JP6587837B2 - ニッケル電池 - Google Patents

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Description

本発明はニッケル電池に関するものであり、具体的にはニッケル−水素電池及びニッケル−カドミウム電池に関する。
正極にニッケル化合物を用いる電池として、ニッケル−水素電池(Ni−MH)及びニッケル−カドミウム電池(Ni−Cd)が広く使用されている。ニッケル−水素電池及びニッケル−カドミウム電池の放電反応は以下に示されるとおりであり、充電反応はその逆である。いずれの反応も水酸化物イオンが関与するものである。なお、以下の式において、MHは水素吸蔵合金を表す。
<ニッケル−水素電池>
正極: NiOOH+HO+e→Ni(OH)+OH
負極: MH+OH→M+HO+e
<ニッケル−カドミウム電池>
正極: NiOOH+HO+e→Ni(OH)+OH
負極: Cd+2OH→Cd(OH)+2e
しかしながら、ニッケル−水素電池及びニッケル−カドミウム電池では自己放電が生じうるとの問題がある。そこで、自己放電を低減するための様々な手法が提案されている。例えば、特許文献1(特開2014−182978号公報)には、ニッケル−水素電池において樹脂系セパレータの加水分解による分解生成物が自己放電を促進するという技術的課題が記載されるとともに、劣化を抑制し且つ自己放電の少ない電池用セパレータを提供すべく、スルホン化処理後のポリオレフィン系複合繊維表面に窒素元素を含有しない酸化防止剤を付着させることが開示されている。特許文献2(特開2004−55494号公報)には、水素吸蔵合金からのアルミニウムイオンの溶出による自己放電の発生を抑制すべく、負極にアルミニウムと錯体を形成する錯形成剤を添加したニッケル−水素電池が開示されている。特許文献3(特開平10−284040号公報)には、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池等に用いられるポリオレフィン系不織布セパレータが開示されており、ポリオレフィン系不織布セパレータに使用する非イオン系界面活性剤の電解液への溶出に起因する自己放電を抑制すべく界面活性剤の使用量を所定量以下にすることが提案されている。このように、ニッケル−水素電池及びニッケル−カドミウム電池において、従来使用されているセパレータ自身の分解生成物や、負極からの金属イオンの溶出に起因する、セパレータ絶縁性の低下が自己放電の主要因とされている。
ところで、ハイドロタルサイトに代表される層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide)(以下、LDHという)は、水酸化物の層と層の間に交換可能な陰イオンを有する物質群であり、その特徴を活かして、触媒や吸着剤、あるいは耐熱性向上のための高分子中の分散剤等として利用されている。また、近年、水酸化物イオンを伝導する材料として注目され、アルカリ型燃料電池の電解質や亜鉛空気電池の触媒層への添加についても検討されている。例えば、特許文献4(WO2014/156578A1)には、一般式:M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4である)で示される層状複水酸化物を主相とし、88%以上の相対密度を有する、層状複水酸化物緻密体が開示されている。
特開2014−182978号公報 特開2004−55494号公報 特開平10−284040号公報 WO2014/156578A1
本発明者らは、今般、ニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池において水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスセパレータを採用することにより、自己放電を大幅に低減できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、自己放電を大幅に低減可能なニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池を提供することにある。
本発明の一態様によれば、ニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池であるニッケル電池であって、
オキシ水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを含む正極と、
水素吸蔵合金又はカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含む負極と、
前記正極及び前記負極が浸漬又は接触されるアルカリ電解液と、
前記正極と前記負極の間に配置されて前記正極及び前記負極を互いに隔離する、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスセパレータと、
を備えた、ニッケル電池が提供される。
本発明によるニッケル電池の一例を模式的に示す概念図である。 多孔質基材付きセパレータの一態様を示す模式断面図である。 多孔質基材付きセパレータの他の一態様を示す模式断面図である。 層状複水酸化物(LDH)板状粒子を示す模式図である。 例1で作製したアルミナ製多孔質基材の表面のSEM画像である。 例1において試料の結晶相に対して得られたXRDプロファイルである。 例1において観察された膜試料の表面微構造を示すSEM画像である。 例1において観察された複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像である。 例1で使用された緻密性判別測定系の分解斜視図である。 例1で使用された緻密性判別測定系の模式断面図である。 例1の緻密性判定試験IIで使用された測定用密閉容器の分解斜視図である。 例1の緻密性判定試験IIで使用された測定系の模式断面図である。
ニッケル電池
本発明は、ニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池であるニッケル電池に関するものであり、好ましくはニッケル二次電池である。したがって、本明細書では、便宜上、ニッケル−水素電池及びニッケル−カドミウム電池をニッケル電池と総称しているが、本明細書におけるニッケル亜鉛電池にはニッケル−亜鉛電池は含めないものとする。図1に本発明によるニッケル電池の一例が模式的に示される。図1に示されるように、本発明によるニッケル電池10は、正極12と、負極14と、アルカリ電解液16と、セパレータ18とを備えてなる。正極12は、オキシ水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを含んでなる。負極14は、水素吸蔵合金又はカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含んでなる。すなわち、ニッケル電池10がニッケル−水素電池である場合には、負極14は水素吸蔵合金を含む一方、ニッケル電池10がニッケル−カドミウム電池である場合には、負極14はカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含む。アルカリ電解液16には、正極12及び負極14が浸漬又は接触される。セパレータ18は、正極12と負極14の間に配置されて正極12及び負極14を互いに隔離する。そして、本発明のニッケル電池10においては、セパレータ18として、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスセパレータを採用する。