JP2016526672A - 質量分光計のための汚染フィルタ - Google Patents

質量分光計のための汚染フィルタ Download PDF

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Abstract

質量分光法を行うための方法およびシステムは、本明細書に提供される。出願人の教示の様々な側面によれば、方法およびシステムは、高真空システム内に位置する質量分光計の下流の重要な構成要素(例えば、イオン光学系、質量フィルタ、検出器)の汚染および劣化の主な寄与因子を限られた信号損失で除去するよう、大気圧または低真空圧で作動するイオン移動度分光計を利用し得る。質量分光計システムを動作させる方法は、複数のイオンを生成するようにサンプルをイオン化するためのイオン源を提供するステップと、汚染を低減するために低分解能、高透過率イオン移動度分光計を提供するステップと、イオン移動度分光計の入力端内に複数のイオンを導入するステップと、イオン移動度分光計を通してその入力端から出力端に、複数のイオンをドリフトガス中で移送するステップと、微分移動度分光計に流体連通する質量分光計を提供するステップとを含む。

Description

(関連出願)
本願は、参照によりその全体が本明細書中に援用される、 “Contamination Filter for Mass Spectrometer,”と題され、2013年6月21日に出願された、米国仮出願第61/838,185号に対する優先権を主張するものであり、そして、参照によりその全体が本明細書中に援用される、“Contamination Filter for Mass Spectrometer,”と題され、2014年6月19日に出願された、米国仮出願第62/014,657号に対する優先権を主張するものである。
本発明は、概して、質量分光法に関し、より具体的には、高真空チャンバ内で動作する質量分光計の下流の構成要素の汚染を除去し、劣化を防止するためにイオン移動度分光計を利用する方法および装置に関する。
質量分光法(MS)は、定性的および定量的な用途の両方で、試験物質の元素組成を決定するための分析技法である。例えば、MSは、未知の化合物を同定する、分子中の元素の同位体組成を決定する、特定の化合物の構造をその断片化を観察することによって決定する、およびサンプル中の特定の化合物の量を定量するために有用であり得る。質量分光計は、化学と物理学の分野で1世紀にわたって広く使用されており、生物学では過去数十年にわたってますます用いられている。汚染物質の環境モニタリング、乱用薬物および毒物の法医学的分析、生物医学的研究、臨床疾患の診断、食品分析、材料科学、およびその他の下位学問分野は、大きな実用的な価値に向け、またこれらの分野における顕著な進歩を達成するのに役立つように大気圧イオン化質量分光計を利用してきた。多数の非常に複雑なサンプルは、1兆分の1という低レベルにおける様々な化学成分の識別と定量のために調べられてきた。
その結果、質量分光法機器は、複雑なマトリックス内に含まれる被検物の質量分光法的な検出および定量化がサンプル内の干渉種の影響を低減する高分解能の分離技法を概して必要とするにつれて、高い選択性に向かって進化してきた。高分解能質量分析器が干渉種から標的種を約0.01Th以内で区別することを可能にしたMSの進歩にもかかわらず、高分解能質量分析器を干渉種の分離に用いることは、例えば、利用可能性、コスト、および/または実験条件により、常に実行できるまたは可能なわけではない。
したがって、被検物の分解能を高めるため、例えば、液体クロマトグラフィー等のイオン化に先立つ改良された試料調製法、LC分離に先立つ誘導体化、固相抽出、または乱流クロマトグラフィーを含む様々なアプローチが開発されている。加えて、質量対電荷比(m/z)を超えた特性に基づいて、イオン化された試料中の荷電種を分離する様々な技法が開発されてきた。例として、MSは、概して、m/zの違いに基づいてイオンを分析するのに対し、イオン移動度分光測定法(IMS)および他のイオン移動度分離技術(例えば、微分移動度分光測定法(DMS)、高電界非対称波形イオン移動度分光測定法(FAIMS)、フィールドイオン分光測定法(FIS)等)は、代わりに、イオンが電界内のガス(通常は大気圧)を介してドリフトする際のサイズ、形状、および充電状態等の他の要因に基づいてイオンを分離する。静電界を通るドリフト時間は、イオンの移動度の特性(例えば、そのサイズと形状および背景ガスとの相互作用)であり、またDMSとFAIMSデバイスの場合には、特定の種のドリフトを優先的に防ぐのに必要とされる補償電圧(CVまたはCoV)が、微分移動度の特徴である。しかしながら、イオン移動度分光計の動作パラメータは、従来、(例えば、同重体種を分離する等)サンプルから生成される様々な荷電種の分解能を、対象となるイオンの透過を低下させる犠牲を払って最適化するように構成されている。さらに、特定の種のイオン移動度条件の影響は、予測困難であり得、多くの場合、イオン損失(すなわち、信号/感度の低下)につながり得る。
加えて、イオン軌道が電界によって正確に制御され得る高真空チャンバの内部深くに配置された、イオン光学系および他の質量分析器構成要素は、繊細であり、サンプルの過剰な負荷と大気圧イオン源によって生成されたデブリとにより汚染され易い。大気圧でのイオン化は、化学イオン化法または電子噴霧のいずれによるにせよ、概して、対象となる被検物のイオンおよびマイクロアンペアのイオン電流を生成するのに非常に効率的な手段である一方、汚染/干渉イオンも、対象となる被検体をはるかに超えるイオン電流レベルで多量に生成され得る。大気圧源領域から質量分光計の高真空チャンバへの汚染イオンおよび荷電粒子の望ましくない移送はまた、微分排気質量分光計の中間ポンピングステージ内におけるイオン光学系の汚染をもたらす結果となる。このような汚染は、質量分光分析を妨害し得るのみならず、高真空チャンバと中間圧力領域内の重要な部品の洗浄に必要とされるコストの増加またはスループットの減少をもたらし得る。より高いサンプル負荷と今日の大気圧イオン化源を用いて分析される生物学的サンプルの汚染的な性質とのため、システム汚染の低減が重大な関心事のままとなっている。
質量分光計(MS)のプレフィルタとして微分イオン移動度(DMS)デバイスを使用する概念は、いくつかのグループによって開発されてきた。これは、分離を達成するためにイオンの高および低電界移動度の差異を利用するのと同じ原理で動作する高電界非対称波形イオン移動度分光計(FAIMS)の使用を含む。DMSをMSに結合させるために表明された目的は、質量分光計が分離できないイオン種を分離し得る高分解能イオン移動度デバイスを提供することにより質量分光計の選択性を増加させ、このようにして、異なる原理、すなわち、移動度と質量測定が互いに直交する原理で、イオンを分離する2つの器具をつなぐことによりシステムの特異性を増加させることにある(Schneider et al,Int. J.Ion Mobility Spec.,2013,16,207−216)。同重体種の分離は、DMSデバイスが多くの場合に行うことができ、質量分光計にはできないものの例である。異なる一次、二次、または三次の構造を有し同一の質量(同重)を有する化合物は、微分イオン移動度で分離し、そのようなデバイスと組み合わせて使用されるときに質量分光計の選択性が改善することが示されている。また、別の気相イオンの化学的性質を有する同重体化合物は、質量分光計にさらなる分解能を追加するDMSによって分離され得る。このように、移動度システムの設計上の焦点は、分解能およびピーク容量の向上に置かれてきた。分解能(Rs)は、式1のように定義される。
式中、CoVは、セルを通して特定のイオンを通過させるために必要な補償電圧を表し、FWHMは、CoVの走査中に発生するピークのボルトで表された半値全幅である。分解能は、ここで定義されるように、単一化合物のCoVのシフトおよび微分移動度のピーク幅の示度を提供する。
ピーク容量(Pc)は次のように定義される。
Pc=CoVレンジ/FWHM(式2)
式中、CoVレンジは、ボルトで表される補償レンジで、多数の化合物がそこにわたって拡開されており、また、FWHMは、多数の化合物についてのCoVの走査中に生成されるピークのボルトで表される平均半値全幅である。ピーク容量は、複合混合物中で分離することができる化合物の数の指標である。
DMSセルの第3の重要な性能特性は、それが移動度分析器を通してイオンを透過する効率であり、次のように定義される。
Te=Sd/S(式3)
式中、Teは、イオン透過効率であり、Sdは、DMSフィルタが設置されフィルタ処理の付いた質量分光計検知器により測定されたイオンの数であり、Sは、質量分光計にDMSフィルタが設置されていない質量分光計検出器によって測定されたイオンの数である。透過効率は、どれだけのイオンがDMSセル中に失われるかを示す。
透過効率は、分解能およびピーク容量の両方に反する傾向にある。すなわち、分解能およびピーク容量を最大にするためには、透過効率が損なわれる。上記のように、微分イオン移動度計測器の分野における現在の考え方は、選択性、すなわち、分解能およびピーク容量を最大化することである。この例は、Shvartsburgの設計に図示されており(Shvartsburg,A.A.;Smith,R.D.2013.「水素富化ガス中の微分イオン移動度によるタンパク質配座異性体の分離(Separation of protein conformers by differential ion mobility in hydrogen rich gases)」Anal.Chem.85、6967−6973)、これが、約400−500の分解能値を達成するDMSデバイス用の現在の記録を樹立する。
例示の目的のために、セル寸法の重要なパラメータを定義する図3を参照する。図3は、矩形の平板DMSセンサの模式図を示す。分離は、RF電界が印加される電極で囲まれたギャップ内で生じる。セル寸法および電源仕様は、目標とされる用途および仕様に応じて多種多様な寸法および値を取り得る。高分解能デバイスの仕様の1つの典型的なセットは、ギャップ高さ1mm、長さ30mm、および幅10mmで、3000V0ピークの典型的な最大出力を有する3MHzRF非対称波形発生器を動力とする。
