JP2017016828A - マイクロ波プラズマ生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低圧下においても安定したマイクロ波プラズマを生成することができるマイクロ波プラズマ生成装置を提供する。
【解決手段】 マイクロ波プラズマ生成装置1は、マイクロ波を伝送する第一導波管10Uと、真空容器80内に配置され、磁性体からなる管壁部43と、複数のスロット440が形成されたスロットアンテナ44と、管内部に少なくともスロット440を覆うように配置される第二誘電体45と、を有し一方向に延在する第二導波管41と、第二導波管41の外側に配置されスロットアンテナ44のプラズマ生成側の表面におけるスロット440位置に電子サイクロトロン共鳴が生じる磁場を形成する磁石50a、50bと、を有するプラズマ生成部20と、第一導波管10Uと第二導波管41との間に介在し、管内部に第二誘電体45よりも屈折率が小さい第三誘電体31を有する第三導波管30Uと、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波を用いてプラズマを生成するマイクロ波プラズマ生成装置に関する。
マイクロ波を利用した表面波プラズマは、広い空間領域に高密度のプラズマを生成することができるという利点から、樹脂部品、樹脂フィルム、半導体などの表面に対するクリーニング、改質、成膜などの様々な処理に用いられる。例えば特許文献1、2に記載されているように、従来のマイクロ波プラズマ生成装置は、導波管とスロットアンテナと誘電体板とを備える。スロットアンテナは、導波管の開口部に配置される。スロットアンテナには、複数のスロットが形成される。誘電体板は、スロットアンテナに積層して配置される。導波管により伝送されるマイクロ波は、スロットアンテナのスロットを通過し、誘電体板に入射して誘電体板の表面を伝播する。伝播するマイクロ波の強電界により真空容器内のガスが電離して、マイクロ波プラズマが生成される。
不純物の混入を抑制して、処理の純度を高めるためには、マイクロ波プラズマ処理をできるだけ低圧下で行うことが望ましい。しかし、従来のマイクロ波プラズマ生成装置によると、低圧下で安定したマイクロ波プラズマを生成することが難しく、処理圧力を5Pa程度までにしか下げることができなかった。また、誘電体板は、表面にマイクロ波を伝播させて、プラズマを生成する役割を果たしている。しかし、誘電体板が真空容器内に表出しているため、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)などにより成膜を行う場合、誘電体板の表面に膜の成分が付着しやすい。これにより、プラズマ密度が低下してしまう。また、付着した膜の成分が、伝播するマイクロ波により発熱し、誘電体板が割れるおそれもあった。
特開2009−224269号公報 特開2005−197371号公報 国際公開2014/103604号 特開2009−146837号公報
上述した問題を解決するため、本発明者は、誘電体板が真空容器内に表出していないマイクロ波プラズマ生成装置を開発した(特許文献3参照)。図5に、特許文献3に記載されているマイクロ波プラズマ生成装置の構成を示す。図5に示すように、マイクロ波プラズマ生成装置9は、右から順に、第一導波管90と、第三導波管91と、第二導波管92と、を備えている。第一導波管90、第三導波管91、および第二導波管92は、いずれもアルミニウム製である。第三導波管91は、第一導波管90と第二導波管92との間に配置されている。第三導波管91の内部には、図5中、点線で示すように、石英からなる第三誘電体910が充填されている。第二導波管92は、スロットアンテナ920を有している。スロットアンテナ920は、第二導波管92の前壁として配置されている。スロットアンテナ920には、前後方向に貫通するスロット921が形成されている。第二導波管92の内部には、図5中、一点鎖線で示すように、アルミナからなる第二誘電体922が充填されている。
図5中、矢印で示すように、マイクロ波は、第一導波管90、第三導波管91、第二導波管92の順に伝播する。第二導波管92を伝播するマイクロ波は、スロットアンテナ920のスロット921を通過して、スロットアンテナ920の前面を伝播する。この時のマイクロ波の強電界により真空容器内のガスが電離して、スロットアンテナ920の前方にマイクロ波プラズマが生成される。
マイクロ波プラズマ生成装置9においては、第二導波管92の内部に空気より屈折率が大きい第二誘電体922が充填されている。これにより、第二導波管92を伝播するマイクロ波の波長は、空気中を伝播する時の波長よりも短くなり、第二導波管92内において電界強度が大きくなる部分が増加する。このため、スロットアンテナ920には、従来と比較して多くのスロット921を形成することができる。こうすると、スロットアンテナ920の前面の電界強度が大きくなるため、従来よりも低圧下でマイクロ波プラズマを生成しやすくなる。
また、図5に示すマイクロ波プラズマ生成装置9によると、スロットアンテナ920の前側に誘電体板を配置する必要はない。換言すると、マイクロ波プラズマ生成装置9は、真空容器内に表出する誘電体板を有さない。このため、成膜処理に使用しても、誘電体板の表面に膜の成分が付着するという問題は生じない。
