[0028] マスクレスリソグラフィ装置、マスクレスリソグラフィ方法、プログラマブルパターニングデバイスおよび他の装置、製造物および方法の1つ以上の実施形態を本明細書において説明する。一実施形態において、低コストおよび/または柔軟性を有するマスクレスリソグラフィ装置が提供される。このリソグラフィ装置はマスクレスであるため、例えばICまたはフラットパネルディスプレイを露光する従来のマスクを必要としない。同様に、実装の用途に対して1つ以上のリングが必要とされず、プログラマブルパターニングデバイスは、エッジ投影を回避するために、実装の用途のためのデジタルエッジ処理「リング」を提供することができる。マスクレス(デジタルパターニング)は、柔軟性を有する基板との併用を可能にすることができる。
[0029] 一実施形態において、リソグラフィ装置は、非クリティカルまたはクリティカルの用途を可能にする。一実施形態において、リソグラフィ装置は、?90nmの解像度、?65nmの解像度、?45nmの解像度、?32nmの解像度、?22nmの解像度、?14nmの解像度、?10nmの解像度、?7nmの解像度、または?5nmの解像度を可能にする。一実施形態において、リソグラフィ装置は、0.1〜50nmの解像度を可能にする。一実施形態において、リソグラフィ装置は、?10nmのオーバーレイ、?8nmのオーバーレイ、?5nmのオーバーレイ、?3nmのオーバーレイ、?2nmのオーバーレイ、または?1nmのオーバーレイを可能にする。これらのオーバーレイおよび解像度の値は、基板のサイズおよび材料を問わなくてよい。
[0030] 一実施形態において、リソグラフィ装置は、高い柔軟性を有する。一実施形態において、リソグラフィ装置は、様々なサイズ、タイプ、および特性の基板に適応可能である。一実施形態において、リソグラフィ装置は、仮想的に無制限のフィールドサイズを有する。このように、リソグラフィ装置は、単一のリソグラフィ装置を使用して、または一般なリソグラフィ装置プラットフォームを用いた複数のリソグラフィ装置を使用して、複数の用途(例えば、IC、フラットパネルディスプレイ、包装)を可能にすることができる。一実施形態において、リソグラフィ装置によって、柔軟性のある製造を提供する自動化ジョブ生成が可能になる。
[0031] 一実施形態において、リソグラフィ装置は低コストである。一実施形態において、汎用のコンポーネントのみ、または主として汎用のコンポーネントが用いられる(例えば、放射放出レーザ、簡易な可動基板ホルダ、およびレンズアレイ)。一実施形態において、ピクセルグリッド結像を用いることによって簡易な投影光学系を可能にする。一実施形態において、単一のスキャン方向を有する基板ホルダを用いてコストを低減させ、および/または複雑性を低下させる。
[0032] 図1は、一実施形態に係るリソグラフィ投影装置100を概略的に示している。装置100は、パターニングデバイス104と、オブジェクトホルダ106(例えば、基板テーブルなどのオブジェクトテーブル)と、投影システム108と、を含む。
[0033] 一実施形態において、パターニングデバイス104は、パターンをビーム110に付与する放射を変調する複数の個別制御可能素子102を備える。一実施形態において、複数の個別制御可能素子102の位置は、放射を提供するために使用される場合、フレーム135または投影システム108の少なくとも一部に固定することができる。一構成において、複数の個別制御可能素子102を位置決めデバイス(図示せず)に接続して、特定のパラメータに従って(例えば、投影システム108の少なくとも一部に対して)これらの素子102の1つ以上を正確に位置決めすることができる。
[0034] 一実施形態において、パターニングデバイス104は、自己放出コントラストデバイスである。そのようなパターニングデバイス104は、放射システムの必要性をなくし、これによって、例えば、リソグラフィ装置のコストおよびサイズを低減させることができる。例えば、個別制御可能素子102の各々は、放射放出ダイオード、例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、ポリマーLED(PLED)、またはレーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)であり得る。
[0035] 一実施形態において、個別制御可能素子102の各々は、垂直外部共振器面発光レーザ(VECSEL)または垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。VCSELおよびVECSELは、優れたスペクトル純度、高出力、および良好なビーム品質を提供することができる。一実施形態において、VECSELまたはVCSELは、772または774nmの放射を出力し得る。ただし、基板上に提供された放射は、VECSELまたはVCSELによる出力と異なり得る。一実施形態において、VECSELまたはVCSELの放射は、約248nm、約193nm、約157nm、または約128nmに変換される。一実施形態において、VECSELまたはVCSELのアレイが提供され得る。例えば、アレイは、単一の基板(例えば、GaAsウェーハ)上に提供され得る。一実施形態において、アレイは2次元である。一実施形態において、アレイは、256個のVECSELまたはVCSELを備え得る。
[0036] 一実施形態において、VECSELまたはVCSELの放射出力は、例えば、約248nm、約193nm、約157nm、または約128nmに周波数逓倍される。一実施形態において、放射出力は、周波数4倍化される。一実施形態において、放射は、周波数倍増の2つのステージを用いて周波数4倍化される。一実施形態において、周波数逓倍は、BBO(β−BaB2O4)、周期的分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)、および/またはKBBF(KBe2BO3F2)非線形光学系を用いて行われる。一実施形態において、周波数4倍化は、第1ステージのBBOまたはPPLNおよび第2ステージのKBBFを用いて行われる。一実施形態において、変換効率は、約1%であり得る。一実施形態において、周波数2倍化の2つのステージを用いる周波数4倍化に関して、第1ステージは、約20%の変換効率を有し、第2ステージは、約5%の変換効率を有し得る。一実施形態において、周波数2倍化は、共振器内で行われ得る。例えば、周波数2倍化の第1ステージは、BBOまたはPPLNを用いる共振器内周波数2倍化であり得る。
[0037] 一実施形態において、最大20mJ/cm2のドーズが基板レベルで提供され得る。このドーズレベルは、必要とされるドーズの100倍以上であり得る。このようなドーズレベルは、増幅されないレジストの使用を可能にし、これによってラインエッジ粗さが低減し、および/または、処理後の要件が緩和され得る。一実施形態において、VECSELまたはVCSELは、3mWの出力ビームを生成し得る。一実施形態において、ビームは、基板レベルで4μWの出力を有して、例えば最大20mJ/cm2の露光ドーズを提供し得る。
[0038] 一実施形態において、ビーム強度は、「パルス」動作をVECSELまたはVCSELアレイに対して実施することと、波長2倍化およびコリメーションを行った後にビーム強度を100倍さらに増加させる10倍ビームリデューサの使用とによって達成され得る。したがって、100倍に増加した当初のドーズと0.75での第2ステージ波長2倍化変換とによって、100倍以上のドーズレベルが提供され得る。ゾーンプレートアレイの効率がおよそ40%であれば、およそ30倍が基板レベルで残ることになる。
[0039] 可能性のある改良は、VECSELまたはVCSELをモードロックして短いピコ秒のパルスを生成することであり得る。一実施形態において、アクティブモードロッキングを用いて100MHzの露光周波数と同期したパルスを生成することができる。
[0040] 一実施形態において、ポンプレーザによって外側でポンピングされる、チタニウムがドープされたサファイア結晶を用いた再生増幅器を使用して、パルスを所望のエネルギーレベルまで上げることができる。YAGポンプレーザは、(以下に説明する)「外側」世界に置かれてよく、このレーザから提供された放射は、ビームガイドによってVECSELまたはVCSELまで誘導される。エネルギーレベルは、ドーズに対してキャビティダンピングと、ポッケルスセルまたはカーセルを用いるqスイッチングとによってさらに向上されて、100Mhzと同様の同期で所望のドーズをフェムト秒の時間フレームで放出し得る。
[0041] 一実施形態において、VCSELまたはVECSELからの放射インパルスの開始時点および終了時点は、10nsピクセル露光時間フレーム内に集中することになる。このことは、クリティカルディメンション均一性(CDU)の損失を防ぐのに役立つ。
[0042] 一実施形態において、VECSELまたはVCSELのアレイは、向上した性能または最大ドーズ性能に対して調整され得る。例えば、VECSELまたはVCSELのアパーチャが増加し得る。一実施形態において、VECSELまたはVCSELの出力(例えば、「オン」または「オフ」にすること)を制御する最終スイッチングコントローラは、VECSELまたはVCSELと一体化され得る(例えば、VECSELまたはVCSELと同一の(GaAs)基板上で一体化され得る)。これによって、付与されたインパルスの増加した立上がりおよび立下がり時間または最大の立上がりおよび立下がり時間が可能になる。それに加えて、または、その代わりに、この一体化によって、VECSELまたはVCSELと以下に説明する波生成デバイスとの間の接続が簡略化され得る。
[0043] 一実施形態において、自己放出コントラストデバイスは、必要な数より多い個別アドレス可能素子102を備えて、別の個別制御可能素子102が誤動作する、または適正に動作しない場合に、「冗長な」個別制御可能素子102が使用されることを可能にする。それに加えて、または、その代わりに、個別アドレス可能素子の第1セットを特定の周期に対して使用することができ、そして、第1セットが冷却する間に第2セットを別の周期に対して使用することができるので、冗長な可動の個別アドレス可能素子は、個別アドレス可能素子に対する熱負荷を制御する利点を有し得る。
[0044] 一実施形態において、個別アドレス可能素子102は、低熱伝導性を有する材料に埋め込まれる。例えば、この材料は、セラミック(例えば、コーディエライトまたはコーディエライトを用いたセラミック)および/またはZerodurセラミックである。一実施形態において、個別アドレス可能素子102は、高熱伝導性を有する材料、例えば、金属(例えば、アルミニウムまたはチタニウムなどの比較的軽量の金属)に埋め込まれ、それによって熱の伝導を弱め、そして除去/冷却することができる。
[0045] 一実施形態において、個別アドレス可能素子102のアレイは、温度制御構成を備え得る。一実施形態において、VECSELまたはVCSELには、冷却システムが設けられる。例えば、個別アドレス可能素子102のアレイは、流体(例えば、液体)伝導チャネルを有して冷却流体をアレイ上、アレイ付近、またはアレイ全体に搬送してアレイを冷却し得る。チャネルは、適切な熱交換器およびポンプに接続されてチャネルに流体を循環させ得る。チャネルと熱交換器およびポンプとの間に接続された供給およびリターン部は、流体の循環および温度制御を容易にすることができる。センサをアレイ内、アレイ上、またはアレイ付近に設けてアレイのパラメータを測定することができ、この測定を用いて、熱交換器およびポンプによって提供された流体流の温度などを制御し得る。一実施形態において、センサは、アレイ本体の膨張および/または収縮を測定してよく、この測定を用いて熱交換器およびポンプによって提供された流体流の温度を制御し得る。そのような膨張および/または収縮は、温度の代わりとなり得る。一実施形態において、センサは、アレイと一体化されてよく、および/またはアレイと別個であってもよい。
[0046] リソグラフィ装置100は、オブジェクトホルダ106を備える。この実施形態において、オブジェクトホルダは、基板114(例えば、レジストコートシリコンウェーハまたはガラスプレート)を保持するオブジェクトテーブル106を備える。オブジェクトテーブル106は、特定のパラメータに従って基板114を正確に位置決めする位置決めデバイス116に対して可動であり、かつ接続され得る。例えば、位置決めデバイス116は、投影システム108および/またはパターニングデバイス104に対して基板114を正確に位置決めし得る。一実施形態において、位置決めデバイスは、1つ以上のピエゾアクチュエータを備え得る。一実施形態において、位置決めデバイス116は、約1mm/s、2mm/s以上、5mm/s以上、約10mm/s以上の速度で基板をスキャンし得る。一実施形態において、位置決めデバイス116は、約150mm/s以下、約100mm/s以下、約50mm/s以下、約10mm/s以下、または約5mm/s以下の速度で基板をスキャンし得る。
[0047] 一実施形態において、オブジェクトテーブル106の移動は、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)および任意選択的にショートストロークモジュール(微動位置決め)(これらは図1に明示されていない)を備える位置決めデバイス116によって実現され得る。一実施形態において、装置は、少なくとも、オブジェクトテーブル106を移動させるショートストロークモジュールを有しない。同様のシステムを使用して個別制御可能素子102および/または投影システム104の少なくとも一部を位置決めし得る。ビーム110は、その代わりに/それに加えて、可動であってよく、一方でオブジェクトテーブル106および/または個別制御可能素子102は、必要な相対移動を提供する固定位置を有し得る。例えばフラットパネルディスプレイの製造に適用可能であり得る一実施形態において、オブジェクトテーブル106は静止状態であってよく、位置決めデバイス116は、オブジェクトテーブル106に対して(例えば、その上を)基板114が移動するように構成される。例えば、オブジェクトテーブル106には、実質的に一定の速度で基板114全体をスキャンするシステムが設けられ得る。このことが行われる場合、オブジェクトテーブル106は、平坦な最上面に多数の開口を備えてよく、ガスが開口に送り込まれて基板114を支持可能なガスクッションが提供される。これは、従来、ガスベアリング構成と呼ばれる。基板114は、1つ以上のアクチュエータ(図示せず)を用いてオブジェクトテーブル106の上を移動し、該アクチュエータはビーム110の経路に対して基板114を正確に位置決め可能である。あるいは、基板114は、ガスが開口を通過することを選択的に開始および停止することによって、オブジェクトテーブル106に対して移動し得る。一実施形態において、オブジェクトホルダ106は、基板を転がすロールシステムとすることができ、位置決めシステム116は、ロールシステムを回転させて基板をオブジェクトテーブル106上に設けるモータであり得る。
[0048] 投影システム108(例えば、クォーツおよび/またはCaF2レンズシステム)を用いて、個別制御可能素子102によって変調されたパターン形成ビームを基板114のターゲット部分120(例えば、1つ以上のダイ)上に投影することができる。一実施形態において、投影システム108は、複数の個別制御可能素子102によって提供されたパターンが基板114上にコヒーレントに形成されるように該パターンを投影結像し得る。一実施形態において、投影システム108は、複数の個別制御可能素子102がシャッタとして機能する2次放射源のイメージを投影し得る。
