JP2017002786A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ニードル弁のリフト速度の変更のための制御の追加や変更を抑制しつつ、リフト速度の変更を実現することのできる内燃機関の燃料噴射装置を提供する。【解決手段】燃料噴射装置100は、制御弁150を開弁させてリーク通路140を通じて制御室120内の燃料を排出して制御室120内の燃料の圧力を低下させることによってニードル弁130を開弁させて燃料噴射孔110から燃料を噴射させる。燃料噴射装置100は、クランクシャフトの回転に連動して回転するカム171と、カム171によって駆動されるカム駆動弁172とを有し、カム駆動弁172の変位に応じてリーク通路140における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構170を備えている。【選択図】図2

Description

この発明は内燃機関の燃料噴射装置に関するものである。
燃料噴射孔を塞ぐニードル弁のリフト速度を変更することのできる燃料噴射装置が知られている(例えば、特許文献1)。
図18に示すように、特許文献1に記載されている燃料噴射装置では、燃料供給通路1から制御室2に燃料を導入し、制御室2内の燃料の圧力を利用してニードル弁3を閉弁させている。そして、制御室2内の燃料をリターン通路4に排出し、制御室2内の燃料の圧力を低下させることによりニードル弁3を開弁させる。また、この燃料噴射装置には、制御室2から燃料を排出するリーク通路として、第1オリフィス5aが設けられた第1リーク通路5と、第2オリフィス6aが設けられた第2リーク通路6とが設けられている。そして、この燃料噴射装置では、制御室2内の燃料をリターン通路4に排出する際に、第1リーク通路5及び第2リーク通路6の双方を通じて燃料を排出するか、第2リーク通路6のみを通じて燃料を排出するかを切り替えることによってニードル弁3のリフト速度を切り替えている。
具体的には、図19に示すように、制御弁7をリフトさせてシート部8から離間させる際に、第1リーク通路5を塞がない中間リフト位置に制御弁7を保持することによって第1リーク通路5及び第2リーク通路6の双方を通じて制御室2内の燃料をリターン通路4に排出する。
また、図20に示すように、第1リーク通路5を塞ぐ全開リフト位置まで制御弁7をリフトさせることによって第1リーク通路5を塞ぎ、第2リーク通路6のみを通じて制御室2内の燃料をリターン通路4に排出する。この場合には、第1リーク通路5を通じて燃料が排出されなくなるため、第1リーク通路5及び第2リーク通路6の双方を通じて燃料を排出する場合と比較して、制御室2内の燃料の圧力の低下速度が遅くなり、ニードル弁3のリフト速度が遅くなる。
特開2002‐81355号公報
ところで、特許文献1に記載されている燃料噴射装置ではニードル弁3のリフト速度の切り替えのために、制御弁7を開弁させる場合に全開リフト位置と中間リフト位置とを使い分けるようにしている。そのため、制御弁7を制御する制御装置が実行する制御が複雑になってしまう。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ニードル弁のリフト速度の変更のための制御の追加や変更を抑制しつつ、リフト速度の変更を実現することのできる内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するための内燃機関の燃料噴射装置は、燃料噴射孔と、燃料が導入される制御室と、前記制御室内の燃料の圧力を利用して前記燃料噴射孔を塞ぐニードル弁と、前記制御室から燃料を排出するリーク通路と、前記リーク通路を塞ぐ制御弁と、前記制御弁を制御する制御装置と、を備えている。そして、この燃料噴射装置は、前記制御弁を開弁させて前記リーク通路を通じて前記制御室内の燃料を排出して前記制御室内の燃料の圧力を低下させることによって前記ニードル弁を開弁させて前記燃料噴射孔から燃料を噴射させる。また、この燃料噴射装置は、前記内燃機関の出力軸の回転に連動して回転するカムと、同カムによって駆動される被駆動部材とを有し、同被駆動部材の変位に応じて前記リーク通路における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構を備えている。
上記構成によれば、ニードル弁が開弁する際のリフト速度は制御弁を開弁したときの制御室内の燃料の圧力の低下速度に応じて変化する。そのため、ニードル弁のリフト速度はリーク通路における抵抗の大きさに応じて変化する。
具体的には、リーク通路における抵抗が小さい場合には、制御弁が開弁しているときに制御室から燃料が排出されやすく、制御室内の燃料の圧力の低下速度が速くなる。その結果、ニードル弁が開弁する際のリフト速度が速くなる。これに対して、リーク通路における抵抗が大きい場合には、制御弁が開弁していても制御室から燃料が排出されにくいため、制御室内の燃料の圧力の低下速度が遅くなる。その結果、ニードル弁が開弁する際のリフト速度が遅くなる。
そして、上記構成では、内燃機関の出力軸の回転に連動して回転するカムによって駆動される被駆動部材の変位に応じてリーク通路における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構を設けているため、カムの回転に連動してカムプロフィールに応じてリーク通路における抵抗が変化するようになる。
そのため、上記構成によれば、制御装置が実行する制御に変更を加えなくても、カムプロフィールの設定によってニードル弁のリフト速度を所望の態様で変化させることができるようになる。したがって、リーク通路における抵抗を変化させるための制御の追加や変更を抑制しつつ、ニードル弁のリフト速度の変更を実現することができる。
第1の実施形態の燃料噴射装置と同燃料噴射装置が搭載される内燃機関との関係を示す構成図。 第1の実施形態の燃料噴射装置の内部構造を模式的に示す断面図。 ニードル弁が低速開弁されるときの第1の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 ニードル弁が高速開弁されるときの第1の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 第1の実施形態の燃料噴射装置におけるカム駆動弁及び制御弁のリフト量の変化と、そのときのニードル弁のリフト量並びに燃料噴射率の変化との関係を示すタイミングチャート。 第2の実施形態の燃料噴射装置の内部構造を模式的に示す断面図。 ニードル弁が低速開弁されるときの第2の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 ニードル弁が高速開弁されるときの第2の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 第2の実施形態の燃料噴射装置におけるカム駆動弁、サーボ弁及び制御弁のリフト量の変化と、そのときのニードル弁のリフト量並びに燃料噴射率の変化との関係を示すタイミングチャート。 第3の実施形態の燃料噴射装置の内部構造を模式的に示す断面図。 ニードル弁が低速開弁されるときの第3の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 ニードル弁が高速開弁されるときの第3の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 第3の実施形態の燃料噴射装置におけるカム駆動ピストンの降下量、サーボ弁のリフト量及び制御弁のリフト量の変化と、そのときのニードル弁のリフト量並びに燃料噴射率の変化との関係を示すタイミングチャート。 第4の実施形態の燃料噴射装置の内部構造を模式的に示す断面図。 ニードル弁が低速開弁されるときの第4の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 ニードル弁が高速開弁されるときの第4の実施形態の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 第4の実施形態の燃料噴射装置におけるカム駆動ロッドのリフト量、絞り部の隙間の大きさ及び制御弁のリフト量の変化と、そのときのニードル弁のリフト量並びに燃料噴射率の変化との関係を示すタイミングチャート。 従来の燃料噴射装置の内部構造を模式的に示す断面図。 ニードル弁が高速開弁されるときの従来の燃料噴射装置の状態を示す断面図。 ニードル弁が低速開弁されるときの従来の燃料噴射装置の状態を示す断面図。
(第1の実施形態)
内燃機関の燃料噴射装置の第1の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。
まず、図1を参照して第1の実施形態の燃料噴射装置100が搭載される内燃機関10の概略構成を説明する。なお、内燃機関10は車両に搭載されるディーゼルエンジンである。
図1に示すように、内燃機関10の燃焼室11には、吸気通路12と排気通路13とが接続されている。吸気通路12と燃焼室11との間には、吸気通路12と燃焼室11とを連通させたり遮断したりする吸気バルブ14が設けられている。また、排気通路13と燃焼室11との間には、排気通路13と燃焼室11とを連通させたり遮断したりする排気バルブ15が設けられている。なお、内燃機関10は複数の燃焼室11を備える多気筒のディーゼルエンジンであるが、図1では1つの燃焼室11のみを図示している。
内燃機関10のシリンダヘッドには、各燃焼室11に対して設けられている吸気バルブ14を開閉する吸気カムシャフト16と、各燃焼室11に対して設けられている排気バルブ15を開閉する排気カムシャフト17とが収容されている。吸気カムシャフト16及び排気カムシャフト17には内燃機関10の出力軸であるクランクシャフトに巻き掛けられたタイミングチェーンが巻き掛けられており、吸気カムシャフト16及び排気カムシャフト17はクランクシャフトの回転に連動して回転するようになっている。これにより、吸気バルブ14や排気バルブ15は、クランクシャフトの回転角であるクランク角の変化に連動して開閉するようになっている。
また、内燃機関10には、各燃焼室11に対して燃料を噴射する燃料噴射装置100が設けられている。各燃焼室11に設けられた燃料噴射装置100には燃料供給系20から燃料が供給される。
燃料供給系20は、燃料を貯留する燃料タンク21と、燃料タンク21内から燃料を送り出すフィードポンプ22と、コモンレール26と、フィードポンプ22によって送り出された燃料を高圧にしてコモンレール26に供給する高圧ポンプ24とを含んでいる。
フィードポンプ22は、低圧燃料配管23を介して高圧ポンプ24と接続されている。そして、高圧ポンプ24は高圧燃料配管25を介してコモンレール26に接続されている。コモンレール26には、コモンレール26と各燃料噴射装置100とをそれぞれ繋ぐ燃料供給配管27が接続されている。これにより、コモンレール26に蓄えられている高圧の燃料が各燃料供給配管27を通じて各燃料噴射装置100に供給されるようになっている。
内燃機関10には、内燃機関10の各部を制御する制御装置500が設けられている。なお、制御装置500は、燃料噴射装置100の制御装置を兼ねており、燃料噴射装置100による燃料噴射を制御するとともに、フィードポンプ22や高圧ポンプ24による燃料の供給を制御する。
