JP2017006044A - 果菜類の水耕栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 味への悪影響を規制しつつ特定の成分の含有量を低く調節された果菜類の水耕栽培方法を提供する。
【解決手段】 培養液に含まれる成分が果菜類内に吸収されて該果菜類が生育する果菜類の水耕栽培方法において、果菜類は、該果菜類の第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実までを栽培期間として栽培され、該栽培期間が、前記果菜類の水耕栽培開始から第1花房の開花までの第1の期間と果菜類の第1花房の開花から第1の果実と第2の果実の結実までの第2の期間に区切られるとともに、第1の期間と第2の期間は、それぞれの期間の開始点を基準として予め定められたタイミングで区切られた複数の区分期間で構成されており、前記培養液に含まれ前記果菜類内に吸収される所定の成分を対象成分とした場合に、それぞれの前記区分期間の開始時を契機として、前記区分期間に応じて前記対象成分の含有量を定められた培養液が前記果菜類に付与されており、前記区分期間に応じて、前記培養液における前記対象成分の含有量は、該区分期間内に前記果菜類1株が吸収しうる前記対象成分の吸収量として予め定められる推定吸収量と前記培養液で生育させる果菜類の株数との積算値にて定められる区分期間内推定総吸収量よりも小さい正値となるように定められている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、果菜類の水耕栽培方法に関する。
果菜類を摂取しようとする人の中には、果菜類に含まれる特定の成分についての摂取制限をかけられている人がいる。このような人は、果菜類のなかでも摂取制限対象となった成分を多く含むようなものを満足に摂取することができない。たとえば、腎臓病患者は、カリウムの摂取制限をかけられることが多く、トマトのようなカリウムの含有量に富むといわれるものを満足に摂取することができなかった。そこで、果菜類に含まれる特定の成分の含有量を低く抑えた果菜類の栽培方法が求められている。
ところで、果菜類の栽培方法としては、露地栽培や水耕栽培が知られている。水耕栽培は、培養液に含まれる成分を果菜類の根から吸収させることよって果菜類を生育する方法であり、果菜類に吸収される成分を特定しやすい。
これらを踏まえ、特定の成分の含有量を低く抑えた果菜類の水耕栽培方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1における果菜類の水耕栽培方法では、複数株の果菜類のうち特定の花についての開花時期を基準として、それよりも前まではカリウムを含む肥料で栽培が行われ、その後においてはカリウムを含まない肥料で栽培が行われることにより、カリウムの含有量を低く抑えた果菜類の提供を実現しようとする。
特開2014−18190号公報
しかしながら、特許文献1では、果菜類に含まれるカリウムの量を調節することができない。また、果菜類においては、それに含まれる特定の成分を低減することが果菜類の味に悪影響を与える虞があるとされる。たとえば、果菜類に含まれるカリウムは、甘味と酸味などに影響を与える可能性があることから、その量を低減した場合に果菜類の味の深みが損なわれてしまう虞がある。
本発明は、味への悪影響を規制しつつ特定の成分の含有量を低く調節された果菜類の水耕栽培方法を提供することを目的とする。
本発明は、(1)培養液に含まれる成分が果菜類内に吸収されて該果菜類が生育する果菜類の水耕栽培方法であって、
果菜類は、該果菜類の第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実までを栽培期間として栽培され、
該栽培期間が、前記果菜類の水耕栽培開始から第1花房の開花までの第1の期間と果菜類の第1花房の開花から第1の果実と第2の果実の結実までの第2の期間に区切られるとともに、第1の期間と第2の期間は、それぞれの期間の開始点を基準として予め定められたタイミングで区切られた複数の区分期間で構成されており、
前記培養液に含まれ前記果菜類内に吸収される所定の成分を対象成分とした場合に、
それぞれの前記区分期間の開始時を契機として、前記区分期間に応じて前記対象成分の含有量を定められた培養液が前記果菜類に付与されており、
前記区分期間に応じて、前記培養液における前記対象成分の含有量は、該区分期間内に前記果菜類1株が吸収しうる前記対象成分の吸収量として予め定められる推定吸収量と前記培養液で生育させる果菜類の株数との積算値にて定められる区分期間内推定総吸収量よりも小さい正値となるように定められている、ことを特徴とする果菜類の水耕栽培方法、
(2)前記対象成分はカリウムであり、前記果菜類はトマトである、上記(1)に記載の果菜類の水耕栽培方法、
(3)全栽培期間において、前記培養液は、該培養液における対象成分の含有量と区分期間内推定総吸収量との比率が1/2以下且つ1/12以上を満たすように構成されている、上記(2)に記載の果菜類の水耕栽培方法、を要旨とする。
本発明によれば、味への悪影響を規制しつつ特定の成分の含有量を低く調節された果菜類の水耕栽培方法を得ることが可能となる。
図1は、水耕栽培方法を実施するための水耕栽培装置の実施例の1つを模式的に示す概略模式図である。 図2Aは、第1の花房、第2の花房を模式的に示してこれらを説明するための概略模式説明図であり、図2Bは、第1の果実、第2の果実を模式的に示してこれらを説明するための概略模式説明図である。
(果菜類)