すなわち、前述したとおり、ニッケル−水素電池及びニッケル−カドミウム電池の充放電反応には水酸化物イオンが関与するため、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスセパレータを採用することでニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池においてセパレータとしての基本的性能を確保することができる。その上、セパレータ18をセラミックスで構成することで、ニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池において、自己放電を大幅に低減することができる。すなわち、前述したように、ニッケル−水素電池及びニッケル−カドミウム電池では、従来使用されているセパレータ自身の分解生成物や、負極からの金属イオンの溶出に起因する、セパレータ絶縁性の低下が自己放電の主要因とされているが、本発明のニッケル電池10では、セラミックスセパレータ18を採用することで、セパレータ自身や界面活性剤からの分解生成物は一切発生しない。また、負極14から金属イオンが溶出しても、セラミックスセパレータ18の絶縁性が低下することも一切無い。しかも、負極14から溶出したイオンは、セラミックスセパレータ18によって正極12側への移動が阻止されるため、正極12に到達することは無い。こうして、セラミックスセパレータ18の採用により、自己放電を大幅に抑制することが可能となる。
セラミックスセパレータ18は、正極12と負極14の間に配置されて正極12及び負極14を互いに隔離する、水酸化物イオン伝導性を有する部材であり、典型的には板状、膜状又は層状の形態である。典型的には、図1に示されるように、セラミックスセパレータ18は、密閉容器22内に、正極12及び正極電解液16aを収容する正極室24と、負極14及び負極電解液16bを収容する負極室26とを区画するように設けられる。特に、セラミックスセパレータ18は透水性を有しないのが好ましい。なお、本明細書において「透水性を有しない」とは、後述する例1で採用される「緻密性判定試験I」又はそれに準ずる手法ないし構成で透水性を評価した場合に、測定対象物(例えばLDH膜及び/又は多孔質基材)の一面側に接触した水が他面側に透過しないことを意味する。すなわち、セパレータ18が透水性を有しないということは、セパレータ18が水を通さない程の高度な緻密性を有することを意味し、透水性を有する多孔性フィルムやその他の多孔質材料(例えば樹脂系の不織布セパレータ)ではないことを意味する。このため、セパレータ自身や界面活性剤からの分解生成物が一切発生しないのは勿論のこと、負極14から溶出する金属イオンに起因する上述の問題(すなわちセラミックスセパレータ18の絶縁性の低下や金属イオンの正極12への到達)もより一層確実に解消することができる。このように、自己放電の主要因をより一層確実に除去できる結果、自己放電の大幅な低減をより効果的に実現可能となる。もっとも、図1に示されるようにセパレータ18に多孔質基材20が付設されてよいのはいうまでもない。いずれにしても、セパレータ18は水酸化物イオン伝導性を有するため、正極12側の電解液16(以下、正極電解液16aという)と負極14側の電解液16(以下、負極電解液16bという)の間で必要な水酸化物イオンの効率的な移動を可能として正極12及び負極14における充放電反応を実現することができる。
セラミックスセパレータ18は無機固体電解質体からなるのが好ましい。セパレータ18として水酸化物イオン伝導性の無機固体電解質体を用いることで、正負極間の電解液を隔離するとともに水酸化物イオン伝導性を確保する。無機固体電解質体は透水性を有しない程にまで緻密化されていることが望まれる。例えば、無機固体電解質体は、アルキメデス法で算出して、90%以上の相対密度を有するのが好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上であるが、所望の自己放電抑制効果が得られるかぎり、これに限定されない。このような緻密で硬い無機固体電解質体は水熱処理を経て製造することが可能である。したがって、水熱処理を経ていない単なる圧粉体は、緻密でなく、溶液中で脆いことから本発明の無機固体電解質体として好ましくない。もっとも、水熱処理を経たものでなくても、緻密で硬い無機固体電解質体が得られるかぎりにおいて、あらゆる製法が採用可能である。
セパレータ18ないし無機固体電解質体は、水酸化物イオン伝導性を有する無機固体電解質を含んで構成される粒子群と、これら粒子群の緻密化や硬化を助ける補助成分との複合体であってもよい。あるいは、セパレータ18は、基材としての開気孔性の多孔質体と、この多孔質体の孔を埋めるように孔中に析出及び成長させた無機固体電解質(例えば層状複水酸化物)との複合体であってもよい。この多孔質体を構成する物質の例としては、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスや、発泡樹脂又は繊維状物質からなる多孔性シート等の絶縁性の物質が挙げられる。
無機固体電解質体は、一般式:M2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1〜0.4であり、mは0以上である)の基本組成を有する層状複水酸化物(LDH)を含んでなるのが好ましく、より好ましくはそのようなLDHからなる。上記一般式において、M2+は任意の2価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはMg2+、Ca2+及びZn2+が挙げられ、より好ましくはMg2+である。M3+は任意の3価の陽イオンでありうるが、好ましい例としてはAl3+又はCr3+が挙げられ、より好ましくはAl3+である。An−は任意の陰イオンでありうるが、好ましい例としてはOH及びCO 2−が挙げられる。したがって、上記一般式において、M2+がMg2+を含み、M3+がAl3+を含み、An−がOH及び/又はCO 2−を含むのが好ましい。nは1以上の整数であるが、好ましくは1又は2である。xは0.1〜0.4であるが、好ましくは0.2〜0.35である。また、上記一般式においてM3+の一部または全部を4価またはそれ以上の価数の陽イオンで置き換えてもよく、その場合は、上記一般式における陰イオンAn−の係数x/nは適宜変更されてよい。mは水のモル数を意味する任意の数であり、0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数ないし整数である。
無機固体電解質体は水熱処理によって緻密化されたものであるのが好ましい。水熱処理は、層状複水酸化物、とりわけMg−Al型層状複水酸化物の一体緻密化に極めて有効である。水熱処理による緻密化は、例えば、耐圧容器に純水と板状の圧粉体を入れ、120〜250℃、好ましくは180〜250℃の温度、2〜24時間、好ましくは3〜10時間で行うことができる。もっとも、水熱処理を用いたより好ましい製造方法については後述するものとする。
無機固体電解質体は、板状、膜状又は層状のいずれの形態であってもよく、膜状又は層状の形態である場合、膜状又は層状の無機固体電解質体が多孔質基材上又はその中に形成されたものであるのが好ましい。板状の形態であると十分な堅さを確保することができる。一方、板状よりも厚さが薄い膜状又は層状の形態であると必要最低限の堅さを確保しながらセパレータの抵抗を有意に低減できるとの利点がある。板状の無機固体電解質体の好ましい厚さは、0.01〜0.5mmであり、より好ましくは0.02〜0.2mm、さらに好ましくは0.05〜0.1mmである。また、無機固体電解質体の水酸化物イオン伝導度は高ければ高い方が望ましいが、典型的には10−4〜10−1S/mの伝導度を有する。一方、膜状又は層状の形態の場合には、厚さが100μm以下であるのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでセパレータ18の低抵抗化を実現できる。厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ膜ないし層として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
