JP2017004782A - 有機el素子の製造方法、電気光学装置、電子機器 - Google Patents

有機el素子の製造方法、電気光学装置、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】高い生産性と優れた素子特性が得られる有機EL素子の製造方法、有機EL素子を備えた電気光学装置及び電子機器を提供すること。
【解決手段】本実施形態の有機EL素子130の製造方法は、素子基板101上の膜形成領域としての開口部105aに、有機層形成材料と溶媒とを含む有機層形成用組成物を塗布する第1工程と、塗布された有機層形成用組成物を乾燥する第2工程と、乾燥して得られた有機層前駆体を大気下で焼成して有機層を形成する第3工程と、発光層形成材料と溶媒とを含む発光層形成用組成物としてのインク70を有機層上に塗布する第4工程と、塗布された発光層形成用組成物を乾燥する第5工程と、乾燥して得られた発光層前駆体を不活性ガス雰囲気下で焼成して発光層133を形成する第6工程と、を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL素子の製造方法、有機EL素子を備えた電気光学装置及び電子機器に関する。
有機EL(Electro−Luminescence;エレクトロルミネッセンス)素子は、一対の電極間に挟持された、有機発光層を含む機能層を有している。有機EL素子は、水分などの影響を受けて、機能層における発光機能が低下したり失われたりすることが知られている。したがって、有機EL素子の製造にあたっては所望の素子特性が得られるように、水分などを適切に管理することが求められている。
例えば、特許文献1には、液相プロセスを用い、ホスト材料とゲスト材料とを溶媒に溶解または分散させた液状体を、酸素濃度1ppm以下、且つ水分濃度1ppm以下の雰囲気下で塗布して乾燥させることにより有機発光層を形成すると共に、当該液状体を、酸素濃度15ppm以下、且つ水分濃度10ppm以上〜500ppm以下の範囲に設定した有機EL素子の製造方法が開示されている。
特開2010−146865号公報
上記特許文献1の有機EL素子の製造方法では、機能層として、陽極上に順に積層して形成された正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、ホールブロック層、電子輸送層を含む例が示されている。また、正孔注入層や正孔輸送層も有機発光層と同様にインクジェット法、ディスペンス法、スピンコート法などの液相プロセスを用いて形成する例が示されている。したがって、液相プロセスを用いて正孔注入層や正孔輸送層を形成するにあたり、これらの層の形成材料を含む液状体においても酸素濃度や水分濃度を適正に管理する必要があると考えられる。しかしながら、液状体の塗布工程における取り扱いを考慮すると、種々の液状体における酸素濃度や水分濃度を常に適正な状態に管理しておくことは大変難しい。
また、塗布された液状体をどのような環境下で乾燥・焼成するかによっても、焼成後の各層の状態が変化することが考えられ、例えば有機発光層への電荷(正孔・電子)の注入性や輸送性に影響を及ぼして所望の発光寿命が得られないおそれがあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る有機EL素子の製造方法は、一対の電極間に、有機層と発光層とを含む機能層が挟持された有機EL素子の製造方法であって、基板上において、前記一対の電極のうち一方の電極が形成された膜形成領域に、有機層形成材料と溶媒とを含む有機層形成用組成物を塗布する第1工程と、塗布された前記有機層形成用組成物を乾燥する第2工程と、乾燥して得られた有機層前駆体を大気下で焼成して前記有機層を形成する第3工程と、発光層形成材料と溶媒とを含む発光層形成用組成物を前記有機層上に塗布する第4工程と、塗布された前記発光層形成用組成物を乾燥する第5工程と、乾燥して得られた発光層前駆体を不活性ガス雰囲気下で焼成して前記発光層を形成する第6工程と、を含むことを特徴とする。
本適用例によれば、液相プロセスを用いて有機層と発光層とを形成するにあたり、発光層前駆体の焼成工程のみ不活性ガス雰囲気下で行うため、有機EL素子の製造工程における環境設備・製造装置などへの負担を軽減できる。また、液状の有機層形成用組成物を乾燥して得られた有機層前駆体の焼成を大気下で行うことで、焼成後の有機層から溶媒が除去され、所望の電気光学特性を有する有機EL素子を製造することができる。
上記適用例に記載の有機EL素子の製造方法において、前記第3工程では、相対湿度が40%以上、且つ酸素濃度が10体積%以上の大気下で前記有機層前駆体を焼成し、前記第6工程では、酸素濃度と水分濃度とがそれぞれ1ppm以下である不活性ガス雰囲気下で前記発光層前駆体を焼成することが好ましい。
この方法によれば、焼成後の有機層において安定した溶媒の乾燥状態が得られると共に、焼成後の発光層において酸素や水分の影響を除外できることから、優れた発光寿命を有する有機EL素子を製造することができる。
上記適用例に記載の有機EL素子の製造方法において、前記第1工程では、正孔注入層形成材料と溶媒とを含む正孔注入層形成用組成物を塗布し、前記第2工程では、塗布された前記正孔注入層形成用組成物を乾燥し、前記第3工程では、乾燥して得られた正孔注入層前駆体を大気下で焼成して正孔注入層を形成することを特徴とする。
この方法によれば、焼成後に安定した電荷(正孔)の注入性が得られる有機層としての正孔注入層を形成することができる。
上記適用例に記載の有機EL素子の製造方法において、前記正孔注入層上に正孔輸送層形成材料と溶媒とを含む正孔輸送層形成用組成物を塗布する工程と、塗布された前記正孔輸送層形成用組成物を乾燥する工程と、乾燥して得られた正孔輸送層前駆体を大気下で焼成して前記正孔注入層上に正孔輸送層を形成する工程と、をさらに含むことを特徴とする。
この方法によれば、焼成後に、安定した電荷(正孔)の注入性が得られる正孔注入層と、安定した電荷(正孔)の輸送性が得られる正孔輸送層とを含む有機層を形成することができる。
[適用例]本適用例に係る電気光学装置は、上記適用例に記載の有機EL素子の製造方法を用いて形成された有機EL素子を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、優れた光学特性を有する電気光学装置を提供することができる。
[適用例]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、優れた光学特性を有する電子機器を提供することができる。
電気光学装置としての有機EL装置の構成を示す概略平面図。 有機EL素子の構造を示す概略断面図。 (a)〜(d)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 評価素子の製造方法における焼成条件と素子特性との関係を示す表。 評価素子における連続通電時の電流密度の変化を示すグラフ。 実施例及び比較例の有機EL素子の製造方法における焼成条件と素子特性との関係を示す表。 実施例1及び比較例の有機EL素子における連続通電時の輝度の変化を示すグラフ。 (a)は電子機器の一例であるノート型のパーソナルコンピューターを示す概略図、(b)は電子機器の一例である薄型テレビ(TV)を示す概略図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
(第1実施形態)
<電気光学装置>
