JP2017003971A - 光学素子及びこれを用いた光源装置、投射型表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明では、投射画像のカラーバランスの悪化を抑制することが可能な光学素子及びこれを用いた光源装置、投射型表示装置を提供することを目的とする。【解決手段】 蛍光素子30が、LD光源10からの光束の波長を変換して蛍光光L31を発する蛍光層31と、散乱層32と、反射素子33とを備える。そして、蛍光層31は散乱層32と反射素子33との間に設けられている。【選択図】 図5

Description

本発明は、光学素子及びこれを用いた光源装置、投射型表示装置に関する。
近年、レーザーダイオード(以下、LD)光源やLED光源などの固体光源と、固体光源からの光を励起光として、励起光の一部を励起光とは波長の異なる蛍光光に変換する蛍光素子を備える光源装置を用いたプロジェクタが開発されている。
このような光源装置として、特許文献1に記載の構成が知られている。
特許文献1には、複数の青色LDを有する光源ユニットと、複数の赤色LDを有する光源ユニットと、透明基板の上に青色光を励起光として緑色光を発する蛍光層を持つ蛍光素子を備えた光源装置を開示している。青色LDからの光の一部を励起光として用い、それ以外が非変換光として蛍光素子を透過することで、蛍光素子から青色、緑色、赤色光が発せられる。
特開2012−189938号公報
ここで、特許文献1に記載の光源装置のように、青色光を励起光として蛍光光を発する蛍光層を備える蛍光素子を光源として使用する場合、青色光が励起光として使用されるために、緑色光及び赤色光と比較して青色光が不足する傾向がある。その結果、投射画像のカラーバランスが悪化するおそれがある。
そこで、本発明では、投射画像のカラーバランスの悪化を抑制することが可能な光学素子及びこれを用いた光源装置、投射型表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の光学素子は、
光源からの光束の一部を前記光源からの光束とは波長が異なる変換光に変換するとともに、前記光源からの光束と波長が同じ非変換光と前記変換光とを射出する波長変換層と、前記光源からの光束及び前記波長変換層からの光束を散乱する第1の散乱層と、
前記波長変換層からの光束を反射する基板部と、を備え、
前記波長変換層は、前記第1の散乱層と前記基板部との間に設けられている、
ことを特徴とする。
本発明によれば、投射画像のカラーバランスの悪化を抑制することが可能な光学素子及びこれを用いた光源装置、投射型表示装置を提供することが可能となる。
本発明の第1実施例における光源装置の構成を示す図である 本発明の第1の実施例における励起光と蛍光の波長分布の一例を説明する図である 本発明の第1実施例におけるダイクロイック偏光ビームスプリッタの波長特性を説明する図である 本発明の第1実施例における反射型蛍光複合素子の構成を説明する図である 本発明の第1実施例における前方散乱と後方散乱の様子を示す概略図である 本発明の第1実施例における励起光と蛍光の分配比率の変化を説明する図である 本発明の第1実施例における前方散乱と後方散乱の分配状態を説明する図である 本発明の第2実施例における反射型蛍光複合素子の構成を説明する図である 本発明の第3実施例としての投射型表示装置の構成を示す図である 本発明の第4実施例における反射型蛍光複合素子の構成を説明する図である 本発明の第4実施例における散乱層の構成を説明する図である
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、本発明は後述の実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で様々な変形及び変更が可能である。
〔第1実施例〕
図1から図7を参照して、本発明の第1実施例で示す光学素子としての反射型蛍光複合素子(以後、蛍光素子)30の構成と、蛍光素子30を搭載可能な光源装置1の構成について説明する。
図1は、光源装置1の構成を示す図である。図1において、10はLD光源、11はLD光源10からの光束を受光し、正のパワーを有するコリメータレンズ系11、12はダイクロイック偏光ビームスプリッタである。また、図1において、20はコンデンサレンズ21及び22を備えるコンデンサレンズ系であり、30は蛍光素子である。