セラミックスセパレータの片面又は両面に多孔質基材20を設けてもよい。セパレータ18の片面に多孔質基材20が設けられる場合、多孔質基材20はセパレータ18の負極14側の面に設けてもよいし、セパレータ18の正極12側の面に設けてもよい。多孔質基材20は透水性を有し、それ故、電解液16(すなわち正極電解液16a及び負極電解液16b)がセパレータ18に到達可能であることはいうまでもないが、多孔質基材20があることでセパレータ18上により安定に水酸化物イオンを保持することも可能となる。また、多孔質基材20により強度を付与できるため、セパレータ18を薄くして低抵抗化を図ることもできる。また、多孔質基材20上又はその中に無機固体電解質体(好ましくはLDH)の緻密膜ないし緻密層を形成することもできる。セパレータ18の片面に多孔質基材を設ける場合には、多孔質基材を用意して、この多孔質基材に無機固体電解質を成膜する手法が考えられる(この手法については後述する)。一方、セパレータ18の両面に多孔質基材を設ける場合には、2枚の多孔質基材の間に無機固体電解質の原料粉末を挟んで緻密化を行うことが考えられる。なお、図1において多孔質基材20はセパレータ18の片面の全面にわたって設けられているが、セパレータ18の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ設ける構成としてもよい。例えば、多孔質基材20上又はその中に無機固体電解質体を膜状又は層状に形成した場合、その製法に由来して、セパレータ18の片面の全面にわたって多孔質基材20が設けられた構成になるのが典型的である。一方、無機固体電解質体を(基材を必要としない)自立した板状に形成した場合には、セパレータ18の片面の一部(例えば充放電反応に関与する領域)にのみ多孔質基材20を後付けしてもよいし、片面の全面にわたって多孔質基材20を後付けしてもよい。
正極12はオキシ水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを含んでなる。例えば、ニッケル電池を放電末状態で構成する場合には正極12として水酸化ニッケルを用いればよく、満充電状態で構成する場合には正極12としてオキシ水酸化ニッケルを用いればよい。オキシ水酸化ニッケル及び水酸化ニッケルは、ニッケル電池に一般的に用いられている正極活物質であり、粒子形態を始め公知の種々の形態であることができる。正極12は電解液等をさらに含むことにより正極合材として構成されてもよい。正極合剤は、水酸化ニッケル系化合物粒子、電解液、並びに所望により炭素粒子等の導電材やバインダー等を含んでなることができる。正極12には所望により正極集電体12aが更に設けられる。正極集電体12aが正極端子13に接続されてもよいし、正極集電体12aが密閉容器22を貫通して外部に延出していてもよい。
負極14は、水素吸蔵合金又はカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含む。すなわち、ニッケル電池がニッケル−水素電池である場合には、負極が水素吸蔵合金を含む一方、ニッケル電池がニッケル−カドミウム電池である場合には、負極がカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含む。負極14はゲル状に構成してもよいし、電解液と混合して負極合材としてもよい。例えば、負極活物質に電解液及び増粘剤を添加することにより容易にゲル化した負極を得ることができる。負極14には所望により負極集電体14aが更に設けられ、負極端子15に接続されていてもよいし、負極集電体14aが密閉容器22を貫通して外部に延出していてもよい。
正極12及び負極14はアルカリ電解液16に浸漬又は接触される。アルカリ電解液16はアルカリ金属水酸化物の水溶液であるのが好ましい。アルカリ金属水酸化物の例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等が挙げられるが、水酸化カリウムがより好ましい。前述のとおり、正極電解液16a及び負極電解液16bは正極12及び/又は負極14と混合させて正極合材及び/又は負極合材の形態で存在させてもよい。また、電解液の漏洩を防止するために電解液をゲル化してもよい。
密閉容器22は、正極12、負極14、電解液16及びセパレータ18を密閉収容する容器であり、樹脂製であるのが好ましい。樹脂製容器を構成する樹脂は水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有する樹脂であるのが好ましく、より好ましくはポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、又は変性ポリフェニレンエーテルであり、さらに好ましくはABS樹脂又は変性ポリフェニレンエーテルである。密閉容器22は蓋で閉じられた形態において、液密性(好ましくは液密性及び気密性)を有する構造を有するのが好ましい。密閉容器22にはセパレータ18が様々な手法で固定されてよいが、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物に対する耐性を有する接着剤により固定されるのが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂製の密閉容器22を用いた場合には熱融着によるセパレータ18の固定も好ましい。
ニッケル電池10は、正極室24に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間24aを有し、且つ/又は、負極室26に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間26aを有するのが好ましい。これにより正極室24及び/又は負極室26における水分量の増減に伴う不具合(例えば、液漏れ、容器内圧の変化に伴う容器の変形等)を効果的に防止して、ニッケル電池の信頼性を更に向上することができる。すなわち、前述したニッケル−水素電池の反応式から分かるように、充電時には正極室24で水が増加する一方、負極室26で水が減少する。一方、放電時には正極室24で水が減少する一方、負極室26で水が増加する。ただし、ニッケル−カドミウム電池の場合は、前述した反応式から分かるように、正極室24でのみ水の増減が発生しうる。いずれにせよ、従来の殆どのセパレータは、透水性を有するものであるため、セパレータを介して水が自由に行き来できる。しかしながら、本発明に用いるセパレータ18は透水性を有しないという緻密性の高い構造を有するため、セパレータ18を介して水が自由に行き来できず、充放電に伴い正極室24内及び/又は負極室26内において電解液量が一方的に増大して液漏れ等の不具合を引き起こしうる。そこで、正極室24に充放電時の正極反応に伴う水分量の増減を許容する容積の正極側余剰空間24aを有することで、充電時において正極電解液16aの増加に対処可能なバッファとして機能させることができる。すなわち、満充電後においても正極側余剰空間24aがバッファとして機能することで、増量した正極電解液16aを溢れ出させることなく確実に正極室24内に保持することができる。同様に、ニッケル−水素電池の場合、負極室26に充放電時の負極反応に伴う水分量の減増を許容する容積の負極側余剰空間26aを有することで、放電時に負極電解液16bの増加に対処可能なバッファとして機能させることができる。
