JP2017001881A - フィルム捲回体並びにその製造方法及び検定方法 - Google Patents

フィルム捲回体並びにその製造方法及び検定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルム捲回体の外周面における幅方向の傾斜を抑制する。
【解決手段】捲回体(10)は、Y軸負方向側がY軸正方向側よりも肉厚の薄い外側円筒部(81)と、外側円筒部(81)の外周面(s)に捲回され、Y軸負方向側がY軸正方向側よりも膜厚の厚いスリットセパレータ(9)とを備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、フィルムを所定の部材に捲回した捲回体並びにその製造方法及び検定方法に関する。
特許文献1は、巻芯(以下、「コア」という。)にポリオレフィン製微多孔膜(以下、「微多孔フィルム」という。)を捲回した捲回物(以下、「捲回体」という。)に関する技術を開示している。この特許文献1に開示の技術では、捲回体の外径、コアの外径、及びコアに捲回した微多孔フィルムの長さから算出した微多孔フィルムの膜厚と、微多孔フィルムの実際の膜厚との差の絶対値を所定値以下となるように、コアに微多孔フィルムを捲回することとしている。これにより、捲回体において微多孔フィルムが緩まずかつ過度に締まらないとされている。
国際公開WO2008/013114号公報(2008年1月31日公開)
上記のような微多孔フィルムは、幅の広い原反フィルムを作成し、それを長手方向にスリットすることにより所定幅のスリットフィルムを複数得ることにより形成するのが一般的である。そして、上記原反フィルムは、幅方向における膜厚分布を有することがある。なお、「幅方向」とは、スリットフィルムの長手方向と厚み方向とに垂直な方向を意味する。
幅方向に膜厚分布を有する原反フィルムをスリットすることによって形成された各スリットフィルムには、原反フィルムの膜厚分布の一部分が反映されることになる。原反フィルムの幅方向の膜厚分布にはうねりがあるとしても、そのうねりに対してスリットフィルムの幅が十分小さい場合には、1つのスリットフィルムの範囲内では、幅方向の膜厚が単調に変化、すなわち、幅方向の一方から他方に向けて単調増加又は単調減少することになる。
このようなスリットフィルムをコアに捲回した捲回体の外周面は、上記膜厚分布が累積されることにより、コアの中心軸に対し、幅方向の一端側から他端側に向けて比較的大きく傾斜することになる。
このように外周面が傾斜した捲回体では、製品としての見栄えが悪くなるだけでなく、膜厚の厚い側が塑性変形することがあり、電池組み立て工程において蛇行の原因となり得るなど、スリットフィルムの品質にも悪影響を及ぼしかねない。
本発明は、以上の問題に鑑み、フィルム捲回体の外周面における幅方向の傾斜を抑制したフィルム捲回体及びその製造方法、並びに、フィルム捲回体の外周面における幅方向の傾斜の抑制に利用可能なフィルム捲回体の検定方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフィルム捲回体は、一端側が他端側よりも肉厚の薄い円筒部材と、上記円筒部材の外周面に捲回され、幅方向の上記一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムとを備える。
円筒部材は、フィルムを捲回されると弾性で内側に曲がる。
上記構成によれば、円筒部材の一端側は、他端側よりも薄いため剛性が低い。円筒部材は、この剛性が低い一端側において、他端側よりも大きく内側に曲がる。そして、フィルムの厚い部位が、この大きく内側に曲がる一端側に捲回されているため、外周面における幅方向の傾斜が抑制される。
なお、上記「一端」及び「他端」は、上記円筒部材の中心軸方向における一方の端部及び他方の端部を指している。
また、上記円筒部材の材質は、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニール樹脂のいずれかを含んでよい。
上記円筒部材は、金型を利用することで樹脂成型によって製造することができる。このとき、金型に一端側が他端側よりも薄い形状を採用することで、円筒部材の一端側を他端側よりも薄く樹脂成型することができる。
また、上記フィルムは、上記円筒部材の中心軸が延びる方向へ延伸された多孔質フィルムであってよい。
一般的なフィルムは、幅方向に平坦ではない膜厚分布を有する。中でも、多孔質フィルムの膜厚分布は、無孔膜に比べて大きく、特に、幅方向へ延伸されて製造される多孔質フィルムの膜厚分布は幅方向に大きい。
上記構成によれば、フィルムが延伸されているため、フィルムの膜厚分布は、巻きつけられる円筒の片側に偏る。この膜厚分布の偏りを利用し、確実に円筒部材の厚みとフィルムの厚みとを対応付け、円筒部材にフィルムを捲回することができる。
また、本発明の一態様に係るフィルム捲回体は、上記円筒部材の外周面をその内側から支持する互いに間隔をあけ配された複数の支持部材をさらに備えていてもよい。
上記構成によれば、支持部材がない場合と比較して外周面にフィルムを強く捲回できる。また、外周面の支持部材間の部位で、円筒部材の一端側は、他端側よりも大きく内側に曲がる。よって、フィルムの捲回ずれを抑制でき、かつ、外周面における幅方向の傾斜を抑制できる。
また、本発明の一態様に係るフィルム捲回体は、円筒状の外周面を有するとともに、当該外周面に対してその周長を縮める方向の力を加えたときに、一端側の周長が他端側の周長よりも短くなるコアと、上記コアの外周面に捲回され、幅方向の上記一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムとを備える。
また、本発明の一態様に係るフィルム捲回体は、外周面にフィルムを捲回するためのコアと、上記コアの外周面に捲回され、幅方向の一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムとを備え、上記コアの外周面は、上記一端側の周長が上記他端側の周長よりも短い。
上記構成によれば、上記一端側では他端側に対して、捲回されているフィルムの膜厚は厚く、コアの外周面の周長は短くなっている。そのため、これらが相殺しあう結果、フィルムの膜厚差によって生じる捲回体の外周面の傾斜が抑制されることになる。
また、本発明の一態様に係るフィルム捲回体は、捲回された上記フィルムの上記一端側の外径をD1とし、捲回された上記フィルムの上記他端側の外径をD2とし、上記フィルムの幅をWとしたとき、|D1−D2|/W≦6を満たす好ましい。
上記の構成によれば、フィルムが塑性変形することによるフィルムの曲がり量を、小さくすることができる。
また、本発明の一態様に係るフィルム捲回体の製造方法は、一端側が他端側よりも肉厚の薄い円筒部材の向きを特定する工程と、上記円筒部材の外周面に、幅方向の上記一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムを捲回する工程とを含む。
また、本発明の一態様に係るフィルム捲回体の検定方法は、フィルムを捲回された円筒部材を備えたフィルム捲回体の検定方法であって、上記フィルム捲回体の外周面における上記円筒部材の中心軸が延びる方向の傾きを特定する工程と、特定された上記傾きに基づき、上記フィルム捲回体が良品であるか否かを判定する工程とを含む。
フィルム捲回体に捲回されたフィルムは、フィルム捲回体から巻き出された後、二次製品に加工される。このとき、フィルム捲回体から巻き出されたフィルムの曲り量は、小さいことが好ましい。
発明者らは、フィルム捲回体の外周面における円筒部材の中心軸が延びる方向の傾きと、フィルム捲回体から巻き出されたフィルムの曲り量とが相関することを見出した。
上記構成によれば、この傾きに基づき、フィルム捲回体からフィルムを巻き出さずに、フィルム捲回体の良否を検定できる。