しかしながら、図5に示すマイクロ波プラズマ生成装置は、マイクロ波プラズマをより低圧下で安定して生成させるという点において、充分とはいえない。具体的には、数Pa程度の低圧下でプラズマを生成させる場合、最初に数十〜100Pa程度でプラズマを生成させておいてから、目的とする低圧まで圧力を低下させることが必要であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、低圧下においても安定したマイクロ波プラズマを生成することができるマイクロ波プラズマ生成装置を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置は、真空容器内のガスを電離してマイクロ波プラズマを生成するマイクロ波プラズマ生成装置であって、マイクロ波を伝送する第一導波管と、該真空容器内に配置され、磁性体からなる管壁部と、管内部を伝播する該マイクロ波が通過する複数のスロットが形成されたスロットアンテナと、管内部に少なくとも該スロットを覆うように配置される第二誘電体と、を有し一方向に延在する第二導波管と、該第二導波管の外側に配置され該スロットアンテナのプラズマ生成側の表面における該スロット位置に電子サイクロトロン共鳴が生じる磁場を形成する磁石と、を有するプラズマ生成部と、該第一導波管と該第二導波管との間に介在し、管内部に該第二誘電体よりも屈折率が小さい第三誘電体を有する第三導波管と、を備えることを特徴とする。
本発明のマイクロ波プラズマ生成装置においては、第二導波管の内部に第二誘電体が配置される。これにより、第二導波管内を伝播するマイクロ波の波長は、空気中を伝播する時の波長よりも短くなる。上述したように、マイクロ波の波長が短くなると、第二導波管内において電界強度が大きくなる部分が増加する。このため、スロットアンテナに多くのスロットを形成することができる。スロット間隔を小さくして、スロットを多数形成すると、スロットアンテナの単位面積当たりの電界強度が大きくなる。また、スロットが密に形成されると、隣接するスロットを通過するマイクロ波が互いに補完し合うことにより、スロットアンテナの表面全体の電界強度を大きくすることができる。
通常、屈折率が異なる媒体に対してマイクロ波を伝播させると、媒体の境界でマイクロ波の反射が生じてしまう。この点、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置においては、第一導波管と第二導波管との間に第三導波管が介在している。第三導波管内の第三誘電体の屈折率は、第二導波管内の第二誘電体の屈折率よりも小さい。よって、第一導波管から伝送されるマイクロ波は、一旦、第三導波管において波長が変換された後に、第二導波管に伝送される。波長の変換を二段階(若しくはそれ以上)で行うことにより、第一導波管から第二導波管へ直接マイクロ波を伝送する場合と比較して、第二導波管へ入射する際のマイクロ波の反射を、抑制することができる。これにより、マイクロ波のエネルギーが低下するのを抑制することができる。例えば、第一導波管内に充填物が無く、マイクロ波が空気中を伝送される場合、第三誘電体としては、屈折率が空気の屈折率よりも大きく、かつ、第二誘電体の屈折率よりも小さいものを採用すればよい。
このように、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置においては、スロットアンテナの表面の電界強度を大きくすることができるため、第二導波管を長尺状にした場合においても、長手方向に略均一なマイクロ波の放射が可能になる。また、第二導波管の短手方向の断面積を小さくして、第二導波管を小型化することができる。この場合、改質や成膜処理に必要な他の部材や装置との干渉が抑制される。したがって、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置は、例えば、被処理部材を供給、搬送する装置を備え改質処理や成膜処理を連続して行うような処理装置にも組み込みやすい。
加えて、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置のプラズマ生成部は、第二導波管の外側に磁石を有する。これにより、スロットアンテナのプラズマ生成側の表面におけるスロット位置に磁場を形成し、電子サイクロトロン共鳴(ECR)を発生させながらECRプラズマを生成することができる。マイクロ波プラズマ中の電子は、サイクロトロン角周波数ωceに従って、磁力線方向に対して右回りの旋回運動を行う。一方、マイクロ波プラズマ中を伝播するマイクロ波は、電子サイクロトロン波と呼ばれる右回りの円偏波を励起する。電子サイクロトロン波が前方に伝播し、その角周波数ωがサイクロトロン角周波数ωceに一致すると、電子サイクロトロン波が減衰し、波動エネルギーが電子に吸収される。すなわち、ECRが生じる。
ECRが発生するためには、マイクロ波の周波数f[MHz]とスロット位置の磁束密度B[mT]とが次式(i)を満たす必要がある。
ωce=2πf=eB/m ・・・(i)
[式(i)中、eは素電荷、mは電子の質量。]
式(i)を展開すると、B=f/28となる。例えば、マイクロ波の周波数が2.45GHzの場合、スロット位置には87.5mTの磁束密度が必要になる。また、マイクロ波の周波数が915MHzの場合、スロット位置には32.7mTの磁束密度が必要になる。
ECRによりエネルギーが増大した電子は、磁力線に拘束されながら、周辺の中性粒子と衝突する。これにより、中性粒子が次々に電離する。電離により生じた電子も、ECRにより加速され、さらに中性粒子を電離させる。このようにして、高密度のECRプラズマが生成される。
このように、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置によると、ECRを利用してプラズマ密度を大きくすることにより、1Pa以下の低圧下、さらには0.5Pa以下の極低圧下においても、安定したプラズマを生成することができる。また、予め数十〜100Pa程度でプラズマを生成させておく必要はなく、真空容器内を所望の低圧にした状態でプラズマを生成させることができる。したがって、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置によると、真空容器内の圧力を低くして、純度の高い処理を行うことができる。
