JP2017020384A - 作業用車両 - Google Patents

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浩志 歌代
徳孝 伊藤
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徳孝 伊藤
秀一 森木
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Abstract

【課題】小型のエンジンであっても、エンジンの負荷を充分に増大させて充分なエンジンブレーキによる制動力を得る。
【解決手段】エンジン1の回転をトルクコンバータ2を介して車輪に伝達する走行駆動装置と、エンジン1によって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の第2油圧ポンプ305から供給される圧油によって駆動される冷却ファン駆動用油圧モータ307と、必要とされる制動力がエンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、第2油圧ポンプ305から吐出される圧油の流量が大きくなるように第2油圧ポンプ305の押し除け容量を制御する制御手段とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、作業用車両に関する。
トルクコンバータ式の作業車両、例えばホイールローダでは、近年の排気ガス規制を遵守する車両を販売することが求められる。そのため、小型化、高効率化したエンジンを使用すること、及び、排気ガスに後処理装置を追加する等の対策を実施している。しかしながら、小型のエンジンを搭載したトルクコンバータ式の作業車両では、従来の大きなエンジンを使用したホイールローダに比べると、エンジンブレーキによる制動力が小さくなってしまい、同じ速度段で同じ坂道を降坂しても、エンジンが過回転状態となる可能性がある。
従来から、エンジンに排気弁を取り付けることによりエンジンの負荷トルクを増大させてエンジンブレーキによる制動力を増大させる技術が知られている(たとえば特許文献1)。
特開2000−291451号公報
しかしながら、小型のエンジンを搭載したトルクコンバータ式の作業車両では、大きいエンジンを搭載したトルクコンバータ式の作業車両に比べ、エンジンの負荷トルクが小さい。特許文献1に記載されている技術を適用することで、負荷トルクを増大可能だが、新規部品を追加することによるコスト増加を招く。
(1)請求項1の発明による作業車両は、エンジンと、エンジンの回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の油圧ポンプと、油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される油圧アクチュエータと、必要とされる制動力がエンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、油圧ポンプから吐出される圧油の流量が大きくなるように油圧ポンプの押し除け容量を制御する制御手段とを備える。
(2)請求項4の発明による作業車両は、エンジンと、エンジンの回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の油圧ポンプと、油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される油圧アクチュエータと、油圧ポンプから油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する制御弁と、油圧ポンプの吐出油が制御弁を通過してタンクへ戻る流路に配置され、その流路の通路面積を絞る固定絞りと、必要とされる制動力がエンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、固定絞りは、必要とされる制動力に相当するエネルギーを消費するように開口面積が設定され、油圧ポンプから吐出される圧油の流量が大きくなるように油圧ポンプの押し除け容量を制御して、固定絞りにより必要とされる制動力に相当する油圧負荷を生じさせる制御手段とを備える。
(3)請求項5の発明による作業車両は、エンジンと、エンジンの回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の第1油圧ポンプと、第1油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される第1油圧アクチュエータと、第1油圧ポンプから第1油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する制御弁と、エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の第2油圧ポンプと、第2油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される第2油圧アクチュエータと、第1油圧ポンプの吐出油が制御弁を通過してタンクへ戻る流路に配置され、その流路の通路面積を絞る固定絞りと、必要とされる制動力がエンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、固定絞りは、必要とされる制動力に相当するエネルギーを消費するように開口面積が設定され、第1油圧ポンプから吐出される圧油の流量と第2油圧ポンプから吐出される圧油の流量とが共に大きくなるように第1および第2油圧ポンプの押し除け容量を制御して、固定絞りにより必要とされる制動力に相当する油圧負荷を生じさせ制御手段とを備える。