コモンレール26には、コモンレール26内の燃料の圧力を検出する燃料圧力センサ29が設けられており、燃料圧力センサ29は制御装置500に接続されている。また、制御装置500には、その他に、内燃機関10のクランク角とクランクシャフトの回転速度である機関回転速度とを検出するクランク角センサ30や、アクセルの開度を検出するアクセル開度センサ40、車両の速度を検出する車速センサ50などが接続されている。制御装置500は、こうした各種センサから入力される信号を利用して各種の演算を行い、その結果に応じて燃料噴射装置100や、フィードポンプ22、高圧ポンプ24などの制御を実行する。
次に図2を参照して燃料噴射装置100の構成を詳しく説明する。
図2に示すように燃料噴射装置100のハウジングの内部にはニードル弁130を収容する収容空間101が形成されている。なお、燃料噴射装置100のハウジングは、先端に燃料噴射孔110が設けられているノズルボディ102と、第1ボディ103と、第2ボディ104と、第3ボディ105と、これらをこの順番で重ね合わせた状態で締結するリテーニングナット106とで構成されている。また、燃料噴射装置100では、燃料噴射孔110は、収容空間101と連通しており燃料が溜まるドーム状の空間であるサック部111とハウジングの外部に連通する2つの噴孔112とからなっている。
収容空間101の内部には、筒状の収容部107が設けられており、ニードル弁130の後端がこの収容部107内に摺動可能に収容されている。また、ニードル弁130の中央部にはノズルボディ102の内周面と当接するように突出した3つのガイド部131が周方向に均等に分散した状態で(120°毎に)設けられている。こうしてニードル弁130の後端が収容部107内に収容されているとともに、120°毎に設けられた3つのガイド部131がノズルボディ102の内周面に当接していることにより、ニードル弁130は軸方向、すなわち図2における上下方向に移動可能に収容空間101内に収容されている。
なお、ニードル弁130には円盤状のリテーナ108が取り付けられており、収容部107とリテーナ108との間にはスプリング109が圧縮された状態で配設されている。これにより、ニードル弁130は先端部をノズルボディ102の内周面からなるシート面113に当接させる方向に付勢されている。
そして、図2に示すように、ニードル弁130の先端部がシート面113に当接してニードル弁130が着座しているときには、ニードル弁130によって燃料噴射孔110が塞がれる。
また、ノズルボディ102内における収容部107とニードル弁130の後端部とによって区画された部分は制御室120になっている。
ハウジング内には、第1ボディ103,第2ボディ104,第3ボディ105に形成された貫通孔によって構成される燃料供給通路115が設けられている。燃料供給通路115は、第3ボディ105側で燃料供給配管27と接続されている。また、燃料供給通路115は、第1ボディ103内で二股に分岐しており、一方が収容空間101に接続されており、他方が制御室120に接続されている。これにより、燃料供給配管27を通じて供給される燃料はこの燃料供給通路115を通じて収容空間101及び制御室120に導入される。
更に、ハウジング内には、制御室120から燃料を排出するリーク通路140が設けられている。第3ボディ105には燃料タンク21に繋がっているリターン通路28が接続されており、リーク通路140は第3ボディ105内に形成されている連通空間149を介してリターン通路28と連通している。
リーク通路140は、連通空間149と制御室120とを繋ぐ制御通路141と、制御室120内に配設されたオリフィスプレート142と、第1ボディ103に形成されたオリフィス通路143と、第2ボディ104に形成された連通溝144とによって構成されている。なお、制御通路141は、第1ボディ103及び第2ボディ104に形成された貫通孔によって構成されている。また、制御室120内に配設されたオリフィスプレート142とニードル弁130の後端との間にはスプリング145が圧縮された状態で収容されている。そのため、オリフィスプレート142は、このスプリング145の復元力により、第1ボディ103に当接する方向に付勢されている。オリフィスプレート142には内部に絞りを備える貫通孔が設けられており、オリフィスプレート142が第1ボディ103に当接しているときには、制御室120内からオリフィスプレート142を通過して制御通路141に流れ込む燃料の流量がこの絞りによって制限されることになる。
なお、オリフィスプレート142が第1ボディ103に当接しているときには、オリフィスプレート142によって燃料供給通路115の制御室120側の出口が塞がれるようになっている。これにより、オリフィスプレート142は、燃料供給通路115から制御室120への燃料の流入を許容する一方で、制御室120から燃料供給通路115への燃料の逆流を抑制する逆止弁として機能する。
オリフィス通路143は、オリフィスプレート142が第1ボディ103に当接しているときであっても、オリフィスプレート142によって塞がれないように、オリフィスプレート142と収容部107との間に開口している。オリフィス通路143は連通溝144を通じて制御通路141と連通している。オリフィス通路143の通路断面積は制御通路141の通路断面積及び連通溝144の通路断面積よりも狭くなっており、制御室120内からオリフィス通路143を通過して制御通路141に流れ込む燃料の流量は、このオリフィス通路143によって制限されるようになっている。
すなわち、リーク通路140においては、オリフィスプレート142及びオリフィス通路143がリーク通路140における抵抗を決める絞りとして作用する。
第3ボディ105には、リーク通路140を塞ぐ制御弁150が収容されている。制御弁150の先端は連通空間149内に突出しており、制御弁150は先端が第2ボディ104に当接してリーク通路140を塞ぐようにスプリング152によって付勢されている。また、第3ボディ105には制御弁150をスプリング152の付勢力に抗して引き寄せ、第2ボディ104から離間させるソレノイド151が設けられている。ソレノイド151は制御装置500と接続されており、制御装置500はこのソレノイド151に通電することによって制御弁150をリフトさせ、開弁させる。すなわち、制御装置500は制御弁150を制御する。
また、連通空間149には、オリフィス通路143を塞ぐカム駆動弁172が収容されている。カム駆動弁172は、先端が第2ボディ104を貫通して第1ボディ103に当接し、オリフィス通路143を塞ぐように配設されている。また、カム駆動弁172はスプリング173によって先端を第1ボディ103から離間させる方向に付勢されている。カム駆動弁172には第3ボディ105に挿通されているカム駆動ロッド175の先端が当接している。そして、カム駆動ロッド175の後端はカム171に当接している。
なお、図1に破線で示すように、カム171は、排気カムシャフト17と連結されており、排気カムシャフト17の回転に連動して回転する。すなわち、カム171は排気カムシャフト17と同様にクランクシャフトの回転と連動して回転する。
カム171のカムプロフィールは、カム171の中心C1からの距離が領域AR1以外の領域においては一定であり、領域AR1において中心C1からの距離が他の領域よりも短くなるように設定されている。
そして、図2及び図3に示すように、カム駆動ロッド175の後端が領域AR1以外の領域に当接しているときには、カム駆動弁172がスプリング173の付勢力に抗して第1ボディ103に押し付けられ、カム駆動弁172がオリフィス通路143を塞ぐようになっている。なお、カム駆動ロッド175にはスプリング173よりも弾性係数の高いスプリングを収容したダンパ176が設けられている。そのため、振動などによってカム171と第1ボディ103との距離が変動したとしても、このダンパ176が変形することによって第1ボディ103やカム駆動弁172、カム駆動ロッド175などに作用する荷重が緩和されるようになっている。
図2に示すように、制御弁150がリーク通路140を塞いでおり、閉弁しているときには、燃料供給通路115を通じて導入された燃料が制御室120から排出されなくなる。燃料供給通路115は収容空間101と制御室120の双方に連通しているため、このときには収容空間101内の燃料の圧力と制御室120内の燃料の圧力がほぼ等しくなる。しかし、ニードル弁130にはスプリング109及びスプリング145による付勢力が作用しているため、このときには、ニードル弁130はシート面113に着座した状態になる。その結果、燃料噴射孔110がニードル弁130によって塞がれた状態になり、燃料は噴射されずに収容空間101内に溜まった状態になる。すなわち、ソレノイド151に通電がされておらず、制御弁150が閉弁されているときには、燃料は噴射されない。
一方で、図3や図4に示すように、制御装置500を通じてソレノイド151に通電がなされると、制御弁150が開弁し、リーク通路140と連通空間149とが連通する。このように制御弁150が開弁しているときには、リーク通路140を通じて制御室120内の燃料が排出される。制御室120内の燃料がリーク通路140を通じて連通空間149に排出され、更にリターン通路28を通じて排出されると、制御室120内の燃料の圧力が低下する。そのため、収容空間101内の燃料の圧力によって生じるニードル弁130を開弁させる方向に付勢する力の大きさが、スプリング109及びスプリング145による付勢力と制御室120内の燃料の圧力とによって生じるニードル弁130を閉弁させる方向に付勢する力の大きさよりも大きくなり、ニードル弁130が開弁する。その結果、燃料噴射孔110と収容空間101とが連通した状態になり、燃料が燃料噴射孔110を通じて噴射されるようになる。すなわち、ソレノイド151に通電がされて制御弁150が開弁されているときには、ニードル弁130が開弁され、燃料が噴射される。
ところで、図3に示すように、制御弁150が開弁しているときにカム駆動ロッド175がカム171の領域AR1以外の領域に当接しており、カム駆動弁172が閉弁し、カム駆動弁172がオリフィス通路143を塞いでいる場合には、制御室120内の燃料はオリフィス通路143を通じては排出されなくなる。この場合には、制御室120内から排出される燃料は全てオリフィスプレート142を通過して排出されるため、排出される燃料の流量はオリフィスプレート142の絞りによって制限された流量になる。
一方で、図4に示すように、制御弁150が開弁しているときにカム駆動ロッド175がカム171の領域AR1に当接しており、カム駆動弁172が開弁され、カム駆動弁172がオリフィス通路143を塞いでいない場合には、制御室120内の燃料はオリフィス通路143を通じても排出されるようになる。この場合には、制御室120内からリーク通路140を通じて排出される燃料の流量が、オリフィスプレート142を通過する燃料の流量とオリフィス通路143を通過する燃料の流量との和になり、カム駆動弁172が閉弁しているときよりも多くなる。
このように燃料噴射装置100では、カム駆動弁172の開閉の状態に応じて、オリフィスプレート142を通過する経路に加えて、オリフィス通路143を通じて燃料が排出されるか否かが変化する。その結果、リーク通路140の抵抗が変化し、制御室120内からリーク通路140を通じて排出される燃料の流量が変化するようになっている。そして、リーク通路140を通じて排出される燃料の流量が変化すると、ニードル弁130が開弁する際のニードル弁130のリフト速度が変化することになる。