まず、本実施形態の有機EL素子の製造方法を用いて製造された有機EL素子を備える電気光学装置について、図1及び図2を参照して説明する。図1は電気光学装置としての有機EL装置の構成を示す概略平面図、図2は有機EL素子の構造を示す概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態の電気光学装置としての有機EL装置100は、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光(発光色)が得られるサブ画素110R,110G,110Bが配置された素子基板101を有している。各サブ画素110R,110G,110Bは略矩形状であり、素子基板101の表示領域Eにおいてマトリックス状に配置されている。以降、サブ画素110R,110G,110Bを総称してサブ画素110と呼ぶこともある。同じ発光色のサブ画素110が図面上において垂直方向(列方向あるいはサブ画素110の長手方向)に配列し、異なる発光色のサブ画素110が図面上において水平方向(行方向あるいはサブ画素110の短手方向)にR,G,Bの順で配列している。すなわち、異なる発光色のサブ画素110R,110G,110Bが所謂ストライプ方式で配置されている。なお、サブ画素110R,110G,110Bの平面形状と配置は、これに限定されるものではない。また、略矩形状とは、正方形、長方形に加えて、角部が丸くなった四角形、対向する2辺部が円弧状となった四角形を含むものである。
サブ画素110Rには、赤(R)の発光が得られる有機EL素子が設けられている。同じく、サブ画素110Gには、緑(G)の発光が得られる有機EL素子が設けられ、サブ画素110Bには、青(B)の発光が得られる有機EL素子が設けられている。
このような有機EL装置100は、異なる発光色が得られる3つのサブ画素110R,110G,110Bを1つの表示画素単位として、それぞれのサブ画素110R,110G,110Bは電気的に制御される。これによりフルカラー表示が可能となっている。
各サブ画素110R,110G,110Bには、図2に示す有機EL素子130が設けられている。図2に示すように、有機EL素子130は、基板としての素子基板101上に設けられた絶縁膜102と、一対の電極としての画素電極103及び対向電極104と、画素電極103と対向電極104との間に設けられた、発光層133を含む機能層136とを有している。
画素電極103は、陽極として機能するものであり、サブ画素110R,110G,110Bごとに設けられ、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜を用いて形成されている。
絶縁膜102は、例えば酸化シリコンや窒化シリコンあるいは酸窒化シリコンなどを用いて形成される。
機能層136は、画素電極103側から、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133、電子輸送層134、電子注入層135が順に積層されたものである。特に、発光層133は発光色に応じて構成材料が選ばれるが、ここでは発光色に関わらず総称して発光層133と呼ぶ。なお、機能層136の構成は、これに限定されるものではなく、これらの層以外に、電荷(キャリア;正孔や電子)の移動を制御する中間層などを備えていてもよい。本実施形態では、正孔注入層131と正孔輸送層132とが本発明における有機層に相当するものである。
対向電極104は、陰極として機能するものであり、サブ画素110R,110G,110Bに共通した共通電極として設けられ、例えば、Al(アルミニウム)やAg(銀)とMg(マグネシウム)の合金などを用いて形成されている。
陽極としての画素電極103側から発光層133にキャリアとしての正孔が注入され、陰極としての対向電極104側から発光層133にキャリアとしての電子が注入される。発光層133において注入された正孔と電子とにより、励起子(エキシトン;正孔と電子とがクーロン力にて互いに束縛された状態)が形成され、励起子(エキシトン)が消滅する際(正孔と電子とが再結合する際)にエネルギーの一部が蛍光や燐光となって放出される。
有機EL装置100において、光反射性を有するように対向電極104を構成すれば、発光層133からの発光を素子基板101側から取り出すボトムエミッション方式とすることができる。また、画素電極103と素子基板101との間に反射層を設ける、または光反射性を有するように画素電極103を構成し、光透過性を有するように対向電極104を構成すれば、発光層133からの発光を対向電極104側から取り出すトップエミッション方式とすることもできる。本実施形態では、有機EL装置100がボトムエミッション方式であるとして、以降の説明を行う。なお、本実施形態の有機EL装置100は、サブ画素110R,110G,110Bごとの有機EL素子130をそれぞれ独立して駆動することができる画素回路を素子基板101に備えたアクティブ駆動型である。画素回路は公知の構成を採用することができるので、図2では画素回路の図示を省略している。
本実施形態において有機EL装置100は、サブ画素110R,110G,110Bごとの有機EL素子130における画素電極103の外縁と重なると共に、画素電極103上に開口部105aを構成する隔壁105を有している。
本実施形態において有機EL素子130は、機能層136を構成する正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133が液相プロセスで形成されたものである。液相プロセスとは、それぞれの層を構成する成分と溶媒とを含んだ溶液(機能層形成用組成物)を隔壁105で囲まれた膜形成領域としての開口部105aに塗布して乾燥・焼成することにより、それぞれの層を形成する方法である。それぞれの層を所望の膜厚で形成するためには、所定量の機能層形成用組成物を精度よく開口部105aに塗布する必要があり、本実施形態では、液相プロセスとしてインクジェット法(液滴吐出法)を採用している。
<有機EL素子の製造方法>
次に、本実施形態の有機EL素子の製造方法について、図3を参照して具体的に説明する。図3(a)〜(d)は有機EL素子の製造方法を示す概略断面図である。なお、前述したように、有機EL素子130を駆動制御する画素回路や画素電極103の形成方法は、公知の方法を採用できるので、ここでは、隔壁形成工程以降について説明する。
本実施形態の有機EL素子130の製造方法は、隔壁形成工程(ステップS1)と、表面処理工程(ステップS2)と、機能層形成工程(ステップS3)と、対向電極形成工程(ステップS4)とを有している。
ステップS1の隔壁形成工程では、画素電極103が形成された素子基板101に、例えば機能層形成用組成物に対して撥液性を示す撥液材料を含む感光性樹脂材料を1μm〜2μmの厚みで塗布して乾燥することにより感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、転写法、スリットコート法などが挙げられる。撥液材料としてはフッ素化合物やシロキサン系化合物が挙げられる。感光性樹脂材料としては、ネガ型の多官能アクリル樹脂を挙げることができる。できあがった感光性樹脂層をサブ画素110の形状に対応した露光用マスクを用いて露光・現像して、図3(a)に示すように、画素電極103の外縁と重なると共に、画素電極103上に開口部105aを構成する隔壁105を形成する。そして、ステップS2へ進む。
