JP2016520577A - 金属錯体とそのフッ素化 - Google Patents

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Abstract

本発明は、フッ素を金属錯体に結合させることによって生体分子を18Fで標識する方法であって、金属錯体は生体分子に連結されている方法に関する。本発明は、金属錯体骨格への水素結合(H結合)の導入、並びにフッ化物の導入速度の向上のためのその利用方法に焦点を当てている。また、医薬組成物、キット及びインビボイメージング法も提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素を金属錯体に結合させることによって生体分子を18Fで標識する方法であって、金属錯体は生体分子に連結されている方法に関する。本発明は、金属錯体骨格への水素結合(H結合)の導入、並びにフッ化物の導入速度の向上のためのその利用方法に焦点を当てている。また、医薬組成物、キット及びインビボイメージング法も提供する。
インビボイメージングに好適な放射性トレーサを得ることを目的とした生体分子の18F放射性標識は、以前から関心の高い分野である[Schirrmacherら。Mini−Rev.Org.Chem.,4(4),317〜329(2007)]。小さな分子を18Fで標識する直接的な(単工程の)方法は多く存在するが、そうした方法をペプチド類(及びそれより大きい巨大分子)に適用することは一般に適当ではない。リジンやアルギニン等のアミノ酸が存在することで、求核置換を介したフッ化物の導入という標準的なやり方が困難になる。これは以下の要因による:
(i)フッ化物と上記アミノ酸の官能基とが水素結合反応を起こすことによってフッ化物イオンの求核性が低下する;及び/又は、
(ii)より高温の使用が必要であるため、ペプチド乃至タンパク質の構造が劣化もしくは崩壊しうる。
より優れた放射性フッ素化の方法に向けた無機化学のアプローチがSmithら[Dalton Trans.,40,6196〜6205(2011)]によって改めて検討されている。
国際公開第2009/079024号パンフレット(McBrideら)には、
a)18Fを金属と反応させて18F金属錯体を形成する工程と、
b)その18F金属錯体を分子に付加し、被験体に投与される18F標識分子を1種類以上形成する工程と、
を含む、分子を18Fで標識する「無機化学的」方法が開示されている。
国際公開第2009/079024号パンフレットには、金属錯体に好適な金属がアルミニウム、ガリウム、インジウム、ルテチウム及びタリウムから選択されることが教示されている。
国際公開第2009/079024号パンフレットの実施例3には、キレート−ペプチドコンジュゲートIMP272の様々な金属錯体に対する18F標識が提示されている:
DOTA−Gln−Ala−Lys(HSG)−D−Tyr−Lys(HSG)−NH2
IMP272
式中、
DOTA=1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン四酢酸、
HSG=ヒスタミン−スクシニル−グリシル基、
である。
報告された18F放射性標識の結果は次の通りであった:インジウム(24%)、ガリウム(36%)、ジルコニウム(15%)、ルテチウム(37%)及びイットリウム(2%)。
国際公開第2011/068965号パンフレットには、分子を18F又は19Fで標識する方法が開示されている。この方法は、18Fもしくは19Fと第IIIA族金属との錯体をキレート基に付加する工程を含み、キレート基が分子に連結されるか又はキレート基が後に分子に付加される。また、国際公開第2011/068965号パンフレットには、F結合には第IIIA族の金属(アルミニウム、ガリウム、インジウム及びタリウム)が好適であるが、アルミニウムが好ましいと記載されている。
McBrideらはその後、Ga、In、Zr、Lu及びYがIMP272ペプチドにもアルミニウム錯体にも結合しないこと及びこれら代替金属(Ga、In、Zr、Lu及びY)の金属錯体が水中で不安定であることを報告した[J.Nucl.Med.,50(6),991〜998(2009),994ページ]。
最近の文献は最善の金属としてアルミニウムに注目するとともに、使用するアルミニウムキレート剤の最適化に焦点を当てている。これは、アルミニウム−フッ化物間の結合が最強の金属−フッ化物結合の1つであること及びAlFn錯体が生体内で安定的なことによる[McBrideら,Bioconj.Chem.,21(7),1331〜1340(2010);Bioconj.Chem.,22,1793〜1803(2011);及びAppl.Rad.Isot.,70,200〜204(2012)]。好ましいキレート剤はNODA系統をベースとし、生体分子への連結にはNODA−MPAEMが用いられる。
しかしながら、国際公開第2009/079024号パンフレット、国際公開第2011/068965号パンフレット、並びに関連文献の従来方法にはいくつか欠点がある。
(a)Al−18F結合の形成におけるキネティクスは18F放射性標識に対してより高い温度を必要とするが、多くの生体分子は高温に弱い。
(b)上記の金属錯体を18Fで放射性標識するためのpH範囲(pH3.8〜4.2)が比較的狭い。これはアルミニウムの加水分解を避ける必要性による。酸に弱い不安定性や凝集のリスクにより、すべての生体分子がこの条件に適合するわけではない。
このように、ある範囲の生体分子を緩やかな(温度やpH等の)条件下で効率的に放射性フッ素化できる、代替的な18F放射性標識の方法が依然として求められている。かかる方法は水性条件に好適であるのが理想である。なぜなら18Fは一般に水溶液の形で入手可能であり、かつ生体分子によっては有機溶剤を許容しないものがあるためである。水性条件もしくは水性が卓越する条件において標識が可能ならば、[18F]フッ化物の乾燥工程が不要になる。この工程は、「求核置換」を伴う従来の18F化学過程において通常、必要とされるものである。これには、処理工程の削減によって18Fによる放射性フッ素化の化学過程をさらに簡素化しうるメリットがある。処理工程の削減、そして特に放射合成時間の短縮は、放射性崩壊による収量低下を最小限に抑えるメリットがある。
国際公開第2012/082618号パンフレット
本発明は、生体分子、特にペプチド類を、
(i)より低温(好ましくは室温)で、
(ii)水性(もしくは水性が卓越する)条件中で、
(iii)生体分子/ペプチドの属性に合うように調整もしくは適応可能なpH範囲で、
放射性標識し、かつ
(iv)18Fで標識した薬剤が高い生体内安定性を示す、
汎用的方法を提供する。
高親和性のフッ化物結合剤の設計において金属イオンの選択とキレート骨格の両方が重要であることを本願発明者らは見出した。本発明の金属イオンと金属錯体には下記に示すいくつかの利点がある。
(a)金属イオンは水中及び媒体のpHにおいてフッ化物に対する高い親和性を示す。
(b)金属中心は好ましい配位数と限られた酸化還元能力を有し、それによってスペシエーション及び化学過程が簡素化される。
(c)フッ化物イオンに置き換わるリガンドの置換のキネティクスは、可能な時間内(18Fの半減期に基づく)にフッ化物を取り込むのに十分に速い(かつ十分に完全である)が、生じる金属フッ化物結合が十分に強いため、金属に結合したフッ化物は精製乃至生体内において容易に失われない。
(d)18F標識のための前駆体は、容易に合成及び精製可能な単一かつ定義が明確な化学種である。
本発明の金属錯体が上述の特性を有することは、関心のある金属錯体が生体ターゲティング部分に連結でき、かつ必要に応じて18Fによる放射性フッ素化工程の前に精製できることを意味する。これは上述の理由により、従来技術のアプローチに比べて有利である。
式(II)の非放射性前駆体金属錯体におけるY1ペンダント基は、フッ化物に対する親和性が、対応する非官能性の(すなわちY1ペンダント基を持たない)前駆体金属錯体よりも高いと本願発明者らは考えているが、これについては理論に拘束されないことを望む。官能基Y1は、フッ化物イオンの金属への接近を促進することが期待される水素結合供与基を含有するため、[18F]フッ化物の取り込み速度が向上し、18Fの導入過程が最終的に速くなる。これは生体分子の18F放射性標識の効率を向上させることになる。
