JP2017000940A - 地下水の処理方法および地下水の処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】地下水Wに酸を添加し、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を水槽14内で除去する、地下水Wの処理方法、および地下水Wに酸を添加する添加手段13と、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去するための水槽14とを備えた、地下水の処理装置10。
【選択図】図1
Description
このような地下水を水道水などとして供給する場合、地下水中に含まれるカルシウムイオンと重炭酸イオンとが結合してスケール(炭酸カルシウム等)が生成し、空調機の冷却塔、食洗機、配管等でスケール障害を引き起こすことがあった。
また、逆浸透膜装置を設置するスペースが必要となるため、浄水処理装置が大型化してしまう。
[1] 地下水に酸を添加し、酸が添加された地下水中の二酸化炭素を水槽内で除去する、地下水の処理方法。
[2] 前記二酸化炭素の除去が、酸が添加された地下水のシャワリングによりなされる、[1]に記載の地下水の処理方法。
[3] 前記二酸化炭素の除去が、水槽内での地下水の曝気によりなされる、[1]に記載の地下水の処理方法。
[4] 前記二酸化炭素の除去が、酸が添加された地下水のシャワリングと、水槽内での地下水の曝気との併用によりなされる、[1]に記載の地下水の処理方法。
[5] 前記水槽内への地下水の供給と、地下水への酸の添加と、水槽内での地下水の曝気とを連動させる、[3]または[4]に記載の地下水の処理方法。
[6] 前記水槽内の水位が、満水時の水位の40〜75%である、[2]〜[5]のいずれか1つに記載の地下水の処理方法。
[8] 前記水槽に、酸が添加された地下水をシャワリングして二酸化炭素を除去するシャワリング手段をさらに備えた、[7]に記載の地下水の処理装置。
[9] 前記水槽内の地下水を曝気して二酸化炭素を除去する曝気手段をさらに備えた、[7]に記載の地下水の処理装置。
[10] 前記水槽に、酸が添加された地下水をシャワリングして二酸化炭素を除去するシャワリング手段と、水槽内の地下水を曝気して二酸化炭素を除去する曝気手段とをさらに備えた、[7]に記載の地下水の処理装置。
[11] 前記水槽内への地下水の供給と、地下水への酸の添加と、水槽内での地下水の曝気とが連動している、[9]または[10]に記載の地下水の処理装置。
なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
また、図2〜5において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
<第一の態様>
図1に本発明の第一の態様の地下水の処理装置の一例を示す。
図1に示す地下水の処理装置10は、井戸11から地下水Wを汲み上げる揚水手段12と、地下水Wに酸を添加する添加手段13と、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去するための水槽14と、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜く引き抜き手段15とを具備する。
この例の揚水管12bの一端は揚水ポンプ12aに接続され、水槽14内まで伸びている。
酸注入管13bの一端は酸注入ポンプ13aを介して酸貯留タンク13cに接続されている。また、酸注入管13bの他端は揚水管12bの途中で、該揚水管12bに合流している。
ただし、図1に示すように酸注入管13bを揚水管12bの途中で合流させ、揚水管12b中で地下水Wに酸を添加し、酸が添加された状態の地下水Wを揚水管12bの他端から水槽14に供給(滴下)する場合、酸として無機凝集剤を用いるとフロックが生成して揚水管12bを閉塞させるおそれがある。よって、このような場合には、酸として無機酸を用いることが好ましく、その中でも特に、取扱性に優れる点で硫酸が好ましい。
引き抜き管15bの一端は引き抜きポンプ15aを介して水槽14に接続されている。
まず、揚水ポンプ12aを作動させて井戸11から地下水Wを汲み上げる。汲み上げられた地下水Wは揚水管12bを通って水槽14内へと供給される。
一方、酸注入ポンプ13aを作動させて酸貯留タンク13cから酸注入管13bへ酸を送り出す。揚水管12bと酸注入管13bとの合流点において、地下水Wに酸を添加し、酸が添加された地下水Wを揚水管12bの他端から水槽14に供給する。