[0049] この点で、投影システムは、2次放射源を形成し、かつスポットを基板114上に結像するなどのフォーカス素子148(図4、図6、図7等を参照)または複数のフォーカス素子(以下、総称してレンズアレイと呼ぶ)、例えば、マイクロレンズアレイ(MLAとして知られている)、ゾーンプレートアレイ、またはフレネルレンズアレイを備え得る。このように、一実施形態において、露光は、ホイヘンス・フレネル屈折レンズのアレイに基づく。このタイプの露光は、ゾーンプレート上の構成などの屈折光学素子のアレイからのオンアクシス・フォーカススポットの非干渉性の追加を伴う。ゾーンプレートは、高開口数の値を有し得る。この露光方法によって、密パターンの十分なコントラストを有してK1係数が0.3未満の場合に、パターンが生成され得る。一実施形態において、複数のプラズモンレンズを使用して、K1係数を超えて、かつ例えば5nm解像度以上で近接場結像を提供し得る。本明細書の開示はフォーカス素子148としてのゾーンプレートアレイに焦点を当てるが、フォーカス素子148は、別の構成であってもよい。
[0050] 一実施形態において、レンズアレイ(例えば、MLA)は、少なくとも10個のフォーカス素子、少なくとも100個のフォーカス素子、少なくとも256個のフォーカス素子、少なくとも300個のフォーカス素子、少なくとも400個のフォーカス素子、または少なくとも1,000個のフォーカス素子を備える。一実施形態において、パターニングデバイスの個別制御可能素子の数は、レンズアレイのフォーカス素子の数以上である。一実施形態において、レンズアレイは、個別制御可能素子のアレイの1つ以上の個別制御可能素子、例えば、個別制御可能素子のアレイの1つの個別制御可能素子のみ、または個別制御可能素子のアレイの2つ以上(例えば、3つ以上、5つ以上、10個以上、または20個以上)の個別制御可能素子、と光学的に関連したフォーカス素子を備える。一実施形態において、レンズアレイは、個別制御可能素子のアレイの1つ以上の個別制御可能素子と光学的に関連した2つ以上のフォーカス素子(例えば、101個以上、大半、またはほぼすべてのフォーカス素子)を備える。
[0051] 一実施形態において、レンズアレイは、移動可能である。一実施形態において、レンズアレイは、例えば、1つ以上のアクチュエータを用いることにより、基板に向かう方向および基板から離れる方向に移動する。基板に向かうように、および基板から離れるようにレンズアレイを移動させることができることによって、例えば、基板を移動させる必要なく焦点調整が可能となる。一実施形態において、レンズアレイの個別レンズ素子、例えば、レンズアレイの各個別レンズ素子は、(例えば、非平坦基板の局所的な焦点調整のために、または各光学コラムを同一の焦点距離に置くために)基板に向かう方向および基板から離れる方向に移動可能である。一実施形態において、以下に説明するとおり、レンズアレイは、放射投影方向に垂直に移動し得る。
[0052] 一実施形態において、レンズアレイは、(射出成型などで作製することが容易であり得る、および/または低価格の)プラスチック製のフォーカス素子を備え、ここで、例えば、放射の波長は約400nm(例えば、405nm)以上である。一実施形態において、放射の波長は、約400nm〜500nmの範囲から選択される。一実施形態において、レンズアレイは、石英フォーカス素子を備える。一実施形態において、レンズアレイは、溶融石英を含む。一実施形態において、レンズアレイは、溶融石英の代わりに結晶石英を含む。一実施形態において、レンズアレイは、ほぼ平坦面のプロファイルを有し、例えば、プレートの1つ以上の表面の上方または下方で突出する光学素子(または光学素子の一部)を有しない。これは、例えば、ゾーンプレートアレイ148が十分に厚いこと(すなわち、光学素子の高さより少なくとも厚いこと、および突出しないように光学素子を位置決めすること)を確実にすることによって、または平坦なカバープレートをゾーンプレートアレイ148(図示せず)の上に設けることによって達成され得る。プレートの1つ以上の表面が実質的に平坦であることを確実にすることによって、装置の使用中に、ノイズ除去などが助長される。
[0053] 一実施形態において、各フォーカス素子または複数のフォーカス素子は、非対称レンズであり得る。非対称性は、複数のフォーカス素子の各々に対して共通であってよく、または、複数のフォーカス素子の1つ以上のフォーカス素子について、複数のフォーカス素子の異なる1つ以上のフォーカス素子と比較して異なってよい。非対称レンズは、楕円形の放射出力を円形の投影スポットに変換することを容易にでき、逆の場合も同様である。
[0054] 一実施形態において、フォーカス素子は、焦点を外して放射を基板上に投影してシステムの低開口数(NA)を得るように配置された高いNAを有する。高開口数NAのレンズは、低いNAの入手可能なレンズと比較してより経済的で、より普及しており、および/または、より高品質であり得る。一実施形態において、低いNAは、0.3以下であり、一実施形態において、0.18以下または0.15以下である。したがって、高いNAのレンズは、システムの設計NAより大きい、例えば、0.3より大きい、0.18より大きい、または0.15より大きいNAを有する。
[0055] 一実施形態において、投影システム108は、パターニングデバイス104とは別個である一方で、このことは必要というわけではない。投影システム108は、パターニングデバイス104と一体化され得る。例えば、レンズアレイブロックまたはプレートは、パターニングデバイス104に取り付けられ得る(一体化され得る)。一実施形態において、レンズアレイは、空間的に分かれた個別のレンズレットの形態をとってよく、各レンズレットは、パターニングデバイス104の個別アドレス可能素子に取り付けられる(一体化され得る)。
[0056] 任意選択的に、リソグラフィ装置は、放射(例えば、紫外線(UV)放射)を複数の個別制御可能素子102に供給する放射供給システムを備え得る。パターニングデバイスが放射源、例えば、VECSELまたはVCSELアレイである場合、リソグラフィ装置は、放射システム無しで、すなわち、パターニングデバイス以外の放射源無しで、または少なくとも簡略化した放射システムを備えて設計され得る。放射供給システムは、複数の個別制御可能素子102に対して供給する、または複数の個別制御可能素子102によって供給するための放射を生成する放射源(例えば、エキシマレーザ)を含み得る。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源およびリソグラフィ装置100は、別個の構成要素であってよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置100の一部を形成しているとはみなされず、また放射は、放射源からリソグラフィ装置へ送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置100の一体部分とすることもできる。
[0057] リソグラフィ装置が放射供給システムを含む場合、リソグラフィ装置は、放射供給システムに対して付加的であり得る、または、放射供給システムの一部であり得る放射調整システムを備え得る。放射調整システムは、以下の素子、すなわち、放射デリバリシステム(例えば、適切な誘導ミラー)、放射調整デバイス(例えば、ビームエキスパンダ)、放射の角強度分布を設定する調節デバイス(一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる)、インテグレータ、および/またはコンデンサの1つ以上を含む。放射調整システムを使用して、個別制御可能素子102によって供給される放射、または個別制御可能素子102に対して供給される放射を調整すれば、放射の断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。放射調整システムは、放射を複数のサブビームに分割するように配置されてよく、例えば、各サブビームは、複数の個別制御可能素子の1つ以上に関連付けられる。2次元回折格子は、例えば、放射をサブビームに分割するために用いられ得る。本明細書の記載において、「放射のビーム」および「放射ビーム」という用語は、ビームが放射の複数のサブビームを含む状態を包含するが、その状態に限定されない。
[0058] 一実施形態において、(一実施形態において)複数の個別制御可能素子102であり得る放射源は、少なくとも5nm、例えば、少なくとも10nm、少なくとも50nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも175nm、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも275nm、少なくとも300nm、少なくとも325nm、少なくとも350nm、または少なくとも360nmの基板レベルの波長を有する放射を提供することができる。一実施形態において、放射は、450nm以下、例えば、425nm以下、375nm以下、360nm以下、325nm以下、275nm以下、250nm以下、225nm以下、200nm以下、または175nm以下の波長を有する。一実施形態において、放射は、436nm、405nm、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、126nm、および/または13.5nmを含む波長を有する。一実施形態において、放射は、およそ193nmの波長を含む。一実施形態において、放射は、例えば、365nm、405nm、および436nmを包含する広帯域の波長を含む。355nmレーザ源が使用され得る。
[0059] リソグラフィ装置100の動作中、複数の個別制御可能素子102によって作り出されたパターン付きビーム110は、投影システム108を通過し、この投影システム108は、ビーム110を基板114のターゲット部分120上に集束させる。
[0060] 位置決めデバイス116(および任意選択的にベース136上の位置センサ134(例えば、干渉ビーム138を受ける干渉計測定デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ))を使って、例えば、様々なターゲット部分120をビーム110の経路内に位置決めするように、基板114を正確に動かすことができる。一実施形態において、投影システム108の少なくとも一部に対する位置決めデバイスを使用して、例えばスキャン中、ビーム110の経路に対して投影システム108の少なくとも一部を正確に動かすことができる。
[0061] 一実施形態に係るリソグラフィ装置100は、本明細書において基板上のレジストを露光するとして記載されているが、装置100は、レジストレスリソグラフィで使用されるパターン付きビーム110を投影するために使用され得ることが理解されよう。
[0062] 例示の装置100は、以下に例示する1つ以上のモードで使用可能である。
[0063] 1.ステップモードにおいては、個別制御可能素子102および基板114を基本的に静止状態に保ちつつ、パターン付き放射ビーム110全体を一度にターゲット部分120上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板114は、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分120をパターン付き放射ビーム110に対して露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分120のサイズが限定される。
[0064] 2.スキャンモードにおいては、個別制御可能素子102および基板114を同期的にスキャンする一方で、パターン付き放射ビーム110をターゲット部分120上に投影する(すなわち、単一動的露光)。個別制御可能素子に対する基板の速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
[0065] 3.パルスモードにおいては、個別制御可能素子102を基本的に静止状態に保ち、パルシング(例えば、パルス放射源によって、または個別制御可能素子をパルス化することによって)を用いてパターン全体を基板114のターゲット部分120上に投影する。基板114全体にわたって延在するラインをパターン付きビーム110がスキャンするように、基板114を基本的に一定の速度で移動させる。個別制御可能素子によって提供されたパターンは、パルスとパルスとの間に、必要に応じて更新され、パルスは、ターゲット部分120が基板114上の必要な位置で露光されるように、タイミング調整される。したがって、パターン付きビーム110は、基板114全体をスキャンして基板114のストリップに対する完全なパターンを露光することができる。基板114全体をラインごとに露光し終えるまで、このプロセスを繰り返す。
[0066] 4.連続スキャンモードにおいては、実質的に一定の速度で基板114を放射Bの変調ビームに対してスキャンし、また、パターン付きビーム110が基板114全体をスキャンし露光する際に個別制御可能素子のアレイ上のパターンを更新すること以外は、パルスモードと基本的に同様である。個別制御可能素子のアレイ上のパターンの更新と同期された実質的に一定の放射源またはパルス放射源が使用され得る。
[0067] 上述の使用モードの組み合わせおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
[0068] 図2は、一実施形態に係る複数のリソグラフィ装置のラック構成の概略側面図である。図2から分かるように、本発明の一実施形態は、光学マスクを使用する標準的な単一のリソグラフィ装置と同様の形状因子で複数のリソグラフィ装置100を配置して、いわゆるハイブ(hive)を形成する点に特徴がある。この実施形態のリソグラフィ装置は、光学マスクを使用する従来のリソグラフィ装置より著しく小さい。この設計はスケーラビリティおよび/または堅牢性をもたらすことができる。例えば以下にさらに述べるとおり、測定および露光などの明確に異なるタスクの分離を可能とすることができ、これによって堅牢性の増加および/または保守に起因する休止時間の減少を可能にすることができる。それに加えて、または、その代わりに、この設計コンセプトは、単一リソグラフィ装置を用いた単一基板単位での手動操作による1時間当たり10枚程度の基板(WPH)に始まり、複数のリソグラフィ装置を用いた完全自動処理による数百枚(WPH)まで、所与の最終用途の要件を拡大・縮小することができる。
[0069] 一実施形態において、リソグラフィ装置は、ラック205に配置される。ラックは、複数の開口を有し、各々の開口は、リソグラフィ装置または他のリソグラフィ装置を収容する。一実施形態において、ラックは、リソグラフィ装置が2次元アレイに配置され得るように2次元構成である。図2は、幅5高さ4のリソグラフィ装置アレイを示している。そのように、図2の実施形態では、各リソグラフィ装置ラックユニットは、1時間当たりおよそ10枚の基板(WPH)を処理し得る。したがって、図2のラックは、各10WPHの20個のリソグラフィ露光ラックユニットを使用しておよそ200WPHの処理を行い得る。ラック205は、ユニットの各々に共通する、または特定のユニットタイプに対する機能を有する。例えば、ラック205は、出力電気システムおよび電子機器、全体制御システム、冷却システムなどを有する。
[0070] 一実施形態において、ラックは、リソグラフィ装置以外のユニットを収容し得る。例えば、ラックユニットは、測定装置200であり得る。図2は、測定装置200を示している。測定装置において、露光予定の基板が測定および/または位置合わせされ得る。例えば、測定装置は、基板を含む基板カセットと、基板クランププレートと、を収容し得る。このプレートは、温度安定性および/または基準精度を提供することができる。そして、測定装置は、基板上の1つ以上のアライメントマークを測定し、クランププレート(これも1つ以上のアライメントマークを含み得る)に対するアライメントマークの位置を示し得る。一実施形態において、測定装置は、基板の表面高さをマッピングし得る。一実施形態において、ラックユニットは、クリティカルディメンジョン、ラインエッジ粗さなどを測定するメトロロジツールであり得る。一実施形態において、ラックユニットは、ポストプロセシングデバイス(例えば、トラック)との交換および/または生産ロット回収のための一時的保管のための基板カセットを収容するユニットであり得る。他のタイプのラックユニットも設けられ得る。
