JP2017014717A - 断熱防水構造体および断熱防水工法 - Google Patents

断熱防水構造体および断熱防水工法 Download PDF

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【課題】本発明の目的は、経時による断熱層の変形が有効に防止された、断熱防水構造体および断熱防水工法を提供することである。【解決手段】本発明によれば、下地面の上に断熱層、保護層、プライマー層および繊維強化樹脂層がこの順で積層された断熱防水構造体であって、前記繊維強化樹脂層が不飽和ポリエステルを含んでおり、前記断熱層が、下地面上に設けられる第一断熱層と、該第一断熱層上に設けられる第二断熱層とで構成され、前記第一断熱層が、ポリスチレンフォームからなり、前記第二断熱層が、硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームからなることを特徴とする断熱防水構造体が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、バルコニーやベランダ等の構造物に適用される断熱防水構造体および断熱防水工法に関し、詳細には、複数の断熱材を積層させて断熱層を形成することにより断熱層の変形を有効に防止する、断熱防水構造体および断熱防水工法に関する。
従来、建物の屋上、バルコニー、ベランダ等の構造物には、断熱性や防水性を付与するために、断熱材及び防水層を積層する断熱防水工法が適用されてきた。特に最近は、繊維強化樹脂(FRP)が軽量且つ強靭であり、更に耐熱性と耐食性にも優れていることから、防水層にFRPを用いる断熱防水工法が盛んに活用されるようになってきた。
例えば特許文献1には、基体上に少なくとも傾斜断熱層、野地板層、繊維強化樹脂層及び仕上げ材層をこの順で積層してなる防水用複合被覆体の施工方法が開示されている。野地板層は、傾斜断熱層と繊維強化樹脂層とが接触して、熱で傾斜断熱層が溶けることを防ぐものである。特許文献1には、ケイ酸カルシウム板等を用いることで、野地板層を不燃層としてもよいと記載されている。特許文献1によれば、かかる施工方法によって形成される防水用複合被覆体は、排水性、断熱性、耐侯性、耐水性、防火性等の防水性能や断熱性能の点で優れていると記載されている。
特開2005−320821号公報
しかしながら、特許文献1の施工方法を用いた場合、工事完了後数日〜数か月が経過すると、断熱層が変形して被覆体自体の形状も変わり、その結果、断熱性能や防水性能の低下を招く場合があった。そのため、断熱層の変形を防止し、経時による断熱性能や防水性能の低下が有効に回避された技術の確立が求められていた。
従って、本発明の目的は、経時による断熱層の変形が有効に防止された、断熱防水構造体および断熱防水工法を提供することである。
本発明者等が鋭意検討した結果、極めて驚くべきことに、断熱防水構造体中にケイ酸カルシウム板や構造用合板からなる層を設けていても、プライマー層やFRP層等から発生するガスや、これらの層に存在する成分(以下、これらを変形原因物質と総称することがある。)がケイ酸カルシウム板や構造用合板からなる層を通過して断熱層に到達する場合があり、これらのガスや成分と断熱層の構成材料とが反応を起こすことで断熱層が変形しているという新たな知見が得られた。
従って、本発明によれば、下地面の上に断熱層、保護層、プライマー層および繊維強化樹脂層がこの順で積層された断熱防水構造体であって、
前記繊維強化樹脂層が不飽和ポリエステルを含んでおり、
前記断熱層が、下地面上に設けられる第一断熱層と、該第一断熱層上に設けられる第二断熱層とで構成され、
前記第一断熱層が、ポリスチレンフォームからなり、
前記第二断熱層が、硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームからなることを特徴とする断熱防水構造体が提供される。
また、本発明によれば、下地面の上に断熱層、保護層、プライマー層および繊維強化樹脂層をこの順で積層する断熱防水工法であって、
前記繊維強化樹脂層は、繊維強化材に不飽和ポリエステル樹脂を含浸させた層であり、
前記断熱層を、下地面上に設けられる第一断熱層と、該第一断熱層上に設けられる第二断熱層とで構成し、
前記第一断熱層を、ポリスチレンフォームからなる断熱材を用いて形成し、
前記第二断熱層を、硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームからなる断熱材を用いて形成することを特徴とする断熱防水工法が提供される。