本発明によれば、必要とされる制動力がエンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定されると、1つまたは2つの油圧ポンプの押し除け容量を大きくして油圧負荷を一時的に増大させ、これにより、エンジンブレーキによる制動力を増加させることができる。
本発明の実施の形態によるホイールローダの外観側面図 実施の形態によるホイールローダの制御系の概略構成を示すブロック図 第1の実施の形態によるホイールローダの油圧回路を説明する回路図 圧油の流量と制動力との関係を説明する図 第1の実施の形態によるホイールローダの動作を説明するフローチャート 第2の実施の形態によるホイールローダの油圧回路を説明する回路図 冷却ファンの回転数と、作動油の温度との関係を説明する図 作動油の温度と、算出された差分とに応じて制御される冷却ファンの回転数を説明する図 第2の実施の形態によるホイールローダの動作を説明するフローチャート 第3の実施の形態によるホイールローダの油圧回路を説明する回路図 第3の実施の形態によるホイールローダの動作を説明するフローチャート
−第1の実施の形態−
以下、図面を参照して、本発明に係る作業車両であるホイールローダの実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るホイールローダ100の側面図である。ホイールローダ100は、アーム111、バケット112、タイヤ113等を有する前部車体110と、運転室121、エンジン室122、タイヤ123等を有する後部車体120とで構成される。
アーム111は前部車体110に対して上下方向に回動可能に取り付けられ、アームシリンダ114の伸縮により回動駆動される。バケット112はアーム111の先端において、アーム111に対して前後傾方向(上下方向)に回動可能に取り付けられ、バケットシリンダ115の伸縮により回動駆動される。前部車体110と後部車体120はセンタピン101により互いに回動自在に連結され、ステアリングシリンダ116(図2参照)の伸縮により後部車体120に対し前部車体110が左右に屈折する。
図2は、ホイールローダ100の制御系の概略構成を示す図である。エンジン1の出力軸にはトルクコンバータ2(以下、トルコンと呼ぶ)の入力軸が連結され、トルコン2の出力軸はトランスミッション3に連結されている。トルコン2は周知のインペラ,タービン,ステータからなる流体クラッチであり、エンジン1の回転はトルコン2を介してトランスミッション3に伝達される。トランスミッション3は、後述するようにその速度段をたとえば1速〜5速に切り替える液圧クラッチを有し、トルコン2の出力軸の回転はトランスミッション3で変速される。変速後の回転が、プロペラシャフト4,アクスル5を介してタイヤ113,123に伝達されて、ホイールローダ100が走行する。
トランスミッション3の速度段は、使用するエンジンの出力と要求される走行駆動トルクとに応じて決定される。排ガス規制に対応するため、小型化、高効率化したエンジンを使用した場合であっても、出力が同じであれば、小型化、高効率化されていないエンジンと走行駆動トルクが同じになる。一方、小型化することにより、エンジンの負荷トルクが低下するので、結果的にエンジンブレーキ制動力は低下する。なお、本明細書においては、エンジンの負荷トルクとは、エンジンの燃料噴射が0の状態で、ある回転数までエンジンを回転するためにフライホイールから入力する力であり、この地からはトルクコンバータ側から見た場合には負荷となるので、負荷トルクと表現する。また、エンジンブレーキとは、エンジンの負荷トルクと油圧ポンプの負荷とが、トルクコンバータを介してトランスミッションへと伝達され、更に、プロペラシャフト、アスクル、車輪へと伝達されて発生する力である。
アクスル5には、ホイールローダ100を減速、停止させるためのブレーキ装置5aが設けられている。ブレーキ装置5aは、ブレーキバルブ32を介してブレーキ油が供給されると、ブレーキ圧に応じた制動力を発生させる。ブレーキバルブ32は、運転室121内に設けられたブレーキペダル31がオペレータによって踏み込まれると、ブレーキペダル31の踏み込み力に応じたブレーキ圧をブレーキ装置5aに供給する。
図3は、本実施の形態によるホイールローダ100が有する油圧回路HC1を示す回路図である。油圧回路HC1は、第1油圧ポンプ300と、オイルタンク301と、コントロールバルブ302と、第1比例弁(第1サーボ弁)303と、固定絞り304とを有している。第1管路200には、オイルタンク301を上流側として、第1油圧ポンプ300と、コントロールバルブ302と、固定絞り304とが、この順序で接続されている。
第1油圧ポンプ300は、ホイールローダ100の各油圧アクチュエータ、すなわちステアリングシリンダ116、アームシリンダ114およびバケットシリンダ115に圧油を供給する可変容量型油圧ポンプである。図3では、バケットシリンダ115の図示は省略した。
