JP2017010633A - 有機el素子の製造方法、電気光学装置、および電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】機能層の膜質の低下を抑制し、所望の素子特性を有する有機EL素子の製造方法、有機EL素子を備えた電気光学装置および電子機器を提供する。【解決手段】有機EL素子130の製造方法は、基体において、発光層133を含む機能層136を備え、前記機能層136のうち、液相プロセスにより前記発光層133を含む第1の層を形成する工程と、前記機能層136のうち、気相プロセスにより前記第1の層に積層して第2の層を形成する工程と、を有し、前記第2の層を形成する工程の前に、1.0×10-3Pa以下の減圧雰囲気下に所定の時間以上前記基体を減圧雰囲気下に置く工程を備えている。【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL素子の製造方法、有機EL素子を備えた電気光学装置および電子機器に関する。
従来から、有機EL(Electro−Luminescence;エレクトロルミネッセンス)素子は、有機発光層を含む機能層を備えており、水分などの影響を受けて、機能層における発光機能が低下したり失われたりすることが知られている。従って、有機EL素子を製造する際には、所望の素子特性が得られるように、水分などの影響を受けないようにプロセスを管理することが求められている。
そのため、例えば、特許文献1では、基板上に塗布法によって形成された有機膜を減圧状態で焼成できる減圧機構を備えることにより、焼成時に、水分が有機膜に吸着することを抑制し、乾燥が促進される焼成装置が開示されている。
特開2011−233426号公報
しかしながら、特許文献1は、塗布法により有機発光層を含む有機層を形成した後、蒸着法によりさらに陰極層を形成する場合、塗布法で用いた溶媒が十分に除去されないと、蒸着中に、残留した溶媒から水分だけでなくアウトガスが発生する。
その結果、塗布法により形成した有機層の膜質がアウトガスの影響で低下し、有機EL素子の素子特性、例えば、発光特性や素子寿命が劣化してしまうおそれがあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る有機EL素子の製造方法は、基体において、発光層を含む機能層を備えた有機EL素子の製造方法であって、前記機能層のうち、液相プロセスにより前記発光層を含む第1の層を形成する工程と、前記機能層のうち、気相プロセスにより前記第1の層に積層して第2の層を形成する工程と、を有し、前記第2の層を形成する工程より前に、所定の時間以上前記基体を減圧雰囲気下に置く工程を備え、前記減圧雰囲気の絶対圧は、1.0×10-3Pa以下であることを特徴とする。
この方法によれば、気相プロセスの前に、基体を減圧雰囲気下に所定の時間以上減圧雰囲気下に置くことにより、液相プロセスにより形成した第1の層に残留している溶媒から発生する水分やアウトガスを十分に除去することができる。そのため、気相プロセスにおいて発生する水分やアウトガスを低減し、機能層の膜質の低下を抑制し、所望の素子特性を有する有機EL素子を製造することができる。
上記適用例に係る有機EL素子の製造方法において、前記基体を減圧雰囲気下に置く工程において、前記所定の時間は、1時間であることを特徴とする。
この方法によれば、気相プロセスの前に、基体を減圧雰囲気下に1時間以上減圧雰囲気下に置くことにより、液相プロセスにより形成した第1の層に残留している溶媒から発生する水分やアウトガスを十分に除去することができる。
上記適用例に係る有機EL素子の製造方法において、前記基体を減圧雰囲気下に置く工程は、前記第1の層を形成する工程より後であることを特徴とする。
この方法によれば、発光層から発生する水分やアウトガスをより確実に除去してから気相プロセスを行うことができる。そのため、基体を気相プロセスより前の工程で滞留させることが可能になり、工程設計が容易になる。
上記適用例に係る有機EL素子の製造方法において、前記第1の層を形成する工程は、前記液相プロセスにより発光層前駆体を形成する工程と、前記発光層前駆体を焼成して前記発光層を形成する工程と、を含み、前記基体を減圧雰囲気下に置く工程は、前記発光層前駆体を形成する工程より後、かつ前記発光層を形成する工程より前に行うことを特徴とする。
この方法によれば、発光層前駆体を焼成する前に、水分やアウトガスを十分に除去することができるので、発光層前駆体を焼成する際の焼成温度を低くすることができる。そのため、有機EL素子に対して熱の影響を低減させ、素子特性を向上させることができる。
上記適用例に係る有機EL素子の製造方法において、前記第2の層は、電子輸送層、電子注入層、陰極のうちの少なくとも1つの層を含むことを特徴とする。
この方法によれば、第2の層が、発光層に効率的に電子を注入することができる。
上記適用例に係る有機EL素子の製造方法において、前記液相プロセスは、インクジェット法であることを特徴とする。
この方法によれば、第1の層を形成する領域に、第1の層の材料を含む所定量の溶液を精度よく塗布することができる。そのため、所望の膜厚の第1の層を形成することができる。
上記適用例に係る有機EL素子の製造方法において、前記気相プロセスは、真空蒸着法であることを特徴とする。
この方法によれば、スパッタリング法と比較して、第1の層にダメージを与え難い。そのため、有機EL素子の素子特性を向上させることができる。
[適用例]本適用例に係る電気光学装置は、上記適用例に記載の有機EL素子の製造方法を用いて製造された有機EL素子を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、優れた電気光学特性を有する電気光学装置を提供することができる。
[適用例]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする。
本適用例によれば、優れた電気光学特性を有する電子機器を提供することができる。
電気光学装置としての有機EL装置の構成を示す概略平面図。 有機EL素子の構造を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示すフローチャート。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造方法を示す概略断面図。 有機EL素子の製造装置を示す概略平面図。 実施例および比較例の有機EL素子の製造方法における保管状態と有機EL素子の素子特性との関係を示す表。 実施例および比較例の有機EL素子の素子特性を示す表。 電子機器の一例であるノート型のパーソナルコンピューターを示す概略図。 電子機器の一例である薄型テレビ(TV)を示す概略図。
以下に本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさにして、説明を分かりやすくするため、各構成要素の尺度を実際とは異なる尺度で記載している場合がある。
(第1実施形態)
<電気光学装置>
本実施形態の有機EL素子の製造方法を用いて製造された有機EL素子を備える電気光学装置について、図1および図2を参照して説明する。図1は、電気光学装置としての有機EL装置の構成を示す概略平面図であり、図2は、有機EL素子の構造を示す概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態の電気光学装置としての有機EL装置100は、赤(R)、緑(G)、青(B)の発光(発光色)が得られるサブ画素110R,110G,110Bが配置された素子基板101を有している。素子基板101は、ガラスなどからなる透明な基板である。
各サブ画素110R,110G,110Bは略矩形状であり、素子基板101の表示領域Eにおいてマトリックス状に配置されている。ここで、略矩形状とは、正方形、長方形に加えて、角部が丸くなった四角形、対向する2辺部が円弧状となった四角形を含むものである。以降、サブ画素110R,110G,110Bを総称してサブ画素110と呼ぶこともある。
