配列表
添付の配列表に収載されている核酸配列は、37 C.F.R.§ 1.822に定義されるヌクレオチド塩基の標準文字略号を使用して示されている。それぞれの核酸配列の1つの鎖のみが示されているが、相補鎖は表示されている鎖のいかなる参照によっても含まれると理解されている。添付の配列表では、
配列番号1は例示的なPFA1タンパク質のアミノ酸配列を示している。
配列番号2は、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種(ATCC受託番号PTA−9695で代表される)から単離した、本明細書ではPFA1 v1と呼ばれる、例示的なPFA1遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号3は、本明細書ではPFA1 v2と呼ばれる、例示的な植物最適化されたPFA1遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号4は、例示的なPFA2タンパク質のアミノ酸配列を示している。
配列番号5は、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種(ATCC受託番号PTA−9695で代表される)から単離した、本明細書ではPFA2 v1と呼ばれる、例示的なPFA2遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号6は、本明細書ではPFA2 v2と呼ばれる、例示的な植物最適化されたPFA2遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号7は、例示的なPFA3タンパク質のアミノ酸配列を示している。
配列番号8は、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種(ATCC受託番号PTA−9695で代表される)から単離した、本明細書ではPFA3 v1と呼ばれる、例示的なPFA3遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号9は、本明細書ではPFA3 v2と呼ばれる、例示的な植物最適化されたPFA3遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号10は例示的なHetI遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号11は、スキゾキトリウム(Schizochytrium)ATCC受託番号20888から単離された、例示的なSzACS2遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号12は、いくつかの実施形態において利用されるランダム「スペーサー」ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を示している。
配列番号13は、本明細書ではPFA3 v3と呼ばれる、例示的な5’切断型PFA3遺伝子のヌクレオチド配列を示している。
配列番号14は例示的な5’切断型PFA3タンパク質(PFA3v3)のアミノ酸配列を示している。
配列番号15〜38は、本明細書のある種の実施例で利用されるいくつかのプラスミドのヌクレオチド配列を示している。
I.いくつかの実施形態の概要
真核生物におけるLC−PUFAの合成のための古典的経路は、飽和またはモノ不飽和脂肪酸の伸長および不飽和化を含む。PUFAシンターゼによるLC−PUFAの合成のための経路は古典的経路とは全く異なっている。具体的には、PUFAシンターゼは炭素源としてマロニル−CoAを利用して、中間体をかなりの量で放出することなく最終PUFA(複数可)を産生する。その上、PUFAシンターゼで、酸素を必要としない機構を使用する合成中に適切なシス二重結合が付加される。例えば、NADPHを合成サイクル中に還元剤として使用してもよい。
植物、植物種子、または植物油におけるより長鎖のまたはより不飽和のPUFA(ならびに、そのようなPUFAが濃縮されている脂質、例えば、TAGおよびPLの量)の効率的で効果的な産生のための比較的安価な組成物および方法が本明細書に記載されている。そのような脂肪酸およびその産生の方法は、食物および工業用途を含む種々の状況において有用である。本明細書に記載されるように、PUFAシンターゼ系を用いて遺伝子改変された(例えば、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)藻類から同定されたPUFAシンターゼ成分およびシアノバクテリア属、例えば、ノストック(Nostoc)由来のホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ(HetI)を含有する、スキゾキトリウム(Schizochytrium)アシルCoAシンセターゼアイソザイム2も含有する)組換え宿主生物を提供することにより宿主生物(例えば、植物)におけるPUFA産生を提供し改良するためのシステムは、これらの脂肪酸を得るための従来のアプローチに勝る著しい利点を提供する。
海洋スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)藻類(ATCC受託番号PTA−9695により表される)は作物形質転換のためのPUFAシンターゼ遺伝子の供給源としても使用できる高ω−3/ω−6比の油を産生する。さらに、スキゾキトリウム(Schizochytrium)は、DHAに加えて有意水準のEPAを含有する油を産生することが可能である。かなりの量のEPAを産生するその能力は一部の他のスラウストキトリウム(Thraustochytrium)株(例えば、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種、ATCC受託番号20888)と対照的である。米国特許出願公開第2013/0150599A1号、PCT国際特許出願第WO2013/016546号。スキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼ系は、キャノーラ、ダイズ、およびモデル植物のシロイヌナズナ(Arabidopsis)において本明細書で実施例により示されるように、多種多様な作物植物において異種性に発現されると機能して、商業的に有意水準のω−3 LU−PUFA(例えば、DHAおよびEPA)を作製することができる。したがって、この遺伝子セットはいくつかの実施形態では、植物において他のPUFAシンターゼ遺伝子セットよりも有意に多くのDHAおよびEPAを産生することができる。
異なる種子特異的プロモーターおよびターミネーターの多様化、スペーサーエレメントの使用、変更された転写方向、T−DNA内の遺伝子の異なる相対的位置決め、ならびに天然のおよび改変された遺伝子配列の使用を含む、種々の構築物設計の利用も本明細書に記載されている。これらの構築物設計を使用して、回収するLC−PUFA産生事象の数およびそれに続く世代におけるω−3 LC−PUFA形質の遺伝率をさらに改良することができる。
本明細書の実施例では、キャノーラ、ダイズ、およびシロイヌナズナ(Arabidopsis)苗を、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)藻類由来のPUFAシンターゼの3つの成分ポリペプチド(すなわち、PFA1、PFA2、およびPFA3)を、ノストック(Nostoc)由来のホスホパンテテイニルトランスフェラーゼ(HetI)と共にコードする遺伝子を宿すベクターで形質転換した。いくつかの例では、4つの遺伝子すべてが種子特異的プロモーターの制御下の単一構築物に含まれており、種々の配置の種々の種子特異的プロモーターにより推進された。植物形質転換実験は、4つの導入遺伝子すべてを含有し、種子において4つのポリペプチドすべてを発現する事象を生じた。ω−3 LC−PUFA DHAおよびEPAは、得られたトランスジェニック事象から種子脂質において産生された。ω−6 LC−PUFA DPAも検出された。T1種子の容積分析において、最大2.9%DHAおよび1.0%EPA(3.9%全ω−3 LC−PUFA)ならびに1.1%DHA+2.0%EPAを含有するキャノーラ事象が回収された。T1キャノーラ種子の単一種子分析において最大4.6%DHAおよび3.7%EPAが検出された。T1種子の単一種子分析において最大1.9%DHAおよび2.2%EPAを含有するダイズ事象が回収された。
II.略字
ACS アセチルCoAシンセターゼ
DGAT ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ
DHA ドコサヘキサエン酸
DPA ドコサペンタエン酸
EPA エイコサペンタエン酸
FAME 脂肪酸メチルエステル
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LC−PUFA 長鎖多価不飽和脂肪酸
LPAT リゾホスファチジルアシルトランスフェラーゼ
LPCAT リゾホスファチジルコリンアシルトランスフェラーゼ
P1P2P3H HetIで発現されるPFA1、PFA2、およびPFA3遺伝子
P1P2P3H−ACS HetIおよびSzACS2で発現されるPFA1、PFA2、およびPFA3遺伝子
PDAT リン脂質:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ
PL リン脂質
PPTase ホスホパンテテイントランスフェラーゼ
PTU 植物転写単位
PUFA 多価不飽和脂肪酸
SzACS2 スキゾキトリウム(Schizochytrium)アシルCoAシンセターゼアイソザイム2
TAG トリアシルグリセロール
III.用語
戻し交配:戻し交配法を使用して植物に核酸配列を導入することができる。戻し交配技法は、新しい形質を植物に導入するために数十年間広く使用されてきた。Jensen, N., Ed. Plant Breeding Methodology, John Wiley & Sons, Inc., 1988。典型的な戻し交配プロトコルでは、目的の最初の種(反復親)を移行させる目的の遺伝子を担持する第2の種(一回親)に交配させる。次に、この交配から得られる子孫を再び反復親に交配させ、このプロセスは、一回親から移行した遺伝子に加えて、反復親の所望の形態上のおよび生理学上の特徴の基本的にすべてが変換された植物で回収される植物が得られるまで繰り返される。
単離された:「単離された」生物学的成分(例えば、核酸またはタンパク質)は、成分に化学的または機能的変化をもたらしつつ(例えば、核酸は、染色体中で核酸を残りのDNAに結合させている化学結合を壊すことにより染色体から単離されていることがある)、その成分が天然に存在する生物の細胞内の他の生物学的成分(すなわち、他の染色体および染色体外DNAおよびRNA、ならびにタンパク質)から実質的に分離されている、から離れて産生されている、またはから精製されている。「単離」されている核酸分子およびタンパク質には、標準的精製法により精製された核酸分子およびタンパク質が含まれる。前記用語は、宿主細胞において組換え発現により調製された核酸およびタンパク質、ならびに化学的に合成された核酸分子、タンパク質、およびペプチドも包含する。
核酸分子:本明細書で使用されるように、用語「核酸分子」とはポリマー型のヌクレオチドのことであってよく、RNA、cDNA、ゲノムDNA、ならびに上記の合成型および混合ポリマーのセンス鎖とアンチセンス鎖の両方を含んでいてよい。ヌクレオチドとは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかの種類のヌクレオチドの改変型のことであってよい。本明細書で使用される「核酸分子」は「核酸」および「ポリヌクレオチド」と同義である。核酸分子は、他の方法で明記されていなければ、通常は少なくとも10塩基長である。前記用語は一本鎖および二本鎖型のDNAを含む。核酸分子は、天然に存在するおよび/または天然に存在しないヌクレオチド連鎖により互いに連結されている天然に存在するおよび改変されたヌクレオチドのいずれかまたは両方を含むことが可能である。
核酸分子は、当業者であれば容易に認識するように、化学的にもしくは生化学的に改変してもよく、または非天然のもしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含有していてもよい。そのような改変には、例えば、標識、メチル化、1つもしくは複数の天然に存在するヌクレオチドの類似体での置換、ヌクレオチド間の改変(例えば、無電荷連鎖:例えば、メチルホスホン酸、リン酸トリエステル、ホスホロアミド酸、カルバミン酸、等;電荷連鎖:例えば、ホスホロチオエート、ジチオリン酸、等;ペンデント部分:例えば、ペプチド;介入物:例えば、アクリジン、ソラレン、等;キレート剤;アルキル化剤;および改変連鎖:例えば、アルファアノマー核酸、等)が含まれる。用語「核酸分子」には、一本鎖、二本鎖、部分的二重鎖、三重鎖、ヘアピン、環状、およびパドロック立体構造を含む、いかなるトポロジカル立体構造でも含まれる。
作動可能に連結された:第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係にある場合、第1のヌクレオチド配列は第2のヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。組換え的に産生される場合、作動可能に連結される核酸配列は一般に近接しており、必要な場合には、同じリーディングフレームにおいて2つのタンパク質コード領域を連結する(例えば、多シストロン性ORFでは)。しかし、核酸は作動可能に連結されるのに近接している必要はない。
用語「作動可能に連結された」は、調節配列およびコード配列に関連して使用される場合、調節配列が連結されたコード配列の発現に影響を与えることを意味する。「調節配列」または「制御エレメント」とは、転写のタイミングおよびレベル/量、RNAプロセッシングもしくは安定性、または関連するコード配列の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列のことである。調節配列には、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、エンハンサー、ステムループ構造体、リプレッサー結合配列、終結配列、およびポリアデニル化認識配列が含まれうる。特定の調節配列は、それに作動可能に連結されているコード配列の上流および/または下流に位置していてもよい。その上、コード配列に作動可能に連結されている特定の調節配列は二本鎖核酸分子の関連する相補鎖上に位置していてもよい。
プロモーター:本明細書で使用されるように、用語「プロモーター」とは、転写開始点から上流に存在することができ、転写を開始するためのRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合に関与しうるDNAの領域のことである。プロモーターは細胞での発現のためにコード配列に作動可能に連結していてもよく、または細胞での発現のためにコード配列に作動可能に連結していることがあるシグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結していてもよい。「植物プロモーター」とは、植物細胞において転写を開始することができるプロモーターでありうる。発生制御下のプロモーターの例には、葉、根、種子、繊維、木部導管、仮導管、または厚壁組織などの、ある種の組織での転写を優先的に開始させるプロモーターが含まれる。そのようなプロモーターは「組織優先的」と呼ばれる。ある種の組織のみで転写を開始するプロモーターは「組織特異的」と呼ばれる。「細胞型特異的」プロモーターは主に、1つまたは複数の器官においてある種の細胞型、例えば、根または葉における維管束細胞での発現を推進する。「誘導性」プロモーターは環境制御下にありうるプロモーターでありうる。誘導性プロモーターにより転写を開始しうる環境条件の例には、嫌気条件および光の存在が含まれる。組織特異的、組織優先的、細胞型特異的、および誘導性プロモーターが「非構成的」プロモータークラスを構成する。「構成的」プロモーターは、大半の環境条件下で生物の大半の細胞において活性でありうるプロモーターである。
いかなる誘導性プロモーターでも本発明のいくつかの実施形態で使用することが可能である。Ward et al. (1993) Plant Mol. Biol. 22:361-366参照。誘導性プロモーターを用いれば、転写速度は誘導剤に応じて増加する。例示的な誘導性プロモーターには、銅に応答するACEI系由来のプロモーター、ベンゼンスルホンアミド除草剤解毒剤に応答するトウモロコシ由来のIn2遺伝子、Tn10由来のTetリプレッサー、およびその転写活性が糖質コルチコステロイドホルモンにより誘導されうるステロイドホルモン遺伝子由来に誘導性プロモーター(Schena et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:0421)が含まれるがこれらに限定されない。
例示的な構成的プロモーターには、CaMV由来の35Sプロモーターなどの植物ウイルス由来のプロモーター、イネアクチン遺伝子由来のプロモーター、ユビキチンプロモーター、pEMU、MAS、トウモロコシH3ヒストンプロモーター、およびALSプロモーター、セイヨウアブラナ(Brassica napus)ALS3構造遺伝子の5’Xbal/NcoI断片(または前記Xbal/NcoI断片に対するヌクレオチド配列類似性)(国際特許公開第WO96/30530号)を含むがこれらに限定されない。
さらに、いかなる組織特異的または組織優先的プロモーターも本発明のいくつかの実施形態において利用しうる。組織特異的プロモーターに作動可能に連結しているコード配列を含む核酸分子で形質転換された植物は、もっぱらまたは優先的に特異的な組織においてそのコード配列の産物を産生しうる。例示的な組織特異的または組織優先的プロモーターには、ファゼオリン遺伝子由来のプロモーターなどの根優先プロモーター、cabまたはrubisco由来のプロモーターなどの葉特異的および光誘導プロモーター、LAT52由来のプロモーターなどの葯特異的プロモーター、Zm13由来のプロモーターなどの花粉特異的プロモーター、apg由来のプロモーターなどの小胞子優先プロモーター、および種子特異的プロモーター(例えば、PvDlec2、LfKCS3、FAE1、BoACP、またはBnaNapinC由来のプロモーター)が含まれるがこれらに限定されない。
異種性の:用語「異種性の」は、本明細書で核酸(例えば、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、および遺伝子)に適用される場合、起源が異なることを意味する。例えば、宿主細胞が天然のその非形質転換宿主細胞には存在しない核酸で形質転換されている場合は、その核酸は宿主細胞にとって異種性(および外来性)である。さらに、形質転換する核酸の異なるエレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、コード配列、ターミネーター、等)は互いにとっておよび/または形質転換される宿主にとって異種性でありうる。用語「異種性の」は、本明細書で使用されるように、宿主細胞内に既に存在する核酸に対して配列が同一であるが、現時点では異なる追加の配列に連結されているおよび/または異なるコピー数で存在している、等の1つまたは複数の核酸(複数可)にも適用しうる。
天然の:本明細書で使用されるように、用語「天然の」とは、存在するのであればそれ独自の調節配列と共に、天然に存在する生物におけるまたは生物のゲノムにおけるその天然の位置でのポリヌクレオチドまたは遺伝子の形態のことである。
内在性の:本明細書で使用されるように、用語「内在性の」とは、通常その分子を天然に含む生物またはゲノム内にあるポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドのことである。
形質転換:本明細書で使用されるように、用語「形質転換」または「形質導入」とは1つまたは複数の核酸分子(複数可)の細胞内への移入のことである。核酸分子の細胞ゲノムへの組込みによりまたはエピソーム複製により核酸分子が細胞により安定して複製されるようになると、細胞は、細胞内に形質導入された核酸分子により「形質転換」される。本明細書で使用されるように、用語「形質転換」は、核酸分子をそのような細胞内に導入することが可能であるすべての技法を包含する。例には、ウイルスベクターでのトランスフェクション、プラスミドベクターでの形質転換、電気穿孔法(Fromm et al. (1986) Nature 319:791-3)、リポフェクション(Felgner et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413-7)、マイクロインジェクション(Mueller et al. (1978) Cell 15:579-85)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介移入(Fraley et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803-7)、直接DNA取込み、および微粒子銃(Klein et al. (1987) Nature 327:70)が含まれるがこれらに限定されない。
導入遺伝子:宿主のゲノムに組み込まれている外来性核酸配列。いくつかの実施例では、導入遺伝子は、導入遺伝子のコード配列に作動可能に連結されている調節配列(例えば、プロモーター)を含有しうる。
ベクター:例えば、形質転換細胞を作製するために細胞内に導入される核酸分子。ベクターは、複製起点などの、ベクターが宿主細胞で複製するのを可能にする核酸配列を含みうる。ベクターの例には、プラスミド、コスミド、バクテリオファージ、または外来性DNAを細胞に運び入れるウイルスが含まれるがこれらに限定されない。ベクターは、1つまたは複数の遺伝子、アンチセンス分子、および/または選択可能なマーカー遺伝子ならびに当技術分野で既知の他の遺伝子エレメントも含みうる。ベクターは、細胞に形質導入する、細胞を形質転換する、または細胞に感染し、それによって細胞にベクターによりコードされる核酸分子をおよび/またはタンパク質を発現させることができる。ベクターは場合により、核酸分子の細胞内への侵入を達成するのを助ける物質(例えば、リポソーム、およびタンパク質被覆)を含む。
発現:本明細書で使用されるように、用語「発現」とは、ポリヌクレオチドによりコードされたmRNAの転写および安定した蓄積のこと、またはそのようなmRNAのポリペプチドへの翻訳のことでありうる。用語「過剰発現」は、本明細書で使用されるように、同じまたは密接に関係する遺伝子の内在性発現よりも高度な発現のことである。異種遺伝子は、その発現が密接に関係する内在性遺伝子(例えば、ホモログ)の発現よりも高度である場合には、過剰発現されている。
外来性の:用語「外来性の」とは、本明細書で核酸(例えば、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、および遺伝子)に適用される場合、その特定の環境または状況内では通常存在しない1つまたは複数の核酸(複数可)のことである。例えば、宿主細胞が天然のその非形質転換宿主細胞には存在しない核酸で形質転換されている場合は、その核酸は宿主細胞にとって外来性である。用語外来性のは、本明細書で使用するように、宿主細胞に既に存在する核酸に対して配列が同一であるが、宿主細胞に既に存在する同じ配列を有する核酸とは異なる細胞またはゲノム状況に位置している1つまたは複数の核酸(複数可)のことでもある。例えば、同じ配列を有する核酸が通常宿主細胞のゲノムに組み込まれているのとは異なる位置で宿主細胞のゲノムに組み込まれている核酸は、宿主細胞にとって外来性である。さらに、宿主細胞のプラスミドまたはベクターに存在する核酸(例えば、DNA分子)は、同じ配列を有する核酸が通常、宿主細胞のゲノムにしか存在しない場合には、宿主細胞にとって外来性である。
配列同一性:用語「配列同一性」または「同一性」とは、本明細書で使用されるように、2つの核酸またはポリペプチド配列という文脈では、特定の比較窓にわたり最大一致するように整列させた場合に同じである2つの配列における残基のことでありうる。
本明細書で使用されるように、用語「配列同一性の割合」とは、比較窓における配列の一部が、2つの配列の至適整列のための基準配列(付加も欠失も含まない)と比べた場合、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでいてもよい、比較窓にわたり2つの至適に整列させた配列(例えば、核酸配列およびアミノ酸配列)を比較することにより決定される値のことでありうる。割合は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を決定して、マッチする位置の数を出し、マッチする位置の数を比較窓の中の位置の総数で割ってその結果に100を掛けて配列同一性の割合を出すことにより、計算する。
比較のために配列を整列させるための方法は当技術分野では周知である。種々のプログラムおよび整列アルゴリズムが、例えば、Smith and Waterman (1981) Adv. Appl. Math. 2:482; Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443; Pearson and Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:2444; Higgins and Sharp (1988) Gene 73:237-44; Higgins and Sharp (1989) CABIOS 5:151-3; Corpet et al. (1988) Nucleic Acids Res. 16:10881-90; Huang et al. (1992) Comp. Appl. Biosci. 8:155-65; Pearson et al. (1994) Methods Mol. Biol. 24:307-31; Tatiana et al. (1999) FEMS Microbiol. Lett. 174:247-50に記載されている。配列整列法および相同性計算の詳細な検討は、例えば、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10に見ることができる。
