JP2016526676A - 抗第Xa因子試験のユニバーサル較正のための手段および方法 - Google Patents

抗第Xa因子試験のユニバーサル較正のための手段および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、凝固試験の分野における診断手段および方法に関する。特に、それは、対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固剤活性を決定するための方法であって、前記の対象の体液試験試料中の第1の第Xa因子を測定し、第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第2の第Xa因子活性を測定し、第1および第2の測定された第Xa因子活性に基づいて試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算し、抗凝固活性に関する前記のパラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較することを含む方法に関する。さらに、方法を支援するコンピュータープログラムコードならびに前記の方法を実施するためのシステムならびにキットが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、凝固試験の分野における診断手段および方法に関する。特に、それは、対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固活性を決定するための方法であって、対象の体液試験試料中の第1の第Xa因子活性を測定し、第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第2の第Xa因子活性を測定し、測定された第1および第2の第Xa因子活性に基づいて試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算し、抗凝固活性に関する前記パラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較することを含む方法に関する。さらに、方法を支援するコンピュータープログラムコードならびに前記の方法を実施するためのシステムならびにキットが提供される。
あらゆる大型の生物は血液循環系を有し、それは酸素および栄養素を異なる器官に運び、二酸化炭素および老廃物を処分する。しかし、血液循環系が機能するために、血管中の損傷は迅速かつ有効に閉じられなければならない。この機能は血液凝固系により満たされ、血液が血小板凝集塊およびフィブリンゲルを形成することを可能にする複雑な機序を有し、それにより脈管の損傷を閉じることができる。
しかし、凝血は止血、すなわち血管における損傷の閉鎖をもたらすだけでなく、血栓症および塞栓症、すなわち血餅による血管の閉鎖ももたらし得る。血栓症および塞栓症は、多くの症状、例えば脚における静脈血栓、肺塞栓、心筋梗塞および脳卒中をもたらし得る。従って、凝血系は重要な救命プロセスであるが、それはまた、凝血が生命維持に必要な血管を閉鎖する場合、重篤な合併症および患者の死さえも引き起こし得る。
血液凝固系に関わる1つの機序は、一連のセリンプロテアーゼである凝固因子カスケードであり、順次活性化された状態になり、最終的に凝血系の中心的な酵素であるトロンビンの形成をもたらす。トロンビンはフィブリノーゲンをフィブリンに分割することができ、それが結局重合してフィブリン線維になり、フィブリン凝塊を形成する。トロンビンは補因子も活性化して、それ自体の生成を促進し(第V因子および第VIII因子)、第XIII因子であるトランスグルタミナーゼを活性化し、それはフィブリン凝塊を架橋し、それにより安定化する。そのためトロンビンは血小板の強力な活性化因子でもある。
個体が年を取り、危険因子、例えば糖尿病、肥満、喫煙および遺伝的危険因子によっても増大するにつれ、血栓事象の危険性が増大する。従って、凝固系を阻害する薬物、いわゆる抗凝固剤が開発されてきた。抗凝固薬で最も成功している種類の1つは、プロトロンビンを活性化してトロンビンにするセリンプロテアーゼである第Xa因子の阻害剤である。第Xa因子の形成は、トロンビンの活性化の直前の段階である。
第Xa因子は、いくつかの異なる薬物、例えば低分子量ヘパリン、五糖類、リバロキサバン、アピキサバン、および未分画ヘパリンにより阻害される。これらの薬物は、異なる構造、分子量、ならびに機序を有するが、それらは全て第Xa因子の阻害し、その結果トロンビン生成を低減するという共通の特徴を有している。
第Xa因子に対して向けられたほとんどの薬物は、一般に非常に安全であり、臨床適用におけるそれらの作用の日常的なモニタリングを必要としない。これらの薬物の活性を測定する能力が望ましい状況がまだ存在する:例えば、処置している医師が、患者がその薬物療法を確実に行っていない可能性があると疑っており薬物レベルを制御したい場合、患者が循環中の薬物が蓄積し出血性合併症をもたらし得る疾患を有する場合、患者が非常に高齢である場合、患者が子供もしくは重篤な肥満である場合、抗凝固剤療法の間に合併症、すなわち出血もしくは血栓症を経験している患者の場合、および医師が現在の抗凝固状態を明らかにしたい場合である。
凝固因子の活性を測定するために2種類の包括的なアッセイ:プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が一般に用いられている。両方のアッセイにおいて、その開始時に(PTにおいて組織因子により、そしてaPTTにおいて接触活性化因子(contact activator)により)凝固カスケードが刺激され、一連の酵素反応後にトロンビンが形成され、試料が凝固する。試験の開始および試料の凝固の間の時間が凝固時間であり、それは凝固因子の活性を示している。しかし、両方のアッセイにおいて第Xa因子の形成は多くの段階の内の1段階でしかなく、従ってaPTTおよびPTはほとんどの第Xa因子の阻害剤に関する低い感受性および実際の薬物活性の不十分な定量化を有する(例えば、欧州特許第1 734 369 A1号参照)。
第Xa因子の阻害を定量化するためのより特異的な方法が開発されてきた。第Xa因子の阻害を測定するためのアッセイは“抗Xa試験”または“抗第Xa因子試験”とも呼ばれる。そのような抗Xa試験の一般的な特徴は、試料が2種類の試薬:第Xa因子を含有する1種類および第Xa因子により分割され得るペプチド基質を含有する1種類に添加されることである。次いで、第Xa因子によるペプチド基質の変換が反応溶液中で記録される。ペプチド基質は、それが第Xa因子により切断されることを可能にする特定のアミノ酸配列を含み、それによる変換の速度は試料中の第Xa因子の活性に比例する。基質が第Xa因子により分割された際、シグナル反応が媒介され、それが抗Xa試験を実施している分析者により測定される。通常、(例えば色素原または蛍光体のような)検出可能な標識を提供する化学基がペプチド基質に共有結合している。そのような色素原性ペプチド基質が用いられる場合、溶液の色を変化させる基が放出され、それが光度測定的に測定され得る。蛍光発生基質が用いられる場合、蛍光基が放出され、反応が電気化学的に測定される場合、第Xa因子による基質の分割は結果として反応溶液のイオン構造(ional structure)の変化をもたらす。異なる基質の共通する特徴は、全ての場合において試料中でシグナル反応が起こり、それが試料中の第Xa因子の濃度に比例しており、それが分析者により記録される。
第Xa因子を含有する試薬の試料への添加および基質を含有する試薬の添加の間に、試料中の第Xa因子阻害剤が第Xa因子を阻害することを可能にするためのインキュベーション工程があってもよい。しかし、そのようなインキュベーション工程を有しないアッセイであってもよい。場合により、アッセイの特異性に影響を及ぼす他の物質、例えばデキストラン硫酸または抗トロンビンも添加することができる。
次いで、アッセイの結果は、吸光度の変化、または吸光度の変化の速度、(または蛍光もしくはあらゆる他の用いられるシグナル反応)である。簡便さのために、シグナル反応はmE(吸光のミリ単位)で表された吸光度における変化であると仮定される。
当該技術で通常既知であるように、この吸光度を用いて、抗凝固剤濃度が較正曲線を用いて計算される。この手順は、2つのクラスの第Xa因子の阻害剤、すなわち未分画ヘパリン(UFH)および低分子量ヘパリン(LMWH)のみが療法的に適用されていた際に開発された。典型的には、別個の較正曲線が、増大する用量のLMWHまたはUWHを含有する較正物質を用いて実施され、これらの較正物質の測定後、分析者は血漿試料を用いて決定された吸光度の値から抗凝固剤濃度を計算するための較正曲線を決定する。
その間に、いくつかの追加の第Xa因子阻害剤が臨床診療に導入されており、例えばリバロキサバン、五糖類、ダナパロイドに関する較正物質ならびに対照が利用可能である。
あらゆるより大規模な病院において、今日では、多くの異なる抗凝固剤が同時に用いられている。一部の患者は、入院の間深部静脈血栓症(DVT)の予防のためにLMWHを与えられる可能性があり、他の患者は、心房細動により引き起こされる卒中の予防のためにリバロキサバンを与えられる可能性があり、他の患者は、股関節置換手術におけるDVTの予防のために五糖類を与えられ、そして集中治療室(ICU)の患者は未分画ヘパリンによる療法を受ける可能性がある。
臨床プロセスは、典型的には以下の通りである:助手(例えば静脈切開を施す人、看護師またはより若い医師の1人)が採血のための採血管を準備し、どのアッセイが実施されなければならないかを指定するそれぞれの注文書に必要事項を記入する。血液が採取され、注文書と一緒に実験室に移される。LMWH、UFH、リバロキサバンまたはアピキサバンに関する試験が注文された場合、抗第Xa試験が実施され、それぞれの較正曲線に基づいて抗凝固剤の濃度が計算される。次いでこの濃度が処置している医師に実験室情報システム(LIS)を介して伝えられ、それは通常はイントラネットにより、またはファックス、手紙もしくは他の情報の手段により入手可能である。