[0071] 一実施形態において、各タイプのラックユニットは、同一のサイズであり得る。一実施形態において、同一のタイプの各ラックユニットは、同一のサイズであり得る。一実施形態において、ラックユニットの高さは、その幅より小さい。一実施形態において、ラックユニットは、約40cm以下の高さH(図3を参照)を有し、これによって、1つのラックへの4つのユニットの積み重ねが可能になり、さらにその上方および下方に空間が与えられる。一実施形態において、ラックユニットは、幅W50cm以下である(図3参照)。一実施形態において、ラックユニットは、奥行きDが約120cm以下である(図3参照)。上記したこのリソグラフィ装置のラックは、従来の機械に対して、床面積に対するWPHの観点から有意のゲインを示し得る。例えば、200WPHは、およそ3メートルの長さL3×2メートルの高さH1×2メートルの奥行きDの総体積で実現され得る。
[0072] 一実施形態において、ラックの各開口は、同一のサイズである。一実施形態において、同一のタイプのラックユニットに対する各開口は、同一のサイズである。このように、リソグラフィ装置ラックユニット、測定装置ラックユニット、および他の見込まれるユニットについて1つ以上の標準的なサイズがあり得る。一実施形態において、ラックは、異なるサイズおよび異なる数の開口(および/または異なるサイズの開口)を有してよく、最終用途によってラックユニットの構成をうまく組み合わせることが可能になる。一実施形態において、ラックユニットの1つ以上は、(1つ以上のボルトなどによって)ラックに対して解除可能にクランプされることによってラックから容易に取り外し可能であり得る。
[0073] ラックユニットの1つ以上は、1つ以上の他のラックユニットに対してしっかりと関連付けられなくてよく、したがって必要に応じて独立して動作し得る。一実施形態において、ラックユニットの各々は、独立して動作する。一実施形態において、複数のラックユニットは、各々に依存して動作するが、1つ以上の他のラックユニットとは独立して動作する。ラックユニットは、最終用途の要件に応じて、プラントまたはラックホストコンピュータから個別に制御され得る。
[0074] 個別のラックユニットは、「オフライン」とし、保守または修理のためにラックから取り出す(またはラックに入ったままで修理される)ことができる一方で、そのようなラックは、ラックユニットの数およびラックユニットの構成に応じて限られた量の生産性しか失わない。このように、ユニットを生産から切り離し、修理のためにラックから取り外すことができるのと同時に、ラックの生産性はわずかしか失われない。
[0075] リソグラフィ装置のラックユニットへの基板の供給を可能にするために、ロボット210を使用して基板のローディング/アンローディングを容易にする。標準的な工業ロボットは、所与の構成に対して十分な適応性を提供し得る。ロボット210のアームは、ドッキング位置(例えば、ラックユニット、収納位置)からドッキング位置へ単一の基板を移動させる。すべてのロボット操作は、交換中の測定状態を失うことを回避するのに役立つために、十分に制御され、加速度パラメータの範囲に収まるべきである。ロボット自体は、誤動作の場合に容易にかつ迅速に交換され得る。一実施形態において、冗長性および/または速度向上を得るために2つ以上のロボットが設けられ得る。一実施形態において、ロボットは、別のラックと共有され得る(例えば、ロボットは移動可能である)。一実施形態において、複数のロボットが複数のラックの間で共有される。
[0076] 上述のとおり、ロボット210は、基板キャリアプレート上にクランプされる閉じた状態の単一基板カセットを使用して基板の交換を行うことができ、このプレートは、基板温度安定性を制御し得る。カセットの内部環境は、制御され得る。プレートは、1つ以上の基準マーク(例えば、アライメントマーク)を含み得る。基板カセットは、(例えば、カセット内またはカセット上のメモリに格納された)基板プロセスデータを搬送し得る。一実施形態において、ラックユニットとラックユニットとの間のカセット交換は、標準的ドッキング/交換手順に基づき得る。一実施形態において、ポスト処理デバイスおよび/または格納位置へのインターフェイスは、基板カセットを扱う(例えば、ラックユニットと同じドッキング標準を有する)ように適応されてよく、キャリアプレートをクランプすること/解除することを提供し得る。ロボット210は、交換中、基板キャリアプレートの電子機器に対してパワーを供給し得る。
[0077] この設計コンセプトによってソフトウェアの複雑性が著しく低下し得る。というのは、タスクが分けられ、堅牢性を有する並列化生産方法に起因して「クリティカルパス」がほとんど存在しないからである。基板管理の大部分は、ホストから行うことができ、また、複数のホストを伴って、堅牢性を容易に高めることができる。デバイスのイメージ管理に関して、1つ以上の配信イメージデータホストが必要とされるべきである。イメージの転送は、ファブ自動化ホストから間接的に制御され得る。基板の測定および露光を伴うタスクのモジュール化とともに、ソフトウェアもまたモジュール化され、分離され得る。ソフトウェアは、ラックユニットのタイプ、あるいはラックユニットのバージョンに対して特有であり得る。このように、ソフトウェアは、その性質上、かなり簡易になることができ、1つ以上のラックユニットに対してソフトウェアの新規バージョンをリリースすることを、1つ以上の他のラックユニットから独立して行うことができるが、互換性が適正に維持されるという条件付きである。ファブ自動化ホストの観点から、ラックユニットは、同一ネットワーク上で別々に制御される別々のデバイスであり得る。一実施形態において、制御コンソールは、必要でなくてよい。その代わりに、制御アプリケーションが移植可能であってよく、任意の移植可能なデバイスが、局所または遠隔制御のために使用され得る。例えば、ウェブサーバを用いたサービスインターフェイスは、保守作業を扱うために設けられてよく、(タブレットまたはラップトップなどの)携帯デバイス等を介してファブネットワークを介してアクセス可能であってよい。ソフトウェアは、ホストならびにオペレータ制御のための標準としてSECSインターフェイスを拡張および統合し得る。SECSインターフェイスを介した適正、完全かつ一貫した状態ロギングに基づいて、制御アプリケーションは、ホストとして同一の制御チャンネルを介して所望のオペレータの介入を行うことが可能であり得る。このことによって多数の不必要な機能を機械制御ソフトウェアから排除することができる。このように、クラスタの堅牢性およびユニット複雑性の低下を伴うこのソフトウェアの簡潔性およびモジュール性によって、平均修理時間(MTTR)の著しい低下が可能になり得る。
[0078] 図3は、基板(例えば、300mmまたは450mmウェーハ)を用いた使用のための一実施形態に係るリソグラフィ装置の概略斜視図である。リソグラフィ装置は、デバイスレイアウトとは無関係に約10WPHに対して設計され得る。この装置は、主として商用の汎用技術で製造され得る。このことは、イメージの格納、データ経路、パターニングデバイス、およびそれらの関連電子機器に適用可能である。この種の設計は、見込まれる平均中断間隔(MTBI)を向上または最大化させるのに役立つ。この設計は、15WPH、20WPH、または30WPHという、より高い生産性、もしくはさらに高い生産性を可能にし得る。一実施形態において、リソグラフィ装置は、45nmノードでの193nm(ArF)液浸リソグラフィに対して設計される。これは、既存のファブプロセス、環境、およびインフラストラクチャの実施を容易にするためである。ただし、リソグラフィ装置は、異なる波長および/またはノードに対して設計されてよく、液浸なしで動作してよいことは確かである。
[0079] 図3に示すように、リソグラフィ装置100は、ウェーハ114を保持する基板テーブル106を備える。基板テーブル106に関連するのは、少なくともY方向に基板テーブル106を動かす位置決めデバイス116である。任意選択的に、位置決めデバイス116は、X方向および/またはZ方向に基板テーブル106を移動させ得る。また、位置決めデバイス116は、X、Y、および/またはZ方向について基板テーブル106を回転させ得る。したがって、位置決めデバイス116は、最大6自由度の動作を提供し得る。一実施形態において、基板テーブル106は、Y方向のみの動作を提供し、その利点はコストの低減および複雑性の低下である。一実施形態において、基板位置決めデバイス116は、1つ以上のマウント143(例えば、3つまたは4つのガスマウント)の上に載り得るベース139に接続される。
[0080] リソグラフィ装置100は、フレーム160上に配置された複数の個別アドレス可能素子102を備えるパターニングデバイス104をさらに備える。一実施形態において、フレーム160は、ベース139上に設けられる。1つの160が示されているが、リソグラフィ装置は、複数のフレーム160を有し得る。
[0081] 一実施形態において、複数の別個のパターニングデバイス104が存在し、これらのパターニングデバイス104は、フレーム160上の矩形によって概略的に示されている。図3においては、わずかな数のパターニングデバイス104しか示されていない。一実施形態において、パターニングデバイス104は、基板114の断面寸法(例えば、直径)についてフレーム160に沿ってX方向に延在する。矩形のこのパターンは、図5に詳細に示されている。
[0082] フレーム160上のパターニングデバイス104の数は、とりわけ、パターニングデバイス104が対象とする露光区域の長さ、露光中の基板とビームとの間の相対移動の速度、スポットサイズ(すなわち、個別アドレス可能素子102から基板上に投影されたスポットの断面寸法、例えば、幅/直径)、個別アドレス可能素子の各々が提供すべき所望の強度、コストの検討事項、個別アドレス可能素子をオンまたはオフにすることができる頻度、および冗長な個別アドレス可能素子102に対する要望に依存し得る。一実施形態において、基板上のスポットサイズは100nm以下、50nm以下、25nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下、または2nm以下である。一実施形態において、スポットサイズは、1nm以上、2nm以上、5nm以上、10nm以上、または20nm以上である。
[0083] 一実施形態において、フレーム160は、パターニングデバイス104に対してモジュール性を可能にするように設計される。例えば、フレーム160は、プリンタにインクジェットカートリッジを収容するのと同様な個別のパターニングデバイス104を収容する、スロットの列を含み得る。パターニングデバイス104は、フレーム160上に取り外し可能にクランプされてよく、別のものと容易に取り替えられてよい。各パターニングデバイス104は、モジュール152によってフレーム160に対して設けられてよく(図4等を参照)、このモジュール152はフレーム160に対して解除可能に接続される。
[0084] パターニングデバイス104の各々は、複数の個別アドレス可能素子102を備え得る。一実施形態において、各個別アドレス可能素子102は、VECSELまたはVCSELである。リソグラフィ装置100、特に個別アドレス可能素子102は、本明細書においてより詳細に説明するように、ピクセルグリッド結像を提供するように配置され得る。
[0085] パターニングデバイス104の各々は、各自の露光コントローラ140を含んでよく、またはこの露光コントローラ140と関連付けられてよい。これらのコントローラ140は、(例えば図4に示すように)パターニングデバイス104とともにモジュール152内で製造されてよく、または、別々に設けられてよい。一実施形態において、コントローラ140は、データバス142、例えば、光学データバスに接続される。データバス142は、画イメージデータパスハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む筐体144に接続する。一実施形態において、データパス筐体144は、ユニットの後方に位置してあらゆる欠陥部分(例えば、固体ドライブ、スイッチ等)の交換のための後方からの容易なアクセスを可能にする。一実施形態において、コントローラ140の各々は、100MHzで64個のチャネルを有する1つ以上の波(パルス)ジェネレータ(この場合、4つ)を備える。一実施形態において、データバス142は、薄膜リボンループを備える。一実施形態において、コントローラ140は、ゾーンプレートアレイ148の上方に位置決めされる。
[0086] 一実施形態において、各モジュール152は、基本的に独立型であってよく、これによってサブシステムの信頼性の向上、ストックの低下、および陳腐化の値の減少が可能になり得る。このように、一実施形態において、モジュール152は、パターニングデバイス104およびその関連コントローラを含み得る。さらに、本明細書で述べるとおり、モジュール152は、投影システム108の少なくとも一部、例えば、モジュール152のパターニングデバイス104に関連付けられたゾーンプレートアレイ148を含み得る。そのようなモジュールは、故障中または故障したモジュールの「プラグ・アンド・プレイ」の交換を可能にし得る。そのようなモジュールは、ストックおよび老朽化値に起因する予備部品のコストを低減させ得る。そのようなモジュールは、修理作業のコストの低下を可能にし得る。そのようなモジュールは、複雑性を低減させることができ、部品設計の簡略化を可能にすることができ、このモジュールは大量生産され得る。
[0087] 一実施形態において、図3を参照すると、斜線で網掛けされた部分は、「外側」世界の部分であり、点で網掛けされた部分は、「内側」世界の部分である。「内側」世界は、「外側」世界から機械的に隔離され得る。すなわち、「内側」世界は、「外側」世界からの振動および力から実質的に隔離され得る。このように、一実施形態において、「内側」世界は、基板テーブル106と、基板テーブル106用のベアリング(もしあれば)と、パターニングデバイス104を保持するフレーム160と、を含み得る。一実施形態において、「内側」世界は、基板調整および/または液浸(例えば、温度および湿度制御、浸漬液流、ガスナイフ、ガスシャワー等)のための環境閉じ込めおよび制御機能を含み得る。一実施形態において、フレーム160は、基板テーブル106およびその位置決めデバイス116から機械的に隔離され得る。機械的隔離は、例えば、フレーム160を地面に対して、または、基板テーブル106および/またはその位置決めデバイス116用のフレームと別個の堅固なベースに対して接続することによって行われ得る。それに加えて、または、その代わりに、フレーム160が接続された構造が、地面、堅固なベース、または基板テーブル106および/またはその位置決めデバイス116を支持するフレームのいずれであっても、フレーム160と該構造との間にダンパが設けられ得る。
[0088] フレーム160は、任意の数のパターニングデバイス104を容易に採用するように拡張可能かつ構成可能に構成され得る。それに加えて、各パターニングデバイス104は、レンズアレイ148(例えば、図4、図6、および図7を参照)を備え得る。例えば図3において、コントローラ140および/または基板の真上のフレーム160の底面の近くまたは該底面において配置された関連のレンズアレイ148をさらに含み得る多数のパターニングデバイス104が示されている。したがって、一実施形態において、マルチコラム型光学エンジン構成を設けてよく、各光学エンジンは、任意選択的にレンズアレイ148を伴うパターニングデバイス104および/またはコントローラ140を備える。一実施形態において、基板114とレンズアレイ148との間に自由作業距離が存在する。この距離によって、基板114および/またはレンズアレイ148が移動して、例えば焦点補正が可能になる。一実施形態において、自由作業距離は、1〜250ミクロンの範囲、5〜150ミクロンの範囲、10〜75ミクロンの範囲、または20〜50ミクロンの範囲である。
