ところで、体表組織における創傷は、目視で直接確認することができるため、超音波診断装置を用いて組織性状を定量解析するための統計モデルは検討されていない。しかし、体表組織における創傷は、ウイルスや細菌などの微生物が付着して感染症を引き起こす場合がある。この感染症を引き起こした感染創傷、非感染の創傷(感染症のない単なる傷)及び定着細菌が認められ、適切な処置を欠くと感染創傷に移行が懸念される状態の創傷(クリティカルコロナイゼーション創)を、創傷感染の初期段階において目視で的確に判別することは困難である。創傷感染の発見が遅れて感染が進行すると、細菌などが繁殖して組織が破壊され、その治癒が困難となってしまう。このため、創傷の感染レベルを正確に評価し、感染レベルに応じた適切な治療やケアを行う必要がある。しかしながら、従来では、創傷の感染の有無を判別するためには、培養検査などの微生物学的検査や血液検査などを行う必要があり、検査時間がかかってしまうといった問題や、診察対象の創傷以外の体の健康状態にも影響を受け得るため、検査結果が当該創傷の状態を示すものであるかの判断に必ずしも結びつかないという臨床上の問題もあった。
このため、本発明者らは、特許文献1等に開示されている従来の解析手法を創傷の感染診断に応用し、創傷を含む組織の定量解析を試みたが、その手法では創傷の感染の有無や感染レベルを十分に解析することはできなかった。
なお、上記では創傷感染に関する説明を行ったが、創傷を含む生体組織以外についても、病気等の早期の発見や治療を行うために、超音波診断装置を用いて組織性状を解析することが可能な新たな解析手法が望まれている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、超音波を用いて生体組織の性状を解析することができ、病変部の進行レベルを把握することができる超音波診断装置を提供することにある。また、その他の目的は、超音波照射により得た生体組織の断層画像に基づいて、生体組織を構成する散乱体の密度や大きさを推定することにより、断層画像を精度よく定量的に解析することができる超音波画像解析方法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段(手段1)としては、生体組織に対して照射された超音波の反射波から取得した反射波信号に基づいて、前記生体組織の断層画像を得る超音波診断装置において、前記断層画像内の少なくとも一部に解析領域を設定する解析領域設定手段と、前記解析領域における前記生体組織からの複数の反射波信号を取得し、それら反射波信号の強度データを演算により求める信号強度演算手段と、前記強度データから振幅確率密度分布を演算により求める振幅確率密度分布演算手段と、前記振幅確率密度分布に基づいて、前記生体組織において反射源となる散乱体の密度を推定する密度推定手段と、前記振幅確率密度分布に基づいて、前記反射源となる散乱体の大きさを推定するサイズ推定手段と、前記密度推定手段及び前記サイズ推定手段の少なくとも一方の推定結果に基づいて、前記生体組織の性状を解析する組織性状解析手段とを備えた超音波診断装置がある。
従って、手段1に記載の超音波診断装置によると、解析領域設定手段により、断層画像内の少なくとも一部に解析領域が設定される。その後、信号強度演算手段により、解析領域における生体組織からの複数の反射波信号が取得され、それら反射波信号の強度データが演算により求められる。そして、振幅確率密度分布演算手段により、複数の強度データから振幅確率密度分布が演算により求められる。生体組織が正常組織から病変組織に変化したり病変組織の感染が進行したりする場合、生体組織の性状(具体的には、生体組織を構成する散乱体の密度や大きさ)が変化する。従って、本発明では、密度推定手段により、振幅確率密度分布に基づいて、生体組織において反射源となる散乱体の密度が推定される。また、サイズ推定手段により、振幅確率密度分布に基づいて、散乱体の大きさが推定される。そして、組織性状解析手段では、それら密度や大きさの少なくとも一方の推定結果に基づいて、生体組織の性状が解析される。このように、本発明によると、超音波を利用して生体組織の性状を解析することにより、病変部における感染の有無やその進行レベルなどを把握することができる。
前記振幅確率密度分布演算手段は、形状パラメータを含んで表現された理論式にさらに尺度パラメータを追加してなる一般化仲上分布であって、前記振幅確率密度分布に従うものを演算により求め、その求められた一般化仲上分布についての前記形状パラメータ及び前記尺度パラメータを算出し、前記密度推定手段は、前記形状パラメータ及び前記尺度パラメータのうちの少なくとも一方に基づいて、前記散乱体の密度を推定するものであってもよい。
従って、上記超音波診断装置によると、振幅確率密度分布演算手段により、複数の強度データの振幅確率密度分布が一般化仲上分布にフィッティングされ、形状パラメータ及び尺度パラメータが算出される。そして、密度推定手段により、それら形状パラメータ及び尺度パラメータのうちの少なくとも一方に基づいて、散乱体の密度が推定される。具体的には、一般化仲上分布に従う確率密度分布P(x)は次式(2)にて定義される。
