JP2017007903A - カーボンナノチューブ含有組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒体と炭素含有組成物を接触させてカーボンナノチューブを製造する際に、カーボンナノチューブを高収量で得ることができるカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】カーボンナノチューブ製造用触媒体と炭素含有組成物をキャリアガスと混合して加熱反応領域で接触させてカーボンナノチューブ含有組成物を製造する際に、下記の(1)および(2)の工程を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。(1)合成開始から5〜20分経過するまでの間、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して10〜30vol%の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。(2)(1)工程の終了後から合成終了までの間、炭素含有組成物を(1)工程における濃度よりも低濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。【選択図】なし
Description
本発明はカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法に関する。
カーボンナノチューブは一次元構造に起因する高い電気伝導性、熱伝導性や力学強度等に優れており、今後の工業的応用が期待されている次世代のナノカーボン材料である。カーボンナノチューブの直径、層数、長さを制御することにより、それぞれの用途での性能向上および応用性の広がりも期待されている。
このカーボンナノチューブは1991年に飯島によりアーク放電法における陰極堆積物中に存在することが発見された。また他のカーボンナノチューブの代表的な製造方法としてレーザー蒸発法、化学気相成長法(CVD(Chemical Vapor Doposition)法)などが知られている。鉄やニッケルなどの触媒金属を炭素源となるガスと接触させることでカーボンナノチューブを合成する触媒CVD法ではカーボンナノチューブの大量合成が可能である。
触媒CVD法において、担体の構造を利用して触媒金属を担持させる方法がある。このとき担体としてシリカ、アルミナ、ゼオライト、酸化マグネシウムなどが用いられる。供給される炭素源を熱分解して担体上に担持された触媒を核としてカーボンナノチューブは成長する。
触媒CVD法の一種として、触媒担持担体を反応器内で流動させながら炭素源ガスと接触させることによってカーボンナノチューブを製造する方法が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では炭素含有組成物としてエチレンを含むガスを一定濃度で触媒と接触、反応させている。しかし、この方法において得られるカーボンナノチューブの収量は不十分である。また特許文献2では高収量でカーボンナノチューブを得るために、合成中の炭素源ガス種を切り替えることによってカーボンナノチューブを製造している。特許文献2の方法では、分解温度の異なる炭化水素を低濃度で反応器内へ導入しカーボンナノチューブを製造しているが、この方法においても得られるカーボンナノチューブの収量は不十分である。
本発明では、上記のような事情に鑑みなされたものであり、触媒体と炭素含有組成物を接触させてカーボンナノチューブを製造する際に、カーボンナノチューブを高収量で得ることができるカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、触媒体と炭素含有組成物を接触させてカーボンナノチューブを製造する際に、合成初期における炭素含有組成物を高濃度で供給することでカーボンナノチューブを高収量で得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち以下の特徴を有するカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法である。
[1]カーボンナノチューブ製造用触媒体と炭素含有組成物をキャリアガスと混合して加熱反応領域で接触させてカーボンナノチューブ含有組成物を製造する際に、下記の(1)および(2)の工程を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
(1)合成開始から5〜20分経過するまでの間、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して10〜30vol%の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
(2)(1)工程の終了後から合成終了までの間、炭素含有組成物を(1)工程における濃度よりも低濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
