(実施形態)
本実施形態の撮像装置1について、図1を参照して説明する。本実施形態では、撮像光学系で発生したディストーションを軽減することを目的とする。また、像伝達手段のディストーションの低減効果を自由に設定できるようにする。さらに、像伝達手段の入射面または/および射出面の面形状に自由度を持たせながら、ディストーションを低減することを目指す。
図1は、撮像装置1の構成図である。撮像装置1は、撮像光学系(結像光学系)2、光導波路体30、及び撮像素子であるCMOSセンサ4(以下、「センサ4」と呼ぶ)を有する。光導波路体30は、第1の像伝送手段である第1の光ファイバ束31と、第2の像伝送手段である第2の光ファイバ束32とを有する。撮像光学系2で結像された被写体の像を光ファイバ束31、32によってセンサ4に伝送するように、撮像光学系2、第1の光ファイバ束31、第2の光ファイバ束32、及びセンサ4が配置されている。
撮像装置1は、撮像光学系2の結像倍率に像伝送手段の像伝送倍率を掛け合わせた撮像倍率(撮影倍率)により被写体の像を拡大してセンサ4で撮像する。センサ4に伝送された像もしくは撮像された画像には、像高毎に撮影倍率がある。ここで、中心像高の撮影倍率に対する各像高の撮影倍率の比を部分倍率と定義する。式(1)に示したように、部分倍率MbはディストーションDistを像高Yで微分したものである。この部分倍率Mbを所望の値に設定することにより、ディストーションを補正することができる。
第1の光ファイバ束31は、撮像光学系2からの光を第2の光ファイバ束32へと導く複数の光ファイバ31cにより構成されている。具体的には、各光ファイバ31cが、撮像光BMを撮像光学系2を介して受光し、光ファイバ31c内を伝搬させて第2の光ファイバ束32へと導いている。第1の光ファイバ束31は、一端から他端に掛けてコア部の径が変化するテーパー型の光ファイバ31cを複数本束ねたものである。
テーパー型の光ファイバとは、光ファイバの軸VFに対する光ファイバの側面の傾きが0.0(deg)より大きく90.0(deg)より小さい光ファイバのことである。なお、本明細書では、光ファイバの軸VFに対する光ファイバの側面の傾きのことをテーパー角と呼ぶ。ストレート型の光ファイバは、テーパー角が0°であるとみなす。光軸VFの定義については、後述する。
ここで、光ファイバにおいて、光ファイバの光入射面のコア部の径をDa、光ファイバの光射出面のコア部の径をDbとし、コア部の径Daに対するコア部の径Dbの比Db/Daをテーパー比Rtとする。光ファイバ束31を構成する複数の光ファイバ31cは、テーパー比Rtが1より大きいことが望ましい。
第2の光ファイバ束32は、第1の光ファイバ束31からの光をセンサ4へと導く複数のストレート型の光ファイバ32cにより構成されている。具体的には、各光ファイバ32cが、第1の光ファイバ束31からの撮像光BMを受光し、光ファイバ32c内を伝搬させてセンサ4の各画素へと導いている。撮像光BMは、撮像光学系2で結像されて絞り2cの開口を通り光ファイバ31cに入射しうる光である。
第1の光ファイバ束31の光入射面31aは、平面であり、より具体的には、撮像光学系2の結像面とほぼ同形状の平面形状である。第1の光ファイバ束31の光射出面31bは、撮像光学系2に対して凸面の曲面形状である。第1の光ファイバ束31の光射出面31bは、ガラスレンズと同様の球面研磨加工によって滑らかな光学面が形成される。この加工技術により光射出面31bの表面で発生する散乱を抑えることができる。
また、第2の光ファイバ束32の光入射面32aは、撮像光学系2に対して凸面であり、第1の光ファイバ束31の光射出面31bとほぼ同形状の凸面形状である。そして、第2の光ファイバ束32は、その光入射面32aと第1の光ファイバ束31の光射出面31bとが密着するように配置されている。このように配置することにより、第1の光ファイバ束31の射出面31bから第2の光ファイバ束32の入射面32aへ像をぼかすことなく伝送できる。
一方、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状である。そして、第2の光ファイバ束32は、その光射出面32bとセンサ4の光入射面とが密着するように配置されている。第2の光ファイバ束32の光入射面32aも、光射出面31bと同様に平面研磨加工により光学面が形成され、各接続面における密着性が向上している。
第1の光ファイバ束31の各光ファイバ31cは、第2の光ファイバ束32の1つ又は複数の光ファイバ32cと接続されている。具体的には、第1の光ファイバ束31の各光ファイバ31cは、1以上の(1つ又は複数の)光ファイバ32cと接続している。その際、光軸AXから離れた位置に配置されている光ファイバ31cのそれぞれの光軸AXに対する傾斜角又はテーパー角は、該光ファイバ31cと接続されている光ファイバ32cの傾斜角又はテーパー角と異なっている。本実施形態では、第1の光ファイバ束31の周辺部にある各光ファイバ31cは、光軸AXに対して傾斜した構成となっている。それに対し、第2の光ファイバ32の各光ファイバ32は、光軸AXと平行に配置している。なお、光導波路体30は、同じ傾斜角の光ファイバ32cが接続されている第1の光ファイバ束31の光ファイバ31cを含んでいてもよい。
なお、各ファイバ31cの傾斜角は、その光ファイバ31cに入射する撮像光BMが光ファイバ31c内で全反射する条件を満たすように設定されている。この構成により、第1の光ファイバ束31の周辺部の光ファイバ31cの透過率の低下が抑制される。
なお、撮像光学系2の光軸AXは、撮像光学系(レンズ)2の射出瞳の中心を通り、センサ4の受光面に垂直な直線のことである。また、光軸AXは、光ファイバ束31の光入射面31aの中心を通っている。つまり、撮像光学系2の射出瞳の中心と光ファイバ束31の光入射面31aの中心とを結ぶ直線は光軸AXと一致している。
また、図1(b)は、センサ4の受光面に平行な、第2の光ファイバ束32の断面の一部である。この断面内で、コア部23coは三角格子状に配置されており、コア部32coの間にクラッド部32clが配置されている。このように、各光ファイバ32cは、コア部32coとコア部32coの周りに配置されたクラッド部32clとで構成されている。なお、図1(b)では、コア部32coは三角格子状に配置されているが、これに限定されるものではない。
例えば、コア部32coは正方格子状や斜方格子状など任意の格子状に配置されていてもよい。また、クラッド部32clがコア部32coの間に配置されるのであれば、コア部32coはランダムに配置されていてもよい。さらに、コア部32coが格子状に配置された領域とコア部32coがランダムに配置された領域とが混在する光ファイバ束を用いることも可能である。第1の光ファイバ束31も同様に、コア部31coと、コア部31coの周りに配置されたクラッド部31clとで構成される。また、クラッド部31clに光吸収層が追加されてもよい。また、光導波路部材3cとして、クラッド部31cを設けず、光導波路部材3cの導光方向と垂直な面内に屈折率分布を持たせて光を閉じ込めて導光する構成のものを用いることもできる。
第2の光ファイバ束32の各光ファイバ32cは、センサ4の各画素と1対1で対応していてもよいし、そうでなくてもよい。例えば、光ファイバ32cを伝搬する撮像光BMの一部の光は、センサ4のある画素で受光され、それ以外の光が別の画素で受光される構成であってもよい。また、センサ4のある画素が、複数の光ファイバ32cをそれぞれ伝播した撮像光BMを受光する構成であってもよい。
本実施形態では、第1の光ファイバ束31の光射出面31bと第2の光ファイバ束32の光入射面32aとは密着して接続されており、この接続面が撮像光学系2に対して凸面となっている。そのため、光軸AXからの距離に応じて、各ファイバ31c、32cの長さが異なる。具体的には、第1の光ファイバ束31の光ファイバ31cは光軸AXから相対的に遠い位置にある程長く、第2の光ファイバ32の光ファイバ32cは光軸AXから相対的に遠い位置にある程短い。
