JP2016533317A - 多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療効果に優れた注射用持効性製剤の組合せ医薬を提供する。具体的には、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤であることを特徴とする多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬、当該薬を用いた多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療方法に関する。

Description

本発明は、多発性嚢胞腎(Polycystic Kidney Disease; PKD)の予防及び/又は治療するための医薬に関する。
多発性嚢胞腎はADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)及びARPKD(常染色体劣性多発性嚢胞腎)に分類され、両者とも腎臓の皮質、髄質に多数の嚢胞を形成し、実質の萎縮・線維化を伴い腎機能に障害をもたらす疾患である。病態の進行に伴い多数の嚢胞が進行性に発生・増大し、腎機能の低下とともに透析が必要な末期腎不全に至る。
尿細管細胞から嚢胞を形成した嚢胞上皮細胞では、サイクリックAMP(cAMP)がプロテインキナーゼA(PKA)を活性化し一連のMAPキナーゼ(MAPK)経路が活性化され細胞増殖が惹起される。また、嚢胞上皮細胞ではバソプレッシンV2受容体(V2R)の発現が亢進し、アデニル酸シクラーゼ(adenylate cyclase)活性が上昇することにより、さらにcAMPが上昇し、細胞増殖に拍車がかかることが示唆されている。
バソプレシンV2受容体(V2R)拮抗薬は,多発性嚢胞腎モデルにおいて著効していることが報告されており,トルバプタン(Tolvaptan)では臨床における治験が進められ、日本においては承認、販売されている(特許文献1、非特許文献1、2、3等)。
一方、アデニル酸シクラーゼ活性を抑制するソマトスタチンアナログであるオクトレオチド(Octreotide)もADPKD治療薬としての有用性が期待され、近年臨床試験の結果が報告されている(非特許文献4)。
特開平4−154765号公報
Nat. Med., 2003, 9(10):1323-6 J. Am. Soc. Nephrol., 2005, 16:846-851 Clin. J. Am. Soc. Nephrol. 2008, 3:1212-1218 J. Am. Soc. Nephrol., 2010, 21:1052-1061
本発明は、多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療効果に優れた注射用持効性製剤を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療効果を顕著に増大させることができる、医薬を組み合わせてなる注射用持効性製剤について鋭意研究を行った。
その結果、トルバプタンを含有する粒子とソマトスタチンアナログであるオクトレオチド又はランレオチドを含む注射用持効性製剤を使用した場合に、それぞれの単独投与の場合に比べて多発性嚢胞腎に対して顕著な治療効果(例えば、腎臓重量又は容積の増大の抑制効果、腎機能の改善効果等)が確認された。
また、上記の組合せ医薬において、トルバプタン及びソマトスタチンアナログの投与量がそれぞれ単独投与では有効ではない低い投与量であっても、上記のように組合せて使用することにより多発性嚢胞腎に対して顕著な治療効果が確認された。
かかる知見に基づきさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の組合せ医薬を提供する。
項1 トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤であることを特徴とする多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項2 前記トルバプタン又はそのプロドラッグが結晶である、項1に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項3 前記トルバプタン又はそのプロドラッグが光学活性体である、項1又は2に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項4 前記光学活性のトルバプタン又はそのプロドラッグが、本質的にR体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグ、或いは本質的にS体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグである、項3に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項5 前記トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子中のトルバプタン又はそのプロドラッグの含有量が50〜100重量%である、項1〜4のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項6 前記トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子の平均粒子径が約1〜100μmである、項1〜5のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項7 前記ソマトスタチンアナログが、ソマトスタチン、オクトレオチド、パシレオチド、ランレオチド、バプレオチド、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1〜6のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項8 前記ソマトスタチンアナログが、マイクロスフェア製剤、又はゲル製剤である、項1〜7のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項9 前記注射用持効性製剤が、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを混合してなる注射用持効性製剤である(配合剤)、項1〜8のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項10 前記注射用持効性製剤が、薬学的に許容される注射用担体を含む、項9に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項11 前記注射用持効性製剤が、注射用水を含む、項9又は10に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項12 前記注射用持効性製剤が、水性懸濁液の形態であり、当該水性懸濁液中のトルバプタン又はそのプロドラッグの配合量が50mg/mL〜500mg/mLである項11に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項13 前記注射用持効性製剤が、皮下投与剤又は筋肉内投与剤である、項9〜12のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項14 前記注射用持効性製剤が、2週間以上毎に投与される製剤である、項1〜13のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項15 前記注射用持効性製剤が、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A、及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bの組合せからなり、該製剤Aと製剤Bが互いに併用して投与される(併用剤)、項1〜8のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項16 前記注射用持効性製剤Aが、薬学的に許容される注射用担体を含む、項15に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項17 前記注射用持効性製剤Bが、薬学的に許容される注射用担体を含む、項15又は16に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項18 前記注射用持効性製剤A及びBが、注射用水を含む、項15〜17のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項19 前記注射用持効性製剤Aが水性懸濁液の形態であり、当該水性懸濁液中のトルバプタン又はそのプロドラッグの配合量が50mg/mL〜500mg/mLである、項15〜18のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項20 前記注射用持効性製剤Bが、水性懸濁液又はゲルの形態である、項15〜19のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項21 前記注射用持効性製剤A及びBが、それぞれ皮下投与剤又は筋肉内投与剤である、項15〜20のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項22 前記トルバプタン又はそのプロドラッグがトルバプタンである、項1〜21のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
項23 トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤Aを含む容器、及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bを含む容器を組合せたことを特徴とする多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療用キット(又はパッケージ)。
項24 トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤を、多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療が必要な患者に対して、投与することを特徴とする多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療方法。
項25 トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A、及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bを、多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療が必要な患者に対して、同時に又は時間差をもうけて投与することを特徴とする、項24に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療方法。
項26 多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬を製造するための、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤の使用。
