JP2017006294A - リムーバペン、描画装置及び描画装置を用いたインク除去方法 - Google Patents

リムーバペン、描画装置及び描画装置を用いたインク除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】爪に施されたネイルプリントをユーザの手を煩わせることなく安全に除去することのできるリムーバペン、描画装置及び描画装置を用いたインク除去方法を提供する。
【解決手段】爪Tの表面に塗布された描画用インクを溶解する溶剤を貯留する軸部415と、爪Tの表面に塗布された描画用インクを拭き取る拭取り部416と、軸部415と拭取り部416との間に位置し、軸部415の溶剤を拭取り部416から隔てる封止膜417と、拭取り部416或いは軸部415を爪Tの表面に向けて押すことにより、封止膜417を突き破って軸部415内の溶剤を拭取り部416に浸透させる突起部418bとを有するリムーバペン41bを保持する描画ヘッドと、拭取り部416が爪Tの表面に押し当てられる位置までリムーバペン41bを移動可能なヘッド移動部及びペン上下用モータをネイルプリント装置に備えた。
【選択図】図7

Description

本発明は、リムーバペン、描画装置及び描画装置を用いたインク除去方法に関するものである。
従来、人の指の爪に好みのネイルデザインを印刷するネイルプリント装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような装置を用いれば、ネイルサロン等を利用することなく、手軽にネイルプリントを楽しむことができる。
このように手軽にネイルプリントを楽しむことができる場合、着ていく服や出かける場所等に応じて適宜ネイルデザインを変えることができれば、ネイルまで含めたトータルコーディネートを楽しむことができる。
このためには、一旦爪に描画されたネイルデザインを除去してネイルプリントをやり直す必要がある。
また、ネイルプリントを施してから数日経つと手を使ううちに擦れて汚れてきたり剥がれてきたりするため、爪に描画されているネイルデザインを一旦除去してからやり直したいという要請もある。
爪にマニキュアを塗った場合、これを除去する手法としては、例えばコットンに除光液を染み込ませて爪を拭ったり、リムーバポット(除光液と拭取り用のスポンジが入ったポット型のリムーバ)にマニキュアを除去したい指を入れてリムーバポット内のスポンジで爪を拭うといった手法が知られている。
特表2003−534083号公報
しかしながら、コットンに除光液を染み込ませて爪を拭う手法では、複数の指の爪にマニキュアを塗布した後に何らかの理由で一部の指についてだけマニキュアを除去したいという場合に、ユーザが除光液を染み込ませたコットンを手に持って作業をしているうちに、マニキュアを除去したくない指の爪にまで除光液が付着してマニキュアが落ちてしまうおそれがある。
この点、リムーバポットを用いれば、指を一本ずつ入れるため、ユーザが意図した爪についてだけマニキュアを除去することができる。
しかし、リムーバポットは、除光液の入ったポットの中に指ごと入れてマニキュアを除去するものであるため、指の腹まで除光液に浸すことになる。このため指の皮膚が荒れたり、既に指先が荒れたり傷があるような場合には除光液がしみてしまうという問題があった。
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、爪に施されたネイルプリントをユーザの手を煩わせることなく安全に除去することのできるリムーバペン、描画装置及び描画装置を用いたインク除去方法を提供することを目的とするものである。
前記課題を解決するために、本発明のリムーバペンは、
描画対象面に塗布された描画用インクを溶解する溶剤を貯留する貯留部と、前記描画対象面に塗布された前記描画用インクを拭き取る拭取り部と、前記貯留部と前記拭取り部との間に位置し、前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部から隔てる封止膜と、前記拭取り部の前記封止膜側或いは前記貯留部の前記封止膜側に配置され、前記拭取り部或いは前記貯留部を前記描画対象面に向けて押すことにより、前記封止膜を突き破って前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部に浸透させる突起部と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、爪に施されたネイルプリントをユーザの手を煩わせることなく安全に除去することができる。
(a)は、本実施形態における描画装置の正面図であり、(b)は、(a)に示された描画装置の内部構成を示す側面図である。 図1におけるII-II断面図である。 (a)は、本実施形態における描画ヘッドの上面図であり、(b)は、本実施形態における描画ヘッドの側面図である。 (a)は、本実施形態におけるリムーバペンの斜視図であり、(b)は、拭取り部の側断面図であり、(c)は、(b)における矢視c方向から見た拭取り部の底面図である。 本実施形態に係る描画装置の制御構成を示した要部ブロック図である。 本実施形態におけるインク溶解除去処理を示すフローチャートである。 (a)は、リムーバペンを爪に当接させる様子を示す模式的な側断面図であり、(b)は、リムーバペンを爪に押し当てて下降させる様子を示す模式的な側断面図であり、(c)は、リムーバペンを爪の根元側から先端側に移動させる様子を示す模式的な上面図である。 拭取り部の一変形例を示す側断面図である。 (a)は、拭取り部の一変形例を示す側断面図であり、(b)は、(a)における矢視b方向から見た拭取り部の底面図である。
図1から図7(図7(a)から図7(c))を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置(描画装置)1の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、ネイルプリント装置1は手の指の爪の表面を描画対象面として、これに描画するものとして説明するが、本発明の描画対象面は手の指の爪の表面に限るものではなく、例えば足の指の爪の表面を描画対象面としてもよい。
図1(a)は、ネイルプリント装置の内部構成を示すネイルプリント装置の正面図であり、図1(b)は、図1(a)に示されたネイルプリント装置の内部構成を示す側面図である。図2は、図1(a)におけるII-II線に沿う断面図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態におけるネイルプリント装置1は、描画ヘッド43が筆記用具であるペン41(ペン41a)とインクジェット描画部71とを備え、プロッタ方式とインクジェット方式とを併用して印刷指U1の爪Tに描画を施す描画装置である。
このネイルプリント装置1は、ケース本体2と、このケース本体2に収容される装置本体10とを備えている。
ケース本体2の側面上部一端には、後述する描画部40のペン41及びインクジェット描画部71を交換するために開閉可能に構成された蓋部23が設けられている。蓋部23は、例えばヒンジ等を介して、図1に示すように閉状態から開状態まで回動自在となっている。
ケース本体2の上面(天板)には操作部25(図5参照)が設置されている。
操作部25は、ユーザが各種入力を行う入力部である。
操作部25には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、爪Tに描画するデザイン画像を選択するデザイン選択釦、描画開始を指示する描画開始釦等、各種の入力を行うための図示しない操作釦が配置されている。
また、ケース本体2の上面(天板)のほぼ中央部には表示部26が設置されている。
表示部26は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態において、この表示部26には、例えば、印刷指U1を撮影して得た爪画像(爪Tの画像を含む指画像)、この爪画像中に含まれる爪Tの輪郭線等の画像、爪Tに描画すべきデザイン画像を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面等が適宜表示される。
なお、表示部26の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。
装置本体10は、ほぼ箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置された下部機枠11と、この下部機枠11の上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている上部機枠12とを備えている。
まず、下部機枠11について説明する。
下部機枠11は、背面板111、底板112、左右一対の側板113a,113b、X方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115及び隔壁116を有する。
側板113a,113bの下端部は、底板112の左右両端部にそれぞれ連結され、側板113a,113bが底板112に対して立てられた状態に設けられている。