第1の態様において、本発明は、次の式Iの18F標識化合物を含むイメージング剤を提供する。
式中、
1は、X1の少なくとも1つが18Fであることを条件として、独立にBr、Cl、19F又は18Fであり、
MはAl3+、Ga3+、In3+、Sc3+、Y3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+又はLu3+であり、
1は3つのアミン供与体と1又は2つのD1基との供与体群を有するキレート剤であり、3つのアミン供与体とD1の供与体原子がすべてMと結合し、Z1は1以上のY基と、任意にはそれと共有結合するQ基を有しており、
Yは独立に−(A1x−Y1又は−(A1x−Y1−Qであり、
1は各々独立に式−(A2p−Dの基であって、Dは−CO2H、−OH、−SH、−PO32又はC2-8含窒素ヘテロアリール基から選択される金属配位の配位基であり、
Y及びD1のいずれも−O−O−結合を含まないことを条件として、A1は各々独立に−CH2−又は−O−であり、A2は各々独立にA1基又は−C64−であり、
1は−NHRa、−NH(CH22NHRa、−NH(CH23NHRa、−(C=O)NHRa、−NH(C=O)Ra、−NH(C=NH)NHRa、−ORa、Y2基又はY3基であり、
2は以下のいずれかであり、
3はArg、Lys、Asn、Gln、Ser、Thr又はTyrであり、
aは独立にH、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C2-4アルコキシアルキル基又はC1-4ヒドロキシアルキル基であり、
1は各々独立にC1-4アルキル基、C2-4アルコキシアルキル基又はC1-4ヒドロキシアルキル基であり、
2は独立にH、C1-4アルキル基又はSi(C1-4アルキル)3であり、
jは0又は1であり、
kは(2−j)であり、
pは各々独立に1、2又は3であり、
xは1〜6の整数であり、
Qは−L−[BTM]であり、
Lは式−(A)m−の合成リンカー基であり、Aは各々独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−CR=N−O−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8ヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、−Ar−、−NR−Ar−、−O−Ar−、−Ar−(CO)−、アミノ酸、糖又は単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成ブロックであり、
RはH、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C2-4アルコキシアルキル基又はC1-4ヒドロキシアルキル基から各々独立に選択され、
mは1〜20の整数であり、
Arは各々独立にC5-12アリーレン基又はC3-12ヘテロアリーレン基であり、
BTMは生体ターゲティング部分である。
第1の態様の式Iのイメージング剤は、三価の金属イオン(M)の金属錯体を含む。すなわち、金属はM(III)の酸化状態(M3+)にある。なお、「金属錯体」の語は金属の配位錯体を意味する。好適なかかる金属錯体はキレート剤Z1を含む。したがって式Iの金属錯体は、Mと共有結合する以下のいずれかの供与体原子を含む:
(i)キレート剤Z1の3つのアミン供与体と2つのD1基(j=1)を有する五座配位型キレート剤及び1つのハロゲン(X1)基、
又は、
(ii)キレート剤Z1の3つのアミン供与体と1つのD1基(j=0)を有する四座配位型キレート剤及び2つのハロゲン(X1)基。
本発明の好適な金属(M)は、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スカンジウム、イットリウム、ホルミウム、エルビウム、テルビウム、イッテルビウム又はルテチウムを含む。
「イメージング剤」という用語は、哺乳類の身体のイメージングに適した化合物を意味する。好ましくは、哺乳類はインタクトな哺乳類の生体であり、さらに好ましくはヒト被験体である。イメージング剤は、典型的には、非薬理学的量(つまり哺乳類被験体での生物学的作用が最小限となるように設計された用量)で投与される。好ましくは、イメージング剤は最小限の侵襲的方法で(つまり、医療専門技術の下で実施したときに哺乳類被験体に対して実質的な健康リスクを伴わずに)哺乳類の身体に投与される。かかる最小限の侵襲的投与は、好ましくは被験体の末梢静脈への静脈内投与であり、局所又は全身麻酔を必要としない。
本明細書で用いる「インビボイメージング」という用語は、哺乳類被験体の体内の様相の全体又は一部の画像を非侵襲的に生成する技術をいう。本発明の好ましいイメージング技術はPET(陽電子放射断層イメージング)である。
「C2-8含窒素ヘテロアリール」の語は、1以上の窒素(N)ヘテロ原子を含有する、炭素原子数が2個から8個のヘテロアリール環を意味する。好適なかかる環として、イミダゾール(例えば、2−イミダゾール又は4−イミダゾール)、ベンゾイミダゾール又はトリアゾール等が挙げられる。好ましいかかる環は2以上のヘテロ原子を内包する。好ましくは、すべてのヘテロ原子はNヘテロ原子であり、したがってより好ましいかかる環は2以上のNヘテロ原子を含み、かつそれ以外のヘテロ原子を含まない。
「含む(comprising,comprises)」の語は本願を通して従来の意味を有し、当該薬剤もしくは組成物が記載の本質的特徴乃至成分を有する必要があること、しかしそれ以外のものがさらに存在してもよいことを暗黙的に示す。また「含む」の語は、「実質的に〜から成る」の語義を好ましい部分集合として含む。これは当該組成物が記載の成分を有し、かつ他の特徴乃至成分が存在しないことを意味する。
「生体ターゲティング部分」(BTM)という用語は、投与後に、インビボで哺乳類の身体の特定の部位に選択的に取り込まれるか或いは局在化する化合物を意味する。かかる部位は、例えば、特定の病態に関係していることもあるし、臓器又は代謝過程がいかに機能しているかの指標となることもある。
式Iにおいて、Y基、D1基及び/又はQ基はキレート剤(Z1)の主鎖又はZ1のN供与体原子のいずれかに連結する。Yが−(A1x−Y1−Qの場合、BTMとY1基とがZ1上の同じ置換基の一部として付加されることを意味する。
好ましい実施形態
1基は、好ましくはZ1のアミン供与体原子におけるN置換基として位置づけられる。D1は好ましくはアニオン性金属供与体である。D1は好ましくは−(CH2p-1−C64−OH、−(CH2p-1−C64−SH、−(CH2pCO2H又は−(CH2pPO32、より好ましくは−(CH2pCO2H、そしてさらに好ましくは−(CH2)CO2Hである。
YがY3基の場合、Qは好ましくはYに位置する、すなわちyは0であり、Yは好ましくは−(A1x−Y1−Qである。BTMがペプチドの場合にY1がY3基であって、Y1とBTMの両方がキレート剤Z1に連結された同じペプチドの一部を潜在的に形成しえれば特に都合がよい。
YがY1又はY2基の場合、Qは好ましくはキレート剤の骨格に位置するか又はZ1のアミン供与体原子のN置換基として位置する。
式Iにおいて、Y1は好ましくは式−(C=O)NHRa又は−NH(C=O)Raのアミド又は次の式Y2aのY2ピロール基である。
好ましいY2aピロール基のそれぞれは、R1=C1-4アルキル基、より好ましくはメチル基又はジメチル−エチル基を有する。