同じ発光色のサブ画素110が、図面上において垂直方向(列方向あるいはサブ画素110の長手方向)に配列し、異なる発光色のサブ画素110が図面上において水平方向(行方向あるいはサブ画素110の短手方向)にR,G,Bの順で配列している。
すなわち、異なる発光色のサブ画素110R,110G,110Bが、いわゆるストライプ方式で配置されている。なお、サブ画素110R,110G,110Bの平面形状と配置は、これに限定されるものではない。
サブ画素110Rには、赤(R)の発光が得られる有機EL素子が設けられており、同じく、サブ画素110Gには、緑(G)の発光が得られる有機EL素子が設けられており、サブ画素110Bには、青(B)の発光が得られる有機EL素子が設けられている。
このような有機EL装置100は、異なる発光色が得られる3つのサブ画素110R,110G,110Bを1つの表示画素単位として、それぞれのサブ画素110R,110G,110Bは電気的に制御される。これによりフルカラー表示が可能となっている。
各サブ画素110R,110G,110Bには、図2に示す有機EL素子130が設けられている。図2に示すように、有機EL素子130は、基体としての素子基板101と、絶縁膜102と、画素電極103と、対向電極104と、機能層136と、を有している。
絶縁膜102は、素子基板101と画素電極103との電気的な短絡を防ぐために、素子基板101上に形成されており、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンあるいは酸窒化シリコンなどを用いて形成される。
画素電極103は、陽極として機能するものであり、サブ画素110R,110G,110Bごとに設けられ、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜を用いて形成されている。
対向電極104は、陰極として機能するものであり、サブ画素110R,110G,110Bに共通した共通電極として設けられ、例えば、Al(アルミニウム)やAg(銀)とMg(マグネシウム)の合金などを用いて形成されている。
陽極としての画素電極103側から発光層133にキャリアとしての正孔が注入され、陰極としての対向電極104側から発光層133にキャリアとしての電子が注入される。
発光層133において、注入された正孔と電子とにより、励起子(エキシトン)が形成され、励起子(エキシトン)が消滅する際に、言い換えれば、正孔と電子とが再結合する際に、エネルギーの一部が蛍光や燐光となって放出される。励起子(エキシトン)とは、正孔と電子とがクーロン力にて互いに束縛された状態のことをいう。
機能層136は、画素電極103と対向電極104との間に設けられており、画素電極103側から、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133、電子輸送層134、電子注入層135が順に積層されたものである。
特に、発光層133は発光色に応じて構成材料が選ばれるが、ここでは、発光色に関わらず総称して発光層133と呼ぶ。
なお、機能層136の構成は、これに限定されるものではなく、これらの層以外に、電荷(キャリア;正孔や電子)の移動を制御する中間層などを備えていてもよい。
有機EL装置100において、光反射性を有するように対向電極104を構成すれば、発光層133からの発光を素子基板101側から取り出すボトムエミッション方式とすることができる。
また、画素電極103と素子基板101との間に反射層を設ける、または光反射性を有するように画素電極103を構成し、光透過性を有するように対向電極104を構成すれば、発光層133からの発光を対向電極104側から取り出すトップエミッション方式とすることもできる。
本実施形態では、有機EL装置100がボトムエミッション方式であるとして、以降の説明を行う。また、本実施形態の有機EL装置100は、サブ画素110R,110G,110Bごとの有機EL素子130をそれぞれ独立して駆動することができる画素回路を素子基板101に備えたアクティブ駆動型である。画素回路は、公知の構成を採用することができるので、図2では画素回路の図示を省略している。
有機EL装置100は、サブ画素110R,110G,110Bごとの有機EL素子130における画素電極103の外縁と重なると共に、画素電極103上に開口部105aを構成する隔壁105を備えている。
有機EL素子130は、機能層136を構成する正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133が液相プロセスにより形成されたものである。ここで、液相プロセスとは、それぞれの層を構成する成分と溶媒とを含んだ溶液、言い換えれば、機能層136を形成するために用いる材料(機能層形成用組成物)を隔壁105で囲まれた開口部105aに塗布して乾燥、焼成することにより、それぞれの層を形成する方法である。
それぞれの層を所望の膜厚で形成するためには、機能層形成用組成物を、量と位置とに関して精度よく、開口部105aに塗布する必要があり、本実施形態では、液相プロセスとして、インクジェット法(液滴吐出法)を採用している。
<有機EL素子の製造方法>
次に、本実施形態の有機EL素子の製造方法について、図面を参照して具体的に説明する。図3は、有機EL素子の製造方法を示すフローチャートであり、図4〜図10は、有機EL素子の製造方法を示す概略断面図である。
なお、前述したように、有機EL素子130を駆動制御する画素回路や画素電極103の形成方法は、公知の方法を採用することができるので、ここでは、隔壁105を形成する工程以降について説明する。
本実施形態の有機EL素子130の製造方法は、隔壁105を形成する工程(ステップS1)と、表面処理をする工程(ステップS2)と、機能層136のうち、液相プロセスにより発光層133を含む第1の層を形成する工程(ステップS3)と、減圧雰囲気下に基体としての素子基板101を減圧雰囲気下に置く工程(ステップS4)と、機能層136のうち、気相プロセスにより第1の層に積層して第2の層を形成する工程(ステップS5)と、封止する工程(ステップS6)と、を備えている。
本実施形態において、第1の層は、正孔注入層131、正孔輸送層132、および発光層133に相当する。第2の層は、電子輸送層134、電子注入層135、および対向電極104(陰極)に相当する。
(1)ステップS1 隔壁を形成する工程
まず、図4に示すように、画素電極103が形成された素子基板101に、例えば、機能層形成用組成物(以下、インクという)に対して撥液性を示す撥液材料を含む感光性樹脂材料を、1μm〜2μmの厚みで塗布して乾燥することにより感光性樹脂層(図示せず)を形成する。
塗布方法としては、転写法、スリットコート法などが挙げられる。撥液材料としては、フッ素化合物やシロキサン系化合物が挙げられる。感光性樹脂材料としては、ネガ型の多官能アクリル樹脂を挙げることができる。
次に、できあがった感光性樹脂層をサブ画素110の形状に対応した露光用マスクを用いて露光、現像して、画素電極103の外縁と重なると共に、画素電極103上に開口部105aを構成する隔壁105を形成する。
(2)ステップS2 表面処理をする工程
隔壁105が形成された素子基板101に表面処理を施す。表面処理をする工程は、次工程で機能層136を構成する正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133をインクジェット法(液滴吐出法)で形成する際に、隔壁105で囲まれた開口部105aにおいて、インク50がむらなく濡れ拡がるように、画素電極103の表面の隔壁残渣などの不要物を取り除く目的で行われる。
表面処理をする方法として、本実施形態ではエキシマUV(紫外線)処理を実施した。なお、表面処理をする方法は、エキシマUV処理に限定されず、画素電極103の表面を清浄化できればよく、例えば、溶媒による洗浄、乾燥工程を行ってもよい。また、画素電極103の表面が清浄な状態であれば、表面処理をする工程を実施しなくてもよい。