背面板111の下部は、前方(指挿入方向手前側)に向かって2段に窪むように形成されている。背面板111の下端部は底板112の前端部に連結されており、背面板111は、底板112と側板113a,113bによって囲われた領域を前後に区切っている。
この窪んだ背面板111の後ろ側に形成される空間がX方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115(図1(b)参照)となっている。X方向移動ステージ収容部114内には、描画部40が前方(指挿入方向手前側)に移動した際に描画部40のX方向移動ステージ45が収容される。また、Y方向移動ステージ収容部115内には、描画部40のY方向移動ステージ47が配置されている。
また、隔壁116は、下部機枠11の内部前方側の空間(背面板111、底板112及び側板113a,113bによって囲われた指挿入方向手前側の空間)を上下に区切るように下部機枠11の内側に設けられている。隔壁116はほぼ水平に設けられ、隔壁116の左右両端部が側板113a,113bにそれぞれ連結され、隔壁116の後端部が背面板111に連結されている。
この下部機枠11には、指固定部30(図1(b)参照)が一体的に設けられている。
指固定部30は、描画を施す爪Tに対応する指(以下、これを「印刷指U1」という。)を受け入れる指受入部31と、この印刷指U1以外の指(以下、これを「非印刷指U2」という。)を退避させる指退避部32と、から構成されている。
指受入部31は、隔壁116の上側であって下部機枠11の幅方向のほぼ中央部に配置されている。また、隔壁116によって下部機枠11の下側に区分けられた空間が指退避部32を構成している。
例えば、薬指の爪Tに描画を施す場合には、指受入部31に印刷指U1としての薬指を挿入し、非印刷指U2であるその他の4指(親指、人差し指、中指、小指)を指退避部32に挿入する。
図1(b)及び図2に示すように、指受入部31は、下部機枠11の前面側(印刷指挿入方向の手前側)に開口しており、下側が隔壁116の一部を構成する指載置部116a、両側が仕切り31a,31b、奥側が仕切り31cによって区画されている。指載置部116aは、描画を施す爪Tの指(印刷指U1)をXY平面上に載置するものである。
また、指受入部31の上側は天井部31dによって区画されている。天井部31dには、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tを露出させるための窓31eが形成されている。
また、隔壁116の上面であって下部機枠11の前面側の両側部には、下部機枠11の前面側を塞ぐ前壁31f(図1(a)参照)が立設されている。また、隔壁116の上面には、この前壁31fの中央部寄りの端部から前記指受入部31に向けて狭窄し、印刷指U1を指受入部31内に案内する一対のガイド壁31g(図1(a)参照)が立設されている。
ユーザは指受入部31に挿入した印刷指U1と指退避部32に挿入した非印刷指U2との間に隔壁116を挟むことができる。そのため、指受入部31内に挿入された印刷指U1が安定して固定される。
本実施形態では、印刷指U1を載置する指載置部116aの全部又は一部は、空気の流通が可能なメッシュ状となっており、図1(b)に示すように、指退避部32内であって指載置部116aの下側又はその近傍には、換気用のファン33が設けられている。ファン33は、図示しないプロペラ及びモータ等を備え、モータによりプロペラを回転させることで空気の流れを発生させるものである。
指退避部32内には、ファン33が設けられている指載置部116aの下側から装置の裏面側に亘ってダクト34が形成されている。ダクト34は装置内部における排気流路を形成するものである。また、ケース本体2における装置の裏面側には、換気孔21が形成されている。
本実施形態において、ファン33は指受入部31内の空気をダクト34内に導く空気の流れを発生させるようになっており、ファン33を動作させた際には、ファン33によって生じた空気の流れが指受入部31内の空気を排気流路であるダクト34内に排出させ、換気孔21から装置外部に排気させるようになっている。
これにより、後述するリムーバペン41bによって爪T表面のインクの溶解除去を行った際に指受入部31内に気化した溶剤が充満した場合でも、ファン33を動作させることで指受入部31内の換気を行うことができ、気化した溶剤が装置内にこもるのを防ぐことができる。
下部機枠11の上面であって、指受入部31の横(本実施形態では、図1(a)及び図2において右側)には、後述する描画ヘッド43の移動可能範囲内に、非描画時に、描画ヘッド43が待機するホームエリア60が設けられている。
ホームエリア60には、後述するペンホルダ42に対応する数(本実施形態では2つ)だけペンキャップ62が設置されている。
ペンキャップ62は、例えばゴムによって形成されており、描画部40にペン41(ペン41a)が装着されている状態で描画を行っていないとき(非描画時)には、ペン41aを下降させて、ペン先413をペンキャップ62に収容することにより、ペン先413の乾燥を防止するようになっている。
また、ホームエリア60内であってペン先413がペンキャップ62に収容されたときにインクジェット描画部71が配置される位置に対応する位置には、インクジェット保守部63が設けられている。インクジェット保守部63は、例えば後述するインクジェット描画部71のインク吐出部(ノズル面)をクリーニングするためのクリーニング機構やインク吐出部(ノズル面)の保湿状態を保つためのキャップ機構等(いずれも図示せず)で構成されている。
なお、ホームエリア内のペンキャップ62、インクジェット保守部63等の配置はここで例示したものに限定されない。
描画部40は、描画ヘッド43、描画ヘッド43を支持するユニット支持部材44、描画ヘッド43をX方向(図1(a)及び図2におけるX方向、描画装置1の左右方向)に移動させるためのX方向移動ステージ45、X方向移動モータ46、描画ヘッド43をY方向(図1(b)及び図2におけるY方向、描画装置1の前後方向)に移動させるためのY方向移動ステージ47、Y方向移動モータ48等を備えて構成されている。
図3(a)は、本実施形態における描画ヘッドの上面図であり、図3(b)は、描画ヘッドの側面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、本実施形態の描画ヘッド43には、ペン41を保持するペンホルダ42とインクジェット描画部71を保持するインクジェットホルダ72とが隣り合って配置されている。
インクジェット描画部71は、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する図示しないインクカートリッジと各インクカートリッジにおける描画対象(爪T)に対向する面(本実施形態では、図1(a)等における下面)に設けられた図示しないインク吐出部とが一体に形成されたインクカートリッジ一体型のヘッドである。インク吐出部は、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイを備えており、インクジェット描画部71は、インクを微滴化し、インク吐出部から描画対象(爪T)の被描画面に対して直接にインクを吹き付けて描画を行う。なお、インクジェット描画部71は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインクカートリッジ及びインク吐出部を備えていてもよい。
本実施形態では、ペンホルダ42に装着可能なペン41として、描画用の筆記用具であるペン41aとリムーバ用のリムーバペン41bとが用意されており、ユーザが適宜入れ替え可能となっている。なお、本実施形態において単にペン41としたときは、筆記用具であるペン41aとリムーバ用のリムーバペン41bとを含むものとする。
描画用具であるペン41aは、爪Tの表面を描画対象面とし、先端部が描画対象面である爪Tの表面に接触して描画を施す筆記具である。
図3(b)等に示すように、筆記具としてのペン41aは、棒状のペン軸部411の先端側(図3(b)において下側)にペン先413が設けられたものである。
ペン軸部411の内部は、各種インクを収容するインク収容部となっている。
ペン軸部411の内部に収容されるインクとしては、各種のインクが適用可能である。インクの粘度や色材の粒径(粒子の大きさ)等は特に限定されず、例えば、金銀のラメ入りのインクや白色のインク、UV硬化型のインクやジェルネイル、アンダーコート用インク、トップコート用インクやマニキュア液等も用いることができる。
本実施形態において、ペン41aは、例えばペン先413を爪Tの表面に押し当てることでペン軸部411内に収容されているインクが染み出して描画する、ペン先413がボールペンタイプとなったペンである。
なお、ペン41aは、ボールペンタイプのものに限定されない。例えばフェルト状のペン先にインクを染み込ませて描画するサインペンタイプや、束ねた毛にインクを染み込ませて描画する筆ペンタイプのもの等であってもよい。
また、ペン先413の太さも各種のものを用意することができる。