[2]カーボンナノチューブ製造用触媒体が8〜10族の遷移金属から選ばれる少なくとも1種の触媒金属を含むことを特徴とする[1]に記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
[3]カーボンナノチューブ製造用触媒体に含まれる触媒金属含有量が、カーボンナノチューブ製造用触媒体を基準として0.1〜4.5重量%である[1]または[2]記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
[4](2)工程において、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して1〜10vol%未満の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる[1]〜[3]のいずれかに記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
[1]カーボンナノチューブ製造用触媒体と炭素含有組成物をキャリアガスと混合して加熱反応領域で接触させてカーボンナノチューブ含有組成物を製造する際に、下記の(1)および(2)の工程を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
(1)合成開始から5〜20分経過するまでの間、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して10〜30vol%の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
(2)(1)工程の終了後から合成終了までの間、炭素含有組成物を(1)工程における濃度よりも低濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
[2]カーボンナノチューブ製造用触媒体が8〜10族の遷移金属から選ばれる少なくとも1種の触媒金属を含むことを特徴とする[1]に記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
[3]カーボンナノチューブ製造用触媒体に含まれる触媒金属含有量が、カーボンナノチューブ製造用触媒体を基準として0.1〜4.5重量%である[1]または[2]記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
[4](2)工程において、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して1〜10vol%未満の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる[1]〜[3]のいずれかに記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
本発明は、触媒体と炭素含有組成物を接触させてカーボンナノチューブを製造する際に、合成開始から5〜20分における炭素含有組成物を高濃度で供給することでカーボンナノチューブ含有組成物を高収量で得ることが可能になった。
本発明は、合成開始から5〜20分経過するまでの間に、炭素含有組成物を高濃度で供給することでカーボンナノチューブ含有組成物を高収量で得ることを特徴とする。
本発明において、カーボンナノチューブ含有組成物とは、複数のカーボンナノチューブが存在している総体を意味する。その存在形態は特に限定されず、それぞれが独立で、あるいは束状、絡まり合うなどの形態あるいはこれらの混合形態で存在していてもよい。また、種々の層数、直径のものが含まれていてもよい。また、カーボンナノチューブ含有組成物は、カーボンナノチューブ製造プロセス由来の不純物(例えば触媒、アモルファスカーボンおよび粒子状のカーボン等)を含み得る。
本発明では、カーボンナノチューブ製造用触媒体と、炭素含有組成物をキャリアガスと混合して加熱反応領域で接触させてカーボンナノチューブ含有組成物を製造する際に、下記の(1)及び(2)の工程を行うカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法である。
(1)合成開始から5〜20分経過するまでの間、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して10〜30vol%の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
(2)(1)工程の終了後から合成終了までの間、炭素含有組成物を(1)工程における濃度よりも低濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
(1)合成開始から5〜20分経過するまでの間、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して10〜30vol%の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