正極室24及び負極室26における水分の増減量は、前述した反応式に基づいて算出することができる。正極側余剰空間24aの容積は、正極室24において見込まれる水分増加量のみならず、正極室24に予め存在している空気等のガスを適切な内圧で収容できるように若干ないしある程度余裕を持たせた容積とするのが好ましい。この点、負極側余剰空間26aは、ニッケル−水素電池の場合、正極側余剰空間24aと同程度の容積とすれば十分であるとはいえるが、放電末状態で電池を構成する際には充電に伴う水の減少量を超える余剰空間を設けておくことが望まれる。
例えば、ニッケル−水素電池が放電末状態で構築される場合には、正極側余剰空間24aが、充電時の正極反応に伴い増加することが見込まれる水分量を超える容積を有し、正極側余剰空間24aには正極電解液16aが予め充填されておらず、かつ、負極側余剰空間26aが、充電時の負極反応に伴い減少することが見込まれる水分量を超える容積を有し、負極側余剰空間26aには減少することが見込まれる量の負極電解液16bが予め充填されているのが好ましい。一方、ニッケル−水素電池が満充電状態で構築される場合には、正極側余剰空間24aが、放電時の正極反応に伴い減少することが見込まれる水分量を超える容積を有し、正極側余剰空間24aには減少することが見込まれる量の正極電解液16aが予め充填されており、かつ、負極側余剰空間26aが、放電時の負極反応に伴い増加することが見込まれる水分量を超える容積を有し、負極側余剰空間26aには負極電解液16bが予め充填されていないのが好ましい。一方、ニッケル−カドミウム電池の場合には、負極室26での水分の増減が無いため、正極側余剰空間24aについてのみ上記同様に設計すればよい。
正極側余剰空間24aには正極12が充填されておらず且つ/又は負極側余剰空間26aには負極14が充填されていないのが好ましく、正極側余剰空間24a及び(存在する場合には)負極側余剰空間26aに正極12及び負極14がそれぞれ充填されていないのがより好ましい。これらの余剰空間においては充放電時に水分量の減少による電解液の枯渇が起こりうる。すなわち、これらの余剰空間に正極12や負極14が充填されていても充放電反応に十分に関与させることができないため、非効率となる。したがって、正極側余剰空間24a及び負極側余剰空間26aに正極12及び負極14をそれぞれ充填させないことで、正極12及び負極14を無駄無くより効率的且つ安定的に電池反応に関与させることができる。
本発明のニッケル電池は、セパレータが縦に設けられた縦型構造に構成されるのが好ましい。セパレータが縦に設けられる場合、正極室/セパレータ/負極室が横方向(水平方向)に並ぶ構成となる。この場合、図1に示されるように、正極室24がその上方に正極側余剰空間24aを有し、かつ、負極室26がその上方に負極側余剰空間26aを有するのが好ましい。もっとも、ゲル状の電解液を使用した場合には、電解液の減少にも関わらず正極室24及び/又は負極室26の充放電反応部分に電解液を保持可能となるため、正極室24の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)及び/又は負極室26の上方以外の部分(例えば側方部分や下方部分)に正極側余剰空間24a及び/又は負極側余剰空間26aを設けることも可能となり、設計の自由度が増加する。
あるいは、本発明のニッケル電池は、セパレータが横に設けられた横型構造に構成されてもよい。セパレータが横に設けられる場合、正極室/セパレータ/負極室が縦方向(鉛直方向)に積層される構成となる。この場合、例えば、ゲル状の電解液を用いることで、電解液の減少に関わらず、セパレータと電解液の接触を常時保持することがができる。
多孔質基材付きLDHセパレータ
前述のとおり、本発明のニッケル電池に好ましく用いられる多孔質基材付きセパレータは、水酸化物イオン伝導性を有する無機固体電解質体からなるセパレータと、セパレータの少なくとも一方の面に設けられる多孔質基材とを備えたものである。無機固体電解質体は透水性を有しない程に緻密化された膜状又は層状の形態である。特に好ましい多孔質基材付きセパレータは、多孔質基材と、この多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に形成されるセパレータ層とを備えてなり、セパレータ層が前述したような層状複水酸化物(LDH)を含んでなるものである。セパレータ層は透水性及び通気性を有しないのが好ましい。すなわち、多孔質材料は孔の存在により透水性及び通気性を有しうるが、セパレータ層は透水性及び通気性を有しない程にまでLDHで緻密化されているのが好ましい。セパレータ層は多孔質基材上に形成されるのが好ましい。例えば、図2に示されるように、多孔質基材20上にセパレータ層18がLDH緻密膜として形成されるのが好ましい。この場合、多孔質基材20の性質上、図2に示されるように多孔質基材20の表面及びその近傍の孔内にもLDHが形成されてよいのはいうまでもない。あるいは、図3に示されるように、多孔質基材20中(例えば多孔質基材20の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成され、それにより多孔質基材20の少なくとも一部がセパレータ層18’を構成するものであってもよい。この点、図3に示される態様は図2に示される態様のセパレータ層18における膜相当部分を除去した構成となっているが、これに限定されず、多孔質基材20の表面と平行にセパレータ層が存在していればよい。いずれにしても、セパレータ層は透水性及び通気性を有しない程にまでLDHで緻密化されているため、水酸化物イオン伝導性を有するが透水性及び通気性を有しない(すなわち基本的に水酸化物イオンのみを通す)という特有の機能を有することができる。
多孔質基材は、その上及び/又は中にLDH含有セパレータ層を形成できるものが好ましく、その材質や多孔構造は特に限定されない。多孔質基材上及び/又は中にLDH含有セパレータ層を形成するのが典型的ではあるが、無孔質基材上にLDH含有セパレータ層を成膜し、その後公知の種々の手法により無孔質基材を多孔化してもよい。いずれにしても、多孔質基材は透水性を有する多孔構造を有するのが、電池用セパレータとして電池に組み込まれた場合に電解液をセパレータ層に到達可能に構成できる点で好ましい。
多孔質基材は、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましい。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられ、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ及びジルコニアであり、最も好ましくはアルミナである。これらの多孔質セラミックスを用いると緻密性に優れたLDH含有セパレータ層を形成しやすい。金属材料の好ましい例としては、アルミニウムが挙げられる。高分子材料の好ましい例としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。上述した各種の好ましい材料から電池の電解液に対する耐性として耐アルカリ性に優れたものを適宜選択するのが更に好ましい。
多孔質基材は0.001〜1.5μmの平均気孔径を有するのが好ましく、より好ましくは0.001〜1.25μm、さらに好ましくは0.001〜1.0μm、特に好ましくは0.001〜0.75μm、最も好ましくは0.001〜0.5μmである。これらの範囲内とすることで多孔質基材に所望の透水性を確保しながら、透水性を有しない程に緻密なLDH含有セパレータ層を形成することができる。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行うことができる。この測定に用いる電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得ることができる。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能や画像解析ソフト(例えば、Photoshop、Adobe社製)等を用いることができる。
