JP2017009195A - 熱交換器 - Google Patents

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基之 ▲高▼木
基之 ▲高▼木
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Abstract

【課題】冷媒流路の分流部に通じている熱交換チューブへの冷媒の分流を均一化しうる熱交換器を提供する。
【解決手段】両ヘッダタンク2,3を、隣接する2つのタンクエレメント31のヘッダ構成部32A,32Bどうしの一部を嵌め合わせることにより構成する。両ヘッダタンク2,3のヘッダ部5,17の一部の区画11,12,21が、冷媒をその長さ方向に流しかつ冷媒を複数の熱交換チューブ24に分流させる分流部10A,19A,20Aが設けられた冷媒流路10,19,20を有する。ヘッダ構成部32A,32Bに、熱交換チューブ24をヘッダ構成部32A,32B内に通じさせる連通口30を形成する。分流部10A,19A,20Aの一部を構成するタンクエレメント31のヘッダ構成部32A,32Bの連通口30を、タンクエレメント31に隣接するタンクエレメント31のヘッダ構成部32A,32Bにより部分的に塞ぐ。
【選択図】図3

Description

この発明は、エバポレータ、ヒータコア、コンデンサなどに用いられる熱交換器に関する。
この明細書において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。また、この明細書において、図1〜図4の上下を上下というものとする。
たとえば、自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンに用いられるエバポレータとして、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の扁平状熱交換チューブと、長手方向を熱交換チューブの並び方向に向けた状態で熱交換チューブの上下両側に配置された上下1対のヘッダタンクと、ヘッダタンクの長手方向に隣り合う熱交換チューブどうしの間に配置されたフィンとを備えており、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両端部が両ヘッダ部に通じさせられ、両ヘッダタンクの各ヘッダ部に、ヘッダ部の長手方向に並んだ複数の区画が設けられ、下ヘッダタンクの各ヘッダ部の全区画のうち少なくとも一部の区画が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路を有しており、当該冷媒流路の少なくとも一部に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、さらにいずれか一方のヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端に冷媒入口が設けられ、当該風下側ヘッダ部の冷媒入口側端部の区画が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路を有しており、当該冷媒流路の少なくとも一部に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられているエバポレータが広く用いられている。
上述したエバポレータの具体例として、たとえばアルミニウム板にプレス加工を施すことにより形成されて互いに接合された2枚の縦長プレートからなり、かつ長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた複数の扁平中空体が、厚み方向に積層状に配置されることによって構成されており、扁平中空体に、2枚の縦長金属プレート間に形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出しかつ通風方向に間隔をおいて並んだ2つの熱交換チューブと、2枚の縦長プレート間に膨出状熱交換チューブの両端に通じるように形成されて扁平中空体の厚み方向に膨出し、かつ膨出状熱交換チューブよりも膨出高さの高い2つの膨出状ヘッダ構成部とが設けられ、扁平中空体の両縦長プレートが隣り合う扁平中空体のヘッダ構成部どうしが接合されることにより、風下側ヘッダ部および風上側ヘッダ部を有する上下両ヘッダタンクが形成され、隣り合う扁平中空体の熱交換チューブが設けられている部分の間が通風間隙となるとともに当該通風間隙にフィンが配置されている所謂積層型エバポレータが広く知られている(特許文献1参照)。
また、上述したエバポレータの他の具体例として、熱交換チューブがアルミニウム押出形材製であるとともに、両ヘッダタンクが熱交換チューブとは別個に形成されており、各ヘッダタンクが、アルミニウム板にプレス加工を施すことにより形成されかつ複数の管挿入穴を有する第1タンク構成部材と、アルミニウム板にプレス加工を施すことにより形成されかつ第1タンク構成部材の熱交換チューブとは反対側に配置された第2タンク構成部材と、アルミニウム板にプレス加工を施すことにより形成されかつ第1タンク構成部材と第2タンク構成部材との間に配置されて第1および第2タンク構成部材にろう付された第3タンク構成部材とからなり、第1タンク構成部材の風下側部分および風上側部分にそれぞれ複数の管挿入穴が形成され、熱交換チューブの端部が管挿入穴に挿入されてヘッダタンクの第1構成部材にろう付され、第1タンク構成部材と第2タンク構成部材との間に風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間が形成されるとともに、両ヘッダ部内が第3タンク構成部材に設けられた仕切部により上下両空間に分割されているエバポレータが広く用いられている(特許文献2参照)。
特許文献1記載のエバポレータによれば、扁平中空体の数を変更することによってエバポレータの熱交換チューブの並び方向の寸法を変更することは容易であるが、扁平中空体を形成する金属プレートがプレス成形品であるから、エバポレータの高さや、隣り合う熱交換チューブ間の間隔を変更することは困難である。
特許文献2記載のエバポレータによれば、熱交換チューブが押出形材製であるから、熱交換チューブの長さを変更することによってエバポレータの高さを変更することは比較的簡単であるが、ヘッダタンクを構成する第1〜第3部材がプレス成形品であるから、エバポレータの熱交換チューブの並び方向の寸法や、隣り合う熱交換チューブ間の間隔を変更することは困難である。
また、特許文献1および2記載のエバポレータにおいて、下ヘッダタンクの各ヘッダ部の全区画のうち一部に分流部が設けられている冷媒流路を有する区画においては、慣性により冷媒が当該冷媒流路の奥側に流れやすいので、当該冷媒流路の分流部に通じているすべての熱交換チューブへの冷媒の分流が不均一になるおそれがある。
この問題を解決したエバポレータとしては、前記下ヘッダタンクの各ヘッダ部の全区画のうち一部に分流部が設けられている冷媒流路を有する区画内に、当該区画内を長手方向に分割する複数の仕切板が配置され、仕切板に絞り穴が形成されたエバポレータが知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3載のエバポレータによれば、冷媒流路の通路抵抗が増大し、冷媒循環量が減少して熱交換性能が低下するおそれがある。
特開2013−24517号公報 特開2013−96659号公報 特開2001−74388号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、熱交換チューブの長手方向の寸法、熱交換チューブの並び方向の寸法および隣り合う熱交換チューブ間の間隔を比較的容易に変更しうるとともに、通路抵抗を増大させることなく冷媒流路の分流部に通じている熱交換チューブへの冷媒の分流を均一化しうる熱交換器を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)長手方向を同一方向に向けた状態で互いに間隔をおいて配置された2つのヘッダタンクと、長手方向をヘッダタンクの長手方向と直角をなす方向に向けた状態で両ヘッダタンク間に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブとを備えており、各ヘッダタンクに少なくとも1つのヘッダ部が設けられるとともに、熱交換チューブの両端部がヘッダ部に通じさせられている熱交換器において、
ヘッダタンクが、筒状ヘッダ構成部を有するタンクエレメントが、熱交換チューブの並び方向に積層状に並べられるとともに、隣り合う2つのタンクエレメントのうち一方のタンクエレメントのヘッダ構成部の一部が同他方のタンクエレメントのヘッダ構成部内に嵌め入れられ、さらに両ヘッダ構成部どうしが接合されることにより構成され、両ヘッダタンクを構成する2つのタンクエレメント間に1つの熱交換チューブが設けられ、タンクエレメントのヘッダ構成部に、熱交換チューブをヘッダ構成部内に通じさせる連通口が形成され、全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち一部のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている熱交換器。
