JP2016518396A - Nsclcの有効な治療及び治療に対する腫瘍反応性の予測臨床マーカー - Google Patents

Nsclcの有効な治療及び治療に対する腫瘍反応性の予測臨床マーカー Download PDF

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Abstract

本発明はNSCLC患者の腫瘍に対する有利な治療、及び、NSCLC患者の腫瘍反応性の予測変数として有用な臨床マーカーに関する。更に本発明は、所定の治療に反応しやすい患者の選択方法であって、任意で特定の臨床マーカーの使用を含んでいてもよい選択方法に関する。更に本発明は、NSCLC患者の疾病の進行の遅延及び/又はNSCLC患者の生存を延長する方法であって、特定の臨床マーカーの使用を含む方法に関する。

Description

発明の詳細な説明
本発明は、医学分野に関するもので、特には非小細胞肺癌(NSCLC)の治療、並びに、治療に対するNSCLC腫瘍の反応性の予測変数として有用な臨床指標(今後臨床マーカーとする)に関する。また、本発明は、NSCLを患う対象に対する個別治療のデザイン方法、並びに、所定の療法に反応しやすい患者の選択方法に関するものである。
より具体的には、本発明は、NSCLC患者のサブグループの腫瘍に対して効力があり有利な治療と、この治療の対象となるNSCLC患者における腫瘍の反応性の予測変数として有用な臨床マーカーに関するものであり、該治療が、血管内皮細胞増殖因子阻害剤又は血管内皮細胞増殖因子受容体阻害剤による治療であって、より具体的には、化合物3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン又はこの化合物の医薬的に許容できる塩、とりわけモノエタンスルホネート塩での治療で、これを単独で使用するか、或は、更なる医薬有効成分及び/又は更なる治療と別個に、同時に又は順次に組み合わせて使用する。
(略語)
Alk 未分化リンパ腫リン酸化酵素
bid 1日2回投与
CI 信頼区間
CT コンピュータ断層撮影
ECOG 米国東海岸癌臨床試験グループ
EGFR 上皮細胞増殖因子受容体
EMA 欧州医薬品庁
FDA 米国食品医薬品局
H0 帰無仮説
HR ハザード比
INN 国際一般名称
iv 静脈投与
NSCLC 非小細胞肺癌
OS 全生存期間
p ボンフェローニの統計法による多重性調整p値
PFS 無増悪生存期間
po 経口投与
q21d 21日ごとの投与
VEGF 血管内皮細胞増殖因子
VEGFR 血管内皮細胞増殖因子受容体
(発明の背景)
原因限定治療か補助療法としての使用の如何に拘わらず、化学療法を用いた規定の癌管理は非化学療法の群と比較すると、患者の絶対的生存率が向上している。しかしながら、利用可能なすべての化学療法治療がすべての患者に適しているわけではない。癌患者における化学療法薬の有効性は、例えば、特定の遺伝子腫瘍マーカーがあること等、いくつかの要因が影響すると考えられる。この他、治療前、治療中又は治療後に監視する疾病の進行マーカー等も同様に関連する要因である。患者の腫瘍が化学療法治療に反応する見込みが低い場合、化学療法は完全になしにするか、或は、不要な治療による副作用を避けて代わりの治療を受けることになる。
そのため、特に肺癌、結腸直腸癌、メラノーマ、膵臓癌、前立腺癌、膠芽腫、膀胱癌、卵巣癌、肝胆汁性癌、腎細胞癌、乳癌、頭頸部癌、リンパ腫等の癌では、疾病治療に対する個別化アプローチの必要性がある。
肺癌は世界的に主要な死因の1つとなっている。肺の悪性腫瘍に属する肺癌には2つの大きなグループがある。即ち、小細胞肺癌(SCLC)と非小細胞肺癌(NSCLC)である。現在のところ、この分類は腫瘍の組織構造を基に、光学顕微鏡検査での観察と免疫組織化学アッセイで補足した細胞及び組織の細胞レベル以下の細部により決定される。NSCLCはすべての肺癌の約70%〜80%を占め、毎年世界で1200万の新規症例が診断されている。
NSCLCには、主として3つの組織構造サブタイプがある。このNSCLCのサブタイプにおいて、腫瘍細胞の大きさ、形状及び免疫組織化学的構造が異なる。
扁平上皮癌又は類表皮癌がNSCLCの第1のサブタイプである。すべての肺癌の約25〜30%が扁平上皮癌である。この癌は、扁平上皮細胞という肺の中の気道内側に一列に並んでいる扁平な細胞の初期変形で発症する。この癌は喫煙歴と関係していることが多く、肺の中央部、気管支近くに見られる傾向がある。
腺癌がNSCLCの第2のサブタイプである。すべての肺癌の約40%が腺癌である。腺癌は、通常は粘液等の物質を分泌する細胞の初期変形で発症する。このタイプの肺癌は、喫煙しているか喫煙歴のある人達に主に発症するが、非喫煙者にも見られる最も一般的な肺癌のタイプでもある。腺癌は男性よりも女性に多く、他のタイプの肺癌に比べて若年層に起きやすい。腺癌は肺の外側領域に見られるのが一般的である。扁平上皮癌に比べて成長が速い傾向があり、肺から外に広がる前に診断されやすい。このサブタイプは非扁平上皮癌に属する。
大細胞癌がNSCLCの第3のサブタイプになる。すべての肺癌の約10〜20%が大細胞癌である。大細胞癌は、顕微鏡で検査した際に大きな円形の細胞が出現していることから名づけられているが、腫瘍自体は診断時にも大きくなる傾向がある。大細胞癌は、肺の外側領域に発生することが多く、他の非小細胞肺癌よりも成長が速く、広がり方も速い。大細胞癌は成長が速く、早い段階で転移する傾向があり、喫煙との関連が強い。
更なるNSCLCのサブタイプは未分化の癌腫である。顕微鏡検査では扁平上皮癌、腺癌又は大細胞癌に同定できない腫瘍が含まれる。このタイプの癌は全肺癌の約10〜15%を占める。これは、肺のいずれの部位にも出現する可能性がある。成長も広がりも速い傾向があるため、治療がより困難になる。
