JP2017000723A - ゴーグル - Google Patents
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Abstract
Description
図4に示す、頭部マネキンを用いた水圧抵抗測定装置を使用して測定試験をした。この水圧抵抗測定装置18は、水17(静置水)を入れたプール16の上方に、傾斜レール15に沿って昇降する昇降装置14に固定された支持アーム13と、この支持アーム13に固定された頭部マネキン12をプール16に飛び込ませる装置である。ゴーグル20を頭部マネキン12に装着し、キャップ11を被せ、水面に飛び込ませる。プールの測定寸法は長さ6.0m,幅2.0m,水深1.0mである。ゴーグル20の上と下の位置には図5に示すように直径6mmの圧力センサが32mmの間隔を開けて接続されており、時間経過とともに水圧の変化を測定できるようになっている。それぞれの圧力センサ測定値からゴーグル20に加わるモーメントの差を計算することができる。図6はゴーグルを頭部マネキンに装着し、キャップを被せた正面写真である。傾斜レールの水面との傾斜角度は調節可能であり、前記昇降装置は前記傾斜レールの任意の位置で固定可能である。一例として、傾斜レール15の水面との傾斜角度は40°とし、水面からの高さ900mmの位置から水面に対して突入させ、水面突入速度は約2.5m/秒とした。分析は次の手順に従った。
(1)頭部マネキン12の位置
(2)ゴーグル装着による圧力
(3)計測時間開始から水面突入までの時間
(4)頭部マネキン12の水面突入の動画
(1)計測開始から2秒間の供試体(頭部マネキン)の移動距離を計測し、計測結果に移動平均演算(5点)後に速度を算出し、その速度の近似曲線を求める(図13)。
(2)前記の近似曲線から再び計測時間(2秒間)における速度、加速度及びそれぞれの供試体の重量を加速度に乗じて荷重を算出する(図14〜16)。
(3)ゴーグル装着時の圧力変化は、圧力に圧力センサの表面積(2.83×10-5m2)を乗じて荷重(N)として換算する。
(4)前記(2)で求めた荷重から、ゴーグルの有無と形状の違いによる水中での荷重最大値を比較する。
(5)着水時の衝撃力は、(3)で求めた荷重を用いて「水面突入時刻から水中での荷重最大の時刻」の間の力積から評価する。さらに、その荷重を用いた2つの圧力センサの中心位置におけるモーメント(アーム長さ0.016m)の差を求め、水中での荷重最大時のゴーグルのズレの影響を評価する。
Itotal=It+Ib
次にモーメントは、センサ上とセンサ下を直線で結んだ中心位置周りとした。モーメントアーム長さをL(=0.016)として、その中心位置周りにおけるモーメントをそれぞれMt,Mbとすると、次のようになる。
Mt=Ft×L
Mb=Fb×L
ここでは、ゴーグルが顔面を押す方向を正とした。次にモーメントの差△Mは、センサ上のモーメントを基準として次の計算で算出される。
△M=Mt−Mb
図1及び図3に示すゴーグル20を作成した。レンズ1、アイカップ2及びパッド3はポリカーボネート樹脂で一体成形し、ヘッドストラップ7はシリコーンゴム、ゴム状ベルトの連結部材5はポリウレタンエラストマーで成形したものを用いた。ゴム状ベルトの連結部材5はアイカップ2の下部とパッド3との間の外表面に形成されている溝部に嵌め込んだ。図3のθ1は44.9°、θ2は31.7°とした。
アイカップ2の上部側面に横一列の複数の突起10を形成した。突起10は、直径1.2mmの半球状の突起を2mm間隔で4個、アイカップ2の上部側面の傾斜部に横一列で配列させた。
このようにして得られたゴーグル20を図4に示すように頭部マネキン12に装着し、キャップ11を被せ、水圧抵抗測定試験を行った。測定数は3回とし、平均値を算出してその結果を表1にまとめて示す。図7は1回目測定時の飛び込み実験の際のゴーグルの上下に加わる水圧のモーメント差を示すグラフである。ゴーグルの上下に加わる水圧のモーメント差はほとんどないことがわかる。
図2に示すように、突起10を形成しないほかは実施例1と同様にゴーグル21を作成した。その結果を表1にまとめて示す。図8は1回目測定時の飛び込み実験の際のゴーグルの上下に加わる水圧のモーメント差を示すグラフである。