本発明によれば、経時による断熱層の変形が有効に防止された、断熱防水構造体および断熱防水工法が提供される。
本発明の断熱防水構造体の一例を示す図である。
図1は、本発明の断熱防水構造体の一例を示す図である。図1に示されているように、本発明の断熱防水構造体1は、下地面3の上に、断熱層5、保護層7、プライマー層9および繊維強化樹脂層11(以下、FRP層11と呼ぶことがある。)をこの順に積層して得られるものである。
下地面3としては、建築物の屋根、庇、解放廊下、ベランダ、バルコニー、工場床等が挙げられる。下地面3の材質としては、コンクリート、モルタル、アスファルト、石綿スレート、プラスチック、木材、金属等が挙げられる。
下地面3の上には断熱材が設置され、これが断熱層5となる。本発明は、断熱層5が、下地面3上に設けられる第一断熱層5aと、かかる第一断熱層5a上に設けられる第二断熱層5bとで構成されている点に特徴を有する。即ち、下地面3の上に、第一断熱材を設置すると、これが第一断熱層5aとなり、次いで、かかる第一断熱層5aの上に第二断熱材を設置すると、これが第二断熱層5bとなる。
第一断熱材としては、保護層存在下で断熱層変形現象が表れることが確認されているという観点から、ビーズ法ポリスチレンフォームや押出法ポリスチレンフォームといったポリスチレンフォームからなる断熱材を使用する。ポリスチレンフォームとしては、具体的には、JIS A9511:2009(発泡プラスチック保温材)に示されているものを好適に使用することができる。
ポリスチレンフォーム製の断熱材の発泡倍率は、20〜50倍が好ましい。発泡倍率が低すぎると十分な断熱性能が発揮されない虞あり、発泡倍率が高すぎると機械的強度が低下する虞がある。
第一断熱層5aは、ポリスチレンフォームからなる断熱材のみで構成されてもよいが、必要に応じて、ポリスチレンフォームからなる断熱材と公知の無機断熱材とを積層した積層構造としてもよい。公知の無機断熱材としては、グラスファイバーボード、パーライト系ボード、フォームグラス(泡ガラス)、岩綿、ガラス綿、鉱さい綿、岩綿成形板、ガラス綿成形板等を用いることができる。
第一断熱層5aの厚みとしては、10〜100mmが好ましい。薄すぎると断熱性能が不十分となる虞があり、厚すぎると施工容易性が損なわれる虞がある。
本発明においては、第二断熱材として、硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームからなる断熱材を使用することで、第一断熱層5aの変形を有効に回避することができる。以下、その理由を詳述する。上述の通り、第一断熱層5aを構成する樹脂はポリスチレンであり、ポリスチレンは低極性である。かかる第一断熱層5aが溶解・変形するということは、変形原因物質に低極性物質が含まれているものと推察される。従って、第一断熱層5a上に第二断熱層5bとして極性の高いウレタンやフェノール系の樹脂の発泡体を存在させることで、低極性の変形原因物質の移動を物理的に防止するだけでなく化学的にも防止することができ、その結果、変形原因物質の第一断熱層5aへの到達を有効に回避することができるのである。例えば、後述する比較例に示されているように、第一断熱層5aの上に、極性の低いポリエチレンフォームやポリプロピレンフォームからなる断熱材を積層した場合には、変形原因物質の第一断熱層5aへの到達は物理的には遮断できても化学的には遮断できず、その結果、変形原因物質移動防止効果が不十分となり、第一断熱層5aの変形を長期に亘って防止することはできない。
更に、変形原因物質の通過を遮断する手段として、フィルムや金属板等ではなく断熱材を使用することで、本発明の断熱防水構造体は、極めて優れた断熱効果を発揮する。
第二断熱材としては、経済性の点では、硬質ウレタンフォームを用いることが好ましいが、第一断熱層の変形をより長期間防止するという点では、フェノールフォームを用いることが好ましい。また、上述の硬質ウレタンフォームおよびフェノールフォームとしては、具体的には、JIS A9511:2009(発泡プラスチック保温材)に示されているものが好適に使用される。
第二断熱材を構成する上述の硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームの発泡倍率としては、10〜30倍が好ましい。発泡倍率が高すぎると、変形原因物質の通過を有効に防ぐことができない虞がある。発泡倍率が低すぎると、第二断熱材が十分な断熱効果を発揮できなくなる虞がある。