[0089] さらに、リソグラフィ装置100は、アライメントセンサ150を備え得る。アライメントセンサは、基板114の露光前および/または露光中にパターニングデバイス104と基板114との間のアライメントの決定を容易にするために使用され得る。リソグラフィ装置100のコントローラによってアライメントセンサ150の結果を使用して、例えば、基板テーブル106を位置決めする位置決めデバイス116を制御してアライメントを向上させることができる。例えば、アライメントセンサ150は、基板テーブル106上の1つ以上のアライメントマークを測定してよく、そして、その測定は、そのような1つ以上のアライメントマークと、測定ユニット200で測定される基板114上の1つ以上のアライメントマークとの間の関連とともに用いられて、パターニングデバイス104に対して基板114を正確に位置決めしてよい。それに加えて、または、その代わりに、コントローラは、例えば、パターニングデバイス104またはレンズアレイ148を位置決めする、パターニングデバイス104および/またはレンズアレイ148に関連付けられた位置決めデバイスを制御してアライメントを向上させ得る。一実施形態において、アライメントセンサ150は、アライメントを行うパターン認識機能/ソフトウェアを含み得る。
[0090] それに加えて、または、その代わりに、リソグラフィ装置100は、レベルセンサ150を備え得る。レベルセンサ150を使用して基板114および/または基板テーブル106がパターニングデバイス104からのパターンの投影に対して同じ高さであるかどうかを決定し得る。レベルセンサ150は、基板114の露光前および/または露光中のレベルを決定することができる。リソグラフィ装置100のコントローラによってレベルセンサ150の結果を使用して、例えば、基板テーブル106を位置決めする位置決めデバイス116を制御してレベリングを向上させることができる。それに加えて、または、その代わりに、コントローラは、例えば、投影システム108(例えば、レンズアレイ148)の一部に関連付けられた位置決めデバイスを制御して投影システム108の素子(例えば、レンズアレイ148またはレンズアレイ148の一部)を位置決めすることによってレベリングを向上させ得る。一実施形態において、レベルセンサは、超音波ビームを基板114に投影することによって動作してよく、および/または電磁放射ビームを基板114に投影することによって動作してよい。
[0091] 一実施形態において、アライメントセンサおよび/またはレベルセンサからの結果を使用して、個別アドレス可能素子102が提供したパターンを変化させ得る。このパターンを変化させて、例えば、個別アドレス可能素子102と基板114との間の光学系(もしあれば)から生じ得る歪み、基板114の位置決めのばらつき、基板114の不均一性などを補正し得る。このように、アライメントセンサおよび/またはレベルセンサからの結果を使用して、投影されたパターンを変化させることで非線形歪み補正を行うことができる。非線形歪み補正は、例えば、均一な線形または非線形歪みを有しないことがある柔軟なディスプレイに有用であり得る。
[0092] リソグラフィ装置100の動作において、例えばロボット210を使用して、基板114が基板テーブル106上にロードされる。そして、基板114は、フレーム160およびパターニングデバイス104の下方で、Y方向に移動する。基板114は、レベルセンサおよび/またはアライメントセンサ150によって測定されてよく、次に、パターニングデバイス104を使用してパターンに対して露光される。例えば、基板114は、投影システム108の焦平面(像平面)を介してスキャンされる一方で、パターニングデバイス104によって、サブビーム、したがってイメージスポットを少なくとも部分的にONもしくは完全にON、またはOFFに切り換える。パターニングデバイス104のパターンに対応するフィーチャが基板114上に形成される。個別アドレス可能素子102は、例えば、本明細書に述べられるピクセルグリッド結像を提供するように動作し得る。
[0093] 一実施形態において、基板114は、正のY方向に完全にスキャンされ、そして負のY方向に完全にスキャンされ得る。そのような実施形態において、パターニングデバイス104の反対側の追加のレベルセンサおよび/またはアライメントセンサ150が負のX方向スキャンのために必要とされ得る。
[0094] 図4は、一実施形態に係るリソグラフィ装置のプログラマブルパターニングデバイスモジュールの概略側面図である。上述のとおり、パターニングデバイス104は、モジュール152によってフレーム160に対して提供され得る。図4はモジュール152内のパターニングデバイス104と組み合わされた様々な他のコンポーネントを示しているものの、必ずしもこのようにする必要はない。
[0095] この実施形態において、パターニングデバイス104は、複数のVECSELまたはVCSELを備え、これらのVECSELまたはVCSELは、例えば単一の基板上に設けられた2次元アレイとして示されている。この実施形態において、空間を節減するために、複数のVECSELまたはVCSELを垂直に配置し、すなわち、それらはX方向に放出を行う。複数のVECSELまたはVCSELは、複数のビームを放出する。一実施形態において、アレイは、256個のVECSELまたはVCSELを備えてよく、従って256個のビームを放出する。他の数のVECSELまたはVCSELが使用されてもよい。
[0096] パターニングデバイス104と関連付けられるのは、パターニングデバイス104から放射ビームを受け、かつビームのサイズを低減させるビームリデューサおよびデリバリ光学系154である。この実施形態において、ビーム減速装置およびデリバリ光学系154は、X方向に投影されるビームを受け、かつ該ビームをZ方向にコリメータ/ビームガイド156まで進むように再誘導する。コリメータ/ビームガイド156は、ビームをコリメートし、他のビーム調整を行い得る。
[0097] 一実施形態において、周波数逓倍(例えば、周波数2倍化)を行う非線形光学系158は、コリメータ/ビームガイド156から放射ビームを受ける。一実施形態において、非線形光学系158は、KBBFプリズム結合デバイス158を備える。KBBFプリズム結合デバイス158は、放射の周波数逓倍を行う。一実施形態において、非線形光学系158は、周波数逓倍のための異なるまたは追加の好適な材料を含み得る。上述のとおり、パターニングデバイス104における共振器内周波数2倍化などの、非線形光学系158の上流でのさらなる周波数逓倍があり得る。
[0098] 非線形光学系158から、放射ビームがゾーンプレートアレイ148に対して提供される。一実施形態において、各パターニングデバイス104は、関連する1つのゾーンプレートアレイ148を有し得る。したがって、複数の別々のゾーンプレートアレイ148が存在し得る。一実施形態において、2つ以上のパターニングデバイス104が、ゾーンプレートアレイ148を共有し得る。ゾーンプレートアレイ148は、ビームを基板114に集束させる。このように、一実施形態において、モジュール152は、投影システム108の全体または一部を備え得る。一実施形態において、アパーチャを内部に有するアパーチャ構造は、VCSELまたはVECSELと、関連するゾーンプレートアレイ148のレンズとの間に位置し得る。アパーチャ構造は、回折効果を制限する(例えば、特定のレンズに誘導された放射ビームからの回折放射が、該放射ビームに関連しない別のレンズに衝突するのを防止する)ことができる。
[0099] 一実施形態において、VCSELまたはVECSEL102の各々は、ゾーンプレートアレイ148のレンズにビームを提供する。一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148に提供されたビームの各々は、移動中にゾーンプレートアレイ148の個別レンズの断面幅の全体を実質的に対象とするように大きさが決められ、かつ配置される。したがって、例えば、一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148に提供されたビームの断面幅は、関連するレンズ移動幅と組み合わせたゾーンプレートアレイ148の個別レンズの断面幅以上である。例えば、レンズが100ミクロンの直径を有し、X方向の移動幅が20ミクロンである場合、ビーム断面幅は、約120ミクロン以上である。一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148に提供されたビームの断面幅は、ゾーンプレートアレイ148の個別レンズの断面幅と等しくてよく(または該断面幅よりおそらくわずかに大きくてよく)、レンズがX方向に移動するため、ビームはそれぞれのレンズに従うように向けられる。一実施形態において、ビーム形状は、レンズに到達する時に、例えばガウスプロファイルではなく「トップハット(top-hat)」プロファイルを有すべきであり、空間コヒーレンスは良好となる。放射の一部がレンズ断面から外れる場合、例えば、ゾーンプレートアレイ148レベルでの適切なマスク(例えば、ゾーンプレートアレイ148のレンズとレンズとの間の不透明な表面)が必要となる。一実施形態において、適切なビームガイドを設けてビームとビームとの間のクロストークを低減または除去し得る。一実施形態において、マスクおよび/またはビームガイドを容易にするために、レンズ間のピッチは十分に大きくなければならない。一実施形態において、レンズは、160ミクロンのピッチを有する。ただし、一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148に提供されたビームの断面幅は、ゾーンプレートアレイ148の個別レンズの断面幅より小さくてもよい。
[00100] ビームがゾーンプレートアレイ148のレンズの関連する光学的透過部分に収まる場合、個別制御可能素子102(例えば、VCSELまたはVECSEL102)は、所望のパターンに対して適切に「ON」または「OFF」に切り換えることができる。個別制御可能素子102(例えば、VCSELまたはVECSEL102)は、ビームがゾーンプレートアレイ148のレンズの光学的透過部分から完全に外れる時に「OFF」に切り換えられ得る。このように、一実施形態において、個別制御可能素子102からのビームは、いずれの時点においてもゾーンプレートアレイ148の単一のレンズを通過する。レンズの移動と組み合わせた、結果として得られる、個別制御可能素子102からのビームによるレンズの横断によって、オンにされた各個別制御可能素子102からの基板上の関連の結像ラインまたはセグメント(図8を参照)が生じる。
[00101] 一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148は、個別制御可能素子102に対して、上述したものと同様の熱管理制御フィーチャを有し得る。例えば、ゾーンプレートアレイ148は、冷却システムを有し得る。ゾーンプレートアレイ148を、高い熱伝導率を有する材料から形成して、または該材料に取り付けて、アレイからの熱の伝導を容易にしてよく、ここで、このアレイは取り外され、または冷却され得る。
[00102] 一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102を、露光使用中、実質的に一定の定常状態に保つことが望ましい。したがって、例えば、個別アドレス可能素子102のすべてまたは多くは、露光前に電源投入されて、所望の定常状態温度、または該温度付近に到達することができ、任意選択的に、放射は、ゾーンプレートアレイ148を通って露光領域の外側で投影されてゾーンプレートアレイ148を「予熱」し得る。露光中、任意の1つ以上の温度制御構成を使用してゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102を冷却および/または加熱して、定常状態温度を維持し得る。一実施形態において、任意の1つ以上の温度制御構成を使用して、露光前にゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102を加熱して、所望の定常状態温度または該温度付近に到達し得る。そして、露光中、任意の1つ以上の温度制御構成を使用して、ゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102を冷却および/または加熱して、定常状態温度を維持し得る。センサからの測定値をフィードフォワードおよび/またはフィードバックの方法で使用して、定常状態温度を維持することができる。一実施形態において、複数のゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102のアレイの各々は、同一の定常状態温度を有してよく、または、複数のゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102のアレイの1つ以上は、複数のゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102のアレイの他の1つ以上と異なる定常状態温度を有してよい。一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148および/または個別制御可能素子102を所望の定常状態温度より高い温度まで加熱し、そして露光中、任意の1つ以上の温度制御構成によって与えられた冷却により、および/または、個別アドレス可能素子102の使用は所望の定常状態温度より高い温度を維持するのに十分でないことにより、温度が下がる。
[00103] 一実施形態において、位置決めデバイス162は、ゾーンプレートアレイ148の位置を制御する。位置決めデバイス162は、ゾーンプレートアレイ148と基板または基板テーブルの高さを合わせるために、および/または透過イメージラインセンサ(TILS)アライメント(以下に述べる)のために、ゾーンプレートアレイ148を制御し得る。
[00104] 一実施形態において、位置決めデバイスは、ピエゾアクチュエータを備える。一実施形態において、図10を参照すると、位置決めデバイスは、ガフ・スチュワート(Gough Stewart)位置決めユニットを備える。一実施形態において、位置決めデバイス162は、少なくとも1自由度で、少なくとも3自由度で、または6自由度で、ゾーンプレートアレイ148を制御することができる。一実施形態において、位置決めデバイス162は、小型化されたピエゾ・ガフ・スチュワート6自由度アクチュエータを備える。各ゾーンプレートアレイ148は、各自の位置決めデバイス162によって制御され得る。一実施形態において、位置決めデバイス162のための制御信号を計算するために、コントローラ164を設けて位置決めデバイス162を駆動し得る。制御情報は、コントローラ164からバス142を介して他のコントローラへ提供され、同様に、制御情報(例えば、位置補正情報)は1つ以上の外部コントローラおよび/またはセンサからバス142を介してコントローラ164へ提供される。一実施形態において、コントローラ164は、単一の位置決めデバイス162と関連付けられてよく、または、複数の位置決めデバイス162によって共有されてよい。一実施形態において、位置センサを設けて最大6自由度でゾーンプレートアレイ148の位置を決定し得る。例えば、ゾーンプレートアレイの位置センサは、干渉計を備え得る。一実施形態において、ゾーンプレートアレイの位置センサは、1つ以上の1次元エンコーダ格子および/または1つ以上の2次元エンコーダ格子を検出するために使用され得るエンコーダを備え得る。