図4aは、独立型DMSセンサの模式図を示す。イオンフィルタ領域は、2つの平板平行電極で構成されている。出口のファラデー板は、正および負イオンの検出器として同時に機能する。図4bは、イオン検出器として質量分光計が付いたDMSの模式図を非対称波形の描示とともに示し、各期間内の低および高電界部分下で統合された時間/電圧領域は同一である。RF波形は、理想的な方形波として描かれているが、電力消費に関連する実用的な理由から、全てのDMS電源が、方形波関数を送るように設計されているとは限らない。波形の振幅は、分離電圧(SV)と呼称される。補償電圧(CoV)は、SVに応答して電極に向かうイオンの移動に対抗するように用いられる電極に印加されるDC電位であり、その大きさは、イオンの微分移動度に比例する。なおそれは、ここでは電圧ランプとして示されているが、非標的イオンを排除しつつ標的イオンがDMSを通過できるように固定値に設定することもできる。図示の目的のため、図4bのDMSは、質量分光計インレットの前に、追加的封止手段なしで示されている。実際には、DMSセルから質量分光計へのイオン透過は、通常、封止手段を提供することによって最大化される。
図5は、DMS−MSシステムのさらなる詳細を示す。DMSセルの設計は、特定の用途に合わせた所望の性能仕様を達成するために、長さ、幅、ギャップ高さ、ガス速度、RF周波数、振幅、および波形形状の様々な大きさの均衡をとることを含む。イオンがセル内で費やす時間は、究極的な分解能、ピーク容量、および透過効率に関連して特に重要である。これは、飛行時間または等価的に滞留時間と呼ばれる。飛行時間(τ)は、式4から算出され得る。
式中、l、w、h、およびQは、それぞれ、センサの長さ、幅、高さ、およびガス体積流である。
図5は、質量分光計に結合されたDMSを示し、最大移送ガス流量は、MSの真空吸引力によって決定され、分解能を調整するのに使用されるスロットルガスと呼ばれる可変リークにより、制御された方法で減少され得る。スロットルガスは、逆に吸引にも使用され得、それにより、移送ガスの速度を真空システムによって提供される速度を超えて増加させ得る。この特徴は、分解能を低下させ、イオンの透過を改善するであろう。DMS結合のためこのアプローチは、本明細書に参照により組み込まれる本出願人の米国特許第8,084,736号および第8,513,600号の対象である。カーテンガスは、移送ガスと非荷電の大気汚染物質を移送ガスの中の外に維持する向流フローとの両方を供給する。
DMSセルの設計の全ての側面は、パラメトリックで、すなわち、それらは強く相互依存する。主な性能指数、すなわち、分解能、ピーク容量、およびイオン透過効率(感度)について最適な性能を同時に提供する寸法、大きさの比率、またはRF周波数、振幅、もしくは波形は、存在しない。セルおよびその電源の設計は、これらの性能指数のいくつかを強調する一方、同時に他を妥協する。これら性能指数のそれぞれについて性能仕様を定義するには、所望の用途のより明確な理解が必要とされ、これがその後セル設計の一般的な方向を確立するであろう。今日まで、DMS機器の進化は、分解能およびピーク容量の向上に向けられてきた。
特定のセルの設計の様々な側面を変化させることとそれが分解能、ピーク容量、および透過の性能特性に与える影響との3つの例は、例として後に続く。これらの例で使用されるセルは、ギャップの高さ、幅、長さについてそれぞれ1×10×30ミリメートルの寸法を有し、記述したような変更が行われている。これらの例に記載の方法で設計が変更された際、性能特性が発揮する一般的な傾向は、他の特定の幾何学的形状または電源仕様が使用されたとしても関係なく、同様であろう。
図6aおよび図6bは、Schneider BB,Nazarov EG,Covey TR.による「微分移動度分光分析におけるピーク容量:トランスポートガスおよびガス改質剤の影響(Peak Capacity in Differential Mobility Spectrometry:Effects of Transport Gas and Gas Modifiers)」,Int.J.Ion Mobil.Spectrom.,2012a,15,141−150に記載された、飛行時間を増加させるよう設計を最適化することによるDMS装置分解能の向上の例である。図6aおよび図6bは、6成分混合物薬剤のイオノグラムを示し、質量分光計に結合されたDMS中の分解能に及ぼす滞留時間の影響を示す。用語「イオノグラム」は、CoVが一定のSVで走査され、サンプルが走査の時間枠にわたって導入される形態のデータ取得を記述するべく造り出された(Guevremont R.,「高磁界非対称波形イオン移動度分光法:質量分光法のための新しいツール(High−Field Asymmetric Waveform Ion Mobility Spectrometry:A New Tool for Mass Spectrometry)」,J.Chrom.A.,2004,1058,3−19)。サンプルの成分からの信号強度は、走査中に記録され、分離の分解能およびピーク容量が決定され得る。図6aは、6.5msの滞留時間を有する。図6bは、20msの滞留時間を有する。滞留時間は、移送ガス流量および/またはセルの大きさを変化させることを含む、いくつかの手段によって制御され得る。サンプルは、電子噴霧イオン源中に10μL/分で吹き込まれた、1)フェニルアラニン、2)ヒスチジン、3)メチルヒスタミン、4)ノキシジル、5)シメチジン、および6)ペルフェナジンで構成された。信号は、3段4重極MS上の多重反応モニタリング(MRM)により、各成分についてモニタされた。飛行時間の増加は、観察された移動度ピークの狭小化を提供するが、CoVを変化させない。飛行時間の増加に伴い分解能の改善が認められるが、ピーク強度は、移動度分析器内の拡散プロセスによるイオン損失の増加の結果として減少する。
図7a−dは、a)0.25mm、b)0.50mm、c)1mm、およびd)1.5mmの範囲にわたってギャップ高さを変えた結果として生じるDMSデバイスのピーク容量の変化の例を示す。式2に記述したように、特定の分離のためのピーク容量は、特定の化合物のセットが拡開されるCoV範囲を個々のピークのFWHMで割った比率として定義される。所与の化合物について測定されるCoVは、ギャップ高さに比例する。しかしながら、これらのデータを生成するために使用される4DMSセンサの制限ピーク幅は同様であった。したがって、ピーク容量は、主に、この化合物セットが拡開されるCoV電圧の範囲が平均FWHMよりも実質的に増加したため、増加したギャップ高さに伴い改善した。ピーク容量は、それぞれ、最小から最大のギャップ高さセンサにについて10.5〜38.5の範囲であった。
メチルヒスタミンイオンについての分離電圧の増加に伴う透過効率の向上(セル寸法1×10×30mm)は、図8に見られる。イオノグラムは、3つの異なる分離電圧で示され、増加するSVに伴い増加するイオン信号を実証する。SVの上限は、セル構造の他の側面、特に、ギャップ高さによって決定される。実用的な限界は、セル間の電界(V/mm)が放電限界に達し、移送ガスの分解および電極間の電気的アーク放電を引き起こすときに達せられる。
上記の3つの例は、重要な設計要素である分離電圧、ギャップ高さ、およびイオン飛行時間が影響を及ぼす、分解能、ピーク容量、およびイオン透過効率の性能特性へのいくつかの効果を例証する。データは、特定の形状および電源を用いて得られたが、傾向は、任意の特定のDMSまたはFAIMS設計に一般化され得る。前述したように、商用および非商用の研究者の両方によるDMS−MSデバイス開発の現状は、念頭として、分解能およびピーク容量改善の方向に向かっている。透過効率も考慮されてはいるが、それは、選択性の最適化において二次的役割を果たす。
したがって、ますます複雑なサンプルを、潜在的な汚染源を低減しつつ改善された感度で分析することを可能にする方法およびシステムの必要性が依然として存在する。
米国特許第8,084,736号明細書 米国特許第8,513,600号明細書
本教示は、大気圧で動作するイオン化源(例えば、電子噴霧および化学的イオン化源等)の使用は、向流ガスフロー(カーテンガス)を含む界面領域を通過することができる高質量イオン(例えば、荷電溶媒クラスタ)の形成をもたらし、イオン分光計の光学部品を汚染するとともに、例えば、大きな過渡信号を生成することにより、信号対雑音比を激しく低下させるという、予想外の発見に基づく。いくつかの場合、これら高質量イオンは、約2000amuを上回る、例えば、約2000amu〜2,000,000amuを上回る範囲の質量を有し得る。イオン移動度分光計は、対象となる荷電種の実質的な部分(例えば、少なくとも約50%、または少なくとも約70%、または、少なくとも約90%)が、下流の質量分光計による分析のためにイオン移動度分光計を通過することを確保しつつ、これら高質量イオンをフィルタ除去するように構成され得ることが加えて発見された。
本教示は、高透過率低分解能のイオン移動度分光計デバイスが、質量分光計の真空系を長期間きれいに維持するように高質量イオンまたは荷電デブリをフィルタ処理し得るという予想外の発見に基づく。デバイス構成は、イオン移動度分光計を通るイオンの滞留時間、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さ、およびイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧を考慮し、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さとイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.002を下回る。様々な側面では、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さとイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.0015を下回る。
したがって、様々な側面では、本出願人の教示のある実施形態は、質量分光計システムを動作させる方法に関し、本方法は、複数のイオンを生成するようにサンプルをイオン化するためのイオン源を提供するステップと、汚染を低減するために低分解能、高透過率イオン移動度分光計を提供するステップと、イオン移動度分光計の入力端内に該複数のイオンを導入するステップと、イオン移動度分光計を通してその入力端から出力端に、該複数のイオンをドリフトガス中で移送するステップと、微分移動度分光計の出力端からイオンを受容するため微分移動度分光計に流体連通する質量分光計を提供するステップとを含み、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さとイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.002を下回る。様々な側面では、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さとイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.0015を下回る。