第二断熱層5bもまた、第一断熱材の場合と同様に、硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームのみで構成されてもよいが、必要に応じて、更に無機断熱材を積層した積層構造としてもよい。無機断熱材としては、第一断熱材が有する無機断熱材として例示したものと同じものを挙げることができる。
第二断熱層5bの厚みとしては、5〜20mmが好ましい。第二断熱層は薄すぎると変形原因物質移動防止効果が不十分となる虞があり、厚すぎると施工容易性が損なわれる虞がある。
断熱層5全体の形状は、施工容易性の観点から、一定の厚みを有する略平板状としてもよく、あるいは、排水性向上の観点から、勾配を設けてもよい。断熱層5全体の厚みは、施工環境や、どの程度の断熱性を付与するのか等に応じて適宜決定されるが、一般的に、略平板状の場合は25〜50mmであり、勾配を有する場合は最も薄い部分において20〜30mmである。
本発明において、断熱層5の上には、保護層7として、構造用合板またはケイ酸カルシウム板を設置する。ケイ酸カルシウム板としては、JIS A5430(2001)に規定されるケイ酸カルシウム板であって不燃認定品を取得しているものを用いることが好適である。保護層7の厚みは、一般的に、5〜40mmが好ましい。本発明においては、保護層7と上述の第二断熱層5bとを併用することにより、断熱層の変形を確実に且つ十分に防ぐことができる。即ち、後述するプライマー層9の材質によっては、プライマー層9と第二断熱層5bとが密着すると第二断熱層5bが変形し、その結果、変形原因物質移動防止効果が不満足となる場合があるが、保護層7を第二断熱層5bとプライマー層9との間に介在させれば、第二断熱層5bの変形を確実に防げるので、変形原因物質移動防止効果を安定して発揮させることができる。更に、保護層7としてケイ酸カルシウム板を用いる場合は、耐火性が向上するという利点もある。
保護層7の上にプライマーを塗布し、これを硬化させると、プライマー層9が形成される。プライマー層9は、後述するFRP層11と保護層7との密着性を向上する役割を果たす。プライマーとしては、FRP断熱防水工法に一般的に用いられるもの、例えばポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられるが、ポリウレタン系樹脂が好ましい。プライマーの塗布量は、0.1〜1.0kg/mが好ましい。
プライマー層9の上には、FRP層11が設けられる。FRP層11は、繊維強化材に不飽和ポリエステル樹脂を含浸させ、不飽和ポリエステル樹脂を硬化させることにより得られる。不飽和ポリエステル樹脂は、無水マレイン酸、フマル酸等の不飽和二塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価のアルコールとを重縮合させて不飽和ポリエステルを生成し、これにさらに、スチレンに代表される不飽和結合をもつビニルモノマーをラジカル共重合させて得られる。
繊維強化材としては、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維等を1種又は2種以上用いることができる。繊維強化材は、チョップドストランドマット、クロス(織物)、不織布、三次元織物等の1種又は2種以上の形状に加工され、FRP層の形成に供される。繊維強化材は、必要に応じて複数枚積層させてもよい。繊維強化材の使用量は、一般的には、FRP層11全体に対して8〜80質量%であり、好適には10〜60質量%である。
FRP層11の厚みは、本発明の適用環境や、防水性の程度等に応じて適宜決定されるが、一般的には、2〜3mmとすることが好ましい。
FRP層11には、必要に応じて公知の添加剤を加えてもよい。公知の添加剤としては、例えば増粘剤、充填剤、硬化剤、硬化促進剤、低収縮化剤、着色剤等がある。
本発明の断熱防水構造体においては、本発明の効果が損なわれないという条件の下、必要に応じて更に他の層を設けてもよい。他の層としては、FRP層11の上に設けられるトップコート層、FRP層11とトップコート層の間に設けられるトナー層等がある。また、下地面3と第一断熱層5aの間に、構造用合板またはケイ酸カルシウム板を設けてもよい。
トップコート層は、透明性や耐候性付与を目的として設けられる層であり、従来公知のトップコートをFRP層の上に塗布することにより形成される。従来公知のトップコートは、例えば、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂等からなる。トップコート層には、更に、骨材の散布により滑り止め機能を付与したり、顔料(トナー)を添加してトップコート層を着色したり、あるいは、モルタル等を表面に配設して不燃性を高めてもよい。