項27 多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬を製造するための、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bの組合せの使用。
項28 多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬として使用するための、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤。
項29 多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬として使用するための、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bの組合せ。
項30 多発性嚢胞腎を予防及び/又の治療において使用するための、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤。
項31 多発性嚢胞腎を予防及び/又の治療において使用するための、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bの組合せ。
項32 ソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bと組合せて使用するための、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A。
項33 トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤Aと組み合わせて使用するための、ソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤B。
項34 トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤であることを特徴とする、多発性嚢胞腎に罹患した患者の腎臓の重量又は容積の増加抑制剤。
項35 トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bを組合せたことを特徴とする、多発性嚢胞腎に罹患した患者の腎臓の重量又は容積の増加抑制剤。
本発明のトルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤は、患者の生活の質(QOL)とアドヒアランスを改善させつつ、多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療効果を顕著に増大させることができる。
本発明の製剤は、配合剤(合剤)及び併用剤のいずれの態様も包含し、例えば、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを混合した注射用持効性製剤(合剤)の態様、並びに、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A、及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bの別々の製剤の組合せからなり併用投与できる態様(併用剤)を包含する。
トルバプタンは経口投与すると消失が比較的早いため、バソプレッシンの作用を定常的に抑制するには、高ドーズのトルバプタンの1日2回の経口投与が必要とされていた。また、経口投与では、高いトルバプタンの最高血中濃度による過剰な利尿作用、血中からの早い消失によるバソプレッシン拮抗作用の低下等を示す場合があった。その結果として、頻尿、特に夜間頻尿を生じることがあり、患者の生活の質(QOL)の面でさらなる改善の余地があった。また、多発性嚢胞腎の治療は一生涯に渡って薬剤を服用する必要があるため、患者の生活の質(QOL)とアドヒアランスの観点から、トルバプタンの投与頻度を減らすことが求められていた。
本発明の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬は、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含むため、トルバプタンの治療学的に有効な血中濃度を長期間維持することができる。また、トルバプタン及びソマトスタチンアナログの投与量がそれぞれの注射用持効性製剤の単独投与では有効ではない低い投与量であっても、それらを組合せて用いることで、多発性嚢胞腎の顕著な治療効果を発揮することができる。さらに、併用投与することで、トルバプタン注射用持効性製剤を単独投与する場合またはトルバプタンを単独経口投与する場合と比べて尿量の増加(頻尿等)を解消できるため、多発性嚢胞腎の患者の生活の質(QOL)とアドヒアランスを維持することができる。
特に、結晶のトルバプタンを用いた場合には、1回の投与で長期間変動が少ない血中トルバプタン濃度が維持できるという優れた効果を発揮することができる。また、光学活性のトルバプタンを用いた場合には、好ましい光学活性体を選択することにより、治療学的有効濃度を維持するために、ラセミ体と比べ投与薬物量を軽減することができるという優れた効果を発揮することができる。さらに、結晶かつ光学活性のトルバプタン(特に、R体及びS体)を用いた場合には、ラセミ体結晶よりも吸収速度が速く、高い血中トルバプタン濃度が得られること、及び、結晶転移が生じにくいことから、1回の投与で4週間以上治療学的有効濃度を一定に維持できるというより優れた効果を発揮することができる。そのうち結晶のS体トルバプタンがヒトでの代謝安定性が高い点で最も好ましい。
製造例2で製造したS-トルバプタンの結晶粒子を含む注射用持続性製剤の偏光顕微鏡写真である。 オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(サンドスタチンLAR;登録商標(以下同じ))の偏光顕微鏡写真である。 製造例3で製造したR-トルバプタンの結晶粒子を含む注射用持続性製剤の偏光顕微鏡写真である。 製造例4で製造したS-トルバプタンの結晶粒子及びオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(サンドスタチンLAR)を含む注射用持続性製剤(配合剤)の偏光顕微鏡写真である。 製造例5で製造したR-トルバプタンの結晶粒子及びオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(サンドスタチンLAR)を含む注射用持続性製剤(配合剤)の偏光顕微鏡写真である。
本発明の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬は、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤であることを特徴とする。具体的には、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子とソマトスタチンアナログとを組み合わせたことを特徴とする。本発明の薬は、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子とソマトスタチンアナログを混合してなる配合剤(配合剤)、並びに、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bをそれぞれ別製剤とし併用投与できる製剤(併用剤)のいずれの態様も包含する。
1.トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子
本発明の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬は、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤である。これにより、トルバプタンの治療学的に有効な血中濃度を長期間維持することができる。
トルバプタンとは、式(I)で表される7−クロロ−5−ヒドロキシ−1−[2−メチル−4−(2−メチルベンゾイルアミノ)ベンゾイル]−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾアゼピンの一般名称である。
トルバプタンは、式(I)で表されるように、水酸基が結合する炭素が不斉炭素となるため、当該不斉炭素に基づく一対の鏡像異性体(R体及びS体)を有している。トルバプタンとは、R体、S体及び両者を任意の割合で含む混合物のいずれをも包含する意味に用いられる。トルバプタンは、典型的には、光学活性体(特に、光学異性体又は鏡像異性体であるR体若しくはS体)又はラセミ体の形態を取り得る。
トルバプタンは、プロドラッグであってもよい。プロドラッグとは、水に対する溶解性、安定化、バイオアベイラビリティーの改善等を考慮して活性化合物(トルバプタン)を修飾した化合物である。後述するプロドラッグは、上記式(I)の水酸基が結合する炭素が不斉炭素となるため、当該不斉炭素に由来する一対の鏡像異性体(R体及びS体)を有している。
プロドラッグの例としては、トルバプタンの水酸基をリン酸エステル化した化合物が挙げられる。具体的には、特表2009−521397号公報に記載の、下記式(Ia)で表されるベンゾアゼピン化合物又はその塩が挙げられる。
(式中、Rは、水素原子、保護基を有することのあるヒドロキシ基、保護基を有することのあるメルカプト基、又は保護基を1個若しくは2個有することのあるアミノ基を示す。Rは、水素原子又はヒドロキシ保護基を示す。Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)
式(Ia)における、Rで示される保護基を有することのあるヒドロキシ基、保護基を有することのあるメルカプト基、又は保護基を1個若しくは2個有することのあるアミノ基における「保護基」としては特に限定はなく、典型例として、低級アルキル基(例えば、メチル、エチル等のC1−6アルキル基等)、フェニル低級アルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル等のフェニルC1−6アルキル基等)、低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル基等のC1−6アルコキシカルボニル基等)等が挙げられる。
式(Ia)における、Rで示されるヒドロキシ保護基としては、上記Rに含まれる「保護基」で例示されたものを採用することができる。
プロドラッグの他の例としては、トルバプタンの水酸基をアシル化した化合物が挙げられる。具体的には、WO 2009/001968(特表2010−531293号公報)に記載の、下記式(Ib)で表されるベンゾアゼピン化合物又はその塩が挙げられる。
[式中、Rは、下記(1-1)〜(1-7)で示されるいずれかの基を示す。
(1-1) 基−CO−(CH−COR
(ここで、nは1〜4の整数を示す。Rは、(2-1)水酸基;(2-2)置換基として水酸基、低級アルカノイル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルコキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基もしくは5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル基を有することのある低級アルコキシ基;または(2-3)置換基としてヒドロキシ低級アルキル基を有することのあるアミノ基を示す。)
(1-2) 基−CO−(CH−NR