次いで、水槽14内において酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去する。具体的には、水槽14内で酸が添加された地下水Wを放置する。すると地下水W中の二酸化炭素が大気中へ放出され、地下水Wから二酸化炭素が除去される。
次いで、引き抜きポンプ15aを作動させて、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜き、回収する。回収された地下水Wは、重炭酸イオンが低減されているので、スケールが生成しにくく、水道水などとして供給したときにスケール障害が起こりにくい。
ここで、重炭酸イオンが低減された地下水が得られる理由を以下に説明する。
HCO3 − + H+ ⇔ CO2 +H2O
また、図1、2に示す地下水の処理装置10では、井戸11から汲み上げた地下水Wに酸を添加しているが、井戸11から汲み上げる前に、すなわち井戸11内にて地下水Wに酸を添加してもよい。ただし、井戸11内にて地下水Wに酸を添加する場合、井戸11内の全ての地下水WのpHを所望の値となるように調整するためには、大量の酸が必要となる。図1、2に示す地下水の処理装置10であれば、井戸11から汲み上げた地下水Wだけに酸を添加すればよく、井戸11内にて地下水Wに酸を添加する場合に比べて酸の使用量を減らすことができる。
図3に本発明の第二の態様の地下水の処理装置の一例を示す。
図3に示す地下水の処理装置10は、井戸11から地下水Wを汲み上げる揚水手段12と、地下水Wに酸を添加する添加手段13と、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去するための水槽14と、水槽14に酸が添加された地下水Wをシャワリングするシャワリング手段16と、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜く引き抜き手段15とを具備する。
シャワリング手段16は、スプレーノズル16aからなり、揚水管12bの他端に接続されている。
この例のスプレーノズル16aは、長手方向に垂直な断面が円形の円管からなり、その周壁の下部には酸が添加された地下水Wを噴出するためのノズル口16bが複数、スプレーノズル16aの長手方向に沿って下向きに一列に形成されている。
ここで、「周壁の下部」とは、スプレーノズル16aをその長手方向が略水平となるように配置した際に、スプレーノズル16aの軸線よりも下側に位置する部分の周壁である。
まず、揚水ポンプ12aを作動させて井戸11から地下水Wを汲み上げる。汲み上げられた地下水Wは揚水管12bを通って水槽14内へと供給される。
一方、酸注入ポンプ13aを作動させて酸貯留タンク13cから酸注入管13bへ酸を送り出し、揚水管12bと酸注入管13bとの合流点において、地下水Wに酸を添加する。シャワリング手段16のスプレーノズル16aやノズル口16bの閉塞を防止する観点から、酸としては上述した無機酸が好ましい。
次いで、揚水管12bの他端に接続されたシャワリング手段16から、酸が添加された地下水Wを水槽14へシャワリングすることで、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去する。
次いで、引き抜きポンプ15aを作動させて、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜き、回収する。回収された地下水Wは、重炭酸イオンが低減されているので、スケールが生成しにくく、水道水などとして供給したときにスケール障害が起こりにくい。
水槽14内の水位の下限値については特に制限されないが、水槽14内の水位が低すぎると一度に処理できる地下水の量が少なくなる。よって、地下水の処理効率を考慮すると、水槽14内の水位は満水時の40%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。
また、図3に示す地下水の処理装置10では、シャワリング手段16は水槽14の中に設置されているが、シャワリング手段16は水槽14の外に設置されていてもよい。ただし、シャワリング手段16が水槽14の外に設置されていると、シャワリング手段16から噴出した地下水Wが水槽14の周囲へ飛散することがある。周囲への地下水Wの飛散防止の観点から、シャワリング手段16は水槽14の中に設置されていることが好ましい。
図4に本発明の第三の態様の地下水の処理装置の一例を示す。
図4に示す地下水の処理装置10は、井戸11から地下水Wを汲み上げる揚水手段12と、地下水Wに酸を添加する添加手段13と、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去するための水槽14と、水槽14内の地下水Wを曝気する曝気手段17と、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜く引き抜き手段15とを具備する。