国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)Basic Local Alignment Search Tool(ブラスト(商標)、Altschul et al. (1990))は、いくつかの配列解析プログラムに接続して使用するための国立バイオテクノロジー情報センター(Bethesda, MD)およびインターネット上を含むいくつかのソースから入手可能である。このプログラムを使用して配列同一性を決定する方法についての説明はインターネット上、ブラスト(商標)の「ヘルプ」セクションで入手可能である。核酸配列の比較には、ブラスト(商標)(Blastn)プログラムの「ブラスト2配列」機能をデフォルトパラメータを使用して用いることができる。基準配列にはるかに大きな類似性を有する核酸配列は、この方法で評価される場合には、増加する割合同一性を示すことになる。
本明細書で使用されるように、用語「実質的に同一の」とは、85%を超えて同一であるヌクレオチド配列のことでありうる。例えば、実質的に同一のヌクレオチド配列は、基準配列と少なくとも85.5%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.5%同一であってよい。
いくつかの実施形態では、植物中の異種核酸の存在は、核酸プローブの使用を通じて検出することができる。プローブはDNA分子でもRNA分子でもよい。RNAプローブは、当技術分野で既知の手段により、例えば、DNA分子鋳型を使用して合成することが可能である。プローブは、異種核酸のヌクレオチド配列のすべてまたは一部および植物ゲノム由来の追加の近接するヌクレオチド配列を含有しうる。これは本明細書では「近接プローブ」と呼ばれる。追加の近接するヌクレオチド配列は、従来から理解されている通りに、植物染色体由来の追加の近接するヌクレオチド配列が異種核酸の5’側にあるのか3’側にあるのかに応じて、異種核酸の「上流」または「下流」と呼ばれる。当業者であれば認識しているように、プローブに包含するための追加の近接するヌクレオチド配列を得るプロセスはほぼ無期限に繰り返され(染色体の長さによってのみ制限される)、それによって染色体に沿って追加の核酸を同定しうる。ありとあらゆる上述の変種のプローブが本発明のいくつかの実施形態で使用しうる。
プローブは異種核酸のヌクレオチド配列に近接していないヌクレオチド配列を含有していてもよく、このプローブは本明細書では「非近接プローブ」と呼ばれる。非近接プローブの配列は、非近接プローブが異種核酸に遺伝的に連結されるように染色体上の異種核酸の配列の十分近くに位置する。プローブは検出される異種核酸の正確なコピーであってもよい。プローブは、検出される異種核酸を含む染色体DNAのクローン化されたセグメントに実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む、またはからなる核酸分子であってもよい。
オリゴヌクレオチドプローブ配列は合成的に、またはクローニングにより調製しうる。適切なクローニングベクターは当業者には周知である。オリゴヌクレオチドプローブは標識してもよいし非標識でもよい。例えばおよび限定なしに、用いるヌクレオチドが、例えば、放射性32Pで標識されている、ニックトランスレーション、ランダムプライミング、末端デオキシトランスフェラーゼでのテーリング等による放射標識を含む、核酸分子を標識するための多種多様な技法が存在する。使用しうる他の標識には、例えばおよび限定なしに、フルオロフォア、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、等が含まれうる。代わりに、検出可能なシグナルを発する標識の単独でのまたは他の反応性薬剤と併せての使用は、受容体が結合するリガンドに置き換えられてもよく、その場合、受容体は標識されて(例えば、上に示す標識により)、単独でまたは他の試薬と併せて検出可能なシグナルを発する。例えば、Leary et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4045-9参照。
プローブは、検出される核酸(「DNA標的」)の正確なコピーに「特異的にハイブリダイズ可能で」あるまたは「特異的に相補的で」ある核酸分子でもよい。「特異的にハイブリダイズ可能で」および「特異的に相補的で」は、安定した特異的な結合が核酸分子とDNA標的の間で起こるのに十分な程度の相補性を示す用語である。核酸分子は特異的にハイブリダイズ可能であるその標的配列に100%相補的である必要はない。核酸分子は、特異的な結合が所望されている条件下で、例えば、厳密なハイブリダイゼーション条件下で核酸の非標的配列への非特異的結合を回避するのに十分な程度の相補性がある場合には、特異的にハイブリダイズ可能である。
特定の程度の厳密性を生じるハイブリダイゼーション条件は、好まれるハイブリダイゼーション法の性質ならびにハイブリダイズする核酸配列の組成および長さに応じて変動することになる。一般に、ハイブリダイゼーションの温度およびハイブリダイゼーションバッファーのイオン強度(特に、Na+および/またはMg++濃度)がハイブリダイゼーションの厳密性を決定するが、洗浄回数も厳密性に影響を及ぼす。特定の程度の厳密性を達成するのに必要なハイブリダイゼーション条件に関する計算は当業者には既知であり、例えば、Sambrook et al. (ed.) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nded., vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989, chapters 9 and 11; and Hames and Higgins (eds.) Nucleic Acid Hybridization, IRL Press, Oxford, 1985で考察されている。核酸のハイブリダイゼーションに関するさらに詳細な指示および指針は、例えば、Tijssen, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays,” in Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology- Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2, Elsevier, NY, 1993; and Ausubel et al., Eds., Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 2, Greene Publishing and Wiley-Interscience, NY, 1995に見出しうる。
本明細書で使用されるように、「厳密な条件」は、ハイブリダイゼーション分子とDNA標的の間のミスマッチが25%未満である場合にのみハイブリダイゼーションが起こる条件を包含する。「厳密な条件」はさらなる特定のレベルの厳密性を含む。したがって、本明細書で使用されるように、「中等度の厳密性」条件は、配列ミスマッチが25%を超える分子ではハイブリダイズしない条件であり、「中間の厳密性」の条件は、ミスマッチが15%を超える分子ではハイブリダイズしない条件であり、「高厳密性」の条件はミスマッチが10%を超える配列ではハイブリダイズしない条件である。「超高厳密性」の条件はミスマッチが6%を超える配列ではハイブリダイズしない条件である。
特定の実施形態では、厳密性条件は、6×生理クエン酸ナトリウム(SSC)バッファー、5×デンハート液、0.5%SDS、および100μgの剪断サーモン精巣DNA中65℃でのハイブリダイゼーション、続いて2×SSCバッファーおよび0.5%SDS、続いて1×SSCバッファーおよび0.5%SDS、最後に0.2×SSCバッファーおよび0.5%SDS中65℃での15〜30分逐次洗浄である。
上で考察されたすべてのプローブに関して、プローブは追加の核酸配列、例えば、プロモーター、転写シグナル、および/またはベクター配列を含んでいてもよい。
最適化された:本明細書で使用されるように、タンパク質をコードする核酸という文脈では、用語「最適化された」とは、異種ヌクレオチド配列が標的宿主生物のコドンバイアスを反映するように変更されている核酸のことである。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、遺伝子発現を妨害しうる遺伝子エレメントを取り除くようにさらに変更してもよい。
遺伝コードの重複性のせいで、複数のDNA配列が単一のアミノ酸配列をコードするように設計しうることは理解されるであろう。したがって、最適化されたDNA配列は、例えば、コドン組成がDNAが発現されることになっている宿主の全体のコドン組成に類似するようにコード領域のヌクレオチド配列を最適化しつつ、過剰な制限部位および望ましくないRNA二次構造を取り除くように設計することができる。合成DNA配列の設計および作製に関する指針は、例えば、国際特許出願第WO2013016546号、国際特許出願第WO2011146524号、国際特許出願第WO1997013402号、ならびに米国特許第6166302号、および米国特許第5380831号に見出すことができる。
保存的置換:本明細書で使用されるように、用語「保存的置換」とは、アミノ酸残基を同じクラスの別のアミノ酸で置き換える置換のことである。非保存的アミノ酸置換とは、残基が同じクラスに分類されない置換、例えば、塩基性アミノ酸の中性または非極性アミノ酸での置換である。保存的置換を実施する目的で定義されるアミノ酸のクラスは当技術分野では既知である。
いくつかの実施形態では、保存的置換は第1の脂肪族アミノ酸の第2の異なる脂肪族アミノ酸での置換を含む。例えば、第1のアミノ酸がGly、Ala、Pro、Ile、Leu、ValおよびMetのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はGly、Ala、Pro、Ile、Leu、ValおよびMetから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。特定の例では、第1のアミノ酸がGly、Ala、Pro、Ile、Leu、およびValのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はGly、Ala、Pro、Ile、Leu、およびValから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。疎水性脂肪族アミノ酸の置換に関する特定の例では、第1のアミノ酸がAla、Pro、Ile、Leu、およびValのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はAla、Pro、Ile、Leu、およびValから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。
いくつかの実施形態では、保存的置換は第1の芳香族アミノ酸の第2の異なる芳香族アミノ酸での置換を含む。例えば、第1のアミノ酸がHis、Phe、Trp、およびTyrのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はHis、Phe、Trp、およびTyrから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。非電荷芳香族アミノ酸の置換に関する特定の例では、第1のアミノ酸がPhe、Trp、およびTyrのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はPhe、Trp、およびTyrから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。
いくつかの実施形態では、保存的置換は第1の疎水性アミノ酸の第2の異なる疎水性アミノ酸での置換を含む。例えば、第1のアミノ酸がAla、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Tyr、およびTrpのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はAla、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Tyr、およびTrpから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。非芳香族疎水性アミノ酸の置換に関する特定の例では、第1のアミノ酸がAla、Val、Ile、Leu、およびMetのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はAla、Val、Ile、Leu、およびMetから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。
いくつかの実施形態では、保存的置換は第1の極性アミノ酸の第2の異なる極性アミノ酸での置換を含む。例えば、第1のアミノ酸がSer、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Arg、His、Lys、Asp、およびGluのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はSer、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Arg、His、Lys、Asp、およびGluから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。非電荷極性アミノ酸の置換に関する特定の例では、第1のアミノ酸がSer、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、およびProのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はSer、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、およびProから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。電荷極性アミノ酸の置換に関する特定の例では、第1のアミノ酸がHis、Arg、Lys、Asp、およびGluのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はHis、Arg、Lys、Asp、およびGluから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。電荷極性アミノ酸の置換に関するさらなる例では、第1のアミノ酸がArg、Lys、Asp、およびGluのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はArg、Lys、Asp、およびGluから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。正電荷(塩基性)極性アミノ酸の置換に関する特定の例では、第1のアミノ酸がHis、Arg、およびLysのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はHis、Arg、およびLysから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。正電荷極性アミノ酸の置換に関するさらなる例では、第1のアミノ酸がArgまたはLysである場合、第1のアミノ酸はArgおよびLysのうちの他方のアミノ酸で置き換えうる。負電荷(酸性)極性アミノ酸の置換に関する特定の例では、第1のアミノ酸がAspまたはGluである場合、第1のアミノ酸はAspおよびGluのうちの他方のアミノ酸で置き換えうる。
いくつかの実施形態では、保存的置換は第1の電気的に中性のアミノ酸の第2の異なる電気的に中性のアミノ酸での置換を含む。例えば、第1のアミノ酸がGly、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、およびTyrのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はGly、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、およびTyrから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。
いくつかの実施形態では、保存的置換は第1の非極性アミノ酸の第2の異なる非極性アミノ酸での置換を含む。例えば、第1のアミノ酸がAla、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、およびMetのうちの1つである場合、第1のアミノ酸はAla、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、およびMetから選択される第2の異なるアミノ酸で置き換えうる。
多くの例で、第1のアミノ酸に取って代わる保存的置換で使用する特定の第2のアミノ酸の選択は、第1と第2のアミノ酸の両方が属する前述のクラスの数を最大にするように行うことができる。したがって、第1のアミノ酸がSer(極性非芳香族で電気的に中性のアミノ酸)である場合、第2のアミノ酸は別の極性アミノ酸(すなわち、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Arg、His、Lys、Asp、またはGlu)、別の非芳香族アミノ酸(すなわち、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Arg、His、Lys、Asp、Glu、Ala、Ile、Leu、Val、またはMet)、または別の電気的に中性のアミノ酸(すなわち、Gly、Thr、Cys、Asn、Gln、またはTyr)であってよい。しかし、第2のアミノ酸はこの場合、Thr、Asn、Gln、Cys、およびGlyのうちの1つであることが好ましい可能性がある。なぜならば、これらのアミノ酸は極性、非芳香族性、および電気的中立性によるすべての分類を共有しているからである。保存的置換で使用する特定の第2のアミノ酸を選択するために場合により使用しうる追加の基準は当技術分野では既知である。例えば、Thr、Asn、Gln、Cys、およびGlyがSerに代わる保存的置換において使用するのに利用できる場合、望ましくない架橋および/またはジスルフィド結合の形成を回避するためにCysを選択から除きうる。同様に、Glyはアルキル側鎖を欠くので選択から除きうる。この場合、例えば、側鎖ヒドロキシル基の官能性を保持するためにThrを選択してもよい。しかし、保存的置換で使用する特定の第2のアミノ酸の選択は最終的には実践者の判断に委ねられる。
PUFA:本明細書で使用されるように、用語「多価不飽和脂肪酸」または「PUFA」とは、炭素鎖長が少なくとも16炭素(例えば、少なくとも18炭素、少なくとも20炭素、および22炭素またはそれよりも多い)で、二重結合が少なくとも3個またはそれよりも多く(例えば、4またはそれよりも多い二重結合、5またはそれよりも多い二重結合、および6またはそれよりも多い二重結合)、すべての二重結合がシス配置である脂肪酸のことである。
本明細書で使用されるように、用語「長鎖多価不飽和脂肪酸」または「LC−PUFA」とは、3もしくはそれよりも多い二重結合を含有する20もしくはそれよりも多い炭素の、または3もしくはそれよりも多い二重結合(例えば、4もしくはそれよりも多い二重結合、5もしくはそれよりも多い二重結合、および6もしくはそれよりも多い二重結合)を含有する22もしくはそれよりも多い炭素の炭素鎖長である脂肪酸のことである。ω−6シリーズのLC−PUFAには、例えばおよび限定なしに、ジホモガンマリノレン酸(C20:3 n−6)、アラキドン酸(C20:4 n−6)、アドレン酸(ドコサテトラエン酸またはDTAとも呼ばれる;C22:4 n−6)、およびドコサペンタエン酸(C22:5 n−6)が含まれる。ω−3シリーズのLC−PUFAには、例えばおよび限定なしに、エイコサトリエン酸(C20:3 n−3)、エイコサテトラエン酸(C20:4 n−3)、エイコサペンタエン酸(C20:5 n−3)、ドコサペンタエン酸(C22:5 n−3)、およびドコサヘキサエン酸(C22:6 n−3)が含まれる。LC−PUFAには、22炭素よりも多いおよび4個またはそれよりも多い二重結合を有する、例えばおよび限定なしに、C28:8(n−3)の脂肪酸も含まれる。
本明細書で使用される用語「PUFAシンターゼ」または「PFA」とは、PUFA(例えば、LC−PUFA)を産生する酵素、ならびに系または複合体中のそのような酵素のドメインのことである。用語PUFAシンターゼには、例えばおよび限定なしに、PUFAの産生のためのPUFA PKS系またはPKS様系が含まれる。いくつかの特異的なPUFAシンターゼは本明細書では追加の記号により名付けられる(例えば、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種、ATCC受託番号PTA−9695由来の「スキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼ」、PFA1、PFA2、およびPFA3)。用語「PUFAシンターゼ系」とは、1つまたは複数のPUFAシンターゼ(複数可)およびPUFAシンターゼの機能に影響を及ぼすことができる任意の異種アクセサリー酵素(例えば、PPTaseまたはACS)のことである。
PPTase:本明細書で使用される用語「ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ」または「PPTase」とは、コエンザイムA(CoA)由来のコファクター(例えば、4−ホスホパンテテイン)をPUFAシンターゼに存在する1つまたは複数のACPドメインに移すことによりPUFAシンターゼを活性化する酵素のことである。本明細書の実施形態において利用されるPUFAシンターゼの1つまたは複数のACPドメインを活性化することができるPPTaseの一例は、本明細書では「NoHetI」と名付けられたノストック(Nostoc)種のHetIタンパク質(例えば、PCC7120由来のHetI;以前にアナベラ(Anabaena)種PCC7120と呼ばれていた)である。
ACS:本明細書で使用されるように、用語「アシルCoAシンセターゼ」、「ACoAS」、または「ACS」とは、長鎖多価不飽和遊離脂肪酸(FFA)のアシルCoAへの転換を触媒する酵素のことである。本明細書の特定の実施形態で利用され、スキゾキトリウム(Schizochytrium)ATCC受託番号20888に由来する特異的アシルCoAシンセターゼは、追加の記号、例えば、「SzACS2」により言及される。
植物:本明細書で使用される用語「植物」には、そのいかなる子孫、細胞、組織、種子、種子油、または部分も含まれる。
形質または表現型:用語「形質」および「表現型」は本明細書では互換的に使用される。本開示の目的のため、特定の対象の形質には、例えば、油糧種子作物植物において発現することができるω−3 LC−PUFA形質が含まれる。
機能性食品:本明細書で使用されるように、用語「機能性食品」とは、通常食の一部として消費される従来の食物に外見が類似していて、従来の食物の改変されていない供給源物質に典型的に存在する成分の割合の改変に基づいて栄養価および/または特定の食物利点が増強されている食物のことである。
具体的に示されるまたは意味されていなければ、本明細書で使用されるように、用語「一つ(a)」、「一つ(an)」および「その(the)」は「少なくとも1つ」を示す。
他の方法で具体的に説明されていなければ、本明細書で使用されるすべての専門用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味を有する。分子生物学での共通語の定義は、例えば、Lewin B., Genes V, Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9); Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9); and Meyers R.A. (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見ることができる。他の方法で記述されていなければ、すべての百分率は重量百分率であり、すべての溶媒混合割合は体積割合である。すべての温度は摂氏度である。
IV.異種PUFAシンターゼ系
スキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼ
本明細書の実施形態は、遺伝子改変されてPUFAシンターゼを発現する宿主生物(例えば、植物)を含む。いくつかの実施形態では、生物は異種PUFAシンターゼ系、例えば、PUFAシンターゼおよび少なくとも1つのそのアクセサリータンパク質を含む機能的異種タンパク質系を発現するように遺伝子改変されている。本明細書の遺伝的改変は、PUFAシンターゼを内因的に発現する宿主生物におけるPUFA産生を改良するためにいくつかの実施形態では使用することもできる。