(2)(1)工程の終了後から合成終了までの間、炭素含有組成物を(1)工程における濃度よりも低濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
上記製造条件について詳細に説明する。
触媒体とはカーボンナノチューブ含有組成物製造用触媒として用いられるものであり、例えば8族〜10族の遷移金属化合物が担体上に担持された総体物または該金属化合物と担体の混合物が挙げられる。また、他の成分が配合された組成物、あるいは他の成分と複合した複合体中に含まれる場合でも該金属化合物が担体上に担持または混合されていれば触媒体と解釈する。触媒体の凝集体とは、触媒体の一次粒子が凝集した状態をさす。
カーボンナノチューブ含有組成物を成長させるために炭化水素を含むガスと接触させる触媒金属は、8〜10族の遷移金属から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。中でも、Fe、Co、Ni、Pd、Pt、Rh等が好ましく、Feはカーボンナノチューブ含有組成物を成長させる活性が高いので特に好ましい。ここで金属とは、0価の状態とは限らない。反応中では0価の金属状態になっていると推定できるが、広く金属を含む化合物又は金属種という意味で解釈してよい。また遷移金属は微粒子であることが好ましい。微粒子とは粒径が0.5〜10nmであることが好ましい。微粒子の粒径は透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。金属が微粒子であると細いカーボンナノチューブが生成しやすい。金属は1種類だけを含んでいても、2種類以上を含んでいてもよい。2種類以上の金属を使用する場合、その比率は限定されない。2種類の金属を担持させる場合は、Fe、Co、Ni、Pd、Pt、Rhから選択される金属と選択されたそれ以外の金属の組み合わせが特に好ましい。特にFeとCo、Ni、V、Mo、Pdの1種以上とを組み合わせる場合が最も好ましい。
本発明において反応方式は特に限定しないが、縦型流動床型反応器を用いて反応させることが好ましい。縦型流動床型反応器とは、原料となる炭素含有組成物が、鉛直方向(以下「縦方向」と称する場合もある)に流通するように設置された反応器である。該反応器の下部から上部に向けた方向に炭化水素が流通し、触媒体層を通過する。反応器は、例えば管形状を有する反応器を好ましく用いることができる。なお、上記において、鉛直方向とは、鉛直方向に対して若干傾斜角度を有する方向をも含む(例えば水平面に対し90°±15°、好ましくは90°±10°)。なお、好ましいのは鉛直方向である。なお、炭素含有組成物の供給部および排出部は、必ずしも反応器の端部である必要はなく、炭素含有組成物が反応器内部を流通し、その流通過程で触媒体層を通過すればよい。
触媒体は、その凝集体を縦型流動床型反応器中、反応器の水平断面方向全面に存在させた状態にあり、反応時には流動床を形成した状態とする。このようにすることにより、触体と炭素含有組成物を有効に接触させることができる。横型反応器の場合、触媒体と炭化水素を有効に接触させるため、炭化水素の流れに対して垂直方向で反応器の断面全面に存在させた状態にするには、重力がかかる関係上、触媒体を左右から挟み込むことが好ましい。しかし、カーボンナノチューブ含有組成物の生成反応の場合、反応するに従って触媒体上にカーボンナノチューブ含有組成物が生成して、触媒体の体積が増加するので、左右から触媒体を挟みこむ方法は好ましくない。また、横型で流動床を形成させることも難しい。本発明では反応器を縦型にし、反応器内にガスが透過できる台を設置して、その上に触媒体の凝集体を置くことによって、触媒体を両側から挟みこむことなく、反応器の断面方向に均一に触媒体の凝集体を存在させることができ、炭素含有組成物を鉛直方向に流通させる際に流動床を形成させることもできる。触媒体の凝集体を縦型流動床反応器の水平断面方向全面に存在させた状態とは、水平断面方向に全体に触媒体が広がっていて触媒体底部の台が見えない状態を言う。このような状態の好ましい実施態様としては、例えば、反応器内にガスが透過できる触媒体を置く台(セラミックスフィルターなど)を置き、そこに所定の厚みで触媒体を充填する。この触媒体層の上下が多少凸凹してもかまわない(図1)。図1は、反応器101の中に触媒体を置く台である石英焼結板102が設置され、その上に触媒層106を形成する触媒体の凝集体が反応器101の水平断面方向全体に存在している状態を示す概念図である。
流動床型は、触媒体の凝集体を連続的に供給し、反応後の触媒体とカーボンナノチューブ含有組成物を含む集合体を連続的に取り出すことにより、連続的な合成が可能であり、カーボンナノチューブ含有組成物を効率よく得ることができ好ましい。
流動床型反応において、原料の炭素含有組成物と触媒体が均一に効率よく接触するためにカーボンナノチューブ合成反応が均一に行われ、アモルファスカーボンなどの不純物による触媒被覆が抑制され、触媒活性が長く続くと考えられる。
