燃焼室16内の着火源の化学反応が進んでしまう傾向にあり(逆に、エンジン回転数が高い場合には、着火源が反応するまでに点火が実行される傾向にある)、プリイグニッションが発生しやすいからである。
(e)インマニ圧
本実施形態では、ECU44は、圧力センサ66によって検出されたインマニ圧(過給圧)が高いほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、インマニ圧が高いほど、燃焼室16において付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が促進されやすいからである。
(f)インマニ吸気温
本実施形態では、ECU44は、温度センサ68によって検出されたインマニ吸気温が高いほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、インマニ吸気温が高いほど、燃焼室16において付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が促進されやすいからである。
(g)吸気VVT進角量
本実施形態では、ECU44は、吸気バルブ25のバルブタイミングを変化させる可変バルブタイミング機構(VVT)41によって、吸気バルブ25の閉じタイミングが基準閉じタイミングから進角された量(以下では単に「吸気VVT進角量」と呼ぶ。)に基づき、プリイグニッションが発生する可能性を判定して、制限過給圧を設定する。具体的には、ECU44は、吸気VVT進角量が大きいほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、吸気VVT進角量が大きいと、筒内圧が上昇することで、燃焼室16において付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が促進されやすいからである。なお、上記した基準閉じタイミングは、吸気バルブ25の閉じタイミングを進角又は遅角させるときの基準となるバルブタイミング(事前に定めたタイミング)である。
(h)当量比(目標当量比)
本実施形態では、ECU44は、エンジン20に供給される燃料と空気の量の関係を示す当量比(目標当量比に相当する)が小さいほど、プリイグニッションが発生する可能性が高いと判定して、制限過給圧を低く設定する。こうするのは、当量比が大きい場合には(例えば燃料が増量された場合)、エンジン20に供給される燃料が相対的に多くなり、燃料による筒内冷却の効果が得られ(この場合、比熱比が小さくなる)、付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が抑制されるのに対して、当量比が小さい場合には、エンジン20に供給される燃料が相対的に少なくなり、燃料による筒内冷却の効果がほとんど得られず(この場合、比熱比が大きくなる)、付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が抑制されずに、プリイグニッションが発生しやすくなるからである。
[制御ブロック]
次に、図4を参照して、本発明の実施形態において、ECU44が制限過給圧を設定するために実行する制御処理の流れについて具体的に説明する。図4は、本発明の実施形態による制限過給圧を設定するための制御ブロック図を示している。
図4の制御ブロック図の内容を説明する前に、その基本概念について述べる。以下の式(1)及び式(2)は、エンジン20における断熱圧縮の現象を表している。
2=T1εκ-1 式(1)
2=P1εκ 式(2)
式(1)は、圧縮後のインマニ吸気温T2が、圧縮前の吸気温度T1と有効圧縮比εと比熱比κとの影響を受けることを示しており、式(2)は、圧縮後のインマニ圧P2が、圧縮前のインマニ圧P1と有効圧縮比εと比熱比κとの影響を受けることを示している。制御として最終的に求めたいのは、上述した制限過給圧であるが、この制限過給圧は、式(2)を変形した以下の式(3)で表すことができる。
1=P2/εκ 式(3)
式(3)は、P2を筒内圧の限界である限界筒内圧とすると、この限界筒内圧P2と有効圧縮比εと比熱比κとから、制限過給圧としてのP1を設定できることを示している。[制御内容]のセクションで述べたように、圧縮時の筒内状態量の変化がプリイグニッションの発生に影響を与えることから、限界筒内圧P2を求めるに当たって、プリイグニッションの発生に影響を与えるパラメータを用いればよい。具体的には、本実施形態では、エンジン回転数、分割噴射回数、インマニ圧、インマニ吸気温及びオクタン価を用いて、限界筒内圧P2を求めることとする。また、式(3)中の有効圧縮比εは、吸気VVT進角量から求めることができ、式(3)中の比熱比κは、理論値を用いることができる、より具体的には当量比(目標当量比)から求めることができる。