PUFAシンターゼ系は一緒に作用して、トランス−シス異性化および選択された周期でのエノイル還元反応を含む、脂肪酸鎖の反復プロセシングもならびに非反復プロセシングも行うことができるいくつかの多機能性タンパク質を含みうる(および単一機能タンパク質を含むことが可能である)。これらのタンパク質は本明細書ではコアPUFAシンターゼ酵素系またはコアPUFAシンターゼと呼ばれる。これらのタンパク質内に含有されるドメインおよびモチーフについての概説および詳細は、例えば、米国特許第6140486号、および米国特許第6566583号;米国特許出願公開第2002/0194641号、米国特許出願公開第2004/0235127号、および米国特許出願公開第2005/0100995号;国際特許公開第WO2006/135866号;ならびにMetz et al. (2001) Science 293:290-3に見出しうる。機能的PUFAシンターゼドメインは、単一タンパク質として(例えば、ドメインとタンパク質は同義である)または単一タンパク質中の2つまたはそれよりも多いドメインのうちの1つとして見出しうる。
PUFAシンターゼ活性を有するポリペプチド(およびそれをコードするポリヌクレオチドおよび遺伝子)の数多くの例が当技術分野では既知であり、本明細書に開示されている異種PUFAシンターゼを含む遺伝子改変された宿主において組み合わせることができる。そのようなPUFAシンターゼタンパク質(またはドメイン)には、細菌性と非細菌性PUFAシンターゼの両方が含まれる。非細菌性PUFAシンターゼは真核生物PFAであってよい。ある種の細菌性PUFAシンターゼは、例えば、米国特許出願公開第2008/0050505号に記載されている。細菌性PUFAシンターゼ機能的ドメインならびに他のPKS系(例えば、I型反復またはモジュラー、II型、およびIII型)および/またはFAS系由来のPUFAシンターゼ機能的ドメインまたはタンパク質と共に非細菌性PUFAシンターゼ機能的ドメインを組み込む本発明の遺伝子改変された植物を産生することが可能である。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼは、少なくとも1つのエノイルACPレダクターゼ(ER)ドメイン;複数のアシルキャリアータンパク質(ACP)ドメイン(複数可)(例えば、少なくとも1から4つ、または少なくとも5つのACPドメイン、およびいくつかの実施形態では、最大6、7、8、9,10、または10を超えるACPドメイン);少なくとも2つのβケトアシルACPシンターゼ(KS)ドメイン;少なくとも1つのアシルトランスフェラーゼ(AT)ドメイン;少なくとも1つのβケトアシルACPレダクターゼ(KR)ドメイン;少なくとも2つのFabA様βヒドロキシアシルACPデヒドラーゼ(DH)ドメイン;少なくとも1つの鎖長因子(CLF)ドメイン;および少なくとも1つのマロニルCoA:ACPアシルトランスフェラーゼ(MAT)ドメインからなる群から選択される3つ、4つ、またはそれよりも多いタンパク質に典型的には含有される生物活性ドメインを含む。特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼは、デヒドラターゼ保存活性部位モチーフを含有する少なくとも1つの領域も含む。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系は、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)藻類由来のPUFAシンターゼ(例えば、PFA1、PFA2、およびPFA3)を含む。例えば、本明細書の実施形態に従った異種PUFAシンターゼ系は、例えばおよび限定なしに、配列番号1、配列番号4、配列番号7、および/または配列番号14に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、および少なくとも99%)同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのタンパク質を含んでいてよい。特定の例では、異種PUFAシンターゼ系は配列番号1、配列番号4、配列番号7、および/または配列番号14を含む少なくとも1つのタンパク質を含む。特定の例では、異種PUFAシンターゼ系は配列番号1、配列番号4、配列番号7、および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのタンパク質を含む。
いくつかの実施形態は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、および/または配列番号14の少なくとも1つの機能的等価物を含む異種PUFAシンターゼ系を含む。例えば、前記系は、配列番号1、配列番号4、配列番号7、および/または配列番号14のバリアント、部分、断片、または誘導体を含んでいてもよく、そのようなポリペプチドはPUFAシンターゼ活性を有する。例えば、他のPUFAシンターゼポリペプチド(およびそれをコードする遺伝子)の配列は、当技術分野で利用可能な文献およびバイオインフォマティクスデータベースにおいて同定することが可能である。そのような配列は、例えば、既知のPUFAシンターゼ遺伝子またはポリペプチド配列を用いて、一般公開されているデータベースのBLAST検索を通じて同定してもよい。そのような方法では、同一性は、デフォルトパラメータGAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.1、およびGonnet250シリーズのタンパク質質量マトリックスを使用するClustalWアライメント法に基づかせることが可能である。
さらに、本明細書に開示されるPUFAシンターゼ遺伝子またはポリペプチド配列を使用すれば、天然の他のPUFAシンターゼホモログを同定することが可能である。例えば、本明細書に開示されるPUFAシンターゼ核酸断片のそれぞれを使用すれば、相同タンパク質をコードする遺伝子を単離することが可能である。配列依存性プロトコルを使用する相同遺伝子の単離は当技術分野では周知である。配列依存性プロトコルの例には、例えばおよび限定なしで、核酸ハイブリダイゼーションの方法;核酸増幅技術(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、および鎖置換増幅(SDA))の種々の使用により例証される、DNAおよびRNA増幅の方法;ならびに相補性によるライブラリー構築およびスクリーニングの方法が含まれる。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼは、異なるPUFAシンターゼ由来の1つまたは複数のドメインと組み合わされてPUFAシンターゼ活性を有する完全なPUFAシンターゼを形成するスキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼドメイン(例えば、ERドメイン、ACPドメイン、KSドメイン、ATドメイン、KRドメイン、DHドメイン、CLFドメイン、MATドメイン、およびデヒドラターゼ保存活性部位モチーフ)を含む。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼを含む遺伝子改変された生物は、別のPUFAシンターゼの少なくとも1つのドメインまたはその生物活性断片でさらに改変することが可能である。特定の実施形態では、PUFAシンターゼのドメインのいずれでもその天然構造から改変して、PUFAシンターゼ系におけるそのドメインの機能を改変するまたは増強する(例えば、その系により産生されるPUFA種類またはその比を改変する)ことができる。
ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ
ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ(PPTase)は、脂肪酸合成、ポリケタイド合成、および非リボソームペプチド合成に関与する酵素のファミリーである。特に、PUFAシンターゼ酵素に存在するACPドメインは、コエンザイムA由来のコファクター(4−ホスホパンテテイン)のアシルキャリアータンパク質(ACP)への結合による活性化が必要である。このコファクターの結合はPPTaseにより実行される。宿主生物の内在性PPTaseがPUFAシンターゼACPドメインを活性化することができなければ、その機能を実行することができるPPTaseを提供する必要がある。
ACPドメインを基質として認識することが実証されているPPTaseの一例は、ノストック(Nostoc)種のHetIタンパク質である。HetIは、前記生物中でのある種の脂肪酸の合成の原因となることが知られているノストック(Nostoc)中の遺伝子のクラスターに存在する。Black and Wolk (1994) J. Bacteriol. 176:2282-92; Campbell et al. (1997) Arch. Microbiol. 167:251-8。HetIはそのクラスターに存在するタンパク質HglEのACPドメインを活性化する可能性がある。
実施形態では、PUFAシンターゼ系は、PUFAシンターゼにとってアクセサリードメインまたはタンパク質として少なくとも1つのPPTaseまたは4’ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼドメインを含む。PPTase活性を有するポリペプチドの数多くの例が当技術分野では知られており、使用している特定のPUFAシンターゼのACPドメインを活性化することができるのであれば、本明細書の遺伝子改変された生物において使用することができる。そのような異種PUFAシンターゼ系に含まれてもよいポリペプチドの例には、例えばおよび限定なしに、配列番号10(NoHetIタンパク質)によりコードされるポリペプチドに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、および少なくとも99%)同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのタンパク質が含まれる。特定の例では、異種PUFAシンターゼ系には、配列番号10によりコードされるポリペプチドが含まれる。
いくつかの実施形態は、配列番号10によりコードされるポリペプチドの機能的等価物を含む異種PUFAシンターゼ系を含む。例えば、前記系は配列番号10によりコードされるポリペプチドのバリアント、部分、断片、または誘導体を含んでいてもよく、そのようなポリペプチドはホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ活性を有する。例えば、他のPPTase(およびそれをコードする遺伝子)の配列は、当技術分野で利用可能な文献およびバイオインフォマティクスデータベースにおいて同定することが可能である。そのような配列は、例えば、既知のPPTase遺伝子またはポリペプチド配列を用いて、一般公開されているデータベースのBLAST検索を通じて同定してもよい。そのような方法では、同一性は、デフォルトパラメータGAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.1、およびGonnet250シリーズのタンパク質質量マトリックスを使用するClustalWアライメント法に基づかせることが可能である。本明細書に開示されるPPTase配列を使用すれば天然の他のPPTaseホモログを同定することが可能である。例えば、本明細書のPPTase核酸(例えば、配列番号10)を使用すれば相同タンパク質をコードする遺伝子を単離することが可能である。
前述に従えば、いくつかの実施形態では、遺伝子改変された生物(例えば、植物)および/またはその子孫、細胞、組織、もしくは部分は異種PUFAシンターゼ(例えば、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)藻類由来のPUFAシンターゼ)および異種PPTase(例えば、NoHetI PPTase)を含む。
アシルCoAシンセターゼ
アシルCoAシンセターゼ(ACS、または代わりにACoAS)タンパク質は、長鎖PUFA遊離脂肪酸(FFA)のアシルCoAへの転換を触媒する。ACoAS活性を有するポリペプチドの数多くの例が当技術分野では既知であり、本明細書の実施形態において使用することができる。例えば、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種、ATCC受託番号20888は、配列番号11によりコードされるポリペプチド(SzACS2タンパク質)を含む、PUFAシンターゼの遊離脂肪酸産物をアシルCoAに転換することができる1つまたは複数のACoASを有する。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系には、例えばおよび限定なしに、配列番号11によりコードされるポリペプチドに対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、および少なくとも99%)同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのタンパク質が含まれる。特定の例では、異種PUFAシンターゼ系は配列番号11によりコードされるポリペプチドを含む。
いくつかの実施形態は、配列番号11によりコードされるポリペプチドの機能的等価物を含む異種PUFAシンターゼ系を含む。例えば、前記系は配列番号11によりコードされるポリペプチドのバリアント、部分、断片、または誘導体を含んでいてもよく、そのようなポリペプチドはアシルCoAシンセターゼ活性を有する。例えば、他のACoAS(およびそれをコードする遺伝子)の配列は、当技術分野で利用可能な文献およびバイオインフォマティクスデータベースにおいて同定することが可能である。そのような配列は、例えば、既知のACoAS遺伝子またはポリペプチド配列を用いて、一般公開されているデータベースのBLAST検索を通じて同定してもよい。そのような方法では、同一性は、デフォルトパラメータGAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.1、およびGonnet250シリーズのタンパク質質量マトリックスを使用するClustalWアライメント法に基づかせることが可能である。本明細書に開示されるACoAS配列を使用すれば天然の他のACoASホモログを同定することが可能である。例えば、本明細書のACoAS核酸(例えば、配列番号11)を使用すれば相同タンパク質をコードする遺伝子を単離することが可能である。
前述に従えば、いくつかの実施形態では、遺伝子改変された生物(例えば、植物)および/またはその子孫、細胞、組織、もしくは部分は異種PUFAシンターゼ(例えば、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種由来のPUFAシンターゼ)、異種PPTase(例えば、NoHetI PPTase)、および異種ACoAS(例えば、ATCC受託番号20888由来のスキゾキトリウム(Schizochytrium)ACoAS)を含む。
機能的等価物には、基準アミノ酸配列(すなわち、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10によりコードされるポリペプチド、配列番号11または配列番号14によりコードされるポリペプチド)内のアミノ酸残基の付加または置換が含まれるがこれらに限定されず、この付加または置換はサイレント変化をもたらし、したがって、機能的に等価な遺伝子産物を産生する。例えば、保存的アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似に基づいて行うことができる。
PUFAシンターゼ、PPTase、および/またはACoASに部位特異的変異を(当業者には周知のランダム変異誘発技法を使用して)加えることが可能であり、こうして得られる変異酵素をアッセイして予想される活性を確かめることができる。例えば、配列番号1、配列番号4、配列番号7、配列番号10によりコードされるポリペプチド、配列番号11または配列番号14によりコードされるポリペプチドを相同体および他の関係するタンパク質と整列させることができ、同一アミノ酸残基および保存された残基が示される。機能、例えば、PUFAシンターゼ活性、ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ活性、およびアシルCoAシンセターゼ活性を保持するポリペプチドを産生するために種々の位置での保存的変化を操作することが可能である。
本明細書の実施形態は、例えば、異種PUFAシンターゼ系の少なくとも1つの成分をコードしている1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むトランスジェニック生物(例えば、植物)を提供することにより、異種PUFAシンターゼ系の発現を行う。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系の少なくとも1つの成分をコードしている異種ポリヌクレオチドは、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種由来のPUFAシンターゼをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。例えば、本明細書の実施形態の異種ポリヌクレオチドは、例えばおよび限定なしに、配列番号1、配列番号4、配列番号7、および/または配列番号14に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、および100%)同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのタンパク質をコードしうる。
いくつかの例では、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種由来のPUFAシンターゼをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、配列番号9、および/または配列番号13に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、および100%)同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
特定の例では、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種由来のPUFAシンターゼをコードする異種ポリヌクレオチドは、厳密な条件(例えば、極めて厳密な条件)下で配列番号2および/または配列番号3;配列番号5および/または配列番号6;配列番号8、配列番号9、および/または配列番号13にハイブリダイズする。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系の少なくとも1つの成分をコードしている異種ポリヌクレオチドは、シアノバクテリア属ノストック(Nostoc)由来のホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ(HetI)をコードするポリヌクレオチドを含む。例えば、本明細書の実施形態の異種ポリヌクレオチドは、例えばおよび限定なしに、配列番号10によりコードされるポリペプチド(すなわち、NoHetI)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、および100%)同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのタンパク質をコードしうる。
いくつかの例では、シアノバクテリア属ノストック(Nostoc)由来のホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ(HetI)をコードするポリヌクレオチドは、配列番号10に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、および100%)同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
特定の例では、ノストック(Nostoc)ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ(NoHetI)をコードするポリヌクレオチドは、厳密な条件(例えば、極めて厳密な条件)下で配列番号10にハイブリダイズする。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系の少なくとも1つの成分をコードしている異種ポリヌクレオチドは、スキゾキトリウム(Schizochytrium)由来のACoASをコードするポリヌクレオチドを含む。例えば、本明細書の実施形態の異種ポリヌクレオチドは、例えばおよび限定なしに、配列番号11によりコードされるポリペプチド(すなわち、SzACS2)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、および100%)同一性を有するアミノ酸配列を含む少なくとも1つのタンパク質をコードしうる。
いくつかの例では、スキゾキトリウム(Schizochytrium)(例えば、ATCC受託番号20888)由来の異種ACoASをコードするポリヌクレオチドは、配列番号11に対して少なくとも70%(例えば、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、および100%)同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
特定の例では、異種ACoASをコードするポリヌクレオチドは、厳密な条件(例えば、極めて厳密な条件)下で配列番号11にハイブリダイズする。
実施形態では、異種PUFAシンターゼの少なくとも1つの成分をコードしている1つまたは複数のポリヌクレオチドは、スラウストキトリドスキゾキトリウム(Schizochytrium)種由来のPUFAシンターゼをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを、シアノバクテリア属ノストック(Nostoc)由来のホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼ(HetI)をコードするポリヌクレオチドおよび/またはスキゾキトリウム(Schizochytrium)由来のACoASをコードする異種ポリヌクレオチドと一緒にまたはなしで含みうる。いくつかの例では、前述の成分をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドは単一の核酸分子に存在する。いくつかの例では、前記少なくとも1つのポリヌクレオチドは複数の核酸分子に存在する。
いくつかの実施形態は異種PUFAシンターゼの少なくとも1つの成分をコードしている1つまたは複数のポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、プラスミド)を含む。例では、そのようなベクターは、標的宿主生物において前記ポリヌクレオチドの発現を引き起こすように、前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結された調節配列を含む。そのようなベクターの特定の例には、pDAB101429(配列番号15)、pDAB101454(配列番号16)、pDAB101496(配列番号17)、pDAB109525(配列番号18)、pDAB109584(配列番号19)、pDAB109588(配列番号20)、pDAB112210(配列番号21)、pDAB112206(配列番号22)、pDAB107962(配列番号23)、pDAB109591(配列番号24)、pDAB109592(配列番号25)、pDAB107960(配列番号26)、pDAB110132(配列番号27)、pDAB107961(配列番号28)、pDAB110151(配列番号29)、pDAB112285(配列番号30)、pDAB117501(配列番号31)、pDAB117502(配列番号32)、pDAB112200(配列番号33)、pDAB112201(配列番号34)、pDAB112203(配列番号35)、pDAB112205(配列番号36)、pDAB112208(配列番号37)、およびpDAB112209(配列番号38)などの組換え発現ベクターが含まれる。
組換えDNA技術における既知の技法をある種の実施形態で使用すれば、例えばおよび限定なしに、宿主細胞内のポリヌクレオチドのコピー数を操作することにより、それらのポリヌクレオチドが転写される効率を操作することにより、得られた転写物が翻訳される効率を操作することにより、および翻訳後修飾の効率を操作することにより、異種ポリヌクレオチドの発現の制御を改良することができる。追加の例として、プロモーター配列を遺伝的に操作すれば、基準プロモーターと比べた場合に宿主における発現レベルを改良することができる。このように、核酸分子の発現を制御するのに有用な技法には、例えばおよび限定なしに、1つまたは複数の宿主細胞染色体への核酸分子の組込み、ベクター安定性配列のプラスミドへの付加、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、およびエンハンサー)の置換または改変、翻訳制御シグナル(例えば、リボソーム結合部位およびシャインダルガーノ配列)の置換または改変、宿主細胞のコドン使用頻度に対応する核酸分子の改変、および転写物を不安定化する配列の削除が含まれる。
V.遺伝子改変された生物を作製する方法
著しく高収量の1つまたは複数の所望の多価不飽和脂肪酸を産生するために、宿主生物(例えば、植物)を遺伝子改変して生物内に異種PUFAシンターゼ系を導入することが可能である。いくつかの実施形態では、このプロセスを用いて異種PUFAシンターゼ系を含む遺伝子改変された生物を生産する。いくつかの例には、例えば、PUFAシンターゼ系の最終産物、例えば、DHAおよびEPAなどのLC−PUFAの産生および/または蓄積を改良するまたは増強するために、そのような遺伝的改変の有効性を改良するまたは増強する方法も含まれる。本明細書の特定の実施形態は、上述のように、1つまたは複数のスキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼおよびPPTaseの発現をもたらし、異種宿主においてPUFA産生および/または蓄積を増加する。特定の実施形態は宿主においてACSの発現ももたらす。