BTMは、合成したものでも、天然のものでもよいが、好ましくは合成品である。「合成品」という用語とは、その通常の意味を有しており、天然の起源(例えば哺乳類の身体)から単離したものとは対照的に、人工のものを意味する。かかる化合物は、その製造及び不純物プロファイルを十分に制御できるという利点を有する。したがって、天然起源のモノクローナル抗体及びそのフラグメントは、本明細書で用いる「合成品」には属さない。BTMは、好ましくは非タンパク質性もの、つまりタンパク質を含まないものである。BTMの分子量は、好ましくは30000ダルトン以下である。さらに好ましくは、分子量は200〜20000ダルトン、最も好ましくは300〜18000ダルトンであり、400〜16000ダルトンが特に好ましい。BTMが非ペプチドである場合、BTMの分子量は好ましくは3000ダルトン以下であり、さらに好ましくは200〜2500ダルトン、最も好ましくは300〜2000ダルトンであり、400〜1500ダルトンが特に好ましい。
生体ターゲティング部分には、好ましくは、線状又は環状ペプチド又はその組合せのいずれでもよい3〜100残基ペプチド、ペプチド類似体、ペプトイド又はペプチド模倣体、1個のアミノ酸、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト(部分アゴニストを含む)又は酵素阻害剤、受容体結合化合物(受容体基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は基質を含む)、オリゴヌクレオチド又はオリゴDNA若しくはオリゴRNAフラグメントがある。酵素及び/又は受容体は好ましくは哺乳類被験体に内在する。
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合(つまり、あるアミノ酸のアミンと別のアミノ酸のカルボキシルとを連結するアミド結合)で連結した2以上のアミノ酸(以下で定義)を含む化合物を意味する。「ペプチド模倣体」又は「模倣体」という用語は、ペプチド又はタンパク質の生物活性を模倣するが、化学的性状がペプチドでない(つまり、ペプチド結合(アミノ酸間のアミド結合)を含まない)生物活性化合物をいう。ここでは、ペプチド模倣体という用語は広義に用いられ、性状が完全にはペプチドでない分子(例えば、プソイドペプチド、セミペプチド及びペプトイド)を包含する。「ペプチド類似体」という用語は、以下に記載する1種以上のアミノ酸類似体を含むペプチドをいう。“Synthesis of Peptides and Peptidomimetics”, M. Goodman et al, Houben−Weyl E22c, Thieme参照。
「アミノ酸」という用語は、L−又はD−アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチルアラニン)又はアミノ酸模倣体を意味し、天然のものでも純粋な合成品であってもよく、光学的に純粋つまり単一の鏡像異性体(したがってキラルなもの)であってもよいし、鏡像異性体の混合物であってもよい。本明細書では、アミノ酸の慣用三文字略語又は一文字略語を用いる。好ましくは、本発明のアミノ酸は光学的に純粋なものである。「アミノ酸模倣体」という用語は、アイソスター(つまり、天然化合物の立体構造及び電子構造を模倣するように設計されたもの)である天然アミノ酸の合成類似体を意味する。かかるアイソスターは当業者に周知であり、特に限定されないが、デプシペプチド、レトロ−インベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカン又は1,5−二置換テトラゾールが挙げられる[M.Goodman,Biopolymers,24,137,(1985)参照]。放射性標識チロシン、ヒスチジン又はプロリン等のアミノ酸は有用なインビボイメージング剤であることが知られている。
BTMが、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又は受容体結合化合物である場合、BTMは好ましくは非ペプチド、さらに好ましくは合成品である。「非ペプチド」という用語は、ペプチド結合(2つのアミノ酸残基間のアミド結合)を全く含まない化合物を意味する。好適な酵素基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は阻害剤には、グルコース及びグルコース類似体、脂肪酸又はエラスターゼ、アンジオテンシンII又はメタロプロテイナーゼ阻害剤がある。酵素基質、アンタゴニスト、アゴニスト又は阻害剤の酵素は好ましくは哺乳類被験体に内在する。好適な合成受容体結合化合物には、エストラジオール、エストロゲン、プロゲスチン、プロゲステロンその他のステロイドホルモン、ドーパミンD−1又はD−2受容体リガンド、及びトロパンのようなドーパミン輸送体用リガンド、並びにセロトニン受容体用リガンドがある。受容体結合化合物の受容体は好ましくは哺乳類被験体に内在する。
BTMは、最も好ましくは3〜100残基ペプチド又はペプチド類似体である。BTMがペプチドである場合、好ましくは4〜30残基ペプチド、最も好ましくは5〜28残基ペプチドである。
BTMが酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト又は酵素阻害剤の場合、本発明の好ましいかかる生体ターゲティング分子は合成の薬物様低分子、すなわち医薬分子である。好ましいのは、トロパン等のドーパミン輸送体リガンド;脂肪酸;ドーパミンD−2受容体リガンド;ベンズアミド類;アンフェタミン類;ベンジルグアニジン類、イオマゼニル、ベンゾフラン(IBF)又は馬尿酸である。トロパン薬剤についてはMorganとNowotnikによる説明がある[Drug News Perspect.,12(3),137〜145(1999)]。
BTMがペプチドである場合、好ましいペプチドには以下のものがある。
・ソマトスタチン、オクトレオチド及び類似体。
・ST受容体に結合するペプチド(ここで、STとは大腸菌(E.coli)その他の微生物によって産生される耐熱性毒素をいう。)。
・ボンベシン。
・血管作用性小腸ペプチド。
・ニューロテンシン。
・ラミニンフラグメント。
・白血球集積部位をターゲティングするためのN−ホルミル走化性ペプチド。
・血小板第4因子(PF4)及びそのフラグメント。
・例えば、血管形成をターゲティングし得るRGD(Arg−Gly−Asp)含有ペプチド[R.Pasqualini他,Nat Biotechnol.1997 Jun;15(6):542−6]、[E.Ruoslahti,Kidney Int.1997 May;51(5):1413−7]。
・α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのペプチドフラグメント。α2−抗プラスミン、フィブロネクチン、β−カゼイン、フィブリノーゲン又はトロンボスポンジンのアミノ酸配列は、以下の参考文献に見出すことができる。α2−抗プラスミン前駆体[M.Tone他,J.Biochem,102,1033(1987)]、β−カゼイン[L.Hansson他,Gene,139,193(1994)]、フィブロネクチン[A.Gutman他,FEBS Lett.,207,145(1996)]、トロンボスポンジン1前駆体[V.Dixit他,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,83,5449(1986)]、R.F.Doolittle,Ann.Rev.Biochem.,53,195(1984)。
・アンジオテンシンI及びアンジオテンシンIIのようなアンジオテンシンの基質又は阻害剤であるペプチド。
好ましいBTMペプチド類はRGDペプチド類である。より好ましいかかるRGDペプチドは次に示すフラグメントを含む。
さらに好ましいかかるRGDペプチドは、BTMが次の式(A)のペプチドであるものである。
式中、X1は−NH2又は以下の基のいずれかであり、aは1〜10の整数である。
式Aにおいてaは好ましくは1である。