肺癌は、疾病初期段階では無症候性の傾向がある。その結果、診断時には大半の腫瘍が明らかに転移している(ステージIIIB、IV)か、ひそかに転移している。腫瘍が切除可能で局部にとどまっている(ステージI〜IIIA)とみなされるのは患者の約20%である。診断時には略進行ステージであり、かつ、現在利用可能な抗癌剤に対して相対的に耐性があることから死亡率が高く、5年生存率は10%と15%の間が一般的である。
NSCLCの年間死者数は2001年に全世界で100万人を超え、2011年の米国でのNSCLCによる年間死者数は30万人を超え、男性も女性も癌に関連した死亡数の主要な原因となっている(男性は31%、女性は25%)。進行したNSCLCの回復の見込みは厳しい。
NSCLCは治療が困難な疾病であり、生存期間が概して短い。進行した非扁平上皮癌のNSCLC患者の約80%が、ファーストライン治療としてプラチナ製剤を主体とした併用レジメンで治療中であり、その結果、無増悪生存期間(PFS)中央値は約7箇月、全生存期間(OS)中央値は約13箇月である。
非扁平上皮癌患者のわずか20%の部分母集団(subpopulation)が、内在的に活性型EGFR遺伝子変異かAlk遺伝子転座の腫瘍を有し、EGFR-(エルロチニブ、ゲフィチニブ)又はAlk-阻害剤(クリゾチニブ)の単剤療法で治療しているところであり、その結果、この患者群のPFS中央値は約20箇月であるが、OSの向上は見られない。
近年、ファーストライン治療でプラチナ製剤を主体とした併用レジメンを4〜6サイクル行った後に少なくとも安定している患者の場合、治療代替案の一つとして維持という考え方が導入されてきている。この患者等は、腫瘍の安定状態を出来るだけ長く維持するためにペメトレキセド、ゲフィチニブ又はエルロチニブで治療することができる。
これに対し、ファーストライン治療のプラチナ製剤併用レジメンの最中に腫瘍が進行した(難治性腫瘍)、又は前記レジメン終了直後に腫瘍が進行した(耐性がある腫瘍)患者や、維持という考え方が適さない患者には、利用可能で実際に有効な治療がないのである。このような患者には、腫瘍の進行が認められた後、ドセタキセル、ペメトレキセド又はエルロチニブで一時的な緩和治療を行っている。卵巣癌は、プラチナ不応性又はプラチナ抵抗性のある患者が認められた疾病モデルである。ファーストライン治療のプラチナ製剤主体の併用レジメン終了後から6箇月以内に腫瘍が進行した患者をプラチナ耐性患者と呼ぶ。この患者群は、ファーストライン治療においてはPFS及びOSの中央値が短く、その後のセカンドライン治療にはプラチナはいれない。しかしながら、この治療方針は非扁平上皮性NSCLC患者の治療に勧められてこなかったが、大半の患者はファーストライン治療でプラチナ製剤主体の併用療法を受けている。
今までのところ、ファーストライン治療のプラチナ不応な非扁平上皮性NSCLC患者群における第III相試験のみが、FDA及びEMAへの承認後のコミットメントとして行われている。この国際的な多施設オープンラベルの第III相試験(TITAN試験として知られている)では、ファーストライン治療のプラチナ製剤を含む二剤化学療法で急速に進行した後のNSCLCのセカンドライン治療として、化学療法(ドセタキセル又はペメトレキセド)に対するエルロチニブの有効性及び忍容性が検討された。しかしながら、ファーストライン治療のプラチナ製剤主体の治療がうまくいかず急速に進行している患者においては、ドセタキセル又はペメトレキセドに比較してエルロチニブは、PFS及びOSでは優れた有効性は示さなかった。
結局のところ、この集団は、まだ対処されていない医療ニーズが高く、進行が速く、プラチナ不応性又は抵抗性のNSCLC患者に使用可能な効果的な治療法がない。
一方、VEGF-阻害剤又はVEGFR-阻害剤は、NSCLC患者のファーストライン治療及びセカンドライン治療においては、PFSの向上はほとんどないか、失敗するかであった。今までのところ、VEGF-阻害剤又はVEGFR-阻害剤による治療で効果を得る見込みが極めて高い患者を選択し、そのほかの患者が副作用や効果のない治療を受けなくてすむようにするための、信頼性のある臨床マーカー又は他の遺伝子マーカーは見つかっていない。
化合物3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン(INN:ニンテダニブ)は、特に腫瘍学上の疾病、免疫学上の疾病もしくは免疫学的成分に関わる病的状態又は線維性疾患の治療に有効な薬理学的特性を有する革新的な有効成分である。
この化合物の化学的構造を式Aとして以下に示す。
Figure 2016518396
前記化合物の基本的な形態はWO01/27081に記載されており、モノエタンスルホネート塩の形態はWO2004/013099に、更なる様々な塩の形態はWO2007/141283に示されている。この化合物を製造するための改良された製造方法は、WO2009/071523及びWO2009/071524に記載されている。この化合物の懸濁液製剤を含む即放性カプセルタイプの剤形がWO2009/147212及びWO2009/147220に記載されている。
この化合物のモノエタンスルホネート塩の形態は、医薬品として開発するのに特に適した特性を示す。3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン-モノエタンスルホネート(INN:ニンテダニブエシラート)の化学構造を、式A1として以下に示す。
Figure 2016518396