要するに、この燃料噴射装置100では、カム駆動弁172を開閉させることによりリーク通路140の抵抗を変化させることができるようになっており、リーク通路140の抵抗を変更することによりニードル弁130のリフト速度を変更することができるようになっている。すなわち、燃料噴射装置100では、カム171と、カム駆動ロッド175と、カム駆動弁172とによってリフト速度変更機構170を構成している。なお、このリフト速度変更機構170では、カム171によって駆動されるカム駆動弁172が被駆動部材に相当する。
次に第1の実施形態の燃料噴射装置100の作用について、図5を参照して説明する。
図5に示すように、燃料噴射装置100では、カム駆動弁172が圧縮行程の後半で開弁し、圧縮上死点(図5におけるTDC)では開弁している一方、膨張行程の後半から閉弁し始めて排気行程が始まるときには閉弁した状態になるようにカム171のカムプロフィールが設定されている。そして、燃料噴射装置100では、メイン噴射に加えて、メイン噴射に先立って行うパイロット噴射、燃焼が終了した後に行うポスト噴射が実施される。
図5に示すように、圧縮行程の前半において制御弁150が開弁されると、ニードル弁130が開弁し、パイロット噴射が実行される。このときには、カム駆動弁172がリフトされておらず閉弁しているため、ニードル弁130のリフト速度はカム駆動弁172が開弁しているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁130は低速開弁される。ニードル弁130の開弁に伴って燃料噴射が開始され、1秒間に噴射される燃料の量である燃料噴射率が図5の下段に示すように変化する。
これに対して、圧縮行程の後半から圧縮上死点(図5におけるTDC)を超えるまでの期間において制御弁150が開弁されると、それに伴ってニードル弁130が開弁し、メイン噴射が実行される。このときには、カム駆動弁172が開弁しているため、ニードル弁130のリフト速度はカム駆動弁172が閉弁しているときよりも速くなる。すなわち、このときにはニードル弁130は高速開弁される。
なお、図5にはニードル弁130が開弁する際のニードル弁130のリフト量の変化の傾きを破線で示している。この破線の傾きはニードル弁130が開弁する際のリフト速度を表している。
こうしてニードル弁130が高速開弁するときにもニードル弁130の開弁に伴って燃料噴射が実行されるが、このときにはニードル弁130の開弁速度が速いため低速開弁された場合よりも速やかに燃料噴射率が高くなり、高い貫徹力で燃料が噴射される。
また、排気行程の前半において制御弁150が開弁されると、ニードル弁130が開弁し、ポスト噴射が実行される。このときには、カム駆動弁172がリフトされておらず閉弁しているため、ニードル弁130のリフト速度はカム駆動弁172が開弁しているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁130は低速開弁される。そのため、このときには、燃料噴射率の変化の態様はパイロット噴射の場合の燃料噴射率の変化の態様と同様になる。
なお、メイン噴射に加えて、パイロット噴射とポスト噴射を行う場合を例に説明を行ったが、内燃機関10の運転状態によってはパイロット噴射やポスト噴射を行わない場合もある。制御装置500は、ソレノイド151に対する通電を制御することにより、内燃機関10の運転状態にあわせてパイロット噴射、メイン噴射、ポスト噴射の各噴射の実行態様を制御する。
以上説明した第1の実施形態の燃料噴射装置100によれば、以下の(1)〜(4)の効果が得られるようになる。
(1)燃料噴射装置100では、ニードル弁130が開弁する際のリフト速度は制御弁150を開弁したときの制御室120内の燃料の圧力の低下速度に応じて変化する。そして、ニードル弁130のリフト速度はリーク通路140における抵抗の大きさに応じて変化する。燃料噴射装置100では、内燃機関10のクランクシャフトの回転に連動して回転するカム171によって駆動されるカム駆動弁172の変位に応じてリーク通路140における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構170を設けている。そのため、カム171の回転に連動してカムプロフィールに応じてリーク通路140における抵抗が変化する。そのため、制御装置500が実行する制御に変更を加えなくても、カムプロフィールの設定によってニードル弁130のリフト速度を所望の態様で変化させることができる。したがって、リーク通路140における抵抗を変化させるための制御の追加や変更を必要とせずに、ニードル弁130のリフト速度の変更を実現することができる。
(2)パイロット噴射は、メイン噴射が実行される前に少量の燃料を噴射することで、メイン噴射において噴射される燃料に早期に着火させ、メイン噴射における予混合燃焼を抑制し、騒音やNOxの発生を抑制するものである。しかし、パイロット噴射は燃焼室11内の空気密度が低い圧縮行程中に行われるため、燃料噴霧の貫徹力及び拡散性が高くなり、燃料がボアやピストンに付着したり、燃料が拡散してしまい燃焼を良好に発生させることができないおそれがある。これに対して、燃料噴射装置100では、パイロット噴射を実行する際にはニードル弁130が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着や、燃焼不良によるHCの発生や、メイン噴射におけるNOxの低減効果の低下を抑制することができる。
(3)メイン噴射は、パイロット噴射による燃料噴霧の燃焼による高温下で実施されるため、空気と燃料との混合が不十分なまま燃焼が発生し、煤が発生するおそれがある。これに対して、燃料噴射装置100では、メイン噴射を実行する際にはニードル弁130が高速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率が速やかに上昇し、燃料の噴出速度が高くなり、燃料噴霧の微細化と、燃料と空気との混合が促進され、煤の発生が抑制される。
(4)一般的にポスト噴射は、膨張行程や排気行程中に実行されるため、燃料噴霧の貫徹力及び拡散性が高く、燃料がボアやピストンに付着しやすい。これに対して、燃料噴射装置100では、ポスト噴射を実行する際にはニードル弁130が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着を抑制することができる。ひいてはボアに付着した燃料がエンジンオイルに混入しピストンの潤滑性を悪化させてしまうことなどを抑制することができる。
(第2の実施形態)
内燃機関の燃料噴射装置の第2の実施形態について図6〜図9を参照して説明する。
第2の実施形態の燃料噴射装置200は、第1の実施形態の燃料噴射装置100と同様に、内燃機関10に搭載される。そのため、内燃機関10の構成については、同一の符号を付してその説明を割愛する。
図6に示すように燃料噴射装置200のハウジングの内部にはニードル弁230を収容する収容空間201が形成されている。なお、燃料噴射装置200のハウジングは、先端に燃料噴射孔210が設けられているノズルボディ202と、第1ボディ203と、第2ボディ204と、第3ボディ205と、これらをこの順番で重ね合わせた状態で締結するリテーニングナット206とで構成されている。また、燃料噴射装置200では、燃料噴射孔210は、収容空間201と連通しており燃料が溜まるドーム状の空間であるサック部211とハウジングの外部に連通する2つの噴孔212とからなっている。
収容空間201の内部には、筒状の収容部207が設けられており、ニードル弁230の後端がこの収容部207内に摺動可能に収容されている。また、ニードル弁230の中央部にはノズルボディ202の内周面と当接するように突出した3つのガイド部231が周方向に均等に分散した状態で(120°毎に)設けられている。こうしてニードル弁230の後端が収容部207内に収容されているとともに、120°毎に設けられた3つのガイド部231がノズルボディ202の内周面に当接していることにより、ニードル弁230は軸方向、すなわち図6における上下方向に移動可能に収容空間201内に収容されている。
なお、ニードル弁230には円盤状のリテーナ208が取り付けられており、収容部207とリテーナ208との間にはスプリング209が圧縮された状態で配設されている。これにより、ニードル弁230は先端部をノズルボディ202の内周面からなるシート面213に当接させる方向に付勢されている。
そして、図6に示すように、ニードル弁230の先端部がシート面213に当接してニードル弁230が着座しているときには、ニードル弁230によって燃料噴射孔210が塞がれる。
また、ノズルボディ202内における収容部207とニードル弁230の後端部とによって区画された部分は制御室220になっている。
ハウジング内には、第1ボディ203,第2ボディ204,第3ボディ205に形成された貫通孔によって構成される燃料供給通路215が設けられている。燃料供給通路215は、第3ボディ205側で燃料供給配管27と接続されている。また、燃料供給通路215は、第1ボディ203内で二股に分岐しており、一方が収容空間201に接続されており、他方が制御室220に接続されている。これにより、燃料供給配管27を通じて供給される燃料はこの燃料供給通路215を通じて収容空間201及び制御室220に導入される。
更に、ハウジング内には、制御室220から燃料を排出するリーク通路240が設けられている。第3ボディ205には燃料タンク21に繋がっているリターン通路28が接続されており、リーク通路240は第3ボディ205内に形成されている連通空間249を介してリターン通路28と連通している。
リーク通路240は、連通空間249と制御室220とを繋ぐ制御通路241と、制御室220内に配設されたオリフィスプレート242と、第1ボディ203に形成されたオリフィス通路243と、連通路244とによって構成されている。なお、制御通路241は、第1ボディ203及び第2ボディ204に形成された貫通孔によって構成されている。また、制御室220内に配設されたオリフィスプレート242とニードル弁230の後端との間にはスプリング245が圧縮された状態で収容されている。そのため、オリフィスプレート242は、このスプリング245の復元力により、第1ボディ203に当接する方向に付勢されている。オリフィスプレート242には内部に絞りを備える貫通孔が設けられており、オリフィスプレート242が第1ボディ203に当接しているときには、制御室220内からオリフィスプレート242を通過して制御通路241に流れ込む燃料の流量がこの絞りによって制限されることになる。
なお、オリフィスプレート242が第1ボディ203に当接しているときには、オリフィスプレート242によって燃料供給通路215の制御室220側の出口が塞がれるようになっている。これにより、オリフィスプレート242は、燃料供給通路215から制御室220への燃料の流入を許容する一方で、制御室220から燃料供給通路215への燃料の逆流を抑制する逆止弁として機能する。
オリフィス通路243は、オリフィスプレート242が第1ボディ203に当接しているときであっても、オリフィスプレート242によって塞がれないように、オリフィスプレート242と収容部207との間に開口している。