なお、図1において、コリメータレンズ系11あるいはコンデンサレンズ系20の光軸方向をz軸方向とし、z軸方向と直交し、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ12の偏光分離面の法線及びz軸方向と平行な断面に平行な方向をy軸方向としている。そして、z軸方向及びy軸方向に直交する方向をx軸方向としている。
まず、光源装置1がRGBの光束を出射する原理について説明する。
LD光源10からの励起光は発散光としてコリメータレンズ系11に入射し、正のパワーを有するコリメータレンズ系11によって平行光としてダイクロイック偏光ビームスプリッタ12に入射する。
なお、図2に示すように、LD光源10からの励起光は、中心波長が445nmの青帯域の光であり、蛍光素子30からの蛍光光は緑色及び赤色帯域の光である。
図3に示すように、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ12は、LD光源10からの励起光の波長帯域の光についてはP偏光光を透過させてS偏光光を反射する偏光ビームスプリッタとして作用する。また、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ12は、それ以外の波長帯域の光については偏光方向に依らずに反射するダイクロイックミラーとして作用する。
LD光源10からの光はP偏光光(yz断面に平行な方向に振動している偏光光)であるため、ダイクロイック偏光ビームスプリッタ12を透過してコンデンサレンズ系20を介して蛍光素子30へ入射する。
蛍光素子30の具体的な構成については後述の通りであるが、蛍光素子30はLD光源10からの光の一部を、LD光源10からの光と波長が異なる変換光に変換し、LD光源10からの光と波長が同じ非変換光と変換光とを射出する光学素子である。
本実施例において、非変換光とは青色帯域の光であり、変換光とは緑色及び赤色帯域の光である。蛍光素子30から出射する光は偏光方向が乱れた状態であるため、蛍光素子30からの非変換光のうちのS偏光光と変換光はダイクロイック偏光ビームスプリッタ12で反射されて、後段の系に向かう。
このよう原理によって、光源装置1は後段の系にRGBの光を導くことが可能となる。
次に、蛍光素子30の構成について説明する。
図4は蛍光素子30の構成を示す図である。図4に示すように、入射側(紙面左側)から、散乱層(第1の散乱層)32、蛍光層(波長変換層)31、反射素子(反射部)33の順に並んでおり、これらが一体に構成されているのが蛍光素子30である。
蛍光層31は、LD光源10からの光束の一部をLD光源10からの光束とは波長が異なる蛍光光(変換光)に変換するとともに、LD光源10からの光束と波長が同じ非変換光と蛍光光とを射出する。散乱層32は、LD光源10からの光束及び蛍光層31からの光束を散乱する。反射素子33は蛍光層31からの光束を反射する。
そして、蛍光層31は、散乱層32に接するとともに、散乱層32と反射素子33との間に設けられている。
図5に示すように、LD光源10からの光L10は散乱層32によって後方散乱光L10bと前方散乱光L10fとに分かれる。なお、図5はあくまでも散乱層32による効果を示す概略図であって、図5以外の図と一部整合がとれない部分もある。
後方散乱光L10bは散乱層32から蛍光層31へ向かわずに、コンデンサレンズ系20へ戻る。一方、前方散乱光L10fは散乱層32から蛍光層31へ向かって励起光として作用し、蛍光層31によって蛍光光L31へ変換される。
なお、本発明の各実施例において、散乱層32から蛍光層31へ向かう方向への散乱を前方散乱とし、散乱層32から光源10へ向かう方向への散乱を後方散乱とする。言い換えれば、光源10からの光束が蛍光素子30に入射する方向への散乱を前方散乱とし、蛍光素子30から光源10へ戻る方向への散乱を後方散乱とする。
このように、蛍光層31よりも入射側に散乱層32を設けることで、蛍光層31に入射する前に励起光の一部を取り出すことが可能となる。これにより、青帯域の励起光の一部を緑色及び赤色帯域の光に変換するタイプの蛍光層を用いた蛍光素子であっても、緑色及び赤色帯域の光と比べて、青帯域の光が不足することによる投射画像のカラーバランスの悪化を抑制することが可能となる。
さらに、本実施例によれば、蛍光層31に入射したものの蛍光体粒子に吸収されて熱となり、投射画像の明るさに寄与しない励起光の量を減らすことが可能、すなわち、励起光の損失を減らすことが可能な光学素子を実現することが可能となる。
以下に、前述の効果を高める、あるいは前述の効果とは別の効果を得るための構成について説明する。