ステップS2の表面処理工程では、隔壁105が形成された素子基板101に表面処理を施す。表面処理工程は、次工程で機能層136を構成する正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133をインクジェット法(液滴吐出法)で形成するに際して、隔壁105で囲まれた開口部105aにおいて、機能層形成材料(固形分)を含む機能層形成用組成物がむらなく濡れ拡がるように、画素電極103の表面の隔壁残渣などの不要物を取り除く目的で行われる。表面処理方法として、本実施形態ではエキシマUV(紫外線)処理を実施した。なお、表面処理方法はエキシマUV処理に限定されず、画素電極103の表面を清浄化できればよく、例えば溶媒による洗浄・乾燥工程を行ってもよい。また、画素電極103の表面が清浄な状態であれば、表面処理工程を実施しなくてもよい。なお、本実施形態では、撥液材料を含む感光性樹脂材料を用いて隔壁105を形成したが、これに限定されるものではなく、撥液材料を含まない感光性樹脂材料を用いて隔壁105を形成した後に、ステップS2において、フッ素系の処理ガスを用いた例えばプラズマ処理を施して隔壁105の表面に撥液性を与え、その後、酸素を処理ガスとするプラズマ処理を施して画素電極103の表面を親液化する表面処理を行ってもよい。そして、ステップS3へ進む。
ステップS3の機能層形成工程では、まず、図3(b)に示すように、有機層形成用組成物の一例である正孔注入層形成材料を含む正孔注入層形成用組成物としてのインク50を開口部105aに塗布する(塗布工程)。インク50の塗布方法は、インク50をインクジェットヘッド20のノズル21から液滴Dとして吐出するインクジェット法(液滴吐出法)を用いる。インクジェットヘッド20から吐出される液滴Dの吐出量は、pl(ピコリットル)単位で制御可能であって、所定量を液滴Dの吐出量で除した数の液滴Dが開口部105aに吐出される。吐出されたインク50は隔壁105との界面張力により開口部105aにおいて盛り上がるが、溢れてしまうことはない。言い換えれば、開口部105aから溢れ出ない程度の所定量となるように、インク50における有機層形成材料の一例である正孔注入層形成材料の濃度が予め調整されている。そして、乾燥工程に進む。
乾燥工程では、インク50が塗布された素子基板101を減圧下に放置し、インク50から溶媒を蒸発させて乾燥する減圧乾燥を用いる。その後、大気下で例えば180℃で30分間加熱する焼成処理を施すことにより固化して、図3(c)に示すように正孔注入層131を形成する(焼成工程)。正孔注入層131は、後述する正孔注入層形成材料の選択や機能層136における他の層との関係で必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ40nm〜100nmの膜厚で形成される。
次に、有機層形成用組成物の一例である正孔輸送層形成材料を含む正孔輸送層形成用組成物としてのインク60を用いて正孔輸送層132を形成する。正孔輸送層132の形成方法も、正孔注入層131と同様にインクジェット法(液滴吐出法)を用いて行う。すなわち、所定量のインク60をインクジェットヘッド20のノズル21から液滴Dとして開口部105aに吐出する(塗布工程)。そして、開口部105aに塗布されたインク60を減圧乾燥する(乾燥工程)。その後、大気下で、例えば220℃で30分間加熱する焼成処理を施すことにより正孔輸送層132を形成する(焼成工程)。正孔輸送層132は、後述する正孔輸送材料の選択や機能層136における他の層との関係で必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ10nm〜30nmの膜厚で形成される。また、機能層136における他の層との関係で正孔注入層131と正孔輸送層132とを合体させた正孔注入輸送層としてもよい。
次に、発光層形成材料を含む発光層形成用組成物としてのインク70を用いて発光層133を形成する。発光層133の形成方法も、正孔注入層131と同様に、インクジェット法(液滴吐出法)を用いて行う。すなわち、所定量のインク70をインクジェットヘッド20のノズル21から液滴Dとして開口部105aに吐出する(塗布工程)。そして、開口部105aに塗布されたインク70を減圧乾燥する(乾燥工程)。その後、窒素などの不活性ガス雰囲気下で、例えば160℃で10分間加熱する焼成処理を施すことにより発光層133を形成する(焼成工程)。発光層133は、後述する発光層形成材料の選択や機能層136における他の層との関係で必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ40nm〜70nmの膜厚で形成される。
次に、発光層133を覆って電子輸送層134が形成される。電子輸送層134を構成する電子輸送材料としては、特に限定されないが、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、BALq、1,3,5−トリ(5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)(OXD−1)、BCP(Bathocuproine)、2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、4,4’−bis(1,1−bisジフェニルエテニル)ビフェニル(DPVBi)、2,5−bis(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)、4,4’−bis(1,1−bis(4−メチルフェニル)エテニル)ビフェニル(DTVBi)、2,5−bis(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(BBD)などを挙げることができる。
また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、フェナンソロリン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン誘導体、フルオレン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ヒドロキシキノリン誘導体などを挙げることができる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層134は、上記電子輸送材料の選択や機能層136における他の層との関係で必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ20nm〜40nmの膜厚で形成される。これにより、陰極としての対向電極104から注入された電子を好適に発光層133に輸送することができる。なお、機能層136における他の層との関係で電子輸送層134を削除することもできる。
次に、電子輸送層134を覆って電子注入層135を形成する。電子注入層135を構成する電子注入材料としては、特に限定されないが、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を挙げることができる。
アルカリ金属化合物としては、例えば、LiF、Li2CO3、LiCl、NaF、Na2CO3、NaCl、CsF、Cs2CO3、CsClなどのアルカリ金属塩が挙げられる。また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、CaF2、CaCO3、SrF2、SrCO3、BaF2、BaCO3などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。これらのアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物うちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層135の膜厚は、特に限定されないが、1nm以上、10nm以下程度であるのが好ましく、1nm以上、5nm以下程度であるのがより好ましい。これによって、陰極としての対向電極104から電子輸送層134に電子を効率よく注入できる。なお、電子輸送層134と電子注入層135とを共蒸着して形成してもよい。
