JP2016528944A - 錯化又は封入された反応性化合物を含む吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

20を超えるチオール蒸気圧抑制指数(TVPS)を有する1つ以上の錯化又は封入された化合物を含む吸収性物品は、食品、経血又は糞便のようなタンパク質性材料の分解から生じる悪臭の低減に特に有効である。

Description

本発明は、悪臭の中和に特に有効な1つ以上の錯化又は封入された化合物を含む吸収性物品に関する。
本発明による吸収性物品は、任意の種類の流体を吸収するために使用できる物品である。こうした物品としては、個人衛生用吸収性物品(例えば、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間物品、成人用失禁パッド及びおむつのような成人用失禁物品、乳児用おむつ、母乳パッド、痔パッドなど)が挙げられる。本発明によるその他の吸収性物品は、例えば、吸収性紙タオル、拭き取り用品、トイレットペーパー、又はティッシュペーパーであってよい。そのような物品は、通常、尿、経血、糞便物質又は粘液などの、人体から排出される体液及びその他の滲出物を吸収し、場合によっては保持するために使用される。紙タオル、拭き取り用品、ティッシュペーパー及びトイレットペーパーは、台所及び食品残渣及び/又は任意の種類の汚れ又は廃棄物を吸収するためにも使用できる。多くの場合、吸収された材料は、物品がまだ使用されている間又はごみ箱に捨てられた後、悪臭を有するか又は時間と共に悪臭を発生する場合がある。したがって、吸収性物品における悪臭を制御及び低減させるための方法及び材料が開発されてきた。芳香剤物質は、悪臭発生分子の一部を捕捉できるシリカ又はゼオライトなどの成分と並んで、この目的のために広く使用されてきた。しかしながら、芳香剤物質の使用は、使用前の製品に圧倒されるほどの香料の匂いをもたらす傾向があり、これは特定の場合に望ましくない可能性がある。悪臭性分子と化学的に反応すること及び/又は鼻受容体と相互作用することができる化合物の使用も記載されてきた。ただし、これらの化合物の多くは非常に揮発性であるか又は非常に反応性であるため、化合物の使用が必要になるまで物品内に保存することが難しく、更に、これらの化合物の反応性及び効力は、化合物ごとに大きく変動し、悪臭の発生源が異なると異なる。
これらの化合物の一部は、封入された材料(例えば、デンプン封入)として、又は錯化によってその揮発性を低減しその反応部位を保護する他の分子との錯体として、吸収性物品に組み込まれているとも記載されてきた。代表例の1つは、シクロデキストリン錯体の使用である。
一般的に、錯化又は封入された化合物は、物品の湿潤又は使用時に放出され、カプセルは一般的に湿潤によって溶解されるか又は機械的作用によって破壊され、その結果化合物を放出することが望ましい。湿潤により、一般的に、錯化された化合物は、シクロデキストリンのような錯化分子によって放出されるようになる。ただし、同時に安定な封入体又は錯体を有効な方法で形成でき、望ましい時点で完全に放出することもできるような、必要な特性全てを有する化合物は、ごく少数しか記載されていない。
更に、既知の反応性化合物は、多くの場合、窒素原子を含有する悪臭分子(アミン型の臭いで、典型的には尿の分解から派生する)との反応に有効であるが、硫黄原子を含有する悪臭分子(チオール型の悪臭で、典型的には月経液及びタンパク質分解に伴う)との反応にはそれほど有効でない。
それゆえ、吸収性物品に組み込むための、新たな改善された悪臭制御組成物の提供が今もなお切望されている。本発明の組成物の改善された悪臭制御組成物は、新規反応性化合物を含有する。これらの新規反応性化合物は、カプセル/錯体を、吸収性物品に導入されたときに貯蔵時に十分に安定である完全な形で形成し、反応性化合物は、所望のトリガ作用(例えば、湿潤又は機械的摩擦)が発生するとカプセル/錯体から効果的に放出されて、より多くの数の悪臭物質を中和するなど、既知の化合物と比較してより効果的に悪臭を中和することができる。
更に、封入/錯化は、本発明による疎水性反応性化合物が吸収力に悪影響を及ぼすこと又は吸収性物品内に存在し得る接着剤又は糊(例えば、物品の数層を合わせて保持する糊、又は生理用ナプキン及びパンティライナーの場合にはパンティ固定用接着剤)の特性に影響することを有益に防止する。
上記の利点に加えて、使用する新規反応性化合物を吸収性物品に封入又は錯化される材料として識別することにより、配合者が材料を選択する範囲が広がると考えられる。本明細書で有用な既知及び新規反応性化合物のほとんどは、錯体からいったん放出されると個別の臭気特性を有することから、配合者が選択できる範囲に新規成分を追加することで、配合者はより多くの異なる香料ノート及びアコードを開発できるようになる。
本発明は、本明細書に記載の試験方法論に従って測定したときに20を超えるチオール蒸気圧抑制指数(TVPS)を有する1つ以上の錯化又は封入された化合物を含む吸収性物品に関する。
本発明への使用に適した化合物の例は、メロナール、アドキサル、トランス−2−ヘキセナール、リグストラール、フローラルスーパー、フロルヒドラル、5−メチル−2−チオフェン−カルボキシアルデヒド、ハイドラトロピックアルデヒド、ウンデセナール、9−ウンデセナール、10−ウンデセナール、トランス−4−デセナール、シス−6−ノネナール、イソシクロシトラール、プレシクレモンB、(E)−2−(z)−6−ノナジエナール、ウンデシルアルデヒド、メチル−オクチル−アセトアルデヒド、ラウリンアルデヒド、シルビアル、バニリン、フロラロゾンである。
本発明の吸収性物品は、他の遊離香料が存在しない場合に、使用前に芳香を全く又はほとんど呈さず、なお悪臭を打ち消すのに非常に有効であることが可能である。本物品の使用中に、流体はカプセル又は錯体と接触し、及び/又は機械的作用がカプセルの膜を破裂し、錯化又は封入された構成成分の有効な放出をもたらす。本発明の吸収性物品は、食品及び体液の分解に由来する悪臭の低減に有効であり、特に、月経液、糞便、食品残渣、粘液、体液などのタンパク性物質の分解から生じる悪臭の低減に有効である。
本発明は、吸収性物品が消費者によって一般的に使用されている期間中、臭気を持続的に制御することができ、これは、日中は通常約4時間、夜間は通常約8時間着用され得る吸収性衛生物品に特に適切である。
本発明は更に、悪臭物質を本発明の吸収性物品に接触させる工程を含む、食品並びに尿、経血、及び/又は糞便などの体液の分解に伴う悪臭を低減させる方法に関する。本発明は、本発明による吸収性物品の製造方法にも関する。
「吸収性物品」は、任意の種類の流体を吸収する物品を指す。これらの物品は、典型的には使い捨てであり、紙タオル、拭き取り用品、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、及び吸収性衛生物品を包含する。「吸収性衛生物品」は、尿、経血、血液及び糞便などの身体滲出物を吸収し、封じ込める用具を指す。用語「使い捨て」は、本明細書において、1回の使用後、洗濯する、ないしは別の方法で吸収性物品として修復する又は再利用することを意図しない吸収性物品を記述するために使用される。吸収性衛生物品の例としては、おむつ、幼児トレーニングパンツ、成人用失禁パッド又はおむつ、及び生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間用具、母乳パッド、痔パッドなどの女性用衛生衣類が挙げられる。
吸収性衛生物品、並びにトップシート、バックシート、吸収性コアなどの構成要素及びそれらの構成要素の任意の個々の層は、身体に面する表面と衣類に面する表面とを有することができる。本明細書で使用するとき、「身体に面する表面」とは、着用者の身体に向けて又は身体に隣接して着用されることが意図される物品又は構成要素の表面を意味し、一方「衣類に面する表面」はその反対側であり、使い捨て吸収性物品が着用されたときに、着用者の下着に向けて着用される又は下着に隣接して配置されることが意図される。
本発明のほとんどの吸収性衛生物品(タンポンなど体内で使用するものは除く)は、通常、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に配置される吸収性コアと、を含む。
吸収性衛生物品のトップシートは、好ましくは、着用者の皮膚及び毛に適合し、柔らかい感触であり、かつ非刺激性である。更に、トップシートは液体透過性であり、液体(例えば、経血及び/又は尿)がその厚みを通して容易に浸透可能なものである。好適なトップシートは、織布及び不織布材料(例えば、繊維の不織布ウェブ)、孔あき成形熱可塑性フィルム、孔あきプラスチックフィルム、及びハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルムなどの高分子材料、多孔質発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性フィルム、並びに熱可塑性スクリムなどの様々な材料から製造されてもよい。好適な織布及び不織布材料は、天然繊維(例えば、木質繊維若しくは綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維)、又は天然繊維と合成繊維との組み合わせから構成されてもよい。トップシートが不織布ウェブを含む場合、ウェブは、多くの既知の手法により製造されてもよい。例えば、ウェブは、スパンボンド、カード、湿式堆積、メルトブロー、水流交絡、上記の組み合わせなどの処理を施されてもよい。