[00105] 図5を参照すると、図4の複数のモジュール152の構成の概略底面図が示されている。これらのモジュールは、X方向にフレーム160の長さ上に配置されるであろう。各モジュール152のゾーンプレートアレイ148は、基板/基板テーブルの真上でフレームの底部において露光されるであろう。一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148の合算長さLは、基板114(例えば、300mm)の断面寸法(例えば、直径)であり得る。連結されたゾーンプレートアレイ148は、露光ヘッドと呼ばれ得る。図5は、露光ヘッドが、ゾーンプレートアレイ148の2つの対向する露光バンク列、すなわち、近露光バンク列166(例えば、最初に基板を露光する)および遠露光バンク列168、を備える。一実施形態において、図5に示すように、近露光バンク列166のゾーンプレートアレイ148は、遠露光バンク列168のゾーンプレートアレイ148に対してX方向に互い違いに/交互に配置され得る。これにより、近露光バンク列166のゾーンプレートアレイの露光領域と露光領域との間のギャップが遠露光バンク列168の露光領域によって埋まることを可能にすることができる。したがって、露光領域が、例えば、2ナノメートル以下、5ナノメートル以下、10ナノメートル以下、または50ナノメートル以下のクリティカルディメンジョン均一性(CDU)の基準内でつなぎ合わされるべきであるので、ゾーンプレートアレイ148は、適切に位置合わせされることになる。
[00106] 図5において、59個のゾーンプレートアレイ148が示され、各ゾーンプレートアレイの長さは5120ミクロンである。異なる数のゾーンプレートアレイの各々が異なる長さを有し得る。図示のとおり、ゾーンプレートアレイ148を交互配置して基板の断面寸法(例えば、直径)の全体を対象とする。より幅の広い基板を使用する場合、また、より狭い基板に対してより少ないゾーンプレートアレイ148を使用する場合、より多くのゾーンプレートアレイ148が追加され得る。このように、この装置は異なる基板サイズに柔軟に適応し得る。基板全体にわたって延在する露光領域の利点は、適度なイメージデータ帯域幅の要件を維持しながら変動条件のもとで一定した生産性を達成することができることである。さらに、基板全体にわたって延在する露光領域は、比較的低い線形スキャン動作を有することによってマクロ機械的移動の減少を可能にする。このように、大きい機械的移動が回避され得る。比較的遅い移動は、補正不可能な確率変数にもかかわらず、つなぎ合わせCDUの厳しい要件が満たされることを可能にし得る。
[00107] 図6は、一実施形態に係るリソグラフィ装置のレンズアレイ構成の概略上面図である。レンズアレイ構成は、複数のレンズ180を備えるゾーンプレートアレイ148を含む。この実施形態において、256個のレンズが存在する。一実施形態において、レンズの各々は、約100ミクロンの直径を有し得る。256個のレンズは、5120ミクロンのスキャンライン長さL2を対象とし得る。図6に示す実施形態では、レンズは、16×16の鋸歯状構成のレンズの水平オフセット斜線に配置される。一実施形態において、レンズは、例えば20ミクロンの距離D1で、互いに水平に位置する。一実施形態において、基板がラインに対して傾いてスキャンされる場合、すなわち、スキャン動作がラインの垂直方向に平行でない場合、レンズは、斜めではなく垂直に配置され得る。
[00108] 一実施形態において、アレイ148は、レンズアレイ構成のフレーム176内に、またはフレーム176によって支持される。一実施形態において、フレーム176は、金属を含む。一実施形態において、アレイ148は、1つ以上のマウントポイント172によってフレーム176に接続される。一実施形態において、アレイ148は、フレーム182に接続されてよく、ひいては1つ以上のマウントポイント172によってフレーム176に接続される。一実施形態において、フレーム176およびマウントポイント172は、1つのモノリシック構造であり得る。一実施形態において、フレーム176、マウントポイント172、およびフレーム182は、1つのモノリシック構造であり得る。フレーム176および/またはフレーム182は、金属シートから構築されてよく、この金属シートは、ゾーンプレートアレイ148と同一の厚さを有し得る。この厚さの一致は、Z軸に沿って正確な重心を可能にし、かつ基板表面に対するアレイ148の正確な近接を可能にし得る。一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148を横方向に支持する1つ以上の可撓性マウント178が存在し得る。
[00109] 一実施形態において、レンズアレイ構成は、ゾーンプレートアレイ148を変位させる1つ以上のアクチュエータ174を備える。一実施形態において、アクチュエータ174は、ピエゾアクチュエータを含む。一実施形態において、アクチュエータ174は、フレーム176に対してゾーンプレートアレイ148(設けられている場合、フレーム182を含む)を加速させる。フレーム176は、振動を吸収するバランスマスとして機能し得る。図6において、2つのアクチュエータ174が示されている。
[00110] 一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148(および、任意選択的にフレーム182)は、マウント172としてのばねヒンジを介してフレーム176に接続される。ばねヒンジは、例えば25KHzのアセンブリの固有周波数に対して調整され得る。ヒンジの接続点は、アクチュエータ174に接続されたレバーアームの回転中心に実質的に位置する。このことは、防振を行うのに役立つ。
[00111] 一実施形態において、アクチュエータ174の作動は、実質的にX方向にゾーンプレートアレイ148の振動を引き起こし得る。このように、ゾーンプレートアレイ148は、例えば25KHzの固有周波数でX方向に、正弦状に近い運動で振動し得る。この振動は、例えば34ミクロンの振幅を有し得る。この振動により、ゾーンプレートアレイ148のレンズによってビームはX方向にスキャンすることになる。さらに、以下に述べるとおり、アクチュエータ174の作動は、X方向の振動に加えて、または該振動の代わりに実質的にY方向にゾーンプレートアレイ148の振動を引き起こし得る。
[00112] 図7は、一実施形態に係るリソグラフィ装置のレンズアレイ構成の概略上面図である。図7のレンズ構成は、図6のレンズアレイ構成と同様である。この実施形態において、レンズは、異なる構成に配置される。レンズは、16×16アレイではなく8×32構成に配置される。さらに、鋸歯状パターンではなく、レンズは、斜めにレンズを接続するラインによって図7に概略的に示される三角形パターンに配置される。一実施形態において、レンズは、例えば20ミクロンの距離D1で互いに水平に位置する。一実施形態において、水平に隣接するレンズは、例えば160ミクロンのギャップD2で互いに間隔をおいて配置される。一実施形態において、レンズは、1120ミクロンの幅W1を有し得る。
[00113] このレンズレイアウトは、1つ以上の改善をもたらし得る。例えば、この設計は、コントローラ140のFIFOの記憶容量を半減させ得る。三角形のスキャンパターンは、最上行および最下行のレンズ間の潜在的つなぎ合わせエラーを半減させ得る。このレイアウトは、より小さい表面に起因してより良好なオーバーレイコントロールを提供し得る。このレイアウトは、ゾーンプレートアレイ148の質量を半減させ得る。このレイアウトは、ビーム経路の非線形光学系158のサイズを低減させ得る。
[00114] さらに、図7に示すように、1つ以上のアクチュエータ174、フレーム176、およびフレーム182からなる異なる構成が設けられる。例えば、この実施形態において、4つのアクチュエータ174が存在する。
[00115] 図8を参照すると、実施形態に係るリソグラフィ装置の放射投影の概略図が示されている。基板とゾーンプレートアレイ148との間のスキャン動作は、Y方向の矢印Sによって示されている。さらに、上述のとおり、アクチュエータ174は、X方向にゾーンプレートアレイ148の例えば正弦状の振動を引き起こす。一実施形態において、振動は、例えば34ミクロンの振幅D3を有し得る。図8において、相対スキャンと組み合わせた振動が曲線186によって示されている。したがって、25KHzの振動周波数で、40マイクロ秒の周期である。図8に示すとおり、実際の露光動作は、50%のデューティサイクルを有し、すなわち、1サイクル当たり2露光周期が存在する。したがって、結果として、1つのビーム/レンズ当たり毎秒幅D1(この場合、20ミクロン)である50,000セグメント/スキャンライン188が存在する。このように、セグメント/スキャンライン188ごとに10マイクロ秒がかかる。1mm/sの相対スキャン動作Sで、各セグメント/スキャンラインは、Y方向の10nmの変位に対応する。したがって、5120ミクロンのスキャンライン長さを対象とする256個のレンズのアレイについて、1周期当たり約1,000スポットが存在し、これは、50MHzの波発生に言い換えられる100Mサンプルである。
[00116] 図8に見られるように、露光ビームは、例えば1mm/sの相対スキャン動作Sに起因してセグメント/スキャンライン188を通る斜め経路をたどる傾向がある。このように、図9(A)は、露光ビーム移動を概ね示している。したがって、スキャン動作を補償するために(および図9(B)に概ね示すような露光動作を有するために)、X方向振動の周波数の2倍(例えば、X方向振動が25KHzである場合に50KHz)のY方向の変調に、セグメント/スキャンライン188の変位D4(例えば、10nm)と実質的に等しい振幅が加えられる。このように、ゾーンプレートアレイ148は、概ねリサージュ状経路を描くことになる。このことは、セグメント/スキャンラインが互いに実質的に平行に露光されることを確実にするのに役立つ。X方向およびY方向の両方の能動追加的変調は、様々な露光段階中に実質的に一定の速度および線形動作を確実にするのに役立つように提供されるべきである。一実施形態において、アクチュエータ174は、ゾーンプレートアレイ148を駆動し、同期を制御し、かつリサージュ状露光動作に対する正確な制御を提供する。
[00117] 放射ビームの基板上への正確な位置決めを行うのに役立つために、装置は、基板上に投影された放射ビームに関連する1つ以上のパラメータを測定するセンサ145を備え得る。図3を参照すると、センサ145の例示的な位置が示されている。一実施形態において、1つ以上のセンサ145が基板テーブル106内または基板テーブル106上に設けられて基板114を保持する。例えば、センサ145は、基板テーブル106の前側(図示あり)および/または基板テーブル106の後側(図示あり)に設けられ得る。センサは、基板114によって覆われない位置に置かれるのが望ましい。別のまたは追加の例において、センサは、基板テーブルの側方縁(図示せず)に、望ましくは基板116によって覆われない位置に設けられ得る。基板テーブル106の前側のセンサ145は、露光前検出に使用することができる。基板テーブル106の後側のセンサ145は、露光後検出に使用することができる。基板テーブル106の側方縁のセンサ145は、露光中の検出(「実行中」検出)に使用することができる。一実施形態において、センサ145は、フレーム160(例えば、センサ150として、またはセンサ150の一部)上に存在してゾーンプレートアレイ148からビーム再誘導構造(例えば、図3に示すように基板テーブル106上のセンサ145の位置に配置された反射ミラー構成)を介して放射を受けてよく、またはVECSELまたはVCSELからゾーンプレートアレイ148(例えば、ビームスプリッタ)へのビーム経路の放射を受けてよい。この実施形態は、露光前および/または露光後センシングに加えて、または、該センシングの代わりに、「実行中」センシングを可能にし得る。それに加えて、または、その代わりに、センサ145、またはセンサ145に対するビーム再誘導構造は、基板テーブル106とは別のセンサ構造上に設けられ、かつフレーム160に対して移動可能であり得る。この構造は、アクチュエータによって移動可能であり得る。一実施形態において、センサ構造は、基板テーブル106が移動する経路の下方に、または、該経路の側方に位置する。一実施形態において、この構造は、(基板テーブル106がそこに存在しない場合、)アクチュエータによって基板テーブル106のセンサ145が図3に示されている位置まで移動し得る。そのような移動は、(この構造が経路の側方に位置する場合、)例えば、Z方向またはXおよび/またはY方向であり得る。一実施形態において、センサ構造は、基板テーブルが移動する経路の上方に位置する。一実施形態において、センサ構造は、(例えば、回転した)アクチュエータによってゾーンプレートアレイ148の下方まで移動し得る。一実施形態において、センサ構造は、フレーム160に取り付けられ、(例えば、回転した)フレーム160に対して変位可能であり得る。
[00118] 基板に向かって送出された、または送出される放射の特徴を測定する動作において、センサ145(またはビーム再誘導構造)は、例えばセンサ145を移動させることによって、ゾーンプレートアレイ148からの放射の経路に位置する。したがって、例として、図3を参照すると、基板テーブル106は移動してゾーンプレートアレイ148からの放射の経路にセンサ145(またはビーム再誘導構造)を位置決めし得る。その場合、センサ145(またはビーム再誘導構造)は、露光区域204においてゾーンプレートアレイ148からの放射ビーム内に位置決めされる。センサ145(またはビーム再誘導構造)が放射経路にいったん位置すると、センサ145は、放射を検出し、放射に関して1つ以上のパラメータを測定することができる。センシングを容易にするために、センサ145(またはビーム再誘導構造)は、ゾーンプレートアレイ148に対して移動してよく、および/または、ゾーンプレートアレイ148は、センサ145(またはビーム再誘導構造)に対して移動してよい。
[00119] 一実施形態において、センサ145は、基板上の所望の位置へのビームのアライメントを容易にし得る。このように、一実施形態において、適切かつ正確な露光ビームアライメントを提供するために、透過イメージラインセンサ145を使用して測定のための放射ビームの1つ以上を受ける。一実施形態において、センサ145は、基板の全幅にわたって延在する。
[00120] センサ145を使用して放射ビームの1つ以上を較正し得る。例えば、放射ビームのスポットの位置は、露光前にセンサ145によって検出することができ、システムはそれに応じて較正される。そして、こうしたスポットの予測位置に基づいて露光を調節することができる(例えば、基板114の位置を制御し、ビームの位置を(例えば、ゾーンプレートアレイ148またはそのレンズの移動を介して)制御し、VECSELまたはVCSELを「OFF」または「ON」に制御する、等)。さらに、較正が順次行われ得る。例えば、基板テーブル106の後側のセンサ145などを使用してさらなる露光の前の露光の直後に較正が行われ得る。特定の回数の露光等の後に、各露光の前に較正が行われ得る。さらに、放射ビームのスポットの位置は、例えば、基板114の側部等におけるセンサ145を使用して「実行中に」検出されてよく、露光はそれに応じて調節される。「実行中」センシングに基づいて、再較正が存在し得る。
[00121] センサ145の動作の一実施形態において、基板の露光が開始される前に、フレーム160上のゾーンプレートアレイ148からのビームが、基板テーブル106の前側におけるセンサ145(すなわち、図3に示す、フレーム160に最も近いセンサ145)によって受けられ、かつ測定される。例えば、放射ビームからの放射のスポットの位置(X−Y面)が測定される。一実施形態において、それに加えて、または、その代わりに、センサ145は、X、Yおよび/またはZ軸を中心とした回転、および/または、Z方向の位置を決定し得る(以下に関連して述べる)。ビームの相対的アライメントが分析される。