オリフィス通路243は、第1ボディ203を貫通する貫通孔によって形成されており、制御室220側の端部には絞りが設けられている。オリフィス通路243の途中には連通路244が接続されており、オリフィス通路243はこの連通路244を通じて制御通路241と連通している。なお、オリフィス通路243と燃料供給通路215は第1ボディ203内ですれ違うように形成されており、オリフィス通路243と燃料供給通路215は連通していない。オリフィス通路243の絞りにおける通路断面積は制御通路241の通路断面積及び連通路244の通路断面積よりも狭くなっており、制御室220内からオリフィス通路243を通過して制御通路241に流れ込む燃料の流量は、このオリフィス通路243の絞りによって制限されるようになっている。
すなわち、リーク通路240においては、オリフィスプレート242及びオリフィス通路243の絞りがリーク通路240における抵抗を決める絞りとして作用する。
第2ボディ204には、オリフィス通路243を形成している貫通孔に先端が挿入されたサーボ弁260が収容されている。第2ボディ204には、サーボ弁260を収容する収容室261が形成されており、サーボ弁260はこの収容室261に収容されている。こうしてサーボ弁260が収容室261内に収容されていることにより、収容室261はサーボ弁260よりも第1ボディ203側の部屋とサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋とに区画されている。そして、第2ボディ204には、これらの部屋と燃料供給通路215とを連通する第1接続路263と第2接続路264が設けられている。
第1接続路263は、収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋と燃料供給通路215とを連通している。そして、第2接続路264は、収容室261におけるサーボ弁260よりも第1ボディ203側の部屋と燃料供給通路215とを連通している。
そして、収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋にはサーボ弁260を、オリフィス通路243と連通路244との連通を遮断する位置に向かって付勢するスプリング262が配設されている。
また、第2ボディ204には、収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋と、連通空間249とを繋ぐ出口通路265も設けられている。
第3ボディ205には、リーク通路240を塞ぐ制御弁250が収容されている。制御弁250の先端は連通空間249内に突出しており、制御弁250は先端が第2ボディ204に当接してリーク通路240を塞ぐようにスプリング252によって付勢されている。また、第3ボディ205には制御弁250をスプリング252の付勢力に抗して引き寄せ、第2ボディ204から離間させるソレノイド251が設けられている。ソレノイド251は制御装置500と接続されており、制御装置500はこのソレノイド251に通電することによって制御弁250をリフトさせ、開弁させる。すなわち、制御装置500は制御弁250を制御する。
また、連通空間249には、出口通路265を塞ぐカム駆動弁272の先端が突出している。カム駆動弁272は、第3ボディ205を貫通して先端が第2ボディ204に当接し、出口通路265を塞ぐように配設されている。
また、カム駆動弁272はスプリングを収容したダンパ276を介してカム駆動ロッド275と連結されている。そして、カム駆動ロッド275はカム271に当接している。
なお、ダンパ276と第3ボディ205との間にはスプリング273が圧縮された状態で配設されており、このスプリング273の復元力によってカム駆動弁272は先端を第2ボディ204から離間させる方向に付勢されている。
カム271は、排気カムシャフト17と連結されており、排気カムシャフト17の回転に連動して回転する。すなわち、カム271は排気カムシャフト17と同様にクランクシャフトの回転と連動して回転する。
カム271のカムプロフィールは、カム271の中心C2からの距離が領域AR2以外の領域においては一定であり、領域AR2において中心C2からの距離が他の領域よりも短くなるように設定されている。
そして、図6及び図7に示すように、カム駆動ロッド275が領域AR2以外の領域に当接しているときには、カム駆動弁272がスプリング273の付勢力に抗して第2ボディ204に押し付けられ、カム駆動弁272が出口通路265を塞ぐようになっている。なお、ダンパ276にはスプリング273よりも弾性係数が高いスプリングが収容されている。そのため、振動などによってカム271と第2ボディ204との距離が変動したとしても、このダンパ276が変形することによって第2ボディ204やカム駆動弁272、カム駆動ロッド275などに作用する荷重が緩和されるようになっている。
図6及び図7に示すように、カム駆動弁272が出口通路265を塞いでおり、閉弁しているときには、燃料供給通路215を通じて収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋に導入された燃料が出口通路265を通じて排出されなくなる。燃料供給通路215は収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋とサーボ弁260よりも第1ボディ203側の部屋との双方に連通しているため、このときにはサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋内の燃料の圧力とサーボ弁260よりも第1ボディ203側の部屋内の燃料の圧力とがほぼ等しくなる。しかし、サーボ弁260にはスプリング262による付勢力が作用しているため、このときには、サーボ弁260は、第1ボディ203側に押し込まれ、オリフィス通路243と連通路244との連通を遮断した状態になる。
なお、図6及び図7に示すように、オリフィス通路243を形成している貫通孔にはサーボ弁260の先端が当接する段差が設けられており、カム駆動弁272が閉弁し、出口通路265を塞いでいるときには、サーボ弁260は先端がこの段差に当接した状態になる。
図6及び図7に示すようにサーボ弁260の先端が段差に当接してオリフィス通路243と連通路244との連通を遮断している状態が、サーボ弁260が閉弁している状態であり、この状態が、サーボ弁260のリフト量が「0」の状態である。
図8に示すように、カム駆動ロッド275が領域AR2に当接しているときには、カム駆動弁272がスプリング273の付勢力によってリフトされ、第2ボディ204から離間して、出口通路265がカム駆動弁272によって塞がれなくなる。このようにカム駆動弁272が出口通路265を塞いでおらず、開弁しているときには、燃料供給通路215を通じて収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋に導入された燃料が出口通路265を通じて連通空間249に排出される。収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋内の燃料が出口通路265を通じて連通空間249に排出され、更にリターン通路28を通じて排出されると、収容室261におけるサーボ弁260よりも第3ボディ205側の部屋内の燃料の圧力が低下する。そのため、第1ボディ203側の部屋内の燃料の圧力によって生じるサーボ弁260を開弁させる方向に付勢する力の大きさが、スプリング262による付勢力と第3ボディ205側の部屋内の燃料の圧力とによって生じるサーボ弁260を閉弁させる方向に付勢する力の大きさよりも大きくなり、サーボ弁260が開弁側にリフトする。そして、サーボ弁260のリフト量が開弁リフト量LOPよりも大きくなると、オリフィス通路243と連通路244とが連通された状態になり、サーボ弁260が開弁状態になる。
また、図6に示すように、制御弁250がリーク通路240を塞いでおり、閉弁しているときには、燃料供給通路215を通じて導入された燃料が制御室220から排出されなくなる。燃料供給通路215は収容空間201と制御室220の双方に連通しているため、このときには収容空間201内の燃料の圧力と制御室220内の燃料の圧力がほぼ等しくなる。しかし、ニードル弁230にはスプリング209及びスプリング245による付勢力が作用しているため、このときには、ニードル弁230はシート面213に着座した状態になる。その結果、燃料噴射孔210がニードル弁230によって塞がれた状態になり、燃料は噴射されずに収容空間201内に溜まった状態になる。すなわち、ソレノイド251に通電がされておらず、制御弁250が閉弁されているときには、燃料は噴射されない。
一方で、図7や図8に示すように、制御装置500を通じてソレノイド251に通電がなされると、制御弁250が開弁し、リーク通路240と連通空間249とが連通する。このように制御弁250が開弁しているときには、リーク通路240を通じて制御室220内の燃料が排出される。制御室220内の燃料がリーク通路240を通じて連通空間249に排出され、更にリターン通路28を通じて排出されると、制御室220内の燃料の圧力が低下する。そのため、収容空間201内の燃料の圧力によって生じるニードル弁230を開弁させる方向に付勢する力の大きさが、スプリング209及びスプリング245による付勢力と制御室220内の燃料の圧力とによって生じるニードル弁230を閉弁させる方向に付勢する力の大きさよりも大きくなり、ニードル弁230が開弁する。その結果、燃料噴射孔210と収容空間201とが連通した状態になり、燃料が燃料噴射孔210を通じて噴射されるようになる。すなわち、ソレノイド251に通電がされて制御弁250が開弁されているときには、ニードル弁230が開弁され、燃料が噴射される。
ところで、図7に示すように、制御弁250が開弁しているときにカム駆動ロッド275がカム271の領域AR2以外の領域に当接しており、カム駆動弁272が閉弁し、サーボ弁260がオリフィス通路243と連通路244との連通を遮断している場合には、制御室220内の燃料はオリフィス通路243を通じては排出されなくなる。この場合には、制御室220内から排出される燃料は全てオリフィスプレート242を通過して排出されるため、排出される燃料の流量はオリフィスプレート242の絞りによって制限された流量になる。
一方で、図8に示すように、制御弁250が開弁しているときにカム駆動ロッド275がカム271の領域AR2に当接しており、カム駆動弁272が開弁され、サーボ弁260が開弁している場合には、制御室220内の燃料はオリフィス通路243を通じても排出されるようになる。この場合には、制御室220内からリーク通路240を通じて排出される燃料の流量が、オリフィスプレート242を通過する燃料の流量とオリフィス通路243を通過する燃料の流量との和になり、サーボ弁260が閉弁しているときよりも多くなる。
このように燃料噴射装置200では、カム駆動弁272の開閉の状態に応じて、オリフィスプレート242を通過する経路に加えて、オリフィス通路243を通じて燃料が排出されるか否かが変化する。その結果、リーク通路240の抵抗が変化し、制御室220内からリーク通路240を通じて排出される燃料の流量が変化するようになっている。そして、リーク通路240を通じて排出される燃料の流量が変化すると、ニードル弁230が開弁する際のニードル弁230のリフト速度が変化することになる。
要するに、この燃料噴射装置200では、カム駆動弁272を開閉させることによりリーク通路240の抵抗を変化させることができるようになっており、リーク通路240の抵抗を変更することによりニードル弁230のリフト速度を変更することができるようになっている。すなわち、燃料噴射装置200では、カム271と、カム駆動ロッド275と、カム駆動弁272と、サーボ弁260とによってリフト速度変更機構270を構成している。なお、このリフト速度変更機構270では、カム271によって駆動されるカム駆動弁272が被駆動部材に相当する。
