JP2017020370A - 風車のブレード - Google Patents

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【課題】破損しても二次災害の発生しにくい、風車のブレードを提供する。【解決手段】発泡合成樹脂材を主材とし、翼端に傾斜部を有する風車の揚力型ブレードにおいて、完成形とした発泡合成樹脂ブレード原体を縦横任意に分割し、その各ブレード分割材3の分割面に、軟質合成樹脂材からなる接着剤層5を形成し、これを完成形状に接合してブレード接合原体6となし、その表面に軟質合成樹脂表層を一体に形成して、硬化した前記接着剤層をリブとしてなる風車のブレード。【選択図】図7

Description

本発明は、 風車のブレードに係り、特に軽量で破損しにくく、また万一破損しても、二次災害の生じにくい風車のブレードに関する。
従来の風車のブレードには、剛性と軽量性が求められるが、剛性を高めるためのリブなどが必要であるため、軽量化との兼合いに困難があり、これを解決するために、ブレードを中空体とする技術が特許文献1に開示されている。
特開2009−85009号公報
特許文献1に記載の風車のブレードは、中空とし外郭を炭素繊維を用いたFRPとして、内部に翼長方向に長く、リブを配設したものである。
その製法は、凹部を形成した上下の金型の凹部に、それぞれFRPの層を形成し、下型にリブを形成し、上型を重ねて上下のFRPを合体するものである。
これは、上下の継目部分に脆弱性があり、捩れなどのバランスの崩れた力がかかると破損しやすく、また破損すると飛散して二次災害を起す虞がある。
本発明は、製造が容易で軽量で、破損しにくく、万一破損したとしても二次災害の生じにくい風車のブレードを提供することを目的としている。
本発明の具体的な内容は、次の通りである。
(1)発泡合成樹脂材を主材とし、かつ翼端に傾斜部を有する風車の揚力型ブレードにおいて、完成形とした発泡合成樹脂ブレード原体を縦横任意に分割し、その各ブレード分割材の切断面に軟質合成樹脂からなる接着剤層を形成し、これを完成形状に接合してブレード接合原体とし、その表面に軟質合成樹脂表層を一体に形成して、硬化した前記接着剤層をリブとしてなる風車のブレード。
(2)前記接着剤層を、ウレタン系樹脂とした前記(1)に記載の風車のブレード。
(3)前記ウレタン系樹脂接着剤を、ポリウレア樹脂からなるものとした前記(2)に記載の風車のブレード。
(4)前記ブレード分割材の切断面に、切込みを形成し、切込みに接着剤を溜めてブレード分割材同士を接合する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の風車のブレード。
(5)前記ブレード分割材の、中央縦方向の分割面に形成した接着材層の対面間に、薄板骨材を挾入して、接合してなる前記(1)〜(3)のいずれかに記載の風車のブレード。
(6)前記軟質合成樹脂表層は、ポリウレア樹脂の層である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の風車のブレード。
(7)前記接着剤層によるリブと軟質合成樹脂表層とは接合されている前記(1)〜(6)のいずれかに記載の風車のブレード。
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
前記(1)に記載の発明においては、発泡樹脂を主材としているが、縦横に接着剤層である軟質合成樹脂によるリブが形成されており、表面に軟質合成樹脂の表層が形成されているので、製造工程が簡単でコストが低廉であり、ブレードが軽量なので回転速度が高くなり、かつ耐候性に優れている。
そのため、強風によってもブレードは折損しにくく、仮に破損しても、軽量であるので、落下速度は遅く、しかも表層は軟質であり、内部は発泡樹脂であるので、他に対する衝撃力が小さく、二次災害が生じる虞は小さい。
前記(2)に記載の発明においては、接着剤をウレタン系樹脂としたので、ブレード分割材を接合後に硬化した接着剤層はウレタン樹脂系なので、弾性、耐久性、耐候性などに優れ、リブとして剛性にも優れている。
前記(3)に記載の発明においては、接着剤がポリウレア樹脂であるので、接着剤層が伸率400%の柔軟性と、耐衝撃性に優れ、ブレードの破断や屈曲しにくい特徴がある。
前記(4)に記載の発明においては、ブレード分割材の切断面に、切込みを形成し、切込みに接着剤を溜めてブレード分割材同士を接合すると、切込み部分の接着剤が太いリブとして作用し、ブレードの強度を高いものとする。
前記(5)に記載の発明においては、ブレード分割材の縦方向の接合面に薄板骨材が挟入、接合されているので、大型のブレードにおいて剛性が向上する。
前記(6)に記載の発明においては、表層がポリウレア樹脂であるので、吹付けにより短時間で硬化し、作業性に優れ、また弾力性があるので、ブレードの破損時でも破損片が飛散しにくい。
前記(7)に記載の発明においては、接着剤層によるリブと軟質合成樹脂表層とが接合されているので、ブレードに捻れやその他の力がかかっても、折曲しにくく、破損しにくい効果がある。
本発明の風車のブレードの実施例1の一部破断正面図である。 図1におけるII−II線横断面図である。 発泡樹脂ブレード原体を分割する状態を示す正面図である。 ブレード分割材とした状態を示す正面図である。 図4におけるブレード分割材の一部の切断面に接着剤を塗布した正面図である。 図5におけるブレード分割材を接合した状態の正面図である。 ブレード分割材全部を接合した正面図である。 図7におけるVII−VII線縦断側面図である。 ブレードの1部破断側面図である。 完成したブレードの一部破断正面図である。 図8におけるX−X線横断面図である。 図10におけるブレードの拡大平面図である。 薄板骨材の正面図である。 ブレード分割材の横断平面図である。
以下本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
図1は、横軸プロペラ風車用の、翼端に傾斜部を有する揚力型ブレードの正面図で、図2は、図1におけるII−II線横断面図である。
図1において、ブレード1は、翼根1Aから最大翼弦長部1Bへかけて、弦長を次第に大にしてあり、最大弦長部1Bから先を次第に尖らせるとともに、厚さも先端へ向けて次第に薄くして、最大弦長部1Bを基点として、正面方向へ20度〜45度の範囲で傾斜する傾斜部1Cとしてある。