なお、式(2)において、xは振幅包絡、Γはガンマ関数、mは形状パラメータ、sは尺度パラメータ、Ωは振幅包絡の偏差の2乗である。
また、仲上分布に従う確率密度分布P(x)は、次式(3)にて定義される。
つまり、式(2)にて表される一般化仲上分布は、形状パラメータmを含んで表現された仲上分布の論理式(3)に対して尺度パラメータsを追加してなる。
振幅確率密度分布が式(2)の一般化仲上分布に従う場合、散乱体の密度が大きくなるに従い、形状パラメータmは小さくなり、尺度パラメータsは大きくなる。また、各パラメータm,sの値に応じて、均質または不均質、高散乱体密度または低散乱体密度を反映した分散特性を持つ。このため、各パラメータm,sの値に応じて、散乱体の密度を推定することができ、その密度に応じて生体組織における性状変化を解析することができる。
前記振幅確率密度分布演算手段は、分散の異なる複数のレイリー分布を足し合わせてなるマルチレイリー分布であって、前記振幅確率密度分布に従うものを演算により求め、その求められたマルチレイリー分布についての前記複数のレイリー分布の混在率を示す混在率パラメータを算出し、前記サイズ推定手段は、前記混在率パラメータに基づいて、前記散乱体の大きさを推定してもよい。
従って、上記超音波診断装置によると、振幅確率密度分布演算手段により、複数の強度データの振幅確率密度分布がマルチレイリー分布にフィッティングされ、混在率パラメータが算出される。そして、サイズ推定手段により、その混在率パラメータに基づいて、散乱体の大きさが推定される。具体的には、例えば2成分モデルのマルチレイリー分布P2mixは、次式(4)にて定義されるとともに、3成分モデルのマルチレイリー分布P3mixは、次式(5)にて定義される。
なお、式(5)において、Pnorは正常組織のレイリー分布であり、Pdisは病変組織のレイリー分布である。また、αは混在率パラメータである。
なお、式(5)において、PLは低分散のレイリー分布であり、PMは中分散のレイリー分布であり、PHは高分散のレイリー分布である。また、αL,αM,αHは、混在率パラメータである。
ここで、正常組織や病変組織の複数のサンプルを用いた評価を行い、生体組織において正常組織や病変組織における散乱体の大きさに対応したレイリー分布を予め取得しておく。この場合、推定された散乱体の大きさに基づいて、その大きさに対応する生体組織が病変組織か否かを判別することが可能となる。また、混在率パラメータに基づいて、解析領域における正常組織及び病変組織の存在率を確認することができるため、病気の進行レベル等を把握することができる。
前記解析領域が複数のブロックに分割されており、前記密度推定手段は、前記複数のブロック毎に、前記一般化仲上分布についての前記形状パラメータ及び前記尺度パラメータを算出し、前記断層画像上において、前記複数のブロック毎に前記形状パラメータ及び前記尺度パラメータのいずれか一方のパラメータをその値に応じたカラーで表示して画像化するパラメトリックイメージング手段を備えていてもよい。
従って、上記超音波診断装置によると、解析領域の各ブロックにおいて、パラメトリックイメージング手段により、形状パラメータ及び尺度パラメータのいずれか一方のパラメータがその値に応じてカラーで表示される。一般化仲上分布の形状パラメータ及び尺度パラメータは密度に関連して変化するパラメータであるため、解析領域の各ブロックの表示色を見ることにより、解析領域における密度分布を容易に確認することができる。このため、密度に応じた生体組織における性状変化を視覚的に把握することができる。
前記生体組織は、体表組織における創傷を含む組織であり、前記組織性状解析手段は、前記密度推定手段及び前記サイズ推定手段の少なくとも一方の推定結果に基づいて、前記創傷を含む組織における感染の有無または感染レベルを解析してもよい。
従って、上記超音波診断装置によると、散乱体の密度及び大きさのいずれか一方の推定結果に基づいて、創傷を含む組織における感染の有無または感染レベルを解析することが可能となる。
前記生体組織は、体表組織における創傷を含む組織であり、前記組織性状解析手段は、前記密度推定手段及び前記サイズ推定手段の両方の推定結果に基づいて、前記創傷を含む組織における感染の有無または感染レベルを解析してもよい。