ペンホルダ42に保持されるペン41aは、全て同じタイプのペン先413を有するペンでもよいし、異なるタイプのペン先413を有するペンであってもよい。
ペン41aはペンホルダ42に上方から挿通するだけで保持されている。このため、ケース本体2に設けられている蓋部23を開けて、例えば手やピンセットでペン軸部411の上端部を摘み上げ引き出す等により、容易に交換が可能である。
これにより、ユーザは、ペンホルダ42に装着するペン41aを、描画したいネイルデザインに応じて色やペン先413の種類やインクの種類の異なるペン41aに適宜入れ替えることで、幅広いネイルデザインを実現することができる。
リムーバ用のリムーバペン41bは、描画対象面である爪Tの表面に塗布されたインクを溶解して除去するためのペンである。
図4(a)は、本実施形態におけるリムーバペンの模式的な斜視図である。
図4(a)に示すように、リムーバペン41bは、筆記用具としてのペン41aのペン軸部411とほぼ同様の太さ及び形状の軸部415と、この軸部415の一端側(図4(a)において下側)に設けられた拭取り部416とを備えている。
軸部415は、描画対象面である爪Tの表面に塗布された描画用インク(すなわち、描画用のペン41a又はインクジェット描画部71によって塗布されたインクやユーザ等が手動で塗布したマニキュア等)を溶解する溶剤を貯留する貯留部となっている。
本実施形態では、軸部415内には、マニキュア等の描画用インクを溶解除去するのに用いられる除光液が貯留されている。
貯留部である軸部415と拭取り部との間には、封止膜417が設けられており、軸部415と拭取り部416とはこの封止膜417によって隔てられている。
なお、軸部415及び封止膜417は、軸部415内に貯留されている溶剤によって溶融しない材料によって形成されている。例えば、アセトンを主成分とする除光液が溶剤として軸部415内に貯留されている場合には、アセトンによって溶融しないポリエチレン(PE)等によって軸部415及び封止膜417が形成される。
図4(b)は、拭取り部の側断面図であり、図4(c)は、図4(b)における矢視c方向から見た拭取り部の底面図である。
本実施形態において、拭取り部416は、例えばフェルト状に固められた綿繊維で形成されている。
図4(a)及び図4(b)に示すように、拭取り部416内であって封止膜の内側には、突起部材418が配置されている。
突起部材418は、平板上の基台418aとこの基台418aの上に立設された突起部418bとを有している。本実施形態では、突起部418bは錘状に形成されており、その頂点側が封止膜417と対向している。
本実施形態では、図4(b)に示すように、突起部材418は、基台418aから封止膜417までの距離L1が、拭取り部416の長さ(リムーバペン41bの軸方向における長さ)の4分の1程度となる位置に配置されていることが好ましい。
突起部418bは、拭取り部416を描画対象面である爪Tの表面に押し当てることにより、拭取り部416の側から軸部415の側に押し出された突出状態となり、この突出状態において封止膜417を突き破ることが可能となっている。
突起部418bが突出状態となり封止膜417を突き破ると、貯留部である軸部415内の溶剤が拭取り部416に浸透する。
なお突起部418bは、突出状態において封止膜417を突き破ることが可能なものであればよく、その形状等は図示例に限定されない。
また、図4(a)から図4(c)に示すように、本実施形態において、拭取り部416には、爪Tの表面(描画対象面)と対向する面に、爪Tの表面と直交する切れ込み419が形成されている。本実施形態では、図4(c)に示すように、切れ込み419は、ほぼ円筒状の拭取り部416における端面(図4(b)における下側の面)のほぼ円中心を通り、径方向に亘って直線状に設けられている。
拭取り部416の下端(図4(b)における下側の端部)からの切れ込み419の深さL2は、図4(b)に示すように、拭取り部416の長さ(リムーバペン41bの軸方向における長さ)の4分の1程度であることが好ましく、例えば4〜10mm程度である。
拭取り部416における爪Tの表面(描画対象面)と対向する面に切れ込み419を形成することにより、拭取り部416を爪Tの表面に押し当てた際、拭取り部416が切れ込み419の部分から爪Tの表面の曲面形状に沿うように左右に大きく開くことができ、爪Tの表面に密着しやすくなるとともに、爪Tとの接触面積が大きくなる。
なお、切れ込み419の形状等はここに例示したものに限定されない。例えば切れ込み419は直線状ではなく、多少波打つ形状となっていてもよい。
また、切れ込み419の深さL2が深いほど拭取り部416が大きく開き、より面積の広い爪Tに対応できることから、爪Tの大きさに応じて適切なリムーバペン41bを選択できるように、切れ込み419の深さL2の異なる拭取り部416を有する複数種類(例えばサイズSでは切れ込み419の深さL2が浅く、サイズがM,Lと大きくなるほど切れ込み419の深さL2を深くする等)のリムーバペン41bが用意されていてもよい。
なお、切れ込み419の深さL2が深い場合でも、突起部材418との間隔を十分に確保することが望ましく、切れ込み419の深さL2が拭取り部416の長さ(リムーバペン41bの軸方向における長さ)の4分の1程度となるように切れ込み419の深さL2に応じて拭取り部416の長さを変えることが好ましい。
ペンホルダ42は、上下に開口し内部にペン41が挿通される筒状部材421と、筒状部材421の下側(図3(b)における下側)の開口を塞ぐように配置されたペン係止部材422と、ペン41とともに上下動する補助軸部材423とを備えている。
ペン係止部材422には、ペン41の軸部(ペン軸部411,軸部415)における先端側を係止する係止孔422aが形成されている。ペン41は、軸部(ペン軸部411,軸部415)の先端側がペン係止部材422の係止孔422aに嵌め込まれることによってペンホルダ42内に係止される。なお、軸部(ペン軸部411,軸部415)の先端側の外周面に図示しないねじ溝を形成し、係止孔422aの内周面に軸部のねじ溝と螺合可能な図示しないねじ溝を形成し、係止孔422a側のねじ溝に軸部(ペン軸部411,軸部415)側のねじ溝を螺着させることでペン41を係止孔422aに係止させてもよい。
本実施形態において、補助軸部材423はペン41を挟むように2本配置されている。各補助軸部材423の下端部はペン係止部材422に嵌め込まれており、これにより、補助軸部材423はペン41の軸部(ペン軸部411,軸部415)と平行するように固定されている。
補助軸部材423には、ペン41の軸中心から離れる方向に突出する係止突起424が設けられている。
また、補助軸部材423の軸周りには、コイルバネ425が巻回されている。コイルバネ425は、外力が加わらない状態において補助軸部材423を上方向に付勢するものであり、非描画状態においてペン41の位置を、ペン先413が爪Tに当接しない位置に保持する。
ペンホルダ42の近傍には、ステッピングモータからなるペン上下用モータ426と、ペン上下用モータ426の回転軸に取り付けられた歯車427に歯合するギア428と、このギア428の回転に追従して回動する板バネ429とが設けられている。本実施形態では、これらペン上下用モータ426、歯車427、ギア428、板バネ429等によりペン41の昇降機構が構成されている。
ここで、板バネ429は、補助軸部材423に設けられた係止突起424に係合して、この係止突起424を押し下げることにより、ペン41を下方へと押し下げることができるようになっている。
すなわち、ペン上下用モータ426の回転に伴って板バネ429が回動して、板バネ429が係止突起424に係合し、係止突起424を下方へと押し下げると、ペン41はコイルバネ425の付勢力に抗して下方へと押し下げられる。
このように本実施形態では、板バネ429で直接ペン41を押し下げるのではなく、係止突起424を押し下げる構成とし、板バネ429がペン41の上方を覆わないため、ペン41の交換を容易に行うことができとともに、ペン昇降機構の高さを比較的低く抑え、省スペース化を図ることができる。
ここで、ペン41の昇降機構の動作について具体的に説明する。
まず、非描画時においては、係止突起424に対して板バネ429が外力を加えない状態となっている。このように外力(板バネ429による押圧力)が加わっていない状態では、ペン41は、コイルバネ425の付勢力により、上方向(図1(a)及び図3(b)において上方向)の位置に押し上げられ、ペン41の先端部(ペン先413、拭取り部416)は描画対象面である爪Tの表面から離れ、当該表面に当接しない高さに保持されている。
これに対して、描画時には、ペン上下用モータ426を所定のステップ数で回転させ、板バネ429によって係止突起424を押し下げる。これにより、ペン41が押し下げられる。
ペン上下用モータ426を駆動させる際の所定のステップ数は、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの高さ等に応じて適宜設定される。