バックシートは、液体(例えば、経血及び/又は尿)に対して不透過性であることができ、好ましくは薄いプラスチックフィルムから製造できるが、不織布のような他の可撓性材料も使用してよい。本明細書で使用するとき、用語「可撓性」は、順応性があり、人間の体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を意味する。バックシートは、吸収性コアに吸収及び保持された排泄物がベッドシーツ、パンツ、パジャマ及び下着といった吸収性用品に接触する用品を濡らすことを防止することができる。バックシートは、液体不浸透性でありながら蒸気浸透性(「通気性」)でもあってもよい。バックシートは、織布若しくは不織布材料、ポリエチレン若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルム、又はフィルムコーティングされた不織布材料などの複合材料を含んでもよい。
バックシートは、着用したときにその物品がユーザの股部とパンティとの間の適所に留まるように、その表面、特に吸収性物品の外側に面する表面に適用されたパンティ固定手段を含んでいてよい。そのようなパンティ固定手段は、例えば、Velcro(登録商標)などの1層の接着剤又は機械的手段あるいはその組み合わせであってよい。接着剤が存在する場合、通常は、使用前の接着剤を保護するために剥離紙も存在する。
バックシート及びトップシートはそれぞれ、吸収性コアの衣類面及び身体面に隣接して配置してもよい。吸収性コアは、当該技術分野において周知の取り付け手段などの任意の方法によってトップシート、バックシート、又は双方に接合することが可能である。吸収性コア全体の一部が、トップシート、バックシート、又は双方に取り付けられていない、本発明の実施形態が想像される。
吸収性コアは、当業者に周知の任意の材料から形成されてよい。こうした材料の例としては、多層の捲縮セルロース塊、毛羽立てられたセルロース繊維、エアフェルトとしても既知である木材パルプ繊維、織物繊維、繊維のブレンド、繊維の塊又は芯、繊維のエアレイドウェブ、ポリマー繊維のウェブ、及びポリマー繊維のブレンドが挙げられる。その他の好適な吸収性コア材料には、ポリウレタンフォーム又は高内相エマルション(「HIPE」)フォームなどの吸収性フォームが挙げられる。好適なHIPEフォームは、米国特許第5,550,167号、米国特許第5,387,207号、米国特許第5,352,711号、及び米国特許第5,331,015号に開示されている。
いくつかの吸収性物品では吸収性コアは比較的薄く、厚さが約5mm未満、約3mm未満、又は厚さが約1mm未満であってよい。厚さは、当該技術分野において既知のいずれかの手段によって、1.72kPaの均一な圧力下にある間に、パッドの長手方向中心線沿いの中間点の厚さを測定することによって決定することができる。
吸収性コアは、当該技術分野で知られる通り、AGM繊維を含む吸収性ゲル材料(AGM)などの超吸収性材料を含むことができる。したがって、吸収性コアは、超吸収性材料を含む層を構成する。
吸収性物品は、例えば、トップシートと吸収性コアとの間に、第2のトップシート又は捕集層などの、他の追加の構成要素を含むことができる。第2のトップシート又は捕集層は、カード法レジンボンド不織布、エンボスされたカード法レジンボンド不織布、嵩高カード法レジンボンド不織布、カード法エアスルーボンド不織布、カード法サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布などの、薄層又不織布を含むことができる。第2のトップシート又は捕集層には、例えば、木材パルプ、木綿、羊毛などの天然繊維の他に、ポリ乳酸繊維などの生分解性繊維、及びポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリエステル、ポリアミド、合成セルロース(例えば、RAYON(登録商標)、Lyocell)、酢酸セルロース、バイコンポーネント繊維などの合成繊維、並びにそれらの混合物を含む、様々な繊維が使用できる。第2のトップシート又は捕集層の坪量は、所望の用途に応じて変えることができる。
吸収性物品は、典型的におむつに見られるサイドカフ、又は典型的に生理用ナプキンに見られるサイドウイング若しくはサイドフラップなどの構成要素を更に含んでいてよい。
吸収性生理用タンポンは、通常は円筒形に圧縮された吸収性繊維を含むプレジットにより作られる、膣内で使用するための吸収性物品である。タンポンは、自立形状を有し指で入れることができる「デジタルタンポン」であっても「アプリケータタンポン」即ちアプリケーターを使用して入れるタンポンであってもよい。タンポンはまた、膣からの抜き取りを容易にするための抜取紐を備えてもよい。
本明細書における吸収性衛生物品は、好ましくは1回使用の使い捨てである。
本明細書の吸収性衛生物品は多くの場合、複数のユニットが入ったパッケージで商品化されており、パッケージは、プラスチックフィルム又はボール紙の箱であることが多い。商用パッケージ内に入った単一のユニットは、個々に包装されていてもされていなくてもよい。
本発明の錯化又は封入された化合物は、吸収性物品の様々な場所に配置してよい。紙タオル、拭き取り用品、トイレットペーパー及びティッシュペーパーの場合、製造プロセスの間に、化合物を、物品を構成する任意の層の任意の表面上に塗布してもよいし、又はセルロース繊維と混合してもよい。
吸収性衛生物品の場合、錯化又は封入された化合物は、トップシート若しくは吸収性コアの衣類に面する側若しくは身体に面する側、又はバックシートの身体に面する側に配置することができる。好ましくは、錯化又は封入された化合物は、吸収性コアの上で、好ましくは吸収性コアの身体に面する側に配置される。錯化又は封入された化合物は、存在する場合には、第2トップシート若しくは捕集層の衣類に面する側又は身体に面する側などの吸収性物品の他の構成要素の上に配置することもできる。
特定の実施形態では、本発明の錯化又は封入された化合物は、吸収性物品の吸収性コア、又は超吸収性材料(例えば、吸収性ゲル化材料(「AGM」))を含む層よりも身体に面する表面に近い吸収性物品の1つの層に配置される。場合によっては、錯化又は封入された化合物がその化合物を有効に放出するために、化合物を水分と接触させる必要がある。錯化又は封入された化合物を吸収性衛生物品に組み込んだ場合、吸収性コア及び/又は超吸収性材料などの、吸収性物品のその他の構成要素が、そこに含有される水分を含む体液に対して強い親和性を有することから、問題がある。吸収性物品が経血又は尿などの体液に攻撃されると、上述のように錯化又は封入された化合物は、体液に含有される水分に関して吸収性コア及び/又は超吸収性材料と競争する。吸収性コア及び/又は超吸収性材料は、水分に対して強い親和性を有し、吸収性コア及び/又は超吸収性材料が体液と接触すると、吸収性コア及び/又は超吸収性材料は、体液の水分を効果的に「閉じ込める」ことによって、錯化又は封入された化合物との接触及び臭気制御効果をもたらす化合物の放出に利用できる水分の量を低減する。こうした場合、錯化又は封入された化合物を、吸収性物品の吸収性コアよりも身体に面する表面に近い吸収性物品の1つの層、及び/又は超吸収性材料を含む1つの層に配置させた場合、錯化又は封入された化合物は、体液が吸収性コア及び/又は超吸収性材料と接触する前に、優先的に体液と接触することができる。これは、化合物のより効果的な放出をもたらし、臭気制御効果を改善する。
生理用タンポンの場合、錯化又は封入された化合物は、タンポン本体を形成する吸収剤圧縮プレジット、上包み、及び抜取紐などのタンポンの任意の構成要素に存在することができる。例えば、化合物は、タンポン本体の中、又はタンポン表面上に含まれることができ、上包みが存在する場合には、上包みのいずれかの表面上に含まれることができる。吸収性物品の二次的塊がタンポンの抜取終端部に近接した抜取紐に沿って存在する場合、錯化又は封入された化合物をこの二次的塊内に含むことができる。
封入化合物
本発明の反応性化合物は、当該技術分野において既知の任意の手法を用いて封入することができる。用語「封入」は、本発明の範囲内において、本発明による反応性化合物を、一般的に「封入材料」と呼ばれる他の材料との混合物で、固体として吸収性物品に導入できる任意の技術を包含することを意図する。反応性化合物は、封入されたときに、他の材料との接触が妨げられ、不要な反応を避ける。更に、封入されたときに、その蒸発が防止される。多数の種類のカプセルが当該技術分野において既知であり、香料成分の送達に使用される。これらのカプセルの種類全てが、本発明に使用可能である。カプセルは、当該技術分野において一般的に使用される任意のサイズを有することができ、かつ本明細書で好適なものは、ナノカプセル、マイクロカプセル、及びそれよりも大きいカプセルである。一般的に、カプセルは、その短い方の直径が3mm未満又は1mm未満であるようなサイズを有する。
カプセルは、封入された組成物が、必要なときに放出されることを可能にする。一般的に、吸収性物品の場合、これは次の2つの場合に相当する:
1−物品が液体の攻撃を受けた場合(例えば、吸収性衛生物品中で経血又は尿が排泄された場合):この場合、カプセルは、水溶性材料又は水若しくは含水液体と接触したときに封入された化合物の放出をトリガする材料を含む。