BTMがペプチドである場合、ペプチドの一端又は両端(好ましくは両端)に代謝阻害基(MIG)が結合している。このように両方のペプチド末端を保護することは、インビボイメージング用途で重要である。さもないと、急速な代謝が起こって、BTMペプチドに対する選択的結合親和性が失われてしまうと予想されるからである。「代謝阻害基(MIG)」という用語は、アミノ末端又はカルボキシ末端でのBTMペプチドの酵素(特にカルボキシペプチダーゼのようなペプチダーゼ)代謝を阻害又は抑制する生体適合性基を意味する。かかる基はインビボ適用に特に重要であり、当業者に周知であり、好適には、ペプチドアミン末端に関してはN−アシル化基−NH(C=O)RG(式中、アシル基−(C=O)RGはC1-6アルキル、C3-10アリール及びポリエチレングリコール(PEG)構成ブロックから選択されるRGを有する。)から選択される。好適なPEG基については、リンカー基(L1)に関して後述する。好ましいPEG基は、式Bio1又はBio2(後記)のバイオモディファイアーである。好ましいアミノ末端MIG基はアセチル、ベンジルオキシカルボニル又はトリフルオロアセチルであり、最も好ましくはアセチルである。
ペプチドカルボキシル末端に適した代謝阻害基には、カルボキサミド、tert−ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコール及びポリエチレングリコール(PEG)構成ブロックがある。BTMペプチドのカルボキシ末端アミノ酸残基に適したMIG基は、アミノ酸残基の末端アミンをC1-4アルキル基(好ましくはメチル基)でN−アルキル化したものである。好ましいMIG基はカルボキサミド又はPEGであり、最も好ましい基はカルボキサミドである。
リンカー基(L)が1〜10アミノ酸残基のペプチド鎖を含む場合、アミノ酸残基は好ましくはグリシン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はセリンから選択される。LがPEG部分を含む場合、好ましくは式Bio1又はBio2の単分散PEG様構造のオリゴマー化で得られる単位を含む。
式Bio1の17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸。式中、pは1から10の整数である。或いは、次の式Bio2のプロピオン酸誘導体をベースとするPEG状構造体も使用できる。
式中、pは式Bio1に対して定義したものと同様であり、qは3から15の整数である。
式Bio2において、pは好ましくは1又は2、またqは好ましくは5から12である。
リンカー基がPEG又はペプチド鎖を含まない場合、好ましいL基は、原子数が2個から10個の−(A)m−部分を構成する連結原子の主鎖を有する。この原子数はさらに好ましくは2個から5個であり、2個又は3個が特に好ましい。
市販されていないBTMペプチド類は、P.Lloyd−Williams,F.AlbericioとE.Girald『Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins』(CRC Press,1997)に記載されるペプチド固相合成法によって合成可能である。
好ましい一実施形態では、第1の態様のキレート剤Z1は次の式Za、Zb又はZcで表される。
式中、R3は各々独立にH、C1-4アルキル基、C2-4アルコキシアルキル基、C1-4ヒドロキシアルキル基、D1基、Y基又はQ基であり、
fは各々独立に1又は2である。
式Zaにおいて、それぞれのfは好ましくは1である。
式Zaのより好ましいキレート剤は、式Zaa又はZabで表されるものである。
式中、D1、Q、Y、A1、Y1及びxは、式Iに関して記載したものと同様である。
式Za、Zb、Zc、Zaa及びZabにおいて、x、D1、Y及びQ、並びにそれらの好ましい態様は、式Iに関して記載したものと同様である。特に、D1は好ましくはY2a基である(ただし、Y2aは上で定義したものと同様である)。
式Iにおいて、X1基はそれぞれ好ましくは独立にCl、19F又は18Fである。
式Iにおいて、Mは好ましくはAl3+、Ga3+、In3+、Sc3+又はY3+、より好ましくはGa3+、In3+、Sc3+又はY3+、さらに好ましくはGa3+又はIn3+、なかでも理想的なのはGa3+である。
イメージング剤は好ましくは滅菌形態、すなわち、第5の態様(下記)に記載する、哺乳類への投与に適した形態で提供される。
第1の態様のイメージング剤は第2の態様(下記)に記載のようにして得ることができる。
第2の態様において、本発明は第1の態様のイメージング剤の調製方法を提供する。この方法は、適当な溶媒中、適宜[19F]フッ化物の存在下で、前駆体と[18F]フッ化物の供給物又は[18F]NaFとの反応を含む。
前駆体は、次の式IIのキレート剤の金属錯体を含む。
式中、Z1、D1、Y、Q、j及びpは第1の態様において記載したものと同様であり、
金属はAl3+、Ga3+、In3+、Sc3+、Y3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+又はLu3+から選択される。
金属錯体前駆体の金属は放射性でも非放射性でもよい。金属が放射性の場合、好適な放射性金属同位体として67Ga、68Ga及び111In等が挙げられる。前駆体の金属錯体の金属は好ましくは非放射性である。したがって、第2の態様に用いられる前駆体は好ましくは非放射性である。
18F]フッ化物は次のうちのいずれかでありうる。
(i)サイクロトロンから直接送達され、かつイオン交換カートリッジ及び適切な溶離剤を用いて処方されたもの、
又は、
(ii)GMP設備の自動化プラットフォーム上で生成されるGMP[18F]NaFの形態のもの。
放射性医薬品用途に好適な[18F]フッ化物の製造は当該分野においてよく知られており、Hjelstuenら[Eur.J,Pharm.Biopharm.,78(3),307〜313(2011)]及びJacobsonら[Curr.Top.Med.Chem.,10(11),1048〜1059(2010)]によって改めて検討されている。[18F]NaFは第6の態様(下記)に記載するような「自動合成器」を用いて製造できる。
「好適な溶媒」には次のものが含まれる:アセトニトリル、C1-4アルキルアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン又はジメチルスルホキシド、或いはそのいずれかの水性混合物、或いは水。水性緩衝剤は4から8、より好ましくは5から7のpH範囲で使用できる。好ましい溶媒は本質的に水性であり、より好ましくは第4の態様(下記)に記載するような生体適合性の担体溶媒である。
19F担体(使用する場合)は次に示す形態でありうる。
(a)アルカリ金属塩(例えばNaF、KF、CsF等)、
(b)「非金属の対イオン」(例えば[R4N]F、ただしR=アルキル基)の存在下では[Ar4P]F;[Ar3S]F
又は、
(c)金属クリプタンドの対イオン。例:[K(クリプトフィックス2.2.2)]F、[Na(クリプトフィックス2.2.2)]F、[N(18−クラウン−6)]F、等。
第2の態様の金属錯体前駆体は、好ましくは次の式IIIで表されるものである。
式中、X1aは、独立にBr又はClであり、j及びkは、式Iに関して記載したものと同様である。
式IIIにおけるM、Z1、Y、Q及びpの好ましい実施形態は第1の態様(上記)において定義したものと同様である。式IIIの前駆体ではX1a=Clであることが好ましい。イメージング剤が第5の態様(下記)に記載するような医薬組成物の形態で調製しやすくなるよう、前駆体は好ましくは滅菌形態で提供される。
第2の態様に使用される前駆体は、第4の態様(下記)に記載のようにして得ることができる。
第3の態様において、本発明は式IIのキレート剤を提供する。
式中、Z1、D1、Y、Q、j及びpは第1の態様において定義したものと同様である。
第3の態様におけるZ1、D1、Y、Q、j及びpの好ましい実施形態は第1の態様において定義したものと同様である。特に、キレート剤は好ましくは式Za、Zb、Zc又はZaaで表され、その好ましい実施形態は上述した通りである。式IIのキレート剤には単一のQ基が連結されている。
第3の態様のキレート剤は第4の態様(下記)に記載のようにして得ることができる。