第1油圧ポンプ300はエンジン1の出力軸とトルクコンバータ3を介して接続され、エンジン1によって駆動されることにより、オイルタンク301の作動油をコントロールバルブ302を介してステアリングシリンダ116、アームシリンダ114およびバケットシリンダ115に供給する。第1比例弁303は、メインコントローラ10からの制御信号に従って第1油圧ポンプ300の押し除け容量(傾転量)を変更する圧力信号をポートレギュレータ400を構成するサーボピストン401に出力する。サーボピストン401が第1比例弁303からの圧力信号に応じて駆動すると、フィードバックリンク402を介してサーボピストン401の駆動が第1油圧ポンプ300に伝達されることにより、押し除け容量が変更される。コントロールバルブ302は、上流側から順に第1方向制御弁302aと、第2方向制御弁302bとを含んで構成される。第1方向制御弁302aは、運転室121内に設置された操作装置11から出力される信号に応じて第1油圧ポンプ300から供給される作動油を分配して、ステアリングシリンダ116へ供給する。第2方向制御弁302bは、運転室121内に設置された操作装置11から出力される信号に応じて第1油圧ポンプ300から供給される作動油を分配して、一対のアームシリンダ114へ供給する。
固定絞り304は、コントロールバルブ302内の下流側における第2方向切換弁の下流の第1管路200上に設けられている。すなわち、第1油圧ポンプ300の吐出油がコントロールバルブ302を通過してタンク301へ戻る流路200に固定絞り304が設けられている。運転室121内に設置された操作装置11から出力される信号(油圧信号または電気信号)に応じてコントロールバルブ302を構成する第1方向制御弁302aと、第2方向制御弁302bとが中立位置に制御されると、第1油圧ポンプ300からの圧油は固定絞り304を通ってタンク301に戻る。
図2に示すコントローラ10は、CPU,ROM,RAM,その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成される。コントローラ10には、アクセルペダル操作量検出器12aと、ブレーキペダル操作量検出器31aと、エンジン回転数センサ13とが接続されている。アクセルペダル操作量検出器12aは、アクセルペダル12のペダル操作量Sacc(ペダルストロークまたはペダル角度)を検出する。ブレーキペダル操作量検出器31aは、ブレーキペダル31の操作量Sbrk(ペダルストロークまたはペダル角度)を検出する。エンジン回転数センサ13は、エンジン1の実回転速度(回転数)Naを検出して、実回転速度信号をコントローラ10に出力する。
コントローラ10は、アクセルペダル操作量検出器12aで検出したアクセルペダル12の操作量に応じてエンジン1の回転速度(回転数)を制御する。アクセルペダル12の操作量Saccが大きくなると目標エンジン回転速度Nsは大きくなり、ペダル最大踏み込み時の目標エンジン回転速度Nsは定格回転速度となる。コントローラ10はこの目標エンジン回転速度Nsに対応した制御信号をエンジンコントローラ9に出力し、エンジン1の実回転速度Naが目標エンジン回転速度Nsとなるように制御する。オペレータは、車速を増加または走行駆動力を増加させたい場合に、アクセルペダル12の操作量Saccを増やし、エンジン回転速度を大きくする。
エンジンコントローラ9は、エンジン回転数センサ13で検出されたエンジン1の実回転速度Naと、コントローラ10からの目標エンジン回転速度Nsとを比較して、エンジン1の実回転速度Naを目標エンジン回転速度Nsに近づけるために燃料噴射装置(不図示)を制御する。
コントローラ10は、アクセルペダル操作量検出器12aからのペダル操作量Saccが所定値Sacc1以上である場合には、アクセルペダル12の踏み込み有りと判定し、ペダル操作量検出器12aからのペダル操作量Saccが所定値Sacc1未満である場合には、アクセルペダル12の踏み込み無しと判定する。所定値Sacc1は、ローアイドル回転速度からエンジン回転速度を増速する操作初期の値、すなわち、ローアイドル回転速度+数十rpm程度の値として設定され、予めコントローラ10のROMまたはRAMに記憶されている。
コントローラ10は、ブレーキペダル操作量検出器31aからのペダル操作量Sbrkが所定値Sbrk1以上である場合には、ブレーキペダル31が踏み込まれており、ブレーキ装置5aが作動されている状態と判定する。ブレーキペダル31の操作量が大きくなると、ブレーキ装置5aに供給される作動油の圧力は大きくなり、ペダル操作量に応じてホイールローダ100に制動力が作用する。ブレーキペダル操作量検出器31aからのペダル操作量Sbrkが所定値Sbrk1未満の場合には、コントローラ10は、ブレーキペダル31が踏み込まれておらず、ブレーキ装置5aが作動されていない状態と判定する。所定値Sbrk1は、ブレーキペダル31の踏み込みが開始されてブレーキ装置5aに供給される作動油の圧力が上昇し始める操作量として設定されている。
コントローラ10は、車体に必要な制動力がエンジン1による負荷トルクにて吸収可能なエネルギーを超えたか否かを判定する。この場合、コントローラ10は、エンジン1の目標エンジン回転速度Nsと実回転速度Naとの差分を算出し、差分が予め設定された閾値thを超えるか、目標エンジン回転数Nsより実回転速度Naが高く、実回転速度Naが予め設定された閾値th1を超えた場合に、エンジン1による負荷トルクにて吸収可能なエネルギーを超えたと判定する。差分が閾値thを超えるか、実回転速度Naが閾値th1を超えた場合に、コントローラ10は、差分の大きさに応じて、エンジン1の負荷が増加するように、以下で説明するように各種機器を制御する。