ここで、図2を用いて、本明細書で使用する用語の定義について説明する。図2は、第1の光ファイバ束31のメリジオナル方向において並んだ3つの光ファイバの模式図を示す。なお、ここで説明する定義は、第1の光ファイバ束31に限らず、第2の光ファイバ束32についても適用できる。
メリジオナル方向とは、光軸AXを中心とした径方向であり、図2ではY方向と記している。なお、Z方向は、光軸AXと平行な方向である。図2で示すように、Y方向において隣り合うペアの光ファイバについて、光ファイバ束3の隣り合うペアの光ファイバそれぞれの光入射面の中心間の距離をPaとし、その距離Paのメリジオナル方向の成分をPa’とする。また、光ファイバ束31の光射出面31bにおける隣り合うペアの光ファイバそれぞれの光射出面の中心間の距離をPbとし、その距離Pbのメリジオナル方向の成分をPb’とする。本実施形態では、光入射面31aが光軸AXと垂直な平面であるため、PaとPa’とは等しい。
また、Y方向に隣り合うペアの光ファイバにおいて、光入射面31aにおける隣り合うペアの光ファイバの中心間の距離Paに対する光ファイバ束31の光射出面31bにおける隣り合うペアの光ファイバの中心間の距離Pbの比の値Pb/Paを値Rpとする。同様に、比の値Pb’/Pa’を値Rp’とする。さらに、以降の説明では、光軸AXにおける位置が等しい断面内において、Y方向に隣り合うペアの光ファイバの中心間のY方向における距離をファイバピッチと呼ぶ。以降、Pb’を第1の値、Rp’を第2の値と呼ぶ。
また、図3(a)、図3(b)を用いて光ファイバ31c、32cの撮像光学系2の光軸AXに対する傾斜角αについて説明する。以降、光ファイバ31cについて説明するが、光ファイバ32cについても同様に定義する。図3(a)で、傾斜角αは、光ファイバ31cの軸VFと光軸AXとがなす0.0以上90.0(deg)未満の角である。傾斜角αのうち、光軸AXから最も遠い位置にある光ファイバ31cの軸と光軸AXとがなす角を最大傾斜各αmxとする。
本実施形態の光ファイバ31cは、コア部の太さが場所によって異なっている。また、光ファイバ31c、32cの形状は、直線上でも良いし湾曲上であってもよい。また、本実施形態では、光軸AXと平行な光ファイバと光軸AXと平行でない光ファイバとを有する。このため、光ファイバ31cの軸VFを、図3(b)を参照して以下のように定義する。軸VFは、光ファイバ31cの光入射面31caにあるコア部の断面の中心点(重心)Aと、中心点Aから光軸AX方向に光ファイバ31cの光入射面31caのコア部の径の大きさDaだけコア部の内部に進んだ位置における光入射面31caと平行なコア部の断面SBの中心点(重心)Bと、を結ぶ直線である。
第1の光ファイバ束31の光ファイバ31cの軸VFは、頂点Ptが一致するように配置されている。第1の光ファイバ束31のファイバピッチは、光軸AX方向における位置が等しい断面内では同じであり、各ファイバ31cの頂点Ptから近い程小さくなる。そのため、接続面を撮像光学系2に対して凸面にして、光軸AXから相対的に遠い位置にある光ファイバ31c程長くなる構成にすることにより、光軸AXから相対的に遠い位置にある程、第2の値Rp’が大きくなる。そのため、光ファイバ束31の光射出面31b上では、光軸AXから離れるに従い、像を拡大する作用がより大きくなる。この拡大の作用により、撮像光学系2で生じた負のディストーション、曲面形状の結像面上の像を平面形状のセンサ4の受光面へ伝送する際に生じる負のディストーションを軽減することができる。
直線型の光ファイバ32cは、光軸AXからの相対的に遠い位置にある程短くなる。直線型の光ファイバ32cは、光入射面32caのコア部の径Daと射出面32cbコア部の径Dbとが同じであるため、テーパー比Rtは1となる。すなわち、第2の値Rp’は1となる。そのため、第2の光ファイバ32は、像の拡大・縮小に影響を与えない。光ファイバ31cで拡大された像は、拡大・縮小されることなく各ファイバ32cの光射出面32cbから射出する。そのため、結果として、負のディストーションを軽減した像が第2の光ファイバ束32から射出される。
本実施形態では、第1の光ファイバ束31と第2の光ファイバ束32との接続面31b、すなわち第1の光ファイバ束31の光射出面31bが曲面を含むようにする。このような構成にすることにより、第1の光ファイバ束31及び第2の光ファイバ束32のうち、少なくとも像の拡大・縮小を行う光ファイバ束を構成する複数の光ファイバそれぞれの長さが光軸からの距離に応じて変化する。そのため、光ファイバ束31は、光軸AXからの距離に応じて第2の値Rp’が変化する。その結果、光軸AXからの距離に応じて像の拡大・縮小を行う部分倍率を変更することができ、ディストーションを軽減した撮像装置を得ることができる。なお、第1の光ファイバ束31の光射出面31bのうちディストーションを軽減する必要がない領域は曲面でなく、平面や別の曲面形状等にしてもよい。
本実施形態の原理によれば、撮像光学系2で発生したディストーションを軽減できる。また、画角よりも小さな傾斜角の光導波路を有する像伝送手段を用いた場合においてもディストーションを良好に補正することができる。
ディストーションは、画像処理を用いても軽減することが可能である。しかし、画像処理の場合、ディストーションの軽減に関する計算に時間がかかる。そのため、写真を撮影した直後に画像を確認したくても、直ぐに画像を表示できないことがある。動画の場合には、30fps又は60fps等のフレームレートで撮影されるため、ディストーションの軽減のための画像処理に要する時間の影響はより大きくなる。また、近年では、画像の画素数が多くなっており、画素数が多いほど計算時間が長くなりなるため、画像処理により時間がかかる。
それに対し、本実施形態によれば、センサ4において、像伝送手段である光ファイバ束によってディストーションが軽減された像を撮像できる。よって、ディストーションの軽減に要する時間を、画像処理を用いる場合よりも短くすることができる。また、動画を撮る場合、又は画素数が多い場合等でも、画像をリアルタイムで表示できるメリットがある。すなわち、本実施形態によれば、画像処理によるディストーション補正と比較して、解像度の劣化を低減することができ、高品位で高解像度な画像を提供できる。
(実施例1)
本実施例は、図1に示した撮像装置1と同様の構成である。撮像光学系2は最大画角±60degであり、図示しない被写体の像を結像面上に結像する。表1に本実施例の光ファイバ束31、32とセンサ4の構成を詳細に示す。
図3(a)は、本実施例で用いた第1の光ファイバ束31及び第2の光ファイバ束32の構成を示す図である。第1の光ファイバ束31はテーパー型の光ファイバ31cを複数有し、その光射出面31bは物体側に凸を向けた球面形状である。
図4(a)〜(d)を参照して、第1の光ファイバ束31によって撮像光学系2で発生したディストーションを補正する方法について説明する。まず、図4(a)に本実施例における第1の光ファイバ束31の光射出面31bにおける各光ファイバ31cのファイバピッチを示す。なお、第2の光ファイバ32の光ファイバ32cそれぞれの光入射面32ca及び光射出面32cbのファイバピッチは、6.0μmである。また、各光ファイバ31c、32cは、曲率半径が+36.6mmのものを用いた。
図4(a)のグラフの横軸は像高比である。像高比は、第1の光ファイバ束3aの射出面303における中心軸CX(撮像光学系の光軸AX)上の像高を中心像高、光軸AXから最も離れている像高を周辺像高とし、中心像高を「0」、周辺像高を「1」としたときの像高比を示している。なお、中心像高や周辺像高は本来、センサ4上で定義される像高であるが、ここではセンサ4上で中心像高や周辺像高へ到達する光束の主光線が第1の光ファイバ束31の各面を通過する位置のことを示す。