ちなみに、導波管の近傍に磁石が配置されると、導波管内部の電磁場が乱されるおそれがある。例えば、上記特許文献4には、永久磁石25a〜25dを備えるマイクロ波プラズマ処理装置が記載されている。このうち、永久磁石25a、25bは、導波管15aを挟んで導波管15aの長手方向に沿って配置されている。永久磁石25a、25bの磁極は不明であるが、導波管15aの材質はアルミニウム合金である(特許文献4の段落[0028])。このため、永久磁石25a、25bの磁場が導波管15aの内部に作用して、導波管15a内の電磁場を変化させ、マイクロ波の伝播に影響を与えると考えられる。
これに対して、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置によると、第二導波管の壁部(管壁部)は磁性体から形成される。磁石と第二導波管の壁部とで磁気回路を形成することにより、磁力線が第二導波管の内部に侵入するのを抑制すると共に、スロットアンテナの表面の磁場を強くすることができる。
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記第二導波管の前記管内部および前記第三導波管の前記管内部は真空である構成にするとよい。
例えば、第二導波管の管内部のみを真空にする場合、スロットアンテナと第二誘電体との間の真空シール、スロットアンテナと管壁部との間の真空シールなど、第二導波管を構成する部材同士の真空シールが必要になる。さらに、第二導波管と第三導波管との間の真空シールも必要になる。しかし、部材ごとに真空シールを行うのは煩雑であり、寸法上真空シールが困難な場合もある。また、第二導波管は高温になるため、真空シールの熱対策が必要になる。この点、本構成によると、第二導波管の管内部と第三導波管の管内部とを全て真空にすることにより、部材ごとに真空シールを行う必要がなくなり、真空シールの熱対策も不要になる。
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記真空容器内の前記ガスの圧力は、0.05Pa以上20Pa以下である構成にするとよい。
本構成によると、真空容器内が高真空状態になるため、不純物の混入が抑制され、処理の純度を高めることができる。また、生成したマイクロ波プラズマを広げることができる。
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記第二誘電体は、石英、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、酸化マグネシウムから選ばれる一種である構成にするとよい。
石英、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、酸化マグネシウムは、マイクロ波を吸収しにくい。つまり、プラズマソースとなるマイクロ波の損失が少ないため好適である。
また、第三誘電体は、第二誘電体よりも屈折率が小さければよい。このため、第三誘電体は、第二誘電体との組合せを考慮して、適宜選択すればよい。例えば、第二誘電体として石英を用いた場合には、第三誘電体は、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いればよい。第二誘電体としてアルミナを用いた場合には、第三誘電体は、石英などを用いればよい。
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記第二導波管の短手方向断面は矩形状を呈し、前記スロットアンテナは該第二導波管のH面に配置される構成にするとよい。
(6)好ましくは、上記(1)ないし(5)のいずれかの構成において、前記第一導波管は、前記第二導波管の上流側に配置される上流側第一導波管と、下流側に配置される下流側第一導波管とを有し、該上流側第一導波管および該下流側第一導波管は、該第二導波管を挟んで対称なL字状に配置され、前記第三導波管は、少なくとも該上流側第一導波管と該第二導波管との間に介在する構成にするとよい。
本発明のマイクロ波プラズマ生成装置は、第一導波管として下流側第二導波管が配置されない形態、すなわち上流側第一導波管のみが配置される形態でも構わない。しかしながら、本構成のように、第二導波管の下流側にも導波管を接続させ、そこにプランジャなどの終端調整部材を配置することにより、管長を調整することができる。ここで、上流側第一導波管および下流側第一導波管は、第二導波管を挟んで対称なL字状に配置される。このため、第一導波管(上流側第一導波管および下流側第一導波管)を真空容器の一つの隔壁に貫通させて、マイクロ波プラズマ生成装置を真空容器に取り付けることができる。これにより、上流側第一導波管、プラズマ生成部、下流側第一導波管を直線状に配置する形態と比較して、取り付けが容易になり、省スペース化を図ることができる。また、上流側第一導波管、下流側第一導波管、プラズマ生成部、第三導波管、および隔壁をユニット化しておくと、種々の処理装置にマイクロ波プラズマ生成装置を容易に組み込むことができる。
(7)好ましくは、上記(6)の構成において、前記下流側第一導波管は、終端位置を変化させる終端調整部材を有する構成にするとよい。
本構成によると、終端調整部材により管長を伸縮して、スロット位置の電界強度を調整することができる。これにより、スロットからマイクロ波が伝播しやすくなり、安定したプラズマを生成することができる。
第一実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置を備えるマイクロ波プラズマ処理装置を上方から見た断面図である。 同マイクロ波プラズマ生成装置の前面図である。 図2のIII−III断面図である。 第二実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置の左側面図である。 従来のマイクロ波プラズマ生成装置の斜視図である。 マイクロ波の出力に対する電子密度の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置の実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[マイクロ波プラズマ生成装置の構成]