2−物品に対して圧力又は力が加えられた場合(例えば、紙タオル及び拭き取り用品の場合、又は吸収性衛生物品が高活動期間に着用された場合):この場合、例えば、破裂可能なポリマーフィルムのシェルを有する破断可能なカプセルを使用できる。
これらのカプセルの種類全てが、例えば、香料送達系として、当該技術分野において既知である。
ただし、上記の2つの場合は、非限定例であることを意図する。実際には、例えば、蒸発、拡散、温度、湿度、光などの任意のその他のトリガ(又はトリガの組み合わせ)を使用して封入された化合物をカプセルから放出してもよい。封入された化合物の放出は、必要に応じて、瞬間的であってもといし、ある時間持続してもよい。当業者は、所望のトリガ作用及び放出の種類に基づいて、適切な封入材料を、当該技術分野において既知のものから選択することができるであろう。
カプセルは、種々の封入材料を使用してよい:
I.ポリマー.ポリマー材料を封入材料として使用してよい。
古典的なコアセルベーション、水溶性又は部分水溶性〜非水溶性の荷電又は中性ポリマー、液晶、ホットメルト、ヒドロゲル、香料付与プラスチック、マイクロカプセル、ナノ−、及びマイクロラテックス、ポリマー性フィルム形成剤、及びポリマー性吸収剤、ポリマー性吸着剤などがいくつかの例である。ポリマー性カプセルとしては以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
a.)マトリックス系:封入される化合物は、ポリマーマトリックス又は粒子中に溶解又は分散される。かかる化合物は、例えば、製品を配合する前にポリマー中に分散されてもよい。化合物の放出を制御する他の多数のトリガが知られているが、封入された化合物のポリマーからの拡散は、所望の表面に付着又は塗布されたポリマー性マトリックス系からの化合物の放出を可能とするかその放出速度を増大させる上で一般的なトリガである。ポリマー性粒子、フィルム、溶液などの内部又は外部への吸収及び/又は吸着は、この技術の態様である。有機材料(例えば、ラテックス)からなるナノ粒子又はマイクロ粒子がその例である。本明細書で使用できる好適な粒子としては、限定するものではないが、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアリールエーテルケトン、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリクロロプレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリクロロプレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリケトン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンクロリネート、ポリイミド、ポリイソプレン、ポリ乳酸、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、並びにアクリロニトリル−ブタジエン、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール、スチレン−ブタジエン、酢酸ビニル−エチレン、及びこれらの混合物等に基づいたポリマー又はコポリマー等の広範な材料が挙げられる。
「標準的な」系とは、ポリマーに結合した予備充填された化合物を放出の瞬間まで保持することを意図して、「予備充填された」系を指す。このようなポリマーは、未希釈製品の臭いを抑制し、化合物の放出速度に応じてブルーム効果及び/又は持続効果も与える場合がある。こうした系における課題の1つは、1)製品内安定性(必要時までキャリア内部に化合物を保持すること)と、2)適時放出(使用時)との理想的なバランスを実現することである。好適なマイクロ粒子、及びマイクロラテックス並びにその製造方法は米国特許出願第2005/0003980 A1号に見ることができる。マトリックス系は、ホットメルト接着剤及び香料付与プラスチックも含む。ポリマー支援型送達(PAD)マトリックス系としては、以下の参照文献に記載されているものが挙げられる:米国特許出願公開第2004/0110648 A1号;同第2004/0092414 A1号;同第2004/0091445 A1号及び2004/0087476 A1;及び米国特許第6,531,444号;同第6,024,943号;同第6,042,792号;同第6,051,540号;同第4,540,721号及び同第4,973,422号。
シリコーンも、封入材料として使用してもよいポリマーの例であり、化合物に放出効果を付与することができる。好適なシリコーン並びにその製造方法は、国際公開第2005/102261号、米国特許出願公開第2005/0124530A1号、同第2005/0143282A1号、及び国際公開第2003/015736号に見出すことができる。米国特許出願第2006/003913A1号に記載されるように、官能化シリコーンを使用することも可能である。シリコーンの例としては、ポリジメチルシロキサン及びポリアルキルジメチルシロキサンが挙げられる。
b.)リザーバ系:リザーバ系はコア/シェル型技術としても知られ、この技術では、放出される化合物が、保護シェルとして機能する放出制御膜によって包囲される。カプセル内部の物質がコア、内部相、又は充填物と呼ばれるのに対して、この壁は時としてシェル、コーティング、又は膜と呼ばれる。シェル材料の種類に応じて、カプセルは異なるメカニズムによって活性化されることができ、例えば、コーティングは水に可溶であるか特定のpHを有する水溶液に可溶である。本発明の特定の実施形態において、リザーバカプセルは水溶性シェルを有し、カプセルのコアは機械的活性化により放出される。
感圧カプセル又は破砕性カプセルはこうした技術の例である。破砕性カプセルは、任意のサイズ、及び形状で作製することができ、典型的に使用されるのは破砕性マイクロカプセルである。任意の種類のポリマー材料を使用して、破砕性カプセルのシェルを作製することができ、更には当該技術分野において既知であるように、任意の材料をコア材料として使用できる。当業者は、当該技術分野で利用可能な材料の適合性に関する知識に基づいて、特定のコア材料を封入するためにどの材料を使用できるかを決定することができる(例えば、一般的に、シェル材料はコア材料が溶媒としてシェル材料に作用しないように選択される)。破砕性マイクロカプセルをここでより詳細に記述するが、同じ種類の材料及び構造を使用してより大きい又は小さいカプセルを作製できることは当業者に明らかである。
破砕性マイクロカプセルは、外部シェルが任意のポリマー又はポリマーの混合物から作製されたカプセルである。破砕性マイクロカプセルのシェルに含むために使用できる典型的なポリマーとしては、メラミンホルムアルデヒド又は尿素ホルムアルデヒド縮合体、メラミンレゾルシノール又は尿素レゾルシノール縮合体、ナイロン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオレフィン、多糖類、エポキシ樹脂、ビニルポリマー、絹、羊毛、ゼラチン、セルロース、タンパク質及びこれらの混合物、並びに上記のポリマーに含有されるモノマーをコモノマーとして含むコポリマーが挙げられる。
最も安定な破砕性マイクロカプセルは、ポリオキシメチレン尿素(PMU)系ポリマー、メラミン−ホルムアルデヒド系ポリマー、及びポリアクリレート系ポリマーを含むものである。
いくつかの実施形態において、マイクロカプセル外部シェル材料は、ポリアクリレート材料を含むことができる。アクリレート又はメタクリレートモノマーを含む任意のポリマー又はコポリマーを本発明に使用することができ、好ましい材料は、例えば、米国特許第2012−276210A1号に記載されているもののような、当該技術分野においてポリアクリレートマイクロカプセルを形成することが知られている材料である。いくつかの実施形態において、マイクロカプセルのシェルはポリアクリレートコポリマーを含み、場合によってはポリアクリレートランダムコポリマーであることができる。
破砕性マイクロカプセルは、その外部シェルが破裂されたときにコア物質を放出するように構成される。破裂は、機械的相互作用の間に外部シェルに加えられた力によって引き起こすことができる。破砕性マイクロカプセルは、種々の破壊強度を有することができる。各マイクロカプセルは、米国同時係属出願第61/703587号に記載されている破壊強度試験法に従って測定したときに0.2〜10.0メガパスカルの破壊強度を有する外部シェルを有することができる。一例として、マイクロカプセルは、0.2〜2.0メガパスカルの破壊強度を有する外部シェルを有することができる。
破砕性マイクロカプセルは、種々のコア対外部シェルの比を有していてよい。各マイクロカプセルは、外部シェル、及び外部シェル内のコアを有し、かつ99−1〜1−99、又は95−5〜10−90、又は50−50〜90−10のコア対外部シェル比(重量)を有する。
破砕性マイクロカプセルは、種々の外部シェル厚さを有することができる。いくつかの実施形態において、マイクロカプセルは、全厚が1〜300ナノメートル又は2〜200ナノメートルの外部シェルを有することができる。