散乱層32は、硫酸バリウムなどの白色微粒子(第1の粒子)と、シリコーン樹脂などの透明保持材料(第1のバインダー)とで構成されている。
白色微粒子の屈折率が、透明保持材料の屈折率よりも高い、すなわち、白色微粒子の屈折率と透明保持材料の屈折率との差が大きいと、散乱層32による後方散乱光L10bの量を増やすことができる。これにより、蛍光層31に入射する前に励起光の一部をより取り出すことが可能となる。例えば、白色微粒子の屈折率が透明保持材料の屈折率よりも大きく、白色微粒子の屈折率と透明保持材料の屈折率との差が0.2以上あると好ましい。
本実施例では、屈折率が1.64の硫酸バリウム及び屈折率が1.4から1.5程度のシリコーン樹脂を用いている。このため、白色微粒子の屈折率を高くするほど後方散乱を増加させることが出来る。もちろん微粒子として、屈折率が2.0の酸化亜鉛、屈折率が2.7の酸化チタンなどを用いても良い。
また、微粒子のサイズによっても散乱量は制御可能であるが、粒子サイズとしては100nmから10μm程度の微粒子が望ましい。さらに、透明保持材料としてシリコーン樹脂を挙げたが、その他の材料であっても可視光域での透過率が高く、蛍光体粒子や白色微粒子を固定出来る材料であればよい。
蛍光層31は、蛍光体粒子とシリコーン樹脂などの透明保持材料(第2のバインダー)とで構成されている。散乱層32の透明保持材料の屈折率と、蛍光層31の透明保持材料の屈折率が互いに同じであると、散乱層32と蛍光層31との間での界面の発生を抑制し、光量損失をより抑制することが可能となる。本実施例においては、散乱層32の透明保持材料と蛍光層31の透明保持材料は互いに同じ材料であるため、互いの屈折率は同じである。
以下に、適切なカラーバランスを得るための条件について説明する。なお、本実施例において適切なカラーバランスとは、日本工業規格(規格番号:JISZ8701)で定められているxyz表色系において、0.300<y<0.400となる範囲を意味する。
適切なカラーバランスを得るための条件として、励起光と蛍光光のピーク比率を適切に設定する方法がある。
図6に非変換光の中心波長が455nmであり、蛍光光の発光中心波長が530nmの場合のピーク比率を示す。図6(a)が非変換光と蛍光光のピーク比率が4.35の場合であり、図6(b)が非変換光と蛍光光のピーク比率が9.53の場合である。
なお、ピーク比率とは、非変換光の波長帯域のうち強度が最大となる波長における強度と、蛍光光の波長帯域のうち強度が最大となる波長における強度との比である。ピーク比率を上記の範囲内とすることで0.300<y<0.400とすることが出来る。
すなわち、励起光の中心波長の強度をGとし、蛍光光の中心波長の強度をHとするとき、蛍光素子30は以下の条件を満たすことで、前述の適切なカラーバランスを得やすくなる。
4.35≦G/H≦9.53 (1)
なお、散乱層32での前方散乱量と後方散乱量との比を適切に設定することでも、適切なカラーバランスを実現しやすくなる。
具体的には、散乱層32での前方散乱量をAとし、後方散乱量をBとする、蛍光素子30は以下の条件を満たすと好ましい。
2<A/B<19 (2)
蛍光素子30が(2)式を満たすことで、前述の適切なカラーバランスからは外れるものの、実用上許容可能なカラーバランスを実現することが可能となる。
また、数値実施例及び比較例を以下の表1に示す。表1では、散乱層32が無い場合に蛍光層31から発せられる光、より具体的には変換光である蛍光光と、励起光と波長が同じ非変換光との混合光のy値をyとしている。なお、yが異なるということは蛍光層31の蛍光体としての性質(蛍光体の発光効率)が異なり、それに伴い蛍光光と非変換光とのバランスが異なることを意味する。
Figure 2017003971
表1から蛍光素子30が以下の条件を満たせば、yが異なる蛍光層31であっても、0.300<y<0.400という適切なカラーバランスを得ることが可能となるため、上記の(2)式よりも好ましい。
4.0≦A/B≦9.6 (2a)
なお、前述の適切なカラーバランスを実現するために、散乱層32での前方散乱量は後方散乱量よりも多いことが好ましい。散乱層32による後方散乱量が前方散乱量よりも多いと、蛍光光の光量が低下し、それに伴いy値が低下してカラーバランスが悪化するため好ましくない。
また、発光層である蛍光層31の発光効率を確保するためには、蛍光層31の厚みは、概ね50μm以上であることが必要であり、200μm以上であるとより好ましい。