例えばおよび限定なしに、植物を含む、遺伝子改変された生物における遺伝子発現のための方法は当技術分野では既知である。いくつかの実施形態では、発現されるPUFAシンターゼ系の成分をコードする異種ポリヌクレオチドのコード領域は、標的宿主細胞についてコドン最適化されている。例えばおよび限定なしに、植物細胞を含む、組換え宿主細胞における遺伝子の発現は、対象のコード領域に作動可能に連結されているプロモーターおよび/または転写ターミネーターを必要とすることがある。いくつかの実施形態では、PUFAシンターゼ系の成分をコードする異種ポリヌクレオチドは種子特異的プロモーター(例えば、PvDlec2、LfKCS3、FAE1、BoACP、およびBnaNapinC)に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、PUFAシンターゼ系の成分をコードする異種ポリヌクレオチドは葉特異的プロモーター(例えば、ユビキチンおよびCsVMV)に作動可能に連結されている。ある種の実施形態で使用しうるプロモーターの他の非限定的例には、アシルキャリアータンパク質プロモーター(国際特許公開第WO1992/18634号)およびインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリンプロモーター(および切断型)が含まれる。例えば、Slightom et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:1897-1901; Sengupta-Gopalan et al. (1985) Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 82:3320-4; van der Geest et al. (1997) Plant Mol. Biol. 33:553-7; and Bustos et al. (1991) EMBO J. 10:1469-79参照。
いくつかの実施形態は、PUFAシンターゼ系の成分をコードする1つまたは複数の異種ポリヌクレオチドを含む組換えベクター(例えば、プラスミド)を含む。組換えベクターは、好ましい核酸配列を操作するためのおよび/またはそのような核酸配列を宿主細胞内に導入するためのツールとして使用される工学的に操作された(例えば、人工的に作製される)核酸分子である。したがって、組換えベクターは、その中でポリヌクレオチドをクローニングする、シークエンシングする、ならびに/または、ポリヌクレオチドを宿主細胞で発現させるおよび/もしくはそこに送達して組換え細胞を形成することによりなどの他の方法でポリヌクレオチドを操作するための使用に適切でありうる。ベクターは、クローニングされるまたは送達されるポリヌクレオチドに天然には隣接して存在しないヌクレオチド配列を含有しうる。ベクターは、前記ポリヌクレオチドに天然には隣接して存在するまたは前記ポリヌクレオチドの発現に有用である調節核酸配列(例えば、プロモーター、非翻訳領域)も含有しうる。組み込まれたポリヌクレオチドは、染色体プロモーター制御下、天然のもしくはプラスミドプロモーター制御下、またはいくつかのプロモーター制御の組合せ下にあってもよい。ベクターはRNAでもDNAでもよく、原核生物でも真核生物でもよい。ベクターは、染色体外エレメント(例えば、プラスミド)として維持されてもよく、または組換え生物(例えば、微生物および植物細胞)の染色体に組み込まれてもよい。全ベクターは宿主細胞内の決まった場所に残っていてもよく、またはある種の条件下では、外来性DNA(例えば、不必要なプラスミド配列)を削除して、後にPUFAシンターゼ系の成分をコードする1つまたは複数の異種ポリヌクレオチドを残してもよい。異種ポリヌクレオチドの単一または複数コピーが宿主ゲノムに組み込まれてもよい。本発明の組換えベクターは少なくとも1つの選択可能マーカーを含有することができる。
いくつかの実施形態では、PUFAシンターゼ系の成分をコードする1つまたは複数の異種ポリヌクレオチドを含む組換えベクターは、発現ベクター、例えば、植物発現ベクターである。そのような実施形態では、産生される産物(例えば、スキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼ、NoHetI、およびSzACS2)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドは、組換え宿主細胞内での核酸配列の転写および翻訳を可能にするベクター内の調節配列にポリヌクレオチド(複数可)を作動可能に連結するように組換えベクター内に挿入することができる。種々の宿主生物および細胞の形質転換に有用なベクターは当技術分野では既知である。典型的には、ベクターは選択可能なマーカー、および所望の宿主での自律複製または染色体組込みを可能にする配列を含有する。
宿主細胞の形質転換に適した方法には、プロトプラストの形質転換により(例えば、米国特許第5508184号参照)、乾燥/阻害媒介DNA取込みにより(例えば、Potrykus et al. (1985) Mol. Gen. Genet. 199:183-8参照)、エレクトロポレーションにより(例えば、米国特許第5384253号参照)、炭化ケイ素繊維を用いた撹拌により(例えば、米国特許第5302523号および米国特許第5464765号参照)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換により(例えば、米国特許第5563055号、米国特許第5591616号、米国特許第5693512号、米国特許第5824877号、米国特許第5981840号、および米国特許第6384301号参照)、およびDNA被覆粒子の加速により(例えば、米国特許第5015580号、米国特許第5550318号、米国特許第5538880号、米国特許第6160208号、米国特許第6399861号、および米国特許第6403865号参照)などのDNAを細胞に導入することが可能ないかなる方法も含まれる。こうした技法の適用を通じて、単子葉植物と双子葉植物の両方を含む、事実上いかなる種の細胞でも安定的に形質転換することができる。いくつかの実施形態では、形質転換DNAは宿主細胞のゲノムに組み込まれる。多細胞種の場合には、トランスジェニック細胞をトランスジェニック生物中に再生することができる。これらの技法のうちのいずれでも使用して、例えば、トランスジェニック植物のゲノムにPUFAシンターゼ系の成分をコードする1つまたは複数の異種ポリヌクレオチドを含むトランスジェニック単子葉植物または双子葉植物を産生することができる。
発現ベクターを植物内に導入するための最も広く利用されている方法は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)の天然の形質転換系に基づいている。アグロバクテリウム・ツメファシエンス(A. tumefaciens)およびアグロバクテリウム・リゾゲネス(A. rhizogenes)は、植物細胞を遺伝的に形質転換する植物病原性土壌細菌である。それぞれ、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(A. tumefaciens)とアグロバクテリウム・リゾゲネス(A. rhizogenes)のTiとRiプラスミドは植物の遺伝子形質転換の原因である遺伝子を担持している。Ti(腫瘍誘発)プラスミドは、形質転換された植物に移入されるT−DNAとして知られる大きなセグメントを含有する。Tiプラスミドの別のセグメント、vir領域はT−DNA移入の原因である。T−DNA領域は末端反復と境を接している。改変バイナリーベクターでは、腫瘍誘発遺伝子は削除されており、vir領域の機能を利用してT−DNAボーダー配列と境を接する外来DNAを移入する。T領域は、トランスジェニック植物および細胞の効率的な回収のための選択可能なマーカーならびにdsRNAコード核酸などの移入のための配列を挿入するための複数のクローニング部位も含有することができる。
したがって、いくつかの実施形態では、植物形質転換ベクターはアグロバクテリウム・ツメファシエンス(A. tumefaciens)のTiプラスミド(例えば、米国特許第4536475号、米国特許第4693977号、米国特許第4886937号、および米国特許第5501967号、ならびに欧州特許第0122791号参照)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(A. rhizogenes)のRiプラスミドに由来する。追加の植物形質転換ベクターには、例えばおよび限定なしで、Herrera-Estrella et al. (1983) Nature 303:209-13; Bevan et al. (1983) Nature 304:184-7; Klee et al. (1985) Bio/Technol. 3:637-42、および欧州特許第0120516号に記載されているベクター、ならびに前述のいずれかに由来するベクターが含まれる。天然に植物と相互作用するシノリゾビウム(Sinorhizobium)、リゾビウム(Rhizobium)、およびメソリゾビウム(Mesorhizobium)などの他の細菌を改変すれば、いくつかの多様な植物への遺伝子移入を媒介することが可能である。これらの植物関連共生細菌は、武装解除されたTiプラスミドと適切なバイナリーベクターの両方を獲得することにより遺伝子移入に対しコンピテントになることが可能である。
受容細胞に外来性DNAを提供した後、形質転換細胞は一般に、さらなる培養および植物再生のために同定される。形質転換細胞を同定する能力を改良するためには、形質転換体を生み出すために使用する形質転換ベクターと一緒に、前述のように、選択可能なまたはスクリーニング可能なマーカー遺伝子を用いることを望みうる。選択可能マーカーが使用される場合、形質転換細胞は、細胞を選択剤(単数または複数)に曝露することにより潜在的に形質転換された細胞集団の中で同定される。スクリーニング可能マーカーが使用される場合、細胞は所望のマーカー遺伝子形質についてスクリーニングすることができる。
選択剤への曝露を乗り切る細胞またはスクリーニングアッセイにおいてプラスのスコアーが出た細胞は、植物の再生を支持する培地において培養することができる。いくつかの実施形態では、いかなる適切な植物組織培養培地(例えば、MSおよびN6培地)でも、成長調節剤などの追加の物質を含むことにより改変することができる。組織は、植物再生の試みを開始するのに十分な組織が入手可能になるまで、または各個選択の繰り返しラウンドに続いて、組織の形態が再生にとり適切になるまで(例えば、少なくとも2週間)、成長調節剤を有する基本培地上で維持し、その後苗条形成を助成する培地に移すことができる。培養物は十分な苗条形成が起こるまで定期的に移される。苗条は、形成されると、根形成を助成する培地に移される。十分な根が形成されると、苗はさらなる成長および成熟のために土壌に移すことが可能である。
再生中の植物において対象の核酸分子(例えば、PUFAシンターゼ系の成分をコードする異種ポリヌクレオチド)の存在を確認するため、種々のアッセイを実施することができる。そのようなアッセイには、例えば、サザンおよびノーザンブロッティング、PCR、および核酸シークエンシングなどの分子生物学的アッセイ;例えば、免疫学的手段(ELISAおよび/またはウェスタンブロット)によりまたは酵素的機能によりタンパク質産物の存在を検出するなどの生化学的アッセイ;葉または根アッセイなどの植物部分アッセイ、ならびに全再生された植物の表現型の分析が含まれる。
組込み事象は、例えば、対象の核酸分子に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCR増幅により分析することができる。PCR遺伝子型判定は、ゲノムに組み込まれている対象の核酸分子を含有すると予想される単離された宿主植物カルス組織由来のゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、それに続くPCR増幅産物の標準的クローニングおよび配列解析を含むがこれに限定されないと理解されている。PCR遺伝子型判定の方法は十分に説明されており(例えば、Rios, G. et al. (2002) Plant J. 32:243-53)、細胞培養物を含めて、任意の植物種(例えば、トウモロコシ(Z. mays)またはジーマックス(G. max))または組織型由来のゲノムDNAに適用することができる。
アグロバクテリウム(Agrobacterium)依存性形質転換法を使用して形成されるトランスジェニック植物は、典型的には1つの染色体に挿入された単一の組換えDNA配列を含有する。単一の組換えDNA配列は「トランスジェニック事象」または「組込み事象」と呼ばれる。そのようなトランスジェニック植物は、挿入された外来性配列についてヘテロ接合性である。いくつかの実施形態では、導入遺伝子に関してホモ接合性のトランスジェニック植物は、単一の外来性遺伝子配列を含有する独立した分離個体のトランスジェニック植物をそれ自体、例えば、T0植物に性的に交配(自家受粉)させてT1種子を生成することにより、得ることができる。生成されたT1種子の4分の1は導入遺伝子に関してホモ接合性になる。T1種子を発芽させると、典型的にはSNPアッセイまたはヘテロ接合体とホモ接合体の区別を可能にする熱増幅アッセイ(すなわち、接合状態アッセイ)を使用してヘテロ接合性について試験することが可能である苗が生じる。
組換え核酸分子での植物の直接形質転換に加えて、少なくとも1つのトランスジェニック事象を有する第1の植物をそのような事象に欠く第2の植物と交雑させることによりトランスジェニック植物を調製することが可能である。例えば、PUFAシンターゼ系の成分をコードする1つまたは複数の異種ポリヌクレオチド(複数可)を含む組換え核酸分子を、形質転換を受け入れられる第1の植物系統に導入してトランスジェニック植物を産生することができ、そのトランスジェニック植物を第2の植物系統と交雑させて、第2の植物系統に前記ポリヌクレオチド(複数可)を遺伝子移入することができる。
いくつかの実施形態は、宿主の1つまたは複数のオルガネラへの異種PUFAシンターゼ系ポリペプチドの発現のターゲティングを含む。例えば、いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系の発現は植物の色素体を標的にする。色素体ターゲティング配列の変種は当技術分野では既知であり、異種宿主が植物または植物細胞であり、色素体へのターゲティングが望ましい実施形態で使用することが可能である。いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系の発現はサイトゾルを標的にする。いくつかの実施形態では、アシルCoAシンセターゼ(ACoAS)はサイトゾルで発現されてLC−PUFA遊離脂肪酸をアシルCoAに転換し、次にアシルCoAをアシルトランスフェラーゼが利用することが可能である。いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系の発現は植物の色素体とサイトゾルの両方を標的にする。
特定の実施形態は、少なくとも1つのスキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼのオルガネラターゲティング(例えば、植物中の色素体または葉緑体への)のNoHetI PPTaseと一緒の使用を含む。遺伝子産物の色素体または葉緑体へのターゲティングは種々のタンパク質のアミノ末端に存在するシグナル配列により制御され、シグナル配列は移入中に切断されて、成熟タンパク質を産生する。例えば、Comai et al. (1988) J. Biol. Chem. 263:15104-9参照。これらのシグナル配列は異種遺伝子産物に融合させて異種産物の葉緑体中への移入をもたらすことが可能である。van den Broeck et al. (1985) Nature 313:358-63。適切なシグナル配列をコードするDNAは、例えば、RUBISCOタンパク質、CABタンパク質、EPSPシンターゼ酵素、GS2タンパク質、および葉緑体局在性であることが知られている他の多くのタンパク質をコードするcDNAから単離することが可能である。
特定の実施形態で利用される葉緑体または色素体に遺伝子を局在化させるための代わりの方法には、葉緑体または色素体形質転換が含まれる。葉緑体DNAのみが異種PUFAシンターゼ系ポリペプチドを組み込むように改変されている組換え植物を産生することが可能である。葉緑体で機能するプロモーターは当技術分野では既知である。Hanley-Bowden et al. (1987) Trends in Biochem. Sci. 12:67-70。異種DNAが挿入されている葉緑体を含有する細胞を入手するための方法および組成物は、例えば、米国特許第5693507号および米国特許第5451513号に記載されている。
組換え宿主の前述の遺伝子操作は、標準的遺伝子技法およびスクリーニングを使用して実施することが可能であり、遺伝子操作に適しているいかなる宿主細胞においても行うことができる。いくつかの実施形態では、組換え宿主は、双子葉植物と単子葉植物の両方を含む高等植物、ならびに作物植物およびその油のために使用される植物を含む消費可能植物である。したがって、さらに下に記載されているように、いかなる植物種または植物細胞でも選択することが可能である。
VI.トランスジェニック植物
異種PUFAシンターゼ系、例えば、PUFAシンターゼおよび少なくとも1つのそのアクセサリータンパク質を含む機能的異種タンパク質系を発現しているいかなる植物または植物細胞でも本明細書の特定の実施形態に含まれる。特定の実施形態は、スキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼをコードする異種ポリヌクレオチドおよびNoHetI PPTaseをコードするポリヌクレオチドを含む植物細胞を含み、この植物細胞はスキゾキトリウム(Schizochytrium)ACoASをコードするポリヌクレオチドを含むこともできる。いくつかの例では、そのようなトランスジェニック植物は、宿主によるPUFAまたはPUFAシンターゼの他の生理活性産物の産生および/または蓄積を改良するために追加のポリペプチド(例えば、ACoAS、GPAT、LPAAT、DAGAT、およびアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase))を発現するように遺伝的にさらに改変されている。
いくつかの実施形態では、遺伝子改変された植物(および/またはその植物細胞)は、例えばおよび限定なしで、高等植物;双子葉植物;単子葉植物;消費可能植物(例えば、作物植物およびその油のために使用される植物);ダイズ;ナタネ;亜麻仁;トウモロコシ;ベニバナ;ヒマワリ;タバコ;マメ科の植物(マメ科(Leguminosae)、マメ科(legume family)、エンドウマメ科、マメ科(bean family)、またはマメ科(pulse family));ダイズ(Glycine)属の植物(例えば、G.アルビカンス(G.albicans)、G.アフィオノタ(G.aphyonota)、G.アレナリ(G.arenari)、G.アルギレア(G.argyrea)、G.カネセンス(G.canescens)、G.クランデスチン(G.clandestine)、G.カーバタ(G.curvata)、G.シルトロバ(G.cyrtoloba)、G.ファルカテ(G.falcate)、G.グラセイ(G.gracei)、G.ヒルチカウリス(G. hirticaulis)、G.ヒルチカウリス亜種レプトサ(G. hirticaulis亜種leptosa)、G.ラクトビレンス(G.lactovirens)、G.ラチフォリア(G.latifolia)、G.ラトロベアナ(G.latrobeana)、G.ミクロフィラ(G.microphylla)、G.モンティス−ダグラス(G.montis-douglas)、G.ペラトサ(G.peratosa)、G.ペスカドレンシス(G.pescadrensis)、G.ピンダニカ(G.pindanica)、G.プレニイ(G.pullenii)、G.ルビギノサ(G.rubiginosa)、G.ステノフィタ(G.stenophita)、G.シンデチカ(G.syndetika)、G.タバシナ(G.tabacina)、G.トメンテラ(G.tomentella)、G.ソジャ(G.soja)、およびG.マックス(G.max)(ダイズ));ピーナツ;インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、ソラマメ(Vicia faba);およびエンドウマメ(Pisum sativum)からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、遺伝子改変された植物は、医薬品、香味料、栄養補助食品、機能的食品原料成分もしくは美容活性物質として使用される化合物を産生することが知られている植物、またはこれらの化合物/薬剤を産生するよう遺伝的に操作されている植物である。
いくつかの実施形態では、遺伝子改変された植物は、油糧種子、および/またはそこからの油が異種PUFAシンターゼ系により産生されるLC−PUFAを含有する、油糧種子植物である。特定の実施形態では、そのような油はPUFAシンターゼの産物(例えば、DHAおよびEPA)である検出可能な量の少なくとも1つの標的または主要LC−PUFAを含有する。いくつかの実施形態では、そのような油は、標的または主要LC−PUFA産物ではなく野生型植物中の内在性FAS系によっては天然に産生されない中間産物または副産物が実質的にないことが可能である(例えば、野生型植物はFAS系により18炭素PUFAなどのいくつかのより短いまたは中間鎖PUFAを産生するが、異種PUFAシンターゼを用いた遺伝的改変の結果として植物には新たな、または追加の脂肪酸が産生されることになる)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系を発現するトランスジェニック植物または種子は、殺虫性タンパク質(例えば、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)殺虫性タンパク質)をコードする遺伝子;除草剤耐性遺伝子(例えば、グリホサートに対する耐性を与える遺伝子);および収量の増加、変化した脂肪酸代謝、または細胞質雄性不稔性の回復などのトランスジェニック植物における望ましい表現型に貢献する遺伝子を含むが限定されない、少なくとも1つの他のトランスジェニック事象をそのゲノムに含むこともできる。特定の実施形態では、少なくとも1つのスキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼをコードするポリヌクレオチドは、組換えDNA技法、または既に追加の導入遺伝子(複数可)を含む植物を用いた従来の育種によりそのような追加の導入遺伝子と組み合わされる。
本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系を発現する植物の部分もいくつかの実施形態に含まれる。そのような植物部分には、例えばおよび限定なしに、種子(成熟種子および未成熟種子を含む)、組織、花粉、胚、花、果実、苗条、葉、根、茎、および移植片を含む植物のいかなる部分でも含まれる。特定の実施形態は、本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系を発現する植物の子孫を含む。
VII.商品生産物
本明細書の実施形態は、例えばおよび限定せずに、そこから生産される油を含む、本明細書に記載される植物、子孫、植物部分、または細胞によりまたはそれから生産される産物を含む。したがって、いくつかの実施形態は、本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系の1つまたは複数のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを含有し、異種PUFAシンターゼ系を発現する組換え植物または種子から生産される商品生産物を含む。本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系の1つまたは複数のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを含有する商品生産物には、例えばおよび限定せずに、前記ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドの1つまたは複数を含有するミール、油、破砕または全粒穀物または種子、ならびに組換え植物または種子のミール、油、または破砕もしくは全粒穀物を含むいかなる食物産物でも含まれる。本明細書で企図されている1つまたは複数の植物商品または植物商品生産物中で本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを検出すれば、前記商品または商品生産物が異種PUFAシンターゼ系を発現するトランスジェニック植物で構成されていることの事実上の証拠である。例えば、油中の混入物として本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを検出すれば、前記油が異種PUFAシンターゼ系を発現するトランスジェニック植物から生産されたことの事実上の証拠である。