この例の曝気手段17は、水槽14内の底部近傍に略水平に配置され散気管17cと、散気管17cに気体を送気するブロワ17aと、ブロワから送気された気体を散気管17cへ供給する気体供給管17bとを備える。
気体供給管17bの一端はブロワ17aに接続され、他端は散気管17cに接続されている。
この例の散気管17cは、長手方向に垂直な断面が円形の円管からなり、その周壁の上部には気体を噴出するための円形の散気孔17dが複数、散気管17cの長手方向に沿って一列に形成されている。
ここで「周壁の上部」とは、散気管17cをその長手方向が略水平となるように配置した際に、散気管17cの軸線よりも上側に位置する部分の周壁である。
散気管17cに供給される気体の風量は、水槽14の容量が置換される量であれば制限されないが、水槽容量に対して毎分あたり5%以上の風量であることが好ましい。風量が上記下限値以上であれば、散気孔17dに与える散気圧力を均一化でき、その結果、より均一に散気することができる。また、散気孔17dの目詰まりも防止できる。
まず、揚水ポンプ12aを作動させて井戸11から地下水Wを汲み上げる。汲み上げられた地下水Wは揚水管12bを通って水槽14内へと供給される。
一方、酸注入ポンプ13aを作動させて酸貯留タンク13cから酸注入管13bへ酸を送り出す。揚水管12bと酸注入管13bとの合流点において、地下水Wに酸を添加し、酸が添加された地下水Wを揚水管12bから水槽14に供給する。曝気手段17の散気管17cや散気孔17dの閉塞を防止する観点から、酸としては上述した無機酸が好ましい。
次いで、ブロワ17aを作動させて散気管17cに気体を供給し、酸が添加された地下水Wを水槽14内にて曝気することで、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去する。
次いで、引き抜きポンプ15aを作動させて、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜き、回収する。回収された地下水Wは、重炭酸イオンが低減されているので、スケールが生成しにくく、水道水などとして供給したときにスケール障害が起こりにくい。
水槽14内の水位の上限値については特に制限されず、水槽14内の水位は満水時の100%であってもよい。ただし、水槽14内の水位が満水時の100%で曝気すると地下水Wが水槽14の周囲に飛散することがある。周囲への地下水Wの飛散防止の観点から、水槽14内の水位は満水時の75%以下が好ましい。
また、図4に示す地下水の処理装置10では、井戸11から汲み上げた地下水Wに酸を添加しているが、井戸11から汲み上げる前に、すなわち井戸11内にて地下水Wに酸を添加してもよい。
図5に本発明の第四の態様の地下水の処理装置の一例を示す。
図5に示す地下水の処理装置10は、井戸11から地下水Wを汲み上げる揚水手段12と、地下水Wに酸を添加する添加手段13と、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去するための水槽14と、水槽14に酸が添加された地下水Wをシャワリングするシャワリング手段16と、水槽14内の地下水Wを曝気する曝気手段17と、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜く引き抜き手段15とを具備する。
また、シャワリング手段16については第二の態様の地下水の処理装置と同じであり、曝気手段17については第三の態様の地下水の処理装置と同じであるため、これらの説明を省略する。
まず、揚水ポンプ12aを作動させて井戸11から地下水Wを汲み上げる。汲み上げられた地下水Wは揚水管12bを通って水槽14内へと供給される。
一方、酸注入ポンプ13aを作動させて酸貯留タンク13cから酸注入管13bへ酸を送り出し、揚水管12bと酸注入管13bとの合流点において、地下水Wに酸を添加する。シャワリング手段16のスプレーノズル16aやノズル口16b、曝気手段17の散気管17cや散気孔17dの閉塞を防止する観点から、酸としては上述した無機酸が好ましい。
次いで、揚水管12bの他端に接続されたシャワリング手段16から、酸が添加された地下水Wを水槽14へシャワリングすることで、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去する。