2)タンクエレメントが、熱交換チューブの並び方向に積層されて相互に接合された2枚のプレートからなり、各プレートに貫通穴が形成され、各プレートにおける貫通穴の周囲の部分に、それぞれ他のプレートとは反対側に突出しかつタンクエレメントのヘッダ構成部における熱交換チューブの並び方向の半部を形成する筒状部が設けられ、各プレートの筒状部に、連通口における熱交換管の並び方向の半部を形成する凹部が形成され、隣接する2つのタンクエレメントからなるエレメント対の近接した2枚のプレートのうち第1のプレートの筒状部が第2のプレートの筒状部内に嵌め入れられており、全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち一部のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、前記第1のプレートの筒状部によって部分的に塞がれている上記1)記載の熱交換器。
3)ヘッダ構成部の連通口を部分的に塞ぐ前記第1のプレートの筒状部の長さが、他の前記第1プレートの筒状部の長さよりも長くなっている上記2)記載の熱交換器。
4)タンクエレメントに、前記連通口と通じるように筒状のチューブ挿入部が設けられ、当該チューブ挿入部が、タンクエレメントを構成する2枚のプレートに筒状部の突出方向と同方向に膨出するように設けられ、かつチューブ挿入部における熱交換チューブの並び方向の半部を形成する膨出部からなり、一方のヘッダタンクのタンクエレメントと他方のヘッダタンクのタンクエレメントとの間に、タンクエレメントとは別個に形成された熱交換チューブが配置され、当該熱交換チューブの両端部が、両タンクエレメントのチューブ挿入部内に挿入されてタンクエレメントに接合されている上記2)または3)記載の熱交換器。
5)両ヘッダタンクのタンクエレメントと一体に熱交換チューブが設けられるとともに熱交換チューブの両端が両タンクエレメントの連通口に通じさせられ、当該熱交換チューブが、両タンクエレメントの両プレートと一体に設けられ、かつ熱交換チューブにおけるタンクエレメントの並び方向の半部を形成するチューブ構成部からなる上記2)または3)記載の熱交換器。
6)少なくとも1つのヘッダ部内が、ヘッダ部に設けられた仕切部によって長手方向に並んだ複数の区画に分割され、仕切部が、隣接する2つのタンクエレメントの近接した2枚のプレートにおける前記第1プレートの筒状部の先端が閉鎖されることにより設けられている上記2)〜5)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
7)ヘッダ部に設けられた全区画のうち少なくとも一部の区画が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路を有しており、当該冷媒流路の少なくとも一部に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、当該分流部が設けられている冷媒流路を有する区画を構成する全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち、少なくとも分流部の一部を構成する複数のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている上記6)記載の熱交換器。
8)2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、タンクエレメントに通風方向に並んだ2つのヘッダ構成部が設けられ、タンクエレメントを構成する2枚のプレートが、それぞれ通風方向に並んだ2つの貫通穴、および両貫通穴の周囲に形成された筒状部を有しており、
上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部に複数の区画が設けられ、当該風下側ヘッダ部の一端に冷媒入口が設けられるとともに、当該風下側ヘッダ部の冷媒入口側端部の区画の全体が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路であり、当該冷媒流路の全体に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、当該区画を構成する全タンクエレメントのうち分流部の冷媒入口側部分を構成する複数のタンクエレメントの連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている上記7)記載の熱交換器。
9)2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、タンクエレメントに通風方向に並んだ2つのヘッダ構成部が設けられ、タンクエレメントを構成する2枚のプレートが、それぞれ通風方向に並んだ2つの貫通穴、および両貫通穴の周囲に形成された筒状部を有しており、
下ヘッダタンクの各ヘッダ部に、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路を有する区画が設けられ、当該区画の冷媒流路の少なくとも一部に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、当該区画を構成する全タンクエレメントのうち分流部の冷媒流れ方向下流側の部分を構成する複数のタンクエレメントの連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている上記7)記載の熱交換器。
10)2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風下側チューブ列が構成されるとともに、風上側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風上側チューブ列が構成され、タンクエレメントに通風方向に並んだ2つのヘッダ構成部が設けられ、タンクエレメントを構成する2枚のプレートが、それぞれ通風方向に並んだ2つの貫通穴、および両貫通穴の周囲に形成された筒状部を有しており、
いずれかのヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端部に冷媒入口が設けられるとともに、当該ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端部に冷媒出口が設けられ、上ヘッダタンクの両ヘッダ部に、それぞれ複数の区画が設けられ、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなり、かつ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなり、かつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とが交互に設けられ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群が下降流チューブ群となり、両最遠チューブ群が通風方向に並ぶとともに、当該両最遠チューブ群により1つのパスが構成され、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部における冷媒入口から最も遠い最遠区画に、風下側チューブ列の最遠チューブ群およびこれに隣接するチューブ群が通じさせられ、上ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒出口から最も遠い最遠区画に風上側チューブ列の最遠チューブ群が通じさせられ、風下側ヘッダ部の最遠区画における風下側チューブ列の最遠チューブ群が通じる部分と、風上側ヘッダ部の最遠区画とが連通部により通じさせられ、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の最遠区画の全体が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路であり、当該冷媒流路における冷媒流れ方向下流側部分に、冷媒を、風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の最遠区画を構成する全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち、少なくとも分流部の一部を構成する複数のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている上記7)記載の熱交換器。
上記1)〜10)の熱交換器によれば、ヘッダタンクが、筒状ヘッダ構成部を有するタンクエレメントが、熱交換チューブの並び方向に積層状に並べられるとともに、隣り合う2つのタンクエレメントのうち一方のタンクエレメントのヘッダ構成部の一部が同他方のタンクエレメントのヘッダ構成部内に嵌め入れられ、さらに両ヘッダ構成部どうしが接合されることにより構成され、両ヘッダタンクを構成する2つのタンクエレメント間に1つの熱交換チューブが設けられ、タンクエレメントのヘッダ構成部に、熱交換チューブをヘッダ構成部内に通じさせる連通口が形成されているので、タンクエレメントおよび熱交換チューブの数を変更することによって、熱交換チューブの並び方向の寸法を比較的容易に変更することができる。また、隣り合う2つのタンクエレメントのうち一方のタンクエレメントのヘッダ構成部における同他方のタンクエレメントのヘッダ構成部内への嵌め入れ長さを変更することによって、隣り合う熱交換チューブ間の間隔を比較的容易に変更することができる。