吸収性物品のような無水製品に利用するためには、マイクロカプセルが無水粒子として塗布されることが特に好ましい。かかる粒子は、米国特許出願公開第61/703616号に記載のような噴霧乾燥によって製造されてもよい。破砕性マイクロカプセルが噴霧乾燥される場合、これらの粒子をキャリアビヒクルを含むペースト又はスラリーの状態で塗布することが好ましい。これらの粒子は、キャリアビヒクルを使用せずに粉末として基材に直接塗布されてもよい。例えば、噴霧乾燥した粒子を、接着剤を含有する可剥性表面の部分である接着剤に塗布することが可能である。接着剤を含有する可剥性表面の例としては、例えば、パンティ固定バックシート接着剤又はウィング接着剤が挙げられ、消費者がこの表面を引き剥がしたときに芳香剤の瞬間的な広がりが消費者に送達され、続いて芳香は衣服に移送されて臭気保護を追加することができる。
あるいは、破砕性マイクロカプセルを水性スラリーを介して吸収性物品の表面に送達し、自然乾燥させることができる。
本明細書で使用できる破砕性マイクロカプセル及びそれを作製するための関連方法並びにその特性を測定する方法は、米国同時係属出願第61/703616号及び同第61/703587号に記載されており、これらを引用により本願に援用する。
ポリアクリレートマイクロカプセルの製造方法の例は、米国特許出願公開第61/328,949号;米国特許出願公開第61/328,954号;米国特許出願公開第61/328,962号;及び米国特許出願公開第61/328,967号に開示されており、これらを引用により本願に援用する。
II.デンプン:デンプン封入技術の使用により、例えばデンプンなどの成分を加えて液体香料を固体に変換することによって、封入しようとする化合物の性質を改変することが可能である。その利益としては、製品保存中の揮発性化合物の保持向上が挙げられる。水分と接触すると、放出がトリガされる場合がある。別の利益は、デンプン封入により、製品配合者は、デンプン封入の存在なしでは通常は使用できない化合物又は化合物濃度を選択することができる。好適なデンプン封入の実施例並びにその製造方法は、米国特許出願公開第2005/0003980 A1号、及び米国特許第6,458,754 B1号に見ることができる。
一態様では、デンプン封入化合物は、デンプンと、水と、酸と、封入する必要がある化合物とを含む混合物を調製し(この酸はデンプン−水混合物のpHを少なくとも0.25単位だけ低下させるのに十分な量で混合物に組み込まれる)、この混合物を噴霧乾燥することによって、封入化合物を形成することで作製されてもよい。化合物封入プロセスの第1の工程では、デンプンと、水と、封入する必要がある化合物と、酸とを含む水性混合物を調製する。これらの成分は、任意の順番で加えてよいが、通常は、デンプン−水混合物を最初に調製し、次に、酸及び封入する化合物を連続的に又は同時に追加する。連続的に追加する場合、酸は、封入成分に先だって追加してよい。あるいは、酸は、封入成分の後に追加してもよい。水性混合物中のデンプン濃度は、下限が5〜10重量%、上限が60あるいは75重量%であってもよい。一般的には、混合物内のデンプン濃度は、水性混合物中にて20〜50重量%、より一般的にはおよそ25〜45重量%である。
好適なデンプンは、生デンプン、前ゼラチン化デンプン、塊茎とマメ科植物と穀草及び穀類から誘導された加工デンプン、例えばコーンスターチ、小麦デンプン、コメデンプン、ワキシーコーンスターチ、オートデンプン、カッサバデンプン、ワキシー大麦デンプン、ワキシーコメデンプン、スウィートコメデンプン、アミオカ、ポテトデンプン、タピオカデンプン及びこれらの混合物から調製できる。加工デンプンは、本発明に用いるのに特に好適な場合があり、加工デンプンとしては、加水分解デンプン、酸処理デンプン、疎水性基を有するデンプン、例えば長鎖炭化水素(C以上)のデンプンエステル、酢酸デンプン、デンプンオクテニルサクシネート及びこれらの混合物が挙げられる。一態様では、デンプンオクテニルサクシネートなどのデンプンエステルを使用する。
「加水分解デンプン」という用語は、デンプン、好ましくはコーンスターチの酸及び/又は酵素による加水分解で典型的に得られるオリゴ糖型物質を意味する。デンプン/水−混合物中に、デンプンエステルを含むことが好ましい。特に好ましいものは、デンプン分子の1,4結合を非還元末端から開裂させて、短鎖糖類を生成し、実質的にデンプン基部の高分子量部分を維持しつつ高耐酸化性を提供することのできる少なくとも1つの酵素によって分解された疎水基、又は疎水基及び親水基の両方を含有するデンプン誘導体、を含む加工デンプンである。水性デンプン混合物はまた、デンプン用可塑剤も含んでもよい。好適な例には、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、及びグルコース、スクロース、ソルビトール、アラビアゴム、グアーガム並びにマルトデキストリンのようなマルトデキストリン類が挙げられる。
本発明のプロセスに使用される酸は、任意の酸でよい。例としては、硫酸、硝酸、塩酸、スルファミン酸及びホスホン酸が挙げられる。一態様では、有機カルボン酸を使用する。別の態様では、1個を超えるカルボン酸基を含む有機酸を使用する。好適な有機酸の例には、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、イタコン酸、酢酸、アスコルビン酸等が挙げられる。一実施形態では、クエン酸のような飽和酸が使用される。
デンプン、水、香料及び酸を含む水性混合物の形成後、混合物を高剪断下で混合し、デンプン水溶液中にて、封入成分のエマルション又は分散体を形成する。次に、酸及び香料を含む水性混合物が噴霧化及び乾燥される処理の最終段階には、任意の好適な手法が用いられてよい。好適な手法には、噴霧乾燥、押出し、噴霧冷却/結晶化法、流動床コーティング、及び界面重合を促進する相間移動触媒の利用を含む当技術分野において既知のものが挙げられるが、これらに限定されない。高い乾燥塔を使う、チャンバの壁に軽く給油する、又は湿分を実質的に取り除いた事前に調整した空気を使うなど、当技術分野において既知の方法を使って、噴霧効率を高めてよい。
コーティングされたカプセル
いくつかの実施形態において、上記のカプセルを形成する主要材料は、二次コーティング材料で更に封入されてもよい。上記のカプセルの種類のいずれも、そのまま又は追加的な二次コーティング材料と共に、本発明に使用することができる。
追加の二次コーティング材料は、芳香知覚の低減、時間の経過による揮発性化合物の蒸発の低減(特に高温及び高湿条件)、及び錯化された化合物(これは本発明において高反応性材料を含む)が予定よりも早い段階で反応又は分解し、化合物が機能しなくなる、又は活性化されたときに異なる匂いの特性を有することになるような暴露を低減することによって、錯化された化合物の化学的安定性の増大、を助けることができる。加えて、コーティングされたカプセルの使用は、封入材料の放出特性の変更(その放出の低速化若しくは加速、又は放出トリガの変更、例えば、pHトリガの導入)を可能にする。一般的に、主要封入材料に添加又は直接塗布される任意の第2の材料で、上記機能の1つ以上を達成するものは、コーティングとして特徴づけられる。二次コーティングは、主要カプセルの作成の後、第2の加工工程を用いて、プリル化のようなプロセスを用いて、又は二次表面コーティングを適用するための任意の流動床プロセス(例えば、Wurster Coater)を用いて、直接適用されてもよい。
本発明に好適なコーティング組成物は、当該技術分野において既知の全てのカプセルコーティング組成物である。こうした組成物としては、例えば、多糖類(例えば、限定するものではないが、非加工デンプン、化学加工デンプン、デキストリン、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体)、天然及び人工/合成ワックス、エステル及びエステル誘導体、脂肪酸、天然及び合成並びに化学修飾脂質、脂肪族アルコール、炭化水素(直鎖又は分枝鎖、ワセリン)、腸溶コーティング組成物(Eudragitシリーズのメタクリル酸コポリマー)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、シリコーン(例えば、限定するものではないが、シリコーンコポリマー及び官能化シリコーン)、界面活性剤、乳化剤、ポリプロピレングリコール、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース)、グリセリン、モノ及びジグリセリド、ポリグリセロール及びポリグリセロールエステル並びに食品用途に使用される乳化剤が挙げられる。
本発明に使用できるコーティングされたカプセルの調製の一例は、米国特許第4973422号に記載されている(特に実施例2を参照)。
錯化された化合物
