JP2017001796A - 乗客コンベアの手摺ベルト及び乗客コンベア - Google Patents

乗客コンベアの手摺ベルト及び乗客コンベア Download PDF

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晃裕 山本
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Abstract

【課題】環境条件の変化に合わせて利用者の心理状態に大きな影響を与えることができる乗客コンベアの手摺ベルト及び乗客コンベアを提供する。
【解決手段】乗客コンベアの手摺ベルト14は、欄干10の周縁部を移動するベルト体38と、前記ベルト体38の外面に設けられたカバー50とを備える。前記カバー50の表面にはサーモクロミック材料を含む塗料が塗布されており、制御部によってヒータを加熱して前記カバー50の温度を調整すると前記カバー50はその温度に応じた色になり、前記カバー50の表面全体が変色する。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、乗客コンベアの手摺ベルト及び乗客コンベアに関する。
乗客コンベアの一般的な手摺ベルトの表面は単色のゴムからなり、変色させることはできない。
これに対し、利用者に情報を示す目的で、手摺ベルトの表面の一部を変色させることにより記号や文字等を表示することが提案されている(特許文献1参照)。例えば、利用者に乗客コンベアの移動方向を示す目的で、手摺ベルトの表面を部分的に変色させて矢印を表示する。
特開2014−237513号公報
ところで、色は人の心理状態に影響を与えることが知られている。しかし、手摺ベルトの表面が単色のゴムからなる場合、その手摺ベルトが利用者の心理状態に与える影響は常に同じである。そしてその場合、手摺ベルトは、環境条件(乗客コンベアが設置されている場所又はその周辺において変化しうる各種条件のことで、例えば季節、時間帯、気温、乗客コンベアが設置されている施設で行われるイベントの種類等)の変化に合わせて、利用者の心理状態がその環境条件に合った状態になるよう影響を与えることができない。また、手摺ベルトの表面の一部が変色するだけでは、変色する部分の面積が小さいために、利用者の心理状態に大きい影響を与えることは困難である。
そこで本発明は、環境条件の変化に合わせて利用者の心理状態に大きな影響を与えることができる乗客コンベアの手摺ベルト及び乗客コンベアを提供することを課題とする。
実施形態の乗客コンベアの手摺ベルトは、欄干の周縁部を移動するベルト体と、前記ベルト体の外面に設けられたカバーとを備え、前記カバーの表面全体が変色可能である。
実施形態のエスカレータ1の断面図。 レール40及び手摺ベルト14の断面図。 変更例のエスカレータ101の断面図。 変更例のエスカレータ201の断面図。
乗客コンベアとしてエスカレータや動く歩道等が挙げられるが、以下の実施形態ではエスカレータを例にして説明する。
図1は本実施形態に係るエスカレータ1の断面図である。トラス20が建物の上階側と下階側に架設されている。トラス20の上階側の機械室25と下階側の機械室26の内部には、それぞれ踏段駆動スプロケット21、22が配置されている。踏段駆動スプロケット21、22には、無端状の踏段駆動チェーン23が巻き掛けられている。踏段駆動スプロケット21は、モータや減速器を有する駆動装置24に連結され、駆動装置24の駆動により回転する。この回転により踏段駆動チェーン23及びもう一方の踏段駆動スプロケット22が駆動する。踏段駆動チェーン23には搭乗部としての踏段2が等間隔に隙間無く連結されている。踏段駆動チェーン23が駆動することにより、これに連結された踏段2が図示しないガイドレールに沿って上階側と下階側の間を循環移動する。機械室25の内部には、エスカレータ1の運転を制御する制御部27が設けられている。