しかし、アッセイ、較正、および結果の表現を注文するためのこの手順は、いくつかの欠点を有する。これらの制限は、プロセスの効率に影響を及ぼすが、医学的危険性ももたらす。
例えば、単一の診断法(抗第Xa因子試験)のために数セットの較正物質および対照を用いる必要がある場合、扱いにくく、費用がかかり、そして実験室での精密検査では複雑である。全ての実験室試験がいくつかの異なる較正、対照、および熟達度試験手順を必要とすることを考慮すれば、これが実験室分析における努力の点で、そして実験費用の点で大きな負担となることを想像することができる。
加えて、危険性が含まれ、それは以下の例により強調され得る:前に述べたように、血液検査のための注文フォームは、通常は処置している医師自身によってではなく、より低い医学教育レベルまたは経験を有する助手(看護師、静脈切開を施す人、若い医師)により必要事項が記入される。ここで、不注意に助手が“LMWH”試験を注文したが患者はリバロキサバンを与えられている場合、実験室は、患者が一切この薬物により処置されていないとしてLMWH濃度を報告するであろう。これは、実験室の結果の表現は分析法自体よりも具体的であることを意味する。測定されるのは第Xa因子の阻害である。しかし、報告されるのは特定の薬物の濃度である。別のシナリオでは、患者の臨床検査値を評価する医師は、血小板数における低下を見ると同時にLMWH濃度を確かめるであろうと当然考えることができる。従って、前記の医師は、この結果をヘパリンに誘発された血小板減少症と誤って解釈する可能性がある。問題は、間違った注文がプロセスを通して伝えられることだけでなく、始めの間違った情報が連鎖を通して切り上げられる(up−valued)ことである。看護師が医師に、患者がLMWHを与えられたと言った場合、医師はこの情報をダブルチェックする可能性がある。しかし、医師が、その上に責任のある実験室スタッフの署名を有する彼の実験室からの公式報告において“LMWH濃度”を受け取った場合、彼はこの情報が正しいと思い込むであろう。
従って、現行の診断手順は、診断プロセスにおいて遥かに後に適用されるであろう較正手順の非常に早期の選択を含み、較正に用いられるべき薬物の間違った選択が診断プロセス全体を通して伝えられ、切り上げられる。包括的測定工程(すなわち第Xa因子阻害)および(それぞれの抗凝固剤に対する)較正工程を含む診断手順は、使用者には透けて見えない。較正手順は厳重であり、すなわち、一度結果が報告されると、たとえ間違った薬物がそのプロセスのより早期に選択されていても、較正を変更することができない(Favaloro 2011, Pathology, Dec;43(7):682-92; Tripodi 2013, Clin Chem, Feb;59(2):353-62;およびGehrie 2012, Am J Hematol., Feb;87(2):194-6)。
本発明の根底にある技術的問題は、上記の必要性に応じるための手段および方法の提供と見ることができる。その技術的問題は、特許請求の範囲において、および本明細書において下記で特性付けられる態様により解決される。
欧州特許第1 734 369 A1号
Favaloro 2011, Pathology, Dec;43(7):682-92 Tripodi 2013, Clin Chem, Feb;59(2):353-62 Gehrie 2012, Am J Hematol., Feb;87(2):194-6
従って、本発明は、対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固活性を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法に関する:
(a)対象の体液試験試料中の第1の第Xa因子活性を測定する工程;
(b)第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第2の第Xa因子活性を測定する工程;
(c)測定された第1および第2の第Xa因子活性に基づいて試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算する工程;および
(d)抗凝固活性を決定するために、抗凝固活性に関する前記パラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較する工程。
本発明の方法は、好ましくは、エキソビボの方法であり、すなわちそれは対象から分離された試料を用いてインビトロで実施される。さらに、それは上記で明示的に言及したものに加えて工程を含むことができる。例えば、さらなる工程は、試料の前処理または方法により得られた結果の評価に関するものであってもよい。その方法は、手作業で実施されてよく、または自動化により支援されてもよい。工程(a)、および/または(b)は、全体で、または部分的に、自動化により、例えば工程(a)および/または(b)における決定のための適切なロボットまたはセンサー装置(sensory equipment)、ならびに工程(c)および(d)におけるデータ処理装置上のコンピューターで実行される計算または比較アルゴリズムによりそれぞれ支援されてよい。好ましくは、少なくとも工程(c)および(d)は、コンピューターで実行されるアルゴリズムにより実施される。
図1は、LMWH較正物質を用いたユニバーサル較正を示す。較正は、“XU”と呼ばれる任意単位で実施され、aXa U/ml(aXa=抗第Xa因子)に割り当てられた。 図2は、異なる実験室におけるヘパリンに関する較正曲線を示す(図2A 実験室A)。 図2は、異なる実験室におけるヘパリンに関する較正曲線を示す(図2B 実験室B)。 図2は、異なる実験室におけるヘパリンに関する較正曲線を示す(図2C 実験室C)。 図2は、異なる実験室におけるヘパリンに関する較正曲線を示す(図2D 実験室D)。 図3は、異なる実験室におけるリバロキサバンに関する較正曲線を示す(図3A 実験室A)。 図3は、異なる実験室におけるリバロキサバンに関する較正曲線を示す(図3B 実験室B)。 図3は、異なる実験室におけるリバロキサバンに関する較正曲線を示す(図3C 実験室C)。 図3は、異なる実験室におけるリバロキサバンに関する較正曲線を示す(図3D 実験室D)。 図4は、異なる実験室におけるOrgaranに関する較正曲線を示す(図4A 実験室A)。 図4は、異なる実験室におけるOrgaranに関する較正曲線を示す(図4B 実験室B)。 図4は、異なる実験室におけるOrgaranに関する較正曲線を示す(図4C 実験室C)。 図4は、異なる実験室におけるOrgaranに関する較正曲線を示す(図4D 実験室D)。 図5は、異なる実験室におけるユニバーサル較正曲線を示す(図5A 実験室A)。 図5は、異なる実験室におけるユニバーサル較正曲線を示す(図5B 実験室B)。 図5は、異なる実験室におけるユニバーサル較正曲線を示す(図5C 実験室C)。 図5は、異なる実験室におけるユニバーサル較正曲線を示す(図5D 実験室D)。 図6Aは、ユニバーサル較正単位からのヘパリン(A)活性に関する較正曲線を示す。 図6Bは、ユニバーサル較正単位からのリバロキサバン(B)活性に関する較正曲線を示す。 図6Cは、ユニバーサル較正単位からのOrgaran(C)活性に関する較正曲線を示す。
用語“抗凝固活性を決定すること”は、本発明に従って用いられる際、対象の試料中の抗凝固活性を定性的に、定量的に、または半定量的に決定することを指す。抗凝固活性は、本明細書において他の箇所でより詳細に述べられるような血液凝固を予防または阻害する化合物の能力を指す。本発明の方法は、試料中の抗凝固活性値を定量的または半定量的に決定することを可能にする。さらに、抗凝固活性に由来するパラメーターを所与の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較することにより、試料中の抗凝固活性を誘発する抗凝固剤を同定することもでき、すなわち抗凝固活性が定性的に決定(または同定)される。
用語“抗凝固剤”は、本明細書で用いられる際、血液凝固を予防または阻害することができる化合物を指す。血液凝固は周知のプロセスであり、ここでフィブリン凝塊が血液により、例えば損傷した脈管からの血液の喪失を避けるために形成される。血液凝固は、複数の酵素および補助物質を含むプロセスである。フィブリン凝塊の形成のため、フィブリノーゲンがフィブリンに変換され、それは続いて架橋された状態になる。フィブリノーゲンならびに架橋を与える酵素である第XIIIa因子は、両方ともプロテアーゼであるトロンビンにより酵素的に活性化される。トロンビン自体は第Xa因子により活性化され、それはまた組織因子/第VIIa因子複合体または第IXa因子/第VIIIa因子複合体により活性化される。第VIIa、VIIIaおよびIXa因子も、血液凝固プロセスの間にそれらの前駆体から順番に活性化される。酵素は階層的順序で互いを活性化するため、酵素の全体は時々凝固カスケードとも呼ばれる。様々な化合物が、凝固カスケードの1種類以上の酵素または補助物質に影響を及ぼす抗凝固剤として記載されてきた。例えば、クマリン類は、生物からトロンビンならびに第VII、IXおよびX因子活性のための補助物質として必要であるビタミンkの活性型を枯渇させる植物由来のビタミンk拮抗物質である。典型的なクマリン類は、ワルファリン、アセノクマロール、フェンプロクモン、アトロメンチン、ブロジファクムまたはフェニンジオンを含む。ヘパリン類は、高度に硫酸化されたグリコサミノグリカン類であり、天然存在の抗凝固剤の別のクラスに似ている。それらは、抗プロトロンビンIIIを活性化し、それはトロンビンおよび第Xa因子を含む凝固カスケードの他の酵素の活性を遮断し、それによりフィブリン凝塊形成を阻害する。典型的には、低分子量ヘパリン(LMWH)または未分画ヘパリン(UFH)が、抗凝固療法においてヘパリンとして用いられる。へパリン類似物質(heparanoids)、例えばダナパロイド(Orgaranとも呼ばれる)も抗凝固療法において用いられる。いくつかの薬物、例えばリバロキサバンまたはアピキサバンは、直接的な第Xa因子阻害剤であることが報告されている。他の第Xa因子阻害剤は、五糖類、例えばフォンダパリヌクスまたはイドラパリヌクスを含む。従って、第1の抗凝固剤は、上記で定められたような抗凝固剤であることができる。同じことが本発明に従う第2の抗凝固剤にも当てはまる。しかし、好ましくは、前記の第1の抗凝固剤および前記の第2の抗凝固剤は異なり、すなわち化学的に異なる抗凝固化合物である。好ましくは、前記の第1の抗凝固剤および/または第2の抗凝固剤は、LMWH、UFH、ダナパロイド、リバロキサバン、五糖類、およびアピキサバンからなる群から選択される。