まず、本実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置の構成について説明する。図1に、本実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置を備えるマイクロ波プラズマ処理装置を上方から見た断面図を示す。図2に、同マイクロ波プラズマ生成装置の前面図を示す。図3に、図2のIII−III断面図を示す。図1〜図3に示すように、マイクロ波プラズマ処理装置8は、真空容器80と、マイクロ波プラズマ生成装置1と、を備えている。
真空容器80は、アルミ鋼製であって、直方体箱状を呈している。真空容器80の後側の隔壁83には、二つの導波管挿通孔81U、81Dが穿設されている。導波管挿通孔81Uには、マイクロ波プラズマ生成装置1の上流側第一導波管10Uが挿通されている。導波管挿通孔81Dには、マイクロ波プラズマ生成装置1の下流側第一導波管10Dが挿通されている。真空容器80の右壁には、ガス供給孔82が穿設されている。ガス供給孔82には、真空容器80の内部にガスを供給するためのガス供給管が接続されている。真空容器80の下壁には、排気孔(図略)が穿設されている。排気孔には、真空容器80の内部のガスを排出するための真空排気装置が接続されている。
マイクロ波プラズマ生成装置1は、上流側第一導波管10Uと、下流側第一導波管10Dと、プラズマ生成部20と、上流側第三導波管30Uと、下流側第三導波管30Dと、を備えている。
上流側第一導波管10Uは、アルミニウム製であって、断面矩形の管状を呈している。上流側第一導波管10Uは、上方から見てL字状を呈している。上流側第一導波管10Uの上流端は、図示しないマイクロ波伝送部に接続されている。マイクロ波伝送部は、マイクロ波電源、マイクロ波発振器、アイソレータ、パワーモニタ、およびEH整合器を備えている。上流側第一導波管10Uの下流端は、上流側第三導波管30Uに接続されている。
下流側第一導波管10Dは、アルミニウム製であって、断面矩形の管状を呈している。下流側第一導波管10Dは、上方から見て、プラズマ生成部20を挟んで上流側第一導波管10Uと対称のL字状(逆L字状)を呈している。下流側第一導波管10Dの上流端は、下流側第三導波管30Dに接続されている。下流側第一導波管10Dの下流側には、プランジャ11が配置されている。プランジャ11は、前後方向に移動可能であり、プランジャ11の前面が下流側第一導波管10Dの終端を形成している。プランジャ11は、本発明の終端調整部材の概念に含まれる。
プラズマ生成部20は、真空容器80内に配置され、本体部21と一対の磁石部22a、22bとを有している。本体部21は、筐体40と、第二導波管41と、三つの冷却板42と、を有している。筐体40は、Niめっきが施された鉄製であり、直方体状を呈している。筐体40は、凹部400を有している。凹部400は、断面が角C字状で左右方向に延在している。三つの冷却板42は、各々、ステンレス鋼製であり、左右方向に延在している。三つ冷却板42は、凹部400の上方、下方、後方の三方に一つずつ配置されている。
第二導波管41は、凹部400に配置され、左右方向に直線状に延在している。第二導波管41は、管壁部43と、スロットアンテナ44と、第二誘電体45と、を有している。管壁部43は、Niめっきが施された鉄製である。スロットアンテナ44は、鉄製であり、矩形板状を呈している。スロットアンテナ44は、第二導波管41のH面に配置されている。スロットアンテナ44は、第二導波管41の前壁を形成している。スロットアンテナ44には、前後方向に貫通するスロット440が複数個形成されている。複数のスロット440は、各々、左右方向に伸びる長孔状を呈し、上下二列に配置されている。スロット440は、マイクロ波の定在波の腹の位置に対応して配置されている。管壁部43とスロットアンテナ44とにより、断面矩形状の空間が形成されている。第二誘電体45は、当該空間に充填されている。第二誘電体45は、アルミナ製であって、直方体状を呈している。第二誘電体45は、スロット440を後方から覆っている。
一対の磁石部22a、22bは、本体部21の前面に、スロットアンテナ44を挟むようにして上下に一つずつ配置されている。上方の磁石部22aは、左右方向に直線状に延在している。磁石部22aは、永久磁石50aと二つの冷却パイプ51a、52aとを有している。永久磁石50aは、左右方向に直線状に連結された十個の永久磁石から構成されている。十個の永久磁石は、各々、サマリウムコバルト磁石であり、直方体状を呈している。十個の永久磁石の下側はN極、上側はS極である。永久磁石50aのN−S方向は、スロットアンテナ44の前面に対して平行である。永久磁石50aの下面は、アルミニウム製のカバー部材53aで覆われている。冷却パイプ51a、52aは、前後方向において永久磁石50aを挟むように配置されている。冷却パイプ51a、52a内には、冷却液が流れている。下方の磁石部22bの構成は、磁石部22aの構成と同じである。すなわち、磁石部22bは、左右方向に直線状に延在し、永久磁石50bと二つの冷却パイプ51b、52bとを有している。永久磁石50bは、直線状に連結された十個の永久磁石から構成されている。十個の永久磁石の上側はN極、下側はS極である。永久磁石50bのN−S方向は、スロットアンテナ44の前面に対して平行である。永久磁石50bの上面は、アルミニウム製のカバー部材53bで覆われている。冷却パイプ51b、52bは、前後方向において永久磁石50bを挟むように配置されている。冷却パイプ51a、52b内には、冷却液が流れている。
