JP2017004854A - ニッケル亜鉛電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレータの設置に伴う封止構造を別途要しない、部品点数の少ない簡素化された構成でありながら、正負極間をセパレータで確実に隔離可能なニッケル亜鉛電池の提供。【解決手段】水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含んでなる正極と、正極電解液と、亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含んでなる負極と、負極電解液と、正極、正極電解液、負極、及び負極電解液を収容する密閉容器と、密閉容器内に、正極室と負極室とを区画するように設けられ、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しないセパレータとを備えたニッケル亜鉛電池。セパレータはセル容器の形状を有し、このセル容器型セパレータ内に負極及び負極電解液が収容され且つセル容器型セパレータ外の密閉容器内に正極及び正極電解液が収容されるか、又はセル容器型セパレータ内に正極及び正極電解液が収容され且つセル容器型セパレータ外の密閉容器内に負極及び負極電解液が収容される。【選択図】図1A

Description

本発明は、ニッケル亜鉛電池に関するものである。
ニッケル亜鉛二次電池等の亜鉛二次電池は古くから開発及び検討がなされてきたものの、未だ実用化に至っていない。これは、充電時に負極を構成する亜鉛がデンドライトという樹枝状結晶を生成し、このデンドライトがセパレータを突き破って正極と短絡を引き起こすという問題があるためである。したがって、ニッケル亜鉛二次電池等の亜鉛二次電池において、亜鉛デンドライトによる短絡を防止する技術が強く望まれている。
そのような問題ないし要望に対処すべく、水酸化物イオン伝導性セラミックスセパレータを用いた電池が提案されている。例えば、特許文献1(国際公開第2013/118561号)には、ニッケル亜鉛二次電池において、亜鉛デンドライトによる短絡の防止を目的として、水酸化物イオン伝導性の無機固体電解質体からなるセパレータを正極及び負極間に設けることが開示されており、無機固体電解質体として一般式:M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO(式中、M2+は少なくとも1種以上の2価の陽イオンであり、M3+は少なくとも1種以上の3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である)の基本組成を有する層状複水酸化物(LDH)を用いることが提案されている。
一方、高電圧や大電流を得るために、複数の単位電池を組み合わせて作られた積層電池が広く知られている。積層電池は、単位電池を複数直列または並列に接続してなる積層体が一つの電池容器内に収納された構成を有してなる。
国際公開第2013/118561号
本出願人は、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない程に高度に緻密化されたセラミックスセパレータ(無機固体電解質セパレータ)の開発に先だって成功している。また、そのようなセラミックスセパレータを多孔質基材(例えばアルミナ多孔質基材)上に形成することにも成功している。このようなセパレータ(あるいは多孔質基材付きセパレータ)を用いてニッケル亜鉛電池等の二次電池を構成した場合、亜鉛デンドライトによる短絡等を防止できる。そして、この効果を最大限に発揮させるためには、水酸化物イオン伝導性セラミックスセパレータで電池容器内を正極側と負極側を確実に仕切ることが望まれる。特に、平板状の水酸化物イオン伝導性セラミックスセパレータで正極側と負極側を確実に仕切ろうとした場合、セパレータの外周縁やセパレータを含む構造体の接合部分で液密性を確保するための封止構造が望まれるが、より簡素な構成で所望の液密性を確保できれば極めて好都合である。また、かかる構成を確保しながら、高電圧や大電流を得るために、複数(望ましくは多数)の単位電池をスペース効率良く組み込んだ積層電池、組電池等の電池を構成できればなお好都合である。
本発明者らは、今般、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しないセパレータとしてセル容器型セパレータを用いることで、セパレータの設置に伴う封止構造を別途要しない、部品点数の少ない簡素化された構成でありながら、正負極間をセパレータで確実に隔離可能なニッケル亜鉛電池を構成できるとの知見を得た。また、このようなセル容器型セパレータを備えた電池によれば、複数の単位電池がスペース効率良く組み込まれた積層電池、組電池等の電池に特に適する、すなわち積層電池、組電池等の電池における単位電池の集積密度を格段に向上して大容量化できるとの知見も得た。
したがって、本発明の目的は、セパレータの設置に伴う封止構造を要しない、部品点数の少ない簡素化された構成でありながら、正負極間をセパレータで確実に隔離可能なニッケル亜鉛電池を提供することにある。また、積層電池、組電池等の電池における単位電池の集積密度を向上するのに特に適したニッケル亜鉛電池を提供することも本発明の目的の一つである。
本発明の一態様によれば、水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含んでなる正極と、
前記正極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物を含んでなる正極電解液と、
亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含んでなる負極と、
前記負極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物を含んでなる負極電解液と、
前記正極、前記正極電解液、前記負極、及び前記負極電解液を収容する密閉容器と、
前記密閉容器内に、前記正極及び前記正極電解液を収容する正極室と、前記負極及び前記負極電解液を収容する負極室とを区画するように設けられ、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しないセパレータと、
を備えてなるニッケル亜鉛電池であって、
前記セパレータがセル容器の形状を有するセル容器型セパレータであり、それにより、前記セル容器型セパレータ内に前記負極及び前記負極電解液が収容され且つ前記セル容器型セパレータ外の前記密閉容器内に前記正極及び前記正極電解液が収容されるか、又は前記セル容器型セパレータ内に前記正極及び前記正極電解液が収容され且つ前記セル容器型セパレータ外の前記密閉容器内に前記負極及び前記負極電解液が収容される、ニッケル亜鉛電池が提供される。
本発明によるニッケル亜鉛電池の一形態を模式的に示す断面図である。 図1Aに示されるニッケル亜鉛電池の断面構造を部分的に示す部分断面斜視図である。 本発明によるニッケル亜鉛電池の他の一形態(組電池)を模式的に示す断面斜視図である。 図2Aに示されるニッケル亜鉛電池を斜め上から見た斜視図である。 多孔質基材付きセパレータの一態様を部分的に示す模式断面図である。 多孔質基材付きセパレータの他の一態様を部分的に示す模式断面図である。 層状複水酸化物(LDH)板状粒子を示す模式図である。 例1で作製したアルミナ製多孔質基材の表面のSEM画像である。 例1において試料の結晶相に対して得られたXRDプロファイルである。 例1において観察された膜試料の表面微構造を示すSEM画像である。 例1において観察された複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像である。 例1で使用された緻密性判別測定系の分解斜視図である。 例1で使用された緻密性判別測定系の模式断面図である。 例1の緻密性判定試験IIで使用された測定用密閉容器の分解斜視図である。 例1の緻密性判定試験IIで使用された測定系の模式断面図である。
ニッケル亜鉛電池
図1A及び1Bに本発明によるニッケル亜鉛電池の一態様を模式的に示す。図1A及び1Bに示されるニッケル亜鉛電池10は、正極12と、正極電解液(図示せず)と、負極16と、負極電解液(図示せず)と、密閉容器22と、セパレータ20とを備えてなる。正極12は、水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含んでなる。正極電解液は、正極12が浸漬される、アルカリ金属水酸化物を含んでなる液である。負極16は、亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含んでなる。負極電解液は、負極16が浸漬される、アルカリ金属水酸化物を含んでなる液である。密閉容器22は、正極12、正極電解液、負極16、及び負極電解液を収容する容器である。正極12及び正極電解液は必ずしも分離している必要はなく、正極12と正極電解液が混合された正極合材として構成されてもよい。同様に、負極16及び負極電解液は必ずしも分離している必要はなく、負極16と負極電解液が混合された負極合材として構成されてもよい。所望により、正極集電体13が正極12に接触して設けられる。また、所望により、負極集電体17が負極16に接触して設けられる。セパレータ20は、密閉容器22内に、正極12及び正極電解液を収容する正極室24と、負極16及び負極電解液を収容する負極室26とを区画するように設けられる。
セパレータ
