以下の説明は、脊髄変調(SCM)システムに関する。しかし、本発明は、脊髄変調(SCM)における適用に適切であるが、本発明は、その最も広い態様において、そのように限定すべきではないことを理解すべきである。そうではなく、本発明は、組織を刺激するのに使用するあらゆるタイプの埋込み可能な電気回路に使用することができる。例えば、本発明は、ペースメーカー、除細動器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、協働四肢運動を生成するように構成された刺激器、皮膚刺激器、脳深部刺激器、末梢神経刺激器、超小型刺激器の一部として、又は尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼、頭痛、その他を処置するように構成されたあらゆる他の神経刺激器に使用することができる。
最初に図1を見ると、例示の脊髄変調(SCM)システム10は、一般的に、複数の埋込み可能な神経変調リード12、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14、外部遠隔コントローラ(RC)16、臨床医用プログラミング装置(CP)18、外部試験変調器(ETM)20、及び外部充電器22を含む。
埋込み可能なパルス発生器(IPG)14は、1つ又は2つ以上の経皮リード延長部24を介して神経変調リード12に物理的に接続され、神経変調リード12は、アレイに配置された複数の電極26を支持する。図示の実施形態において、神経変調リード12は経皮リードであり、この目的のために、電極26は、神経変調リード12に沿って一列に並んで配置される。図示の神経変調リード12の数は2つであるが、単に1つを含む任意適当な数の神経変調リード12を提供することができる。これに代えて、外科パドルリードは、経皮リードのうちの1つ又は2つ以上の適所に使用することができる。以下により詳細に説明するように、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14は、変調パラメータのセットに従って電極アレイ26にパルス電気波形(すなわち、時間的に連続した電気パルス)の形態の電気変調エネルギを送出するパルス発生回路を含む。
外部試験変調器(ETM)20はまた、経皮リード延長部28及び外部ケーブル30を介して神経変調リード12に物理的に接続することができる。埋込み可能なパルス発生器(IPG)14と同様のパルス発生回路を有する外部試験変調器(ETM)20も、変調パラメータのセットに従ってパルス電気波形の形態の電気変調エネルギを電極アレイ26に送出する。外部試験変調器(ETM)20と埋込み可能なパルス発生器(IPG)14の間の大きい差は、外部試験変調器(ETM)20が、患者に送出される変調エネルギの反応性を試験するために変調リード12が埋込まれた後と埋込み可能なパルス発生器(IPG)14の埋込みの前に試験的に使用される埋込み不能デバイスであることである。従って、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に対して本明細書に説明するあらゆる機能は、外部試験変調器(ETM)20に対して同様に実施することができる。
外部遠隔コントローラ(RC)16を使用して、双方向RF通信リンク32を介して外部試験変調器(ETM)20を遠隔測定的に制御することができる。埋込み可能なパルス発生器(IPG)14及び神経変調リード12が埋込まれた状態で、外部遠隔コントローラ(RC)16を使用して、双方向RF通信リンク34を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14を遠隔測定的に制御することができる。そのような制御により、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14をオン又はオフにし、異なる変調パラメータセットを用いてプログラミングすることを可能にする。埋込み可能なパルス発生器(IPG)14も、プログラミングされた変調パラメータを修正し、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14によって出力される電気変調エネルギの特性を能動的に制御するように作動させることができる。臨床医用プログラミング装置(CP)18は、手術室及び経過観察セッションにおいて埋込み可能なパルス発生器(IPG)14及び外部試験変調器(ETM)20をプログラミングするための臨床医用詳細変調パラメータを提供する。
臨床医用プログラミング装置(CP)18は、IR通信リンク36及び外部遠隔コントローラ(RC)16を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14又は外部試験変調器(ETM)20と間接的に通信することによってこの機能を実施することができる。これに代えて、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、RF通信リンク(図示せず)を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14又は外部試験変調器(ETM)20と直接に通信することができる。その後に独立モードで(すなわち、臨床医用プログラミング装置(CP)18の支援なしで)外部遠隔コントローラ(RC)16の作動によって変調パラメータを修正することができるように、臨床医用プログラミング装置(CP)18によって提供される臨床医用詳細変調パラメータも使用して外部遠隔コントローラ(RC)16をプログラミングする。本発明では、以下で詳細に説明するように、臨床医用プログラミング装置(CP)18を用いて閾値以下の変調治療にとって最適な電極を選択することができる。
外部充電器22は、誘導リンク38を通じて埋込み可能なパルス発生器(IPG)14を経皮的に充電するのに使用する携帯式デバイスである。埋込み可能なパルス発生器(IPG)14がプログラミングされ、その電源が外部充電器22によって充電されているか又はそうでなければ補充された状態で、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14は、外部遠隔コントローラ(RC)16又は臨床医用プログラミング装置(CP)18が存在することなくプログラミングされるように機能することができる。
簡潔にするために、外部コントローラ(RC)16、外部試験変調器(ETM)20、及び外部充電器22の詳細は、本明細書では以下に説明しない。これらのデバイスの例示的実施形態の詳細は、米国特許第6,895,280号明細書に開示され、この特許文献を本明細書に援用する。
図2に示すように、神経変調リード12は、患者40の脊柱42に埋込まれる。神経変調リード12の好ましい配置は、刺激すべき脊髄区域に隣接し、すなわち、その上に位置する。神経変調リード12が脊柱42を出る位置の近くの空間の不足により、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14は、一般的に、腹部の中又は臀部の上のいずれかの外科的に作られたポケットに埋込まれる。埋込み可能なパルス発生器(IPG)14は、勿論、患者の身体の他の位置に埋込むことができる。リード延長部24は、神経変調リード12の出口点から離れた埋込み可能なパルス発生器(IPG)14の位置決めを容易にする。図示のように、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、外部遠隔コントローラ(RC)16を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14と通信する。