図1におけるII−II線横断平面を示す図2において、正面1Dは、回転方向に対して2度〜6度の範囲で、前縁1Eよりも後縁1Fを背面1G方向へ傾斜させてある。従って傾斜部1Cは、図1における正面の最大弦長部1Bを基点として、正面1Dと直交する方向へ傾斜している。
図3は、ブレード1の完成形と同じ形状に発泡樹脂材で形成した、発泡樹脂ブレード原体2を示す。素材は、基本的には何でも良いが、ここでは、発泡スチロール樹脂が選択されている。製法としては、発泡樹脂成形板から削機で削り出したもので、型により成形すると、作業性が高まる。
ブレード原体2の正面に、縦横の分割線、すなわち縦割線2Aと横割線2Bとを描いて切断し、図5に示すように分割して、ブレード分割材3、3を形成する。これにより、各切断部分に切断面4が形成される。
ブレード1の長さを、例えば1mとし、約25cmの長さのもの8個に分割した状態を示してある。
図5は、翼根部分の分割材3、3を示し、まず左右で接合可能な縦の分割面4、4に、軟質合成樹脂の接着剤を吹付けて接着剤層5を形成する。ついで、図6のように、接着剤層5、5同士を、接着剤層5が硬化しないうちに接合させる。
翼根から翼端まで同じ工程を繰返し、図7に示すような、ブレード接合原体6を完成させる。
接着剤層5の形成は、刷毛による塗付でもよいが、吹付けによる方が、接着剤の均厚性と作業性に優れている。
接着剤は特に限定しないが、ウレタン系の樹脂を使用し、好ましくはポリウレア樹脂を使用する。ポリウレア樹脂は、伸び率400%で、強度、耐衝撃性、耐磨耗性、断熱性、耐候性等に優れ、かつ短時間硬化により作業性にも優れている。
次に、ブレード接合原体6の表面全体に、図8に示すようにポリウレア樹脂からなる軟質合成樹脂の表層7を形成させる。表層7は、樹脂を塗布するよりも、吹付けの方が、作業性に優れている。まず正面に吹付け、次に反転させて背面に吹付けて硬化させる。
これによって、図9に一部破断面で示すように、ブレード接合原体6の表面に軟質合成樹脂表層7が一体に形成される。
縦横に交差している接着剤層5は、発泡していない合成樹脂であるので、硬化すると、図10に示すように、縦横のリブ8となり、剛性が高まる。
翼長が長いブレードにおいては、縦割を3っ割以上とする。弦長が大の場合には、斜めの筋交い状になるようにする。リブがあっても、中空体では十分な剛性が得がたいが、発泡樹脂材が詰装されているので、リブ8となる接着剤層5の厚さが薄くても、表層7と接合され固定されているため、剛性が高いものとなる。
ブレード1の主要部は合成樹脂発泡体であり、接着剤層5も厚みが薄いので、軽量であり、回転効率が高い。
強風を受けた時には、表層7が軟質合成樹脂であるので、強風を受けて、交差するリブ8に対して、斜め方向に捩れが生じたとしても、折損しにくい。
仮にブレード1が折損したとしても、縦方向のリブ8が折れて、表層7が破損したとしても、その場合には、ブロック状の発泡樹脂の分割材3が破損して飛散する。万一千切れたとしても、軽量なので落下速度が遅く、しかも表層7は軟質合成樹脂からなっているので、衝撃力は小さく、二次災害の発生の虞は小さい。
接着材層5によるリブ8は、軟質なポリウレア樹脂を使用することによって、このリブ8が引伸ばされて切断されたとしても、厚さが薄く、切断面は軟質であるため、万一これが人畜に当っても、人畜に危害を及ぼす虞はない。
図8は、風車のブレードの実施例2の左側面図で、図9は正面図、図10はX−X線横断面図である。図8に示すブレードは縦軸風車のブレード9である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。
ブレード9の製造工程は、実施例1と同じである。図9において、右側が前縁9A、左側が後縁9Bである。上下端部が図9に示すように、回転時における内側方向(縦軸方向)へ傾斜する傾斜部9C、9Cとしてある。
支持腕10をブレード9と一体成形する場合には、ブレード9のリブ8部分と、支持腕10の先端部とが接するように接合させる。また、支持腕10をFRPで形成するときは、任意に骨材10Aを内装させる。
図12は、ブレードの製造過程の実施例3を示す、図11のブレードの拡大平面図である。前例と同じ部材には、同じ符号を付して説明を省略する。図11において、縦割線、横割線を入れて分割したブレード分割材3、3の各切断面4に、接着剤層5を形成して、元の形状に接合する時に、その合わせ目の中間に、樹脂板或いは金属板からなる薄板骨材11を介在させて接合させる。薄板骨材11は、図13に示す孔開板等により軽量化させる。
対面する接着剤層5、5間に、薄板骨材11を挾入すことによって、接着剤のみの場合よりも強靱なリブ8を提供することができ、特に大型のブレードに適する。
なお、図12において、図示しない横割線部分についても、必要に応じて薄板骨材11を介在させる。
図14は、ブレードの製造工程の実施例4を示す、ブレード分割材3の平面図である。前例と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。この実施例4においては、図4における各ブレード分割材3の左右の切断面4、4に、任意の切込み4Aを形成し、接着剤を塗布して、切込み4Aに接着剤を溜めた状態で、左右のブレード分割材3、3を接合させるものである。
ブレードの長手方向の接合が済み、ブレード接合原体6の表面に表層7が形成された時、前記切込み4A部分の硬化した接着剤は、太いリブとしての作用と、効果を備えることとなる。
本発明によると、製造工程が簡単で、剛性の高いブレードを容易に製造することができる。また強風に遭っても折損しにくく、仮に破損したとしても破片が軽量であるため、落下速度が遅く、しかもブレードの表層は軟質であるため、衝撃力は小さく、かつリブ部分も薄くて軟質であるため、二次災害の発生のおそれは小さく、風力発電用に広く活用することができる。
1.風車のブレード
1A.翼根
1B.最大弦長部
1C.傾斜部
1D.前縁
1E.後縁
1F.正面
1G.背面
2.発泡樹脂ブレード原体
2A.縦割線
2B.横割線
3.ブレード分割材
4.分割面
5.接着剤層
6.ブレード接合原体
7.軟質合成樹脂表層
8.リブ
9.風車のブレード
9A.前縁
9B.後縁
9C.傾斜部
9D.左側(内側)面
10.支持腕
10A.骨材
11.薄板骨材

