図1は、TAT構築物の構造および予測質量を示す。
図2は、ジスルフィド結合の連結(矢印で示す)を組み込んだdTAT構築物の構造および予測質量を示す。
図3は、acTAT構築物の構造および予測質量を示す。
図4A〜4Dは、生細胞でのdTATのサイトゾル送達が効率的であり、そのモノマー対応物を凌ぐことを示す。(図4A)生細胞におけるacTATおよびdTATの細胞局在化。HeLa細胞を、acTAT(20μM)またはdTAT(5μM)のいずれかと共に1時間インキュベートし、洗浄し、100×対物レンズでイメージングした。蛍光画像は、dTATと共にインキュベートした細胞に関してサイトゾル放出を示し、一方、acTATは、エンドソーム捕捉を示す点状分布を示す。スケールバー、10μm。点状acTAT分布に類似した結果がTATに関して得られたことに留意されたい(最大10μM;図示せず)。(図4B)dTAT蛍光が、ほぼ全ての細胞のサイトゾル内で観察される。5μM dTATと共に1時間インキュベートしたHeLa細胞の反転させたモノクロ画像(黒=蛍光シグナル、白=シグナルなし)。SYTOX(登録商標)ブルー(2μM)を、細胞死の指標として使用した。スケールバー、50μm。(図4C)生きているHeLa細胞でのacTAT、TAT、およびdTATのサイトゾル送達効率。細胞を、acTAT、TAT、およびdTAT(1〜20μM)と共に1時間インキュベートした。検出可能なサイトゾルおよび核蛍光分布を持つ細胞の数をカウントし、試験をした各濃度ごとに、合計細胞数で割った(%)(1,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および対応する標準偏差を表す)。(図4D)HeLa細胞でのdTATの全体的な取込みは、培地中に存在するdTATの濃度に対してほぼ直線的に応答する。細胞を、48ウェルプレート上で成長させ、dTAT(1〜10μM)と共に1時間インキュベートした。相対的な取込みを、細胞溶解産物のバルク蛍光を測定することによって定量的に評価し、方法で論じたように正規化した(300,000細胞/実験、実験は3回行い、平均/正規化および対応する標準偏差を表す)。
図4A〜4Dは、生細胞でのdTATのサイトゾル送達が効率的であり、そのモノマー対応物を凌ぐことを示す。(図4A)生細胞におけるacTATおよびdTATの細胞局在化。HeLa細胞を、acTAT(20μM)またはdTAT(5μM)のいずれかと共に1時間インキュベートし、洗浄し、100×対物レンズでイメージングした。蛍光画像は、dTATと共にインキュベートした細胞に関してサイトゾル放出を示し、一方、acTATは、エンドソーム捕捉を示す点状分布を示す。スケールバー、10μm。点状acTAT分布に類似した結果がTATに関して得られたことに留意されたい(最大10μM;図示せず)。(図4B)dTAT蛍光が、ほぼ全ての細胞のサイトゾル内で観察される。5μM dTATと共に1時間インキュベートしたHeLa細胞の反転させたモノクロ画像(黒=蛍光シグナル、白=シグナルなし)。SYTOX(登録商標)ブルー(2μM)を、細胞死の指標として使用した。スケールバー、50μm。(図4C)生きているHeLa細胞でのacTAT、TAT、およびdTATのサイトゾル送達効率。細胞を、acTAT、TAT、およびdTAT(1〜20μM)と共に1時間インキュベートした。検出可能なサイトゾルおよび核蛍光分布を持つ細胞の数をカウントし、試験をした各濃度ごとに、合計細胞数で割った(%)(1,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および対応する標準偏差を表す)。(図4D)HeLa細胞でのdTATの全体的な取込みは、培地中に存在するdTATの濃度に対してほぼ直線的に応答する。細胞を、48ウェルプレート上で成長させ、dTAT(1〜10μM)と共に1時間インキュベートした。相対的な取込みを、細胞溶解産物のバルク蛍光を測定することによって定量的に評価し、方法で論じたように正規化した(300,000細胞/実験、実験は3回行い、平均/正規化および対応する標準偏差を表す)。
図5は、acTATおよびdTATの細胞局在化が、生細胞とのインキュベーション後に異なることを示す。20μM acTAT(左パネル)および5μM dTAT(右パネル)と共にインキュベートしたHeLa細胞の蛍光(上部パネル)および明視野画像(下部パネル)(100×対物レンズを使用)。acTATペプチドは蛍光点状分布を示し、一方、dTATは、サイトゾルおよび核蛍光分布を示す。明視野画像は、ペプチド送達後にHeLa細胞形態の変化を示さない。スケールバー、10μm。
図6は、dTATのサイトゾルおよび核蛍光分布が、濃度依存性であることを示す。HeLa細胞は、様々な濃度のdTAT(1、2、2.5、2.25、2.5、2.75、3、4、5μM)と共にインキュベートした。細胞を洗浄しイメージングした。反転モノクロ画像(20×対物レンズ)は、2〜5μMの間のペプチドのサイトゾル送達における劇的な増大を示す。ここに示されていないが、各画像における細胞の数は、明視野イメージングによって決定されたものとほぼ同じである。蛍光点状分布を示す細胞は、これらのイメージング条件下で明瞭に見ることができない。100×対物レンズを使用したこれらの細胞のさらなる分析は、エンドソームに捕えられたペプチドを表す蛍光点状分布を明瞭に示す。スケールバー、50μm。
図7A〜7Bは、後根神経節F11(DRG−F11)神経細胞におけるdTAT送達の蛍光画像を示す。dTAT(5μM)との1時間のインキュベーション後、20×(図7A)および100×(図7B)対物レンズでイメージングを行った。
図8A〜8Cは、dTATがエンドソーム脱出を媒介することを示す。(図8A)dTATの細胞分布に対するエンドサイトーシス阻害剤の作用。HeLa細胞を、50μMアミロライドまたは200nMバフィロマイシンでそれぞれ30および20分間、前処置し、洗浄し、5μM dTATおよび阻害剤と共にインキュベートした。両方の阻害剤は、細胞のサイトゾルおよび核への送達を遮断した。蛍光イメージングは、バフィロマイシンの存在下、TMRの点状分布を示す(1,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および対応する標準偏差を表す)。スケールバー、10μm。(図8B)dTATは、エンドソーム内に捕えられた分子のサイトゾル放出を引き起こす。実験ステップの概略図を示す(上部)。まず、細胞を5μM DEAC−K9と共に1時間インキュベートし、洗浄した。反転モノクロ画像は、DEAC−K9単独と共にインキュベートした後の蛍光点状分布を示す。次いで同じ細胞を、5μM dTATと共に1時間インキュベートした。画像は、サイトゾルおよび核へのDEAC−K9の再分布を示す(バフィロマイシンにより阻害)。スケールバー、10μm。(図8C)dTATのエンドソーム溶解活性は、高度に効率的である。SNAPH2Bを発現するHeLa細胞を、5μM dTATおよび5μM SNAP−Surface(登録商標)488と共にインキュベートした。蛍光画像は、核におけるSNAP−Surface(登録商標)488の蓄積を示す。緑色シグナルの分析は、SNAP−Surface(登録商標)488の50%から90%がエンドソームを逃したことを示す。小さいパネルは、TMRのサイトゾルおよび核蛍光を示す。スケールバー、10μm。
図8A〜8Cは、dTATがエンドソーム脱出を媒介することを示す。(図8A)dTATの細胞分布に対するエンドサイトーシス阻害剤の作用。HeLa細胞を、50μMアミロライドまたは200nMバフィロマイシンでそれぞれ30および20分間、前処置し、洗浄し、5μM dTATおよび阻害剤と共にインキュベートした。両方の阻害剤は、細胞のサイトゾルおよび核への送達を遮断した。蛍光イメージングは、バフィロマイシンの存在下、TMRの点状分布を示す(1,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および対応する標準偏差を表す)。スケールバー、10μm。(図8B)dTATは、エンドソーム内に捕えられた分子のサイトゾル放出を引き起こす。実験ステップの概略図を示す(上部)。まず、細胞を5μM DEAC−K9と共に1時間インキュベートし、洗浄した。反転モノクロ画像は、DEAC−K9単独と共にインキュベートした後の蛍光点状分布を示す。次いで同じ細胞を、5μM dTATと共に1時間インキュベートした。画像は、サイトゾルおよび核へのDEAC−K9の再分布を示す(バフィロマイシンにより阻害)。スケールバー、10μm。(図8C)dTATのエンドソーム溶解活性は、高度に効率的である。SNAPH2Bを発現するHeLa細胞を、5μM dTATおよび5μM SNAP−Surface(登録商標)488と共にインキュベートした。蛍光画像は、核におけるSNAP−Surface(登録商標)488の蓄積を示す。緑色シグナルの分析は、SNAP−Surface(登録商標)488の50%から90%がエンドソームを逃したことを示す。小さいパネルは、TMRのサイトゾルおよび核蛍光を示す。スケールバー、10μm。
図8A〜8Cは、dTATがエンドソーム脱出を媒介することを示す。(図8A)dTATの細胞分布に対するエンドサイトーシス阻害剤の作用。HeLa細胞を、50μMアミロライドまたは200nMバフィロマイシンでそれぞれ30および20分間、前処置し、洗浄し、5μM dTATおよび阻害剤と共にインキュベートした。両方の阻害剤は、細胞のサイトゾルおよび核への送達を遮断した。蛍光イメージングは、バフィロマイシンの存在下、TMRの点状分布を示す(1,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および対応する標準偏差を表す)。スケールバー、10μm。(図8B)dTATは、エンドソーム内に捕えられた分子のサイトゾル放出を引き起こす。実験ステップの概略図を示す(上部)。まず、細胞を5μM DEAC−K9と共に1時間インキュベートし、洗浄した。反転モノクロ画像は、DEAC−K9単独と共にインキュベートした後の蛍光点状分布を示す。次いで同じ細胞を、5μM dTATと共に1時間インキュベートした。画像は、サイトゾルおよび核へのDEAC−K9の再分布を示す(バフィロマイシンにより阻害)。スケールバー、10μm。(図8C)dTATのエンドソーム溶解活性は、高度に効率的である。SNAPH2Bを発現するHeLa細胞を、5μM dTATおよび5μM SNAP−Surface(登録商標)488と共にインキュベートした。蛍光画像は、核におけるSNAP−Surface(登録商標)488の蓄積を示す。緑色シグナルの分析は、SNAP−Surface(登録商標)488の50%から90%がエンドソームを逃したことを示す。小さいパネルは、TMRのサイトゾルおよび核蛍光を示す。スケールバー、10μm。
図9は、DEAC−K9の構造および予測質量を示す。
図10A〜10Dは、dTAT媒介型送達が、細胞の生存および増殖に影響を及ぼさないことを示す。(図10A)dTATは、細胞形態に影響を及ぼさない。COLO 316細胞を、5μM dTATと共に1時間インキュベートし、インキュベーションの1および24時間後にイメージングした。(図10B)dTATは、効率的なエンドソーム脱出が実現される条件下、細胞に対して毒性ではない。HeLa細胞を、1〜10μM dTATと共に1時間インキュベートした。細胞生存率を、SYTOX(登録商標)Green排除アッセイによって、インキュベーションの1、24、および48時間後に評価した(1,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および標準偏差を表す)。スケールバー、10μm。(図10C)dTATは、細胞増殖に影響を及ぼさない。HeLa細胞を、5μM dTATと共に1時間インキュベートし、または未処置のままにした。増殖を、インキュベーション後36時間まで、MTTアッセイを使用して評価した(150,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および標準偏差を表す)。(図10D)サイトゾルdTATを含有する細胞が分裂する。HeLa細胞を、5μM dTATと共に1時間インキュベートした。インキュベーション後(t=0時間)、蛍光画像(左パネル)およびコマ撮りを獲得した。明視野画像は、蛍光サイトゾル分布を示す細胞の分裂事象を示す。スケールバー、10μm。
図11は、神経細胞系Neuro−2a(左パネル)および原発性ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)(右パネル)との1時間のインキュベーション後の、dTATの細胞局在化を示す。細胞を、dTATと共にインキュベートし、洗浄し、100×対物レンズでイメージングした。蛍光画像は、dTATと共にインキュベートした細胞に関するサイトゾル放出を示す。SYTOX(登録商標)ブルー(2μM)の排除を使用して、イメージングされた細胞が、損なわれた原形質膜(図示せず)を持たないことを決定した。スケールバー、10μm。
図12は、dTATで処置された細胞が、未処置の細胞と同一の速度で増殖することを示す。HeLa、Neuro−2a、およびHDF細胞を、5μM dTATと共に1時間インキュベートし、または未処置のままにした。増殖を、インキュベーション後36時間まで、MTTアッセイを使用して評価した(150,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および標準偏差を表す)。
図13は、dTAT媒介型エンドソーム脱出を、繰り返すことができることを示す。HeLa細胞を、dTAT(5μM)およびDEAC−K9(5μM)と共に1時間、同時インキュベートした(ステップ1)(両方の列)。洗浄後、dTAT(5μM)およびSNAP−Surface(登録商標)488(5μM)を、バフィロマイシン(200nM)の存在下(下列)または存在しない状態で(上列)同時インキュベートした(ステップ3)。スケールバー、10μm。
図14A〜14Bは、dTATが、生細胞内で同時に2つのカーゴの送達を媒介することを示す。(図14A)SNAP−H2Bを発現するHeLa細胞を、5μM dTAT、5μM SNAP−Surface(登録商標)488、および5μM DEAC−K9と共にインキュベートした。蛍光画像(RGBおよび反転モノクロ)は、dTAT(蛍光、左上パネル)、DEAC−K9(蛍光、右上パネル)、およびSNAP−Surface(登録商標)488(蛍光、中上パネル)のサイトゾルおよび核局在化を示す。さらに、SNAP−Surfaceシグナルは、図8Cに示されるように核内に蓄積された。(図14B)HeLa細胞を、5μM dTAT、5μM SNAP−Surface(登録商標)488、および5μM DEAC−K9と共にインキュベートした。蛍光および反転モノクロ画像は、dTAT(蛍光、左上パネル)、DEAC−K9(蛍光、右上パネル)、およびSNAP−Surface(登録商標)488(蛍光、中上パネル)の、サイトゾルおよび核蛍光局在化を示す。スケールバー、10μm。