本実施形態では、撥液材料を含む感光性樹脂材料を用いて隔壁105を形成したが、これに限定されるものではない。例えば、撥液材料を含まない感光性樹脂材料を用いて隔壁105を形成した後に、フッ素系の処理ガスを用いたプラズマ処理を施して隔壁105の表面に撥液性を与え、その後、酸素を処理ガスとするプラズマ処理を施して画素電極103の表面を親液化する表面処理を行ってもよい。
(3)ステップS3 第1の層を形成する工程
図5に示すように、正孔注入層を形成するために用いる材料(正孔注入層形成材料)を含むインク50を開口部105aに塗布する(塗布工程)。インク50の塗布方法は、インク50をインクジェットヘッド30のノズル31から液滴Dとして吐出するインクジェット法(液滴吐出法)を用いる。
インクジェットヘッド30から吐出される液滴Dの吐出量は、pl(ピコリットル)単位で制御可能であって、所定量を液滴Dの吐出量で除した数の液滴Dが開口部105aに吐出される。吐出されたインク50は、隔壁105との界面張力により開口部105aにおいて盛り上がるが、溢れてしまうことはない。言い換えれば、開口部105aから溢れ出ない程度の所定量となるように、インク50における後述する正孔注入層形成材料の濃度が予め調整されている。
次に、インク50が塗布された素子基板101を減圧下に放置し、インク50から溶媒を蒸発させて乾燥する(減圧乾燥工程)。
次に、図6に示すように、窒素などの不活性ガス雰囲気下で、例えば、180℃で、30分間加熱する焼成処理を施すことにより固化して、正孔注入層131が完成する(焼成工程)。
正孔注入層131は、正孔注入層形成材料の選択や機能層136における他の層との関係で、必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ40nm〜100nmの膜厚で形成される。
次に、図7に示すように、後述する正孔輸送層を形成するために用いる材料(正孔輸送層形成材料)を含むインク60を用いて正孔輸送層132を形成する。正孔輸送層132の形成方法も、正孔注入層131と同様に、インクジェット法(液滴吐出法)を用いて行う。すなわち、所定量のインク60をインクジェットヘッド30のノズル31から液滴Dとして開口部105aに吐出する(塗布工程)。
次に、インク60が塗布された素子基板101を減圧下に放置し、インク60から溶媒を蒸発させて乾燥する(減圧乾燥工程)。
次に、図8に示すように、窒素などの不活性ガス雰囲気下で、例えば、220℃で、30分間加熱する焼成処理を施すことにより固化して、正孔輸送層132が完成する(焼成工程)。
正孔輸送層132は、正孔輸送層形成材料の選択や機能層136における他の層との関係で、必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ10nm〜30nmの膜厚で形成される。
また、機能層136における他の層との関係で、正孔注入層131と正孔輸送層132とを合体させた正孔注入輸送層としてもよい。
次に、図9に示すように、後述する発光層形成材料を含むインク70を用いて発光層133を形成する。発光層133の形成方法も、正孔注入層131と同様に、インクジェット法(液滴吐出法)を用いて行う。すなわち、所定量のインク70をインクジェットヘッド30のノズル31から液滴Dとして開口部105aに吐出する(塗布工程)。
次に、インク70が塗布された素子基板101を減圧下に放置し、インク70から溶媒を蒸発、乾燥させて発光層前駆体(図示せず)を形成する(減圧乾燥工程)。
次に、図10に示すように、発光層前駆体を窒素などの不活性ガス雰囲気下で、例えば、160℃で、10分間加熱する焼成処理を施すことにより固化して、発光層133が完成する(焼成工程)。
発光層133は、発光層形成材料の選択や機能層136における他の層との関係で、必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ40nm〜70nmの膜厚で形成される。
(4)ステップS4 素子基板を減圧雰囲気下に置く工程
次に、発光層133まで形成された素子基板101を減圧雰囲気下に置く(以下、保管するという)。この素子基板101を保管する環境は、特に限定されるものではないが、例えば、ターボ分子ポンプやクライオポンプなどの真空ポンプが接続されており、減圧できる密閉された空間として、真空チャンバーなどが挙げられる。
詳細は後述するが、このときの、素子基板101を保管する雰囲気の真空度(保管真空度)は、1.0×10-3Pa以下であることが望ましい。また、保管する時間(保管時間)は、1時間以上であることが望ましい。
(5)ステップS5 第2の層を形成する工程
次に、発光層133と隔壁105とを覆って電子輸送層134を形成する(図2参照)。電子輸送層134を構成する電子輸送材料としては、特に限定されないが、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成できるように、例えば、BALq、1,3,5−トリ(5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)(OXD−1)、BCP(Bathocuproine)、2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール(PBD)、3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、4,4’−bis(1,1−bisジフェニルエテニル)ビフェニル(DPVBi)、2,5−bis(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)、4,4’−bis(1,1−bis(4−メチルフェニル)エテニル)ビフェニル(DTVBi)、2,5−bis(4−ビフェニリル)−1,3,4−オキサジアゾール(BBD)などを挙げることができる。
また、電子輸送層134を構成する電子輸送材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、フェナンソロリン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン誘導体、フルオレン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ヒドロキシキノリン誘導体などを挙げることができる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層134は、上記電子輸送材料の選択や機能層136における他の層との関係で、必ずしもこれに限定されるものではないが、およそ20nm〜40nmの膜厚で形成される。これにより、陰極としての対向電極104から注入された電子を好適に発光層133に輸送することができる。また、機能層136における他の層との関係で、電子輸送層134を省略することもできる。
次に、電子輸送層134を覆って電子注入層135を形成する(図2参照)。電子注入層135を構成する電子注入材料としては、特に限定されないが、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成できるように、例えば、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を挙げることができる。
アルカリ金属化合物としては、例えば、LiF、Li2CO3、LiCl、NaF、Na2CO3、NaCl、CsF、Cs2CO3、CsClなどのアルカリ金属塩が挙げられる。また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、CaF2、CaCO3、SrF2、SrCO3、BaF2、BaCO3などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。これらのアルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物うちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層135の膜厚は、特に限定されないが、1nm以上、10nm以下程度であるのが好ましく、1nm以上、5nm以下程度であるのがより好ましい。これによって、陰極としての対向電極104から電子輸送層134に電子を効率よく注入できる。