永久磁石50a、50bにより、スロットアンテナ44の前面(プラズマ生成側の表面)には磁場が形成されている。スロット440位置において、スロットアンテナ44の前面から前方に10mm離間した地点の磁束密度は、87.5mTである。
上流側第三導波管30Uは、アルミニウム製であって、断面矩形の短い管状を呈している。上流側第三導波管30Uは、上流側第一導波管10Uとプラズマ生成部20との間に配置されている。上流側第三導波管30Uの上流端は、上流側第一導波管10Uの下流端に接続されている。上流側第三導波管30Uの下流端は、第二導波管41の上流端に接続されている。上流側第三導波管30Uの内部には、第三誘電体31が充填されている。第三誘電体31は、石英製であって、直方体状を呈している。第三誘電体31の右端は、第二誘電体45に接触している。第三誘電体31(石英)の屈折率は、上流側第一導波管10Uの内部(空気)の屈折率と第二誘電体45(アルミナ)の屈折率との中間値である。
下流側第三導波管30Dは、アルミニウム製であって、断面矩形の短い管状を呈している。下流側第三導波管30Dは、下流側第一導波管10Dとプラズマ生成部20との間に配置されている。下流側第三導波管30Dの上流端は、第二導波管41の下流端に接続されている。下流側第三導波管30Dの下流端は、下流側第一導波管10Dの上流端に接続されている。下流側第三導波管30Dの構成は、上流側第三導波管30Uの構成と同じである。すなわち、下流側第三導波管30Dの内部には、第三誘電体31が充填されている。第三誘電体31の左端は、第二誘電体45に接触している。図1、図2に示すように、上流側第三導波管30Uから下流側第三導波管30Dまでの区間Vの管内部は、真空になっている。上流側第三導波管30Uの上流端および下流側第三導波管30Dの下流端には、図示しないシール部材が配置されている。
[マイクロ波プラズマ生成装置の動作]
次に、マイクロ波プラズマ生成装置1の動作について説明する。まず、真空排気装置を作動させて、真空容器80の内部のガスを排出し、真空容器80の内部を減圧状態にする。次に、ガス供給管から、所定のガスを真空容器80内へ供給し、真空容器80内の圧力を所定の圧力にする。続いて、マイクロ波伝送部のマイクロ波電源をオンにして、マイクロ波発振器から周波数2.45GHzのマイクロ波を発振する。発振されたマイクロ波は、図1中、白抜き矢印で示すように、上流側第一導波管10Uを通って上流側第三導波管30U内を伝播する。上流側第三導波管30Uの内部には、石英製の第三誘電体31が充填されている。このため、上流側第三導波管30U内において、マイクロ波の波長は変換され短くなる。続いて、マイクロ波は、プラズマ生成部20の第二導波管41内を伝播する。第二導波管41内には、アルミナ製の第二誘電体45が充填されている。このため、第二導波管41内において、マイクロ波の波長はさらに短くなる。第二導波管41を通過したマイクロ波は、下流側第三導波管30Dを通って下流側第一導波管10Dに伝播する。
第二導波管41内において、マイクロ波は、スロットアンテナ44のスロット440を通過して、スロットアンテナ44の前面を伝播する。このマイクロ波の強電界により、真空容器80内のガスが電離して、スロットアンテナ44の前方にマイクロ波プラズマが生成される。生成したマイクロ波プラズマ中の電子は、サイクロトロン角周波数に従って、磁力線方向に対して右回りの旋回運動を行う。一方、マイクロ波プラズマ中を伝播するマイクロ波は、電子サイクロトロン波を励起する。電子サイクロトロン波の角周波数は、磁束密度87.5mTで、サイクロトロン角周波数に一致する。これにより、ECRが生じる。ECRによりエネルギーが増大した電子は、磁力線に拘束されながら、周辺の中性粒子と衝突する。これにより、中性粒子が次々に電離する。電離により生じた電子も、ECRにより加速され、さらに中性粒子を電離させる。このようにして、スロットアンテナ44の前方に、ECRプラズマPが生成される。これにより、予めスロットアンテナ44の前方に対向配置されていたワーク(図略)が処理される。
[作用効果]
次に、本実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置の作用効果について説明する。マイクロ波プラズマ生成装置1においては、第二導波管41の内部に第二誘電体45が配置されている。これにより、第二導波管41内を伝播するマイクロ波の波長は、上流側第一導波管10U内を伝播する時の波長よりも短くなる。これにより、スロットアンテナ44に多数のスロット440を形成することができるため、スロットアンテナ44の前面全体の電界強度が大きくなる。また、上流側第一導波管10Uと第二導波管41との間には、上流側第三導波管30Uが介在している。上流側第三導波管30U内の第三誘電体31の屈折率は、第二誘電体45の屈折率よりも小さい。よって、上流側第一導波管10Uから伝送されるマイクロ波は、一旦、上流側第三導波管30Uにおいて波長が変換された後に、第二導波管41へ伝送される。波長の変換を二段階で行うことにより、上流側第一導波管10Uから第二導波管41へ直接マイクロ波を伝送する場合と比較して、第二導波管41へ入射する際のマイクロ波の反射を抑制することができる。これにより、マイクロ波のエネルギーが低下するのを抑制することができる。
このように、マイクロ波プラズマ生成装置1においては、スロットアンテナ44の前面の電界強度が大きいため、長尺状の第二導波管41により、長手方向に略均一なマイクロ波を放射することができる。また、第二導波管41の短手方向の断面積を小さくして、第二導波管41を小型化することができる。すなわち、プラズマ生成部20を小型化することができる。この場合、改質や成膜処理に必要な他の部材や装置との干渉が抑制される。したがって、マイクロ波プラズマ生成装置1は、例えば、被処理部材を供給、搬送する装置を備え改質処理や成膜処理を連続して行うような処理装置にも組み込みやすい。