用語“体液試験試料”は、本明細書で用いられる際、抗凝固活性を含む体液試料を指す。好ましくは、前記の体液試験試料は、尿試料、全血試料または血漿試料である。前処理された体液試料、例えばクエン酸塩加血漿試料も含まれる。
用語“対象”は、本明細書で用いられる際、凝固系を有する動物を指し、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを指す。
用語“較正試料”は、本発明の方法において較正目的のために用いられる第2の抗凝固剤のために予め定められた抗凝固活性を含む試料を指す。較正試料は、予め定められた抗凝固活性を有する較正試料または母試料の定められた希釈液を作製することにより得ることができる。典型的には、較正試料中の抗凝固活性は、それが予め定められているため、またはさらなる手間(further ado)なしで計算され得るためのどちらかで既知である。好ましくは、本発明に従う較正試料は、第2の抗凝固剤、より好ましくはLMWH、UFH、ダナパロイド、リバロキサバン、五糖類、およびアピキサバンからなる群から選択される第2の抗凝固剤により誘発される予め定められた抗凝固活性を含む。好ましくは、較正試料(単数または複数)のために用いられる抗凝固剤の量は、体液試料中にもある範囲内である。
第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を有する1以上の較正試料が、本発明の方法において較正を確立するために用いられることができることは理解されるであろう。従って、用語“少なくとも1”は、1以上、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の較正試料を指し、それは前記の試料中の予め定められた抗凝固活性において互いに異なる。
用語“第Xa因子”は、本明細書で用いられる際、タンパク質分解的切断によりトロンビンをプロトロンビンから活性化することができる活性化されたセリンエンドペプチダーゼ(E.C.3.4.21.6)を指す。その酵素は、スチュワート・パワー因子としてまたはプロトロンビナーゼとしても知られている。その酵素の構造は、ヒトを含む様々な動物種において周知である。第Xa因子のヒトのプレプロタンパク質のアミノ酸配列は、NCBI参照番号NP_000495.1(GI:4503625)の下で寄託されており、マウスのアミノ酸配列はNCBI参照番号NP_001229297.1(GI:334724425)の下で寄託されている。本明細書において他の箇所で論じられるように、第Xa因子は、その前駆体である第X因子から、組織因子/第VIIa因子複合体または第IXa因子/第VIIIa因子複合体によるタンパク質分解的切断により活性化される。その用語は、そのような特定の第Xa因子タンパク質の変異体も包含することは理解されるであろう。そのような変異体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、欠失および/または付加によりアミノ酸配列が異なり、第Xa因子活性を示すタンパク質である。変異体第Xa因子のアミノ酸配列は、なお典型的には上記で言及された特定の第Xa因子タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一である。2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は、当該技術で周知のアルゴリズムにより決定され得る。好ましくは、同一性の程度は、比較ウインドウ内の2つの最適に整列された配列、例えばアミノ酸配列の一方の全長またはその少なくとも50%を比較することにより決定されるべきであり、ここで比較ウインドウ中のアミノ酸配列の断片は、最適な整列のために、参照配列と比較して付加または欠失(例えばギャップまたはオーバーハング)を含んでいてよい。百分率は、両方の配列において同一のアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して一致した位置の数を生成し、一致した位置の数を比較のウインドウ中の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性の百分率を生成することにより計算される。比較のための配列の最適な整列は、Smith and Waterman 1981, Add. APL. Math. 2:482の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch 1970, J. Mol. Biol. 48:443の相同性整列アルゴリズムにより、Pearson and Lipman 1988, Proc. Natl. Acad Sci. (USA) 85: 2444の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実施により(Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., ウィスコンシン州マディソン)、または目視での検証により実施されることができる。2つの配列が比較に関して同定されているならば、GAPおよびBESTFITが好ましくはそれらの最適な整列、従って同一性の程度を決定するために用いられる。好ましくは、ギャップウェイトに関して5.00およびギャップウェイト長に関して0.30のデフォルト値が用いられる。上記で言及された変異体は、対立遺伝子変異体またはあらゆる他の種特異的ホモログ、パラログ、またはオルソログであり得る。さらに、本明細書で言及された変異体は、第Xa因子または前記のタイプの変異体の断片を、これらの断片が上記で言及されたような本質的な生物学的特性を有する限り含む。そのような断片は、例えば第Xa因子の分解産物または化学的に修飾された形態、例えば翻訳後修飾された変異体であることができる。さらに、変異体は、例えば向上した切断特性を有する第Xa因子の遺伝子改変された変異体も含む。
用語“第Xa因子活性”は、本明細書で用いられる際、生物学的に活性な第Xa因子により試料に与えられた生物学的活性を指す。生物学的に活性な第Xa因子を含む試料は、プロトロンビンのタンパク質分解的切断によりトロンビンを活性化することができる。第Xa因子活性は、内因的に存在する第Xa因子活性としてか、または試料に生物学的に活性な第Xa因子もしくは上記で明記されたようなその変異体を外因的に供給することによるかのどちらかで、本発明の方法に従う体液試料中で提供され得る。第Xa因子活性が試料に第X因子活性化酵素を外因的に補うことにより提供されている体液試料も、本発明の方法に包含される。好ましく適用され得る第X因子活性化酵素は、血液凝固カスケードの内因性活性化酵素、例えば組織因子/第VIIa因子複合体もしくは第IXa因子/第VIIIa因子複合体、または他の天然存在の、もしくは遺伝子操作された第X因子活性化酵素、例えばラッセル(Russel)クサリヘビ毒もしくはビペラ・レベチナ(Vipera lebetina)、アメリカハブ属の種、マムシ属(Akgistrodon)の種、もしくはノコギリヘビ属の種からの毒からのRVV−Xを含む。
用語“測定すること”は、本明細書で用いられる際、本発明の方法における試料中の第Xa因子活性を定量的に評価することを指し、すなわち試料中の第Xa因子活性の量が決定される。第Xa因子活性を測定することは、前記の試料中の生物学的に活性な第Xa因子の量を検出することにより達成され得る。そのような検出は、典型的には、第Xa因子活性を直接または間接的に検出するアッセイによりなされる。本発明に従う決定的な第Xa因子活性は、プロトロンビンを切断する能力、従って第Xa因子のセリンプロテアーゼ活性であるため、適切なアッセイは、好ましくは第Xa因子による第Xa因子切断部位を含む基質の切断反応を評価することを目的とする。切断反応を評価することは、切断された基質の量ならびに切断反応の速度の検出を含み得る。両方のパラメーターが、試料中に存在する第Xa因子活性の定量的評価を可能にする。さらに、第Xa因子活性の測定は、例えば立体構造(confirmation)特異的抗体またはアプタマーにより、試料中に存在する生物学的に活性な第Xa因子分子の量を直接検出することによりなされてもよい。
しかし、好ましくは、本発明に従う試料中の前記の第Xa因子活性の前記の測定は、以下の工程を含む:
a)試料を、少なくとも第Xa因子および第Xa因子の基質を含む試薬と、基質の酵素的変換を可能にする条件下で接触させ、それにより基質の物理的または化学的特性を検出可能な様式で変化させる工程;
b)基質の物理的または化学的特性の変化の程度を検出する工程;および
c)前記の変化の程度を参照と比較し、それにより試料中の第Xa因子活性を測定する工程。
用語“試薬”は、典型的には2種類の試薬を指し、一方の試薬は生物学的に活性な第Xa因子を含み、別の試薬はその基質、すなわち第Xa因子の基質を含有する。第Xa因子の基質の酵素的変換反応は、両方の試薬が試料に添加された際に始まり、抗凝固剤活性が試料中に存在する場合は阻害され得る。血漿試料が混合物に添加される前に基質の変換が起こることを適切な手段が防ぐならば、両方の試薬構成要素(すなわちFXaおよびFXa基質)は1つの試薬中で提供されることもできるであろうことは、想像することができる。