「錯体」とは、IUPAC Compendium of Chemical Terminology 2nd Edition(1997)でいうところの「包接錯体」を意味し、ここで錯化剤はホストであり、錯化された成分は「ゲスト」である。錯化剤の例は、シクロデキストリンである。本明細書で使用するとき、用語「シクロデキストリン」は、約6〜約12個のグルコース単位を含有する置換型又は非置換型シクロデキストリンであって、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及び/又はこれらの誘導体及び/又はそれらの混合物のような任意の既知のシクロデキストリンを包含する。例えば、本発明のシクロデキストリン錯体は、β−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルα−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン、メチル化−α−シクロデキストリン、メチル化−β−シクロデキストリン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるシクロデキストリンを含み得る。悪臭に対して活性を有する化合物のシクロデキストリン錯体は、例えば、米国特許第5,571,782号及び米国特許第5,543,157号に記載されている混練法を使用して、又は、好ましくは国際公開第2008/104690A2号に記載の噴霧乾燥法を使用して、当該技術分野において既知のように調製することができる。
チオール蒸気圧抑制指数
本発明は、20を超える「チオール蒸気圧抑制指数」(TVPS)を有する1つ以上の錯化又は封入された化合物を含む吸収性物品に関する。
チオール蒸気圧抑制(TVPS)指数は、高速GC装置zNose 7100(Electronic Sensor Technologies,Newbury Park,CA)を用いて測定したときの、ヘッドスペース内のブタンチオール濃度の化合物による低下の尺度である。測定前に、装置を、同じ実験設定下で製造業者の指示に従って校正する。装置は、長さ1m、相厚0.25μm、及び直径0.25mmのDB−5カラム(EST部品番号SYS7100C5,Electronic Sensor Technologies,Newbury Park,CA)を有する。TVPS測定の実験設定:
サンプリング時間:10秒
センサー温度:40℃
初期カラム温度:40℃
入口温度:40℃
バルブ温度:40℃
カラム温度上昇速度:10℃/秒
最終カラム温度:200℃
化合物のTVPSを以下の方法で測定する:100μL±1μLの1% v/vブタンチオール(純度99%)エタノール(200プルーフ)溶液を1mLバイアル(8×40mm)に加える。このバイアルは、ホウケイ酸ガラス製筒型バイアルである。好適なブタンチオールは、Sigma−Aldrich(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)からの品目112925である。別の1mLバイアル(8×40mm)に、5μL±0.2μLの化合物を加える。次いで、両方の開放バイアルを、20mLヘッドスペースバイアル(22×75mm)に入れ、直ちに、PTFE/シリコーンの隔膜を有するネジ蓋を用いてバイアルを封止する。このバイアルを37℃で4時間加熱する。4時間後、バイアルをオーブンから取り出し、25℃±2℃で15分間平衡化する。バイアル内部のヘッドスペースを、上に概説した実験手順に従ってzNoseを用いてサンプリングする。ブタンチオールのみ、揮発性活性物質のみのサンプルを、同じ手順を用いて測定し、両物質のピークを識別する。ブタンチオールの許容可能な保持指標は720±30である。ブタンチオールピーク及び揮発性物質ピークのピークが共溶出する場合、当業者はこれらのピークを分離するように手順設定を変更することができる。1.5の最小分解能が得られるはずである。例えば、カラム温度の上昇速度を変更することができる。サンプルとサンプルとの間に、装置を清浄にし、残留物質を除去する必要がある。装置を清浄にするため、100カウントを超えるピークが観察されなくなるまで、必要に応じてサンプルなしで装置を運転する。
ヘッドスペース内のブタンチオールの量は、ブタンチオール(ABtSH,Rx)のクロマトグラフ上のピークの面積から測定される。ヘッドスペー内のブタンチオール低減のパーセンテージを計算するため、揮発性材料なしのブタンチオール溶液を用いた対照を同じやり方で調査し、面積を測定する(ABtSH,C)。次いで、次式を用いて計算したブタンチオール面積の低減率としてTVPSが測定される:
Figure 2016528944
装置で得られる測定値の種類の例:
Figure 2016528944
実施例のTVPS計算
Figure 2016528944
本発明に適した数種類の化合物のTVPS値を下表に示す。()で示した化合物のTVPSを、多数の化合物の実際の測定値から出発して計算した数学的モデルを用いて概算した。モデルは、QSARソフトウェアCAChe ProjectLeader WorkSystem Pro 7.1を用いて作成される。TVPSを評価した化合物から得た分子構造を用いて、いくつかの分子特性を計算した。データに最も適合する4つの分子記述子に基づいて、回帰アルゴリズムを用いてTVPSを予測し、最適近似を計算する。続いて、このモデルを使用して、同じソフトウェアを用いて他の化合物のTVPSを予測する。分子モデリングシステムを用いて概算したTVPSの値を単なる例示の目的で示し、誤解を避けるため、本発明に使用されるTVPS値は上記のzNose分析法を用いて測定されたTVPS値だけであることを明記する。
**)で示された化合物は、従来技術の化合物を示す。
Figure 2016528944
見てわかる通り、従来技術で一般的に吸収性物品における悪臭の制御に非常に有効であると述べられた化合物のいくつか、例えば、ヘキシルシンナミックアルデヒドは、驚くほど低いTVPS値を有する。かかる化合物は、アンモニア又はアミン基を含む化合物のような、吸収性物品に一般的に見出される悪臭化合物のいくつかに対して非常に有効であるが、タンパク質分解から誘導され、チオール基を含有する化合物のような他の種類の悪臭の中和には意外にもそれほど有効ではない。本発明による反応性化合物は、比較的高いTVPS値を有し、いずれの種類の悪臭分子の中和にも驚くほど有効であり、したがって、全体としてより広範な状況において、悪臭の中和により有効である。
本発明に好適で、20を超えるTVPSを有する好ましい化合物の例は、以下のリスト(a)の化合物であり、これらの化合物は20を超えるTVPSを有するだけでなく、特に安定であって錯化された封入された材料を必要なときに放出する錯体及び/又はカプセルを形成する。特に、これらの好ましい材料は、シクロデキストリンとの錯体を完全な形で形成する。錯体を完全な形で形成するとは、この文脈において、当業者が、当該技術分野で既知の方法を用いて、化合物をシクロデキストリンと組み合わせて、シクロデキストリンと錯化した化合物の重量%が約75%超、約90%超、又は約95%超である材料を得ることができることを意味する。これらの錯体は、時間が経過しても非常に安定であり、錯化された化合物は、錯体が水性流体と接触したときに非常に素早く放出される。
(a):メロナール、アドキサル、トランス−2−ヘキセナール、リグストラール、フローラルスーパー、フロルヒドラル、5−メチル−2−チオフェン−カルボキシアルデヒド、ハイドラトロピックアルデヒド、ウンデセナール、9−ウンデセナール、10−ウンデセナール、トランス−4−デセナール、シス−6−ノネナール、イソシクロシトラール、プレシクレモンB、(E)−2,(z)−6−ノナジエナール、ウンデシルアルデヒド、メチル−オクチル−アセトアルデヒド、ラウリンアルデヒド、シルビアル、バニリン、フロラロゾン。
リスト(a)の化合物は全て、硫黄原子を含有する悪臭分子(チオール型悪臭、一般的に、月経液、糞便、食品などのタンパク質分解に伴う)に対して特に反応性である。錯化又は封入された反応性化合物の主要機能は、窒素原子を含有する悪臭分子(アミン型の臭いで、典型的には尿又は玉ねぎなどの特定の食品の分解から派生する)及び/又は硫黄粒子を含有する悪臭分子(チオール型の悪臭で、典型的には、例えば月経液、糞便、食品などにおけるタンパク質分解に伴う)と化学的に反応することである。アンモニア/アミンは、経血又は尿などの体液の吸収に伴う悪臭の一成分である。例えば、アンモニア/アミンは、通常、尿の分解が原因で、尿吸収に使用される吸収性製品中に多量に存在する。アンモニア/アミン及びその誘導体は、アルデヒド及び/又はケトンと反応してイミンを形成することができる(いわゆるシッフ(Schiff)塩基反応による)。
Figure 2016528944
この反応は酵素及び/又は弱酸性のpH 4〜5によって触媒作用を受ける。温和な酸性条件は、ヒドロキシ中間体をプロトン化して水の除去を可能にするために必要である。
悪臭のある硫黄系化合物は一般的に、例えば、月経液、糞便又は食品におけるタンパク質の分解によって発生し、そのためその制御は生理用ナプキン又はパンティライナーなどの月経用吸収性物品において、並びに食品残渣又は糞便のようなその他のタンパク質材料と接触するその他の吸収性物品において、特に重要である。作用機序は現時点で完全には理解されていないが、チオールがアルデヒド及びケトンと反応してチオアセタール及びチオケタールを形成できるという事実に関係すると考えられる。
Figure 2016528944
原理上は、上記の化学反応は、任意のアルデヒドから得ることができるが、実際にはこの種の反応と吸収性物品の特異な状況とではアルデヒドの反応性は非常に異なる。本発明の反応性化合物は、窒素系の悪臭分子との反応に有効であり、硫黄系の悪臭分子との反応に特に有効である。
本発明の反応性化合物は硫黄系の悪臭分子に対して特に反応性が高いことから、本発明は経血の吸収に使用される吸収性物品への使用に特に有効である。
更に、本発明の好ましい反応性化合物は、心地良く低強度の匂いを有し、効果的に錯化又は封入されて、必要なときに素早く放出されることもできることから、吸収性物品の特異な状況において特に有利である。