図14A〜14Bは、dTATが、生細胞内で同時に2つのカーゴの送達を媒介することを示す。(図14A)SNAP−H2Bを発現するHeLa細胞を、5μM dTAT、5μM SNAP−Surface(登録商標)488、および5μM DEAC−K9と共にインキュベートした。蛍光画像(RGBおよび反転モノクロ)は、dTAT(蛍光、左上パネル)、DEAC−K9(蛍光、右上パネル)、およびSNAP−Surface(登録商標)488(蛍光、中上パネル)のサイトゾルおよび核局在化を示す。さらに、SNAP−Surfaceシグナルは、図8Cに示されるように核内に蓄積された。(図14B)HeLa細胞を、5μM dTAT、5μM SNAP−Surface(登録商標)488、および5μM DEAC−K9と共にインキュベートした。蛍光および反転モノクロ画像は、dTAT(蛍光、左上パネル)、DEAC−K9(蛍光、右上パネル)、およびSNAP−Surface(登録商標)488(蛍光、中上パネル)の、サイトゾルおよび核蛍光局在化を示す。スケールバー、10μm。
図15は、dTATの投与が細胞内で強力な転写応答を誘発せず、細胞がdTATサイトゾル透過から迅速に回復することを示す。全ゲノムマイクロアレイ解析を、5μM dTATで1時間処置した細胞に対して行って、転写パターンが影響を受けたか否かを決定した。解析は、dTAT処置の直後、1時間後、または24時間後に行った。プロットは、処置された試料対未処置の試料(同じインキュベーションステップだがペプチドは用いない)の、マイクロアレイ強度値を示す。直線は、2倍強度の変化のカットオフを表す。
図16A〜16Cは、dTATを使用した、トランスでの無傷の機能性タンパク質の送達を示す。(図16A)無傷のEGFPを、生細胞内に送達することができる。HeLa細胞を、EGFP(10μM)およびdTAT(5μM)と共に同時インキュベートした。蛍光画像は、EGFPの均質なサイトゾル分布を示す。スケールバー、(100×対物レンズ:10μm、20×対物レンズ:100μm。(図16B)TXT−CreのdTAT媒介型送達は、loxP−STOP−loxP配列の上流にegfp遺伝子を持つベクターを含有する細胞内でのEGFPの発現を改善する。loxP−STOP−loxP配列の上流にegfp遺伝子を含有するpCALNL−GFPプラスミドをトランスフェクトしたHeLaを、TAT−Cre(1μM)の存在下、TAT(5μM)またはdTAT(5μM)のいずれかと共に1時間インキュベートした。TAT−Cre(1μM)は、比較のために単独でも細胞と共にインキュベートした。dTATの添加は、EGFP+細胞の数を増加させ(47%)(TAT−Cre単独、2.6%)、細胞内のTAT−Creを送達するその能力は、TATの場合(4.8%)を凌いだ。画像中の細胞の数は、明視野顕微鏡法により評価したものとほぼ同じであった(1,000細胞/実験、実験は3回行い、平均および標準偏差を表す)。スケールバー、100μM。(図16C)抗体のdTAT媒介型送達。HeLa細胞を、FITC−抗ATP5A(20μg/mL)およびdTAT(5μM)と共に、37℃で1時間、同時インキュベートした。FITC−抗ATP5Aは、細胞のサイトゾルに送達され、管状ミトコンドリアを染色する(強力な染色、ズームイン画像ではより明瞭に見える)。スケールバー、100×対物レンズ:10μm、ズームイン画像:2μM。
図17は、異なる細胞系への、無傷のEGFPのdTAT媒介型送達を示す。HeLa(上部パネル)およびNIH 3T3(下部パネル)細胞を、EGFP(10μM)およびdTAT(5μM)と共に1時間インキュベートし、洗浄し、イメージングした。画像は、HeLaおよびNIH 3T3細胞におけるEGFPの、均質なサイトゾル蛍光分布を示す。スケールバー、10μm。
図18A〜18Cは、dTATおよびEGFPが、同時インキュベートしたときに相互作用しないことを示す。(図18A)EGFP(1μM)(ドナーFRET対)の蛍光放出スペクトル(EGFP、Ex/Em 488/508nm)は、488nmで励起した。スペクトルは、510nm付近で強力な放出ピークを示し、548nm付近で小さいショルダーピークを示す。(図18B)EGFP(1μM)およびdTAT(5μM)(アクセプターFRET対)の溶液の蛍光放出スペクトル(TMR、Ex/Em 556/580nm)は、488nmで励起した。スペクトルは、強力な放出ピークを510nm付近で示し、小さいショルダーピークを548nm付近で示す。EGFP蛍光スペクトルに対するTMRの寄与(クロスオーバー蛍光)は、488nmで励起されたdTAT(5μM)の溶液の蛍光放出を測定することによって決定した(図示せず)。EGFPおよびdTATを含む溶液のスペクトルは、EGFP単独のスペクトル(TMR蛍光クロスオーバーシグナルが差し引かれた)とほぼ同一である。(図18C)ライゲーションされたEGFP−CK(TMR)の蛍光放出スペクトル。発現タンパク質ライゲーションを使用して、記述されるようにEGFPをCK(TMR)に化学的にライゲーションすることによりEGFP−CK(TMR)を生成した。EGFP−CK(TMR)を、FRETシグナルに関する陽性対照として使用した。488nmで励起後、560〜630nmの間の蛍光の劇的な増大が観察され(蛍光最大値 約580nm)、これはフルオロフォア同士が非常に近接していることに起因したFRETシグナルを示している。蛍光強度のこの増大は、パートb)のスペクトルでは観察されなかった(EGFPとdTATとの相互作用がないことを示す)。全ての試料の放出を、500から650nmまで走査した。
図19A〜19Bは、FITC−抗ATP5a抗体が、dTAT媒介型送達後に生細胞で発現した蛍光標識済みミトコンドリアタンパク質と同時局在化することを示す。(図19A)TagCFP−mitoを発現する細胞(左)を、FITCおよびCFPフィルターを使用してイメージングした。管状ミトコンドリアは、CFPチャネルでのみ明瞭に観察された。別の実験では、dTAT(5μM)およびFITC−抗ATP5A(20μg/mL)を、TagCFP−mitoを発現する細胞と共に1時間インキュベートした。反転モノクロ画像は、FITC−抗ATP5A(FITCチャネル)およびTagCFP−mito(CFPチャネル)の同時局在化を示す。スケールバー、2μm。(図19B)ミトコンドリア染色がFITC−抗ATP5Aに特異的であることを確認するために、細胞内エピトープを含まない抗体、FITC−抗IgGをdTATと共に送達した。FITC−抗IgG(20μg/mL)およびdTAT(5μM)を、細胞と共に1時間インキュベートした。反転モノクロ画像は、均質なサイトゾル蛍光分布を示す(上部)。対照的に、FITC−抗ATP5Aと共にインキュベートした細胞は、管状構造で蛍光を示す(下部)。スケールバー、ズームイン画像:2μm、100×対物レンズ:10μm。
図20A〜20Cは、dTAT媒介型送達が改善され、HoxB4転写活性の制御が可能になることを示す。(図20A)HoxB4およびTAT−HoxB4のdTAT媒介型送達は、HoxB4依存性プロモーターの下でのルシフェラーゼレポーターの発現を改善する。ルシフェラーゼレポーターをトランスフェクトしたNIH 3T3を、dTAT(3μM)の存在下または存在しない状態で、HoxB4またはTAT−HoxB4(200nM)のいずれかと共に1.5時間インキュベートした。dTATの添加は、Hoxb4およびTAT−Hoxb4で得られたルシフェラーゼ誘導で、それぞれ53.1倍および307.4倍の増大をもたらす。TAT−mCherry(200nM)および/またはdTAT(3μM)とのインキュベーションは、陰性対照として働く(400,000細胞/実験、実験は2回行い、平均および標準偏差を表す)。(図20B)生細胞のサイトゾルおよび核に送達されたDEAC−K9の量は、滴定することができる。HeLa細胞を、dTAT(5μM)および増加する量のDEAC−K9(1、2.5、5、10、20μM)と共にインキュベートした。サイトゾル放出を示す細胞の蛍光強度を、顕微鏡法によって評価し(擬似カラーを使用した蛍光シグナル表示、カラースケール:青=最低強度、赤=最高強度)、細胞溶解産物のバルク蛍光と比較した。両方の解析において、細胞の蛍光強度は、培地中のDEAC−K9の濃度に直線的に応答する(顕微鏡:1,000細胞/実験、蛍光光度計:300,000細胞/実験;実験は3回行い、平均および標準偏差を表す)。スケールバー、10μm。(図20C)HoxB4のdTAT媒介型送達によるルシフェラーゼ発現の誘導は、制御することができる。NIH 3T3細胞を、HoxB4(25〜200nM)およびdTAT(3μM)と共に同時インキュベートし、ルシフェラーゼ誘導を、(a)で記述したように測定した(400,000細胞/実験、実験は2回行い、平均および標準偏差を表す)。
図20A〜20Cは、dTAT媒介型送達が改善され、HoxB4転写活性の制御が可能になることを示す。(図20A)HoxB4およびTAT−HoxB4のdTAT媒介型送達は、HoxB4依存性プロモーターの下でのルシフェラーゼレポーターの発現を改善する。ルシフェラーゼレポーターをトランスフェクトしたNIH 3T3を、dTAT(3μM)の存在下または存在しない状態で、HoxB4またはTAT−HoxB4(200nM)のいずれかと共に1.5時間インキュベートした。dTATの添加は、Hoxb4およびTAT−Hoxb4で得られたルシフェラーゼ誘導で、それぞれ53.1倍および307.4倍の増大をもたらす。TAT−mCherry(200nM)および/またはdTAT(3μM)とのインキュベーションは、陰性対照として働く(400,000細胞/実験、実験は2回行い、平均および標準偏差を表す)。(図20B)生細胞のサイトゾルおよび核に送達されたDEAC−K9の量は、滴定することができる。HeLa細胞を、dTAT(5μM)および増加する量のDEAC−K9(1、2.5、5、10、20μM)と共にインキュベートした。サイトゾル放出を示す細胞の蛍光強度を、顕微鏡法によって評価し(擬似カラーを使用した蛍光シグナル表示、カラースケール:青=最低強度、赤=最高強度)、細胞溶解産物のバルク蛍光と比較した。両方の解析において、細胞の蛍光強度は、培地中のDEAC−K9の濃度に直線的に応答する(顕微鏡:1,000細胞/実験、蛍光光度計:300,000細胞/実験;実験は3回行い、平均および標準偏差を表す)。スケールバー、10μm。(図20C)HoxB4のdTAT媒介型送達によるルシフェラーゼ発現の誘導は、制御することができる。NIH 3T3細胞を、HoxB4(25〜200nM)およびdTAT(3μM)と共に同時インキュベートし、ルシフェラーゼ誘導を、(a)で記述したように測定した(400,000細胞/実験、実験は2回行い、平均および標準偏差を表す)。
図20A〜20Cは、dTAT媒介型送達が改善され、HoxB4転写活性の制御が可能になることを示す。(図20A)HoxB4およびTAT−HoxB4のdTAT媒介型送達は、HoxB4依存性プロモーターの下でのルシフェラーゼレポーターの発現を改善する。ルシフェラーゼレポーターをトランスフェクトしたNIH 3T3を、dTAT(3μM)の存在下または存在しない状態で、HoxB4またはTAT−HoxB4(200nM)のいずれかと共に1.5時間インキュベートした。dTATの添加は、Hoxb4およびTAT−Hoxb4で得られたルシフェラーゼ誘導で、それぞれ53.1倍および307.4倍の増大をもたらす。TAT−mCherry(200nM)および/またはdTAT(3μM)とのインキュベーションは、陰性対照として働く(400,000細胞/実験、実験は2回行い、平均および標準偏差を表す)。(図20B)生細胞のサイトゾルおよび核に送達されたDEAC−K9の量は、滴定することができる。HeLa細胞を、dTAT(5μM)および増加する量のDEAC−K9(1、2.5、5、10、20μM)と共にインキュベートした。サイトゾル放出を示す細胞の蛍光強度を、顕微鏡法によって評価し(擬似カラーを使用した蛍光シグナル表示、カラースケール:青=最低強度、赤=最高強度)、細胞溶解産物のバルク蛍光と比較した。両方の解析において、細胞の蛍光強度は、培地中のDEAC−K9の濃度に直線的に応答する(顕微鏡:1,000細胞/実験、蛍光光度計:300,000細胞/実験;実験は3回行い、平均および標準偏差を表す)。スケールバー、10μm。(図20C)HoxB4のdTAT媒介型送達によるルシフェラーゼ発現の誘導は、制御することができる。NIH 3T3細胞を、HoxB4(25〜200nM)およびdTAT(3μM)と共に同時インキュベートし、ルシフェラーゼ誘導を、(a)で記述したように測定した(400,000細胞/実験、実験は2回行い、平均および標準偏差を表す)。
図21は、「非還元性dTATダイマー」(nrdTAT)構築物の構造および予測質量を示す。
図22A〜22Bは、生細胞へのnrdTATのサイトゾル送達を示す。HeLa細胞を、2.5〜5μM nrdTAT(図22A)および5〜10μM nrdfTAT(図22B)と共に1時間インキュベートした。明視野画像(左パネル)、モノクロ蛍光画像(中心パネル;白=蛍光シグナル、黒=シグナルなし);および細胞死の指標として使用されたSYTOX Blue(2μM)による細胞生存率(右パネル)。データは、両方の濃度での、HeLa細胞へのnrdfTATのサイトゾル送達を示す。スケールバー、50μm(反転モノクロ20×画像)。
図23は、培地中に存在するペプチドの濃度の関数として、HeLa細胞へのペプチドの取込みを示す。HeLa細胞による3種のペプチドの取込みを、濃度(μM)の関数として測定した。細胞を、acTAT(5〜25μM)、TAT(5〜25μM)、またはdTAT(1〜10μM)のいずれかと共にインキュベートし、96ウェルプレート上の細胞溶解産物のバルク蛍光を、プレートリーダーを使用して測定した。各試料の蛍光を、Bradfordタンパク質アッセイにより決定されるように、細胞溶解産物中の総タンパク質含量に対して正規化した。データは、dTATと共にインキュベートされた細胞の蛍光取込みの、直線的増大を示す。この実験で使用された溶解緩衝液は、2mM DTTを含有する。dTATは、この処置によりモノマーTATに還元される。その結果、dTATの正規化された蛍光を2で割って(dTAT/2)、dTATの取込みとTATの取込みとを比較した(dTATの1分子のシグナルは、このアッセイで内部移行したTATの分子の場合の2倍のシグナルを与える)。