次に、電子注入層135を覆って陰極としての対向電極104を形成する(図2参照)。対向電極104の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましく、かつ、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成できるものが好ましい。
対向電極104の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rb、Au、または、これらを含む合金などが用いられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体など)用いることができる。
特に、本実施形態のように、有機EL装置100をボトムエミッション方式とする場合には、対向電極104に光反射性が求められるため、対向電極104の構成材料として、例えば、Al、Ag、AlAg、AlNdなどの金属または合金が好ましく用いられる。このような金属または合金を対向電極104の構成材料として用いることにより、対向電極104の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
ボトムエミッション方式における対向電極104の膜厚は、特に限定されないが、50nm以上、1000nm以下程度であるのが好ましく、100nm以上、500nm以下程度であるのがより好ましい。
有機EL装置100をトップエミッション方式とする場合、対向電極104の構成材料としては、Mg、Al、Ag、Auなどの金属、またはMgAg、MgAl、MgAu、AlAgなどの合金を用いるのが好ましい。このような金属または合金を用いることにより、対向電極104の光透過性を維持しつつ、対向電極104の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
トップエミッション方式における対向電極104の膜厚は、特に限定されないが、1nm以上、50nm以下程度であるのが好ましく、5nm以上、20nm以下程度であるのがより好ましい。
(6)ステップS6 封止する工程
上記製造方法により形成された有機EL素子130は、例えば、外部から水分や酸素などが浸入すると、機能層136における発光機能が阻害され、部分的に発光輝度が低下したり、発光しなくなったりする暗点(ダークスポット)が発生したりするおそれがある。また、発光寿命が短くなるおそれがある。
そこで、有機EL素子130を水分や酸素などの浸入から保護するために、封止層(図示省略)によって覆うことが好ましい。封止層としては、例えば、水分や酸素などの透過性が低い、酸窒化シリコン(SiON)などの無機絶縁材料を用いることができる。
また、例えば、透明なガラスなどの封止基板を、有機EL素子130が形成された素子基板101に接着剤を介して貼り付けることにより、有機EL素子130を封着してもよい。こうすることによって、発光寿命において高い信頼性を有する有機EL装置100を提供することができる。
以上により、有機EL素子130が完成する。
<構成材料>
次に、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133について、液相プロセスで用いることが可能なそれぞれの構成材料(形成材料)について説明する。
[正孔注入輸送材料(HIL材料、HTL材料)]
正孔注入層(HIL)131や正孔輸送層(HTL)132の形成に好適な正孔注入輸送材料としては、特に限定されないが、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
p型の高分子材料(有機ポリマー)としては、例えば、ポリ(2,7−(9,9−ジ−n−オクチルフルオレン)−(1,4−フェニレン−((4−sec−ブチルフェニル)イミノ)−1,4−フェニレン(TFB)などのポリアリールアミンのようなアリールアミン骨格を有する芳香族アミン系化合物、フルオレン−ビチオフェン共重合体のようなフルオレン骨格や、フルオレン−アリールアミン共重合体のようなアリールアミン骨格およびフルオレン骨格の双方を有するポリフルオレン誘導体(PF)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系、ポリ[bis(4―フェニル)(2,4,6―トリメチルフェニル)アミン])(PTTA)、ポリ[N,N’−bis(4−ブチルフェニル)−N,N’−bis(フェニル)−ベンジジン]などが挙げられる。
このようなp型の高分子材料は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、ポリチオフェンを含有する混合物としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、綜研化学製導電性ポリマーベラゾール(商標)など、ポリアニリンとして日産化学製エルソース(商標)が挙げられる。
p型の低分子材料としては、例えば、1,1−bis(4−ジ−パラ−トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’−bis(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン(TAPC)のようなアリールシクロアルカン系化合物、4,4’,4’’−トリメチルトリフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−bis(3−メチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−bis(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD1)、N,N’−ジフェニル−N,N’−bis(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD3)、N,N’−bis(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、トリフェニルアミン−テトラマー(TPTE)、1,3,5−トリス−[4−(ジフェニルアミノ)ベンゼン(TDAPB)、トリス−(4−カルバゾール−9−イル−フェニル)−アミン(スピローTAD)、トリス−p−トリルアミン(HTM1)、1,1−bis[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(HTM2)、N4,N4’−(ビフェニル−4,4’−ジイル)bis(N4,N4’,N4’−トリフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン)(TPT1)のようなアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(パラ−トリル)−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(メタ−トリル)−メタ−フェニレンジアミン(PDA)、PDA−Si(Mol.Cryst.Liq.Cryst.Vol.462.pp.249−256,2007)、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン(DPPD)のようなフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール、VB−TCA(Adv.Mater.2007,19,300−304)のようなカルバゾール系化合物、スチルベン、4−ジ−パラ−トリルアミノスチルベンのようなスチルベン系化合物、OxZのようなオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス(N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATA)、4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)のようなトリフェニルメタン系化合物、1−フェニル−3−(パラ−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンのようなピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾールのようなトリアゾール系化合物、イミダゾールのようなイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4,−オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンのようなアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7,−トリニトロ−9−フルオレノン、2,7−bis(2−ヒドロキシ−3−(2−クロロフェニルカルバモイル)−1−ナフチルアゾ)フルオレノンのようなフルオレノン系化合物、ポリアニリンのようなアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4−ジチオケト−3,6−ジフェニル−ピロロ−(3,4−c)ピロロピロールのようなピロール系化合物、フローレンのようなフローレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリンのようなポルフィリン系化合物、キナクリドンのようなキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン(CuPc)、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニンのような金属または無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジンのようなベンジジン系化合物などが挙げられる。
なお、PDA−Siは、高分子化を図るために、カチオン重合性化合物;キシレンビスオキセタン(東亞合成 アロンオキセタンOXT−121)、ラジカル重合開始剤;脂肪族系ジアシルパーオキサイド(パーロイルL、日本油脂株式会社)が添加されて用いられる。
PEDOT/PSSの好ましい溶媒としては、水が挙げられる。他のp型の高分子材料や低分子材料の溶媒としては、トルエン、キシレン、3−フェノキシトルエン(3−PT)などの芳香族溶媒が挙げられる。
[発光材料]
次に、蛍光または燐光が得られる発光材料(EML材料)について、発光色ごとに具体例を挙げて説明する。
(赤色発光材料)
まず、赤色発光材料としては、特に限定されず、各種赤色蛍光材料、赤色燐光材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
赤色蛍光材料としては、赤色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、ペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−(1−シアノビニレンフェニレン)]、ポリ[{9,9−ジヘキシル−2,7−bis(1−シアノビニレン)フルオレニレン}オルト−co−{2,5−bis(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン}]、ポリ[{2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−(1−シアノビニレンフェニレン)}−co−{2,5−bis(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン}]などが挙げられる。
赤色燐光材料としては、赤色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウムなどの金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格などを持つものも挙げられる。
さらに具体的には、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、bis[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトネート)(Btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ファク−トリス(2−フェニル)−bis(2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C3’]イリジウム(アセチルアセトネート)(Bt2Ir(acac))、bis(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)などが挙げられる。
また、赤色の発光層133中には、前述した赤色発光材料の他に、赤色発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料を含んでいてもよい。
ホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを赤色発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、赤色発光材料を励起する機能を有する。
このようなホスト材料を用いる場合、例えば、ゲスト材料である赤色発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープして用いることができる。
このようなホスト材料としては、用いる赤色発光材料に対して、前述したような機能を発揮するものであれば、特に限定されないが、赤色発光材料が赤色蛍光材料を含む場合、例えば、ナフタセン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体のようなアセン誘導体(アセン系材料)、ジスチリルアリーレン誘導体、ペリレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)などのキノリノラト系金属錯体(BAql)、トリフェニルアミンの4量体などのトリアリールアミン誘導体(TDAPB)、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体(SimCP、UGH3)、ジカルバゾール誘導体(CBP、mCP、CDBP、DCB)、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、4,4’−bis(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、リン誘導体(PO6)などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
前述したような赤色発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、赤色の発光層133中における赤色発光材料の含有量(ドープ量)は、0.01wt%〜10wt%であるのが好ましく、0.1wt%〜5wt%であるのがより好ましい。赤色発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
(緑色発光材料)
緑色発光材料としては、特に限定されず、例えば、各種緑色蛍光材料および緑色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