セパレータ20は水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しない。なお、本明細書において「透水性を有しない」とは、後述する例1で採用される「緻密性判定試験I」又はそれに準ずる手法ないし構成で透水性を評価した場合に、測定対象物(例えばLDH膜及び/又は多孔質基材)の一面側に接触した水が他面側に透過しないことを意味する。すなわち、セパレータ20が透水性を有しないということは、セパレータ20が水を通さない程の高度な緻密性を有することを意味し、透水性を有する多孔性フィルムやその他の多孔質材料ではないことを意味する。このため、充電時に生成する亜鉛デンドライトによるセパレータの貫通を物理的に阻止して正負極間の短絡を防止するのに極めて効果的な構成となっている。もっとも、後述するようにセパレータ20に多孔質基材が付設されてよいのはいうまでもない。いずれにしても、セパレータ20は水酸化物イオン伝導性を有するため、正極電解液と負極電解液との間で必要な水酸化物イオンの効率的な移動を可能として正極室24及び負極室26における充放電反応を実現することができる。正極室24及び負極室26における充電時における反応は以下に示されるとおりであり、放電反応はその逆となる。
‐ 正極: Ni(OH)+OH→NiOOH+HO+e
‐ 負極: ZnO+HO+2e→Zn+2OH
ただし、上記負極反応は以下の2つの反応で構成されるものである。
‐ ZnOの溶解反応: ZnO+HO+2OH→Zn(OH) 2−
‐ Znの析出反応: Zn(OH) 2−+2e→Zn+4OH
図1A及び1Bに示されるように、セパレータ20はセル容器の形状を有するセル容器型セパレータである。それにより、図1A及び1Bに示されるようにセル容器型セパレータ20内に負極16及び負極電解液が収容され且つセル容器型セパレータ20外の密閉容器22内に正極12及び正極電解液が収容されるか、或いは(図示されてはいないが)セル容器型セパレータ20内に正極12及び正極電解液が収容され且つセル容器型セパレータ20外の密閉容器22内に負極及び負極電解液が収容される。なお、以下の説明においては説明の便宜上、後者の態様に関する記述を括弧書きにて併記するものとする。このようにセル容器型セパレータを用いることで、セパレータの設置に伴う封止構造を別途要しない、部品点数の少ない簡素化された構成でありながら、正負極間をセパレータで確実に隔離可能なニッケル亜鉛電池を構成できる。すなわち、平板状の水酸化物イオン伝導性セラミックスセパレータで正極側と負極側を確実に仕切ろうとした場合、セパレータの外周縁やセパレータを含む構造体の接合部分での液密性を確保するための封止構造が望まれるところ、そのような封止構造は枠状部材や接着剤等を用いて入念に構築する必要があり、それ故、部品点数が多くなり構造及び製造方法も複雑なものとなりうる。これに対して、本発明において採用されるセル容器型セパレータ20は、その中に負極16及び負極電解液(又は正極12及び正極電解液)を収容することで、その収容された電極等を、セル容器型セパレータ20の外側に収容される正極12及び正極電解液(又は負極16及び負極電解液)と確実に隔離することができる。すなわち、セル容器型セパレータ20はその容器型形状に起因して、正極12、正極電解液、負極16及び負極電解液と接触する主要部分において外周縁ないし端部が存在し得ないため、外周縁ないし端部を枠状部材や接着剤等を用いて封止する封止構造を別途設ける必要が無い。換言すれば、本発明のニッケル亜鉛電池10においては負極16及び負極電解液(又は正極12及び正極電解液)がセル容器型セパレータ20自体で包まれることで液密に封止されているといえる。その結果、部品点数の少ない簡素化された構成でありながら、正負極間をセパレータで確実に隔離可能なニッケル亜鉛電池を構成できる。
また、このようなセル容器型セパレータ20を備えた電池は、複数の単位電池がスペース効率良く組み込まれた積層電池、組電池等の電池に特に適している。これは、負極16及び負極電解液(又は正極12及び正極電解液)が収容された複数個のセル容器型セパレータ20を、それらの間に正極12及び正極電解液(又は負極16及び負極電解液)を介在させながら一次元方向(x方向)又は二次元方向(x−y方向に)配列させる電池構成を格段に採用しやすくなるためであり、その結果、積層電池、組電池等の電池における単位電池の集積密度を格段に向上して大容量化できる。例えば、図2A及び2Bに示されるように、密閉容器22’内に充填された正極12’及び正極電解液(又は負極16’及び負極電解液)のマトリックス中に、複数個のセル容器型セパレータ20’(その中には負極16’及び負極電解液(又は正極12’及び正極電解液)が収容される)を所望の位置に(好ましくは規則的に)配置させて並列接続することで、複数の単位電池セルを備えた電池(例えば並列積層電池や並列組電池)を比較的容易に構成することができる。したがって、本発明の好ましい態様によれば、図2A及び2Bに示されるように、密閉容器22’内に複数個のセル容器型セパレータ20’が互いに離間されて配設され、該複数個のセル容器型セパレータ20’の各々に負極16’及び負極電解液(又は正極12’及び正極電解液)が収容されてなることができる。
セル容器型セパレータ20は、負極16及び負極電解液(又は正極12及び正極電解液)を漏れなく収容できるかぎり、あらゆる容器の形状を有するものであってよいが、好ましくは袋管状、筒状、箱状又は袋状の形状である。これらの形状は容器の形状を有するが故にいずれも底が抜けていない形状であることが前提であり、例えば筒状形状の場合には少なくとも一端が閉じられてなるのはいうまでもない。また、袋管状及び筒状の形状は断面が円形ないし楕円形であってもよいし、正方形ないし長方形であってもよいし、それらの組合せ形状であってもよく、特に限定されない。
特に好ましくは、セル容器型セパレータ20内には負極16及び負極電解液が収容され且つセル容器型セパレータ20外の密閉容器22内に正極12及び正極電解液が収容される。こうすることで、充放電に伴い負極16の形状一体性が損なわれやすい状態になったとしても、セル容器型セパレータ20の容器形状によって負極16の形状を望ましく保持して充放電に関与させ続けることができ、その結果、安定した電池性能を発揮させることができる。
セパレータ20は無機固体電解質体からなるのが好ましい。セパレータ20として水酸化物イオン伝導性の無機固体電解質体を用いることで、正負極間の電解液を隔離するとともに水酸化物イオン伝導性を確保する。そして、セパレータ20を構成する無機固体電解質は典型的には緻密で硬い無機固体であるため、充電時に生成する亜鉛デンドライトによるセパレータの貫通を物理的に阻止して正負極間の短絡を防止することが可能となる。その結果、ニッケル亜鉛電池の信頼性を大幅に向上することができる。無機固体電解質体は透水性を有しない程にまで緻密化されていることが望まれる。例えば、無機固体電解質体は、アルキメデス法で算出して、90%以上の相対密度を有するのが好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上であるが、亜鉛デンドライトの貫通を防止する程度に緻密で硬いものであればこれに限定されない。このような緻密で硬い無機固体電解質体は水熱処理を経て製造することが可能である。したがって、水熱処理を経ていない単なる圧粉体は、緻密でなく、溶液中で脆いことから本発明の無機固体電解質体として好ましくない。もっとも、水熱処理を経たものでなくても、緻密で硬い無機固体電解質体が得られるかぎりにおいて、あらゆる製法が採用可能である。
セパレータ20ないし無機固体電解質体は、水酸化物イオン伝導性を有する無機固体電解質を含んで構成される粒子群と、これら粒子群の緻密化や硬化を助ける補助成分との複合体であってもよい。あるいは、セパレータ20は、基材としての開気孔性の多孔質体と、この多孔質体の孔を埋めるように孔中に析出及び成長させた無機固体電解質(例えば層状複水酸化物)との複合体であってもよい。この多孔質体を構成する物質の例としては、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスや、発泡樹脂又は繊維状物質からなる多孔性シート等の絶縁性の物質が挙げられる。
無機固体電解質体は、一般式:M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1〜0.4であり、mは0以上である)の基本組成を有する層状複水酸化物(LDH)を含んでなるのが好ましく、より好ましくはそのようなLDHからなる。上記一般式において、M2+は任意の2価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはMg2+、Ca2+及びZn2+が挙げられ、より好ましくはMg2+である。M3+は任意の3価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはAl3+又はCr3+が挙げられ、より好ましくはAl3+である。An−は任意の陰イオンでありうるが、好ましい例としてはOH及びCO 2−が挙げられる。したがって、上記一般式において、M2+がMg2+を含み、M3+がAl3+を含み、An−がOH及び/又はCO 2−を含むのが好ましい。nは1以上の整数であるが、好ましくは1又は2である。xは0.1〜0.4であるが、好ましくは0.2〜0.35である。より具体的には、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数ないし整数である。また、上記一般式においてM3+の一部または全部を4価またはそれ以上の価数の陽イオンで置き換えてもよく、その場合は、上記一般式における陰イオンAn−の係数x/nは適宜変更されてよい。mは水のモル数を意味する任意の数であり、0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数ないし整数である。
無機固体電解質体は水熱処理によって緻密化されたものであるのが好ましい。水熱処理は、層状複水酸化物、とりわけMg−Al型層状複水酸化物の一体緻密化に極めて有効である。水熱処理による緻密化は、例えば、特許文献1(国際公開第2013/118561号)に記載されるように、耐圧容器に純水と板状の圧粉体を入れ、120〜250℃、好ましくは180〜250℃の温度、2〜24時間、好ましくは3〜10時間で行うことができる。もっとも、水熱処理を用いたより好ましい製造方法については後述するものとする。