第1の実施の形態では、コントローラ10は、負荷を増加させるために、算出した差分に応じて第1油圧ポンプ300の押し除け容量を増大させる。差分の値に対応する第1油圧ポンプ300の押し除け容量は、予め実験等により算出され、たとえばテーブル等の形式によりメモリ(不図示)等に記録されている。コントローラ10は、このテーブルを参照することにより、算出した差分に対応させて第1油圧ポンプ300の押し除け容量を制御する。この結果、第1油圧ポンプ300から吐出される圧油の流量が増加する。流量が増加した圧油は、固定絞り304により、以下の式(1)で表す流量Qに制限されて通過することにより、式(2)で表される制動力Fに相当するエネルギーが熱量として消費されるように絞り開口面積(直径d)を予め設定してある。すなわち、この制動力Fが第1油圧ポンプ300に油圧負荷を与える。
Q=kd{(P1−P2)/ρ}1/2 …(1)
F=P1Q=kd{P1(P1−P2)/ρ}1/2 …(2)
なお、dは固定絞り304の直径、P1は固定絞り304の上流側の圧力、P2は固定絞り304の下流側の圧力、ρは流体の単位体積重量を表す。
図4に、圧油の流量Qと制動力との関係を示す。図に示すように、圧油の流量Qが増加するに従って、制動力がF0から二次関数的に増加する。これは、圧油の流量増加のために第1油圧ポンプ300を駆動するエンジン1の負荷が増加するためである。第1油圧ポンプ300から吐出される圧油は、固定絞り304を通過する際にその流量が制限されるため、固定絞り304にて上記の式(2)で表される制動力Fに相当するエネルギーが消費される。したがって、元々のエンジン1の負荷トルク(エンジンブレーキ)による制動力F0に加えて、第1油圧ポンプ300に加わる油圧負荷、すなわち固定絞り304で消費される制動力Fに相当するエネルギーがエンジン1の負荷となることによって、エンジンブレーキの制動力を増大させることができる。なお、圧油の流量がQlimを超えると、油圧回路HC1内の圧力が高まることによりリリーフ弁が作動するので、固定絞り304により消費される制動力Fは一定となる。このため、エンジン1の負荷は制動力Flimが上限となる。
図5に示すフローチャートを用いて、コントローラ10による処理を説明する。図5の処理はメインコントローラ10でプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、ホイールローダ100の図示しないイグニッションスイッチがオンされると、コントローラ10によってプログラムが起動され、実行される。
ステップS1では、エンジン1の実回転速度Naが目標エンジン回転速度Nsよりも高く、実回転速度Naが予め設定された閾値th1以上か否かを判定する。実回転速度Naが閾値th1以上の場合には、ステップS1が肯定判定されてステップS4へ進む。ステップS4では、エンジン1の実回転数Naと閾値th1との差分に対応させて第1油圧ポンプ300の押し除け容量を制御して処理を終了する。実回転速度Naが閾値th1未満の場合には、ステップS1が否定判定されてステップS2へ進む。
ステップS2では、エンジン1の目標エンジン回転速度Nsと実回転速度Naとの差分を算出し、差分が予め設定された閾値th以上か否かを判定する。差分が閾値thを超える場合には、ステップS2が肯定判定されてステップS3へ進む。差分が閾値th未満の場合には、ステップS2が否定判定されて処理を終了する。ステップS3では、算出された差分に対応させて第1油圧ポンプ300の押し除け容量を制御して処理を終了する。
以上で説明した第1の実施の形態によるホイールローダによれば、以下の作用効果が得られる。
第1油圧ポンプ300の吐出油が中立位置にある第1および第2の制御弁302a,302b、すなわち、コントロールバルブ302を通過してタンク301へ戻る流路には固定絞り304が設けられている。コントローラ10は、必要とされる制動力がエンジン1の負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、第1油圧ポンプ300から吐出される圧油の流量が大きくなるようにした。すなわち、第1油圧ポンプ300の押し除け容量を増大制御することにより第1油圧ポンプ300から吐出される圧油の流量を増加させて、目標エンジン回転速度Nsと実回転速度Naとの差分に応じたエネルギーを固定絞り304にて熱量として消費させる。この結果、第1油圧ポンプ300を駆動させるエンジン1の負荷が大きくなり、エンジンブレーキによる制動力を増加させることができるので、小型化、高効率化したエンジン1を使用したホイールローダ100において、高速走行時の速度段、たとえば第5速度段での走行に際して、エンジンブレーキによる制動力を所望の値にすることができる。また、降坂時のように、大きな制動力が必要とされる場合であっても、エンジンブレーキにより充分な制動力を得ることができるので、ブレーキペダル31の使用を最小限にしてブレーキ装置5aの高寿命化を図ることができる。
−第2の実施の形態−