本発明の水耕栽培方法の栽培対象となりうる果菜類の種類は、特に限定されることはなく、トマト、メロンなどを挙げることができる。
(果菜類の水耕栽培方法)
本発明の果菜類の水耕栽培方法は、少なくとも水耕栽培工程を有する。本明細書においては、果菜類の栽培水耕方法が、栽培対象となる果菜類の種を適宜の培養基に播く播種工程と、種を発芽させる発芽工程と、種が発芽した状態からさらに生育させて苗となす育苗工程と、所定のタイミングで苗を水耕栽培装置に定植する定植工程と、水耕栽培装置で果菜類を生育させて結実させる水耕栽培工程とを備えてなる場合を例として、詳細に説明する。なお、これらの各工程をこの順に実施することによって果菜類の実が収穫されうる。
(果菜類の株数)
本発明の果菜類の水耕栽培方法で栽培される果菜類の株数は、特に限定されず、1株でもよいし、2株以上の所定の株数でもよい。
(播種工程)
播種工程では、複数のセルを設けてなるセルトレイの個々のセルに播種用培地が充填され、各セルに果菜類の種が播種される。
(発芽工程)
発芽工程では、果菜類の種を播種されたセルトレイを発芽室に置き、発芽させる。また発芽工程は、播種から発芽するまで実施され、外光を遮断した暗環境且つ所定温度雰囲気下で実施される。通常、播種から所定日数経過するまで発芽工程が実施される。
(育苗工程)
育苗工程は、発芽した種をセルトレイから育苗装置に移して、芽の状態からさらに本葉4枚程度を展開させて苗となるまで所定の環境条件にて育てることで行われる。環境条件は、明環境下とする時間帯と暗環境下とする時間帯に1日を割り振り、育苗装置に移された発芽した種を明環境下と暗環境下に置くことを時間帯ごとに交互に繰り返す条件とされる。なお、明環境下に置く時間帯の温度と暗環境下とする時間帯の温度(周囲温度)についてもそれぞれ予め設定されている。育苗工程は、所定のCO濃度の条件下で実施され、明環境、暗環境いずれについても同じCO濃度で実施される。時間帯と暗環境下とする時間帯の割り振りは、果菜類の種類等や品種に応じて適宜選択可能であるが、たとえば、明環境とする時間と暗環境とする時間をそれぞれ12時間から16時間、8時間から12時間(明環境とする時間と暗環境とする時間の合計は24時間)とし、明環境下とする場合の周囲温度と暗環境下とする場合の周囲温度をそれぞれ20℃から30℃、15℃から18℃として、CO濃度として800μmol・mol−1から1000μmol・mol−1の条件を選択することができる。育苗工程は、発芽した種の根を育苗用培養液に触れさせて根から育苗用培養液の成分を吸収させることで実施されてよいし、養分を含む土に発芽した種を植えて実施されてもよい。育苗用培養液としては、水耕栽培の用途で利用可能な培養用組成液を適宜選択することができ、たとえば、組成成分の種類及び各組成成分の含有量ともに園試処方の組成と同様に構成されたものが用いられてよい。また、育苗用培養液には、園試処方の組成と同様に構成された組成液を適宜希釈したものが用いられてもよい。
(定植工程)
育苗工程で得られた苗は水耕栽培装置の所定位置に定植される。複数の苗を定植する場合には、隣り合う苗の間に所定の間隔をあけることが好適である。
(水耕栽培装置)
水耕栽培装置は、水耕栽培工程を実施可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、水耕栽培装置としては、薄膜水耕(nutrient film technique;NFT)装置、その他にも湛液水耕(deep flow technique)装置などを利用することができる。薄膜水耕栽培装置は、作物に酸素欠乏が起こりにくい点、培養液の冷却・加温コストが最小化できる点で好適である。
薄膜水耕栽培装置としては、例えば、図1に示すように構成されている薄膜水耕栽培装置1を利用することができる。薄膜水耕栽培装置1は、栽培部2と培養液貯留部3と流路形成部4を備えて構成される。栽培部2は、果菜類5を定植可能に構成されているとともに、果菜類の根5aを培養液6と接触可能に構成されている。培養液貯留部3は、培養液を注入可能に構成されている。培養液貯留部3と栽培部2は、流路形成部4で繋がっており、ポンプ7により培養液貯留部3から往流路4aを通って培養液6が栽培部2に流れるとともに復流路4bを通って栽培部2から培養液貯留部3に戻ることができるように構成されている。
(水耕栽培工程)
水耕栽培工程では、水耕栽培装置に培養液が付与され、培養液に含まれる成分が果菜類内に吸収されるとともに果菜類が生育し、やがて所定の時期に果菜類の花が開花し、その後花房に由来する実が結実する。水耕栽培工程の終了によって栽培が終了する。
(栽培期間)
本発明の水耕栽培方法では、果菜類の栽培期間は、該果菜類の水耕栽培開始を始期とし、果菜類の収穫時期となる果実の結実時期を終期とすることで定められる期間である。また、この栽培期間は、最初に該果菜類の花が咲くまでの第1の期間と該果菜類の花が咲いてから該果菜類の収穫までの第2の期間に区切られる。最初に該果菜類の花が咲く時期は、該果菜類についた蕾についてその蕾の状態から完全に花びらが開ききった状態となるまでの間から選択された所定の時期であり、その時期の到来は目視にて確認することができる。果菜類の収穫時期は、既述したように果菜類の果実が結実した状態となった時期として定められ、その時期の到来は、果菜類の品種に応じて目視や触診、香り等、五感にて確認することができる。
栽培期間の始期となる水耕栽培開始時については、果菜類の収穫物に含まれる対象成分の含有量への影響が大きくなってくる時点である点で、定植工程開始時が好適に選択される。