多孔質基材の表面は、10〜60%の気孔率を有するのが好ましく、より好ましくは15〜55%、さらに好ましくは20〜50%である。これらの範囲内とすることで多孔質基材に所望の透水性を確保しながら、透水性を有しない程に緻密なLDH含有セパレータ層を形成することができる。ここで、多孔質基材の表面の気孔率を採用しているのは、以下に述べる画像処理を用いた気孔率の測定がしやすいことによるものであり、多孔質基材の表面の気孔率は多孔質基材内部の気孔率を概ね表しているといえるからである。すなわち、多孔質基材の表面が緻密であれば多孔質基材の内部もまた同様に緻密であるといえる。本発明において、多孔質基材の表面の気孔率は画像処理を用いた手法により以下のようにして測定することができる。すなわち、1)多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→
[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とする。なお、この画像処理による気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われるのが好ましく、より客観的な指標とするためには、任意に選択された3箇所の領域について得られた気孔率の平均値を採用するのがより好ましい。
セパレータ層は、多孔質基材上及び/又は多孔質基材中、好ましくは多孔質基材上に形成される。例えば、図2に示されるようにセパレータ層18が多孔質基材20上に形成される場合には、セパレータ層18はLDH緻密膜の形態であり、このLDH緻密膜は典型的にはLDHからなる。また、図3に示されるようにセパレータ層18’が多孔質基材20中に形成される場合には、多孔質基材20中(典型的には多孔質基材20の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成されることから、セパレータ層18’は典型的には多孔質基材20の少なくとも一部及びLDHからなる。図3に示されるセパレータ層18’は、図2に示されるセパレータ層18における膜相当部分を研磨、切削等の公知の手法により除去することにより得ることができる。
セパレータ層は透水性及び通気性を有しないのが好ましい。例えば、セパレータ層はその片面を25℃で1週間水と接触させても水を透過させず、また、その片面に0.5atmの内外差圧でヘリウムガスを加圧してもヘリウムガスを透過させない。すなわち、セパレータ層は透水性及び通気性を有しない程にまでLDHで緻密化されているのが好ましい。もっとも、局所的且つ/又は偶発的に透水性を有する欠陥が機能膜に存在する場合には、当該欠陥を適当な補修剤(例えばエポキシ樹脂等)で埋めて補修することで水不透性及び気体不透過性を確保してもよく、そのような補修剤は必ずしも水酸化物イオン伝導性を有する必要はない。いずれにしても、セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)の表面が20%以下の気孔率を有するのが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下である。セパレータ層の表面の気孔率が低ければ低いほど、セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)の緻密性が高いことを意味し、好ましいといえる。ここで、セパレータ層の表面の気孔率を採用しているのは、以下に述べる画像処理を用いた気孔率の測定がしやすいことによるものであり、セパレータ層の表面の気孔率はセパレータ層内部の気孔率を概ね表しているといえるからである。すなわち、セパレータ層の表面が緻密であればセパレータ層の内部もまた同様に緻密であるといえる。本発明において、セパレータ層の表面の気孔率は画像処理を用いた手法により以下のようにして測定することができる。すなわち、1)セパレータ層の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]
→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とする。なお、この画像処理による気孔率の測定はセパレータ層表面の6μm×6μmの領域について行われるのが好ましく、より客観的な指標とするためには、任意に選択された3箇所の領域について得られた気孔率の平均値を採用するのがより好ましい。
層状複水酸化物は複数の板状粒子(すなわちLDH板状粒子)の集合体で構成され、当該複数の板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面(基材面)と略垂直に又は斜めに交差するような向きに配向してなるのが好ましい。この態様は、図2に示されるように、多孔質基材20上にセパレータ層18がLDH緻密膜として形成される場合に特に好ましく実現可能な態様であるが、図3に示されるように、多孔質基材20中(典型的には多孔質基材20の表面及びその近傍の孔内)にLDHが緻密に形成され、それにより多孔質基材20の少なくとも一部がセパレータ層18’を構成する場合においても実現可能である。
すなわち、LDH結晶は図4に示されるような層状構造を持った板状粒子の形態を有することが知られているが、上記略垂直又は斜めの配向は、LDH含有セパレータ層(例えばLDH緻密膜)にとって極めて有利な特性である。というのも、配向されたLDH含有セパレータ層(例えば配向LDH緻密膜)には、LDH板状粒子が配向する方向(即ちLDHの層と平行方向)の水酸化物イオン伝導度が、これと垂直方向の伝導度よりも格段に高いという伝導度異方性があるためである。実際、本出願人は、LDHの配向バルク体において、配向方向における伝導度(S/cm)が配向方向と垂直な方向の伝導度(S/cm)と比べて1桁高いとの知見を得ている。すなわち、本態様のLDH含有セパレータ層における上記略垂直又は斜めの配向は、LDH配向体が持ちうる伝導度異方性を層厚方向(すなわちセパレータ層又は多孔質基材の表面に対して垂直方向)に最大限または有意に引き出すものであり、その結果、層厚方向への伝導度を最大限又は有意に高めることができる。その上、LDH含有セパレータ層は層形態を有するため、バルク形態のLDHよりも低抵抗を実現することができる。このような配向性を備えたLDH含有セパレータ層は、層厚方向に水酸化物イオンを伝導させやすくなる。その上、緻密化されているため、層厚方向への高い伝導度及び緻密性が望まれるセパレータに極めて適する。
特に好ましくは、LDH含有セパレータ層(典型的にはLDH緻密膜)においてLDH板状粒子が略垂直方向に高度に配向してなる。この高度な配向は、セパレータ層の表面をX線回折法により測定した場合に、(003)面のピークが実質的に検出されないか又は