様々な側面では、イオンの滞留時間は、100msを下回り得る。様々な側面では、ギャップ高さは、0.02〜5ミリメートルであり得る。様々な側面では、SVは、電極に印加されたRF信号を備え、電極に印加されたDC信号から構成されるCoVを含み、RF信号およびDC信号は、イオン移動度分光計の該入力端の近傍に、選択された質量を有する該イオンが、入力端の近傍で電極と衝突する軸外の軌道に追従させるのに有効な漏れ磁場を生成するように構成される。様々な側面では、本方法は、イオン移動度分光計を通る対象となる被検物の通過を容易にするように、イオン移動度分光計を通るイオンの通過時間を選択するステップをさらに含む。様々な側面では、通過時間は、イオンの広い質量範囲にわたって50%を上回る透過効率を提供するように選択され得る。様々な側面では、イオン移動度分光計は、微分移動度分光計またはFAIMSシステムを含む。
様々な側面では、本出願人の教示のある実施形態は、イオンを分析するためのシステムに関し、本システムは、イオン源と、ソースからイオンを受容するための入力端と出力端とを有する汚染を低減するための低分解能高透過率イオン移動度分光計であって、内部動作圧力、電極、および電極にDCおよびRF電圧を提供するための少なくとも1つ電圧源を有するイオン移動度分光計と、微分移動度分光計の出力端からイオンを受容するための微分移動度分光計に流体連通する質量分光計と、イオン移動度分光計に動作可能に結合され、DCおよびRF電圧を制御するように構成されたコントローラとを備え、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さとイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.002を下回る。様々な側面では、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さとイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.0015を下回る。
様々な側面では、イオンの滞留時間は、100ミリ秒を下回り得る。様々な側面では、ギャップ高さは、0.02〜5ミリメートルであり得る。様々な側面では、分離電圧(SV)は、電極に印加されたRF信号を備え、電極に印加されたDC信号から構成される補償電圧(CoV)を含み、RF信号およびDC信号は、イオン移動度分光計の該入力端の近傍に、選択された質量を有する該イオンが該入力端の近傍で電極と衝突する軸外の軌道に追従させるのに有効な漏れ磁場を生成するように構成される。様々な側面では、本システムは、イオン移動度分光計を通る対象となる被検物の通過を容易にするように、イオン移動度分光計を通るイオンの通過時間を選択することをさらに含む。様々な側面では、通過時間は、イオンの広い質量範囲にわたって50%を上回る透過効率を提供するように選択され得る。様々な側面では、イオン移動度分光計は、微分移動度分光計またはFAIMSシステムを含む。
実施形態では、イオン移動度分光計は、上記の高質量イオンだけでなく、閾値(例えば、100、150、または200amu)を下回るm/zを有するイオン(本明細書では低質量イオンとも称す)をフィルタ除去するように構成されることができる。このような低質量イオンは、(例えば、大気圧または近大気圧チャンバ内の周囲分子の存在下で)大気圧でイオン化を施される多数の分子により大量に作られ得る。例えば、いくつかの場合には、液体サンプルが大気圧イオン源に導入されるとき、溶媒分子は、サンプル中の対象となる被検物に関連付けられるイオン電流をはるかに超えるイオン電流レベルを生成し得る。そのような望ましくない低質量イオンの除去は、例えば、下流の質量分析器によって提供される信号対雑音比を改善し得る。
したがって、本明細書に記載される方法およびシステムは、真空システムに入る帯電した望ましくない材料の量を低減するのに有効であり得、それにより、長い期間にわたる過酷な使用中にも、質量分光計システムのピーク性能を維持し得る。イオン移動度分光計の動作パラメータは、従来、(例えば、ピークを分解するのに十分な信号を維持しつつ、同重体種を分離する等)分解能を最大化するように構成されているが、本教示は、イオン移動度分光計が、低分解能モードで動作する、例えば、分光計を通した対象となる種の通過を最大化するように幅広なピークと高い透過効率等で動作するように構成され得、それによって、感度を向上させ、それにもかかわらず高質量および低質量種をフィルタ除去し得るという発見に一部基づいている。いくつかの実施形態では、本教示による方法およびシステムは、下流の質量分析器への対象となるイオンの通過を可能にしつつ、イオン源によって生成される望ましくないイオンの約99%までを除去するように使用され得る。
様々な側面によれば、本出願人の教示のいくつか実施形態は、イオン移動度分光計(例えば、微分移動度分光計またはFAIMS等)を含む質量分光計システムおよびイオン移動度分光計と流体連通する質量分光計を動作させる方法に関する。本方法によれば、サンプルは、複数のイオンを生成するようにイオン化され、複数のイオンはイオン移動度分光計の入力端に導入される。複数のイオンがドリフトガス中でイオン移動度分光計を通してその入力端から出力端に移送される際、約200amuを下回る(例えば、約150amuまたは約100amuを下回る)質量および約2000amuを上回る(例えば、約2000amu〜約2,000,000amuの範囲の)質量を有するイオンは、複数のイオンがイオン移動度分光計内に輸送される間にドリフトガスからフィルタ除去される。本方法はまた、イオン移動度分光計の出力端から出るイオンを質量分光計に導入するステップを含み得る。
いくつかの側面では、フィルタ処理ステップは、イオンの一部を、イオン移動度分光計の少なくとも一方の電極に衝突するように方向転換(例えば、偏向)させるステップを含み得る。様々な側面では、約2000amuを上回る質量を有するイオンまたは荷電粒子をフィルタ処理するステップは、イオン移動度分光計の電極にRF信号を印加するステップを含み、RF信号は、約2000amuを上回る質量を有するイオンの不安定な軌道への追従を引き起こすように構成された振幅と周波数を有する。
いくつかの側面によれば、イオン移動度分光計は、そこに印加された分離電圧および補償電圧を有する少なくとも一対の電極を含み、本方法は、広い質量範囲の被検物がイオン移動度分光計を通してその出力端から出るよう移送されるようにCoVを選択するステップをさらに含む。例えば、いくつかの側面では、CoVとSVとの組み合わせは、イオン移動度分光計の該入力端の近傍に漏れ磁場を生成するように構成された電極の少なくとも1つに印加され、2000amuを上回る質量を有する該イオンが、軸外の軌道に追従して該入力端の近傍で該電極と衝突するようにするのに有効なRF信号およびDC信号を含み得る。
様々な側面では、イオン移動度分光計を通るイオンの通過時間は、イオン移動度分光計を通る対象となる被検物の通過を容易にするように選択され得る。例えば、通過時間は、イオンの広い質量範囲にわたり50%またはそれを上回る透過効率を提供するように選択され得る。例として、通過時間は、電極間に1mmのギャップ高さを含む様々な実施形態において、約7msを下回る、約6msを下回る、約5msを下回る、および約2msを下回ることができる。様々な実施形態では、透過時間は、ギャップ高さまたは分離電圧に応じて変化し得る。いくつかの側面では、通過時間は、選択された質量またはm/z範囲内でイオンの損失を最小化するように選択され得る。例えば、通過時間は、イオン移動度分光計の入力端に入る約200amu〜約2000amuの範囲内の質量を有するイオンが、イオン移動度分光計の出力端に優先的に移送されるように選択され得る。関係するいくつかの側面では、約200amu〜約2000amuの範囲の質量を有するイオンは、イオン移動度分光計の出力端において実質的に未分解であり得る。このように、微分イオン移動度分光計は、従来技術で使用されるイオン分解モードよりむしろ、広いバンドパスモードで動作する。いくつかの側面では、イオン移動度分光計は、対象となる広い質量範囲について50%を上回る透過効率を提供するのに十分低い分解能を提供するように調整されたガス流およびセル寸法で構成され得る。
いくつかの実施形態では、イオン移動度分光計を通るガスの流量は、高質量および低質量イオンがフィルタ除外される一方で、対象となるイオンが最小限の損失、もしあるとしても、例えば、約50%を下回る、約20%を下回る、または約10%を下回る損失、で分光計を通過することを確実にするように選択され得る。様々な側面では、本方法は、通過時間が約1ミリ秒未満となり、広い質量範囲について約50%を上回る透過効率を提供するように、イオン移動度分光計を通るドリフトガスの流量を選択するステップを含み得る。例として、イオン移動度分光計を通るドリフトガスの流量は、1×10×30mmの電極寸法を使用するとき広い質量範囲について約50%を上回る効率を提供するために、約5L/分を上回り得る。
別の側面によれば、出願人の教示の実施形態は、イオン移動度分光計およびイオン移動度分光計と流体連通する質量分光計を含む質量分光計システムを動作させる方法に関する。本方法によれば、サンプルは、複数の荷電種を生成するようにイオン化され得、荷電種は、イオン移動度分光計の入力端に導入され得る。約200amu〜約2000amuの範囲の質量を有する該荷電種のイオンは、イオン移動度分光計の出力端に優先的に移送され得、(例えば、非ゼロのDCおよび/またはRF電圧がそこに印加された)動作するイオン移動度分光計のガスの流量およびセル寸法は、広い質量範囲について50%を上回る透過効率を提供するように構成される。
いくつかの側面によれば、本出願人の教示の実施形態は、イオン源(例えば、大気圧イオン源)とイオン源からイオンを受容するための入力端および出力端を有するイオン移動度分光計とを含むイオンを分析するためのシステムに関し、イオン移動度分光計は、内部動作圧力、電極、ならびに電極にDCおよびRF電圧を提供するための少なくとも1つの電圧源を有する。本システムは、微分移動度分光計と流体連通する、微分移動度分光計の出力端からイオンを受容するための質量分光計をさらに含む。コントローラは、イオン移動度分光計に動作可能に結合され、DCおよびRF電圧を制御するように構成され得、イオン移動度分光計が、約200amu〜約2000amuの範囲の質量を有するイオンを優先的にイオン移動度分光計の出力端に移送するようし得る。いくつかの側面では、コントローラは、広い質量範囲について50%を上回る透過効率でイオン移動度分光計を動作させるように構成され得る。