前臨床試験では、この化合物が、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)及び更なるキナーゼ類に対して非常に強力で、かつ、経口で生物学的に利用できる阻害剤であり、腫瘍の血管新生を阻害するメカニズムを介して腫瘍の成長を抑えることがわかった。また、本化合物は、内皮及び平滑筋細胞と周皮細胞のシグナルを阻止し、腫瘍血管密度を抑えることが更にわかってきた。
また、忍容性が良好な投与量で今までテストを行ったすべてのモデルにおいて、この化合物は生体内抗腫瘍奏効性を示す。下記表1に、異種移植モデル及び有性生殖ラットの腫瘍モデルでの生体内抗腫瘍奏効性の結果を示す。
Figure 2016518396
ゆえに、この化合物は、例えば血管形成又は細胞増殖を伴う疾病の治療に適している。免疫学上の疾病又は免疫学的成分に関わる病的状態の治療にこの化合物を使用することについては、WO2004/017948に記載されており、他の疾病の中でも腫瘍学上の疾病の治療に単独又は組み合わせて使用することについては、WO2004/096224及びWO2009/147218に記載があり、線維性疾患の治療への使用はWO2006/067165に記載がある。
化合物3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン又はその医薬的に許容される塩による個体の治療を、遺伝子マーカーを使用して監視する方法がWO2010/103058に開示されているが、ここでは、前記治療について表示する量の遺伝子マーカーが該個体のサンプルに含まれているかが測定される。
(発明の概要)
本発明の発明者らは、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法で既に先行治療を受けた非小細胞肺癌(NSCLC)患者のNSCLCの治療方法に、又は、治療用医薬品の調製に、ニンテダニブが使用できることを発見した。前記治療方法は、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む治療レジメンで該患者を治療することを含み、治療対象の患者が、前記先行治療の開始から9箇月未満の期間内に前記癌の進行を示したことを基準に選択される。
更に、本発明の発明者らは、先行治療の開始後9箇月以内に癌の進行を示したことを基準に治療対象患者を選択した場合、プラセボと比較して無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)ともに中央値が1箇月以上向上したことが臨床試験で立証されたことを発見した。この患者等は、先行治療の開始後9箇月以内に癌の進行を示した、不応性で抵抗性がある患者である。
本発明の実施形態の1つでは、腫瘍の組織構造が、NSCLC腫瘍サブタイプの扁平上皮細胞癌又は類表皮腫に属する。
本発明の更なる実施形態の1つでは、腫瘍の組織構造が、NSCLC腫瘍サブタイプの腺癌に属する。
本発明の更なる実施形態の1つでは、腫瘍の組織構造が、NSCLC腫瘍サブタイプの大細胞癌に属する。
本発明の更なる実施形態の1つでは、腫瘍の組織構造が、NSCLC腫瘍サブタイプの未分化癌腫に属する。
更に、本発明の発明者らは、腫瘍の組織構造がNSCLC腫瘍サブタイプの腺癌に属する腫瘍で、先行治療の開始から9箇月以内に癌の進行を示したことを基準に治療対象患者を選択したところ、プラセボと比較して、ニンテダニブにより無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)ともに中央値が1.3箇月以上向上したことが臨床試験で立証されたことを発見した。この患者等は、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による前記先行治療の開始後9箇月以内に癌の進行を示した、不応性で抵抗性がある患者である。
本発明による更なる実施形態では、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による先行治療が、プラチナ化合物による単剤治療か、又は、ニンテダニブ以外の1種以上の更なる治療薬とプラチナ化合物との併用治療で、アジュバント療法又はネオアジュバント療法を含んでいても含んでいなくてもよい。
本発明による更なる実施形態では、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩の投与を含む治療レジメンが、化合物3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン(INN:ニンテダニブ)又はその医薬的に許容される塩、特にはそのモノエタンスルホネート塩(INN:ニンテダニブエシラート)による治療レジメンで、単独で使用するか、或は、更なる医薬的有効成分及び/又は更なる治療と別個に、同時に又は順次に併用する。
更なる実施形態では、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を、更なる医薬的有効成分及び/又は更なる治療と別個に、同時に又は順次に併用する場合は、植物由来の抗癌剤、葉酸拮抗剤又はEGFR阻害剤との併用である。
本発明による更なる実施形態では、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む治療レジメンは、ドセタキセル又はパクリタキセル又はこれらの医薬的に許容される塩から選択される植物由来の抗癌剤、ペメトレキセド又はプララトレキサート又はこれらの医薬的に許容される塩から選択される葉酸拮抗剤、或は、エルロチニブ、ゲフィチニブ又はアファチニブ等のEGFR阻害剤と併用する治療レジメンである。特に好適な植物由来の抗癌剤はドセタキセル又はその医薬的に許容される塩である。特に好適な葉酸拮抗剤はペメトレキセド又はその医薬的に許容される塩である。
ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法での治療開始から腫瘍が進行するまでの期間が9箇月未満であることによって、上記治療に不応で抵抗性がある腫瘍を有するが、本発明によるニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩での臨床的に有効な治療から恩恵を得る患者グループの範囲が定められ、本発明によるニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩によるこの臨床的に有効な治療から恩恵を得る患者母集団の範囲が決まる。言い換えるならば、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法での治療開始から腫瘍が進行するまでの期間が9箇月未満であるということが、本発明によるニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩で治療すべきNSCLC患者の治療のための予測臨床マーカーとなる。
予測臨床マーカーによって、特定の薬(本発明の場合はニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩)による治療で治療的効果が得られる可能性についての情報が提供される。
更なる実施形態は、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による先行治療の開始から腫瘍が進行するまでの期間が4箇月と9箇月の間であるということが、本発明によるニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩で治療すべきNSCLC患者の治療用予測臨床マーカーとなる。
更なる実施形態は、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による先行治療の開始から腫瘍が進行するまでの期間が4、5、6、7、8又は9箇月であるということが、本発明によるニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩で治療すべきNSCLC患者の治療用予測臨床マーカーとなる。
更なる実施形態は、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による先行治療の開始から腫瘍が進行するまでの期間が4箇月未満であるということが、本発明によるニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩で治療すべきNSCLC患者の治療用予測臨床マーカーとなる。
そこで、本発明の更なる目的の1つは、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩による治療に対するNSCLC腫瘍患者の反応性を示す、本願明細書で述べた臨床マーカーを提供することである。
本発明の更なる目的の1つは、NSCLC腫瘍患者個々の治療を計画する方法を提供することで、本願明細書で述べた臨床マーカーの使用を含む。
本発明の更なる目的の1つは、所定の療法に反応する見込みのある患者を選択する方法を提供することで、本願明細書で述べた臨床マーカーの使用を含む。
本発明の更なる目的の1つは、患者の難治性NSCLC腫瘍及び耐性NSCLC腫瘍に対する有効な治療方法を提供することで、本願明細書で述べた臨床マーカーの使用を含む。
本発明の更なる目的の1つは、NSCLC腫瘍患者の疾病の進行を遅延させ、患者の生存を延長する方法を提供することで、本願明細書で述べた臨床マーカーの使用を含む。
更なる実施形態では、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による先行治療が、カルボプラチン、シスプラチン又はオキサリプラチン、又はそれらの医薬的に許容される塩などのプラチナ化合物による治療である。本発明による先行治療で使用するのに特に好適なプラチナ化合物は、カルボプラチン又はシスプラチンである。ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による先行治療は、パクリタキセル、ゲムシタビン、ビンカアルカロイド又はエトポシド、又はそれらの医薬的に許容される塩などの更なる化学療法薬、或は、ベバシズマブ等のVEGF阻害剤と、プラチナ化合物との併用治療であってもよい。この先行治療がこの患者にとって最初の抗腫瘍療法で、プラチナ化合物を用いて行われる場合、一般に、これを「ファーストラインのプラチナを主体とした治療又は療法」と呼ぶ。定義(米国の国立衛生研究所の国立がん研究所がオンラインで提供する定義)によると、ファーストライン治療とは、ある疾病に対する最初の治療である。ファーストライン治療は、外科手術とそれに続く化学療法や放射線等といった基本的な一連の治療の一部であることが多い。ファーストライン治療だけを使用する場合は、そのファーストライン治療が最善の治療と解されたものである。ファーストライン治療が疾病を治すことなく、重篤な副作用を起こす場合、別の治療を加えるか、ファーストライン治療の代わりに使用することができる。ファーストライン治療は、導入療法、一次療法、一次治療とも呼ばれている。
この患者の次の抗腫瘍療法を、一般にセカンドライン治療と呼ぶ。定義(米国の国立衛生研究所の国立がん研究所がオンラインで提供する定義)によると、セカンドライン治療とは、初めの治療(又はファーストライン治療)が効力を発揮しないか、効力がなくなってしまったときに採用される治療のことである。