(012)面のピークよりも小さく検出されることで確認可能なものである(但し、(012)面に起因するピークと同位置に回折ピークが観察される多孔質基材を用いた場合には、LDH板状粒子に起因する(012)面のピークを特定できないことから、この限りでない)。この特徴的なピーク特性は、セパレータ層を構成するLDH板状粒子がセパレータ層に対して略垂直方向(すなわち垂直方向又はそれに類する斜め方向、好ましくは垂直方向)に配向していることを示す。すなわち、(003)面のピークは無配向のLDH粉末をX線回折した場合に観察される最も強いピークとして知られているが、配向LDH含有セパレータ層にあっては、LDH板状粒子がセパレータ層に対して略垂直方向に配向していることで(003)面のピークが実質的に検出されないか又は(012)面のピークよりも小さく検出される。これは、(003)面が属するc軸方向(00l)面(lは3及び6である)がLDH板状粒子の層状構造と平行な面であるため、このLDH板状粒子がセパレータ層に対して略垂直方向に配向しているとLDH層状構造も略垂直方向を向くこととなる結果、セパレータ層表面をX線回折法により測定した場合に(00l)面(lは3及び6である)のピークが現れないか又は現れにくくなるからである。特に(003)面のピークは、それが存在する場合、(006)面のピークよりも強く出る傾向があるから、(006)面のピークよりも略垂直方向の配向の有無を評価しやすいといえる。したがって、配向LDH含有セパレータ層は、(003)面のピークが実質的に検出されないか又は(012)面のピークよりも小さく検出されるのが、垂直方向への高度な配向を示唆することから好ましいといえる。
セパレータ層は100μm以下の厚さを有するのが好ましく、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは5μm以下である。このように薄いことでセパレータの低抵抗化を実現できる。セパレータ層が多孔質基材上にLDH緻密膜として形成されるのが好ましく、この場合、セパレータ層の厚さはLDH緻密膜の厚さに相当する。また、セパレータ層が多孔質基材中に形成される場合には、セパレータ層の厚さは多孔質基材の少なくとも一部及びLDHからなる複合層の厚さに相当し、セパレータ層が多孔質基材上及び中にまたがって形成される場合にはLDH緻密膜と上記複合層の合計厚さに相当する。いずれにしても、上記のような厚さであると、電池用途等への実用化に適した所望の低抵抗を実現することができる。LDH配向膜の厚さの下限値は用途に応じて異なるため特に限定されないが、セパレータ等の機能膜として望まれるある程度の堅さを確保するためには厚さ1μm以上であるのが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
上述した多孔質基材付きLDHセパレータは、(1)多孔質基材を用意し、(2)マグネシウムイオン(Mg2+)及びアルミニウムイオン(Al3+)を0.20〜0.40mol/Lの合計濃度で含み、かつ、尿素を含んでなる原料水溶液に、多孔質基材を浸漬させ、(3)原料水溶液中で多孔質基材を水熱処理して、層状複水酸化物を含んでなるセパレータ層を多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に形成させることにより製造することができる。
(1)多孔質基材の用意
多孔質基材は、前述したとおりであり、セラミックス材料、金属材料、及び高分子材料からなる群から選択される少なくとも1種で構成されるのが好ましい。多孔質基材は、セラミックス材料で構成されるのがより好ましい。この場合、セラミックス材料の好ましい例としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、スピネル、カルシア、コージライト、ゼオライト、ムライト、フェライト、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、及びそれらの任意の組合せが挙げられ、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及びそれらの任意の組合せであり、特に好ましくはアルミナ及びジルコニアであり、最も好ましくはアルミナである。これらの多孔質セラミックスを用いるとLDH含有セパレータ層の緻密性を向上しやすい傾向がある。セラミックス材料製の多孔質基材を用いる場合、超音波洗浄、イオン交換水での洗浄等を多孔質基材に施すのが好ましい。
(2)原料水溶液への浸漬
次に、多孔質基材を原料水溶液に所望の向きで(例えば水平又は垂直に)浸漬させる。多孔質基材を水平に保持する場合は、吊るす、浮かせる、容器の底に接するように多孔質基材を配置すればよく、例えば、容器の底から原料水溶液中に浮かせた状態で多孔質基材を固定としてもよい。多孔質基材を垂直に保持する場合は、容器の底に多孔質基材を垂直に設置できるような冶具を置けばよい。いずれにしても、多孔質基材にLDHを略垂直方向又はそれに近い方向(すなわちLDH板状粒子がそれらの板面が多孔質基材の表面(基材面)と略垂直に又は斜めに交差するような向きに)に成長させる構成ないし配置とするのが好ましい。原料水溶液は、マグネシウムイオン(Mg2+)及びアルミニウムイオン
(Al3+)を所定の合計濃度で含み、かつ、尿素を含んでなる。尿素が存在することで尿素の加水分解を利用してアンモニアが溶液中に発生することによりpH値が上昇し、共存する金属イオンが水酸化物を形成することによりLDHを得ることができる。また、加水分解に二酸化炭素の発生を伴うため、陰イオンが炭酸イオン型のLDHを得ることができる。原料水溶液に含まれるマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンの合計濃度(Mg2++Al3+)は0.20〜0.40mol/Lが好ましく、より好ましくは0.22〜0.38mol/Lであり、さらに好ましくは0.24〜0.36mol/L、特に好ましくは0.26〜0.34mol/Lである。このような範囲内の濃度であると核生成と結晶成長をバランスよく進行させることができ、配向性のみならず緻密性にも優れたLDH含有セパレータ層を得ることが可能となる。すなわち、マグネシウムイオン及びアルミニウムイオンの合計濃度が低いと核生成に比べて結晶成長が支配的となり、粒子数が減少して粒子サイズが増大する一方、この合計濃度が高いと結晶成長に比べて核生成が支配的となり、粒子数が増大して粒子サイズが減少するものと考えられる。
好ましくは、原料水溶液に硝酸マグネシウム及び硝酸アルミニウムが溶解されており、それにより原料水溶液がマグネシウムイオン及びアルミニウムイオンに加えて硝酸イオンを含んでなる。そして、この場合、原料水溶液における、尿素の硝酸イオン(NO )に対するモル比(尿素/NO )が、2〜6が好ましく、より好ましくは4〜5である。
(3)水熱処理によるLDH含有セパレータ層の形成
そして、原料水溶液中で多孔質基材を水熱処理して、LDHを含んでなるセパレータ層を多孔質基材上及び/又は多孔質基材中に形成させる。この水熱処理は密閉容器中、60〜150℃で行われるのが好ましく、より好ましくは65〜120℃であり、さらに好ましくは65〜100℃であり、特に好ましくは70〜90℃である。水熱処理の上限温度は多孔質基材(例えば高分子基材)が熱で変形しない程度の温度を選択すればよい。水熱処理時の昇温速度は特に限定されず、例えば10〜200℃/hであってよいが、好ましくは100〜200℃/hである、より好ましくは100〜150℃/hである。水熱処理の時間はLDH含有セパレータ層の目的とする密度と厚さに応じて適宜決定すればよい。
水熱処理後、密閉容器から多孔質基材を取り出し、イオン交換水で洗浄するのが好ましい。
上記のようにして製造されたLDH含有複合材料におけるLDH含有セパレータ層は、LDH板状粒子が高度に緻密化したものであり、しかも伝導に有利な略垂直方向に配向したものである。したがって、ニッケル電池に極めて好適といえる。
ところで、上記製造方法により得られるLDH含有セパレータ層は多孔質基材の両面に形成されうる。このため、LDH含有複合材料をセパレータとして好適に使用可能な形態とするためには、成膜後に多孔質基材の片面のLDH含有セパレータ層を機械的に削るか、あるいは成膜時に片面にはLDH含有セパレータ層が成膜できないような措置を講ずるのが望ましい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1:多孔質基材付きLDHセパレータの作製及び評価