また、果菜類が、トマトなどのように1株に複数の花を咲くことが可能であり、且つ複数の実を結実させることが可能なものである場合、果菜類の栽培期間は、果菜類の第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実を終期とする期間とされる。以下では、果菜類の栽培期間が、果菜類の第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実を終期とする期間とされる場合を例として説明を続ける。
(第1花房と第2花房)
図2A、図2Bの例に示すように、第1花房Xは、果菜類5の主茎に付く花(または花群)のうち最下位置に開花するもの(最も根5a側に位置するもの)を示しており、第2花房Yは、主茎に付く花のうち高さ位置において第1花房の次に低位の位置に開花するものを示す。第1花房X及び第2花房Yを構成する花の数は、それぞれ1つに限定されず、それぞれ複数であってもよい。果菜類がトマトである場合、第1花房X及び第2花房Yを構成する花の数は、それぞれ独立に15個から20個程度である場合が多い。また、第1の果実Xa及び第2の果実Yaを構成する実の数は、通常、それぞれ第1の花房X及び第2の花房Yを構成する花の数に対応しているが、これより少ない数となっていてもよい。これは、第1の花房X及び第2の花房Yの一部が枯れることや落花して残りの花に基づき実が結実する可能性がありうるからである。
(第1の期間と第2の期間)
水耕栽培工程においては、栽培期間が、果菜類の水耕栽培開始から第1花房の開花までの第1の期間と果菜類の第1花房の開花から第1の果実と第2の果実の結実までの第2の期間に区切られている。第1花房の開花時期は、蕾の状態から完全に花びらが開ききった状態となるまでの間から選択された所定の時期であり、その時期の到来は目視にて確認することができる。果実の結実時期は、実が熟した状態となった時期として定められ、その時期の到来は目視や触診、香り等、五感にて確認することができる。たとえば、果菜類が成熟とともに赤く色づくトマトである場合には、花房内に最初に結実したトマトの色付き具合に基づき果実の結実時期を確認することができる。花房内に複数のトマトが結実する場合には、最初に結実した果実を基準として順次結実した2から3果のトマトの色づき具合に基づき結実時期を確認することができる。そして果実の結実時期は、果菜類の収穫時期となる。果菜類の水耕栽培開始は、水耕栽培工程開始時となる定植工程完了時を選択されることが好適である。水耕栽培工程開始時以降の時期が、第1の果実や第2の果実に含まれる後述の対象成分の含有量を左右する時期となっているからである。
(区分期間)
第1の期間と第2の期間は、それぞれの期間の開始点を基準とした所定のタイミングで区切られた複数の区分期間で構成されている。たとえば、第1の期間についてみると、第1の期間の開始点を基準として1週間ごとのタイミングなど一定のタイミングで区切って区切られた各週を区分期間として構成されうる。このとき、第1の期間を構成する区分期間のうち最終の区分期間は、一つ手前の区分期間の終わりから第1の期間の終わりまでで特定される。この最終の区分期間は、その一つ手前までの区分期間が互いに同じ長さの期間であったとしても、それらの期間と同じ期間であることを必須とするものではない。また、第1の期間の開始点を基準として、第1の期間の始期から最初の所定日数については1週間ごとのタイミングで区切り、それ以降について第1の期間の終期まで2週間のタイミングごとで区切ってもよい。この場合、第1の期間の開始点を基準として1週間の区分期間が続きその後2週間の区分期間が続くパターンで第1の期間が構成されうることになる。こうした第1の期間についての区分期間の定めかたは、第2の期間についても同様であり、第2の期間についても、その第2の期間の開始点を基準として一定のタイミングで区切ったパターンで区分期間を構成してよいし、複数種類のタイミングで区切ってパターンで区分期間を構成してもよい。
(培養液の付与方法)
水耕栽培工程においては、それぞれの区分期間の開始時を契機として培養液が前記果菜類に付与される。
(培養液の組成成分の種類)
第1の期間と第2の期間のいずれにおいて利用される培養液についてみても、水耕栽培工程に用いられる培養液に含まれる組成成分の種類は、水耕栽培に一般的に利用可能な培養液に含まれる組成成分と同じでよい。たとえば、培養液の組成成分の種類は、園試処方と同じ組成成分の種類で構成されてもよい。
(培養液の各組成成分の含有量)
培養液に含まれ果菜類内に吸収される所定の成分を対象成分とした場合に、それぞれの区分期間の開始時に付与される培養液は、その区分期間に応じて対象成分の含有量を定められている。
(対象成分)
対象成分は、果菜類との組み合わせに応じて適宜選択可能であるが、果菜類がトマトである場合には、たとえば、対象成分としてカリウム等を選択することが好適である。腎臓病患者は、カリウムの摂取制限をかけられることが多く、トマトのようなカリウムの含有量に富むといわれるものを満足に摂取することができなかったため、トマトに含まれるカリウム成分の含有量が低くなるようにコントロール可能な水耕栽培方法が特に要請されているからである。
(培養液の対象成分の含有量)
培養液における対象成分の含有量は、区分期間に応じて次のように定められる。すなわち、区分期間に応じて、培養液における対象成分の含有量は、該区分期間内に前記果菜類1株が吸収しうる対象成分の吸収量として予め定められる推定吸収量と前記培養液で生育させる果菜類の株数との積算値にて定められる区分期間内推定総吸収量よりも小さい正値(正の数)となるように定められている。