プラズマ生成部20は、スロットアンテナ44を挟んで配置される一対の永久磁石50a、50bを有している。これにより、スロットアンテナ44の前面に磁場を形成して、ECRプラズマPを生成することができる。このため、マイクロ波プラズマ生成装置1によると、1Pa以下の低圧下、さらには0.5Pa以下の極低圧下においても、安定したECRプラズマPを生成することができる。また、予め数十〜100Pa程度でプラズマを生成させておく必要はなく、真空容器80内を所望の低圧にした状態でECRプラズマPを生成させることができる。したがって、マイクロ波プラズマ生成装置1によると、真空容器80内の圧力を低くして、純度の高い処理を行うことができる。
第二導波管41の管壁部43はNiめっきが施された鉄製であり、スロットアンテナ44は鉄製である。すなわち、管壁部43、スロットアンテナ44はいずれも磁性体から形成されている。よって、図3中、点線矢印で示すように、永久磁石50a−スロットアンテナ44−管壁部43、永久磁石50b−スロットアンテナ44−管壁部43により、磁気回路が形成される。これにより、磁力線が第二導波管41の内部に侵入するのを抑制すると共に、スロットアンテナ44の前面の磁場を強くすることができる。また、一対の永久磁石50a、50bは、N極が対向するように配置されており、かつ、N−S方向が上下方向に、換言するとスロットアンテナ44の面方向と平行に配置されている。これにより、第二導波管41の内部に対する磁場の影響を少なくしつつ、スロットアンテナ44の前面の磁場を強くすることができる。また、管壁部43は、表面の導電性が高く磁気回路が形成されやすいと共に、防食性に優れる。
永久磁石50aの厚さ方向両側には、冷却パイプ51a、52aが配置されている。永久磁石50bの厚さ方向両側には、冷却パイプ51b、52bが配置されている。これにより、永久磁石50a、50bの温度上昇が抑制され、磁性の低下を抑制することができる。また、第二導波管41の周囲にも、冷却板42が配置されている。これにより、第二導波管41の内部の温度上昇が抑制される。
永久磁石50aにおいて、スロットアンテナ44に近い後面は冷却パイプ51aに接しており、下面はカバー部材53aで覆われている。永久磁石50bにおいて、スロットアンテナ44に近い後面は冷却パイプ51bに接しており、上面はカバー部材53bで覆われている。このようにして、生成するECRプラズマPに対して永久磁石50a、50bを保護している。
マイクロ波プラズマ生成装置1においては、第二導波管41の下流側にも導波管(下流側第三導波管30D、下流側第一導波管10D)が接続されている。下流側第一導波管10Dは、終端位置を調整するためのプランジャ11を有している。プランジャ11を前後方向に移動させ、下流側第一導波管10Dの長さを調整することにより、スロット440位置の電界強度を調整することができる。これにより、スロット440からマイクロ波が伝播しやすくなり、安定したプラズマを生成することができる。また、上流側第三導波管30Uから下流側第三導波管30Dまでの区間Vの管内部は真空である。これにより、第二導波管41を構成する部材間(スロットアンテナ44と第二誘電体45との間、スロットアンテナ44と管壁部43との間など)や、第二導波管41と上流側第三導波管30U、下流側第三導波管30Dとの間で真空シールを行う必要はなく、真空シールの熱対策も不要である。
上流側第一導波管10Uと下流側第一導波管10Dとは、上方から見て、第二導波管41を挟んで対称なL字状に配置されている。このため、上流側第一導波管10Uおよび下流側第一導波管10Dを真空容器80の隔壁83に貫通させて、マイクロ波プラズマ生成装置1を真空容器80に取り付けることができる。これにより、上流側第一導波管10U、プラズマ生成部20、下流側第一導波管10Dを直線状に配置する形態と比較して、取り付けが容易になり、省スペース化を図ることができる。また、上流側第一導波管10U、上流側第三導波管30U、プラズマ生成部20、下流側第三導波管30D、下流側第一導波管10D、および隔壁83をユニット化しておくと、種々の処理装置にマイクロ波プラズマ生成装置1を容易に組み込むことができる。
<第二実施形態>
本実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置と、第一実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置と、の相違点は、上流側第一導波管および下流側第一導波管を途中で下方に傾斜させた点である。したがって、ここでは相違点を中心に説明する。また、上流側第一導波管の構成と下流側第一導波管の構成とは同じである。したがって、ここでは上流側第一導波管の構成について説明する。
図4に、本実施形態のマイクロ波プラズマ生成装置の左側面図を示す。図4において、図1と対応する部材は同じ符号で示す。図4に示すように、上流側第一導波管10Uは、真空容器の後側の隔壁83を貫通した後、下方に傾斜して配置されている。上流側第一導波管10Uの水平面に対する傾斜角度αは25°である。上流側第一導波管10Uの上壁は、水平部と傾斜部との境界付近に、面取りされ緩やかに傾斜する面取り部100Uを有している。
本実施形態によると、処理対象であるワークWに対して最適な角度でECRプラズマを照射することができる。また、ワークWにプラズマ生成部20をより近づけることができるため、省スペース化を図ることができる。また、水平部と傾斜部との境界付近に面取り部100Uが配置されることにより、傾斜部の壁面によるマイクロ波の反射を抑制することができる。したがって、マイクロ波のエネルギーが低下しにくい。
<その他の形態>
以上、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