次に第2の実施形態の燃料噴射装置200の作用について、図9を参照して説明する。
図9に示すように、燃料噴射装置200では、カム駆動弁272が圧縮行程の後半で開弁し、圧縮上死点(図9におけるTDC)では開弁している一方、膨張行程の後半から閉弁し始めて排気行程が始まるときには閉弁した状態になるようにカム271のカムプロフィールが設定されている。
サーボ弁260は、カム駆動弁272の開閉に連動して開閉するため、カム駆動弁272と同様に、圧縮行程の後半で開弁し、圧縮上死点(図9におけるTDC)では開弁している一方、膨張行程の後半から閉弁し始めて排気行程が始まるときには閉弁した状態になる。
また、燃料噴射装置200では、メイン噴射に加えて、メイン噴射に先立って行うパイロット噴射、燃焼が終了した後に行うポスト噴射が実施される。
図9に示すように、圧縮行程の前半において制御弁250が開弁されると、ニードル弁230が開弁し、パイロット噴射が実行される。このときには、カム駆動弁272及びサーボ弁260がリフトされておらず閉弁しているため、ニードル弁230のリフト速度はカム駆動弁272及びサーボ弁260が開弁しているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁230は低速開弁される。ニードル弁230の開弁に伴って燃料噴射が開始され、燃料噴射率が図9の下段に示すように変化する。
これに対して、圧縮行程の後半から圧縮上死点(図9におけるTDC)を超えるまでの期間において制御弁250が開弁されると、それに伴ってニードル弁230が開弁し、メイン噴射が実行される。このときには、カム駆動弁272及びサーボ弁260が開弁しているため、ニードル弁230のリフト速度はカム駆動弁272及びサーボ弁260が閉弁しているときよりも速くなる。すなわち、このときにはニードル弁230は高速開弁される。
なお、図9にはニードル弁230が開弁する際のニードル弁230のリフト量の変化の傾きを破線で示している。この破線の傾きはニードル弁230が開弁する際のリフト速度を表している。
こうしてニードル弁230が高速開弁するときにもニードル弁230の開弁に伴って燃料噴射が実行されるが、このときにはニードル弁230の開弁速度が速いため低速開弁された場合よりも速やかに燃料噴射率が高くなり、高い貫徹力で燃料が噴射される。
また、排気行程の前半において制御弁250が開弁されると、ニードル弁230が開弁し、ポスト噴射が実行される。このときには、カム駆動弁272及びサーボ弁260がリフトされておらず閉弁しているため、ニードル弁230のリフト速度はカム駆動弁272及びサーボ弁260が開弁しているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁230は低速開弁される。そのため、このときには、燃料噴射率の変化の態様はパイロット噴射の場合の燃料噴射率の変化の態様と同様になる。
なお、メイン噴射に加えて、パイロット噴射とポスト噴射を行う場合を例に説明を行ったが、内燃機関10の運転状態によってはパイロット噴射やポスト噴射を行わない場合もある。制御装置500は、ソレノイド251に対する通電を制御することにより、内燃機関10の運転状態にあわせてパイロット噴射、メイン噴射、ポスト噴射の各噴射の実行態様を制御する。
以上説明した第2の実施形態の燃料噴射装置200によれば、以下の(1)〜(4)の効果が得られるようになる。
(1)燃料噴射装置200では、ニードル弁230が開弁する際のリフト速度は制御弁250を開弁したときの制御室220内の燃料の圧力の低下速度に応じて変化する。そして、ニードル弁230のリフト速度はリーク通路240における抵抗の大きさに応じて変化する。燃料噴射装置200では、内燃機関10のクランクシャフトの回転に連動して回転するカム271によって駆動されるカム駆動弁272の変位に応じてリーク通路240における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構270を設けている。そのため、カム271の回転に連動してカムプロフィールに応じてリーク通路240における抵抗が変化する。そのため、制御装置500が実行する制御に変更を加えなくても、カムプロフィールの設定によってニードル弁230のリフト速度を所望の態様で変化させることができる。したがって、リーク通路240における抵抗を変化させるための制御の追加や変更を必要とせずに、ニードル弁230のリフト速度の変更を実現することができる。
(2)燃料噴射装置200では、パイロット噴射を実行する際にはニードル弁230が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着や、燃焼不良によるHCの発生や、メイン噴射におけるNOxの低減効果の低下を抑制することができる。
(3)燃料噴射装置200では、メイン噴射を実行する際にはニードル弁230が高速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率が速やかに上昇し、燃料の噴出速度が高くなり、燃料噴霧の微細化と、燃料と空気との混合が促進され、煤の発生が抑制される。
(4)燃料噴射装置200では、ポスト噴射を実行する際にはニードル弁230が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着を抑制することができる。ひいてはボアに付着した燃料がエンジンオイルに混入しピストンの潤滑性を悪化させてしまうことなどを抑制することができる。
(第3の実施形態)
内燃機関の燃料噴射装置の第3の実施形態について図10〜図13を参照して説明する。
第3の実施形態の燃料噴射装置300は、第1の実施形態の燃料噴射装置100と同様に、内燃機関10に搭載される。そのため、内燃機関10の構成については、同一の符号を付してその説明を割愛する。
図10に示すように燃料噴射装置300のハウジングの内部にはニードル弁330を収容する収容空間301が形成されている。なお、燃料噴射装置300のハウジングは、先端に燃料噴射孔310が設けられているノズルボディ302と、第1ボディ303と、第2ボディ304と、第3ボディ305と、これらをこの順番で重ね合わせた状態で締結するリテーニングナット306とで構成されている。また、燃料噴射装置300では、燃料噴射孔310は、収容空間301と連通しており燃料が溜まるドーム状の空間であるサック部311とハウジングの外部に連通する2つの噴孔312とからなっている。
収容空間301の内部には、筒状の収容部307が設けられており、ニードル弁330の後端がこの収容部307内に摺動可能に収容されている。また、ニードル弁330の中央部にはノズルボディ302の内周面と当接するように突出した3つのガイド部331が周方向に均等に分散した状態で(120°毎に)設けられている。こうしてニードル弁330の後端が収容部307内に収容されているとともに、120°毎に設けられた3つのガイド部331がノズルボディ302の内周面に当接していることにより、ニードル弁330は軸方向、すなわち図10における上下方向に移動可能に収容空間301内に収容されている。
なお、ニードル弁330には円盤状のリテーナ308が取り付けられており、収容部307とリテーナ308との間にはスプリング309が圧縮された状態で配設されている。これにより、ニードル弁330は先端部をノズルボディ302の内周面からなるシート面313に当接させる方向に付勢されている。
そして、図10に示すように、ニードル弁330の先端部がシート面313に当接してニードル弁330が着座しているときには、ニードル弁330によって燃料噴射孔310が塞がれる。
また、ノズルボディ302内における収容部307とニードル弁330の後端部とによって区画された部分は制御室320になっている。
ハウジング内には、第1ボディ303,第2ボディ304,第3ボディ305に形成された貫通孔によって構成される燃料供給通路315が設けられている。燃料供給通路315は、第3ボディ305側で燃料供給配管27と接続されている。また、燃料供給通路315は、第1ボディ303内で二股に分岐しており、一方が収容空間301に接続されており、他方が制御室320に接続されている。これにより、燃料供給配管27を通じて供給される燃料はこの燃料供給通路315を通じて収容空間301及び制御室320に導入される。
更に、ハウジング内には、制御室320から燃料を排出するリーク通路340が設けられている。第3ボディ305には燃料タンク21に繋がっているリターン通路28が接続されており、リーク通路340は第3ボディ305内に形成されている連通空間349を介してリターン通路28と連通している。
リーク通路340は、連通空間349と制御室320とを繋ぐ制御通路341と、制御室320内に配設されたオリフィスプレート342と、第1ボディ303に形成されたオリフィス通路343と、連通路344とによって構成されている。なお、制御通路341は、第1ボディ303及び第2ボディ304に形成された貫通孔によって構成されている。また、制御室320内に配設されたオリフィスプレート342とニードル弁330の後端との間にはスプリング345が圧縮された状態で収容されている。そのため、オリフィスプレート342は、このスプリング345の復元力により、第1ボディ303に当接する方向に付勢されている。オリフィスプレート342には内部に絞りを備える貫通孔が設けられており、オリフィスプレート342が第1ボディ303に当接しているときには、制御室320内からオリフィスプレート342を通過して制御通路341に流れ込む燃料の流量がこの絞りによって制限されることになる。
なお、オリフィスプレート342が第1ボディ303に当接しているときには、オリフィスプレート342によって燃料供給通路315の制御室320側の出口が塞がれるようになっている。これにより、オリフィスプレート342は、燃料供給通路315から制御室320への燃料の流入を許容する一方で、制御室320から燃料供給通路315への燃料の逆流を抑制する逆止弁として機能する。
オリフィス通路343は、オリフィスプレート342が第1ボディ303に当接しているときであっても、オリフィスプレート342によって塞がれないように、オリフィスプレート342と収容部307との間に開口している。
オリフィス通路343は、第1ボディ303を貫通する貫通孔によって形成されており、制御室320側の端部には絞りが設けられている。オリフィス通路343の途中には連通路344が接続されており、オリフィス通路343はこの連通路344を通じて制御通路341と連通している。なお、オリフィス通路343と燃料供給通路315は第1ボディ303内ですれ違うように形成されており、オリフィス通路343と燃料供給通路315は連通していない。オリフィス通路343の絞りにおける通路断面積は制御通路341の通路断面積及び連通路344の通路断面積よりも狭くなっており、制御室320内からオリフィス通路343を通過して制御通路341に流れ込む燃料の流量は、このオリフィス通路343の絞りによって制限されるようになっている。
すなわち、リーク通路340においては、オリフィスプレート342及びオリフィス通路343の絞りがリーク通路340における抵抗を決める絞りとして作用する。