従って、上記超音波診断装置によると、散乱体の密度及び大きさの両方の推定結果に基づいて、創傷を含む組織における感染の有無または感染レベルをより確実に解析することが可能となる。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、生体組織に対して照射された超音波の反射波から取得した反射波信号に基づいて、前記生体組織の断層画像を得るとともに、その断層画像を解析する方法において、前記断層画像内の少なくとも一部に解析領域を設定する解析領域設定ステップと、前記解析領域における前記生体組織からの複数の反射波信号を取得し、それら反射波信号の強度データを演算により求める信号強度演算ステップと、前記強度データから振幅確率密度分布を演算により求める振幅確率密度分布演算ステップと、前記振幅確率密度分布に基づいて、前記生体組織において反射源となる散乱体の密度を推定する密度推定ステップと、前記振幅確率密度分布に基づいて、前記反射源となる散乱体の大きさを推定するサイズ推定ステップと、前記密度推定ステップ及び前記サイズ推定ステップの少なくとも一方にて得た推定結果に基づいて、前記生体組織の断層画像を解析する画像解析ステップとを含む超音波画像解析方法がある。
従って、手段2に記載の緒音波画像解析方法によると、解析領域設定ステップにおいて、断層画像内の少なくとも一部に解析領域が設定される。その後、信号強度演算ステップにおいて、解析領域における生体組織からの複数の反射波信号が取得され、それら反射波信号の強度データが演算により求められる。そして、振幅確率密度分布演算ステップにおいて、複数の強度データから振幅確率密度分布が演算により求められる。その後、密度推定ステップにおいて、振幅確率密度分布に基づいて、生体組織において反射源となる散乱体の密度が推定される。また、サイズ推定ステップにおいて、振幅確率密度分布に基づいて、散乱体の大きさが推定される。そして、組織性状解析手段では、それら密度や大きさの少なくとも一方の推定結果に基づいて、生体組織の断層画像が解析される。このように、本発明によると、散乱体の密度や大きさの推定により生体組織の断層画像を精度よく定量的に解析することができ、ひいては生体組織の性状を視覚的に解析することができる。
以上詳述したように、手段1に記載の発明によると、超音波を用いて生体組織の性状を解析することができ、病変部の進行レベルを把握することができる。また、手段2に記載の発明によると、超音波照射により得た生体組織の断層画像に基づいて、生体組織を構成する散乱体の密度や大きさを推定することにより、断層画像を精度よく定量的に解析することができる。
以下、本発明を超音波診断装置に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の超音波診断装置1を示す正面図であり、図2は、その超音波診断装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図1及び図2に示されるように、超音波診断装置1は、診断装置本体2と、信号ケーブル3を介して診断装置本体2に接続される超音波プローブ4とを備えている。超音波プローブ4は、リニア式電子走査を行うためのリニアプローブであり、例えば、11MHzの超音波を直線状に走査する。超音波プローブ4のプローブヘッド5は、その先端部にて一次元的に並べて配列した複数の超音波振動子6を有し、ゲルパッド9を介して生体組織8に先端部を接触させた状態で超音波を送受信する。
診断装置本体2は、コントローラ10、パルス発生回路11、送信回路12、受信回路13、信号処理回路14、画像処理回路15、解析回路16、メモリ17、記憶装置18、入力装置19、表示装置20等を備える。コントローラ10は、周知の中央処理装置(CPU)を含んで構成されており、メモリ17を利用して制御プログラムを実行し、装置全体を統括的に制御する。
パルス発生回路11は、コントローラ10からの制御信号に応答して動作し、所定周期のパルス信号を生成して出力する。送信回路12は、超音波プローブ4における超音波振動子6の素子数に対応した複数の遅延回路(図示略)を含み、パルス発生回路11から出力されるパルス信号に基づいて、各超音波振動子6に応じて遅延させた駆動パルスを出力する。各駆動パルスの遅延時間は、超音波プローブ4から出力される超音波が所定の照射点で焦点を結ぶように設定されている。なお、本実施の形態における超音波プローブ4の焦点の深度は、例えば18mm程度である。
受信回路13は、図示しない信号増幅回路、遅延回路、整相加算回路を含む。この受信回路13では、超音波プローブ4における各超音波振動子6で受信された各反射波信号(エコー信号)が増幅されるとともに、受信指向性を考慮した遅延時間が各反射波信号に付加された後、整相加算される。この加算によって、各超音波振動子6の受信信号の位相差が調整される。
信号処理回路14は、図示しない対数変換回路、包絡線検波回路、A/D変換回路などから構成されている。信号処理回路14における対数変換回路は反射波信号を対数変換し、包絡線検波回路は対数変換回路の出力信号の包絡線を検波する。また、A/D変換回路は、包絡線検波回路から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
画像処理回路15は、信号処理回路14から出力される反射波信号に基づいて、画像処理を行いBモードの超音波画像(断層画像)等の画像データを生成する。具体的には、画像処理回路15は、反射波信号の振幅(信号強度)に応じた輝度のデータ(強度データ)を画像データとして演算により求める。画像処理回路15で求められた画像データは逐次メモリ17に記憶される。なお、本実施の形態では、信号処理回路14及び画像処理回路15によって、信号強度演算手段が構成されている。