すなわち、本実施形態のネイルプリント装置1では、後述の爪情報を事前に取得しておく。そして、当該爪情報に基づいて、ペン41の先端部(ペン先413、拭取り部416)が爪Tに当接する当接位置の爪Tの高さを認識し、その高さに応じてペン上下用モータ426のステップ数を決定する。こうして決定したステップ数でペン上下用モータ426を駆動させ、板バネ429によってペン41を押し下げることにより、ペン41の先端部(ペン先413、拭取り部416)を爪Tの表面に近づけて接触させ、適正な筆圧を印加する。
なお、描画の際に、描画に伴って爪Tの高さが変化したときは、その都度ペン上下用モータ426のステップ数を増減してペン41aの筆圧を調整し、筆圧が概ね一定になるように調整しながら描画を行う。ここで、ペン上下用モータ426のステップ数の増減による筆圧の調整は、爪Tの高さの変化が所定量(例えば、0.5mm)だけ変化する毎に行い、爪Tの高さの変化が所定量未満であるときには筆圧の調整を行わないが、このときには爪Tの形状に応じて板バネ429が撓み変形(弾性変形)することによって、ペン41aが自動的に上下動するため、ペン41aが爪Tに確実に当接すると同時に筆圧を適度な値に保つことができる。
なお、板バネ429のバネ定数はそれ程大きくなく、このバネ定数は、板バネ429による押圧力(外力)が爪Tにかかったときに爪Tに痛みなどを感じることがない程度の値に設定されている。また、描画を行う際には、板バネ429が適度に撓むことによりペン41aの上下動による衝撃が吸収されるとともに、ペン先413に概ね一定の適度な筆圧がかかった状態を維持したままペン41aが爪Tの高さに追従して上下動し、描画対象である爪Tの表面に所望のネイルデザインを綺麗に描画することができる。
また、ユニット支持部材44は、X方向移動ステージ45に取り付けられたX方向移動部451に固定されている。X方向移動部451は、X方向移動モータ46の駆動によりX方向移動ステージ45上を図示しないガイドに沿ってX方向に移動するようになっており、これにより、ユニット支持部材44に取り付けられている描画ヘッド43が、X方向(図1(a)におけるX方向、ネイルプリント装置1の左右方向)に移動するようになっている。
また、X方向移動ステージ45は、Y方向移動ステージ47のY方向移動部471に固定されている。Y方向移動部471は、Y方向移動モータ48の駆動によりY方向移動ステージ47上を図示しないガイドに沿ってY方向に移動するようになっており、これにより、ユニット支持部材44に取り付けられている描画ヘッド43が、Y方向(図1(b)におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動するようになっている。
なお、本実施形態において、X方向移動ステージ45及びY方向移動ステージ47は、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48と、図示しないボールネジ及びガイドとを組み合わせることで構成されている。
本実施形態では、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48等により、ペン41(爪Tに描画を施す描画用のペン41a、リムーバ用のリムーバペン41b)を備える描画ヘッド43をX方向及びY方向に駆動するXY駆動部としてのヘッド移動部49が構成されている。
描画部40におけるペン上下用モータ426、インクジェット描画部71、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48は、後述する制御装置80の描画制御部815(図5参照)に接続され、該描画制御部815によって制御されるようになっている。
また、撮影部50は、撮像装置51と、照明装置52とを備えている。
この撮影部50は、指受入部31内に挿入されて窓31eから見える印刷指U1の爪Tを照明装置52によって照明する。そして、撮像装置51によってその印刷指U1を撮影して、印刷指U1の爪Tの画像である爪画像(爪画像を含む指の画像)を得るものである。
本実施形態では、撮像装置51及び照明装置52は、描画部40の描画ヘッド43の側方(図1(a)において描画ヘッド43の左側)に固定配置されている。
すなわち、図3(a)に示すように、描画部40の描画ヘッド43は、上面の一端側(図3(a)において左側)に、側方に張り出す張出部401を有しており、この張出部401に基板53が取り付けられている。撮影部50を構成する撮像装置51及び照明装置52は、この基板53の下面に、隔壁116に対向するように設けられている。
なお、基板53の大きさや基板53に取り付けられている撮像装置51及び照明装置52の位置は特に限定されない。
撮像装置51は、例えば、200万画素程度以上の画素を有する固体撮像素子とレンズ等を備えて構成された小型カメラである。
撮像装置51は、印刷指U1の爪Tの曲率等を検出するために、ヘッド移動部49による移動によって、少なくとも異なる2つの位置・角度から爪Tを撮影するように構成されている。これにより、少なくとも2枚の爪画像が取得され、これらの爪画像に基づいて、後述する爪情報検出部812が、爪Tの輪郭(爪Tの形状)や爪Tの湾曲形状(爪Tの曲率)、爪Tの垂直位置等の爪情報を検出する。
なお、本実施形態では、撮像装置51をヘッド移動部49によって指受入部31に挿入されている印刷指U1の爪Tの上方まで移動させて撮影することができるため、撮像装置51の撮影可能範囲は爪T1つ分をカバーすることができればよい。
照明装置52は、例えば白色LED等の照明灯である。
本実施形態では、撮像装置51の手前側と奥側とに撮像装置51を挟むように2つの照明装置52が配置されている。照明装置52は、下方に向けて光を照射して、撮像装置51の下方の撮影範囲を照明する。
なお、照明装置52を設ける数や、その配置等は図示例に限定されない。
この撮影部50は、後述する制御装置80の撮影制御部811(図5参照)に接続され、該撮影制御部811によって制御されるようになっている。
なお、撮影部50によって撮影された画像の画像データは、後述する記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。
制御装置80は、例えば上部機枠12に配置された基板13等に設置されている。
図5は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
制御装置80は、図5に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
記憶部82には、ネイルプリント装置1を動作させるための各種プログラムや各種データ等が格納されている。
具体的には、記憶部82のROMには、爪画像から爪Tの形状や爪Tの輪郭等の爪情報を検出するための爪情報検出プログラム、描画データを生成するための描画データ生成プログラム、描画処理を行うための描画プログラム、インク溶解除去処理を行うためのインク溶解除去プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、本実施形態において記憶部82には、撮影部50によって取得されたユーザの印刷指U1の爪Tの爪画像を記憶する爪画像記憶領域821、爪情報検出部812によって検出された爪情報(爪Tの輪郭や爪Tの傾斜角度等)が記憶される爪情報記憶領域822、及び爪Tに描画されるネイルデザインの画像データを記憶するネイルデザイン記憶領域823が設けられている。
制御部81は、機能的に見た場合、撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、表示制御部814、描画制御部815、ファン制御部816等を備えている。これら撮影制御部811、爪情報検出部812、描画データ生成部813、表示制御部814、描画制御部815、ファン制御部816等としての機能は、制御部81のCPUと記憶部82のROMに記憶されたプログラムとの共働によって実現される。
撮影制御部811は、撮影部50の撮像装置51及び照明装置52を制御して撮像装置51により、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像を含む指の画像(以下「爪画像」という。)を撮影させるものである。
本実施形態では、ヘッド移動部49を制御する描画制御部815によって撮像装置51を移動させ、撮影制御部811は、2つの異なる位置・角度(例えば、爪Tの真上と爪Tの斜め上方等)から少なくとも2枚の爪画像を取得させる。
撮影部50により取得された爪画像の画像データは、記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。
爪情報検出部812は、撮像装置51によって撮影された指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tの画像に基づいて、印刷指U1の爪Tについての爪情報を検出するものである。
ここで、爪情報とは、例えば、爪Tの輪郭(爪形状、爪Tの水平位置)、爪Tの高さ(爪Tの垂直方向の位置、以下「爪Tの垂直位置」又は単に「爪Tの位置」ともいう。)、爪Tの表面の、XY平面に対する傾斜角度(爪Tの傾斜角度、爪曲率)である。