第2ボディ304には、オリフィス通路343を形成している貫通孔に先端が挿入されたサーボ弁360が収容されている。第2ボディ304には、サーボ弁360を収容する収容室361が形成されており、サーボ弁360はこの収容室361に収容されている。こうしてサーボ弁360が収容室361内に収容されていることにより、収容室361はサーボ弁360よりも第1ボディ303側の部屋とサーボ弁360よりも第3ボディ305側の部屋とに区画されている。
そして、第2ボディ304には、収容室361におけるサーボ弁360よりも第3ボディ305側の部屋と燃料供給通路315とを連通する第1接続路363が設けられている。また、収容室361におけるサーボ弁360よりも第3ボディ305側の部屋にはサーボ弁360を、オリフィス通路343と連通路344との連通を遮断する位置に向かって付勢するスプリング362が配設されている。
また、第3ボディ305には、カム駆動ピストン373を収容するシリンダ374が設けられており、第2ボディ304には収容室361におけるサーボ弁360よりも第1ボディ303側の部屋とシリンダ374とを連通する第2接続路364と、シリンダ374と燃料供給通路315とを連通する第3接続路365が設けられている。なお、第3接続路365には、燃料供給通路315側からシリンダ374側に向かって燃料が流れることを許容する一方でシリンダ374側から燃料供給通路315側に向かって燃料が流れることを規制する逆止弁366が設けられている。
シリンダ374内には、カム駆動ピストン373が摺動可能に収容されている。カム駆動ピストン373には第3ボディ305に挿通されているカム駆動ロッド375の先端が当接している。そして、カム駆動ロッド375の後端はカム371に当接している。
また、シリンダ374内には、カム駆動ピストン373を第2ボディ304から離間させ、カム駆動ピストン373をカム駆動ロッド375に押し付ける方向に付勢するスプリング377が配設されている。
カム371は、排気カムシャフト17と連結されており、排気カムシャフト17の回転に連動して回転する。すなわち、カム371は排気カムシャフト17と同様にクランクシャフトの回転と連動して回転する。
カム371のカムプロフィールは、カム371の中心C3からの距離が領域AR3以外の領域においては一定であり、領域AR3において中心C3からの距離が他の領域よりも長くなるように設定されている。
そして、図10及び図11に示すように、カム駆動ロッド375が領域AR3以外の領域に当接しているときには、カム駆動ピストン373がスプリング377の付勢力によってリフトされた状態になり、シリンダ374内は、第3接続路365を通じて燃料供給通路315から供給された燃料で満たされる。
なお、カム駆動ロッド375にはスプリング377よりも弾性係数の高いスプリングを収容したダンパ376が設けられている。そのため、振動などによってカム371と第2ボディ304との距離が変動したとしても、このダンパ376が変形することによって第2ボディ304や、カム駆動ピストン373、カム駆動ロッド375などに作用する荷重が緩和されるようになっている。
シリンダ374は第2接続路364を通じて収容室361における第1ボディ303側の部屋と連通しているため、このときにはサーボ弁360よりも第3ボディ305側の部屋内の燃料の圧力とサーボ弁360よりも第1ボディ303側の部屋内の燃料の圧力とがほぼ等しくなる。しかし、サーボ弁360にはスプリング362による付勢力が作用しているため、このときには、サーボ弁360は、第1ボディ303側に押し込まれ、オリフィス通路343と連通路344との連通を遮断した状態になる。
なお、図10及び図11に示すように、オリフィス通路343を形成している貫通孔にはサーボ弁360の先端が当接する段差が設けられており、このときには、サーボ弁360は先端がこの段差に当接した状態になる。
図10及び図11に示すようにサーボ弁360の先端が段差に当接してオリフィス通路343と連通路344との連通を遮断している状態が、サーボ弁360が閉弁している状態であり、この状態が、サーボ弁360のリフト量が「0」の状態である。
図12に示すように、カム371の回転に伴い、カム駆動ロッド375が領域AR3に当接するようになると、カム駆動ピストン373がスプリング377の付勢力に抗して第2ボディ304に近づくように降下し、シリンダ374内の燃料が第2接続路364を通じて収容室361における第1ボディ303側の部屋に送り込まれる。そして、第1ボディ303側の部屋内の燃料の圧力によって生じるサーボ弁360を開弁させる方向に付勢する力の大きさが、スプリング362による付勢力と第3ボディ305側の部屋内の燃料の圧力とによって生じるサーボ弁360を閉弁させる方向に付勢する力の大きさよりも大きくなり、サーボ弁360が開弁側にリフトする。そして、サーボ弁360のリフト量が開弁リフト量LOPよりも大きくなると、オリフィス通路343と連通路344とが連通された状態になり、サーボ弁360が開弁状態になる。
また、図10に示すように、第3ボディ305には、リーク通路340を塞ぐ制御弁350が収容されている。制御弁350の先端は連通空間349内に突出しており、制御弁350は先端が第2ボディ304に当接してリーク通路340を塞ぐようにスプリング352によって付勢されている。また、第3ボディ305には制御弁350をスプリング352の付勢力に抗して引き寄せ、第2ボディ304から離間させるソレノイド351が設けられている。ソレノイド351は制御装置500と接続されており、制御装置500はこのソレノイド351に通電することによって制御弁350をリフトさせ、開弁させる。すなわち、制御装置500は制御弁350を制御する。
図10に示すように、制御弁350がリーク通路340を塞いでおり、閉弁しているときには、燃料供給通路315を通じて導入された燃料が制御室320から排出されなくなる。燃料供給通路315は収容空間301と制御室320の双方に連通しているため、このときには収容空間301内の燃料の圧力と制御室320内の燃料の圧力がほぼ等しくなる。しかし、ニードル弁330にはスプリング309及びスプリング345による付勢力が作用しているため、このときには、ニードル弁330はシート面313に着座した状態になる。その結果、燃料噴射孔310がニードル弁330によって塞がれた状態になり、燃料は噴射されずに収容空間301内に溜まった状態になる。すなわち、ソレノイド351に通電がされておらず、制御弁350が閉弁されているときには、燃料は噴射されない。
一方で、図11や図12に示すように、制御装置500を通じてソレノイド351に通電がなされると、制御弁350が開弁し、リーク通路340と連通空間349とが連通する。このように制御弁350が開弁しているときには、リーク通路340を通じて制御室320内の燃料が排出される。制御室320内の燃料がリーク通路340を通じて連通空間349に排出され、更にリターン通路28を通じて排出されると、制御室320内の燃料の圧力が低下する。そのため、収容空間301内の燃料の圧力によって生じるニードル弁330を開弁させる方向に付勢する力の大きさが、スプリング309及びスプリング345による付勢力と制御室320内の燃料の圧力とによって生じるニードル弁330を閉弁させる方向に付勢する力の大きさよりも大きくなり、ニードル弁330が開弁する。その結果、燃料噴射孔310と収容空間301とが連通した状態になり、燃料が燃料噴射孔310を通じて噴射されるようになる。すなわち、ソレノイド351に通電がされて制御弁350が開弁されているときには、ニードル弁330が開弁され、燃料が噴射される。
ところで、図11に示すように、制御弁350が開弁しているときにカム駆動ロッド375がカム371の領域AR3以外の領域に当接しており、サーボ弁360がオリフィス通路343と連通路344との連通を遮断している場合には、制御室320内の燃料はオリフィス通路343を通じては排出されなくなる。この場合には、制御室320内から排出される燃料は全てオリフィスプレート342を通過して排出されるため、排出される燃料の流量はオリフィスプレート342の絞りによって制限された流量になる。
一方で、図12に示すように、制御弁350が開弁しているときにカム駆動ロッド375がカム371の領域AR3に当接しており、サーボ弁360が開弁している場合には、制御室320内の燃料はオリフィス通路343を通じても排出されるようになる。この場合には、制御室320内からリーク通路340を通じて排出される燃料の流量が、オリフィスプレート342を通過する燃料の流量とオリフィス通路343を通過する燃料の流量との和になり、サーボ弁360が閉弁しているときよりも多くなる。
このように燃料噴射装置300では、サーボ弁360の開閉の状態に応じて、オリフィスプレート342を通過する経路に加えて、オリフィス通路343を通じて燃料が排出されるか否かが変化する。その結果、リーク通路340の抵抗が変化し、制御室320内からリーク通路340を通じて排出される燃料の流量が変化するようになっている。そして、リーク通路340を通じて排出される燃料の流量が変化すると、ニードル弁330が開弁する際のニードル弁330のリフト速度が変化することになる。
要するに、この燃料噴射装置300では、サーボ弁360を開閉させることによりリーク通路340の抵抗を変化させることができるようになっており、リーク通路340の抵抗を変更することによりニードル弁330のリフト速度を変更することができるようになっている。すなわち、燃料噴射装置300では、カム371と、カム駆動ロッド375と、カム駆動ピストン373と、サーボ弁360とによってリフト速度変更機構370を構成している。なお、このリフト速度変更機構370では、カム371によって駆動されるカム駆動ピストン373が被駆動部材に相当する。
次に第3の実施形態の燃料噴射装置300の作用について、図13を参照して説明する。
図13に示すように、燃料噴射装置300では、カム駆動ピストン373が圧縮行程の後半で降下し、圧縮上死点(図13におけるTDC)では降下した状態になっている一方、膨張行程の途中からリフトし始めて排気行程が始まるまでには完全にリフトした状態(降下量が「0」)になるようにカム371のカムプロフィールが設定されている。
サーボ弁360は、上述したようにカム駆動ピストン373の動作による圧力の変動に連動して開閉するため、圧縮行程の後半で開弁し、圧縮上死点(図13におけるTDC)では開弁している一方、膨張行程の途中から閉弁し始めて排気行程が始まるまでには閉弁した状態になる。
また、燃料噴射装置300では、メイン噴射に加えて、メイン噴射に先立って行うパイロット噴射、燃焼が終了した後に行うポスト噴射が実施される。
図13に示すように、圧縮行程の前半において制御弁350が開弁されると、ニードル弁330が開弁し、パイロット噴射が実行される。このときには、サーボ弁360がリフトされておらず閉弁しているため、ニードル弁330のリフト速度はサーボ弁360が開弁しているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁330は低速開弁される。ニードル弁330の開弁に伴って燃料噴射が開始され、燃料噴射率が図13の下段に示すように変化する。
これに対して、圧縮行程の後半から圧縮上死点(図13におけるTDC)を超えるまでの期間において制御弁350が開弁されると、それに伴ってニードル弁330が開弁し、メイン噴射が実行される。このときには、サーボ弁360が開弁しているため、ニードル弁330のリフト速度はサーボ弁360が閉弁しているときよりも速くなる。すなわち、このときにはニードル弁330は高速開弁される。