さらに、全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち一部のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれているので、ヘッダ構成部の連通口が部分的に塞がれている部分においては、当該連通口に通じる熱交換チューブへの冷媒流入量が減少する。したがって、ヘッダ構成部の連通口が部分的に塞がれているタンクエレメントを適切な位置に配置することによって、全熱交換チューブへの冷媒流入量を均一化することが可能になる。
上記2)および3)の熱交換器によれば、比較的簡単な構成で、タンクエレメントのヘッダ構成部の連通口を部分的に塞ぐことが可能になる。
上記4)の熱交換器によれば、熱交換チューブがタンクエレメントと別個に形成されているので、熱交換チューブを、たとえば押出形材を適当な寸法に切断したり、板材を曲げることにより形成された筒状材を適当な寸法に切断したりすることにより製造することができ、その結果熱交換チューブの長さ調節が比較的容易になる。したがって、熱交換チューブの長さを変更することによって、熱交換器における熱交換チューブの長手方向の寸法を比較的容易に変更することができる。
上記6)の熱交換器によれば、少なくとも1つのヘッダ部に、当該ヘッダ部内をヘッダ部の長手方向に複数の区画に分割する仕切部を簡単に設けることができる。
上記7)の熱交換器によれば、ヘッダ部に設けられた全区画のうち少なくとも一部の区画が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路を有しており、当該冷媒流路の少なくとも一部に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、当該分流部が設けられている冷媒流路を有する区画を構成する全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち、少なくとも分流部の一部を構成する複数のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれているので、分流部から連通口を経て熱交換チューブに冷媒が流入する際に、部分的に塞がれている連通口に通じる熱交換チューブ部への冷媒流入量が減少するとともに、全く塞がれていない連通口に通じる熱交換チューブ部への冷媒流入量が増大する。したがって、適当な位置のヘッダ構成部の連通口を部分的に塞ぐことにより、当該分流部に通じている全熱交換チューブへの冷媒流入量を均一化することが可能になる。
上記8)の熱交換器によれば、次の効果を奏する。すなわち、冷媒入口を通って上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部における冷媒入口側端部の区画の冷媒流路に設けられている分流部内に流入する冷媒は液相主体であって、重力の影響により、冷媒流路の分流部の冷媒入口側に通じている熱交換チューブ内に流入し易いが、当該区画を構成する全タンクエレメントのうち分流部の冷媒入口側部分を構成する複数のタンクエレメントの連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれていると、分流部から連通口を経て熱交換チューブに冷媒が流入する際に、部分的に塞がれている連通口に通じる熱交換チューブ部への冷媒流入量が減少し、これとは反対に全く塞がれていない連通口に通じている熱交換チューブへの冷媒流入量が増大する。したがって、風下側ヘッダ部の冷媒入口側端部の区画の冷媒流路の分流部に通じている全熱交換チューブへの冷媒流入量を均一化することができる。
上記9)の熱交換器によれば、次の効果を奏する。すなわち、下ヘッダタンクのヘッダ部における分流部が設けられている冷媒流路を有する区画内に入って冷媒流路を流れる冷媒は、慣性の影響により、冷媒流路の冷媒流れ方向下流側に流れ易くなり、当該冷媒流路の少なくとも一部に設けられた分流部における冷媒流れ方向下流側部分に通じている熱交換チューブに流入し易くなるが、当該区画を構成する全タンクエレメントのうち分流部の冷媒流れ方向下流側の部分を構成する複数のタンクエレメントの連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれているので、冷媒が、分流部の冷媒流れ方向下流側部分に通じている熱交換チューブ内へ流入する際に抵抗が付与される。したがって、分流部の冷媒流れ方向下流側部分に通じている熱交換チューブに流入する冷媒量が減少し、これとは反対に分流部の冷媒流れ方向上流側部分に通じている熱交換チューブに流入する冷媒量が増大する。その結果、分流部に通じている全熱交換チューブへの冷媒の分流を均一化することができる。
上記10)の熱交換器によれば、次の効果を奏する。すなわち、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の最遠区画内に流入しかつ当該最遠区画の冷媒流路の分流部内に流入する冷媒は、重力の影響により、当該分流部に通じている風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブに流入し易くなり、連通部を通って風上側ヘッダ部の最遠区画を経て風上側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブには流入しにくくなるが、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の最遠区画を構成する全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち、少なくとも分流部の一部を構成する複数のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれているので、冷媒が、風下側チューブ列の最遠チューブ群における分流部に通じている熱交換チューブ内への流入する際に抵抗が付与される。したがって、風下側チューブ列の最遠チューブ群における分流部に通じている熱交換チューブに流入する冷媒量が減少し、これとは反対に連通部を通って風上側ヘッダ部の最遠区画を経て風上側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブへ流入する冷媒量が増大する。その結果、風下側チューブ列の最遠チューブ群における分流部に通じている熱交換チューブおよび風上側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブへの冷媒流入量を均一化することができる。
この発明のエバポレータの全体構成を示す一部分を省略した斜視図である。 図1のエバポレータにおける冷媒の流れを示す図である。 図1のA−A線拡大断面図である。 図3のB−B線拡大断面図である。 図4のC−C線断面図である。 図5のD−D線断面図である。 上下1対のタンクエレメントおよび両タンクエレメントに接続された熱交換チューブを示す一部分を省略した斜視図である。 仕切部および連通部が設けられていない大部分のタンクエレメントを示す分解斜視図である。 風下側上ヘッダ部の仕切部が設けられているタンクエレメントの右プレートを示す斜視図である。 風上側上ヘッダ部の仕切部が設けられているタンクエレメントの左プレートを示す斜視図である。 連通部が設けられているタンクエレメントを示す分解斜視図である。 連通口の一部を塞ぐ筒状部が設けられたプレートを有するタンクエレメントを示す分解斜視図である。 風下側上ヘッダ部の第2区画を構成する全タンクエレメントのうち冷媒流路の分流部を構成し、かつ連通部が設けられている複数のタンクエレメント右プレートを示す斜視図である。 タンクエレメントおよび熱交換チューブの変形例を示す斜視図である。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器をカーエアコンのエバポレータに適用したものである。
以下の説明において、通風方向下流側(図1、図2および図4に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。また、前方から後方を見た際の上下、左右、すなわち図1〜図3の上下、左右を上下、左右というものとする。
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1はこの発明による熱交換器を適用したエバポレータの全体構成を示し、図2は図1のエバポレータにおける冷媒の流れを示す。また、図3〜図13は図1のエバポレータの要部の構成を示す。
図1〜図4において、エバポレータ(1)は、長手方向を左右方向に向けた状態で上下方向に間隔をおいて配置されたアルミニウム製上ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製下ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
上ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する風下側上ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ風下側上ヘッダ部(5)に一体化された風上側上ヘッダ部(6)とを備えている。風下側上ヘッダ部(5)の右端部に冷媒入口(7)が設けられ、風上側上ヘッダ部(6)の右端部に冷媒出口(8)が設けられている。風下側上ヘッダ部(5)における左右方向中央部よりも右側の部分に、風下側上ヘッダ部(5)内を左右方向に複数、ここでは2つの区画(11)(12)に分割する仕切部(9)が設けられている。また、風上側上ヘッダ部(6)における左右方向中央部よりも左側の部分に、風上側ヘッダ部(6)内を複数、ここでは2つの区画(14)(15)に分割する仕切部(9)が設けられている。ここで、風下側上ヘッダ部(5)の2つの区画(11)(12)を、冷媒入口(7)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第2区画というものとし、風上側上ヘッダ部(6)の2つの区画(14)(15)を、冷媒出口(8)とは反対側の端部(左端部)から冷媒出口(8)側端部(右端部)に向かって第3〜第4区画というものとする。すなわち、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)が、冷媒入口(7)から最も遠い最遠区画であり、風上側上ヘッダ部(6)の第3区画(14)が、冷媒出口(8)から最も遠い最遠区画である。また、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)における風上側上ヘッダ部(6)の仕切部(9)よりも左側の部分と、風上側上ヘッダ部(6)の第3区画(14)とが、左右方向に間隔をおいて設けられた複数の連通部(16)を介して通じさせられている。
下ヘッダタンク(3)は、前側に位置する風下側下ヘッダ部(17)と、後側に位置しかつ風下側下ヘッダ部(17)に一体化された風上側下ヘッダ部(18)とを備えている。風下側下ヘッダ部(17)における左右方向中央部よりも左側の部分に、風下側下ヘッダ部(17)内を左右方向に複数、ここでは2つの区画(21)(22)に分割する仕切部(9)が設けられている。ここで、風下側下ヘッダ部(17)の2つの区画(21)(22)を、冷媒入口(7)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第2区画というものとする。また、風上側下ヘッダ部(18)内は、全体が1つの区画(23)となっており、当該区画(23)を第3区画というものとする。また、風下側下ヘッダ部(17)の第2区画(22)と、風上側下ヘッダ部(18)の第3区画(23)における風下側下ヘッダ部(17)の仕切部(9)よりも左側の部分とが、左右方向に間隔をおいて設けられた複数の連通部(16)を介して通じさせられている。
熱交換コア部(4)において、長手方向を上下方向に向けるとともに幅方向を通風方向に向けた状態で左右方向に間隔をおいて配置された複数のアルミニウム押出形材製扁平状熱交換チューブ(24)からなるチューブ列(25)(26)が、前後方向に並んで2列設けられ、各チューブ列(25)(26)の隣接する熱交換チューブ(24)どうしの間の通風間隙および左右両端の熱交換チューブ(24)の外側に、それぞれ前後両チューブ列(25)(26)の熱交換チューブ(24)に跨るようにアルミニウム製コルゲートフィン(27)が配置されて熱交換チューブ(24)にろう付され、左右両端のコルゲートフィン(27)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(28)が配置されてコルゲートフィン(27)にろう付されている。風下側チューブ列(25)の熱交換チューブ(24)の上下両端部は、風下側上下両ヘッダ部(5)(17)に連通状に接続され、風上側チューブ列(26)の熱交換チューブ(24)の上下両端部は、風上側上下両ヘッダ部(6)(18)に連通状に接続されている。風下側チューブ列(25)の熱交換チューブ(24)の数と風上側チューブ列(26)の熱交換チューブ(24)の数とは等しくなっている。コルゲートフィン(27)は、風下側チューブ列(25)および風上側チューブ列(26)を構成する前後の熱交換チューブ(24)に共有されている。なお、熱交換チューブ(24)はアルミニウム押出形材製のものに限らず、1枚の板をたとえばロールフォーミング法により曲げることによって形成されたものが用いられていてもよい。すなわち、一定の横断面形状を有する長尺体を一定の寸法に切断することにより形成されたものが用いられていればよい。
風下側チューブ列(25)には、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブ(24)からなる3つのチューブ群(25A)(25B)(25C)が、右端から左端に向かって並んで設けられ、風上側チューブ列(26)には、左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブ(24)からなる2つ(風下側チューブ列(25)のチューブ群(25A)(25B)(25C)の数よりも1つ少ない数)のチューブ群(26A)(26B)が、左端から右端に向かって並んで設けられている。ここで、風下側チューブ列(25)の3つのチューブ群(25A)(25B)(25C)を冷媒入口(7)側端部(右端部)から他端部(左端部)に向かって第1〜第3チューブ群といい、風上側チューブ列(26)の2つのチューブ群(26A)(26B)を冷媒出口(8)とは反対側の端部(左端部)から冷媒出口(8)側端部(右端部)に向かって第4〜第5チューブ群というものとする。すなわち、風下側チューブ列(25)の第3チューブ群(25C)が、冷媒入口(7)から最も遠い位置にある最遠チューブ群であり、風上側チューブ列(26)の第4チューブ群(26A)が、冷媒出口(8)から最も遠い位置にある最遠チューブ群である。
風下側チューブ列(25)の第1チューブ群(25A)の熱交換チューブ(24)は、風下側上ヘッダ部(5)の第1区画(11)および風下側下ヘッダ部(17)の第1区画(21)に通じており、第2チューブ群(25B)の熱交換チューブ(24)は、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)および風下側下ヘッダ部(17)の第1区画(21)に通じており、第3チューブ群(25C)の熱交換チューブ(24)は、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)および風下側下ヘッダ部(17)の第2区画(22)に通じている。また、風上側チューブ列(26)の第4チューブ群(26A)の熱交換チューブ(24)は、風上側上ヘッダ部(6)の第3区画(14)および風上側下ヘッダ部(18)の第3区画(23)に通じており、第5チューブ群(26B)の熱交換チューブ(24)は、風上側上ヘッダ部(6)の第4区画(15)および風上側下ヘッダ部(18)の第3区画(23)に通じている。
上述のようにして冷媒入口(7)、冷媒出口(8)、仕切部(9)、区画(11)(12)(14)(15)(21)(22)(23)、連通部(16)、およびチューブ群(25A)(25B)(25C)(26A)(26B)が設けられることによって、冷媒は、冷媒入口(7)から流入し、次のように2つの経路を流れて冷媒出口(8)から流出するようになされている。第1の経路は、第1区画(11)、第1チューブ群(25A)、第1区画(21)、第2チューブ群(25B)、第2区画(12)、第3区画(14)、第4チューブ群(26A)、第3区画(23)、第5チューブ群(26B)および第4区画(15)であり、第2の経路は、第1区画(11)、第1チューブ群(25A)、第1区画(21)、第2チューブ群(25B)、第2区画(12)、第3チューブ群(25C)、第2区画(22)、第3区画(23)、第5チューブ群(26B)および第4区画(15)である。そして、第1チューブ群(25A)が第1パス、第2チューブ群(25B)が第2パス、第3および第4チューブ群(25C)(26A)が第3パス、第5チューブ群(26B)が第4パスを構成している。
ここで、風下側チューブ列(25)の第1チューブ群(25A)および第3チューブ群(25C)と風上側チューブ列(26)の第4チューブ群(26A)とが下降流チューブ群であり、風下側チューブ列(25)の第2チューブ群(25B)と風上側チューブ列(26)の第5チューブ群(26B)とが上昇流チューブ群である。すなわち、風下側チューブ列(25)の冷媒入口(7)から最も遠い位置にある第3チューブ群(25C)(最遠チューブ群)および風上側チューブ列(26)の冷媒出口(8)から最も遠い位置にある第4チューブ群(26A)(最遠チューブ群)が下降流チューブ群となり、両チューブ群(25C)(26A)が通風方向に並ぶとともに、両チューブ群(25C)(26A)により1つのパスが構成されている。