トップコートの塗布量は、0.1〜0.5kg/mが好ましい。塗布量が少なすぎると、FRP層を均一にトップコート層で被覆することができなくなり、また、利用者の歩行等によって経時によりFRP層が露出する虞も生じる。塗布量が多すぎると、硬化収縮によって塗膜が割れてFRP層を雨水や日光による劣化から保護できなくなり、ひいてはベランダ等の本発明の適用対象となる構造体(下地面)の劣化につながる。
トップコート層にトナーを配合する場合であっても、形成したトップコート層の厚みにむらがあると、薄い部分と厚い部分とで外観に差が生じることがある。そのため、本発明の断熱防水構造体を均一に着色することを目的として、トップコート層を形成する前にトナー層を設けてもよい。具体的には、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂に所望の量のトナーを混合してトナー層形成用樹脂組成物を調整し、このトナー層形成用樹脂組成物をFRP層11の上に塗布すればよい。トナー層には、硬化剤を添加してもよい。塗布量は、0.1〜0.5kg/mである。
(断熱防水工法)
上述の特徴を有する断熱防水構造体を設ける施工方法は、以下の通りである。
まず、ベランダ等の下地面に第一断熱材および第二断熱材をこの順で設置する。具体的には、第一断熱材を、直接または構造用合板もしくはケイ酸カルシウム板を介して下地面に置き、その上に直接または公知の接着剤や接着テープを介して第二断熱材を設置すればよい。あるいは、予め、第一断熱材の下地面とは反対側の表面に公知の接着剤または公知の接着テープを介して第二断熱材を積層しておき、得られた第一断熱材と第二断熱材との積層体を、第一断熱材が下地面側となるように、直接または構造用合板もしくはケイ酸カルシウム板を介して下地面上に設置してもよい。
次に、第二断熱材の上に構造用合板またはケイ酸カルシウム板を置き、保護層7を形成する。構造用合板またはケイ酸カルシウム板は、直接置いてもよいが、公知の接着剤や接着テープを介して置いてもよい。また、構造用合板やケイ酸カルシウム板を予め小さく切断しておき、かかる小さな構造用合板またはケイ酸カルシウム板を、直接または接着剤や接着テープを介して第二断熱材上に敷き詰めてもよい。この場合、隣り合う合板同士またはケイ酸カルシウム板同士の間の目地は、絶縁テープ等で塞ぐことが好ましい。構造用合板とケイ酸カルシウムは必要に応じて両方用いてもよい。
続いて、保護層7の上に、刷毛塗り、ロール刷毛塗り等によりプライマーを塗布してプライマー層9を形成し、得られたプライマー層9の上にFRP層11を設ける。FRP層11の形成方法としては、例えば、所望の形状の繊維強化材を準備し、不飽和ポリエステル樹脂を塗布した上にこれを設置し、更に不飽和ポリエステル樹脂を塗布し、脱泡用ローラーにて気泡を除去し、硬化させる方法がある。不飽和ポリエステルの塗布は、例えば、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート等により行うことができる。繊維強化材を複数枚積層する場合には、不飽和ポリエステル樹脂の塗布と繊維強化材の設置を交互に繰り返したのち、気泡の除去および硬化を行えばよい。
また、別のFRP層11形成方法として、ハンドレイアップ等により不飽和ポリエステル樹脂を繊維強化材に含浸させ、得られた不飽和ポリエステル樹脂含浸繊維強化材を所定の場所に設置し、硬化させる方法もある。
不飽和ポリエステル樹脂には、予め硬化剤等の公知の添加剤を混合しておいてもよい。添加剤の混合は、塗布あるいは含浸の直前に行うことが特に好ましい。
FRP層11の上にトナー層を設ける場合は、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、トナーおよび必要に応じて使用される硬化剤を予め混合してトナー層形成用樹脂組成物を調整し、このトナー層形成用樹脂組成物をFRP層11の上に塗布すればよい。塗布は、一般的には、刷毛またはローラーを用いて行われる。
トップコート層を設ける場合は、FRP層11またはトナー層が硬化したことを確認したのち、かかるFRP層11またはトナー層の上に、トップコートを刷毛またはローラーで塗布する。塗布の前には、FRP層11またはトナー層表面をポリシャー等で調整し、清掃し、アセトンを浸み込ませたウエスで拭いておくことが好ましい。かくして、2種類の断熱材を積層させて形成された断熱層を有しており、これにより断熱層の変形が有効に防止された本発明の断熱防水構造体を得ることができる。