グラフの縦軸は、ファイバピッチである。第1の光ファイバ束31を構成する複数の光ファイバ31cそれぞれのファイバピッチは、光射出面31bの中心像高から周辺像高へ向かうにしたがって大きくなり、具体的には中心像高で3.9μm、周辺像高で8.2μmである。第1の光ファイバ束31を構成する複数の光ファイバ31cは、光入射面31caにおけるファイバピッチが全て同じで、3.0μmである。そのため、全ての光ファイバ31cにおいて、第2の値Rp’が1より大きい。よって、撮像光学系2で結像された像は、第1の光ファイバ束31を伝送する際に拡大される。
図4(b)に本実施例における第1の光ファイバ束3aの部分倍率軽減効果を示す。図4(b)のグラフの横軸は像高比であり、縦軸は第1の光ファイバ束3aの部分倍率軽減効果を示している。ここで、部分倍率軽減効果とは、第1の光ファイバ束31が光入射面31aから光射出面31bに光を伝送する際に生じる中心像高における拡大率Moと、各像高における拡大率Miとの比(Mi/Mo)であると定義する。なお、本実施形態においては、Moが1.3倍、周辺像高における拡大率Miは2.7倍である。
図4(b)に示したように、光軸AXから遠くに配置されている光ファイバ31cほど部分倍率軽減効果が増加している。部分倍率軽減効果は、中心像高でMH=1.0倍、周辺像高でMH=2.1倍である。そのため、光軸AXから遠い光ファイバ31cを伝送した像ほど拡大率が高くなり、中心像高から周辺像高にかけて像を縮小するような負のディストーションを低減できる。
図4(c)にディストーション補正効果を示した。ディストーション補正効果は、上述の部分倍率軽減効果MHから求めることができる。中心像高から任意の像高までのデータ数をi(個)としたとき、任意の像高における実像高Yiは(2)式で算出することができる。
また、理想像高をYo、実像高をYiとすると、ディストーションDistは一般的に(3)式で定義される。
このとき、理想像高Yoを(4)式で示す。
Yo=i ・・・(4)
(2)〜(4)式より、各像高のディストーション補正効果DHは(5)式で計算できる。
図4(c)のグラフに示した通り、本実施例の第1の光ファイバ束31のディストーション補正効果は、中心像高から周辺像高へ向かうに連れて徐々に増加する。5割像高(像高比0.5)では+3.8%、8割像高(像高比0.8)では+11.8%、10割像高(像高比1.0)では+23.7%であり、ディストーション補正効果を発揮することができる。
図4(c)には、撮像光学系2によって生じたディストーションを点線で示している。中心像高から周辺像高へ向かうにしたがって、負のディストーションが大きくなり、5割像高で−3.4%、8割像高では−12.4%、周辺像高で−21.4%と大きなディストーションが発生する。
図4(c)の丸で示した線は、第1の光ファイバ束31を通過した後の像のディストーションを示している。第1の光ファイバ束31の各像高におけるディストーション補正効果は上述の通りであり、撮像光学系2によって生じるディストーションの符号を逆にしたものとほぼ同等となっている。このディストーション補正効果により、第1の光ファイバ束31は、撮像光学系2で発生したディストーションを相殺する。その結果、図4(c)に示したように、第1の光ファイバ束31の入射面31a上で発生していたディストーションが、第1の光ファイバ束31を通過した後には低減されている。
撮像光学系2で発生したディストーションを補正するためには、撮像光学系2の結像面で発生したディストーションと光ファイバ束が有するディストーション補正効果とが相殺関係になる必要がある。そのためには、撮像光学系の結像面で発生した任意の位置におけるディストーションの部分倍率MLと光ファイバ束の部分倍率軽減効果MHとが相殺関係となることが重要である。ここで言う相殺関係とは、(6)式に示したように、掛け合わせたときに1になる逆数の関係である。
ここでは、ディストーションが良好に軽減されているとみなせるのは、ディストーションが20%以下に軽減されていることを示すものとする。ディストーションを20%以下に軽減するためには、部分倍率は凡そ2倍まで許容できる。よって、実質的には、部分倍率MLは(7)式の関係を満たしていればディストーションを良好に軽減できる構成となる。
0.5/MLi≦MHi≦2.0/MLi ・・・(7)
また、ペアの光導波路部材の光入射面における第1の値をP1i、ペアの光導波路部材の光射出面における第2の値をP2iとすると、(8)式の関係を満たす場合、ディストーションを良好に軽減できるといえる。
0.5/MLi≦P2i/P1i≦2.0/MLi ・・・(8)
撮像光学系2の結像面で発生するディストーションの部分倍率MLは、結像面上の像高の垂直方向における成分YVと、理想的なf×tanω特性の1区間のピッチΔYVoとで決定される。具体的には、部分倍率MLは(9)式で求めることができる。
ここで、理想的なf×tanω特性の1区間のピッチΔYVoは(10)式で表される。
ただし、fは撮像光学系の焦点距離、ωmaxは撮像光学系の最大画角、nは光軸上から最大像高までの区間数である。
このようにして結像面21で発生するディストーションの部分倍率MLから、第1の光ファイバ束31と第2の光ファイバ束32との接続面31bの曲面の形状を決定すればよい。このように、第1の光ファイバ束31にストレート型の第2の光ファイバ束32を接合することで、第1の光ファイバ束31の射出面31bの形状を所望の形状に設定できる。つまり、第1の光ファイバ束31bの射出面(接合面)32bはディストーション補正に適した形状に設定できる。第1の光ファイバ束31の光入射面31a及び第2の光ファイバ束32の光射出面32bの形状は、撮像光学系2の結像面の形状やセンサ4の撮像面の形状に合わせることができるため、入出力面で画像がぼけない形状に設定できる。これにより、第1の光ファイバ束31と第2の光ファイバ束32との接合面の形状を、ディストーションの低減に適した形状にできるので、ディストーション軽減効果を高めることができる。
(実施例2)
本実施例の撮像装置は、第2の光ファイバ束32は実施例1と同様に、直線型の光ファイバであるが、そのファイバピッチが実施例1と異なる。具体的には、本実施例の第2の光ファイバ束32のファイバピッチは、実施例1の第2の光ファイバ束32のファイバピッチよりも小さい。
また、本実施例の第1の光ファイバ束31の光射出面31bにおけるファイバピッチが3.9〜8.2μm程度であるのに対し、第2の光ファイバ束32nファイバピッチは約3.0μmである。すなわち、第2の光ファイバ束32のファイバピッチは、第1の光ファイバ束31の光射出面31bにおけるいずれのペアの光ファイバのファイバピッチよりも小さい。このように、第1の光ファイバ束31と第2の光ファイバ束32とのファイバピッチに差を付けることにより、モアレが見えにくくなり高品位な画像を提供できる。
さらに、第1の光ファイバ束31の光射出面31bと第2の光ファイバ束32の光入射面32aそれぞれの光ファイバ31c、32cはその中心が重なっていない。そのため、接合面31bにおける画像伝達の際に、解像度(横分解能)やMTF(コントラスト)が低下することがある。本実施例の第2の光ファイバ束32は光入射面32aのファイバピッチが細かいので、画像の解像度やMTFの低下を低減できる。これにより、実施例1の撮像装置よりも更に高品位で高解像度な画像を提供することができる。
本実施例の撮像素子4はカラー画像を撮影可能なCMOSセンサである。撮像素子4には画素構造が形成され、各画素に緑色又は赤色又は青色のカラーフィルタが設置されている。光導波路体30の各光ファイバ31c、32cが赤色、緑色、青色の各波長域の光を伝播するので、1本の光ファイバから撮像できる色が異なる複数の画素に画像を伝達することができる。