また、フィルム捲回体からスリットセパレータを巻き出し、巻き出された方向に対する曲り量を測定することは、煩雑であることが多い。さらに、スリットセパレータの巻き出し条件及び曲り量の測定条件は変化し易いため、測定された曲り量は、ばらつくことが多い。しかし、上述の傾きを特定することにより、曲り量を測定せずに、簡単にフィルム捲回体の良否を検定できる。
本発明の各態様に基づけば、フィルム捲回体の外周面における幅方向の傾斜が抑制される。また、このフィルム捲回体を製造できる。また、フィルム捲回体の良否を検定できる。
リチウムイオン二次電池の断面構成を示す模式図である。 図1に示されるリチウムイオン二次電池の詳細構成を示す模式図である。 図1に示されるリチウムイオン二次電池の他の構成を示す模式図である。 セパレータをスリットするスリット装置の構成を示す模式図である。 図4に示されるスリット装置の切断装置の構成を示す側面図・正面図である。 実施形態1の捲回体のコアの構成を示す正面図・断面図である。 図6に示されるコアの外径の測定方法を説明するための正面図・模式図である。 図6に示されるコアにスリットセパレータを捲回した捲回体の構成を示す断面図である。 図8に示される捲回体からスリットセパレータを巻き出したときの、スリットセパレータの状態を示す上面図である。 実施形態2の捲回体の検定方法を説明するための模式図である。 図10により説明される検定方法における傾きと曲り量との相関を示すグラフである。 図11に示される相関に基づく捲回体の検定方法を示すフローチャートである。 実施形態3の捲回体の製造方法を示すフローチャートである。 実施形態4で使用されるコアの構成を表す図である。 実施形態4のコアにスリットセパレータを捲回した捲回体の構成を示す断面図である。 曲がり量と傾き指標との関係を表したグラフである。
以下では、本発明の捲回体として、コアにリチウムイオン二次電池用セパレータを捲回したものを想定して説明する。そこで、まずは、リチウムイオン二次電池、セパレータ、耐熱セパレータ、耐熱セパレータの製造方法、スリット装置、切断装置について順に説明する。
(リチウムイオン二次電池)
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、それゆえ、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器、自動車、航空機等の移動体に用いる電池として、また、電力の安定供給に資する定置用電池として広く使用されている。
図1は、リチウムイオン二次電池1の断面構成を示す模式図である。
図1に示されるように、リチウムイオン二次電池1は、カソード11と、セパレータ12(フィルム)と、アノード13とを備える。リチウムイオン二次電池1の外部において、カソード11とアノード13との間に、外部機器2が接続される。そして、リチウムイオン二次電池1の充電時には方向Aへ、放電時には方向Bへ、電子が移動する。
(セパレータ)
セパレータ12は、リチウムイオン二次電池1の正極であるカソード11と、その負極であるアノード13との間に、これらに挟持されるように配置される。セパレータ12は、カソード11とアノード13との間を分離しつつ、これらの間におけるリチウムイオンの移動を可能にする多孔質フィルムである。セパレータ12は、その材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを含む。
図2は、図1に示されるリチウムイオン二次電池1の詳細構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が昇温したときの様子を示し、(c)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
図2の(a)に示されるように、セパレータ12には、多数の孔Pが設けられている。通常、リチウムイオン二次電池1のリチウムイオン3は、孔Pを介し往来できる。
ここで、例えば、リチウムイオン二次電池1の過充電、又は、外部機器の短絡に起因する大電流等により、リチウムイオン二次電池1は、昇温することがある。この場合、図2の(b)に示されるように、セパレータ12が融解又は柔軟化し、孔Pが閉塞する。そして、セパレータ12は収縮する。これにより、リチウムイオン3の往来が停止するため、上述の昇温も停止する。
しかし、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温する場合、セパレータ12は、急激に収縮する。この場合、図2の(c)に示されるように、セパレータ12は、破壊されることがある。そして、リチウムイオン3が、破壊されたセパレータ12から漏れ出すため、リチウムイオン3の往来は停止しない。ゆえに、昇温は継続する。
(耐熱セパレータ)
図3は、図1に示されるリチウムイオン二次電池1の他の構成を示す模式図であって、(a)は通常の構成を示し、(b)はリチウムイオン二次電池1が急激に昇温したときの様子を示す。
図3の(a)に示されるように、セパレータ12は、多孔質フィルム5と、耐熱層4とを備える耐熱セパレータであってもよい。耐熱層4は、多孔質フィルム5のカソード11側の片面に積層されている。なお、耐熱層4は、多孔質フィルム5のアノード13側の片面に積層されてもよいし、多孔質フィルム5の両面に積層されてもよい。そして、耐熱層4にも、孔Pと同様の孔が設けられている。通常、リチウムイオン3は、孔Pと耐熱層4の孔とを介し往来する。耐熱層4は、その材料として、例えば全芳香族ポリアミド(アラミド樹脂)を含む。
図3の(b)に示されるように、リチウムイオン二次電池1が急激に昇温し、多孔質フィルム5が融解又は柔軟化しても、耐熱層4が多孔質フィルム5を補助しているため、多孔質フィルム5の形状は維持される。ゆえに、多孔質フィルム5が融解又は柔軟化し、孔Pが閉塞するにとどまる。これにより、リチウムイオン3の往来が停止するため、上述の過放電又は過充電も停止する。このように、セパレータ12の破壊が抑制される。
(セパレータ・耐熱セパレータの製造工程)
リチウムイオン二次電池1のセパレータ及び耐熱セパレータの製造は特に限定されるものではなく、公知の方法を利用して行うことができる。以下では、多孔質フィルム5がその材料として主にポリエチレンを含む場合を仮定して説明する。しかし、多孔質フィルム5が他の材料を含む場合でも、同様の製造工程により、セパレータ12(耐熱セパレータ)を製造できる。
例えば、熱可塑性樹脂に無機充填剤又は可塑剤を加えてフィルム成形した後、該無機充填剤及び該可塑剤を適当な溶媒で洗浄除去する方法が挙げられる。例えば、多孔質フィルム5が、超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン樹脂から形成されてなるポリオレフィンセパレータである場合には、以下に示すような方法により製造することができる。
この方法は、(1)超高分子量ポリエチレンと、無機充填剤(例えば、炭酸カルシウム、シリカ)、又は可塑剤(例えば、低分子量ポリオレフィン、流動パラフィン)とを混練してポリエチレン樹脂組成物を得る混練工程、(2)ポリエチレン樹脂組成物を用いてフィルムを成形する圧延工程、(3)工程(2)で得られたフィルム中から無機充填剤又は可塑剤を除去する除去工程、及び、(4)工程(3)で得られたフィルムを延伸して多孔質フィルム5を得る延伸工程を含む。なお、前記工程(4)を、前記工程(2)と(3)との間で行なうこともできる。
除去工程によって、フィルム中に多数の微細孔が設けられる。延伸工程によって延伸されたフィルムの微細孔は、上述の孔Pとなる。これにより、所定の厚さと透気度とを有するポリエチレン微多孔膜である多孔質フィルム5(耐熱層を有しないセパレータ12)が得られる。
なお、混練工程において、超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、無機充填剤100〜400重量部とを混練してもよい。