[00122] 一実施形態において、また、必要である場合、フレーム160上のゾーンプレートアレイ148の1つ以上の位置について、放射ビームが互いに適切に位置合わせされるように再アライメントが行われる。一実施形態において、再アライメントは、位置決めデバイス162によって行われ得る。一実施形態において、再アライメントは、1自由度、2自由度、少なくとも3自由度、または6自由度で行われ得る。一実施形態において、以下に述べるとおり、個別レンズの再アライメントが行われ得る。
[00123] 基板の露光後、基板テーブル106の後側におけるセンサ145(すなわち、図3に示す、フレーム160から最も遠いセンサ145)は、放射ビームの投影を再確認する。例えば、結果が今までどおり一致し、基板114の露光中の基板テーブル106の動的パフォーマンスが検査されると、基板114の露光は良好であるとみなされ得る。このように、放射ビームは、最初に前側センサ145を使用して較正され、後側センサ145を使用して基板の露光の最後に位置決め精度が再び確認される。
[00124] それに加えて、または、その代わりに、基板に向けて送出された、または送出される放射の1つ以上の特徴がセンサ145によって測定される。一実施形態において、放射ビーム(ひいては、VECSELまたはVCSEL)の露光強度は、確認および/または較正され得る。それに加えて、または、その代わりに、放射ビームの放射の均一性および/または放射ビームのスポットの断面サイズまたは断面積が、確認および/または較正され得る。
[00125] 一実施形態において、センサ145は、ゾーンプレートアレイ148からの各放射ビームについて、またはゾーンプレートアレイ148からの複数の放射ビームについて、焦点を測定するように構成され得る。焦点外れ状態が検出されると、焦点は、ゾーンプレートアレイ148の各レンズについて、またはゾーンプレートアレイ148の複数のレンズについて、補正され得る。焦点は、例えば、アレイ148をZ方向(および/またはX軸および/またはY軸について)移動させることによって補正され得る。
[00126] 一実施形態において、ゾーンプレートアレイ148のレンズの焦点、収差等は、放射の1つ以上のビーム(例えば、1つ以上の赤外ビーム)を使用して加熱することができるアレイ148の上部および/または底部の熱吸収スポットまたは領域を使用して、特定のレンズにおける局所加熱または該レンズ付近での局所加熱を利用して補正され得る。一実施形態において、1つ以上の加熱ビームは、露光ビームと交互配置される。1つ以上の加熱ビームは、例えば、VECSELまたはVCSELアレイによって供給され得る。1つ以上の加熱ビームは、適切なビームスプリッタを用いて、または角度を付けた経路を直接介してビーム経路に結合され得る。バイアス加熱制御と組み合わせたそのような実施によって、正確なレベルでのレンズ間隔および/またはレンズアレイ曲率の制御が場合によっては可能になり得る。
[00127] それに加えて、または、その代わりに、ゾーンプレートアレイ148は、局所圧電効果によって局所的な移動を誘発することができる適切な圧電材料(例えば、結晶石英)を含み得る。このように、1つ以上の導電体が、ゾーンプレートアレイ148内またはゾーンプレートアレイ148上で動作し、適切な位置で電荷を付与してゾーンプレートアレイ148の圧電材料の移動を引き起こすことができ、この移動は、ゾーンプレートアレイ148の1つ以上のレンズの局所的な移動を引き起こす。
[00128] さらに、一実施形態において、露光のタイミングを変化させて、特定の補正のために、X方向のゾーンプレートアレイ148のフラグメント188を伸縮させ得る。
[00129] また、所与の精度において、センサ145は、ナノメートルレベルまで完全でなくてもよい。このように、センサ145は、マッピングされて欠陥(もしあれば)を定義する必要があり得る。
[00130] 図13は、各々が1つ以上の個別アドレス可能素子を備える複数の光学エンジンを使用して、単一スキャンで基板114全体を露光し得る方法を概略的に示している。各光学エンジンは、別個のパターニングデバイス104と、任意選択的に、別個の投影システム108および/または上述した放射システムと、を備え得る。ただし、2つ以上の光学エンジンが、放射システム、パターニングデバイス104、および/または投影システム108の1つ以上の少なくとも一部を共有し得ると理解されたい。一実施形態において、各光学エンジンは、パターニングデバイス104およびゾーンプレートアレイ148を備える。この実施形態において、明確性のために、8個の光学エンジンが基板114の幅を対象とするとして概略的に示されている。図5から分かるように、実際には、はるかに多くの光学エンジンが存在し得る。8個の光学エンジンによって放射スポットの8個のアレイ(図示せず)が生成され、これらの光学エンジンは、1つの放射スポットアレイの縁が隣接する放射スポットアレイの縁にわずかに重なるように、「チェスボード」または互い違いの構成の2つの列166、168に配置される。一実施形態において、光学エンジンは、より多くの行に配置され得る。このように、放射の帯域が基板Wの幅にわたって延在することによって、基板全体の露光を1回のスキャンで行うことが可能になる。そのような「全幅」の1回の露光は、2回以上の移動を結合する際のつなぎ目の問題を回避することに役立ち、さらに、基板移動方向を横切る方向に基板を移動させる必要がないため機械の占有面積を低減させる。任意の好適な数の光学エンジンを使用できることが理解されるであろう。一実施形態において、光学エンジンの数は、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、または少なくとも50である。一実施形態において、光学エンジンの数は、1,000未満、例えば500未満、250未満、100未満、または75未満である。
[00131] 本明細書に記載の実施形態では、個別アドレス可能素子(例えば、VECSELまたはVESEL)を制御するコントローラが提供される。例えば、個別アドレス可能素子が放射放出デバイスである例では、コントローラは、個別アドレス可能素子をONまたはOFFにする時を制御し、個別アドレス可能素子の高周波変調を可能にし得る。コントローラは、個別アドレス可能素子の1つ以上によって放出される放射の出力を制御し得る。コントローラは、個別アドレス可能素子の1つ以上によって放出される放射の強度を変調し得る。コントローラは、個別アドレス可能素子のアレイのすべてまたは一部の強度の均一性を制御/調整し得る。コントローラは、個別アドレス可能素子の放射出力を調整して結像エラー、例えば、エタンデュおよび光学収差(例えば、コマ収差、非点収差など)を補正し得る。
[00132] リソグラフィでは、基板上のレジストの層を選択的に露光することで、例えば、レジストの層をパターン付き放射に露光することで、所望のフィーチャを基板上に作成できる。一定の最小の放射ドーズ(「ドーズしきい値」)を受けるレジストの領域は化学反応を起こすが、その他の領域は変化しない。レジスト層内のこうして生成された化学的な差によってレジストを現像すること、すなわち、選択的に少なくとも最小のドーズを受けた領域を除去すること、または最小のドーズを受けなかった領域を除去することが可能になる。その結果、基板の一部は依然としてレジストによって保護されているが、レジストが除去された基板の領域は露光され、例えば、基板の選択的エッチング、選択的金属蒸着などの追加の処理ステップが可能になり、それによって所望のフィーチャが生成される。放射のパターニングは、所望のフィーチャ内の基板上のレジスト層のある領域に送出される放射の強度が十分に高く、この領域が露光中にドーズしきい値を超えた放射ドーズを受けるように、パターニングデバイス内の個別制御可能素子を設定することで、実行され得る。一方、基板上の他の領域は、ゼロまたは著しく低い放射強度を提供するように、対応する個別制御可能素子を設定することで、ドーズしきい値未満の放射ドーズを受ける。
[00133] 実際に、個別制御可能素子が最大放射強度をフィーチャの境界の一方の側に提供し、最小放射強度を他方の側に提供するように設定されている場合であっても、所望のフィーチャの縁部の放射ドーズは、所与の最大ドーズからゼロドーズに急激に変化するわけではない。逆に、回折効果のために、放射ドーズのレベルは、遷移域全体にわたって低下し得る。そして、レジストの現像後に最終的に形成される所望のフィーチャの境界位置は、受光されたドーズが放射ドーズしきい値を下回るまで低下する位置によって決定される。遷移域全体にわたる放射ドーズの低下のプロファイル、したがって、フィーチャの境界の正確な位置は、フィーチャの境界上またはその付近の基板上のポイントに放射を提供する個別制御可能素子を、最大または最小強度レベルだけでなく、最大および最小強度レベルの間の各強度レベルに設定することによって、より正確に制御することができる。これを、一般に「グレースケーリング」または「グレーレベリング」と呼ぶ。
[00134] グレースケーリングは、所与の個別制御可能素子によって基板に提供される放射強度が2つの値(すなわち、最大値および最小値のみ)にしか設定できないリソグラフィシステムで可能な制御と比べて、フィーチャの境界位置のより大きい制御を提供できる。一実施形態において、少なくとも3つの異なる放射強度値、例えば、少なくとも4つの放射強度値、少なくとも8個の放射強度値、少なくとも16個の放射強度値、少なくとも32個の放射強度値、少なくとも64個の放射強度値、少なくとも100個の放射強度値、少なくとも128個の放射強度値、少なくとも256個の放射強度値、少なくとも512個の放射強度値、少なくとも1024個の強度値、または少なくとも2048個の強度値、を基板上に投影することができる。パターニングデバイスが放射源そのもの(例えば、VECSELまたはVCSELのアレイ)である場合、グレースケーリングは、例えば、送出される放射の強度レベルを制御することによって実行できる。コントラストデバイスがマイクロミラーデバイスである場合、グレースケーリングは、例えば、マイクロミラーの傾斜角を制御することによって実行できる。また、グレースケーリングは、コントラストデバイス内の複数のプログラマブル素子をグループ化し、所与の時間にオンまたはオフされるグループ内の素子の数を制御することによって実行できる。
[00135] 一例では、パターニングデバイスは、以下の状態を含む一連の状態を有し得る。すなわち、(a)提供された放射が、その対応する画素の強度分布へ最小の寄与またはゼロの寄与である黒い状態と、(b)提供された放射が最大の寄与をもたらす最も白い状態と、(c)提供された放射が、中間の寄与をもたらす中間の複数の状態とである。上記の状態は、通常のビームのパターニング/印刷のために使用される通常セットと、欠陥のある素子の作用を補償するために使用される補償セットとに分類される。通常のセットは、黒い状態と、中間状態の第1グループとを含む。この第1グループは、グレー状態として記述され、それらは、最小の黒の値から一定の通常の最大値までの、対応する画素の強度に対して、漸進的に増加する寄与を提供するように選択可能である。補償セットは、最も白い状態とともに残りの中間状態の第2グループを含む。この中間状態の第2グループは白い状態として記述され、それらは、最も白い状態に対応する真の最大値まで漸進的に増加する通常の最大値より大きい寄与を提供するように選択可能である。第2グループの中間状態は、白い状態として記載されるが、これは、通常および補償的な露光ステップの間の区別を容易にすることのみを目的とする。あるいは、複数の状態の全体を、グレースケール印刷を可能にするために選択できる黒と白との間のグレー状態のシーケンスとして記述してもよい。
[00136] グレースケーリングは、上記に対する追加または代替の目的のためにも使用できることを理解されたい。例えば、露光後の基板の処理は、受光した放射ドーズレベルに応じて基板の区域の3つ以上の潜在的な応答があるように調整できる。例えば、第1しきい値より下の放射ドーズ量を受ける基板の部分は第1方法で応答する。第1しきい値を超えているが第2しきい値より下の放射ドーズを受ける基板の部分は第2方法で応答する。第2しきい値を超える放射ドーズを受ける基板の部分は、第3方法で応答する。したがって、グレースケーリングは、3つ以上の所望のドーズレベルを有する放射ドーズプロファイルを基板全体に提供するために使用することができる。一実施形態において、放射ドーズプロファイルは、少なくとも2つの望ましいドーズレベル、例えば少なくとも3つの望ましい放射ドーズレベル、少なくとも4つの望ましい放射ドーズレベル、少なくとも6つの望ましい放射ドーズレベル、または少なくとも8個の望ましい放射ドーズレベルを有する。
[00137] さらに、上述のとおり、放射ドーズプロファイルは、基板上の各ポイントで受ける放射の強度を制御するだけに留まらない他の方法によっても制御することができることを理解されたい。例えば、基板上の各ポイントで受ける放射ドーズは、上記ポイントの露光時間を制御することで、代替的にまたは追加的に制御できる。別の例として、基板上の各ポイントは、複数の連続的な露光で放射を潜在的に受けることができる。したがって、各ポイントが受ける放射ドーズは、上記複数の連続的な露光の選択されたサブセットを用いて上記ポイントを露光することによって、代替的にまたは追加的に制御できる。
[00138] 基板上にパターンを形成するために、パターニングデバイス内の個別制御可能素子の各々を、露光工程中に各ステージで必要な状態に設定する。したがって、必要な状態を表す制御信号が、個別制御可能素子の各々に送出される。望ましくは、リソグラフィ装置は、制御信号を生成する制御システム300を含む。基板上に形成されるパターンは、例えばGDSIIなどのベクトル定義形式で、例えばファブイメージ・ホストネットワーク302からリソグラフィ装置に提供され得る。一実施形態において、パターンデータは、標準無損失ビットマップファイル形式などを可能にする直交方形ピクセル形式をとり得る。
[00139] 設計情報を各々の個別制御可能素子に対する制御信号に変換するために、制御システム300は、各々がパターンを表すデータストリームに対する処理ステップを実行するように構成された1つ以上のデータ操作デバイスを含む。これらのデータ操作デバイスを集合的に「データパス」と呼んでもよい。データパスであるデータ操作デバイスは、ベクトルベースの設計情報をビットマップパターンデータに変換する機能、ビットマップパターンデータを必要な放射ドーズマップ(すなわち、基板全体にわたる必要な放射ドーズプロファイル)に変換する機能、必要な放射ドーズマップを各々の個別制御可能素子の必要な放射強度値に変換する機能、および各々の個別制御可能素子の必要な放射強度値を対応する制御信号に変換する機能の1つ以上を実行するように構成され得る。
[00140] 図12は、一実施形態に係るリソグラフィ装置のイメージデータパスの概略図である。この実施形態において、システムは、256個の個別制御可能素子(例えば、VCELまたはVECSEL)を制御する。もちろん、イメージデータパスは、異なる数の個別制御可能素子について設定され得る。さらに、イメージデータパスの観点から、特定の数、タイプ等のライン、メモリ、コントローラ等を本明細書において述べるが、本発明は、必ずしも限定されず、本発明の実施形態は、異なる数、タイプ等のラインおよび/またはメモリ、および/またはコントローラ等を備え得る。
[00141] 図12を参照すると、例示的な制御システム300は、光学トランシーバおよびスイッチ304において、基板上に投射されるパターン(イメージ)を、例えばファブイメージ・ホストネットワーク302から受ける。一実施形態において、光学トランシーバおよびスイッチ304への、および光学トランシーバおよびスイッチ304からの経路は、ファイバ光学ラインである。一実施形態において、ファイバ光学ラインは、4つの32ファイバ(640Gbps帯域)を含む。