本発明の別の重要な態様は、錯化又は封入された反応性化合物はそれぞれ匂いに関して個別の特性を有することである。したがって、吸収性物品への上記化合物の導入は、悪臭に対する反応性だけでなく、他の匂い成分と組み合わせること(封入/錯化された、及び/又は遊離した錯化されていない形態)ができる個別の芳香ノートも提供することができ、その結果、配合者は、使用時、すなわち封入/錯化された反応性化合物が活性化されたときに製品から放出される、より広範な芳香を得ることができる。
本発明において、錯化又は封入された形態のその他の選択された追加化合物を、上のリスト(a)に記載された20を超えるTVPSを有する新規反応性化合物と組み合わせて任意追加的に使用することができる。好ましい追加化合物は、下のリスト(b)、(c)、(d)及び(e)に列挙されている。
好適な選択された追加のアルデヒド及び/又はケトンとしては、次のリスト(b)に列挙されたものが挙げられる:ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、p−アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、デカナール、シクラメンアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルジヒドロシンナムアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナムアルデヒド、バニリンイソブチレート、2−フェニル−3−(2−フリル)プロパ−2−エナール、エチルバニリンアセテート、バニリンアセテート、ヘプタナール、ラウリルアルデヒド、ノナナール、オクタナール、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、サリチルアルデヒド、シトラール、2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、5−メチルサリチルアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、5−エチル−2−チオフェンカルボアルデヒド、2−チオフェンカルボアルデヒド、アサロンアルデヒド、5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド、2−ベンゾフランカルボキシアルデヒド、2,3,4−トリメトキシベンズアルデヒド、プロトカテキュアルデヒド、ヘリオトロピン、4−エトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メトキシシンナムアルデヒド、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナムアルデヒド、2,8−ジチアノン−4−3n−4−カルボキシアルデヒド、ソルビンアルデヒド、2,4−ヘプタジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ノナジエナール、2,4−ノナジエナール、(E,E)−2,4−オクタジエン−1−アール、2,4−オクタジエナール、2,4−ドデカジエナール、2,4−ウンデカジエナール、2,4−トリデカジエン−1−アール、2−トランス−4−シス−7−シス−トリデカトリエナール、ピペロニリデンプロピオンアルデヒド、2−メチル−3−(2−フリル)アクロレイン、2,4−ペンタジエナール、2−フルフリリデンブチルアルデヒド(furfurylidene butyrraldehyde)、ヘリオナール、リラール、3−ヘキセナール、サフラナール、ベラトルムアルデヒド、3−(2−フリル)アクロレイン、ピルブアルデヒド、エタンジアール、1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ペンタ−1−エン−3−オン、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、5−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)4−ペンテン−3−オン、(E)−4−(2,2−ジメチル−6−メチリデンシクロヘキシル)ブタ−3−エン−2−オン。
化合物リスト(b)は、一部の部類の悪臭化合物と反応することができ、かつ不快臭を有さない、追加のアルデヒド及び/又はケトンである。これらのその他の選択されたアルデヒド及び/又はケトンは、錯化又は封入された形態で、リスト(a)で上述された化合物と組み合わせて、任意追加的に使用できる。
その他の追加の任意化合物は、錯化又は封入された形態で存在できる。
これは具体的には、他の芳香/マスキング/反応成分を含む。いくつかの実施形態では、追加成分の少なくとも一部が、以下のリスト(c)、(d)及び(e)から選択される。
リスト(c)からの成分は、メントール、メンチルアセテート、メンチルラクテート、メンチルプロピオネート、メンチルブチレート、メントン、ミントテルペン、左旋性カルボン、シス−3−へキセノール&シス−3−へキセニルアセテート、コアボン(Koavone)、メチルジオキソランである。
これらは全て、その主な機能が悪臭をマスキングすることである化合物である。マスキングは、悪臭の蒸気圧抑制を通じて、又は不快な悪臭を芳香成分の心地良い匂いで制圧することによって、生じてもよい。これらの材料は、使用されるときに、悪臭を検出する能力を大きく低減する場合がある。悪臭を隠すためのマスキング能力は、選択される材料の揮発性性質のため可能であるが、これは、吸収性物品中の錯体又はカプセルから放出され、次いで、普通は吸収性物品の幾分近い範囲、例えば物品の0〜10メートル以内(これは本発明の範囲を制限することを全く意図していないが)にある消費者の鼻へと通常の呼吸によって吸い込まれる。
部類(d)からの成分は、メチルジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、ユーカリプトール、テトラヒドロリナロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルイソブチレート、リナリルアセテート、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、又はこれらの混合物である。これらは、錯化剤がシクロデキストリンである場合、特に好適に錯化される揮発性材料であり、かつ水性液体と接触すると非常に素早く放出される。それらの存在により、吸収性物品は、悪臭に対する優れた一般マスキング効果を有する化合物、特に非常に揮発性の化合物、を放出させることにより、悪臭のある液体の攻撃に対して、より迅速に反応でき、それらの蒸発速度を減速させるその他の悪臭化合物の蒸気圧を低減させる。
錯化又は封入された形態でリスト(a)の物質と組み合わせて任意で使用できるその他の好適な悪臭マスキング及び芳香成分としては、下のリストe)のものが挙げられる:
e)カンファー、p−メンタン、リモネン、クレゾール、リナロール、ミルセノール、テトラヒドロミルセノール、ジヒドロミルセノール、ミルセン、シトロネロール、シトロネリル誘導体、ゲラニオール、ゲラニル誘導体、ムゲタノール、オイゲノール、ジャスマル、テルピネオール、ピナノール、セドレン、ダマスコン、βピネン、シネオール及びその誘導体、ノナジエノール、エチルヘキサナール、オクタノールアセテート、メチルフルフラール、テルピネン、ツジェン、アミルアセテート、カンフェン、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、エチルメントール、メチルフェニルカルビニルアセテート、ジヒドロクマリン、ジヒドロミルセニルアセテート、ゲラニオール、ゲラニアール、イソアミルアセテート、エチル、及び/又はトリエチルアセテート、パラクレゾール、パラシメン、メチルアビエテート、ヘキシル−2−メチル=ブチレート、ヘキシル−2−メチル=ブチレート、及びこれらの混合物。
本出願の中で述べられた全ての化合物は、特定の異性体形態が指定されない限り、その異性体形態、鏡像異性体及びエナンチオマーを包含する。
特定の成分に関しては、同じ成分が、悪臭反応性成分、悪臭マスキング成分、及び/又は芳香成分の両方であると見なすことができる場合がある。
リストa)の1つ以上の化合物がリスト(b)、(c)、(d)又は(e)の1つ以上の任意化合物との組み合わせで存在する本発明の実施形態において、カプセル又は錯体は、カプセル又は錯体を調製する前に全ての化合物を混合することによって調製することができ、あるいは、吸収性物品に導入する前に、化合物の1つだけ又は数種類だけを含有するカプセル又は錯体の顆粒を別に調製した後、所望の用量に従って混合することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の吸収性物品は、錯化又は封入された形態のリストa)、b)、c)、d)及びe)の成分に加えて、遊離形態(すなわち、錯化又は封入されていない)の同じリスト又はその他の芳香剤成分からの成分も含んでもよい。
しかしながら、本発明では、吸収性物品は使用前に容易に気付く匂いを(又は非常に少しの匂いしか)示さないのが好ましい。結果として、他の芳香化合物がないか又は低レベルで存在すること及び封入/錯化された化合物が効率的かつ完全に錯化/封入され、その結果ごく少量の遊離成分しか製品使用前に存在せず、吸収性物品の使用中にのみ放出されることが好ましい。