爪情報検出部812は、異なる位置・角度(例えば、爪Tの真上と爪Tの斜め上方等)から撮影された複数の爪画像を用いて爪情報の検出を行うことにより、爪Tの曲率等についても正確に検出することができる。
描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪情報に基づいて、描画ヘッド43により印刷指U1の爪Tに施される描画用のデータを生成する。
具体的には、描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪Tの形状等に基づいてネイルデザインの画像データを拡大、縮小、切出し等による合せ込み処理を行い、爪Tに描画を施すためのデータを生成する。
また、描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪情報に応じて、ネイルデザインの画像データを爪Tの形状に合わせ込み、適宜曲面補正等を行う。
これにより、ペン41aやインクジェット描画部71によって描画されるネイルデザインの描画用のデータが生成される。
また、本実施形態では、描画データ生成部813は、爪情報検出部812により検出された爪Tの輪郭のうち、爪Tの根元(生え際)側の端部及び先端側の端部の水平位置(XY座標等で特定)の情報から、リムーバペン41bを水平方向(図1(a)における水平方向、横方向)に動作させるためのデータを生成する。
さらに、本実施形態の記憶部82には、リムーバペン41bの拭取り部416の軸方向の長さ及び拭取り部416に設けられている切れ込み419の深さL2の情報が記憶されており、描画データ生成部813は、リムーバペン41bの拭取り部416の軸方向の長さと爪情報検出部812により検出された爪Tの垂直位置とから切れ込み419が開く前の状態(これを以下「初期状態」という。)のリムーバペン41bが爪Tの表面に当接する高さ方向の位置(これを以下「第1の位置」という。)を取得する。
また、描画データ生成部813は、リムーバペン41bの切れ込み419の深さL2から、「第1の位置」から切れ込み419の深さL2分下降した位置(これを以下「第2の位置」という。)を取得する。
そして、この「第1の位置」と「第2の位置」との情報から、リムーバペン41bが爪Tの表面に当接してから切れ込み419の深さL2分だけリムーバペン41bを下降させる際にリムーバペン41bを上下方向(図1(a)における上下方向、縦方向)に動作させるためのデータを生成する。
表示制御部814は、表示部26を制御して表示部26に各種の表示画面を表示させるものである。本実施形態では、表示制御部814は、例えばネイルデザインの選択画面やデザイン確認用のサムネイル画像、印刷指U1を撮影して取得した爪画像、各種の指示画面、操作画面等を表示部26に表示させるようになっている。
描画制御部815は、描画データ生成部813によって生成された描画データに基づいて描画部40に制御信号を出力し、爪Tに対してこの描画データにしたがった描画を施すように描画部40のX方向移動モータ46、Y方向移動モータ48、ペン上下用モータ426、インクジェット描画部71等を制御する制御部である。
本実施形態では、爪Tに描画を施す描画モードと、爪Tに塗布されているインクを溶解して除去するインク溶解除去モードとをユーザが選択することができるようになっており、描画制御部815は、選択された各モードに応じた制御を行うようになっている。
すなわち、まず描画モードでは、描画制御部815は、非描画時にはペン上下用モータ426を制御して、板バネ429により係止突起424が押し下げられない状態を維持し、描画時にはペン上下用モータ426を動作させて、板バネ429により係止突起424を押し下げ、ペン41の先端部(ペン先413)が爪Tの表面に当接するようにペン上下用モータ426の動作を制御する。
なお、爪Tの高さが大きく変化して板バネ429が撓み変形(弾性変形)するのみでは対応できない個所では、描画制御部815は適宜ペン上下用モータ426のステップ数を増減してペン41aの筆圧を調整し、筆圧が概ね一定になるように調整することが好ましい。
また、インク溶解除去モードでは、リムーバペン41bが爪Tの上方に移動すると、まず、描画制御部815はペン上下用モータ426を動作させて、板バネ429により係止突起424を押し下げ、リムーバペン41bの先端部(拭取り部416の先端部)が爪Tの表面に当接する位置(第1の位置)までリムーバペン41bを下げる。さらに、描画制御部815は拭取り部416の切れ込み419の深さL2分だけリムーバペン41bを押し下げて第2の位置までリムーバペン41bを下降させる。
そして、この第2の位置でリムーバペン41bを所定時間(例えば20秒間)停止させたのち、リムーバペン41bを爪Tの根元側から先端側に向かって移動させる。
なお、第2の位置でどの程度の時間リムーバペン41bを停止させるかは特に限定されない。停止時間は、リムーバペン41bが保持する溶剤によってマニキュア等が溶融するのにかかる時間に応じて設定され、例えば溶剤の種類や溶解する対象であるインクの種類等により適宜設定される。
また、ファン制御部816は、指固定部30内に設けられているファン33を動作させて指受入部31内の換気を行わせるものである。
ファン制御部816は、例えば、インク溶解除去モードにおいて、リムーバペン41bによるインクの溶解除去が行われ、ユーザによりインク溶解除去完了の入力操作がされたタイミングでファン33を一定時間(例えば30秒間)動作させる。
なお、ファン制御部816は、換気の際だけファン33を動作させるものに限定されない。例えば、ファン33を指退避部32内に設けられたドライヤで構成する場合には、描画済みの爪Tの指が指退避部32に挿入されている間、ファン制御部816がファン33を動作させて爪Tに塗布されたインクを乾燥させるようにしてもよい。
なお、このようにドライヤがファン33を兼ねる場合、ドライヤにヒータ機能がついている場合でも、ファン制御部816は、換気の際には、ヒータ機能をOFFにして冷風にて換気を行うようにファン33を制御する。
次に、図6及び図7(a)から図7(c)を参照しつつ、本実施形態におけるネイルプリント装置1、リムーバペン41bの動作及びネイルプリント装置1を用いたインク除去方法について説明する。
このネイルプリント装置1により描画を行う場合、ユーザはまず、電源スイッチを入れて制御装置80を起動させ、インク溶解除去モード、描画モードのうち何れを行うかを操作部25等から入力し選択する。
図6に示すように、制御部81は、ユーザによる入力操作の結果からインク溶解除去モードが選択されたか否かを判断し(ステップS1)、インク溶解除去モードが選択されていない場合(ステップS1;NO)には、さらに描画モードが選択されたか否かを判断する(ステップS2)。描画モードが選択されている場合(ステップS2;YES)には、爪Tに描画を施す描画処理を行う(ステップS3)。また、いずれのモードも選択されていない場合(ステップS2;NO)には、ステップS1に戻って判断を繰り返す。
他方、インク溶解除去モードが選択された場合(ステップS1;YES)には、インクを除去したい爪Tの印刷指U1を指受入部31内にセットするよう指示する指示画面を表示部26に表示させる(ステップS4)。
そして、描画制御部815がヘッド移動部49を制御して撮像装置51及び照明装置52を爪Tの上方に移動させるとともに、撮影制御部811が撮影部50を制御して、照明装置52により印刷指U1を照明しながら撮像装置51により印刷指U1を撮影させる。このとき、制御部81は、撮像装置51及び照明装置52の位置をずらして異なる位置・角度から複数回印刷指U1を撮影させ、複数枚(少なくとも2枚)の爪画像を取得する(ステップS5)。そして、爪情報検出部812は、爪画像に基づいて爪Tの輪郭(爪形状)や爪Tの傾斜角度(爪曲率)等の爪情報を検出する(ステップS6)。
爪情報検出部812により爪Tの輪郭(爪形状)や爪Tの傾斜角度(爪曲率)が検出されると、これらの爪情報に基づいて、描画データ生成部813が、リムーバペン41bの上下方向の移動及び水平方向の移動に関するデータを生成する。
そして、描画制御部815は、このデータに基づいて、まず、リムーバペン41bを爪Tの上方に移動させる(ステップS7)。そして、描画制御部815は、ペン上下用モータ426を動作させて、図7(a)に示すように、リムーバペン41bをその先端部が爪Tの表面に当接する高さ位置(第1の位置)まで下降させる(ステップS8)。
さらに、描画制御部815は、リムーバペン41bの先端部を爪Tの表面に押し当てながら下降させる(ステップS9)。
これにより、図7(b)に示すように、拭取り部416が切れ込み419部分から割れ開いて爪Tの表面を覆うように爪Tの表面に密着しながら拡がっていく。
本実施形態の拭取り部416は、図4(a)等に示すように、軸部415とほぼ同じ径に形成されている。このため、拭取り部416の切れ込み419が割れ拡がる前の初期状態において、描画対象面である爪Tの表面に接触する端面の面積は爪Tの表面の面積よりも小さいことが予想されるが(例えば図7(a)参照)、拭取り部416が切れ込み419から割れて拡がることにより、爪Tの表面全体を広く覆うだけの表面積を確保することができる。