カラー画像では緑色の画素の中心同士のを結ぶ直線の距離が最も短く、画素ピッチの2倍である。本実施例では画素ピッチが7.5μmであり、緑色の画素は15μmピッチで配置される。
本実施例の第1の光ファイバ束31の光射出面31bのファイバピッチは3.9〜8.2μmである。また、第2の光ファイバ束32のファイバピッチは3.0μmである。これらの第1、第2の光ファイバ束31、32のファイバピッチは、緑色の画素ピッチよりも小さい。これにより、光導波路体30は、撮像素子4に対して十分なサンプリング数を有し、解像度(横分解能)を劣化させることなくディストーションを軽減することができる。
(実施例3)
本実施例の撮像装置は、1本のファイバが第1の光ファイバ束31の光ファイバ31cと第2の光ファイバ束32の光ファイバ32cを兼ねている点が、実施例1と異なる。すなわち、本実施例の光導波路体30は、その光入射面31aから光射出面32bまで1本のつながった光ファイバを束ねて構成されている。
各光ファイバは、光入射面31a側では拡大型のテーパー型の光ファイバであり、光入射面31aから光射出面32bへ向かう途中でストレート型に形状が変化する。また、形状が変化するとともに傾斜角αが変化する。この場合、テーパー型の光ファイバで構成されている部分を第1の像伝送手段31、ストレート型の光ファイバで構成されている部分を第2の像伝送手段32として、傾斜角αが変化している位置の軌跡を第1の像伝送手段31の光射出面(接続面)31bとする。すなわち、傾斜角αが変化している位置を含む面より物体側を第1の像伝送手段31、センサ4側(撮像素子側)を第2の像伝送手段32とする。接続面31bの形状は、実施例1と同様の曲面を含む。そのため、本実施例の撮像装置によれば、撮像光学系で発生した負のディストーションを軽減できる。
本実施例のように、傾斜角及びテーパー角が変化する光ファイバを複数束ねた光導波路体30を用いる場合、光入射面31aのファイバピッチと光射出面32bのファイバピッチとの比の値Rpを考えれば、ディストーション低減効果を求めることができる。さらに、本実施例の光導波路体30は、光入射面31aから光射出面32bまで1本の光ファイバを伝搬するようにしたため、光量ロスを軽減することができる。
(実施例4)
本実施例の撮像装置51について、図5を参照して説明する。撮像装置51は、第2の光ファイバ束32の光射出面32bの形状を変更した点と、第2の光ファイバ束32の光射出面32bからの光をセンサ4に結像するリレー光学系6を追加した点が、実施例1と異なる。また、第1の光ファイバ31のディストーション補正効果を変更した点が、実施例1と異なる。表2に本実施例の光ファイバ束31、32とセンサ4の構成を示す。
第2の光ファイバ束32の光射出面32bは、撮像光学系2に凸面を向けた曲率半径56.6mmの球面形状である。この球面形状は、リレー光学系6の像面湾曲の形状に合わせており、これによって、リレー光学系6は、第2の光ファイバ束32から伝送された像を、ピントが合った状態でセンサ4に結像する。
図6(a)に、撮像光学系2によって発生するディステーションを点線で示し、リレー光学系6によって発生するディストーションをバツ印で示した。撮像光学系2によって発生するディストーションは、実施例1と同様である。リレー光学系6によって発生するディストーションは、中心像高から周辺像高にかけて大きくなり、5割像高で−0.5%、8割像高で−4.1%、10割像高で−11.9%である。
図6(a)には、第1の光ファイバ束31のディストーション補正効果を実線で示している。本実施例1の第1の光ファイバ束31は、正の方向にディストーションを補正する効果があり、中心像高から周辺像高に向かうにしたがって、ディストーション補正量が大きくなる。具体的には、ディストーション補正量は、5割像高で+4.6%、8割像高で+15.3%、10割像高で+39.6%である。本実施例における光ファイバ束3はディストーション補正効果が、撮像光学系2とリレー光学系6とで発生したそれぞれのディストーションの和を相殺するように設定している。その結果、センサ4の撮像面では、図6(a)に丸印で示したように、ディストーションが低減されている。
図6(a)において、リレー光学系6で結像された像に残存するディストーションは、5割像高で+0.7%、8割像高で−1.3%、10割像高で+6.3%である。全像高において10%以下の小さなディストーション量となり、ディストーションを良好に低減できている。
図6(b)に本実施例の第1の光ファイバ束31の光射出面31bにおけるファイバピッチを示す。第1の光ファイバ束31を構成する光ファイバ31cそれぞれのファイバピッチは、3.9〜15.0μmで変化する。このように、光軸AXに対して傾斜している第1の光ファイバ束31と、第1の光ファイバと異なる傾斜角を有する第2の光ファイバ束32とを接合する接合面31aを曲面を含む形状にする。このような構成にすることによって、撮像光学系2及びリレー光学系6で発生したディストーションを低減することができる。本実施例の光ファイバ束を用いれば、複数の結像光学系で発生したディストーションを良好に低減することができる。
また、撮像光学系2の結像面の形状で決まる第1の光ファイバ束31の光入射面31aや、センサ4の撮像面の形状で決まる第2の光ファイバ束32の光射出面32bの形状に関わらず、接続面の形状を設定することができる。そのため、ディストーション補正効果と像面湾曲補正効果とを同時に発揮することができる。すなわち、ディストーション及び像面湾曲が発生する場合でも、ディストーションや像面湾曲を低減でき、ピントが合った高品位な画像を取得できるようになる。
さらに、結像光学系の構成によってディストーションや像面湾曲を含む収差を同時に補正するためには、多くのレンズを組み合わせる必要があった。しかし、本実施例の光ファイバ束31、32を用いることにより、結像光学系の構成を簡単にすることが可能となり、レンズ枚数の削減、小径化、全長の短縮、又は高解像度化などの利点を提供することもできる。
(実施例5)
図7を参照して、本実施形態の撮像装置71の構成を説明する。図7は、撮像装置71の構成図である。本実施形態では、実施形態1の撮像光学系2としてボールレンズを用いた点と、第1の光ファイバ束31の光入射面31aをボールレンズ2に対して凹面の球面形状とした点が、実施形態1と異なる。
第1の光ファイバ束31の光入射面31aは、ボールレンズ2の結像面とほぼ同形状の凹面形状である。第1の光ファイバ束31の光入射面31aは、ガラスレンズと同様の球面研磨加工によって滑らかな光学面が形成される。なお、本実施形態における撮像光BMは、絞り2cの開口を通り光ファイバ31cに入射しうる光であり、絞り2cの開口の中心を通る主光線PRや、絞り2cの開口で規定される上側マージナル線NR、下側マージナル線MRが含まれる。
第1の光ファイバ束31は、各光ファイバ31cの軸VFが光軸AX上の頂点Ptと交わるように配置されており、光ファイバ31cの軸VFと光軸AXとがなす傾斜角αは、光軸AXからの距離に応じて変化する。
本実施形態でも、第1の光ファイバ束31と第2の光ファイバ束32との接続面を曲面としている。上述の通り、テーパー型の第1の光ファイバ束31において、光軸AX方向の位置が同じ場合は、各光ファイバ31cのコア部の径は同じ大きさである。そのため、接続面を曲面として各光ファイバ31cの射出面の光軸AX方向の位置を変更することにより、ディストーションを低減できる。
また、本実施形態では、第1の光ファイバ束31の光入射面31aをボールレンズ2に対して凹面とすることにより、光軸AXからの距離に応じて、光ファイバ31cそれぞれの入射面31caの光軸AX方向の位置が変わる。具体的には、頂点Ptからの距離は、光軸AX上で最も長くなり、光軸AXから遠くなるに従って短くなる。