シクロデキストリン錯体の場合、シクロデキストリンと錯化される成分の割合は、約75%超、約90%超、又は約95%超である。これらの成分錯化レベルは、錯体形成プロセス自体に直接関連すると理解すべきであり、即ち、この割合は、シクロデキストリン錯体を介して第1の割合の成分を付加し、第2の割合の純成分を付加する製剤設計を示さない。
シクロデキストリン錯体は、当該技術分野において周知の様々な方法で形成されることができる。例えば、米国特許第5,543,157号、米国特許第5,571,782号、及び国際公開第2008/104690A2号には、シクロデキストリン錯体の形成方法が記載されている。
シクロデキストリン錯体の形成方法の一例として、溶媒(例えば、水、又は錯化される有機化合物に好適な有機溶媒)、未装填のシクロデキストリン粒子、及び錯化される必要がある有機化合物を容器に入れ、その後、ある時間にわたって混合して、シクロデキストリン分子の「空隙」の中に有機分子を装填させる。混合物は、例えば、コロイドミル及び/又はホモジナイザーを使用した加工などで、更に加工されてもされなくてもよい。次に、得られた混合物又はスラリーから溶媒を実質的に除去して、例えば、噴霧乾燥を介して、シクロデキストリン錯体粒子を得る。しかしながら、異なる製造技術は、異なる粒子/錯体特性を付与することができ、これは、具体的な用途及び条件に依存して、吸収性物品に望ましい場合も望ましくない場合もある。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン包接錯体の粒子は、典型的には粒子の約20重量%未満、又は粒子の約10重量%未満、又は粒子の約6重量%未満の低レベルを有する。シクロデキストリン及び有機化合物の包接錯体のスラリーの噴霧乾燥は、上述の好ましい水分レベルを有するシクロデキストリン粒子及びシクロデキストリン錯体を作製することができる1つの製造技術である。シクロデキストリン錯体は、既知の技術及び押出プロセス(混練)を用いても得ることができるが、得られた材料は通常、より高い湿分及びより低い錯化効率を有する。Procter & Gamble Companyの米国公開特許第2008/0213191 A1号も、シクロデキストリン錯体を調製するための好ましい技術の詳しい要旨を提供している。
1つ以上の錯化又は封入された化合物は、様々な方法で、及び様々なパターンで、吸収性物品に塗布することができる。例えば、錯化又は封入された化合物がキャリアに分散している場合、その分散液は、縞模様に使用できるスロットアプリケーター、模様による塗布のための空気補助アプリケーター(噴霧、らせん状、S字状、微細繊維、omega(登録商標)、signature(登録商標)及びこれらに類するもの)などの従来の接着剤塗布装置を用いて塗布することができるが、それはこれが、流体獲得に影響を与えないやり方で(すなわち、材料が膣開口部に対応して塗布されない婦人用ケア物品において)、錯化又は封入された化合物を配置できるようにし、大きな空隙空間を有する模様が両側への流体浸透をも可能にするからである。模様つきの塗布もまた有用であるが、それはこれが正確な塗布を可能にし、その結果、吸収性物品の様々な層を結合する糊との接触を回避するのが容易になるからである。
1つ以上の錯化又は封入された化合物は、粉末の形態で塗布することも、液体又は半固体キャリアに組み込まれてローションとして塗布することもできる。1つ以上の錯化又は封入された化合物をキャリア内に分散させて分散液を形成し、その分散液を吸収性物品に塗布してもよい。キャリアは、ポリシロキサンオイル、鉱油、ワセリン、ポリエチレングリコール、グリセリンなど、及びそれらの混合物からなる群から選択されることができる。キャリアは、シリコーングリコールコポリマー(Dow Corning 190 FluidとしてDow Corningから市販)などのポリシロキサンオイルが好ましい。
1つ以上の錯化又は封入された化合物は、典型的には、吸収性物品1つにつき約0.01〜約1000ミリグラム、吸収性物品1つにつき約0.1〜約100ミリグラム、又は吸収性物品1つにつき約0.1〜約500ミリグラムの量で吸収性物品中に配置される。
引用した数字は、任意の吸収性物品に総じて適用できるが、吸収性物品は非常に異なるサイズを有することができ、したがって1つ以上の錯化又は封入された化合物を、必要性に応じて多く含有することも少なく含有することもある。本発明の臭気制御技術の有効性は、従来技術の吸収性物品用の臭気制御技術よりも有効であり、したがって、下表に示すように、より低レベルの香料を使用して有効な臭気制御を達成することができる。これは、接触皮膚炎、皮膚刺激の低減という追加の利益を提供し、早産児及び失禁症状のある成人(慢性的な水分過剰及び/又は閉塞から皮膚のバリア機能が既に損なわれている)のような皮膚が敏感な集団にとって特に重要である。
例えば、個人衛生用吸収性物品を考えた場合の典型的な量を下表に示す(表示された重量は、1つ以上の錯化又は封入された化合物のみを表し、封入/錯化材料ではない):
Figure 2016528944
本発明は、体液を本発明の吸収性物品に接触させる工程を含む、尿、経血、及び/又は糞便などの体液に伴う悪臭の低減方法を更に包含する。好ましくは、本方法は、経血、糞便、食品又はその他の体液に伴う悪臭を低減する。
本発明は、物品を構成する材料の1つの上に本発明による1つ以上の錯化又は封入された化合物を塗布する工程を含む、吸収性物品の製造方法も包含する。
(実施例1)
これは、反応性化合物がシクロデキストリン内で錯化され、吸収性物品の第2のトップシートの衣類に面する側に配置される、本発明の吸収性物品の一例である。
シクロデキストリン錯体を、以下のように調製する。以下の成分を順に容器に加え、穏やかに撹拌し、流体の上部に動きを作り出すが、気泡を生じないようにする:55グラムの蒸留水、41グラムのβシクロデキストリン(通常12%の水分を含有する)、及び4グラムの下の表1の成分混合物。
Figure 2016528944
得られたスラリーを30分間攪拌し、次いでコロイドミル(Gaulinミル)に通過させる。溶液のレオロジーは錯化が生じるにつれて粘稠なスラリーに変化する。次に、スラリーを、約195℃の入口温度及び約98℃の出口温度にて、ノズル噴霧乾燥により乾燥させる。得られたシクロデキストリン錯体は、シクロデキストリン錯体の約5重量%の含水量を有する粉末であり、シクロデキストリンと錯化する成分の含有量は、シクロデキストリン錯体の約8重量%〜約9重量%である。シクロデキストリン錯体は、約2%未満の、シクロデキストリンと錯化されていない成分を有する。
Fater SpA(Italy)から市販されている生理用ナプキンLINES PETALO BLU CON ALIを入手する。生理用ナプキンの剥離紙包装を取り外し、生理用ナプキンを平らな折り畳まれていない形状に開く。次いで、生理用ナプキンを1つの長手方向側部に沿って切る(他方の長手方向側部を完全なまま残す)。トップシートを第2のトップシート(「STS」)から分離させる。STSの衣類に面する側に、20ミリグラムのシクロデキストリン錯体を、STSの中心の3cm×5cmの領域に塗布する(スパチュラを使用してシクロデキストリン錯体を均一に塗布する)。生理用ナプキンを元の順及び向きで再び組み立て、切断された長手方向側部に沿って新たに熱封止する。
(実施例2)
これは、シクロデキストリン錯体が、キャリアと共に処方され、吸収性物品の第2のトップシートの衣類に面する側に配置される、本発明の吸収性物品の一例である。
シクロデキストリン錯体を、実施例1に記載されるように調製する。40グラムのシクロデキストリン錯体を、ミキサー内の60グラムのシリコングリコールコポリマー(Dow Corning 190 Fluid)に攪拌しながらゆっくりと加えて、均質の分散液を得、これを攪拌下で維持する。
Procter & Gamble Companyからの生理用ナプキンであるALWAYSウルトラレギュラーを長手方向側部に沿って切る(他方の長手方向側部を完全なまま残す)。トップシートを第2のトップシート(「STS」)から分離させる。STSの衣類に面する側に、Dow Corning 190 Fluidとシクロデキストリン錯体とを含有する50ミリグラムの分散液を、2つの薄いスパイラルに塗布する。生理用ナプキンを元の順及び向きで再び組み立て、切断された長手方向側部に沿って新たに熱封止する。
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られると理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味する。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものである。
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは特許出願を含む、本明細書に引用される文献は全て、明白に除外又は限定されている場合を除いて、本明細書中にその全容を援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の任意の参照文献との任意の組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と競合する程度に、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。