また、リムーバペン41bを爪Tの表面に押し当てながら下降させることによって、拭取り部416の内部に設けられている突起部材418が上方に押し上げられる。そして、突起部418bの先端が封止膜417に突き当たると、突起部418bが封止膜417を突き破って突出状態となり、貯留部である軸部415内の溶剤が拭取り部416に浸透する。
描画制御部815は、リムーバペン41bが第1の位置から切れ込み419の深さL2分だけ下降したか否かを判断し(ステップS10)、切れ込み419の深さL2分に達していない場合(ステップS10;NO)には、ステップS9に戻ってリムーバペン41bをさらに下降させる。他方、リムーバペン41bが第1の位置から切れ込み419の深さL2分だけ下がった位置(第2の位置)まで下降した場合(ステップS10;YES)には、当該第2の位置でリムーバペン41bの移動を所定時間(例えば20秒間)停止させる(ステップS11)。これにより、拭取り部416に浸透した溶剤が爪Tに塗布されたインクを溶融させて浮かせていく。
そして、その後、描画制御部815は、拭取り部416を爪Tの表面に押し当てながらリムーバペン41bを爪Tの根元(生え際)側から先端側に向かって移動させる(ステップS12)。これにより、溶剤によって溶融したインクを拭取り部416が拭い取り除去していく。
リムーバペン41bを爪Tの根元(生え際)側から先端側まで移動させたら、描画制御部815は一旦リムーバペン41bを爪Tの表面に当接しない位置まで上昇させる(ステップS13)。
そして、爪Tの上方に撮影部50を移動させて、撮像装置51により爪Tを撮影して爪画像を取得し、当該爪Tの画像を表示部26に表示させる(ステップS14)。ユーザは表示部26に表示された画像を確認し、爪T表面のインクが除去されている場合には、操作部25等を操作(例えばOKボタンを操作する等)してインク溶解除去処理の完了を入力操作する。
描画制御部815は、インク溶解除去処理の完了が入力操作されたか否か(すなわち、例えばインクの溶解除去についてOKボタン等が入力操作されたか否か)を判断し(ステップS15)、インク溶解除去処理の完了が入力操作されない場合(ステップS15;NO)には、再度リムーバペン41bを第2の位置まで下降させ(ステップS16)、ステップS12に戻って、リムーバペン41bを爪Tの根元(生え際)側から先端側に向かって移動させ、以下の処理を繰り返す。
なお、2回目以降については、リムーバペン41bを爪Tの根元(生え際)側から先端側に向かって一方向に移動させるだけでなく、リムーバペン41bを爪Tの延在方向や幅方向等に往復移動させる等してもよい。
また、所定の回数(例えば3回)以上ステップ12以下の処理を繰り返してもインク溶解除去処理の完了が入力操作されない場合には、リムーバペン41bの拭取り部416が汚れていたり軸部415内の溶剤が不足している等が考えられる。このため、この場合には、表示部26にリムーバペン41bの交換を促す表示をする等により、ユーザに報知や注意喚起を行うようにしてもよい。
他方、インク溶解除去処理の完了が入力操作された場合(ステップS15;YES)には、リムーバペン41bをホームエリア60に移動させ(ステップS17)、当該爪Tに対するインク溶解除去処理を終了する。
そして、他にもインクの溶解除去を行う爪Tがあるか否かを判断し(ステップS18)、対象となる爪Tがなければ(ステップS18;NO)、処理を終了する。他方、他にもインクの溶解除去を行う爪Tがある場合(ステップS18;YES)、例えば、処理を始める前等にユーザがインクの溶解除去を行う爪Tの指を予め装置側に複数本登録しておいた場合等には、ステップS4に戻り、次にインクを溶解除去したい爪Tの印刷指U1を指受入部31内にセットするように指示する指示画面を表示部26に表示させ、当該印刷指U1の爪Tについて、同様に上記の処理を繰り返す。
なお、リムーバペン41bは、1つの爪Tについてインクの溶解除去が終了するごとに交換してもよいし、例えばステップS13において複数回インクの溶解除去を繰り返してもインク溶解除去処理の完了が入力操作されない場合(ステップS15;NO)に交換するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態のネイルプリント装置1は、爪Tの表面に塗布された描画用インクを溶解する溶剤を貯留する軸部415と、軸部415の一端側に設けられた拭取り部416と、軸部415と拭取り部416とを隔てる封止膜417と、拭取り部416内であって封止膜417の内側に配置され、突出状態において封止膜417を突き破ることが可能な突起部418bとを有し、拭取り部416を爪Tの表面に押し当てることにより突起部418bが突出状態となり軸部415内の溶剤が拭取り部416に浸透するリムーバペン41bを保持する描画ヘッド43と、拭取り部416が爪Tの表面に押し当てられる位置までリムーバペン41bを移動可能なヘッド移動部49及びペン上下用モータ426を備えている。
これにより、既に爪Tの表面に施されたネイルプリント(マニキュア)等がある場合に、インク除去したい爪Tの指を指受入部31にセットするだけで、ユーザの手を煩わせることなく、簡易にインクを溶解除去することができる。
本実施形態によれば、除光液等の溶剤が指等に付着しないため、指等の皮膚部分が荒れたり、溶剤がしみる等のおそれがなく、安全にインクの溶解除去を行うことができる。
また、指受入部31にセットされた指の爪Tについてのみインクの溶解除去を行うことができるため、インクを除去したくない爪Tにまで除光液が付着して汚してしまうといった失敗をするおそれがない。
また、描画ヘッド43には、インク溶解除去を行うリムーバペン41bの他に描画用インクにより爪Tの表面に描画を施す描画用のペン41aを保持している。これにより、不要なネイルプリントを除去したのち、同じ装置を用いて新たなネイルプリントを爪Tに施すことができる。このため、ネイルプリントを容易に描き替えることができ、例えばその日の服装や行く場所等に応じてネイルも含めたコーディネートをする等、各種のおしゃれを手軽に楽しむことができる。
また、リムーバペン41bの拭取り部416には、爪Tの表面と対向する面に、爪Tの表面と直交する切れ込み419が形成されている。これにより、拭取り部416が爪Tに押し当てられた際には拭取り部416が切れ込み419部分から割れ拡がり、初期状態における大きさ以上の表面積となる。このため、軸部415とほぼ同じ径を有する小さな拭取り部416であっても爪Tの表面全体を覆うことができ、爪T表面に塗布されているインクを効率よく溶融させて拭き取ることができる。
また、このように初期状態の拭取り部415のサイズを小さくできることから、描画用のペン41aと同じペンホルダ42にリムーバペン41bもセットすることが可能となり、描画用のペン41aと同じヘッド移動部49、ペン上下用モータ426を用いてリムーバペン41bを水平方向及び上下方向に移動させることができる。これにより、1つの装置でネイルデザインの描画とインクの除去とを行うこととした場合でも装置構成が複雑化せず、装置の大型化・重量化を避けることができる。
また、描画用のペン41aとリムーバペン41bとが同じペンホルダ42を共通して使うことができるため、ペンホルダ42の数を減らすことができるとともに、リムーバペン41bを使用しないときには、全てのペンホルダ42に描画用のペン41aをセットすることができ、描画途中でのペン41a交換を行うことなく各種のネイルデザインに対応させることも可能となる。
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態においては、拭取り部416に切れ込み419が設けられている場合を例示したが、切れ込み419が設けられていることは必須ではない。
拭取り部416の大きさや材料等により切れ込み419を設けなくても爪Tの表面全体に拭取り部416を密着させることができる場合には切れ込み419を設けない構成とすることができる。
また、本実施形態では、拭取り部416がフェルト状に固められた綿繊維で形成されている場合を例示したが、拭取り部416を形成する材料はこれに限定されない。
例えばスポンジ材等、多孔質で柔らかく、ある程度液体を保持することのできる材料によって拭取り部を形成してもよい。
なお、拭取り部416は、溶剤を大量に吸収して容易に溢れ出させるような材料で形成すると、爪Tの表面を拭取る際に溶剤が爪T以外の指等の皮膚部分に付着するおそれがある。このため、拭取り部416を形成する材料は、拭取り部416における爪Tに対向する面から少しずつ溶剤を染み出させることができるような材料が好ましい。
拭取り部416を爪Tの表面に押し当てるだけで拭取り部416が変形して爪Tの表面全体を覆うことができるような弾性や柔軟性のある材料で拭取り部416を形成した場合には、拭取り部416に切れ込み419等を設ける必要がない。
また、本実施形態では、拭取り部416がフェルト状に固められた綿繊維のみで形成されている場合を例示したが、拭取り部416の構成はこれに限定されない。