本明細書の実施形態は、他の方法では植物種により産生されないPUFAを産生する異種PUFAシンターゼ系の使用を手段とした、遺伝子改変された植物の成長により1つまたは複数の所望の(標的または主要な)PUFAが濃縮された商業的に価値ある脂質の生産を可能にする。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子改変された生物は、EPA(C20:5、n−3)、DHA(C22:6、n−3)、DPA(C22:5、n−6またはn−3)およびこれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の多価不飽和脂肪酸を生産する。本明細書のいくつかの実施形態は、これらのPUFAを含む本明細書に記載される遺伝子改変された植物から得られる油糧種子および油を特に含む。
PUFAシンターゼを内因的に含有する植物は知られておらず、したがって、本明細書の実施形態は他に類のない脂肪酸産生能力のある植物を産生する機会を提供する。いくつかの実施形態は、植物由来の脂肪酸の新規組合せを種々の比および形態で含むいくつかの「デザイナー油」のいずれか1つを創造する能力を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される異種PUFAシンターゼ系を使用すれば、PUFA産生の範囲を拡大し、大部分の作物植物を成長させるのに使用されている温度範囲内でそのようなPUFAを首尾よく産生することが可能になる。
いくつかの実施形態では、植物商品生産物は、PUFAを合成するための系の中間または副産物が「実質的にない」。この文脈において本明細書で使用されるように、用語「実質的にない」とは、異種PUFA系(例えば、野生型植物でも、示されている遺伝子改変のためにレシピエントとして使用される親植物でも産生しない)の導入または存在の結果として遺伝子改変された植物(および/または植物の部分および/または種子油部分)において産生されるいかなる中間または副産物脂肪酸(非標的PUFA)も、例えばおよび限定なしに、全脂肪酸の10重量%未満、全脂肪酸の9重量%未満、全脂肪酸の8重量%未満、全脂肪酸の7重量%未満、全脂肪酸の6重量%未満、全脂肪酸の5重量%未満、全脂肪酸の4重量%未満、全脂肪酸の3重量%未満、全脂肪酸の2重量%未満、全脂肪酸の1重量%未満、および全脂肪酸の0.5重量%未満である量で存在することを意味する。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現する遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から得られる油もしくは種子は、検出可能な量のDHA(ドコサヘキサン酸(C22:6、n−3))、DPA(n−6)(ドコサペンタエン酸(C22:5、n−6))、および/またはEPA(エイコサペンタエン酸(C20:5、n−3))を含む。
特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現する遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から得られる油もしくは種子は、例えばおよび限定なしに、重量で全脂肪酸の少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.03%、少なくとも0.04%、少なくとも0.05%、少なくとも0.06%、少なくとも0.07%、少なくとも0.08%、少なくとも0.09%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも5.5%、少なくとも6%、少なくとも6.5%、少なくとも7%、少なくとも7.5%、少なくとも8%、少なくとも8.5%、少なくとも9%、少なくとも9.5%、少なくとも10%、少なくとも10.5%、少なくとも11%、少なくとも11.5%、少なくとも12%、少なくとも12.5%、少なくとも13%、少なくとも13.5%、少なくとも14%、少なくとも14.5%、または少なくとも15%のDHAを含む。有用な範囲は、これらの値のいずれかの間、例えば、重量で全脂肪酸の0.01%〜15%、0.05%〜10%および1%〜5%のDHAから選択することが可能である。
特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現する遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から得られる油もしくは種子は、例えばおよび限定なしに、重量で全脂肪酸の少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.03%、少なくとも0.04%、少なくとも0.05%、少なくとも0.06%、少なくとも0.07%、少なくとも0.08%、少なくとも0.09%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも5.5%、少なくとも6%、少なくとも6.5%、少なくとも7%、少なくとも7.5%、少なくとも8%、少なくとも8.5%、少なくとも9%、少なくとも9.5%、および/または少なくとも10%のEPAを含む。有用な範囲は、これらの値のいずれかの間、例えば、重量で全脂肪酸の0.01%〜10%、0.05%〜5%および0.1%〜5%のEPAから選択することが可能である。
特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現する遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から得られる油もしくは種子は、例えばおよび限定なしに、重量で全脂肪酸の少なくとも0.01%、少なくとも0.02%、少なくとも0.03%、少なくとも0.04%、少なくとも0.05%、少なくとも0.06%、少なくとも0.07%、少なくとも0.08%、少なくとも0.09%、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも1.5%、少なくとも2%、少なくとも2.5%、少なくとも3%、少なくとも3.5%、少なくとも4%、少なくとも4.5%、少なくとも5%、少なくとも5.5%、少なくとも6%、少なくとも6.5%、少なくとも7%、少なくとも7.5%、少なくとも8%、少なくとも8.5%、少なくとも9%、少なくとも9.5%、および/または少なくとも10%、のDPA(n−6)を含む。有用な範囲は、これらの値のいずれかの間、例えば、重量で全脂肪酸の0.01%〜10%、0.01%〜5%、0.01%〜1%、0.01%〜0.05%、0.05%〜5%および0.1%〜5%のDPA(n−6)から選択することが可能である。
PUFAのパーセント量は、他の方法で明言されていなければ、抽出された全脂肪酸の重量パーセントである。いくつかの実施形態では、全脂肪酸は、脂肪酸メチルエステル(FAME)調製物のガスクロマトグラフィー(GC)分析により決定されるが、全脂肪酸の決定はこの方法に限定されない。
特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現する遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から得られる油もしくは種子は、例えばおよび限定なしに、重量で全脂肪酸の少なくとも10:1、少なくとも9.5:1、少なくとも9:1、少なくとも8.5:1、少なくとも8:1、少なくとも7.5:1、少なくとも7:1、少なくとも6.5:1、少なくとも6:1、少なくとも5.5:1、少なくとも5:1、少なくとも4.5:1、少なくとも4:1、少なくとも3.5:1、少なくとも3:1、少なくとも2.5:1、少なくとも2:1、少なくとも1.5:1、少なくとも1:1、少なくとも1:1.5、少なくとも1:2、少なくとも1:2.5、少なくとも1:3、少なくとも1:3.5、少なくとも1:4、少なくとも1:4.5、少なくとも1:5、少なくとも1:5.5、少なくとも1:6、少なくとも1:6.5、少なくとも1:7、少なくとも1:7.5、少なくとも1:8、少なくとも1:8.5、少なくとも1:9、少なくとも1:10、少なくとも1:11、少なくとも1:12、少なくとも1:13、少なくとも1:14、少なくとも1:15、少なくとも1:16、少なくとも1:17、少なくとも1:18、少なくとも1:19、少なくとも1:20、少なくとも1:21、少なくとも1:22、少なくとも1:23、少なくとも1:24、少なくとも1:25、少なくとも1:26、少なくとも1:27、少なくとも1:28、少なくとも1:29、または少なくとも1:30の比のEPA:DHAを含む。有用な範囲は、これらの値のいずれかの間、例えば、重量で全脂肪酸の10:1、5:1〜1:1、2:1〜1:1、1〜1:30、1:1〜1:25、1:1〜1:20、1:1〜1:15、1:1〜1:10、1:1〜1:5、1:1〜1:3、および1:1〜1:2のEPA:DHAの比から選択することが可能である。
特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現する遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から得られる油もしくは種子は、例えばおよび限定なしに、重量で全脂肪酸の少なくとも1:1、少なくとも1:1.5、少なくとも1:2、少なくとも1:2.5、少なくとも1:3、少なくとも1:3.5、少なくとも1:4、少なくとも1:4.5、少なくとも1:5、少なくとも1:5.5、少なくとも1:6、少なくとも1:6.5、少なくとも1:7、少なくとも1:7.5、少なくとも1:8、少なくとも1:8.5、少なくとも1:9、または少なくとも1:10の比のDPA(n−6)対DHAを含む。有用な範囲は、これらの値のいずれかの間、例えば、重量で全脂肪酸の1:1〜1:10、1:1〜1:5、1:1〜1:3および1:1〜1:2のDPA(n−6)対DHAの比から選択することが可能である。
特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現する遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から得られる油もしくは種子は、例えばおよび限定なしで、重量で油の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%のトリグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子改変された植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分、または種子から得られる油は、重量で油の70%〜99%のトリグリセリド、重量で油の75%〜99%のトリグリセリド、重量で油の80%〜99%のトリグリセリド、重量で油の85%〜99%のトリグリセリド、または重量で油の90%〜99%のトリグリセリドを含む。そのようなトリグリセリドは、異種PUFAシンターゼ系により産生されるLC−PUFAを組み込むことができる。
特定の実施形態では、異種PUFAシンターゼ系の標的産物がDHA、DPA(n−6またはn−3)、またはEPAなどのLC−PUFAである場合、前記系を発現する遺伝子改変された植物の全脂質に相当量では存在しない中間産物および副産物には、例えばおよび限定なしで、ガンマリノレン酸(GLA;18:3、n−6)、ステアリドン酸(STAまたはSDA;18:4、n−3)、ジホモガンマリノレン酸(DGLAまたはHGLA;20:3、n−6)、アラキドン酸(ARA;C20:4、n−6)、エイコサトリエン酸(ETA;20:3、n−9)、および20:0;20:1(△5);20:1(△11);20:2(△8,11);20:2(△11,14);20:3(△5,11,14);20:3(△11,14,17);ミード酸(20:3;△5,8,11);または20:4(△5,1,14,17)などの他の種々の中間または副産物が含まれる。
いくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系により産生されるPUFAは、植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から前記化合物を抽出する精製過程を通じて前記系を発現している遺伝子改変された植物から回収される。いくつかの実施形態では、PUFAは、植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分を収穫することにより回収される。いくつかの実施形態では、PUFAは、植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分から(例えば、油糧種子から)油を収穫することにより回収される。いくつかの実施形態では、植物、その子孫、細胞、組織、もしくは部分はその自然状態で消費される、または消費可能産物にさらに加工される。
本明細書のいくつかの実施形態では、異種PUFAシンターゼ系を発現している遺伝子改変された植物由来の油は、料理以外のまたは食餌以外の工程および組成物に使用することができる。これらの使用のいくつかは工業上、美容上、または医療上(例えば、前記油は感染に対する防御バリアにおいて使用して移植片生存を増強することができる(米国特許第6210700号))である。異種PUFAシンターゼ系を発現している遺伝子改変された植物由来の油は、本発明の油が適しているいかなる適用においても使用可能である。一般に、前記油を使用すれば、潤滑剤、潤滑添加剤、金属加工油、油圧油および不燃性油圧油などの種々の適用において、例えば、鉱油、エステル、脂肪酸、または動物性脂肪に取って代わることが可能である。前記油は変性油を生産する工程において材料として使用することも可能である。油を変性するための技法の例には、分別、水素付加、油のオレイン酸またはリノレン酸含有量の変更、および当業者に既知の他の改変技法が含まれる。
異種PUFAシンターゼ系を発現している遺伝子改変された植物由来の油の美容使用の例には、化粧品組成物中の皮膚軟化剤として、ワセリン代替品として、石鹸の構成部分として、石鹸を生産するための工程における材料として、経口治療液の構成部分として、時効硬化処理組成物の構成部分として、および皮膚または毛髪エアロゾルフォーム調製物の構成部分としての使用が含まれる。
以下の実施例はある特定の特長および/または実施形態を説明するために提供される。実施例は、本開示を例示される特定の特長または実施形態に限定すると解釈すべきではない。
[実施例]
材料および方法
他の方法で明示していなければ、後の実施例に記載される分子生物学的および生化学的操作は、例えば、Ausubel et al. (1995) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons; Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press;および同類のものに開示されている標準的方法により実施した。
植物最適化ポリヌクレオチド
トランスジェニック植物においてPUFAシンターゼ酵素を産生するために、キャノーラコドンバイアスを有する複数のDNA配列を設計し合成した。キャノーラ(セイヨウアブラナ(Brassica napus L.))のコドン使用表は、ジェンバンクに預託されている配列(インターネット上のncbi.nlm.nih.govから入手可能)から得られるタンパク質コード配列から計算した。スケール変更したキャノーラコドンセットは、そのアミノ酸の全コドン使用の約10%未満使用されているいかなる同義コドンも取り除いた後に計算した。コドンごとのスケール変更表示は、次の式を使用して計算した。
C1のスケール変更%=1/(%C1+%C2+%C3...)×%C1×100で、C1は問題のコドンであり、%C1、%C2および%C3...は残っている同義コドンの最初の%使用値を表す。
配列番号1のPFA1タンパク質、配列番号4のPFA2タンパク質、および配列番号7のPFA3タンパク質のアミノ酸をコードするキャノーラコドン最適化DNA配列を導き出すために、実験的に決定された(天然の)PFA1 DNA配列(配列番号2)、PFA2 DNA配列(配列番号5)、およびPFA3 DNA配列(配列番号8)へのコドン置換が、得られたDNA配列がキャノーラ最適化コドンバイアス表の全体のコドン組成を持つように行われた。
望ましくない制限酵素認識部位、潜在的な植物イントロンスプライス部位、長く続くA/TまたはC/G残基、および植物細胞におけるコード領域のmRNA安定性、転写、または翻訳を妨げる可能性のある他のモチーフを取り除くために配列にさらに改良を加えた。所望の制限酵素認識部位を導入し、長い内部オープンリーディングフレーム(+1以外のフレーム)を取り除くために他の変更を加えた。これらの変更はすべて、キャノーラ偏向スケール変更コドン組成を保持するという制約内で行った。得られたヌクレオチドキャノーラコドン最適化DNA配列を含むポリヌクレオチドを合成した。表1。
脂質抽出および分析
分離種子はFAME分析法により分析して、同じ条件で生育させた対照植物と比べた場合のLU−PUFAを含んだトランスジェニック植物事象(ダイズ、キャノーラ、およびシロイヌナズナ(Arabidopsis)から得られた)を同定した。LC−PUFA含有量(FAME重量%)を定量化し負の対照植物と比較した。FAME分析は、下記のプロトコルを使用してアッセイしたそれぞれ個別のトランスジェニック事象由来の単一の種子上で完了させるまたはバルク種子上で実施した。
シロイヌナズナ(Arabidopsis)およびキャノーラ種子分析。トランスジェニック種子試料(キャノーラ単一種子またはバルクシロイヌナズナ(Arabidopsis)種子試料)を、鋼鉄製のボールミルを使用して、トリアシルグリセロール内部標準物質としてトリヘプタデカノイン(Nu−Chek(商標)Prep,Elysian,MN)を含有するヘプタン中でホモジナイズした。均質化に先立って、メタノール中0.25Mの新たに調製したナトリウムメトキシド(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)の溶液を添加した。抽出および誘導は絶えず振盪しながら40℃で行い、FAME抽出は3回繰り返し、ヘプタン層は分析に先立ってプールした。バルクシロイヌナズナ(Arabidopsis)およびキャノーラ種子分析は、それぞれシロイヌナズナ(Arabidopsis)では10mgアリコートまたはキャノーラ種子では8〜12mgアリコートからなっていた。誘導体化反応を完全なまでに推進するため、バルク種子キャノーラおよびダイズ単一種子由来の油は先ずヘプタンを用いて3回抽出した。次に、アリコートの混合油抽出物をFAMEにおいて誘導体化した。反応の完全性は、4度目の抽出/誘導体化において内在性FAMEの存在について検査することにより確認した。得られたFAMEは、Agilent6890ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)およびSGE(Austin、TX)社製のキャピラリーカラムBPX70(商標)(15m×0.25mm×0.25μm)を使用してGC−FIDにより分析した。それぞれのFAMEは保持時間により同定し、適切な長鎖脂肪酸(Nu-Chek Prep、Elysian MN)を添加して、較正標準物質としてMatreyaLLC(Pleasant Gap、PA)社製のナタネ油基準混合物の注入により定量化した。シロイヌナズナ(Arabidopsis)、ダイズ、およびキャノーラにおけるDHAおよび他のLC−PUFAの産生の結果は下に記載している。
植物におけるPUFAシンターゼ遺伝子の発現
プロモーターおよび3’UTRに作動可能に連結された天然のおよびコドン最適化PUFAシンターゼ系導入遺伝子(PFA1、PFA2、およびPFA3)を含む植物転写単位(PTU)を含有するバイナリーベクターを構築した。得られたバイナリーベクターはプロモーターおよび3’UTRに作動可能に連結されたHetI導入遺伝子を含むPTUも含有していた。1つのバイナリーベクターのみがプロモーターおよび3’UTRに作動可能に連結されたSzACS2導入遺伝子を含んでいた(pDAB101429)。PUFAシンターゼ系とHetI導入遺伝子の発現を推進するために、異なるプロモーターと3’UTR配列組合せがバイナリーベクターに組み込まれた。これらの異なる調節遺伝子エレメントの使用は、導入遺伝子の発現レベルを変化させ変えるためにPTUの設計に組み込まれた。同様に、PTUは、前記PTUの配向が導入遺伝子の発現レベルを変化させたまたは変えたのかどうかを調べるために異なる配向でバイナリーベクター内に置かれた。
PTUの3つの異なる配向を試験した。第1の配向に配列されたPTUを含むバイナリーベクターはヘッドトゥーテールの配置に位置していた。
第2の配向に配列されたPTUを含むバイナリーベクターは3’UTRの双方向性を利用するように構築された。PFA1とHetI PTUは単一の3’UTRを共有し、以下の配置、プロモーター::対象の遺伝子::3’UTR::対象の遺伝子::プロモーターに方向付けた。同様に、PFA3とPFA2 PTUは単一の3’UTRを共有し、以下の配置、プロモーター::対象の遺伝子::3’UTR::対象の遺伝子::プロモーターに方向付けた。
最後に、第3の配向はランダムDNAスペーサー配列(配列番号12)を組み込んだ。ランダムDNAスペーサーは、ランダムDNAスペーサーの上流に方向付けられた2つのPTUとランダムDNAスペーサーの下流に方向付けられた2つのPTUの間に置かれる。両セットのPTUはヘッドトゥーヘッドの配向で構築される。したがって、その配向は以下の通りである。←PFA1 PTU::HetI PTU→::ランダムDNAスペーサー::←PFA3 PTU::PFA2 PTU→。
第1の配向
pDAB101429。pDAB101429プラスミド(配列番号15)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのアシルCoAシンセターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、切断型インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)フィトヘマグルニチン−L遺伝子プロモーター(PvDlec2プロモーターv2;ジェンバンク受託番号X06336)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)AT2S3遺伝子5’非翻訳領域(2S 5’UTR;ジェンバンク受託番号NM_118850)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種多価不飽和脂肪酸シンターゼPFA1 v2およびシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)2Sアルブミン遺伝子3’非翻訳領域ターミネーターv1(At2S SSPターミネーターv1;ジェンバンク受託番号M22035)を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種多価不飽和脂肪酸シンターゼPFA2 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種多価不飽和脂肪酸シンターゼPFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。アシルCoAシンセターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種アシルCoAシンターゼ(SzACS−2 v3)、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、ノストック(Nostoc)種4’ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼHetI(NoHetI v3)およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。これらの5つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター(pDAB7333)のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、PFA2 v2、PFA3 v2、SzACS−2 v3、NoHetI v3である。植物形質転換バイナリーベクターは、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTU:キャッサバ葉脈モザイクウイルスプロモーター(CsVMVプロモーターv2;Verdaguer et al., Plant Molecular Biology 31:1129-1139; 1996)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT v5;Wohlleben et al., Gene 70:25-37; 1988)およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)ORF1 3’非翻訳領域(AtuORF1 3’UTR v4;Huang et al., J. Bacteriol. 172:1814-1822; 1990)、これに加えてオーバードライブ(Overdrive)などの他の調節エレメント(Toro et al., PNAS 85(22): 8558-8562; 1988)およびT鎖ボーダー配列(T−DNAボーダーAおよびT−DNAボーダーB;Gardner et al., Science 231:725-727; 1986および国際公開第WO2001/025459 A1号)も含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB101454。pDAB101454プラスミド(配列番号16)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、NoHetI v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。上記のこれら4つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、PFA2 v2、PFA3 v2、NoHetI v3である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB101496。pDAB101496プラスミド(配列番号17)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv4、PvPhas 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)TiプラスミドpTi15955オープンリーディングフレーム23/24 3’非翻訳領域(AtuORF23 3’UTR v1 ジェンバンク受託番号AF242881.1)を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3(配列番号13、これは配列番号14のポリペプチドをコードする)、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv5、PvPhas 5’UTR、NoHetI v3、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。これら4つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、PFA2 v2、PFA3 v3、NoHetI v3である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB109525。pDAB109525プラスミド(配列番号18)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、NoHetI v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。これら4つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v1、PFA2 v1、PFA3 v3、NoHetI v3である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。次に、4つのPTUを含有する組換えプラスミドを単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いて4つのPTUの組込みについて試験した。