無機固体電解質体は、板状、膜状又は層状のいずれの形態であってもよく、膜状又は層状の形態である場合、膜状又は層状の無機固体電解質体が多孔質基材上又はその中に形成されたものであるのが好ましい。板状の形態であると十分な堅さを確保して亜鉛デンドライトの貫通をより効果的に阻止することができる。一方、板状よりも厚さが薄い膜状又は層状の形態であると亜鉛デンドライトの貫通を阻止するための必要最低限の堅さを確保しながらセパレータの抵抗を有意に低減できるとの利点がある。板状の無機固体電解質体の好ましい厚さは、0.01〜0.5mmであり、より好ましくは0.02〜0.2mm、さらに好ましくは0.05〜0.1mmである。また、無機固体電解質体の水酸化物イオン伝導度は高ければ高い方が望ましいが、典型的には10−4〜10−1S/mの伝導度を有する。一方、膜状又は層状の形態の場合には、厚さが100μm以下であるのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでセパレータ20の低抵抗化を実現できる。厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ膜ないし層として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
セル容器型セパレータ20の片面(すなわち内壁面又は外壁面)又は両面、好ましくは片面に、セル容器型セパレータ20と適合したセル容器形状を有するセル容器型多孔質基材をさらに備えてもよい。セパレータ20の片面に多孔質基材が設けられる場合、多孔質基材はセパレータ20の負極16側の面に設けてもよいし、セパレータ20の正極12側の面に設けてもよい。多孔質基材は透水性を有し、それ故正極電解液及び負極電解液がセパレータ20に到達可能であることはいうまでもないが、多孔質基材があることでセパレータ20上により安定に水酸化物イオンを保持することも可能となる。また、多孔質基材により強度を付与できるため、セパレータ20を薄くして低抵抗化を図ることもできる。また、多孔質基材上又はその中に無機固体電解質体(好ましくはLDH)の緻密膜ないし緻密層を形成することもできる。セパレータ20の片面に多孔質基材を設ける場合には、多孔質基材を用意して、この多孔質基材に無機固体電解質を成膜する手法が考えられる(この手法については後述する)。一方、セパレータ20の両面に多孔質基材を設ける場合には、2枚の多孔質基材の間に無機固体電解質の原料粉末を挟んで緻密化を行うことが考えられる。なお、多孔質基材はセパレータ20の片面の全面にわたって設けられるのが好ましいが、セパレータ20の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ設ける構成としてもよい。例えば、多孔質基材上又はその中に無機固体電解質体を膜状又は層状に形成した場合、その製法に由来して、セパレータ20の片面の全面にわたって多孔質基材が設けられた構成になるのが典型的である。一方、無機固体電解質体を(基材を必要としない)自立した容器状に形成した場合には、セパレータ20の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ多孔質基材を後付けしてもよいし、片面の全面にわたって多孔質基材を後付けしてもよい。
特に好ましくは、セル容器型セパレータ20の正極12側の面に、セル容器型セパレータ20と適合したセル容器形状を有するセル容器型多孔質基材を備えてなる。この場合、多孔質基材の負極16側の面にセパレータ20が位置することになる結果、多孔質基材の正極12側の面にセパレータ20が位置する場合と比較して、以下の有利な効果をもたらすことができる。第一に、負極16から成長した亜鉛デンドライトがセパレータ20に到達した場合であっても、それに伴い発生しうる応力が、セパレータ20を多孔質基材に押し付ける方向に働くことになり、セパレータ20の多孔質基材からの剥離をより効果的に抑制することができる。第二に、負極16に由来して亜鉛デンドライトが成長したとしても、正極12と負極16の先端(すなわち亜鉛デンドライトの先端)との間で一定の距離を常に多孔質基材で確保することができ、その結果、負極16から進展する亜鉛デンドライトと正極12の短絡を効果的に抑制ないし遅延できる。
また、前述のとおり、正極12とセパレータ20の間及び/又は負極16とセパレータ20の間に不織布等の吸水性樹脂又は保液性樹脂製の第2のセパレータ(樹脂セパレータ)を配置して、電解液が減少した場合であっても電解液を正極及び/又は負極の反応部分に電解液を保持可能とする構成としてもよい。吸水性樹脂又は保液性樹脂の好ましい例としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
正極
正極12は水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含んでなる。例えば、ニッケル亜鉛電池を放電末状態で構成する場合には正極12として水酸化ニッケルを用いればよく、満充電状態で構成する場合には正極12としてオキシ水酸化ニッケルを用いればよい。水酸化ニッケル及びオキシ水酸化ニッケル(以下、水酸化ニッケル等という)は、ニッケル亜鉛電池に一般的に用いられている正極活物質であり、典型的には粒子形態である。水酸化ニッケル等には、その結晶格子中にニッケル以外の異種元素が固溶されていてもよく、それにより高温下での充電効率の向上が図れる。このような異種元素の例としては、亜鉛及びコバルトが挙げられる。また、水酸化ニッケル等はコバルト系成分と混合されたものであってもよく、そのようなコバルト系成分の例としては、金属コバルトやコバルト酸化物(例えば一酸化コバルト)の粒状物が挙げられる。さらに、水酸化ニッケル等の粒子(異種元素が固溶されていてよい)の表面をコバルト化合物で被覆してもよく、そのようなコバルト化合物の例としては、一酸化コバルト、2価のα型水酸化コバルト、2価のβ型水酸化コバルト、2価を超える高次コバルトの化合物、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
正極12は、水酸化ニッケル系化合物及びそれに固溶されうる異種元素以外にも、追加元素をさらに含んでいてもよい。そのような追加元素の例としては、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルピウム(Er)、ツリウム(Tm)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)および水銀(Hg)、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。追加元素の含有形態は特に限定されず、金属単体又は金属化合物(例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物及び炭酸化物)の形態で含まれていてよい。追加元素を含む金属単体又は金属化合物を添加する場合、その添加量は、水酸化ニッケル系化合物100重量部に対し、好ましくは0.5〜20重量部であり、より好ましくは2〜5重量部である。
正極12は電解液等をさらに含むことにより正極合材として構成されてもよい。正極合剤は、水酸化ニッケル系化合物粒子、電解液、並びに所望により炭素粒子等の導電材やバインダー等を含んでなることができる。
正極12に接触して正極集電体13が設けられるのが好ましい。正極集電体13は図1A及び1Bに示されるように密閉容器22の上蓋(図示せず)を貫通してその外側にまで延在して正極端子13aをそれ自体で構成してもよいし、別途設けられた正極端子に密閉容器22内又は外で接続される構成としてもよい。正極集電体13の好ましい例としては、発泡ニッケル板等のニッケル製多孔質基板が挙げられる。この場合、例えば、ニッケル製多孔質基板上に水酸化ニッケル等の電極活物質を含むペーストを均一に塗布して乾燥させることにより正極12/正極集電体13からなる正極板を好ましく作製することができる。その際、乾燥後の正極板(すなわち正極12/正極集電体13)にプレス処理を施して、電極活物質の脱落防止や電極密度の向上を図ることも好ましい。
負極
負極16は亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含んでなる。亜鉛は、負極に適した電気化学的活性を有するものであれば、亜鉛金属、亜鉛化合物及び亜鉛合金のいずれの形態で含まれていてもよい。負極材料の好ましい例としては、酸化亜鉛、亜鉛金属、亜鉛酸カルシウム等が挙げられるが、亜鉛金属及び酸化亜鉛の混合物がより好ましい。負極16はゲル状に構成してもよいし、電解液と混合して負極合材としてもよい。例えば、負極活物質に電解液及び増粘剤を添加することにより容易にゲル化した負極を得ることができる。増粘剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、CMC、アルギン酸等が挙げられるが、ポリアクリル酸が強アルカリに対する耐薬品性に優れているため好ましい。
亜鉛合金として、無汞化亜鉛合金として知られている水銀及び鉛を含まない亜鉛合金を用いることができる。例えば、インジウムを0.01〜0.06質量%、ビスマスを0.005〜0.02質量%、アルミニウムを0.0035〜0.015質量%を含む亜鉛合金が水素ガス発生の抑制効果があるので好ましい。とりわけ、インジウムやビスマスは放電性能を向上させる点で有利である。亜鉛合金の負極への使用は、アルカリ性電解液中での自己溶解速度を遅くすることで、水素ガス発生を抑制して安全性を向上できる。
負極材料の形状は特に限定されないが、粉末状とすることが好ましく、それにより表面積が増大して大電流放電に対応可能となる。好ましい負極材料の平均粒径は、亜鉛合金の場合、90〜210μmの範囲であり、この範囲内であると表面積が大きいことから大電流放電への対応に適するとともに、電解液及びゲル化剤と均一に混合しやすく、電池組み立て時の取り扱い性も良い。