そこで、本発明によると、外科手術及び/又は放射線療法が先行の癌治療である場合もあり、アジュバント療法又はネオアジュバント療法が付いていてもいなくてもよい。
NSCLC腫瘍の典型的なファーストライン治療としてのプラチナ製剤主体の療法(6サイクルで治療期間4.5箇月を表す)と、急速に進行する難治性NSCLC腫瘍(ファーストライン治療でのプラチナ製剤主体療法の開始から6箇月以内のコンピュータ断層撮影(CT)で認定)及び耐性のあるNSCLC腫瘍(ファーストライン治療でのプラチナ製剤主体療法から6箇月以降のコンピュータ断層撮影(CT)で認定)に対するセカンドライン治療としての非プラチナ製剤療法とを図式化したもの。 以下の図(カプラン・マイヤー曲線)では、Nは各治療アームの患者数で、グラフ縦座標(%)は特定の患者集団で分析したPFS又はOSの推定パーセントを示し、グラフ横座標(T)はセカンドライン治療における無作為割り付け後からの時間(月)を示す。 上図は、NSCLC患者全集団におけるPFSの独立した検討結果を示す(LUME LUNG1試験)。下図は、NSCLC患者全集団におけるOSの結果を示す(LUME LUNG1試験)。 上図は、NSCLC患者中の組織構造が扁平上皮癌である目的母集団におけるPFSの独立した検討結果を示す(LUME LUNG1試験)。下図は、NSCLC患者の中の高腫瘍量で組織構造が扁平上皮癌である目的母集団におけるOSの結果を示す(LUME LUNG1試験)。 上図は、NSCLC患者中の腺癌組織構造である目的母集団におけるPFSの独立した検討結果を示す(LUME LUNG1試験)。下図は、NSCLC患者中の腺癌組織構造である目的母集団におけるOSの結果を示す(LUME LUNG1試験)。 上図は、難治性及び耐性のある腺癌NSCLC患者の目的母集団におけるPFSの独立した検討結果で、時間tはファーストライン治療開始から9箇月未満である(LUME LUNG1試験)。下図は、難治性及び耐性のある腺癌NSCLC患者の目的母集団におけるOSの結果で、時間tはファーストライン治療開始から9箇月未満である(LUME LUNG1試験)。 本図は、NSCLC患者中の腺癌組織構造である目的母集団におけるPFSの独立した検討結果を示す(LUME LUNG2試験)。 上図は、難治性及び耐性のある腺癌NSCLC患者の目的母集団におけるPFSの独立した検討結果で、時間tはファーストライン治療開始から9箇月未満である(LUME LUNG2試験)。下図は、難治性及び耐性のある腺癌NSCLC患者の目的母集団におけるOSの結果で、時間tはファーストライン治療開始から9箇月未満である(LUME LUNG2試験)。
(発明の詳細な説明)
本発明の範囲において、NSCLC患者のための有効な治療が提供される。
更に本発明の範囲において、以下の腫瘍組織構造を有するNSCLC患者、即ち、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌及び未分化の悪性腫瘍のNSCLC患者のための有効な治療が提供される。
更に本発明の範囲において、NSCLC患者中のある部分母集団、即ち、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による先行治療の開始から9箇月以内に腫瘍が進行した患者のための有効な治療が提供される。
本願明細書で既に記載したように、VEGF-阻害剤又はVEGFR-阻害剤では、NSCLC患者のファーストライン治療及びセカンドライン治療でのPFSの上昇はほんのわずかであるか、失敗であった。今までのところ、VEGF-阻害剤又はVEGFR-阻害剤の治療で効果を得る見込みが極めて高い患者群を選択し、それ以外の患者が副作用や効果のない治療を受けなくてすむようにする信頼性のある臨床マーカー又は他の遺伝子マーカーは見つかっていない。ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法でファーストライン治療を行った後の予後経過が非常に悪く、医療の必要性が高いNSCLC患者にとっては、前記先行治療の開始から腫瘍が進行するまでの期間が、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩での治療のための予測的臨床マーカーとなることがわかった。予測的臨床マーカーとしてのこの期間は、ニンテダニブ又はその医薬的な塩による治療を単独で、又は更なる医薬有効成分及び/又は更なる治療と別個に、同時に又は順次に併用した場合、どの患者集団に有効な治療効果が期待できるかを示す変数として使用できる。
本発明の定義において、先行治療の開始から腫瘍が進行するまでの期間tとは、この先行治療の開始(患者が該治療の最初の投与を受けた日)と、腫瘍の進行が診断された日(当該患者の腫瘍が進行していると診断された日)、又は、臨床研究の場合は、次の治療における無作為な日との間の期間を意味する。
本発明の定義において、難治性腫瘍とは、先行治療又はファーストライン治療と、その治療の終了後から6週間までの間、即ち、進行が起きているかどうか判定する最初の診断がなされた時までの間に進行している腫瘍と定義する。
本発明の定義において、耐性のある腫瘍とは、先行治療又はファーストライン治療の終了6週間後から、即ち、進行が起きているかどうか判定する最初の診断がなされた時から、先行治療又はファーストライン治療の開始から9箇月までの間に進行している腫瘍と定義する。