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法では、炭素含有組成物の炭素源として炭化水素を用い、反応器に炭素含有組成物を供給し始めた時間を合成開始とする。合成開始から5〜20分経過するまでの間における触媒体と接触させる炭素含有組成物の濃度が、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して10〜30vol%である必要があり、好ましくは15〜25vol%であり、さらに好ましくは17〜22%である。合成開始からカーボンナノチューブを効率的に成長させるには、合成初期に高濃度の炭素含有組成物を触媒体と接触させることで担体上にカーボンナノチューブの成長核を形成させることが好ましい。
炭素源として用いる炭化水素は非芳香族であっても、芳香族であってもよい。非芳香族の炭化水素では、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、ヘキサン、又はこれらの混合物などを使用することができる。また芳香族の炭化水素では、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、又はこれらの混合物などを使用することができる。これらの中でも、特に単層または2層カーボンナノチューブを作りやすいメタン、エタン、エチレン、アセチレンが好ましい。またキャリアガスとしては不活性ガスとして知られる窒素、アルゴン、ヘリウムが使用できる。
またカーボンナノチューブを高収率で得るためにはカーボンナノチューブの成長核を効率良く担体上に形成させる必要がある。触媒金属は担体上に担持された8族〜10族の遷移金属化合物として存在していると考えられ、また、他の成分が配合された組成物、あるいは他の成分と複合した複合体中に含まれる場合でも該金属化合物が担体上に担持または混合されていれば触媒体と解釈する。触媒体の凝集体とは、触媒体の一次粒子が凝集した状態をさす。
またカーボンナノチューブを高収率で得るためには炭素含有組成物の濃度を制御する必要がある。炭素含有組成物の濃度が高いとアモルファスカーボンを生成しやすくなり、カーボンナノチューブの成長を阻害するため、収量が大きく減少する。このため、合成初期にカーボンナノチューブの核を形成させた後は、炭素含有組成物濃度を合成初期よりも低濃度とする。このときの炭素含有組成物の濃度は、高濃度の場合を100%として、20〜80%のより低濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触、反応させることが好ましい。また、この炭素含有組成物をより低濃度に下げる時間は合成開始から5〜20分経過したあとであり、より好ましく7〜17分経過したあとであり、最も好ましくは9〜15分経過したあとである。これにより触媒体上への炭素源の供給量が抑えられ、触媒を被覆、失活させるアモルファスカーボンを生成させることなく高収量のカーボンナノチューブを得ることができる。カーボンナノチューブを成長させる炭素含有組成物濃度の下限は、炭素源として必要な濃度であり、通常1vol%である。工程(2)における炭素含有組成物の濃度は、10vol%未満が好ましく、さらに好ましくは、3〜9vol%である。
本発明のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法を用いることで触媒体当たりのカーボンナノチューブ収量を向上することが可能となる。このカーボンナノチューブ含有組成物の製造において、カーボンナノチューブを合成する温度は850〜1000℃の範囲が好ましい。
また、得られるカーボンナノチューブ含有組成物の純度をさらに高める方法として、以下のような精製方法を実施することが好ましい。
1つ目の方法として、カーボンナノチューブ含有組成物を製造後、触媒体を3〜6Nの塩酸水溶液で除去した後に濃硝酸水溶液(硝酸濃度として60〜70%)で90〜150℃の範囲で5〜75時間加熱を行う。水洗濾過後、アルカリ性溶液で1〜5時間撹拌を行い、水洗濾過後に濃硝酸水溶液(硝酸濃度として60〜70%)で1〜30時間撹拌を行う。
上記において、濃硝酸水溶液による液相酸化は、濃硝酸以外にも硫酸、過酸化水素等の酸化剤を用いることも可能である。条件は酸化力に応じて適宜決定することが可能である。
2つ目の方法として、カーボンナノチューブ含有組成物を製造後に、電気炉などの加熱装置で1〜5時間、400〜500℃の範囲で加熱酸化する。この時、カーボンナノチューブ含有組成物は触媒体に付着している状態が好ましい。次に触媒体を3〜6Nの塩酸水溶液で除去することで精製することができる。
アルカリ性溶液はアンモニアや有機アミン、又は水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウムの溶液を用いることができる。アルカリ性溶液のpHとしては通常pH8以上であれば特に問題ない。有機アミンはエタノールアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどの窒素を含む有機化合物が好ましい。上記、アルカリ溶液のなかで最も好ましいのはアンモニアである。これらアンモニアや有機アミンを溶解する溶媒としては、水を用いることが好ましい。