本発明にとって重要な点は、臨床医用プログラミング装置(CP)18を、患者に閾値以下の変調治療を提供するための1又はそれ以上の有効な電極を自動的に選択するように、又はユーザによる選択を支援するように構成することである。この目的のために、以下で詳細に説明するように、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、閾値以下の変調治療に有効な電極を自動的に選択する際に、又はこの選択のための提案をユーザに提供する際に、各電極26についてのアノード知覚閾値とカソード知覚閾値の比率と、各電極26についてのアノード異常感覚マップとの組み合わせを使用する。
ここで図3を参照して、神経変調リード12及び埋込み可能なパルス発生器(IPG)14の外部特徴を簡単に説明する。神経変調リードの一方12aは、(E1〜E8としてラベル付けした)8つの電極26を有し、他方の神経変調リード12bは、(E9〜E16としてラベル付けした)8つの電極26を有する。リード及び電極の実際の数及び形状は、勿論意図する用途により異なる。埋込み可能なパルス発生器(IPG)14は、電子及び他の構成要素(以下により詳細に説明する)を収容するための外側ケース44と、神経変調リード12の近位端が電極26を外側ケース44内の電子機器に電気的に接続する方式で嵌合するコネクタ46とを含む。外側ケース44は、チタン等の導電性の生体適合性材料から構成され、気密にされた区画を定め、内部電子機器は、身体組織及び体液から保護される。幾つかの実施形態において、外側ケース44は、電極として機能することができる。
埋込み可能なパルス発生器(IPG)14は、コントローラ/プロセッサ(例えば、マイクロコントローラ)48、メモリ50、モニタ回路52、遠隔測定回路54、バッテリ56、変調出力回路58、及び当業者に公知の他の適切な構成要素等の電子構成要素を含む。マイクロコントローラ48は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14によって実施される神経変調を指示及び制御するためにメモリ50に記憶された適切なプログラムを実行する。
モニタ回路52は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14全体の様々なノード又は他のポイント、例えば、電源電圧、温度、バッテリ電圧等の状態をモニタするように構成される。モニタ回路52は、閾値以上の電気エネルギの送出に応答して誘発複合活動電位(eCAP)を検知するように構成することもできる。以下で詳細に説明するように、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、これらの検知した誘発複合活動電位(eCAP)を利用して患者の知覚閾値を決定することができる。
アンテナ(図示せず)を含む遠隔測定回路54は、適切な変調搬送波信号で外部遠隔コントローラ(RC)16及び/又は臨床医用プログラミング装置(CP)18からプログラムデータ(例えば、作動プログラム及び/又は変調パラメータ)を受信するように構成され、次に、プログラムデータは、メモリ(図示せず)に記憶される。遠隔測定回路54はまた、適切な変調搬送波信号においてステータスデータ(検知された誘発複合活動電位(eCAP)を含む)を外部遠隔コントローラ(RC)16及び/又は臨床医用プログラミング装置(CP)18に伝達するように構成される。再充電可能リチウムイオン又はリチウムイオンポリマーバッテリとすることができるバッテリ56は、作動電力を埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に提供する。モニタ回路52は、バッテリ56の現容量レベルをモニタするように構成される。
変調出力回路58は、マイクロコントローラ48の制御下で、各電極26に対して閾値以上の変調電気エネルギ及び閾値以下の電気エネルギの両方を個別に生成するように構成される。図示の実施形態では、マイクロコントローラ48が、電極26の各々を流れる電流の大きさを個別に制御することができる。この場合、変調出力回路58は、各電極の個々の電流調整振幅を選択的に生成するための独立した電流源(図示せず)を有することが好ましい。このシステムは、本発明を利用するのに最適であるが、変調出力回路58は、独立した電圧源を有することもできる。個々にプログラミング可能な電極振幅は、微調節を達成するのに最適であるが、電極にわたって切換わる単一出力源も使用することができ、しかし、プログラミングするのにそれほど微調節されない。混合電流及び電圧調節デバイスも、本発明に使用することができる。
図示の実施形態では、変調出力回路58が、一連の変調パラメータに従って電極26に電気パルス列を送出する。かかる変調パラメータは、アノード(正)、カソード(負)、及びオフ(ゼロ)として作動する電極を定める電極組合せと、各電極に割り当てられる変調エネルギのパーセント(分割電極形態)と、パルス振幅(埋込み可能なパルス発生器(IPG)14が電極アレイ26に一定の電流又は一定の電圧を供給するか否かに応じてミリアンペア又はボルトで測定)、パルス幅(マイクロ秒で測定)、パルス速度(1秒当たりのパルスで測定)、及びバースト率(変調オン持続期間X及び変調オフ持続期間Yとして測定)を定める電気パルスパラメータとを含む。
電気変調は、2つの(又はそれよりも多くの)活性化電極の間で起こることになり、2つの電極の一方は、IPGケース44とすることができる。変調エネルギは、単極又は多極(例えば、2極、3極、その他)の様式で組織に伝達される。単極変調は、変調エネルギが選択された電極26とケースの間で伝達されるように、リード電極26のうちの選択された1つが埋込み可能なパルス発生器(IPG)14のケースと共に作動する時に起こる。2極変調は、変調エネルギが選択された電極26の間で伝達されるように、リード電極26のうちの2つがアノード及びカソードとして活性化される時に起こる。例えば、第1のリード12a上の電極E3は、第2のリード12b上の電極E11がカソードとして活性化される時、同時にアノードとして活性化することができる。3極変調は、リード電極26のうちの3つが、アノードとして2つ及び残りがカソードとして1つ、又はカソードとして2つ及び残りがアノードとして1つのその3つが活性化される時に起こる。例えば、第1のリード12a上の電極E4及びE5は、第2のリード12b上の電極E12がカソードとして活性化される時、同時にアノードとして活性化することができる。