いくつかの側面では、コントローラは、イオン移動度分光計の入力端の近傍に漏れ磁場を生成するよう電極に印加されたRFおよびDC電位を変調させるように構成され得、漏れ磁場は、イオン源より受容されたイオンから約2000amuを上回る(例えば、約2000amu〜約2,000,000amuの範囲)または約200amuを下回る質量を有するイオンをフィルタ処理するように構成され得る。代替または加えて、コントローラは、該源から受容されたイオンがイオン移動度分光計を通して移送される際に約200amuを下回る質量を有するイオンがフィルタ処理されるよう、電極に印加されたDCおよびRF電位を変調させるように構成され得る。
様々な側面では、真空チャンバは、イオン移動度分光計の内部動作圧力より低い真空圧力に質量分光計を維持するために質量分光計を囲み得、真空チャンバは、イオンを含むドリフトガス流を、微分移動度分光計を通して真空に引く動作が可能である。イオン移送光学系を含む複数の微分排気真空段階は、大気圧注入口と質量分析器を含む高真空領域との間に配置され得る。システムは、イオン移動度分光計を通してガス流量を変更するためのガスポートを加えて含み得、ガスポートは、イオン移動度分光計および質量分光計の間に位置し得る。関連する側面では、コントローラは、イオン移動度分光計が、イオンの広い質量範囲について透過効率が50%を上回る低分解能モードとイオンがイオン移動度分光計中でその移動度に基づいて分解される高分解能モードとの間で変調され得るように、イオン移動度分光計を通るガスの流量および少なくとも1つの電圧源を変調するように構成され得る。いくつかの側面では、低分解能モードでのガス流量は、高分解能モードでのガス流量を上回る。例えば、低分解能モードでのガス流量は、約5L/分を上回り得る。例として、低分解能モードでのガス流量は、50%を上回る透過効率を提供するようセル寸法に対して調整され得る。
いくつかの側面によれば、本出願人の教示の実施形態は、真空チャンバに位置し、大気圧で形成されたサンプルイオンを分析するための質量分析器を含む質量分光計システムに関し、中間大気圧チャンバを通した分析器に関する。中間大気圧チャンバは、イオンが移動する経路を画定する、互いに対向する少なくとも1対の電極を含み、該経路は、電気的フリンジ場を発散させる領域と、複数の電極の入力端に入るガス流中で第1の閾値を上回るm/zを有する荷電クラスタおよび/またはデブリを偏向するための対向電極に関連する手段であって、偏向が、荷電クラスタおよび/またはデブリの高真空チャンバへの侵入を防ぐ手段と、より低いm/zの該イオンが高真空チャンバに入ることを防止するように、第2の閾値を下回るm/zを有する望ましくないイオンを偏向させるための対向電極に関連する手段と、複数の電極を通して高流量のガス流を提供するための手段であって、ガス流がより低いm/zとより高いm/zとの間のm/z範囲内のイオンを最小損失で質量分光計に移送するように構成された手段とを含み得る。
本出願人の教示のこれらおよび他の特徴が、本明細書に記載される。
当業者は、以下に説明される図面が、例証目的にすぎないことを理解するであろう。図面は、本出願人の教示の範囲をいかようにも限定することを意図しない。
図1(A)は、レセルピン(609.2m/z)を含むサンプルのMS/MSデータを描示し、Q1は、約1000m/zを下回るイオンをフィルタ処理し、衝突エネルギーQ2=47eVである。 図1(B)は、レセルピン(609.2m/z)を含むサンプルの「アステロイド走査」からのデータを描示し、Q1は、約1000m/zを下回るイオンをフィルタ処理し、衝突エネルギーQ2=50eVである。 図1(C)は、レセルピン(609.2m/z)を含むサンプルの「アステロイド走査」からのデータを描示し、Q1は、約1000m/zを下回るイオンをフィルタ処理し、衝突エネルギーQ2=100eVである。 図2は、模式図に、本出願人の教示の様々な側面による微分移動度分光計を含む例示的な質量分光法システムを図示する。 図3は、本出願人の教示の様々な側面による、矩形、平面DMSセンサの模式図を示す。 図4aは、本出願人の教示の様々な側面による、独立型DMSセンサの概略図を示す。図4bは、イオン検出器として質量分光計が付いたDMSの模式図を、本出願人の教示による非対称波形の描写とともに示す。 図5は、出願人の教示による質量分光計に結合された市販のDMSの例を示す。 図6aおよび図6bは、出願人の教示により質量分光計に結合されたDMSにおける滞留時間の分解能への影響を図示するイオノグラムを示す。 図7a−dは、出願人の教示によってギャップ高さを変更した結果として生じるDMSデバイスのピーク容量の変化を図示するイオノグラムを示す。 図8は、本出願人の教示による分離電圧の増加に伴うイオン透過の増加を実証する、異なる分離電圧におけるメチルヒスタミンのイオノグラムを示す。 図9a−cは、本出願人の教示による荷電デブリからの汚染を示す。 図10a−bは、本出願人の教示による、質量分光計からの入口オリフィスおよび真空内部のレンズ要素を示す。 図11は、本出願人の教示による、DMSフィールドによるデブリ材料のフィルタ処理を示す。 図12は、本出願人の教示による、透過率、分解能、およびピーク容量に対するDMS電極間のギャップ高さの影響を示す。 図13は、本出願人の教示による、DMS電極に印加される分離電圧の、透過率、分解能、およびピーク容量に対する影響を示す。 図14は、本出願人の教示による、透過率、分解能、およびピーク容量に対するDMS内のイオンの滞留時間の影響を示す。 図15は、本出願人の教示による、透過率、分解能、およびピーク容量に対するRT指数の影響を示す。 図16は、本出願人の教示による、フィルタによる汚染の除去を示す。 図17は、汚染フィルタと、本出願人の教示による高分解能DMSとの比較を示す。 図18a−dは、本出願人の教示による、真空システムおよび質量分光計のイオン入口開口部の外に保たれた汚染を示す。 図19は、出願人の教示による、DMSセルの入口領域におけるイオンおよび荷電粒子の軌道のシミュレーションを示す。
明確にするために、以下の議論は、本出願人の教示の実施形態の種々の側面を詳説するが、そうすることが便宜的または適切である場合、ある具体的詳細を省略することを理解されたい。例えば、代替実施形態における同様または類似特徴の議論は、多少、簡略化され得る。公知の発想または概念はまた、簡潔にするために、あまり詳細に論じられない場合がある。当業者は、本出願人の教示のいくつかの実施形態が、実施形態の完全な理解を提供するためだけに本明細書に記載される、具体的に説明された詳細の一部を全ての実装において要求しなくてもよいことを認識するであろう。同様に、説明される実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、共通一般知識に従って、若干の変更または変形例を許容可能であってもよいことが明白であろう。以下の発明を実施するための形態は、本出願人の教示をいかようにも限定するものと見なされない。
イオン移動度分光計を利用した質量分光法を行うための方法およびシステムは、本明細書で提供される。本出願人の教示の様々な側面によれば、本明細書に記載される方法およびシステムは、近接、洗浄、および/または交換することが容易な器具の大気領域に位置する非重要表面に荷電材料を偏向させることによって、真空システムに入る望ましくない荷電材料の量を減少させるのに有効であり得る。いくつかの側面では、真空システム構成要素の保守間隔が少なくとも1桁増加し得る。
イオン移動度分光計の動作パラメータは、従来、(例えば、同重体種を分離することにより)分解能を最適化するように構成されている一方、本教示は、分光計を通る対象となる種の通過を最適化し、それにより、不要な高質量および低質量種をフィルタ除去しつつ感度を向上させるように低分解能モードで動作するイオン移動度分光計を提供する。
上述したように、本教示は、大気圧で動作するイオン化源(例えば、電子噴霧および化学イオン化源等)の使用は、カーテンガス保護を含む質量分光計の入口を通して通過し得る高質量イオン(例えば、荷電された溶媒クラスタ等)の形成をもたらし得るという発見に一部基づいている。ここで図1(a)を参照すると、積算イオンクロマトグラムが示され、ここで10pg/uLのレセルピンを含むサンプルは、大気圧イオン化に供され、(本発明の教示によるフロントエンドイオン移動度分光計を利用せずに)AB SCIEX社から市販のQTRAP(R)5500システムを利用したMS/MS分析にかけられた。衝突エネルギーは、47eVであった。レセルピンイオンの断片化は、m/z174および195を含む、豊富な娘イオンとともに、観察される。
図1(b)および図1(c)は、約1000m/zを下回るイオンがフィルタ処理されるよう1250m/zで分解能を解放するようにQ1が構成された実験の結果を実証する。残りのイオンおよび荷電粒子は、Q3に移送され、プロダクトイオンのスペクトルが検出さるたびに、0eVから150eVに傾斜した衝突エネルギーに供された。予想されるように、0eVでは、レセルピンイオンがフィルタ閾値を下回るため、イオン信号は、何ら観察されなかった(XICは図示せず)。しかしながら、衝突エネルギーが増加すると、プロダクトイオン走査は、レセルピン前駆イオン(609.2m/z)およびレセルピンの共通プロダクトイオン(例えば、195.1m/z)の両方に特徴的ないくつかのピークの存在を示す。いかなる特定の理論の制約にもとらわれずに述べると、これらのピークの存在は、Q1が、レセルピンの前駆イオンおよび約1000を下回るm/zを有する他のイオンをフィルタ処理するように設定されているにもかかわらず、前駆レセルピンイオンは、大量の荷電残渣の一部としてQ2に入ったことを実証すると考えられる。高濃度サンプルの電子噴霧イオン化の間に形成されるそのような荷電残渣は、本教示に照らして当業者に理解されるように、質量分光計の質量範囲を上回る質量を大量に組み込む(すなわち、0eVで信号が観察されなかった理由)。このような高質量荷電残渣の存在は、例えば、望ましくない、予期しない、または妨害性のプロダクトイオンを生成することにより信号対雑音比を劣化させるのみならず、質量分析器の構成要素またはイオン光学系を収容する真空チャンバ内の重要な構成要素を汚染し得る。図1(b)および図1(c)は、それぞれ50eVおよび100eVの衝突エネルギーを用いた結果を示す。大半の生物学的サンプル(例えば、血漿)は、LCカラムからの対象となる被検物と共溶出し得、対象となるイオンと同じ磁力線を追従するであろう高質量の荷電残渣を生成し得る高濃度の背景マトリックス材料を含むため、これらサンプルからの残渣は、電子増倍管検出器に当たる際に大きな過渡信号として観察され得、それによって信号対雑音測定を重度に劣化させるノイズスパイクを生成し得る。個々の残渣は、それぞれ数千の電荷を運ぶので、これは、アナログ検出回路で特に問題となる。この材料は、その電荷によって質量分光計のイオン光学系に深く浸透する能力を有するので、イオン光学系の重大な汚染および性能低下の主な原因となる。