蛍光層31の厚みが500μm程度を超えてくると効率向上が飽和傾向にある。一方で散乱層32としては20μm程度の厚みがあれば最低限の後方散乱を確保出来る。散乱層32の厚みが100μmを超える厚みとなると濃度調整しても前方散乱が不足する。
ここで、蛍光層31の厚みをCとし、散乱層32の厚みをDとするとき、蛍光素子30は以下の条件を満足すると好ましい。
0.5<C/D<25 (3)
言い換えれば、蛍光層31の厚みCが50μm以上500μm以下であり、散乱層32の厚みDが20μm以上100μm以下であることが好ましい。蛍光素子30が(3)式に示す条件を満たすことで、蛍光層31の発光効率の低下を抑制しつつ、適切な前方散乱量及び後方散乱量を確保することができる。
また、以下の条件を満足するとより好ましい。
4.0<C/D<20 (3a)
また、以下の条件を満足するとさらに好ましい。
5.0<C/D<15 (3b)
また、散乱層32の厚みを調整することで、適切なカラーバランスを得ることもできる。図7は同一の濃度と粒子サイズで作成した散乱層32の厚みによる前方散乱率と後方散乱率の変化を示す図である。前方散乱率とは入射光の光量と前方散乱光の光量との比であり、後方散乱率とは入射光の光量と後方散乱光の光量との比である。したがって、図7において前方散乱率と後方散乱率との合計は約100%となっている。
散乱層32の厚みは20μm以上95μm以下であることが好ましく、この範囲において後方散乱率は5%以上20%以下となっている。言い換えれば、前方散乱率は80%以上95%以下である。
このような条件を満たすように前方散乱量と後方散乱量を分配可能なように散乱層32の厚みを調整することで、前述の適切なカラーバランスを得ることが可能となる。
なお、上記では、前方散乱と後方散乱の分配比率の調整を散乱層32の厚みで行う例を示したが、濃度で調整することはもちろん、粒子の屈折率で調整することも可能である。
例えば、散乱層32の白色微粒子濃度が高い、あるいは散乱層厚が厚いと後方散乱が多く、LD光源10からの励起光の多くがLD光源10側へと導かれる。一方で白色微粒子濃度を低い場合や、散乱層厚を薄くすると前方散乱が多く、励起光の多くが蛍光層31へと導かれる。
なお、本実施例において、反射素子33はアルミニウム等の可視光帯域での反射率の高い金属で構成されている。反射素子33は蛍光層31での発生した熱を放熱するために金属材料が好ましいが、セラミックやガラス等に誘電体多層膜を付加し、反射率を高めたものでも構わない。
また、LD光源10からの励起光の光量から後方散乱量を引いた値を前方散乱量としても良い。
〔第2実施例〕
図8を参照して、本発明の第2実施例で示す蛍光素子130の構造について説明する。
前述の第1実施例で示した蛍光素子30と、本実施例で示す蛍光素子130との違いは、蛍光層31と反射素子33との間に新たに散乱層34(第2の散乱層)を備える点である。
図8に示すように、z軸プラス方向へ、散乱層32(第1の散乱層)、蛍光層31、散乱層34(第2の散乱層)、反射素子33の順番に並べられており、これらが一体に構成されているものが蛍光素子130である。
前述の第1実施例の場合と同様に、LD光源10からの光は、コリメータレンズ11によって平行光となり、コンデンサレンズ系20によって蛍光素子130へ導かれる。
コンデンサレンズ系20からの光は最初に散乱層32に入射することによって、その一部が蛍光層31に導かれずに、散乱層32からコンデンサレンズ系20に向かい、その他の光は蛍光層31に導かれる。前述の第1実施例においては、このような原理によって、蛍光素子30からの光の色味を改善していた。
ここで、前述の第1実施例及び本施例において、反射素子33はアルミ板金である。アルミ板金のような金属製の基板では、金属製の基板で光が反射するときに光の一部が金属製の基板に吸収されてしまう。図7に示すような蛍光素子130では反射素子33に入射した光の一部が反射素子33に吸収されてしまうと、光量損失が増加してしまう。
そこで、本実施例では、蛍光層31と反射素子33との間に散乱層34を設けている。これにより、蛍光層31から進行方向を定めずに出射する光のうち、反射素子33の方向へ向かう光の一部を、散乱層34の後方散乱効果によって反射素子33へ入射させずにコンデンサレンズ系20側に戻すことが可能となる。
すなわち、蛍光層31と反射素子33との間に散乱層34を設けることで、前述の金属製の基板が入射光を吸収することによって生じる光量損失を抑制することが可能となる。
また、前述のように散乱層34は蛍光層31からの光の多くを反射素子33に導かない方が好ましい。すなわち、散乱層34での後方散乱量は、散乱層34での前方散乱量よりも多いことが好ましい。つまり、散乱層34は同様の白色微粒子を使用する場合においては白色微粒子の粒子数濃度が高い、あるいは散乱層厚が厚いことが必要である。