(ここで、mは0〜4の整数を示す。Rは、水素原子または低級アルキル基を示す。Rは、(4-1)水素原子;(4-2)置換基としてハロゲン原子、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシカルボニル基もしくは5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル基を有することのある低級アルキル基;または(4-3)置換基としてハロゲン原子、低級アルカノイルオキシ基もしくは5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル基を有することのある低級アルコキシカルボニル基を示す。また、R及びRは、これらが結合する窒素原子と共に他の窒素原子もしくは酸素原子を介しまたは介することなく互いに結合して5〜6員の飽和複素環を形成してもよい。該複素環上には、(4-4)低級アルキル基(低級アルキル基上に置換基としてヒドロキシ低級アルコキシ基を有していてもよい);(4-5)低級アルコキシカルボニル基;(4-6)アルキルカルボニル基(アルキル基上に置換基としてカルボキシル基もしくは低級アルコキシカルボニル基を有していてもよい);(4-7)アリールカルボニル基;または(4-8)フリルカルボニル基が置換していてもよい。)
(1-3) 基−CO−(CH−O−CO−NR
(ここで、pは1〜4の整数を示す。Rは低級アルキル基を示す。Rは低級アルコキシカルボニル低級アルキル基を示す。)
(1-4) 基−CO−(CH−X−R
(ここで、qは1〜4の整数を示す。Xは、酸素原子、硫黄原子またはスルホニル基を示す。Rは、カルボキシ低級アルキル基または低級アルコキシカルボニル低級アルキル基を示す。)
(1-5) 基−CO−R
(ここで、Rは、(8-1)アルキル基上にハロゲン原子、低級アルカノイルオキシ基もしくはフェニル基(該フェニル基は、ヒドロキシ基がベンジル基で置換されていてもよいジヒドロキシホスホリルオキシ基および低級アルキル基で置換されている)が置換していてもよいアルキル基、(8-2)ハロゲン原子、低級アルカノイルオキシ基もしくはジヒドロキシホスホリルオキシ基を置換基として有する低級アルコキシ基、
(8-3)ピリジル基、または(8-4)低級アルコキシフェニル基を示す。)
(1-6) 低級アルキルチオ基、ジヒドロキシホスホリルオキシ基および低級アルカノイルオキシ基からなる群より選ばれた基が置換した低級アルキル基、または
(1-7) 1個以上の保護基を有することのあるアミノ酸残基もしくはペプチド残基]
式(Ib)において、「低級」とは、特に指示がなければ炭素原子1〜6個を意味するものとする。
低級アルカノイル基としては、例えば、アセチル、n−プロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、n−ペンタノイル、tert−ブチルカルボニル、n−ヘキサノイル基等の直鎖または分枝鎖状のC2−6アルカノイル基が挙げられる。
低級アルカノイルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、n−プロピオニルオキシ、n−ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、n−ペンタノイルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ、n−ヘキサノイルオキシ基等の直鎖または分枝鎖状のC2−6アルカノイルオキシ基が挙げられる。
低級アルコキシカルボニルオキシ基としては、アルコキシ部分が直鎖または分枝鎖状のC1−6アルコキシ基であるアルコキシカルボニルオキシ基であって、例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、n−プロポキシカルボニルオキシ、イソプロポキシカルボニルオキシ、n−ブトキシカルボニルオキシ、イソブトキシカルボニルオキシ、tert−ブトキシカルボニルオキシ、sec−ブトキシカルボニルオキシ、n−ペンチルオキシカルボニルオキシ、ネオペンチルオキシカルボニルオキシ、n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ、イソヘキシルオキシカルボニルオキシ、3−メチルペンチルオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基としては、例えば、シクロプロピルオキシカルボニルオキシ、シクロブチルオキシカルボニルオキシ、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ、シクロヘプチルオキシカルボニルオキシ、シクロオクチルオキシカルボニルオキシ基等のシクロアルキル部分がC3−8シクロアルキル基であるシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基を挙げることができる。
シクロアルキルカルボニル基としては、例えばシクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチルカルボニル、シクロオクチルカルボニル基等のシクロアルキル部分がC3−8シクロアルキル基であるシクロアルキルカルボニル基を挙げることができる。
低級アルコキシ基としては、直鎖または分枝鎖状のC1−6アルコキシ基であって、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、3−メチルペンチルオキシ基等を挙げることができる。
ヒドロキシ低級アルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、3,3−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル、2,3,4−トリヒドロキシブチル基等の水酸基を1〜3個有する直鎖または分枝鎖状のC1−6アルキル基を挙げることができる。
アルキル基としては、直鎖または分枝鎖状のC1−10アルキル基であって、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル基等を挙げることができる。
低級アルキル基としては、直鎖または分枝鎖状のC1−6アルキル基であって、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル基等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を示す。
低級アルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ、ジ−n−ペンチルアミノ、ジ−n−ヘキシルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、N−エチル−N−n−プロピルアミノ、N−メチル−N−n−ブチルアミノ、N−メチル−N−n−ヘキシルアミノ基等の置換基として直鎖または分枝鎖状のC1−6アルキル基を1〜2個有するアミノ基を例示できる。
低級アルコキシカルボニル基としては、アルコキシ部分が直鎖または分枝鎖状のC1−6アルコキシ基であるアルコキシカルボニル基であって、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、イソヘキシルオキシカルボニル、3−メチルペンチルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
及びRが、これらが結合する窒素原子と共に他の窒素原子もしくは酸素原子を介しまたは介することなく互いに結合して形成される5〜6員の飽和複素環としては、例えば、ピロリジン、イミダゾリジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。
ヒドロキシ低級アルコキシ基としては、例えば、ヒドロキシメトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、1−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、4−ヒドロキシブトキシ、5−ヒドロキシペンチルオキシ、6−ヒドロキシヘキシルオキシ、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエトキシ、2−メチル−3−ヒドロキシプロポキシ基等の1〜2個のヒドロキシ基を有し、アルコキシ部分が直鎖または分枝鎖状のC1−6アルコキシ基であるヒドロキシアルコキシ基を例示できる。
アルキルカルボニル基としては、アルキル部分が直鎖または分枝鎖状のC1−20アルキル基であるアルキルカルボニル基であって、例えば、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、イソペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル、イソヘキシルカルボニル、3−メチルペンチルカルボニル、n−ヘプチルカルボニル、n−オクチルカルボニル、n−ノニルカルボニル、n−デシルカルボニル、n−ウンデシルカルボニル、n−ドデシルカルボニル、n−トリデシルカルボニル、n−テトラデシルカルボニル、n−ペンタデシルカルボニル、n−ヘキサデシルカルボニル、n−ヘプタデシルカルボニル、n−オクタデシルカルボニル、n−ノナデシルカルボニル、n−イコシルカルボニル基等を挙げることができる。
アリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル、(1−または2−)ナフチルカルボニル基等を挙げることができる。
フリルカルボニル基としては、例えば、(2−または3−)フリルカルボニル基を例示できる。
低級アルコキシカルボニル低級アルキル基としては、例えば、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、1−エトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニルプロピル、4−エトキシカルボニルブチル、5−イソプロポキシカルボニルペンチル、6−n−プロポキシカルボニルヘキシル、1,1−ジメチル−2−n−ブトキシカルボニルエチル、2−メチル−3−tert−ブトキシカルボニルプロピル、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル、n−ヘキシルオキシカルボニルメチル基等のアルコキシ部分が直鎖または分枝鎖状のC1−6アルコキシ基であり、アルキル部分が直鎖または分枝鎖状のC1−6アルキル基であるアルコキシカルボニルアルキル基を例示できる。
カルボキシ低級アルキル基としては、例えば、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、1−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、4−カルボキシブチル、5−カルボキシペンチル、6−カルボキシヘキシル、1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル、2−メチル−3−カルボキシプロピル基等のアルキル部分が直鎖または分枝鎖状のC1−6アルキル基であるカルボキシアルキル基を例示できる。
低級アルコキシフェニル基としては、例えば、メトキシフェニル、エトキシフェニル、n−プロポキシフェニル、イソプロポキシフェニル、n−ブトキシフェニル、イソブトキシフェニル、tert−ブトキシフェニル、sec−ブトキシフェニル、n−ペンチルオキシフェニル、イソペンチルオキシフェニル、ネオペンチルオキシフェニル、n−ヘキシルオキシフェニル、イソヘキシルオキシフェニル、3−メチルペンチルオキシフェニル基等のアルコキシ部分が直鎖または分枝鎖状のC1−6アルコキシ基であるアルコキシフェニル基を挙げることができる。