[00142] 光学トランシーバおよびスイッチ304から、パターンをメモリに格納する。一実施形態において、メモリは、1つ以上の固体ドライブ(SSD)を備える。一実施形態において、パターンは2つの異なるデータストアに格納される。一方のデータストアは、露光中に使用され、他方のデータストアは、バックアップとして利用可能であり、および/またはイメージホストからの追加のイメージアップロードに対して開放されている。このように、一実施形態において、ストア306、312の代替的な使用が存在する。したがって、一実施形態において、メモリ(例えば、固体ドライバ)308と、メモリ308と光学トランシーバおよびスイッチ304との間のデータを転送する関連コントローラ310と、を備える第1パターンデータストア306が存在する。第2パターンデータストア312は、メモリ308と、関連コントローラ310と、を同様に備え得る。一実施形態において、第2パターンデータストア312の仕様は、第1パターンデータストア306と同様である。一実施形態において、各データストア306、312は、24個の全フィールドパターン・イメージサイズのバッファである。
[00143] 一実施形態において、メモリは、冷却を容易にするハウジングを一実施形態において有しない、256個のGB固体ドライブ(64Tb)を備える。一実施形態において、メモリは、1秒当たり1.4GBの持続帯域を可能にする(任意選択的に、M.2クラス形式の)複数のPCI−Express固体ドライブを備え得る。この構成は、1つの光学リンク当たり単一のそのような固体ドライブを支持し、1つの光学リンク当たり2つの従来の固体ドライブのデータストリームを有することを排除し得る。一実施形態において、各SSDは、SATA600インターフェイスと少なくとも500MB/秒の定格読取速度を備える。関連する多数のSSDカードを考慮すると、堅牢性が望まれる。したがって、一実施形態において、データストア306、312は、概念的にRAID0およびRAID1と同様のものである機械適応された結合バージョンである。個別データストア306、312は、RAID1の方法で互いにバックアップを行い(すなわち、特定のイメージのイメージデータが両方のストア306、312に存在する)、その一方、各データストア内でRAID0のようにすべてのSSDが同時にアクセスされて、内部光学バス上で80GB/秒の帯域でイメージデータストリームを生成する。例えばSSD故障の場合、データストア306は、データストア312と直ちに電子的に交換することができ(その逆も同様である)、処理を継続することができる。このことは、該当する時間に処理中であり得るもののその後に回復することができるイメージデータ転送を中断する可能性がある。現在のSSDはNANDフラッシュメモリを備えるので、有限の書込みサイクルを有し得る。このように、一実施形態において、コントローラ310、312は、ランダマイザ機構によって同一領域への多数の書込みを防止し得る。さらに、一実施形態において、SSDの容量は、必要な容量より4倍大きくなる。このことは、書込み強度を低減させるのに役立つ。例えば、一般に、書込みより多い回数、イメージを読み込むデータストアが期待されるであろう。したがって、容量は、二次関数的に摩耗を低減させ得る。
[00144] 一実施形態において、コントローラ310は、各64個の固体ドライブに対する4つのディスクコントローラを、4つの32光学アウトファイバとともに備えるアレイコントローラを備える。各コントローラは、その並列のSSDカードおよび同一のデータストア内の3つの近接したコントローラについてデータの格納/検索およびデータ転送の同期を並列に扱う。1つのコントローラにつき、データ出力は、光学マルチドロップバスコントローラに至る光学トランシーバおよびスイッチ304または光学ファブイメージ・ホストネットワークインターフェイス302を介して32ファイバ光学ケーブル上で2−1TDM方式で集約される。
[00145] 光学トランシーバおよびスイッチ304から、露光バンク行166、168に対する光学マルチドロップバスコントローラ314、316に向けてイメージデータが提供される。光学マルチドロップバスコントローラ314は、イメージデータを近露光バンク行166に提供する。光学マルチドロップバスコントローラ316は、イメージデータを遠露光バンク行168に提供する。一実施形態において、各光学マルチドロップバスコントローラ314、316は、2つの16光学マルチドロップバスコントローラを備える。露光バンク行に必要なデータ間にタイムラグが存在するため、かつ、1つのイメージの行当たり1回しか光学バス上にイメージデータが存在しない場合、遅延ライン318は、例えばFIFO形態をとり、遠露光バンク列168に対する光学バスまでデータをプッシュする。一実施形態において、遅延ライン318は、最大160GB DRAM(2秒)を備える。
[00146] 光学マルチドロップバスコントローラ314、316から、各パターニングデバイス104に対する制御システムに、パターンデータが提供される。一実施形態において、各パターニングデバイス104に対する制御システムは、光学レシーバおよび高速キャプチャバッファ320と、マトリクススイッチ322と、FiFoストレージ324と、を備える。FiFoストレージ324から、データを波(インパルス)ジェネレータ140に提供して、個別制御可能素子102(例えば、VCSELまたはVECSEL)の放射出力を制御する。一実施形態において、様々なコンポーネントが256個の500Mbps(128Gbps帯域)ラインによって接続され得る。一実施形態において、光学レシーバおよび高速キャプチャバッファ320と、マトリクススイッチ322と、FiFoストレージ324と、波(インパルス)ジェネレータ140と、個別制御可能素子102は、モジュール152に含まれる(含まれなくてもよい)。一実施形態において、波(インパルス)ジェネレータ140および個別制御可能素子102のみがモジュール152に含まれる。
[00147] 一実施形態において、波ジェネレータ140からの出力信号が、増幅アナログ信号ではなくインパルス長さ変調信号として駆動される。これにより、非線形光学変換効率はビーム強度によって駆動されるので、効率的で一貫性のある非線形光学変換が可能になり得る。
[00148] 露光ビームが「点火」されると同時に、基板114、ゾーンプレートアレイ148等の位置決めにおいてデータのレベリングおよびマッチングを考慮する必要があることが理解されよう。
[00149] 一実施形態において、パターンを提供する制御信号を変更して、基板上へのパターンの適切な供給および/または実現に影響し得る要因を表すことができる。例えば、制御信号に対して補正を行って、個別制御可能素子102および/またはゾーンプレートアレイ148の加熱を表すことができる。そのような加熱によって個別制御可能素子102および/またはゾーンプレートアレイ148のレンズのポイント方向を変更すること、個別制御可能素子102および/またはゾーンプレートアレイ148のレンズからの放射の均一性を変更することなどが可能になり得る。一実施形態において、例えばセンサからの個別制御可能素子102および/またはゾーンプレートアレイ148に関連付けられた温度および/または拡張/収縮の測定値を用いて、パターン形成のために提供されていたはずの制御信号を変更できる。したがって、例えば、露光中に、個別制御可能素子102および/またはゾーンプレートアレイ148の温度が変化し、この変化によって単一の一定の温度で提供されていたはずの投影パターンを変えることができる。したがって、制御信号を変更してそのような変化を表すようにできる。同様に、一実施形態において、センサ145および/またはセンサ150からの結果を使用して、個別制御可能素子102が提供したパターンを変更し得る。このパターンを変更して、例えば、個別制御可能素子102と基板114との間の光学系(もしあれば)から生じ得る歪み、基板114の位置決めのばらつき、基板114の不均一性などを補正し得る。
[00150] 一実施形態において、制御信号の変化は、測定されたパラメータ(例えば、温度測定値、レベルセンサによる距離測定値など)から生じる所望のパターンに対する物理的/光学的な結果の理論に基づいて決定され得る。一実施形態において、制御信号の変化は、測定されたパラメータから生じる所望のパターンに対する物理的/光学的な結果の実験的または経験的モデルに基づいて決定され得る。一実施形態において、制御信号の変化は、フィードフォワードおよび/またはフィードバック方法で適用され得る。
[00151] 図13は、本発明の一実施形態に係る、例えば、フラットパネルディスプレイ(例えば、LCD、OLEDディスプレイなど)の製造で基板を露光するためのリソグラフィ装置の概略上面図を示している。図3に示すリソグラフィ装置100と同様、リソグラフィ装置100は、フラットパネルディスプレイ基板114を保持する基板テーブル106と、基板テーブル106を移動させる位置決めデバイス116と、を備える。リソグラフィ装置100は、フレーム160上に配置された複数のパターニングデバイス104をさらに備える。この実施形態において、パターニングデバイス104の各々は、複数のVCSELまたはVECSELを備える。図13に示すように、パターニングデバイス104は、X方向に沿って延在する、個別アドレス可能素子102を備える多数の別個のパターニングデバイス104として配置される。一実施形態において、個別アドレス可能素子102は、実質的に静止状態であり、すなわち、投影中に有意には移動しない。さらに、一実施形態において、パターニングデバイス104の多数のゾーンプレートアレイ148が、交互に、隣接するゾーンプレートアレイ148と互い違いに配置される(例えば、図5を参照)。リソグラフィ装置100は、ピクセルグリッド結像を提供するように配置され得る。
[00152] リソグラフィ装置100の動作において、パネルディスプレイ基板114は、例えば、ロボットハンドラ(図示せず)を用いて基板テーブル106上にロードされる。基板114は、次に、フレーム160と、パターニングデバイス104のゾーンプレートアレイ148との下方をY方向に変位する。そして、基板114は、個別にアドレス可能素子102と、パターニングデバイス104のゾーンプレートアレイ148とを用いてパターンに露光される。
[00153] 図14は、本発明の一実施形態に係る、ロールトゥロール(roll-to-roll)フレキシブルディスプレイ/電子機器と併用するリソグラフィ装置の概略上面図を示している。図13に示すリソグラフィ装置100と同様、リソグラフィ装置100は、フレーム160上に配置された複数のパターニングデバイス104を備える。この実施形態では、パターニングデバイス104の各々は、VECSELまたはVCSELを備える。
[00154] リソグラフィ装置は、また、基板114が移動するオブジェクトテーブル106を有するオブジェクトホルダを備え得る。基板114は、柔軟であり、位置決めデバイス116に接続されたロールに巻き付けられ、この位置決めデバイス116は、ロールを回転させるモータであり得る。それに加えて、または、その代わりに、一実施形態において、基板114は、位置決めデバイス116に接続されたロールから繰り出されてよく、この位置決めデバイス116は、ロールを回転させるモータであり得る。一実施形態において、少なくとも2つのロールがあり、一方は基板を繰り出すロールで、もう一方は基板を巻き付けるロールである。一実施形態において、例えば、基板114がロールとロールとの間で十分に堅固であれば、オブジェクトテーブル106を提供しなくてもよい。そのような場合でも、オブジェクトホルダ、例えば、1つ以上のロールが存在する。一実施形態において、リソグラフィ装置は、基板のキャリアレス(例えば、キャリアレスフォイル(CLF))および/またはロールトゥロール製造を提供することができる。一実施形態において、リソグラフィ装置は、シートトゥシート(sheet to sheet)製造を提供することができる。
[00155] リソグラフィ装置100の動作において、柔軟な基板114は、フレーム160およびパターニングデバイス104の下方でY方向にロールに巻き付けられ、および/またはロールから繰り出される。基板114は、次に、個別にアドレス可能素子102およびゾーンプレートアレイ148を用いてパターンに露光される。個別にアドレス可能素子102を動作させて、例えば、本明細書で説明するピクセルグリッド結像を提供することができる。
[00156] 一実施形態において、フレーム160は、流体の基板との接触を維持して基板の液浸露光を容易にするように構成された流体閉じ込め構造を備え得る。一実施形態において、流体閉じ込め構造は、フレーム160と基板テーブルとの間の基板に液浸流体(例えば、液体)を提供するインレットを備え得る。一実施形態において、流体閉じ込め構造は、液浸流体を除去するアウトレットを備える。一実施形態において、流体閉じ込め構造は、基板に対向するフレーム160の底部に矩形のアウトレットを備え、この矩形のアウトレットはX方向にフレーム160の長さにわたって延在し、Y方向にゾーンプレートアレイ148の少なくとも長さを有する。矩形のアウトレットの内部で、インレットは、アウトレットに取り囲まれて矩形のアウトレットを満たす液体を提供することができる。
[00157] 本明細書での説明においては、主として300mm基板を検討している。同一のデータパス帯域を使用して全幅で露光される450mm基板に関して、450mm基板の生産性は、従来のツールについて2倍未満であるのと対照的に、WPHで測定すると、50%しか低くない。また、生産性に対する占有面積の増加は、50%未満である。パターニングデバイス104の数は、およそ60から90まで増加するものと思われるが、同一のユニットおよび同一のサイズのデータストアが依然として適用可能である。光学バスは、50%多いビーム分割ポイントを必要とし、ハウジングは、150mm広く、かつ300mm深い必要があるが、ユニットの高さはおよそ同一の値にとどまり得る。基板ステージの比較的低い一方向露光速度(1mm/秒)および個別のゾーンプレートアレイ148の改良されたピエゾレベリング機能を考えると、安定性の問題はかなり少なくなり、または、もはや存在せず、したがって実質的なステージの再設計が必要とされなくてよい。
[00158] 一実施形態が、以下から選択された1つ以上の利点をもたらし得る。(1)マスクレス技術が、準備に時間のかかる高価なレチクルの使用を不要にすること。(2)高帯域、比較的低いコスト、信頼性を可能にし、および/または外部光源を必要としない解決策。(3)生産性を拡大・縮小でき(例えば、10WPH単位の増加)、堅牢性を有する解決策。(4)ゾーンプレートアレイの結像が、RETまたはOPC無しでK1<0.3を可能にし得ること。(5)主として商用の汎用材料を用いることによる低コスト。(6)比較的低コストの所有権。(7)保守の必要性が低いこと。(8)高い信頼性(より少ない休止時間/修理/廃却)。(9)ラックおよびスタック(rack and stack)手法によるWPH単位の少ないファブ占有面積。(10)より少ない可動部品。(11)ピエゾ作動を用いた高い(例えば、数十ナノメートル)位置決め精度。(12)低出力、安定性、堅牢性を有するVECSELまたはVCSEの照明技術。(13)ゾーンプレートアレイの使用による高い結像品質。(14)半導体技術に大部分を依存できる設計であって、これにより半導体の発展(すなわち、半導体向上に関するピギーバック)に伴う将来的な技術拡張が可能になること。および/または(15)標準無損失ビットマップファイル形式を可能にする直交方形ピクセル形式を用いることによって、データストリームが露光前の長い数学再計算を必要とせず、これによりファブ論理柔軟性の向上が可能になること。
[00159] 本明細書に記載の実施形態はY方向のスキャン動作に焦点を当てているが、基板と放射ビームとの間の相対移動が引き起こされてもよい。例えば、相対移動は、基板に対する放射ビームの移動(電子ビーム装置と同様の態様である)によって、またはビームと基板の移動の組合せによって、引き起こされ得る。