上記で言及された条件は、典型的には、酵素的変換および/または特定の抗凝固剤によるその阻害に関する補助化合物の添加、および/または安定化剤の添加を含むこともできる。それにより、反応混合物および/または試料の構成要素は安定化されることができ、反応の標準化もしくは正確さまたはその感度/特異性が向上し得る。1つの補助化合物は抗トロンビンであってよく、それは第Xa因子に対するヘパリンの作用に関する本質的な構成要素である。他の化合物は、デキストラン硫酸(dextrane sulfate)、ヘパリン拮抗物質、例えばポリブレンまたはヘパリナーゼ、安定化剤、例えばアルブミン、ゼラチン、グリシン、他のタンパク質、糖分子または試薬の安定性を向上させ得るあらゆる他の化合物を含み得る。抗微生物物質が、溶液中の細菌汚染または細菌増殖を防ぐために添加されてよい。抗酸化剤または酸素吸収剤も適用されてよい。
用語“第Xa因子基質”は、本明細書で用いられる際、生物学的に活性な第Xa因子のセリンプロテアーゼにより切断可能であるペプチドまたはポリペプチドまたは非ペプチド化合物を指す。ペプチドまたはポリペプチド第Xa因子基質は、好ましくは、第Xa因子の認識および切断部位を含み、例えば遺伝子工学により得ることができる。第Xa因子による第Xa因子基質の切断の際に、基質の少なくとも1種類の物理的または化学的特性が変化する。用語“物理的または化学的特性”は、本明細書で用いられる際、分子量、大きさ、密度、磁気共鳴、分極、光学密度、粘性等のような物理的特性、ならびに蛍光、共鳴エネルギー異動特性、発色特性、電気化学的特性、免疫学的特性または生化学的特性のような化学的特性を包含する。好ましくは、前記の物理的または化学的特性は、蛍光特性、光学的特性および電気化学的特性からなる群から選択される。従って、典型的には、第Xa因子基質は、発蛍光性、発色性または電流生成(amperogenic)基質である。発蛍光性または発色性基質は、通常は蛍光団または発色団および消光部分を含み、それは第Xa因子に関する切断部位を含むリンカーにより隔てられている。未切断状態では、消光部分が蛍光または色を抑制する。第Xa因子により切断されると、消光部分はもはや蛍光団の蛍光または発色団の色を抑制できない。従って、切断後の蛍光または色の程度は基質に曝露された第Xa因子活性の程度に相関している可能性がある。他の第Xa因子基質は、例えば供与体蛍光団および受容体の間の共鳴エネルギー移動を用いることができる。切断されると、共鳴エネルギー異動はもはや成し遂げられず、それは結果として蛍光の変化をもたらす。また、変化の程度は、そのような基質が曝露されている第Xa因子活性に相関する。好ましい基質は、発色性基質S−2732(Suc−Ile−Glu(ガンマ−pip)−Gly−Arg−pNA HCl)、CHSO−D−Leu−Gly−Arg−pNA AcOH、CHOCO−D−CHG−Gly−Arg−pNA AcOH、COCO−D−Val−Gly−Arg−pNA AcOH、CHOCO−D−CHA−Gly−Arg−pNA AcOH、Cbo−Ile−Glu(γ−OR)−Gly−Arg−pNA HCl、Cbo−D−Arg−Gly−Arg−pNA 2HClまたは発蛍光性基質CHSO−D−CHA−Gly−Arg−AMC AcOHもしくはBoc−Ile−Glu−Gly−Arg−AMCを包含する。
しかし、当業者には既知であるように、FXa活性を検出するために用いることができる多くの異なる基質が存在する。
基質の物理的または化学的特性の変化の程度を検出することは、変化およびその程度を検出することができる適切な分析装置により達成され得る。物理的または化学的特性の変化の性質に応じて、当業者に周知である異なる分析装置が適用されてよい。従って、典型的には、分析装置は、切断状態および未切断状態の第Xa因子基質の光学変数のシグナル(例えば吸光度または蛍光)、電気的変数のシグナル(例えば抵抗、静電容量、インピーダンス、またはそれらの組み合わせ)、磁気共鳴シグナルに由来するシグナルの測定に頼ることができる。そのようなシグナルの強度の変化に基づいて、試料中の酵素反応の効率に、従って第Xa因子活性に相関する変化の程度が決定され得る。測定された第Xa因子活性は、それぞれの試料中の第1または第2の抗凝固剤のどちらかの存在による抗凝固剤活性により影響を受けるであろうことは理解されるであろう。
抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算することは、体液試料から測定された第1の第Xa因子活性を少なくとも1つの較正試料から測定された第2の第Xa因子活性と比較することを含み、ここで第Xa因子活性に関する較正ユニバーサルパラメーターは、前記の測定された第2の第Xa因子活性に割り当てられている。続いて、体液試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを、前記の較正ユニバーサルパラメーター(単数または複数)から得ることができる。好ましくは、較正ユニバーサルパラメーター(P)は、以下の計算により計算される:P=100+(100測定された抗凝固活性)。前記の計算は、好ましくは、前記の計算を自動的に実施するコンピュータープログラムコードを明白に(tangibly)埋め込んでいるコンピューターのようなデータ処理装置上で実施されることができる。
体液試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターは、最終的に少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較されるであろう。ユニバーサルパラメーターがその抗凝固剤の1種類以上の予め定められた範囲内に入るか、またはその範囲外であるかに応じて、患者の体液試料中に存在している抗凝固剤活性の強さ、抗凝固剤の性質、および/または抗凝固剤の量に関する結論が得られ得る。さらに、抗凝固剤に特異的な第Xa因子活性を計算すること、および/または患者に投与されていた可能性のある抗凝固剤の投与量を決定することが可能である。従って、患者における抗凝固療法に関する結論を、本発明の方法を適用することにより出すことができる。比較ならびに可能性のある結論の引き出しは、好ましくは、適切なコンピュータープログラムコードを明白に埋め込んでいるコンピューターのようなデータ処理装置上で実施されることができる。
予め定められた範囲は、適切な患者集団からの試料を分析することにより決定される。例えば、予防的用量のリバロキサバンを与えられた患者からの試料が分析されることができ、血液試料採取は最後の用量が患者により摂取された2〜3時間後に行われる。次いで、結果として得られた値が、統計的に、例えば抗凝固活性の95%信頼区間を決定することにより分析されるであろう。前記の分析は、予防的用量のリバロキサバンで処置された患者の予想されるピーク値を提供するであろう。
別の例は、試料採取が次のLMWH用量の適用の直前に実施される場合の、特定の投与量のLMWHで処置された試料の分析であろう。この分析は、この特定の投与量のLMWHで処置された患者における抗凝固剤活性の予想されるトラフレベルを提供するであろう。
従って、好ましくは、本発明の方法は、工程(d)における決定の結果に基づいて対象に投与された第1の抗凝固剤の投与量を決定する工程も含む。前記の投与量の決定は、好ましくは、前記の決定を自動的に実施するコンピュータープログラムコードを明白に埋め込んでいるコンピューターのようなデータ処理装置上で実施されることができる。
本発明の方法の特に好ましい態様は、以下のように記載される:
本発明の方法のある特定の態様において、分析されるべき試料はクエン酸塩加血漿である。前記のクエン酸塩加血漿を、第Xa因子および発色性基質および特にS−2732を含む反応混合物に接触させる。典型的には、前記の反応混合物は、さらに緩衝剤および安定化剤を含む。酵素的基質変換は、典型的には405nmにおける溶液の吸光度を連続的に記録することにより測定される。第Xa因子による基質の変換の高い速度は、結果として光学密度の急勾配な増大をもたらし、それは反応の間のデルタE(反応の間の光学密度の変化)により表される。変換の低い速度は、結果として低いデルタEをもたらす。試薬中の第Xa因子に対する試料の阻害活性に応じて、異なる吸収速度が検出される。好ましくは4つの較正試料が適用される。典型的には、前記の試料は、最新のWHO LMWH標準に対して較正された0、0.5、1および1.5抗第Xa因子単位LMWH/mlを含む。その較正試料は、予め混合された形態で提供されてよく、または最高のLMWH濃度を有する較正試料の適切な希釈により得られてよい。較正に関して割り当てられた値は、好ましくは、0抗Xa単位/ml較正物質に関して100XU、0.5抗Xa単位/ml較正物質に関して150XU、1抗Xa単位/ml較正物質に関して200XUおよび1.5抗Xa単位/ml較正物質に関して250XUであり、それにより“XU”は第Xa因子に対して向けられた抗凝固活性の任意単位を表す。この較正を用いて、方法の結果はXUで表される。試料が第Xa因子に対して向けられた抗凝固活性をほとんどまたは全く含有しない場合、XUは100に近く、第Xa因子に対する活性が存在する場合、ますます高くなる。1種類より多くの抗凝固剤に関する予想される値の範囲が予め定められている場合、抗凝固活性は、前記の予想される値の範囲との比較により定性的および定量的に評価されることができる。
本発明の方法のさらなる特定の好ましい態様において、対象に投与された抗凝固剤の量が、投与された抗凝固剤が決定されたXU値に割り当てられた後、XUから計算され得る。
ユニバーサル抗凝固単位を計算するための言及されたアルゴリズムは、結果として約100XU(抗凝固活性なし)および抗凝固活性を有する試料に関しては約150XU、200XUの値またはさらに高い値へと増大する値の典型的な試験結果をもたらす。この単位系は、記憶するのが容易であるが、一方で(プロトロンビン時間の表現としての)INR値またはaPTTの結果と混同されない。しかし、本発明の方法に基づいて、例えば抗凝固剤を含まない試料が0XU、1XUもしくは1000XU、または間のあらゆる値の結果を有し得る他の単位系も定められ得ることは明らかである。