その後、塗工工程において、多孔質フィルム5の表面に耐熱層4を形成する。例えば、多孔質フィルム5に、アラミド/NMP(N−メチル−ピロリドン)溶液(塗工液)を塗布し、アラミド耐熱層である耐熱層4を形成する。耐熱層4は、多孔質フィルム5の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。また、耐熱層4として、アルミナ/カルボキシメチルセルロース等のフィラーを含む混合液を塗工してもよい。
また、塗工工程において、多孔質フィルム5の表面に、ポリフッ化ビニリデン/ジメチルアセトアミド溶液(塗工液)を塗布(塗布工程)し、それを凝固(凝固工程)させることにより多孔質フィルム5の表面に接着層を形成することもできる。接着層は、多孔質フィルム5の片面だけに設けられても、両面に設けられてもよい。
塗工液を多孔質フィルム5に塗工する方法は、均一にウェットコーティングできる方法であれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。耐熱層4の厚さは塗工ウェット膜の厚み、塗工液中の固形分濃度によって制御することができる。
なお、塗工する際にポリオレフィン基材多孔質フィルムを固定あるいは搬送する支持体としては、樹脂製のフィルム、金属製のベルト、ドラム等を用いることができる。
以上のように、多孔質フィルム5に耐熱層4が積層されたセパレータ12(耐熱セパレータ)を製造できる。製造されたセパレータは、円筒形状のコアに巻き取られる。なお、以上の製造方法で製造される対象は、耐熱セパレータに限定されない。この製造方法は、塗工工程を含まなくてもよい。この場合、製造される対象は、耐熱層を有しないセパレータである。
製造されたスリット前セパレータ(原反フィルム)の幅方向の厚みは、接触式又は非接触式の公知の方法によって測定できる。製品を傷つける恐れが無い非接触式の膜厚測定方法が好ましい。セパレータ幅方向の厚みを連続的に測定する方法としては、測定機が往復移動するトラバース式、検査機を幅一面に並べる方式のいずれでもよい。原反フィルムの幅方向の厚みの測定結果に基いて、スリットされた後のセパレータの膜厚の傾きを予測することができる。
(スリット装置)
耐熱セパレータ又は耐熱層を有しないセパレータ(以下「セパレータ」)は、リチウムイオン二次電池1などの応用製品に適した幅(以下「製品幅」)であることが好ましい。しかし、生産性を上げるために、セパレータは、その幅が製品幅以上となるように製造される。そして、一旦製造された後に、セパレータは、製品幅に切断(スリット)される。
なお、「セパレータの幅」とは、セパレータが延びる平面に対し平行であり、かつ、セパレータの長手方向に対し垂直である方向の、セパレータの長さを意味する。以下では、スリットされる前の幅広のセパレータを「原反」と称し、スリットされたセパレータを特に「スリットセパレータ」と称する。また、スリットとは、セパレータを長手方向(製造におけるフィルムの流れ方向、MD:Machine direction)に沿って切断することを意味し、カットとは、セパレータを横断方向(TD:transverse direction)に沿って切断することを意味する。横断方向(TD)とは、セパレータが延びる平面に対し平行であり、かつ、セパレータの長手方向(MD)に対し略垂直である方向を意味する。
図4は、セパレータをスリットするスリット装置6の構成を示す模式図であって、(a)は全体の構成を示し、(b)は原反をスリットする前後の構成を示す。
図4の(a)に示されるように、スリット装置6は、回転可能に支持された円柱形状の、巻出ローラー61と、ローラー62〜69と、複数の巻取ローラー70U・70Lとを備える。スリット装置6には、後述する切断装置7がさらに設けられている。
(スリット前)
スリット装置6では、原反を巻きつけた円筒形状のコアcが、巻出ローラー61に嵌められている。図4の(b)に示されるように、原反は、コアcから経路U又はLへ巻き出される。巻き出された原反は、ローラー63〜67を経由し、ローラー68へ搬送される。搬送される工程において原反は、複数のセパレータにスリットされる。なお、原反を所望の軌道で搬送するために、ローラー62〜69の数及び配置を変更してもよい。
(スリット後)
図4の(b)に示されるように、複数のスリットセパレータの一部は、それぞれ、巻取ローラー70Uに嵌められた円筒形状の各コアu(ボビン)へ巻き取られる。また、複数のスリットセパレータの他の一部は、それぞれ、巻取ローラー70Lに嵌められた円筒形状の各コアl(ボビン)へ巻き取られる。なお、ロール状に巻き取られたスリットセパレータ及びコアu・lの一体物を「捲回体」と称する。
(切断装置)
図5は、図4の(a)に示されるスリット装置6の切断装置7の構成を示す図であって、(a)は切断装置7の側面図であり、(b)は切断装置7の正面図である。
図5の(a)(b)に示されるように、切断装置7は、ホルダー71と、刃72とを備える。ホルダー71は、スリット装置6に備えられている筐体などに固定されている。そして、ホルダー71は、刃72と搬送されるセパレータ原反との位置関係が固定されるように、刃72を保持している。刃72は、鋭く研がれたエッジによってセパレータの原反をスリットする。
〔実施形態1〕
本発明の第一実施形態を図6〜図9に基づいて説明する。
≪捲回体の構成≫
捲回体は、原反を長手方向に切断したスリットセパレータ(フィルム)をコアに捲回したものである。後述する本実施形態の捲回体10(図8)の表面は、コア8の変形及びスリットセパレータ9(フィルム)の厚みを考慮して、コア8にスリットセパレータ9を捲回することにより、スリットセパレータ9の外周面tにおける幅方向の傾斜を抑制することができる。以下では、捲回体10の構成を順に説明する。
(コア)
図6は、本実施形態の捲回体10のコア8の構成を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は(a)のA−A断面を示す断面図であり、(c)はコア8の製造方法を示す(b)に対応する断面図であり、(d)〜(e)は(b)の範囲Eの他の構成を示す断面図である。なお、図6の(a)に示されるXYZ軸は、図6の(a)以外の図に示されるXYZ軸に対応している。
図6の(a)に示されるように、コア8は、外側円筒部81(円筒部材)と、内側円筒部82と、リブ831〜838とを備える。
外側円筒部81は、その外周面sにスリットセパレータを捲回するための剛性と弾性を有する円筒部材である。内側円筒部82は、その内周面に巻取ローラーを嵌めるための円筒部材である。リブ831〜838(支持部材)は、外側円筒部81の内周面と、内側円筒部82の外周面との間に延び、外側円筒部81を内側から支持する互いに間隔をあけ配された支持部材である。
図6の(b)に示されるように、外側円筒部81のY軸負方向側(一端側)の厚み(肉厚)は、Y軸正方向側(他端側)の厚みよりも小さい。
なお、外側円筒部81の中心軸CAは、Y軸方向に延びている。また、外側円筒部81の中心軸CAと、内側円筒部82の中心軸とは、一致している。
(コアの成型方法)
図6の(c)に示されるように、コア8は、金型Da・Dbを利用した樹脂成型により製造される。金型Daの金型Dbに対向する面には、外側円筒部81、内側円筒部82、及びリブ831〜838に対応する溝部d・eが設けられている。この樹脂成型では、外側円筒部81・内側円筒部82の材質として、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニール樹脂のいずれかを含む樹脂を利用する。
溝部d・eはその深部ほど細い。このような形状とすることにより、成型するコア8の外側円筒部81の厚みを、Y軸負方向側(金型Daが配された側)で小さく、Y軸正方向側(金型Dbが配された側)では大きくすることができる。つまり、外側円筒部81の厚み分布を、Y軸方向に単調に傾斜させることができる。このとき、外側円筒部81の厚みが大きい部位で、その剛性を高くすることができ、外側円筒部81の厚みが小さい部位では、相対的にその剛性を低くすることができる。