そして、メモリ17に記憶された1フレーム分の画像データに基づいて、生体組織8の断層画像30(図3参照)が白黒の濃淡で表示装置20に表示される。なお、図3に示される生体組織8の断層画像30は、体表組織における創傷31を含む組織の超音波画像である。また、断層画像30では、創傷31を含むように解析領域R1が設定されている。
解析回路16は、メモリ17に記憶されている解析領域R1(図3参照)内の強度データ(輝度の画像データ)を読み込み、所定の解析アルゴリズムに従って解析領域R1内の組織性状に対する解析を行う。具体的には、解析回路16は、複数の強度データから振幅確率密度分布を演算により求める演算部(振幅確率密度演算手段)であって、生体組織8における反射源(散乱体)の密度を推定するための処理を行う第1解析部21と、反射源(散乱体)の大きさを推定するための処理を行う第2解析部22とを備える。より詳しくは、解析回路16の第1解析部21は、上式(2)にて示される一般化仲上分布に従う振幅確率密度分布を演算により求め、形状パラメータm及び尺度パラメータsを算出する。また、解析回路16の第2解析部22は、上式(5)で示されるマルチレイリー分布に従う振幅確率密度分布を演算により求め、混在率パラメータαL,αM,αHを算出する。そして、解析回路16にて算出された各パラメータm,s,αL,αM,αHは、メモリ17に逐次記憶される。
入力装置19は、キーボード23やトラックボール24などで構成されており、ユーザからの要求や指示、具体的には、例えば解析領域R1(図3参照)を設定する際の入力指示等に使用される。つまり、本実施の形態の入力装置19は、解析領域設定手段として機能する。表示装置20は、例えば、LCDやCRTなどのディスプレイであり、生体組織8の断層画像30や、各種設定の入力画面を表示するために用いられる。
記憶装置18は、磁気ディスク装置や光ディスク装置などであり、その記憶装置には制御プログラム及び各種のデータが記憶されている。コントローラ10は、入力装置19による指示に従い、プログラムやデータを記憶装置18からメモリ17へ転送し、それを逐次実行する。なお、コントローラ10が実行するプログラムとしては、メモリカード、フレキシブルディスク、光ディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムや、通信媒体を介してダウンロードしたプログラムでもよく、その実行時には記憶装置18にインストールして利用する。
従来、創傷31の組織構造や、感染による性状変化を反映するような統計モデルは検討されていない。このため、本発明者らは、創傷31の組織構造や、感染による性状変化の評価を行うことが可能な統計モデルの検討を試みた。具体的には、本実施の形態の超音波診断装置1を用い、創傷31を含む生体組織8(例えばラットの体表組織)の断層画像30を取得する。そして、断層画像30において創傷31を含むように解析領域R1を設定し、その解析領域R1での反射波信号の振幅確率密度分布を演算して、複数種類の統計モデルにフィッティングさせた。そして、各統計モデルとの一致度を平均二乗誤差(RMSE)により求め、その結果を図4〜図6に示している。
ここでは、感染度合いの異なる創傷の症例について各統計モデルとの一致度を評価している。図4は感染していない創傷31(正常モデル)の一致度を示し、図5は創感染に移行しそうな定着細菌をもつ創傷31(クリティカルコロナイゼーションモデル)の一致度を示し、図6は創感染に移行した創傷31(感染モデル)の一致度を示している。また、複数種類の統計モデルとしては、R:レイリー分布(上式(1)参照)、2R:レイリー分布の2成分モデル(上式(4)参照)、3R:レイリー分布の3成分モデル(上式(5)参照)、N:仲上分布(上式(3)参照)、GN:Generalized−仲上分布(上式(2)参照)、W:ワイブル分布、HK:Homodyned−K分布である。
図4〜図6に示されるように、2成分モデル、3成分モデル、Generalized−仲上分布(一般化仲上分布)の平均二乗誤差(RMSE)が低くなっており、創傷31の不均質な構造を統計モデルが捉えていると考えられる。特に、全ての症例において、一般化仲上分布(GN)の平均二乗誤差が低い値となり、値も大きな差がなかった。この理由は、創傷31の非感染から感染のそれぞれの組織性状を一般化仲上分布の統計モデルが捉えていると考えられる。
また、上式(2)に示される一般化仲上分布において、m=1、s=1のときにはレイリー分布となり、m=1、s≠1のときにはワイブル分布となり、s=1のときに上式(3)の仲上分布となる。つまり、一般化仲上分布の統計モデルでは、密度が異なる散乱体が混在した組織性状を反映することができる。