驚くべきことに、本発明に従って、第Xa因子阻害アッセイの結果を1種類の抗凝固剤に対して較正して、結果を任意単位で表し、そしてこの較正を他の抗凝固薬の活性を評価するためにも用いることが可能であることが分かった。それにより、この経路に対して作用する様々な薬物に関する第Xa因子阻害試験の結果を標準化することを可能にするユニバーサル較正技法が与えられる。加えて、抗凝固剤活性の評価の後期において、ユニバーサル較正の結果に基づいて、測定されたユニバーサル第Xa因子阻害活性に対応する薬物の個々の活性を計算し、従って医師が決定された第Xa因子阻害活性に基づいてその薬物の活性を計算することを可能にすることが可能であることが分かった。
試験効率の観点から、本発明の方法は、1つの較正しか抗第Xa因子試験に必要とされず、それは1セットの較正物質、1セットの対照および1つの熟練度試験プログラムしか必要とされないことを意味するため、それが作業の流れを単純化する利点を有する。1つの試験しか注文されることができず(抗第Xa因子試験)、いくつかの異なる選択肢(LMWH、UFH、リバロキサバン(Rivaroxabana)、アピキサバン等)は注文されることができないため、注文プロセスも単純化される。加えて、医学的価値の観点から、アッセイ手順の結果の表現が試験手順自体と同じくらい包括的であるため、危険性が低減される。対照的に、先行技術では、薬物濃度でのアッセイ結果の表現は試験自体よりも具体的であり、それは診断プロセスの早期に、すなわち試験が注文される際にミスが起きた場合に誤解および間違いを作り出し得る。本発明の方法を用いて、結果は包括的な第Xa因子阻害単位として表現され、従って、何が測定されたか、すなわち第Xa因子阻害を反映する。先行技術の試験では、例えばリバロキサバン濃度が報告されていた可能性があるが、患者はアピキサバン、五糖類または第Xa因子を阻害するあらゆる他の薬物を与えられた可能性がある。
本発明の方法では、報告されるのは測定されたもの(すなわち第Xa因子阻害)により密接に関連している。これは、診断の鎖の早期における試験の間違った注文が診断プロセスを通して伝わって、最終的に実験室により報告される間違った情報(例えば、リバロキサバン濃度が報告されるが患者はこの薬物を与えられなかった)につながる危険性を排除する。本発明の方法によれば、結果を薬物濃度として表すことはなお可能であるが、これは診断の鎖の後期に決定され、それは、実験室情報システムにおいて薬物を選択し、抗第Xa因子活性から薬物濃度を計算することを依頼したであろう医師に透けて見え、またはこれは、病院の情報システムのレベルでシステムにおいて利用可能な薬物処方情報に基づいて自動的に行われるであろう。
上記で与えられた用語の説明および定義は、下記において、別途明記された場合を除いて、全ての以下の態様に必要な変更を加えて適用される。
本発明の好ましい方法において、前記の方法は、さらに決定された抗凝固剤活性に基づいて療法的または診断的手段を推奨する工程を含む。
用語“療法的手段”は、本明細書で用いられる際、対象の抗凝固状態に影響を及ぼす、またはそれに依存する可能性のあるあらゆる手段を指す。好ましくは、療法的手段は、薬物の投与、薬物投与量の適合、外科手術の適用、創傷および損傷の管理、生活様式の適合および/または栄養法等を含む。用語“診断的手段”は、本明細書で用いられる際、本発明の方法を含む、対象における凝固状態を決定することを目的とするあらゆる手段を指す。診断的手段は、診断試験の選択ならびに診断の頻度に関する決定を含む。
本発明の別の好ましい方法において、前記の方法は、さらに決定された抗凝固剤活性に基づいて療法的または診断的手段を適用する工程を含む。
本発明のさらに別の好ましい方法において、前記の方法は、さらに決定された抗凝固剤活性に基づいて対象を管理する工程を含む。
本発明は、データプロセッサー上に明白に埋め込まれたコンピュータープログラムコードにも関し、前記のコンピュータープログラムコードは、本発明の方法の少なくとも工程(c)および(d)を実施する。
さらに、本発明は、以下のものを含む、対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固剤活性を決定するためのシステムに関する:
(a)前記の対象の試料中の第Xa因子活性、および第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第Xa因子活性を測定することができる分析ユニット;および
(b)(i)測定された第1および第2の第Xa因子活性に基づいて試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算する、コンピューターにより実行されるアルゴリズム、および(ii)抗凝固活性に関する前記パラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較する、コンピューターにより実行されるアルゴリズム、を含む評価ユニット。
用語“システム”は、本明細書で用いられる際、上記のユニットが抗凝固活性の決定が達成され得るように作動的に互いに連結されている配置に関する。そのユニットは、別個のハウジング中に含まれていてよく、または単一のハウジング内に含まれていてもよい。両方のユニットは、好ましくは有線によるかまたは無線方式かのどちらかで、例えば無線LAN、Bluetooth(登録商標)により、またはインターネットにより作動的に連結されているものとする。従って、ユニットは必ずしも物理的に近接していなければならないことはない。しかし、作動的連結は、分析ユニットにより測定される第Xa因子活性が、前記の評価ユニットが上記の評価工程を伝達された第Xa因子活性データに基づいて実施することができるように評価ユニット中に伝達されることを必要とする。
本開示に従う分析ユニットは、好ましくは、検出の1つ以上、例えば第Xa因子活性の定量的および/または定性的様式での測定を実施するスタンドアローンの装置またはより大きい機器内のモジュールである。例えば、分析ユニットは、試料および/または試薬のピペット操作、投与、混合を実施または支援することができる。分析ユニットは、アッセイを実施するために試薬を保持するための試薬保持ユニットを含んでいてよい。試薬は、例えば貯蔵区画またはコンベヤー内の適切な入れ物または位置に置かれた個々の試薬または試薬の群を含有する容器またはカセットの形態で配置されていてよい。一部の態様によれば、分析ユニットは、分析物、例えば発色性、発蛍光性または電流生成基質の、その第Xa因子による酵素的切断の前および/または後の光学的検出のために設計されていてよい。光学的検出のために設計された典型的な分析ユニットは、電磁エネルギーを電気的シグナルに変換するために設計された装置を含み、それは単一および多素子またはアレイ光学検出器の両方を含む。本開示によれば、光学検出器は、光学的電磁シグナルをモニターし、光路中に位置する試料中の分析物の存在および/または濃度を示す、ベースラインシグナルと比較した電気出力シグナルまたは応答シグナルを提供することができる。そのような装置は、例えばアバランシェ光ダイオードを含む光ダイオード、フォトトランジスター、光伝導検出器、リニアセンサーアレイ、CCD検出器、CMOSアレイ検出器を含むCMOS検出器、光電子増倍管、および光電子増倍管アレイも含み得る。特定の態様によれば、光学検出器、例えば光ダイオードまたは光電子増倍管は、追加のシグナル調整または処理電子装置を含有し得る。例えば、光学検出器は、少なくとも1個の前置増幅器、フィルタ回路、または集積回路を含み得る。適切な前置増幅器(pre−preamplifiers)は、例えば、統合型、トランスインピーダンス、および電流利得(電流ミラー)前置増幅器を含む。加えて、本開示に従う1個以上の分析ユニットは、光を放射するための光源を含み得る。例えば、分析ユニットの光源は、試験されている試料を用いて分析物濃度を測定するための、または(例えば蛍光共鳴エネルギー移動により、または酵素を触媒することにより)エネルギー移動を可能にするための少なくとも1個の発光素子(例えば発光ダイオード、電力で作動する線源、例えば白熱電球、電界発光ランプ、ガス放電ランプ、高輝度放電ランプ、レーザー)からなることができる。さらに、システムの分析ユニットは、(例えば、前記の試料を、少なくとも第Xa因子および第Xa因子の基質を含む反応混合物と、その基質の酵素的変換を可能にする条件下で接触させ、それにより基質の物理的または化学的特性が検出可能な様式で変化するための)1個以上のインキュベーションユニットを含み得る。
加えて、本明細書で開示されるシステムの分析ユニットは、反応容器またはキュベット供給ユニットを含んでいてよく、またはそれに操作上連結されていてよい。典型的な供給ユニットは、試料および/または試薬を反応容器に送達するための液体処理ユニット、例えばピペット操作ユニットを含む。ピペット操作ユニットは、再利用可能な洗浄可能な針、例えば鋼の針、または使い捨てのピペットチップを含み得る。分析ユニットは、さらに1個以上の混合ユニット、例えば液体を含むキュベットを振盪するための振盪機、またはキュベット中の液体を混合するための混合パドル、または試薬容器を含み得る。