負極16に接触して負極集電体17が設けられるのが好ましい。負極集電体17は図1A及び1Bに示されるように密閉容器22の上蓋(図示せず)を貫通してその外側にまで延在して負極端子17aをそれ自体で構成してもよいし、別途設けられた負極端子に密閉容器22内又は外で接続される構成としてもよい。負極集電体17の好ましい例としては、銅パンチングメタルが挙げられる。この場合、例えば、銅パンチングメタル上に、酸化亜鉛粉末及び/又は亜鉛粉末、並びに所望によりバインダー(例えばポリテトラフルオロエチレン粒子)を含んでなる混合物を塗布して負極16/負極集電体17からなる負極板を好ましく作製することができる。その際、乾燥後の負極板(すなわち負極16/負極集電体17)にプレス処理を施して、電極活物質の脱落防止や電極密度の向上を図ることも好ましい。
電解液
正極電解液及び負極電解液はアルカリ金属水酸化物を含んでなる。すなわち、アルカリ金属水酸化物を含む水溶液が正極電解液及び負極電解液として用いられる。アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等が挙げられるが、水酸化カリウムがより好ましい。亜鉛合金の自己溶解を抑制するために、電解液中に酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物を添加してもよい。前述のとおり、正極電解液及び負極電解液は正極12及び/又は負極16と混合させて正極合材及び/又は負極合材の形態で存在させてもよい。また、電解液の漏洩を防止するために電解液をゲル化してもよい。ゲル化剤としては電解液の溶媒を吸収して膨潤するようなポリマーを用いるのが望ましく、ポリエチレンオキサイド,ポリビニルアルコール,ポリアクリルアミドなどのポリマーやデンプンが用いられる。
密閉容器
密閉容器22は、正極12、正極電解液、負極16、及び負極電解液を密閉収容する容器であり、液密性及び気密性を有する構造を有する。なお、図1A及び1Bにおいては内部構造を図解するために密閉容器22は上蓋が便宜上省略されているが、密閉容器22は上蓋を備えており、それにより密閉容器22内部が密閉される。密閉容器22の材質は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有するものであれば特に限定されず、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、変性ポリフェニレンエーテル等の樹脂製であるのが好ましく、より好ましくはABS樹脂又は変性ポリフェニレンエーテルである。密閉容器22は図1A及び1Bに示されるような袋管状ないし筒状の形状することができ、この場合、密閉容器22’の内壁からニッケル亜鉛電池10’の中心に向かって、正極室24(正極12、正極集電体13及び正極電解液を含む)、セパレータ20、及び負極室26(負極16、負極集電体17及び負極電解液を含む)が設けられてもよく、或いはその逆として(図示されてはいないが)密閉容器22の内壁からニッケル亜鉛電池10の中心に向かって、負極室26(負極16、負極集電体17及び負極電解液を含む)、セパレータ20、及び正極室24(正極12、正極集電体13及び正極電解液を含む)が設けられてもよい。密閉容器22は図1A及び1Bに示されるような袋管状ないし筒状の形状以外の形状であってもよいのはいうまでもない。例えば、密閉容器22’を箱状に構成してもよく、この場合は、図2A及び2Bに示されるように、密閉容器22’の内壁に接して形成される正極室24’(正極12’、正極集電体13及び正極電解液を含む)内にセパレータ20’によって隔離された負極室26’(負極16’、負極集電体17’及び負極電解液を含む)が設けられてもよく、或いはその逆として(図示されてはいないが)密閉容器22’の内壁に接して形成される負極室26’(負極16’、負極集電体17’及び負極電解液を含む)内にセパレータ20によって隔離された正極室24’(正極12’、正極集電体13’及び正極電解液を含む)が設けられてもよい。いずれにしても、このような構成によれば構成部材がスペース効率良く収納された薄型コンパクトのニッケル亜鉛電池を提供することができる。
ニッケル亜鉛電池10は、正極室24に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間(図示せず)を有し、かつ、負極室26に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間(図示せず)を有するのが好ましい。これにより正極室24及び負極室26における水分量の増減に伴う不具合(例えば、液漏れ、容器内圧の変化に伴う容器の変形等)を効果的に防止して、ニッケル亜鉛電池の信頼性を更に向上することができる。すなわち、上記反応式から分かるように、充電時には正極室24で水が増加する一方、負極室26で水が減少する。一方、放電時には正極室24で水が減少する一方、負極室26で水が増加する。この点、従来の殆どのセパレータは、透水性を有するものであるため、セパレータを介して水が自由に行き来できる。しかしながら、本発明に用いるセパレータ20は透水性を有しないという緻密性の高い構造を有するため、セパレータ20を介して水が自由に行き来できず、充放電に伴い正極室24内及び/又は負極室26内において電解液量が一方的に増大して液漏れ等の不具合を引き起こしうる。そこで、正極室24に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間を有することで、充電時において正極電解液の増加に対処可能なバッファとして機能させることができる。すなわち、満充電後においても正極側余剰空間がバッファとして機能することで、増量した正極電解液を溢れ出させることなく確実に正極室24内に保持することができる。同様に、負極室26に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間を有することで、放電時に負極電解液の増加に対処可能なバッファとして機能させることができる。
正極室24及び負極室26における水分の増減量は、前述した反応式に基づいて算出することができる。前述した反応式から分かるように、充電時における正極12でのHOの生成量は、負極16におけるHOの消費量の2倍に相当する。したがって、正極側余剰空間の容積を負極側余剰空間よりも大きくしてもよい。いずれにしても、正極側余剰空間の容積は、正極室24において見込まれる水分増加量のみならず、正極室24に予め存在している空気等のガスや過充電時に正極12より発生しうる酸素ガスをも適切な内圧で収容できるように若干ないしある程度余裕を持たせた容積とするのが好ましい。この点、負極側余剰空間は、正極側余剰空間と同程度の容積とすれば十分であるとはいえるが、放電末状態で電池を構成する際には充電に伴う水の減少量を超える余剰空間を設けておくことが望まれる。いずれにしても、負極側余剰空間は正極室24内の半分程度の量しか水の増減がないため正極側余剰空間よりも小さくしてもよい。
ニッケル亜鉛電池10が放電末状態で構築される場合には、正極側余剰空間が、充電時の正極反応に伴い増加することが見込まれる水分量を超える容積を有し、正極側余剰空間には正極電解液が予め充填されておらず、かつ、負極側余剰空間が、充電時の負極反応に伴い減少することが見込まれる水分量を超える容積を有し、負極側余剰空間には減少することが見込まれる量の負極電解液が予め充填されているのが好ましい。一方、ニッケル亜鉛電池10が満充電状態で構築される場合には、正極側余剰空間が、放電時の正極反応に伴い減少することが見込まれる水分量を超える容積を有し、正極側余剰空間には減少することが見込まれる量の正極電解液が予め充填されており、かつ、負極側余剰空間が、放電時の負極反応に伴い増加することが見込まれる水分量を超える容積を有し、負極側余剰空間には負極電解液が予め充填されていないのが好ましい。
本発明のニッケル亜鉛電池は、セパレータが縦に設けられた縦型構造に構成されるのが好ましい。セパレータが縦に設けられる場合、正極室/セパレータ/負極室/セパレータ/正極室が横方向(水平方向)に並ぶ構成となる。図1A及び1Bのようにセパレータ20が縦に設けられる場合、正極室24がその上方に正極側余剰空間を有し、かつ、負極室26がその上方に負極側余剰空間を有するのが典型的である。もっとも、ゲル状の電解液を使用した場合には、電解液の減少にも関わらず正極室24及び/又は負極室26の充放電反応部分に電解液を保持可能となるため、正極室24の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)及び/又は負極室26の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)に正極側余剰空間及び/又は負極側余剰空間を設けることも可能となり、設計の自由度が増加する。
あるいは、本発明のニッケル亜鉛電池は、セパレータが横に設けられた横型構造に構成されてもよい。セパレータが横に設けられる場合、正極室/セパレータ/負極室/セパレータ/正極室が縦方向(鉛直方向)に積層される構成となる。この場合、例えば、ゲル状の電解液を用いることで、電解液の減少に関わらず、セパレータと電解液の接触を常時保持することができる。また、正極とセパレータの間及び/又は負極とセパレータの間に不織布等の吸水性樹脂又は保液性樹脂製の第2のセパレータ(樹脂セパレータ)を配置して、電解液が減少した場合であっても電解液を正極及び/又は負極の充放電反応部分に電解液を保持可能とする構成としてもよい。吸水性樹脂又は保液性樹脂の好ましい例としては、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。こうして、正極室の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)及び/又は負極室の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)に正極側余剰空間及び/又は負極側余剰空間を設けることが可能となる。
多孔質基材付きLDHセパレータ