比較例1としてミズノ社製商品名“アクセルアイカッター”、比較例2としてミズノ社製商品名“アクセルアイ”、比較例3として他社品を用いて水圧抵抗測定試験を行った(測定数3の平均値)。その結果を表1にまとめて示す。比較例1の1回目測定時の結果を図9に、比較例2の1回目測定時の結果を図10に、比較例3の1回目測定時の結果を図11にそれぞれ示す。
ゴーグルを装着させないで実施例1と同様に測定した結果を表1にまとめて示す。
(1)モーメントの差は2つのセンサの間の中心周りとしてセンサ上が顔面を押す方向を正とした結果である。すなわち、モーメントの差が正であればゴーグルが下からめくれ、負であれば上からめくれる力が働く。どのゴーグルもモーメントの差は正であり、下からめくれる力が働く。本発明の各実施例品は各比較例品に比べて入水時のモーメント差が低く、水面突入時の最大荷重時におけるゴーグルの上と下の圧力モーメントの差が1×10-6N(N:ニュートン)以下であり、下からめくれる力も低い。
(2)比較例1品は、入水時にアイカップに大きなモーメント力が発生し、その後減少し、その差も大きいことが分かる。また比較例2品は、入水時にアイカップに大きなモーメント力が発生し、その後も小さなモーメント力が残留することが分かる。また比較例3品は、入水時にアイカップに大きなモーメント力が発生し、その後急減し、その差も大きいことが分かる。
(3)力積の平均値から、比較例1及び3は顔面を押す衝撃力が働き、比較例2はゴーグルが顔面から外れる衝撃力が働く。これに対して本発明の各実施例品の力積は低く、10×10-6Ns(N:ニュートン,s:秒)以下である。これは水面突入時の衝撃力が小さく、ズレにくく、顔面に密着していることを示している。
(4)以上のとおり、本発明の実施例品は入水時にほとんどモーメント力が発生せず、ゴーグルが安定して顔面に密着していることが確認できた。水圧に対して低抵抗でズレを抑制していることも確認できた。
2 アイカップ
3 パッド
4 ゴーグル本体
5 連結部材
6 接続部
7 ヘッドストラップ
8 長さ調整具
9 連結ブリッジ
10 突起
11 キャップ
12 頭部マネキン
13 支持アーム
14 昇降装置
15 傾斜レール
16 プール
17 水
18 水圧抵抗測定装置
20,21 ゴーグル
Claims (9)
- レンズ一体のアイカップと、前記アイカップの下部にパッドを含むゴーグル本体と、前記ゴーグル本体を人体の頭部に取り付けるためのヘッドストラップと、前記ゴーグル本体と前記ヘッドストラップを連結する連結部材を含むゴーグルであって、
前記連結部材はゴム状ベルトであり、前記パッドの表面を覆いかつアイカップの下部を周回し、前記ゴーグル本体の側部後方まで伸びていることを特徴とするゴーグル。 - レンズ一体のアイカップと、前記アイカップの下部にパッドを含むゴーグル本体と、前記ゴーグル本体を人体の頭部に取り付けるためのヘッドストラップと、前記ゴーグル本体と前記ヘッドストラップを連結する連結部材を含むゴーグルであって、
水面突入時の最大荷重時におけるゴーグルの上部と下部の圧力モーメントの差が1×10-6N(N:ニュートン)以下であることを特徴とするゴーグル。 - 前記ゴム状ベルトは前記アイカップの下部とパッドとの間の外表面の溝部に嵌合している請求項1又は2に記載のゴーグル。
- 前記アイカップにパッドが嵌合している請求項1〜3のいずれかに記載のゴーグル。
- 前記アイカップとパッドは一体である請求項1〜3のいずれかに記載のゴーグル。
- 前記ゴム状ベルトは、前記ゴーグル本体から前記ゴーグル本体の側部後方までスリットを有している請求項1〜5のいずれかに記載のゴーグル。
- 前記ゴム状ベルトは、前記ゴーグル本体から離れた位置で一本になっている請求項1〜6のいずれかに記載のゴーグル。
- 前記レンズの表面とアイカップの外側傾斜部の角度をθ1とし、前記レンズの表面の平行線とゴム状ベルトの上面との角度をθ2としたとき、θ1とθ2との角度関係はθ1>θ2である請求項1〜7のいずれかに記載のゴーグル。
- 前記ゴーグルは、水面突入時刻から水中での荷重最大の時刻の間の力積が、10×10-6Ns(N:ニュートン,s:秒)以下である請求項1〜8のいずれかに記載のゴーグル。
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