このようにして、限界筒内圧P2、有効圧縮比ε及び比熱比κを求めて、これらを式(3)に代入することで、制限過給圧P1を求めることができる。
以上述べた基本概念に基づき、図4に示すような、制限過給圧P1を求めるための制御ブロックが設定されている。
図4に示すように、まず、ECU44は、エンジン回転数、分割噴射回数、インマニ圧、インマニ吸気温及びオクタン価を用いて、限界筒内圧P2を求める。この場合、エンジン回転数、分割噴射回数、インマニ圧、インマニ吸気温及びオクタン価のそれぞれのパラメータに感度を持たせるように、これらのパラメータによって規定された多項式にてフィッティングを行うべく、ECU44は、事前に定めた多項式近似によって限界筒内圧P2を求める。この多項式近似によれば、エンジン回転数が低いほど、低い限界筒内圧P2が求められ、分割噴射回数が少ないほど、低い限界筒内圧P2が求められ、インマニ圧が高いほど、低い限界筒内圧P2が求められ、インマニ吸気温が高いほど、低い限界筒内圧P2が求められ、オクタン価が高いほど、低い限界筒内圧P2が求められるようになっている。こうしているのは、[制御内容]のセクションで述べたように、エンジン回転数が低い場合、分割噴射回数が少ない場合、インマニ圧が高い場合、インマニ吸気温が高い場合、及び、オクタン価が高い場合には、プリイグニッションが発生する可能性が高いため、過給圧を低下させるように、限界筒内圧P2を低くして制限過給圧P1を低く設定すべきだからである。
上記のように限界筒内圧P2を求めるのと並行して、ECU44は、可変バルブタイミング機構(VVT)41によって吸気バルブ25の閉じタイミングが基準閉じタイミングから進角された量である吸気VVT進角量に基づいて、有効圧縮比εを求めると共に、エンジン20に供給する燃料と空気の量の関係を示す目標当量比に基づいて、比熱比κを求める。この場合、ECU44は、事前に定めた有効圧縮比テーブルを参照して、吸気VVT進角量から有効圧縮比εを求めると共に、事前に定めた比熱比テーブルを参照して、目標当量比から比熱比κを求める。有効圧縮比テーブルは、吸気VVT進角量が大きくなると、有効圧縮比εが大きくなるように規定されており、比熱比テーブルは、目標当量比が大きくなると(例えば燃料が増量された場合)、比熱比κが小さくなるように規定されている。
なお、吸気VVT進角量及び目標当量比を上記した多項式に組み込んでいないのは、これら吸気VVT進角量及び目標当量比のそれぞれに単独の感度を持たせて、制限過給圧P1を求めるためである。これにより、吸気VVT進角量に応じた有効圧縮比εを用いることで、吸気VVT進角量が大きいほど、制限過給圧P1が低く設定されるようになり、目標当量比に応じた比熱比κを用いることで、目標当量比が小さいほど、制限過給圧P1が低く設定されるようになっている。
そして、ECU44は、このようにして求めた限界筒内圧P2と、有効圧縮比εと、比熱比κとを、式(3)に代入することで、制限過給圧P1を求める。つまり、ECU44は、限界筒内圧P2を、有効圧縮比εをκ乗した値(εκ)で除算することで、制限過給圧P1を求める。この後、ECU44は、求めた制限過給圧P1を補正する。具体的には、ECU44は、エンジン水温、充填効率及びエンジン回転数に基づいて、制限過給圧P1を補正する。以下では、説明の便宜上、補正前の制限過給圧P1を適宜「補正前制限過給圧P1」と表記し、補正後の制限過給圧を適宜「最終制限過給圧P3」と表記する。
まず、ECU44は、エンジン水温感度テーブルを参照して、エンジン水温に応じた値(エンジン水温テーブル値)を得る。このエンジン水温感度テーブルは、エンジン水温が低いほど、補正前制限過給圧P1をエンジン水温テーブル値に基づいて補正することで得られる最終制限過給圧P3が低くなるように設定されている。また、ECU44は、充填効率感度テーブルを参照して、充填効率に応じた値(充填効率テーブル値)を得る。この充填効率感度テーブルは、充填効率が高いほど、補正前制限過給圧P1を充填効率テーブル値に基づいて補正することで得られる最終制限過給圧P3が低くなるように設定されている。なお、充填効率は、エンジン負荷に相当するものであり、例えば、インマニ圧や吸気VVT進角量などに基づいて、多項式により求められる。また、ECU44は、エンジン回転数感度テーブルを参照して、エンジン回転数に応じた値(エンジン回転数テーブル値)を得る。このエンジン回転数感度テーブルは、エンジン回転数が低いほど、補正前制限過給圧P1をエンジン回転数テーブル値に基づいて補正することで得られる最終制限過給圧P3が低くなるように設定されている。