図1は、NSCLC腫瘍の典型的なファーストライン治療としてのプラチナ製剤主体の療法(6サイクルで治療期間4.5箇月を表す)と、急速に進行する難治性NSCLC腫瘍(ファーストライン治療でのプラチナ製剤主体療法の開始から6箇月以内のコンピュータ断層撮影(CT)で認定)及び耐性のあるNSCLC腫瘍(ファーストライン治療でのプラチナ製剤主体療法から6箇月以降のコンピュータ断層撮影(CT)で認定)に対するセカンドライン治療としての非プラチナ製剤療法とを図式化したものである。
本発明の定義において、腫瘍の進行は以下の技術を介して診断する。肝臓や副腎をはじめとして脳や胸のX線撮影、骨転移の場合は骨のスキャンを例えばコンピュータ断層撮影走査(CTスキャン)によって行う。癌治療を評価する臨床試験の大多数に見られるように、疾病の進行を判定するRECISTの基準を使用して腫瘍の進行を判定する。この基準は、例えばEisenhauer EA等の(New response evaluation criteria in solid tumours(固形癌の治療効果判定のための新ガイドライン):改訂版RECISTガイドライン、第1.1版、Eur J Cancer 2009; 45: 228-247)に開示されているが、経過中の最小の径和(ベースライン径和が経過中の最小値である場合、これを最小の径和とする)に比して、標的病変の径和が少なくとも20%増加しているときに、腫瘍が進行したと定義する。この20%の相対的な増加に加え、径和が絶対値で少なくとも5mm増加していなければならない。1つ以上の新病変の出現も進行とみなされる。
本発明の定義において、 無増悪生存期間(PFS)は、臨床試験における無作為な日から、腫瘍の進行が診断された日又は患者の死亡日のどちらか先に起こった日までの期間である。この定義も、米国食品医薬品局がPFSについて付与した定義である。
本発明の定義において、全生存期間(OS)は、臨床試験における無作為な日から、死因に拘わらず患者の死亡日までの期間である。この定義も、米国食品医薬品局がOSについて付与した定義である。
第III相臨床試験LUME LUNG1及び2に関する以下の詳細と結果は、本発明を説明することを意図するものである。
ニンテダニブはトリプルアンジオキナーゼ阻害剤で、NSCLCのセカンドライン治療における2つのピボタル試験でその開発が進んでいる。臨床試験LUME LUNG1は、NSCLC進行患者のセカンドライン治療におけるニンテダニブとドセタキセルとの併用を、ドセタキセルとプラセボとで比較して検討した。臨床試験LUME LUNG2は、NSCLC進行患者のセカンドライン治療におけるニンテダニブとペメトレキセドの併用を、ペメトレキセドとプラセボとで比較して検討した。
臨床試験では、有効成分はそれぞれの医薬的に許容される塩の形態で投与される。ニンテダニブの場合は、開発及び医薬品市販承認のための臨床試験で使用されている塩の形態、即ち、モノエタンスルホネート塩の形態(INN:ニンテダニブエシラート)である。ペメトレキセドの場合は、市場で見られる塩の形態、即ち、二ナトリウム塩の形態である。
前記の臨床試験において、ファーストライン治療としては、限られた数の細胞毒性化学療法、標的療法、細胞毒性化学療法とその終了後の維持療法が挙げられる。
<第III相臨床試験LUME LUNG1(LL1):多施設無作為二重盲検臨床試験>
背景
LUME LUNG1は、ある併用レジメンを先行した後、局所的進行/転移性のNSCLC進行患者において、ニンテダニブ+ドセタキセルを検討する第III相プラセボ対照試験である。LUME LUNG1は、1314人の患者(すべての組織構造を含む)を、ニンテダニブ+ドセタキセル又はプラセボ+ドセタキセルに無作為に割り付けた。
方法
適格性のあるステージIIIB/IVのNSCLC患者(ECOGパーフォーマンスステータス、ベバシズマブによる先行治療、腫瘍の組織構造、脳転移の有無により階層化)を、アームAのニンテダニブ(200mgを1日2回経口投与)+ドセタキセル(75mg/m2で静脈内投与21日毎)(N=655;アームA)又はアームBのプラセボ+ドセタキセル(N=659;アームB)に1:1で無作為に割り付けた。主要評価項目である中央値で評価したPFS(centrally reviewed PFS)について、713の事象後に帰無仮説H0を判定した(両側:α=5%、β=10%)。ファーストライン治療の開始から9箇月未満の期間t(t<9箇月)によって、最初は腺癌患者、続いて腺癌と診断されたすべての患者、最後にすべての患者を対象に、副次的評価項目OSを階層的に判定した(全体(overall)α=5%両側、β=20%)。テストした。説明的分析でt<9箇月がニンテダニブ治療の予測的臨床マーカーであることが確認された後、最終的なOS解析のために盲検解除する前に、上記の階層を導入した。
結果
患者特性は、二つのアームで均等であった。
プラセボに比べてニンテダニブのベネフィットは、この試験のすべてのNSCLC患者集団で見られた。ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べて中央値で評価したPFSが0.8箇月上昇(アームAのニンテダニブ治療患者のPFS中央値は3.5箇月、アームBのプラセボでは2.7箇月)、ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べて中央値で評価したOSが1箇月上昇していた(アームAのニンテダニブ治療患者のPFS中央値は10.1箇月、アームBのプラセボでは9.1箇月)であった。結果を図2及び表2に示す。
プラセボに比べてニンテダニブのベネフィットは、この試験のNSCLC扁平上皮癌組織構造を有する患者集団で見られた。ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べてPFS中央値が0.4箇月上昇(アームAのニンテダニブ+ドセタキセル治療患者のPFS中央値を図3及び表2に示す。