図面を参照して、本発明によるホイールローダの第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、固定絞り304に代えて、作動油冷却用ファンの駆動用油圧モータを設ける点で第1の実施の形態とは異なる。
図6は、本実施の形態によるホイールローダ100が有する油圧回路HC2を示す回路図である。油圧回路HC2は、可変容量式の第1油圧ポンプ300と、オイルタンク301と、コントロールバルブ302と、第1比例弁(第1サーボ弁)303と、可変容量式の第2油圧ポンプ305と、第2比例弁(第2サーボ弁)306と、作動用冷却用ファン308を駆動する油圧モータ307と、冷却用コア309とを備えている。第2管路201上には、第2油圧ポンプ305と、油圧モータ307と、冷却用コア309とが、この順序で接続されている。また、作動油の温度は温度センサ310により検出される。
第2油圧ポンプ305の回転軸はエンジン1の駆動軸と同軸上に設けられている。第2油圧ポンプ305がエンジン1により駆動されると、オイルタンク301の作動油を油圧モータ307へ供給して油圧モータ307を駆動させる。第2比例弁306は、メインコントローラ10からの制御信号に従って第2油圧ポンプ305の押し除け容量(傾転量)を変更する圧力信号をポートレギュレータ410を構成するサーボピストン411に出力する。サーボピストン411が第2比例弁306からの圧力信号に応じて駆動すると、フィードバックリンク412を介してサーボピストン411の駆動が第2油圧ポンプ305に伝達されることにより、押し除け容量が変更される。第2油圧ポンプ305の傾転量は、温度センサ310により検出されたオイルタンク301内の作動油の温度に基づいて制御される。冷却ファン308は油圧モータ307により駆動され、冷却ファン308の下流に設けられた冷却用コア309に流入した作動油を冷却する。このため、冷却ファン308の回転数は、油圧モータ307を駆動させる第2油圧ポンプ305の傾転量に応じて制御される。換言すると、冷却ファン308の回転数は、温度センサ310により検出された作動油の温度に応じて制御される。
図7は、冷却ファン308の回転数と、温度センサ310により検出される作動油の温度との関係を示す図である。図7に示すように、作動油の温度が所定温度t1未満の場合には、冷却ファン308の回転数は、規定の最小回転数Minとなるように制御される。作動油の温度が所定温度t1以上となる場合には、作動油の温度の上昇に比例して冷却ファン308の回転数も増加するように制御される。そして、作動油の温度が所定温度t2(>t1)以上となった場合には、冷却ファン308は、規定の最大回転数Maxとなるように制御される。
本実施の形態のコントローラ10についても、車体に必要な制動力がエンジン1による負荷トルクにて吸収可能なエネルギーを超えたか否かを判定する。すなわち、コントローラ10は、エンジン1の目標エンジン回転速度Nsと実回転速度Naとの差分を算出し、差分が予め設定された閾値th以上または目標エンジン回転速度Nsより実回転速度Naが高く、実回転速度Naが予め設定された閾値th1以上の場合に、エンジン1による負荷トルクにて吸収可能なエネルギーを超えたと判定する。差分が閾値th以上または実回転速度Naが閾値th1以上の場合には、コントローラ10は、差分の大きさに応じて、負荷が増加するように制御する。
第2の実施の形態では、コントローラ10は、冷却ファン308の回転数を増加させる、すなわち第2油圧ポンプ305の押し除け容量を増大させることにより、負荷を増大させる。算出された差分が閾値th以上または実回転速度Naが閾値th1以上の場合には、温度センサ310により検出された作動油の温度に関わらず、コントローラ10は、冷却ファン308が最大回転数Maxとなるように、第2油圧ポンプ305の押し除け容量を制御する。算出された差分が閾値th未満の場合には、上述したように、コントローラ10は、温度センサ310により検出された作動油の温度に応じて冷却ファン308の回転数が制御されるように、第2油圧ポンプ305の傾転量を制御する。
図8に、作動油の温度と算出された差分とに応じて上記のようにして制御される冷却ファン308の回転数を示す。図に示すように、算出された差分が閾値th以上または実回転速度Naが閾値th1以上の場合には、検出された作動油の温度によることなく冷却ファン308が最大回転数Maxで駆動されるように制御される。これに対して、算出された差分が閾値th未満かつ実回転速度Naが閾値th1未満の場合、または差分が0かつ実回転速度Naが閾値th1未満の場合には、図8に示すように検出された作動油の温度の上昇に比例して冷却ファン308の回転数が増加するように制御される。
図9に示すフローチャートを用いて、コントローラ10による処理を説明する。図9の処理はメインコントローラ10でプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、ホイールローダ100の図示しないイグニッションスイッチがオンされると、コントローラ10によってプログラムが起動され、実行される。