第一導波管、プラズマ生成部、第三導波管の大きさは特に限定されない。上記実施形態においては、第二導波管の下流側にも下流側第三導波管および下流側第一導波管を配置した。しかし、第二導波管の下流側の導波管は、必ずしも必要ではない。例えば、マイクロ波プラズマ生成装置を、上流側第一導波管、上流側第三導波管、およびプラズマ生成部により構成してもよい。この場合、第二導波管の終端を金属製の壁にすればよい。また、上記実施形態においては、上流側第一導波管および下流側第一導波管を上方から見てL字状に配置した。しかし、上流側第一導波管および下流側第一導波管の配置形態は、特に限定されない。例えば、上流側第一導波管および下流側第一導波管の少なくとも一方とプラズマ生成部とを直線状に配置してもよい。第二実施形態のように、上流側第一導波管および下流側第一導波管の少なくとも一方を傾斜させて配置してもよい。この場合、傾斜角度は特に限定されない。下流側第一導波管を配置する場合、下流側第一導波管は終端調整部材を有さなくてもよい。すなわち、下流側第一導波管の終端は固定端でもよい。終端調整部材の構成も特に限定されない。
上記実施形態においては、第二導波管(管壁部)の材質として、Niめっきが施された鉄を採用した。しかし、第二導波管の材質は磁性体であればよく、その種類は特に限定されない。磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、およびこれらを用いた合金類が好適である。上記実施形態においては、鉄製のスロットアンテナを採用した。しかし、スロットアンテナの材質は、金属であればよく、鉄の他、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮などでも構わない。
スロットアンテナのプラズマ生成側の表面に磁場を形成する磁石は、ECRを発生させることができれば、その形状、種類、個数、配置形態等は特に限定されない。例えば、永久磁石ではなく、電磁石を用いてもよい。磁石は、スロットが形成された位置において、スロットアンテナの表面から垂直方向に10mm離間した地点における磁束密度B[mT]がB≧f/28(fはマイクロ波の周波数[MHz])となるように、配置されることが望ましい。上記実施形態においては、スロットアンテナの長手方向に沿ってスロットアンテナの両側に磁石を配置した。しかし、スロットアンテナの片側にのみ磁石を配置してもよい。スロットアンテナの両側に磁石を配置する場合、同じ磁極が対向するように配置するとよい。こうすることにより、第二導波管の内部に対する磁場の影響を少なくしつつ、スロットアンテナの表面の磁場を強くすることができる。上記実施形態においては、一対の永久磁石をN極同士が対向するように配置したが、S極同士が対向するように配置してもよい。
上記実施形態においては、永久磁石の温度上昇を抑制するために、永久磁石の近傍に冷却パイプを配置した。しかし、永久磁石の冷却手段の構成、数、配置形態などは、特に限定されない。例えば、冷却パイプの代わりに、あるいは冷却パイプと組み合わせて、冷却板などを配置してもよい。また、上記実施形態においては、第二導波管の内部の温度上昇を抑制するために、第二導波管の周囲に冷却板を配置した。しかし、第二導波管の冷却手段は必ずしも必要ではない。第二導波管の冷却手段を配置する場合、その構成、数、配置形態などは特に限定されない。
スロットアンテナに形成されるスロットの数、形状、配置などは、特に限定されない。スロットの配列は、一列でも、二列以上でもよい。スロットの数は、奇数個でも偶数個でもよい。また、スロットの配置角度を変えて、ジグザグ状に配置してもよい。
第二誘電体、第三誘電体の材質については、特に限定されない。いずれについても、誘電率が低く、マイクロ波を吸収しにくい材料が望ましい。例えば、石英、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが好適である。ここで、第三誘電体としては、屈折率が、第二誘電体の屈折率よりも小さいものを選択する。第三誘電体の屈折率は、第一導波管の内部の屈折率と第二誘電体の屈折率との間の値であることが望ましい。上記実施形態においては、第二導波管内の空間全体に第二誘電体を配置した。しかし、第二誘電体は、少なくともスロットを覆うように配置されていればよく、必ずしも内部空間の全体に配置される必要はない。
上記実施形態においては、周波数2.45GHzのマイクロ波を使用した。しかし、マイクロ波の周波数は、2.45GHz帯に限定されるものではなく、300MHz〜100GHzの周波数帯であれば、いずれの周波数帯を用いてもよい。この範囲の周波数帯としては、例えば、8.35GHz、1.98GHz、915MHzなどが挙げられる。
真空容器内の圧力は、処理に応じて適宜決定すればよい。本発明のマイクロ波プラズマ生成装置は、0.05Pa以上20Pa以下の比較的低圧下でマイクロ波プラズマを生成することができる。真空容器内の好適な圧力は、0.1Pa以上4Pa以下である。4Pa以下の高真空状態にすることにより、不純物の混入が抑制され、処理の純度を高めることができる。供給するガスは、処理に応じて適宜決定すればよい。例えば、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの希ガス、窒素(N)、酸素(O)、水素(H)などが挙げられる。供給するガスは、一種でも二種以上でもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<低圧下におけるマイクロ波プラズマの生成>
[実施例1]
上記第一実施形態のマイクロ波プラズマ処理装置8を用いて、0.4Paの圧力下におけるマイクロ波プラズマの生成状態を確認した。以下の処理における部材の符号は、前出図1に対応している。