pDAB109584。pDAB109584プラスミド(配列番号19)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、セイヨウアブラナ(Brassica napus napin)遺伝子プロモーター(BnaNapinCプロモーターv1;ジェンバンク受託番号M64633.1)、セイヨウアブラナ(Brassica napus napin)遺伝子5’非翻訳領域(BnaNapinC 5’UTRv1;ジェンバンク受託番号M64633.1)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびセイヨウアブラナ(Brassica napus napin)遺伝子5’非翻訳領域(BnaNapinC 3’UTRv1;ジェンバンク受託番号M64633.1)を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、切断型インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリンプロモーター(PvPhasプロモーターv4;ジェンバンク受託番号J01263.1)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリン5’非翻訳領域(PvPhas5’UTR;ジェンバンク受託番号J01263.1)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリン3’非翻訳領域(PvPhas3’UTRv1;ジェンバンク受託番号J01263.1)、およびインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリン3’MAR(PvPhas3’MARv2;ジェンバンク受託番号J01263.1)を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)アシルキャリアータンパク質遺伝子プロモーター(BoACPプロモーターv1;国際公開第WO1992/18634号)、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)アシルキャリアータンパク質遺伝子5’非翻訳領域(BoACP5’UTRv2;国際公開第WO1992/18634号)、NoHetI v3、およびセイヨウアブラナ(Brassica napus)アシルキャリアータンパク質遺伝子3’非翻訳領域(BnACP05 3’UTRv1;ジェンバンク受託番号X64114.1)を含有する。これら4つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、PFA2 v2、PFA3 v3、NoHetI v3である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB109588。pDAB109588プラスミド(配列番号20)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリンプロモーター(PvPhasプロモーターv3;ジェンバンク受託番号J01263.1)、PvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびBnaNapinC 3’UTRv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BoACPプロモーターv1、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)アシルキャリアータンパク質遺伝子5’非翻訳領域(BoACP5’UTRv1;国際公開第WO1992/18634号)、NoHetI v3、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。これら4つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、PFA2 v2、PFA3 v2、NoHetI v3である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB112210。pDAB112210プラスミド(配列番号21)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、NoHetI v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。これら4つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v1、PFA2 v1、PFA3 v1、NoHetI v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いて4つのPTUの組込みについて試験した。
pDAB112206。pDAB112206プラスミド(配列番号22)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv4、PvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、切断型インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリンプロモーター(PvPhasプロモーターv6;ジェンバンク受託番号J01263.1)、PvPhas5’UTR、NoHetI v3、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。上記のこれら4つのPTUは、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーテールの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、PFA2 v2、PFA3 v3、NoHetI v3である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いて4つのPTUの組込みについて試験した。
第2の配向
pDAB107962。pDAB107962プラスミド(配列番号23)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhas5’UTR、NoHetI v3、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v2とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB109591。pDAB109591プラスミド(配列番号24)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR、NoHetI v3、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v3とPFA2 v2はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v3、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB109592。pDAB109592プラスミド(配列番号25)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびBnaNapinC 3’UTRv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BoACPプロモーターv1、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)アシルキャリアータンパク質遺伝子5’非翻訳領域(BoACP5’UTRv2;国際公開第WO1992/18634号)、NoHetI v3、BnACP05 3’UTRv1、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリン5’非翻訳領域(PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR;ジェンバンク受託番号J01263.1)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v3とPFA2 v2はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v3、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。次に、4つのPTUを含有する組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いて4つのPTUの組込みについて試験した。
pDAB107960。pDAB107960プラスミド(配列番号26)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR、NoHetI v3、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、AtuORF23 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v1とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v3とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v1、NoHetI v3、PFA3 v3、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB110132。pDAB110132プラスミド(配列番号27)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリンプロモーター(PvPhasプロモーターv3;ジェンバンク受託番号J01263.1)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ベータファゼオリン5’非翻訳領域(PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR;ジェンバンク受託番号J01263.1)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BoACPプロモーターv1、BoACP5’UTRv2、NoHetI v3、BnACP05 3’UTRv1、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、BnaNapinC 3’UTRv1、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v2とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB107961。pDAB107961プラスミド(配列番号28)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv3、PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v1、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BoACPプロモーターv1、BoACP5’UTRv2、NoHetI v3、BnACP05 3’UTRv1、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v3、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、BnaNapinC 3’UTRv1、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v1とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v3とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v1、NoHetI v3、PFA3 v3、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB110151。pDAB110151プラスミド(配列番号29)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびBnaNapinC 3’UTRv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR、NoHetI v3、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v2とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB112285。pDAB112285プラスミド(配列番号30)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR、NoHetI v3、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF25/26 3’UTR v3を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF25/26 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v2とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。次に、組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB117501。pDAB117501プラスミド(配列番号31)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv6、PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR、NoHetI v3、PvPhas3’UTRv1、PvPhas3’MARv2;ジェンバンク受託番号J01263.1、およびAtuORF25/26 3’UTR v3を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、ダイズ(Glycine max)ベータコングリシニンアルファプライムサブユニット遺伝子プロモーターおよび5’非翻訳領域(SSPRO2745.1;ジェンバンク受託番号GU723691.1)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v1、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、BnaNapinC 3’UTRv1を含有する。PFA1 v1とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF25/26 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v1はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v1とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v1、NoHetI v3、PFA3 v1、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB117502。pDAB117502プラスミド(配列番号32)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv3、PvPhasプロモーターPvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v1、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BnaNapinCプロモーターv1、BnaNapinC 5’UTRv1、NoHetI v3、BnaNapinC 3’UTRv1、およびAtuORF25/26 3’UTR v1を含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v1、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2745.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v1、PvPhas3’UTRv1、およびPvPhas3’MARv2を含有する。PFA1 v1とNoHetI v3はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF25/26 3’UTRは2つのPTUの間に置かれ、NoHetI v3とPFA3 v1はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、PFA3 v1とPFA2 v1はテールトゥーテールの配向で置かれ、AtuORF23 3’UTRは植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内の2つのPTUの間に置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v1、NoHetI v3、PFA3 v1、PFA2 v1である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
第3の配向
pDAB112200。pDAB112200プラスミド(配列番号33)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、PvPhasプロモーターv4、PvPhas5’UTR、NoHetI v3、AtuORF23 3’UTR v1、およびランダムDNAスペーサーを含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvPhasプロモーターv5、PvPhas5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびAtuORF23 3’UTR v1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はテールトゥーテールの配向で置かれランダムDNAスペーサーを2つのPTUの間に置き、PFA3 v2とPFA2 v2は、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーヘッドの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB112201。pDAB112201プラスミド(配列番号34)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、レスケレーラ・フェンドレリ(Lesquerella fendleri)3−ケトアシル−CoAシンターゼ遺伝子プロモーターおよび5’非翻訳領域(LfKCS3プロモーターv2;ジェンバンク受託番号AF367052.1)、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、ならびに3−ケトアシル−CoAシンターゼ遺伝子3’非翻訳領域(SSTER2742.1;ジェンバンク受託番号AF367052.1)を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BoACPプロモーターv1、BoACP5’UTR v2、NoHetI v3、BnACP05 3’UTRv1、およびランダムDNAスペーサーを含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、LfKCS3プロモーターv2、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびSSTER2742.1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、BoACPプロモーターv1、BoACP5’UTR v2、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびBnACP05 3’UTRv1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はテールトゥーテールの配向で置かれランダムDNAスペーサーを2つのPTUの間に置き、PFA3 v2とPFA2 v2は、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーヘッドの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB112203。pDAB112203プラスミド(配列番号35)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2745.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、PvPhas3’UTR v1、およびPvPhas3’MAR v2を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、ダイズ(Glycine max)クニッツトリプシンインヒビター3遺伝子プロモーターおよび5’非翻訳領域(SSPRO2743.1;ジェンバンク受託番号AF233296.1)、NoHetI v3、ダイズ(Glycine max)クニッツトリプシンインヒビター3遺伝子3’非翻訳領域(SSTER2744.1;ジェンバンク受託番号AF233296.1)、ならびにランダムDNAスペーサーを含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2745.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、PvPhas3’UTR v1、およびPvPhas3’MAR v2を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2743.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびSSTER2744.1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はテールトゥーテールの配向で置かれランダムDNAスペーサーを2つのPTUの間に置き、PFA3 v2とPFA2 v2は、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーヘッドの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB112205。pDAB112205プラスミド(配列番号36)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BoACPプロモーターv1、BoACP5’UTR v2、NoHetI v3、BnACP05 3’UTR v1、およびランダムDNAスペーサーを含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2743.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびSSTER2744.1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2745.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、PvPhas3’UTR v1、およびPvPhas3’MAR v2を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はテールトゥーテールの配向で置かれランダムDNAスペーサーを2つのPTUの間に置き、PFA3 v2とPFA2 v2は、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーヘッドの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。その後、組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB112208。pDAB112208プラスミド(配列番号37)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2743.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびSSTER2744.1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、SSPRO2745.1、NoHetI v3、PvPhas3’UTR v1、PvPhas3’MAR v2、およびランダムDNAスペーサーを含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2743.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、およびSSTER2744.1を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2745.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびPvPhas3’MAR v2を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はテールトゥーテールの配向で置かれランダムDNAスペーサーを2つのPTUの間に置き、PFA3 v2とPFA2 v2は、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーヘッドの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