[触媒体の金属担持量測定]
触媒体0.25gを量り取り、12N濃塩酸10mLにより溶解させて50gにメスアップした。この塩酸溶液を5g量り取り、1N希塩酸を加えて25gにメスアップした。この塩酸溶液を原子吸光分光光度計(日立ハイテク製 Z−5100型)により吸光度を測定することで触媒体に担持されている鉄担持量を測定した。
触媒体0.25gを量り取り、12N濃塩酸10mLにより溶解させて50gにメスアップした。この塩酸溶液を5g量り取り、1N希塩酸を加えて25gにメスアップした。この塩酸溶液を原子吸光分光光度計(日立ハイテク製 Z−5100型)により吸光度を測定することで触媒体に担持されている鉄担持量を測定した。
[実施例1](メタンガス濃度18%→4.5%)
(触媒調製)
196.8gのクエン酸鉄アンモニウム(和光純薬工業社製)をイオン交換水6.7kgに溶解させた。この溶液に酸化マグネシウム(MgO、岩谷工業株式会社製 MJ−30)を1000g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、この懸濁液を10Lオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で撹拌しながら、200℃に加熱し2時間保持した。その後オートグレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分は篩上で乳棒で細粒子しながら、1.00〜2.80mmの範囲の粒径の触媒体を回収した。なお、篩はアズワン(株)製5−3291シリーズを用いた。得られた顆粒状触媒体を電気炉中に導入し、大気下600℃で6時間加熱した。得られた鉄担持量は2.90重量%であった。
(触媒調製)
196.8gのクエン酸鉄アンモニウム(和光純薬工業社製)をイオン交換水6.7kgに溶解させた。この溶液に酸化マグネシウム(MgO、岩谷工業株式会社製 MJ−30)を1000g加え、撹拌機で60分間激しく撹拌処理した後に、この懸濁液を10Lオートクレーブ容器中に導入した。密閉した状態で撹拌しながら、200℃に加熱し2時間保持した。その後オートグレーブ容器を放冷し、容器からスラリー状の白濁物質を取り出し、過剰の水分を吸引濾過により濾別し、120℃の乾燥機中で加熱乾燥した。得られた固形分は篩上で乳棒で細粒子しながら、1.00〜2.80mmの範囲の粒径の触媒体を回収した。なお、篩はアズワン(株)製5−3291シリーズを用いた。得られた顆粒状触媒体を電気炉中に導入し、大気下600℃で6時間加熱した。得られた鉄担持量は2.90重量%であった。
(カーボンナノチューブ含有組成物製造)
図1に示した装置を用いてカーボンナノチューブ含有組成物の合成を行った。反応管101は内径75mm、長さ1100mmの円筒型石英管である。反応管中央部に石英焼結板102を設置し、反応管下部にはキャリアガス及び炭素含有組成物がマスフローコントローラー107を介して混合ガス供給ライン103が接続されており、上部には排ガスライン管104が接続されている。加熱領域105でカーボンナノチューブ製造用触媒体106と炭素含有組成物とキャリアガスの混合ガスを接触、反応させる。
図1に示した装置を用いてカーボンナノチューブ含有組成物の合成を行った。反応管101は内径75mm、長さ1100mmの円筒型石英管である。反応管中央部に石英焼結板102を設置し、反応管下部にはキャリアガス及び炭素含有組成物がマスフローコントローラー107を介して混合ガス供給ライン103が接続されており、上部には排ガスライン管104が接続されている。加熱領域105でカーボンナノチューブ製造用触媒体106と炭素含有組成物とキャリアガスの混合ガスを接触、反応させる。
調製した触媒体132gを取り、反応管中心部の石英焼結板上に導入することで触媒層を形成した。加熱領域の設定温度を860℃として、触媒体層を加熱しながら反応管下部から窒素ガスを16.5L/minで供給し、メタンガスを3.622L/min(混合ガスの合計に対して18.0vol%)で10分間導入し、反応させた。10分経過後直ぐにメタンガスの流量を0.78L/min(混合ガスの合計に対して4.5vol%)に変更し、触媒体層を通過するように通気し、反応させた。メタンガスを導入し始めた時間から60分後にメタンガスの導入を止め、窒素ガス16.5L/min通気させながら反応管を室温まで放冷した。放冷後、触媒体とカーボンナノチューブ含有組成物を反応管から取り出した。
(精製工程)
カーボンナノチューブ含有組成物が付着した触媒体を130g用いて4.8Nの塩酸水溶液2000mL中で1時間攪拌することで触媒金属である鉄とその担体であるMgOを溶解させた。得られた懸濁液はミリポア社製オムニポアメンブレンフィルター(フィルタータイプ:1.0μmJA)を敷いた内径90mmのろ過器を用いて吸引濾過した。濾過後の濾物を再度4.8Nの塩酸水溶液1000mLを用いて1時間攪拌し吸引濾過した。この操作をさらに1回行った後、吸引濾過器内の濾物をイオン交換水で水洗し、濾物の懸濁液が中性になるまで行う。中性になった後に水を含んだウエット状態のカーボンナノチューブ含有組成物を得た。