第4の態様において、本発明は第3の態様の式IIで表されるキレート剤の金属錯体を提供する。ただし、金属はAl3+、Ga3+、In3+、Sc3+、Y3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+又はLu3+である。
第4の態様におけるキレート剤の好ましい態様は、第1及び第3の態様(上記)に記載したものと同様である。
第4の態様の金属錯体の金属は放射性でも非放射性でもよい。金属が放射性の場合、好適な放射性金属同位体として67Ga、68Ga及び111In等が挙げられる。第4の態様の金属錯体の金属は好ましくは非放射性である。金属錯体は、より好ましくは第2の態様(上記)に記載するような式IIIの前駆体である。式IIIの前駆体のQ基は好ましくは、3〜100残基ペプチド、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又は受容体結合化合物から選択されるBTMを含む。
式IIIの前駆体の好ましい態様は、本発明の第2の態様(上記)において記載したものと同様である。第4の態様におけるQ基及びBTMの好ましい態様は、本発明の第1の態様(上記)において記載したものと同様である。前駆体は好ましくは以下に定義する「哺乳類への投与に適した形態で」あり、さらに好ましくは凍結乾燥した状態にある。
前駆体の好ましい調製方法は、第2の態様に記載した式IIのキレート剤を用いた金属錯体の形成による。キレート剤は諸文献の方法並びにそれを改変した方法によって調製することができる。前駆体は二官能性キレートの手法によって得ることができる。「二官能性キレート」の語は従来の意味を有し、ペンダント官能基が共有結合しているキレート剤を指す。官能基はキレート剤をBTMに付加する反応部位として用いられる。二官能性キレートの手法及び対応する合成物についてはBartholomaら[Chem.Rev.,110(5),2903〜2920(2010)];Chakrabortyら[Curr.Top.Med.Chem.,10(11),1113〜1134(2010)];及びBrechbielら[Quart.J.Nucl.Med.Mol.Imaging,52(2),166〜173(2008)]に記載されている。本発明の官能基は好ましくはアミン、カルボン酸又は活性化エステル、より好ましくは一級アミン又は活性化エステルである。ペンダントアミン官能基を有する二官能性キレート剤はBTMのカルボキシル基に連結できる。カルボキシル基又は活性化エステル官能基を有する二官能性キレート剤はBTMのアミン基に連結できる。
ガリウム(III)錯体の調製に際して、標識作業におけるガリウム(III)発生源として無水GaCl3を用いることは難度が高い。なぜならこの化合物は加水分解の影響を受けやすいため、標識作業に必要な微少量を量り取り、かつ操作することが困難だからである。好ましいガリウム(III)発生源はGa(NO33・nH2Oである(シグマ−アルドリッチから販売されている)。この塩の組成は九水和物であることが判明している。Ga(NO33・nH2Oは水性媒体(pHが約3)に可溶かつそのような媒体中で安定である。このことは、少量の塩を供給し、その後、それを水性溶液もしくは緩衝溶液中に希釈して劣化のリスクなく所望濃度にできるという利点を有する。さらなる利点は、硝酸アニオンが放射性標識条件下で容易にフッ化物に交換できることである。最後に、希HNO3中のGa(NO33はヘキサアクア型の化学種[Ga(H2O)63+を形成する。これは71Ga NMRスペクトロスコピー(δ=0)に用いられる参照基準である。これは反応の進行を71Ga NMRを用いて追跡できるというさらなる利点を有している。
「活性化エステル」又は「活性エステル」の語は、脱離基として向上するように(言い換えると、アミン等の求核種とより容易に反応できるように)設計されている、対応するカルボン酸のエステル誘導体を意味する。好適な活性エステルの例として次のものが挙げられる:N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS);スルホスクシンイミジルエステル;ペンタフルオロフェノール;ペンタフルオロチオフェノール;para−ニトロフェノール;ヒドロキシベンゾトリアゾール;及びPyBOP(すなわち、ヘキサフルオロりん酸ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウム)。好ましい活性エステルはN−ヒドロキシスクシンイミドもしくはペンタフルオロフェノールエステル類、特にN−ヒドロキシスクシンイミドエステル類である。
カルボキシル官能基を有する二官能性キレート剤がBTMのアミン基に連結されている場合は活性化剤が用いられる。「活性化剤」の語は、アミドの生成のためにアミンとカルボン酸の結合を促進するのに用いられる試薬を意味する。好適なかかる活性化剤は当該分野において知られており、EDC[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド]等のカルボジイミド類及びジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミド等のN,N′−ジアルキルカルボジイミド類;並びにHBTU[ヘキサフルオロりん酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウム]、HATU[ヘキサフルオロりん酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウム]及びPyBOP[ヘキサフルオロりん酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ]トリピロリジノホスホニウム]等のトリアゾール類などが挙げられる。かかる活性化剤は市販されている。さらなる詳細は『March’s Advanced Organic Chemistry』(第5版)の508〜510ページ[Wiley Interscience(2001)]に記載されている。好ましいかかる活性化剤はEDCである。
aタイプのキレート剤−BTMコンジュゲートは、McBrideら[Bioconj.Chem.,21(7),1331〜1340(2010);Bioconj.Chem.,22,1793〜1803(2011);及びAppl.Rad.Isot.,70,200〜204(2012)]に類似の化学過程を用いて調製できる。以下はその一例である。
出発材料の1,4−ジメチル−tacnは、Wieghardtら[Inorg.Synth.,32,75−81(1998);Z.Anorg.Allg.Chem.,608,60〜68(1992)]の方法によって得ることができる。tacn及びMe3−tacnは市販されている。Me3−tacnはWieghardtら[Inorg.Chem.,21,3086(1982)]の方法でも得ることができる。N−官能化tacnキレート剤は、Martinら[J.Org.Chem.,47,412(1982)]又はMahapatraら[J.Am.Chem.Soc.,118,11555(1996)]の方法によって得ることができる。主鎖を官能化したtacnキレート剤はKuppersら[Inorg.Chem.,25,2400(1986)]に記載されている。
McBrideら[Bioconj.Chem.,21(7),1331・1340(2010)]には、ペプチドが連結した下記のキレート剤IMP461が記載されている。