評価ユニットは、典型的には、ユニバーサルパラメーターを計算するために、そしてそれを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲に対して比較するために上記のアルゴリズムを実行しているデータ処理装置を含む。前記の予め定められた範囲はメモリー上に保存されていてよく、それも典型的には評価ユニット中に含まれる。データ処理装置は、例えば汎用コンピューターまたは携帯型コンピューティング装置であることができる。多数のコンピューティング装置が、本明細書で開示される方法の1つ以上の工程を実施するために、例えばネットワークまたはデータを転送する他の方法を通じて一緒に用いられてよいことも理解されるべきである。典型的なコンピューティング装置は、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、携帯情報端末(“PDA”)、例えば携帯電話装置(cellular devices)、タブレットコンピューター、サーバー等を含む。一般に、データ処理装置は、複数の指示、例えばコンピュータープログラムコードの形式のアルゴリズムを実行することができるプロセッサーを含む。データ処理装置は、典型的にはメモリーへのアクセスを有する。メモリーは、コンピューターが読み取り可能な媒体であり、例えばコンピューティング装置と共にローカルに位置するか、またはネットワークを渡ってコンピューティング装置にアクセス可能であるかのどちらかの単一の記憶装置または多数の記憶装置を含み得る。コンピューターが読み取り可能な媒体は、コンピューティング装置によりアクセスされることができるあらゆる利用可能な媒体であってよく、揮発性および不揮発性媒体の両方を含む。さらに、コンピューターが読み取り可能な媒体は、取り外し可能な媒体および取り外し不能な媒体の一方または両方であることができる。例として、そして限定ではなく、コンピューターが読み取り可能な媒体は、コンピューター記憶媒体を含み得る。典型的なコンピューター記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリーもしくはあらゆる他のメモリー技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光学ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、またはデータ処理装置によりアクセスされ、前記の装置のデータプロセッサーにより実行されることができる複数の指示を保存するために用いられ得るあらゆる他の媒体を含むが、それらに限定されない。
評価ユニット上に典型的に存在するソフトウェアは、一般に、データ処理装置のプロセッサーにより実行された際に、本明細書で開示される方法の1つ以上の工程を実施することができる指示を含むことができる。指示の一部は、他の機械の作動を制御するシグナルを生成するのに適合していることができ、従ってそれらの制御シグナルを通してコンピューター自体から遠く離れた物質を変換するように作動することができる。前記の指示は、一般に所望の結果をもたらす工程のセルフコンシステントなシーケンス(self−consistent sequence)であると考えられるアルゴリズムも含むことができる。これらの工程は、物理量の物理的操作を必要とする工程である。通常、必ずそうであるわけではないが、これらの量は、保存される、転送される、変換される、組み合わせられる、比較される、そして他の方法で操作されることができる電気または磁気パルスまたはシグナルの形をとる。そのようなシグナルが具体化されている、または表されている物理項目または表示(manifestations)への参照としての値、特徴、表示データ、数等としてのこれらのシグナルに言及することは、主に一般的な使用の理由のため、時々好都合であることが分かる。しかし、これらの用語および類似の用語の全ては、適切な物理量と関係付けられるべきであり、本明細書において単にこれらの量に適用される好都合なラベルとしてのみ用いられていることは、心にとめておくべきである。本開示の一部の態様によれば、ユニバーサルパラメーターを計算するための、そしてそれを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲に対して比較するためのアルゴリズムは、指示を実行することにより具体化され、実施される。データ処理装置は、出力装置へのアクセスも有することができる。典型的な出力装置は、例えばファックス機器、ディスプレー、プリンター、およびファイルを含む。本開示の一部の態様によれば、データ処理装置は、本明細書で開示される方法の1つ以上の工程を実施することができ、その後出力装置を介して出力を提供することができる。
好ましくは、抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算するコンピューターで実行されるアルゴリズムは、測定された第1の第Xa因子活性を少なくとも1つの較正試料から測定された第2の第Xa因子活性に対して比較しており(ここで、第Xa因子に関する較正ユニバーサルパラメーターは、前記の測定された第2の第Xa因子活性に割り当てられている)、体液試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを前記の較正ユニバーサルパラメーターから引き出している。
さらに、本発明は、第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料ならびに好ましくは第Xa因子および第Xa因子基質を含む、試料中の第1の抗凝固剤により誘発された抗凝固剤活性を決定するためのキットを提供する。
用語“キット”は、本明細書において用いられる際、好ましくは別々にまたは単一の容器内で提供される上記の構成要素の集合を指す。試料ならびに第Xa因子および第Xa因子基質は、本発明のキットにおいて“使用準備済みの”液体形態で、または乾燥形態で提供されてよく、ここで第Xa因子および第Xa因子基質は2つの別個の容器中で、または組み合わせで提供される。後者の場合では、本発明の方法を実施するために溶媒の添加が必要とされ得る。適切な溶媒は当業者には周知であり、好ましくはそれも本発明のキット中に含まれていてよい。キットは、さらに対照、緩衝剤、および/または試薬も含んでいてよい。キットは、本発明の方法を実施するための指示、ならびに少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測値に関する情報も含む。これらの指示は、説明書、電子的にアクセス可能な情報の形態であってよく、または本発明の方法において言及される計算および比較を実施することができるコンピュータープログラムコードにより、コンピューターまたはデータ処理装置上で実行された際に抗凝固剤活性の決定を確立するために提供されてよい。そのコンピュータープログラムコードは、データ記憶媒体もしくは光学記憶媒体(例えばコンパクトディスク)のような装置上で、または直接コンピューターもしくはデータ処理装置上で提供されてよい。
本発明のさらなる観点は、第Xa因子活性ではなく第IIa因子活性が測定される、上記で記載したような方法、コンピュータープログラムコード、システムまたはキットに関する。
従って、以下の工程を含む、対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固剤活性を決定するための方法も、本発明に包含される:
(a)前記の対象の体液試験試料中の第1の第IIa因子活性を測定し、
(b)第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第2の第IIa因子活性を測定し;
(c)測定された第1および第2の第IIa因子活性に基づいて試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算し;
(d)抗凝固剤活性を決定するために、抗凝固活性に関する前記パラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較する。
用語“第IIa因子”は、本明細書で用いられる際、タンパク質分解的切断によりフィブリノーゲンをフィブリンに活性化することができる活性化されたセリンエンドペプチダーゼ(E.C.3.4.21.5)を指す。さらに、その酵素は、さらに第XI因子を第XIa因子に、第VIII因子を第VIIIa因子に、そして第V因子を第Va因子に変換することができる。その酵素は、トロンビンとしても知られている。その酵素の構造は、ヒトを含む様々な動物種において周知である。トロンビンのヒトのプレプロタンパク質のアミノ酸配列は、NCBI参照番号NP_000497.1(GI:4503635)の下で寄託されており、マウスのアミノ酸配列はNCBI参照番号NP_034298.1(GI:6753798)の下で寄託されている。本明細書において他の箇所で論じられるように、トロンビンは、その前駆体であるプロトロンビンから、第Xa因子によるタンパク質分解的切断により活性化された状態になる。その用語は、そのような特定のトロンビンタンパク質の変異体も包含することは理解されるであろう。そのような変異体は、少なくとも1個のアミノ酸置換、欠失および/または付加によりアミノ酸配列が異なり、トロンビン活性を示すタンパク質である。変異体トロンビンのアミノ酸配列は、なお典型的には上記で言及された特定のトロンビンタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、92%、95%、97%、98%、または99%同一である。2つのアミノ酸配列間の同一性の程度は、当該技術で周知のアルゴリズムにより決定され得る。好ましくは、同一性の程度は、比較ウインドウ内の2つの最適に整列された配列、例えばアミノ酸配列の一方の全長またはその少なくとも50%を比較することにより決定されるべきであり、ここで比較ウインドウ中のアミノ酸配列の断片は、最適な整列のために、参照配列と比較して付加または欠失(例えばギャップまたはオーバーハング)を含んでいてよい。百分率は、両方の配列において同一のアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して一致した位置の数を生成し、一致した位置の数を比較のウインドウ中の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性の百分率を生成することにより計算される。