次に、ステップS4の対向電極形成工程では、電子注入層135を覆って陰極としての対向電極104を形成する。対向電極104の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましく、且つ真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成し得るように、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rb、Auまたはこれらを含む合金などが用いられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体など)用いることができる。
特に、本実施形態のように、有機EL装置100をボトムエミッション方式とする場合、対向電極104には光透過性が求められない。したがって、例えば、Al、Ag、AlAg、AlNdなどの金属または合金が好ましく用いられる。このような金属または合金を対向電極104の構成材料として用いることにより、対向電極104の電子注入効率及び安定性の向上を図ることができる。
ボトムエミッション方式における対向電極104の膜厚は、特に限定されないが、50nm以上、1000nm以下程度であるのが好ましく、100nm以上、500nm以下程度であるのがより好ましい。これにより、図3(d)に示すように、有機EL素子130ができあがる。
なお、有機EL装置100をトップエミッション方式とする場合、対向電極104の構成材料としては、Mg、Al、Ag、Auなどの金属またはMgAg、MgAl、MgAu、AlAgなどの合金を用いるのが好ましい。このような金属または合金を用いることにより、対向電極104の光透過性を維持しつつ、対向電極104の電子注入効率及び安定性の向上を図ることができる。
トップエミッション方式における対向電極104の膜厚は、特に限定されないが、1nm以上、50nm以下程度であるのが好ましく、5nm以上、20nm以下程度であるのがより好ましい。
本実施形態の有機EL素子130の製造方法において、機能層形成工程(ステップS3)のうち、正孔注入層131及び正孔輸送層132の形成工程における、塗布工程が本発明における第1工程に相当し、乾燥工程が本発明における第2工程に相当し、焼成工程が本発明における第3工程に相当するものである。また、発光層133の形成工程における、塗布工程が本発明における第4工程に相当し、乾燥工程が本発明における第5工程に相当し、焼成工程が本発明における第6工程に相当するものである。
有機層形成用組成物であるインク50,60,70を塗布する塗布工程(第1工程、第4工程)は、大気下で行われる。インク50,60,70を乾燥する乾燥工程(第2工程、第5工程)は、例えば、所定の圧力まで減圧されたチャンバー内にインク50,60,70が塗布された素子基板101を放置することで行われる。インク50,60を減圧乾燥して得られた有機層前駆体の例である正孔注入層前駆体や正孔輸送層前駆体の焼成工程(第3工程)は、大気下において、例えば、ホットプレート上に素子基板101を放置することで行われる。本実施形態の「大気下」とは、20℃〜25℃の室内において相対湿度が40%以上であり、且つ酸素濃度が10体積%以上であることを言う。屋外等における一般的な大気の酸素濃度は20体積%以上あるが、室内における大気の酸素濃度は局所的に変動する可能性がある。製造場所の状況によっては、18体積%、または15体積%である場合もあるが、どんなに極端に低下したとしても、10体積%以上はあることを前提としている。また、異物などが混入しないように所定のクリーン度が確保されていることは言うまでもない。
発光層形成材料を含む発光層形成用組成物であるインク70を減圧乾燥して得られた発光層前駆体の焼成工程(第6工程)は、例えば、窒素などの不活性ガスが充填されたチャンバー内に素子基板101を放置する不活性ガス雰囲気下で行われる。チャンバー内に水分が除去された不活性ガスを充填することで、チャンバー内の酸素濃度と水分濃度とをそれぞれ1ppm以下として焼成を行う。したがって、発光層133の形成にあたり酸素や水分の影響が除外される。一方で、すべての焼成工程を不活性ガス雰囲気下で行う場合に比べて、製造に係る環境設備や製造装置の負担が軽減される。
また、インク50,60,70の乾燥方法として減圧乾燥を用いることで、インク50,60,70に含まれる溶媒が均一に蒸発し、乾燥むらに起因する各有機層前駆体の膜厚むらを低減できる。つまり、機能層136における膜厚むらが低減され優れた電気光学特性を有する有機EL素子130を製造できる。
上記製造方法により形成された有機EL素子130は、例えば、外部から水分や酸素などが浸入すると、機能層136における発光機能が阻害され、部分的に発光輝度が低下したり、発光しなくなったりする暗点(ダークスポット)が発生したりするおそれがある。また、発光寿命が短くなるおそれがある。そこで、有機EL素子130を水分や酸素などの浸入から保護するために、封止層(図示省略)によって覆うことが好ましい。封止層としては、例えば、水分や酸素などの透過性が低い、酸窒化シリコン(SiON)などの無機絶縁材料を用いることができる。さらには、例えば透明なガラスなどの封止基板を、有機EL素子130が形成された素子基板101に接着剤を介して貼り付けることにより、有機EL素子130を封着してもよい。これにより、発光寿命において高い信頼性を有する有機EL装置100を提供することができる。
次に、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133について、液相プロセスで用いることが可能な構成材料について説明する。
[正孔注入輸送材料(HIL及びHTL材料)]
正孔注入層(HIL)131や正孔輸送層(HTL)132の形成に好適な正孔注入輸送材料としては、特に限定されないが、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−((4−sec−ブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン(TFB)などのポリアリールアミンのようなアリールアミン骨格を有する芳香族アミン系化合物、フルオレン−ビチオフェン共重合体のようなフルオレン骨格や、フルオレン−アリールアミン共重合体のようなアリールアミン骨格およびフルオレン骨格の双方を有するポリフルオレン誘導体(PF)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系、ポリ[bis(4―フェニル)(2,4,6―トリメチルフェニル)アミン])(PTTA)、ポリ[N,N’−bis(4−ブチルフェニル)−N,N’−bis(フェニル)−ベンジジン]などが挙げられる。
このようなp型の高分子材料は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、綜研化学製導電性ポリマーベラゾール(商標)など、ポリアニリンとして日産化学製エルソース(商標)が挙げられる。