高分子送達戦略は、典型的には、細胞侵入の経路としてエンドサイトーシス経路を利用する。しかし、エンドソームの捕捉は、高分子が細胞のサイトゾル空間を透過する効率を厳しく制限する。エンドソーム脱出を増強させる戦略は、エンドソーム膜に関するエンドソーム溶解剤の特異性の欠如により、細胞毒性の増加をしばしばもたらす。この開示は、HIVトランス活性化転写活性化因子または転写のトランス活性化因子のドメイン(本明細書では、「TAT CPPドメイン」と呼ぶ)などの細胞透過性ペプチド(CPP)のダイマー化が、特に高い効率でエンドソームから脱出することにより、生細胞を透過するという驚くべき発見について記述する。本明細書で使用される細胞透過性ペプチド(CPP)およびタンパク質形質導入ドメイン(PTD)という用語は、様々な分子カーゴの細胞取込みを促進させるペプチドとして同義で使用することができ、したがってこれらの用語は、様々なシスまたはトランスカーゴの細胞内送達を促進させることができるペプチドを指す。エンドソーム漏出を媒介することにより、CPPダイマーは、単純な同時インキュベーション手順の後に、培養された細胞への小分子、ペプチド、およびタンパク質の送達を容易にする。以下に、より詳細に記述するように、ダイマー化合物への2つのTAT CPPドメインの組込みは、極度の効率でかつ細胞の生存率および増殖に悪影響を及ぼすことなく、生細胞へのタンパク質および小分子の送達を容易にする新規な試薬(dTAT)をもたらした。新規なdTAT化合物に関係した追加の驚くべき利点についても記述する。例えば、サイトゾル送達は、培養物中のほとんどの細胞で、いくつかの異なる細胞系で、および無傷のエンドソーム内に捕えられたままの比較的少量の材料のみで実現された。送達は、dTATと標的カーゴとの結合相互作用を必要とせず、多数の分子種を一度に送達することができ、送達は、同じ細胞内で繰り返すことができた。注目すべきことに、dTAT媒介型送達は、細胞の生存率および増殖に目立って影響を及ぼすことはなかった。dTAT媒介型送達を、HoxB4、造血幹細胞のin vitro拡張に関して治療可能性を持つ転写因子でさらに評価した。特に、インキュベーション培地へのdTATの添加は、ルシフェラーゼレポーターの誘導を、HoxB4単独での処置により得られた場合よりも24倍増大させ、TAT−HoxB4(TATに融合したタンパク質構築物)単独で得られた場合よりも61倍増大させた。最後に、HoxB4の転写活性も、細胞外に投与されたタンパク質の量を単純に変化させることによって、精密に制御することができる。全体として、本明細書に記述されるように、本発明者らは、新規なdTAT試薬などの新規なCPPダイマーをベースにしたこの新しい送達戦略が、様々な適用例の中でもとりわけ細胞ベースのアッセイ、細胞イメージングの適用例、細胞のex vivo操作および再プログラミングならびに治療剤のin vivo投与に、極めて有用であることを実証した。
前述の内容によれば、一態様では、本開示は式(I):
を有する化合物を提供する。
式(I)により表される化合物において、Xは連結部分であり、Yは、疎水性部分に共有結合したアミノ酸残基であり、Zは細胞透過性ペプチド(CPP)部分である。上付き表示(即ち、1および2)は、それによって指示される様々な副成分が同一である必要はなく、任意選択で変形例を包含できることを示すことが理解されよう。例えば、Z1およびZ2は、それぞれがCPP部分の要件を満たす限り、同一のまたは異なるCPP部分であり得る。指示された上付きがない副成分に関して本明細書に提示される任意の記述は、副成分の一般的なカテゴリーを指し、化合物中の1つまたは両方の特定の副成分に特に適用することができる。下付き表示mおよびnは、独立して0または1であり、それぞれ特定の副成分の不在または存在を示す。一部の実施形態では、mおよびnの少なくとも1つは1である。一部の実施形態では、mおよびnの1つだけが1である。一部の実施形態では、mおよびnは共に1である。以下に、より詳細に記述される、一部の特定の実施形態では、mおよびnは共に0である。mおよび/またはnが0である任意の実施形態では、対応するXおよびZ副成分が、Y副成分が全く介在することなく直接連結されることが理解されよう。本明細書に記述される化合物を、本明細書では代わりに、ダイマー化合物、エンドソーム溶解性化合物、または本開示の化合物と呼ぶことができる。
一部の実施形態では、細胞透過性ペプチド(CPP)部分は3から30の間のアミノ酸を有する。
本明細書で使用される「ペプチド」または「ポリペプチド」は、アミド結合によって一緒に接合された、2つまたはそれ超のアミノ酸のポリマーを指す(即ち、「ペプチド結合」)。ペプチドは、典型的には50までのまたは50を含むアミノ酸を含み、直鎖状または環式であり得る。本明細書で使用される「アミノ酸」は、タンパク質中に見出される20の天然に生ずるアミノ酸、天然に生ずるアミノ酸のD−立体異性体(例えば、D−トレオニン)、非天然アミノ酸(例えば、天然に生ずるアミノ酸に比べて変種の側鎖を持つ合成アミノ酸)、および化学的に修飾されたアミノ酸のいずれかを指す。アミノ酸のこれらのタイプのそれぞれは、相互に排他的ではない。α−アミノ酸は、アミノ基、カルボキシル基、水素原子、および「側鎖」と呼ばれる特有の基が結合される、炭素原子を含む。天然に生ずるアミノ酸の側鎖は、当技術分野で周知であり、例えば、水素(例えば、グリシンのように)、アルキル(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリンのように)、置換アルキル(例えば、トレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリシンのように)、アリールアルキル(例えば、フェニルアラニンおよびトリプトファンのように)、置換アリールアルキル(例えば、チロシンのように)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ヒスチジンのように)を含む。
下記の略称が、20の天然に生ずるアミノ酸に使用される:アラニン(Ala;A)、アスパラギン(Asn;N)、アスパラギン酸(Asp;D)、アルギニン(Arg;R)、システイン(Cys;C)、グルタミン酸(Glu;E)、グルタミン(Gln;Q)、グリシン(Gly;G)、ヒスチジン(His;H)、イソロイシン(Ile;I)、ロイシン(Leu;L)、リシン(Lys;K)、メチオニン(Met;M)、フェニルアラニン(Phe;F)、プロリン(Pro;P)、セリン(Ser;S)、トレオニン(Thr;T)、トリプトファン(Trp;W)、チロシン(Tyr;Y)、およびバリン(Val;V)。
アミノ酸、より詳細にはそれらの側鎖は周知であり、それらの化学的特性(複数可)によって特徴付けることができる。例えば、アミノ酸側鎖は、正に帯電し、負に帯電し、または中性であってもよい。溶液のpHは、当業者に公知のように、ある側鎖の帯電性に影響を及ぼす。正に帯電し得る側鎖の非限定的な例には、ヒスチジン、アルギニン、およびリシンが含まれる。負に帯電し得る側鎖の非限定的な例には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。中性として特徴付けられてもよい側鎖の非限定的な例には、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、メチオニン、プロリン、およびトリプトファンが含まれる。
アミノ酸は、それらの側鎖の極性によって特徴付けられてもよい。典型的には無極性側鎖よりも親水性である極性側鎖には、例えば、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、アスパラギン、およびグルタミンのものが含まれる。典型的には極性側鎖よりも疎水性である無極性側鎖には、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、およびトリプトファンのものが含まれる。側鎖の原子電気陰性決定および三次元構造評価を含めた当技術分野で公知の従来の技法を使用して、側鎖の極性を決定してもよい。各アミノ酸のオクタノール/水の分配係数を比較するなど、当技術分野で公知の従来の技法を使用して、側鎖の疎水性/親水性を比較してもよい。
本明細書で使用される「化学的に修飾されたアミノ酸」は、その側鎖が化学的に修飾されているアミノ酸を指す。例えば、側鎖は、フルオロフォアまたは放射標識など、シグナル伝達部分を含むように修飾されていてもよい。側鎖は、チオール、カルボン酸、またはアミノ基など、新しい官能基を含むように修飾されていてもよい。翻訳後に修飾されたアミノ酸も、化学的に修飾されたアミノ酸の定義に含まれる。
一部の実施形態では、CPPは正味の正電荷を有する。
一部の実施形態では、CPPは、アミノ酸残基の50%またはそれ超が側鎖にグアニジニウム基を有しているアミノ酸配列を有する。例えば、アミノ酸配列は、そのアミノ酸の50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは全て、またはその中の任意の導出可能な範囲が、側鎖にグアニジニウム基を有するものを、有することができる。グアニジニウム基は、式(II):
−NH−C(=NH2 +)−NH2 式(II)
によって表される。
一部の実施形態では、グアニジニウム基を有するアミノ酸の1つまたは複数は、アルギニン(Arg;R)残基である。当技術分野で理解されるように、Arg残基は、3炭素脂肪族直鎖を持つ側鎖を有し、その遠位端はグアニジニウム基でキャップされている。一部の実施形態では、グアニジニウム基を有するアミノ酸の1つまたは複数は、Argの類似体であり、側鎖は何らかの手法で修飾されまたは合成によって異なっている。そのような修飾は、天然に生ずるArgに対する、側鎖での炭素の付加または欠失を含むことができ、その結果、グアニジニウム基でキャップされた、より長いまたはより短い側鎖が得られる。さらに側鎖は、分岐構造またはその他の官能基を含有するように修飾することができる。一部の実施形態では、グアニジニウム基は分岐構造内に存在することができる。一部の実施形態では、アミノ酸残基は、複数のグアニジニウム基を含むことができる。Arg類似体の発生は、天然に生ずるArgに、意図される修飾を導入すること、および1つまたは複数のグアニジニウム基を含有する合成アミノ酸をde novoで発生させることを含む、公知の技法により実現することができる。
一部の実施形態では、式(I)中のZにより表されるCPP部分は、配列XKKXXQXXX(配列番号1)に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはその中に含まれる任意の範囲もしくはパーセンテージの同一性を有するアミノ酸配列を含む。配列番号1に現れる各表示Xは、独立して、上述のようにアルギニン(Arg;R)または天然に生じない残基であってアグアニジニウム基を持つものを指すことに留意されたい。一部の実施形態では、CPPは、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CPPは、C末端端部に追加のグリシンを持つ、配列番号1に示されるアミノ酸を含み、またはそのようなアミノ酸からなる。一部の実施形態では、CPP部分は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる。これらの実施形態のいずれかでは、配列番号1中のX表示の1つ、2つ、もしくはそれ超、または全ては、アルギニン(Arg;R)残基を指す。一部の実施形態では、Z1のCPP配列およびZ2のCPP配列は、少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、またはその中に含まれる任意の範囲もしくはパーセンテージ互いに同一である、アミノ酸配列を有する。
本明細書で使用される、「パーセント同一性」または「パーセント同一である」を示す用語は、最大パーセント同一性を実現するために、候補および対象配列をアライメントした後の、指定された分子(配列番号1など)のアミノ酸配列と同一である、ポリペプチド配列中のアミノ酸残基のパーセンテージを指す。例えば、2つのタンパク質配列同士のパーセンテージ同一性は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)、U.S. National Library of Medicine、8600 Rockville Pike、Bethesda、MD 20894、U.S.Aのウェブサイトでbl2seqインターフェースを使用した2つの配列のペアワイズ比較によって決定することができる。bl2seqインターフェースは、Tatiana, A.ら、「Blast 2 Sequences-A New Tool for Comparing Protein and Nucleotide Sequences」、FEMS Microbiol. Lett. 174巻:247〜250頁(1999年)により記述されるBLASTツールを使用した配列アライメントを可能にする。下記のアライメントパラメーターを使用することができる:マトリックス=BLOSUM62;ギャップオープンペナルティ=11;ギャップ延長ペナルティ=1;ギャップx_ドロップオフ=50;エクスペクト=10.0;ワードサイズ=3;およびフィルター=オフ。
上述のように、式(I)によって表される化合物の一部の実施形態では、mおよびnの少なくとも1つは1である。したがって一部の実施形態では、化合物は、式(I)中のYにより表されるように、疎水性部分に共有結合した少なくとも1つのアミノ酸残基を含む。任意の特定の理論に拘泥するものではないが、ダイマー化合物中のY位置(複数可)にある1つまたは複数の疎水性部分の存在は、CPPドメイン(複数可)のアミノ末端に親油性ウォール−ヘッドを生成すると考えられる。このウォール−ヘッドは、エンドソーム膜に関してダイマー化合物全体のより高い親和性をもたらし易く、ダイマー化合物中のCPPドメインのエンドソーム溶解活性を容易にする。
一部の実施形態では、疎水性部分は、6から40個の間の炭素原子を含む。一部の実施形態では、疎水性部分は、直鎖、分岐状、または環式基を含む。一部の実施形態では、環式基は、単環、二環、もしくは三環式基であり、またはこれらの基を含む。
一部の実施形態では、疎水性部分は、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)から選択される1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含む。
例示的な非限定的疎水性部分は:芳香族分子(例えば、キサンテン、アントラセン、およびインドールなど)、アミノ酸(例えば、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニン、およびチロシン残基など)、フルオロフォア、親油性分子、および脂肪族分子(例えば、脂肪酸など)などを含む。一部の実施形態では、疎水性部分は親油性である。
特定の実施形態では、疎水性部分は、ローダミン基またはその誘導体を含む。ローダミン基は、蛍光を発するその能力に起因して、色素として一般に使用される関連ある化合物のファミリーを含む。コアローダミン構造は、式(III):
によって表される。
ローダミンおよびその誘導体は、その正電荷に起因して水に可溶であることが、一般に公知である(多くの誘導体は、塩の形態で提供される)。この溶解性にも関わらず、ローダミンおよびその誘導体は、芳香族コアによりこれらの化合物に与えられた疎水性および親油性により、「疎水性部分」のあるタイプまたは部分として本明細書では含まれる。
一部の実施形態では、疎水性部分はローダミン誘導体を含む。一部の実施形態では、ローダミン誘導体は、式(IV):
によって表される、テトラメチルローダミン(TMR)である。