なお、散乱層32については、入射光を蛍光層31に導く必要があるために、散乱層34とは逆に、白色微粒子の粒子数濃度が低い、あるいは散乱層厚が薄い必要がある。
具体的には、散乱層34による前方散乱量をE、後方散乱量をFとする。このとき、蛍光素子130は以下の条件を満たすと好ましい。
0<E/F<0.25 (4)
(4)式は、前方散乱量Eに比べて後方散乱量Fがより多いことを意味している。このような関係によって、前述の光量損失を抑制することが可能となる。
なお、蛍光素子130が、
0<E/F<0.1 (4a)
を満たすとより好ましく、前述の光量損失をより抑制することが可能となる。
〔第3実施例〕
図9を参照して、本発明の第3実施例として、前述の第1及び第2実施例で示した光源装置1を搭載可能なプロジェクタ(投射型表示装置)2の構成を説明する。
プロジェクタ2は光源装置1に加えて、光源装置1からの光を受光する照明光学系α、光変調素子50、照明光学系αからの光を光変調素子50に導き、光変調素子50からの光を投射光学系60に導く色分離合成系14、投射光学系60を備えている。
照明光学系αは、偏光変換素子13、コンデンサレンズ23、不図示の第1フライアイレンズ及び第2フライアイレンズを備えている。
光源装置1からの光はp偏光とs偏光が混在した光となっており、偏光変換素子13を通過することでp偏光に揃えられて、コンデンサレンズ23へと導かれる。
コンデンサレンズ23によって集光された光は色分離合成系14が備える偏光ビームスプリッタを透過して光変調素子50へと導入される。そして、画像信号に従って光変調素子50で変調され、色分離合成系14が備える偏光ビームスプリッタを反射して、投射レンズ(投射光学系)60へと導かれ、不図示のスクリーンなどへと拡大されて投影される。
なお、図9は色分離合成系14周囲を簡略化して図示しており、図示されていないが色分離合成系14の周囲にはRGBの各色用の合計3つの光変調素子が設けられている。色分離合成系14は不図示のダイクロイックミラー、偏光ビームスプリッタ、合成プリズムを用いて照明光学系αからの光束を波長毎に分離して各色用の光変調素子に導く。そして、各色用の光変調素子で変調された光を合成して投射レンズ60へ導く。すなわち、色分離合成系14は、照明光学系αからの光束を光変調素子に導くとともに、光変調素子からの光束を投射レンズ60に導く。
〔第4実施例〕
図10及び図11を参照して、本発明の第4実施例で示す蛍光素子230の構造について説明する。なお、本実施例で示す光学素子は前述の第1及び第2実施例と同様に、図9に示すプロジェクタに搭載可能である。
本実施例においては前述の第1実施例における散乱層32とは異なる構成の散乱層232を蛍光層31の上に積層している。図11に示すように散乱層232は、白色微粒子(第1の粒子)36と、非散乱粒子(第2の粒子)37と、白色微粒子36及び非散乱粒子37を保持する透明保持材料35とを備えている。透明保持材料35の屈折率が1.4〜1.5であるのに対して、非散乱粒子37の屈折率も1.4〜1.5となっており、両者の屈折率が同じであることが好ましい。なお、本発明の各実施例において屈折率が同じとは、もちろん厳密に同じである必要はなく、例えば屈折率の差が0.1以下、より好ましくは0.05以下であればよい。
このように、本実施例においては散乱層232に散乱を行う白色微粒子36に加えて、白色微粒子36よりも屈折率が透明保持材料35に近い非散乱粒子37を加えている。これによって、散乱量の増加を抑制しつつ散乱層232全体に占める透明保持材料35の割合を減らすことが可能となる。これは、屈折率差の大きい白色微粒子36と透明保持材料35との境界では散乱する一方、屈折率差の小さい非散乱粒子37と透明保持材料35との境界では散乱が抑制されるためである。
本実施例においては透明保持材料35が樹脂バインダーであるため、透明保持材料35の割合を減らすことは光学素子全体の樹脂の割合を低下させることにつながる。樹脂バインダーは熱によって変色するおそれがあるため、樹脂の割合を低下させることで、このような変色を抑制することが可能となる。
本実施例のより好ましい形態として、非散乱粒子37の熱伝導率が透明保持材料35の熱伝導率よりも高い形態が好ましい。このような形態をとることによって前述の樹脂の割合を低下させることに加えて光学素子全体の放熱性を高めることが可能となるため、前述の熱による変色をより抑制することが可能となる。さらに、光学素子の放熱性を高めることによって蛍光層の温度が高くなって蛍光体粒子による波長変換の効率が低下することを抑制して発光効率を高めるも可能となる。