したがって、上述したエバポレータ(1)において、風下側上ヘッダ部(5)の第1区画(11)および第2区画(12)、風下側下ヘッダ部(17)の第1区画(21)、ならびに風上側下ヘッダ部(18)の第3区画(23)が、冷媒をその長さ方向に流しかつ冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路(10)(19)(20)(29)を有している。風下側上ヘッダ部(5)の第1区画(11)の冷媒流路(10)は、全体が、第1チューブ群(25A)の全熱交換チューブ(24)に冷媒を分流させる分流部(10A)となっている。風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)の冷媒流路(19)は、第3チューブ群(25C)の熱交換チューブ(24)が通じている部分が、第3チューブ群(25C)の全熱交換チューブ(24)に冷媒を分流させる分流部(19A)となるとともに、第2チューブ群(25B)の熱交換チューブ(24)が通じている残部が、第2チューブ群(25B)の全熱交換チューブ(24)から流入した冷媒を合流させる合流部(19B)となっている。風下側下ヘッダ部(17)の第1区画(21)の冷媒流路(20)は、第2チューブ群(25B)の熱交換チューブ(24)が通じている部分が、第2チューブ群(25B)の全熱交換チューブ(24)に冷媒を分流させる分流部(20A)となるとともに、第1チューブ群(25A)の熱交換チューブ(24)が通じている残部が、第1チューブ群(25A)の全熱交換チューブ(24)から流入した冷媒を合流させる合流部(20B)となっている。風上側下ヘッダ部(18)の第3区画(23)の冷媒流路(29)は、第5チューブ群(26B)の熱交換チューブ(24)が通じている部分が、第5チューブ群(26B)の全熱交換チューブ(24)に冷媒を分流させる分流部(29A)となるとともに、第4チューブ群(26A)の熱交換チューブ(24)が通じている残部が、第4チューブ群(26A)の全熱交換チューブ(24)から流入した冷媒を合流させる合流部(29B)となっている。
図3〜図8に示すように、上ヘッダタンク(2)および下ヘッダタンク(3)は、それぞれ前後方向に並んだ2つ(ヘッダ部(5)(6)(17)(18)と同数)のヘッダ構成部(32A)(32B)、および各ヘッダ構成部(32A)(32B)内を熱交換チューブ(24)に通じさせる連通口(30)を有するタンクエレメント(31)が、左右方向(熱交換チューブ(24)の並び方向)に積層状に並べられるとともに、左右両端のタンクエレメント(31)の外側にアルミニウム製の左右両エンド部材(34)(34A)が配置されることにより構成されている。タンクエレメント(31)には、連通口(30)を介してヘッダ構成部(32A)(32B)内と通じるように、2つ(ヘッダ部(5)(6)(17)(18)と同数)の筒状のチューブ挿入部(33)が設けられている。仕切部(9)および連通部(16)は、適当な位置に配置されたタンクエレメント(31)に設けられている。
タンクエレメント(31)の各ヘッダ構成部(32A)(32B)は、長手方向を左右方向(ヘッダタンク(2)(3)の長手方向)に向けるとともに両端が開口した段付き円筒状であり、隣り合う2つのタンクエレメント(31)のうち一方のタンクエレメント(31)のヘッダ構成部(32A)(32B)の一部が同他方のタンクエレメント(31)のヘッダ構成部(32A)(32B)内に嵌め入れられた状態で、両タンクエレメント(31)のヘッダ構成部(32A)(32B)どうしがろう付されている。
タンクエレメント(31)の各チューブ挿入部(33)は、幅方向が前後方向を向き、かつ一端が連通口(30)に通じるとともに他端が熱交換チューブ(24)側に開口した扁平筒状であり、タンクエレメント(31)と別個に形成された熱交換チューブ(24)がタンクエレメント(31)のチューブ挿入部(33)内に挿入されてタンクエレメント(31)にろう付されている。
タンクエレメント(31)は、熱交換チューブ(24)の並び方向(左右方向)に積層されて相互にろう付された2枚のアルミニウム製プレート(35)(36)からなる。両プレート(35)(36)の左方または右方から見た外形はほぼ同一である。
上ヘッダタンク(2)を形成するタンクエレメント(31)の右プレート(35)には前後方向に間隔をおいて2つの円形貫通穴(37A)(37B)が形成されており、右プレート(35)における各貫通穴(37A)(37B)の周囲の部分に、右方に突出し(他のプレート(36)とは反対側に突出し)かつタンクエレメント(31)のヘッダ構成部(32A)(32B)における右側半部(熱交換チューブ(24)の並び方向の半部)を形成する円筒状部(38A)(38B)が一体に設けられている。また、右プレート(35)の円筒状部(38A)(38B)における熱交換コア部(4)側(熱交換チューブ(24)側)の部分に、右方に凹みかつ連通口(30)の右半部を形成する凹部(50)が形成されている。さらに、右プレート(35)における熱交換コア部(4)側(熱交換チューブ(24)側)の部分に、右方に膨出しかつチューブ挿入部(33)の右側半部(熱交換チューブ(24)の並び方向の半部)を形成する挿入用膨出部(39)が前後方向に間隔をおいて設けられている。各挿入用膨出部(39)の上下方向の一端は凹部(50)を介して前後両側の円筒状部(38A)(38B)の内周面に開口し、他端は熱交換コア部(4)側に開口している。
上ヘッダタンク(2)を形成するタンクエレメント(31)の左プレート(36)には前後方向に間隔をおいて2つの円形貫通穴(41A)(41B)が形成されており、左プレート(36)における各貫通穴(41A)(41B)の周囲の部分に、左方に突出し(他のプレート(35)とは反対側に突出し)かつタンクエレメント(31)のヘッダ構成部(32A)(32B)における左側半部(熱交換チューブ(24)の並び方向の半部)を形成する円筒状部(42A)(42B)が一体に設けられている。また、左プレート(36)の円筒状部(42A)(42B)における熱交換コア部(4)側(熱交換チューブ(24)側)の部分に、左方に凹みかつ連通口(30)の左半部を形成する凹部(51)が形成されている。さらに、左プレート(36)における熱交換コア部(4)側(熱交換チューブ(24)側)の部分に、左方に膨出しかつチューブ挿入部(33)の左側半部(熱交換チューブ(24)の並び方向の半部)を形成する挿入用膨出部(43)が前後方向に間隔をおいて設けられている。各挿入用膨出部(43)の上下方向の一端は凹部(51)を介して前後両側の円筒状部(42A)(42B)の内周面に開口し、他端は熱交換コア部(4)側に開口している。
右プレート(35)の両貫通穴(37A)(37B)の中心の上下方向の位置、および左プレート(36)の両貫通穴(41A)(41B)の中心の上下方向の位置は同一であり、かつ両プレート(35)(36)の両貫通穴(37A)(37B)(41A)(41B)の中心線は同心状である。
上ヘッダタンク(2)を形成するタンクエレメント(31)の左プレート(36)の前後両縁部および上縁部に、右プレート(35)の前後両縁部および上縁部よりも外側に位置する位置決め用右方突出壁(44)が一体に形成されており、両プレート(35)(36)が、右プレート(35)の前後両縁部および上縁部が左プレート(36)の右方突出壁(44)に位置決めされるように積層されるとともに、適当な手段で仮止めされた状態でろう付されている。そして、両前側円筒状部(38A)(42A)により前側ヘッダ構成部(32A)が形成され、両後側円筒状部(38B)(42B)により後側ヘッダ構成部(32B)が形成され、両膨出部(39)(43)によりチューブ挿入部(33)が形成されており、これによりタンクエレメント(31)が構成されている。
上ヘッダタンク(2)を形成するタンクエレメント(31)の右プレート(35)の一方の貫通穴、ここでは前側の貫通穴(37A)の穴径は、他方の貫通穴、ここでは後側の貫通穴(37B)の穴径よりも小さくなっており、したがって前側の円筒状部(38A)の内外径も後側の円筒状部(38B)の内外径よりも小さくなっている。また、小径貫通穴(37A)の穴径に、小径円筒状部(38A)の肉厚の2倍を加えた寸法が、大径貫通穴(37B)の穴径および大径円筒状部(38B)の内径と等しくなっている。
上ヘッダタンク(2)を形成するタンクエレメント(31)の左プレート(36)の一方の貫通穴、ここでは後側の貫通穴(41B)の穴径は、他方の貫通穴、ここでは前側の貫通穴(41A)の穴径よりも小さくなっており、したがって後側の円筒状部(42B)の内外径も前側の円筒状部(42A)の内外径よりも小さくなっている。また、小径貫通穴(41B)の穴径に、小径円筒状部(42B)の肉厚の2倍を加えた寸法が、大径貫通穴(41A)の穴径および大径円筒状部(42A)の内径と等しくなっている。
なお、この実施形態においては、上ヘッダタンク(2)のタンクエレメント(31)における左プレート(36)の小径貫通穴(41B)の穴径は右プレート(35)の小径貫通穴(37A)の穴径と等しく、同じく大径貫通穴(41A)の穴径は右プレート(35)の大径貫通穴(37B)の穴径と等しくなっている。
上ヘッダタンク(2)は、隣り合う2つのタンクエレメント(31)のうち左側タンクエレメント(31)の右プレート(35)(第1のプレート)の小径円筒状部(38A)が、右側タンクエレメント(31)の左プレート(36)(第2のプレート)の大径円筒状部(42A)内に嵌め入れられて両円筒状部(38A)(42A)がろう付されるとともに、左側タンクエレメント(31)の右プレート(35)(第2のプレート)の大径円筒状部(38B)内に右側タンクエレメント(31)の左プレート(36)(第1のプレート)の小径円筒状部(42B)が嵌め入れられて両円筒状部(38B)(42B)がろう付されることにより形成されている。