(推定吸収量)
推定吸収量は、区分期間が第1の期間内にあるか、第2の期間内にあるかに応じてそれぞれ、次のように具体的に特定することができる。
まず、水耕栽培工程で使用される培養液に含まれる各組成成分と同じ組成成分の組み合わせで構成されており且つ対象成分の含有量の未調整な培養液を用いて、推定吸収量計測用栽培として果菜類1株の水耕栽培が実施されて、第1の期間総推定吸収量及び第2の期間総推定吸収量を特定する。第1の期間総推定吸収量及び第2の期間総推定吸収量を特定するための水耕栽培を実施する際に用いられる水耕栽培装置は、水耕栽培工程で使用される水耕栽培装置を好適に用いられる。
(第1の期間総推定吸収量;Q1)
第1の期間総推定吸収量は、第1の期間全体での果菜類1株が吸収しうる対象成分の吸収量として定められる値として定義される。
第1の期間をたとえば1週間といった期間に予め区切り、その区切られた期間を第1の期間推定吸収量測定単位期間(N1(1)、N1(2)・・・)となす。第1の期間総推定吸収量を特定するための水耕栽培では、第1の期間推定吸収量測定単位期間ごとに培養液を継ぎ足して水耕栽培が継続される。つまり、第1の期間推定吸収量測定単位期間(N1(i)(ただし、iは正の整数))が終了した時期を契機に培養液に補水と施肥を行い、第1の期間推定吸収量測定単位期間(N1(i+1))の水耕栽培が継続される。まずは、それらの第1の期間推定吸収量測定単位期間ごとに対象成分の吸収量を求めて、第1の期間総推定吸収量の部分値を特定する。
(第1の期間総推定吸収量の部分値)
第1の期間総推定吸収量の部分値の特定にあたり、第1の期間推定吸収量測定単位期間の開始時に水耕栽培装置に適用されている全液量(A0)、第1の期間推定吸収量測定単位期間の終了時の全液量(A1)、第1の期間推定吸収量測定単位期間の開始時の対象成分濃度(Y0)、及び第1の期間推定吸収量測定単位期間の終了時の対象成分濃度(Y1)を測定する。
第1の期間推定吸収量測定単位期間の開始時に水耕栽培装置に適用されている全液量(A0)(L)は、第1の期間推定吸収量測定単位期間の開始時に水耕栽培装置に適用されている培養液の液量のほか、補水が実施されている場合には、補水量を加算された値となる。たとえば、第1の期間推定吸収量測定単位期間(N1(1))終了時に、全液量が10(L)となり、ここに培養液を5(L)、水を1(L)継ぎ足した場合、第1の期間推定吸収量測定単位期間(N1(2))の開始時に水耕栽培装置に適用されている全液量(A0)は、これらを加算した値である16(L)となる。
第1の期間推定吸収量測定単位期間の終了時の全液量(A1)(L)は、第1の期間推定吸収量測定単位期間の終了時に水耕栽培装置に残った培養液と水の合計量を測定することで具体的に特定することができる。
第1の期間推定吸収量測定単位期間の開始時の対象成分濃度(Y0)(me/L)、第1の期間推定吸収量測定単位期間の終了時の対象成分濃度(Y1)(me/L)は、それぞれセンサー等を適宜用いて特定することができる。たとえば、対象成分がカリウムである場合には、市販のカリウムセンサーなどを適宜用いることで、対象成分の含有量を具体的に測定することができる。
これらの値に基づき、第1の期間推定吸収量測定単位期間の開始時に付与されている対象成分の量(M0)(me)が、(開始時の全液量(A0))×(開始時の対象成分濃度(Y0))で特定され、第1の期間推定吸収量測定単位期間の終了時に残っている対象成分の量(M1)(me)が、(終了時の全液量(A1))×(終了時の対象成分濃度(Y1))で特定される。そして、第1の期間推定吸収量測定単位期間についての第1の期間総推定吸収量の部分値は、M0−M1の値(A0×Y0−A1×Y1)として特定することができる。
このような第1の期間総推定吸収量の部分値の特定を、全ての第1の期間推定吸収量測定単位期間(N1(1)、N1(2)・・・)について実施する。そして、全ての第1の期間推定吸収量測定単位期間を通じてそれぞれに特定された第1の期間総推定吸収量の部分値を加算することで第1の期間の総推定吸収量(Q1)が算出される。
(第2の期間総推定吸収量;Q2)
第2の期間総推定吸収量は、第2の期間全体での果菜類1株が吸収しうる対象成分の吸収量として定められる値として定義される。
第2の期間総推定吸収量の特定にあたっては、まず、上記第1の期間総推定吸収量と同様の特定方法を用いて、第2の期間総推定吸収量の部分値を特定する。第2の期間総推定吸収量の部分値は、後述する第2の期間推定吸収量測定単位期間ごとに求められる対象成分の吸収量である。
具体的には、第2の期間をたとえば1週間といった期間に予め区切り、その区切られた期間を第2の期間推定吸収量測定単位期間(N2(1)、N2(2)・・・)となす。第2の期間総推定吸収量を特定するための水耕栽培では、第1の期間総推定吸収量を特定するための水耕栽培の場合と同様に、第2の期間推定吸収量測定単位期間ごとに培養液や水を継ぎ足しで水耕栽培が継続される。このように水耕栽培を実施しつつ、上記第1の期間総推定吸収量と同様の特定方法を用いて、それらの第2の期間総推定吸収量の部分値を特定する。
第1の期間総推定吸収量を特定する場合と同様に、第2の期間推定吸収量測定単位期間の開始時に付与されている全液量(B0)、第2の期間推定吸収量測定単位期間の終了時の全液量(B1)、第2の期間推定吸収量測定単位期間の開始時の対象成分濃度(Z0)、及び第2の期間推定吸収量測定期間期間の終了時の対象成分濃度(Z1)を測定する。そして、第2の期間総推定吸収量の部分値は、(B0×Z0−B1×Z1)で算出される値として、特定することができる。