pDAB112209。pDAB112209プラスミド(配列番号38)は3つのPUFAシンターゼPTU、1つのホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTU、およびホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUを含有している。具体的には、第1のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2743.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA1 v2、およびSSTER2744.1を含有する。ホスホパンテテイニル(phosphopantetheinyl)トランスフェラーゼPTUは、BoACPプロモーターv1、BoACP5’UTR v2、NoHetI v3、BnACP05 3’UTRv1、およびランダムDNAスペーサーを含有する。第2のPUFAシンターゼPTUは、SSPRO2745.1、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA3 v2、PvPhas3’UTR v1、およびPvPhas3’MAR v2を含有する。第3のPUFAシンターゼPTUは、PvDlec2プロモーターv2、2S 5’UTR、スキゾキトリウム(Schizochytrium)種PFA2 v2、およびAt2S SSPターミネーターv1を含有する。PFA1 v2とNoHetI v3はヘッドトゥーヘッドの配向で置かれ、NoHetI v3とPFA3 v2はテールトゥーテールの配向で置かれランダムDNAスペーサーを2つのPTUの間に置き、PFA3 v2とPFA2 v2は、植物形質転換バイナリーベクター、pDAB7333のT鎖DNAボーダー領域内にヘッドトゥーヘッドの配向で置かれた。遺伝子の順番は、PFA1 v2、NoHetI v3、PFA3 v2、PFA2 v2である。pDAB7333は、前述のように、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼPTUも含有する。組換えプラスミドは単離し、制限酵素消化およびDNAシークエンシングを用いてPTUの組込みについて試験した。
アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)形質転換
選択されたバイナリー構築物を植物形質転換のためにアグロバクテリウム(Agrobacterium)株に形質転換した。形質転換のために選択された株はA.ツメファシエンス(A. tumefaciens)株EHA105の類縁体であった。以下の2つのA.ツメファシエンス(A. tumefaciens)株、AGL1およびDA2552(国際特許公開第WO2012016222号参照)は、バイナリー構築物で形質転換され、制限酵素消化およびシークエンシングにより確認された。
上記の植物発現エレメントの制御下、PUFAシンターゼ遺伝子およびHetI(およびいくつかの場合にはSzACS2)をコードするバイナリープラスミドを宿すアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)で形質転換されたシロイヌナズナ(Arabidopsis)T0事象は、基本的にClough and Bent (1998) Plant J. 16(6):735-43に記載されるフローラルディップ法を使用して生み出した。シロイヌナズナ(Arabidopsis)T0事象が得られて選択され、成熟するまで生育し自家受粉させた。得られたT1種子は収穫して蒔いた。形質転換T1苗は、ホスフィノトリシンを噴霧することにより、選択可能なマーカーとして機能的pat遺伝子を含有する苗を選び出すことにより選択した。生存するT1苗由来の葉組織を試料採取し、pat遺伝子に特異的な定量的PCR反応により分析して、選択可能マーカー(および関連する導入遺伝子)の単一コピーを含有する苗を同定した。これらの苗は成熟するまで生育し、T2種子を収穫して、LC−PUFA含有量について分析した(全抽出可能FAMEの%として)。
キャノーラ形質転換
種子発芽。野生型キャノーラ種子(変種DH12075;ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1456120/)を、10%クロロックス(Clorox)中で10分間表面減菌し、無菌蒸留水で3回濯いだ(種子はこの過程中鋼鉄製の漉し器に含まれる)。種子は発芽のためにフィタトレイ(phytatray)に含有される1/2MSキャノーラ培地(1/2×MS、2%スクロース、0.8%寒天)にフィタトレイあたり25種子で植え、Percival生育箱(商標)中に置き、成長計画は25℃に設定し、光周期は16時間明、8時間暗で、5日間で発芽させた。
前処理。5日目、約3mm長の胚軸切片を無菌的に切除し、根と苗条部分は破棄した(胚軸の乾燥は、切除過程中胚軸切片を10mlの無菌MILLIQ(登録商標)水中に置くことにより防止される)。胚軸切片は、Percival生育箱(商標)中、成長計画は22〜23℃に設定し、光周期は16時間明、8時間暗で、3日間の前処理の間カルス誘導培地MSK1D1(1×MS、1mg/Lキネチン、1mg/L 2,4−D、3%スクロース、0.7%PHYTAGAR(登録商標))上の無菌フィルター紙上に水平に置いた。
アグロバクテリウム(Agrobacterium)との共培養。アグロバクテリウム(Agrobacterium)処理の前日、適切な抗生物質を含有するYEP培地のフラスコに播種した。胚軸切片は、乾燥を防止するために、フィルター紙から10mLの液体M培養液を含有する空の100×25mmペトリ皿に移した。この段階でスパーテルを使用して切片をすくい取り、移した。液体M培養液はピペットで取り除き、40mLのアグロバクテリウム(Agrobacterium)懸濁液をペトリ皿に添加した(500切片と40mLのアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液)。切片は、胚軸がアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液中に浸漬したままでいられるように、ペトリ皿を定期的に旋回させて30分間処理した。
処理期間の終了時、アグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液はピペットで廃ビーカーに移し、オートクレーブし、破棄した(アグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液はアグロバクテリウム(Agrobacterium)の異常増殖を防ぐために完全に取り除いた)。処理された胚軸は、フィルター紙付のMSK1D1を含有する元のプレートにピンセットで戻した(切片が間違いなく乾燥しないように注意を払った)。胚軸切片は対照切片と共に抑えた光強度の下で(プレートをアルミホイルで覆うことにより)Percival生育箱(商標)に戻し、処理された胚軸はアグロバクテリウム(Agrobacterium)と共に3日間共培養した。
選択培地上でのカスル誘導。3日間の共培養後、胚軸切片はピンセットで個別にカルス誘導培地MSK1D1H1(1×MS、1mg/Lキネチン、1mg/L 2,4−D、0.5mg/L MES、5mg/L AgNO3、300mg/L TIMENTIN(登録商標)、200mg/L Carbenicillin(商標)、1mg/L Herbiace(商標)、3%スクロース、0.7%PHYTAGAR(登録商標))上に移した。胚軸切片は培地上に固着させたが、培地に包埋させなかった。
選択および苗条再生。カルス誘導培地上での7日間の後、カルス化胚軸切片を選択MSB3Z1H1を有する苗条再生培地1(1×MS、3mg/L BAP、1mg/Lゼアチン、0.5mg/L MES、5mg/L AgNO3、300mg/L TIMENTIN(登録商標)、200mg/L Carbenicillin(商標)、1mg/L Herbiace(商標)、3%スクロース、0.7%PHYTAGAR(登録商標))に移した。14日後、苗条を有する胚軸は、増加した選択MSB3Z1H3を有する再生培地2(1×MS、3mg/L BAP、1mg/Lゼアチン、0.5mg/L MES、5mg/L AgNO3、300mg/L TIMENTIN(登録商標)、200mg/L Carbenicillin(商標)、3mg/L Herbiace(商標)、3%スクロース、0.7%PHYTAGAR(登録商標))に移した。
苗条伸長。14日後、苗条を有する切片は苗条伸長培地MSMESH5(1×MS、300mg/L TIMENTIN(登録商標)、5mg/L Herbiace(商標)、2%スクロース、0.7%TC Agar(商標))に移した。既に伸長している苗条は単離し、MSMESH5に移した。14日後、第1ラウンドで確かに伸長した残りの苗条はMSMESH5上に置き、同一組成の新鮮な選択培地に移した。この段階で、残っている胚軸切片はすべて破棄した。2週間後にMSB3Z1H3培地で伸長する苗条は単離しMSMESH5培地に移した。第1ラウンドにMSMESH5で確かに伸長した残りの苗条は単離し、同一組成の新鮮な選択培地に移した。この段階で、残っている胚軸切片はすべて破棄した。
根誘導。14日後、苗条は根誘導のためにMSMEST培地(1×MS、0.5g/L MES、300mg/L TIMENTIN(登録商標)、2%スクロース、0.7%TC Agar(商標))に移した。最初の移動でMSMEST培地に根を下ろさなかった苗条は、根付いた苗が得られるまで第2または第3サイクルでMSMEST培地に移した。
PCR分析。PCR用の試料は、苗条が少なくとも14日間MSMESH5培地で培養された後に単離した。若芽由来の葉組織をpat選択可能マーカー遺伝子の存在についてPCRにより試験した。萎黄病苗条はすべて破棄し、PCRアッセイにはかけなかった。PCR反応に陽性である試料は保持し、その苗条はMSMEST培地に残して、根を伸長させ成長させた。PCRアッセイに従って陰性であった苗条は破棄した。MSMESH5またはMSMESTで根を下ろし、PCR陽性であった苗は土壌への移植のために送られた。ハードニング後、T0キャノーラ苗は導入遺伝子PTUカセットのすべてを含有する事象についてさらに分析し、これらの苗は温室に移して、成熟まで生育し、T1種子を脂肪酸組成分析のために収穫した。
ダイズ形質転換
子葉節ダイズ。ダイズ(Glycine max c.v.,Maverick)のアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換は、Zeng et al. (2004) Plant Cell Rep. 22(7): 478-82の修正手順によりバイナリーベクターを宿すアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を使用して実施した。前記プロトコルは、選択剤として除草剤グルホシネートを含むように修正した。さらに、別の修正には、3g/L Phytagel(商標)(Sigma−Aldrich、St.Louis、Mo)で凝固されたB5基本培地(Gamborg et al. (1968) Exp Cell Res. 50(1):151-8)上での殺菌したダイズ種子の発芽が含まれた。前記プロトコルの最終修正は、Zhang et al. (1999) Plant Cell Tiss. Org. 56: 37-46に記載されたように、生後5〜6日の実生から調製されアグロバクテリウム(Agrobacterium)を感染させた子葉節外植片の使用を配備した。Zeng et al. (2004)により記載されたように、共培養は共培養培地上で5日間実施した。苗条開始、苗条伸長、および発根培地には、50mg/L Cefotaxime(商標)、50mg/L TIMENTIN(登録商標)、および50mg/L Vancomycin(商標)を補充し、3g/L Phytagel(商標)で凝固した。
スプリット種子ダイズ形質転換法。ダイズ(Glycine max c.v.,Maverick)のアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換は、Paz et al. (2005) Plant Cell Rep. 25:206-13の手順の修正版によりバイナリーベクターを宿すアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を使用して実施した。手短に言えば、ダイズ種子は臍に沿った縦切込みにより半分に切断して種子を分離し種皮を取り除いた。胚軸は切除し、軸方向の苗条/芽はいずれも子葉節から取り除いた。得られた半分の種子外植片にアグロバクテリウム(Agrobacterium)を感染させた。苗条開始、苗条伸長、および発根培地には、50mg/L Cefotaxime(商標)、50mg/L TIMENTIN(登録商標)、および50mg/L Vancomycin(商標)を補充し、3g/L Phytagel(商標)で凝固した。グルホシネート選択を用いて、形質転換されていない苗条の成長を阻害した。
部分的胚軸付スプリット種子ダイズ形質転換法。ダイズ(Glycine max c.v.,Maverick)のアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換は、米国特許仮出願第61/739349号に記載される部分的胚軸付スプリット種子外植片ダイズ形質転換プロトコルによりバイナリーベクターを宿すアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を使用して実施した。形質転換後、ダイズ組織は米国特許仮出願第61/739349号に記載される組織培養法を使用して培養した。グルホシネート選択を用いて、形質転換されていない苗条の成長を阻害した。選択された苗条は根成長のために発根培地に移し、次に小植物の気候順化のために混合土壌に移した。
選択された小植物の末端小葉は、推定形質転換体を求めてスクリーニングするためにグルホシネートを用いて局所的に処理した(葉ペイント法)。スクリーニングされた小植物は温室に移し、気候順化させておき、その後耐性を再確認するためにグルホシネートを用いて葉ペイントした。これらの推定形質転換T0苗は試料採取し、分子分析を使用してPTU内の導入遺伝子の存在を確認した。同定されたT0苗は、脂肪酸組成分析用にT1種子を生産するため温室で自家受粉させておいた。
トランスジェニックダイズ事象由来の成熟T1種子の脂質分析
3つの構築物、pDAB101454、pDAB101496、およびpDAB107960由来のT0苗を温室において成熟するまで生育した。PAT v5のコピーおよびDHA産生のための付随する4つの遺伝子を含有する苗を選択した。これらの苗は自家受粉させ、得られたT1種子は成熟して収穫した。単一の種子はFAME GC−FIDにより分析して、T1ダイズ種子中のLC−PUFAおよびDHA含有量を決定した。苗あたり12の全成熟種子は、鋼鉄製のボールとボールミル(Spex SamplePrep、LLC)を使用する圧力と均質化を用いて種子を粉砕することにより個別に分析した。組織はヘキサンを用いて3回脱脂し、プールしたヘキサン画分は乾燥するまで蒸発させ、残留物は重量を計ってFAME分析のためにヘプタン中に再構成した。既知の量の残渣油は、代替物のトリヘプタデカノイン(Nu-Chek Prep、Elysian、MN)の存在下、メタノール中0.25Mの新たに調製したナトリウムメトキシド(Sigma−Aldrich、St.Louis、Mo)でメチル基転移させた。前記反応は軽度の熱さ(40℃)で絶えず振盪して行い、得られたFAMEはヘプタンで抽出した。反応の完了は反応したヘプタデカノエートメチルエステル代替物の回収により確認した。FAME抽出物は、Agilent 6890ガスクロマトグラフ(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)およびSGE社(Austin、TX)製の15m×0.25mm×0.25μm BPX 70キャピラリーカラムを使用してGC−FIDにより分析した。それぞれのFAMEピークは、その保持時間により同定し、Matreya LLC社(Pleasant Gap、PA)製のナタネ油基準混合物の注入により定量化した。較正標準物質は、Nu−Chek社製のDHA(C22:6)、EPA(C20:5)、DPA(n−6)(C22:5)、γ−リノレン酸(C18:3)、およびアラキドン酸メチルエステルの個々に添加された標準物質を含有していた。データ解析はChemStation4ソフトウェア(Agilent)を使用して実施した。
DHAは、LC−PUFAを含有するT2種子において全LC−PUFA含有量の60%を占めた。2つの新規LC−PUFA、DHAおよびDPA(n−6)のみがT2ダイズ種子で検出された。ダイズ種子に存在すると予想されている脂肪酸は、全C18脂肪酸がLC−PUFAの存在のせいで比例してより低かったこと以外、正常なレベルで検出された。他の2つの脂肪酸(γ−リノレン酸およびアラキドン酸)は、これらのトランスジェニックダイズ種子中で検出されたレベルは低かった(合わせて1%未満)。
植物形質転換体の分子確認
コピー数分析およびコード領域の検出。T0苗は上記の形質転換から同定され選択された。これらの形質転換体は、導入遺伝子PTU発現カセットのそれぞれを含有する苗を同定するためにさらに分析した。加水分解プローブアッセイは、TAQMAN(登録商標)に類似しているが、最初にPFA1、PFA2、PFA3、HetI、SzACS2、およびpat導入遺伝子を求めてスクリーニングし、これらの導入遺伝子の存在およびVirD2アグロバクテリウム(Agrobacterium)遺伝子の非存在を確認するために実施した。アッセイは国際特許公開第WO2013016546号におよび国際特許公開第WO2011146524号に既に記載されている通りに配備した。これらの定量的PCR研究から生じるデータを使用して、導入遺伝子存在およびコピー数を決定した。PTUのすべてを含有する事象は、T1苗に進むために選択した。
キャノーラおよびシロイヌナズナ(Arabidopsis)種子におけるPUFAシンターゼタンパク質の検出。キャノーラおよびシロイヌナズナ(Arabidopsis)の種子試料からPUFAシンターゼポリペプチドを検出する定量的ウェスタンブロット法を開発した。完全長PFA1およびPFA3についての抗原は、N末端HISタグを付けて組換え的に発現され、Cobalt親和性クロマトグラフィーによって部分的に精製された。完全長PFA2についての抗原はHISタグを含有せず、封入体から単離された。予想されたERドメインと重複したN末端PFA2断片およびPFA3断片も抗原として組換え的に発現させた。これらの断片はすべて、ウサギにおけるポリクローナル抗体産生のためにゲル切片として提示された。完全長HetIについての抗原は、BL21(DE3)大腸菌(Escherichia coli)細胞(Invitrogen;Carlsbad、CA)においてN末端6×Hisタグ付きで組換え的に発現させ、Cobalt親和性クロマトグラフィーによって高度に精製した。抗原はウサギにおけるポリクローナル産生のために約2mg/mLの濃度でTBSバッファー可溶性タンパク質として提示された。すべての抗血清はプロテインG抗体親和性クロマトグラフィーにより精製した。
PFA1、PFA2、PFA3、およびHetIについての組換え参照標準物質は、Arctic Express (DE3) RIL(Invitrogen;Carlsbad、CA)において異種性に発現され、産生され、His−ComAC精製によって精製された。タンパク質濃度は、変性SDS−PAGEおよびクーマシーブルー染色を用いてインゲル定量化のためのBSA標準曲線を使用してデンシトメトリーにより決定した。
種子試料は、Kleco Bead Beater(商標)(Garcia Machine、Visalia、CA)中で2つのステンレス鋼ビーズで乾燥シロイヌナズナ(Arabidopsis)種子を砕くことにより、または上記のように、バルクキャノーラ種子FAME分析から得られた脱脂ケーキを加工することにより分析のために調製した。抽出バッファー(50mM Tris、10mM EDTA、2% SDS)を種子試料に添加し、試料と抽出バッファーを含むチューブを15〜30分間穏やかに振動させた。試料は3000×gで30分間遠心分離した。上澄みを収集して分析に使用した。
種子抽出物中の全可溶性タンパク質の量はPierce 660nm Protein Assay(商標)(Thermo Scientific、Rockford、IL)を使用して決定した。試料は1.55mg/mL全可溶性タンパク質に正規化し、レーンあたり20μgの全可溶性タンパク質の正規化負荷のために40mM DTTを有するLDS試料バッファー(Invitrogen;Carlsbad、CA)中で調製した。試料は3〜8%Tris酢酸ゲル(Invitrogen;Carlsbad、CA)中で電気泳動し、ニトロセルロース膜に移した。ブロットはブロッキングバッファー中で遮断し、異なるPUFAシンターゼポリペプチド(PFA1、PFA2、およびPFA3)に対する抗体で探索した。抗ウサギ蛍光標識二次抗体、ヤギ抗ウサギAF 633(商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)を検出のために使用した。ブロットは、Typhoon Trio Plus Fluorescent Imager(商標)(GE Healthcare、New Brunswick、NJ)上で可視化した。シロイヌナズナ(Arabidopsis)T2種子、ダイズT1種子、およびキャノーラT1種子の成熟種子からの抽出物の得られたSDS−PAGEウェスタンブロットは、PFA1、PFA2、PFA3、およびHetI特異的抗血清で探索すると、適切なサイズでバンドを生じた。
事象101454[267]-26702.001についてのT1ダイズ種子抽出物中でのPUFAシンターゼポリペプチドPFA1、PFA2、PFA3、およびHetIのSDS−PAGEウェスタンブロット検出により、予想された分子量のバンドが生じた。
その上、以下の事象、6580[2]-016.Sx001;6580[2]-017.Sx001;6580[2]-017.Sx002;6580[2]-018.Sx001;6580[2]-019.Sx001;6580[2]-020.Sx001;6580[2]-021.Sx001;6580[2]-021.Sx002;6580[2]-024.Sx001;6580[2]-039.Sx001;および6580[2]-039.Sx002についてのT1キャノーラ種子抽出物中でのPUFAシンターゼポリペプチドPFA1、PFA2、PFA3、およびHetIのSDS−PAGEウェスタンブロット検出により、予想された分子量のバンドが生じた。
次に、PUFAシンターゼ特異的タンパク質を、ポリペプチドごとに5点標準曲線(100ng、50ng、25ng、12.5ngおよび6.25ng)を用いてSDS−PAGEウェスタンブロットによって定量化した。表2および表3はそれぞれシロイヌナズナ(Arabidopsis)とキャノーラの結果を要約している。