なお、図13にはニードル弁330が開弁する際のニードル弁330のリフト量の変化の傾きを破線で示している。この破線の傾きはニードル弁330が開弁する際のリフト速度を表している。
こうしてニードル弁330が高速開弁するときにもニードル弁330の開弁に伴って燃料噴射が実行されるが、このときにはニードル弁330の開弁速度が速いため低速開弁された場合よりも速やかに燃料噴射率が高くなり、高い貫徹力で燃料が噴射される。
また、排気行程の前半において制御弁350が開弁されると、ニードル弁330が開弁し、ポスト噴射が実行される。このときには、サーボ弁360がリフトされておらず閉弁しているため、ニードル弁330のリフト速度はサーボ弁360が開弁しているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁330は低速開弁される。そのため、このときには、燃料噴射率の変化の態様はパイロット噴射の場合の燃料噴射率の変化の態様と同様になる。
なお、メイン噴射に加えて、パイロット噴射とポスト噴射を行う場合を例に説明を行ったが、内燃機関10の運転状態によってはパイロット噴射やポスト噴射を行わない場合もある。制御装置500は、ソレノイド351に対する通電を制御することにより、内燃機関10の運転状態にあわせてパイロット噴射、メイン噴射、ポスト噴射の各噴射の実行態様を制御する。
以上説明した第3の実施形態の燃料噴射装置300によれば、以下の(1)〜(4)の効果が得られるようになる。
(1)燃料噴射装置300では、ニードル弁330が開弁する際のリフト速度は制御弁350を開弁したときの制御室320内の燃料の圧力の低下速度に応じて変化する。そして、ニードル弁330のリフト速度はリーク通路340における抵抗の大きさに応じて変化する。燃料噴射装置300では、内燃機関10のクランクシャフトの回転に連動して回転するカム371によって駆動されるカム駆動ピストン373の変位に応じてリーク通路340における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構370を設けている。そのため、カム371の回転に連動してカムプロフィールに応じてリーク通路340における抵抗が変化する。そのため、制御装置500が実行する制御に変更を加えなくても、カムプロフィールの設定によってニードル弁330のリフト速度を所望の態様で変化させることができる。したがって、リーク通路340における抵抗を変化させるための制御の追加や変更を必要とせずに、ニードル弁330のリフト速度の変更を実現することができる。
(2)燃料噴射装置300では、パイロット噴射を実行する際にはニードル弁330が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着や、燃焼不良によるHCの発生や、メイン噴射におけるNOxの低減効果の低下を抑制することができる。
(3)燃料噴射装置300では、メイン噴射を実行する際にはニードル弁330が高速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率が速やかに上昇し、燃料の噴出速度が高くなり、燃料噴霧の微細化と、燃料と空気との混合が促進され、煤の発生が抑制される。
(4)燃料噴射装置300では、ポスト噴射を実行する際にはニードル弁330が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着を抑制することができる。ひいてはボアに付着した燃料がエンジンオイルに混入しピストンの潤滑性を悪化させてしまうことなどを抑制することができる。
(第4の実施形態)
内燃機関の燃料噴射装置の第4の実施形態について図14〜図17を参照して説明する。
第4の実施形態の燃料噴射装置400は、第1の実施形態の燃料噴射装置100と同様に、内燃機関10に搭載される。そのため、内燃機関10の構成については、同一の符号を付してその説明を割愛する。
図14に示すように燃料噴射装置400のハウジングの内部にはニードル弁430を収容する収容空間401が形成されている。なお、燃料噴射装置400のハウジングは、先端に燃料噴射孔410が設けられているノズルボディ402と、第1ボディ403と、第2ボディ404と、これらをこの順番で重ね合わせた状態で締結するリテーニングナット405とで構成されている。また、燃料噴射装置400では、燃料噴射孔410は、収容空間401と連通しており燃料が溜まるドーム状の空間であるサック部411とハウジングの外部に連通する2つの噴孔412とからなっている。
収容空間401の内部には、筒状の収容部407が設けられており、ニードル弁430の後端がこの収容部407内に摺動可能に収容されている。また、ニードル弁430の中央部にはノズルボディ402の内周面と当接するように突出した3つのガイド部431が周方向に均等に分散した状態で(120°毎に)設けられている。こうしてニードル弁430の後端が収容部407内に収容されているとともに、120°毎に設けられた3つのガイド部431がノズルボディ402の内周面に当接していることにより、ニードル弁430は軸方向、すなわち図14における上下方向に移動可能に収容空間401内に収容されている。
なお、ニードル弁430には円盤状のリテーナ408が取り付けられており、収容部407とリテーナ408との間にはスプリング409が圧縮された状態で配設されている。これにより、ニードル弁430は先端部をノズルボディ402の内周面からなるシート面413に当接させる方向に付勢されている。
そして、図14に示すように、ニードル弁430の先端部がシート面413に当接してニードル弁430が着座しているときには、ニードル弁430によって燃料噴射孔410が塞がれる。
また、ノズルボディ402内における収容部407とニードル弁430の後端部とによって区画された部分は制御室420になっている。
ハウジング内には、第1ボディ403,第2ボディ404に形成された貫通孔によって構成される燃料供給通路415が設けられている。燃料供給通路415は、第2ボディ404側で燃料供給配管27と接続されている。また、燃料供給通路415は、第1ボディ403内で二股に分岐しており、一方が収容空間401に接続されており、他方が制御室420に接続されている。これにより、燃料供給配管27を通じて供給される燃料はこの燃料供給通路415を通じて収容空間401及び制御室420に導入される。
更に、ハウジング内には、制御室420から燃料を排出するリーク通路440が設けられている。第2ボディ404には燃料タンク21に繋がっているリターン通路28が接続されており、リーク通路440は第2ボディ404内に形成されている連通空間449を介してリターン通路28と連通している。
また、ハウジングにはカム駆動ロッド472が挿入されている。カム駆動ロッド472は、第2ボディ404を貫通しており、カム駆動ロッド472の先端は、第1ボディ403内に設けられているリーク通路440内に突出している。
カム駆動ロッド472の先端部には先端に向かってカム駆動ロッド472の径が細くなるように傾斜したテーパ面475が設けられている。そして、リーク通路440内におけるテーパ面475と対向する部分にはテーパ面475と平行になるように傾斜した対向面441が設けられている。そして、リーク通路440においては、カム駆動ロッド472のテーパ面475と対向面441との隙間が、同リーク通路440における抵抗を決める絞りとして作用するようになっている。
また、カム駆動ロッド472におけるハウジングの外側に飛び出している部分にはフランジ473が設けられており、このフランジ473と第2ボディ404との間にはスプリング474が圧縮された状態で配設されている。そのため、カム駆動ロッド472は、このスプリング474の付勢力によってテーパ面475を対向面441から離間させる方向に付勢されている。
カム駆動ロッド472の後端はカム471に当接している。なお、カム471は、排気カムシャフト17と連結されており、排気カムシャフト17の回転に連動して回転する。すなわち、カム471は排気カムシャフト17と同様にクランクシャフトの回転と連動して回転する。
カム471のカムプロフィールは、カム471の中心C4からの距離が領域AR4以外の領域においては一定であり、領域AR4において中心C4からの距離が他の領域よりも短くなるように設定されている。
そして、図14及び図15に示すように、カム駆動ロッド472の後端が領域AR4以外の領域に当接しているときには、カム駆動ロッド472がスプリング474の付勢力に抗して対向面441に近い位置に保持される。カム駆動ロッド472の後端が領域AR4以外の領域に当接しているときの状態が、この燃料噴射装置400においてテーパ面475と対向面441との隙間が最も狭くなる状態であり、カム駆動ロッド472のリフト量が「0」の状態である。
また、制御室420内には、開閉プレート442が収容されている。そして、制御室420内に収容された開閉プレート442とニードル弁430の後端との間にはスプリング445が圧縮された状態で配設されている。そのため、開閉プレート442は、このスプリング445の復元力により、第1ボディ403に当接する方向に付勢されている。
開閉プレート442が第1ボディ403に当接しているときには、開閉プレート442によって燃料供給通路415の制御室420側の出口が塞がれるようになっている。これにより、開閉プレート442は、燃料供給通路415から制御室420への燃料の流入を許容する一方で、制御室420から燃料供給通路415への燃料の逆流を抑制する逆止弁として機能する。
なお、開閉プレート442には貫通孔が設けられており、開閉プレート442が第1ボディ403に当接しているときには、制御室420内から開閉プレート442を通過してリーク通路440に燃料が流れ込む。
第2ボディ404には、リーク通路440を塞ぐ制御弁450が収容されている。制御弁450の先端は連通空間449内に突出しており、制御弁450は先端が第1ボディ403に当接してリーク通路440を塞ぐようにスプリング452によって付勢されている。また、第2ボディ404には制御弁450をスプリング452の付勢力に抗して引き寄せ、第1ボディ403から離間させるソレノイド451が設けられている。ソレノイド451は制御装置500と接続されており、制御装置500はこのソレノイド451に通電することによって制御弁450をリフトさせ、開弁させる。すなわち、制御装置500は制御弁450を制御する。
図14に示すように、制御弁450がリーク通路440を塞いでおり、閉弁しているときには、燃料供給通路415を通じて導入された燃料が制御室420から排出されなくなる。燃料供給通路415は収容空間401と制御室420の双方に連通しているため、このときには収容空間401内の燃料の圧力と制御室420内の燃料の圧力がほぼ等しくなる。しかし、ニードル弁430にはスプリング409及びスプリング445による付勢力が作用しているため、このときには、ニードル弁430はシート面413に着座した状態になる。その結果、燃料噴射孔410がニードル弁430によって塞がれた状態になり、燃料は噴射されずに収容空間401内に溜まった状態になる。すなわち、ソレノイド451に通電がされておらず、制御弁450が閉弁されているときには、燃料は噴射されない。