一部の実施形態では、TMRは、化合物のアミノ酸残基への結合を容易にするための5(6)−カルボキシTMRである。疎水性部分に共有結合したアミノ酸残基は、そのような結合を受け易い上述のアミノ酸のいずれかであり得る。一部の実施形態では、より詳細に以下に記述されるように、アミノ酸はリシン(Lys;K)である。
上述のように、ある特定の実施形態では、mおよびnは共に0である。そのような実施形態では、化合物は、本明細書に記述されるような少なくとも1つの疎水性部分を依然として含む。しかし、CPPのアミノ酸とは全く異なるアミノ酸に共有結合する代わりに、少なくとも1つの疎水性部分は、2つのCPP配列の少なくとも1つの内部のアミノ酸の少なくとも1つに共有結合する。これらの実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸(疎水性部分に結合した)は、化合物のX副成分に近接していない(即ち、結合していない)末端に比べ、化合物のX副成分に近接した(即ち、結合された)末端により近い少なくとも1つのCPP配列内の位置に位置付けられることが好ましい。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸(疎水性部分に結合した)は、化合物のX副成分に近接した(即ち、結合された)末端位置でありまたはこの末端位置の1、2、3、4、もしくは5個のアミノ酸残基の位置の内部にあるCPP配列内の位置に位置付けられる。一部の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸(疎水性部分に結合した)は、CPPアミノ酸配列中の最もN末端側にあるリシン残基である。
Xによって、式(I)で表されるように、連結部分は、本明細書に記述されるように、それぞれがCPP部分および疎水性部分を含む2つのモノマー単位を接合するのに有用な、安定な連結を容易にすることができる任意の化学的部分であり得る。一部の実施形態では、式(I)で表されるX1−X2は、単一連結構造を表す。一部の実施形態では、X1およびX2はそれぞれ、組み合わせると2つのモノマー単位の間に安定な連結を形成することが可能な、特徴的でありかつ任意選択で異なる部分を表す。一部の実施形態では、安定な連結は、複数の副成分の間の1つまたは複数の共有結合であり得る。他の実施形態では、安定な連結はイオン結合であり得る。
式(I)中のXによって表される、連結部分の例示的な非限定的な例は、アミノ酸残基システイン(Cys;C)であり、これは別のシステイン残基とジスルフィド結合を形成することが可能である。したがって一実施形態では、X1およびX2は共に、ジスルフィド結合によって相互に連結するシステイン残基である。別の例示的な例では、X1およびX2のうち一方はビオチン分子であり、X1およびX2のうち他方は、アビジン、ストレプトアビジン、およびニュートラアビジンなど、ビオチンに特異的に結合する部分である。当技術分野で容易に理解されるように、ビオチンおよびその特的結合パートナー、例えばアビジン、ストレプトアビジン、およびニュートラアビジンなどは、共有結合の強度に近い強力な非共有結合を形成する。
連結部分によって提供されたモノマー単位同士の連結は、永続的である必要はないことが理解されよう。代わりに、連結は、エンドソーム獲得中およびサイトゾルへのエンドソーム脱出中にダイマー構造全体が維持されるよう、十分安定しているべきである。その後、連結はもはや必要ではないと考えられ、場合によっては、好ましくは破壊されて細胞生存率を保持する。例えば、以下に記述されるように、例示的なdTATダイマー構築物は、2つのモノマー単位間のジスルフィド結合によって維持される。図2を参照されたい。この実施形態では、ジスルフィド結合をサイトゾル内で切断することができ、その結果、後で比較的低い(または存在しない)膜破壊活性を有するモノマー単位になる。
あるいは、モノマー単位間の連結は、非還元性連結であり得る。2つのTATモノマー間に非還元性連結を持つ例示的な構築物は、図21に示されており、以下に、より詳細に記述されるように、dTATの細胞浸透機能を保持することが示された。これは、dTATダイマー構築物を支持する特異的連結を、機能性に悪影響を及ぼすことなしに修飾しまたは置き換えることができることを実証する。
一部の実施形態では、式(I)で表されるような化合物の副成分X、Y、および/またはZ(例えば、X1、Y1、および/またはZ1)は、アミド結合によって連結される。例えば、一部の実施形態では、X1、Y1、および/もしくはZ1(ならびに/またはX2、Y2、および/もしくはZ2)のそれぞれは少なくとも1つのアミノ酸を含み、X1、Y1、および/もしくはZ1(ならびに/またはX2、Y2、および/もしくはZ2)のそれぞれからの少なくとも1つのアミノ酸は、アミド結合によって連結される。一部の実施形態では、X1、Y1、および/もしくはZ1(ならびに/またはX2、Y2、およびZ2)の2つだけがアミド結合によって連結される。一部の実施形態では、X1、Y1、およびZ1(ならびに/またはX2、Y2、およびZ2)の全てがアミド結合によって連結される。一部の実施形態では、式(I)で表されるX、Y、および/またはZの副成分(例えば、X1、Y1、および/またはZ1)は、介在する副成分によって間接的に連結される。副成分は、介在アミノ酸であり得、したがってアミド結合によってX、Y、および/またはZ副成分に連結することができる。
一部の実施形態では、式(I)で表される化合物のモノマーサブユニットとしてのX−Y−Zの組合せ、即ち、X1−Y1−Z1および/またはX2−Y2−Z2は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35個のアミノ酸残基を含む。
以下に、より詳細に記述するように、図1に示されかつモノマーX−Y−Zにより式(I)の文脈において表されるような十分な濃度のモノマーTAT(TAT)の投与は、細胞に十分な濃度で投与され、その結果、いくらかサイトゾル蛍光がもたらされる。これは、十分な濃度では、TATモノマー化合物が、エンドサイトーシス中にある程度の自己ダイマー化を可能にすることを示す。エンドソーム獲得中にエンドソーム内で自己組織化することができるモノマーは、エンドサイトーシスにより膜活性化合物にダイマー化することのみによる、非特異的膜相互作用のさらなる低減など、いくつかの潜在的な利益をもたらす。
したがって別の態様では、本開示は、式X−Y−Zを有する化合物を提供し、式中、Xはシステイン残基であり、Yは、疎水性部分に共有結合したアミノ酸残基であり、Zは細胞透過性ペプチド(CPP)部分である。CPP部分は、正味の正電荷を有し、かつ50%またはそれ超の残基がグアニジニウム基を有しているアミノ酸配列を有する。好ましくは、XおよびY副成分とYおよびZ副成分は、アミド基により連結される。上記態様の化合物の場合のように、本明細書に記述される化合物は、代わりに、モノマー化合物、エンドソーム溶解性化合物、または本開示の化合物と呼ぶことができる。
この態様の化合物は、2つの化合物のN末端システイン残基間にジスルフィド結合を形成することによって、ホモダイマーを形成することが可能である。
CPPは上述されている。一部の実施形態では、細胞透過性ペプチド(CPP)部分は3から30の間のアミノ酸を有する。特定の実施形態では、グアニジニウム基を有する残基は、独立して、アルギニン(Arg;R)アミノ酸残基、または合成による天然に生じないアミノ酸、例えば合成Arg類似体であり得る。
一部の実施形態では、CPPは、上述の配列番号1に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそこに含まれる任意の範囲もしくはパーセンテージの同一性を有するアミノ酸配列を有する。一部の実施形態では、CPPは配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CPPは、C末端端部に追加のグリシンを持つ、配列番号1に示されるアミノ酸を含みまたはそのようなアミノ酸からなる。一部の実施形態では、CPP部分は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、Yはリシン残基(Lys;K)である。
疎水性部分は上述されている。一部の特定の実施形態では、疎水性部分は、C6〜C30直鎖、分岐状、または環式基を含む。一部の実施形態では、環式基は、単環、二環、もしくは三環式基であり、またはこれらの基を含む。一部の実施形態では、疎水性部分は、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)から選択される1つまたは複数のヘテロ原子をさらに含む。一部の実施形態では、疎水性部分は、ローダミンまたはローダミン誘導体を含む。一部の実施形態では、ローダミン誘導体は、式(IV)によって表されるテトラメチルローダミン(TMR)である。
一部の実施形態では、X−Y−Zの組合せは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、および35個のアミノ酸残基を含む。一部の実施形態では、表されるX、Y、および/またはZ副成分は、介在する副成分によって間接的に連結される。副成分は、介在アミノ酸であり得、したがってアミド結合によりX、Y、および/またはZ副成分に連結することができる。
別の態様では、本開示は、細胞内のエンドソーム浸透性を高める方法であって、本明細書で上述したように細胞を本開示の化合物と接触させることを含む方法を提供する。
この態様では、細胞を、細胞不浸透性分子のエンドサイトーシスを可能にするのに十分な条件下で接触させる。例えば、細胞は、細胞生存率を助長する、したがって動作可能なエンドサイトーシス経路を細胞が維持するのに十分な、当技術分野で公知の培養条件で維持することができる。一部の実施形態では、細胞はin vitroで培養される。さらなる実施形態では、細胞は、ある特定の場合には記述される化合物の活性を低減させることができる、アルブミンを欠いている培地中で、in vivoで培養される。他の実施形態では、細胞は、生きている対象から得られ、ex vivoで接触する。そのような実施形態では、公知の培養技法は、ある期間にわたって細胞をex vivoで維持するのに適用することができる。一部の実施形態では、以下に記述されるように、細胞は、in vivoで生きている対象内にあり、エンドソーム溶解性化合物が対象に投与される。
一部の実施形態では、細胞を少なくとも0.1μM、0.5μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、またはそれよりも高い濃度のエンドソーム溶解性化合物と接触させる。濃度という用語は、細胞の局所環境の体積に対して決定することができる。例えば、濃度は、細胞と接触している細胞培養培地の体積に関して決定することができる。
一部の実施形態では、方法は、細胞を細胞不浸透性分子と接触させることをさらに含む。細胞不浸透性分子は、通常は助けなしで細胞膜を貫通せず、好ましくはサイトゾル内に導入されたときまたは導入された後に細胞に対して意図される作用を誘発する、化学剤である。唯一の理論上の制約は、分子がエンドサイトーシスを受けることが可能でなければならないことであり、これはあるサイズの制約を課すものである。細胞不浸透性分子の例示的な、非限定的な例には、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質(例えば、約50を超えるアミノ酸のポリペプチド)、核酸、その他のポリマー、および医薬組成物などが含まれる。一部の実施形態では、ポリペプチドまたはタンパク質は転写因子である。例示的な転写因子について、以下に、より詳細に論じる。
一部の実施形態では、細胞不浸透性分子は、共有結合によってまたはその他の手法で化合物に連結またはコンジュゲートされる。しかし、他の実施形態では、細胞不浸透性分子は、化合物に連結されずコンジュゲートされない。例えば、以下に、より詳細に記述されるように、dTATに連結されなかった転写因子および色素を含む様々な細胞不浸透性分子は、dTATと協調的であるがそれに連結もコンジュゲートもされない状態で投与された場合、様々な細胞のサイトゾルに首尾良く送達された。ある潜在的な利点は、このことによって、「カーゴ」細胞不浸透性分子の濃度または量を、本開示のエンドソーム溶解性化合物とは独立して容易に調整できるようになることである。
以下に記述されるように、dTAT化合物は正味の正電荷を有する。反対の電荷がないと、細胞不浸透性分子はエンドソーム溶解性化合物(以下に記述されるdTATなど)と相互作用しなくなり、したがってそのエンドソーム溶解特性の妨害が回避されるという、理論構成がなされる。したがって、一部の実施形態では、細胞不浸透性分子は正味の正電荷を有する。しかし、他の実施形態では、細胞不浸透性分子は正味の負電荷を有することができる。これらの実施形態では、細胞不浸透性分子は、細胞不浸透性分子の負電荷を有効に遮蔽する追加の一般に公知の試薬を持つ細胞に接触することができる。この電荷遮蔽は、細胞不浸透性分子と本開示の化合物との有害な相互作用が少しでも存在する場合にはその有害な相互作用を回避する。例えば、リン酸カルシウムおよびDEAE−デキストランなどの化学物質、またはカチオン性脂質ベース試薬は、DNA分子の周りに、より静電気的に中性の環境を生成するのに使用でき、したがってDNAの負電荷の影響を改善することが公知である。例示的なカチオン性脂質は、Lipofectamine(商標)(Invitrogen/Life Technologies、CA、USA)である。
以下で実証されるようにかつ図14に示されるように、dTAT化合物は、DEAC−K9およびSNAP−Surface(登録商標)488の同時送達を容易にした。したがって、一部の実施形態では、方法は、細胞を複数の異なる細胞不浸透性分子と接触させることを含む。
以下に実証されるように、エンドソーム溶解剤および細胞不浸透性分子の投与は、細胞生存率に害を及ぼすことなく多数回繰り返すことができる。したがって、一部の実施形態では、方法は、細胞をエンドソーム溶解性化合物および1種または複数の細胞不浸透性分子と接触させる第1の場合に続き、細胞をエンドソーム溶解性化合物および1種または複数の細胞不浸透性分子と一度に接触させることをさらに含む。一部の実施形態では、接触させるステップは、1、2、3、4、5回、またはそれ超、繰り返され、その度に、おそらくは同じまたは異なる細胞不浸透性分子と接触させる。
一部の実施形態では、細胞は、生きている対象から得られ、ex vivoで本開示のエンドソーム溶解性化合物および細胞不浸透性分子と接触する。例えば、対象から得られた細胞は、ex vivoで、多能性を容易にすることが公知の任意の転写因子などの化合物および薬剤と接触させることができる。多能性の必須の程度に到達したら、細胞またはその子孫を、元の対象またはそれを必要とする別の対象に投与することができる。別の実施形態では、細胞またはその子孫は、本開示の化合物との追加の接触を含むことができる公知の方法により、さらに分化する。次いで分化した細胞(複数可)は、元の対象またはそれを必要とする異なる個体に投与することができる。