電極E1〜E16及びケース電極のいずれも、k個までの可能な群又はタイミング「チャネル」に割り当てることができる。一実施形態において、kは4に等しくすることができる。タイミングチャネルは、どの電極が、同期して電流のソース又はシンクとして選択されて変調すべき組織に電界を生成するかを識別する。チャネル上の振幅及び極性は、変化することができる。特に、k個のタイミングチャネルのいずれにおいても、正(ソーシング電流)、負(シンキング電流)、又はオフ(電流なし)極性になるように電極を選択することができる。
変調エネルギは、単相電気エネルギ又は多相電気エネルギとして指定された群の電極の間に送出することができる。図4に示すように、単相電気エネルギは、全ての負パルス(カソード)又はこれに代えて全ての正パルス(アノード)のいずれかを含む電気パルス列の形態を取る。
多相電気エネルギは、正と負の間で交互する一連のパルスを含む。例えば、図5a及び5bに示すように、多相電気エネルギは、一連の2相パルスを含むことができ、各2相パルスは、カソード(負)変調相と、カソード変調相後に生成されたアノード(正)電荷回復パルス相を含み、組織を通る直流電荷移動を防止し、それによって電極劣化及び電池障害を回避する。すなわち、電荷は、変調期間(変調相の長さ)中に電極における電流を介して電極−組織インタフェースにより伝達され、次に、再充電期間(電荷回復相の長さ)中に同じ電極で異極性の電流を介して電極−組織インタフェースから引き戻される。
第2の相は、能動電荷回復相(図5a)とすることができ、電流は、電流又は電圧源を通じて電極を介して能動的に伝達され、又は第2の相は、受動電荷回復相(図5b)とすることができ、電流は、回路中に存在する結合容量から流れる電荷の再分配により電極を通じて受動的に伝達される。受動再充電とは対照的に能動再充電を使用することで、そうでなければ起こる場合がある電荷不均衡を回避しながら高速再充電を可能にする。インタフェースの形態の別の電気パルスパラメータは、2相パルスのパルス間の期間(マイクロ秒で測定された)を定めることができる。図5a及び5bに示す2相パルスの変調及び電荷回復相は、それぞれカソード及びアノードであるが、2相パルスの変調及び電荷回復相は、望ましい治療結果に応じてそれぞれ、アノード及びカソードとしてもよいことを認識すべきである。
埋込み可能なパルス発生器(IPG)の詳細な構造及び機能を考察する更なる詳細は、引用によって本明細書に明示的に組込まれる特許文献2及び3に完全に説明されている。
変形例として、脊髄変調(SCM)システム10は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)ではなく、神経変調リード12に接続された埋込み可能な受信機−変調器(図示せず)を利用してもよいことに注意すべきである。この場合、埋込み受信機を給電するための電源、例えば、バッテリ、並びに受信機−変調器に指示する制御回路は、電磁気リンクを通じて受信機−変調器に誘導的に結合された外部コントローラに収容される。データ/電力信号は、埋込み受信機−変調器の上に置かれたケーブル接続送信コイルから経皮的に結合される。埋込み受信機−変調器は、信号を受信し、制御信号に従って変調を発生させる。
簡単に上述したように、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、複数の電極形態のプログラミングを非常に簡素化し、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14、並びに外部遠隔コントローラ(RC)16の中にユーザ(例えば、医師又は臨床医)がプログラミングすべき望ましい変調パラメータを容易に決定することを可能にする。従って、埋込み後埋込み可能なパルス発生器(IPG)14のプログラミング可能なメモリにおける変調パラメータの修正は、臨床医用プログラミング装置(CP)18を使用してユーザによって実施され、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14と直接に通信し、又は外部遠隔コントローラ(RC)16を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14と間接的に通信することができる。すなわち、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、脊髄に近い電極アレイ26の作動パラメータを修正するのにユーザによって使用することができる。
図2に示すように、臨床医用プログラミング装置(CP)18の全体の外観は、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)の外観であり、実際に、方向プログラミングデバイスを含むように適正に構成され、本明細書に説明する機能を実施するようにプログラミングされているPCを使用して実施することができる。これに代えて、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、ミニコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、その他、又は更に拡張機能を備えた遠隔コントローラ(RC)の形態を取ることができる。従って、プログラミング手法は、臨床医用プログラミング装置(CP)18に収容されたソフトウエア指示を実行することによって実施することができる。これに代えて、そのようなプログラミング手法は、ファームウエア又はハードウエアを使用して実施することができる。いずれの場合も、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、最適変調パラメータを患者フィードバックに基づいて決定することを可能にし、その後に最適変調パラメータで埋込み可能なパルス発生器(IPG)14をプログラミングするように、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14によって生成される電気刺激の特性を能動的に制御することができる。
ユーザがこれらの機能を実施することを可能にするために、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、ユーザ入力デバイス(例えば、マウス72及びキーボード74)及びケース78に収容されたプログラミング表示画面76を含む。マウス72に加えて又はその代わりに、トラックボール、タッチパッド、ジョイスティック、又はキーボード74に関連付けられたキーの一部として含まれる方向キーのような他の方向プログラミングデバイスを使用することができることを理解すべきである。