緑色蛍光材料としては、緑色の蛍光を発するものであれば特に限定されず、例えば、クマリン誘導体、キナクリドンおよびその誘導体、9,10−bis[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−co−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−co−(1,4−ベンゾ−{2,1’,3}−チアジアゾール)](F8BT)などが挙げられる。
緑色燐光材料としては、緑色の燐光を発するものであれば特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウムなどの金属錯体が挙げられ、具体的には、ファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、bis(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)(Ppy2Ir(acac))、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウムなどが挙げられる。
また、緑色の発光層133中には、前述した緑色発光材料の他に、緑色発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。
このようなホスト材料としては、前述した赤色の発光層133で説明したホスト材料と同様のものを用いることができる。
(青色発光材料)
青色発光材料としては、例えば、各種青色蛍光材料および青色燐光材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
青色蛍光材料としては、青色の蛍光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、ジスチリルジアミン系化合物などのジスチリルアミン誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−bis(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−co−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(エチルニルベンゼン)]、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ジフェニル)−N,N’−ジ(パラ−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノ−ベンゼン]]などが挙げられる。
青色燐光材料としては、青色の燐光を発するものであれば、特に限定されず、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウムなどの金属錯体が挙げられ、さらに具体的には、bis[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム(FIrpic)、トリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)(Ir(pmb)3)、bis(2,4−ジフルオロフェニルピリジネート)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾール)イリジウム(FIrN4)、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C2’]イリジウム、bis[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C2’]−ピコリネート−イリジウム、bis(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)などが挙げられる。
また、青色の発光層133中には、前述した青色発光材料の他に、青色発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料が含まれていてもよい。
このようなホスト材料としては、前述した赤色の発光層133で説明したホスト材料と同様のものを用いることができる。
本実施形態において、低分子とは、分子量が1000未満のモノマー、あるいは重量平均分子量が1000未満の、基本骨格が繰り返された構造を有するポリマーまたはオリゴマーを指し、高分子とは、重量平均分子量が1000以上の、基本骨格が繰り返された構造を有するポリマーまたはオリゴマーを指す。
これらの発光層形成材料の好ましい溶媒としては、トルエン、キシレン、3−フェノキシトルエン(3−PT)などの芳香族溶媒が挙げられる。
<有機EL素子の製造装置>
図11は、有機EL素子の製造装置を示す概略平面図である。図11に示すように、有機EL素子の製造装置10は、焼成部11、保管部12、成膜部13の3つのステージを備えている。焼成部11、保管部12、および成膜部13は、素子基板101が運搬される経路にこの順番で配置されている。
焼成部11は、素子基板101を220℃程度まで加熱することができる加熱手段を有している。
保管部12は、常圧から1.0×10-3Pa以下に減圧することができる減圧手段、つまり、真空ポンプが接続されている密閉された空間、例えば、真空チャンバーなどを有している。
成膜部13は、例えば、減圧された雰囲気において、金属や酸化物などの蒸着材を蒸発させて、被蒸着物の表面に付着させて薄膜を形成することができる蒸着手段を有している。
焼成部11および保管部12は、連結経路14により連結されており、保管部12および成膜部13は、連結経路15により連結されている。
焼成部11は、シャッター16により外部空間と仕切られており、シャッター17により連結経路14と仕切られている。
保管部12は、シャッター18により連結経路14と仕切られており、シャッター19により連結経路15と仕切られている。
成膜部13は、シャッター20により連結経路15と仕切られており、シャッター21により外部空間と仕切られている。
焼成部11、保管部12、成膜部13、連結経路14、および連結経路15は、それぞれ外部の雰囲気に対して、各シャッターにより空間的に遮断することができる。そのため、素子基板101は、焼成部11から保管部12に連結経路14を経由して移動する際、また、保管部12から成膜部13に連結経路15を経由して移動する際には、外部の雰囲気に影響されることなくステージを移動することができる。
具体的に説明すると、まず、シャッター16〜21を全て閉じる。そして、シャッター16を開けて、焼成する素子基板101を焼成部11に搬入して、シャッター16を閉めて焼成工程を行う。
焼成工程が終了したら、シャッター17を開けて、素子基板101を連結経路14に移動させて、シャッター17を閉める。
次に、シャッター18を開けて、保管する素子基板101を保管部12に搬入して、シャッター18を閉めて1時間以上保管する。
保管する工程が終了したら、シャッター19を開けて、素子基板101を連結経路15に移動させてシャッター19を閉める。
次に、シャッター20を開けて、成膜する素子基板101を成膜部13に搬入して、シャッター20を閉めて成膜する。
成膜する工程が終了したら、シャッター21を開けて、素子基板101を外部へ搬出して、シャッター21を閉める。
このようにして、素子基板101が有機EL素子の製造装置10の内部を運搬される。
<保管状態と発光寿命との関係>
次に、有機EL素子130の製造方法における実施例と比較例とを挙げ、図12、図13を参照して、素子基板101を減圧雰囲気下で保管する際の保管状態と、成膜時の成膜部13の到達真空度と、有機EL素子の素子特性の関係と、について説明する。ここで、保管状態とは、素子基板101に発光層133を形成する工程と、発光層133に積層して電子輸送層134を形成する工程と、の間において、素子基板101を保管する保管部12内部の真空度(以下、保管真空度という)と、保管している時間(以下、保管時間という)と、のことである。
本実施形態における真空度および保管真空度とは、保管部内において残存する気体の圧力を、絶対真空を0とした絶対圧として表すものである。