上述のように、方法の一部の実施形態は、細胞をin vivoで本開示のエンドソーム溶解性化合物と接触させることを包含する。さらなる実施形態では、細胞を治療の必要性に対処する有効量の細胞不浸透性分子とも接触させる。一部の実施形態では、エンドソーム溶解性化合物および/または細胞不浸透性分子は、対象の身体中の1種または複数の特定の細胞または細胞型を標的とする。これは、目的の細胞を特異的に標的とするよう設計製作された、リポソーム、ナノ粒子、およびウイルス様粒子(VLP)などの様々な十分認識された送達ビヒクルを使用して実現することができる。例えば、細胞は、粒子標的を受け易い公知の表面レセプターを持つ、異常またはがん性細胞であり得る。粒子は、細胞の死を引き起こすエンドソーム溶解性化合物を送達することができる(細胞不浸透性剤と一緒に)。別の例では、細胞は、例えば組織または細胞集団を再生させるために必要な子孫細胞への幹細胞の分化を誘導する、エンドソーム溶解性化合物(細胞不浸透性剤と一緒に)で標的とされる幹細胞である。
対象は、任意の動物、例えば哺乳動物、爬虫類、節足動物、および軟体動物などであり得る。一部の実施形態では、哺乳動物対象は、霊長類(サル、類人猿、およびヒトを含む)、げっ歯類(マウス、ラット、およびモルモットなどを含む)、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタなどである。
したがって、関連する態様では、本開示は、細胞不浸透性分子を細胞のサイトゾルに送達する方法であって、細胞を本明細書で上述したようなエンドソーム溶解性化合物、および細胞不浸透性分子と、エンドサイトーシスを可能にするのに十分な条件下で接触させることを含む方法も提供する。
別の態様では、本開示は、ex vivoで細胞における多能性を誘導する方法を提供する。方法は、i)対象から得られた細胞を本明細書で上述したようなエンドソーム溶解性化合物および転写因子と、エンドサイトーシスを可能にするのに十分な条件下で接触させること、およびii)細胞を培養して、細胞の多能性を得ることを含む。
本明細書で使用される「多能的な」および「多能性」という用語は、複数の異なる細胞型に発達する細胞の能力または潜在性を指すのに使用される。使用されるとき、この用語は、全能性細胞、多能性細胞、多分化能細胞(間葉細胞を含む)、および少能性細胞など、幹細胞の全てのカテゴリーを含むものとする。多くの技法は、目的の異なる細胞型に有用な前駆体である細胞が得られるように、遺伝子操作を通して体細胞から多能性を誘導することが知られていることが理解されよう。
多能性を促進させるのにこの態様で有用である公知の転写因子の例示的な、非限定的な例には、Oct4、Sox2、Klf4、およびc−Mycなどが含まれる。
この態様の方法は、細胞に悪影響を及ぼすことのない適切な転写因子の効率的な送達によって、多能性を誘導するという利点をもたらす。記述されるように、送達は、繰り返すことができ、複数の異なる細胞不浸透性分子に適用することができる。次いで多能性細胞を、元の原対象またはそれを必要とする別の対象に、投与することができる。代替の実施形態では、多能性細胞を、任意の好ましい細胞型にさらに分化させる。ex vivo培養物中の多能性細胞を分化させる方法は、当技術分野では公知であり、本開示のエンドソーム溶解性化合物のさらなる投与を含むことができる。分化した細胞は、培養で維持することができ、かつ/または元の原対象もしくは別の対象に、例えば適切な治療または研究目的で投与することができる。
別の態様では、本開示は、幹細胞をex vivoで拡張する方法を提供する。方法は、i)幹細胞を本開示のエンドソーム溶解性化合物および転写因子と、エンドサイトーシスを可能にするのに十分な条件下で接触させること、およびii)細胞を培養して、細胞の拡張を得ることを含む。
本明細書で使用される「幹細胞を拡張する」という用語は、初期フィーダー幹細胞(1つまたは複数)からの細胞集団を増やすことを指し、ここで拡張された集団の要素は、多能性の必須の程度など、初期フィーダー細胞(1つまたは複数)の特性を保持している。拡張技法は、細胞の成長および分裂に適切な培養環境を提供することを含む。この環境は、培地、栄養補助剤、成長足場、および試薬の組合せを含むことができ、健康なフィーダー集団または馴化培地の必要性を含んでいてもいなくてもよい。拡張された幹細胞は、中核研究などの目的で、薬物スクリーニングツールとして治療上有益または有用である。例えば、拡張された造血幹細胞は、血球の様々な分化系列を持つ骨髄および血液を再配置する試みにおいて、切除型骨髄がん療法を受けた対象に投与することができる。
一部の実施形態では、幹細胞は造血幹細胞である。
一部の実施形態では、転写因子HoxB4、HoxA4/10、Gata2、Gf1、AML1、JunB、NF−Y、Bmi1Ezh2、Dmnt3a、Cbx7、p18、p21、p27、p57、PTEN、Myc、およびFbxw7などである。
本開示の任意の態様で提供された任意の実施形態、特徴、要素、定義、または概略的記述は、明確に述べていない限り、制限することなく本開示の任意の他の態様に適用できることが理解されよう。したがって、本明細書で論じられる任意の実施形態は、本発明の任意の方法、薬剤、または組成物に関して実施することができ、その逆も同様である。さらに、本発明の薬剤および組成物を使用して、本発明の方法を実現することができる。
「a」または「an」という単語の使用は、本明細書で「含む(comprising)」という用語と併せて使用する場合、「1つ(one)」を意味することができるが、「1つまたは複数(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、および「1つまたは1つ超(one or more than one)」の意味とも一致する。
本出願の全体を通して、「約」という用語は、値がデバイスに関する誤差の固有のばらつきを含むことを示すのに使用され、方法は、値または研究対象間に存在するばらつきを決定するのに用いられる。
「含む(comprise)」、「有する(have)」、および「含む(include)」という用語は、開放型連結動詞である。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」など、これらの動詞の1つまたは複数の任意の形または時制も開放型である。例えば、1つまたは複数のステップを「含む(comprises)」、「有する(has)」、または「含む(includes)」任意の方法は、それらの1つまたは複数のステップのみを保有することに限定されず、その他の列挙されていないステップも包含する。
「含む(comprising)」の代わりにまたはそれに加えて、本明細書の任意の実施形態は、「からなる(consisting of)」を挙げることができる。「からなる(consisting of)」という移行句は、請求項で指定されないどのような要素、ステップ、成分も除外する。
本明細書に引用される刊行物および参考文献と、それらが引用されている論文は、その全体が参照により本明細書に特に組み込まれる。
下記は、新規なTATダイマー(dTAT)が意外にもエンドソーム漏出を媒介し、かつ単純な同時インキュベーション手順によって、培養した細胞への小分子、ペプチド、およびタンパク質の効率的な送達を容易にするという発見の記述である。dTATは、2つのTATペプチド間でのジスルフィド架橋の生成によって形成された。サイトゾル送達は、細胞の生存率または増殖に影響を及ぼすことなく実現された。多数の分子を同時に送達し、同じ細胞への送達は、効力を失うことなく繰り返し行われた。全体として、以下の記述は、細胞ベースのアッセイ、細胞イメージングの適用例、細胞のex vivoでの操作および再プログラミング、ならびにその他の適用例に、極めて有用な新しい送達戦略を確立する。この記述は、本明細書に開示される主題を例示する目的で提供され、限定しようとするものではない。
結果
TATのジスルフィド結合されたダイマーは、モノマー対応物よりも効率的に細胞のサイトゾルを透過する
配列XKKXXQXXXを持つHIVトランス活性化転写活性化因子のドメインから誘導されたCPP(配列番号1参照、Xで指示される全ての残基はアルギニン(Arg:R)であり;本明細書では「TAT CPPドメイン」と呼ぶ)を、ダイマー送達ビヒクルの設計用鋳型として使用した。C末端グリシン(Gly;G)を、合成の目的でCPPドメインに添加して、固相ペプチド合成中の樹脂への結合によるラセミ化を防止した。しかし、C末端グリシンは、TAT CPPドメインの機能性において役割を有すると考えられておらず、これを以下に実証する。最後にC末端アミド(C(=O)−NH2)を組み込んで、脱プロトン化されたときに、C末端で典型的なカルボキシルにより提供されるいかなる追加の電荷も回避した。フルオロフォアのテトラメチルローダミン(TMR)で修飾されたリシンを、蛍光イメージングのために導入し、システインをTATのN末端に付加して、ジスルフィド結合形成によるダイマー化を可能にした(図1)。ジスルフィド結合は、エンドソーム内では比較的安定であるが、還元するサイトゾルへの侵入によって切断される。したがって、ダイマーTAT構築物(図2)は安定であり、エンドソーム内ではエンドソーム溶解性であるが、サイトゾルに侵入するとモノマー性になりかつその膜破壊活性を失うと考えられる。モノマー生成物、CK(TMR)−TATを、還元モノマーとして精製した。本明細書で使用される「TAT」という用語は、他に指示しない限り、TAT CPPドメインではなくモノマー生成物(即ち、CK(TMR)−TAT)を指す。酸素化培地中のインキュベーションおよびTATの遊離システインチオールの酸化は、ダイマー(CK(TMR)TAT)2(本明細書では、「ダイマー性TAT」または「dTAT」と呼ぶ)を発生させ、各モノマー性TAT単位は、末端シトシン残基の間でジスルフィド結合を介して連結される。TATおよびdTATは、HPLCおよびMALDITOF MSスペクトル解析によって特徴付けた。精製されたCK(ε−NH−TMR)TAT(TAT)は、14.2分の滞留時間(rt)を示した(TAT、予測質量=2039.16、観察された質量=2040.66)。dTATは、酸素化緩衝液中で一晩TATをインキュベートすることによって得られた。HPLC精製後、dTATは、滞留時間(rt)22.7分で単一ピークを示した(dTAT、予測質量=4076.30、観察された質量:M+1/1H+=4084.21Da、M+2/2H+=2041.32)。純粋なdTATを、水に溶かしたTCEP(50mM)の溶液と混合し、15分間反応させた。HPLCクロマトグラムは、rt=14.3分でピークを示し、純粋なTATの滞留時間(図示せず)と同一であった。あるいは、TATのチオール(即ち、CK(TMR)TAT)をアセトアミド化してペプチドを得(本明細書では「acTAT」と呼ぶ)、これはダイマー化することができない(図3)。acTATを、純粋なacTATのHPLCおよびMALDI−TOF MSスペクトル解析によって特徴付けた(rt=8.93分)(予測質量:2096.18、観察された質量:2096.31)(図示せず)。
TAT、dTAT、およびacTATペプチドを、いくつかの細胞系と共に1時間インキュベートし、内部移行を蛍光顕微鏡法によって評価した。図4A〜4Dは、エンドソーム内のペプチドの蓄積と一致する、点状分布で局在化したacTAT(1〜20μM)を示す。対照的に、dTATの蛍光シグナルは、点状であり(2μMよりも低い)またはサイトゾルおよび核内に分布した(5μMよりも高い)。図5も参照されたい。興味深いことに、拡散蛍光分布を持つ細胞の数は、dTATの2から5μMの間で劇的に増加した(図4Cおよび図6)。しかし、溶解産物のバルク蛍光によって測定された、細胞内(サイトゾル+エンドソーム)のdTATの全体の量は、細胞外に投与されたdTATの濃度にほぼ直線状に相関した(図4D)。これらのデータは、dTATがエンドサイトーシスを受け、閾値濃度よりも高くなると細胞のサイトゾル内に脱出することを実証する。dTATのサイトゾル送達は、HeLa、NIH 3T3、HaCaT、およびCOLO 316細胞で実現した。簡単に述べると、生細胞のサイトゾルおよび核へのdTATの送達は、多数の細胞系で実現された。細胞系HeLa、NIH 3T3、COLO 316、およびHaCaTを、5μM dTATと共に1時間インキュベートし、洗浄し、イメージングした。検出された蛍光シグナルは、細胞のサイトゾルおよび核内にあった。イメージング後、細胞を、5%CO2を含有する加湿雰囲気中で24時間、37℃でインキュベートし、洗浄し、再びイメージングした。細胞形態は、24時間後変化しなかった。細胞生存率を、細胞不浸透性核染色SYTOX(登録商標)Blueの排除によって、1時間および24時間の両方の時点で評価した。24時間の時点でのTMR蛍光は、おそらくペプチドの細胞内分解により(図示せず)、1時間の時点で得られた場合とは異なっていた。全ての場合で、細胞はSYTOX(登録商標)Blueで染色されず、これはそれらの原形質膜が損なわれておらずかつ細胞が生きていることを示した。acTATと同様に、TATは、最大10μMでエンドソーム内に局在化した。しかし、20μMで、多くの細胞はサイトゾル蛍光を示し、これはTATが、おそらくはin situでのダイマー化によってdTATの活性の一部を再現することを示している。簡単に述べると、生細胞とのインキュベーション後のTAT細胞の局在化は、細胞外培地でのその濃度に依存するように見えた。反転モノクロ(黒=蛍光シグナル、白=シグナルなし)蛍光画像は、10または20μMのTATと共に1時間インキュベートされたHeLa細胞で作製された。TATは、10μM TATで、蛍光で点状分布を示し、一方、20μM TATは、サイトゾルおよび核蛍光分布を示す細胞集団の有意な増大を示した(図示せず)。
dTATは、通常はトランスフェクションに耐性のある細胞のサイトゾルを透過する
後根神経節F11(DRG−F11)神経細胞は、トランスフェクトするのが難しいことがよく知られている。dTAT曝露をDRG−F11細胞で試験して、トランスフェクションの難しさがdTATに対する障壁を課しているか否かを決定した。DRG−F11細胞を、dTAT(5μM)と共に1時間インキュベートした。イメージングを20×(図18A)および100×(図18A)対物レンズで行ったが、これらはdTATがDRG−F11細胞のサイトゾルを透過することを示す。
dTATは、エンドサイトーシスとその後に続くエンドソーム脱出により細胞を透過する
エンドソーム脱出がdTATの送達に関わっているか否かを試験するために、アミロライド、マクロピノサイトーシス阻害剤、およびバフィロマイシン、エンドソーム酸性化の阻害剤の影響について評価した。図8Aは、アミロライドおよびバフィロマイシンがdTATのサイトゾル送達を阻害したことを示し、これは、dTATが、細胞のサイトゾルに侵入する前にエンドサイトーシス経路内を移行することを示唆している。これらの結果を確認するために、細胞を、エンドソーム内に蓄積されるDEAC−K9、蛍光ポリリシンペプチド(図9参照)と共にインキュベートした。次いで細胞を洗浄し、dTATと共にインキュベートした(図8B)。蛍光の点状分布のみが、DEAC−K9単独と共にインキュベートした細胞で観察されたが、dTATを引き続き添加すると、サイトゾルおよび核の全体にわたってDEACシグナルの再分布がもたらされた。しかしこの再分布は、バフィロマイシンによって阻害された。これらのデータは、dTATが、DEAC−K9を既に含有するエンドソーム内に蓄積され、かつdTATが、DEAC−K9の放出を伴うような方法でエンドソームから脱出することを実証する。これらのデータの全体は、dTATが、エンドサイトーシスの後にエンドサイトーシス経路からの脱出を含む2ステッププロセスで細胞を透過することを実証する。
dTAT媒介型エンドソーム漏出は効率的である
上記にて実証されたように、dTATのサイトゾル分布は、acTATまたはTATで観察できるものよりも著しく効率的なエンドソーム脱出プロセスを示す。しかしdTATのサイトゾル蛍光は、エンドソーム内に残存するシグナルをおそらくは不明瞭にする。そのような仮説のシナリオの下で、dTATエンドソーム脱出は、実際にそうであるよりも劇的に見えるようである。dTATがエンドソーム漏出を媒介する効率をより精密に確立するために、dTATを、SNAP−Surface(登録商標)488、SNAPタンパク質融合タグと反応することができる細胞不浸透性の緑色フルオロフォアと共に、同時インキュベートした(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Sun, X.ら、「Development of SNAP-Tag Fluorogenic Probes for Wash-Free Fluorescence Imaging」、Chembiochem: a European Journal of Chemical Biology 12巻:2217〜2226頁(2017)参照)。実験は、SNAP−Surface(登録商標)488が送達後に細胞の核を標識し得るように、SNAP−H2Bヒストン構築物を発現する細胞で行った。dTATおよびSNAP Surface(登録商標)488と共にインキュベートされた細胞は、核染色を示し(図8C)、一方、SNAP−Surface(登録商標)488のみと共にインキュベートされた細胞は示さなかった。簡単に述べると、SNAP−Surface(登録商標)488は、エンドサイトーシスを介して細胞に侵入することが示された。HeLa細胞を、5μM SNAP−Surface(登録商標)488と共に1時間インキュベートし、洗浄し、イメージングした。反転モノクロ画像は、SNAP−Surface(登録商標)488からの点状蛍光分布を示した。HeLa細胞を、5μM SNAP−Surface(登録商標)488および2.5μM dTAT(dTATインキュベーションが著しいサイトゾル放出をもたらさない濃度)と共に1時間インキュベートし、洗浄し、イメージングした。反転モノクロ画像は、ここでも、エンドサイト小器官でのSNAP−Surface(登録商標)488の蓄積(点状分布)、およびTMRシグナルによる同時局在化を示した。明視野画像は、SNAP−Surface(登録商標)488および/またはdTATの取込み後(図示せず)にHeLa細胞形態が変化しないことを示した。これらのデータは、検出された蛍光が細胞内であることをさらに確認する。さらに、SNAP−Surface(登録商標)488は送達後に核内に蓄積されるので、サイトゾル蛍光は失われ、エンドソーム内に残存する蛍光分子の量がより明瞭に明らかにされる。図8Cで強調されるように、明るく標識された核を持つ細胞は、数個のぼんやりとしたエンドソームしか含有していなかった。SNAP−Surface(登録商標)488蛍光は、SNAP融合タグと反応する前に消光する(80%)ことに留意すべきである。消光を考慮した場合、蛍光シグナルの解析は、細胞における蛍光脱出エンドソームの50%から90%の間がイメージングされたことを示した(100個のトランスフェクトされた細胞が解析された)。
dTAT媒介型サイトゾル送達は、細胞生存率、細胞増殖、およびdTATにより使用されるエンドサイトーシス経路に影響を及ぼさない
dTAT媒介型エンドソーム脱出は非常に効率的であるので、懸念は、dTATが、仮定として、細胞生理学に悪影響を及ぼす可能性があるということである。この課題に対処するために、dTATに関連した毒性を、HeLa細胞とのインキュベーション後、1、24、および48時間で確立した。意外にも、死細胞の割合は、ほぼ全ての細胞において効率的なサイトゾル透過を実現するのに十分な濃度、5μM dTATで、5%よりも低かった(図10B)。dTATで処置した細胞の形態も、未処置の細胞の場合と同一であった(図10A)(TMRシグナルの分布は、おそらくはペプチド分解により24時間後には異なる)。さらに図10Cは、dTAT(5μM)で処置したHeLa細胞が、未処置の細胞と同じ速度で成長することを示す。最後に、効率的なdTATエンドソーム脱出を示すサイトゾル蛍光シグナルを含有する細胞は、顕微鏡法により、分裂することが観察された(図10D)。これらのデータの全体は、細胞がdTAT透過を生き残りかつ正常に成長することを実証する。
この実証された、細胞形態および増殖への悪影響がほとんどない状態が、HeLa細胞に限定されるか否かを決定するために、類似のアッセイをその他の細胞型で行った。図11は、神経細胞系Neuro−2a(左パネル)および原発性ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)(右パネル)との1時間のインキュベーション後のdTATの細胞局在化を示す。細胞を、dTATと共にインキュベートし、洗浄し、100×対物レンズでイメージングした。蛍光画像は、dTATと共にインキュベートされた細胞に関するサイトゾル放出を示す。SYTOX(登録)ブルー(2μM)の排除を使用して、イメージングされた細胞が、損なわれた原形質膜を持たないことを決定した。図12は、処置されたおよび未処置のHeLa、Neuro−2a、およびHDF細胞の増殖速度(MTTアッセイでの吸光度)をグラフで示す。各細胞型ごとの、処置されたおよび未処置の細胞は、経時的にほぼ同一の増殖パターンを示した。
dTATが、送達ステップ中に多くのエンドソームを乱す場合、エンドサイトーシストラフィッキングは、仮定として、ペプチドインキュベーション後に悪影響を受ける可能性がある細胞プロセスであると考えられる。例えば、dTATがエンドサイトーシス経路を劇的に妨げる場合、それは仮定として、初期処置の後には分子を首尾よく送達し得るが、繰り返されるdTATインキュベーションにより第2の分子を送達できないと考えられる。この考えを試験するために、2つの異なる分子(DEAC−K9およびSNAP−Surface(登録商標)488)の段階的な送達について評価した。細胞を、まずdTAT(5μM)およびDEAC−K9(5μM)と共に1時間インキュベートした。予測されるように、このインキュベーションは、dTATおよびDEAC−K9の両方のサイトゾル分布をもたらした(データは示さず)。20分後、細胞をdTAT(5μM)およびSNAP−Surface(登録商標)488(5μM)と共に1時間インキュベートした。意外にも、この多段階プロトコールで処置した細胞は、DEAC−K9およびSNAP−Surface(登録商標)488の両方のサイトゾルおよび核蛍光を示した(図13)。重要なことは、SNAP−Surface(登録商標)488の送達が、多段階送達プロトコール中に、dTATが存在しない状態で生じなかったことである。簡単に述べると、HeLa細胞をまず5μM dTATおよび5μM DEAC−K9と共に1時間インキュベートした。次いで細胞を洗浄し、5μM SNAP−Surface(登録商標)488と共に1時間インキュベートし、イメージングした。反転モノクロ画像は、TMRおよびDEACのサイトゾルおよび核局在化を示した。しかし、SNAP−Surface(登録商標)488は、蛍光点状分布を示した(図示せず)。さらに、SNAP−Surface(登録商標)488の送達は、バフィロマイシンによって阻害され、これは第2の送達ステップもdTATのエンドソーム溶解活性によって媒介されるという考えと一致する(図13)。さらに、試験されたSNAP−Surface(登録商標)488の蛍光は、SNAP−Surface(登録商標)488が、未処置の細胞に送達され(1ステップ送達)またはDEAC−K9と同時に送達された場合に得られたものと同等であった(図14A〜14B)。併せると、これらの結果は、dTAT媒介型送達を繰り返すことができるということを確立する。これは即ち、dTATによって用いられたエンドサイトーシス経路が、dTATエンドソーム脱出後に劇的に損なわれないということを確立する。
dTATは、細胞内で強力な転写応答を誘発しない
細胞に対するdTAT曝露の影響をより良く決定するために、全ゲノムマイクロアレイ解析を、5μM dTATで1時間処置した細胞で行って、転写パターンが影響を受けるか否かを決定した。解析は、dTAT処置の直後、1時間後、または24時間後に行った。図15は、プロットが、処置した試料対未処置の(同じインキュベーションステップだがペプチドは用いない)試料のマイクロアレイ強度値を表すことを示す。直線は、2倍強度の変化のカットオフを表す。これらのデータは、dTATへの曝露が、全ゲノムスケール上で最小限の転写擾乱を引き起こすことを示す。
dTATは、タンパク質を、トランス状態で生細胞のサイトゾルおよび核に送達する
dTAT、DEAC−K9、およびSNAP−Surface(登録商標)488は、比較的小さい分子である。したがって、dTAT媒介型エンドソーム漏出が大きいタンパク質を細胞のサイトゾルに送達できるか否かについて対処した。このアッセイでは、EGFP(26kDa)をモデルとして選択したが、それはこのタンパク質が、適正に折り畳まれた場合にのみ蛍光を発するからである。EGFPおよびdTATを細胞と共に1時間インキュベートし、タンパク質分布を蛍光によって試験した。その他の細胞不浸透性分子で観察されたように、EGFPは、観察可能な毒性なしに細胞の90%超でサイトゾルおよび核内に分布された(HeLaまたはNIH 3T3細胞において;図16Aおよび図17参照)。タンパク質分解は送達中に生じ得るが、このアッセイは、折り畳まれたタンパク質の集団が送達されるということを確立する。さらに、Forster共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイは、dTATがEGFPに結合しないということを確立した(図18A〜18C)。これらの結果は、dTATとタンパク質との相互作用が送達に必要ではないことを示唆する。
機能性タンパク質がdTATとのインキュベーション後に細胞を透過できることをさらに確認するために、Creリコンビナーゼの送達を試験した。このアッセイでは、Creが、レポータープラスミドのegfp遺伝子の上流でloxP−STOP−loxP配列の組換えを誘導する。したがって、レポータープラスミドをトランスフェクトした細胞は、Creリコンビナーゼが細胞を透過しかつSTOPシグナル配列を切り取ったときに、EGFPを発現する(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wadia, J.S.ら、「Transducible TAT-HA fusogenic peptide enhances escape of TAT-fusion proteins after lipid raft macropinocytosis」、Nat Med 10巻:310〜315頁(2004年)参照)。図16Bで示されるように、TAT−Cre(1μM)およびdTAT(5μM)で処置した細胞は、EGFPを発現させた。さらに、EGFP+細胞のパーセンテージは、TATの存在下またはTAT−Creを単独でインキュベーションした場合(<5%)よりも、dTATの存在下で大きかった(47%)。次に、FITC−抗ATP5A、ミトコンドリアATPシンターゼのアルファサブユニットを認識する蛍光標識された抗体について、試験をした。図16Cに示されるように、FITC−抗ATP5A(20μg/mL)およびdTAT(5μM)で処置された生細胞は、緑色蛍光管状構造を含有していた。青色蛍光ミトコンドリアマーカーpTagCFP−mitoとの同時局在化は、これらの構造がミトコンドリアであることを確認した(図19A)。最後に、FITC−抗IgG、ミトコンドリアを標的としない抗体で処置した細胞は、同じ管状構造を提示しなかった(図19B)。併せると、これらの実験は、dTATが機能性抗体を生細胞に送達できることを確認する。
次に、治療上重要な転写因子HoxB4の送達について試験した。HoxB4は、それのみでまたはPDT TATに融合したときに細胞を透過することができ、転写を活性化することができる。したがって、dTATは、サイトゾル送達を促進させることによって、タンパク質の転写活性を高めることができるか否かが決定された。NIH 3T3細胞に、HoxB4誘導性プロモーターの下でルシフェラーゼ遺伝子を含有するベクターをトランスフェクトし、内部対照としてβ−ガラクトシダーゼレポーターをトランスフェクトした。細胞を、dTATが存在しない状態または存在下で、HoxB4またはTAT−HoxB4と共に1.5時間インキュベートした。次いで細胞を溶解し、ルシフェラーゼ発現を、β−ガラクトシダーゼ活性に正規化された細胞溶解産物のルミネッセンスを測定することによって評価した。図20Aは、HoxB4およびTAT−HoxB4(200nM)のみが、これらのタンパク質で処置しなかった細胞から得られた活性よりも、ルシフェラーゼ活性のそれぞれ2.2および5.0倍の増大を誘導したことを示す。これらの値は、先に公開された報告と一致する。対照的に、dTAT(3μM)の添加は、それぞれ53.1および307.4のルシフェラーゼ誘導をもたらした。したがってルシフェラーゼ誘導は、HoxB4の場合にdTATの存在下で24倍増大し、TAT−HoxB4の場合は61倍増大した。dTAT単独も、TAT−mCherryと共にインキュベートしたdTATも、ルシフェラーゼの誘導をもたらさなかったが、これはルシフェラーゼ発現がHoxB4の存在に依存することを示している。HoxB4の転写出力を増大させることには価値があるが、高レベルのHoxB4発現は、抗増殖および形質転換作用をもたらすことができる。したがって、細胞内のHoxB4のレベルおよび活性を精密に制御することは、所望の生物学的成果を実現するのに重要である。dTATは、本発明者らのアッセイにおいて、同時インキュベーションで使用される分子とは独立して働くようであるので、dTAT濃度を一定に維持しながら培地中のタンパク質濃度を変化させることによって、細胞を透過するタンパク質の量を滴定することが可能であり得ると仮定された。このシナリオの下、エンドソーム脱出の効率は影響を受けないままであるべきだが、エンドソームから放出された材料の量は変わるべきである。DEAC−K9による初期実験は、細胞内に送達された蛍光ペプチドの量を、このプロトコールを使用して滴定することができることを示した(図20B)。これらの結果と一致して、ルシフェラーゼ誘導は、培地中のHoxB4の濃度に対して直線的に応答した(図20C)。併せるとこれらの結果は、改善された送達が、細胞外に投与されたタンパク質の生物学的活性の増加をもたらし、かつ送達された分子の活性を精密に調節できることを示す。