溝部dから抜き取った後の外側円筒部81の外周面sは、中心軸CAと平行になるように加工される。溝部eから抜き取った内側円筒部82の内周面についても同様である。
なお、図6の(d)に示されるように、外側円筒部81の厚み分布は、Y軸方向に傾斜しないこともある。また、図6の(e)に示されるように、この厚み分布は、Y軸方向に単調には傾斜しないこともある。
(コアの外径)
図7は、図6の(a)に示されるコア8の外径の測定方法を説明するための図であり、(a)は図6の(a)の範囲Cを示す正面図であり、(b)はこの外径を測定している様子を示す模式図である。
図7の(a)に示されるように、外側円筒部81の片面には、印Sが付与されている。印Sは、金型を利用してコア8を樹脂成型するときにその金型とともに用いる治具(例えば、金型を位置決めするためのガイドピン)の跡形であり、外側円筒部81の片面に付与されている。なお、印Sは、製造ロット等のコアを識別するための表示であってもよい。外側円筒部81の厚みの差が僅かである場合には、厚みが大きい側を目視で判別することは困難であるが、印Sの有無によって判別することができる。
以下では、外側円筒部81のY軸正方向側の一面を「基準面」と称する。また、外側円筒部81のY軸負方向側の一面を「裏面」と称する。
図7の(b)に示されるように、外側円筒部81の片面側から例えばノギスMを接触させ、外側円筒部81の直径(以下「外径」)を測定する。
Figure 2017001881
表1は、上述の測定方法により測定されたコア8の外径を示す。表1に示されるように、3個のコア8のサンプル1〜3について、外径を測定した。なお、サンプル1〜3は、後述する表2〜4とも共通している。また、各サンプルの、基準面と裏面とについて、外径を測定した。「差」という項目は、基準面の外径から裏面の外径を引いた値(以下「外径差」)である。また、各面の8点について、外径を測定した。
「測定点」という項目の「831」は、図6の(a)に示されるリブ831の位置における外径に関する値であることを示す。この項目の「831a」は、リブ831とリブ832とに対し等距離である位置における外径に関する値であることを示す。「測定点」の他の項目についても同様である。8点の測定点についての外径差の平均値は、−0.02mm以上−0.01mm以下程度である。
また、この外径差は、−0.04mm以上0.03mm以下の範囲に含まれている。つまり、外径差の絶対値は、0.04mm以下である。ここで、スリットセパレータの膜厚が例えば16μmであるとき、外径差の絶対値は、このスリットセパレータに換算し3枚分未満である。コア8にはスリットセパレータを数百〜数万回捲回するため、スリットセパレータに換算し3枚分程度の差であれば、外径差はないものと扱える。
(コアの厚み)
上述の測定方法と同様に、例えば、外側円筒部81を厚み方向に挟むようにコア8の片面側からノギスMを接触させ、外側円筒部81の厚み(以下「肉厚」)を測定する。
Figure 2017001881
表2は、図7の(b)に示される測定方法と同様の方法により測定された肉厚を示す。表2に示されるように、3個のコア8のサンプル1〜3について、肉厚を測定した。また、各サンプルの、基準面と裏面とについて、肉厚を測定した。「差」という項目は、基準面の肉厚から裏面の肉厚を引いた値(以下「肉厚差」)である。また、各面の8点について、肉厚を測定した。
「測定点」という項目の「831a」は、図6の(a)に示されるリブ831とリブ832とに対し等距離である位置における肉厚に関する値であることを示す。「測定点」の他の項目についても同様である。なお、「838a」は、リブ838とリブ831とに対し等距離である位置における肉厚に関する値であることを示す。
8点の測定点についての肉厚差の平均値は、0.12mm以上0.18mm以下程度である。つまり、基準面の肉厚は、裏面の肉厚よりも大きい。また、肉厚差は、上述の外径差よりも顕著である。この肉厚差は、0.02mm以上0.34mm以下の範囲に含まれている。
(捲回体の外径)
スリットセパレータ9は、上述のコア8に例えば数百〜数万回捲回される。仮に、スリットセパレータ9の膜厚が一様に16μmであれば、捲回体10の外径は、スリットセパレータ9がコア8に1回捲回されるごとに32μm増える。このため、スリットセパレータ9の巻き始めから巻き終わりまでに、一様に3.2mm〜320mm程度増える。
しかし、スリットセパレータ9の膜厚は、幅方向に傾斜している。このため、実際の捲回体の外径は、一様に増えるわけではない。
図8は、図6の(b)に示されるコア8にスリットセパレータ9を捲回した捲回体10の構成を示す断面図であって、(a)は外側円筒部81が弾性変形しない場合の構成を示し、(b)は外側円筒部81が弾性変形する場合の構成を示し、(c)は(b)においてスリットセパレータ9の向きをY軸方向について反対にした参考例1の構成を示し、(d)は(b)において外側円筒部81の厚み分布が傾斜していない参考例2の構成を示す。
図8の(a)に示されるように、仮に外側円筒部81が弾性変形しなければ、捲回体10の表面は、傾斜せずY軸負方向側の部位aで盛り上がる。
スリットセパレータ9の膜厚分布には、原反の膜厚分布の一部分が反映される。この一部分において、この膜厚分布は単調に変化することが多い。このとき、スリットセパレータ9の厚みは、幅方向の片側で大きくなる。スリットセパレータ9をコア8に幾重にも捲回すると、スリットセパレータ9の厚い部位が何度も重なる。このため、捲回体10の片側(例えば部位a)が盛り上がる。
部位aが盛り上がるということは、部位aのスリットセパレータ9が他端に比べて巻取張力により伸ばされていることを意味する。スリットセパレータ9は可塑性を有しているため、伸ばされた状態で長時間保持すると、伸ばされた形状に塑性変形する。その結果、スリット時に原反を直線状に切り出しているにもかかわらず、コア8から巻き出したスリットセパレータ9は、図9の(c)に示されるように大きく曲がることになる。
なお、「幅方向」とは、スリットセパレータ9の長手方向と厚み方向とに略垂直な方向を意味する。また、この「幅方向」は、Y軸方向に一致する。
(外側円筒部の変形)
図8の(b)に示されるように、実際には、スリットセパレータ9を捲回した外側円筒部81は、弾性で内側に変形する。このとき、外側円筒部81の厚みが小さい部位βは、厚みが大きい部位αよりも大きく内側に弾性変形する。外側円筒部81が大きく内側に曲がる部位β側に、スリットセパレータ9の厚みが大きい部分を捲回しているため、外側円筒部81が弾性変形しない場合に起こり得るスリットセパレータ9の盛り上がりと、この外側円筒部81の弾性変形とは、打ち消し合う。以上により、図8の(b)の場合は、(a)の場合と比較して、スリットセパレータ9の外周面tの傾斜が抑制される。この傾斜抑制の原理は、以下のように説明できる。
外側円筒部81にスリットセパレータ9を捲回したときに、スリットセパレータ9の厚みが大きい部位は、図8の(a)に示される部位aのように比較的大きく盛り上がり、他の部位よりも巻取張力によって大きく伸ばされる。このため、スリットセパレータ9には、伸ばされる前の形状に戻ろうとする力が働く。その結果、スリットセパレータ9の厚みが大きい側に対応する外側円筒部81の部位には、その内側へ締め付ける力が働く。そして、コア8が弾性変形することにより、本来スリットセパレータ9が伸ばされるときの変形量が吸収され、スリットセパレータ9の塑性変形が生じにくくなる。
なお、この弾性変形は、円筒状である、コア8の外側円筒部81の外周面sに対して、その周長を縮める方向の力を加えたときに、一端側の周長が他端側の周長よりも小さくなると言い換えることができる。