p型の低分子材料としては、例えば、1,1−bis(4−ジ−パラ−トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’−bis(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン(TAPC)のようなアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−bis(3−メチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−bis(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD1)、N,N’−ジフェニル−N,N’−bis(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD3)、N,N’−bis(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、トリフェニルアミン−テトラマー(TPTE)、1,3,5−トリス−[4−(ジフェニルアミノ)ベンゼン(TDAPB)、トリス−(4−カルバゾール−9−イル−フェニル)−アミン(スピローTAD)、トリス−p−トリルアミン(HTM1)、1,1−bis[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(HTM2)、N4,N4’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)bis(N4,N4’,N4’−トリフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン)(TPT1)のようなアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(パラ−トリル)−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(メタ−トリル)−メタ−フェニレンジアミン(PDA)、PDA−Si(Mol.Cryst.Liq.Cryst.Vol.462.pp.249−256,2007)、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン(DPPD)のようなフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、VB−TCA(Adv.Mater.2007,19,300−304)のようなカルバゾール系化合物、スチルベン、4−ジ−パラ−トリルアミノスチルベンのようなスチルベン系化合物、OxZのようなオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)、4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)のようなトリフェニルメタン系化合物、1−フェニル−3−(パラ−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンのようなピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、イミダゾールのようなイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4,−オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンのようなアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7,−トリニトロ−9−フルオレノン、2,7−bis(2−ヒドロキシ−3−(2−クロロフェニルカルバモイル)−1−ナフチルアゾ)フルオレノンのようなフルオレノン系化合物、ポリアニリンのようなアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4−ジチオケト−3,6−ジフェニル−ピロロ−(3,4−c)ピロロピロールのようなピロール系化合物、フローレンのようなフローレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリンのようなポルフィリン系化合物、キナクリドンのようなキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニンのような金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジンのようなベンジジン系化合物などが挙げられる。なお、PDA−Siは、高分子化を図るために、カチオン重合性化合物;キシレンビスオキセタン(東亞合成 アロンオキセタンOXT−121)、ラジカル重合開始剤;脂肪族系ジアシルパーオキサイド(パーロイルL、日本油脂株式会社)が添加されて用いられる。
これらの正孔注入輸送材料の溶媒は、水または有機溶媒の中から適宜選択される。例えば、有機溶媒としては、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのアセテート化合物、トルエン、キシレン、3−フェノキシトルエン(3−PT)などの芳香族化合物が挙げられる。
次に、蛍光または燐光が得られる発光材料(EML材料)について、発光色ごとに具体例を挙げて説明する。
[赤色発光材料]
まず、赤色発光材料としては、特に限定されず、各種赤色蛍光材料、赤色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、ペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−(1−シアノビニレンフェニレン)]、ポリ[{9,9−ジヘキシル−2,7−bis(1−シアノビニレン)フルオレニレン}オルト−co−{2,5−bis(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン}]、ポリ[{2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−(1−シアノビニレンフェニレン)}−co−{2,5−bis(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン}]などが挙げられる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウムなどの金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格などを持つものも挙げられる。より具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、bis[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトネート)(Btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ファク−トリス(2−フェニル)−bis(2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトネート)(Bt2Ir(acac))、bis(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)などが挙げられる。
また、赤色の発光層133中には、前述した赤色発光材料の他に、赤色発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料を含んでいてもよい。
ホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを赤色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、赤色発光材料を励起する機能を有する。このようなホスト材料を用いる場合、例えば、ゲスト材料である赤色発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、用いる赤色発光材料に対して前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、赤色発光材料が赤色蛍光材料を含む場合、例えば、ナフタセン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体のようなアセン誘導体(アセン系材料)、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)などのキノリノラト系金属錯体(BAql)、トリフェニルアミンの4量体などのトリアリールアミン誘導体(TDAPB)、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体(SimCP、UGH3)、ジカルバゾール誘導体(CBP、mCP、CDBP、DCB)、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−bis(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、リン誘導体(PO6)などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前述したような赤色発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、赤色の発光層133中における赤色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01wt%〜10wt%であるのが好ましく、0.1wt%〜5wt%であるのがより好ましい。赤色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
[緑色発光材料]
緑色発光材料としては、特に限定されず、例えば、各種緑色蛍光材料および緑色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、キナクリドンおよびその誘導体、9,10−bis[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−co−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−co−(1,4−ベンゾ−{2,1’,3}−チアジアゾール)](F8BT)などが挙げられる。
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウムなどの金属錯体が挙げられ、具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、bis(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)(Ppy2Ir(acac))、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウムなどが挙げられる。
また、緑色の発光層133中には、前述した緑色発光材料の他に、緑色発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。
このようなホスト材料としては、前述した赤色の発光層133で説明したホスト材料と同様のものを用いることができる。
[青色発光材料]
青色発光材料としては、例えば、各種青色蛍光材料および青色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、ジスチリルジアミン系化合物などのジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−bis(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−co−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(エチルニルベンゼン)]、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(パラ−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノ−ベンゼン]]などが挙げられる。
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウムなどの金属錯体が挙げられ、具体的には、bis[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム(FIrpic)、トリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)(Ir(pmb)3)、bis(2,4−ジフルオロフェニルピリジネート)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾール)イリジウム(FIrN4)、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2’]イリジウム、bis[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム、bis(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)などが挙げられる。
また、青色の発光層133中には、前述した青色発光材料の他に、青色発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。
このようなホスト材料としては、前述した赤色の発光層133で説明したホスト材料と同様のものを用いることができる。
これらの発光層形成材料に好適な溶媒としては、例えば、ブチルカルビトールアセテート(BCA)などのアセテート化合物、トルエン、キシレン、3−フェノキシトルエン(3−PT)などの芳香族溶媒が挙げられる。
なお、本実施形態において、低分子とは、分子量が1000未満のモノマー、あるいは重量平均分子量が1000未満であって、基本骨格が繰り返された構造を有するポリマーまたはオリゴマーを指し、高分子とは、重量平均分子量が1000以上であって、基本骨格が繰り返された構造を有するポリマーまたはオリゴマーを指す。
次に、有機EL素子130の製造方法に関連する評価素子と、有機EL素子130の製造方法おける実施例と比較例とを挙げ、図4〜図7を参照して本実施形態における具体的な効果について説明する。
図4は評価素子の製造方法における焼成条件と素子特性との関係を示す表、図5は評価素子における連続通電時の電流密度の変化を示すグラフ、図6は実施例及び比較例の有機EL素子の製造方法における焼成条件と素子特性との関係を示す表、図7は実施例1及び比較例の有機EL素子における連続通電時の輝度の変化を示すグラフである。
まず、評価素子の構成と製造方法について図4を参照して説明する。
(評価素子1)
評価素子1は、画素電極103と対向電極104との間に設けられた、正孔注入層131、正孔輸送層132、緑色の蛍光が得られる発光層133を含む機能層を有する有機EL素子である。つまり、本実施形態の有機EL素子130の機能層136から電子輸送層134と電子注入層135とを除いた構造となっている。このような構造の評価素子1は、発光層133への電子の注入輸送性が、正孔(ホール)の注入輸送性に比べて低下することからホールリッチ素子と呼ばれる。
評価素子1の製造方法は、基本的には有機EL素子130の製造方法に準ずるものである。具体的には、正孔注入層131は、インクジェット法(液滴吐出法)により正孔注入層形成用組成物としてPEDOT/PSSと溶媒である水とを含むインク50を隔壁105の開口部105aに塗布して減圧乾燥することにより正孔注入層前駆体を形成した。正孔注入層前駆体を大気下で焼成して正孔注入層131を形成した。正孔注入層131の膜厚は、40nm〜100nmである。
正孔輸送層132は、インクジェット法(液滴吐出法)により正孔輸送層形成用組成物としてTFBと溶媒である3−PTとを含むインク60を隔壁105の開口部105aに塗布して減圧乾燥することにより正孔輸送層前駆体を形成した。正孔輸送層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して正孔輸送層132を形成した。正孔輸送層132の膜厚は、10nm〜30nmである。