前述のとおり、本発明の二次電池に好ましく用いられる多孔質基材付きセパレータは、水酸化物イオン伝導性を有する無機固体電解質体からなるセパレータと、セパレータの少なくとも一方の面に設けられる多孔質基材とを備えたものである。セパレータ及び多孔質基材はいずれもセル容器の形状を有するのが好ましいのは前述したとおりであるが、以下においてはセパレータ及び多孔質基材の層構成についてのみ説明するものとする(したがってセル容器の形状についての説明はここでは省略する)。無機固体電解質体は透水性を有しない程に緻密化された膜状又は層状の形態である。特に好ましい多孔質基材付きセパレータは、多孔質基材と、この多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に形成されるセパレータ層とを備えてなり、セパレータ層が前述したような層状複水酸化物(LDH)を含んでなるものである。セパレータ層は透水性及び通気性を有しないのが好ましい。すなわち、多孔質材料は孔の存在により透水性及び通気性を有しうるが、セパレータ層は透水性及び通気性を有しない程にまでLDHで緻密化されているのが好ましい。セパレータ層は多孔質基材上に形成されるのが好ましい。例えば、図3に示されるように、多孔質基材128上にセパレータ層120がLDH緻密膜として形成されるのが好ましい。この場合、多孔質基材128の性質上、図3に示されるように多孔質基材128の表面及びその近傍の孔内にもLDHが形成されてよいのはいうまでもない。あるいは、図4に示されるように、多孔質基材128中(例えば多孔質基材128の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成され、それにより多孔質基材128の少なくとも一部がセパレータ層120’を構成するものであってもよい。この点、図4に示される態様は図3に示される態様のセパレータ層120における膜相当部分を除去した構成となっているが、これに限定されず、多孔質基材128の表面と平行にセパレータ層が存在していればよい。いずれにしても、セパレータ層は透水性及び通気性を有しない程にまでLDHで緻密化されているため、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性及び通気性を有しない(すなわち基本的に水酸化物イオンのみを通す)という特有の機能を有することができる。
多孔質基材は、その上及び/又は中にLDH含有セパレータ層を形成できるものが好ましく、その材質や多孔構造は特に限定されない。多孔質基材上及び/又は中にLDH含有セパレータ層を形成するのが典型的ではあるが、無孔質基材上にLDH含有セパレータ層を成膜し、その後公知の種々の手法により無孔質基材を多孔化してもよい。いずれにしても、多孔質基材は透水性を有する多孔構造を有するのが、電池用セパレータとして電池に組み込まれた場合に電解液をセパレータ層に到達可能に構成できる点で好ましい。
多孔質基材は、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましい。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられ、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ及びジルコニアであり、最も好ましくはアルミナである。これらの多孔質セラミックスを用いると緻密性に優れたLDH含有セパレータ層を形成しやすい。金属材料の好ましい例としては、アルミニウム及び亜鉛が挙げられる。高分子材料の好ましい例としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。上述した各種の好ましい材料から電池の電解液に対する耐性として耐アルカリ性に優れたものを適宜選択するのが更に好ましい。
多孔質基材は0.001〜1.5μmの平均気孔径を有するのが好ましく、より好ましくは0.001〜1.25μm、さらに好ましくは0.001〜1.0μm、特に好ましくは0.001〜0.75μm、最も好ましくは0.001〜0.5μmである。これらの範囲内とすることで多孔質基材に所望の透水性を確保しながら、透水性を有しない程に緻密なLDH含有セパレータ層を形成することができる。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行うことができる。この測定に用いる電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得ることができる。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能や画像解析ソフト(例えば、Photoshop、Adobe社製)等を用いることができる。
多孔質基材の表面は、10〜60%の気孔率を有するのが好ましく、より好ましくは15〜55%、さらに好ましくは20〜50%である。これらの範囲内とすることで多孔質基材に所望の透水性を確保しながら、透水性を有しない程に緻密なLDH含有セパレータ層を形成することができる。ここで、多孔質基材の表面の気孔率を採用しているのは、以下に述べる画像処理を用いた気孔率の測定がしやすいことによるものであり、多孔質基材の表面の気孔率は多孔質基材内部の気孔率を概ね表しているといえるからである。すなわち、多孔質基材の表面が緻密であれば多孔質基材の内部もまた同様に緻密であるといえる。本発明において、多孔質基材の表面の気孔率は画像処理を用いた手法により以下のようにして測定することができる。すなわち、1)多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→
[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とする。なお、この画像処理による気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われるのが好ましく、より客観的な指標とするためには、任意に選択された3箇所の領域について得られた気孔率の平均値を採用するのがより好ましい。
セパレータ層は、多孔質基材上及び/又は多孔質基材中、好ましくは多孔質基材上に形成される。例えば、図3に示されるようにセパレータ層120が多孔質基材128上に形成される場合には、セパレータ層120はLDH緻密膜の形態であり、このLDH緻密膜は典型的にはLDHからなる。また、図4に示されるようにセパレータ層120’が多孔質基材128中に形成される場合には、多孔質基材128中(典型的には多孔質基材128の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成されることから、セパレータ層120’は典型的には多孔質基材128の少なくとも一部及びLDHからなる。図4に示されるセパレータ層120’は、図3に示されるセパレータ層120における膜相当部分を研磨、切削等の公知の手法により除去することにより得ることができる。
セパレータ層は透水性及び通気性を有しないのが好ましい。例えば、セパレータ層はその片面を25℃で1週間水と接触させても水を透過させず、また、その片面に0.5atmの内外差圧でヘリウムガスを加圧してもヘリウムガスを透過させない。すなわち、セパレータ層は透水性及び通気性を有しない程にまでLDHで緻密化されているのが好ましい。もっとも、局所的且つ/又は偶発的に透水性を有する欠陥が機能膜に存在する場合には、当該欠陥を適当な補修剤(例えばエポキシ樹脂等)で埋めて補修することで水不透性及び気体不透過性を確保してもよく、そのような補修剤は必ずしも水酸化物イオン伝導性を有する必要はない。いずれにしても、セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)の表面が20%以下の気孔率を有するのが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下である。セパレータ層の表面の気孔率が低ければ低いほど、セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)の緻密性が高いことを意味し、好ましいといえる。ここで、セパレータ層の表面の気孔率を採用しているのは、以下に述べる画像処理を用いた気孔率の測定がしやすいことによるものであり、セパレータ層の表面の気孔率はセパレータ層内部の気孔率を概ね表しているといえるからである。すなわち、セパレータ層の表面が緻密であればセパレータ層の内部もまた同様に緻密であるといえる。本発明において、セパレータ層の表面の気孔率は画像処理を用いた手法により以下のようにして測定することができる。すなわち、1)セパレータ層の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]
→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とする。なお、この画像処理による気孔率の測定はセパレータ層表面の6μm×6μmの領域について行われるのが好ましく、より客観的な指標とするためには、任意に選択された3箇所の領域について得られた気孔率の平均値を採用するのがより好ましい。
層状複水酸化物は複数の板状粒子(すなわちLDH板状粒子)の集合体で構成され、当該複数の板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面(基材面)と略垂直に又は斜めに交差するような向きに配向してなるのが好ましい。この態様は、図3に示されるように、多孔質基材128上にセパレータ層120がLDH緻密膜として形成される場合に特に好ましく実現可能な態様であるが、図4に示されるように、多孔質基材128中(典型的には多孔質基材128の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成され、それにより多孔質基材128の少なくとも一部がセパレータ層120’を構成する場合においても実現可能である。