成膜時の成膜部13の到達真空度は、第1の層に残留している溶媒から発生するアウトガスの量に比例していると考えられる。つまり、成膜時の成膜部13の到達真空度が高いほど、第1の層に残留している溶媒から発生するアウトガスが少なく、逆に、成膜時の成膜部13の到達真空度が低いほど、発生するアウトガスが多いということである。
図12は、実施例および比較例の有機EL素子の製造方法における保管状態と有機EL素子の素子特性との関係を示す表であり、図13は、実施例および比較例の有機EL素子の素子特性を示す表である。
以下の実施例および比較例で説明する有機EL素子130は、すでに図2で説明した、画素電極103と対向電極104との間に設けられた、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133、電子輸送層134、電子注入層135を含む機能層136を有しているという素子構成は共通している。
図12に示すように、発光層133まで形成した素子基板101を減圧雰囲気下で保管する際の保管真空度および保管時間をパラメーターとして、成膜時の成膜部13の到達真空度を測定し、有機EL素子130の素子特性を評価する実験を実施した。有機EL素子130の素子特性の評価項目は、具体的には、発光寿命、駆動電圧、電流効率、EQE(外部量子効率)である。
発光寿命に関しては、初期輝度1000cd/m2で定電流駆動させた際に、輝度が初期輝度の95%に低下するまでの時間(以下、LT95という)を測定することによって評価した。
発光寿命を評価する判定基準は、LT95において、Rが15000時間以上、Gが7500時間以上、Bが1000時間以上で「○」(可)とした。
なお、発光層133を含む機能層136からは、緑色発光が得られる有機EL素子130の構成となっている。
まず、実施例1から実施例4までを具体的に説明する。
(実施例1)
正孔注入層131は、インクジェット法(液滴吐出法)により、PEDOT/PSSを含むインク50を隔壁105の開口部105aに塗布して、減圧乾燥することにより正孔注入層前駆体を形成した。正孔注入層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して正孔注入層131を形成した。正孔注入層131の膜厚は、40nm〜100nmである。PEDOT/PSSの溶媒は、水である。
窒素雰囲気下での焼成は、酸素濃度と水分濃度とがそれぞれ1ppm以下となるように乾燥された窒素が充填されたチャンバー内に素子基板101を放置して行った。
正孔輸送層132は、インクジェット法(液滴吐出法)により、TFBを含むインク60を隔壁105の開口部105aに塗布して、減圧乾燥することにより正孔輸送層前駆体を形成した。正孔輸送層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して正孔輸送層132を形成した。正孔輸送層132の膜厚は、10nm〜30nmである。TFBの溶媒は、3−フェノキシトルエン(3−PT)である。
発光層133は、インクジェット法(液滴吐出法)により、緑色発光が得られるPPV(ポリフェニレンビニレン誘導体)を含むインク70を隔壁105の開口部105aに塗布して、減圧乾燥することにより発光層前駆体を形成した。発光層前駆体を窒素雰囲気下で焼成して発光層133を形成した。発光層133の膜厚は、40nm〜70nmである。PPVの溶媒は、3−フェノキシトルエン(3−PT)である。
ここで、発光層133まで形成された素子基板101を減圧雰囲気下に保管する。実施例1では、保管真空度を1.0×10-3Pa、保管時間を1時間と設定した。
電子輸送層134は、真空蒸着法により、電子輸送材料としてのAlq3を成膜して形成した。このときの成膜時の成膜部13の到達真空度は、9.5×10-6Paであった。電子輸送層134の膜厚は20nm〜40nmである。
電子注入層135は、真空蒸着法により、電子注入材料としてのCaを成膜して形成した。電子注入層135の膜厚は1nm〜5nmである。
対向電極104は、真空蒸着法により、Alを成膜して形成した。対向電極104の膜厚は100nm〜200nmである。
図13に示すように、このようにして得られた有機EL素子の素子特性、具体的には、発光寿命、駆動電圧、電流効率、EQEを測定した結果、発光寿命(LT95)は、8650Hであり、駆動電圧は、6.0Vであり、電流効率は、16.9Cd/Aであり、EQEは、4.30%である。従って、素子特性の評価は、発光寿命を含めて、「○」(可)であるという結果になった。
(実施例2)
実施例2の有機EL素子130は、保管真空度を5.0×10-5Pa、保管時間を3時間と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、9.0×10-6Paであり、発光寿命は「○」(可)であった。
(実施例3)
実施例3の有機EL素子130は、保管真空度を4.0×10-4Pa、保管時間を10時間と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、8.0×10-6Paであり、発光寿命は「○」(可)であった。
(実施例4)
実施例4の有機EL素子130は、保管真空度を1.0×10-3Pa、保管時間を24時間と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、1.0×10-5Paであり、発光寿命は「○」(可)であった。
以上で説明した実施例2から実施例4までの有機EL素子130における発光寿命以外の素子特性においても、図示は省略するが、実施例1と同様の結果が得られ、素子特性の評価は、「○」(可)であるという結果になった。
次に、比較例1から比較例7までを具体的に説明する。
(比較例1)
比較例1の有機EL素子130は、保管真空度を1.3×10-5Pa、保管時間を15分と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、3.0×10-5Paであった。
(比較例2)
比較例2の有機EL素子130は、保管真空度を2.0×10-4Pa、保管時間を30分と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、3.0×10-5Paであった。
(比較例3)
比較例3の有機EL素子130は、保管真空度を9.8×10-6Pa、保管時間を45分と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、1.5×10-5Paであった。
(比較例4)
比較例4の有機EL素子130は、保管真空度を3.7×10-2Pa、保管時間を5時間と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、2.0×10-5Paであった。
(比較例5)
比較例5の有機EL素子130は、保管時間なしと設定した。具体的には、窒素などの不活性ガス雰囲気下で、焼成処理を施すことにより固化して、発光層133を形成した後、ステップS4の保管する工程を経ずに、ステップS5の第2の層を形成する工程、つまり、発光層133と隔壁105とを覆って電子輸送層134を形成した。
このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、3.5×10-5Paであった。
(比較例6)
比較例6の有機EL素子130は、保管を窒素雰囲気下、保管時間を1時間と設定した。このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、3.5×10-5Paであった。ここで、窒素雰囲気下とは、酸素濃度と水分濃度とがそれぞれ1ppm以下となるように乾燥された窒素が充填された雰囲気のことである。
(比較例7)
比較例7の有機EL素子130は、保管を大気下、保管時間を1時間と設定した。ここで、大気下とは、20℃〜25℃の室内において相対湿度が40%以上であり、異物などが混入しないように所定のクリーン度が確保されている環境のことである。
このときの電子輸送層134成膜時の成膜部13の到達真空度は、5.0×10-5Paであった。