また、透明保持材料35の重量をXとし、透明保持材料35に保持されている白色微粒子36及び非散乱粒子37の重量の合計をYとするとき、
0.50<Y/X<2.0 (5)
を満足すると好ましい。
(5)式の上限値を上回ることは透明保持材料35に対して微粒子が多すぎることを意味する。この場合、シリコーン樹脂である透明保持材料35が延びるための充分なスペースが無いために散乱層232の粘度が高くなりすぎて蛍光層31上に均一に散乱層232を形成する(塗布あるいは印刷する)ことが困難になるため好ましくない。(5)式の下限値を下回ることは透明保持材料35に対して微粒子が少なすぎることを意味する。この場合、前述の光学素子全体の放熱性を高めることや、蛍光層31に入射する前に青色光を取り出することによる色味の改善が困難になるため好ましくない。
0.75<Y/X<1.5 (5a)
を満足するとさらに好ましい。
なお、散乱層232中に含まれるものの具体的な例として、白色微粒子36は硫酸バリウムであり、非散乱粒子37はシリカ粒子(SiO)であり、透明保持材料35はシリコーン樹脂である。もちろん前述の各実施例においても同様の材料を用いてもよい。
また、硫酸バリウムの屈折率は1,64で熱伝導率は1.31W/mKであり、シリカ粒子の屈折率は1.46で熱伝導率は1.38W/mKであり、シリコーン樹脂の屈折率は1.41〜1.50程度で熱伝導率は0.2W/mK程度である。このように、シリコーン樹脂の放熱性は高くないため、本実施例のように熱伝導率が高く、透明保持材料35との屈折率差の小さい非散乱粒子37を添加することが好ましい。(より好ましい形態)
前述の第1及び第2実施例におけるより好ましい形態として、次の条件を満足する形態が好ましい。すなわち、散乱層32の重量をGとし、散乱層32に含まれる白色微粒子の重量をHとするとき、
0.10<H/G<0.30 (6)
を満足すると好ましい。この条件を満足することで、散乱層32から蛍光層31へ向かう青色光の量と、散乱層32から蛍光層31へ向かわずに反射型蛍光複合素子30から出射する青色光の量とのバランスを適切なものにすることができる。(6)式の下限値を下回ると白色微粒子の量が少なすぎて蛍光層31へ入射する前に青色光を充分に取り出すことができず、青色光が不足してしまうため、好ましくない。(6)式の上限値を上回ると白色微粒子の量が多すぎて蛍光層31へ入射する青色光が少なすぎて緑色光及び赤色光が不足してしまうため、好ましくない。
0.12<H/G<0.22 (6a)
を満足するとより好ましく、前述の第1及び第2実施例においてはH/G=0.17となっている。
なお、前述の(5)及び(6)式に記載しているような散乱層、微粒子、バインダーなどの重量の比については、例えば散乱層の一部を切り出して計測してもよい。
(変形例)
前述の各実施例においては、反射素子33を基板としてその上に蛍光層31あるいは第2の散乱層34を積層した構成を例示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。蛍光層31からの光を反射する反射部が設けられていればよく、この反射部は基板部として機能している反射素子33であっても、蛍光層31の第1の散乱層32の反対側の面に塗布された反射膜などであってもよい。
また、前述の第2実施例においては、第1の散乱層32が備える第1の粒子及び第1のバインダーと、第2の散乱層34が備える粒子及びバインダーは必ずしも同じものである必要はない。
30 反射型蛍光複合素子(光学素子)
31 蛍光層(波長変換層)
32 散乱層(第1の散乱層)
33 反射素子(基板)

Claims (18)

  1. 光源からの光束の一部を前記光源からの光束とは波長が異なる変換光に変換する波長変換層と、
    第1の粒子と、前記第1の粒子を保持する第1のバインダーとを備え、前記光源からの光束及び前記波長変換層からの光束を散乱する第1の散乱層と、
    前記波長変換層からの光束を反射する反射部と、を備え、
    前記波長変換層は、前記第1の散乱層と前記反射部との間に設けられている、
    ことを特徴とする光学素子。
  2. 前記第1の散乱層は、前記波長変換層に接している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記第1の粒子の屈折率は、前記第1のバインダーの屈折率よりも高い、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。