このような第2の期間総推定吸収量の部分値の特定を、全ての第2の期間推定吸収量測定単位期間(N2(1)、N2(2)・・・)について実施する。
次に、第2の期間推定吸収量測定単位期間を横軸にとり、第2の期間総推定吸収量の部分値を縦軸にとってプロットし、第2の期間総推定吸収量の部分値が、第2の期間の開始点を始点とする最初の第2の期間推定吸収量測定単位期間から、第2の期間の終了点を終点とする最後の第2の期間推定吸収量測定単位期間に向かって変化しているか否か判定する。変化が認められない場合には、全ての第2の期間推定吸収量測定単位期間を通じて特定された第2の期間総推定吸収量の部分値の全てを加算していくことで第2の期間の総推定吸収量(Q2)が算出される。変化が認められる場合には、変化の時期を特定し、その変化時を基準時として第2の期間を更に前半と後半に分割する。そして、第2の期間の前半を構成する全ての第2の期間推定吸収量測定単位期間を通じて特定された第2の期間総推定吸収量の部分値を加算することで第2の期間の前半についての総推定吸収量(Q2a)が算出される。また、第2の期間の後半を構成する全ての第2の期間推定吸収量測定単位期間を通じて特定された第2の期間総推定吸収量の部分値を加算することで第2の期間の後半についての総推定吸収量(Q2b)が算出される。この場合、第2の期間総推定吸収量(Q2)が、第2の期間の前半についての総推定吸収量(Q2a)と第2の期間の後半についての総推定吸収量(Q2b)とに分けられていることになる。なお、第2の期間総推定吸収量の部分値の変化の有無の判断基準は、第2の期間の開始点を始点とする最初の第2の期間推定吸収量測定単位期間(N2(1))における第2の期間総推定吸収量の部分値を基準値とした場合に、第2の期間総推定吸収量の部分値がその基準値の半量に減少することになる第2の期間推定吸収量測定単位期間(N2(k)(ただし、kは正の整数))の時期が存在するか否かで判断することができる。そして、そのような第2の期間推定吸収量測定単位期間(N2(k))の時期を基準に、第2の期間が更に前半と後半に分割される。
(第1の期間を構成する区分期間における推定吸収量)
まず、果菜類1株あたり、第1の期間における対象成分の吸収速度を特定する。第1の期間における対象成分の吸収速度は、上述の第1の期間総推定吸収量(Q1)を第1の期間で除することにより算出することができる。たとえば、第1の期間が21日であれば、Q1/21で特定される。次に、得られた吸収速度に区分期間の大きさを乗じることにより区分期間において果菜類に吸収されうる対象成分の吸収量が算出され、その算出値が推定吸収量となる。たとえば、吸収速度が、果菜類1株、対象成分1日当たりA(me/(株・日))であり、区分期間が1週間、すなわち7日である場合には、推定吸収量は7×Aとして算出される。そして、第1の期間における区分期間内推定総吸収量は、この推定吸収量に水耕栽培工程で育成される果菜類の株数を乗じることで、区分期間ごとの値として特定される。第1の期間において、それぞれの区分期間に付与される培養液は、対象成分の含有量がこの区分期間内推定総吸収量よりも少ない正値となるように構成されている。なお、meはミリグラム当量である。
(第2の期間を構成する区分期間における推定吸収量)
果菜類1株あたり、第2の期間における対象成分の吸収速度を特定する。第2の期間における対象成分の吸収速度は、上述の第2の期間総推定吸収量(Q2)を第2の期間で除することにより算出することができる。たとえば、第2の期間が60日であれば、Q2/60で特定される。次に、得られた吸収速度に区分期間の大きさを乗じることにより区分期間において果菜類に吸収されうる対象成分の吸収量が算出され、その算出値が推定吸収量となる。たとえば、第2の期間において、吸収速度が、果菜類1株、対象成分1日当たりB(me/(株・日))であり、区分期間が1週間、すなわち7日である場合には、推定吸収量は7×Bとして算出される。
第2の期間において、第2の期間総推定吸収量(Q2)が、第2の期間の前半についての総推定吸収量(Q2a)と第2の期間の後半についての総推定吸収量(Q2b)とに区分されている場合、第2の期間における対象成分の吸収速度は、第2の期間の前半と後半それぞれについて特定される。たとえば、第2の期間の前半が20日であれば、Q2a/20で特定され、第2の期間の後半が40日であれば、Q2b/40で特定される。そして、それぞれの吸収速度に区分期間の大きさを乗じることにより区分期間において果菜類に吸収されうる対象成分の吸収量が算出され、その算出値が推定吸収量となる。たとえば、吸収速度が、果菜類1株、対象成分1日当たり、第2の期間の前半においてB0(me/(株・日))であり、第2の期間の後半においてB1(me/(株・日))である場合には、第2の期間の前半に含まれる区分期間が1週間、すなわち7日である場合には、推定吸収量は7×B0として算出される。第2の期間の後半に含まれる区分期間が2週間、すなわち14日である場合には、推定吸収量は14×B1として算出される。そして、第2の期間における区分期間内推定総吸収量は、この推定吸収量に水耕栽培工程で育成される果菜類の株数を乗じることで、区分期間ごとの値として特定される。第2の期間において、それぞれの区分期間に付与される培養液は、対象成分の含有量がこの区分期間内推定総吸収量よりも少ない正値となるように構成されている。
(培養液に含まれる対象成分量の範囲)