さらに、各光ファイバ31cのコア部の光軸AXと垂直な垂直方向(Y方向)における長さ(ファイバピッチ)が、ディストーションの低減に影響を与える。光入射面31aをボールレンズ2に対して凹面となる球面形状にすると、光入射面31aの法線の傾きの影響により、各光ファイバ31cのファイバピッチPa’は(11)式で表せる。ここで、光入射面31aの法線と光軸AXとがなす角の大きさをβ、隣り合う光ファイバ31aの中心間の距離をPaとする。
Pa’=Pa×cosβ ・・・(11)
このように、光ファイバ31cのファイバピッチPa’は、光入射面31aの法線の傾きによって変化する。そのため、ファイバピッチPa’は、光軸AXから周辺部へ向かうにつれて小さくなる。
光入射面31aをボールレンズ2に対して凹面となる球面形状としたことにより、図8(a)に破線で示したように第1の光ファイバ束31aの光入射面31caにおけるファイバピッチは、光軸AX上から周辺部へ向かうに従って小さくなる。そのため、各光ファイバ31cの第2の値Rp’をより大きくすることができ、ディストーションの軽減により貢献できる。
撮像装置71の各構成についてより詳細に説明する。撮像光学系2は最大画角±60degであり、図示しない被写体の像を結像面上に結像する。表2に本実施例の光ファイバ束31、32とセンサ4の構成を示す。
第1の光ファイバ束31の最も光軸AXから離れた位置にある光ファイバ31cの傾斜角αは34.7degである。第1の光ファイバ束3aの入射面302は撮像光学系2の結像面と同等な球面形状としており、曲率半径−10.7mmの物体側に凹面の球面形状である。第1の光ファイバ束3aの射出面303を曲率半径+30.0mmの物体側に凸面を向けた球面形状である。
図8(a)〜(d)を参照して、第1の光ファイバ束31によって撮像光学系2で発生したディストーションを補正する方法について説明する。図8(a)には、本実施例の第1の光ファイバ束31には、光入射面31caのファイバピッチを点線で示し、光射出面31cbのファイバピッチを実線で示している。図8(a)の横軸は、像高比で、縦軸がファイバピッチである。なお、第2の光ファイバ32の光ファイバ32cそれぞれの光入射面32ca及び光射出面32cbのファイバピッチは、6.0μmである。また、各光ファイバ31c、32cは、曲率半径が+36.6mmのものを用いた。
図8(a)に破線で示したように、第1の光ファイバ束31の光入射面31aにおけるファイバピッチは、光軸AX上から遠くなるにつれて小さくなる。具体的には光軸AX上で4.22μm、光軸AXから最も遠い位置で2.47μmである。
また、図8(a)に実線で示したように、第1の光ファイバ束31の光射出面31bにおけるファイバピッチは、光軸AXから遠くなるにつれて大きくなっている。具体的には、ファイバピッチは、光軸AX上で4.89μm、光軸AXから最も遠い位置で6.94μmである。
図8(b)に、本実施例の第1の光ファイバ束31の部分倍率軽減効果を示す。図8(b)のグラフの横軸は像高比であり、縦軸は第1の光ファイバ束3aの部分倍率軽減効果を示している。
中心像高では、光入射面31aのファイバピッチが4.22μm、光射出面31bのファイバピッチが4.89μmで、拡大率Moは1.16倍である。一方、周辺像高では、光入射面31aのファイバピッチが2.47μm、射出面では6.94μmであり、拡大率は2.43倍である。
図8(b)に示したように、光軸AXから遠くに配置されている光ファイバ31cほど部分倍率軽減効果が増加している。そのため、光軸AXから遠い光ファイバ31cを伝送した像ほど拡大率が高くなり、光軸AXから相対的に遠い像ほど縮小されるような負のディストーションを低減できる。
図8(c)にディストーション補正効果を示した。図8(c)のグラフの横軸は像高比、縦軸はディストーション補正効果である。図8(b)の部分倍率軽減効果を用いて、(5)式からディストーション補正効果を算出した。中心像高から周辺部へ向かうに連れてディストーション補正量が大きくなり、周辺像高では+48.3%になる。
図8(d)には、横軸を像高比、縦軸をディストーションとしたグラフである。図8(d)のグラフには、撮像光学系2の結像面におけるディストーションを実線で示し、センサ4上におけるディストーションを丸印で示した。光軸AXから最も離れた位置におけるディストーションは、撮像光学系2の結像面では−51.4%あったが、センサ4上では−3.0%まで改善している。すなわち、第1の光ファイバ束31及び第2の光ファイバ束32によってディストーションが軽減されている。センサ4上のディストーションは最大でも−8.1%であり、全像高に渡ってディストーションが軽減していることが分かる。
このように、撮像装置91では、第1の光ファイバ束31の光入射面31aを撮像光学系2に対して凹面となる曲面とし、光射出面31bを撮像光学系2に対して凸面となる曲面とすることによって、ディストーションの軽減効果を向上させている。これにより、−50%超えるような負の方向に大きなディストーション(樽型ディストーション)が発生する撮像光学系を用いても、ディストーションを軽減できる。その結果、ディストーションが良好に補正された画像が取得できる。
本実施例では、撮像光学系2のディストーションによって、光軸AXから遠くなるほど撮影倍率が小さくなり、画像が詰まることがある。しかし、本実施例では、図8(a)に示したように、第1の光ファイバ束31の光入射面31aにおけるファイバピッチは、光軸AXから遠くなるようにつれて小さくなるように構成している。これによって、光軸AXから遠いほどサンプリングピッチが小さくなる。撮像光学系2は、最も小さいサンプリングピッチの周波数においても十分なコントラスト(MTF)が得られる結像性能を有している。そのため、サンプリングピッチが小さい程、解像度(横分解能)を向上できる。よって、ディストーションを補正した際に発生するサンプルリング数の低下の問題を改善できる。
また、本実施例ではセンサ4の画素ピッチを6.0μmとしている。本実施例はカラー画像を取得する撮像装置であり、センサ4の各画素にはカラーフィルタを配置している。図7(b)に、センサ4の受光面の一部を示した。センサ4は、複数の画素72を有しており、それぞれカラーフィルタが付けられている。図7(b)中の各画素72につけられている1〜3の番号はカラーフィルタの種類を表している。各色のカラーフィルタはベイヤー配列で配置しており、1は緑色、2は赤色、3は青色のカラーフィルタである。緑色のカラーフィルタは隣り合わないように斜めに配置している。緑色のカラーフィルタを有する画素の中心間の最短距離は約8.5μm(1.4画素ピッチ)である。赤色のカラーフィルタ2及び青色のカラーフィルタ3は、1画素おきに配置されている。赤色のカラーフィルタ2を有する画素の中心間の最短距離及び青色のカラーフィルタ3を有する画素の中心間の最短距離は、約12.0μm(2.0画素ピッチ)である。
光ファイバ31c、32cのそれぞれは、1本で赤色、緑色、青色の全ての波長の光を通過させるので、各色の1画素に対して光ファイバ1本が割当たれば解像度の劣化は生じない。図8(a)に示したように第1の光ファイバ束31の光射出面31aにおけるファイバピッチは4.9〜6.9μmである。よって、第1の光ファイバ束31の光射出面31aにおけるファイバピッチは各色の画素ピッチよりも小さいため、解像度が劣化することなくディストーションを軽減できる。なお、このような構成は、上述の実施形態及び実施例、又は以降の各実施例にも適用できる。
また、第2の光ファイバ束32はストレート型光ファイバ束である。第2の光ファイバ束32の光ファイバ最大傾斜角αmx=0.0degである。第2の光ファイバ束32は光入射面32aを第1の光ファイバ束31の光射出面31bと同等の球面形状にしており、これらの面を接合させて接合面を形成している。第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状にしており、センサ4と密着させている。このように、第2の光ファイバ束32を第1の光ファイバ束31に接合することにより第1、第2の光ファイバ束31、32の次に配置したデバイスへ画像を伝送するに当たって最もぼけが少ない光ファイバ束3の射出面形状を形成することができる。これにより、ディストーションと画像のぼけを同時に軽減できる。