さらに、ブロワ17aを作動させて散気管17cに気体を供給し、酸が添加された地下水Wを水槽14内にて曝気することでも、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去する。
次いで、引き抜きポンプ15aを作動させて、二酸化炭素が除去された地下水Wを水槽14から引き抜き、回収する。回収された地下水Wは、重炭酸イオンが低減されているので、スケールが生成しにくく、水道水などとして供給したときにスケール障害が起こりにくい。
また、図5に示す地下水の処理装置10では、シャワリング手段16は水槽14の中に設置されているが、シャワリング手段16は水槽14の外に設置されていてもよい。
図5に示す地下水の処理装置10を用いて、以下のようにして地下水Wを処理した。
まず、揚水ポンプ12aを作動させて、水槽(縦100cm、横100cm、深さ200cm)14への地下水Wの供給量が7500L/hとなるように、井戸11から地下水Wを汲み上げた。汲み上げられた地下水Wは揚水管12bを通って酸注入管13bへと合流した。
一方、酸注入ポンプ13aを作動させて、18℃における地下水WのpHが約6.8となるに流量を調整しながら、硫酸が貯留された酸貯留タンク13cから酸注入管13bへ酸(硫酸)を送り出し、揚水管12bと酸注入管13bとの合流点において、地下水Wに酸を添加した。
次いで、水槽14の開口部14aからスプレーノズル16aのノズル口16bまでの距離が、水槽14の深さの15%となる位置に設置されたシャワリング手段16から、酸が添加された地下水Wを水槽14へシャワリングして、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去した。
さらに、ブロワ17aを作動させて、風量が400L/minとなるように散気管17cに空気を供給し、酸が添加された地下水Wを水槽14内にて10分間曝気して、酸が添加された地下水W中の二酸化炭素を除去した。
次いで、引き抜きポンプ15aを作動させて、二酸化炭素が除去された地下水(処理済みの地下水)Wを水槽14から引き抜き、回収した。
一方、回収した、処理済みの地下水W中の重炭酸イオン濃度を測定したところ、134mg/Lであり、重炭酸イオンを50%除去できた。また、処理済みの地下水WのpHを18℃にて測定したところ、約7.2であった。
よって、本発明であれば、逆浸透膜装置を使用することなく、低コストかつコンパクトに地下水中の重炭酸イオンを低減できるといえる。
11 井戸
12 揚水手段
12a 揚水ポンプ
12b 揚水管
13 添加手段
13a 酸注入ポンプ
13b 酸注入管
13c 酸貯留タンク
14 水槽
14a 開口部
15 引き抜き手段
15a 引き抜きポンプ
15b 引き抜き管
16 シャワリング手段
16a スプレーノズル
16b ノズル口
17 曝気手段
17a ブロワ
17b 気体供給管
17c 散気管
17d 散気孔
W 地下水
Claims (11)
- 地下水に酸を添加し、酸が添加された地下水中の二酸化炭素を水槽内で除去する、地下水の処理方法。
- 前記二酸化炭素の除去が、酸が添加された地下水のシャワリングによりなされる、請求項1に記載の地下水の処理方法。
- 前記二酸化炭素の除去が、水槽内での地下水の曝気によりなされる、請求項1に記載の地下水の処理方法。
- 前記二酸化炭素の除去が、酸が添加された地下水のシャワリングと、水槽内での地下水の曝気との併用によりなされる、請求項1に記載の地下水の処理方法。
- 前記水槽内への地下水の供給と、地下水への酸の添加と、水槽内での地下水の曝気とを連動させる、請求項3または4に記載の地下水の処理方法。
- 前記水槽内の水位が、満水時の水位の40〜75%である、請求項2〜5のいずれか一項に記載の地下水の処理方法。
- 地下水に酸を添加する添加手段と、酸が添加された地下水中の二酸化炭素を除去するための水槽とを備えた、地下水の処理装置。
- 前記水槽に、酸が添加された地下水をシャワリングして二酸化炭素を除去するシャワリング手段をさらに備えた、請求項7に記載の地下水の処理装置。
- 前記水槽内の地下水を曝気して二酸化炭素を除去する曝気手段をさらに備えた、請求項7に記載の地下水の処理装置。
- 前記水槽に、酸が添加された地下水をシャワリングして二酸化炭素を除去するシャワリング手段と、水槽内の地下水を曝気して二酸化炭素を除去する曝気手段とをさらに備えた、請求項7に記載の地下水の処理装置。
- 前記水槽内への地下水の供給と、地下水への酸の添加と、水槽内での地下水の曝気とが連動している、請求項9または10に記載の地下水の処理装置。
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