  4. 前記波長変換層は、蛍光体粒子と第2のバインダーとを備え、
    前記第1のバインダーと前記第2のバインダーは屈折率が互いに同じである、
    ことを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記光源からの光束が前記光学素子に入射する方向への散乱を前方散乱とし、前記光学素子から前記光源へ戻る方向への散乱を後方散乱とするとき、
    前記第1の散乱層での前方散乱量は、前記第1の散乱層での後方散乱量よりも大きい、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学素子。
  6. 前記第1の散乱層での前記前方散乱の量をAとし、前記第1の散乱層での前記後方散乱の量をBとするとき、
    2<A/B<19
    を満足する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の光学素子。
  7. 前記波長変換層は蛍光体粒子を含む蛍光層であって、
    前記蛍光層の厚みをCとし、前記第1の散乱層の厚みをDとするとき、
    0.5<C/D<25
    を満足する、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学素子。
  8. 前記波長変換層と前記反射部との間に設けられた第2の散乱層をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学素子。
  9. 前記第2の散乱層は前記波長変換層に接している、
    ことを特徴とする請求項8に記載の光学素子。
  10. 前記光源からの光束が前記光学素子に入射する方向への散乱を前方散乱とし、前記光学素子から前記光源へ戻る方向への散乱を後方散乱とするとき、
    前記第2の散乱層での後方散乱量は、前記第2の散乱層での前方散乱量よりも大きい、ことを特徴とする請求項8または9に記載の光学素子。
  11. 前記第2の散乱層での前方散乱量をEとし、前記第2の散乱層での後方散乱量をFとするとき、
    0<E/F<0.25
    を満足する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記反射部は、前記波長変換層からの光を反射する基板部であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の光学素子。
  13. 前記第1の散乱層の重量をGとし、前記第1の散乱層に含まれる前記第1の粒子の重量をHとするとき、
    0.10<H/G<0.30
    を満足することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光学素子。
  14. 前記第1の散乱層は、前記第1の粒子の屈折率よりも前記第1のバインダーの屈折率に近い屈折率の第2の粒子をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の光学素子。
  15. 前記第2の粒子の熱伝導率は、前記第1のバインダーの熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項14に記載の光学素子。
  16. 前記第1のバインダーの重量をX、前記第1の粒子と前記第2の粒子の重量の合計をYとするとき、
    0.50<Y/X<2.0
    を満足することを特徴とする請求項14または15に記載の光学素子。
  17. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載の光学素子と、
    前記光学素子を励起させる光束を発する固体光源と、
    前記固体光源からの光束を前記光学素子に導くコンデンサレンズ系と、を備える、
    ことを特徴とする光源装置。
  18. 光変調素子と、
    請求項17に記載の光源装置と、
    前記光源装置からの光束を用いて前記光変調素子を照明する照明光学系と、
    前記照明光学系からの光束を前記光変調素子に導くとともに、前記光変調素子からの光束を投射光学系に導く色分離合成系と、を備える、
    ことを特徴とする投射型表示装置。
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