すなわち、LDH結晶は図5に示されるような層状構造を持った板状粒子の形態を有することが知られているが、上記略垂直又は斜めの配向は、LDH含有セパレータ層(例えばLDH緻密膜)にとって極めて有利な特性である。というのも、配向されたLDH含有セパレータ層(例えば配向LDH緻密膜)には、LDH板状粒子が配向する方向(即ちLDHの層と平行方向)の水酸化物イオン伝導度が、これと垂直方向の伝導度よりも格段に高いという伝導度異方性があるためである。実際、本出願人は、LDHの配向バルク体において、配向方向における伝導度(S/cm)が配向方向と垂直な方向の伝導度(S/cm)と比べて1桁高いとの知見を得ている。すなわち、本態様のLDH含有セパレータ層における上記略垂直又は斜めの配向は、LDH配向体が持ちうる伝導度異方性を層厚方向(すなわちセパレータ層又は多孔質基材の表面に対して垂直方向)に最大限または有意に引き出すものであり、その結果、層厚方向への伝導度を最大限又は有意に高めることができる。その上、LDH含有セパレータ層は層形態を有するため、バルク形態のLDHよりも低抵抗を実現することができる。このような配向性を備えたLDH含有セパレータ層は、層厚方向に水酸化物イオンを伝導させやすくなる。その上、緻密化されているため、層厚方向への高い伝導度及び緻密性が望まれるセパレータに極めて適する。
特に好ましくは、LDH含有セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)においてLDH板状粒子が略垂直方向に高度に配向してなる。この高度な配向は、セパレータ層の表面をX線回折法により測定した場合に、(003)面のピークが実質的に検出されないか又は
(012)面のピークよりも小さく検出されることで確認可能なものである(但し、(012)面に起因するピークと同位置に回折ピークが観察される多孔質基材を用いた場合には、LDH板状粒子に起因する(012)面のピークを特定できないことから、この限りでない)。この特徴的なピーク特性は、セパレータ層を構成するLDH板状粒子がセパレータ層に対して略垂直方向(すなわち垂直方向又はそれに類する斜め方向、好ましくは垂直方向)に配向していることを示す。すなわち、(003)面のピークは無配向のLDH粉末をX線回折した場合に観察される最も強いピークとして知られているが、配向LDH含有セパレータ層にあっては、LDH板状粒子がセパレータ層に対して略垂直方向に配向していることで(003)面のピークが実質的に検出されないか又は(012)面のピークよりも小さく検出される。これは、(003)面が属するc軸方向(00l)面(lは3及び6である)がLDH板状粒子の層状構造と平行な面であるため、このLDH板状粒子がセパレータ層に対して略垂直方向に配向しているとLDH層状構造も略垂直方向を向くこととなる結果、セパレータ層表面をX線回折法により測定した場合に(00l)面(lは3及び6である)のピークが現れないか又は現れにくくなるからである。特に(003)面のピークは、それが存在する場合、(006)面のピークよりも強く出る傾向があるから、(006)面のピークよりも略垂直方向の配向の有無を評価しやすいといえる。したがって、配向LDH含有セパレータ層は、(003)面のピークが実質的に検出されないか又は(012)面のピークよりも小さく検出されるのが、垂直方向への高度な配向を示唆することから好ましいといえる。
セパレータ層は100μm以下の厚さを有するのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでセパレータの低抵抗化を実現できる。セパレータ層が多孔質基材上にLDH緻密膜として形成されるのが好ましく、この場合、セパレータ層の厚さはLDH緻密膜の厚さに相当する。また、セパレータ層が多孔質基材中に形成される場合には、セパレータ層の厚さは多孔質基材の少なくとも一部及びLDHからなる複合層の厚さに相当し、セパレータ層が多孔質基材上及び中にまたがって形成される場合にはLDH緻密膜と上記複合層の合計厚さに相当する。いずれにしても、上記のような厚さであると、電池用途等への実用化に適した所望の低抵抗を実現することができる。LDH配向膜の厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ等の機能膜として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
上述した多孔質基材付きLDHセパレータは、(1)多孔質基材を用意し、(2)マグネシウムイオン(Mg2+)及びアルミニウムイオン(Al3+)を0.20〜0.40mol/Lの合計濃度で含み、かつ、尿素を含んでなる原料水溶液に、多孔質基材を浸漬させ、(3)原料水溶液中で多孔質基材を水熱処理して、層状複水酸化物を含んでなるセパレータ層を多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に形成させることにより製造することができる。
(1)多孔質基材の用意
多孔質基材は、前述したとおりであり、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましい。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられ、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ及びジルコニアであり、最も好ましくはアルミナである。これらの多孔質セラミックスを用いるとLDH含有セパレータ層の緻密性を向上しやすい傾向がある。セラミックス材料製の多孔質基材を用いる場合、超音波洗浄、イオン交換水での洗浄等を多孔質基材に施すのが好ましい。
(2)原料水溶液への浸漬
次に、多孔質基材を原料水溶液に所望の向きで(例えば水平又は垂直に)浸漬させる。多孔質基材を水平に保持する場合は、吊るす、浮かせる、容器の底に接するように多孔質基材を配置すればよく、例えば、容器の底から原料水溶液中に浮かせた状態で多孔質基材を固定としてもよい。多孔質基材を垂直に保持する場合は、容器の底に多孔質基材を垂直に設置できるような冶具を置けばよい。いずれにしても、多孔質基材にLDHを略垂直方向又はそれに近い方向(すなわちLDH板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面(基材面)と略垂直に又は斜めに交差するような向きに)に成長させる構成ないし配置とするのが好ましい。原料水溶液は、マグネシウムイオン(Mg2+)及びアルミニウムイオン
(Al3+)を所定の合計濃度で含み、かつ、尿素を含んでなる。尿素が存在することで尿素の加水分解を利用してアンモニアが溶液中に発生することによりpH値が上昇し、共存する金属イオンが水酸化物を形成することによりLDHを得ることができる。また、加水分解に二酸化炭素の発生を伴うため、陰イオンが炭酸イオン型のLDHを得ることができる。原料水溶液に含まれるマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンの合計濃度(Mg2++Al3+)は0.20〜0.40mol/Lが好ましく、より好ましくは0.22〜0.38mol/Lであり、さらに好ましくは0.24〜0.36mol/L、特に好ましくは0.26〜0.34mol/Lである。このような範囲内の濃度であると核生成と結晶成長をバランスよく進行させることができ、配向性のみならず緻密性にも優れたLDH含有セパレータ層を得ることが可能となる。すなわち、マグネシウムイオン及びアルミニウムイオンの合計濃度が低いと核生成に比べて結晶成長が支配的となり、粒子数が減少して粒子サイズが増大する一方、この合計濃度が高いと結晶成長に比べて核生成が支配的となり、粒子数が増大して粒子サイズが減少するものと考えられる。
好ましくは、原料水溶液に硝酸マグネシウム及び硝酸アルミニウムが溶解されており、それにより原料水溶液がマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンに加えて硝酸イオンを含んでなる。そして、この場合、原料水溶液における、尿素の硝酸イオン(NO )に対するモル比(尿素/NO )が、2〜6が好ましく、より好ましくは4〜5である。
(3)水熱処理によるLDH含有セパレータ層の形成
そして、原料水溶液中で多孔質基材を水熱処理して、LDHを含んでなるセパレータ層を多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に形成させる。この水熱処理は密閉容器中、60〜150℃で行われるのが好ましく、より好ましくは65〜120℃であり、さらに好ましくは65〜100℃であり、特に好ましくは70〜90℃である。水熱処理の上限温度は多孔質基材(例えば高分子基材)が熱で変形しない程度の温度を選択すればよい。水熱処理時の昇温速度は特に限定されず、例えば10〜200℃/hであってよいが、好ましくは100〜200℃/hである、より好ましくは100〜150℃/hである。水熱処理の時間はLDH含有セパレータ層の目的とする密度と厚さに応じて適宜決定すればよい。
水熱処理後、密閉容器から多孔質基材を取り出し、イオン交換水で洗浄するのが好ましい。
上記のようにして製造されたLDH含有複合材料におけるLDH含有セパレータ層は、LDH板状粒子が高度に緻密化したものであり、しかも伝導に有利な略垂直方向に配向したものである。したがって、亜鉛デンドライト進展が実用化の大きな障壁となっているニッケル亜鉛二次電池に極めて好適といえる。
ところで、上記製造方法により得られるLDH含有セパレータ層は多孔質基材の両面に形成されうる。このため、LDH含有複合材料をセパレータとして好適に使用可能な形態とするためには、成膜後に多孔質基材の片面のLDH含有セパレータ層を機械的に削るか、あるいは成膜時に片面にはLDH含有セパレータ層が成膜できないような措置を講ずるのが望ましい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1(参考):多孔質基材付きLDHセパレータの作製及び評価
本例は、平板状の多孔質基材付きLDHセパレータの作製例である。したがって、本例で作製されるセパレータはセル容器型セパレータではないが、多孔質基材及びセパレータをセル容器型に形成することで、以下の作製例を参照しつつ本発明によるセル容器型セパレータを適宜作製することができる。