従って、本実施の形態の超音波診断装置1では、解析領域R1の強度データの振幅確率密度分布について、一般化仲上分布に従うものを最尤法の演算により求め、得られた形状パラメータm及び尺度パラメータsに基づいて、創傷31の組織性状を解析するように構成している。
図7には、散乱体密度と形状パラメータm及び尺度パラメータsとの関係を示している。図7に示されるように、散乱体密度が大きくなるにつれて、形状パラメータmは小さくなり、尺度パラメータsは逆に大きくなっている。つまり、一般化仲上分布に従う確率密度分布では、各パラメータm,sの値に応じて、均質または不均質、高散乱体密度または低散乱体密度を反映した分布特性を持つ。このため、一般化仲上分布における各パラメータm,sの値に基づいて、密度の異なる散乱体が混在した組織性状を解析することが可能となる。
具体的には、創傷31の感染レベル(感染度合い)に応じた複数のサンプルを用い、各パラメータm,sと散乱体の密度及び創傷31の感染レベルとの関連性を示すテーブルデータを予め取得して記憶装置18に記憶している。そして、解析用のプログラムの実行時にて、記憶装置18からメモリ17にテーブルデータを読み出してそれらデータを参照することにより、各パラメータm,sの値に応じた散乱体の密度を推定して創傷31の感染レベルを解析するように超音波診断装置1を構成している。
また、創傷31を含む生体組織8などのように不均質媒体からの反射波信号は、散乱体のサイズが異なる複数の均質媒質からの反射波信号を統合した情報と考えることができる。具体的には、創傷31を含む生体組織8から得られる反射波信号の振幅の分布特性は、分散の異なる3つのレイリー分布を足し合わせてなるマルチレイリー分布(上式(5)参照)で表現することが可能である。
従って、本実施の形態の超音波診断装置1では、解析領域R1の強度データの振幅確率密度分布について、マルチレイリー分布に従うものを演算により求め、得られた混在率パラメータαL,αM,αHに基づいて、創傷31の組織性状を解析するように構成している。なおここでは、正常組織や病変組織の複数のサンプルを用いた評価を行い、正常組織や病変組織における散乱体の大きさに対応したレイリー分布を予め取得しておく。具体的には、例えば高分散のレイリー分布に従うものが病変組織(創傷31の感染した組織)に対応するサイズの大きな散乱体であり、低分散や中分散のレイリー分布に従うものが正常組織に対応するサイズの散乱体である。そして、混在率パラメータαL,αM,αHに基づいて、散乱体の大きさを推定し、解析領域R1において対応する生体組織8が病変組織か否かを判別するように超音波診断装置1を構成している。また、混在率パラメータαL,αM,αHに基づいて、解析領域R1における正常組織及び病変組織の存在率が確認され、創傷31の感染レベル等が把握される。
さらに、本実施の形態の超音波診断装置1では、断層画像30上において、形状パラメータm及び尺度パラメータsをその値に応じたカラーで表示して画像化する機能(パラメトリックイメージングの機能)を有している。この機能を用いることにより、生体組織8における形状パラメータm及び尺度パラメータsの空間分布と組織性状との相関が視覚的に評価できるようになっている。
具体的には、断層画像30上の解析領域R1において、所定サイズ(本実施の形態では、0.9×2.6mm:16×16pixel)の解析窓W1を方位方向及び深度方向に8pixelずつずらしながら二次元的に走査しつつ解析を行う(図8参照)。この際、解析窓W1内の複数の強度データ(16×16個の輝度データ)の振幅確率密度分布に最尤法を用いて形状パラメータm及び尺度パラメータsを算出する。このようにすると、断層画像30上の解析領域R1が解析窓W1のサイズに応じて複数のブロックに分割され、複数のブロック毎に一般化仲上分布についての形状パラメータm及び尺度パラメータsが算出される。そして、断層画像30上において、解析窓W1の各ブロック毎に、形状パラメータm及び尺度パラメータsをその値に応じたカラーで表示して画像化する。
具体的なカラーの表示例としては、パラメータ値が大きい場合を赤色で表示し、小さくなるに従い、赤色→橙色→黄色→緑色→水色→青色の順にカラーで表示する。また、本発明者らは、感染度合いの異なる創傷31の症例について、パラメトリックイメージングでの評価を試みた。具体的には、感染していない創傷(正常モデル)、定着細菌をもつ創傷(クリティカルコロナイゼーションモデル)、創感染に移行した創傷(感染モデル)について、形状パラメータm及び尺度パラメータsを断層画像30上にカラーで表示した。そして、それら症例のパラメトリックイメージングのカラー表示を比較した結果、正常モデルやクリティカルコロナイゼーションモデルの表示に比べ、感染モデルの表示では、局所的に形状パラメータmが小さく(青く)なり、尺度パラメータsが大きく(赤く)なることを視覚的に確認することができた。
なお、図9には、感染モデルの創傷31について尺度パラメータsの値に応じてパラメトリックイメージングしたものを一例として示している。図9では、各ブロック毎にパラメータ値に応じた白黒の濃淡で示されているが、実際には、白黒の断層画像30上において各ブロック毎にカラー表示され、尺度パラメータsの空間分布が容易に確認できるようになっている。