まず、真空排気装置を作動させて、真空容器80の内部のガスを排気孔から排出し、真空容器80の内部圧力を8×10−3Paとした。次に、ガス供給孔82からアルゴンガスを真空容器80内へ供給して、真空容器80の内部圧力を0.4Paとした。続いて、マイクロ波電源をオンにして、発振された出力1.6kWのマイクロ波(周波数2.45GHz)を上流側第一導波管10U、上流側第三導波管30U、プラズマ生成部20、下流側第三導波管30D、および下流側第一導波管10Dに伝送して、スロットアンテナ44の前方におけるマイクロ波プラズマの生成状態を目視確認した。その結果、マイクロ波プラズマが安定して生成されていることを確認した。
このように、本発明のマイクロ波プラズマ生成装置は、予め数十Paの圧力にてマイクロ波プラズマを生成しておかなくても、1Pa以下の低圧下で安定したマイクロ波プラズマを生成できることが確認された。
[比較例1]
真空容器内に、永久磁石を備えない従来のマイクロ波プラズマ生成装置(前出図5参照)を配置して、実施例1と同じ条件でマイクロ波プラズマを生成させた。以下の処理における部材の符号は、図5に対応している。
まず、真空排気装置を作動させて、真空容器内のガスを排出し、真空容器内の圧力を8×10−3Paとした。次に、アルゴンガスを真空容器内へ供給して、圧力を0.4Paとした。続いて、出力1.6kWのマイクロ波(周波数2.45GHz)を第一導波管90、第三導波管91、および第二導波管92に伝送して、スロットアンテナ920の前方におけるマイクロ波プラズマの生成状態を目視確認した。しかしながら、プラズマは生成しなかった。
<マイクロ波プラズマの電子密度>
マイクロ波の出力を変化させて、実施例1と同様にしてマイクロ波プラズマを生成し、スロットから前方に10mm離間した位置におけるマイクロ波プラズマの電子密度を測定した。電子密度の測定には、ラングミュアプローブを用いた。プローブ電極は、太さ0.2mm、長さ5mmである。プローブ電極に可変電圧を印加して、電極に流れる電流の変化を測定した。図6に、マイクロ波の出力に対する電子密度の測定結果を示す。図6中、グラフの縦軸の「1.00E+08」、「1.00E+09」、「1.00E+10」は、順に「1.00×10」、「1.00×10」、「1.00×1010」を意味する。図6に示すように、マイクロ波の出力が1.0〜2.0kWにおいて、10cm−3以上の電子密度が実現されていた。
本発明のマイクロ波プラズマ生成装置は、基材に対するクリーニング、改質、成膜などの様々な処理に用いることができる。例えば、タッチパネル、ディスプレイ、LED(発光ダイオード)照明、太陽電池、電子ペーパー等に用いられる透明導電膜等の形成に有用である。
1:マイクロ波プラズマ生成装置、8:マイクロ波プラズマ処理装置、10U:上流側第一導波管、10D:下流側第一導波管、11:プランジャ(終端調整部材)、20:プラズマ生成部、21:本体部、22a、22b:磁石部、30U:上流側第三導波管、30D:下流側第三導波管、31:第三誘電体、40:筐体、41:第二導波管、42:冷却板、43:管壁部、44:スロットアンテナ、45:第二誘電体、50a、50b:永久磁石、51a、52a、51b、52b:冷却パイプ、53a、53b:カバー部材、80:真空容器、81U、81D:導波管挿通孔、82:ガス供給孔、83:隔壁、100U:面取り部、400:凹部、440:スロット、P:ECRプラズマ、V:区間、W:ワーク。

Claims (7)

  1. 真空容器内のガスを電離してマイクロ波プラズマを生成するマイクロ波プラズマ生成装置であって、
    マイクロ波を伝送する第一導波管と、
    該真空容器内に配置され、磁性体からなる管壁部と、管内部を伝播する該マイクロ波が通過する複数のスロットが形成されたスロットアンテナと、管内部に少なくとも該スロットを覆うように配置される第二誘電体と、を有し一方向に延在する第二導波管と、該第二導波管の外側に配置され該スロットアンテナのプラズマ生成側の表面における該スロット位置に電子サイクロトロン共鳴が生じる磁場を形成する磁石と、を有するプラズマ生成部と、
    該第一導波管と該第二導波管との間に介在し、管内部に該第二誘電体よりも屈折率が小さい第三誘電体を有する第三導波管と、
    を備えることを特徴とするマイクロ波プラズマ生成装置。
  2. 前記第二導波管の前記管内部および前記第三導波管の前記管内部は真空である請求項1に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  3. 前記真空容器内の前記ガスの圧力は、0.05Pa以上20Pa以下である請求項1または請求項2に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  4. 前記第二誘電体は、石英、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、酸化マグネシウムから選ばれる一種である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  5. 前記第二導波管の短手方向断面は矩形状を呈し、前記スロットアンテナは該第二導波管のH面に配置される請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  6. 前記第一導波管は、前記第二導波管の上流側に配置される上流側第一導波管と、下流側に配置される下流側第一導波管とを有し、
    該上流側第一導波管および該下流側第一導波管は、該第二導波管を挟んで対称なL字状に配置され、
    前記第三導波管は、少なくとも該上流側第一導波管と該第二導波管との間に介在する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
  7. 前記下流側第一導波管は、終端位置を変化させる終端調整部材を有する請求項6に記載のマイクロ波プラズマ生成装置。
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