(1)多孔質基材の作製
ベーマイト(サソール社製、DISPAL 18N4−80)、メチルセルロース、及びイオン交換水を、(ベーマイト):(メチルセルロース):(イオン交換水)の質量比が10:1:5となるように秤量した後、混練した。得られた混練物を、ハンドプレスを用いた押出成形に付し、5cm×8cmを十分に超える大きさで且つ厚さ0.5cmの板状に成形した。得られた成形体を80℃で12時間乾燥した後、1150℃で3時間焼成して、アルミナ製多孔質基材を得た。こうして得られた多孔質基材を5cm×8cmの大きさに切断加工した。
得られた多孔質基材について、画像処理を用いた手法により、多孔質基材表面の気孔率を測定したところ、24.6%であった。この気孔率の測定は、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察して多孔質基材表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]
の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とすることにより行った。この気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われた。なお、図6に多孔質基材表面のSEM画像を示す。
また、多孔質基材の平均気孔径を測定したところ約0.1μmであった。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行った。この測定に用いた電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得た。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能を用いた。
(2)多孔質基材の洗浄
得られた多孔質基材をアセトン中で5分間超音波洗浄し、エタノール中で2分間超音波洗浄、その後、イオン交換水中で1分間超音波洗浄した。
(3)原料水溶液の作製
原料として、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO、関東化学株式会社製)、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO、関東化学株式会社製)、及び尿素((NHCO、シグマアルドリッチ製)を用意した。カチオン比(Mg2+/Al3+)が2となり且つ全金属イオンモル濃度(Mg2++Al3+)が0.320mol/Lとなるように、硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物を秤量してビーカーに入れ、そこにイオン交換水を加えて全量を600mlとした。得られた溶液を攪拌した後、溶液中に尿素/NO =4の割合で秤量した尿素を加え、更に攪拌して原料水溶液を得た。
(4)水熱処理による成膜
テフロン(登録商標)製密閉容器(内容量800ml、外側がステンレス製ジャケット)に上記(3)で作製した原料水溶液と上記(2)で洗浄した多孔質基材を共に封入した。このとき、基材はテフロン(登録商標)製密閉容器の底から浮かせて固定し、基材両面に溶液が接するように水平に設置した。その後、水熱温度70℃で168時間(7日間)水熱処理を施すことにより基材表面に層状複水酸化物配向膜(セパレータ層)の形成を行った。所定時間の経過後、基材を密閉容器から取り出し、イオン交換水で洗浄し、70℃で10時間乾燥させて、層状複水酸化物(以下、LDHという)の緻密膜(以下、膜試料という)を基材上に得た。得られた膜試料の厚さは約1.5μmであった。こうして、層状複水酸化物含有複合材料試料(以下、複合材料試料という)を得た。なお、LDH膜は多孔質基材の両面に形成されていたが、セパレータとして形態を複合材料に付与するため、多孔質基材の片面のLDH膜を機械的に削り取った。
(5)各種評価
(5a)膜試料の同定
X線回折装置(リガク社製 RINT TTR III)にて、電圧:50kV、電流値:300mA、測定範囲:10〜70°の測定条件で、膜試料の結晶相を測定したところ、図7に示されるXRDプロファイルが得られた。得られたXRDプロファイルについて、JCPDSカードNO.35−0964に記載される層状複水酸化物(ハイドロタルサイト類化合物)の回折ピークを用いて同定した。その結果、膜試料は層状複水酸化物(LDH、ハイドロタルサイト類化合物)であることが確認された。なお、図7に示されるXRDプロファイルにおいては、膜試料が形成されている多孔質基材を構成するアルミナに起因するピーク(図中で○印が付されたピーク)も併せて観察されている。
(5b)微構造の観察
膜試料の表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察した。得られた膜試料の表面微構造のSEM画像(二次電子像)を図8に示す。
また、複合材料試料の断面をCP研磨によって研磨して研磨断面を形成し、この研磨断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察した。こうして得られた複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像を図9に示す。
(5c)気孔率の測定
膜試料について、画像処理を用いた手法により、膜の表面の気孔率を測定した。この気孔率の測定は、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察して膜の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とすることにより行った。この気孔率の測定は配向膜表面の6μm×6μmの領域について行われた。その結果、膜の表面の気孔率は19.0%であった。また、この膜表面の気孔率を用いて、膜表面から見たときの密度D(以下、表面膜密度という)をD=100%−(膜表面の気孔率)により算出したところ、81.0%であった。
また、膜試料について、研磨断面の気孔率についても測定した。この研磨断面の気孔率についても測定は、上記(5b)に示される手順に従い膜の厚み方向における断面研磨面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得したこと以外は、上述の膜表面の気孔率と同様にして行った。この気孔率の測定は配向膜断面の膜部分について行われた。こうして膜試料の断面研磨面から算出した気孔率は平均で3.5%(3箇所の断面研磨面の平均値)であり、多孔質基材上でありながら非常に高密度な膜が形成されていることが確認された。
(5d)緻密性判定試験I
膜試料が透水性を有しない程の緻密性を有することを確認すべく、緻密性判定試験を以下のとおり行った。まず、図10Aに示されるように、上記(1)において得られた複合材料試料220(1cm×1cm平方に切り出されたもの)の膜試料側に、中央に0.5cm×0.5cm平方の開口部222aを備えたシリコンゴム222を接着し、得られた積層物を2つのアクリル製容器224,226で挟んで接着した。シリコンゴム222側に配置されるアクリル製容器224は底が抜けており、それによりシリコンゴム222はその開口部222aが開放された状態でアクリル製容器224と接着される。一方、複合材料試料220の多孔質基材側に配置されるアクリル製容器226は底を有しており、その容器226内にはイオン交換水228が入っている。この時、イオン交換水にAl及び/又はMgを溶解させておいてもよい。すなわち、組み立て後に上下逆さにすることで、複合材料試料220の多孔質基材側にイオン交換水228が接するように各構成部材が配置されてなる。これらの構成部材等を組み立て後、総重量を測定した。これらの構成部材等を組み立て後、総重量を測定した。なお、容器226には閉栓された通気穴(図示せず)が形成されており、上下逆さにした後に開栓されることはいうまでもない。図10Bに示されるように組み立て体を上下逆さに配置して25℃で1週間保持した後、総重量を再度測定した。このとき、アクリル製容器224の内側側面に水滴が付着している場合には、その水滴を拭き取った。そして、試験前後の総重量の差を算出することにより緻密度を判定した。その結果、25℃で1週間保持した後においても、イオン交換水の重量に変化は見られなかった。このことから、膜試料(すなわち機能膜)は透水性を有しない程に高い緻密性を有することが確認された。
(5e)緻密性判定試験II
膜試料が通気性を有しない程の緻密性を有することを確認すべく、緻密性判定試験を以下のとおり行った。まず、図11A及び11Bに示されるように、蓋の無いアクリル容器230と、このアクリル容器230の蓋として機能しうる形状及びサイズのアルミナ治具232とを用意した。アクリル容器230にはその中にガスを供給するためのガス供給口230aが形成されている。また、アルミナ治具232には直径5mmの開口部232aが形成されており、この開口部232aの外周に沿って膜試料載置用の窪み232bが形成されてなる。アルミナ治具232の窪み232bにエポキシ接着剤234を塗布し、この窪み232bに複合材料試料236の膜試料236b側を載置してアルミナ治具232に気密かつ液密に接着させた。そして、複合材料試料236が接合されたアルミナ治具232を、アクリル容器230の開放部を完全に塞ぐようにシリコーン接着剤238を用いて気密かつ液密にアクリル容器230の上端に接着させて、測定用密閉容器240を得た。この測定用密閉容器240を水槽242に入れ、アクリル容器230のガス供給口230aを圧力計244及び流量計246に接続して、ヘリウムガスをアクリル容器230内に供給可能に構成した。水槽242に水243を入れて測定用密閉容器240を完全に水没させた。このとき、測定用密閉容器240の内部は気密性及び液密性が十分に確保されており、複合材料試料236の膜試料236b側が測定用密閉容器240の内部空間に露出する一方、複合材料試料236の多孔質基材236a側が水槽242内の水に接触している。この状態で、アクリル容器230内にガス供給口230aを介してヘリウムガスを測定用密閉容器240内に導入した。圧力計244及び流量計246を制御して膜試料236b内外の差圧が0.5atmとなる(すなわちヘリウムガスに接する側に加わる圧力が反対側に加わる水圧よりも0.5atm高くなる)ようにして、複合材料試料236から水中にヘリウムガスの泡が発生するか否かを観察した。その結果、ヘリウムガスに起因する泡の発生は観察されなかった。よって、膜試料236bは通気性を有しない程に高い緻密性を有することが確認された。