また、コア8は、スリットセパレータ9の捲回に繰り返し利用される。そして、製造された直後の新しいコア8と、繰り返し利用された後の古いコア8とでは、外側円筒部81の変形量は変化し得る。しかし、外側円筒部81が弾性変形する範囲において、コア8が利用されるのであれば、この変化は少ないと扱ってよい。
また、外側円筒部81の外径及び肉厚の測定値は、上述の基準面と裏面とで異なることに加え、外側円筒部81の同一面(基準面及び裏面のいずれか一方)においても、測定点ごとに異なる。この原因は、コア8の製造工程における外側円筒部81の固定方法及び/又は加工方法にあると考えられる。しかし、スリットセパレータ9は、外側円筒部81の全周に捲回されるため、上述の同一面の異なる位置における複数の測定値の平均値は、図8の(b)に示されるコア8の形状を反映したものになると扱ってよい。
(参考例1)
図8の(c)の構成では、(b)の構成に対して、スリットセパレータ9の向きが、Y軸方向について反対になっている。そして、スリットセパレータ9の厚みが大きい部位は、外側円筒部81の厚みが大きい部位α側に捲回されている。上述のとおり、スリットセパレータ9の厚みが大きい側に対応する外側円筒部81の部位には、その内側へ締め付ける力が働く。しかし、外側円筒部81の厚みが大きい部位α側は、厚みが小さい部位β側に比べて弾性変形が小さくなるため、スリットセパレータ9が塑性変形せざるを得なくなる。つまり、コア8が弾性変形せず、スリットセパレータ9が伸ばされるときの変形量が吸収されないため、スリットセパレータ9の塑性変形する。よって、コア8から巻き出したスリットセパレータ9は、図9の(b)に示されるように曲がることになる。
スリットセパレータ9の厚みが大きい部位は、厚みが小さい部位よりも強く巻き締まる。このため、外側円筒部81の部位αにおける変形量は、部位βにおける変形量よりも大きくなっている。そして、スリットセパレータ9の外周面tの傾斜が抑制される。この抑制の程度は、図8の(b)の場合と比較して小さくなる。
(参考例2)
図8の(d)の構成では、(b)の構成に対して、外側円筒部81の厚み分布が傾斜していない。外側円筒部81の厚みは、部位α側から部位β側まで均一である。ゆえに、外側円筒部81の剛性も、部位α側から部位β側まで均一である。
このときにも、スリットセパレータ9の厚みが大きい部位は、厚みが小さい部位よりも強く巻き締まる。このため、外側円筒部81の部位βにおける変形量は、部位αにおける変形量よりも大きくなっている。そして、スリットセパレータ9の外周面tの傾斜が抑制される。この抑制の程度は、外側円筒部81の強度により変化し得る。当該強度は、外側円筒部81の厚み、又は材質により変化し得る。
(変形後のコアの外径)
Figure 2017001881
表3は、スリットセパレータ9を捲回して変形した後に測定されたコア8の外径を示す。表3に示されるように、3個のコア8のサンプル1〜3について、外径を測定した。表3の項目及び数値は、表1に対応している。なお、サンプル1及び2は、図8の(b)に示される捲回体10のコア8に対応している。また、サンプル3は、図8の(c)に示される捲回体10のコア8に対応している。
表3に示されるように、サンプル1の外径差の平均値は、0.08mmである。この平均値は、平均的に基準面の外径が、裏面の外径よりも大きいことを意味する。そして、表1に示されるサンプル1の外径差の平均値は、−0.01mmである。この平均値は、平均的に基準面の外径が、裏面の外径よりも小さいことを意味する。
以上ように、コア8の変形前後で、基準面及び裏面の外径の大小関係が反対になっている。また、サンプル2についても、サンプル1と同様に、コア8の変形前後で、基準面及び裏面の外径の大小関係が反対になっている。一方、サンプル3については、コア8の変形前後で、基準面及び裏面の外径の大小関係が変化していない。
(コアの周長)
Figure 2017001881
表4は、スリットセパレータ9を捲回する前と、スリットセパレータ9を捲回した後とに測定された、コア8の周長等を示す。表4に示されるように、3個のコア8のサンプル1〜3について、周長等を測定した。また、各サンプルの、基準面と裏面とについて、周長等を測定した。
「平均厚み」とうい項目は、スリットセパレータ9の平均厚みであることを示す。「コア周長(捲回前)」という項目は、スリットセパレータ9を捲回する前のコア8の周長(外側円筒部81の周長)であることを示す。「平均肉厚」という項目は、コア8の外側円筒部81の平均的な肉厚であることを示す。「コア周長(捲回後)」という項目は、スリットセパレータ9を捲回した後のコア8の周長(外側円筒部81の周長)であることを示す。「捲回体直径」という項目は、コア8にスリットセパレータ9を捲回した後の捲回体10の直径であることを示す。「累積厚み」という項目は、コア8にスリットセパレータ9を捲回した後の外側円筒部81の外周面sと、スリットセパレータ9の外周面tとの間の長さであることを示す。つまり、この長さは、スリットセパレータ9の厚みがその捲回数分累積した厚みである。なお「平均厚み」の値は、「高精度デジタル測長機ライトマチック50A(株式会社ミツトヨ製)」を用いて測定した。「周長変化量」という項目は、スリットセパレータ9を捲回する前のコア8の周長から、スリットセパレータ9を捲回した後のコア8の周長を減算した値である。
表4に示されるように、サンプル1の「平均厚み」の値は、基準面よりも裏面で大きくなっている。サンプル1の「コア周長(捲回後)」の値は、基準面よりも裏面で小さくなっている。サンプル2についても同様である。サンプル3の「平均厚み」の値は、裏面よりも基準面で大きくなっている。サンプル3の「コア周長(捲回後)」の値は、裏面よりも基準面で小さくなっている。以上の「平均厚み」「コア周長(捲回後)」の値の関係を用いて、図8の(b)(c)に示される捲回体10を特定できる。
具体的には、外側円筒部81の外周面sにスリットセパレータ9を捲回するためのコア8と、コア8の外側円筒部81の外周面sに捲回され、一端側が他端側よりも膜厚の厚いスリットセパレータ9とを備え、コア8の外側円筒部81の外周面sは、一端側の周長が他端側の周長よりも短いことを特徴とするフィルム捲回体として、捲回体10を特定できる。これにより、図6の(b)に示されるように外側円筒部81の厚み分布がY軸方向に単調に傾斜している捲回体10だけではなく、図6の(d)に示されるように外側円筒部81の厚み分布がY軸方向に傾斜していない捲回体10や、図6の(e)に示されるようにこの厚み分布がY軸方向に単調には傾斜していない捲回体10を特定できる。図8の(d)に示される捲回体10も同様に特定できる。
≪本実施形態の効果≫
図9は、図8の(b)〜(d)に示される捲回体10とその比較例の捲回体とからスリットセパレータ9を巻き出したときの、スリットセパレータ9の状態を示す上面図であって、(a)は図8の(b)に示される捲回体10からスリットセパレータ9を巻き出したときの状態を示し、(b)は図8の(c)〜(d)に示される捲回体10からスリットセパレータ9を巻き出したときの状態を示し、(c)は(a)〜(b)の後述の比較例を示す。
図9の(a)に示されるように、図8の(b)に示される捲回体10から巻き出されたスリットセパレータ9は、ほぼ真っ直ぐに延びることが確認された。また、図9の(b)に示されるように、図8の(c)〜(d)に示される捲回体10から巻き出されたスリットセパレータ9は、図9の(a)に示されるスリットセパレータ9(破線)よりも曲がるものの、概ね真っ直ぐに延びることが確認された。
スリットセパレータ9がどの程度曲ったかということは、後述する距離h(図10)で定量化できる。図8の(b)に示される捲回体10に対応するサンプル1、2の距離hは、それぞれ、1.8mm、2.3mmである。また、図8の(c)に示される捲回体10に対応するサンプル3の距離hは、4.8mmである。これらの距離hの値は、リチウムイオン二次電池用セパレータとして許容できるものである。
(比較例)