エスカレータ1の幅方向両側には、上階から下階にかけて、欄干10が立設されている。トラス20の内部には、手摺ベルト駆動スプロケット12が設けられている。踏段駆動スプロケット21と手摺ベルト駆動スプロケット12に無端状の手摺ベルト駆動チェーン13が巻き掛けられている。また、欄干10の周縁部と手摺ベルト駆動スプロケット12に手摺ベルト14が掛けられている。踏段駆動スプロケット21が回転すると、手摺ベルト駆動チェーン13及び手摺ベルト駆動スプロケット12が駆動し、手摺ベルト14が欄干10の周縁部に沿って上階側と下階側の間を循環移動する。手摺ベルト14は踏段2の移動と同期して移動する。欄干10の下部は、上階から下階に亘って設けられたスカート部11に覆われている。スカート部11の上階側と下階側にはそれぞれインレット部3が形成されている。手摺ベルト14は、インレット部3の内側を通過して、スカート部11の内部に入ったり、スカート部11の外部へ出たりする。そのためインレット部3の形状は手摺ベルト14の断面形状に合わせた形状となっている。
スカート部11の内部には伝熱部としてのヒータ15が設けられている。ヒータ15は、手摺ベルト14に近接しており、手摺ベルト14を加熱することができる。ヒータ15の代わりに、又はヒータ15と共に、手摺ベルト14を冷却することができるクーラが設けられていても良い。前記制御部27は、ヒータ15を加熱しその温度を調整することができ、これにより手摺ベルト14の温度を調整することができる。クーラが設けられている場合は、制御部27は、クーラの温度を調整することもでき、これにより手摺ベルト14の温度を調整することができる。前記制御部27とは別に、ヒータ15の温度を調整する制御部が設けられていても良い。
図2には手摺ベルト14の幅方向の断面構造が示されている。手摺ベルト14はベルト体38とカバー50とを備える。ベルト体38は、内側の補強層30と、その外側の化粧ゴム層35とを備える。補強層30は、積層された複数枚の帆布31と、手摺ベルト14の移動方向に伸びるスチール等のコード32とを備える。補強層30と化粧ゴム層35とは、左右両側の部分が曲げられ、断面が下に開口するC字形になるように成形されている。つまりベルト体38の断面は下に開口するC字形になっている。一方欄干10の上部にはレール40が固定されている。レール40は、欄干10の両面側で上下方向に伸びる不動部としての手摺デッキ41と、手摺デッキ41の下端部よりも上方において手摺デッキ41よりも左右に突出した突出部42を有する。ベルト体38は、レール40の左右の突出部42を、上方、側方、下方より包んで、レール40から抜けないようにこれに取り付けられている。このとき、手摺デッキ41は、手摺ベルト14の下への開口部分から下方へ出ている。なお、以上のレール40及びベルト体38の断面構造は欄干10の上側におけるものだが、欄干10の下側においては、レール40及びベルト体38の断面構造はこれと上下反対となっている。
カバー50はベルト体38の外面すなわちレール40への取り付け状態において外部へ露出する面を覆っている。またカバー50はベルト体38の移動方向1周に亘って設けられている。カバー50は接着剤でベルト体38に接着されていることが望ましい。カバー50の材料は限定されないが例えば樹脂からなる。カバー50の表面には、サーモクロミック材料を含む塗料が塗布されている。ただしカバー50の材料である樹脂自体にサーモクロミック材料が含まれていても良い。
サーモクロミック材料は温度変化に伴い可逆的に変色する材料で、様々なものが存在する。サーモクロミック材料を変色のメカニズム別に例示すると、温度変化による分子構造の変化が原因で色が変わるもの、温度変化による相転移が原因で色が変わるもの、温度変化による分子間相互作用の変化が原因で色が変わるもの、等が挙げられる。本実施形態において使用されるサーモクロミック材料はいずれのものであっても良い。またサーモクロミック材料には、温度により透明になったり発色したりするものや、温度により発色濃度が変化するものも含まれる。よって「変色」には、透明と発色との間で変化することや、発色濃度が変化することも含まれるものとする。
以上の構造のエスカレータ1において、制御部27は、ヒータ15を加熱してその温度を調整する。すると、ヒータ15の熱が手摺ベルト14のカバー50に伝わり、カバー50の温度がヒータ15の温度と略等しくなる。カバー50には上記のようにサーモクロミック材料が塗布されているため、カバー50はその温度に応じた色になる。このようにして制御部27はカバー50の色を制御することができる。
例えば、エスカレータ1がデパートに設置されており、カバー50に塗布されるサーモクロミック材料が、常温で黄、高温で赤に発色するものであるとする。そして、制御部27は、通常はヒータ15を加熱せずカバー50全体を黄にしておくが、セール期間中になるとヒータ15を加熱してカバー50全体を赤にする。赤は購買意欲を起こさせる色であるため、手摺ベルト14のカバー50が赤になることにより、それを見た客が多くの商品を購入することが期待できる。