(1)多孔質基材の作製
ベーマイト(サソール社製、DISPAL 18N4−80)、メチルセルロース、及びイオン交換水を、(ベーマイト):(メチルセルロース):(イオン交換水)の質量比が10:1:5となるように秤量した後、混練した。得られた混練物を、ハンドプレスを用いた押出成形に付し、5cm×8cmを十分に超える大きさで且つ厚さ0.5cmの板状に成形した。得られた成形体を80℃で12時間乾燥した後、1150℃で3時間焼成して、アルミナ製多孔質基材を得た。こうして得られた多孔質基材を5cm×8cmの大きさに切断加工した。
得られた多孔質基材について、画像処理を用いた手法により、多孔質基材表面の気孔率を測定したところ、24.6%であった。この気孔率の測定は、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察して多孔質基材表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]
の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とすることにより行った。この気孔率の測定は多孔質基材表面の6μm×6μmの領域について行われた。なお、図5に多孔質基材表面のSEM画像を示す。
また、多孔質基材の平均気孔径を測定したところ約0.1μmであった。本発明において、平均気孔径の測定は多孔質基材の表面の電子顕微鏡(SEM)画像をもとに気孔の最長距離を測長することにより行った。この測定に用いた電子顕微鏡(SEM)画像の倍率は20000倍であり、得られた全ての気孔径をサイズ順に並べて、その平均値から上位15点及び下位15点、合わせて1視野あたり30点で2視野分の平均値を算出して、平均気孔径を得た。測長には、SEMのソフトウェアの測長機能を用いた。
(2)多孔質基材の洗浄
得られた多孔質基材をアセトン中で5分間超音波洗浄し、エタノール中で2分間超音波洗浄、その後、イオン交換水中で1分間超音波洗浄した。
(3)原料水溶液の作製
原料として、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO・6HO、関東化学株式会社製)、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO、関東化学株式会社製)、及び尿素((NHCO、シグマアルドリッチ製)を用意した。カチオン比(Mg2+/Al3+)が2となり且つ全金属イオンモル濃度(Mg2++Al3+)が0.320mol/Lとなるように、硝酸マグネシウム六水和物と硝酸アルミニウム九水和物を秤量してビーカーに入れ、そこにイオン交換水を加えて全量を600mlとした。得られた溶液を攪拌した後、溶液中に尿素/NO =4の割合で秤量した尿素を加え、更に攪拌して原料水溶液を得た。
(4)水熱処理による成膜
テフロン(登録商標)製密閉容器(内容量800ml、外側がステンレス製ジャケット)に上記(3)で作製した原料水溶液と上記(2)で洗浄した多孔質基材を共に封入した。このとき、基材はテフロン(登録商標)製密閉容器の底から浮かせて固定し、基材両面に溶液が接するように水平に設置した。その後、水熱温度70℃で168時間(7日間)水熱処理を施すことにより基材表面に層状複水酸化物配向膜(セパレータ層)の形成を行った。所定時間の経過後、基材を密閉容器から取り出し、イオン交換水で洗浄し、70℃で10時間乾燥させて、層状複水酸化物(以下、LDHという)の緻密膜(以下、膜試料という)を基材上に得た。得られた膜試料の厚さは約1.5μmであった。こうして、層状複水酸化物含有複合材料試料(以下、複合材料試料という)を得た。なお、LDH膜は多孔質基材の両面に形成されていたが、セパレータとして形態を複合材料に付与するため、多孔質基材の片面のLDH膜を機械的に削り取った。
(5)各種評価
(5a)膜試料の同定
X線回折装置(リガク社製 RINT TTR III)にて、電圧:50kV、電流値:300mA、測定範囲:10〜70°の測定条件で、膜試料の結晶相を測定したところ、図6に示されるXRDプロファイルが得られた。得られたXRDプロファイルについて、JCPDSカードNO.35−0964に記載される層状複水酸化物(ハイドロタルサイト類化合物)の回折ピークを用いて同定した。その結果、膜試料は層状複水酸化物(LDH、ハイドロタルサイト類化合物)であることが確認された。なお、図6に示されるXRDプロファイルにおいては、膜試料が形成されている多孔質基材を構成するアルミナに起因するピーク(図中で○印が付されたピーク)も併せて観察されている。
(5b)微構造の観察
膜試料の表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察した。得られた膜試料の表面微構造のSEM画像(二次電子像)を図7に示す。
また、複合材料試料の断面をCP研磨によって研磨して研磨断面を形成し、この研磨断面の微構造を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察した。こうして得られた複合材料試料の研磨断面微構造のSEM画像を図8に示す。
(5c)気孔率の測定
膜試料について、画像処理を用いた手法により、膜の表面の気孔率を測定した。この気孔率の測定は、1)表面微構造を走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−6610LV、JEOL社製)を用いて10〜20kVの加速電圧で観察して膜の表面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得し、2)Photoshop(Adobe社製)等の画像解析ソフトを用いてグレースケールのSEM画像を読み込み、3)[イメージ]→[色調補正]→[2階調化]の手順で白黒の2値画像を作成し、4)黒い部分が占めるピクセル数を画像の全ピクセル数で割った値を気孔率(%)とすることにより行った。この気孔率の測定は配向膜表面の6μm×6μmの領域について行われた。その結果、膜の表面の気孔率は19.0%であった。また、この膜表面の気孔率を用いて、膜表面から見たときの密度D(以下、表面膜密度という)をD=100%−(膜表面の気孔率)により算出したところ、81.0%であった。
また、膜試料について、研磨断面の気孔率についても測定した。この研磨断面の気孔率についても測定は、上記(5b)に示される手順に従い膜の厚み方向における断面研磨面の電子顕微鏡(SEM)画像(倍率10000倍以上)を取得したこと以外は、上述の膜表面の気孔率と同様にして行った。この気孔率の測定は配向膜断面の膜部分について行われた。こうして膜試料の断面研磨面から算出した気孔率は平均で3.5%(3箇所の断面研磨面の平均値)であり、多孔質基材上でありながら非常に高密度な膜が形成されていることが確認された。
(5d)緻密性判定試験I