PUFAシンターゼで形質転換されたシロイヌナズナ(Arabidopsis)種子におけるLC−PUFA産生
PUFAシンターゼ遺伝子をコードする構築物を用いて生成されたトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis)T1事象の種子から得られたDHAおよび他のLC−PUFA油含有量の要約は、表4に示されている。DHAおよびEPA HPLC保持時間は真正14C標識標準物質を使用して同定した。図2。PUFAの定量化は、1−14C標識DHA標準曲線を使用して実施した。分析されたそれぞれの事象のLC−PUFA含有量は図3に示している。これらのデータにより、構築物PTU配置の種類ならびにPUFAシンターゼおよびHetI遺伝子を発現するための調節エレメントの特定の組合せの利用を使用すれば、T2シロイヌナズナ(Arabidopsis)種子においてLC−PUFAを産生する得られたトランスジェニック事象の数を変更して使用できることが示されている。
例えば、pDAB101454ではすべての単一コピー事象の22%のみがDHAを産生したが、pDAB101496事象の65%およびpDAB112206事象の79%がDHAを産生した。pDAB101454と比べた場合、pDAB101496バイナリーベクターは多様化した調節エレメントを含有する。同様に、pDAB101454と比べた場合、pDAB112206構築物は多様化した調節エレメントと改変PTU配置の両方を含有する。別の構築物、pDAB109584は追加の調節エレメント多様化を含有し、「植物最適化」バージョンよりはむしろPFA3遺伝子の天然コード配列バージョンも含有する。この場合、すべての単一コピー事象の82%がLC−PUFAを産生した。
調節エレメント、構築物配置のさらなる改変、および第2の配向のPTU配置における天然の遺伝子配列の使用により、すべての単一コピー事象の61〜80%がLC−PUFAを産生しているトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis)苗を生産する構築物が得られた。第2の配向のPTU配置構築物も、T2シロイヌナズナ(Arabidopsis)種子においてLC−PUFA含有量が1%を超える事象の割合が比較的高い(41〜62%)トランスジェニック苗を生産した。天然(植物最適化に対して)PUFAシンターゼ遺伝子配列の存在も、1%を超えるLC−PUFAの事象の割合を改善した。例えば、天然の遺伝子配列を含有するpDAB109525およびpDAB112210はそれぞれ1%を超えるLC−PUFAを作る単一コピー事象の60%および54%を有していた。これとは対照的に、植物最適化遺伝子のすべてを含むpDAB101454(同一フォーマットで同じ調節エレメントを使用して)は、1%を超えるLC−PUFAを作る事象の5%しかなかった。
種々の構築物を使用する事象由来のT2種子の最大LC−PUFA含有量は0.71〜2.14%の幅があった。最大DHA含有量は0.39〜1.59%の幅があった。最も高いレベルのDHAは、第2の配向のPTU配置の構築物、例えば、pDAB109591、pDAB107962およびpDAB107960で得られた。これらの構築物は、4つの導入遺伝子および1つまたは3つの天然のPUFAシンターゼ遺伝子を推進する2つの異なるプロモーター/ターミネーター組合せを含有していた。
最大EPA含有量は、生み出されたすべての構築物および事象にわたり0〜1.17%の幅があった。構築物pDAB112203(第3の配向のPTU配置)、pDAB112200(第3の配向のPTU配置)、pDAB112201(第3の配向のPTU配置)およびpDAB101496(第1の配向のPTU配置)は、他の構築物と比べて比較的高いレベルのEPAを作るのに効果的であった。これらの構築物由来のLC−PUFA産生事象はDHA(LC−PUFAの37〜45%)と比較して比較的高い割合のEPA(LC−PUFAの39〜56%)を含有したが、他の構築物は典型的にはより低い割合のEPA(LC−PUFAの9〜27%)、およびより高い割合のDHA(LC−PUFAの60〜70%)を含有した。
これらのデータにより、シロイヌナズナ(Arabidopsis)種子において構築物配置と遺伝子調節エレメントの選択によって、両ω−3 LC−PUFA、DHAとEPAを産生する効率が改善されること、ならびに作物植物において構築物配置と遺伝子調節エレメントの選択を利用すれば両ω−3 LC−PUFA、DHAとEPAを産生する効率を高めることが可能であることが示されている。
シロイヌナズナ(Arabidopsis)T3種子
高LC−PUFA産生シロイヌナズナ(Arabidopsis)事象由来のT2種子を植え、T2苗由来の葉組織をpat遺伝子および他の導入遺伝子についての定量的PCR反応によって試料採取した。導入遺伝子の2コピーを含有する苗(すなわち、ホモ接合体)を同定し成熟するまで生育した。得られたT3種子を収穫し、LC−PUFA含有量について分析した。繰り返しプロモーター/ターミネーター発現エレメントを含有しすべての「植物最適化」PUFAシンターゼ遺伝子配列を使用した構築物pDAB101454およびpDAB101429は、その後に続くT3種子世代ではLC−PUFA形質の非常に低い安定性を示し、T3種子子孫ではLC−PUFAはほとんどまたは全く検出されなかった。異なるPTU配置および/または多様化した発現エレメントを有する構築物(pDAB109588、pDAB101496)で形質転換された他の事象は、T3種子世代で検出可能なLC−PUFAのレベルが様々であるトランスジェニックシロイヌナズナ(Arabidopsis)系統を生産した(表5、図4)。完全に多様化したプロモーター/ターミネーター組合せを有する構築物(pDAB109584)または第1の配向PTUフォーマットで完全に天然のPUFAシンターゼ遺伝子配列を有する構築物(pDAB109525)由来の系統はT3種子世代では極めて良好な安定性を示した。多様化したプロモーター/ターミネーター組合せの使用および/または第2の配向もしくは第3の配向のPTUフォーマットでの1つもしくは3つの天然のPUFAシンターゼ配列の使用を組み合わせると、T3種子世代では一貫した安定性も得られた(例えば、構築物pDAB107960およびpDAB107961)。これにより、最大1.77%DHA、最大1.1%EPA、および最大2.57%全LC−PUFAを含有する個別のT3ホモ接合性種子系統が得られた。
DHA産生導入遺伝子についてホモ接合性である例示的な個別のシロイヌナズナ(Arabidopsis)T3系統の完全な種子脂肪酸プロファイルを、T3同胞欠損の平均脂質プロファイルと比較して、表6に示している。PUFAシンターゼにより推進されるLC−PUFAの産生は、天然の伸長した脂肪酸、特にエイコセン酸(22:1)の含有量の減少、ならびにオレイン酸(18:1)およびリノール酸(18:2)含有量のわずかな増加を伴った。飽和脂肪酸、パルミチン酸(16:0)およびステアリン酸(18:0)の含有量には有意な変化はなかった。
選択された高DHA産生ホモ接合性T3系統を植え、これらの苗由来のT4種子を分析した。pDAB109591、pDAB109584、pDAB109525、pDAB109592、pDAB107960、およびpDAB107961形質転換由来の10の系統を分析した。これらの系統はT4種子世代においてDHA(最大1.85%)およびEPA(最大1.00%)を産生し続け、自家受粉種子3世代を通じてω−3 LC−PUFA形質の安定な伝達を示した。
スキゾキトリウム(Schizochytrium)PUFAシンターゼで形質転換されたキャノーラ種子におけるLC−PUFA産生
トランスジェニックキャノーラは、バイナリー構築物pDAB101496、pDAB109584、pDAB109592、pDAB107960、pDAB107961、pDAB107962およびpDAB117501(すべてがPUFAシンターゼ遺伝子PFA1、PFA2、PFA3およびノストック(Nostoc)PPTase NoHetIを含有する)を用いて産生し、分子確認によってT鎖導入遺伝子のコピーを含有することを確認した。
T1種子は個々のT0トランスジェニックキャノーラ苗から収穫され、それぞれのT1種子試料由来のおおよそ10種子のバルク種子試料を前述の通りにLC−PUFA含有量について分析した。
構築物ごとに分析したT1試料のうち、高い割合(81〜93%)がLC−PUFAを含有していた。表7。キャノーラT1種子試料において観察された最大DHA含有量はpDAB107960の3.04%であった。観察された最大EPA含有量はpDAB101496の1.97%であった。最大複合ω−3 LC−PUFA含有量(DHA+EPA)はpDAB107960の4.20%であった。
トランスジェニック形質分離の初期徴候を得るために、選択されたT1種子試料由来の48種子をLC−PUFA含有量について分析した。単一遺伝子座にT−DNA挿入(複数可)を有する事象はメンデル分離によりおおよそ25%のヌル種子を与えると予想されるであろう。pDAB101496事象から分析した42のT1種子試料のうち、24はLC−PUFAのない種子の12〜35%を有することが分かった(ヌル種子の平均割合は24の試料すべてにわたって24%であった。表8。最大5.41%DHA、最大3.72%EPA、および最大7.33%混合ω−3 LC−PUFA(DHA+EPA)を有する単一キャノーラT1種子を検出した。
選択されたT1キャノーラ種子試料を温室に植えて約60〜75のT1苗を生み出した。DNA分析のために4〜5葉期に実生から葉試料を採取して、それぞれのT1分離苗におけるトランスジェニックコピー数を決定した。コピー数分析は、上記のプロトコルを使用して導入遺伝子の加水分解プローブアッセイにより実施した。これらの分析から、導入遺伝子についてホモ接合性の、ヘテロ接合性の、およびヌルの苗を同定した。サザン分析は、9系統由来のホモ接合性苗の葉試料から抽出したゲノムDNAに関して、PFA1導入遺伝子、pat導入遺伝子(T−DNAのそれぞれの末端で)、およびプラスミド骨格由来のSpecR遺伝子の存在について探索して実施した。6580[1]-035.Sx001と6580[1]-035.Sx002由来のT1苗のサザンバンドパターンは類似しており、前記事象が6580[1]-052.Sx001と6580[1]-057.Sx001同様に、おそらくクローン起源であったことを示している。サザン分析の結果は表9に示している。
pDAB101496導入遺伝子についてホモ接合性のキャノーラ苗(ならびにいくつかのヘテロ接合性およびヌル苗を含む)を成熟するまで生育し、T2種子を収穫してバルク種子試料をLC−PUFA含有量について分析した。表10。10の選択されたpDAB101496キャノーラ系統すべてがT2種子においてDHAとEPAを産生した。最大LC−PUFA含有量は3.26%DHA(系統6580[1]-035.Sx002)および1.42%EPA(系統6580[1]-035.Sx001)であった。前記系統中のω−3 LC−PUFA(DHAおよびEPA)の量は全LC−PUFAの80〜88%(平均85%)であり、残りの12〜20%はω−6 DPAであった。T2種子におけるPUFAシンターゼ形質の予想された分離のせいで、ヘミ接合性T1苗が産生するLC−PUFAは少なかった。図5。キャノーラ系統6580[1]-035.Sx002由来のホモ接合性およびヌル種子の完全なFAMEプロファイルは表10に示している。この系統は3.3%DHAおよび1.3%EPAを産生した。アルファ−リノレン酸(C18:3)およびリノール酸(C18:2)はわずかに増加し、オレイン酸(C18:1)含有量は減少していた。予想されるLC−PUFA、DHA、EPA、およびDPAに加えて、ガンマ−リノレン酸およびアラキドン酸などの低レベルの新たなω−6脂肪酸も検出可能であった(それぞれ0.4および0.7%)。
バルク種子分析においてより高いレベルのDHAおよびEPA産生を示したキャノーラ系統6580[1]-035.Sx002からの同胞ホモ接合性およびヘミ接合性苗由来のT2種子バッチで単一種子LC−PUFA分析を実施した。図5。ホモ接合性苗由来の種子はDHA含有量が極めて均一であり、変動係数(CV)は14%未満であった。導入遺伝子についてホモ接合性であった苗から分析した48の個別の種子の4試料は、平均DHA含有量3.70%(SD=0.44、CV=14%)、3.67%(SD=0.31、CV=8%)、3.11%(SD=0.36、CV=12%)、および3.11%(SD=0.35、CV=11%)を有していた。ホモ接合性苗由来の種子は48種子試料あたり平均で15ヌル種子を含有しており、単一遺伝子座のメンデル分離により予想される12種子の値に近かった。これらのホモ接合性苗由来の個別の種子のDHA含有量は最大値5.81%まで変動した。図5。
pDAB101496で形質転換された4つのキャノーラ事象から導かれるホモ接合性系統由来のT2種子を温室に植え生育して、T3種子を生産した。すべての系統が収穫されたT3種子においてDHAおよびEPAを産生し続けた。事象[6]-274.Sx001および6580[1]-035.Sx002から導かれる系統はLC−PUFA産生が特に安定しており、個別の苗からのT3バルク種子測定において、それぞれ、平均3.16%DHA(3つのT2系統由来の13苗にわたり範囲2.73〜3.61%)および0.78%EPA(範囲0.48〜1.13%)ならびに3.34%DHA(8T2系統由来の53苗にわたり範囲2.85〜3.89%)および1.12%EPA(範囲0.75〜1.71%)を産生した。
PUFAシンターゼで形質転換されたダイズ種子におけるLC−PUFA産生
バイナリー構築物pDAB101454(101454[16]-341.001および101454[267]26702.001)、pDAB101496(101454[330]33007.001、101454[333]33308.001、および101454[334]33402.001)、およびpDAB10796(107960[12]-626.001、107960[12]-641.001、107960[12]-644.001、107960[26]-655.001、および107960[26]-733.001)を使用して植物形質転換により生み出されたトランスジェニックT0ダイズ事象を温室において成熟するまで生育した。pat導入遺伝子のコピーならびに付随するPUFAシンターゼおよびHetI導入遺伝子を含有するダイズ事象を選択した。選択されたトランスジェニック苗は自家受粉させ、得られたT1種子は成熟時に収穫した。単一種子が得られ、FAME GC−FIDによって分析してLC−PUFAおよびDHA含有量を決定した。苗あたり12のホール成熟種子を、鋼鉄製のボールとボールミルを使用して圧力と均質化で種子を粉砕することにより個別に分析した。組織はヘキサンを用いて3回脱脂し、プールしたヘキサン画分は乾燥するまで蒸発させて、残渣は重量を計り以前の実施例において記載されている通りに実施するFAME分析のためにヘプタン中で再構成した。トランスジェニック種子の油含有量(個々のFAMEの質量の合計を種子質量で割る)およびトランスジェニックT1系統により生産される種子の数は、同一条件下同一時間に温室で生育した非トランスジェニックマーベリック対照品種と有意に異なってはいなかった。選択された事象での平均および最大レベル(%)の単一T1種子LC−PUFA含有量は表11に要約している。DHA含有量は最大2.0%であり、全PUFA含有量は最大5.1%であった。さらに、3つの新規の非内在性LC−PUFA、DHA、EPA、およびDPA(n−6)は、T1ダイズ種子において検出された。表11。
DHAとEPAはLC−PUFAを含有するT1種子において全LC−PUFA含有量の90%〜99%を占めた。最も高いLC−PUFA含有量(5.1%)は、事象107960[12]-626.001において構築物107960で達成された。
ダイズ事象101454[16]-341.Sx001、pDAB101496{330}33007.001、107960[12]-626.001、および107960[12]-641.001由来の個別のT1種子の完全脂質プロファイルは表12に示している。マーベリック対照由来の2つの個別の種子を比較のために加えた。検出されたFAMEすべてを収載した。
トランスジェニックダイズ事象由来の成熟T2種子の脂質分析
世代をこえたLC−PUFA形質の遺伝およびその安定性を評価するために、試験した3つの構築物由来のいくつかの代表的な事象、101454[16]-341.Sx001、107960[12]-641.001、107960[12]-644.001およびpDAB101496{334}33402.001を、温室での生育物についてのLC−PUFA含有量に基づいて選択した。T1種子は温室で発芽させ、T1小植物はPAT、PFA1およびNoHetI導入遺伝子の存在についてアッセイした。導入遺伝子を有するT1苗は成熟するまで生育し、自家受粉から生じたT2種子をさらに油分析するために収穫した。それぞれのT2苗から、5〜11T2種子を実施例1に記載する方法によりFAMEについて個別に分析した。T1種子結果を参考として表13に太字で追加した。事象107960[12]-644.001およびpDAB101496{334}33402.001のT1系統はホモ接合性ではなく、したがって、いくつかのT2分離種子はLC−PUFAを含有していなかった(最小LC−PUFAは0である)。事象101454[16]-341.Sx001由来のT2種子はT1(3%)に匹敵する安定したLC−PUFA含有量(2.2〜5.6%)を示している。観察された平均PUFAのわずかな増加は、導入遺伝子遺伝子座がホモ接合性苗を選択し、それによりT2子孫において同胞ヌル種子を排除したせいである。大多数のLC−PUFAはn3(比=0.9)であり、EPA(0.6〜2.4%)とDHA(1.3〜2.7%)の間で分かれている。事象107960[12]-641.001由来のT2種子は、親種子と比べて類似する傾向を示している。LC−PUFA含有量(1.5〜2.1%)はT1種子(3.2%)に匹敵する。事象pDAB101496{334}33402.001から選択されたすべての系統がLC−PUFAがないT2種子を有しており、T1苗が導入遺伝子遺伝子座について固定されなかったことを示している。T2種子の平均LC−PUFA含有量(0.1〜1.1%)はT1(0.6%)に匹敵する。すべてのそれらの構築物では、LC−PUFA形質は次世代に受け継がれており、蓄積されたLC−PUFAの量に有意差はない。
圃場で生育したpDAB101496由来のキャノーラ種子におけるLC−PUFA産生
中等度から高レベルのDHAを産生する6つのpDAB101496(配列番号17)キャノーラ事象(上記)から導かれるいくつかのホモ接合性T1苗由来のT2キャノーラ種子バッチを独立してプールした。この種子を2013年ミネソタおよびノースダコタの圃場に植えた。非形質転換苗由来のキャノーラ種子エントリーを対照として使用し、市販のキャノーラ系統を照合として使用した。種子エントリーごとに4つの複製試験区(1.2×6m)に植え付け、成熟時に得られた種子(トランスジェニック試料の場合はT3種子)をそれぞれの試験区から収穫し、LC−PUFA含有量について分析した。それぞれの実験試験区から収穫されたキャノーラ粒子のLC−PUFA含有量は、4つの複製圃場試験区のそれぞれからのバルク粒子から試料採取した3つの10種子アリコートのFAME抽出から決定した。表14。
事象6580[1]-035.Sx002では、エントリーあたり4つの圃場試験区により、最大DHAおよびEPA含有量はそれぞれ4.27%および0.65%であった。個別の試験区からの最大DHA含有量は4.54%であった。圃場における植付けのための事象ごとにひとまとめにされた同一T2種子系統も、得られるT3種子のLC−PUFA含有量を比較するために温室で生育した。圃場で生育された上位4つのpDAB101496系統のDHA含有量は、温室で生育した等価な系統よりも平均で22%高かった。表14。
非トランスジェニックDH12075苗と比べてDHAを産生するトランスジェニックキャノーラ系統の穀物収量に有意差はなかった。表15。圃場で生育したすべての系統が、40%g油/g種子を超える平均油含有量を有する種子を生産した。種子の葉緑素含有量で、または油抽出後のグラムミールあたりの%種子タンパク質でトランスジェニックと非トランスジェニック対照の間に有意差はなかった。開花期と成熟期はトランスジェニック系統と対照苗の間で変化はなかった。
野外試験からの穀物バッチはプールし、粉砕してLC−PUFA含有油を抽出し、前記油は標準的方法を使用して、精製、漂白および脱臭を通じて加工した。種子の2つのバッチを加工して、3.02%DHAおよび1.0%EPAを含有する1.2kgのRBD油ならびに4.1%DHAおよび0.7%EPAを含有する1.0kgのRBD油を産した。これにより、PUFAシンターゼおよびHetIを発現しているトランスジェニックキャノーラ苗からの穀物を加工すれば、DHAおよびEPAが高濃縮されたキャノーラ油を生産可能であることが実証されている。
pDAB107960キャノーラ事象での複数の種子世代にわたるLC−PUFA形質安定性
プラスミドpDAB107960では、シロイヌナズナ(Arabidopsis)で試験した場合、多様化したプロモーター/ターミネーター組合せの使用と3つの天然のPUFAシンターゼ配列の第2の配向のPTUフォーマットでの使用を組み合わせるとT3種子世代ではLC−PUFA形質が一貫して安定した。表5。pDAB107960で生じたキャノーラ事象は、自家受粉作物種子3世代にわたるLC−PUFA形質安定性について同様に試験した。
前述の通りにT1種子の単一種子分析により選択された9つのpDAB107960キャノーラ事象由来のT1種子を温室に植えた。pDAB107960導入遺伝子についてホモ接合性であり単一メンデル遺伝子座として分離している苗を成熟するまで生育し、T2種子を苗から収穫し、種子試料をLC−PUFA含有量について分析した。9つの選択されたpDAB107960キャノーラ事象由来の苗すべてがT2種子においてDHAおよびEPAを産生した。表16。7事象(113苗)由来のT2種子を温室に植え、成熟するまで生育し、T3種子をこれらの苗から収穫した。種子試料は、LC−PUFA含有量についてそれぞれの子孫苗から再び分析した。7つの選択されたpDAB107960事象由来の113のT2キャノーラ苗すべてがT3種子においてDHAおよびEPAを産生した。表16。6つの事象(137苗)由来のT3種子を温室に植え、成熟するまで生育し、T4種子をこれらの苗から収穫した。6つの選択されたpDAB107960事象由来の137のキャノーラT3苗すべてがT4種子においてDHAおよびEPAを産生した。表16。試験した6事象のうちの5つがそれぞれの種子世代において類似する高レベルのDHAを維持し、複数事象にわたるDHA形質安定性が実証された。
T4種子世代まで持ち込まれた6つの単一遺伝子座pDAB107960キャノーラ事象における導入遺伝子コピー数は前述の通りに決定した。事象107960[6]-106、107960[6]-107、107960[7]-111、および107960[6]-353はすべての導入遺伝子の2コピーを含有しており、事象107960[7]-085および107960[6]-352はすべての導入遺伝子(PFA1、PFA2、PFA3、NoHetI)の1コピーを含有していた。したがって、LC−PUFA形質は導入遺伝子セットの1コピーまたは2コピーで送達され、3種子世代にわたり安定したままであった。
2つの異なる事象(107960[7]-085および107960[6]-353)から導かれる2つのT3苗由来のバルクT4種子試料の完全なFAMEプロファイルを表17に示している。これらの種子は、それぞれ4.4%および4.6%DHA、ならびに0.6%および0.7%EPAを含有していた。オレイン酸(C18:1)含有量は付随減少しており(−8%)、リノール酸(18:2)含有量はわずかに増加しており(+2%)、その他の点ではプロファイルは新たなLC−PUFAの存在により著しく変化することはなかった。予想されたLC−PUFA、DHA、EPA、およびDPA(n−6)に加えて、低レベルの新たなω−6脂肪酸、ガンマ−リノレン酸(GLA、18:3)およびアラキドン酸(ARA、20:4)も検出可能であった(総計約1%)。
圃場で生育されたpDAB107960由来のT4キャノーラ種子におけるLC−PUFA産生
約3%DHAを産生している6つの異なるpDAB107960キャノーラ事象から導かれるホモ接合性T2苗由来のT3キャノーラ種子バッチ(上記)は独立してプールした。この種子は2014年にノースダコタの2つの場所の圃場に植えた。非形質転換DH12075苗由来のキャノーラ種子エントリーは対照として使用し、市販のキャノーラ系統は照合として使用した。種子エントリーごとに4つの複製試験区(1.2×6m)に植え付け、得られた種子(トランスジェニック試料ではT4種子)をそれぞれの試験区から収穫し、前述の通りに、FAME分析によりLC−PUFA含有量について分析した。4つの複製圃場試験区のそれぞれからのバルク粒子から試料採取した3つの10種子技術的複製物でFAME抽出を実施した。表18。
最大DHAとEPA含有量(エントリーあたり4試験区の平均)は、現場1で事象107960[6]-353および107960[6]-106ではそれぞれ3.98%および0.88%であった。個別の試験区からの最大DHA含有量は事象107960[6]-353では現場1で4.69%であった。圃場に植えるため事象ごとにひとつにまとめられた同一T3種子系統は温室でも生育し、得られたT4種子のLC−PUFA含有量を比較した。表16。両現場における6つの圃場生育pDAB107960事象すべてにわたる平均DHA含有量は3.24%であり、温室において生育された等価の事象すべてにわたる平均DHA含有量は3.06%であった。したがって、圃場生育キャノーラのDHA含有量は、等価の温室生育材料よりも平均で+6%高かった。