発光層133は、インクジェット法(液滴吐出法)により発光層形成用組成物として緑色発光が得られるPPV(ポリフェニレンビニレン誘導体)と溶媒である3−PTとを含むインク70を隔壁105の開口部105aに塗布して減圧乾燥することにより発光層前駆体を形成した。発光層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して発光層133を形成した。発光層133の膜厚は、40nm〜70nmである。
対向電極104は、真空蒸着法により、発光層133上にAlを成膜して形成した。対向電極104の膜厚は100nm〜200nmである。
なお、大気下での焼成は、室温が20℃〜25℃、相対湿度が40%以上の室内においてホットプレート上に素子基板101を放置して行った。また、窒素雰囲気下の焼成は、酸素濃度と水分濃度とがそれぞれ1ppm以下となるように乾燥された窒素が充填されたチャンバー内に素子基板101を放置して行った。
(評価素子2)
評価素子2は、評価素子1と基本的に同じ構成の機能層を有するものであって、評価素子1に対して、正孔輸送層前駆体の焼成条件を異ならせたものである。具体的には、図4に示すように、評価素子2の製造方法において、正孔注入層前駆体と正孔輸送層前駆体の焼成は大気下で行い、発光層前駆体の焼成は窒素雰囲気下で行っている。
(評価素子3)
評価素子3は、評価素子1と基本的に同じ構成の機能層を有するものであって、評価素子1に対して、正孔注入層前駆体の焼成条件を異ならせたものである。具体的には、図4に示すように、評価素子3の製造方法において、正孔注入層前駆体、正孔輸送層前駆体、発光層前駆体の焼成はすべて窒素雰囲気下で行っている。
次に、評価素子の素子特性の評価結果について、図5を参照して説明する。
図5は評価素子における連続通電時の電流密度の変化を示すグラフであって、具体的には、初期の輝度が1000nitとなるように通電して電流密度の変化を計測したものである。
図5に示すように、評価素子3において初期の電流密度を「1」とすると、通電が例えば150時間後の電流密度は「1.03」である。これは、キャリア量が3%上昇していること、つまりキャリア変動幅が3%であることを示している。これに対して、評価素子1では、同じく初期の電流密度を「1」とすると、通電が150時間後の電流密度は「1.007」である。これは、キャリア量が0.7%上昇していること、つまりキャリア変動幅が0.7%であることを示している。図5には図示していないが、同様にして評価素子2についても連続通電時の電流密度の変化を計測したところ、通電が150時間後の電流密度は「1.005」であった。つまり、図4に示すように評価素子2はキャリア量が0.5%上昇した(つまりキャリア変動幅が0.5%である)。このような電流密度の変化(キャリアの変動幅)によれば、評価素子3に対して評価素子1及び評価素子2は、キャリアの変動幅が小さくなっている。キャリアの変動は、正孔注入層の正孔注入性あるいは正孔輸送層の正孔輸送性が適正でないことにより生じると考えられる。つまり、この評価素子1〜3の素子特性の評価結果は、正孔注入層の焼成を大気下で行うこと、または正孔注入層及び正孔輸送層の焼成を大気下で行うことにより、発光層133への正孔(ホール)の注入輸送性が適正化されていることを示すものである。
次に、実施例と比較例の構成と製造方法について図6を参照して説明する。以降に説明する実施例1、実施例2、比較例の製造方法は、前述した評価素子1〜3の製造方法(有機層前駆体の焼成条件)を反映させたものである。
(実施例1)
実施例1の有機EL素子130は、画素電極103と対向電極104との間に設けられた、正孔注入層131、正孔輸送層132、緑色の蛍光が得られる発光層133、電子輸送層134、電子注入層135を含む機能層136を有するものである。
正孔注入層131は、インクジェット法(液滴吐出法)により正孔注入層形成用組成物としてPEDOT/PSSと溶媒である水とを含むインク50を隔壁105の開口部105aに塗布して減圧乾燥することにより正孔注入層前駆体を形成した。正孔注入層前駆体を大気下で焼成して正孔注入層131を形成した。正孔注入層131の膜厚は、40nm〜100nmである。
正孔輸送層132は、インクジェット法(液滴吐出法)により正孔輸送層形成用組成物としてTFBと溶媒である3−PTとを含むインク60を隔壁105の開口部105aに塗布して減圧乾燥することにより正孔輸送層前駆体を形成した。正孔輸送層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して正孔輸送層132を形成した。正孔輸送層132の膜厚は、10nm〜30nmである。
発光層133は、インクジェット法(液滴吐出法)により発光層形成用組成物として緑色発光が得られるPPV(ポリフェニレンビニレン誘導体)と溶媒である3−PTとを含むインク70を隔壁105の開口部105aに塗布して減圧乾燥することにより発光層前駆体を形成した。発光層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して発光層133を形成した。発光層133の膜厚は、40nm〜70nmである。
電子輸送層134は、真空蒸着法により、電子輸送材料としてのAlq3を成膜して形成した。電子輸送層134の膜厚は20nm〜40nmである。
電子注入層135は、真空蒸着法により、電子注入材料としてのCaを成膜して形成した。電子注入層135の膜厚は1nm〜5nmである。
対向電極104は、真空蒸着法により、Alを成膜して形成した。対向電極104の膜厚は100nm〜200nmである。
なお、大気下での焼成は、室温が20℃〜25℃、相対湿度が40%以上の室内においてホットプレート上に素子基板101を放置して行った。また、窒素雰囲気下の焼成は、酸素濃度と水分濃度とがそれぞれ1ppm以下となるように乾燥された窒素が充填されたチャンバー内に素子基板101を放置して行った。
(実施例2)
実施例2の有機EL素子130は、基本的に実施例1と同じ材料構成であるが、図6に示すように、正孔輸送層前駆体の焼成条件を異ならせている。具体的には、正孔注入層前駆体と正孔輸送層前駆体とをそれぞれ大気下で焼成して、正孔注入層131、正孔輸送層132を形成した。発光層133は、実施例1と同様に、発光層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して形成した。
(比較例)
比較例の有機EL素子130は、基本的に実施例1と同じ材料構成であるが、図6に示すように、実施例1に対して正孔注入層前駆体の焼成条件を異ならせている。具体的には、正孔注入層前駆体、正孔輸送層前駆体、発光層前駆体の焼成をそれぞれ窒素雰囲気下で行って、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133を形成した。
次に、実施例と比較例の有機EL素子の素子特性の評価結果について図7を参照して説明する。
図7は実施例1及び比較例の有機EL素子における連続通電時の輝度の変化を示すグラフであって、具体的には初期の輝度が1000nitとなるように通電し、初期の輝度を「1」としたときの連続通電による輝度の減衰割合(発光寿命)を示すものである。