一方で、図15や図16に示すように、制御装置500を通じてソレノイド451に通電がなされると、制御弁450が開弁し、リーク通路440と連通空間449とが連通する。このように制御弁450が開弁しているときには、リーク通路440を通じて制御室420内の燃料が排出される。制御室420内の燃料がリーク通路440を通じて連通空間449に排出され、更にリターン通路28を通じて排出されると、制御室420内の燃料の圧力が低下する。そのため、収容空間401内の燃料の圧力によって生じるニードル弁430を開弁させる方向に付勢する力の大きさが、スプリング409及びスプリング445による付勢力と制御室420内の燃料の圧力とによって生じるニードル弁430を閉弁させる方向に付勢する力の大きさよりも大きくなり、ニードル弁430が開弁する。その結果、燃料噴射孔410と収容空間401とが連通した状態になり、燃料が燃料噴射孔410を通じて噴射されるようになる。すなわち、ソレノイド451に通電がされて制御弁450が開弁されているときには、ニードル弁430が開弁され、燃料が噴射される。
ところで、図15に示すように、制御弁450が開弁しているときにカム駆動ロッド472がカム471の領域AR4以外の領域に当接しており、カム駆動ロッド472のリフト量が「0」である場合には、カム駆動ロッド472のテーパ面475と対向面441との隙間が最も狭い状態になっている。
一方で、図16に示すように、制御弁450が開弁しているときにカム駆動ロッド472がカム471の領域AR4に当接しており、カム駆動ロッド472がリフトし、スプリング474の付勢力によって対向面441から離間した位置に保持されている場合には、カム駆動ロッド472のテーパ面475と対向面441との隙間が広くなる。
このように燃料噴射装置400では、カム471の作用によって変位するカム駆動ロッド472の位置、すなわちリフト量に応じて、絞りとして作用するテーパ面475と対向面441との隙間の大きさが変化し、リーク通路440の抵抗が変化するようになっている。すなわち、テーパ面475と対向面441との隙間が狭い場合にはリーク通路440の抵抗が大きくなり、テーパ面475と対向面441との隙間が広い場合にはリーク通路440の抵抗が小さくなる。そして、リーク通路440の抵抗が変化することによって制御室420内からリーク通路440を通じて排出される燃料の流量が変化すると、ニードル弁430が開弁する際のニードル弁430のリフト速度が変化することになる。
要するに、この燃料噴射装置400では、カム駆動ロッド472を変位させることによりリーク通路440の抵抗を変化させることができるようになっており、リーク通路440の抵抗を変更することによりニードル弁430のリフト速度を変更することができるようになっている。すなわち、燃料噴射装置400では、カム471と、カム駆動ロッド472とによってリフト速度変更機構470を構成している。なお、このリフト速度変更機構470では、カム471によって駆動されるカム駆動ロッド472が被駆動部材に相当する。
次に第4の実施形態の燃料噴射装置400の作用について、図17を参照して説明する。
図17に示すように、燃料噴射装置400では、カム駆動ロッド472が圧縮行程の後半でリフトし始め、圧縮上死点(図17におけるTDC)では最もリフト量が大きな状態になる一方、膨張行程の後半から降下し始めて排気行程が始まるときにはリフト量が「0」の状態になるようにカム471のカムプロフィールが設定されている。
テーパ面475と対向面441との隙間は、上述したようにカム駆動ロッド472の変位に連動して変化するため、隙間の大きさは、圧縮行程の後半で広くなり、圧縮上死点(図17におけるTDC)では最も広い状態になっている一方、膨張行程の途中から狭くなり始めて排気行程が始まるまでには最も狭い状態になる。
また、燃料噴射装置400では、メイン噴射に加えて、メイン噴射に先立って行うパイロット噴射、燃焼が終了した後に行うポスト噴射が実施される。
図17に示すように、圧縮行程の前半において制御弁450が開弁されると、ニードル弁430が開弁し、パイロット噴射が実行される。このときには、カム駆動ロッド472がリフトされておらず隙間が狭い状態になっているため、ニードル弁430のリフト速度は隙間が広くなっているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁430は低速開弁される。そして、ニードル弁130の開弁に伴って燃料噴射が開始されると、燃料噴射率が図17の下段に示すように変化する。
これに対して、圧縮行程の後半から圧縮上死点(図17におけるTDC)を超えるまでの期間において制御弁450が開弁されると、それに伴ってニードル弁430が開弁し、メイン噴射が実行される。このときには、カム駆動ロッド472がリフトされているため、ニードル弁430のリフト速度はカム駆動ロッド472リフトされていないときよりも速くなる。すなわち、このときにはニードル弁430は高速開弁される。
なお、図17にはニードル弁430が開弁する際のニードル弁430のリフト量の変化の傾きを破線で示している。この破線の傾きはニードル弁430が開弁する際のリフト速度を表している。
こうしてニードル弁430が高速開弁するときにもニードル弁430の開弁に伴って燃料噴射が実行されるが、このときにはニードル弁430の開弁速度が速いため低速開弁された場合よりも速やかに燃料噴射率が高くなり、高い貫徹力で燃料が噴射される。
また、排気行程の前半において制御弁450が開弁されると、ニードル弁430が開弁し、ポスト噴射が実行される。このときには、カム駆動ロッド472がリフトされていないため、ニードル弁430のリフト速度はカム駆動ロッド472がリフトされているときよりも遅くなる。すなわち、このときにはニードル弁430は低速開弁される。そのため、このときには、燃料噴射率の変化の態様はパイロット噴射の場合の燃料噴射率の変化の態様と同様になる。
なお、メイン噴射に加えて、パイロット噴射とポスト噴射を行う場合を例に説明を行ったが、内燃機関10の運転状態によってはパイロット噴射やポスト噴射を行わない場合もある。制御装置500は、ソレノイド451に対する通電を制御することにより、内燃機関10の運転状態にあわせてパイロット噴射、メイン噴射、ポスト噴射の各噴射の実行態様を制御する。
以上説明した第4の実施形態の燃料噴射装置400によれば、以下の(1)〜(4)の効果が得られるようになる。
(1)燃料噴射装置400では、ニードル弁430が開弁する際のリフト速度は制御弁450を開弁したときの制御室420内の燃料の圧力の低下速度に応じて変化する。そして、ニードル弁430のリフト速度はリーク通路440における抵抗の大きさに応じて変化する。燃料噴射装置400では、内燃機関10のクランクシャフトの回転に連動して回転するカム471によって駆動されるカム駆動ロッド472の変位に応じてリーク通路440における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構470を設けている。そのため、カム471の回転に連動してカムプロフィールに応じてリーク通路440における抵抗が変化する。そのため、制御装置500が実行する制御に変更を加えなくても、カムプロフィールの設定によってニードル弁430のリフト速度を所望の態様で変化させることができる。したがって、リーク通路440における抵抗を変化させるための制御の追加や変更を必要とせずに、ニードル弁430のリフト速度の変更を実現することができる。
(2)燃料噴射装置400では、パイロット噴射を実行する際にはニードル弁430が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着や、燃焼不良によるHCの発生や、メイン噴射におけるNOxの低減効果の低下を抑制することができる。
(3)燃料噴射装置400では、メイン噴射を実行する際にはニードル弁430が高速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率が速やかに上昇し、燃料の噴出速度が高くなり、燃料噴霧の微細化と、燃料と空気との混合が促進され、煤の発生が抑制される。
(4)燃料噴射装置400では、ポスト噴射を実行する際にはニードル弁430が低速開弁されるようになる。そのため、燃料噴射率の上昇が抑制され、燃料噴霧の貫徹力が抑制されるとともに、燃料噴霧の拡散が抑制されるようになる。したがって、ボアやピストンへの燃料の付着を抑制することができる。ひいてはボアに付着した燃料がエンジンオイルに混入しピストンの潤滑性を悪化させてしまうことなどを抑制することができる。
その他、上記各実施形態に共通して変更可能な要素としては次のようなものがある。
・上記各実施形態の燃料噴射装置では、噴孔の数を2つにしている例を示したが、噴孔の数は2つに限らず、適宜変更することができる。
・カムを排気カムシャフト17に連結している例を示したが、カムは内燃機関10の出力軸の回転と連動するようになっていればよく、必ずしも排気カムシャフト17に連結しなくてもよい。例えばカムを吸気カムシャフト16に連結するようにしてもよい。
・ディーゼルエンジンに搭載される燃料噴射装置を例示したが、ディーゼルエンジンに限らず、他の内燃機関に搭載される燃料噴射装置に同様の構成を適用することもできる。例えば、ガソリンエンジンに搭載される燃料噴射装置に同様の構成を適用することもできる。
・メイン噴射を行う際にニードル弁を高速開弁させる一方、パイロット噴射やポスト噴射を行う際にニードル弁を低速開弁させる例を示したが、必ずしもこうした態様でニードル弁の開弁速度を変更する必要はない。カムによって駆動される被駆動部材の変位に応じてリーク通路の抵抗を変更するリフト速度変更機構を採用すれば、リーク通路における抵抗を変化させるための制御の追加や変更を必要とせずに、ニードル弁のリフト速度の変更を実現することができるという上記の(1)と同様の共通の効果を得ることができる。
10…内燃機関、100…燃料噴射装置、110…燃料噴射孔、120…制御室、130…ニードル弁、140…リーク通路、150…制御弁、170…リフト速度変更機構、171…カム、172…カム駆動弁、200…燃料噴射装置、210…燃料噴射孔、220…制御室、230…ニードル弁、240…リーク通路、250…制御弁、270…リフト速度変更機構、271…カム、272…カム駆動弁、300…燃料噴射装置、310…燃料噴射孔、320…制御室、330…ニードル弁、340…リーク通路、350…制御弁、370…リフト速度変更機構、371…カム、373…カム駆動ピストン、400…燃料噴射装置、410…燃料噴射孔、420…制御室、430…ニードル弁、440…リーク通路、450…制御弁、470…リフト速度変更機構、471…カム、472…カム駆動ロッド、500…制御装置。

Claims (1)

  1. 燃料噴射孔と、燃料が導入される制御室と、前記制御室内の燃料の圧力を利用して前記燃料噴射孔を塞ぐニードル弁と、前記制御室から燃料を排出するリーク通路と、前記リーク通路を塞ぐ制御弁と、前記制御弁を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御弁を開弁させて前記リーク通路を通じて前記制御室内の燃料を排出して前記制御室内の燃料の圧力を低下させることによって前記ニードル弁を開弁させて前記燃料噴射孔から燃料を噴射させる内燃機関の燃料噴射装置において、
    前記内燃機関の出力軸の回転に連動して回転するカムと、同カムによって駆動される被駆動部材とを有し、同被駆動部材の変位に応じて前記リーク通路における抵抗の大きさを変化させるリフト速度変更機構を備えた
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射装置。
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