下ヘッダタンク(3)を形成するタンクエレメント(31)は、上ヘッダタンク(2)を形成するタンクエレメント(31)を、エバポレータ(1)の上下方向の中心および前後方向の中心を通りかつ左右方向にのびる対称軸の周りに180度回転させた形状であり、下ヘッダタンク(3)は上ヘッダタンク(2)と同様にして形成されている。下ヘッダタンク(3)のタンクエレメント(31)において、上ヘッダタンク(2)のタンクエレメント(31)と同一部分には同一符号を付す。
風下側上ヘッダ部(5)の仕切部(9)が設けられているタンクエレメント(31)においては、図9に示すように、右プレート(35)の小径円筒状部(38A)の先端開口が、小径円筒状部(38A)と一体に設けられた閉鎖壁(45)により閉鎖されている。また、風上側上ヘッダ部(6)の仕切部(9)が設けられているタンクエレメント(31)においては、図10に示すように、左プレート(36)の小径円筒状部(42B)の先端開口が、小径円筒状部(42B)と一体に設けられた閉鎖壁(46)により閉鎖されている。仕切部(9)が設けられているタンクエレメント(31)のその他の構成は、上述したタンクエレメント(31)と同一である。
連通部(16)が設けられているタンクエレメント(31)おいては、図11に示すように、右プレート(35)における両貫通穴(37A)(37B)の間の部分に、右方に膨出しかつ両円筒状部(38A)(38B)内どうしを通じさせる連通用膨出部(47)が設けられ、左プレート(36)における両貫通穴(41A)(41B)の間の部分に、左方に膨出しかつ両円筒状部(42A)(42B)内どうしを通じさせる連通用膨出部(48)が設けられている。連通部(16)が設けられているタンクエレメント(31)のその他の構成は、上述したタンクエレメント(31)と同一である。
両ヘッダタンク(2)(3)の左右両端のエンド部材(34)(34A)は、左右両端に位置するタンクエレメント(31)の左右方向外側のプレート(35)(36)の円筒状部(38A)(38B)(42A)(42B)内に嵌め入れられる凹陷部(34a)を有しており、凹陷部(34a)が円筒状部(38A)(38B)(42A)(42B)内に嵌め入れられた状態でタンクエレメント(31)にろう付されている。上ヘッダタンク(2)の右側エンド部材(34A)の前側凹陷部(34a)の底壁に冷媒入口(7)が形成され、後側凹陷部(34b)の底壁に冷媒出口(8)が形成されている。
風下側上ヘッダ部(5)の第1区画(11)を構成する全タンクエレメント(31)のうち冷媒流路(10)の分流部(10A)における冷媒入口(7)側部分を構成する複数のタンクエレメント(31)の前側ヘッダ構成部(32A)の連通口(30)、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)を構成する全タンクエレメント(31)のうち冷媒流路(19)の分流部(19A)を構成する複数のタンクエレメント(31)の前側ヘッダ構成部(32A)の連通口(30)、ならびに風上側下ヘッダ部(18)の第3区画(23)を構成する全タンクエレメント(31)のうち冷媒流路(29)の分流部(29A)における冷媒流れ方向下流側部分を構成する複数のタンクエレメント(31)の後側ヘッダ構成部(32A)の連通口(30)は、それぞれ当該タンクエレメント(31)の左側に隣接して当該タンクエレメント(31)とエレメント対をなすタンクエレメント(31)の小径円筒状部(38A)によって、部分的に塞がれている。また、風下側下ヘッダ部(17)の第1区画(21)を構成する全タンクエレメント(31)のうち冷媒流路(20)の分流部(20A)における冷媒流れ方向下流側部分を構成する複数のタンクエレメント(31)の前側ヘッダ構成部(32B)の連通口(30)は、当該タンクエレメント(31)の右側に隣接して当該タンクエレメント(31)とエレメント対をなすタンクエレメント(31)の小径円筒状部(42B)によって、部分的に塞がれている。すなわち、図12に示すように、これらの連通口(30)を部分的に塞ぐ小径円筒状部(38A)(42B)の長さは、連通口(30)が全く塞がれていないタンクエレメント(31)における小径円筒状部(38A)(42B)の長さよりも長くなっている。連通口(30)の一部を塞ぐ長尺の小径円筒状部(38A)(42B)の長くなった延長部(図12の鎖線よりも先端側の部分)を(38A1)(42B1)で示す。
なお、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)を構成する全タンクエレメント(31)のうち冷媒流路(19)の分流部(19A)を構成し、かつ連通部(16)が設けられている複数のタンクエレメント(31)の右プレート(35)においては、図13に示すように、連通部(16)の一部が長尺の小径円筒状部(38A)の延長部(38A1)によって塞がれないように、延長部(38A1)に切り欠き(52)が形成されている。
上述したエバポレータにおいて、冷媒入口(7)を通って風下側上ヘッダ部(5)の第1区画(11)の冷媒流路(10)に流入する冷媒は液相主体であって、重力の影響により、冷媒流路(10)の分流部(10A)の冷媒入口(7)側に通じている熱交換チューブ(24)内に流入し易いが、第1区画(11)を構成する全タンクエレメント(31)のうち分流部(10A)の冷媒入口(7)側部分を構成する複数のタンクエレメント(31)の連通口(30)が部分的に塞がれているので、部分的に塞がれた連通口(30)に通じる熱交換チューブ(24)への冷媒流入量が減少し、これとは反対に全く塞がれていない連通口(30)に通じている熱交換チューブ(24)への冷媒流入量が増大する。したがって、第1区画(11)の冷媒流路(10)の分流部(10A)に通じている全熱交換チューブ(24)への冷媒の分流を均一化することができる。
また、第1チューブ群(25A)から風下側下ヘッダ部(17)の第1区画(21)内に流入しかつ第1区画(21)の冷媒流路(20)内を左方に流れてきた冷媒は、慣性の影響により、第1区画(21)の冷媒流路(20)における分流部(20A)の冷媒流れ方向下流側に流れやすくなり、分流部(20A)における冷媒流れ方向下流側部分(左側部分)に通じている第2チューブ群(25B)の熱交換チューブ(24)に流入し易くなるが、第1区画(21)を構成する全タンクエレメント(31)のうち分流部(20A)の冷媒流れ方向下流側部分を構成する複数のタンクエレメント(31)の前側ヘッダ構成部(32B)の連通口(30)が部分的に塞がれているので、第1チューブ群(25A)から第1区画(21)の冷媒流路(20)内に流入しかつ冷媒流路(20)内を左方に流れてきた冷媒が、分流部(20A)の冷媒流れ方向下流側部分に通じている第2チューブ群(25B)の熱交換チューブ(24)内へ流入する際に抵抗が付与される。したがって、分流部(20A)の冷媒流れ方向下流側部分に通じている第2チューブ群(25B)の熱交換チューブ(24)に流入する冷媒量が減少し、これとは反対に分流部(20A)の冷媒流れ方向上流側部分に通じている第2チューブ群(25B)の熱交換チューブ(24)に流入する冷媒量が増大する。その結果、第2チューブ群(25B)の分流部(20A)に通じている全熱交換チューブ(24)への冷媒の分流を均一化することができる。
また、第2チューブ群(25B)から風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)内に流入しかつ第2区画(12)の冷媒流路(19)内を左方に流れてきた冷媒は、重力の影響により、第2区画(12)の冷媒流路(19)における分流部(19A)に通じている第3チューブ群(25C)の熱交換チューブ(24)に流入し易くなるが、第2区画(12)を構成する全タンクエレメント(31)のうち分流部(19A)を構成する複数のタンクエレメント(31)の前側ヘッダ構成部(32A)の連通口(30)が部分的に塞がれているので、第2チューブ群(25B)から第2区画(12)の冷媒流路(19)内に流入しかつ冷媒流路(19)内を左方に流れてきた冷媒が分流部(19A)に通じている第3チューブ群(25C)の熱交換チューブ(24)内へ流入する際に抵抗が付与される。したがって、第3チューブ群(25C)の熱交換チューブ(24)に流入する冷媒量が減少し、これとは反対に連通部(16)を通って第3区画(14)内に入った後第4チューブ群(26A)の熱交換チューブ(24)へ流入する冷媒量が増大する。その結果、第3パスを構成する第3チューブ群(25C)の全熱交換チューブ(24)および第4チューブ群(26A)の全熱交換チューブ(24)への冷媒の分流を均一化することができる。
さらに、第4チューブ群(26A)から風上側下ヘッダ部(18)の第3区画(23)内に流入しかつ第3区画(23)の冷媒流路(29)内を右方に流れてきた冷媒は、慣性の影響により、第3区画(23)の冷媒流路(29)における分流部(29A)の冷媒流れ方向下流側に流れやすくなり、分流部(29A)における冷媒流れ方向下流側部分(右側部分)に通じている第5チューブ群(26B)の熱交換チューブ(24)に流入し易くなるが、第3区画(23)を構成する全タンクエレメント(31)のうち分流部(29A)の冷媒流れ方向下流側部分を構成する複数のタンクエレメント(31)の後側ヘッダ構成部(32A)の連通口(30)が部分的に塞がれているので、第4チューブ群(26A)から第3区画(23)の冷媒流路(29)内に流入しかつ冷媒流路(29)内を右方に流れてきた冷媒が、分流部(29A)の冷媒流れ方向下流側部分に通じている第5チューブ群(26B)の熱交換チューブ(24)内へ流入する際に抵抗が付与される。したがって、分流部(29A)の冷媒流れ方向下流側部分に通じている第5チューブ群(26B)の熱交換チューブ(24)に流入する冷媒量が減少し、これとは反対に分流部(29A)の冷媒流れ方向上流側部分に通じている第5チューブ群(26B)の熱交換チューブ(24)に流入する冷媒量が増大する。その結果、第5チューブ群(26B)の分流部(29A)に通じている全熱交換チューブ(24)への冷媒の分流を均一化することができる。