Claims (7)

  1. 発泡合成樹脂材を主材とし、かつ翼端に傾斜部を有する風車の揚力型ブレードにおいて、完成形とした発泡合成樹脂ブレード原体を縦横任意に分割し、その各ブレード分割材の分割面に軟質合成樹脂材からなる接着剤層を形成し、これを完成形状に接合してブレード接合原体とし、その表面に軟質合成樹脂表層を一体に形成して、硬化した前記接着剤層をリブとしてなることを特徴とする風車のブレード。
  2. 前記接着剤層を、ウレタン系樹脂としたことを特徴とする請求項1に記載の風車のブレード。
  3. 前記ウレタン系樹脂接着剤を、ポリウレア樹脂からなるものとしたことを特徴とする請求項2に記載の風車のブレード。
  4. 前記ブレード分割材の切断面に、切込みを形成し、切込みに接着剤を溜めてブレード分割材同士を接合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の風車のブレード。
  5. 前記ブレード分割材の、中央縦方向の分割面に形成した接着材層の対面間に、薄板骨材を挾入して、接合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の風車のブレード。
  6. 前記軟質合成樹脂表層は、ポリウレア樹脂の層であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の風車のブレード。
  7. 前記接着剤層によるリブと軟質合成樹脂表層とは接合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の風車のブレード。
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