低級アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、n−ヘキシルチオ基等の直鎖または分枝鎖状のC1−6アルキルチオ基を挙げることができる。
アミノ酸残基もしくはペプチド残基としては、例えば、アラニル、フェニルアラニル、サルコシル、バリル、ロイシル、イソロイシル、プロリル、N−エチルグリシル、N−プロピルグリシル、N−イソプロピルグリシル、N−ブチルグリシル、N−tert-ブチルグリシル、N−ペンチルグリシル、N−ヘキシルグリシル、N,N−ジエチルグリシル、N,N−ジプロピルグリシル、N,N−ジブチルグリシル、N,N−ジペンチルグリシル、N,N−ジヘキシルグリシル、N−メチル−N−エチルグリシル、N−メチル−N−プロピルグリシル、N−メチル−N−ブチルグリシル、N−メチル−N−ペンチルグリシル、N−メチル−N−ヘキシルグリシル基等のアミノ酸残基;サルコシル−グリシル、グリシル−グリシル、グリシル−サルコシル、サルコシル−サルコシル、アラニル−グリシル、フェニルアラニル−グリシル、フェニルアラニル−フェニルアラニル、グリシル−グリシル−グリシル、N−エチルグリシル−グリシル、N−プロピルグリシル−グリシル、N,N−ジメチルグリシル−グリシル、N,N−ジエチルグリシル−グリシル、N−メチル−N−エチルグリシル−グリシル、サルコシル−グリシル−グリシル、N−エチルグリシル−グリシル−グリシル、N,N−ジメチルグリシル−グリシル−グリシル基等のペプチド残基等が挙げられる。
アミノ酸もしくはペプチドの保護基としては、例えば、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、アセチル基等のアミノ酸もしくはペプチドを構成するアミノ基を保護する通常の保護基が挙げられる。
ラセミ体のトルバプタンとは、上記式(I)で表される化合物の水酸基が結合した不斉炭素に由来する2つの鏡像異性体R体及びS体の等量混合物である。ラセミ体のトルバプタンのプロドラッグとは、上記ラセミ体のトルバプタンの水酸基を修飾した化合物である(一般式(Ia)又は一般式(Ib)で表される化合物を含む。)。
光学活性のトルバプタン又はそのプロドラッグとは、本質的にR体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグ、或いは、本質的にS体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグを意味する。
本質的にR体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグとは、R体が大部分を占めるトルバプタン又はそのプロドラッグであるが、本発明の効果を奏する限りにおいてその鏡像異性体であるS体を含んでいてもよい。具体的には、R体トルバプタン又はそのプロドラッグの光学純度(鏡像体過剰率;ee)が、通常80%ee以上、好ましくは90%ee以上、より好ましくは95%ee以上、さらに好ましくは99%ee以上、特に好ましくは100%eeであるトルバプタン又はそのプロドラッグが挙げられる。
また、本質的にS体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグとは、S体が大部分を占めるトルバプタン又はそのプロドラッグであるが、本発明の効果を奏する限りにおいてその鏡像異性体であるR体を含んでいてもよい。具体的には、S体トルバプタン又はそのプロドラッグの光学純度(鏡像体過剰率;ee)が、通常80%ee以上、好ましくは90%ee以上、より好ましくは95%ee以上、さらに好ましくは99%ee以上、特に好ましくは100%eeであるトルバプタン又はそのプロドラッグが挙げられる。
上記の光学活性のトルバプタンは、例えば、Heterocycles, 54(1), 2001, pp.131-138、Heterocycles, 56, 2002, pp.123-128、Tetrahedron: Asymmetry 21, (2010) 2390-2393の記載に基づいて製造することができる。光学活性のトルバプタンのプロドラッグは、さらに、例えば、特表2009−521397号公報、WO 2009/001968(特表2010−531293号公報)の記載に基づいて又は準じて製造することができる。
トルバプタン又はそのプロドラッグには、その無水物、溶媒和物(例えば、水和物、アルコール和物等)、共結晶等も包含し得る。さらに、トルバプタン又はそのプロドラッグの分子中の1つ又は複数の原子を1つ又は複数の同位体原子で置換したものも包含し得る。同位体原子の例としては重水素(H)、三重水素(H)、13C、14N、18O等が挙げられる。
トルバプタン又はそのプロドラッグは結晶又は非晶質のいずれの形態をも取り得る。
結晶のトルバプタン又は結晶のトルバプタンのプロドラッグ(以下、結晶のトルバプタン又はそのプロドラッグと表記する)とは、粒子中に含まれる全トルバプタン又はそのプロドラッグのうちの結晶トルバプタン又はそのプロドラッグの含有量が90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%以上であること、特に好ましくは非晶質トルバプタン又はそのプロドラッグが検出されないことを示す。
非晶質のトルバプタン又は非晶質のトルバプタンのプロドラッグ(以下、非晶質のトルバプタン又はそのプロドラッグと表記する)とは、粒子中に含まれる全トルバプタン又はそのプロドラッグのうちの結晶トルバプタン又はそのプロドラッグの含有量が10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満であること、特に好ましくは結晶トルバプタン又はそのプロドラッグが検出されないことを示す。
粒子中のトルバプタン又はそのプロドラッグのうちの結晶トルバプタン又はそのプロドラッグの含有量は、当該粒子のX線回折、示差走査熱量計(DSC)、NIR、マイクロカロリメータ、ラマン分光、テラヘルツ分光等の分析装置で測定することにより測定可能である。
上記の有効成分であるトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子は、本質的にトルバプタン又はそのプロドラッグからなる粒子(トルバプタン又はそのプロドラッグのみからなる粒子を含む)、並びに、トルバプタン又はそのプロドラッグと他の成分を含む粒子のいずれも含む概念である。
他の成分としては、粒子からのトルバプタン又はそのプロドラッグの放出速度をコントロールするために添加される成分等が挙げられ、例えば、水溶性ポリマー及び/又は生分解性ポリマーが例示される。
水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドロン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メタアクリル酸コポリマーL、メチルセルロース(MC)等が挙げられる。好ましい水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドロン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)である。
生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ酸無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリシアノアクリレート、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(アルキレンオキサレート)、生分解性ポリウレタン、その混合物、及びそれらのコポリマーが挙げられる。上記のポリマー中に不斉炭素を有する場合には、そのポリマーを構成するモノマーはD体、L体又はDL体のいずれであってもよく、好ましくはL体である。好ましい生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸のコポリマーである。
粒子中におけるトルバプタン又はそのプロドラッグと水溶性ポリマー及び/又は生分解性ポリマーとの重量比は、通常、1:0〜1:4であり、さらに4:1〜1:4であり、よりさらに4:1〜1:2であり、特に2:1〜1:1である。重量比は、とりわけ1:0が好適である。
粒子中におけるトルバプタン又はそのプロドラッグの含有量は、通常、50〜100重量%であり、さらに70〜100重量%であり、よりさらに90〜100重量%であり、特に100重量%である。
トルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子の平均粒子径は、通常、1〜100μm、好ましくは1〜60μm、より好ましくは2〜50μmである。粒子の平均粒子径は、体積平均径であり、レーザー回折粒度分布計を用いて測定することができる。
非晶質のトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子は、通常、トルバプタン又はそのプロドラッグ、並びに必要に応じて水溶性ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを有機溶媒に溶解させた後、噴霧乾燥することにより製造される。そのため当該粒子は一般に球状を有している。当該粒子の平均粒子径は、この噴霧乾燥法の条件を適宜変更して所望の範囲(1〜100μm、好ましくは2〜60μm、より好ましくは4〜50μm)に設定することができる。
結晶のトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子は、例えば、ラセミ体のトルバプタン又はそのプロドラッグ、又は光学活性のトルバプタン又はそのプロドラッグを再結晶して調製される。これを所望の平均粒子径になるように公知の粉砕方法、好ましくは湿式粉砕を用いて製造される。当該粒子の平均粒子径は、この粉砕条件を適宜変更して所望の範囲(1〜100μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜10μm)に設定することができる。
或いは、結晶又は非晶質のトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子は、マイクロスフェア、マイクロカプセル等の粒子であってもよい。当該粒子は、例えば、トルバプタン又はそのプロドラッグと、必要に応じて水溶性ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを使用して、水中乾燥法、噴霧乾燥法、液中乾燥法、溶媒拡散法等を用いて調製することができる。
本発明では、結晶のトルバプタン又はそのプロドラッグが好ましく、結晶のトルバプタンがより好ましい。これは、結晶のトルバプタンは非晶質のトルバプタンと比べて、投与直後の高血中濃度(初期バースト)を抑制でき、トルバプタンの血中濃度を長期間変動が少なく維持することができるからである。
本発明では、光学活性のトルバプタン又はそのプロドラッグが好ましく、光学活性のトルバプタンがより好ましい。これは、好ましい光学活性体を選択することにより、治療学的有効血中濃度を維持するために、ラセミ体と比べ投与薬物量を軽減することが出来るという優れた効果を発揮することができるためである。また、光学活性体では非晶質からの結晶化及び結晶転移が生じ難いため、溶出速度や血中濃度の変動が少ない優れた点もある。このうち、ヒトでの代謝安定性が高い点で本質的にS体からなるトルバプタンがより好ましく、S体のトルバプタンが特に好ましい。そのうち結晶のS体トルバプタンが最も好ましい。