以下に説明する図示の実施形態において、表示画面76は、従来の画面の形態を取り、その場合、マウス、ジョイスティック、トラックボール、その他によって制御されるカーソルのような仮想ポインティングデバイスを使用して、表示画面76上のグラフィックオブジェクトを操作することができる。代替の実施形態において、表示画面76は、デジタイザタッチ画面の形態を取り、デジタイザタッチ画面は、受動的又は能動的のいずれかとすることができる。受動的な場合、表示画面76は、指又は非電子スタイラスのような受動デバイスが画面と接触する時に圧力又は電流の変化を認識する検出回路(図示せず)を含む。能動的な場合、表示画面76は、電子ペン又はスタイラスによって送信される信号を認識する検出回路(図示せず)を含む。いずれの場合、も、検出回路は、物理的ポインティングデバイス(例えば、指、非電子スタイラス、又は電子スタイラス)が画面の近くにある時に、それをポインティングデバイスと画面の間で物理的接触させるか否か、又は予め決められた距離内で画面の近くにポインティングデバイスをもたらすか否か、同時に物理的ポインティングデバイスがその近くにある画面の位置を検出するか否かを検出することができる。ポインティングデバイスが画面に触れるかそうでなければその近くにある時に、タッチ点に隣接する画面上のグラフィックオブジェクトは、操作用に「ロックされ」、ポインティングデバイスが画面から離れて移動する時に、予めロックされたオブジェクトをアンロックする。プログラミングするためのデジタイザ画面の使用を考察する更なる詳細は、「神経変調システムのプログラミング中に互いに電極をリンクするための技術」という名称の特許文献4に説明され、この明細書を本明細書に援用する。
ここで図6を参照して、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、コントローラ/プロセッサ60(例えば、中央演算処理ユニット(CPU))及びプログラミングパッケージ64を記憶するメモリ62を含み、これらをコントローラ/プロセッサ60によって実行してユーザが埋込み可能なパルス発生器(IPG)14及び外部遠隔コントローラ(RC)16をプログラミングすることを可能にすることができる。更に、臨床医用プログラミング装置(CP)18は、ユーザ入力デバイス68(上述したマウス72又はキーボード74等)を更に含み、ユーザ指令を提供する。注意すべきは、コントローラ/プロセッサ60は単一デバイスとして図6に示されているが、処理機能及び制御機能は、個別のコントローラ及びプロセッサによって実施することができる。従って、臨床医用プログラミング装置(CP)18によって実施される時の以下に説明する制御機能は、コントローラによって実施することができ、臨床医用プログラミング装置(CP)18によって実施される時の以下に説明する処理機能は、外部コントローラ(RC)16のプロセッサによって実施できることを認めることができる。
コントローラ/プロセッサ80によるプログラミングパッケージ64の実行は、マウス72の使用を通してナビゲートすることができる多くの表示画面(図示せず)を提供する。これらの表示画面は、機能の中でも臨床医が患者プロファイル情報(例えば、名前、誕生日、患者識別、医師、診断、及び住所)を選択又は入力し、手順情報(例えば、プログラミング/経過観察、インプラント試行システム、インプラントIPG、インプラントIPG及びリード、交換IPG、交換IPG及びリード、交換又は改定リード、外植、その他)を入力し、患者の疼痛マップを生成し、リードの構成又は向きを定め、神経変調リード12によって出力された電気変調エネルギを開始して制御し、かつ手術設定及び臨床設定の両方において変調パラメータで埋込み可能なパルス発生器(IPG)14を選択してプログラミングすることを可能にする。上述のCP機能を考察する更なる詳細は、「電流ステアリングナビゲータによって利用可能な形式で組織刺激プログラムを変換するためのシステム及び方法」という名称の特許文献5及び「複数の神経変調電極の中でも変調エネルギを分配するために適切なステアリングテーブルを決定するためのシステム及び方法」という名称の特許文献6に開示され、この2つの明細書を本明細書に援用する。プログラミングパッケージ64の実行は、ユーザが埋込み可能なパルス発生器(IPG)14をプログラミングすることを便利に可能にするユーザインタフェースを提供する。
ここで図7を参照して、ユーザが埋込み可能なパルス発生器(IPG)14をプログラミングすることを可能にするように臨床医用プログラミング装置(CP)18によって生成することができるプログラミング画面100を説明する。図示の実施形態において、プログラミング画面100は、プログラム選択パネル102、リード表示パネル104、及び変調パラメータ調節パネル106の3つのパネルを含む。プログラミング画面100の幾つかの実施形態は、タブ108(パラメータ調節パネル106を示すか又は隠すための)又はタブ110(リード選択パネル104及びパラメータ調節パネル106の両方の全貌を示すか又は隠すための)をクリックすることによってリード表示パネル102及びパラメータ調節パネル106の一方又は両方の閉鎖及び拡張を可能にすることができる。
プログラム選択パネル102は、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に対して定められているか又は定めることができる変調プログラム及びカバレージ区域に関する情報を提供する。特に、プログラム選択パネル102は、複数の変調プログラム114(この場合、16まで)を表示して選択することができるカルーセル112を含む。プログラム選択パネル102は、現在選択されている変調プログラム114の数(「1」から「16」のあらゆる数)を示す選択されたプログラムステータスフィールド116を更に含む。図示の実施形態において、プログラム1は、フィールド116に数字「1」によって示すように現在選択されている単に1つのものである。プログラム選択パネル102は、現在選択されている変調プログラム114にユーザが固有の名前を関連付けることができる名前フィールド118を更に含む。
プログラム選択パネル102は、複数の変調パラメータセットをそれぞれ関連付けて現在選択されている変調プログラム114(この場合、プログラム1)を生成することができる複数のカバレージ区域120(この場合、4つまで)を更に含む。定められている各カバレージ区域120は、そのカバレージ区域に関連付けられた変調パラメータセットの指定フィールド122(文字「A」〜「D」のうちの1つ)と、電気パルスパラメータ、具体的にはパルス振幅、パルス幅、及びパルス速度を表示する電気パルスパラメータフィールド124とを含む。この例において、カバレージ区域Aのみが、指定フィールド122において「A」に示すようにプログラム1に対して定められる。電気パルスパラメータフィールド124は、5mAのパルス振幅、210μsのパルス幅、及び40Hzのパルス速度がカバレージ区域Aに関連していることを示している。
予め決められたカバレージ区域120の各々はまた、交互に作動してそれぞれのカバレージ区域120を活性化又は非活性化することができる選択アイコン126を含む。カバレージ区域が活性化される時に、電気パルス列は、カバレージ区域に関連付けられた変調パラメータセットに従って埋込み可能なパルス発生器(IPG)14から電極アレイ26に送出される。注意すべきは、カバレージ区域120の複数のものが、それぞれのカバレージ区域に対して選択アイコン126を作動することによって同時に活性化することができる。この場合、複数の電気パルス列は、カバレージ区域120に関連付けられたそれぞれの変調パラメータセットに従って交互配置様式でタイミングチャネル中に埋込み可能なパルス発生器(IPG)14から電極アレイ26に同時に送出される。従って、各カバレージ区域120は、タイミングチャネルに対応する。