比較のための配列の最適な整列は、Smith and Waterman 1981, Add. APL. Math. 2:482の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch 1970, J. Mol. Biol. 48:443の相同性整列アルゴリズムにより、Pearson and Lipman 1988, Proc. Natl. Acad Sci. (USA) 85: 2444の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実施により(Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ中のGAP、BESTFIT、BLAST、PASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., ウィスコンシン州マディソン)、または目視での検証により実施されることができる。2つの配列が比較に関して同定されているならば、GAPおよびBESTFITが好ましくはそれらの最適な整列、従って同一性の程度を決定するために用いられる。好ましくは、ギャップウェイトに関して5.00およびギャップウェイト長に関して0.30のデフォルト値が用いられる。上記で言及された変異体は、対立遺伝子変異体またはあらゆる他の種特異的ホモログ、パラログ、またはオルソログであり得る。さらに、本明細書で言及された変異体は、トロンビンまたは上記のタイプの変異体の断片を、これらの断片が上記で言及されたような本質的な生物学的特性を有する限り含む。そのような断片は、例えばトロンビンの分解産物または化学的に修飾された形態、例えば翻訳後修飾された変異体であることができる。さらに、変異体は、例えば向上した切断特性を有するトロンビンの遺伝子改変された変異体も含む。
用語“第IIa因子またはトロンビン活性”は、本明細書で用いられる際、生物学的に活性なトロンビンにより試料に与えられた生物学的活性を指す。生物学的に活性なトロンビンを含む試料は、フィブリンをフィブリノーゲンからタンパク質分解的切断により活性化することができる。トロンビン活性は、内因的に存在するトロンビン活性としてか、または試料に生物学的に活性なトロンビンもしくは上記で明記されたようなその変異体を外因的に供給することによるかのどちらかで、本発明の方法に従う体液試料中で提供され得る。トロンビン活性が試料にトロンビン活性化酵素を外因的に補うことにより提供されている体液試料も、本発明の方法に包含される。好ましく適用され得るトロンビン活性化酵素は、血液凝固カスケードの内因性活性化酵素、例えば第Xa因子を含む。
上記の方法の好ましい態様において、前記の第1および前記の第2抗凝固剤は異なる。
上記の方法のいずれかの好ましい態様において、試料中の前記の第IIa因子活性の前記の測定は、以下の工程を含む:
a)前記の試料を、少なくとも第IIa因子および第IIa因子の基質を含む反応混合物と、基質の酵素的変換を可能にする条件下で接触させ、それにより基質の物理的または化学的特性が検出可能な様式で変化し;そして
b)基質の物理的または化学的特性の変化の程度を検出し;そして
c)前記の変化の程度を参照に対して比較し、それにより試料中の抗第IIa因子活性の量が測定される。より好ましくは、前記の物理的または化学的特性は、蛍光特性、光学特性および電気化学特性からなる群から選択される。
好ましい基質は、発色性基質Bz−FVR−pNA、H−D−Phe−ホモpro−Arg−pNA・2アセテート、Sar−Pro−Arg−pNA、Tos−Gly−Pro−Arg−pNA・AcOH、H−D−CHG−Ala−Arg−pNA・2AcOH、H−D−CHG−But−Arg−pNA・2AcOH、H−D−CHG−Pro−Arg−pNA・2AcOH、H−D−CHA−Ala−Arg−pNA・2AcOH、H−D−CHA−Gly−Arg−pNA・2AcOHまたはCHOCO−Gly−Pro−Arg−pNA・AcOHならびに発蛍光性基質Boc−Val−Arg−AMC・HCl、Boc−VPR−AMC、Bz−FVR−AMCまたはH−D−CHA−Ala−Arg−AMC・2AcOHを包含する。
しかし、当業者には既知であるように、FXa活性を検出するために用いられ得る多くの異なる基質が存在する。
いずれかの上記の方法のさらに好ましい態様において、前記の対象は、哺乳類、好ましくはヒトである。
いずれかの上記の方法のさらなる好ましい態様において、前記の体液試験試料は、尿試料、全血試料または血漿試料である。
いずれかの上記の方法の好ましい態様において、抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターの前記の計算は、測定された第1の第IIa因子活性を少なくとも1つの較正試料から測定された第2の第IIa因子活性に対して比較すること(ここで、抗第IIa因子活性に関する較正ユニバーサルパラメーターは、前記の測定された第2の第IIa因子活性に割り当てられている)、および体液試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを前記の較正ユニバーサルパラメーターから引き出すことを含む。より好ましくは、割り当てられたユニバーサルパラメーター(P)は、以下の計算により計算される:P=100+(因子較正に関して用いられた抗凝固剤の量または活性)。
因子は、抗凝固剤の典型的な療法的用量が200IIU(抗第IIa因子活性の任意単位)のユニバーサル抗凝固パラメーターを提供するであろう方法で選択されるべきである。
上記の方法のいずれかの好ましい態様において、前記の第1および/または第2抗凝固剤は、組み換えヒルジン、ダビガトラン(dabidatran)、アルガトロバンおよびビバリルジンからなる群から選択される。
上記の方法のいずれかの別の好ましい態様において、少なくとも工程c)およびd)は、コンピューターにより実行されるアルゴリズムにより実施される。
データプロセッサー上に明白に埋め込まれているコンピュータープログラムコードがさらに包含され、前記のコンピュータープログラムコードは、上記の方法のいずれか1つの少なくとも工程(c)および(d)を実行する。
さらに、以下のものを含む、対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固剤活性を決定するためのシステムが包含される:
(a)前記の対象の試料中の、および第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第IIa因子活性を測定することができる分析ユニット;ならびに
(b)(i)試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを測定された第1および第2の第IIa因子活性に基づいて計算するコンピューターにより実行されるアルゴリズム、ならびに(ii)抗凝固活性に関する前記のパラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較するコンピューターにより実行されるアルゴリズムを含む評価ユニット。
上記のシステムの好ましい態様において、抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算する前記のコンピューターにより実行されるアルゴリズムは、測定された第1の第IIa因子活性を少なくとも1つの較正試料から測定された第2の第IIa因子活性に対して比較しており(ここで、第IIa因子活性に関する較正ユニバーサルパラメーターは、前記の測定された第2の第IIa因子活性に割り当てられている)、体液試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを前記の較正ユニバーサルパラメーターから得る。
最後に、第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料ならびに好ましくは第IIa因子および第IIa因子の基質を含む、試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固剤活性を決定するためのキットが提供される。
この明細書において引用された全ての参考文献は、それらの全開示内容およびこの明細書において具体的に言及された開示内容に関して、参照により本明細書に援用される。
以下の実施例は、単に本発明またはその観点を説明するだけのものとする。しかし、それらは、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1:第Xa因子拮抗薬に関するユニバーサル較正概念(Unitest)に関する評価
研究の目的は、ユニバーサル較正が、第Xa因子に対して向けられたいくつかの異なる抗凝固剤を、いくつかの較正曲線を用いる現状技術の代わりに単一の較正曲線を用いてモニターすることを可能にすることを示すことであった。ユニバーサル較正の結果を実際の薬物濃度に変換することが可能であることも示されるであろう。
3種類の異なる抗凝固剤(低分子量ヘパリン、リバロキサバン=Xarelto(登録商標)、ダナパロイド=Orgaran(登録商標))に関する対照試料が、4つの実験室に送られ、2通りで(in duplicate)3日間において分析された。1日目に、個々の抗凝固剤に関する較正曲線も決定された。
個々の較正の計算に加えて、ユニバーサル較正も決定された。
以下において、ユニバーサル較正が個々の較正と比較して3つのセンターにわたって同じくらい良好な一致を提供するかどうかが評価される。
以下の較正物質が実験室に送られ、1日目にアッセイされた:
以下の対照が実験室に送られ、1〜3日目に分析された:
アッセイは以下のように実施された:
試料は分析前に再構成された。試料はウシの第Xa因子を含有する溶液に、および発色性基質S−2732(Suc−Ile−Glu(ガンマ−pip)−Gly−Arg−pNA、HCl)を含有する第2溶液に添加された。溶液の光学密度が測定され、光学密度の変化が報告された。アッセイされた血漿較正物質および対照は、Hyphen biomedから商業的に得られ、抗XaアッセイはInstrumentation Laboratoryから商業的に入手可能である。