次に、本実施の形態の超音波診断装置1における処理例を図10のフローチャートを用いて説明する。なお、図10の処理は、図3に示される断層画像30上の解析領域R1における組織性状を解析するための処理である。この処理は、例えば医者などの診断作業者が患者の創傷31のある部位にゲルパッド9を介して超音波プローブ4を接触させ、入力装置19に設けられている処理開始ボタン(図示略)を操作したときに開始される。
先ず、コントローラ10は、パルス発生回路11を動作させ、超音波プローブ4による超音波の送受信を開始させる。具体的には、コントローラ10から出力される制御信号に応答してパルス発生回路11が動作し、所定周期のパルス信号が送信回路12に供給される。そして、送信回路12では、パルス信号に基づいて、各超音波振動子6に対応した遅延時間を有する駆動パルスが生成され、超音波プローブ4に供給される。これにより、超音波プローブ4の各超音波振動子6が振動して超音波が生体組織8に向けて照射される。生体組織8内を伝搬する超音波の一部は、組織境界面(組織を構成する散乱体表面)などで反射して超音波プローブ4で受信される。このとき、超音波プローブ4の各超音波振動子6によって反射波が電気信号(反射波信号)に変換される。そして、その反射波信号は、受信回路13で増幅等された後、信号処理回路14に入力される。
信号処理回路14では、対数変換、包絡線検波、A/D変換といった信号処理が行われ、デジタル信号に変換された反射波信号が画像処理回路15に供給される。画像処理回路15では、その反射波信号に基づいて、断層画像30の画像データを生成するための画像処理が行われる。この画像処理では、反射波信号の振幅(信号強度)に応じた輝度の画像データ(強度データ)が生成される。そして、コントローラ10は、画像処理回路15で生成された各画像データをメモリ17に一旦記憶する。
コントローラ10は、メモリ17に記憶された1フレーム分の各画像データを読み出し、表示装置20に出力する。この結果、創傷31を含む生体組織8の断層画像30を表示装置20に表示させる(ステップ100)。その後、コントローラ10は、解析領域R1を設定するための入力画面を表示装置20に表示させる(解析領域設定ステップとしてのステップ110)。この入力画面には、断層画像30上における解析領域R1の設定を促すメッセージやカーソルなどが表示される。そして、作業者は、入力画面を確認しつつ入力装置19のキーボード23やトラックボール24等を操作して、断層画像30上における創傷31の病変部に解析領域R1を設定した後(図3参照)、画面に表示される解析開始ボタン(図示略)を選択する。
このとき、コントローラ10は、入力装置19の入力操作によって指定された断層画像30上の領域を解析領域R1として設定する。その後、コントローラ10は、解析領域R1における組織性状の解析処理を開始する。具体的には、先ず、コントローラ10は、解析領域R1内の反射波信号から演算して求めた輝度の画像データを強度データとしてメモリ17から読み出し、解析回路16に入力する(信号強度演算ステップとしてのステップ120)。
解析回路16では、解析領域R1内の複数の強度データについて、16×16個のデータを含む解析窓W1の単位で複数のブロックに分割された状態で入力される。そして、各ブロック単位で方位方向及び深度方向にずらしながら、複数の強度データから振幅確率密度分布を演算により求める(振幅確率密度分布演算処理としてのステップ130)。このとき、解析回路16の第1解析部21では、解析領域R1内の複数のブロック毎に一般化仲上分布についての形状パラメータm及び尺度パラメータsが算出される。また、解析回路16の第2解析部21では、解析領域R1内の複数のブロック毎にマルチレイリー分布についての混在率パラメータαL,αM,αHが算出される。そして、これら各パラメータm,s,αL,αM,αHは、メモリ17に一旦記憶される。
コントローラ10は、解析回路16で求められた形状パラメータm、尺度パラメータs、混在率パラメータαL,αM,αHを解析窓W1のブロック毎にメモリ17から取り込む。そして、密度推定手段としてのコントローラ10は、メモリ17に記憶されているテーブルデータを用い、形状パラメータm及び尺度パラメータsに対応する散乱体の密度を解析領域R1内における解析窓W1のブロック毎に推定する(密度推定ステップとしてのステップ140)。また、サイズ推定手段としてのコントローラ10は、混在率パラメータαL,αM,αHに基づいて散乱体の大きさを解析窓W1のブロック毎に推定する(サイズ推定ステップとしてのステップ150)。