カバレージ区域120のいずれかが定められていない限り(この場合、3つが定められていない)、これらは、「クリックして別のプログラム区域を追加する」テキストを含み、これらの残りのカバレージ区域120のいずれも変調パラメータセットに関連付けて選択することができることを示している。選択される時に、カバレージ区域120には、指定フィールド122、電気パルスパラメータフィールド124、及び選択アイコン126が投入されることになる。
リード表示パネル104は、グラフィックリード128を含み、グラフィックリード128は、8つのグラフィック電極130各々(第1のリード128に対して電極E1〜E8及び第2のリード128に対して電極E9〜E16としてラベル付けした)と共に示されている。リード表示パネル104はまた、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14のケース44を表すグラフィックケース132を含む。リード表示パネル104は、リード群選択タブ134(この場合、4つ)を更に含み、これらのいずれかを作動して、グラフィックリード128の4つの群のうちの1つを選択することができる。この場合、第1のリード群選択タブ134は作動されており、それによってこれらの予め決められた向きに2つのグラフィックリード128を表示している。追加のリード12を患者内に埋込む場合、これらは、追加のリード群に関連付けることができる。
パラメータ調節パネル106はまた、パルス振幅調節制御器136(ミリアンペア(mA)で表される)、パルス幅調節制御器138(マイクロ秒(μs)で表される)、及びパルス速度調節制御器140(ヘルツ(Hz)で表される)を含み、これらは、全てのプログラミングモードで表示され、かつ作動可能である。制御器136〜140の各々は、それぞれの変調パラメータの値を低減するように作動することができる第1の矢印と、それぞれの変調パラメータの値を増加させるように作動することができる第2の矢印とを含む。制御器136〜140の各々はまた、現在選択されているパラメータを表示するための表示領域を含む。パラメータ調節パネル106におけるグラフィック制御器の操作による電気パルスパラメータのいずれかの調節に応答して、コントローラ/プロセッサ80は、対応する変調パラメータセット(新しいパルス振幅、新しいパルス幅、又は新しいパルス速度を有する)を生成し、変調エネルギを電極26に送出するのに使用するための遠隔測定回路86を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に変調パラメータセットを伝達する。
パラメータ調節パネル106は、手動プログラミングモード、ナビゲーションプログラミングモード、及び閾値以下プログラミングモードの間でユーザが切換えることを可能にするプルダウンプログラミングモードフィールド142を含む。これらのプログラミングモードの各々は、上述のパラメータ調節パネル106におけるグラフィック制御器、並びに以下に説明する様々なグラフィック制御器の操作により現在選択されているプログラム114の現在選択されているカバレージ区域120に対して変調パラメータセットをユーザが定めることを可能にする。
手動プログラミングモードは、ユーザが電極アレイの分割電流を最大の柔軟性で手動で定めることを可能にするように設計され、電子トロールプログラミングモードは、ターゲット変調部位を位置付けるまで変調リードに対して電界を徐々にステアリングするように限定された数の電極形態を使用して電極アレイを迅速に掃引するように設計され、ナビゲーションプログラミングモードは、広範な電極形態を使用して電極アレイを掃引して電界を成形するように構成され、それによって患者の快適性のために変調カバレージを微調節して最適化する。探査プログラミングモード及び閾値以下のプログラミングモードなどの更なるプログラミングモードは、「閾値以下の治療を患者に提供するシステム及び方法」という名称の特許文献7に記載されており、この特許文献を本明細書に援用する。
図7に示すように、手動プログラミングモードが選択されている。手動プログラミングモードにおいて、グラフィックリード128の電極130、並びにグラフィックケース132の各々は、個々に選択することができ、パラメータ調節パネル106の振幅/極性区域144に位置するグラフィック制御器を使用してその電極130、132に割り当てられた極性(カソード又はアノード)及び電流の大きさ(パーセント)を臨床医が設定することを可能にする。
特に、振幅/極性区域144に位置するグラフィック極性制御器146は、「+」アイコン、「−」アイコン、及び「オフ」アイコンを含み、これらをそれぞれ作動して正の分極(アノード)、負の分極(カソード)、及びオフ状態の間で選択された電極130、132を切換えることができる。振幅/極性区域144における振幅制御器148は、選択された電極130、132の分割電流の大きさを低減するように作動することができる矢印と、選択された電極130、132の分割電流の大きさを増加させるように作動することができる矢印とを含む。振幅制御器148はまた、選択された電極134に対する分割電流の調節された大きさを示す表示領域を含む。振幅制御器148は、好ましくは、電極が見えない場合、無効にされ、かつリード表示パネル104において選択される。振幅/極性区域144におけるグラフィック制御器の操作による分割電極組合せの調節に応答して、コントローラ/プロセッサ80は、対応する変調パラメータセット(新しい分割電極組合せを有する)を生成し、それを電極26への変調エネルギの送出に使用するための遠隔測定回路86を通じて埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に伝達する。
図示の実施形態において、電極E2は、100%のカソード電流が割り当てられたカソードとして選択されており、電極E1及びE3は、25%及び75%のアノード電流がそれぞれ割り当てられたアノードとしてそれぞれ選択されている。電極E15は、それに振幅/極性区域144に位置するグラフィック制御器を通じて極性及び分割電極電流をユーザが実質的に割り当てることを可能にするように選択されているように示されている。振幅/極性区域144に位置するグラフィック制御器は、電極のいずれに対しても操作することができるが、極性及び分割電流値を選択するための専用グラフィック制御器は、「オンエフェクタプログラミング装置制御器を有する神経変調システム」という名称の突起よ文献8に説明され、これを本明細書に援用する。
パラメータ調節パネル106はまた、手動プログラミングモードを選択する時に、電流割り当てをそれぞれの「アノード+」及び「カソード−」アイコンによって選択された極性の全ての電極に自動的に等しくするように作動することができる等化制御器150を含む。以下により詳細に説明する他のプログラミングモードとは違って、手動プログラミングモード中に予め決められた変調パラメータセットのパルス速度及びパルス幅の範囲は、公知のものに限定されることなく、閾値以上の治療及び閾値以下の治療のうちの一方のみを提供する。例えば、パルス振幅の下限は、0.1mAまで低くすることができ、パルス振幅の上限は、20mAまで高くすることができる。パルス幅の下限は、2μsまで低くすることができ、パルス幅の上限は、1000μsまで高くすることができる。例えば、パルス速度(繰返し数)の下限は、1Hzまで低くすることができ、パルス速度(繰返し数)の上限は、50KHzまで高くすることができる。図示の実施形態において、5mAのパルス振幅、210μsのパルス幅、及び40Hzのパルス速度が選択されている。従って、手動プログラミングモード中に、選択されたプログラム114の選択されたカバレージ区域120は、閾値以上の治療又は閾値以下の治療のいずれかを患者に提供するように設計された変調パラメータセットを用いてプログラミングすることができる。