本発明では、結晶であり且つ光学活性のトルバプタン又はそのプロドラッグが好ましく、結晶であり且つ光学活性のトルバプタンがより好ましい。これは、ラセミ体結晶よりも光学活性体結晶の吸収速度が速く、高い血中トルバプタン濃度が得られること、及び結晶転移が生じにくいことから、1回の投与で4週間以上治療学的有効血中濃度を一定に維持できるという、より優れた効果を発揮することができるためである。このうち、本質的にS体からなるトルバプタンがより好ましく、S体のトルバプタンが特に好ましい。
本明細書において、トルバプタン及びトルバプタンのプロドラッグ(特に、式(Ia)で表される化合物及び/又は式(Ib)で表される化合物)は、それぞれ単独でも、又は、トルバプタンとそのプロドラッグを組み合わせて用いることができる。本発明において、好ましくはトルバプタンである。
2.ソマトスタチンアナログ
ソマトスタチンアナログとは、ソマトスタチン、及びソマトスタチンの生理活性に必須のアミノ酸配列(Phe-Trp-Lys-Thr)を含むソマトスタチン様の作用を有する化合物又はその塩を意味する。当該化合物として具体的には、ソマトスタチン、オクトレオチド、パシレオチド、ランレオチド、バプレオチド等が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。好ましくは、オクトレオチド、ランレオチドである。
オクトレオチドとは、式(II)で表される環状ポリペプチド、即ち、(−)−D−フェニルアラニル−L−システイニル−L−フェニルアラニル−D−トリプトフィル−L−リシル−L−スレオニル−N−[(1R,2R)−2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)プロピル]−L−システインアミド サイクリック(2→7)ジスルフィドの一般名称である。
パシレオチドとは、シクロ[L-フェニルGly-D-Trp-L-Lys-O-ベンジル-L-Tyr-L-Phe-[(4R)-4-(2-アミノエチルカルバモイルオキシ)-L-Pro-]]の一般名称である。
ランレオチドとは、3−(2−ナフチル)−D−アラニル−L−システイニル−L−チロシル−D−トリプトフィル−L−リシル−L−バリル−L−システイニル−L−スレオニンアミド サイクリック(2→7)−ジスルフィドの一般名称である。
ソマトスタチンアナログは、遊離体の他にも、薬学的に許容可能な酸と共に塩を形成していてもよい。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸及び他の無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、パモ酸及び他の有機酸等が挙げられる。ソマトスタチンアナログの塩として、好ましくは塩酸塩又は酢酸塩である。例えば、オクトレオチド酢酸塩、パシレオチド塩酸塩又は酢酸塩、ランレオチド酢酸塩、バプレオチド酢酸塩等が挙げられる。
ソマトスタチンアナログは、上記の遊離体、塩等の形態に加えて、それらを含むマイクロスフェア製剤、ゲル製剤、埋め込み剤等の形態にすることもできる。これにより、ソマトスタチンアナログの安定性を保持するとともに、放出速度を制御することができるため、有効な血中濃度を長期間一定に維持することができる。
マイクロスフェア製剤としては、生分解性ポリマーのマトリックス中にソマトスタチンアナログを含む粒子が挙げられる。マイクロスフェア製剤は、公知の方法で製造することができる。例えば、相分離法、噴霧乾燥法、液中乾燥法、溶媒拡散等が挙げられる。
生分解性ポリマーとしては、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ酸無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリオルトエステル、ポリシアノアクリレート、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(アルキレンオキサレート)、生分解性ポリウレタン、その混合物、及びそれらのコポリマーが挙げられる。上記のポリマー中に不斉炭素を有する場合には、そのポリマーを構成するモノマーはD体、L体又はDL体のいずれであってもよく、好ましくはL体である。好ましい生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸のコポリマーである。
生分解性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常、約10,000〜200,000、好ましくは25,000〜100,000、特に35,000〜60,000の範囲である。重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC)を用いて測定できる。
マイクロスフェア中の、ソマトスタチンアナログの含有量は、通常、1〜30重量%程度、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%である。
マイクロスフェアの平均粒子径は、通常、1〜250μm程度、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜90μmである。マイクロスフェア粒子の平均粒子径は、体積平均径であり、レーザー回折粒度分布計を用いて測定できる。
ソマトスタチンアナログのマイクロスフェア製剤及びその製造に関しては、例えば、米国特許第5538739号等を参照することができる。
ソマトスタチンアナログのゲル製剤及びその製造に関しては、例えば、特開2013−517228号、特許第4489186号、特許第4162381号等を参照することができる。
3.薬学的に許容される注射用担体
薬学的に許容される注射用担体は、有効成分であるトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子、及びソマトスタチンアナログを、水性懸濁液又はゲルの形態に調製するために用いられる。当該注射用担体には、通常、(a)懸濁化剤及び/又は湿潤剤、(b)必要に応じて等張化剤及び/又はバルキング剤、(c)必要に応じて緩衝剤、(d)必要に応じてpH調整剤、(e)必要に応じて粘度増強剤、並びに(f)必要に応じて保存剤が含まれる。
上記(a)懸濁化剤及び/又は湿潤剤は、上記トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子、及び/又はソマトスタチンアナログを含有する粒子を、水中に懸濁させるために必須である。
好適な懸濁化剤の例としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、マクロゴール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。特に、カルボキシメチルセルロースナトリウムとポリビニルピロリドンが好ましい。
懸濁化剤の配合量は、水性懸濁液又はゲル(注射用水を含む)の総容量に基づいて、通常、約0.05〜約10w/v%、好ましくは約0.1〜約5w/v%の範囲内である。
好適な湿潤剤の例としては、種々の界面活性剤(非イオン性およびイオン性界面活性剤を含む)が挙げられ、例えば、ゼラチン、レシチン(ホスファチド)、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivatives)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販のTweens(登録商標)、例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標、ポリソルベート80)(ICI Specialty Chemicals))、ポロキサマー(poloxamers)(例えば、PluronicF68(登録商標)およびF108(登録商標)、これらは、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドのブロックコポリマーである)、ポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標)、Poloxamine 908(登録商標)としても公知、これは、エチレンジアミンへのプロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドの連続付加から誘導される四官能性ブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation,Parsippany,N.J.))などが挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。特に、ポリソルベート80とポロキサマーが好ましい。
湿潤剤の配合量は、水性懸濁液又はゲルの総容量に基づいて、通常、約0.01〜約5w/v%、好ましくは約0.05〜約1w/v%の範囲内である。
注射用担体は、(b)等張化剤及び/又はバルキング剤を必要に応じて加えることが出来る。等張化剤として、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、スクロース、ラクトース、マルトース、キシリトール、グルコース、ソルビトール等が挙げられる。これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。本発明の製剤を凍結乾燥製剤とする場合は、等張化剤はバルキング剤としての役割を果たすこともできる。
等張化剤及び/又はバルキング剤を含む場合その配合量は、水性懸濁液又はゲルの総容量に基づいて、通常、約0.2〜約12w/v%、好ましくは約0.5〜約10w/v%の範囲内である。
注射用担体は、(c)緩衝剤を必要に応じて加えることができる。本明における好適な緩衝剤の例としては、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、又はTRIS緩衝剤等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。特に、リン酸ナトリウム(特にリン酸二水素ナトリウム)が好ましい。
緩衝剤を含む場合その配合量は、用時調製後の水性懸濁液又はゲルのpHを、通常、約6〜約8、好ましくは約7に調整できる量である。このようなpHを達成するために、通常、緩衝剤は、タイプに依存して、水性懸濁液又はゲルの総重量に基づいて、約0.02〜約2重量%、好ましくは約0.03〜約1重量%の範囲内、そしてより好ましくは約0.1重量%の量で使用される。
注射用担体には、(d)pH調整剤(pH adjusting agent)を必要に応じて含んでいてもよい。これは、用時調製後の水性懸濁液又はゲルのpHを、約6〜約8の範囲、好ましくは約7に調整する量で使用される。そして、所望の約7の中性pHに調整するために、トルバプタンの水性懸濁液又はゲルのpHを上昇させる必要があるのか或いは低下させる必要があるのかに依存して、塩基又は酸のいずれかを用い得る。従って、pHを低下させる必要がある場合、酸性pH調整剤(例えば、塩酸、リン酸、酢酸等が挙げられ、好ましくは塩酸)が使用され得る。pHを上昇させる必要がある場合、塩基性pH調整剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム)が使用される。
注射用担体は、(e)粘度増強剤を必要に応じて加えることができる。粘度増強剤としは、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