いくつかの場合には、これらの高質量イオンは、約2000amuを上回る、例えば、約2000amu〜2,000,000amuを上回る範囲の質量を有し得る。以下に説明するように、本教示は、対象となる荷電種の実質的な部分(例えば、少なくとも約50%、または少なくとも約70%、または少なくとも約90%)が、下流の質量分光計による分析のためイオン移動度分光計を通過することを確保しつつ、これら高質量イオンをフィルタ除去するように構成されたイオン移動度分光計を提供する。
加えて、本教示の様々な側面によれば、イオン移動度分光計は、上述した高質量イオンのみならず、閾値(例えば、100、150、または200amu)を下回るm/zを有するイオンをもフィルタ除去するように構成され得る。このような低質量イオンは、大気圧で(例えば、大気圧または近大気圧チャンバ内の周囲の分子の存在下で)イオン化に供される多数の分子により多量に生成され得る。例えば、いくつかの場合では、液体サンプルが大気圧イオン源に導入されるとき、溶媒分子は、サンプル中の対象となる被検物に関連付けられるイオン電流をはるかに超えるレベルのイオン電流を生成し得る。そのような望ましくない低質量イオンの除去は、例えば、下流の質量分析器によって提供される信号対雑音比を改善し得る。
イオン移動度分光計の動作パラメータは、従来、分光計によって提供される分解能を最適化する(例えば、同重体種を分離する)ように構成されている一方、本教示は、低分解能モードで動作する、例えば、分光計を通して広い質量範囲について50%を上回る透過効率を提供するのに十分に低い分解能で動作し、それによって感度を向上させ、一方で高質量および低質量種をフィルタ除去するように構成されたイオン移動度分光計を提供する。様々な実施形態では、本教示による方法およびシステムは、対象となるイオンが下流の質量分析器に通過することを可能にしつつ、イオン源によって生成される望ましくないイオンの約99%までを除去するように使用され得る。
図2を参照すると、出願人の教示の様々な側面による例示的なイオン移動度分光計/質量分光計システム100が模式的に図示される。図2に示されるように、イオン移動度分光計/質量分光計システム100は、概して、質量分光計の第1の真空レンズ要素150(以下、概して質量分光計150と指定される)と流体連通する微分移動度分光計110を含む。当業者によって理解されるであろうように、イオン移動度分光計/質量分光計システム100は、本明細書に記載のシステム、デバイス、および方法の様々な側面によって使用するのに可能な構成の1つのみを表す。移動度分光計110は、様々な構成を有し得るが、概して、固定または可変電界を通して、イオンをそれらの移動度に基づいて分解するように構成されている。例えば、移動度分光計は、任意のイオン移動度分光計、微分移動度分光計、または平行平板もしくは湾曲した電極等様々な形状のFAIMSデバイス、とりわけ、円筒形FAIMSデバイスであり得る。
図2に描示される例示的実施形態では、微分移動度分光計110は、電極板112を支持し、他の導電性要素からそれらを絶縁する電気絶縁体114によって囲まれた1対の対向電極板112を含む。電極板112は、微分移動度分光計110の入力端または入口118から微分移動度分光計110の出口または出力端部120に向かって流れるドリフトガス116を囲む。微分移動度分光測定法は、本明細書で分離電圧(SV)と称されるRF電圧を電極板112間に印加し、ドリフトガス流の方向と垂直な方向に電気力を発生させる。所与の種のイオンは、高電界部分と低電界部分との間の移動度の違いにより、RF波形の各サイクル中にドリフトチューブの軸から離れて径方向に特徴量だけ移動する傾向にある。DC CoVは、SVの静電気力に釣り合う静電気力を提供するため電極板112に印加される。
本教示の様々な側面によれば、コントローラ122は、微分移動度分光計110に動作可能に結合され、選択された範囲内、約200amu〜約2000amuの選択された範囲内(または約100amu〜約2000amuの範囲内、または約150amu〜約2000amuの範囲内)の質量を有するイオンが、優先的に出力端120に移送されるよう電極に印加されるDCおよびRF電圧を制御するように構成され得る。例として、コントローラは、電極に印加されるRFおよびDC電位を変調して、微分移動度分光計110の入力端118の近傍に漏れ磁場を生成するように構成され得る。出願人は、このような漏れ磁場は、これらのイオンが入口118近傍の電極で中和される(すなわち、衝突する)ように、例えば、約2000amuを上回る(例えば、約2000amu〜約2,000,000amuの範囲の)、または約200amu下回る質量を有するイオンを微分移動度分光計の軸から偏向させるのに効果的であることを発見した。加えて、または代わりに、コントローラは、例えば、低質量イオン(例えば、約200amuを下回る質量を有するイオン)が、ドリフトガス116に同伴されつつ微分移動度分光計110を通して移送される際、電極112に偏向されるように、電極板112に印加されたCoVおよびSVを制御することができる。特定の理論の制約にとらわれずに述べると、低質量イオンは、これら低質量イオンの偏向が十分となり、これらイオンが電極112に衝突するように、微分型移動度分光計内の電界を通して送られる際に、増大した移動度を呈するおよび/または増大した力を受けると考えられる。いくつかの側面では、コントローラは、微分移動度分光計を約10、5、または1を下回る分解能で動作させるように構成され得る。
微分移動度分光計110の出口端120は、ドリフトガス116と微分移動度分光計110を通るイオンとを、質量分光計150を含む真空チャンバ152の入口154に向けて解放する。
フライトチューブを通るドリフト時間と、したがって、イオンの移動度とは、イオンのサイズおよび形状ならびにイオンの背景ガスとの相互作用を特徴付けるものである。図2に示すように、微分移動度分光計110は、カーテン板または境界部材132によって画定されるカーテンチャンバ130内に収容され得、カーテンガス供給源134からカーテンガスの供給を受け得る。具体的には、カーテンガス供給源134からのカーテンガスは、流量コントローラおよびバルブによって決定される流量でカーテンガス導管136を通って流れ得る。カーテンガス供給源134は、カーテンガスチャンバに純粋または混合された任意の組成のカーテンガスを提供し得る。非限定的な例として、カーテンガスは、空気、O、He、N、CO、またはそれらの任意の組み合わせとし得る。カーテンチャンバ130内のカーテンガスの圧力は、大気圧(すなわち、760Torr)または大気圧の近くに維持され得る。加えて、カーテンガスは、凝集させること、放電を抑制すること、プロトン移動を制限すること、イオンを化学的に変更すること、錯体または結合を形成すること、または他の目的等の目的のため、当業者に公知の任意のタイプの改質剤または改質剤の混合物で改質され得る。
イオンは、イオン源(図示せず)から供給され得、カーテンチャンバ入口144を介してカーテンチャンバ130内に放出され得る。当業者によって理解されるであろうように、イオン源は、例えば、連続イオン源、パルス化イオン源、大気圧化学イオン化(APCI)源、電子噴霧イオン化(ESI)源、誘導結合プラズマ(ICP)イオン源、マトリックス支援レーザ脱着/イオン化(MALDI)イオン源、グロー放電イオン源、電子衝撃イオン源、化学的イオン化源、またはとりわけ、光イオン化イオン源を含む、当業者に公知の実質的に任意のイオン源であり得る。カーテンチャンバ130内のカーテンガスの圧力(例えば、約760Torr)は、カーテンガスチャンバ入口144から出るカーテンガス流出流142と、微分移動度分光計110内へのカーテンガス流入流137との両方を提供し得、流入流137は、微分移動度分光計110を通って、カーテンチャンバ130よりもはるかに低い圧力に維持される真空チャンバ152内に含まれる質量分光計150にイオンを運ぶドリフトガス116となる。例えば、真空チャンバ152は、真空ポンプによって2.3Torrの圧力に維持され得る。
図2に示されるように、イオン移動度システム/質量分光計システム100は、微分移動度分光計110の出口端120と真空チャンバ152の入口154との間に位置するポート124および真空ポンプ126をさらに含み得、これを通してカーテンチャンバ130の外にガスを引き出し得る。ポート124を通ってガスが引き出される速度を増加させることにより、微分型移動度分光計110を通るドリフトガス116のガス流量は、増加され得、それによってそこを通るイオンの通過時間が減少されることは、当業者によって理解されるであろう。
したがって、従来技術の微分移動度分光計は、(例えば、感度を犠牲にして、標的被検物が干渉種から分離され得るように、ドリフトガスの通過時間116を増加することによって(すなわち、対象となるイオンを優先的に送るようにCVを調整することによる電極上の干渉種の中和、またはCVが傾斜された際に様々な種の間のピークが分解され得るようなCVの変更を通して)選択性を最適化するように構成される一方、本教示によるシステムは、m/zおよび移動度の広い範囲を示す種の損失を最小化(例えば、ピークの幅と高さを増加させ、透過率を最大化)する通過時間を示す。
例として、本発明の教示によるシステムでは、ドリフトガス116は、微分移動度分光計110を通るイオンについて7msを下回る(例えば、6.5ms、5msを下回る、2msを下回る、1msを下回る)通過時間を与え得る。このような通過時間は、低減された分解能を呈する微分移動度分光計をもたらし得るが、イオン移動度分光計110を通るドリフトガス116流量は、対象となるイオンが分光計を最小限の損失、仮にあったとしても、例えば、約50%を下回る、または約20%を下回る、または約10%を下回る損失で通過し、一方で、本明細書中で別様に説明したように、高質量(2000amuを上回る)および低質量(例えば、200amuを下回る)イオンをフィルタ除去(例えば、電極112に衝突するように軸外に偏向)することを確かにし得る。