図8は、拭取り部の一変形例の側断面図である。
例えば、図8に示すように、拭取り部91は、フェルト状に固められた綿繊維で形成された拭取り部本体911と、この拭取り部本体911における少なくとも描画対象面である爪Tの表面と対向する面を被覆する被膜部912とを備えていてもよい。
被膜部912は、極細繊維からなる編地で形成されていることが好ましく、例えば、極細のナイロンモノフィラメント繊維をループ状に編上げて形成された編地やナイロン繊維とポリウレタン繊維等の極細の異なる合成樹脂繊維をループ状に編上げて形成された編地等であり、具体的には、ストッキングに用いられる編地等を適用することができる。
このような極細繊維からなる編地は、繊維と繊維の間に無数の隙間が空いているため、この隙間に汚れを吸着させることができる。このため、例えばマニキュアのラメ等、比較的落ちにくい付着物でも容易に除去することができる。
特に、ストッキング等に用いられる編地は繊維のキメが細かく、滑りが良く柔らかいため爪Tや皮膚を傷つけることがない。また、目が細かいため拭取った後に繊維の跡も残さない。また、ナイロン等は合成繊維の中では親水性があるため除光液等の溶剤も染み込みやすい。さらに、ストッキング等に用いられる編地はタオル地やコットンのような摩擦による毛羽立ちが起きないため装置内に毛羽立った繊維を残す心配もない。このため、被膜部912を形成する材料としては、特にストッキング等に用いられる編地が好ましい。
図8では、被膜部912が拭取り部本体911の外周全体を覆っている場合を図示しており、この場合には、拭取り部本体911が切れ込み419部分から開く際に被膜部912が引き伸ばされ、割れ拡がる拭取り部本体911に追従するようになっている。
なお、拭取り部本体911の切れ込み419部分に被膜部912を2〜3針程度縫い付けておくことで拭取り部本体911が切れ込み419部分から開く際の被膜部912のずれを防止することができ、拭取り部91をより円滑に開くことができる。
なお、被膜部912は拭取り部本体911における少なくとも爪Tの表面と対向する面を被覆するものであればよく、拭取り部本体911の外周全体を覆うものでなくてもよい。
例えば切れ込み419部分から開いた際に爪Tの表面に接する部分である切れ込み419部分の内側に被膜部を設けてもよい。この場合には、例えば拭取り部本体911が切れ込み419部分から開いた際に縁となる部分に被膜部を縫い付けて固定する。これにより、拭取り部本体911が切れ込み419部分から開いたときに爪Tの表面と対向する面に被膜部が配置された状態となる。
このように、拭取り部本体911における少なくとも爪Tの表面と対向する面を、極細繊維からなる編地で形成された被膜部912によって被覆することにより、例えば綿繊維で形成された拭取り部本体911だけでは拭取ることの難しいラメ等が爪Tの表面に付着している場合でも、細かい網目状の編地で形成されている被膜部912を爪Tの表面に当接させることによりきれいに拭き取ることができる。
拭取り部は、綿繊維をある程度の固さに固めた拭取り部本体911に切れ込み419を設けることで爪Tの表面形状への追従性を高め、さらにこのような拭取り部本体911における少なくとも爪Tの表面と対向する面を、極細繊維からなる編地で形成された被膜部912によって被覆することにより、爪Tの表面に拭取り部がよりよく密着するとともに、爪Tの表面に付着してる各種のインクやラメ等を被膜部912が絡めとって効果的に除去することができ、リムーバペン41bによるより高いインク除去効果を期待することができる。
また、図9(a)は、拭取り部の他の変形例の側断面図であり、図9(b)は、図9(a)における矢視b方向から見た拭取り部の底面図である。
図9(a)及び図9(b)に示すように、フェルト状に固められた綿繊維で形成された拭取り部本体921と被膜部912とで構成される拭取り部92において、拭取り部本体921における爪Tの表面(描画対象面)と直交する方向に連通する連通孔922を形成してもよい。
連通孔922は、封止膜417に接する位置から爪Tの表面に対向する面まで貫通する貫通孔であってもよいし、貫通しないものであってもよい。
また、連通孔922の孔径や連通孔922の設けられる数やその配置等は特に限定されないが、封止膜417が破られた際に溶剤を円滑に拭取り部92の先端部(図9(a)及び図9(b)において下側)まで導くことができる程度であるとともに溶剤が一気に流れ出ない程度のものとする。
なお、連通孔922は、拭取り部本体921と被膜部912とで構成される拭取り部92の拭取り部本体921に設けられるものに限定されず、被膜部912を備えずフェルト状に固められた綿繊維のみで形成された拭取り部に設けられてもよい。
拭取り部(図9(a)及び図9(b)では拭取り部92の拭取り部本体921)に溶剤を誘導する誘導孔としての連通孔922を形成することにより、軸部415に貯留されている溶剤をより円滑かつ確実に拭取り部の下面まで浸透させることができる。
また、本実施形態では、突起部材418が拭取り部416内に配置されている場合を例示したが、突起部材418は突起部418bの頂点側が封止膜417と対向していれば軸部415内に配置されていてもよい。
この場合には、例えば、軸部415の、突起部418bが配置された位置近傍が、蛇腹構造等の変形可能な構造となっており、拭取り部416或いは軸部415を描画対象面である爪Tの表面に向けて押すことで、突起部418bは軸部415の側から拭取り部416の側に押し出された突出状態となり、この突出状態において封止膜417を突き破ることが可能となる。
このように突起部材418を軸部415内に配置した場合でも、突起部418bが突出状態となり封止膜417を突き破ると、貯留部である軸部415内の溶剤が拭取り部416に浸透し、本実施形態での例示と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態では、拭取り部416がリムーバペン41bの軸部415の径とほぼ同じ径を有する場合を例示したが、拭取り部416の大きさや形状等はここに例示したものに限定されない。
例えば、拭取り部416を軸部415の径よりも大きな径を有するものとしてもよい。
この場合には、リムーバペン41bを描画用のペン41aを保持するペンホルダ42に保持させることが難しいため、描画ヘッド43にリムーバペン41b専用のホルダを設ける。
拭取り部416を各種の爪Tの表面の大きさに対応させるためには、切れ込み419の深さL2を深くする手法と、拭取り部416自体の径を大きくする手法がある。
切れ込み419の深さL2を深くするためには、拭取り部416の軸方向における長さを長くする必要があり、装置構成上の限界がある。
そこで、拭取り部416自体の径を大きくしたり、これと切れ込み419の深さL2を深くする手法とを組み合わせることで、装置への組み込み性を維持しつつ各種の爪Tの表面の大きさに対応した拭取り部416とすることができる。
また、本実施形態では拭取り部416における爪Tの表面に対向する面が平面である場合を例示したが、拭取り部416における爪Tの表面に対向する面は平面に限定されない。例えば、曲面形状である爪Tの表面形状に沿いやすいように、拭取り部416における爪Tの表面に対向する面を中央部分が内側に窪んだ曲面形状としてもよい。
また、拭取り部416における爪Tの表面に対向する面に細かい凹凸を設ける等、平面以外の形状としてもよい。
また、本実施形態では、描画ヘッド43にペンホルダ42を2つ備え、一方に描画用のペン41aが保持され、他方にリムーバペン41bが保持されている場合を例示したが、描画ヘッド43に設けられるペンホルダ42の数はこれに限定されない。例えば3つ以上のペンホルダ42を備え、描画用のペン41aが2本以上保持されていてもよい。
また、描画ヘッド43にペンホルダ42を1つのみ備え、各種の描画用のペン41a及びリムーバペン41bを適宜取り替えながら保持させるようにしてもよい。この場合には、描画ヘッド43をさらに小型化することが可能となる。
ペンホルダ42に保持させるペン41は、ユーザが適宜手動で交換してもよいし、ホームエリア60等にペン41を待機させておく待機スペースを設けて、図示しないペン交換機構により必要なペン41を自動的に待機スペース内から取得してペンホルダ42に差し替えるようにしてもよい。
また、本実施形態では、描画ヘッド43に撮像装置51や照明装置52が搭載されている場合を例示したが、撮像装置51や照明装置52を設ける位置はこれに限定されない。
例えばネイルプリント装置1の天井部分等に撮像装置51及び照明装置52が固定配置されていてもよい。この場合には、爪情報として爪Tの形状や曲率等を検出するための爪画像を2つ以上の異なった位置・角度から撮影するために、位置をずらして2つ以上の撮像装置51を設けることが好ましい。