ステップS11(実回転速度が目標エンジン回転速度より高く、閾値th1以上かを判定)およびステップS12(差分と閾値thとの大小判定)は、図5のステップS1(実回転速度が目標エンジン回転速度より高く、閾値th1以上かを判定)およびステップS2(差分と閾値thとの大小判定)と同様の処理を行う。なお、ステップS11が肯定判定された場合には、処理はステップS13へ進む。ステップS12が肯定判定されるとステップS13へ進み、冷却ファン308が最大回転数Maxで駆動されるように、第2油圧ポンプ305の押し除け容量を制御して処理を終了する。ステップS12が否定判定された場合にはステップS14へ進み、冷却ファン308が温度センサ310により検出された作動油の温度に応じた回転数にて駆動されるように第2油圧ポンプ305の押し除け容量を制御して処理を終了する。
上述した第2の実施の形態によるホイールローダによれば、次の作用効果が得られる。
(1)油圧回路HC2に、エンジン1によって駆動され、圧油を吐出する容量可変型の第2油圧ポンプ305と、第2油圧ポンプ305から供給される圧油によって駆動される油圧モータ307とを設けるようにした。そして、コントローラ10は、必要とされる制動力がエンジン1の負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、第2油圧ポンプ305から吐出される圧油の流量が大きくなるように第2油圧ポンプ305の押し除け容量を制御するようにした。したがって、第2油圧ポンプ305の吸収馬力の増大化に伴いエンジン1の負荷が大きくなり、エンジンブレーキによる制動力を増加させることができる。
この結果、小型化、低出力化したエンジン1を使用したホイールローダ100において、たとえば第5速度段での走行に際して、エンジンブレーキによる制動力を所望の値にすることができる。また、降坂時のように、大きな制動力が必要とされる場合であっても、エンジンブレーキにより充分な制動力を得ることができるので、ブレーキペダル31の使用を最小限にしてブレーキ装置5aの高寿命化を図ることができる。
(2)コントローラ10は、圧油の温度と必要とされる制動力とに基づいて、第2油圧ポンプ305から吐出される圧油の流量を制御するようにした。したがって、既存の構成を用いてエンジンブレーキによる制動力の増加を実現することができるので、製造コストの増加を低減できる。
(3)コントローラ10は、必要とされる制動力が閾値thを超える場合には、圧油の温度に関わらず、第2油圧ポンプ305から吐出される圧油の流量を増大させるようにした。すなわち、第2油圧ポンプ305から吐出される圧油の流量を増大させて、冷却ファン308が最大回転数Maxで駆動可能となるように油圧モータ307を駆動させる。このため、第2油圧ポンプ305の油圧負荷が上昇するため、エンジン1の負荷を増大させることができる。したがって、降坂時のように、大きな制動力が必要とされる場合であっても、エンジンブレーキにより充分な制動力を得ることができる。
なお、押し除け容量を大きく制御するとは、コントローラ10が閾値th以上と判定したときに押し除け容量を最大値とすること以外に、閾値th以上が判定される直前の押し除け容量よりも大きくしてもよい。
−第3の実施の形態−
図面を参照して、本発明によるホイールローダの第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1および第2の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1および第2の実施の形態と同じである。本実施の形態では、油圧回路には、第1の実施の形態にて説明した固定絞りと、第2の実施の形態にて説明した冷却ファンとが設けられている。
図10は、本実施の形態によるホイールローダ100が有する油圧回路HC3を示す回路図である。油圧回路HC3は、可変容量式の第1油圧ポンプ300と、オイルタンク301と、コントロールバルブ302と、第1比例弁(第1サーボ弁)303と、固定絞り304と、可変容量式の第2油圧ポンプ305と、第2比例弁(第2サーボ弁)306と、冷却用ファン308を駆動する油圧モータ307と、冷却ファン308と、冷却用コア309とを備えている。すなわち、本実施の形態による油圧回路HC3は、第1の実施の形態による油圧回路HC1と、第2の実施の形態による油圧回路HC2とを組み合わせた構成を有している。温度センサ310は作動油の温度を検出する。
本実施の形態のコントローラ10についても、車体に必要な制動力がエンジン1による負荷トルクにて吸収可能なエネルギーを超えたか否かを判定する。すなわち、コントローラ10は、エンジン1の目標エンジン回転速度Nsと実回転速度Naとの差分を算出し、差分が予め設定された閾値th以上、または目標エンジン回転速度Nsより実回転速度Naが高く、実回転速度Naが閾値th1以上の場合に、エンジン1による負荷トルクにて吸収可能なエネルギーを超えたと判定する。差分が閾値th以上または実回転速度Naが閾値th1以上の場合には、コントローラ10は、差分の大きさに応じて、負荷が増加するように制御する。
差分が閾値th以上または実回転速度Naが閾値th1以上の場合には、コントローラ10は、差分の大きさに応じて第1油圧ポンプ300の押し除け容量を増加させるとともに、第2油圧ポンプ305の押し除け容量を増加させる。コントローラ10は、第1の実施の形態にて説明したように、算出した差分に応じて第1油圧ポンプ300の押し除け容量(傾転量)を増大させることにより、第1油圧ポンプ300から吐出される圧油の流量を増加させ、固定絞り304により制動力に相当するエネルギーを熱量として消費させる。なお、本実施の形態においても、差分の値に対応する第1油圧ポンプ300の押し除け容量は、予め実験等により算出され、たとえばテーブル等の形式によりメモリ(不図示)等に記録されている。コントローラ10は、このテーブルを参照することにより、算出した差分に対応する押し除け容量となるように第1油圧ポンプ300の傾転量を制御する。