本発明にとって重要な点は、手動プログラミングモード時に、パラメータ調節パネル106が、臨床医用プログラミング装置(CP)18に図8に示すような電極選択画面200を生成させるように作動できる電極−選択制御器152も含む点である。電極−選択画面200では、電極26から、患者に閾値以下の変調治療を提供するのに有効な1又はそれ以上の電極を選択することができる。有効な電極は、各電極のアノード知覚閾値とカソード知覚閾値の比率と、各電極のアノード異常感覚カバレージとの組み合わせに基づいて選択される。電極選択画面200は、ユーザが電極26から有効な電極を選択することに関する関連情報を入力するのを可能にする。
この目的のために、電極選択画面200は、全ての電極26のための電極選択制御器156を含む電極パネル154を含む。電極選択制御器156は、特定の電極を選択するように作動できるスライダ(又は他のいずれかの選択ツール)を含むことができる。代替の実施形態では、電極パネル154が、電極26のうちの1つの電極の番号を打ち込むことができるエントリボックスを含む。別の代替の実施形態では、電極パネルが、いずれも特定の電極を選択するように作動できる、グラフィック要素によって表される電極のリストを含むことができる。図示の実施形態では、電極選択制御器156が、グラフィックリード128の全ての電極130を含み、このうちの電極E4が作動している。図示の実施形態には、1つの神経変調リード12の電極E1〜E8しか示していないが、電極パネル154は、患者に埋め込まれた全ての神経変調リード12の電極26(図示の例では、2つの神経刺激リード12に対応する電極E1〜E16)のための電極選択制御器156を含むことができると理解されたい。
電極選択制御器156を用いて電極が選択されると、その電極の知覚閾値パネル160及び異常感覚マップ162が自動的に表示される。知覚閾値パネル160は、選択された電極の閾値以上の電気エネルギのアノード知覚閾値及びカソード知覚閾値を決定して記録するために使用する。知覚閾値パネル160は、アノード知覚閾値及びカソード知覚閾値をそれぞれ決定する際に使用する(ミリアンペア(mA)で表す)振幅調節制御器164及び168も含む。電極選択画面200は、電極26から送出される閾値以上の電気エネルギのパルス幅及びパルス速度をユーザがそれぞれ制御することを可能にするパルス幅調節制御器172及びパルス速度調節制御器174も含む。閾値以上のパルス列は、典型的には、比較的高いパルス振幅(例えば、5ma)、比較的低いパルス速度(例えば、1500Hz未満、好ましくは500Hz未満)、及び比較的高いパルス幅(例えば、100μsよりも上、好ましくは200μsよりも上)で送出される。
振幅調節制御器164及び168は、各電極について表示され作動可能である。164、168、172及び174の制御器の各々は、パラメータの値を減少させるように作動できる第1の矢印と、パラメータを増加させるように作動できる第2の矢印とを含む。制御器164、168、172及び174は、現在選択されているパラメータを表示するための表示領域も含む。コントローラ60は、グラフィック制御器の操作を通じたいずれかの電気パルスパラメータの調節に応答して、(新たなパルス振幅、新たなパルス幅又は新たなパルス速度での)対応する変調パラメータセットを生成し、電極26に変調エネルギを送出する際に使用できるように、遠隔測定回路54を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に送信する。
ユーザは、アノード知覚閾値を決定するために、まず選択された電極をアノードとして構成し、振幅調節制御器164を用いて、電極から送出される閾値以上の電気エネルギの振幅を増分的に増加させることができる。同様に、ユーザは、選択された電極のカソード知覚閾値を決定するために、電極をカソードとして構成し、振幅調節制御器168を用いて、電極から送出される閾値以上の電気エネルギの振幅を増分的に増加させることができる。アノード知覚閾値及びカソード知覚閾値は個別に決定され、振幅調節制御器164の作動時には、カソードエネルギの振幅が、振幅調節制御器168上で直ちに0に設定され、振幅調節制御器168の作動時には、アノードエネルギの振幅が、振幅調節制御器164上で直ちに0に設定されると理解されたい。
知覚閾値パネル160は、選択された電極からアノード閾値以上の電気エネルギが送出されたこと、或いは選択された電極からカソード閾値以上の電気エネルギが送出されたことのいずれかに応答して患者が異常感覚の体験を報告した際に作動できる異常感覚記録ボタン170を含む。異常感覚記録ボタン170が選択されると、振幅調整制御器164によって設定されたアノード電気エネルギの現在の振幅がアノード知覚閾値としてメモリ62に記録され、或いは振幅調整制御器168によって設定されたカソード電気エネルギの現在の振幅がカソード知覚閾値としてメモリ62に記録される。代替の実施形態では、知覚閾値パネル160が、記録されたアノード及びカソード知覚閾値を図形表示することができる。
代替の実施形態では、電極26の各々から閾値以上のアノード電気エネルギ及び閾値以上のカソード電気エネルギが送出されたことに応答して誘発複合活動電位(eCAP)を検知することにより、アノード知覚閾値及び/又はカソード知覚閾値を自動的に決定して記憶することができる。誘発複合活動電位(eCAP)は、閾値レベルを超える刺激電極に隣接するニューロンを脱分極させるほど十分に強力な電界を発生させることにより、ニューロン繊維に沿って伝搬する活動電位の発射を引き起こすことによって測定することができる。
アノード知覚閾値及びカソード知覚閾値に相関する誘発複合活動電位(eCAP)の特性は、実際の誘発複合活動電位(eCAP)に一致させるためのテンプレートとして記憶することができる。従って、電極から送出される閾値以上の電気エネルギの振幅を、ユーザが振幅調整制御器164及び168を用いて増分的に増加させると、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14のモニタ回路56は、誘発複合活動電位(eCAP)を検知して制御回路に伝達する。測定された誘発複合活動電位(eCAP)がテンプレート誘発複合活動電位(eCAP)に一致する場合、測定された誘発複合活動電位(eCAP)を引き起こした電気エネルギの振幅は、電極がアノードとして構成されたか、それともカソードとして構成されたかに基づいて、その電極のアノード知覚閾値又はカソード知覚閾値のいずれかとして自動的に決定される。誘発複合活動電位(eCAP)の更なる詳細は、「誘発活動電位を使用して自動的に刺激を調整しエネルギ要件を低減する神経刺激システム及び方法」という名称の特許文献9に開示されており、この特許文献を本明細書に援用する。異常感覚マップ162は、患者が閾値以上の電気エネルギのアノード送出及びカソード送出の両方に応答して知覚する異常感覚の領域を示す。患者からの入力に応答して、異常感覚のある1又は複数の領域を、異常感覚が知覚された(1又は複数の)推定領域を強調するように模擬人体図上で作動させることができる。模擬人体図の強調された部位は、アノード異常感覚マップ又はカソード異常感覚マップとしてメモリ62に記録される。