図13に示すように、このようにして得られた比較例2の有機EL素子の素子特性、具体的には、発光寿命、駆動電圧、電流効率、EQEを測定した結果、発光寿命(LT95)は、1000Hであり、駆動電圧は、6.2Vであり、電流効率は、17.1Cd/Aであり、EQEは、4.63%である。
図示は省略するが、以上で説明した比較例1と、比較例3から比較例7までの有機EL素子130における素子特性は、比較例2と同様の結果が得られた。つまり、実施例1と比較して、比較例1から比較例7までの駆動電圧、電流効率、EQEは、ほとんど遜色ないが、発光寿命に関しては、上記で説明した発光寿命の判定基準に対して、「×」(不可)という結果となった。従って、素子特性は、良好ではないという結果になった。
この実験により、以下のことが明らかになった。
(1)実施例1と、比較例4、比較例6、比較例7と、の保管真空度を比較すると、比較例4(3.7×10-2Pa)、比較例6(N2雰囲気下)、比較例7(大気下)は、実施例1(1.0×10-3Pa)に対して保管真空度が低い。
また、完成した有機EL素子の発光寿命を比較すると、実施例1は、発光寿命が「○」(可)であり、比較例4、比較例6、比較例7は、発光寿命が「×」(不可)である。つまり、良好な素子特性、特に、発光寿命を得るためには、保管真空度は、少なくとも1.0×10-3Pa以上が必要であることが分かる。
(2)実施例1と、比較例1、比較例2、比較例3、比較例5と、の保管時間を比較すると、比較例1(15分)、比較例2(30分)、比較例3(45分)、比較例5(なし)は、実施例1(1時間)に対して保管時間が短い。
また、完成した有機EL素子の発光寿命を比較すると、実施例1は、発光寿命が「○」(可)であり、比較例1、比較例2、比較例3、比較例5は、発光寿命が「×」である。つまり、良好な素子特性、特に、発光寿命を得るためには、保管時間は、少なくとも1時間以上が必要であることが分かる。
以上のことから、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)気相プロセスの前に、素子基板101を保管真空度1.0×10-3Pa以下の減圧雰囲気下に、1時間以上保管することによって、液相プロセスにより形成した第1の層に残留している溶媒から発生する水分やアウトガスを十分に除去することができる。
そのため、気相プロセスにおいて発生する水分やアウトガスを低減し、機能層136の膜質の低下を抑制し、所望の素子特性を有する有機EL素子130を製造することができる。
(2)サブ画素110R,110G,110Bのそれぞれに、本実施形態の有機EL素子130の製造方法を用いて形成された有機EL素子130が設けられているので、機能層136の膜質の低下を抑制し、所望の素子特性を有する有機EL装置100を提供することができる。
(第2実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について、図14、図15を参照して説明する。図14は、電子機器の一例であるノート型のパーソナルコンピューターを示す概略図であり、図15は、電子機器の一例である薄型テレビ(TV)を示す概略図である。
図14に示すように、電子機器としてのパーソナルコンピューター1000は、本体部1001と、表示ユニット1003と、を備えている。さらに、本体部1001は、キーボード1002を備えており、表示ユニット1003は、表示部1004を備えている。
表示ユニット1003は、本体部1001に対して、ヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピューター1000において、上記第1実施形態の有機EL装置100が、表示部1004に搭載されている。
図15に示すように、電子機器としての薄型テレビ(TV)1100は、上記第1実施形態の有機EL装置100が、表示部1101に搭載されている。
つまり、優れた表示品質と信頼性品質とを有するパーソナルコンピューター1000や薄型TV1100を提供することができる。
有機EL装置100が搭載される電子機器は、上記パーソナルコンピューター1000や薄型TV1100に限定されない。例えば、スマートフォンやPOSなどの携帯型情報端末、ナビゲーター、ビューワー、デジタルカメラ、モニター直視型のビデオレコーダーなどの表示部を有する電子機器が挙げられる。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL素子の製造方法および該有機EL素子を備えた電気光学装置、該電気光学装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)
素子基板101を減圧雰囲気下に置く工程は、発光層前駆体を形成する工程の後、かつ発光層133を形成する工程の前であってもよい。
こうすることによって、発光層前駆体を焼成する前に、アウトガスを十分に除去することができるので、発光層前駆体を焼成する際の焼成温度を低くすることができる。そのため、有機EL素子130の素子特性を向上させることができる。
(変形例2)
第1実施形態の有機EL素子130が適用される電気光学装置は、表示部を有する有機EL装置100に限定されず、照明装置や感光物を露光する露光装置であってもよい。
10…有機EL素子の製造装置、50…インク、60…インク、70…インク、100…電気光学装置としての有機EL装置、101…基体としての素子基板、104…陰極としての対向電極、130…有機EL素子、133…発光層、134…電子輸送層、135…電子注入層、136…機能層、1000…電子機器としてのパーソナルコンピューター、1100…電子機器としての薄型TV。

Claims (9)

  1. 基体において、発光層を含む機能層を備えた有機EL素子の製造方法であって、
    前記機能層のうち、液相プロセスにより前記発光層を含む第1の層を形成する工程と、
    前記機能層のうち、気相プロセスにより前記第1の層に積層して第2の層を形成する工程と、を有し、
    前記第2の層を形成する工程より前に、所定の時間以上前記基体を減圧雰囲気下に置く工程を備え、
    前記減圧雰囲気の絶対圧は、1.0×10-3Pa以下であることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記基体を減圧雰囲気下に置く工程において、前記所定の時間は、1時間であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記基体を減圧雰囲気下に置く工程は、前記第1の層を形成する工程より後であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記第1の層を形成する工程は、
    前記液相プロセスにより発光層前駆体を形成する工程と、
    前記発光層前駆体を焼成して前記発光層を形成する工程と、を含み、
    前記基体を減圧雰囲気下に置く工程は、
    前記発光層前駆体を形成する工程より後、かつ前記発光層を形成する工程より前に行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記第2の層は、電子輸送層、電子注入層、陰極のうちの少なくとも1つの層を含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記液相プロセスは、インクジェット法であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 前記気相プロセスは、真空蒸着法であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法を用いて製造された有機EL素子を備えていることを特徴とする電気光学装置。
  9. 請求項8に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
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