図9の(c)に示されるように、巻き出されたスリットセパレータ9がその薄い側に大きく曲がる捲回体も存在する。この捲回体では、スリットセパレータ9の厚い部分が、伸びて変形している。コアの外側円筒部の剛性が高い捲回体ほど、スリットセパレータ9は大きく変形する傾向にある。この剛性が高ければ、外側円筒部81は、スリットセパレータ9を捲回されても、図8の(a)に示される状態から概ね変化しない。
(リチウムイオン二次電池への利用)
図1〜図3に示されるリチウムイオン二次電池1では、その内部に収まるようにスリットセパレータ9を加工して、セパレータ12として利用する。この加工において、図9の(a)〜(b)に示されるスリットセパレータ9は、図9の(c)に示されるスリットセパレータ9よりも好適である。また、図9の(a)に示されるスリットセパレータ9は、図9の(b)に示されるスリットセパレータ9よりもさらに好適である。
(その他の構成及び効果)
図4の(a)に示されるコアcに巻きつけられた原反を製造する工程(つまり、図4の(a)に示される工程の前工程)に設けた膜厚検査機により、原反の膜厚分布を測定できる。そして、スリットセパレータ9には、原反の膜厚分布が反映される。ゆえに、この測定結果を利用し、確実に外側円筒部81の厚みとスリットセパレータ9の厚みとを対応付け、外側円筒部81にスリットセパレータ9を捲回することができる。
また、スリットセパレータ9は、外側円筒部81の中心軸CAが延びる方向へ延伸された多孔質フィルムであってよい。つまり、中心軸CAは、上述のTDへ延びている。スリットセパレータ9が延伸されていれば、スリットセパレータ9の膜厚分布は、この延伸方向に偏り得る。この膜厚分布の偏りを利用し、確実に外側円筒部81の厚みとスリットセパレータ9の厚みとを対応付け、外側円筒部81にスリットセパレータ9を捲回することができる。
〔実施形態2〕
本発明の第二実施形態を図10〜図12に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。後述の実施形態においても同様に省略する。
≪捲回体の検定方法≫
上述のように、外周面が傾斜した捲回体から巻き出されたスリットセパレータは、スリットセパレータの薄い側へ曲がる。発明者らは、捲回体の外周面の傾きと、捲回体から巻き出されたスリットセパレータの曲り量とが相関することを見出した。この相関を利用することにより、以下に説明するように捲回体を検定できる。
図10は、本実施形態の捲回体10の検定方法を説明するための模式図であって、(a)はスリットセパレータ9の外周面tの傾きを説明するための正面図であり、(b)は捲回体10から巻き出されたスリットセパレータ9の曲り量を説明するための上面図である。
(捲回体の外周面の傾き)
スリットセパレータ9の外周面tの傾きは、図10の(a)に示される、捲回体10のY軸正方向側の外径ODa・Y軸負方向側の外径ODbと、スリットセパレータ9の製品幅Wと、端部幅wa・wbとにより、下式(1)のように表すことができる。
|ODb−ODa|/(W−wa−wb) ……式(1)
外径ODaは、スリットセパレータ9のY軸正方向側の端辺からY軸負方向側に端部幅waだけ離れた位置におけるスリットセパレータ9の外周面tの直径である。外径ODbは、スリットセパレータ9のY軸負方向側の端辺からY軸正方向側に端部幅wbだけ離れた位置におけるスリットセパレータ9の外周面tの直径である。これらの測定には、上述のノギスMによる測定方法の他、レーザー光による非接触な方法等、公知の測定方法を利用できる。
製品幅Wは、スリットセパレータ9のY軸方向の長さである。端部幅waは、外径ODaを正しく測定するために規定される、スリットセパレータ9のY軸方向の端部長さである。また、端部幅wbは、外径ODbを正しく測定するために規定される、スリットセパレータ9のY軸方向の端部長さである。
外径ODaは、端部幅waが小さいときに正しく測定されないことがある。また、外径ODbは、端部幅wbが小さいときに正しく測定されないことがある。これは、スリットセパレータ9のY軸方向の端辺の位置が変動することに起因する。端部幅wa・wbは、このような変動幅のうちの最大のものを越えるように規定される(例えば3mm)。
(捲回体から巻き出されたスリットセパレータの曲り量)
捲回体10から巻き出されたスリットセパレータ9の曲り量は、図10の(b)に示される距離hにより定量化される。X軸正方向に巻き出されたスリットセパレータ9は、巻き出すときに加えられた張力がなくなると、スリットセパレータ9aのようにY軸正方向側へ曲がる。距離hは、スリットセパレータ9aのY軸正方向側の端辺Laと、端辺Laの頂点pと頂点qとを結ぶ線分との間の最大距離である。
この曲り量は、捲回体10から巻き出されたスリットセパレータ9の長さLが長くなれば大きくなる傾向にある。
(傾きと曲り量との相関)
図11は、図10の(a)〜(b)により説明される検定方法における傾きと曲り量との相関を示すグラフである。この曲り量は、単位長さ(1000mm)あたりの(スリットセパレータ9の長さLが1000mmのときの)曲り量である。図11の横軸は上述の傾きであり、縦軸は曲り量(距離h)である。
ひし形で示されたデータは、平均厚みが16μmであるスリットセパレータ9を捲回した67個の捲回体10について、傾きと曲り量とを測定したものである。正方形で示されたデータは、平均厚みが20μmであるスリットセパレータ9を捲回した5個の捲回体10について、傾きと曲り量とを測定したものである。
図11に示されるように、ひし形で示されたデータの傾きをxと表し、曲り量をyと表せば、最小二乗法により近似したxとyとの関係は、下式(2)の一次式により表される。このように、傾きと曲り量とは、正の相関を有する。
y=0.479x+0.0864 ……式(2)
つまり、傾きが大きいほど曲がり量も大きくなることがわかる。すなわち、基準面側と裏面側とで平均厚みの差が大きいスリットセパレータ9を捲回した捲回体、または、基準面側と裏面側とで平均厚みが異なるスリットセパレータ9を多く捲回し、累積厚みの差が大きくなった捲回体において曲り量が大きくなる傾向がある。
(捲回体の検定)
図11に示されるように、正方形で示されたデータの傾きと曲り量との関係も、同様の正の相関を示す。このため、曲り量が所定の閾値未満となるか否かについて、スリットセパレータ9を巻き出さずに捲回体10を検定できる。
例えば、曲り量が6mmであるとき、式(2)の一次式により、傾きは12.346であることがわかる。よって、ある捲回体について、式(1)により求めた傾きが12未満であれば、この捲回体の曲り量は6mm未満になると検定できる。
ただし、スリットセパレータ9の平均厚み(設計厚み)が異なれば、スリットセパレータ9をコア8に多数回巻いたときの捲回体10の外周面の盛り上がり量も異なってくる。このため、傾き及び曲がり量の母集団が異なると、上式(2)で示される直線のパラメータが変化する。
(傾き及び曲り量の測定例)
上述のとおり、サンプル1〜3の距離hは、それぞれ、1.8mm、2.3mm、4.8mmである。サンプル1〜3の傾きは、それぞれ、0.91、3.27、6.92である。
(捲回体の検定方法の詳細)
図12は、図11に示される相関に基づく捲回体10の検定方法を示すフローチャートである。
図12に示されるように、この検定方法は、傾きを特定する工程であるステップS101と、曲り量を特定する工程であるステップS102と、曲り量が閾値未満であるか否かを判定する工程であるステップS103(フィルム捲回体が良品であるか否かを判定する工程)とを含む。
(ステップS101)
上述の式(1)に基づき傾きを特定する。具体的には、スリットセパレータ9の単位幅あたりの、Y軸負方向側(つまり、外側円筒部81の中心軸CAが延びる方向のうち一方側)の捲回体10の外径ODbと、他方側の外径ODaとの差の絶対値(|Db−Da|)に比例する値である傾きを特定する。