図示の実施形態では、電極E4を通じて送出されたアノード閾値以上の電気エネルギの異常感覚の領域が、「前面」模擬人体図178と「背面」模擬人体図180の強調された部位で示すようにアノード異常感覚マップについて既に選択されている。
異常感覚マップは、閾値以上のアノード電気エネルギの送出及び閾値以上のカソード電気エネルギの送出に起因して知覚される異常感覚について作成することができるが、閾値以上のアノード刺激中に観察された異常感覚は、有効な閾値以下の治療の良好な予測因子であることが示される。従って、この実施形態の説明は、アノード異常感覚マップに焦点を当てているが、アノード異常感覚マップ及びカソード異常感覚マップの両方を作成することもできる。
電極選択制御器156を用いて各電極を個別に選択することにより、電極選択画面200には、それぞれ選択された電極の知覚閾値パネル160及び異常感覚マップ162が表示され、これによってユーザは、電極26の各々についてアノード知覚閾値及びカソード知覚閾値の両方を決定して記録し、異常感覚マップを作成することができる。知覚閾値及び異常感覚マップは、ユーザの判断に基づいて全ての電極26について作成することも、又は電極26の一部のみについて作成することもできる。
電極選択画面200では、ユーザは、電極26の各々についてアノード及びカソードの知覚閾値及び異常感覚カバレージを決定できることに加え、更なるユーザ入力を伴わずに臨床医用プログラミング装置(CP)18が有効な電極を選択するか、それとも更なるユーザ入力によって有効な電極を選択するかを選択することもできる。具体的には、電極選択画面200は、「自動」ボタン182及び「半自動」ボタン184を含み、これらのボタンは、作動時に、臨床医用プログラミング装置(CP)18を自動電極選択モード又は半自動電極選択モードのいずれかに入れる。自動モードでは、有効な電極がユーザ入力を伴わずに自動的に選択される。半自動モードでは、有効な電極がユーザからの入力を伴って選択される。図示の実施形態では、自動電極選択モード及び半自動電極選択モードの両方を示しているが、いくつかのバージョンの臨床医用プログラミング装置(CP)18は、2つのモードの一方しか含まないようにプログラムすることもできると理解されたい。
自動モードでは、コントローラ60が、アノード知覚閾値とカソード知覚閾値の比率に関連する閾値スコアと、電極のアノード異常感覚マップと予め定められた患者の疼痛マップとの一致に関連するカバレージスコアとに基づいて、各電極の合計スコアを計算することによって有効な電極を自動的に選択する。
コントローラ60は、電極の閾値スコアを決定するために、各電極のアノード知覚閾値とカソード知覚閾値の比率を自動的に計算する。実験的研究では、アノード知覚閾値とカソード知覚閾値の比率が1に最も近い電極が、閾値以下の変調エネルギを最も効果的に送出することが観察された。図9に示すように、1に対する比率の近さのパーセンテージに基づいて、電極26(図示の実施形態ではE1〜E8)の閾値スコア186を計算することができる。例えば、図示の実施形態における電極E4の場合のようにアノード知覚閾値とカソード知覚閾値とが同じである場合、閾値スコアを100とすることができる。同様に、図示の実施形態における電極E1の場合のように、アノード知覚閾値とカソード知覚閾値の差異が最も大きな電極は0として設定することができる。閾値スコア186の残りを0〜100の比率範囲内で計算して、全ての電極26の閾値スコアを生成することができる。図示の実施形態では、閾値スコア186の計算方法を1つしか示していないが、他のいずれかの好適なアルゴリズム又は計算を使用することもできると理解されたい。
コントローラ60は、アノード異常感覚マップの異常感覚が知覚された各身体領域と、予め定められた疼痛マップの疼痛のある身体領域との相対的一致に基づいて、電極26の各々のカバレージスコアも計算する。図10に示すように、カバレージスコア190は、電極E1〜E8の各アノード異常感覚マップの強調領域と、予め定められた疼痛マップ192の強調領域との相対的一致を反映する。電極E4及びE5のカバレージスコア190は、異常感覚の領域が予め定められた疼痛マップ192の疼痛のある領域に最も厳密に一致するという理由で最も高い。電極E3及びE8のカバレージスコア190は、異常感覚の領域が予め定められた疼痛マップ192の疼痛のある領域にほとんど一致しないという理由で最も低い。
コントローラ60は、各電極26の閾値スコア186及びカバレージスコア190の両方を計算した後、各電極26の合計スコアを計算する。臨床医用プログラミング装置(CP)18には、合計スコアの各部分の重みを規定するアルゴリズムを事前にプログラムしておくことができる。例えば、異常感覚マップの閾値スコア及びカバレージスコアに等しい重みを与えることができる。別の例では、閾値スコアにカバレージスコアの2倍の重みを与えることができる。更に別の例では、カバレージスコアに閾値スコアの2倍の重みを与えることができる。例えば、図11には、電極E1〜E8の合計スコアをグラフで表しており、(閾値スコア及びカバレージスコアに等しい重みが与えられていると仮定して)電極E4に最高合計スコアが示されている。従って、自動モードにおいて、コントローラ60は、電極E4を有効な電極として自動的に選択する。
次に図12を参照すると、「半自動」ボタン184の選択時には、ユーザは半自動電極選択画面250に進む。半自動電極選択モードでは、ユーザが、閾値以下の変調治療に有効な1つ(又は複数)の電極を選択するように導かれる。
好ましい実施形態では、自動モードと同様に、電極26の各電極について合計スコアが計算される。ただし、閾値以下の変調治療のための電極を自動的に選択する代わりに、閾値以下の変調治療のための候補電極としての電極が提案される。以下で説明するように、候補電極を提案することに加え、全ての電極26の合計スコア及び異常感覚マップも表示され、ユーザは、1又はそれ以上の有効な電極を選択する際に、これらに基づいて情報を得た上での決定を行う。
この目的のために、半自動電極選択画面250は、予め定められた疼痛マップに照らした各電極のアノード異常感覚マップを示す図形的アノード異常感覚マップ204を含む。アノード異常感覚マップ204は、各アノード異常感覚マップと予め定められた疼痛マップとの相対的一致に基づいて計算された図形的カバレージスコア206を含むこともできる。
半自動電極選択画面250は、各電極の合計スコアを示す図形的合計スコアパネル208も含む。図示の実施形態では、電極E1〜E8のうち、電極E4及びE5が最高合計スコアを有するものとして示されている。電極E4は、最高合計スコアを有するという理由で候補電極202として提案される。