注射用担体は、(f)保存剤を必要に応じて加えることができる。保存剤として、例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の第四アンモニウム塩;グルコン酸クロルヘキシジン等の陽イオン化合物;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール化合物;デヒドロ酢酸ナトリウム;チメロサール等が挙げられる。
4.注射用水
注射用水は、無菌で発熱性物質を含まないものであり、注射液製造又は注射用医薬品の溶解に用いることができるものである。なお、注射用水は、単独で、又はグルコース溶液若しくは塩化ナトリウム溶液等の一般的な注射用溶液(溶解液又は希釈液)の形態で用いることができる。
5.注射用持効性製剤
本発明の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬は、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子、及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤である。
本発明の製剤の形態は、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを混合した態様である配合剤(合剤)、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤(以下「注射用持効性製剤A」とも表記する)とソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤(以下「注射用持効性製剤B」とも表記する)とを併用投与される別製剤とした態様である併用剤の両方を包含する。
配合剤(合剤)及び併用剤のいずれにおいても、トルバプタンを含む粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
非晶質のトルバプタンを含む粒子は、例えば、トルバプタン、並びに、必要に応じて水溶性ポリマー及び/又は生分解性ポリマーを有機溶媒に溶解させた後、前記有機溶媒を留去し粉末化して調製することができる。有機溶媒としては、各成分を溶解可能なものでありかつ留去し易いものが選択される。例えば、塩化メチレン、塩化メチレンとアルコール(メタノール又はエタノール)の混合溶媒が挙げられる。得られた溶解液を噴霧乾燥(スプレードライ)して所望の粒度分布の粒子を製造することができる。上記粒子の製造工程は、例えば、特許第4210355号公報に準じて実施することができる。
また、結晶のトルバプタンを含む粒子(特に、トルバプタン結晶からなる粒子)は、例えば、トルバプタンを再結晶により結晶化し、これを粉砕して粉末化して結晶のトルバプタンを含む粒子を調製することができる。上記粒子の製造工程は、例えば、一般的に使用される乾式粉砕機(ジェットミル、ハンマーミル等)、又は湿式粉砕機(ビーズミル等)を用いることで、実施することができる。また、結晶のトルバプタンと他の成分からなる粒子は、例えば、結晶のトルバプタンの粒子がほとんど溶解しない溶媒中に他成分を溶解させ、得られた溶液に結晶のトルバプタンの粒子を懸濁させ、この懸濁液を、噴霧乾燥、又は、噴霧凍結乾燥して、又は凍結乾燥したケーキを粉砕して得ることができる。
配合剤(合剤)は、注射用水を含まない固形製剤(粉末、ケーキ、顆粒等)、及び注射用水を含む水性懸濁液又はゲルのいずれをも包含する。トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子、ソマトスタチンアナログを、薬学的に許容される注射用担体、及び注射用水と混合することにより、水性懸濁液又はゲルに調製することができる。
具体的には、トルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子とソマトスタチンアナログを含む粒子を一つの容器に充填し、用時に水を含む注射用担体を加え水性懸濁液の形態に調製することができる。あるいは、トルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子に水及び懸濁剤等を加え水性懸濁液に調製し、それを凍結乾燥して凍結乾燥品を製造し、そのトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子の凍結乾燥物にソマトスタチンアナログを含む粒子を加え、用時に水あるいは水を含む注射用担体を加え水性懸濁液の形態に調製することができる。あるいは、トルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子とソマトスタチンアナログを含む粒子に水及び懸濁剤等を加え水性懸濁液に調製し、それを凍結乾燥して凍結乾燥品を製造し、用時に水あるいは水を含む注射用担体を加え水性懸濁液の形態に調製することができる。
上記の調製方法を採用する場合、本発明の注射用持効性製剤は、例えば、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む容器、並びに薬学的に許容される注射用担体及び注射用水を含む容器を有するキット、或いは、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子、ソマトスタチンアナログ及び薬学的に許容される注射用担体を含む容器、並びに注射用水を含む容器を有するキット等の形態にすることができる。
併用剤は、注射用持効性製剤Aと注射用持効性製剤Bをそれぞれ別の製剤として調製される。
注射用持効性製剤Aは、注射用水を含まない固形製剤(粉末、ケーキ、顆粒等)、及び注射用水を含む水性懸濁液のいずれをも包含する。トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子、薬学的に許容される注射用担体、及び注射用水を混合することにより、水性懸濁液に調製することができる。
また、注射用持効性製剤Aは、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子と、薬学的に許容される注射用担体及び注射用水を含む水溶液とを混合することにより調製することもできる。具体的には、例えば、バイアル等の容器に封入された無菌のトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子に、薬学的に許容される注射用担体、及び注射用水を含む水溶液を混和した後、強く振とうする方法、ボルテックスミキサーで懸濁液をかき混ぜる方法、超音波照射する方法等を用いて、均質な水性懸濁液を調製することができる。また、2つの無菌シリンジを準備し、一方に無菌のトルバプタン又はそのプロドラッグを含む粒子を封入し、もう一方に、薬学的に許容される注射用担体、及び注射用水を含む水溶液を充填し、2つのシリンジをコネクターで結合し、ポンピングを繰り返すことにより、均質な水性懸濁液を調製することもできる。上記工程を用いて、用時に水性懸濁液を調製することができる。
上記の調製方法を採用する場合、本発明の注射用持効性製剤Aは、例えば、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む容器、並びに薬学的に許容される注射用担体及び注射用水を含む容器を有するキットの形態にすることができる。
他の例としては、注射用水を含まない固形製剤(即ち、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及び薬学的に許容される注射用担体を含む固形製剤)に、用時、注射用水を加えて水性懸濁液を調製することもできる。具体的には、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及び薬学的に許容される注射用担体を含む水性懸濁液の状態に調製し、この水性懸濁液を凍結乾燥して凍結乾燥物とする。この凍結乾燥物を、注射用水を用いて用時に水性懸濁液に調製することができる。そのため、この凍結乾燥物は用時調製用製剤として好適である。凍結乾燥前の懸濁液中及び凍結乾燥物中のトルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子の特性は、注射用水を用いて調製(再構成)した後の水性懸濁液中においても保持されている。凍結乾燥物から水性懸濁液を調製する方法として、バイアル等の容器に封入された無菌の凍結乾燥物に、注射用水を混和した後、強く振とうする方法、ボルテックスミキサーで懸濁液をかき混ぜる方法や、超音波照射する方法等を用いて、均質な水性懸濁液を調製することができる。
上記の調製方法を採用する場合、本発明の注射用持効性製剤Aは、例えば、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及び薬学的に許容される注射用担体を含む(即ち、上記凍結乾燥物を含む)容器、並びに注射用水を含む容器を有するキットの形態にすることができる。
注射用持効性製剤Bは、注射用水を含まない固形製剤(粉末、ケーキ、顆粒等)、及び注射用水を含む水性懸濁液又はゲルのいずれをも包含する。ソマトスタチンアナログ、薬学的に許容される注射用担体、及び注射用水を混合することにより、水性懸濁液又はゲルの形態に調製することができる。
水性懸濁液は、マイクロスフェア等のソマトスタチンアナログを含む粒子と、用時、薬学的に許容される注射用担体及び注射用水を含む水溶液とを混和することにより調製することができる。マイクロスフェア製剤を用いた水性懸濁液の調製方法として、例えば、米国特許第5538739号(特公平8-32624号)等の調製法が挙げられる。
ゲルは、特開2013-517228、特許4489186号、特許4162381号等に記載の方法により調製することができる。
注射用持効性製剤Bの具体例としては、例えば、オクトレオチドの二酢酸塩の持効性製剤(Sandostatin LAR for i.m. injection;ノバルティスファーマ(株)製)、ランレオチド酢酸塩の持効性製剤(Somatuline for s.c. Injection;帝人ファーマ(株)製、Somatuline Depot;Ipsen Pharma Biotech製)等が挙げられる。
本発明の注射用持効性製剤Bは、例えば、ソマトスタチンアナログを含有する粒子を含む容器、並びに注射用水及び必要に応じ薬学的に許容される注射用担体を含む容器を有するキット、或いは、ソマトスタチンアナログを含有する粒子及び必要に応じ薬学的に許容される注射用担体を含む容器、並びに注射用水を含む容器を有するキット、或いは、ソマトスタチンアナログを含有するゲル製剤等の形態にすることができる。
本発明の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬は、注射用持効性製剤Aを含む容器(キットも含む)及び注射用持効性製剤Bを含む容器(キットも含む)を組合せたキット(又はパッケージ)の形態にすることもできる。
典型的な併用剤の処方例としては、例えば、注射用持効性製剤Aとして、トルバプタンの結晶、薬学的に許容される注射用担体及び注射用水を含む水性懸濁液、好ましくは、本質的にS体からなるトルバプタンの結晶、薬学的に許容される注射用担体及び注射用水を含む水性懸濁液、注射用持効性製剤Bとして、ソマトスタチンアナログを含有する粒子、薬学的に許容される注射用担体及び注射用水を含む水性懸濁液、あるいは、ソマトスタチンアナログと注射用水、必要であれば薬学的に許容される注射用担体を含むゲルが挙げられる。
6.投与方法及び投与量
本発明の注射用持効性製剤は、配合剤(合剤)及び併用剤のいずれにおいても注射剤の形態であり、水性懸濁液又はゲルの形態で、多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療が必要とされる患者の筋肉内又は皮下に投与される。好ましくは、水性懸濁液の形態である。