Claims (16)

  1. 本明細書に記載の試験方法に従って測定したときに20を超えるチオール蒸気圧抑制指数(TVPS)を有する1つ以上の錯化又は封入された化合物を含む、吸収性物品。
  2. 前記1つ以上の錯化された化合物が、
    メロナール、アドキサル、トランス−2−ヘキセナール、リグストラール、フローラルスーパー、フロルヒドラル、5−メチル−2−チオフェン−カルボキシアルデヒド、ハイドラトロピックアルデヒド、ウンデセナール、9−ウンデセナール、10−ウンデセナール、トランス−4−デセナール、シス−6−ノネナール、イソシクロシトラール、プレシクレモンB、(E)−2,(z)−6−ノナジエナール、ウンデシルアルデヒド、メチル−オクチル−アセトアルデヒド、ラウリンアルデヒド、シルビアル、バニリン、フロラロゾンから選択される、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記1つ以上の化合物がデンプン封入されている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記1つ以上の化合物が、リザーバ型カプセルに封入されており、かつ前記カプセルのシェルを破壊する機械的作用によって放出され得る、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  5. 前記1つ以上の化合物が二次コーティング材料を有するカプセルに封入されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  6. 前記1つ以上の化合物が、シクロデキストリン錯体として含まれる、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  7. 前記1つ以上の化合物が、(i)カプセルのシェルを破壊する機械的作用によって放出され得るリザーバ型カプセルに封入された形態、(ii)シクロデキストリン錯体、(iii)デンプンカプセル、から選択される少なくとも2又は3つの形態で含まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  8. 紙タオル、拭き取り用品、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、及び吸収性衛生物品から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  9. おむつ、幼児トレーニングパンツ、成人用失禁パッド又はおむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、タンポン、陰唇間用具、痔パッドから選択される吸収性衛生物品である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  10. ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、p−アニスアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、デカナール、シクラメンアルデヒド、p−t−ブチル−α−メチルジヒドロシンナムアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナムアルデヒド、バニリンイソブチレート、2−フェニル−3−(2−フリル)プロパ−2−エナール、エチルバニリンアセテート、バニリンアセテート、ヘプタナール、ラウリルアルデヒド、ノナナール、オクタナール、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、サリチルアルデヒド、シトラール、2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、5−メチルサリチルアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、5−エチル−2−チオフェンカルボアルデヒド、2−チオフェンカルボアルデヒド、アサロンアルデヒド、5−(ヒドロキシメチル)−2−フルアルデヒド、2−ベンゾフランカルボキシアルデヒド、2,3,4−トリメトキシベンズアルデヒド、プロトカテクアルデヒド、ヘリオトロピン、4−エトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メトキシシンナムアルデヒド、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシシンナムアルデヒド、2,8−ジチアノン−4−3n−4−カルボキシアルデヒド、ソルビンアルデヒド、2,4−ヘプタジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ノナジエナール、2,4−ノナジエナール、(E,E)−2,4−オクタジエン−1−アール、2,4−オクタジエナール、2,4−ドデカジエナール、2,4−ウンデカジエナール、2,4−トリデカジエン−1−アール、2−トランス−4−シス−7−シス−トリデカトリエナール、ピペロニリデンプロピオンアルデヒド、2−メチル−3−(2−フリル)アクロレイン、2,4−ペンタジエナール、2−フルフリリデンブチルアルデヒド、へリオナール、リラール、3−ヘキセナール、サフラナール、ベラトルムアルデヒド、3−(2−フリル)アクロレイン、ピルブアルデヒド、エタンジアール、1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)ペンタ−1−エン−3−オン、4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、5−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)4−ペンテン−3−オン、(E)−4−(2,2−ジメチル−6−メチリデンシクロヘキシル)ブタ−3−エン−2−オンから選択される1つ以上の追加の反応性化合物も、錯化又は封入された形態で含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  11. メントール、メンチルアセテート、メンチルラクテート、メンチルプロピオネート、メンチルブチレート、メントン、ミントテルペン、左旋性カルボン、シス−3−へキセノール&シス−3−へキセニルアセテート、コアボン、メチルジオキソランから選択される1つ以上の追加のマスキング化合物も、錯化又は封入された形態で含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  12. メチルジヒドロジャスモネート、メチルジャスモネート、ユーカリプトール、テトラヒドロリナロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルイソブチレート、リナリルアセテート、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、カンファー、p−メンタン、リモネン、クレゾール、リナロール、ミルセノール、テトラヒドロミルセノール、ジヒドロミルセノール、ミルセン、シトロネロール、シトロネリル誘導体、ゲラニオール、ゲラニル誘導体、ムゲタノール、オイゲノール、ジャスマル、テルピネオール、ピナノール、セドレン、ダマスコン、βピネン、シネオール及びその誘導体、ノナジエノール、エチルヘキサナール、オクタノールアセテート、メチルフルフラール、テルピネン、ツジェン、アミルアセテート、カンフェン、シトロネラール、ヒドロキシトロネラール、エチルマルトール、メチルフェニルカルビニルアセテート、ジヒドロクマリン、ジヒドロミルセニルアセテート、ゲラニオール、ゲラニアール、イソアミルアセテート、エチル及び/又はトリエチルアセテート、パラクレゾール、パラシメン、メチルアビエテート、ヘキシル−2−メチルブチレート、ヘキシル−2−メチルブチレートから選択される1つ以上の追加の悪臭マスキング及び芳香化合物も、錯化又は封入された形態で含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  13. 前記1つ以上の錯化又は封入された化合物が、前記カプセル又は錯体が噴霧乾燥される工程を含む製造プロセスを用いて調製される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  14. 前記1つ以上の錯化又は封入された化合物が液体キャリア中に分散された物品に適用される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
  15. 体液を請求項1〜14のいずれか一項に記載の吸収性物品と接触させる工程を含む、前記体液に伴う悪臭を低減させる方法。
  16. 本明細書に記載の試験方法論に従って測定したときに20を超えるチオール蒸気圧抑制指数(TVPS)を有する1つ以上の錯化又は封入された化合物を適用する工程を含む、吸収性物品の製造方法。
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