なお、充填効率に基づいて制限過給圧P1を補正しようとしているのは、基本的には充填効率はそれほど高くならないはずだが、吸気温がかなり低い場合や、限界筒内圧P2を求めるための多項式において想定していない条件が生じた場合などに、過剰な充填効率が制御ブロックに入力される可能性があり、そのような場合に過給圧を適切に制限するためである。加えて、エンジン回転数に基づいて制限過給圧P1を補正しようとしているのも、限界筒内圧P2を求めるための多項式においてエンジン回転数に基づき適切にフィッティングできなかった場合に、過給圧を適切に制限するためである。このように、本実施形態では、充填効率及びエンジン回転数に基づいて制限過給圧P1を補正するようにして、制御のロジックに対してガードを設けているのである。
次に、ECU44は、上記のようにして求められたエンジン水温テーブル値、充填効率テーブル値及びエンジン回転数テーブル値の中の最小値を特定し、この最小値によって「1」を除算した値を補正係数として用いる。そして、ECU44は、この補正係数を補正前制限過給圧P1に積算することで、最終制限過給圧P3を求める。この後、ECU44は、求めた最終制限過給圧P3と、エンジン20の運転状態やエンジン20の要求トルクなどに基づいて設定した目標過給圧とを比較し、目標過給圧が最終制限過給圧P3以上である場合には、目標過給圧を最終制限過給圧P3に設定し、目標過給圧が最終制限過給圧P3未満である場合には、この目標過給圧をそのまま適用する。
なお、図4に示す制御ブロックに係る制御は、つまり最終制限過給圧P3を設定する制御は、常時実行せずに、エンジン20の運転領域が低回転数且つ高負荷の領域である場合にのみ実行するのがよい。プリイグニッションは、エンジン20の運転領域が低回転数且つ高負荷の領域である場合に発生する傾向にあるからである。このように低回転数且つ高負荷の領域である場合にのみ、最終制限過給圧P3を設定する制御を実行することで、当該制御に要する処理負荷を軽減することができる。
[作用効果]
次に、本発明の実施形態によるエンジンの制御装置の作用効果について説明する。
本実施形態では、エンジン水温が低い場合に、燃焼室16内のピストンやシリンダライナに付着した燃料などが蒸発しにくく、付着燃料やスモークなどの着火源が生成されやすいため、プリイグニッションが発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これにより、ターボ過給機4による過給圧を低下させて(言い換えると過給圧が上昇しないようして)、燃焼室16内の付着燃料やスモークなどの着火源の化学反応が進むことを抑制することができ、プリイグニッションの発生を適切に抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、燃料のオクタン価が高い場合に、燃料が着火しにくく、燃焼室16においてスモークなどの着火源が生成されやすいため、プリイグニッションが発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室16内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、プリイグニッションの発生を適切に抑制することができる。
加えて、本実施形態では、上記したようにオクタン価に応じて制限過給圧を低く設定した場合に、エンジン20の点火時期を進角させる制御を行うので、過給圧制限によるエンジン出力の低下を適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、燃料の分割噴射回数が少ない場合に、ピストンやシリンダライナに燃料が付着しやすく、燃焼室16において着火源が生成されやすいため、プリイグニッションが発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室16内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、プリイグニッションの発生を適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、エンジン回転数が低い場合に、エンジン回転数が高い場合と比較して、1サイクルの時間が長く、燃料の点火までに燃焼室16内の着火源の化学反応が進む傾向にあるため、プリイグニッションが発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室16内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、プリイグニッションの発生を適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、インマニ圧が高い場合、及びインマニ吸気温が高い場合に、燃焼室16において着火源の化学反応が促進されやすいため、プリイグニッションが発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室16内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、プリイグニッションの発生を適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