「保護基」の語は、望ましくない化学反応を阻害もしくは抑止する一方で、分子の残り部分が変更されない十分に穏やかな条件下で対象の官能基から解離しうる程度に十分な反応性を有するように設計されている基、を意味する。脱保護後に所望生成物が得られる。アミン保護基は当業者によく知られており、以下のものから好適に選択される:Boc基(ここに、Bocはtert−ブチルオキシカルボニルである)、Fmoc基(ここに、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニルである)、トリフルオロアセチル基、アリルオキシカルボニル基、Dde[すなわち、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル]基又はNpys(すなわち、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)基。好適なチオール保護基は、Trt(トリチル)基、Acm(アセトアミドメチル)基、t−Bu(tert−ブチル)基、tert−ブチルチオ基、メトキシベンジル基、メチルベンジル基、Npys(3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル)基である。これ以外の保護基の使用については『Protective Groups in Organic Synthesis』(第4版)Theorodora W.GreeneとPeter G.M.Wuts[Wiley Blackwell(2006)]に記載されている。好ましいピロール保護基はBocとFmoc、さらに好ましくはBocである。
アミド官能化キレート剤は表1及び裏付けとなる実施例に記載している。ピロール官能化キレート剤はスキーム1に記載のようにして調製できる。
〔スキーム1〕
式中、R1は独立にC1-4アルキル基、C2-4アルコキシアルキル基又はC1-4ヒドロキシアルキル基であり、
Gpは保護基である。
アルキル化されたピロールアルデヒドである3,5−ジメチル−4−エチル−ピロール−2−カルボキシアルデヒドは市販されている(シグマ−アルドリッチ)。3,4,5−トリメチルピロール−2−カルボキシアルデヒド、3,5−ジメチル−4−エチル−ピロール−2−カルボキシアルデヒド及び4,5−ジメチル−3−エチル−ピロール−2−カルボキシアルデヒドはClezyら[Aust.J.Chem.,42,775〜786(1989)]に記載のようにして調製できる。ピロールアルデヒドとtacnとの縮合は、1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロール−2−カルボキシアルデヒドに対するDaviesら[J.Org.Chem.,61,2305〜2313(1996)]の方法によって最初にピロールを保護化した後、還元的アミノ化[『March’s Advanced Organic Chemistry』(第5版)の1187〜1189ページ,Wiley Interscience(2001)]を行うことによって実施できる。脱保護化は、GreeneとWuts(上掲)に記載されるような標準的方法によって実施される。代替的なN−官能化tacn出発材料を用いて1又は2つのピロール置換基が付加される系に対して、スキーム1の合成を容易に応用することができる。
第5の態様において、本発明は、生体適合性担体とともに第1の態様のイメージング剤を哺乳類への投与に適した形態で含む放射性医薬組成物を提供する。
第5の態様におけるイメージング剤の好ましい態様は、本発明の第1の態様(上記)において記載したものと同様である。
「哺乳類への投与に適した形態で」という語句は、無菌かつパイロジェンフリーの、毒性もしくは悪影響を生じる化合物を含まず、かつ生体適合性のpH(ほぼpH4.0〜10.5)にて処方される組成物を意味する。かかる組成物は、生体内に塞栓を生じる恐れのある粒子を含まず、しかも生体液(例えば血液)と接触しても沈降反応が生じないように処方される。かかる組成物はまた、生物学的に適合性のある賦形剤のみを含み、好ましくは等浸透圧である。
「生体適合性担体」は、組成物が生理学的に受容できる(physiologically tolerable)ように、すなわち毒性もしくは過度の不快感をもたらすことなく哺乳類の体に投与可能なように、イメージング剤を懸濁又は好ましくは溶解できる流体(特に液体)である。生体適合性担体は、好適には、無菌かつパイロジェンフリーの注射用水等の、注射可能なキャリア液;食塩水(注射用の最終生成物が等張となるように都合よくバランスを調整しうる)等の水溶液;生体適合性の緩衝剤(例えばリン酸塩緩衝液)を含む緩衝水溶液;1種類以上の浸透圧調整物質(例えば、血漿カチオンと生体適合性の対イオンとの塩)、糖類(例えばグルコース又はスクロース)、糖アルコール類(例えばソルビトール又はマンニトール)、グリコール類(例えばグリセリン)又はその他の非イオン性多価アルコール物質(例えば、ポリエチレングリコール類、プロピレングリコール類、等)の水溶液である。生体適合性担体は好ましくはパイロジェンフリーの注射用水、等張食塩水又はリン酸塩緩衝液である。
イメージング剤及び生体適合性担体はそれぞれ、無菌保全性及び/又は放射能安全性の維持、並びに場合によっては不活性ヘッドスペースガス(例えば、窒素又はアルゴン)の維持、が可能でありながら、シリンジもしくはカニューレによる溶液の添加及び吸引が可能な密封容器を備えた、好適なバイアルもしくはベッセルに入れて供給される。好ましいかかる容器はセプタムシールバイアルであって、気密クロージャをオーバーシール(一般にアルミニウム製)で圧着したものである。このクロージャは、無菌保全性を維持しながら1回もしくは複数回の注射針穿刺を行うのに好適である(例えば、圧着されたセプタムシールクロージャ)。かかる容器は、所望時に(例えば、ヘッドスペースガスの変更又は溶液の脱気のために)クロージャが真空に耐えることができ、かつ酸素や水蒸気などの外部大気ガスが流入できない状態で減圧などの圧力変化に耐えられるという、さらなる利点を有する。
好ましい多回投与容器には、複数患者投与量を含有する単一バルクバイアル等が挙げられる。これにより、製剤の有効寿命中に、単一患者投与量を臨床状況に合わせて様々な時間間隔で臨床グレードのシリンジ内に吸引することができる。プレフィルドシリンジはヒトへの1回の投与量、すなわち「単位投与量」を含有するように設計されており、したがって好ましくは臨床使用に好適な使い捨て又はその他のシリンジである。本発明の医薬組成物は好ましくは単一患者に好適な投与量を有し、上記のような好適なシリンジもしくは容器に入れて提供される。
医薬組成物は次のような任意選択の追加的賦形剤を含有しうる:抗菌性防腐剤、pH調整剤、充・剤、放射線防護剤、可溶化剤又はオスモル濃度調整剤。「放射線防護剤」の語は、水の放射線分解によって生じる酸素含有フリーラジカル等、反応性の高いフリーラジカルを捕捉することによって酸化還元過程等の劣化反応を阻害する化合物を意味する。本発明の放射線防護剤は次のものから好適に選択される:アスコルビン酸、para−アミノ安息香酸(すなわち、4−アミノ安息香酸)、ゲンチシン酸(すなわち、2,5−ジヒドロキシ安息香酸)及びそれらと生体適合性カチオンとの塩。「生体適合性カチオン」(Bc)の語は、イオン化して負電荷を有する基とともに塩を形成する、正電荷の対イオンを意味する。ここで正電荷の対イオンはさらに無毒であり、それゆえ哺乳類の体、特に人体への投与に好適である。好適な生体適合性カチオンの例として、アルカリ金属のナトリウムとカリウム;アルカリ土類金属のカルシウムとマグネシウム;及びアンモニウムイオン等が挙げられる。好ましい生体適合性カチオンはナトリウムとカリウム、さらに好ましくはナトリウムである。
「可溶化剤」の語は、組成物中に存在し、溶媒中のイメージング剤の溶解度を高める添加剤を意味する。好ましいかかる溶媒は水性媒体であり、したがって可溶化剤は好ましくは水溶性を向上させる。好適なかかる可溶化剤は次に示すものを含む:C1-4アルコール類;グリセリン;ポリエチレングリコール(PEG);プロピレングリコール;モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン;モノオレイン酸ソルビタン;ポリソルベート;ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体(Pluronics(商標));シクロデキストリン類(例えば、α、β、もしくはγ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン又はヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン);及びレシチン。