培養液は、該培養液における対象成分の含有量と区分期間内推定総吸収量との比率は、果菜類及び対象成分の組み合わせに応じて定めることが可能である。具体的に、果菜類がトマトであり、対象成分がカリウムである場合を例にすると、区分期間が第1の期間内にある場合についても、区分期間が第2の期間内にある場合についても、全栽培期間について、それぞれの区分期間に応じて付与される培養液は、該培養液における対象成分の含有量と区分期間内推定総吸収量との比率が1/2以下且つ1/12以上を満たすように構成されていることが好ましく、1/8以上1/4以下であることがより好ましい。該培養液における対象成分の含有量と区分期間内推定総吸収量との比率が1/2以下であることでカリウム含有量の低減という効果をより確実に得ることができ、1/12以上であることで植物体の成長可能な範囲でカリウム含有量のより一層の低減という効果を得ることができるようになる。
また、それぞれの区分期間に応じて付与される培養液は、互いに、該培養液における対象成分の含有量と区分期間内推定総吸収量との比率が一定であることが好適である。
(対象成分以外について培養液に含まれる組成成分の含有量)
培養液の各組成成分の含有量に関して、対象成分を除く他の成分については、水耕栽培に一般的に利用可能な培養液に含まれる組成成分と同じでよい。ただし、培養液の効率的な使用の観点からは、それぞれの区分期間の開始時に付与される培養液は、対象成分を除く他の成分についても、上記した対象成分の推定吸収量の特定方法と同様の方法を用い、その区分期間内に前記果菜類1株が吸収しうる各成分の吸収量として予め定められる期間内吸収量の推定値に基づき定められていることが好適である。具体的に、それぞれの区分期間の開始時に付与される培養液に含まれる各組成成分の含有量は、上記期間内吸収量の推定値と培養液で生育させる果菜類の株数との積算値とされていることが好適である。このように培養液に含まれる各組成成分の含有量が特定されていると、その区分期間で必要となる量だけ各組成成分が付与されることとなり、無駄なく培養液を利用することができるようになる。
(摘心処理)
果菜類が、トマトなどのように1株に複数の花を咲くことが可能であり、且つ複数の実を結実させることが可能なものである場合、水耕栽培工程では、摘心が実施されることが好適である。摘心は、第2花房以降に開花する花が付くことを規制して第2花房以降の花に由来する実の結実が規制されるように花芽を取り除くことで実施されることが好適である。この場合、果菜類の第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実を終期として果菜類を栽培することが、より確実に実現できることとなる。また、第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実までの生育に必要な対象成分の量を予め定めて分配供与しているため、第3花房や第4花房等といった第2花房以降の花が開花して実を結実させないようにすることで、第3花房や第4花房等の生育期間中に、第1花房や第2花房に由来する果実へ該培養液における対象成分が蓄積する虞を抑制することが出来る。
(水耕栽培方法で得られる果菜類)
本発明の水耕栽培方法で得られる果菜類は、味覚を構成する重要な甘味や酸味等を維持しつつも、対象成分の含有量を通常の水耕栽培で得られる果菜類よりも低めたものである。たとえば、果菜類がトマトであり対象成分をカリウムとして、本発明の水耕栽培方法が適用された場合、トマトとして、甘味や酸味等を維持しつつも、カリウムの含有量を通常の水耕栽培で得られるトマトよりも低く抑えたものを栽培することができるようになる。
次に、実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例1.
(果菜類)
果菜類として、トマト(種類:ミニトマト、品種名:キャロル10(商標)(株式会社サカタのタネ))を選択して、その種を準備した。
(対象成分)
水耕栽培工程において使用される培養液に含まれる成分のうち調整対象とされる対象成分として、カリウムを選択した。
(播種工程)
128穴のセルトレイのそれぞれに、播種用培地を充填するとともに上記に準備したトマトの種を9月に播種した。播種用培地としては、スミリン農産工業株式会社製、商品名たね培土1号が用いられた。トマトの種を播種された128穴のセルトレイは、気温27℃、暗環境下の発芽室にて、種からの発芽が目視にて確認されるまで静置された。本実施例では、播種から3日目に発芽が確認された。
(育苗工程)
128穴のセルトレイにおいて発芽が認められた種は、閉鎖型苗生産システムの育苗装置の育苗空間に移された。ここに、閉鎖型苗生産システムは、育苗空間の環境条件を調節可能なシステムであり、具体的には暗環境と明環境を調節自在であり温度調節可能であり、且つ、CO濃度を所定濃度とすることの可能なシステムである。なお、育苗空間は、外部と区画された閉鎖空間となっており、閉鎖空間内において種から出た芽が苗となるまで栽培された。苗は、本葉が4枚又は5枚形成されるまで成長したものとした。
本実施例では、1日のうち明環境とする時間として14時間、暗環境とする期間として10時間を割りあて、育苗空間の環境条件は、明環境と暗環境の組み合わせについては、育苗空間内の環境を14時間の明環境、10時間の暗環境を繰り返すことした。育苗空間内の温度については、明環境時では22℃、暗環境時では18℃に設定された。また、育苗空間内のCO濃度については、明環境、暗環境いずれにおいても1000μmol・mol−1とした。