そして、組織性状解析手段としてのコントローラ10は、推定した散乱体の密度及び散乱体の大きさに基づいて、生体組織8の断層画像30における創傷31の感染の有無や感染レベルを各ブロック毎に解析し、その解析結果を表示装置に表示する(画像解析ステップとしてのステップ160)。解析結果の表示例としては、解析領域R1において感染が有りと解析したブロックについて警告色のカラー(例えば青色)で断層画像30上に表示する。また、感染の初期段階で感染の疑いがあると解析されたブロックについては、例えば点滅表示させるなどして警告を促すようにしてもよい。
次に、コントローラ10は、解析領域R1のいずれかのブロックで創傷感染があるか否かを判定する(ステップ170)。そして、感染があると解析した場合、パラメトリックイメージングの表示を行うか否かを選択するための表示ボタンを表示装置20の画面に表示させる(ステップ180)。このとき、表示ボタンが選択された場合、パラメトリックイメージング手段としてのコントローラ10は、各パラメータm,sのパラメトリックイメージングを行うための処理を行う(ステップ190)。ここでは、先ず、コントローラ10は、形状パラメータm及び尺度パラメータsの選択ボタンを表示装置20に表示させて、表示に使用するパラメータを作業者に選択させる。
その後、コントローラ10は、作業者による入力装置19のボタン操作に応じて、選択されたパラメータのデータをメモリ17から読み出す。そして、コントローラ10は、各ブロック毎にパラメータ値に応じたカラーの表示データを表示装置20に出力し、断層画像30の上に重ね合わせてカラーで表示する(図9等参照)。その後、コントローラ10は、別のパラメータでパラメトリックイメージングを行うか否かを促す選択ボタンを表示装置20に表示させる。ここで、選択ボタンの操作により別のパラメータでのパラメトリックイメージングを行う場合には、コントローラ10は、そのパラメータのデータをメモリ17から読み出し、断層画像30上において各ブロック毎にパラメータ値に応じたカラーで表示する。その後、表示装置20の画面に表示された処理終了ボタン(図示略)が選択された場合に、コントローラ10は図10の処理を終了する。
また、ステップ170において、解析領域R1において創傷感染がないと判定された場合、コントローラ10は、ステップ180及びステップ190の処理を行うことなく、図10の処理を終了する。さらに、ステップ180において、パラメトリックイメージングの表示ボタンではなく、処理終了ボタンが選択された場合、コントローラ10は、ステップ190の処理を行うことなく、図10の処理を終了する。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態の超音波診断装置1では、創傷31を含む生体組織8の断層画像30上に解析領域R1が設定される。その解析領域R1における複数の反射波信号の強度データから一般化仲上分布に従う振幅確率密度分布が演算により求められ、得られた形状パラメータm及び尺度パラメータsに基づいて、散乱体の密度が推定される。また、複数の強度データから3成分のマルチレイリー分布に従う振幅確率密度分布が演算により求められ、得られた混在率パラメータαL,αM,αHに基づいて、散乱体の大きさが推定される。それら推定された密度や大きさによって創傷31の組織性状が解析される結果、創傷31における感染の有無やその進行レベルなどを精度よく把握することができる。
(2)本実施の形態の超音波診断装置1は、パラメトリックイメージングの機能を有し、解析領域R1内にて複数に分割されたブロック毎に、形状パラメータm及び尺度パラメータsのいずれか一方のパラメータがその値に応じてカラーで表示される。一般化仲上分布の形状パラメータm及び尺度パラメータsは密度に関連して変化するパラメータであるため、解析領域R1の各ブロックの表示色を見ることにより、解析領域R1における密度分布を容易に確認することができる。このため、密度に応じた創傷31の組織性状の変化を視覚的に把握することができる。
(3)本実施の形態の超音波診断装置1では、3成分のマルチレイリー分布ののうちの高分散のレイリー分布PHは、創傷31における感染した組織に対応したレイリー分布であり、高分散のレイリー分布PHの混在率パラメータαHに基づいて、創傷感染の進行レベルを判定することができる。
(4)本実施の形態の超音波診断装置1を用いれば、従来技術のように微生物学的検査や血液検査などを行うことなく、創傷31の感染の有無やその進行レベルを早期に把握できる。創感染の進行レベルを非侵襲かつ的確に判定することができれば、重度の治療を要する創傷か否かの判断を医療従事者が適切に行うことができる。これにより、軽症患者の診察に関しては医療費の抑制に繋がり、感染創又はクリティカルコロナイゼーション創を有する患者に関しては重点的な治療を施し、創傷の治癒を促すことが可能となる。また、本実施の形態の超音波診断装置1は非侵襲的に創傷31の診断が可能であるため、血液検査等に比べ患者の診察負担を大幅に軽減することが期待できる。