また、ベルト体38の表面の色が赤であり、カバー50が透明の樹脂フィルムにサーモクロミック材料が塗布されたものであるとする。そしてこのサーモクロミック材料が常温で黄、高温で透明になるものであるとする。そして、制御部27は、通常はヒータ15を加熱せずカバー50全体を黄にしておくが、セール期間中になるとヒータ15を加熱してカバー50全体を透明にし、ベルト体38の表面の赤が見えるようにする。制御部27はこのようにして客に購買意欲を起こさせることもできる。
また、エスカレータ1が屋外に設置されており、手摺ベルト14のカバー50に塗布されるサーモクロミック材料が、低温側の温度で赤、高温側の温度で青に発色するものであるとする。そして、制御部27は、冬にはヒータ15を低温側の温度にしてカバー50全体を赤にし、夏にはヒータ15を高温側の温度にしてカバー50全体を青にする。赤は暖かさを、青は涼しさを感じさせる色であるため、手摺ベルト14を見た利用者が、冬に暖かさを、夏に涼しさを感じて、快適にエスカレータ1を利用することができる。
なお、季節に応じたカバー50の変色のさせ方として、制御部27がカバー50を季節のイメージに合う色にする方法もある。季節のイメージに合う色としては、例えば、春のピンク、夏の緑、秋の茶、冬の白が挙げられる。
以上のように、エスカレータ1の手摺ベルト14及びエスカレータ1は、手摺ベルト14の表面を変色させることにより、環境条件の変化に合わせて、利用者の心理状態がその環境条件に合う状態になるように、利用者に対して影響を与えることができる。ここで、手摺ベルト14は、その表面全体が変色するため、利用者の心理状態に大きい影響を与えることができる。また、手摺ベルト14はベルト体38とその外面を覆うカバー50とを備え、カバー50の表面が変色するため、ベルト体のみからなる従来の手摺ベルトに本実施形態のカバー50を設けることにより、容易に本実施形態の手摺ベルト14とすることができる。
変更例のエスカレータ101を図3に示す。なお図3において、上記実施形態のエスカレータ1と同じ部分には、図1と同じ符号が付してある。変更例のエスカレータ101には外気温を測定する測温部106が設けられている。測温部106が設けられる場所は限定されないが、例えばスカート部11の外面側の場所とする。測温部106としては、熱電対やサーミスタ等、様々な物が利用可能である。測温部106と制御部27とは電気的に接続されているため、制御部27は外気温を認識できる。制御部27は測温部106が測定した外気温に基づき手摺ベルト14の色を制御する。例えば、制御部27は、外気温が高い日と低い日とでヒータ15の温度を変え、手摺ベルト14の色を外気温が高い日には青、外気温が低い日には赤にする。すると手摺ベルト14を見た利用者が、外気温が高い日に涼しさを、外気温が低い日に暖かさを感じて、快適にエスカレータ101を利用することができる。また、外気温は時間帯によって変化するため、制御部27が測温部106が測定した外気温から時間帯を判断し、時間帯に応じて手摺ベルト14を変色させても良い。
また、制御部27に記憶部105が接続され、測温部106で測定された外気温のデータが記憶部105に記憶されるように構成されていても良い。その場合、制御部27は、過去数日分の外気温のデータに基づき現在の季節を判断し、手摺ベルト14を季節に応じた色に変色させる。
また、記憶部105に月日、曜日、施設の予定等を含むカレンダーが記憶されていても良い。その場合、制御部27は、記憶部105のカレンダーに基づき、季節、曜日、施設の予定等に合わせて、手摺ベルト14を変色させる。
また、制御部27は、手摺ベルト14全体を1色にするのではなく、手摺ベルト14をその移動方向の一定距離毎に異なる色にしても良い。例えば、手摺ベルト14のカバー50の表面に温度により赤、青、黄に変化するサーモクロミック材料が塗布されているものとする。そして制御部27は、手摺ベルト14が一定距離移動する毎に、ヒータ15の温度を変更させる。すると手摺ベルト14は、移動方向の一定距離毎に、赤、青、黄に色分けされる。これにより利用者は華やかさを感じることができる。この場合において、制御部27は、手摺ベルト14の移動距離を検出手段で直接検出しても良いし、タイマにより手摺ベルト14の移動開始からの経過時間を測定し、そこから移動距離を推定しても良い。