半自動電極選択画面250は、ユーザが電極選択パネル210の図形的電極のいずれかを作動させることによって閾値以下の変調治療のための有効な電極を選択できるようにする手動有効電極選択パネル210を更に含む。図示の実施形態では、ユーザは、電極選択パネル210上で電極E4を有効な電極として手動で選択することも、或いは提案を無視し、電極選択パネル210上で他のいずれかの電極を選択することもできる。代替の実施形態では、ユーザは、電極選択パネル210上で複数の有効な電極を選択することができる。複数の電極を選択する場合、ユーザは、これらの電極が互いに近くに存在して1つのアノードとして機能することを保証することができる。互いに離れた有効な電極を選択すると、これらの離れた各電極の電流が効果的に結合しないので、患者にとって有益でない場合もある。半自動電極選択画面250は、ユーザが有効な電極を選択した後に作動させることができる「OK」ボタン212も含む。ユーザは、「OK」ボタン212を選択すると図7の手動プログラミングモード画面100に戻る。
代替の実施形態では、半自動電極選択画面250が、単純にアノード異常感覚マップ204及び合計スコアパネル208を表示して、候補電極を提示することなく、ユーザが自身の判断に基づいて電極選択パネル210上で有効な電極を選択できるようにすることができる。
次に図13を参照すると、ユーザは、有効な電極を(自動モード又は半自動モードのいずれかによって)選択すると手動プログラミング画面200に戻り、有効な電極がリード表示パネル104内に自動的に追加されてアノードとして構成される。図示の実施形態では、電極E4及びE5が(恐らくは半自動モードを通じて)選択され、これらの両方がアノードとして構成されている。コントローラ60は、有効な電極のアノード知覚閾値の比率、又は有効な電極のカソード知覚閾値の比率のいずれかに基づいて、有効な電極間における閾値以下の電気エネルギの配分を計算するように構成される。例えば、有効な電極が1つしか選択されていない場合、この1つの有効な電極にアノード電流が100%割り当てられるようになる。有効な電極が複数選択されている場合、電気エネルギは、比率に基づいて自動的に配分される。例えば、図13では、電極E4及びE5の根本的な知覚閾値の比率を推定的に反映した、電極E5の2倍のアノード電流が電極E4に割り当てられている。図9に示すように、電極E4のアノード知覚閾値(4.1mA)は、電極E5のアノード知覚閾値(2.1mA)の2倍である。E4及びE5のアノード知覚閾値の比率が2対1であるため、アノード電流の2/3(67%)がE4に割り当てられ、アノード電流の1/3(33%)がE5に割り当てられる。従って、アノード知覚閾値及び/又はカソード知覚閾値の比率に基づいて電気エネルギを配分する際には、コントローラ60は、有効な電極に閾値以下の変調エネルギを送出しながら、電極の効率的な機能を維持する。
ユーザは、選択された電極220及び224の分割電流の大きさを増加又は減少させるための矢印を有する振幅制御器148を使用することにより、有効な電極間の電流の配分を手動で変更することができると理解されたい。
ユーザは、閾値以下の電気エネルギを有効な電極に送出するために、振幅調節制御器136、パルス幅調節制御器138及びパルス速度調節制御器140を用いて変調パラメータを望み通りに変更することができる。閾値以下の変調治療を提供している間、通常、変調パラメータは、閾値以下の範囲(例えば、1500Hzを上回る周波数及び200μsよりも短いパルス持続期間を有する電気パルス列)内で操作される。上述したように、コントローラ60は、パラメータ調節パネル106のグラフィック制御器の操作を通じた電気パルスパラメータのいずれかの調節に応答して、(新たなパルス振幅、新たなパルス幅又は新たなパルス速度の)対応する変調パラメータセットを生成し、電極26に変調エネルギを送出する際に使用する遠隔測定回路54を介して埋込み可能なパルス発生器(IPG)14に送信する。閾値以下のパルス列は、カソード又はアノードのいずれであってもよいが、本開示は、単相アノードパルス列、又は能動的アノード(正)相及び受動的カソード(負)充電相を有する2相パルス列のいずれかの形でアノード閾値以下の電気エネルギを送出することに焦点を当てる。
次に、ユーザは、手動プログラミング画面100のプログラム選択パネル102を用いて閾値以下の変調プログラムを定義又は選択して、患者に閾値以下の電気エネルギを提供することができる。具体的には、ユーザは、カルーセル112を通じて閾値以下の変調プログラムを閲覧し、適切なプログラムを選択することができる。
先の実施形態では、電極26から単一の電極を選択することに焦点を当てていたが、電極セットは、(図示の実施形態と同様に)単一の電極を含むことも、又は電極の組み合わせを含むこともできると理解されたい。電極セットが電極の組み合わせである場合、患者に閾値以下の変調治療を提供するための複数の電極組合せから1つの電極組合せを選択する。通常、電極組合せは、有効な治療を提供するために、互いに隣接する電極を含む。例えば、ユーザは、電極組合せA(電極E2及びE3)、電極組合せB(電極E3及びE4)及び電極組合せC(電極E4及びE5)の中から最も有効な電極組合せを選択したいと望むことがある。このような場合、それぞれの電極組合せA、電極組合せB及び電極組合せCについて知覚閾値を求めて異常感覚マップを作成し、これらの中から閾値以下の変調治療を提供するのに最も有効な電極組合せを選択する。
神経変調(SCM)システム10の構造及び機能について説明したが、図14に関連して、有効な電極を選択する1つの例示的な技術について説明する。
神経変調(SCM)システム10は、電極から送出される閾値以上の電気エネルギのアノード知覚閾値を決定する(ステップ302)。神経変調(SCM)システム10は、電極から送出される閾値以上の電気エネルギのカソード知覚閾値も決定する(ステップ304)。次に、神経変調(SCM)システム10は、電極のアノード知覚閾値とカソード知覚閾値との比率を計算し(ステップ306)、1に最も近いアノード知覚閾値とカソード知覚閾値との比率に基づいて閾値スコアを生成する(ステップ308)。神経変調(SCM)システム10は、電極のアノード異常感覚マップも作成し(ステップ310)、予め定められた疼痛マップとアノード異常感覚との相対的一致に基づいてカバレージスコアを生成する(ステップ312)。神経変調(SCM)システム10は、閾値スコア及びカバレージスコアに基づいて、電極の合計スコアを生成する(ステップ314)。試験すべき更なる電極が存在する場合、システム10は、全ての電極について合計スコアが生成されるまで更なる処理反復を行う(ステップ316)。そうでない場合、システム10は、残りの全ての電極と比べた有効な電極の最高合計スコアに基づいて有効な電極を選択する(ステップ318)。有効な電極が選択されると、神経変調(SCM)システム10は、有効な電極から閾値以下の電気エネルギを送出する(ステップ320)。
本発明の特定の実施形態を図示して説明したが、本発明を好ましい実施形態に限定するように意図していないことは理解されるであろうし、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。すなわち、本発明は、特許請求の範囲によって定められるような本発明の精神及び範囲に含めることができる代替物、修正物、及び均等物を網羅するように意図している。