dTATにおける各TATモノマー間の構造連結を、細胞透過活性に影響を及ぼすことなく変化させることができる
dTATをそのダイマー形態で保持するジスルフィド連結の関連性を決定するために、代替のダイマーTAT構築物を構築した。詳細には、ジスルフィド結合リンカーが非還元性リンカーで置換されたダイマーTAT構築物(nrdTAT)を構築した。この特定のnrdTAT構築物の構造および予測質量を、図21に示す。dTATにおける各TATモノマーの間の構造連結は、細胞透過活性に影響を及ぼすことなく変化させることができる。rdTAT構築物を、より詳細に上述したように、全体的な細胞透過活性に関して試験をした。HeLa細胞を、5μMおよび10μM nrdTATと共に1時間インキュベートした。図22Aおよび22Bは、それぞれの明視野画像(左パネル)、モノクロ蛍光画像(中心パネル;白=蛍光シグナル、黒=シグナルなし);および細胞死の指標として使用したSYTOX Blue(2μM)による細胞生存率(右パネル)を示す。これらのデータは、細胞生物学に悪影響を及ぼすことのない、両方の濃度での、HeLa細胞へのnrdTATの効率的なサイトゾル送達を示す。したがって、ダイマー構築物においてTATペプチドを連結するリンカーは、ジスルフィドリンカーである必要はなく、むしろ、上述の細胞透過活性を保持しながら種々の機能性を組み込むように変化させることができる。
考察
dTATは、生細胞のサイトゾルまたは核に、タンパク質、ペプチド、または小分子を送達するのに著しく効率的である。特に、dTATは、エンドソーム内に捕えられた分子の放出を媒介する。送達は、サイトゾルに到達する材料の量が十分であり、エンドソーム内に捕えられたままの材料の量が比較的少ないので、またサイトゾル送達が試料中に存在するほとんどの細胞で生ずるので、効率的である。エンドソーム脱出は、エンドソーム内でdTATが閾値濃度に到達すると、ほとんどの細胞で生ずるようである。重要なのは、内部移行したモノマーペプチドの量がこの閾値レベルよりも高い場合であっても、acTATが、エンドソーム脱出を実現しないことである(図23)。したがってこれらの結果は、dTATが、そのモノマー対応物よりも本質的にエンドソーム溶解性であることを示唆している。
dTAT媒介型送達の注目すべき態様は、観察された効率的なエンドソーム脱出に関連した驚くほど低い毒性である。対照的に、光誘導性エンドソーム溶解は、細胞のサイトゾル内へのカルシウムの高速放出を引き起こすことにより、極めて毒性が高いことが示された。したがって、dTATのエンドソーム溶解活性から同様の作用が予測できた。さらに、エンドソームおよびリソソームプロテアーゼの放出と同様にエンドソーム漏出を伴うことが予測される膜損傷は、毒性に寄与する可能性がある。さらに、5μM、細胞の95%超でサイトゾル送達が観察される濃度で、dTATは、細胞生存率に著しく影響を及ぼさない。さらに、dTAT媒介型送達は、増殖に悪影響を及ぼさず、これは細胞が生存可能なだけではなく比較的健康であることも示している。さらにこれらの作用は、標準的なトランスフェクション技法に対してよく知られるように耐性がある細胞も含め、様々な個別の細胞型に関して観察される。
dTATは、多様な構造および性質を示す細胞不浸透性分子を送達する。dTATのようなDEAC−K9は、高度に正に帯電し、Cre(9.4)およびHoxB4(9.8)のpIも、dTATとの好ましい静電気的相互作用を示唆しない。EGFP、より低いpI(6.2)を持つタンパク質は、in vitroでdTATとは著しく相互作用するものではない。したがってdTATは、細胞外またはエンドソームの管腔内で試験された分子と著しく相互作用しないようである。
本明細書で使用される同時インキュベーションフォーマットは、いくつかのカーゴをインキュベートしかつ一度に送達するのを可能にする。あるいは送達は、連続ステップで行うことができる。dTAT媒介型送達は、複雑な試料調製を必要とせず、SNAP−surface 488またはFITC−抗ATP5Aの送達により具体化されたように、イメージングの適用例に理想的に適している。さらに、同時インキュベーションは、dTATの濃度とは独立して標的分子の濃度を変える機会も提供する。これらのアッセイにおいて、dTATの濃度は、ほとんどの細胞におけるエンドソーム放出の高い効率を維持するために、例えば一定に保持された(即ち、5μM)。培地中のDEAC−K9またはHoxB4の濃度を変えることによって、サイトゾルに送達された材料の量と生物学的出力とのそれぞれを滴定することができた。この手法はおそらく、生物学的物質のin vivo送達には最適でないが、組織培養および細胞のex vivo操作の文脈においていくつかの利点をもたらす。レトロウイルス送達後のHoxB4の連続過発現は、造血幹細胞拡張の促進に加え、悪性形質転換をもたらし、増殖を低減させ、またはアポトーシスに対して細胞を感作させることもできる。これらの種々の成果は、HoxB4用量依存性である。dTAT媒介型送達は、HoxB4レベルおよび活性を精密に制御させることによって、この問題に対する解決策を提供することができた。これは、DNAベースの手法に関連した遺伝子操作の欠如と一緒になって、細胞療法の手法を患者に対してより安全にするのに寄与することができた。
材料および方法
ペプチド設計、合成、および精製
全てのペプチドを、標準的なFmocプロトコールを使用したSPPSによって、rink amide MBHA resin(Novabiochem、San Diego、CA)において、組織内で合成した。Fmoc−Lys(Mtt)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、およびFmoc−Cys(Trt)−OH(Novabiochem)を使用してペプチドを組み立てた。反応を、撹拌が得られるように乾燥N2の流れを使用して、室温でSPPS容器内で実施した。Fmoc脱保護は、ピペリジンをジメチルホルムアミド(DMF)(Fisher、Waltham、MA)(20%、10mL)に加えたものを、Fmoc−ペプチド樹脂(0.30mmol)に添加することによって行った。脱保護反応は、1×5分および1×15分にわたり実施し、これらの反応の間には洗浄ステップを設けた。アミノ酸結合反応は、Fmoc−アミノ酸(1.2mmol)、HBTU(Novabiochem)(0.44g、1.1mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(Sigma、St.Louis、MO)(0.51mL、3.0mmol)をDMFに加えた混合物と共に4時間実施した。反応の終了後、樹脂をDMFおよびジクロロメタン(DCM)(Fisher、Waltham、MA)で洗浄した。DEAC−K9の場合、DEAC、HBTU、およびDIEA(ペプチドに対して4、3.9、および10当量)をDMFに加えた混合物を使用して、9番目のFmoc−Lys(Boc)−OHを結合させた後に、DEACフルオロフォア(AnaSpec、Fremont、CA)をペプチドのN末端に結合させた。反応は、撹拌が得られるように乾燥N2の流れを使用して一晩実施した。CK(ε−NH−TMR)TAT(TAT)の場合、CK(ε−NH−Mtt)TAT上のLysのε−アミノ基にあるMtt保護基を、2%トリフルオロ酢酸(TFA)(Fisher)および2%トリイソプロピルシラン(TIS)(Sigma)をDCMに加えたもので切断し、樹脂をDCMおよびDMFで洗浄した。TMR、HBTU、およびDIEA(ペプチドに対して4、3.9、および10当量)をDMFに加えた混合物を樹脂に添加し、反応を、撹拌が得られるように乾燥N2を使用して一晩実施した。Fmoc脱保護およびペプチド組立ての後、樹脂をDCMで洗浄し、真空乾燥した。次いで樹脂を、2.5%H2O、2.5%TIS、および2.5%エタンジチオール(EDT)(Sigma)を含有するTFAで、室温で3時間処置して、全体的な脱保護と樹脂からの切断とを実現した。粗製ペプチド生成物を沈殿させ、冷無水Et2O(Fisher)で洗浄した。沈殿物を水中に再懸濁し、凍結乾燥した。次いで得られた生成物を、0.1%水性TFA/アセトニトリルに再懸濁した。ペプチドを、逆相HPLCにより分析し精製した。HPLC分析は、Hewlett−Packard 1200シリーズ機器および分析Vydac C18カラム(5μm、4×150mm)で行った。流量は1mL/分であり、検出は214nmおよび550nmで行った。半分取HPLCを、Vydac C18 10×250mmカラムで行った。流量は4mL/分であり、検出は214nmおよび550nmで行った。全ての実験操作は、0.1%水性TFA(溶媒A)、および90%アセトニトリル、9.9%の水、および0.1%TFA(溶媒B)の線形勾配を使用した。ペプチドの正しい同一性を、Shimadzu/Kratos機器(AXIMA−CFR、島津製作所、京都)で行ったMALDI−TOFにより確認した。TAT、予測質量:2039.16、観察された質量:2040.66。DEAC−K9、予測質量:1412.97、観察された質量:1415.59。
アセトアミド化C(S−CH2CONH2)K(ε−NH−TMR)TATの合成
C(S−CH2CONH2)K(ε−NH−TMR)TATは、CK(ε−NH−TMR)TAT(148μg、0.074μmol)を25mM HEPES pH7.5に加えたものに、ヨードアセトアミド(Sigma)(0.275mg、1.49μmol)を添加した後に形成された。反応を、N2の雰囲気下で行い、分析逆相HPLCおよびMALDI−TOFによってモニターした。生成物を、分析逆相HPLCを使用して精製した。予測質量:2096.18、観察された質量:2096.31。
CK(TMR)TAT(TAT)のダイマー化によるdTATの発生
dTATは、(0.3mg、1.5×10−4mmol)TATを、通気したリン酸緩衝生理食塩液(PBS)pH7.4(5mL)に溶解することによって形成した。緩衝液に溶解した酸素は、ペプチド上のチオール基を酸化するように働き、ジスルフィド結合を形成する。反応は、一晩反応させ、分析逆相HPLCおよびMALDI−TOFによってモニターした。生成物を、分析逆相HPLCを使用して精製した。予測質量:4076.30、観察された質量:4084.21。
TAT−Cre、TAT−mCherry、HoxB4、およびTAT−HoxB4のクローニング、過発現、および精製
HisタグTAT−NLS−Cre(TAT−Cre)タンパク質をコードするpTriEx−HTNCプラスミドを、Addgene(Cambridge、MA)から購入した。次いでTAT−Cre遺伝子をpTXB1ベクターにクローニングし、E.coli BL21(DE3)細胞(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)に導入して形質転換した。タンパク質は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Peitz, M.ら、「Ability of the hydrophobic FGF and basic TAT peptides to promote cellular uptake of recombinant Cre recombinase: A tool for efficient genetic engineering of mammalian genomes」、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 99巻:4489〜4494頁(2002年)に記述されるように、発現し精製した。簡単に述べると、TAT−Creを、37℃で3時間、1mM IPTGにより発現させた。次いでTAT−Creを、Ni−NTA樹脂(Qiagen、Valencia、CA)およびカチオン交換クロマトグラフィー(HiTrap SP HP、GE Healthcare、Pittsburgh、PA)を使用して、均質化するように精製した。pTXB1−TAT−mCherryは、TAT DNA配列をpTXB1−mCherryプラスミドに挿入することによって得た。NdeI部位を含有する、TAT配列をコードする配列5’−TAT GGG TCG TAA AAA ACG TCG TCA GCG TCG TCG TGG TCA−3’(配列番号2)および3’−ACC CAG CAT TTT TTG CAG CAG TCG CAG CAG CAC CAG TAT−5’(配列番号3)(IDT、Coralville、IA)を持つオリゴヌクレオチドをアニールして、dsDNAを発生させた。pTXB1−mCherryプラスミドを、NdeI(New England BioLabs、Ipswich、MA)で切断し、TAT dsDNAにライゲーションした。pTXB1−TAT−mCherryプラスミドをBL21(DE3)細胞に導入して形質転換し、タンパク質発現を、1mM IPTGにより、16℃で24時間誘導した。細胞を収集し、20mM Tris−Cl(pH7.5)および200mM NaClを含有する溶解緩衝液に再懸濁した。超音波処理および15K RPMで1時間の高速遠心分離による細胞溶解の後、可溶性画分を、キチン樹脂(New England BioLabs、Ipswich、MA)にアプライし、溶解緩衝液で予備平衡させ、4℃で一晩インキュベートした(タンパク質は、C末端インテイン−キチン結合ドメイン精製タグを含有する)。樹脂を、10カラム体積の溶解緩衝液で洗浄した。タンパク質は、100mM 2−メルカプトエタンスルホン酸が補われた1カラム体積の切断緩衝液と共に、ビーズを4℃で24時間インキュベートすることによって、樹脂から切断された。タンパク質を、カチオン交換クロマトグラフィーを使用してさらに精製した。pTAT−HA−HoxB4ベクターは、G.Sauvageau、Montreal University、Montreal、Quebec、Canadaから豊富に提供された。His(6)−HoxB4は、HoxB4遺伝子をpET−28aにクローニングすることによって生成された。簡単に述べると、HoxB4 cDNAは、5’および3’末端にそれぞれNdeI & XhoI部位を導入するように設計されたプライマーを使用することによって、最初にpTAT−HA−HOXB4から増幅させた(5’−GGC ATT CAT ATG GCT ATG AGT TCT TTT TTG ATC AAC TCA−3’(配列番号4);5’−GGT CAG TCT CGA GCT AGA GCG CGC GGG G−3’)(配列番号5)(IDT)。次いでPCR断片を、6xHisタグベクターpET−28aの対応するNdeIおよびXhoI部位に挿入した。読み枠の忠実度を、配列決定によって確認した。TAT−HoxB4およびHoxB4の両方の精製に関する手順は類似しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれるKrosl, Jら、「In vitro expansion of hematopoietic stem cells by recombinant TAT-HOXB4 protein」、Nat Med 9巻:1428〜1432頁(2003年)に既に記述されている。簡単に述べると、BL21(DE3)細胞をpTAT−HAHoxB4またはpET28a−HoxB4のいずれかで形質転換し、37℃で5時間、1mM IPTGにより誘導した。ペレット化細胞を、緩衝液A(8M尿素、20mM HEPES、200mM NaCl、pH8.0)中での超音波処理によって溶解させた。次いで高速遠心分離(14K RPM、22℃で30分)を介して得られた溶解産物を、10mMイミダゾールに調整し、Ni−NTAアガロースビーズと共に室温で60分間インキュベートした。次いでニッケルビーズを、20mMおよび40mMのイミダゾールを含有する緩衝液Aで洗浄して、非特異的生成物の存在を全て排除し、結合されたタンパク質を引き続き、緩衝液A中、100mMおよび250mMのイミダゾールで溶離した。目的のタンパク質(即ち、TAT−HoxB4またはHoxB4)を含有するイミダゾールの両方の濃縮物からの溶離物を、HiTrap SP HPカラムに、4℃で、緩衝液B(4M尿素、20mM HEPES、50mM NaCl、pH6.5)中に投入し、単一ステップによりFPLC上、4℃で、緩衝液C(20mM HEPES、1M NaCl、pH8.0)を用いて溶離した。両方のタンパク質を、20mM HEPES(pH8.0)で希釈することにより即座に脱塩し、10K MWCOを持つ遠心分離フィルターユニット(EMD Millipore、Billerica、MA)を使用して濃縮し、一定分量を採取し、−80℃でフラッシュ凍結した。タンパク質濃度は、Bradfordタンパク質アッセイ(Bio−Rad、Hercules、CA)を使用して決定した。