また、本実施例のように、第1、第2の光ファイバ束31、32の次に配置したデバイスがセンサ4ならば光射出面32bの形状を平面にするとよい。また、本実施例のように第2の光ファイバ束32に光ファイバの傾斜角を有さない(光ファイバ最大傾斜角αmx=0.0deg)の光ファイバ束を用いることにより、第2の光ファイバ束32のディストーション補正効果光をゼロに近づけることができる。よって、第1の光ファイバ31と第2の光ファイバ束32との接合面の形状による影響を回避することができる。またストレート型光ファイバ束はテーパー型光ファイバ束よりも安価に製造できる。
ここで、第2の光ファイバ束3bの入射面303のファイバピッチは3.0μmとし、第1の光ファイバ束3aの射出面303のファイバピッチよりも小さくしている。これにより、接合面での画像伝送の際に解像度の劣化を小さく抑えることができる。
また、第2の光ファイバ束32の光入射面32aのファイバピッチは、第1の光ファイバ束32の光射出面32bのファイバピッチの3/4よりも小さくしている。このように、ファイバピッチの差を大きくすることでモアレを見えにくくしている。
また、第1の光ファイバ31と第2の光ファイバ32との接合面を接着固定させて接合光ファイバ束3を一体化させても良いし、接合面は接しているだけで可動部としても良い。いずれの場合も本実施例の効果を十分に発揮することができる。
以上、本実施例によれば、撮像光学系2の結像面が曲面であり、その像を平面のセンサ4へ伝送する場合であっても、ディストーションを軽減できる。また、曲面から平面へ変換する際に生じるディストーションも軽減できる。
(実施例6)
図9に本実施例の撮像装置の第1、第2の光ファイバ束31、32を示す。本実施例の撮像装置は、第1の光ファイバ束31の光射出面31b及び第2の光ファイバ束32の光入射面32bを(12)式で表現される非球面形状とした点が、実施例5と異なる。
ただし、cは曲率(1/曲率半径)、hは光軸からの距離、A〜Eはそれぞれ2次〜10次の項の非球面係数である。その他の構成は、実施例1と同様である。
表4に本実施例の第1の光ファイバ束31及び第2の光ファイバ束32の構成を示す。また、表5に第1の光ファイア束31の光射出面(接続面)31bの非球面形状の構成を示す。
図10(a)に、本実施例における第1の光ファイバ束31のファイバピッチを示す。図10(a)には、第1の光ファイバ束31の光入射面31aにおけるファイバピッチを破線で示し、第1の光ファイバ束31の光射出面31bにおけるファイバピッチを実線で示した。光入射面31aにおけるファイバピッチは、実施例5と同じである。また、光軸AXから遠くなるにつれて、ファイバピッチが大きくなる点も実施例5と同様である。しかし、像高比2割の位置と像高比8割の位置との間において、ファイバピッチを大きくしている。また、像高比2割の位置から10割の位置にかけて、ファイバピッチの傾きが直線的であり、像高比に対してファイバピッチの増加分が一定であることを示している。
図10(b)には第1の光ファイバ束31の部分倍率軽減効果を示す。実施例5と比較して、部分倍率軽減効果も像高比2割の位置から8割の位置の間で大きくなる。また、像高比2割の位置から10割の位置にかけて部分倍率軽減効果が直線的に大きくなる。
図10(c)には第1の光ファイバ束31のディストーション補正効果を示す。ディストーション補正効果は、部分倍率軽減効果の累積となる。実施例5と比較した場合、全体的に大きなディストーション補正効果を発揮することができる。
図10(d)にはディストーションを示す。撮像光学系2の結像面21で発生したディストーションを実線で示し、センサ4における像のディストーションを丸印で示している。結像面21で発生したディストーションは、最大で−51.4%であったが、センサ4に伝送されるまでに1.0%以下のまで軽減されている。
このように、本実施例によれば、ディストーションを軽減できる。また、第1の光ファイバ束31の光射出面31bの形状を非球面で構成することにより、撮像光学系2で発生したディストーションに合わせて、ディストーション補正効果の特性を自由に設定することができる。これにより、ディストーションを効果的に軽減できる。
本実施例の第1の光ファイバ束31の最大傾斜角は34.7degであり、画角60.0degよりも小さな傾斜角である。しかし、図10(d)に示したように、撮像光学系2の結像面21で発生したディストーションを軽減することができる。このように、画角よりも小さな傾斜角の光導波路部材(光ファイバ31c)を有する像伝送手段を用いた場合でも、ディストーションを軽減することができる。従来は、撮像光学系2の画角と同じ傾斜角の光導波路部材を用いた像伝送手段を用いることができなかった。しかし、光導波路部材の傾斜角を小さくてもディストーションを軽減できる構成にすることにより、像伝送手段が製造可能となるメリットがある。
なお、本実施例では第1の光ファイバ束3aの射出面303を非球面形状としたが、これに限ったものではなく、例えば、(13)式で表現される双曲面としてもよい。
ただし、hは光軸からの距離、a、bは係数である。表6に双曲面形状の構成を示す。
この双曲面形状は表6に示した非球面形状とほぼ同じ形状であるため、実施例6と同等の特性を得ることができる。
(実施例7)
本実施例の撮像装置について、図11を参照して説明する。図11は、損実施例の撮像装置の第1、第2の光ファイバ束31、32の構成図である。
本実施例の撮像装置は、第1、第2の光ファイバ束31、32の構成が実施例1と異なる。具体的には、本実施例では、第1の光ファイバ束31をストレート型の光ファイバ束とし、第2の光ファイバ束32をテーパー型の光ファイバ束として点が、実施例1と異なる。その他の構成は、実施例1と同様であるため詳細な説明を省略し、以降、第1、第2の光ファイバ束31、32の構成について詳細を説明する。
第1の光ファイバ束31は、ストレート型の光ファイバ束であり、像の拡大・縮小を行うことはできない。第2の光ファイバ束32は、第2の光ファイバ束32を構成する複数の光ファイバ32cそれぞれのテーパー比Rtが1より小さく、また、値Rd’が1より小さい。すなわち、第2の光ファイバ束32は、像を縮小する光ファイバ束である。第2の光ファイバ束32の各光ファイバ32cの中心軸の頂点Ptは第1の光ファイバ束31の光射出面(接合面)31bよりもセンサ4側にあり、光ファイバ最大傾斜角αmx=31.0degである。
第1の光ファイバ束31の光入射面31aは平面形状、接合面31bは撮像光学系2側に凸面を向けた球面形状、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状である。
接合面31bは、撮像光学系2側に凸面を向けた球面形状である。そのため、頂点Ptから接合面31bの任意の点までの光軸AX方向の距離の中で、頂点Ptから接合面31bの中心までの距離Loが最も長く、頂点Ptから接合面31bの周辺までの距離Liが最も短くなる。これにより、第2の光ファイバ束32の光入射面32aにおいて、ファイバピッチは光軸AX上で最も大きくなり、光軸AXから離れるにつれて小さくなる。
また、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは、平面形状で、ファイバピッチは全域で均一である。よって、光ファイバ束3の入射面302から射出面304へ伝送された画像は、全体的に縮小されるが、光軸AX上で最も縮小率が大きく、光軸AXから離れるにしたがって縮小率が小さくなる。このような構成にすることにより、光軸AX上の像高(中心像高)における縮小率に対する各像高比における縮小率の比を考えると、中心像高に対して周辺像高を拡大する効果を有することになる。よって、本実施例の形態にように縮小型の光ファイバ束を用いても、撮像光学系2で発生した負のディストーションを軽減できる。