さらに、コントローラ10は、第2の実施の形態にて説明したように、算出された差分が閾値th以上または実回転速度Naが閾値th1以上の場合には、温度センサ310により検出された作動油の温度に関わらず、コントローラ10は、冷却ファン308が最大回転数Maxとなるように、第2油圧ポンプ305の傾転量(押し除け容量)を制御する。なお、算出された差分が閾値th未満かつ実回転速度Naが閾値th1未満の場合には、コントローラ10は、温度センサ310により検出された作動油の温度に応じて冷却ファン308の回転数が制御されるように、第2油圧ポンプ305の傾転量を制御する。
図11に示すフローチャートを用いて、コントローラ10による処理を説明する。図11の処理はメインコントローラ10でプログラムを実行して行われる。このプログラムは、メモリ(不図示)に格納されており、ホイールローダ100の図示しないイグニッションスイッチがオンされると、コントローラ10によってプログラムが起動され、実行される。
ステップS20(実回転速度が目標エンジン回転速度より高く、閾値th1以上かを判定)、ステップS21(実回転速度と閾値th1との差分に応じて第1油圧ポンプの傾転量制御)およびステップS22(差分と閾値thとの大小判定)は、図5のステップS1(実回転速度が目標エンジン回転速度より高く、閾値th1以上かを判定)、ステップS4(実回転速度と閾値th1との差分に応じて第1油圧ポンプの傾転量制御)およびステップS2(差分と閾値thとの大小判定)と同様の処理を行う。なお、ステップS20が肯定判定されると、後述するステップS24へ進む。ステップS22が否定判定されるとステップS25へ進み、冷却ファン308が温度センサ310により検出された作動油の温度に応じた回転数にて駆動されるように第2油圧ポンプ305の押し除け容量を制御して処理を終了する。
ステップS22が肯定判定されるとステップS23へ進み、算出された差分に対応する押し除け容量となるように第1油圧ポンプ300の傾転量を制御してステップS24へ進む。ステップS24では、冷却ファン308が最大回転数Maxで駆動されるように、第2油圧ポンプ305の押し除け容量を制御して処理を終了する。
以上で説明した第3の実施の形態によれば、コントローラ10は、必要とされる制動力がエンジン1の負荷トルクで吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、第1油圧ポンプ300から吐出される圧油の流量と第2油圧ポンプ305から吐出される圧油の流量とが共に大きくなるように第1および第2油圧ポンプ300,305の押し除け容量を制御するようにした。
この結果、小型化、高効率化したエンジン1を使用したホイールローダ100において、たとえば第5速度段での走行に際して、エンジンブレーキによる制動力を大きくすることができる。その結果、降坂時のように、大きな制動力が必要とされる場合であっても、エンジンブレーキにより充分な制動力を得ることができるので、ブレーキペダル31の使用を最小限にしてブレーキ装置5aの高寿命化を図ることができる。
なお、第2油圧ポンプ305の押し除け容量を大きく制御するための手法として、コントローラ10が閾値th以上と判定したときに押し除け容量を最大値とすること以外に、閾値th以上と判定される直前の押し除け容量よりも大きくしてもよい。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(1)第1油圧ポンプが固定容量式の油圧ポンプの場合には、固定絞り304に代えて、可変絞りを設けることができる。この場合、コントローラ10は、算出した差分の値に応じて、可変絞りの絞り径を制御すればよい。すなわち、差分の値が閾値th以上の場合には、コントローラ10は差分が大きくなるほど可変絞りの径を小さくすればよい。
(2)第1油圧ポンプ300とともにエンジン1で駆動される第2油圧ポンプ305は、作動油冷却用油圧回路として説明したが、第2油圧ポンプはステアリング装置用回路など、種々の油圧回路に使用してもよい。
(3)上述の説明では、作業車両の一例としてホイールローダ100を例としたが、本発明はこれに限定されず、たとえば、フォークリフト、テレハンドラー、リフトトラック等、他の作業車両であってもよい。
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
1…エンジン、2…トルクコンバータ、3…トランスミッション、
10…コントローラ、12…アクセルペダル、12a…アクセルペダル操作量検出器、
31…ブレーキペダル、31a…ブレーキペダル操作量検出器、32…ブレーキバルブ、
100…ホイールローダ、111…アーム、112…バケット、
114…アームシリンダ、115…バケットシリンダ、116…ステアリングシリンダ、
300…第1油圧ポンプ、301…オイルタンク、302…コントロールバルブ、
304…固定絞り、305…第2油圧ポンプ、307…油圧モータ、
308…冷却ファン、310…温度センサ、
HC1、HC2、HC3…油圧回路