以下、実施例および比較例を参照して本発明をさらに説明する。本発明の技術的範囲は、これらによって限定されるものではない。
<実施例1>
厚さ20mmのポリスチレン断熱材((株)カネカ製、商品名:カネライトフォームスーパーE−I)と、硬質ウレタン断熱材(アキレス(株)製、アキレス折り返しボードノンフロン10mm)を用意した。硬質ウレタン断熱材については、予め表層をはがしておき、硬質ウレタンフォーム部分のみを使用することとした。硬質ウレタンフォームの厚さは9mmであった。
ポリスチレン断熱材の上に硬質ウレタンフォームを載せ、更にその上に、保護層として厚さ12mmのケイカル板を載せた。そのケイカル板の上へ、プライマー(三井化学産資(株)製、商品名:FP−330)を0.1kg/m塗布した後、防水用軟質不飽和ポリエステル樹脂(三井化学産資(株)製、商品名:リマスターM)にメチルエチルケトンパーオキシド硬化剤(三井化学産資(株)製、商品名:リマスター専用硬化剤)を0.1質量部添加混合した混合液を、2.6kg/mとなる量で、質量380g/mのガラスマット(三井化学産資(株)製、商品名:リマスターマット#380L)2枚に含浸させ、FRP層を形成した。更にそのFRP層の上へ、不飽和ポリエステル樹脂トップコート(三井化学産資(株)製、商品名:リマスタートップSD−II)にメチルエチルケトンパーオキシド硬化剤を1質量部添加混合したものを、0.2kg/mとなる量で塗布した。断熱材の状態を観察する時のみ硬質ウレタンフォームとFRP施工したケイカル板を持ち上げた。ポリスチレン断熱材が凹む変形が確認されたのは30日後であった。硬質ウレタンフォームの変形は確認されなかった。
<実施例2>
実施例1のポリウレタン断熱材の代わりに、フェノール断熱材(旭化成(株)製、ネオマフォームDH)にして、それ以外はすべて同じ条件にて試験を実施した。表層をはがして得られるフェノールフォームの厚さは11mmであった。ポリスチレン断熱材が凹む変形が確認されたのは90日後であった。フェノールフォームの変形は確認されなかった。
<比較例1>
実施例1のポリウレタン断熱材を敷かず、それ以外はすべて同じ条件にして試験を実施したところ、ポリスチレン断熱材が凹む変形が確認されたのは3日後であった。
<比較例2>
実施例1のポリウレタン断熱材の代わりに、厚さ10mmのポリプロピレン断熱材にして、それ以外はすべて同じ条件にて試験を実施したところ、ポリスチレン断熱材が凹む変形が確認されたのは7日後であった。ポリプロピレン断熱材の変形は確認されなかった。
<比較例3>
実施例1のポリウレタン断熱材の代わりに、厚さ10mmのポリエチレン断熱材にして、それ以外はすべて同じ条件にて試験を実施したところ、ポリスチレン断熱材が凹む変形が確認されたのは5日後であった。ポリエチレン断熱材の変形は確認されなかった。
1 断熱防水構造体
3 下地面
5 断熱層
5a 第一断熱層
5b 第二断熱層
7 保護層
9 プライマー層
11 FRP層
13 樹脂製シート

Claims (2)

  1. 下地面の上に断熱層、保護層、プライマー層および繊維強化樹脂層がこの順で積層された断熱防水構造体であって、
    前記繊維強化樹脂層が不飽和ポリエステルを含んでおり、
    前記断熱層が、下地面上に設けられる第一断熱層と、該第一断熱層上に設けられる第二断熱層とで構成され、
    前記第一断熱層が、ポリスチレンフォームからなり、
    前記第二断熱層が、硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームからなることを特徴とする断熱防水構造体。
  2. 下地面の上に断熱層、保護層、プライマー層および繊維強化樹脂層をこの順で積層する断熱防水工法であって、
    前記繊維強化樹脂層は、繊維強化材に不飽和ポリエステル樹脂を含浸させた層であり、
    前記断熱層を、下地面上に設けられる第一断熱層と、該第一断熱層上に設けられる第二断熱層とで構成し、
    前記第一断熱層を、ポリスチレンフォームからなる断熱材を用いて形成し、
    前記第二断熱層を、硬質ウレタンフォームまたはフェノールフォームからなる断熱材を用いて形成することを特徴とする断熱防水工法。
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