本実施例では、第1の光ファイバ束31として直線型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32として縮小型の光ファイバ束を用いた。これに限らず、第1の光ファイバ束31として縮小型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32として直線型の光ファイバ束を用いてもよい。この場合、第2の光ファイバ束32の各光ファイバ32cの中心軸の頂点Ptは接合面31bよりセンサ4側にあり、光ファイバ最大傾斜角αmx=31.0degとなる。この場合、光軸AXから離れるに従って、縮小率を小さくするためには、第1の光ファイバ束31の光ファイバ31cが光軸AXに近いほど長くなるように設定する。すなわち、接合面31bは、撮像光学系2に凹面となる球面形状である。このような構成にしても、負のディストーションを軽減することができる。
また、第1の光ファイバ束31として直線型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32として実施例1のように拡大型の光ファイバ束を用いてもよい。この場合、光軸AXから離れるにしたがって拡大率を大きくしたいため、第2の光ファイバ束32の光ファイバ32cが光軸AXから遠いほど長くなるように設定する。そのため、接合面31bは、撮像光学系2に凹面の球面形状である。このような構成にしても、負のディストーションを軽減することができる。
(実施例8)
図12を参照して、本実施例の撮像装置について説明する。図12は、本実施例の撮像装置の構成図である。本実施例の撮像装置は、撮像光学系2のディストーション特性と、光ファイバ束3の構成と、が実施例1と異なる。具体的には、本実施例の撮像光学系2は、正のディストーション特性を有しており、撮像光学系2の結像面に結像した画像に糸巻き型の歪みを発生させる。
図13は本実施例における第1、第2の光ファイバ束31、32の構成図である。第1の光ファイバ束31は、複数のテーパー型の光ファイバ31cを有する拡大型の光ファイバ束である。第2の光ファイバ束32は、ストレート型の光ファイバ束である。第1の光ファイバ束31は拡大型の光ファイバ束なので、各光ファイバ31cの中心軸の頂点Ptは、第1の光ファイバ束31と第2の光ファイバ束32との接合面31bよりも撮像光学系2側にあり、光ファイバ最大傾斜角αmx=31.0degである。
第1の光ファイバ束31の光入射面31aは平面形状であり、第1の光ファイバ束31の光射出面(接合面)31bは撮像光学系2側に凸面を向けた球面形状であり、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状である。
接合面31bを撮像光学系2側に凸面の球面形状とした。そのため、図18に示したように、頂点Ptから接合面31bの任意の点までの光軸AX方向における距離のうち、頂点Ptから接合面31bの中心までの距離Loが最も長く、頂点Ptから接合面31bの中心から最も遠い位置までの距離Liが最も短い。これにより、第1の光ファイバ束31の光射出面31bにおいて、第1の光ファイバ束31のファイバピッチは中心が最も大きく、中心像高から周辺像高へ向かうに連れて小さくなる。
なお、第1の光ファイバ束31の光入射面31aは平面形状となっており、光入射面31aにおけるファイバピッチは全域で均一である。
よって、第1の光ファイバ束31の光入射面31aから光射出面31bへ伝送された画像は、全体的に拡大される。そのとき、光軸AX上(中心像高)が最も拡大率が大きく、光軸AXから離れるに従って拡大率が小さくなる。これにより、像は、中心像高で最も拡大される。中心像高に対する比で表現すると、中心像高に対して周辺像高を縮小する効果を有する。ゆえに、撮像光学系2で発生した正のディストーションを補正する効果を有する。
以上のように、接合面31bを曲面を含む形状とし、その曲面の凹面・凸面の向きや曲率を撮像光学系2のディストーション特性に合わせて設定する。これにより、ディストーションを軽減できる。
(実施例9)
図14は本実施例の撮像装置の第1、第2の光ファイバ束31、32の構成図である。本実施例の撮像装置は、第1、第2の光ファイバ束31、32の構成が実施例8と異なる。具体的には、実施例8では、第1の光ファイバ束31として拡大型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32としてストレート型の光ファイバ束を用いている。それに対し、本実施例では、第1の光ファイバ束31として直線型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32として縮小型の光ファイバ束を用いている。本実施例においても、第1の光ファイバ束31と第2の光ファイバ束32とが接合されている。
本実施例の第2の光ファイバ束32は、縮小型の光ファイバ束なので、各光ファイバ32cの中心軸の頂点Ptは第1の光ファイバ束31の光射出面(接合面)31bよりもセンサ4側にあり、光ファイバ32cの最大傾斜角αmx=31.0degである。
第1の光ファイバ束31の光入射面31aは平面形状、接合面31bは撮像光学系2側に凹面の球面形状、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状である。
接合面31bを撮像光学系2側に凹面の球面形状とした。そのため、図19に示したように頂点Ptから接合面31bの任意の点までの光軸AX方向における距離のうち、頂点Ptから接合面31bの中心までの距離Loが最も短く、頂点Ptから接合面31bの光軸AXから最も遠い位置までの距離Liが最も長くなる。これにより、第2の光ファイバ束32の光入射面(接合面)32aのファイバピッチは光軸AX上で最も小さくなり、光軸AXから遠くなるにしたがって大きくなる。
なお、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状であり、ファイバピッチは全域で均一である。よって、第1の光ファイバ束31の光入射面31aから第2の光ファイバ束32の光射出面32bへ伝送された像は、全体的に縮小される。そのとき、光軸AX上(中心像高)が最も縮小率が小さく、中心像高から周辺像高へ向かうに連れて縮小率が大きくなる。これを中心像高に対する比で考えると、中心像高に対して周辺像高を縮小する効果を有する。よって、本実施例によれば、撮像光学系2で発生した正のディストーションを軽減できる。
本実施例では、第1の光ファイバ束31として直線型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32として縮小型の光ファイバ束を用いた。これに限らず、第1の光ファイバ束31として縮小型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32として直線型の光ファイバ束を用いてもよい。この場合、第2の光ファイバ束32の各光ファイバ32cの中心軸の頂点Ptは接合面31bよりセンサ4側にあり、光ファイバ最大傾斜角αmx=31.0degとなる。光軸AXから離れるに従って縮小率を小さくするためには、第1の光ファイバ束31の光ファイバ31cが光軸AXに近いほど短くなるように設定する。すなわち、接合面31bは、撮像光学系2に凸面の球面形状である。このような構成にしても、正のディストーションを軽減することができる。