さらに、イオン移動度分光計を通して透過を最大にするように他の変形を選択し得ることは、本発明の教示に照らして理解されるであろう。非限定的な例として、微分型移動度分光計110の寸法、ガス密度の数、カーテンチャンバの圧力、および/またはドリフトガスの流量は、透過を最適化するために調節され得る。例えば、イオン移動度分光計は、対象となる広い質量範囲について50%を上回る透過効率を提供するのに十分に低い分解能を提供するように調製されたガス流量およびセル寸法で構成され得る。非限定的な例として、透過軸に沿う約30mm(1×10×30mm)の長さおよび約1mmの電極間距離を有するイオン移動度分光計では、約3.8L/分の流量は、約4.2msの滞留時間を、また約6.5L/分の流量は、約1.8msの滞留時間を結果としてもたらし得る。
図2を再び参照すると、非限定的な例として、質量分光計システム100は、ポート124を閉じたドリフトガス116の流量を約2.8L/分に設定するように動作し得る。様々な実施形態では、ポート124は開かれ得、ポンプ126は、流量が例えば、約4L/分を上回る、約5L/分を上回る、約6L/分を上回る、または約7L/分に増加するよう動作し得る。微分移動度分光計110はまた、通過時間を低減させるように減少された経路長(例えば、より短い電極板112)を提供するように寸法決めされ得ることがさらに理解されるであろう。このように、本教示は、微分移動度分光計110を通るイオンの通過時間が、微分移動度分光計110を通る質量分析器150への対象となるイオンの透過を最適化するように選択され得ることを可能にする。
当業者によって理解されるであろうように、質量分光計150は、真空チャンバ152の下流に質量分析器要素150aをさらに含み得る。イオンは、真空チャンバ152を通して移送され得、1つまたはそれを上回る質量分析器またはイオン輸送要素150aを含む、1つまたはそれを上回る追加の差動排気真空ステージを通して移送され得る。例えば、ある実施形態では、3連4重極質量分光計は、約2.3Torrの圧力に維持された第1のステージと、約6mTorrの圧力に維持された第2のステージと、約10−5Torrの圧力に維持された第3のステージとを含む、3つの差動排気真空ステージを含み得る、第3の真空ステージは、検出器を、衝突セルを挟持する2つの4重極質量分析器とともに含み得る。システム内に他のイオン光学要素が多数存在し得ることは、当業者には明らかであろう。単一4重極、イオントラップ(3Dまたは2D)、ハイブリッド分析器(4重極―飛行時間、4重極―線形イオントラップ、4重極―オービトラップ)、オービトラップ、または飛行時間型等、他種の質量分析器もまた使用され得る。
動作時には、対象となる被検物を含有するまたは含有することが疑われるサンプルは、微分移動度分光計110に導入するため当技術分野で公知の各種方法により調整され得る。イオンは、カーテンチャンバ130の入口150に隣接して生成され得、(例えば、イオン化溶媒分子200を下回るm/zまたは100を下回るm/zを示す)低質量イオンおよび(例えば、2000を上回るm/zまたは2000amuを上回る質量を呈する荷電残渣等の)高質量イオンの両方を除去するように構成された微分移動度分光計110を通して移送され得る。当業者に公知のように、イオンの残りの部分(例えば、約200Da〜約2000Daの範囲のm/zを呈するイオン)は、さらなる分析または検出のため、微分移動度分光計110によって下流の質量分析器要素150、150aに送られることができる。
上述したように、サンプルおよび溶媒の電子噴霧イオン化時に形成された物質による質量分光計のイオン通路の汚染は、主要な関心事である。費用と時間のかかる洗浄手順が、問題を改善するために必要とされる。この問題を最小限に抑えまたは解消するためのデバイスを開発するために、広範な努力が払われてきた。今日まで、当分野は、汚染の原因であると考えられる中性成分をイオンビームからフィルタ処理するよう、シャドウストップまたは質量分光計の真空系に位置するイオンガイドの曲率の使用に焦点を当ててきた。中性粒子は、湾曲した電界を通してまっすぐな軌道を追従するのに対し、イオンおよび荷電粒子は電界に追従する。中性粒子が汚染の主因であるとすれば、湾曲したイオンガイドまたはシャドウストップは、それらを排除し、それらが、より多くの損傷を与え得る真空システムのより奥深くに行くことを防ぐであろう。しかしながら、汚染の主因が荷電粒子および電子噴霧溶剤からの高いイオン電流であるとすれば、荷電した汚染物質は、湾曲フィールドに追従し、いかなるシャドウストップの周りをも動き回るため、このアプローチには目的を果たさないであろう。
さらに、本教示は、高透過率、低分解能のイオン移動度デバイスが、質量分光計の真空系を長期間きれいに維持するように高質量イオンまたは荷電デブリをフィルタ処理し得るという発見に基づく。デバイス構成は、イオン移動度分光計を通るイオンの滞留時間、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さ、およびイオン移動度分光計に印加される最大分離電圧を考慮し、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さと最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.002を下回る。様々な側面では、イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さとイオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対するイオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.0015を下回る。従来技術のイオン移動度デバイスは、真空システムに先立ってイオンの高い透過率を達成しつつ荷電粒子をフィルタ処理するように設計された、低分解能イオン移動度デバイスに関する本出願人の反直感的な教示とは異なり、イオンの透過性および感度を犠牲にして分離能力を最大化するよう高い選択性を達成すべく構成されてきた。
様々な側面では、イオンの滞留時間は、100msを下回り得る。様々な側面では、ギャップ高さは、0.02および5ミリメートルの間であり得る。様々な側面では、SVは、電極に印加されたRF信号を備え、電極に印加されたDC信号から構成される補償電圧(CoV)を含み、RF信号およびDC信号は、選択された質量を有する該イオンが軸外の軌道を追従し、該入力端の近傍で該電極と衝突することを引き起こすのに有効な漏れ磁場をイオン移動度分光計の該入力端の近傍に生成するように構成される。様々な側面では、本方法およびシステムは、イオン移動度分光計を通る対象となる被検物の通過を容易にするようにイオン移動度分光計を通るイオンの通過時間を選択するステップをさらに含む。様々な側面では、通過時間は、イオンの広い質量範囲について50%を上回る透過効率を提供するように選択され得る。様々な側面では、イオン移動度分光計は、微分移動度分光計またはFAIMSシステムを含む。
実験は、質量分光計汚染の主因が、中性粒子または帯電した物質からのものであったかどうかを決定するために行われ、結果は、図9a−cに示される。実験は、商用の電子噴霧質量分光計について、図5に描示される大気インターフェースで、DMSセルを装着および取り外した両方の状態で行われた。インターフェースは、ガスの向流フローが装備され、その目的は、中性粒子を大気入口開口部から吹き飛ばす一方、イオンと荷電粒子が電場に追従し、カーテンガスの流れに抗して動くようにすることにある。加速汚染試験は、ハンクスバッファと呼ばれる一般的な商用の生物学的緩衝液を使用して開発された。水性ハンクスバッファ溶液は、中性粒子を排除するのに十分な速度のカーテンガスを常にオンにして液滴を荷電するように、空気圧で霧化する電子噴霧エミッタに印加された高電圧の在る、通常の動作条件下で注入された。図9aに示すように、15時間後に大気開口は、イオン源がスプレー電圧オンの通常の方法で操作されたとき、サンプルからの材料で塞がれた。材料がカーテンガスに浸透するためには、それは荷電される必要があった。
実験は、本出願人の教示によるDMSセルがインストールされた以外は、全ての条件を同一にして繰り返された。図9bに見られるように、24時間後に、大気開口部には、目に見える汚れが全くなかった。帯電したデブリの全ては、セルの入口で、最も重要なことに、重大な損傷が生じ得る質量分光計の真空系に入る前に偏向された。最初の場合と同様に、カーテンガスは、中性材料を除去するために十分なレベルであった。
第3の実験は、ハンクスバッファを噴霧することにより生成され得る中性材料をカーテンガスが偏向していたことを確認するために行われ、その結果が図9cに示される。DMSセルは除去され、今回は空気圧式噴霧器のみによって同じサンプルを供試し、電子噴霧エミッタへの高電圧はオフであった。この条件下では、サンプルの荷電は起こらないが、大量の中性溶滴および非荷電粒子が形成された。大気開口部にデブリの堆積は観察されず、カーテンガスが効果的に全ての中性材料を排除し、質量分析器の汚染源が荷電粒子およびイオンからであることが証明された。
本出願人の教示による荷電デブリフィルタとしてのDMSの有効性をさらに裏付ける、質量分光計入口および真空内側からの、臨界レンズ(critical lens)要素の写真が図10に示される。真空システム内の臨界レンズは、9aの実験後、図10aに示されるように汚染されており、図10bに示されるように、9bの条件下ではデブリが全くないことが観察された。
電子噴霧プロセスで生成される荷電材料は、2つの形態をとり得る。それは、荷電分子(イオン)の形態であり得、その大部分は電子噴霧溶媒である。溶媒イオンからのイオン電流の圧倒的な存在量および強度は、質量スペクトルに容易に見られ得る。それらは、真空システム内部の臨界レンズに焼付くイオンの源であり得ることが可能性として考えられ得る。しかし、溶媒イオンは揮発性であり、図9aに示されるように、真空システムがほぼ閉塞される程デブリを積み上げることは予想され得ない。堆積する荷電デブリはまた、サンプル中の溶存物質にも由来し得る。
本実験の後で、本発明者らは、質量分光計の質量範囲を超える非常に高い質量対電荷比を持つ物質の形でこれまで未知の物理的実体が存在することを発見した。我々は、この目的のために特別に開発されたタンデム質量分光計の新規の走査モードでそれらの性質を特徴付けた。これらの物質は、至る所にあり、電子噴霧イオン化の引き継がれた副生成物である。全ての兆候は、それらが質量分光計分析器汚染の主要な源であるということである。これらの物質こそが、低質量の溶媒イオンから電子噴霧によって生成される非常に高いイオン電流と組み合わさって、質量分光計内の真空系に位置するイオン経路内で重要な構成要素の汚れの原因となり、質量フィルタおよび集光レンズの電場の歪みを引き起こし、結果として性能の低下をもたらし得る。これらの物質およびこれらが分析器汚染にもたらす影響の理解は、質量分光法を用いる科学の現状で既知ではなく明らかでもない。