、吸気VVT進角量が大きい場合に、筒内圧の上昇により、燃焼室16において着火源の化学反応が促進されやすいため、プリイグニッションが発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室16内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、プリイグニッションの発生を適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、当量比が小さい場合に、当量比が大きい場合と比較して、燃料による筒内冷却の効果がほとんど得られず、燃焼室16における着火源の化学反応が抑制されないので、プリイグニッションが発生する可能性が高いものと判断して、制限過給圧を低く設定する。これによっても、過給圧を低下させて、燃焼室16内において着火源の化学反応が進むことを抑制することで、プリイグニッションの発生を適切に抑制することができる。
4 ターボ過給機
10 吸気通路
11 スロットルバルブ
16 燃焼室
20 エンジン
21 気筒
25 吸気バルブ
27 排気バルブ
28 インジェクタ
30 排気通路
39 点火プラグ
40 点火回路
41 バルブ駆動機構
44 ECU
66 圧力センサ
68 温度センサ
70 クランク角センサ
72 水温センサ
100 エンジンシステム

Claims (8)

  1. 過給機を備えるエンジンを制御するエンジンの制御装置であって、
    エンジンにおいて異常燃焼が発生する可能性を判定し、この判定結果に応じて、上記過給機による過給圧を制限するための制限過給圧を設定して、過給圧がこの制限過給圧を超えないように上記エンジンを制御するエンジン制御手段を有し、
    上記エンジンは、1サイクルにおける燃料の噴射を複数回に分割して行い、
    上記エンジン制御手段は、上記エンジンにおいて燃料を分割して噴射する回数が少ないほど、上記異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、上記制限過給圧を低く設定する、ことを特徴とするエンジンの制御装置。
  2. 上記エンジンは、可変バルブタイミング機構を備え、この可変バルブタイミング機構によって吸気バルブのバルブタイミングを変化させ、
    上記エンジン制御手段は、更に、上記可変バルブタイミング機構によって上記吸気バルブの閉じタイミングが基準閉じタイミングから進角された量が大きいほど、上記異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、上記制限過給圧を低く設定する、請求項1に記載のエンジンの制御装置。
  3. 上記エンジン制御手段は、更に、エンジン回転数が低いほど、上記異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、上記制限過給圧を低く設定する、請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 上記エンジン制御手段は、更に、上記エンジンのインテークマニホールドの圧力であるインマニ圧が高いほど、上記異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、上記制限過給圧を低く設定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  5. 上記エンジン制御手段は、更に、上記エンジンの吸気温が高いほど、上記異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、上記制限過給圧を低く設定する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  6. 上記エンジン制御手段は、更に、上記エンジンに供給される燃料と空気の量の関係を示す当量比が小さいほど、上記異常燃焼が発生する可能性が高いと判定して、上記制限過給圧を低く設定する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  7. 上記異常燃焼判定手段は、上記エンジンの運転領域が、エンジン回転数が所定値未満で且つエンジン負荷が所定値以上である、低回転数且つ高負荷の領域である場合にのみ、上記制限過給圧を設定する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
  8. 燃料を気筒内に直接噴射するガソリンエンジンに適用される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエンジンの制御装置。
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