また、第1の光ファイバ束31として直線型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32として実施例8のように拡大型の光ファイバ束を用いてもよい。この場合、光軸AXから離れるにしたがって拡大率を小さくしたいため、第2の光ファイバ束32の光ファイバ32cが光軸AXから遠いほど短くなるように設定する。そのため、接合面31bは、撮像光学系2に凸面の球面形状である。このような構成にしても、正のディストーションを軽減することができる。
(実施例10)
図15は、本実施例の撮像装置の第1、第2の光ファイバ束31、32の構成図である。
本実施例は、第1、第2の光ファイバ束31、32の構成が、実施例1と異なる。これまので実施例では、第1、第2の光ファイバ束31、32の一方が直線型の光ファイバ束で、他方がテーパー型の光ファイバあったが、本実施例では、どちらもテーパー型の光ファイバで構成されている。具体的には、本実施例の第1の光ファイバ束31は拡大型のテーパー型光ファイバ束であり、第2の光ファイバ束32は縮小型のテーパー型光ファイバ束である。本実施例においても、第1の光ファイバ束31の光射出面31bと第2の光ファイバ束32の光入射面32aとが、接合されている。
第1の光ファイバ束31を構成する各光ファイバ31cの中心軸の頂点Pt1は第1の光ファイバ束31の光射出面(接合面)31bよりも撮像光学系2側にあり、光ファイバ最大傾斜角αmx1=31.0degである。
第2の光ファイバ束32を構成する各光ファイバ32cの中心軸の頂点Pt2は接合面31bよりもセンサ4側にあり、光ファイバ最大傾斜角αmx2=16.7degである。
本実施例では、光ファイバ傾斜角が大きいのは第1の光ファイバ束31であり、主に第1の光ファイバ束31がディストーション補正を行う。第1の光ファイバ束31の光入射面31aは平面形状、接合面31bは撮像光学系2側に凸を向けた球面形状、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状である。
接合面31bを撮像光学系2側に凸の球面形状としため、図22に示したように、第1の光ファイバ束31のPt1から接合面31bの任意の点までの光軸AX方向における距離は、光軸AX上で最も短くなり、光軸AXから離れるほど長くなる。これにより、第1光ファイバ束31の光射出面31bのファイバピッチは、光軸AX上で最も小さくなり、光軸AXから離れるにしたがって大きくなる。なお、第1の光ファイバ束31の光入射面31aは平面形状であり、ファイバピッチは全域で均一である。
よって、第1の光ファイバ束31の光入射面31aから光射出面31bへ伝送された画像は、全体的に拡大される。そのとき、光軸AX上において拡大率が最も小さく、光軸AXから離れるにしたがって拡大率が大きくなる。中心像高に対する比で表現すると、中心像高に対して周辺像高を拡大する効果を有する。ゆえに、第1の光ファイバ束31は、撮像光学系2で発生した負のディストーションを補正する効果を有する。
さらに、接合面303を撮像光学系2側に凸の球面形状としたため、第2の光ファイバ束32の頂点Pt2から接合面301b上の任意の点までの光軸AX方向における距離は、光軸AX上で最も長く、光軸AXから離れるにしたがって短くなる。これにより、第2の光ファイバ束32の光入射面(接合面)32aにおけるファイバピッチは、光軸AX上で最も大きくなり、光軸AXから離れるにしたがって小さくなる。なお、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状であり、ファイバピッチは全域で均一である。
よって、第2の光ファイバ束32の光入射面32aから光射出面32bへ伝送された像は、全体的に縮小される。そのとき、光軸AX上において最も縮小率が大きく、光軸AXから離れるにしたがって縮小率が小さくなる。中心像高に対する比で表現すると、中心像高に対して周辺像高を拡大する効果を有する。ゆえに、第2の光ファイバ束3bは、撮像光学系2で発生した負のディストーションを補正する効果を有する。
このように、本実施例によれば、負のディストーションを軽減することができる。また、拡大型の光ファイバ束と縮小型の光ファイバ束とを用い、両者の接合面が撮像光学系2側に凸の曲面に設定すれば、負のディストーションを軽減する効果を増大させることができる。
本実施例の撮像装置を応用して、正のディストーションを軽減できる撮像装置も提供できる。この場合、第1の光ファイバ束31に拡大型の光ファイバ束を用い、第2の光ファイバ束32に縮小型の光ファイバ束を用いる点は、上述の実施例と同様である。しかし、正のディストーションを軽減したい場合は、第1の光ファイバ束31の光射出面31bと第2の光ファイバ束32の光入射面32aとの接合面を、撮像光学系2に凹面の球面形状とする。このような構成にすることにより、拡大型の第1の光ファイバ束31は光軸AXから離れるほど拡大率が小さくなり、縮小型の光ファイバ束32は光軸AXから遠いほど縮小率が大きくなる。そのため、第1の光ファイバ束31、第2の光ファイバ束32の両方に、正のディストーションを軽減する効果を持たせることができる。
(実施例11)
図16は、本実施例の撮像装置の第1、第2の光ファイバ束31、32の構成図である。本実施例の撮像装置は、第1、第2の光ファイバ束31、32の構成が実施例10と異なる。実施例10では、第1の光ファイバ束31が拡大型の光ファイバ束で、第2の光ファイバ束32が縮小型の光ファイバ他であった。それに対し、本実施例の撮像装置は、第1の光ファイバ束31は縮小型の光ファイバ束であり、第2の光ファイバ束32は拡大型の光ファイバ束である。本実施例においても、第1の光ファイバ束31の光射出面31bと第2の光ファイバ束32の光入射面32aとが、接合されている。
第1の光ファイバ束31の光入射面31aは平面形状、第1の光ファイバ束31の光射出面(接合面)31bは撮像光学系2側に凹面の球面形状、第2の光ファイバ束32の光射出面32bは平面形状である。
第1の光ファイバ束31は光軸AX上における縮小率が最も高く、光軸AXから離れるにしたがって縮小率が低くなる。中心像高に対する比で表現すると、中心像高に対して周辺像高を拡大する効果を有する。ゆえに、第1の光ファイバ束31は、撮像光学系2で発生した負のディストーションを補正する効果を有する。
第2の光ファイバ束32は光軸AX上における拡大率が最も低く、光軸AXから離れるにしたがって拡大率が高くなる。中心像高に対する比で表現すると、中心像高に対して周辺像高を拡大する効果を有する。ゆえに、第2の光ファイバ束32は、撮像光学系2で発生した負のディストーションを補正する効果を有する。
このように、縮小型のテーパー型光ファイバ束と拡大型のテーパー型光ファイバ束とを用い、両者の接合面31bを撮像光学系2側に凹面の曲面に設定すると、負のディストーションを軽減できる。
また、負のディストーションを軽減できる光ファイバ束を組み合わせて用いることによって、ディストーションを軽減する効果を増大させることができる。接合面31bを撮像光学系2側に凸面の曲面に設定すれば、正のディストーションを軽減することもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。たとえば、第1の像伝送手段31の光射出面(接続面)31bの形状は、上述の実施例に記載された形状に限らず、楕円面、円錐面、双曲面、非球面などの曲面を含む形状であればよい。曲面の形状は、軽減したいディストレーションに応じて変更することが好ましい。また、上述したように、第1の像伝送手段31の光射出面31bは、ディストーションを軽減するために曲面を含んでいればよく、その一部に平面や別の曲面形状を含んでいてもよい。
また、上述の実施例では、光導波路体は第1の像伝送手段と第2の像伝送手段とで構成されているが、これに限らず、複数の像伝送手段を組み合わせて構成してもよく、接続面が複数あってもよい。
上述の各実施形態の撮像装置は、赤外線(波長0.7μm〜15μm)用の撮像ユニットを用いた撮像装置にも応用できる。その際、撮像光学系、像伝送手段、撮像素子は赤外線に対応したものを使用するとよい。