「抗菌性防腐剤」の語は、バクテリア、酵母菌又は糸状菌等、潜在的に有害な微生物の成長を阻害する薬剤を意味する。抗菌性防腐剤は使用する投与量によっては何らかの殺菌特性をも示すことがある。本発明の抗菌性防腐剤の主な役割は、医薬組成物中のあらゆるかかる微生物の成長を阻害することである。しかし、上記組成物の調製に用いるキットの1つ以上の成分において潜在的に有害な微生物の成長を投与前に阻害するために抗菌性防腐剤を任意選択で用いてもよい。好適な抗菌性防腐剤の例として次に示すものが挙げられる:パラベン類、すなわちメチル、エチル、プロピル又はブチルパラベン又はその混合物;ベンジルアルコール;フェノール:クレゾール;セトリミド;及びチオマーサル。好ましい抗菌性防腐剤はパラベン類である。
「pH調整剤」の語は、ヒトもしくは哺乳類への投与に対して組成物のpHを許容限界値の範囲内(ほぼpH4.0〜10.5)に確実に収めるにあたって有用な化合物もしくは化合物の混合物を意味する。好適なかかるpH調整剤として、トリシン、ホスフェート又はTRIS[すなわち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]等の薬学的に許容される緩衝剤及び炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム又はその混合物等の薬学的に許容される塩基、等が挙げられる。
「充・剤」の語は、製剤及び凍結乾燥時のマテリアルハンドリングを容易にしうる、薬学的に許容される増量剤を意味する。好適な充・剤として、塩化ナトリウム等の無機塩、並びにスクロース、マルトース、マンニトール又はトレハロース等の水溶性の糖類もしくは糖アルコール類等が挙げられる。
第5の態様の放射性医薬組成物は、所望の無菌かつ非発熱性の生成物を得るために無菌製造(すなわちクリーンルーム)の条件下で調製されうる。主要成分、特に関連する試薬並びに装置のうちイメージング剤に触れる部分(例えばバイアル)は無菌であることが好ましい。成分及び試薬は当該分野で知られている方法で滅菌することができる。これには次のものが挙げられる:滅菌濾過、並びに例えばガンマ線照射、オートクレーブ滅菌、乾燥加熱又は化学処理(例えば酸化エチレンを使用)を用いた最終滅菌法。いくつかの成分を事前に滅菌し、最小数の操作だけを行えばいいようにすることが好ましい。ただし、安全対策として、医薬組成物の調製における最終工程として少なくとも滅菌濾過工程を含めることが好ましい。
本発明の放射性医薬組成物は、以下に示す様々な方法によって調製しうる。
(i)クリーンルーム環境中で18F放射性標識工程を実施する無菌製造法、
(ii)無菌製造を行わずに18F放射性標識を実施した後、最後の工程で滅菌する最終滅菌法[例えば、ガンマ線照射、オートクレーブ乾燥加熱又は化学処理(例えば酸化エチレンを使用)]、
(iii)自動合成装置を用いて18F放射性標識工程を実施する無菌製造法。
方法(iii)が好ましい。これについては第6の態様(下記)でより詳しく説明する。
第6の態様において、本発明は第5の態様の放射性医薬組成物の調製方法を提供する。この方法は、第2の態様の調製方法を自動合成装置を用いて実施する工程を含む。
第6の態様におけるイメージング剤、前駆体及び組成物の好ましい態様は、本発明の第1、第2と第4及び第5の態様においてそれぞれ記載したものと同様である。
「自動合成器」の語は、Satyamurthyら[Clin.Positr.Imag.,2(5),233〜253(1999)]が記載する単位操作の原理に基づいた自動化モジュールを意味する。「単位操作」の語は、複雑な処理が、ある範囲の物質に適用可能な一続きの単純な操作もしくは反応に還元されることを意味する。かかる自動合成器は本発明の方法、特に放射性医薬組成物が望ましい場合において好ましい。かかる自動合成器はいくつかのサプライアから市販されている[Satyamurthyら、上掲]。サプライアには次のものが含まれる:GEヘルスケア;CTI Inc;イオンビームアプリケーションズS.A.(Chemin du Cyclotron 3,B−1348 Louvain−La−Neuve,ベルギー);レイテスト(ドイツ);及びBioscan(米国)。
商用の自動合成器は、放射性医薬品の調製に伴って生じる放射性廃液用の好適な容器をも提供する。一般に自動合成器は放射線遮蔽を備えていない。これは、それが好適に構成された放射性作業セル内で利用するように設計されていることによる。放射性作業セルは潜在的な放射線量から作業者を防護する好適な放射線遮蔽を提供するほか、薬品蒸気及び/又は放射性蒸気を排出する換気機能も提供する。自動合成器は好ましくはカセットを備えている。
「カセット」の語は、自動合成装置(上で定義したもの)に脱着可能かつ交換可能な形でフィットし、合成器の可動部の機械的運動がカセットの動作をカセット外部から(すなわち外部的に)制御するように設計された1個の装置を意味する。好適なカセットは直線的に配列された弁を備え、それぞれの弁は、逆さにしたセプタムシールバイアルの針穿刺又は気密な連結ジョイントのいずれかによってポートにリンクする。ポートには試薬又はバイアルが取り付け可能である。それぞれの弁は、自動合成器の対応する可動アームとインタフェースするオス・メス型ジョイントを有する。それにより、カセットを自動合成器に取り付けた場合に、アームの外部回転が弁の開閉を制御する。自動合成器の追加的可動部はシリンジのプランジャの先端にクリップ留めされ、それによってシリンジバレルを引き上げる又は押し下げるように設計されている。
カセットは汎用性を有し、一般には試薬容器を取り付けられるいくつかの位置と、試薬のシリンジバイアル或いはクロマトグラフィー用カートリッジ(例えば固相抽出すなわちSPE)の取り付けに好適ないくつかの位置を有する。カセットは反応ベッセルを必ず備えている。かかる反応ベッセルは、好ましくは容積が1〜10cm3、さらに好ましくは2〜5cm3であり、またカセットの3つ以上のポートが接続されることによって試薬又は溶媒がカセットの様々なポートから輸送できるように構成される。カセットは好ましくは15個から40個の弁、さらに好ましくは20個から30個の弁(25個が特に好ましい)が直線状に配列される。カセットの弁は好ましくはそれそれが同じであり、さらに好ましくは三方弁である。カセットは、放射性医薬品の製造に好適なように設計され、したがって医薬品グレードで、かつ理想的には放射線分解への耐性をも有する原料から製造される。
本発明の好ましい自動合成器は使い捨て、すなわち単回使用のカセットを備え、そのカセットは、所与のバッチの放射性フッ素化型放射性医薬品の調製を行うのに必要な、すべての試薬、反応ベッセル及び装置を備えている。カセットは、カセットをただ交換するだけで、自動合成器が多様な異なる放射性医薬品を最小限の交差感染リスクで作製可能という柔軟性を有することを意味する。カセットの手法はまた次のような利点をも有する。簡単なセットアップ及びそれによる作業者ミスのリスクの低減;GMP(医薬品製造品質管理基準:Good Manufacturing Practice)の順守向上;マルチトレーサ機能;生産運転(production run)間の迅速な交換;カセット及び試薬の運転前自動診断チェック;化学試薬と実施する合成との間の自動バーコードクロスチェック;試薬のトレーサビリティ;単回使用による交差感染リスクの排除、不正改変及び悪用の回避。
本発明のこの態様には、第2の態様の放射性医薬組成物の調製に自動合成装置を使用することが含まれる。
本発明のこの態様には、第2の態様の放射性医薬組成物の調製に、自動合成装置とともに好適なカセットを使用することが含まれる。
第6の態様において、前駆体は好ましくは滅菌凍結乾燥形態で供給される。凍結乾燥された前駆体は、医薬品グレードの容器、好ましくは第5の態様(上記)において記載したものと同様のセプタムシールバイアル、に入れた非放射性キットとして提供されることが好ましい。
第7の態様において、本発明はヒト又は動物の身体のイメージング方法を提供する。この方法は、第1の態様のイメージング剤もしくは第5の態様の組成物が分散した身体の少なくとも一部の画像をPETを用いて生成する工程を含み、イメージング剤又は組成物が身体に予め投与されている。