これら高質量荷電粒子の存在を証明するために我々が開発した走査モードは、以下に記述され、「アステロイド走査」と称される。これは、これらの物質を観察し定量するための手段として以外には、分析的目的を有さない。アステロイド走査は、3連4重極質量分光計で行われ得る。全てのサンプルはアステロイドを生成するが、電子噴霧溶媒に有機および無機溶質が多いほど、アステロイドが多く生成される。アステロイドは、イオン化プロセスの間にアステロイドに捕捉されるレセルピン等の標準基準物質を溶媒に添加することによって追跡され得る。サンプルは、イオン源に注入される。4重極1の質量フィルタは、質量を分解するDC電圧ランプを下げることでm/z1250の開放分解能に設定される。これらの条件下で、m/z1000を下回るイオンはQ1を通過しないが、m/z1000を上回る全てのイオンおよび荷電粒子は通過する。衝突ガスは、衝突セルに入れられ、衝突エネルギーは、まず0ボルトに設定される。4重極3が走査されるとき、得られる質量スペクトルは、いずれの質量においてもイオンを示さない。衝突エネルギーが150eVに上げられると、シード化合物からのイオンは、Q3のスペクトルに現れ始め、高質量荷電粒子からそれらが解放されるにつれ強度が増加する。
図1は、実施例を提供する。図1aは、その後のアステロイド走査中にレセルピンから分子イオンおよび断片イオンを同定するための基準として使用するレセルピンの標準プロダクトイオン走査である。レセルピンは、典型的には、47eVの衝突エネルギーで断片化する。衝突エネルギーがアステロイド走査中に0に設定されたとき、イオンは、m/z609の分子イオンを含め、全く観察され得ない。図1bに見られるように、50eVでは、m/z609におけるレセルピンの分子イオンは、アステロイドから放出され、Q3のスペクトルに現れる。それは、47eVにおける従来のプロダクトイオン走査で断片化したようには断片化していないが、その理由は、振動エネルギーの多くが高質量荷電粒子の他の成分によって吸収されるためである。図1cでは、100eVで、レセルピンのプロダクトイオンの断片は、他の多くの未同定のイオンと一緒に観察される。未同定のイオンは、アステロイドまたは荷電粒子の他の未知の成分に由来する。
図11は、アステロイドに捕獲される材料の量が有意であり得ることを示し、それらが出願人の教示によるDMS場によってフィルタ処理されることを示す。この場合、Q3は、レセルピンそのものからのイオンのみを監視するように設定される。5eVの衝突エネルギーで、信号は実質的に観察されず、70eVで、信号の数桁の立ち上がりが認められる。DMSセルは設置されているが、SVおよびCoVは両方ともオフであり、フィルタ処理は生じていない。アステロイドは、CoVが100Vでオンになるときに除去され、電圧が再びオフされるときに戻る。SVが4000Vに設定されるとき、同様なフィルタ処理作用が観察される。このデータは、図9および図10の写真観察を検証する。
これら高質量荷電粒子の存在および分析器汚染におけるこれらの役割を理解することは、新たな知見である。これは、現世代DMSモビリティセルの性能仕様を最適化することから遠ざかる教示をする現状とは実質的に異なる設計特性を必要とするであろうDMSベースデバイスの新しい用途のための機会を提供する。理想的な汚染フィルタは、基本的に現在のDMSセルが行うであろうことであるが、荷電粒子を、真空システムに入る前に、まず除去するであろう。しかし、それはまた、高質量の荷電粒子および低質量の溶媒イオンの除去のみにその分離能力を制限する広いバンドパス特性を有するであろう。このことは、設計が、高い分解能およびピーク容量の代わりに、非常に低い分解能およびピーク容量に向かうであろうことを意味するであろう。同重体の分離は、イオン透過の最大化という主な用途を考えると、デバイスの設計にもはや何の関連性もないであろうが、従来技術では、この性能指数は、分解能とピーク容量に次ぐものであった。
広いバンドパス汚染フィルタとして機能するのに十分な分解能およびピーク容量を維持しつつ、最大イオン伝達効率の目標を達成するために、3つの重要な設計要素の関係が考察された。これらの要素は、イオンの飛行時間、セルギャップ高さ、および最大分離電圧である。以下は、図5に記載した基本的なDMSの3つの性能特性にそれぞれが与える影響を記述するデータである。これらの性能指数が呈する相対的な傾向は、任意の特定の設計に一般化可能であろうし、したがって、任意の特定の設計に限定されるものではない。加えて、現在記述される商用および非商用DMSおよびFAIMS分析器の設計仕様は、我々が理想的な汚染フィルタ用に提案する最適化された値と比較され説明される。
ギャップ高さは、図12に考察される。イオン透過は、滞留時間が固定の場合、分解能とピーク容量とは逆の傾向となる。本グラフから、理想的汚染フィルタは、他の全ての要素が図3および図5を参照して説明したこの特定のセルの性能データを生成するのに行われたのと等価であるとして、透過率を最大にする可能な限り大きなギャップ高さを有するであろうことが見られる。しかしながら、先に詳述したように、それぞれの性能特性の最適化は、いくつかの重要な設計要素のバランス化を必要とする。グラフ上に円で重ね書きされたのは、一般文献に記載された各種商用、非商用のDMSおよびFAIMSデバイスのギャップ高さで、汚染フィルタとして最適化された2つの改作セルもともに示される。y軸上の性能傾向は、概して、全てに適用されるが、それらのx軸上の位置は、ギャップ高さが変更されるので個別のシステム毎に異なる。ギャップの高さは、広い範囲にまたがり得るが、現世代の高分解能のデバイスを提案された汚染フィルタからほとんど区別しない。A=汚染フィルタ1、B=汚染フィルタ2、C=商用DMS−MSシステム、D.商用マイクロマシンDMS−MSシステム、E.商用円筒形FAIMS−MSシステム、F.非商用DMS−MSシステム、G.非商用DMS−MSシステム、H.商用円筒形FAIMS−MSシステム。
分離電圧(SV)は、図13に考察される。イオン透過、分解能およびピーク容量が一緒に示される。本グラフから、理想的な汚染フィルタは、高透過率が高分解能およびピーク容量を伴い、それが広いバンドパスデバイスには望ましくないことから、設計され得ないであろうことが見られる。他の2つの設計要素のバランス化は、この効果を無効にし得る。グラフ上に円で重ね書きされたのは、様々な商用および非商用のDMSおよびFAIMSデバイスの分離電圧で、汚染フィルタとして最適化された2つの改作セルもともに示される。y軸上の性能傾向は、概して、全てに適用されるが、それらのx軸上の位置は、SVが変更されるので個別のシステム毎に異なる。分離電圧値は、広い範囲にまたがり得るが、現世代の高分解能のデバイスを提案された汚染フィルタからほとんど区別しない。A=汚染フィルタ1、B=汚染フィルタ2、C=商用DMS−MSシステム、D.商用マイクロマシンDMS−MSシステム、E.商用円筒形FAIMS−MSシステム、F.非商用DMS−MSシステム、G.非商用DMS−MSシステム、H.商用円筒形FAIMS−MSシステム。
滞留時間としても知られる飛行時間は、図14に考察される。イオン透過は、分解能およびピーク容量と反対方向の傾向を強く示す。加えて、イオンの滞留時間が増加すると、イオンの損失は、菱形ラベルの強度が示すように、より一般的になる。本グラフから、理想的な汚染フィルタは、他の全ての要素が図3および図5を参照して説明したこの特定のセルの性能データを生成するのに行われたのと等価であるとして、透過率を最大にし、分解能およびピーク容量を低減するよう、できるだけ短い飛行時間を有するであろうことが見られるであろう。ここでもまた、他の設計要素のバランス化は、柔軟性を提供し、様々な商用、非商用のDMSデバイス間のばらつきは、汚染フィルタとして最適化されたセルの改作品からボード全体で何ら明確なカットオフを示さない。y軸上の性能傾向は、概して、全てに適用されるが、それらのx軸上の位置は、飛行時間が変更されるので個別のシステム毎に異なる。しかしながら、非常に長い飛行時間を示すものは、他の設計パラメータが十分に最適化されるという前提で、最大の分解能を提供する機会を有する。A=汚染フィルタ1、B=汚染フィルタ2、C=商用DMS−MSシステム、D.商用マイクロマシンDMS−MSシステム、E.商用円筒形FAIMS−MSシステム、F.非商用DMS−MSシステム、G.非商用DMS−MSシステム、H.商用円筒形FAIMS−MSシステム。
分解能、ピーク容量、および透過の性能特性を決定する最も重要な3つの設計要素は、飛行時間、ギャップ高さ、および分離電圧である。これらは、我々が、以下に数学的に表現される、分解能−透過指数またはRT指数と称する部分的反比例関係で一緒に動作する。
RT=τ/hSv(式5)
式中、τは、飛行時間、hは、ギャップ高さ、Svは、分離電圧である。
RT指数は、図15に考察される。これらの設計要素が、前の3つのグラフのように個別にではなく、この関係式で一緒に考慮されるとき、3つの性能形質のプロットは、それらの相互依存関係が式に考慮されているので、DMSシステムの全てのバリエーションに適用できる普遍的なスケール上で行うことができる。これらの設計要素の全ての組み合わせについて、相対的な性能グラフは、それぞれがその潜在性能に関して互いに比較されることを可能にしつつ適用される。1つの極端では、E−Hのグループは、透過の深刻な損失において、自らのデバイスが果たし得る最高の分解能を達成するために3つの設計要素を組合せ、非常に大きなRTインデックスを示す。RT値0.01に分断があるx軸の非線形性に留意されたい。もう一方の極端では、汚染フィルタは、分解能およびピーク容量を犠牲にし、荷電デブリおよび低質量の溶媒イオンをフィルタ処理するのに十分であるように設計された自らのデバイスが果たし得る最大イオン透過効率を実現する。中間には、質量分光法結合のための一般的な選択性強化要素として機能するよう合理的な妥協点に到達しようとする分析デバイスがある。汚染フィルタは、この用途の潜在性に対する理解不足およびフィルタ処理を必要とする特定の物質、特に、低質量溶媒イオンに加え高質量粒子に関する科学界における知識の欠如によりこれまで活用されてこなかった別個でユニークなRT指数の領域内に存在する。設計パラメータのこの領域は、その有用性とその応用の非自明性に対する理解の欠如によりこれまで侵害されなかった、閾値を定義するRT=0.002の最大値によって制限される。