配合剤の場合、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを混合してなる注射用持効性製剤は、水性懸濁液又はゲルの形態で患者の筋肉内又は皮下に投与される。併用剤の場合、注射用持効性製剤A及びBは、同時に又は時間差を設けて、それぞれ水性懸濁液又はゲルの形態で患者の筋肉内又は皮下に投与される。
水性懸濁液又はゲルの注射用持効性製剤に含まれるトルバプタン又はそのプロドラッグの配合量(濃度)は、治療学的有効量であれば特に限定はない。治療学的有効量とは、トルバプタン又はそのプロドラッグとソマトスタチンアナログを組み合わせて投与した時に(配合剤又は併用剤のいずれの場合でも)、臨床上症状の改善をもたらす量を意味する。さらに、トルバプタン又はそのプロドラッグの望まない作用(例えば、頻尿等)が抑制される又は発現しない量であることが好ましい。
配合剤(合剤)の場合、水性懸濁液又はゲルに含まれるトルバプタン又はそのプロドラッグの配合量は、好ましくは50mg/mL〜500mg/mL、より好ましくは100mg/mL〜300mg/mLの範囲に調製できる。患者に筋肉内投与又は皮下投与される1回当たりの水性懸濁液又はゲルの容量としては、通常、0.5mL〜6mL、好ましくは1mL〜3mLである。
当該水性懸濁液又はゲルに含まれるソマトスタチンアナログの配合量(濃度)は、好ましくは1mg/mL〜300mg/mL、より好ましくは2mg/mL〜200mg/mLの範囲に調製できる。患者に筋肉内投与又は皮下内投与される1回当たりの水性懸濁液又はゲルの容量としては、通常、0.5mL〜6mL、好ましくは1mL〜3mLである。
併用剤の場合、水性懸濁液の注射用持効性製剤Aに含まれるトルバプタン又はそのプロドラッグの配合量は、好ましくは50mg/mL〜500mg/mL、より好ましくは100mg/mL〜300mg/mLの範囲に調製できる。患者に筋肉内投与又は皮下投与される1回当たりの水性懸濁液の容量としては、通常、0.5mL〜6mL、好ましくは1mL〜3mLである。
水性懸濁液又はゲルの注射用持効性製剤Bに含まれるソマトスタチンアナログの配合量(濃度)は、好ましくは1mg/mL〜300mg/mL、より好ましくは2mg/mL〜200mg/mLの範囲に調製できる。患者に筋肉内投与又は皮下投与される1回当たりの水性懸濁液又はゲルの容量としては、通常、0.5mL〜6mL、好ましくは1mL〜3mLである。
配合剤(合剤)又は併用剤のいずれの場合においても、実際の投薬量は、使用方法、患者の年齢及び性別、疾患の重症度、並びに他の条件に応じて好適に選択される。
本発明の注射用持効性製剤は、トルバプタン及びソマトスタチンアナログの治療学的有効血中濃度を長期間維持することが可能である。そのため、当該製剤を、好ましくは2週間以上毎に(1回又は複数に分割して)筋肉内又は皮下に投与することにより、さらに好ましくは1ヶ月以上毎に(1回又は複数に分割して)筋肉内又は皮下に投与することにより、利尿作用を抑制しつつ多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療が可能となる。
トルバプタン又はそのプロドラッグの投薬量は、1回当たりトルバプタンとして50mg〜6000mg程度、ソマトスタチンアナログの投薬量は、1回当たり2mg〜1200mg程度とすることができる。
具体的には、トルバプタン又はそのプロドラッグの投薬量は、2週間毎に投与する場合は、トルバプタンとして50mg〜1000mgを1回で、又は、2分割して投薬することが好ましく、4週間毎に投与する場合は、トルバプタンとして100mg〜2000mgを1回、又は、2〜4分割して投薬することが好ましい。8週間毎に投与する場合は、トルバプタンとして200mg〜4000mgを1回で、又は、2〜4分割して投薬することが好ましく、12週間毎に投与する場合は、トルバプタンとして300mg〜6000mgを1回、又は、2〜4分割して投薬することが好ましい。
ソマトスタチンアナログの投薬量は、例えば、2週間毎に投与する場合は、ソマトスタチンアナログとして2mg〜200mgを1回で、又は、2分割して投薬することが好ましく、4週間毎に投与する場合は、ソマトスタチンアナログとして4mg〜400mgを1回、又は、2〜4分割して投薬することが好ましい。8週間毎に投与する場合は、ソマトスタチンアナログとして8mg〜800mgを1回で、又は、2〜4分割して投薬することが好ましく、12週間毎に投与する場合は、ソマトスタチンアナログとして12mg〜1200mgを1回、又は、2〜4分割して投薬することが好ましい。
本発明の製剤では、結晶のトルバプタンを含む粒子は、長期間の投与間隔で投与する場合に長期間に渡り治療学的に有効なトルバプタンの血中濃度を維持できるため好ましい。さらに、結晶であり光学活性のトルバプタン(特に、S体)を含む粒子は、ヒトにおいて代謝安定性が高く、有効血中濃度を一定に維持できるためより好ましい。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1(トルバプタンラセミ体SD粉末0.1%含有混餌飼料)
トルバプタン(ラセミ体)スプレードライ粉末は、WO2008/156217に記載の方法に準じて製造した。
トルバプタンラセミ体SD粉末製剤1.5 g(トルバプタンラセミ体として1.0 g)を、粉末MF飼料(オリエンタル酵母(株))998.5 gとビニール袋内で振とう混和し、トルバプタンラセミ体0.1%含有混餌飼料を調製した。
製造例2(S-トルバプタン徐放性製剤)
S-トルバプタンの結晶粒子を含む注射用持続性製剤(S-トルバプタン徐放性製剤)を、以下のようにして製造した。
S-トルバプタン結晶 15.0 gを、表1の媒体溶液38.0gに懸濁した(製剤50 mL相当)。懸濁液中にφ1.5 mmジルコニアビーズ 50 gを加え、容器内を攪拌することでビーズミル(湿式粉砕)を行い、S-トルバプタン徐放性製剤を調製した。粒度分布計(SALD-3000J、(株)島津製作所製)で超音波照射時に測定したS-トルバプタンの結晶粒子の平均粒子径は3.0μmであった。その偏光顕微鏡写真を図1に示す。
製造例3(R-トルバプタン徐放性製剤)
R-トルバプタン結晶 30.0 gを、表1の媒体溶液 76.0gに懸濁した (製剤100mL相当)。懸濁液中にφ1.5 mmジルコニアビーズ 150 gを加え、容器内を攪拌することでビーズミル(湿式粉砕)を行い、R-トルバプタン徐放性製剤を調製した。粒度分布計(SALD-3000J、(株)島津製作所製)で超音波照射時に測定したR-トルバプタンの結晶粒子の平均粒子径は1.9μmであった。その偏光顕微鏡写真を図3に示す。
製造例2及び3で調製された製剤の処方を表2に示す。
製造例4(S-トルバプタン結晶粒子とサンドスタチンLARの配合剤)
サンドスタチンLAR筋注用20 mg(ノバルティスファーマ製;表3を参照)にオクトレオチドとして20 mg/mLとなるように表1の媒体溶液1.0 mLで懸濁し、この懸濁液を0.5 mL採取して、製造例2と同様の方法で調製したS-トルバプタンの結晶粒子の製剤0.5 mLと良く混合し、S-トルバプタンの結晶粒子とサンドスタチンLARの合剤を調製した。その偏光顕微鏡写真を図4に示す。
製造例4で調製された製剤の処方を表4に示す。
製造例5(R-トルバプタン結晶粒子とサンドスタチンLARの配合剤)
サンドスタチンLAR筋注用20 mgにオクトレオチドとして20 mg/mLとなるように表1の媒体溶液 1.0 mLで懸濁し、この懸濁液を0.5 mL採取して、製造例3と同様の方法で調製したR-トルバプタンの結晶粒子の製剤0.5 mLと良く混合し、R-トルバプタンの結晶粒子とサンドスタチンLARの合剤を調製した。その偏光顕微鏡写真を図5に示す。
製造例5で調製された製剤の処方を表5に示す。
製造例6(オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤)
オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(粉末状のマイクロスフェア製剤、サンドスタチンLAR)に、専用の希釈液(2mL中に注射用水及び添加物としてカルメロースナトリウム10mg、D-マンニトール12mgを含有する)を添加し懸濁液を調製し、オクトレオチドとして5mg/mLの濃度に調製した。
製造例7(ランレオチド酢酸塩徐放性製剤)
ランレオチド酢酸塩徐放性製剤は、ソマチュリン皮下注60mg(帝人ファーマ(株))を使用した。当該製剤はゲル製剤であり、ゲル製剤244 mg中にランレオチド酢酸塩71.5 mg(ランレオチドとして60 mg)を含有する。
実施例1
多発性嚢胞腎における、バソプレシンV2受容体(V2R)拮抗薬であるトルバプタン及びソマトスタチンアナログであるオクトレオチドのそれぞれの単独効果ならびに併用効果について、PKDモデル動物であるpcyマウスを用いて評価した。
pcyマウスは、成人型多発性嚢胞腎モデルマウスであり、遺伝様式は常染色体劣勢変異体である。このpcy遺伝子をDBA/2マウスに導入したDBA/2FG-pcyマウスは、4週齢より肉眼的に嚢胞を認め30週齢まで経時的に腎容積が増加する。pcyマウスでは野生型よりも腎臓のcAMP濃度が高く、また腎臓におけるアクアポリン-2とバソプレッシンV2受容体(V2R)のmRNAは上昇していることが報告されている。詳細は非特許文献1を参照。
pcyマウス(雄)を4週齢時の体重ならびにMRIで測定した左腎容積で、
(1) コントロール群、
(2) トルバプタン0.1%混餌(製造例1)投与群、
(3) S-トルバプタン徐放性製剤(製造例2)単独投与群 (300 mg/kg sc)、
(4) オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(サンドスタチンLAR)(製造例6)単独投与群(1mg/body sc)、及び
(5) S-トルバプタン徐放性製剤(製造例2)(300 mg/kg sc)及びオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤(製造例6)(1 mg/body sc)の併用投与群、
に群分けを行なった(各群N=9)。試験期間中はすべての群にMF飼料を与えた。なお、サンドスタチンLARの顕微鏡写真を図2に示す。
S-トルバプタン徐放性製剤単独および併用投与群は、5および11週齢に表1の媒体溶液を用いて60mg/mLになるように希釈した製造例2のS-トルバプタン徐放性製剤を300 mg/kgになるように皮下投与した。オクトレオチド酢酸塩徐放性製剤単独および併用投与群は、5、9、13週齢にオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤5 mg/mLを、1 mg/bodyとなるように皮下投与した。
薬物処置は各群5週齢より開始し12週齢でMRIによる各個体の左腎容積の測定を行なった。15週齢で代謝ケージを用いて各個体19時間の採尿を行い、尿量を測定した。
表6に4週齢(群分け時)および12週齢時(試験開始7週間後)にMRIで測定した左腎容積から算出した左腎容積の変化量(Δmm3)を示した。pcyコントロールマウスの4週齢時の左腎容積は、250.8±8.2 mm3であり、12週齢時には4倍以上の腎容積の増大が認められた。コントロール群に対して、トルバプタン0.1%混餌投与群では有意な腎容積の抑制作用を示したが、S-トルバプタン徐放性製剤単独投与群及びオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤単独投与群は、有意な腎容積の抑制作用を示さなかった。