[00160] 本明細書において、特定のデバイスまたは構造(例えば、集積回路またはフラットパネルディスプレイ)の製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置およびリソグラフィ方法が、他の用途を有し得ることが理解されるべきである。用途としては、集積回路、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、OLEDディスプレイ、薄膜磁気ヘッド、マイクロ電子機械デバイス(MEMS)、マイクロ光電子機械システム(MOEMS)、DNAチップ、実装(例えば、フリップチップ、再配布等)、フレキシブルディスプレイまたは電子回路(紙のようにロール可能、折り曲げ可能で、変形せず、形状適合性を有し、堅固で、薄く、および/または軽量なディスプレイまたは電子回路、例えば、フレキシブルプラスチックディスプレイ)の製造などを含むが、これらに限定されない。また、例えば、フラットパネルディスプレイでは、本発明の装置および方法を用いて多様な層、例えば、薄膜トランジスタ層および/またはカラーフィルタ層を製造することができる。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジツール、またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
[00161] フラットパネルディスプレイ基板は、矩形の形状であり得る。このタイプの基板を露光するように設計されたリソグラフィ装置は、矩形の基板の全幅を対象とする、または幅の一部(例えば、幅の半分)を対象とする露光区域を提供し得る。基板を露光区域の下でスキャンしている間にパターン付きビームによってパターニングデバイスをスキャンし、またはパターニングデバイスが様々なパターンを提供する。このように、所望のパターンのすべてまたは一部が基板に転写される。露光区域が基板の全幅を対象とする場合、露光は1回のスキャンで完了できる。露光区域が、例えば基板の幅の半分を対象とする場合、最初のスキャンの後に基板を横方向に移動させ、通常はさらなるスキャンを行って基板の残りの部分を露光する。
[00162] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板(の一部)内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面を変調するために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。同様に、基板上に最終的に生成されたパターンは、個別制御可能素子のアレイによって任意の瞬間に形成されるパターンに対応しない場合がある。これは、所与の期間にわたって、または個別制御可能素子のアレイによって設けられたパターンおよび/または基板の相対位置が変化する所与の露光回数にわたって、基板の各部分に形成された最終的なパターンが構築される構成に当てはまり得る。通常、基板のターゲット部分上に生成されたパターンは、集積回路またはフラットパネルディスプレイなどのターゲット部分(例えば、フラットパネルディスプレイのカラーフィルタ層またはフラットパネルディスプレイの薄膜トランジスタ層)内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。そのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイ、レーザダイオードアレイ、発光ダイオードアレイ、格子ライトバルブ、およびLCDアレイなどを含む。放射ビームの隣接部分に対して放射ビームの一部の位相を変調することによってパターンを放射ビームに付与する複数のプログラマブル素子を有する電子的プログラマブルパターニングデバイスを含む放射ビームの一部の強度を各々が変調できる複数のプログラマブル素子を備えるパターニングデバイスなどの電子デバイス(例えばコンピュータ)の助けによりプログラム可能なパターンを有するパターニングデバイスは、本明細書において総称して「コントラストデバイス」と呼ばれる。一実施形態において、パターニングデバイスは、少なくとも10個のプログラマブル素子、例えば少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも500個、少なくとも1,000個のプログラマブル素子を備える。これらのいくつかのデバイスの実施形態について以下に詳述する。
[00163] プログラマブルミラーアレイ:プログラマブルミラーアレイは、粘弾性制御層および反射面を有するマトリクス・アドレス可能表面を含み得る。そのような装置の基本的原理は、例えば、反射面のアドレッシングされた区域が入射放射を回折放射として反射し、アドレッシングされない区域が入射放射を非回折放射として反射する、ということである。適切な空間フィルタを使用して、反射ビームから非回折放射を除去し、回折放射だけを基板に到達させることができる。こうして、マトリクス・アドレス可能表面のアドレスパターンに従ってビームにパターンが形成される。代替策として、フィルタは回折放射を除去し、非回折放射だけを基板に到達させ得ることが理解されるであろう。回折光学MEMSデバイスのアレイも同様の方法で使用され得る。回折光学MEMSデバイスは、互いに変形して入射放射を回折放射として反射する格子を形成し得る複数の反射リボンを含み得る。プログラマブルミラーアレイの別の実施形態は、小型ミラーのマトリクス配列が用いられており、各小型ミラーは、好適な局所的電界を加えるか、または圧電起動手段を使用することによって、軸周りに個別に傾斜させることができる。傾斜の程度が各ミラーの状態を定義する。素子に欠陥がない場合、コントローラからの適切な制御信号によってミラーを制御することができる。各々の欠陥がない素子は、一連の状態のうち任意の状態をとるように制御可能であり、それによって、投影される放射パターン内の対応するピクセルの強度を調整する。この場合も、ミラーはマトリクス・アドレス可能であり、したがってアドレッシングされたミラーは、アドレッシングされていないミラーとは異なる方向に、入射する放射ビームを反射する。このように、反射ビームは、マトリクス・アドレス可能ミラーのアドレスパターンに従ってパターン形成され得る。必要なマトリクスのアドレッシングは好適な電子的手段を用いて行われ得る。本明細書で言及するミラーアレイに関する詳細情報は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第US5,296,891号および米国特許第US5,523,193号ならびにPCT特許出願公開WO98/38597号およびWO98/33096号から収集することができる。
[00164] プログラマブルLCDアレイ:このような構成の一例が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第US5,229,872号に記載されている。
[00165] リソグラフィ装置は、1つ以上のパターニングデバイス、例えば、1つ以上のコントラストデバイスを備え得る。例えば、リソグラフィ装置は、各々が互いに独立して制御される個別制御可能素子の複数のアレイを有し得る。そのような構成では、個別制御可能素子のアレイの一部またはすべては、共通の照明システム(または照明システムの一部)、個別制御可能素子のアレイに共通の支持構造および/または共通の投影システム(または投影システムの一部)のうち少なくとも1つを有し得る。
[00166] フィーチャのプリバイアス処理、光学近接効果補正用フィーチャ、位相変化技術および/または多重露光技術を用いる場合、例えば、個別制御可能素子のアレイによって「示される」パターンは、基板の層または基板上の層に最終的に転写されるパターンと実質的に異なり得ることを理解されたい。同様に、基板上に最終的に生成されたパターンは、個別制御可能素子のアレイによって任意の瞬間に形成されたパターンに対応しない場合がある。これは、所与の期間にわたって、または個別制御可能素子のアレイのパターンおよび/または基板の相対位置が変化する所与の露光回数にわたって、基板の各部分に形成された最終的なパターンが構築される構成に当てはまる。
[00167] 投影システムおよび/または照明システムとしては、放射ビームを誘導、整形または制御するための、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光学コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどの様々なタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
[00168] 以下の説明では、「レンズ」という用語は、一般に、基準のレンズと同じ機能を提供する任意の屈折、反射、および/または回折光学素子を包含すると理解すべきである。例えば、結像レンズは、光学パワーを有する従来の屈折レンズの形態で、光学パワーを有するシュワルツシルト型反射システムの形態で、および/または光学パワーを有するゾーンプレートの形態で具体化され得る。さらに、結果として得られる効果が基板上に収束ビームを生成することである場合、結像レンズは、非結像光学系を含み得る。
[00169] リソグラフィ装置は、2つ(例えば、デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のパターニングデバイステーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」マシンにおいては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
[00170] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する「液浸液」(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、パターニングデバイスと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムのNAを増加させるために用いられる。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
[00171] さらに、装置には(例えば、化学物質を基板に選択的に付着させるか、基板の表面構造を選択的に修正するために)流体と基板の照射部分との間の相互作用を可能にする流体処理セルが設けられ得る。
[00172] 一実施形態において、基板は実質的に円形の形状を有し、任意選択的に、その周囲の一部に沿って切り欠きおよび/または平坦にした縁部がある。一実施形態において、基板は、多角形の形状、例えば矩形の形状を有する。基板が実質的に円形の形状を有する実施形態は、基板が少なくとも25mm、例えば少なくとも50mm、少なくとも75mm、少なくとも100mm、少なくとも125mm、少なくとも150mm、少なくとも175mm、少なくとも200mm、少なくとも250mm、または少なくとも300mmの直径を有する実施形態を含む。一実施形態において、基板は、最大500mm、最大400mm、最大350mm、最大300mm、最大250mm、最大200mm、最大150mm、最大100mm、または最大75mmの直径を有する。基板が多角形、例えば長方形である実施形態は、基板の少なくとも1辺、例えば少なくとも2辺または少なくとも3辺が、少なくとも5cm、例えば25cm、少なくとも50cm、少なくとも100cm、少なくとも150cm、少なくとも200cm、または少なくとも250cmの長さを有する実施形態を含む。一実施形態において、基板の少なくとも1辺は、最大1,000cm、例えば最大750cm、最大500cm、最大350cm、最大250cm、最大150cm、または最大75cmの長さを有する。一実施形態において、基板は、約250〜350cmの長さと約250〜300cmの幅とを有する矩形の基板である。基板の厚さは変動してよく、ある程度は例えば基板の材料および/または基板の寸法に依存してよい。一実施形態において、厚さは、少なくとも50μm、例えば少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、または少なくとも600μmである。一実施形態において、基板の厚さは、最大5,000μm、例えば最大3,500μm、最大2,500μm、最大1,750μm、最大1,250μm、最大1,000μm、最大800μm、最大600μm、最大500μm、最大400μm、または最大300μmである。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)で処理されてよい。基板の特性は、露光の前後を問わず、例えば、メトロロジツールおよび/またはインスペクションツールで処理されてもよい。
[00173] 一実施形態において、レジスト層が基板上に提供される。一実施形態において、基板はウェーハ、例えば半導体ウェーハである。一実施形態において、ウェーハ材料は、Si、SiGe、SiGeC、SiC、Ge、GaAs、InP、およびInAsからなる群から選択される。一実施形態において、ウェーハはIII/V族化合物の半導体ウェーハである。一実施形態において、ウェーハはシリコンウェーハである。一実施形態において、基板はセラミック基板である。一実施形態において、基板はガラス基板である。ガラス基板は、例えば、フラットパネルディスプレイおよび液晶ディスプレイパネルの製造で有用であり得る。一実施形態において、基板はプラスチック基板である。一実施形態において、基板は(人間の肉眼には)透明である。一実施形態において、基板は着色される。一実施形態において、基板は色がない。
[00174] 一実施形態において、パターニングデバイス104は基板114の上方にあるものとして説明し、および/または示しているが、その代わりに、または、それに加えて、パターニングデバイス104は基板114の下方にあってもよい。さらに、一実施形態において、パターニングデバイス104および基板114を横に並べてもよく、例えば、パターニングデバイス104および基板114は垂直に延在し、パターンは水平に投影される。一実施形態において、パターニングデバイス104が提供されて、基板114の少なくとも2つの対向する辺を露光する。例えば、少なくとも基板114の対向する辺の各々に、それらの辺を露光する少なくとも2つのパターニングデバイス104があってもよい。一実施形態において、基板114の1つの辺を投影する単一のパターニングデバイス104と、単一のパターニングデバイス104からパターンを基板114の別の辺上に投影する適切な光学系(例えば、ビーム誘導ミラー)があってもよい。
[00175] 以上、具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光学ディスク)の形態であってもよい。
[00176] さらに、ある種の実施形態および例として本発明を開示してきたが、本発明は具体的に開示された実施形態を超えて代替的な実施形態および/または本発明の使用法ならびにその明らかな変更形態および等価物に適用されることは当業者には明らかであろう。さらに、多数の変形形態を図示し詳述してきたが、本開示に基づいて本発明の範囲に収まる他の変更形態が、当業者には容易に明らかであろう。例えば、各実施形態の具体的な特徴および態様の様々な組合せまたは副次的な組合せも可能であり、本発明の範囲内である。したがって、開示された発明の多様な形態を形成するために、開示された実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせる、または交換できることを理解されたい。
[00177] このように、本発明の様々な実施形態について上に説明してきたが、上記実施形態は例示に過ぎず、限定的なものではないことを理解されたい。本発明の精神と範囲から逸脱することなく、本発明の形態および内容を様々に変更できることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の精神および範囲は、上記のいかなる例示的な実施形態によっても限定されず、添付の特許請求の範囲とその等価物によってのみ定義されるものである。