ところで、上述したエバポレータ(1)は、上ヘッダタンク(2)が下ヘッダタンク(3)よりも風上側に位置するように傾斜した状態で用いられることがある。この場合、風上側上ヘッダ部(6)の第3区画(14)を構成する全タンクエレメント(31)の後側ヘッダ構成部(32B)の連通口(30)は、当該タンクエレメント(31)の右側に隣接して当該タンクエレメント(31)とエレメント対をなすタンクエレメント(31)の小径円筒状部(42B)によって、部分的に塞がれる。さらに、風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)を構成する全タンクエレメント(31)のうち冷媒流路(19)の分流部(19A)を構成する複数のタンクエレメント(31)の前側ヘッダ構成部(32A)の連通口(30)は全く塞がれない。
上述した傾斜状態においては、第2チューブ群(25B)から風下側上ヘッダ部(5)の第2区画(12)内に流入しかつ第2区画(12)の冷媒流路(19)内を左方に流れて分流部(19A)に入った冷媒は、重力の影響により、連通部(16)を通って第3区画(14)に流入し易くなるとともに、第3区画(14)に通じている第4チューブ群(26A)の熱交換チューブ(24)に流入し易くなる。しかしながら、風上側上ヘッダ部(6)の第3区画(14)を構成する全タンクエレメント(31)の後側ヘッダ構成部(32B)の連通口(30)が部分的に塞がれているので、冷媒が、第3区画(14)から第4チューブ群(26A)の熱交換チューブ(24)内へ流入する際に抵抗が付与される。したがって、第4チューブ群(26A)の熱交換チューブ(24)に流入する冷媒量が減少し、これとは反対に第2区画(12)の冷媒流路(19)の分流部(19A)から第3チューブ群(25C)の熱交換チューブ(24)へ流入する冷媒量が増大する。その結果、第3パスを構成する第3チューブ群(25C)の全熱交換チューブ(24)および第4チューブ群(26A)の全熱交換チューブ(24)への冷媒の分流を均一化することができる。
図14はタンクエレメントおよび熱交換チューブの変形例を示す。
図14において、熱交換チューブ(55)は、上下両ヘッダタンク(2)(3)のタンクエレメント(31)と一体に設けられており、熱交換チューブ(55)の両端が両タンクエレメント(31)の連通口(30)に通じさせられている。熱交換チューブ(55)は、両タンクエレメント(31)の両プレート(35)(36)と一体に設けられ、かつ熱交換チューブ(55)における熱交換チューブ(55)の並び方向の半部を形成するチューブ構成部(56)からなる。
上述した実施形態においては、この発明による熱交換器が、2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風下側チューブ列が構成されるとともに、風上側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風上側チューブ列が構成され、いずれかのヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端部に冷媒入口が設けられるとともに、当該ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端部に冷媒出口が設けられ、上ヘッダタンクの両ヘッダ部に、それぞれ複数の区画が設けられ、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなり、かつ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなり、かつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とが交互に設けられ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群が下降流チューブ群となり、両最遠チューブ群が通風方向に並ぶとともに、当該両最遠チューブ群により1つのパスが構成され、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部における冷媒入口から最も遠い最遠区画に、風下側チューブ列の最遠チューブ群およびこれに隣接するチューブ群が通じさせられ、上ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒出口から最も遠い最遠区画に風上側チューブ列の最遠チューブ群が通じさせられ、風下側ヘッダ部の最遠区画における風下側チューブ列の最遠チューブ群が通じる部分と、風上側ヘッダ部の最遠区画とが連通部により通じさせられ、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の最遠区画の全体が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路であり、当該冷媒流路における冷媒流れ方向下流側部分に、冷媒を、風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられているタイプのエバポレータに適用されているが、これに限定されるものではない。
たとえば、この発明による熱交換器は、2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風下側チューブ列が構成されるとともに、風上側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風上側チューブ列が構成され、いずれかのヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端部に冷媒入口が設けられるとともに、当該ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端部に冷媒出口が設けられ、上下両ヘッダタンクの両ヘッダ部に、それぞれ同数の区画が設けられ、いずれか一方のヘッダタンクの風下側ヘッダ部の冷媒入口から最も遠い最遠区画と、同じく風上側ヘッダ部の冷媒出口から最も遠い最遠区画とが連通部により通じさせられ、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなる前記区画と同数のチューブ群が設けられ、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなり、かつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とが交互に設けられ、風下側チューブ列の下降流チューブ群と風上側チューブ列の上昇流チューブ群、および風下側チューブ列の上昇流チューブ群と風上側チューブ列の下降流チューブ群とが通風方向に並んで設けられているタイプのエバポレータにも適用可能である。
この発明による熱交換器は、車両用空調装置を構成する冷凍サイクルのエバポレータに好適に用いられる。
(1):エバポレータ
(2):上ヘッダタンク
(3):下ヘッダタンク
(5):風下側上ヘッダ部
(6):風上側上ヘッダ部
(7):冷媒入口
(8):冷媒出口
(9):仕切部
(10)(19)(20)(29):冷媒流路
(10A)(19A)(20A)(29A):分流部
(11)(12)(14)(15)(21)(22)(23):区画
(16):連通部
(17):風下側下ヘッダ部
(18):風上側下ヘッダ部
(24)(55):熱交換チューブ
(25):風下側チューブ列
(25C):第3チューブ群(最遠チューブ群)
(26):風上側チューブ列
(26A):第4チューブ群(最遠チューブ群)
(30):連通口
(31):タンクエレメント
(32A)(32B):ヘッダ構成部
(33):チューブ挿入部
(35):右プレート
(36):左プレート
(37A)(37B)(41A)(41B):貫通穴
(38A)(38B)(42A)(42B):円筒状部
(39):膨出部
(43):膨出部
(50)(51):凹部
(56):チューブ構成部

Claims (10)

  1. 長手方向を同一方向に向けた状態で互いに間隔をおいて配置された2つのヘッダタンクと、長手方向をヘッダタンクの長手方向と直角をなす方向に向けた状態で両ヘッダタンク間に間隔をおいて配置された複数の熱交換チューブとを備えており、各ヘッダタンクに少なくとも1つのヘッダ部が設けられるとともに、熱交換チューブの両端部がヘッダ部に通じさせられている熱交換器において、