また、カバー50に塗布されるサーモクロミック材料が、常温の温度帯例えば摂氏0〜30度の範囲内で変色するものであっても良い。この場合、ヒータ15が設けられていなくても、外気温の変化に伴い手摺ベルト14は自然に変色する。
また、サーモクロミック材料の代わりに、クロミズム(可逆的変色現象)を示す様々な材料が利用可能である。例えば図4のエスカレータ201は、手摺ベルト214のカバー50の表面にフォトクロミック材料が塗布されたものであり、照射される光の変化で手摺ベルト214が変色するものである。例えば、カバー50に塗布されるフォトクロミック材料が光の波長で変色するものであり、上記実施形態におけるヒータ15の代わりに、手摺ベルト214に対して複数の波長の光(光には可視光だけでなく紫外線や赤外線も含まれる)を照射できる照射部215が設けられているとする。この場合制御部27は照射部215から照射される光の波長を制御することにより手摺ベルト214を変色させる。また、エスカレータ201が屋外に設置されており、カバー50に塗布されるフォトクロミック材料が紫外線の強さで変色するものであっても良い。その場合、照射部215が設けられていなくても、紫外線の強さの変化に伴い手摺ベルト214は自然に変色する。
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以上の実施形態に対して、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以上の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明及びその均等の範囲に含まれる。
1…エスカレータ、2…踏段、3…インレット部、10…欄干、11…スカート部、12…手摺ベルト駆動スプロケット、13…手摺ベルト駆動チェーン、14…手摺ベルト、15…ヒータ、20…トラス、21…踏段駆動スプロケット、22…踏段駆動スプロケット、23…踏段駆動チェーン、24…駆動装置、25…機械室、26…機械室、27…制御部、30…補強層、31…帆布、32…コード、35…化粧ゴム層、38…ベルト体、40…レール、41…手摺デッキ、42…突出部、50…カバー、101…エスカレータ、105…記憶部、106…測温部、201…エスカレータ、214…手摺ベルト、215…照射部

Claims (10)

  1. 欄干の周縁部を移動するベルト体と、前記ベルト体の外面に設けられたカバーとを備え、前記カバーの表面全体が変色可能である、乗客コンベアの手摺ベルト。
  2. 前記カバーが、サーモクロミック材料を含み、温度変化により変色する、請求項1に記載の乗客コンベアの手摺ベルト。
  3. 前記カバーが、フォトクロミック材料を含み、照射される光の変化により変色する、請求項1に記載の乗客コンベアの手摺ベルト。
  4. 前記カバーが接着剤で前記ベルト体に接着されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の乗客コンベアの手摺ベルト。
  5. 循環移動する搭乗部と、その幅方向両側に立接された欄干と、前記欄干の周縁部を前記搭乗部の移動と同期して循環移動する請求項1〜4のいずれか1項に記載の手摺ベルトと、を備える乗客コンベア。
  6. 循環移動する搭乗部と、その幅方向両側に立接された欄干と、前記欄干の周縁部を前記搭乗部の移動と同期して循環移動する請求項2に記載の手摺ベルトと、前記手摺ベルトに温度を伝える伝熱部と、前記伝熱部を制御する制御部とを備える乗客コンベア。
  7. 外気温を測定する測温部を備え、前記制御部は前記測温部が測定した外気温に基づき前記伝熱部を制御する、請求項6に記載の乗客コンベア。
  8. 前記ベルト体が一定距離移動する毎に、前記制御部が前記伝熱部の温度を変更する、請求項6又は7に記載の乗客コンベア。
  9. 前記欄干の下部がスカート部に覆われ、前記伝熱部がスカート部内に設けられている、請求項6〜8のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
  10. 循環移動する搭乗部と、その幅方向両側に立接された欄干と、前記欄干の周縁部を前記搭乗部の移動と同期して循環移動する請求項3に記載の手摺ベルトと、前記手摺ベルトに光を照射する照射部と、前記照射部を制御する制御部とを備える乗客コンベア。
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