なお、スリットセパレータ9の単位幅あたりの値を求める処理は、式(1)において「W−wa−wb」により除算する処理に対応する。
(ステップS102)
上述の式(2)に基づき曲り量を特定する。具体的には、傾きと曲り量との相関に基づき、ステップS101において特定された傾きから曲り量を特定する。
(ステップS103)
ステップS102において特定された曲り量が、閾値(例えば6mm)未満であるか否かを判定する。ステップS103の判定結果がYESであれば、捲回体10が良品であると検定される。ステップS103の判定結果がNOであれば、捲回体10が不良品であると検定される。なお、曲り量の閾値に対応する傾きを予め求めておき、ステップS101で特定した傾きと、この予め求めた傾きとを比較して捲回体10が良品であるか否かを判定することもできる。このとき、ステップS102は、実行されなくてもよい。
≪本実施形態の効果≫
捲回体10に捲回されたスリットセパレータ9は、捲回体10から巻き出された後、二次製品(リチウムイオン二次電池など)に加工される。このとき、捲回体10から巻き出されたスリットセパレータ9は、巻き出された方向に対し曲がっていないことが好ましい。
本実施形態によれば、発明者らが見出した傾き(式(1)参照)と曲り量との相関(図11、式(2)参照)に基づき、曲り量を特定できる。これにより、捲回体10からスリットセパレータ9を巻き出さずに、曲り量が閾値未満であるか否かを判定し、捲回体10の良否を検定できる。
捲回体10からスリットセパレータ9を巻き出し、巻き出された方向に対する曲り量を測定することは、煩雑であることが多い。さらに、スリットセパレータ9の巻き出し条件及び曲り量の測定条件は変化し易いため、測定された曲り量は、ばらつくことが多い。傾きを特定することにより、曲り量を測定せずに、簡単に捲回体10の良否を検定できる。
〔実施形態3〕
本発明の第三実施形態を図13に基づいて説明する。
≪捲回体の製造方法≫
図13は、本実施形態の捲回体10の製造方法を示すフローチャートである。
図13に示されるように、この製造方法は、外側円筒部81の向きを特定する工程であるステップS201と、外側円筒部81の外周面sにフィルムを捲回する工程であるステップS202とを含む。
(ステップS201)
外側円筒部81の肉厚は、図6の(b)に示されるように、Y軸負方向側の一端側が、Y軸正方向側の他端側よりも薄い。このステップでは、外側円筒部81の両端のうち、どちら側の肉厚が薄いのかを特定することで、外側円筒部81の向きを特定する。
図7の(a)に示される印Sの有無により、外側円筒部81の向きを特定できる。上述の例では、印Sが付与された外側円筒部81のY軸負方向側において、外側円筒部81の肉厚は薄くなっている。また、図7の(b)に示されるノギスMにより外側円筒部81の外径を測定し、外側円筒部81の向きを特定できる。
(ステップS202)
ステップS201において、外側円筒部81の向きが特定されているため、外側円筒部81の両端のうち、どちら側の肉厚が薄いのかが既知である。この知見に基づき、外側円筒部81の肉厚が薄い側と、スリットセパレータ9の膜厚が厚い側とが対応するように、外側円筒部81の外周面sにスリットセパレータ9を捲回する。スリット時にコア8の向きを対応させてもよく、一旦捲回した後に別のコアに巻き替える工程において、そのコアの向きを対応させてもよい。
≪本実施形態の効果≫
以上のように製造された捲回体10では、外側円筒部81の一端側は、他端側よりも薄いため剛性が低い。外側円筒部81は、この剛性が低い一端側において、他端側よりも大きく内側に曲がる。そして、スリットセパレータ9の厚い部位が、この大きく内側に曲がる一端側に捲回されているため、外周面tにおける幅方向の傾斜が抑制される。
〔変形例〕
図6の(a)に示されるリブ831〜838の個数は、8個に限定されない。例えば、奇数個のリブを備えた捲回体も、本発明に含まれる。
〔実施形態4〕
本発明の第四実施形態を図14〜図16に基づいて説明する。
≪捲回体の構成≫
図14は、本実施形態で使用されるコア108の構成を表す図である。図14の(a)に示されるXYZ軸は、図14の(b)の図に示されるXYZ軸に対応している。
図14(a)は、コア108の正面図である。コア108は実施形態1のコア8と比較して、外側円筒部181を有するが、リブ及び内側円筒部を有さない。すなわち、外側円筒部181のみで形成された、一重管の構造を有する。
図14(b)は、図14(a)のB−B断面を示す断面図である。図14(b)からわかるように、外側円筒部181は全体の厚み幅が均等で平坦である。そのため、コア101は、その両端で、構造や強度(剛性)の違いが無いか、または構造や強度(剛性)の違いが無視できるほど小さい。
図15は、本実施形態のコア108にスリットセパレータ9を捲回した捲回体110の構成を示す断面図であって、(a)は外側円筒部181が弾性変形しない場合の構成を示し、(b)は外側円筒部181が弾性変形する場合の構成を示す。
図15の(a)に示されるように、スリットセパレータ9の膜厚がY軸負方向側で厚い場合、仮に外側円筒部181が弾性変形しなければ、捲回体110の表面は、傾斜せずY軸負方向側の部位aで盛り上がる。
図15の(b)に示されるように、実際には、スリットセパレータ9を捲回した外側円筒部181は、弾性で内側に変形する。これにより、図15の(b)の場合は、(a)の場合と比較して、スリットセパレータ9の外周面tの傾斜が抑制される。この傾斜抑制の原理は、上述の実施形態1と同様である。
Figure 2017001881
表5は、スリットセパレータ9を捲回する前と、スリットセパレータ9を捲回した後とに測定された、コア108の周長等を示す。表5に示されるように、2個のコア108のサンプル4〜5について、周長等を測定した。また、各サンプルの、基準面と裏面とについて、周長等を測定した。表5中の各項目は、表4中の各項目と同じである。
表5に示されるように、サンプル4と5は、外側円筒部181の平均肉厚が異なり、サンプル4はサンプル5に比べ、その外側円筒部181の平均肉厚が2mm程度薄い構造を有する。そのため、サンプル4は、サンプル5よりも相対的に剛性が弱く、スリットセパレータ9を捲回した際の弾性変化量が大きくなる。特に、サンプル4の基準面側は、サンプル5よりも弾性変形量が大きくなる。
その結果、表5からわかるように、サンプル4はサンプル5と比較して、捲回前後におけるコア108の基準面の周長と裏面の周長との差の変化量が大きい。
Figure 2017001881
表6は、スリットセパレータ9を捲回した後に測定された、実施形態1で使用したサンプル1〜3のコア8および実施形態4で使用したサンプル4〜5のコア108の傾き指標および曲がりを示す。
表6中の「傾き指標」とは、コア108に捲回されたスリットセパレータ9の一端側の外径をD1とし、他端側の外径をD2とし、スリットセパレータ9の製品幅をWとしたとき、以下の式(3)で表される指標であり、スリットセパレータ9の外周面における傾きを指す。
|D1−D2|/W ……式(3)
なお、便宜上、スリットセパレータ9の一端側の端辺から端部幅waだけ離れた位置における外径ODaと、スリットセパレータ9の他端側の端辺から端部幅wbだけ離れた位置における外径ODbとを測定し、上述した式(1)を用いて得られた値を傾き指標としてもよい。
また、表6中の「単位長さ当たりの曲がり量」とは、図10の(b)に示される距離hの、スリットセパレータ9の単位長さ(1000mm)あたりの(スリットセパレータ9の長さLが1000mmのときの)長さを示す。
表6に示されるように、サンプル4はサンプル5と比較して、傾き指標が小さくなり、スリットセパレータ9の曲がりが抑制されている。これは上述するように、外側円筒部181が弾性変化して、スリットセパレータ9の厚み差を吸収したことが要因であると考えられる。