また、芽から苗まで生育させるための育苗用培養液としては、園試処方の3/4単位に調整された組成液が用いられた.この組成液は果菜類の根から吸収されて果菜類の生育に使用されることとなる。
(定植工程)
育苗工程で得られた苗は、水耕栽培装置の栽培部に隣り合う苗株間の間隔が20cmとなるように間隔をあけて定植された。水耕栽培装置としては、図1に示すような薄膜水耕(nutrient film technique;NFT)栽培装置が採用された。
(水耕栽培工程)
水耕栽培工程では、水耕栽培装置の栽培部に定植された苗は、その水耕栽培装置に付与された培養液の成分を吸収して生育し、花をつけ、実を結実する。
(果菜類の株数)
実施例1の水耕栽培工程では、果菜類は、10株栽培された。
(栽培期間の指定)
水耕栽培工程において、果菜類の水耕栽培期間は、定植工程完了時を始期として果菜類の第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実まで実施された。
(第1の期間、第2の期間、及びそれぞれの区分期間)
第1の期間は、定植工程完了時を始期として第1花房の最初の花が開花する時期までとし、第2の期間は、最初の花が開花してから第1の果実と第2の果実の結実の時期までとした。第1の期間は、定植工程完了時を始期として1週間ごとに区切られてそれぞれの区切られた期間を区分期間とされた。本実施例では、第1の期間は、定植工程完了時を始期とした5週間であり、5つの区分期間で構成された。第2の期間は、最初の花が開花してから4週間については1週間ごとに区切られて、その後の4週間は第1の果実と第2の果実の結実の時期まで2週間ごとに区切られてそれぞれの区切られた期間を区分期間とされた。
(培養液の組成成分の種類)
培養液の組成成分の種類としては、園試処方を組成する組成成分の種類を選択した。
(培養液に含まれるカリウムの含有量)
培養液に含まれるカリウムの含有量は、推定吸収量に基づき調整される。
上記トマトについて第1の期間の区分期間におけるカリウムの推定吸収量は、第1花房開花期までのカリウム吸収速度に基づき7.5me・株−1・週−1であると定められた。これを踏まえ、第1の期間の区分期間については、各区分期間の開始時に、1株当たりに付与されるカリウムの量が7.5meよりも小さい正値となるようにカリウムの含有量を調整された培養液が用いられた。
本実施例では、第1の期間の各区分期間の開始時に付与される培養液として、推定吸収量の1/2となるようにカリウムの含有量が調整されたものが用いられた。
第2の期間に付与される培養液については、次の条件を満たすように構成される。上記トマトについて第2の期間の区分期間におけるカリウムの推定吸収量は、区分期間が1週間である場合については、第1花房の開花期以降のカリウム吸収速度に基づき15me・株−1・週−1であると定まる。その後、区分期間が2週間となる時期を契機にカリウム吸収速度が減少し、7.5me・株−1・週−1であると定まる。すなわち、第2の期間は、前半と後半に区分され、第2の期間の前半が、区分期間が1週間である期間に対応し、第2の期間の後半が、区分期間が2週間である期間に対応する。これを踏まえ、第2の期間においては、区分期間が1週間、2週間どちらの場合でも、各区分期間の開始時に、1株当たりに付与されるカリウムの量が15meよりも小さい正値となるようにカリウムの含有量を調整された培養液が用いられた。
本実施例では、第2の期間の各区分期間の開始時に付与される培養液として、第1の期間の場合と同様に、推定吸収量の1/2となるようにカリウムの含有量が調整されたものが用いられた。
なお、第1の期間、第2の期間それぞれの区分期間におけるカリウム吸収速度は、カリウムを対象成分とする場合における第1の期間総推定吸収量、第2の期間の前半についての総推定吸収量、第2の期間の後半についての総推定吸収量に基づきそれぞれに特定された。これら第1の期間総推定吸収量、第2の期間の前半についての総推定吸収量、第2の期間の後半についての総推定吸収量は、予め実施された推定吸収量計測用栽培に基づき既述したようにして特定された。
(培養液に含まれる対象成分以外の各組成成分の含有量)
培養液に含まれる対象成分以外の各組成成分の含有量は、その区分期間内に前記果菜類1株が吸収しうる各成分の吸収量として予め定められる期間内吸収量の推定値に基づき定められている。各組成成分についての期間内吸収量の推定値の特定方法は、対象成分の推定吸収量の特定方法と同様の方法が用いられた。そして、培養液に含まれる対象成分以外の各組成成分の含有量は、期間内吸収量の推定値と培養液で生育させる果菜類の株数との積算値にて特定された。
(施肥方法)
培養液は、それぞれの区分期間の開始時に水耕栽培装置の培養液貯留部に注入することで付与された。
なお、水耕栽培工程において、果菜類は水分を吸収するが、これにともなう水分の減少量に応じて、適宜水分の補給を行った。水分の補給は、培養液貯留部に水を補充することで実施され、全栽培期間を通じて実施された。
(摘心処理)
本実施例では水耕栽培工程において、摘心が実施された。摘心は、第2花房の位置よりも上3葉を残してそれよりも上側の花芽を取り除くことで行われた。
水耕栽培工程では、第1の花房として、17個の花が咲き、第2に花房について、16個の花が咲き、それぞれの花について実が結実した。第1の花房由来の実である第1の果実として、17個、第2の花房由来の実である第2の果実として、16個が結実した。栽培期間終了時に、結実した第1の果実及び第2の果実を収穫した。