図7に示すように、正孔注入層前駆体、正孔輸送層前駆体、発光層前駆体のそれぞれの焼成を窒素雰囲気下で行った比較例の有機EL素子は、700時間程度通電したところで輝度の減衰割合が5%になっている。これに対して正孔注入層前駆体の焼成を大気下で行った実施例1の有機EL素子130は、通電時間が3000時間程度で輝度の減衰割合が1%程度となり、4000時間程度で輝度の減衰割合が4%〜5%程度となる。つまり、比較例に対して実施例1の有機EL素子130の発光寿命は5倍〜6倍に伸びている。したがって、本実施形態では、図6の表に示す通り、比較例の有機EL素子における寿命特性を不可「×」とし、実施例1の有機EL素子130における寿命特性を可「○」としている。
図7には図示していないが、正孔注入層前駆体及び正孔輸送層前駆体の焼成を大気下で行った実施例2の有機EL素子130についても実施例1と同様な発光寿命が得られた。なお、実施例1、実施例2、比較例の各有機EL素子における初期の電気光学的特性(駆動電圧[V]、電流効率[Cd/A]、EQE(外部量子効率)[%])を計測したこころ、それぞれ問題はなく差がなかった。
図6の表に示すように、正孔注入層前駆体のみ大気下で焼成すること、あるいは正孔注入層前駆体と正孔輸送層前駆体とをそれぞれ大気下で焼成することで有機EL素子130の寿命特性を改善できることが確認できた。これは窒素雰囲気下で焼成する場合に比べて適正な正孔注入輸送性が実現されたこと、すなわち発光層133への正孔(ホール)の注入量と、電子の注入量とのバランスが採られていることによるものであると考えられる。
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)有機EL素子130の製造方法によれば、発光層133へバランスよくキャリア(正孔・電子)が注入され、長い発光寿命を有する有機EL素子130を製造することができる。また、比較例のようにすべての機能層前駆体の焼成を窒素雰囲気下で行う必要がないので、製造工程における吸排気関連設備などの環境設備や製造装置に対する負担が軽減される。つまり、有機EL素子130の製造における生産性が改善される。
(2)サブ画素110R,110G,110Bのそれぞれに本実施形態の有機EL素子130の製造方法を用いて形成された有機EL素子130が設けられているので、機能層136における膜厚ばらつきが低減され優れた素子特性を有すると共に、優れた発光寿命(表示寿命)を有する有機EL装置100を提供することができる。
(第2実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について、図8を参照して説明する。図8(a)は電子機器の一例であるノート型のパーソナルコンピューターを示す概略図、図8(b)は電子機器の一例である薄型テレビ(TV)を示す概略図である。
図8(a)に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピューター1000は、キーボード1002を備えた本体部1001と、表示部1004を備える表示ユニット1003とにより構成され、表示ユニット1003は、本体部1001に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1000において、表示部1004に上記第1実施形態の有機EL装置100が搭載されている。
図8(b)に示すように、電子機器としての薄型テレビ(TV)1100は、表示部1101に上記第1実施形態の有機EL装置100が搭載されている。
つまり、優れた表示品質と信頼性品質とを有するパーソナルコンピューター1000や薄型TV1100を提供することができる。
有機EL装置100が搭載される電子機器は、上記パーソナルコンピューター1000や薄型TV1100に限定されない。例えば、スマートフォンやPOSなどの携帯型情報端末、ナビゲーター、ビューワー、デジタルカメラ、モニター直視型のビデオレコーダーなどの表示部を有する電子機器が挙げられる。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL素子の製造方法及び該有機EL素子を備えた電気光学装置、該電気光学装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)有機EL装置100は、サブ画素110R,110G,110Bのうちいずれかに本発明の有機EL素子の製造方法を用いて形成された有機EL素子を備えていればよい。例えば、サブ画素110Rとサブ画素110Gとには、液相プロセスを用いて機能層136のうち正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133が形成された有機EL素子130を備え、サブ画素110Bには機能層136のうち少なくとも発光層133が気相プロセスを用いて形成された有機EL素子130を備えるとしてもよい。
(変形例2)第1実施形態の有機EL素子130が適用される電気光学装置は、表示部を有する有機EL装置100に限定されず、照明装置や感光物を露光する露光装置であってもよい。
50…正孔注入層形成用組成物としてのインク、60…正孔輸送層形成用組成物としてのインク、70…発光層形成用組成物としてのインク、100…電気光学装置としての有機EL装置、101…基板としての素子基板、103…画素電極、104…対向電極、105a…膜形成領域としての開口部、130…有機EL素子、131…正孔注入層、132…正孔輸送層、133…発光層、136…機能層、1000…電子機器としてのパーソナルコンピューター、1100…電子機器としての薄型テレビ(TV)。

Claims (6)

  1. 一対の電極間に、有機層と発光層とを含む機能層が挟持された有機EL素子の製造方法であって、
    基板上において、前記一対の電極のうち一方の電極が形成された膜形成領域に、
    有機層形成材料と溶媒とを含む有機層形成用組成物を塗布する第1工程と、
    塗布された前記有機層形成用組成物を乾燥する第2工程と、
    乾燥して得られた有機層前駆体を大気下で焼成して前記有機層を形成する第3工程と、
    発光層形成材料と溶媒とを含む発光層形成用組成物を前記有機層上に塗布する第4工程と、
    塗布された前記発光層形成用組成物を乾燥する第5工程と、
    乾燥して得られた発光層前駆体を不活性ガス雰囲気下で焼成して前記発光層を形成する第6工程と、を含むことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記第3工程では、相対湿度が40%以上、且つ酸素濃度が10体積%以上の大気下で前記有機層前駆体を焼成し、
    前記第6工程では、酸素濃度と水分濃度とがそれぞれ1ppm以下である不活性ガス雰囲気下で前記発光層前駆体を焼成することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記第1工程では、正孔注入層形成材料と溶媒とを含む正孔注入層形成用組成物を塗布し、
    前記第2工程では、塗布された前記正孔注入層形成用組成物を乾燥し、
    前記第3工程では、乾燥して得られた正孔注入層前駆体を大気下で焼成して正孔注入層を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記正孔注入層上に正孔輸送層形成材料と溶媒とを含む正孔輸送層形成用組成物を塗布する工程と、
    塗布された前記正孔輸送層形成用組成物を乾燥する工程と、
    乾燥して得られた正孔輸送層前駆体を大気下で焼成して前記正孔注入層上に正孔輸送層を形成する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法を用いて形成された有機EL素子を備えたことを特徴とする電気光学装置。
  6. 請求項5に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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