カーボンナノチューブ含有組成物が付着した触媒体を130g用いて4.8Nの塩酸水溶液2000mL中で1時間攪拌することで触媒金属である鉄とその担体であるMgOを溶解させた。得られた懸濁液はミリポア社製オムニポアメンブレンフィルター(フィルタータイプ:1.0μmJA)を敷いた内径90mmのろ過器を用いて吸引濾過した。濾過後の濾物を再度4.8Nの塩酸水溶液1000mLを用いて1時間攪拌し吸引濾過した。この操作をさらに1回行った後、吸引濾過器内の濾物をイオン交換水で水洗し、濾物の懸濁液が中性になるまで行う。中性になった後に水を含んだウエット状態のカーボンナノチューブ含有組成物を得た。
得られたウエット状のカーボンナノチューブ含有組成物の内、約300mgを120℃で24時間乾燥させ、得られたカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量からウエット状のカーボンナノチューブの固形分濃度を算出した。カーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量分に対して約345倍の濃硝酸(キシダ化学 1級 Assay60%)を添加した。その後137℃±5℃に加熱したオイルバス中で24時間撹拌しながら加熱還流した。その後、室温まで放冷し、カーボンナノチューブ含有組成物を含む硝酸懸濁液をイオン交換水で2倍に希釈して、ミリポア社製オムニポアメンブレンフィルター(フィルタータイプ:1.0μmJA)を敷いた内径90mmのろ過器を用いて吸引濾過した。イオン交換水で濾物の懸濁液が中性になるまで水洗した。
得られたカーボンナノチューブ含有組成物の濾物を2.8%アンモニア水溶液(キシダ化学 特級)0.3Lに添加して室温で一時間撹拌した。その後、ミリポア社製オムニポアメンブレンフィルター(フィルタータイプ:1.0μmJA)を敷いた内径90mmのろ過器を用いて吸引濾過した。イオン交換水で濾物の懸濁液が中性になるまで水洗した。
得られたカーボンナノチューブ含有組成物を含むウエットケークを60%硝酸水溶液(キシダ化学 1級 Assay60%)300mL中に添加した。室温で1時間攪拌した後にミリポア社製オムニポアメンブレンフィルター(フィルタータイプ:1.0μmJA)を敷いた内径90mmのろ過器を用いて吸引濾過した。イオン交換水で濾物の懸濁液が中性になるまで水洗した。この濾物を300mg計量し、120℃で加熱乾燥を一晩行い、乾燥前後の重量から濾物の固形分濃度を算出した。
固形分濃度を考慮して得られたカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量(CNT収量)は0.637g(触媒体100g当たり)であった。
[実施例2](メタンガス濃度18%→9.0%)
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.81重量%であった。
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.81重量%であった。
カーボンナノチューブ含有組成物製造装置・操作で上記触媒体を用いてカーボンナノチューブ含有組成物の合成を行った。窒素ガスを16.5L/minで供給し、メタンガスを3.622L/min(混合ガスの合計に対して18.0vol%)で10分間導入し、反応させた。10分経過後直ぐにメタンガスの流量を1.623L/min(混合ガスの合計に対して9.0vol%)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様の精製処理を行った。最終的に得られたカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量は触媒体100g当たりで0.729gであった。
[比較例1](メタンガス濃度18.0%)
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.91重量%であった。
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.91重量%であった。
実施例1と同様にカーボンナノチューブ含有組成物製造装置・操作で上記触媒体を用いて行った。窒素ガスを16.5L/minで供給し、メタンガスを3.622L/min(混合ガスの合計に対して18.0vol%)で60分間導入した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様の精製処理を行った。最終的に得られたカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量は触媒体100g当たりで0.549gであった。
[比較例2](メタンガス濃度9.0%)
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.81重量%であった。