扁平上皮癌組織構造を有するNSCLC患者では、ニンテダニブ治療患者とプラセボの患者間に、OS生存率でのベネフィットは見られなかった。
しかしながら、プラセボに対するニンテダニブのベネフィットは、この試験におけるNSCLC扁平上皮癌組織構造を有し高腫瘍量の患者集団で見られた。ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べてOS中央値が1.6箇月上昇している(アームAのニンテダニブ+ドセタキセル治療患者のOS中央値は7.7箇月で、アームBのプラセボ+ドセタキセル治療患者では6.1箇月)。結果を図3及び表2に示す。
プラセボに比べてニンテダニブのベネフィットは、この試験のNSCLC腺癌組織構造を有する患者集団で見られた。ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べてPFS中央値が1.4箇月上昇(アームAのニンテダニブ+ドセタキセル治療患者のPFS中央値は4.2箇月で、アームBのプラセボ+ドセタキセル治療患者では2.8箇月)、ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べてOS中央値が2.3箇月上昇している(アームAのニンテダニブ治療患者のPFS中央値は12.6箇月で、アームBのプラセボ治療患者では10.3箇月)。結果を図4及び表2に示す。
交互作用試験及びハザード比(HR)(信頼区間95%)を用いて、ファーストライン治療開始から9箇月のカットオフ値(cut-off)を選択し、進行が速い目標母集団を画定した(t<9箇月)。
更に、プラセボに比べてニンテダニブのベネフィットは、NSCLC腺癌組織構造を有し、この試験で進行が速かった(t<9箇月)患者群で見られた。ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べてPFS中央値が2.7箇月上昇した(ニンテダニブ+ドセタキセル治療患者のPFS中央値が4.2箇月で、プラセボ+ドセタキセル治療患者では1.5箇月、HRが0.68でCIが0.54-0.84であるので、p=0.0005)、ニンテダニブで治療した患者はプラセボの患者に比べてOS中央値が3箇月上昇(アームAのニンテダニブ治療患者のPFS中央値は10.9箇月で、アームBのプラセボ治療患者では7.9箇月)。結果を図5及び表2に示す。
NSCLC腺癌組織構造を有し、この試験でファーストライン治療開始から4箇月又は6箇月のカットオフ値で選択した進行が速いNSCLC患者集団(t<4箇月又はt<6箇月の進行が速い標的集団)においても、上記ベネフィットが確認された。
結論
このように、LUME LUNG1試験により主要評価項目PFSが一致した。LUME LUNG1試験により副次的評価項目OSも満たされた。更に詳細なデータ及び結果については、2013年米国癌治療学会議(ASCO)に提出される。ファーストライン治療開始からの期間は、NSCLCの進行した患者がセカンドライン治療のニンテダニブ併用治療を受けるための唯一の予後及び効果予測臨床マーカーであった。このNSCLC試験では、プラチナ製剤を主体としたファーストライン治療に極めて不応性又は抵抗性があるNSCLC患者にとって、9箇月未満という期間tが、ニンテダニブによるセカンドライン治療のベネフィットを予測する臨床マーカーになることが実証された。
腺癌組織構造以外のサブタイプである扁平上皮癌、大細胞癌及び未分化癌で、進行が速いNSCLC患者集団において、上記ベネフィットが確認されることが期待できる。また、ファーストライン治療開始から9箇月未満というカットオフ値、例えば、ファーストライン治療開始から4箇月又は6箇月のカットオフ値を選択して、扁平上皮癌、大細胞癌及び未分化癌のサブタイプで、進行が速いNSCLC患者集団(t<4箇月又はt<6箇月、進行が急速な目的母集団)においても、上記ベネフィットの確認が期待できる。
<第III相臨床試験LUME LUNG2(LL2):多施設無作為二重盲検臨床試験>
背景
LUME LUNG2は、既に化学療法で治療を行ったNSCLCが進行した患者において、ニンテダニブ+ペメトレキセドの安全性と効能をプラセボ+ペメトレキセドと比べて検討した第III相プラセボ対照試験である。LUME LUNG2では、ニンテダニブ+ペメトレキセド又はプラセボ+ペメトレキセドを患者に無作為で割り付けた。
方法
適格性のあるステージIIIB/IVのNSCLC患者(ECOGパーフォーマンスステータス、ベバシズマブによる先行治療、腫瘍の組織構造、脳転移の有無により階層化)を、アームAのニンテダニブ(200mgを1日2回経口投与)+ペメトレキセド(500mg/m2で静脈内投与21日毎)(n=351;アームA)又はアームBのプラセボ+ペメトレキセド(500mg/m2で静脈内投与21日毎)(n=349;アームB)に1:1で無作為に割り付けた。進行(PD)となるまで、又は、ニンテダニブ、プラセボ、ペメトレキセド又はこれらの併用により有毒性が許容できなくなるまで継続した。394の事象発生後に、帰無仮説HoをITT解析集団で判定した(両側α=5%)。主要評価項目は中央値で評価したPFSとした。副次的評価項目は、OS、研究者の評価によるPFS、奏効率(RR)、安全性及び生活の質(QoL)を挙げた。コックス比例ハザードモデル及び再帰分割木を用いて、ステップワイズ変数選択により、LUME LUNG2のアームB(プラセボ)におけるPFSの予後を示すベースライン変数を同定した。共変量交互作用試験とハザード比(HR)交互作用プロットにより、LUME LUNG2のアームA(ニンテダニブ治療患者)におけるPFSの向上を予測する因子が示された。LUME LUNG2データモニタリング委員会(DMC)のデータセットにこれらの方法をあてはめ、仮説を検証して以下の三段階、即ち、(i)中央値で評価したPFSを用いた内部確認(internal confirmation)と臨床試験LL2のOSデータを用いた内部検証(internal validation)、(ii)独立した臨床試験LL1の主要分析からのデータ(中央値で評価したPFS及びOSデータを用いた内部検証)を用いた外部検証(external validation)、(iii)臨床試験(LL1)の最終的なOSデータを用いた外部検証の三段階で仮説を立証して、展開した。