ユニバーサル較正は、LMWH較正物質を用いて決定された。較正は、“XU”と呼ばれる任意単位で実施された。割り当てられたaXa U/mlのXUに対する関係は、以下の通りであった:
XUでの抗凝固剤活性=100+100aXa U/mlでの抗凝固剤活性;図1参照。
実験室に送られた試料は、3日の別個の日に分析され、結果が報告された。
これは、なぜまず第一に較正が必要であるかの必要性を説明している。たとえ同じバッチの試薬が全ての4つのセンターにより適用されたとしても、単にセンターにおいて適用された機器の間の違いのため、なお約20%のCVが同じ対照の分析に関して決定された。
異なる較正および実験室に関する結果が図2〜5において示されている。図2はヘパリンに関する、図3はリバロキサバンに関する、そして図4はOrgaranに関する4つの実験室に関する較正曲線を示している。図5は、4つの実験室において確立されたユニバーサル較正曲線を示している。
分析結果は、それぞれの対照に関して実施された24の測定の個々の結果、平均値、およびCVで示す(4つの実験室、3日、それぞれ2つの決定)。
分析結果は、個々の薬物を較正するための古典的戦略の問題も明らかにしている:抗凝固剤を含まない試料は、容易に陰性になる可能性があり、それは典型的には0または(例えば)0.05aXa U/mlとして報告される。これは、例えば臨床試験の結果が統計的に分析される場合でもなお数学的問題を引き起こし得る。
分析結果は、ユニバーサル較正の使用に関して、抗凝固剤濃度による結果の表現(先行技術)と比較して有意に良好なCVを示している。抗凝固剤活性なしの結果の表現の問題も起きていない。
実施例2:ユニバーサル較正に基づく抗凝固剤活性の決定
4つのセンターにおいて較正物質に関して決定された平均XU値に基づいて、XU値から抗凝固剤活性を決定するために、較正曲線が計算された;図6参照。
XU値から抗凝固剤濃度を計算するためにこれらの回帰曲線を用いる場合、以下の結果がLMWH試料(および抗凝固剤活性を有しない対照試料)に関して見られる:
XU値から抗凝固剤濃度を計算するためにこれらの回帰曲線を用いる場合、以下の結果がリバロキサバン試料(および抗凝固剤活性を有しない対照試料)に関して見られる:
XU値から抗凝固剤濃度を計算するためにこれらの回帰曲線を用いる場合、以下の結果がOrgaran試料(および抗凝固剤活性を有しない対照試料)に関して見られる:
表14は、ユニバーサル較正から得られた薬物濃度データが個々の較正から得られたデータに非常に類似していることを示している。
高リバロキサバン対照の高いCVは、XU較正に関する最も高い較正物質は260XUしか有していなかったが高リバロキサバン対照はおおよそ400XUを有していたため、XU値がこのデータ点に関して外挿されたという事実により説明され得る。現実の生活の状況では、最高の較正物より上の値は、(例えば)>260XUと表されると考えられ、または限られた外挿(例えば、最高の較正物の110%の値まで)が可能とされるであろう。
本質的に、ユニバーサル較正は、第Xa因子に対して向けられたいくつかの異なる抗凝固剤を、いくつかの較正曲線、いくつかの対照のセット、SOPを用いる現状技術に代わって、単一の較正曲線/1セットの対照/1つの熟練度試験手順/1つのSOPを用いてモニターすることを可能にする。異なる日およびセンター間の一致は、ユニバーサル較正により、個々の較正の使用と同等に良好であるか、またはより良好であった。最終的にユニバーサル較正の結果を実際の薬物濃度に変換することも可能である。結論として、この方法は、第Xa因子阻害剤のモニタリングを著しく単純化し、費用を低減し、作業の流れを向上させ、一方で診断法の危険性を低減して柔軟性を向上させる可能性を有する。
新規の抗凝固剤が絶えず臨床実施に導入されている。本発明の方法の利点の1つは、FXaおよび/またはFIIaに対して向けられた新規の抗凝固剤が、本発明のアッセイを用いて、試験または較正手順の修正なしで容易に試験され得ることである。一方で、較正手順に関しても、合成または天然由来の抗凝固剤または第IIa因子および/または第Xa因子の他の阻害剤が適用され得る。

Claims (14)

  1. 対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固活性を決定するための方法であって、以下の工程を含む前記方法:
    (a)対象の体液試験試料中の第1の第Xa因子活性を測定する工程;
    (b)第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第2の第Xa因子活性を測定する工程;
    (c)測定された第1および第2の第Xa因子活性に基づいて、試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算する工程;および
    (d)抗凝固活性を決定するために、抗凝固活性に関する前記パラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較する工程。
  2. 第1および第2抗凝固剤が異なるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 試料中の第Xa因子活性の測定が下記工程を含む、請求項1または2に記載の方法:
    a)試料を、少なくとも第Xa因子および第Xa因子の基質を含む試薬と、基質の酵素的変換を可能にする条件下で接触させ、それにより基質の物理的または化学的特性を検出可能な様式で変化させる工程;
    b)基質の物理的または化学的特性の変化の程度を検出する工程;および
    c)前記の変化の程度を参照と比較し、それにより試料中の第Xa因子活性値を測定すること。
  4. 物理的または化学的特性が、蛍光特性、光学特性および電気化学特性からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  5. 対象が哺乳類、好ましくはヒトである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 体液試験試料が尿試料、全血試料または血漿試料である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターの計算が、
    測定された第1の第Xa因子活性を少なくとも1つの較正試料から測定された第2の第Xa因子活性と比較すること、ここで第Xa因子活性に関する較正ユニバーサルパラメーターは測定された第2の第Xa因子活性に割り当てられているものである、および
    体液試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを前記較正ユニバーサルパラメーターから得ること、
    を含む、前記方法。
  8. 較正ユニバーサルパラメーター(P)が以下の計算:P=100+(因子該較正に関して用いられた抗凝固剤の量または活性)により計算される、請求項7に記載の方法。
  9. 第1および/または第2抗凝固剤が、低分子量ヘパリン(LMWH)、未分画ヘパリン(UFH)、ダナパロイド、リバロキサバン、五糖類、およびアピキサバンからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 少なくとも工程(c)および(d)がコンピューターにより実行されるアルゴリズムにより実施される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. データプロセッサー上に明白に埋め込まれているコンピュータープログラムコードであって、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法の少なくとも工程(c)および(d)を実施する、前記コンピュータープログラムコード。
  12. 対象の試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固活性を決定するためのシステムであって、以下を含む前記システム:
    (a)前記の対象の試料中の第Xa因子活性、および第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料中の第Xa因子活性を測定することができる分析ユニット;および
    (b)(i)測定された第1および第2の第Xa因子活性に基づいて試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算する、コンピューターにより実行されるアルゴリズム、および(ii)抗凝固活性に関する前記パラメーターを少なくとも3種類の抗凝固剤に関する予測抗凝固活性の予め定められた範囲と比較する、コンピューターにより実行されるアルゴリズム、を含む評価ユニット。
  13. 請求項12に記載のシステムであって、
    抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを計算する、前記のコンピューターにより実行されるアルゴリズムが、測定された第1の第Xa因子活性を少なくとも1つの較正試料から測定された第2の第Xa因子活性と比較し、ここで第Xa因子に関する較正ユニバーサルパラメーターは、測定された第2の第Xa因子活性に割り当てられているものであり、体液試験試料中に含まれる抗凝固活性に関するユニバーサルパラメーターを前記較正ユニバーサルパラメーターから得る、前記システム。
  14. 第2の抗凝固剤に関する予め定められた抗凝固活性を含む少なくとも1つの較正試料、および好ましくは第Xa因子および第Xa因子の基質を含む、試料中の第1の抗凝固剤により誘発される抗凝固活性を決定するためのキット。
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