実施例1と同様にカーボンナノチューブ含有組成物製造装置・操作で上記触媒体を用いて行った。窒素ガスを16.5L/minで供給し、メタンガスを1.623L/min(混合ガスの合計に対して9.0vol%)で60分間導入した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.81重量%であった。
実施例1と同様にカーボンナノチューブ含有組成物製造装置・操作で上記触媒体を用いて行った。窒素ガスを16.5L/minで供給し、メタンガスを1.623L/min(混合ガスの合計に対して9.0vol%)で60分間導入した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様の精製処理を行った。最終的に得られたカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量は触媒体100g当たりで0.430gであった。
[比較例3](メタンガス濃度4.5%)
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.87重量%であった。
実施例1と同様に触媒調製操作を行った。得られた鉄担持量は2.87重量%であった。
実施例1と同様にカーボンナノチューブ含有組成物製造装置・操作で上記触媒体を用いて行った。窒素ガスを16.5L/minで供給し、メタンガスを0.78L/min(混合ガスの合計に対して4.5vol%)で60分間導入した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様の精製処理を行った。最終的に得られたカーボンナノチューブ含有組成物の乾燥重量は触媒体100g当たりで0.350gであった。
101 反応器
102 石英焼結板
103 混合ガス導入管
104 排ガス管
105 電気炉
106 触媒層
107 マスフローコントローラー
102 石英焼結板
103 混合ガス導入管
104 排ガス管
105 電気炉
106 触媒層
107 マスフローコントローラー
Claims (4)
- カーボンナノチューブ製造用触媒体と炭素含有組成物をキャリアガスと混合して加熱反応領域で接触させてカーボンナノチューブ含有組成物を製造する際に、下記の(1)および(2)の工程を行うことを特徴とするカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
(1)合成開始から5〜20分経過するまでの間、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して10〜30vol%の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。
(2)(1)工程の終了後から合成終了までの間、炭素含有組成物を(1)工程における濃度よりも低濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる工程。 - カーボンナノチューブ製造用触媒体が8〜10族の遷移金属から選ばれる少なくとも1種の触媒金属を含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
- カーボンナノチューブ製造用触媒体に含まれる触媒金属含有量が、カーボンナノチューブ製造用触媒体を基準として0.1〜4.5重量%である請求項1または2記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
- (2)工程において、炭素含有組成物を、炭素含有組成物とキャリアガスの合計に対して1〜10vol%未満の濃度でカーボンナノチューブ製造用触媒体と接触させる請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ含有組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2015126593A JP2017007903A (ja) | 2015-06-24 | 2015-06-24 | カーボンナノチューブ含有組成物の製造方法 |
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CN109188770A (zh) * | 2018-10-12 | 2019-01-11 | 盐城华旭光电技术有限公司 | 一种背光源模块及其液晶显示器 |
JP2021521085A (ja) * | 2018-04-12 | 2021-08-26 | エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ | 炭素精製方法及び炭素生成物 |
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2015
- 2015-06-24 JP JP2015126593A patent/JP2017007903A/ja active Pending
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