例2(参考):ニッケル亜鉛二次電池の作製及び評価
本例は、平板状の多孔質基材付きLDHセパレータを用いたニッケル亜鉛二次電池の参考例である。したがって、本例で作製される電池はセル容器型セパレータを備えた電池ではないが、セル容器型に形成された多孔質基材及びセパレータを用い且つその形状に適合するように正極板及び負極板を配設することで、以下の作製例を必要に応じて参照しつつ本発明による電池を適宜作製することができる。
(1)多孔質基材付きセパレータの用意
例1と同様の手順により、多孔質基材付きセパレータとして、アルミナ基材上ハイドロタルサイト膜(サイズ:5cm×8cm)を用意した。
(2)正極板の作製
亜鉛及びコバルトを固溶体となるように添加した水酸化ニッケル粒子を用意した。この水酸化ニッケル粒子を水酸化コバルトで被覆して正極活物質を得た。得られた正極活物質と、カルボキシメチルセルロースの2%水溶液とを混合してペーストを調製した。正極活物質の多孔度が50%となるように、多孔度が約95%のニッケル金属多孔質基板からなる集電体に上記得られたペーストを均一に塗布して乾燥し、活物質部分が5cm×5cmの領域にわたって塗工された正極板を得た。このとき、4Ah相当の水酸化ニッケル粒子が活物質中に含まれるように塗工量を調整した。
(3)負極板の作製
銅パンチングメタルからなる集電体上に、酸化亜鉛粉末80重量部、亜鉛粉末20重量部及びポリテトラフルオロエチレン粒子3重量部からなる混合物を塗布して、多孔度約50%で、活物質部分が5cm×5cmの領域にわたって塗工された負極板を得た。このとき、正極板容量の4Ah相当の酸化亜鉛粉末が活物質中に含まれるように塗工量を調整した。
(4)電池の組み立て
上記得られた正極板、負極板、及び多孔質基材付きセパレータを用いて、ニッケル亜鉛二次電池を以下のような手順で組み立てた。
まず、ケース上蓋が外されたABS樹脂製の直方体ケース本体を用意した。このケース本体の中央付近に多孔質基材付きセパレータ(アルミナ基材上ハイドロタルサイト膜)を挿入し、その3辺をエポキシ樹脂系接着剤(セメダイン社製、EP008)を用いてケース本体の内壁に固定した(本発明によるセル容器型セパレータを用いた場合にはこの3辺の接着が不要となる)。正極板及び負極板を正極室及び負極室にそれぞれ挿入した。このとき、正極集電体及び負極集電体がケース本体内壁に接するような向きで正極板及び負極板を配置した。正極室に、正極活物質塗工部分が十分に隠れる量の6mol/LのKOH水溶液を電解液として注液した。一方、負極室には、負極活物質塗工部分が十分に隠れるだけでなく、充電時に減少することが見込まれる水分量を考慮した過剰量の6mol/LのKOH水溶液を電解液として注液した。正極集電体及び負極集電体の端子部をそれぞれケース上部の外部端子と接続した。ケース上蓋を熱融着でケース本体に固定して、電池ケース容器を密閉化した。こうしてニッケル亜鉛二次電池を得た。なお、この電池においては、セパレータのサイズが幅5cm×高さ8cmであり、かつ、正極板及び負極板の活物質塗工部分のサイズが幅5cm×高さ5cmであるため、正極室及び負極室の上部3cm相当の空間が正極側余剰空間及び負極側余剰空間といえる。
(5)評価
作製したニッケル亜鉛二次電池に対して、設計容量4Ahの0.1C相当の0.4mAの電流で10時間定電流充電を実施した。充電後、ケースの変形や電解液の漏れは観察されなかった。充電により、正極室電解液が増加し、負極室電解液が減少したものの、負極活物質塗工部分には十分な電解液があり、充放電を通して、塗工した正極活物質及び負極活物質が、十分な充放電反応を起こす電解液をケース内に保持できていた。多孔質基材付きセパレータはABS樹脂製の直方体ケース本体に良好な接着状態で接合が保持されていた。
10 ニッケル亜鉛電池
12 正極
13 正極集電体
16 負極
17 負極集電体
20 セパレータ
22 密閉容器
24 正極室
26 負極室
120 セパレータ層
128 多孔質基材

Claims (17)

  1. 水酸化ニッケル及び/又はオキシ水酸化ニッケルを含んでなる正極と、
    前記正極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物を含んでなる正極電解液と、
    亜鉛及び/又は酸化亜鉛を含んでなる負極と、
    前記負極が浸漬される、アルカリ金属水酸化物を含んでなる負極電解液と、
    前記正極、前記正極電解液、前記負極、及び前記負極電解液を収容する密閉容器と、
    前記密閉容器内に、前記正極及び前記正極電解液を収容する正極室と、前記負極及び前記負極電解液を収容する負極室とを区画するように設けられ、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性を有しないセパレータと、
    を備えてなるニッケル亜鉛電池であって、
    前記セパレータがセル容器の形状を有するセル容器型セパレータであり、それにより、前記セル容器型セパレータ内に前記負極及び前記負極電解液が収容され且つ前記セル容器型セパレータ外の前記密閉容器内に前記正極及び前記正極電解液が収容されるか、又は前記セル容器型セパレータ内に前記正極及び前記正極電解液が収容され且つ前記セル容器型セパレータ外の前記密閉容器内に前記負極及び前記負極電解液が収容される、ニッケル亜鉛電池。
  2. 前記セル容器型セパレータが、袋管状、筒状、箱状又は袋状の形状を有する、請求項1に記載のニッケル亜鉛電池。
  3. 前記セル容器型セパレータ内に前記負極及び前記負極電解液が収容され且つ前記セル容器型セパレータ外の前記密閉容器内に前記正極及び前記正極電解液が収容される、請求項1又は2に記載のニッケル亜鉛電池。
  4. 前記正極室に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間を有し、かつ、前記負極室に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  5. 前記セル容器型セパレータが縦に設けられ、前記正極室がその上方に前記正極側余剰空間を有し、かつ、前記負極室がその上方に前記負極側余剰空間を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  6. 前記セル容器型セパレータが無機固体電解質体からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  7. 前記無機固体電解質体が90%以上の相対密度を有する、請求項6に記載のニッケル亜鉛電池。
  8. 前記無機固体電解質体が、一般式:
    2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mH
    (式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1〜0.4であり、mは0以上である)
    の基本組成を有する層状複水酸化物からなる、請求項6又は7に記載のニッケル亜鉛電池。
  9. 前記一般式において、M2+がMg2+を含み、M3+がAl3+を含み、An−がOH及び/又はCO 2−を含む、請求項7に記載のニッケル亜鉛電池。
  10. 前記無機固体電解質体が、板状、膜状又は層状の形態を有する、請求項6〜9のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  11. 前記セル容器型セパレータの片面又は両面に、前記セル容器型セパレータと適合したセル容器形状を有するセル容器型多孔質基材をさらに備えた、請求項1〜10のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  12. 前記セル容器型セパレータの前記正極側の面に、前記セル容器型セパレータと適合したセル容器形状を有するセル容器型多孔質基材をさらに備えた、請求項1〜9のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  13. 前記無機固体電解質体が膜状又は層状の形態であり、該膜状又は層状の無機固体電解質体が前記多孔質基材上又はその中に形成されたものである、請求項11又は12に記載のニッケル亜鉛電池。
  14. 前記無機固体電解質体が水熱処理によって緻密化されたものである、請求項6〜13のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  15. 前記アルカリ金属水酸化物が水酸化カリウムである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  16. 前記ニッケル亜鉛電池が、前記正極に接触して設けられる正極集電体と、前記負極に接触して設けられる負極集電体とをさらに備えてなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。
  17. 前記密閉容器内に複数個の前記セル容器型セパレータが互いに離間されて配設され、該複数個の前記セル容器型セパレータの各々に前記負極及び前記負極電解液、又は前記正極及び前記正極電解液が収容されてなる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のニッケル亜鉛電池。

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