このように、本実施の形態の超音波診断装置1によれば、創傷31の感染レベルに応じた適切な治療やケアを行うことができ、創傷31の治癒期間を短くすること等が期待できる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、解析領域R1において解析窓W1のブロック毎に創傷31の感染の有無を解析するものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、ブロックにおける任意の解析点(画像の1ピクセル)毎に感染の有無を解析してもよい。具体的には、例えば、作業者は、入力装置19のキーボード23やトラックボール24を操作して、断層画像30において、感染が有りと判定されたブロックにおける任意の解析点を指定する。コントローラ10は、解析点のあるブロックの強度データ(16×16個の輝度値の画像データ)を読み出し、それら強度データを用い、3成分のマルチレイリー分布に従う振幅確率密度分布P3mixを演算により求める。ここで、ブロックにおける反射波信号の振幅確率密度分布PXは、混在率パラメータαL,αM,αHに基づいて、低分散、中分散、高分散のレイリー分布PL,PM,PHの足し合わせたマルチレイリー分布P3mixとして表現することができる(図11参照)。また、解析点の強度データ(輝度値)に基づいて、低分散、中分散、高分散のいずれかの散乱体であるかを判定する。具体的には、例えば、創傷31が感染した病変組織における散乱体が高分散となり、解析点の強度データの輝度値が大きくなる場合を想定する。この場合、図11におけるマルチレイリー分布P3mixにおいて、解析点の輝度値x1を参照すると、高分散のレイリー分布PHの確率が高いことを推定することができる。従って、コントローラ10は、混在率パラメータαL,αM,αHと解析点の強度データとに基づいて、創傷感染に対応した散乱体のサイズを推定することができる。そして、コントローラ10は、その推定結果に基づいて、解析点での組織性状として感染している旨を表示装置20に表示する。このように超音波診断装置1を構成しても、超音波を利用して創傷31の組織性状を解析することができる。
・上記実施の形態の超音波診断装置1では、解析領域R1内の反射波信号の振幅確率密度分布に基づいて組織性状を解析するものであったが、解析領域R1内に血管や骨などからの反射波信号が含まれる場合がある。血管や骨は創傷31の生体組織8とは構造が異なり、血管や骨などの構造物からの反射波信号は、創傷31の生体組織8からの反射波信号と比較してその分散特性が異なる。また、血管や骨などはBモードの断層画像30においてその構造を確認することができる。このため、解析領域R1の設定時において、血管や骨などの構造物が含まれる場合にはその構造物を排除領域として排除したうえで解析領域R1を設定して、組織性状の解析を行うように超音波診断装置1を構成してもよい。
・上記実施の形態の超音波診断装置1では、3成分モデルのマルチレイリー分布P3mixに従って、組織性状の解析を行っていたが、2成分モデルや4成分以上の複数のマルチレイリー分布を用いて、組織性状の解析を行うように構成してもよい。
・上記実施の形態の超音波診断装置1では、創傷31を含む生体組織8の性状を解析して創傷31の感染の有無や感染レベルを把握するものであったが、これに限定するものではない。超音波診断装置1を用いて、創傷31以外の他の生体組織8の性状を解析し、病変部の進行レベルなどの組織性状の変化を把握してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)上記手段1において、前記振幅確率密度演算手段は、分散の異なる3つのレイリー分布を足し合わせてなるマルチレイリー分布であって、前記確率密度分布に従うものを演算により求め、前記3つのレイリー分布の混在率を示す混在率パラメータを算出する超音波診断装置。
(2)上記手段1において、前記複数のレイリー分布のうちの1つは、感染した創傷の病変組織に対応したレイリー分布であり、前記組織性状判定手段は、前記病変組織の前記混在率パラメータに基づいて、前記生体組織における病気の進行レベルを判定する超音波診断装置。
(3)上記手段1において、前記解析領域設定手段は、前記解析領域内にBモードの断層画像で確認できる構造物があるときに、その構造物がある領域を排除したうえで解析領域の設定を行う機能を有する超音波診断装置。
(4)コンピュータを、生体組織に対して照射された超音波の反射波から取得した反射波信号に基づく断層画像内の少なくとも一部に解析領域を設定する解析領域設定手段と、前記解析領域における前記生体組織からの複数の反射波信号を取得し、それら反射波信号の強度データを演算により求める信号強度演算手段と、前記強度データから振幅確率密度分布を演算により求める振幅確率密度分布演算手段と、前記振幅確率密度分布に基づいて、前記生体組織において反射源となる散乱体の密度を推定する密度推定手段と、前記振幅確率密度分布に基づいて、前記反射源となる散乱体の大きさを推定するサイズ推定手段と、前記密度推定手段及び前記サイズ推定手段の少なくとも一方の推定結果に基づいて、前記生体組織の性状を解析する組織性状解析手段として動作させるためのプログラム、及びそれを格納した記憶媒体。