一方、両剤を併用した群では、pcyコントロール群に比して有意な腎容積の抑制が認められ(p<0.01)、その作用はトルバプタン0.1%混餌投与群と同等であった。また、S-トルバプタン徐放性製剤とオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用群では、それぞれの単独投与群に比しても有意な腎容積の抑制が認められた(p<0.05)。
なお、11週齢時におけるトルバプタン0.1%混餌投与群とS-トルバプタン徐放性製剤とオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用投与群の血漿中トルバプタン濃度は、それぞれ、254 ng/mL及び38.5 ng/mLであり、併用群では0.1%混餌投与群に比較して、きわめて低い血漿中トルバプタン濃度で同等の腎容積の抑制作用を示した。
表7にpcyコントロール群と腎容積の抑制作用が認められた、トルバプタン0.1%混餌、並びにS-トルバプタン徐放性製剤及びオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用投与群において、15週齢で測定した尿量を示した。トルバプタン0.1%混餌投与群は腎容積の増大を有意に抑制したが、pcy コントロール群に対して有意に尿量を増加した。一方、S-トルバプタン徐放性製剤及びオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用投与群は、同程度の腎容積の増大抑制作用を示したトルバプタン0.1%混餌投与群に対して有意な尿量の低下を示した(p<0.05)。
表6より、単独では有意な腎容積の抑制作用を示さない用量のS-トルバプタン徐放性製剤とオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用により、嚢胞腎の増大を有意に抑制できることが示された。つまり、S-トルバプタン徐放性製剤とオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用により、嚢胞腎の増大を相乗的に抑制できることが示された。
表7より、S-トルバプタン徐放性製剤とオクトレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用により、トルバプタン混餌投与に比較して、尿量を増加させることなく嚢胞腎の増大を抑制できることが示された。
実施例2
多発性嚢胞腎における、バソプレシン受容体拮抗薬であるトルバプタン及びソマトスタチンアナログであるランレオチドの腎機能に対する単独効果ならびに併用効果について、PKDモデル動物であるPCKラットを用いて評価した。
PCKラットは自然発症型のPKDモデル動物であり、自然発症型の変異を有するPkhd1をもち、これはヒトARPKDの原因遺伝子とorthologueである。しかし、PCKラットは、病態進行が緩やかであることや、雌性よりも雄性で病態が重篤であるなどの相似点を有することから、ADPKDの治療介入を目的とする基礎研究にしばしば用いられている。PCKラットでは野生型よりも腎臓内のcAMP濃度が高く、また腎臓におけるアクアポリン-2とバソプレッシンV2受容体のmRNAは上昇していることが報告されている。詳細は非特許文献1を参照。
PCKラット(雄)を13週齢時の血漿アルブミン値ならびにMRIで測定した右腎臓の容積で、
(1) コントロール群、
(2) R-トルバプタン徐放性製剤(製造例3)単独投与群(100 mg/kg im)、
(3) ランレオチド酢酸塩徐放性製剤(ソマチュリン皮下注、帝人ファーマ(株)製)(製造例7)単独投与群(2.5 mg/body sc)、
(4) R-トルバプタン徐放性製剤(製造例3)及びランレオチド酢酸塩徐放性製剤(製造例7)の併用投与群、
に群分けを行なった(各群N=11〜12)。正常ラットコントロールとしてCrl:CD(SD)を用いた(N=5)。試験期間中は全ての群にMF飼料を与えた。
R-トルバプタン徐放性製剤の単独及び併用投与群には、14、15、20週齢時において、製造例3のR-トルバプタン徐放性製剤をラット右腓腹筋に100mg/kgとなるように筋肉内投与した。ランレオチド酢酸塩徐放性製剤単独及び併用投与群には、14, 19週齢において、ランレオチド酢酸塩徐放性製剤(0.293 mg/mgゲル)を2.5 mg/bodyとなるように皮下投与した。
薬物処置は各群14週齢より開始し21週齢まで実施した。20週齢時には代謝ケージを用いて各個体20時間の採尿を行い、尿中クレアチニン排泄量を測定した。最終21週齢に採血を行い、血漿クレアチニン濃度(mg/dL)を測定し、尿中クレアチニン排泄量からクレアチニンクリアランス(mL/min/100g)を算出し、腎機能の指標とした。
表8に試験終了時(21週齢)の血漿クレアチニン濃度を示し、表9にクレアチニンクリアランスを示した。PCKコントロールラットでは正常SDラットに比較して、血漿クレアチニン濃度の上昇とクレアチニンクリアランスの低下がみられ、腎機能の悪化が認められた。R-トルバプタン徐放性製剤及びランレオチド酢酸塩徐放性製剤の単独投与では、血漿クレアチニンとクレアチニンクリアランスの有意な変動は認められなかったが、両剤を併用した群では、PCKコントロール群に比して有意な血漿クレアチニンの低下(p<0.05)とクレアチニンクリアランスの上昇(p<0.05)が認められた。また、R-トルバプタン徐放性製剤とランレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用投与群では、それぞれの単独投与群に比して有意な血漿クレアチニン値の低下とクレアチニンクリアランスの上昇が認められた(p<0.05)。
以上の結果より、R-トルバプタン徐放性製剤とランレオチド酢酸塩徐放性製剤の併用により、PCKラットにおいては多発性嚢胞腎における腎機能の悪化を相乗的に抑制することが示された。

Claims (21)

  1. トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤であることを特徴とする多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  2. 前記トルバプタン又はそのプロドラッグが結晶である、請求項1に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  3. 前記トルバプタン又はそのプロドラッグが光学活性体である、請求項1又は2に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  4. 前記光学活性のトルバプタン又はそのプロドラッグが、本質的にR体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグ、或いは本質的にS体からなるトルバプタン又はそのプロドラッグである、請求項3に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  5. 前記トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子中のトルバプタン又はそのプロドラッグの含有量が50〜100重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  6. 前記トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子の平均粒子径が約1〜100μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  7. 前記ソマトスタチンアナログが、ソマトスタチン、オクトレオチド、パシレオチド、ランレオチド、バプレオチド、及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  8. 前記ソマトスタチンアナログが、マイクロスフェア製剤、又はゲル製剤である、請求項1〜7のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  9. 前記注射用持効性製剤が、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子及びソマトスタチンアナログを混合してなる注射用持効性製剤である(配合剤)、請求項1〜8のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  10. 前記注射用持効性製剤が、薬学的に許容される注射用担体を含む、請求項9に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  11. 前記注射用持効性製剤が、注射用水を含む、請求項9又は10に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  12. 前記注射用持効性製剤が、水性懸濁液の形態であり、当該水性懸濁液中のトルバプタン又はそのプロドラッグの配合量が50mg/mL〜500mg/mLである請求項11に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  13. 前記注射用持効性製剤が、皮下投与剤又は筋肉内投与剤である、請求項9〜12のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  14. 前記注射用持効性製剤が、トルバプタン又はそのプロドラッグを含有する粒子を含む注射用持効性製剤A、及びソマトスタチンアナログを含む注射用持効性製剤Bの組合せからなり、該製剤Aと製剤Bが互いに併用して投与される(併用剤)、請求項1〜8のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  15. 前記注射用持効性製剤Aが、薬学的に許容される注射用担体を含む、請求項14に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  16. 前記注射用持効性製剤Bが、薬学的に許容される注射用担体を含む、請求項14又は15に記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  17. 前記注射用持効性製剤A及びBが、注射用水を含む、請求項14〜16のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  18. 前記注射用持効性製剤Aが水性懸濁液の形態であり、当該水性懸濁液中のトルバプタン又はそのプロドラッグの配合量が50mg/mL〜500mg/mLである、請求項14〜17のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  19. 前記注射用持効性製剤Bが、水性懸濁液又はゲルの形態である、請求項14〜18のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  20. 前記注射用持効性製剤A及びBが、それぞれ皮下投与剤又は筋肉内投与剤である、請求項14〜19のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
  21. 前記トルバプタン又はそのプロドラッグがトルバプタンである、請求項1〜20のいずれかに記載の多発性嚢胞腎の予防及び/又は治療薬。
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