また、表5に示されるように、サンプル4および5の「平均厚み」の値は、裏面よりも基準面で大きくなっている。サンプル4および5の「コア周長(捲回後)」の値は、裏面よりも基準面で小さくなっている。以上の「平均厚み」「コア周長(捲回後)」の値の関係を用いて、サンプル1および2について実施形態1で説明したのと同様に、図15の(b)に示される捲回体110を特定できる。
具体的には、外側円筒部181の外周面sにスリットセパレータ9を捲回するためのコア108と、コア108の外側円筒部181の外周面に捲回され、一端側が他端側よりも膜厚の厚いスリットセパレータ9とを備え、コア108の外側円筒部181の外周面は、スリットセパレータ9が捲回された状態において、一端側の周長が他端側の周長よりも短いことを特徴とするフィルム捲回体として、捲回体110を特定できる。
このように、一重管構造であり、かつ、外側円筒部181の厚み分布がY軸方向に傾斜していないサンプル4および5のようなコア108を備えた本実施形態の捲回体110は、外側円筒部81と内側円筒部82とリブ831〜838とを備えた二重管構造であり、かつ、外側円筒部81の厚み分布がY軸方向に傾斜しているサンプル1および2のようなコア8を備えた実施形態1の捲回体10と同様に特定することができる。
≪本実施形態の効果≫
サンプル4に捲回されたスリットセパレータ9の曲がりは、表6のサンプル2に捲回されたスリットセパレータ9のものと同程度に抑制されており、リチウムイオン二次電池用セパレータとして使用する際にも問題がない程度まで抑制できている。
これより、外側円筒部の肉厚が均等で、平坦な構造であり、リブと内側円筒部を有さない一重管の構造を有するコアであっても、実施形態1と同様に、スリットセパレータの塑性変化を抑制し、曲がりを抑制することができるという効果が得られる。
図16は曲がり量と傾き指標との関係を表したグラフである。図16中、横軸は単位長さ(1000mm)あたりの(スリットセパレータ9の長さLが1000mmのときの)曲がり量であり、縦軸は傾き指標である。
図16から、図11と同様に、傾き指標と曲がり量とには相関があり、傾き指標(傾き)が小さいほど、スリットセパレータ9の曲がりが抑制されることがわかる。サンプル1〜2および4とサンプル3および5を比較すると、それぞれのサンプルに捲回されたスリットセパレータ9の曲がりが大きく違うことがわかる。
スリットセパレータ9をリチウムイオン二次電池用セパレータとして用いることを鑑みると、スリットセパレータ9の単位長さあたりの曲がり量は3mm以下であることが好ましい。そのため、コア8・108の中心軸が延びる方向に対する、スリットセパレータ9の外周面における傾きである傾き指標が、6以下であることが好ましい。
したがって、スリットセパレータ9の良品検定を、傾き指標を用いて行う場合には、閾値を6に設定して検定を行うことが好ましい。
なお、上述のとおり、スリットセパレータ9の曲がり(距離h)は4.8mmであっても、リチウムイオン二次電池用セパレータとして許容される。
しかし、電池組み立て工程において繰り出したセパレータが蛇行すると、正極と負極との間にセパレータを配置するときにズレが生じ、正極と負極との短絡の原因となることがある。
当該電池組み立てを、人の手で行う場合、または、セパレータを低速で搬送しながら行う場合は、上記の距離hはある程度高い値であっても良く、4.8mmは許容されるが、電池の生産性を上げるために高速でセパレータを搬送しながら、正極と負極との間にセパレータを配置するときには、セパレータの蛇行がより生じ易くなるため、上記の距離hは3mm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態では、外側円筒部181の厚みが均等で平坦なコア108を備えた捲回体110について説明したが、コア108は、前述の図6の(b)に示されたコア8と同様に、基準面側と裏面側とで外側円筒部181の厚みに傾斜を有していてもよく、また、前述の図6の(e)に示されたような、Y軸方向に単調には傾斜しない厚み分布を有していてもよい。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器、自動車、航空機等の移動体に用いる電池、又は、電力の安定供給に資する定置用電池に利用できる。また、本発明は、これらの製造方法にも利用できる。
4 耐熱層
5 多孔質フィルム(フィルム)
6 スリット装置
8・108 コア
9・9a スリットセパレータ(フィルム)
10・110 捲回体
12 セパレータ(フィルム)
81・181 外側円筒部(円筒部材)
82 内側円筒部
831〜838 リブ(支持部材)
CA 中心軸
Da・Db 金型
ODa・ODb 外径
S 印
S101 ステップ(傾きを特定する工程)
S103 ステップ(フィルム捲回体が良品であるか否かを判定する工程)
S201 ステップ(円筒部材の向きを特定する工程)
S202 ステップ(円筒部材の外周面にフィルムを捲回する工程)
s 外周面(円筒部材の外周面、コアの外周面)
t 外周面

Claims (9)

  1. 一端側が他端側よりも肉厚の薄い円筒部材と、
    上記円筒部材の外周面に捲回され、幅方向の上記一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムとを備えることを特徴とするフィルム捲回体。
  2. 上記円筒部材の材質は、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、及び塩化ビニール樹脂のいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム捲回体。
  3. 上記フィルムは、上記円筒部材の中心軸が延びる方向へ延伸された多孔質フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム捲回体。
  4. 上記円筒部材の外周面をその内側から支持する互いに間隔をあけ配された複数の支持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルム捲回体。
  5. 円筒状の外周面を有するとともに、当該外周面に対してその周長を縮める方向の力を加えたときに、一端側の周長が他端側の周長よりも短くなるコアと、
    上記コアの外周面に捲回され、幅方向の上記一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムとを備えることを特徴とするフィルム捲回体。
  6. 外周面にフィルムを捲回するためのコアと、
    上記コアの外周面に捲回され、幅方向の一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムとを備え、
    上記コアの外周面は、上記一端側の周長が上記他端側の周長よりも短いことを特徴とするフィルム捲回体。
  7. 捲回された上記フィルムの上記一端側の外径をD1とし、捲回された上記フィルムの上記他端側の外径をD2とし、上記フィルムの幅をWとしたとき、
    |D1−D2|/W≦6
    を満たすことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のフィルム捲回体。
  8. 一端側が他端側よりも肉厚の薄い円筒部材の向きを特定する工程と、
    上記円筒部材の外周面に、幅方向の上記一端側が他端側よりも膜厚の厚いフィルムを捲回する工程とを含むことを特徴とするフィルム捲回体の製造方法。
  9. フィルムを捲回された円筒部材を備えたフィルム捲回体の検定方法であって、
    上記フィルム捲回体の外周面における上記円筒部材の中心軸が延びる方向の傾きを特定する工程と、
    特定された上記傾きに基づき、上記フィルム捲回体が良品であるか否かを判定する工程とを含むことを特徴とするフィルム捲回体の検定方法。
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