膜試料が透水性を有しない程の緻密性を有することを確認すべく、緻密性判定試験を以下のとおり行った。まず、図9Aに示されるように、上記(1)において得られた複合材料試料220(1cm×1cm平方に切り出されたもの)の膜試料側に、中央に0.5cm×0.5cm平方の開口部222aを備えたシリコンゴム222を接着し、得られた積層物を2つのアクリル製容器224,226で挟んで接着した。シリコンゴム222側に配置されるアクリル製容器224は底が抜けており、それによりシリコンゴム222はその開口部222aが開放された状態でアクリル製容器224と接着される。一方、複合材料試料220の多孔質基材側に配置されるアクリル製容器226は底を有しており、その容器226内にはイオン交換水228が入っている。この時、イオン交換水にAl及び/又はMgを溶解させておいてもよい。すなわち、組み立て後に上下逆さにすることで、複合材料試料220の多孔質基材側にイオン交換水228が接するように各構成部材が配置されてなる。これらの構成部材等を組み立て後、総重量を測定した。これらの構成部材等を組み立て後、総重量を測定した。なお、容器226には閉栓された通気穴(図示せず)が形成されており、上下逆さにした後に開栓されることはいうまでもない。図9Bに示されるように組み立て体を上下逆さに配置して25℃で1週間保持した後、総重量を再度測定した。このとき、アクリル製容器224の内側側面に水滴が付着している場合には、その水滴を拭き取った。そして、試験前後の総重量の差を算出することにより緻密度を判定した。その結果、25℃で1週間保持した後においても、イオン交換水の重量に変化は見られなかった。このことから、膜試料(すなわち機能膜)は透水性を有しない程に高い緻密性を有することが確認された。
(5e)緻密性判定試験II
膜試料が通気性を有しない程の緻密性を有することを確認すべく、緻密性判定試験を以下のとおり行った。まず、図10A及び10Bに示されるように、蓋の無いアクリル容器230と、このアクリル容器230の蓋として機能しうる形状及びサイズのアルミナ治具232とを用意した。アクリル容器230にはその中にガスを供給するためのガス供給口230aが形成されている。また、アルミナ治具232には直径5mmの開口部232aが形成されており、この開口部232aの外周に沿って膜試料載置用の窪み232bが形成されてなる。アルミナ治具232の窪み232bにエポキシ接着剤234を塗布し、この窪み232bに複合材料試料236の膜試料236b側を載置してアルミナ治具232に気密かつ液密に接着させた。そして、複合材料試料236が接合されたアルミナ治具232を、アクリル容器230の開放部を完全に塞ぐようにシリコーン接着剤238を用いて気密かつ液密にアクリル容器230の上端に接着させて、測定用密閉容器240を得た。この測定用密閉容器240を水槽242に入れ、アクリル容器230のガス供給口230aを圧力計244及び流量計246に接続して、ヘリウムガスをアクリル容器230内に供給可能に構成した。水槽242に水243を入れて測定用密閉容器240を完全に水没させた。このとき、測定用密閉容器240の内部は気密性及び液密性が十分に確保されており、複合材料試料236の膜試料236b側が測定用密閉容器240の内部空間に露出する一方、複合材料試料236の多孔質基材236a側が水槽242内の水に接触している。この状態で、アクリル容器230内にガス供給口230aを介してヘリウムガスを測定用密閉容器240内に導入した。圧力計244及び流量計246を制御して膜試料236b内外の差圧が0.5atmとなる(すなわちヘリウムガスに接する側に加わる圧力が反対側に加わる水圧よりも0.5atm高くなる)ようにして、複合材料試料236から水中にヘリウムガスの泡が発生するか否かを観察した。その結果、ヘリウムガスに起因する泡の発生は観察されなかった。よって、膜試料236bは通気性を有しない程に高い緻密性を有することが確認された。
10 ニッケル電池
12 正極
12a 正極集電体
13 正極端子
14 負極
14a 負極集電体
15 負極端子
16 電解液
18 セパレータ
20 多孔質基材
22 密閉容器
24 正極室
24a 正極側余剰空間
26 負極室
26a 負極側余剰空間

Claims (12)

  1. ニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池であるニッケル電池であって、
    オキシ水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを含む正極と、
    水素吸蔵合金又はカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含む負極と、
    前記正極及び前記負極が浸漬又は接触されるアルカリ電解液と、
    前記正極と前記負極の間に配置されて前記正極及び前記負極を互いに隔離する、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスセパレータと、
    を備え
    前記セラミックスセパレータが透水性を有しない、ニッケル電池。
  2. ニッケル−水素電池又はニッケル−カドミウム電池であるニッケル電池であって、
    オキシ水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを含む正極と、
    水素吸蔵合金又はカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含む負極と、
    前記正極及び前記負極が浸漬又は接触されるアルカリ電解液と、
    前記正極と前記負極の間に配置されて前記正極及び前記負極を互いに隔離する、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックスセパレータと、
    を備え、
    前記セラミックスセパレータが無機固体電解質体からなる、ニッケル電池。
  3. 前記ニッケル電池がニッケル−水素電池であり、前記負極が水素吸蔵合金を含む、請求項1又は2に記載のニッケル電池。
  4. 前記ニッケル電池がニッケル−カドミウム電池であり、前記負極がカドミウム若しくは水酸化カドミウムを含む、請求項1又は2に記載のニッケル電池。
  5. 前記セラミックスセパレータが無機固体電解質体からなり、前記無機固体電解質体が90%以上の相対密度を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のニッケル電池。
  6. 前記セラミックスセパレータが無機固体電解質体からなり、前記無機固体電解質体が、一般式:
    2+ 1−x3+ (OH)n− x/n・mH
    (式中、M2+は2価の陽イオンであり、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオンであり、nは1以上の整数であり、xは0.1〜0.4であり、mは0以上である)の基本組成を有する層状複水酸化物からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のニッケル電池。
  7. 前記一般式において、M2+がMg2+を含み、M3+がAl3+を含み、An−がOH及び/又はCO 2−を含む、請求項に記載のニッケル電池。
  8. 前記セラミックスセパレータが無機固体電解質体からなり、前記無機固体電解質体が、板状、膜状又は層状の形態を有する、請求項のいずれか一項に記載のニッケル電池。
  9. 前記セラミックスセパレータの片面又は両面に多孔質基材をさらに備えた、請求項1〜のいずれか一項に記載のニッケル電池。
  10. 前記セラミックスセパレータが無機固体電解質体からなり、前記無機固体電解質体が膜状又は層状の形態であり、該膜状又は層状の無機固体電解質体が前記多孔質基材上又はその中に形成されたものである、請求項に記載のニッケル電池。
  11. 前記セラミックスセパレータが無機固体電解質体からなり、前記無機固体電解質体が水熱処理によって緻密化されたものである、請求項10のいずれか一項に記載のニッケル電池。
  12. 前記アルカリ電解液がアルカリ金属水酸化物の水溶液である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のニッケル電池。
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