低分解能デバイスの値は、広い範囲の移動度を有する大きな範囲の被検物イオンを、SVまたはCoV電圧を変化させる必要なく、通過できるようにする。これは、システムの使用率を最大に保つのに役立つ。図16aおよび図16bは、この原理を実証し、望ましくない低質量イオン電流をどの程度除くことができるかを強調する。この低質量溶媒に支配されたイオン電流は、本質的に揮発性であるので、図16aの右側におよび図9aに見られる真空入り口の閉塞に寄与するとは考えにくいが、その大きな強度は、図10aに示すように、イオンが真空システムの内部の臨界焦点要素上で燃えることにつながり得る。大量の荷電粒子は、閉塞の原因であり、9bおよび10bの写真に示すように除去される。汚染フィルタは、移動度空間の広い帯域を通過させるように独自に設計されているが、特定の用途のためにフィルタの微調整が必要とされるなら、SVおよびCoVを調整することにより、このウィンドウの位置の制御を提供する。それは移動度フィルタであるため、正確なm/z範囲を画定せず、分解能が非常に低いため、標的被検物の移動度のアプリオリな知見は、概して、必要とされない。高分解能DMSデバイスに比べ広い汚染フィルタのバンドパス特質は、図17のイオノグラムから理解され得、ここで、用語「イオンスクラバ」は、出願人の教示による高透過率移動度フィルタを記述するために使用される。
図16のスペクトルおよび画像は、フィルタが汚染を排除する程度がデバイスを使用しない場合に比べて数桁向上を表すことを示す。原理的には、コストおよび時間のかかる清掃および修理の間の質量分光計の寿命を数ヶ月から数年に延長し得る。
本出願人の教示によれば、汚染種の大部分は、本出願人の高透過率移動度フィルタイオンスクラバにより、質量分光計のイオン入口開口部から離れて真空システムの外に維持される。図18a−dは、汚染がどこに行くかを示す。いずれかの材料は、図18aに示すように、フィルタが設置されているかどうかにかかわらず、通常、予想され起こるように、大気カーテン板の外側に堆積される。それは、この領域に堆積されるときには、質量分光計に有害な影響を生じない。しかし、大量のデブリ材料は、図18bにスロットとして端合わせに見える平面DMSセルの入口に観察され得る。セルが分解され、分離チャネル内が目視検査されると、デブリは、図18cおよびdに示すように、イオン経路の最初の数mmに最も堆積することが観察される。この領域は、図19の、セルの入口領域におけるイオンおよび荷電粒子の両方の軌道のシミュレーションに示されるように、RFおよびDC電位によって生成される強力な漏れ磁場の存在と相関する。本シミュレーションは、(1)荷電粒子により偏向され、セルの入口で電極に衝突する荷電粒子および(2)入口場を通り通過するイオンを示す。漏れ磁場は、本材料の大部分の除去を説明し得るようである。セルは、大気イオン源領域にあり、真空を破らず、また工具の使用すらも必要とせずに、容易に取り外して交換され得る。停止時間はほんの数分で、未習熟のオペレータによっても対処され得る。加えて、この領域のイオンビームは、デブリの堆積によってほとんど影響されない。その理由は、この領域でのイオンの軌道は、強力なガス流によって主に制御され、入り口での場内の摂動は、被検物イオンの透過または分解能を顕著に低減しないためである。
本明細書で使用される見出しは、編成目的にすぎず、説明される主題をいかようにも限定するものと解釈されない。本出願人の教示が、種々の実施形態と併せて説明されたが、本出願人の教示がそのような実施形態に限定されることを意図しない。対照的に、本出願人の教示は、当業者によって理解されるような種々の代替、修正、および均等物を包含する。

Claims (18)

  1. 質量分光計システムを動作させる方法であって、
    複数のイオンを生成するようにサンプルをイオン化するためのイオン源を提供するステップと、
    汚染を低減するために低分解能、高透過率イオン移動度分光計を提供するステップと、
    前記イオン移動度分光計の入力端内に前記複数のイオンを導入するステップと、
    前記イオン移動度分光計を通してその前記入力端から出力端に、前記複数のイオンをドリフトガス中で移送するステップと、
    微分移動度分光計の出力端から前記イオンを受容するために、前記微分移動度分光計に流体連通する質量分光計を提供するステップと、
    を含み、
    前記イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さと前記イオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対する前記イオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.002を下回る、方法。
  2. 前記イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さと前記イオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対する前記イオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.0015を下回る、請求項1に記載の方法。
  3. 前記イオンの前記滞留時間は、100ミリ秒を下回る、請求項1に記載の方法。
  4. 前記ギャップ高さは、0.02ミリメートル〜5ミリメートルである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記分離電圧(SV)は、前記電極に印加されたRF信号を備え、前記電極に印加されたDC信号から構成される補償電圧(COV)を含み、前記RF信号およびDC信号は、選択された質量を有する前記イオンが軸外の軌道を追従し、前記入力端の近傍で前記電極と衝突することを引き起こすのに有効な漏れ磁場を前記イオン移動度分光計の前記入力端の近傍に生成するように構成される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記イオン移動度分光計を通る対象となる被検物の通過を容易にするように、前記イオン移動度分光計を通る前記イオンの通過時間を選択するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記通過時間は、イオンの広い質量範囲について50%を上回る透過効率を提供するように選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記イオン移動度分光計は、微分移動度分光計またはFAIMSシステムを含む、請求項1に記載の方法。
  9. イオン源と、
    前記イオン源からイオンを受容するための入力端と出力端とを有する汚染を低減するための低分解能、高透過率イオン移動度分光計であって、内部動作圧力、電極、および前記電極にDCおよびRF電圧を提供するための少なくとも1つの電圧源を有するイオン移動度分光計と、
    微分移動度分光計の出力端から前記イオンを受容するために、前記微分移動度分光計に流体連通する質量分光計と、
    前記イオン移動度分光計に動作可能に結合され、前記DCおよびRF電圧を制御するように構成されたコントローラと、
    を備え、
    前記イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さと前記イオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対する前記イオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.002を下回る、イオンを分析するためのシステム。
  10. 前記イオン移動度分光計の電極間のギャップ高さと前記イオン移動度分光計の電極に印加される最大分離電圧との積に対する前記イオン移動度分析計を通るイオンの滞留時間の比率は、0.0015を下回る、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記イオンの前記滞留時間は、100ミリ秒を下回る、請求項9に記載のシステム。
  12. 前記ギャップ高さは、0.02ミリメートル〜5ミリメートルである、請求項9に記載のシステム。
  13. 前記分離電圧(SV)は、前記電極に印加されたRF信号を備え、前記電極に印加されたDC信号から構成される補償電圧(COV)を含み、前記RF信号およびDC信号は、選択された質量を有する前記イオンが軸外の軌道を追従し、前記入力端の近傍で前記電極と衝突することを引き起こすのに有効な漏れ磁場を前記イオン移動度分光計の前記入力端の近傍に生成するように構成される、請求項9に記載のシステム。
  14. 前記イオン移動度分光計を通る対象となる被検物の通過を容易にするように、前記イオン移動度分光計を通る前記イオンの通過時間を選択することをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
  15. 前記通過時間は、イオンの広い質量範囲にわたって50%を上回る透過効率を提供するように選択される、請求項14に記載のシステム。
  16. 前記イオン移動度分光計は、微分移動度分光計またはFAIMS分光計を含む、請求項9に記載のシステム。
  17. イオン移動度分光計と前記イオン移動度分光計に流体連通する質量分光計とを含む質量分光計システムを動作させる方法であって、
    複数のイオンを生成するようにサンプルをイオン化するステップと、
    前記イオン移動度分光計の入力端内に前記複数のイオンを導入するステップと、
    前記イオン移動度分光計を通してその前記入力端から出力端に、前記複数のイオンをドリフトガス中で移送するステップと、
    前記複数のイオンが前記イオン移動度分光計を通して移送される際に、約2000AMUを上回る質量を有するイオンを前記ドリフトガスからフィルタ処理するステップと、
    前記複数のイオンが前記イオン移動度分光計を通して移送される際に、約200AMUを下回る質量を有するイオンを前記ドリフトガスからフィルタ処理するステップと、
    を含む、方法。
  18. イオン源と、
    前記イオン源からイオンを受容するための入力端と出力端とを有するイオン移動度分光計であって、内部動作圧力、電極、および前記電極にDCおよびRF電圧を提供するための少なくとも1つ電圧源を有するイオン移動度分光計と、
    微分移動度分光計の出力端から前記イオンを受容するために、前記微分移動度分光計に流体連通する質量分光計と、
    前記イオン移動度分光計に動作可能に結合され、前記イオン移動度分光計が、約200AMU〜約2000AMUの範囲の質量を有するイオンを前記イオン移動度分光計の前記出力端に優先的に移送するように前記DCおよびRF電圧を制御するように構成されたコントローラと、
    を備える、イオンを分析するためのシステム。
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