また、本実施形態では、爪情報として爪Tの曲率等を検出し、これに基づいて描画データを生成する場合を例としたが、爪Tの曲率等を検出することは本発明の必須の構成要素ではない。例えば、リムーバペン41bの拭取り部416における爪Tとの当接面が爪Tよりもかなり大きいものである場合には、爪Tのおよその位置と高さを検出することができればインクの溶解除去処理を行うことができる。また、描画用のペン41aによって描画を行う際にも、爪Tの中程にワンポイント柄を描画する場合のように、描画を行う上で爪Tのおよその位置が分かれば足りる場合であれば、正確に爪Tの形状や曲率等を認識する必要はなく、爪形状等の検出を行うことなく描画を行うことも可能である。
また、本実施形態では、指を1本ずつ装置に挿入して順次描画を行うネイルプリント装置1を例としたが、複数本の指に対して、各指を抜き差しすることなく、連続的に描画やインクの除去を行うことのできる装置に本発明を適用することも可能である。
例えば、ペンの稼動範囲を広げて描画可能範囲を大きくすることにより、複数の印刷指U1を同時に挿入した状態で、各指の爪に連続的に描画を施したり、インクの除去を行ったりすることも可能となる。
また、本実施形態では、ネイルプリント装置1がインク溶解除去モードと描画モードとを有し、インクの溶解除去とネイルプリントとを1台で行うことができる場合を例示したが、本実施形態のリムーバペン41bを適用可能な装置は、描画モードを備えるものに限定されず、インクを溶解除去する専用機であってもよい。
また、本実施形態では、リムーバペン41bによってインクを除去する描画対象面が爪Tの表面である場合を例示したが、描画対象面は爪Tの表面に限定されず、例えば手の甲等に施されたボディーペイントを除去するのにも使用できる装置であってもよい。
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
描画対象面に塗布された描画用インクを溶解する溶剤を貯留する貯留部と、
前記描画対象面に塗布された前記描画用インクを拭き取る拭取り部と、
前記貯留部と前記拭取り部との間に位置し、前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部から隔てる封止膜と、
前記拭取り部の前記封止膜側或いは前記貯留部の前記封止膜側に配置され、前記拭取り部或いは前記貯留部を前記描画対象面に向けて押すことにより、前記封止膜を突き破って前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部に浸透させる突起部と、
を有することを特徴とするリムーバペン。
<請求項2>
前記拭取り部には、前記描画対象面と対向する面に、前記描画対象面と直交する切れ込みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリムーバペン。
<請求項3>
前記拭取り部には、前記描画対象面と直交する方向に連通する連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリムーバペン。
<請求項4>
前記拭取り部は、
フェルト状に固められた綿繊維で形成される拭取り部本体と、
当該拭取り部本体における少なくとも前記描画対象面と対向する面を被覆する被膜部と、
を備え、
前記被膜部は、極細繊維からなる編地で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリムーバペン。
<請求項5>
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリムーバペンを保持する描画ヘッドと、
前記拭取り部が前記描画対象面に押し当てられる位置まで前記リムーバペンを移動可能な移動機構と、
を備えることを特徴とする描画装置。
<請求項6>
前記描画ヘッドは、前記リムーバペンの他に前記描画用インクにより前記描画対象面に描画を施す描画用のペンを保持していることを特徴とする請求項5に記載の描画装置。
<請求項7>
描画対象面に塗布された描画用インクを溶解する溶剤を貯留する貯留部と、前記描画対象面に塗布された前記描画用インクを拭き取る拭取り部と、前記貯留部と前記拭取り部との間に位置し、前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部から隔てる封止膜と、前記拭取り部の前記封止膜側或いは前記貯留部の前記封止膜側に配置され、前記拭取り部或いは前記貯留部を前記描画対象面に向けて押すことにより、前記封止膜を突き破って前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部に浸透させる突起部と、を有するリムーバペンの移動機構を備えた描画装置を用いたインク除去方法であって、
前記リムーバペンを前記拭取り部が前記描画対象面に押し当てられる位置まで移動させ、
前記リムーバペンの前記拭取り部を前記描画対象面に押し当てた押し当て状態を所定時間保持し、
前記リムーバペンの前記拭取り部を前記押し当て状態のまま前記描画対象面上を移動させることを特徴とする描画装置を用いたインク除去方法。
1 ネイルプリント装置
21 換気孔
31 指受入部
33 ファン
34 ダクト
40 描画部
41a ペン
41b リムーバペン
42 ペンホルダ
43 描画ヘッド
49 ヘッド移動部
50 撮影部
71 インクジェット描画部
81 制御部
82 記憶部
415 軸部
416 拭取り部
417 封止膜
418 突起部材
418a 基台
418b 突起部
419 切れ込み
426 ペン上下用モータ
911 拭取り部本体
912 被膜部
922 連通孔
T 爪
U1 印刷指

Claims (7)

  1. 描画対象面に塗布された描画用インクを溶解する溶剤を貯留する貯留部と、
    前記描画対象面に塗布された前記描画用インクを拭き取る拭取り部と、
    前記貯留部と前記拭取り部との間に位置し、前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部から隔てる封止膜と、
    前記拭取り部の前記封止膜側或いは前記貯留部の前記封止膜側に配置され、前記拭取り部或いは前記貯留部を前記描画対象面に向けて押すことにより、前記封止膜を突き破って前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部に浸透させる突起部と、
    を有することを特徴とするリムーバペン。
  2. 前記拭取り部には、前記描画対象面と対向する面に、前記描画対象面と直交する切れ込みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリムーバペン。
  3. 前記拭取り部には、前記描画対象面と直交する方向に連通する連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリムーバペン。
  4. 前記拭取り部は、
    フェルト状に固められた綿繊維で形成される拭取り部本体と、
    当該拭取り部本体における少なくとも前記描画対象面と対向する面を被覆する被膜部と、
    を備え、
    前記被膜部は、極細繊維からなる編地で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリムーバペン。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリムーバペンを保持する描画ヘッドと、
    前記拭取り部が前記描画対象面に押し当てられる位置まで前記リムーバペンを移動可能な移動機構と、
    を備えることを特徴とする描画装置。
  6. 前記描画ヘッドは、前記リムーバペンの他に前記描画用インクにより前記描画対象面に描画を施す描画用のペンを保持していることを特徴とする請求項5に記載の描画装置。
  7. 描画対象面に塗布された描画用インクを溶解する溶剤を貯留する貯留部と、前記描画対象面に塗布された前記描画用インクを拭き取る拭取り部と、前記貯留部と前記拭取り部との間に位置し、前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部から隔てる封止膜と、前記拭取り部の前記封止膜側或いは前記貯留部の前記封止膜側に配置され、前記拭取り部或いは前記貯留部を前記描画対象面に向けて押すことにより、前記封止膜を突き破って前記貯留部内の前記溶剤を前記拭取り部に浸透させる突起部と、を有するリムーバペンの移動機構を備えた描画装置を用いたインク除去方法であって、
    前記リムーバペンを前記拭取り部が前記描画対象面に押し当てられる位置まで移動させ、
    前記リムーバペンの前記拭取り部を前記描画対象面に押し当てた押し当て状態を所定時間保持し、
    前記リムーバペンの前記拭取り部を前記押し当て状態のまま前記描画対象面上を移動させることを特徴とする描画装置を用いたインク除去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109068497A (zh) * 2018-09-21 2018-12-21 北京梦之墨科技有限公司 一种液态金属打印机及其修补机构
CN110121278A (zh) * 2017-09-13 2019-08-13 卡西欧计算机株式会社 绘图装置和绘图方法

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