    ヘッダタンクが、筒状ヘッダ構成部を有するタンクエレメントが、熱交換チューブの並び方向に積層状に並べられるとともに、隣り合う2つのタンクエレメントのうち一方のタンクエレメントのヘッダ構成部の一部が同他方のタンクエレメントのヘッダ構成部内に嵌め入れられ、さらに両ヘッダ構成部どうしが接合されることにより構成され、両ヘッダタンクを構成する2つのタンクエレメント間に1つの熱交換チューブが設けられ、タンクエレメントのヘッダ構成部に、熱交換チューブをヘッダ構成部内に通じさせる連通口が形成され、全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち一部のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている熱交換器。
  2. タンクエレメントが、熱交換チューブの並び方向に積層されて相互に接合された2枚のプレートからなり、各プレートに貫通穴が形成され、各プレートにおける貫通穴の周囲の部分に、それぞれ他のプレートとは反対側に突出しかつタンクエレメントのヘッダ構成部における熱交換チューブの並び方向の半部を形成する筒状部が設けられ、各プレートの筒状部に、連通口における熱交換管の並び方向の半部を形成する凹部が形成され、隣接する2つのタンクエレメントからなるエレメント対の近接した2枚のプレートのうち第1のプレートの筒状部が第2のプレートの筒状部内に嵌め入れられており、全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち一部のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、前記第1のプレートの筒状部によって部分的に塞がれている請求項1記載の熱交換器。
  3. ヘッダ構成部の連通口を部分的に塞ぐ前記第1のプレートの筒状部の長さが、他の前記第1プレートの筒状部の長さよりも長くなっている請求項2記載の熱交換器。
  4. タンクエレメントに、前記連通口と通じるように筒状のチューブ挿入部が設けられ、当該チューブ挿入部が、タンクエレメントを構成する2枚のプレートに筒状部の突出方向と同方向に膨出するように設けられ、かつチューブ挿入部における熱交換チューブの並び方向の半部を形成する膨出部からなり、一方のヘッダタンクのタンクエレメントと他方のヘッダタンクのタンクエレメントとの間に、タンクエレメントとは別個に形成された熱交換チューブが配置され、当該熱交換チューブの両端部が、両タンクエレメントのチューブ挿入部内に挿入されてタンクエレメントに接合されている請求項2または3記載の熱交換器。
  5. 両ヘッダタンクのタンクエレメントと一体に熱交換チューブが設けられるとともに熱交換チューブの両端が両タンクエレメントの連通口に通じさせられ、当該熱交換チューブが、両タンクエレメントの両プレートと一体に設けられ、かつ熱交換チューブにおけるタンクエレメントの並び方向の半部を形成するチューブ構成部からなる請求項2または3記載の熱交換器。
  6. 少なくとも1つのヘッダ部内が、ヘッダ部に設けられた仕切部によって長手方向に並んだ複数の区画に分割され、仕切部が、隣接する2つのタンクエレメントの近接した2枚のプレートにおける前記第1プレートの筒状部の先端が閉鎖されることにより設けられている請求項2〜5のうちのいずれかに記載の熱交換器。
  7. ヘッダ部に設けられた全区画のうち少なくとも一部の区画が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路を有しており、当該冷媒流路の少なくとも一部に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、当該分流部が設けられている冷媒流路を有する区画を構成する全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち、少なくとも分流部の一部を構成する複数のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている請求項6記載の熱交換器。
  8. 2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、タンクエレメントに通風方向に並んだ2つのヘッダ構成部が設けられ、タンクエレメントを構成する2枚のプレートが、それぞれ通風方向に並んだ2つの貫通穴、および両貫通穴の周囲に形成された筒状部を有しており、
    上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部に複数の区画が設けられ、当該風下側ヘッダ部の一端に冷媒入口が設けられるとともに、当該風下側ヘッダ部の冷媒入口側端部の区画の全体が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路であり、当該冷媒流路の全体に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、当該区画を構成する全タンクエレメントのうち分流部の冷媒入口側部分を構成する複数のタンクエレメントの連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている請求項7記載の熱交換器。
  9. 2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、タンクエレメントに通風方向に並んだ2つのヘッダ構成部が設けられ、タンクエレメントを構成する2枚のプレートが、それぞれ通風方向に並んだ2つの貫通穴、および両貫通穴の周囲に形成された筒状部を有しており、
    下ヘッダタンクの各ヘッダ部に、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路を有する区画が設けられ、当該区画の冷媒流路の少なくとも一部に、冷媒を複数の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、当該区画を構成する全タンクエレメントのうち分流部の冷媒流れ方向下流側の部分を構成する複数のタンクエレメントの連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている請求項7記載の熱交換器。
  10. 2つのヘッダタンクが上下方向に間隔をおいて配置され、各ヘッダタンクが、通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部を備え、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間および風上側ヘッダ部間にそれぞれ複数の熱交換チューブが配置されて両ヘッダ部に通じさせられ、両ヘッダタンクの風下側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風下側チューブ列が構成されるとともに、風上側ヘッダ部間に配置された複数の熱交換チューブにより風上側チューブ列が構成され、タンクエレメントに通風方向に並んだ2つのヘッダ構成部が設けられ、タンクエレメントを構成する2枚のプレートが、それぞれ通風方向に並んだ2つの貫通穴、および両貫通穴の周囲に形成された筒状部を有しており、
    いずれかのヘッダタンクの風下側ヘッダ部の一端部に冷媒入口が設けられるとともに、当該ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒入口と同一端部に冷媒出口が設けられ、上ヘッダタンクの両ヘッダ部に、それぞれ複数の区画が設けられ、風下側チューブ列および風上側チューブ列に、それぞれ複数の熱交換チューブからなり、かつ冷媒が熱交換チューブ内を上から下に流れる下降流チューブ群と、複数の熱交換チューブからなり、かつ冷媒が下から上に流れる上昇流チューブ群とが交互に設けられ、風下側チューブ列の冷媒入口から最も遠い位置にある最遠チューブ群および風上側チューブ列の冷媒出口から最も遠い位置にある最遠チューブ群が下降流チューブ群となり、両最遠チューブ群が通風方向に並ぶとともに、当該両最遠チューブ群により1つのパスが構成され、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部における冷媒入口から最も遠い最遠区画に、風下側チューブ列の最遠チューブ群およびこれに隣接するチューブ群が通じさせられ、上ヘッダタンクの風上側ヘッダ部における冷媒出口から最も遠い最遠区画に風上側チューブ列の最遠チューブ群が通じさせられ、風下側ヘッダ部の最遠区画における風下側チューブ列の最遠チューブ群が通じる部分と、風上側ヘッダ部の最遠区画とが連通部により通じさせられ、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の最遠区画の全体が、冷媒をその長さ方向に流すとともに冷媒流れ方向下流端部が閉鎖された冷媒流路であり、当該冷媒流路における冷媒流れ方向下流側部分に、冷媒を、風下側チューブ列の最遠チューブ群の熱交換チューブに分流させる分流部が設けられ、上ヘッダタンクの風下側ヘッダ部の最遠区画を構成する全タンクエレメントのヘッダ構成部のうち、少なくとも分流部の一部を構成する複数のタンクエレメントのヘッダ構成部の連通口が、当該タンクエレメントに隣接するタンクエレメントにおける当該ヘッダ構成部内に嵌め入れられたヘッダ構成部により部分的に塞がれている請求項7記載の熱交換器。
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