Claims (8)

  1. エンジンと、
    前記エンジンの回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、
    前記エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される油圧アクチュエータと、
    必要とされる制動力が前記エンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、前記油圧ポンプから吐出される圧油の流量が大きくなるように前記油圧ポンプの押し除け容量を制御する制御手段とを備える作業用車両。
  2. 請求項1に記載の作業用車両において、
    前記油圧アクチュエータは作動油冷却用ファンの駆動モータであり、
    前記制御手段は、圧油の温度と前記必要とされる制動力とに基づいて、前記第2油圧ポンプから吐出される圧油の流量が大きくなるように前記油圧ポンプの押し除け容量を制御する作業用車両。
  3. 請求項2に記載の作業用車両において、
    前記制御手段は、前記必要とされる制動力が所定制動力を超える場合には、圧油の温度に関わらず、前記油圧ポンプから吐出される圧油の流量が最大となるように前記油圧ポンプの押し除け容量を増大させる作業用車両。
  4. エンジンと、
    前記エンジンの回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、
    前記エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の油圧ポンプと、
    前記油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される油圧アクチュエータと、
    前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する制御弁と、
    前記油圧ポンプの吐出油が前記制御弁を通過してタンクへ戻る流路に配置され、その流路の通路面積を絞る固定絞りと、
    必要とされる制動力が前記エンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、前記固定絞りは、前記必要とされる制動力に相当するエネルギーを消費するように開口面積が設定され、前記油圧ポンプから吐出される圧油の流量が大きくなるように前記油圧ポンプの押し除け容量を制御して、前記固定絞りにより前記必要とされる制動力に相当する油圧負荷を生じさせる制御手段とを備える作業用車両。
  5. エンジンと、
    前記エンジンの回転をトルクコンバータを介して車輪に伝達する走行駆動装置と、
    前記エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の第1油圧ポンプと、
    前記第1油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される第1油圧アクチュエータと、
    前記第1油圧ポンプから前記第1油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する制御弁と、
    前記エンジンによって駆動されて圧油を吐出する容量可変型の第2油圧ポンプと、
    前記第2油圧ポンプから供給される圧油によって駆動される第2油圧アクチュエータと、
    前記第1油圧ポンプの吐出油が前記制御弁を通過してタンクへ戻る流路に配置され、その流路の通路面積を絞る固定絞りと、
    必要とされる制動力が前記エンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定した場合には、前記固定絞りは、前記必要とされる制動力に相当するエネルギーを消費するように開口面積が設定され、前記第1油圧ポンプから吐出される圧油の流量と前記第2油圧ポンプから吐出される圧油の流量とが共に大きくなるように前記第1および第2油圧ポンプの押し除け容量を制御して、前記固定絞りにより前記必要とされる制動力に相当する油圧負荷を生じさせる制御手段とを備える作業用車両。
  6. 請求項5に記載の作業用車両において、
    前記第2油圧アクチュエータは作動油冷却用ファンの駆動モータであり、
    前記制御手段は、圧油の温度と前記必要とされる制動力とに基づいて、前記第2油圧ポンプから吐出される圧油の流量が大きくなるように前記第2油圧ポンプの押し除け容量を制御する作業用車両。
  7. 請求項6に記載の作業用車両において、
    前記制御手段は、前記必要とされる制動力が所定制動力を超える場合には、圧油の温度に関わらず、前記第2油圧ポンプから吐出される圧油の流量が最大となるように前記第2油圧ポンプの押し除け容量を増大させる作業用車両。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載の作業用車両において、
    前記制御手段は、前記エンジンの実際の回転速度と、前記エンジンの目標回転速度との差分が所定の値以上の場合に、前記必要とされる制動力が前記エンジンの負荷トルクにより吸収可能な制動力を超えると判定する作業用車両。
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