収穫された実について、果実の重量を測定するとともに、カリウム含有量、甘味、酸味の強さを次のように測定した。果実の重量は、個々の実を秤量することで特定される。なお、各測定は、それぞれの第1の果実、それぞれの第2の果実について実施した。そして、各測定について、個々の実ごとに得られた数値を算術平均した。それぞれ得られた算術平均値が、実施例1で収穫された実全体についてのカリウム含有量、甘味、酸味の強さとされた。結果を表1に示す。
(カリウム含有量)
カリウムの含有量(mg/100gFW)は、カリウムイオンメーター(HORIBA社製、商品名:コンパクトカリウムイオンメータ LAQUAtwin)およびICP発光分析装置(島津製作所社製、ICPE−9000)を用いて測定された。
(甘味の強さ)
甘味の強さは、果実の糖度を測定することで特定された。糖度は、具体的にBrix糖度計(Spittz社製、商品名:デジタル糖度計)を用いて測定されたBrix糖度の値(Brix%)として特定された。
(酸味の強さ)
酸味の強さは、実の酸度を測定することで特定された。酸度は、酸度計(ATAGO社製、商品名:ポケット酸度計)を用いて測定された。
実施例2,3,4
実施例2,3,4では、第1の期間,第2の期間の各区分期間の開始時に付与される培養液として、推定吸収量のそれぞれ1/4、1/8、1/12となるようにカリウムの含有量が調整されたものが用いられた以外は、実施例1と同様にして、第1の花房及び第2の花房に由来する実を結実させて、それらの収穫を実施した。収穫された実について、果実の重量を測定するとともに、カリウム含有量、甘味、酸味の強さを次のように計測した。結果を表1に示す。
比較例1.
比較例1では、第1の期間,第2の期間の各区分期間の開始時に付与される培養液として、推定吸収量のそれぞれ1/1となるようにカリウムの含有量が調整されたものが用いられた以外は、実施例1と同様にして、第1の花房及び第2の花房に由来する実を結実させて、それらの収穫を実施した。収穫された実について、果実の重量を測定するとともに、カリウム含有量、甘味、酸味の強さを次のように計測した。結果を表1に示す。
(培養液中の残存カリウム量)
実施例1から4については、水耕栽培工程に用いられた培養液について、それぞれの区分期間終了時に培養液に含まれるカリウム量を特定した。特定には、カリウムイオンメーターおよびICP発光分析装置が用いられた。実施例1から4について、区分期間終了時には供与した培養液のカリウムが消費されていることが確認された。
(果実重についての対比評価)
実施例1から4で収穫された実の果実重は,おおむね10g/個以上25g/個以下の範囲で推移しており、比較例1についても同様であり、大きく果実の成長が損なわれていないことが認められた。
(カリウム含有量についての対比評価)
実施例1から4で収穫された実におけるカリウム含有量は,表1から明らかに比較例1に対して低減されており、カリウムの含有量を規制されたトマトが得られたことが認められた。
(甘味、酸味量についての対比評価)
実施例1から4で収穫された実における甘味は,表1から明らかに比較例1に対して糖度の点で大きな低減は認められず、むしろ、実施例1,2では高まっており、甘味の低下の規制されたトマトが得られたことが認められた。また、実施例1から4で収穫された実における酸味は,表1から明らかに比較例1に対して過剰な増加は認められず、むしろ、実施例1から4では酸味がやや弱まっており、酸味の過剰な上昇の規制されたトマトが得られたことが認められた。
カリウム含有量の低さ、甘味の維持、酸味の抑制がバランスよく実現されている観点から、実施例2,3,4で得られたトマトが優れていることが確認された。
1 水耕栽培装置
2 栽培部
3 培養液貯留部
4 流路形成部
4a 往流路
4b 復流路
5 果菜類
5a 果菜類の根
6 培養液
7 ポンプ

Claims (3)

  1. 培養液に含まれる成分が果菜類内に吸収されて該果菜類が生育する果菜類の水耕栽培方法であって、
    果菜類は、該果菜類の第1花房に由来する第1の果実と第2花房に由来する第2の果実の結実までを栽培期間として栽培され、
    該栽培期間が、前記果菜類の水耕栽培開始から第1花房の開花までの第1の期間と果菜類の第1花房の開花から第1の果実と第2の果実の結実までの第2の期間に区切られるとともに、第1の期間と第2の期間は、それぞれの期間の開始点を基準として予め定められたタイミングで区切られた複数の区分期間で構成されており、
    前記培養液に含まれ前記果菜類内に吸収される所定の成分を対象成分とした場合に、
    それぞれの前記区分期間の開始時を契機として、前記区分期間に応じて前記対象成分の含有量を定められた培養液が前記果菜類に付与されており、
    前記区分期間に応じて、前記培養液における前記対象成分の含有量は、該区分期間内に前記果菜類1株が吸収しうる前記対象成分の吸収量として予め定められる推定吸収量と前記培養液で生育させる果菜類の株数との積算値にて定められる区分期間内推定総吸収量よりも小さい正値となるように定められている、ことを特徴とする果菜類の水耕栽培方法。
  2. 前記対象成分はカリウムであり、前記果菜類はトマトである、請求項1に記載の果菜類の水耕栽培方法。
  3. 全栽培期間において、前記培養液は、該培養液における対象成分の含有量と区分期間内推定総吸収量との比率が1/2以下且つ1/12以上を満たすように構成されている、請求項2に記載の果菜類の水耕栽培方法。
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