第6の態様におけるイメージング剤又は組成物の好ましい態様は本発明の第1及び第5の態様(上記)にそれぞれ記載したものと同様である。
本発明には、第6の態様のイメージング方法を含む、ヒト又は動物の体の診断方法も含まれる。

Claims (20)

  1. 次の式Iの18F標識化合物を含むイメージング剤。
    式中、
    1は、X1の少なくとも1つが18Fであることを条件として、独立にBr、Cl、19F又は18Fであり、
    MはAl3+、Ga3+、In3+、Sc3+、Y3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+又はLu3+であり、
    1は3つのアミン供与体と1又は2つのD1基との供与体群を有するキレート剤であり、3つのアミン供与体とD1の供与体原子がすべてMと結合し、Z1は1以上のY基と、任意にはそれと共有結合するQ基を有しており、
    Yは独立に−(A1x−Y1又は−(A1x−Y1−Qであり、
    1は各々独立に式−(A2p−Dの基であって、Dは−CO2H、−OH、−SH、−PO32又はC2-8含窒素ヘテロアリール基から選択される金属配位の配位基であり、
    Y及びD1のいずれも−O−O−結合を含まないことを条件として、A1は各々独立に−CH2−又は−O−であり、A2は各々独立にA1基又は−C64−であり、
    1は−NHRa、−NH(CH22NHRa、−NH(CH23NHRa、−(C=O)NHRa、−NH(C=O)Ra、−NH(C=NH)NHRa、−ORa、Y2基又はY3基であり、
    2は以下のいずれかであり、
    3はArg、Lys、Asn、Gln、Ser、Thr又はTyrであり、
    aは独立にH、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C2-4アルコキシアルキル基又はC1-4ヒドロキシアルキル基であり、
    1は各々独立にC1-4アルキル基、C2-4アルコキシアルキル基又はC1-4ヒドロキシアルキル基であり、
    2は独立にH、C1-4アルキル基又はSi(C1-4アルキル)3であり、
    jは0又は1であり、
    kは(2−j)であり、
    pは各々独立に1、2又は3であり、
    xは1〜6の整数であり、
    Qは−L−[BTM]であり、
    Lは式−(A)m−の合成リンカー基であり、式中、Aは各々独立に−CR2−、−CR=CR−、−C≡C−、−CR2CO2−、−CO2CR2−、−NRCO−、−CONR−、−CR=N−O−、−NR(C=O)NR−、−NR(C=S)NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CR2OCR2−、−CR2SCR2−、−CR2NRCR2−、C4-8シクロヘテロアルキレン基、C4-8シクロアルキレン基、−Ar−、−NR−Ar−、−O−Ar−、−Ar−(CO)−、アミノ酸、糖、単分散ポリエチレングリコール(PEG)構成ブロックであり、
    RはH、C1-4アルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C2-4アルコキシアルキル基又はC1-4ヒドロキシアルキル基から各々独立に選択され、
    mは1〜20の整数であり、
    Arは各々独立にC5-12アリーレン基又はC3-12ヘテロアリーレン基であり、
    BTMは生体ターゲティング部分である。
  2. 各Y基がZ1上の異なるアミン供与体原子と共有結合する、請求項1記載のイメージング剤。
  3. 1が以下の式Za、Zb又はZcのものである、請求項1又は請求項2記載のイメージング剤。
    式中、
    3は各々独立にH、C1-4アルキル基、C2-4アルコキシアルキル基、C1-4ヒドロキシアルキル基、D1基、Y基又はQ基であり、
    fは各々独立に1又は2である。
  4. aが以下の式Zaa又はZabである、請求項3記載のイメージング剤。
    式中、D1、Q、Y、A1、Y1及びxは式Iに対して定義した通りである。
  5. MがGa3+又はIn3+である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のイメージング剤。
  6. 1が各々独立にCl、19F又は18Fである、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のイメージング剤。
  7. BTMが単一アミノ酸、3〜100残基ペプチド、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又は受容体結合化合物から選択される、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載のイメージング剤。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のイメージング剤の調製方法であって、適当な溶媒中、適宜[19F]フッ化物の存在下で、前駆体と[18F]フッ化物の供給物又は[18F]NaFとの反応を含む、前駆体が式IIのキレート剤の金属錯体を含んでいて、金属がAl3+、Ga3+、In3+、Sc3+、Y3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+又はLu3+から選択される、方法。
    式中、Z1、D1、Y、Q、j及びpは請求項1乃至請求項5のいずれか1項で定義した通りである。
  9. 前駆体が式IIIのものである、請求項8記載の方法。
    式中、X1aは独立にBr又はClである。
  10. 1が請求項3で定義した式Za、Zb又はZc、或いは請求項4で定義した式Zaa又は式Zabである、請求項8又は請求項9記載の方法。
  11. 1a=Clである、請求項9又は請求項10記載の方法。
  12. 式II:
    (式中、Z1、D1、Y、Q、j及びpは請求項1乃至請求項4のいずれか1項で定義した通りである)
    で表されるキレート剤。
  13. 請求項12で定義した式IIのキレート剤の金属錯体であって、金属がAl3+、Ga3+、In3+、Sc3+、Y3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+又はLu3+である、金属錯体。
  14. 請求項9乃至請求項11のいずれか1項で定義した式IIIの前駆体である、請求項13記載の金属錯体。
  15. 式IIIの前駆体におけるQが、3〜100残基ペプチド、酵素基質、酵素アンタゴニスト、酵素アゴニスト、酵素阻害剤又は受容体結合化合物から選択されるBTMを含む、請求項14記載の金属錯体。
  16. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のイメージング剤を生体適合性担体と共に哺乳類への投与に適した形態で含む、放射性医薬組成物。
  17. 請求項8乃至請求項11のいずれか1項記載の方法を自動合成装置を用いて実施する工程を含む、請求項16記載の放射性医薬組成物の調製方法。
  18. 自動合成装置が、請求項8乃至請求項11のいずれか1項記載の方法を実施するのに必要な非放射性試薬を含むカセットを含む、請求項17記載の方法。
  19. 前駆体が滅菌凍結乾燥形態で供給される、請求項17又は請求項18記載の方法。
  20. ヒト又は動物の身体のイメージング方法であって、請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のイメージング剤又は請求項16記載の組成物が分散した身体の少なくとも一部の画像をPETを用いて生成する工程を含み、イメージング剤又は組成物が身体に予め投与されている、方法。
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