生細胞内のペプチドの送達
種々の細胞系(HeLa、HaCat、NIH 3T3)からの生細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Fisher)が補われたDulbecco最小必須培地(DMEM)(Fisher)で成長させ、5%CO2を含有する加湿雰囲気中、37℃で保持した。次いで細胞を、8ウェルディッシュに播き、細胞が48時間後に80%〜90%密集するようにした。各ウェルを、PBSと、アミノ酸システインを含有しないLeibovitzのL−15培地(還元しないL−15、nrL−15)とで3回洗浄した。インキュベーションに使用される培地(nrL−15)は、dTATのジスルフィド結合の還元を回避するために、システインを欠いている。次いで細胞を、異なる濃度のacTAT、TAT、またはdTATと共に、37℃で1時間インキュベートした。細胞を、PBSおよびnrL−15で3回洗浄し、37℃で維持される加熱ステージを供えた倒立型落射蛍光顕微鏡(Model IX81、Olympus、Center Valley、PA)に配置した。画像を、Rolera−MGI Plus背面照射EMCCDカメラ(Qimaging、Surrey、BC、カナダ)を使用して収集した。画像は、明視野イメージングおよび3つの標準蛍光フィルターセット:CFP(Ex=436±10nm/Em=480±20nm)、RFP(Ex=560±20nm/Em=630±35nm)、およびFITC(Ex=488±10nm/Em=520±20nm)を使用して、獲得した。種々の細胞の蛍光強度を、SlideBook 4.2ソフトウェア(Olympus、Center Valley、PA)で測定し、平均蛍光強度を各条件ごとに決定した。TMRなどのフルオロフォアで標識されたCPPが、膜を感光性にしかつ光照射によってエンドソーム漏出を引き起こすことができることは、既に報告されている。参照によりその全体がそれぞれ本明細書組み込まれるSrinivasan, D.ら、「Conjugation to the cell-penetrating peptide TAT potentiates the photodynamic effect of carboxytetramethylrhodamine」、PloS one 6:e17732(2011年)、およびMuthukrishnan, N.ら、「Synergy Between Cell-Penetrating Peptides and Singlet Oxygen Generators Leads to Efficient Photolysis of Membranes」、Photochemistry and Photobiology 89巻:625〜630頁(2012年)を参照されたい。エンドソーム内に捕えられたdTATの露光(例えば、2μMでのインキュベーション後)も、エンドソーム漏出を引き起こすことができる(図示せず)。しかし、いくつかの証拠は、光が、本明細書で報告されたdTATの活性において著しい役割を演じないことを示す。まず、全ての送達実験は、最小限の光照射の条件下で行った(ぼんやりとした赤色光の暗室)。蛍光イメージングが必要とされる場合、プローブ(例えば、SNAP surface 488、EGFP)を、dTATの前にイメージングし、それによって、エンドソーム放出に対する光の可能性ある作用を最小限に抑える。CreおよびHoxb4を用いて行われた実験では、細胞をイメージングせず、光に曝さない(Hoxb4では全く行わず、Creの場合はインキュベーションの12時間後)。さらに、光誘導性エンドソーム漏出を観察するのに必要とされる光の線量は、典型的にはイメージングに使用される場合の10から20倍多い。
dTATとの同時インキュベーションによる、生細胞内での小分子、ペプチド、およびタンパク質の送達
先のセクションで記述したように、HeLa細胞を8ウェルディッシュに播き、成長させ洗浄した。次いで細胞を、5μM送達ペプチドと共にかつカーゴと共に、対応する濃度で1時間、37℃で同時インキュベートした。細胞を、PBSおよびnrL−15で3回洗浄し、顕微鏡に配置した。画像を、先に記述したように獲得した。SNAP−H2BおよびTagCFP−mitoのトランスフェクションおよび発現では、プラスミドをLipofectamine(商標)2000試薬とopti−MEM培地中で混合し、室温で30分間インキュベートした。DNA複合体を、8ウェルディッシュ上に予め播かれたHeLa細胞(80%集密)に添加し、細胞を37℃で24時間保持した。24時間後、ウェルをPBSおよびnrL−15で3回洗浄し、その後、SNAP−Surface(登録商標)488またはFITC−抗ATP5Aを使用して送達実験を行った。
細胞内でのペプチド取込みの定量的決定
上述のように、HeLa細胞を48ウェルディッシュに播き、成長させ洗浄した。ペプチド取込み実験では、各ウェルを様々な濃度のacTAT、TAT、またはdTAT(範囲:5〜25μMペプチド濃度)と共に1時間インキュベートした。滴定実験では、細胞をdTAT(5μM)および様々な濃度のDEAC−K9(範囲:1〜20μM)と共にインキュベートした。次いで細胞をPBSおよびnrL−15で洗浄し、イメージングした。各条件ごとに多数の画像を得、加工した。細胞を溶解するために、nrL−15をウェルから除去し、合計で100μLのHeLa細胞溶解緩衝液(50mM Tris pH7.5、2mM EDTA、2mM DTT、0.1%Triton X−100)を、細胞と共に5分間インキュベートした。細胞を溶解し、ディッシュから擦り取り、1.5mLの微小遠心管にピペット分取した。細胞溶解産物を、13.2K RPMで25分間遠心分離した。取込み実験では、各条件から上澄み70μlを収集し、96ウェルプレートに置いた。細胞溶解産物からの蛍光は、蛍光モジュールを備えたプレートリーダーを使用して測定した(Ex=525、Em=580〜640nm)(GloMax(登録商標)−Multi+Detection System、Promega、Fitchburg、WI)。滴定実験では、上澄み80μLを希釈して合計体積100μLにし、バルク蛍光を、SLM−8000C蛍光光度計(Ex=435nm、Em=465〜475nm)(SLM Instruments、Bath、UK)を使用して測定した。蛍光放出を平均し、記録した。データは、Bradfordタンパク質アッセイを使用して、各ウェルでの総タンパク質濃度に対して正規化した。96ウェルプレートを使用して、各細胞溶解産物10μLを、1×タンパク質アッセイ試薬200μLに添加し、室温で30分間インキュベートした。600nmでの吸光度を、プレートリーダーを使用して測定した。測定を3回繰り返した。
ルシフェラーゼレポーターを使用した、TATおよびdTATによるTAT−HoxB4 & HoxB4送達の定量分析
以下の研究で使用されるネズミ線維芽細胞系(NIH−3T3、E2A−PBXベクターを安定にトランスフェクトした)、ルシフェラーゼレポーターベクター、pML(5xHOX/PBX;HOXB4およびPBXに対する結合部位を持つプロモーターを含有する)、およびβ−gal内部対照ベクターは、P.Zandstra(University of Toronto、Ontario、カナダ)により善意で提供された。細胞を、最初に、10%FBSが補われたDMEM中、5%CO2と共に37℃で、100mmディッシュで培養した。しかし実験の目的で、細胞を、24時間にわたり、5〜6×104細胞/ウェルの密度で24ウェルプレートに播いた。その後、細胞に、Lipofectamine 2000を使用して、0.8μg/mLのpML(5xHOX/PBX)およびβ−gal内部対照ベクターを同時トランスフェクトした。トランスフェクション後12時間で、細胞を洗浄し、TAT−HoxB4またはHoxB4(共に、他に注記しない限り200nM;以下参照)と共に、nrL−15中TATまたはdTATを用いてまたは用いずに、90分間インキュベートした。また一部の細胞は、TAT−mCherry(200nM)と共に、ペプチドを用いてまたは用いずにインキュベートした。インキュベーション後、レポーター溶解緩衝液(RLB)(Promega)に関する製造業者のプロトコールに従って、全ての細胞をPBSで洗浄し溶解させた。滴定実験では、HoxB4濃度を変えたこと以外(25、50、100、150、および200nM)、同じプロトコールに従った。ルシフェラーゼレポーター活性を定量するために、ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)100μLを細胞溶解産物20μLに添加し、生物発光を、SpectraMaxL照度計(Sunnyvale、CA)を使用して直ぐに測定した。トランスフェクション効率を測定する目的で、β−galアッセイ緩衝液180μLを、96ウェルプレートで細胞溶解産物20μLと混合し、37℃で30分間インキュベートした。β−galアッセイ緩衝液は、75%の0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.5、24%のo−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド(0.1Mリン酸ナトリウム中4mg/mLの濃度で作製されたONPG)(Sigma)、および1%の100倍溶液(10%の1M塩化マグネシウム溶液、32%のβ−メルカプトエタノール、および58%の蒸留水)から構成される。次いで吸光度を、プレートリーダーを使用して450nmで測定した。この研究で使用するペプチドにコンジュゲートされた発色団(TMR)の吸収スペクトルは、β−galの場合と重なるので、ペプチドを含有する細胞溶解産物20μLも溶解緩衝液180μLで希釈し、450nmで得られた吸光度値を、β−gal吸光度値の場合から差し引いた。全ての試料のルシフェラーゼ活性は、ルシフェラーゼ活性とβ−gal活性との比として決定し、ルシフェラーゼ活性の倍数増加は、各試料のルシフェラーゼ活性を、トランスフェクトされたがタンパク質は送達されていない細胞の場合に対して正規化することによって確立した。
細胞生存率アッセイ
損なわれた原形質膜を有する細胞を決定するために、細胞をSYTOX(登録商標)Green(場合によっては、SYTOX(登録商標)Blue)およびHoechst(Invitrogen、Carlsbad、CA)で処置した。SYTOX(登録商標)色素は細胞不浸透性であり、損なわれた原形質膜を持つ細胞のDNAを染色する。Hoechst色素は細胞浸透性であり、全ての細胞のDNAを染色する。画像を、緑色および青色フィルターを使用して獲得した。緑色および青色画像を使用して、青色または緑色に染色された核を持つ細胞をカウントした。画像Jを使用して、死(緑色)および合計の細胞(青色)をカウントした。細胞毒性を、SYTOX(登録商標)Green陽性細胞/細胞の合計数の比から決定した。MTT−アッセイを行って、細胞増殖に対するペプチドの影響を決定した。上述のように、細胞を6ウェルディッシュに播き、成長させ洗浄した。ディッシュからの1つのウェルを、5μM dTATと共に37℃で1時間インキュベートした。第2のウェルは未処置のままにし、対照として働かせた。細胞を、PBSおよびnrL−15で3回洗浄した。細胞をトリプシン処理し、DMEM 200μLを含有する96ウェル皿に播いた。次いで細胞を、12時間にわたりディッシュの底部に接着させた。次いでMTTアッセイを、特定の時点で行って、細胞増殖を測定した。DMEMを除去し、nrL−15 100μLで置き換え、12mM MTT原液10μLをウェルに添加した。96ウェルディッシュを37℃で4時間インキュベートした。インキュベーション後、10mM SDS−HCl溶液100μLを、各ウェルに添加した。溶液を、ピペットを上下動させることによって完全に混合し、13時間インキュベートした。インキュベーション後、各試料を混合し、600nmでの吸光度を測定した。対照は、10μL MTTが、nrL−15のみ100μL(細胞なし)に添加されている、陰性対照を含んでいた。送達ペプチドで処置されたがMTTが添加されていない細胞からなる第2の対照を添加して、測定された吸光度からTMRの寄与率を差し引いた。陰性対照の吸光度を、全ての試料から差し引いた。
dTATおよびカーゴの相互作用の決定
蛍光放出スペクトルを、フェニックスパッケージ(ISS、Champaign、IL)およびVinci v.1.6 PCソフトウェア(ISS)でアップグレードされたSLM−8000C蛍光光度計を使用して得た。実験は、石英キュベットを使用して室温で実施した。試料を488nm(スリット幅=1mm)で励起し、蛍光放出を500から650nmまで走査した(スリット幅=1mm)。全ての試料(EGFP(1μM)およびdTAT(5μM))を、nrL−15を使用して調製した。
例示的実施形態について図示し記述してきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることが理解されよう。
排他的性質または特権が主張されている本発明の実施形態は、下記の通り定義される。