結果
ベースライン患者特性は、ニンテダニブ+ペメトレキセド(アームA)とプラセボ+ペメトレキセド(アームB)間で均等であった。即ち、両患者集団の平均年齢(中央値)はともに59歳、女性患者の個体数はアームAが45%でアームBが42%、ECOGパーフォーマンスステータスIの患者の個体数はアームAが62%でアームBが61%、腺癌患者個体数はアームAが95%でアームBが93%、ベバシズマブによる先行治療は両患者群ともに8%であった。
研究者評価によるPFSの無益性解析が計画され、この無益性解析に基づいてデータモニタリング委員会(DMC)は登録を終了したが、それ以前に患者713例(1300例を予定)を無作為割り付けした。安全性の項目については確認されなかった。臨床試験のプロトコールにしたがって、継続中の患者を盲検解除して、フォローアップを続けた。引き続き行った主要評価項目(中央値で評価するPFS)のITT解析を行ったところ、プラセボ(アームB)に対するニンテダニブ治療患者(アームA)が有利であった。ニンテダニブ治療患者(アームA)のPFS中央値4.4に対して、プラセボ(アームB)は3.4箇月であった。このように、プラセボに対してニンテダニブ治療患者のPFS中央値は1箇月の向上がみられた。また、ニンテダニブ治療患者群においては病勢コントロールの著しい改善がみられた。結果を図6及び表2に示す。両アーム間において、全生存期間(HR 1.01)の差異は見いだされなかった。
腺癌と診断されたNSCLC患者においては、ファーストライン治療開始からの時間tが、セカンドラインのニンテダニブ併用治療への唯一の予後及び予測臨床マーカーとなった。交互作用試験及びハザード比(HR)(信頼区間95%)を用いて、ファーストライン治療開始から9箇月というカットオフ値を選び出し、目標母集団が画定された(t<9箇月)。
LUME LUNG2において、t<9箇月患者集団では、ニンテダニブ治療患者群(アームA)のPFS中央値が4.1箇月であったのに対し、プラセボ(アームB)では2.8箇月で、ニンテダニブ治療患者群はプラセボ群に対し1.3箇月のベネフィットが見られた。更に、LUME LUNG2において、t<9箇月患者集団では、ニンテダニブ治療患者群(アームA)のOS中央値が10.6箇月であったのに対し、プラセボ(アームB)では9.3箇月で、ニンテダニブ治療患者群はプラセボ群に対し1.3箇月のベネフィットが見られた。結果を図7及び表2に示す。
結論
試験は途中で中止したが、主要評価項目は達成した。
既に化学療法で治療を行ったNSCLCが進行した患者において、ニンテダニブ+ペメトレキセドによる治療は、プラセボ+ペメトレキセドに比べて無増悪生存期間(PFS)の中央値が著しく向上し、安全性は管理可能であった。更に詳細なデータ及び結果については、2013年米国癌治療学会議(ASCO)に提出される。
LUME LUNG1の結果と一致して、LUME LUNG2では、プラチナ不応性の腺癌患者群でニンテダニブをペメトレキセドと併用すると、独立して評価したPFS(PFS中央値が4.0箇月)が、ペメトレキセドをプラセボと併用した場合(PFS中央値が2.8箇月)に比較して一層向上した。
本NSCLC試験において、プラチナ製剤を主体としたファーストライン治療に極めて不応であった腺癌患者に対し、t<9箇月という期間が、ニンテダニブのベネフィットの予後臨床マーカー及び予測臨床マーカーであることが実証された。
更に、これらの患者は、患者の生活の質という尺度においても向上を示した。急速に進行する患者では、ニンテダニブ治療患者群はプラセボ群に比較して、咳による生活の質低下までの期間(Time to de-te-rioration of cough)の中央値が3.7箇月向上し、著しく伸びた(即ち、ニンテダニブ+ペメトレキセド治療患者群の咳による生活の質低下までの期間中央値が7.2箇月であったのに対し、プラセボ+ペメトレキセド治療患者では3.5箇月、HRは0.66(CI:0.47-0.93、p= 0.0158))。
独立した臨床試験LUME LUNG1では、腺癌組織構造を有する患者群に前記の臨床マーカーの効果がより明白であった(中央値で評価したPFSに基づいた外部検証とOSデータを用いた内部検証)。
これらの結果は、臨床試験LUME LUNG1の最終的な全生存期間(OS)データを用いると、事前に定義されたサブグループと確認された(最終的なOSデータを用いた外部検証)。
腺癌組織構造以外のサブタイプである扁平上皮癌、大細胞癌及び未分化癌サブタイプの進行が速いNSCLC患者集団において、上記のベネフィットが確認されることが期待できる。また、ファーストライン治療の開始から9箇月未満というカットオフ値、例えば、ファーストライン治療開始から4箇月又は6箇月未満のカットオフ値を選択した、扁平上皮癌、大細胞癌及び未分化癌サブタイプの進行が速いNSCLC患者集団において(t<4箇月又はt<6箇月、進行が急速な目的母集団)、上記のベネフィットが確認されることも期待できる。
LUME LUNG1(LL1)及びLUME LUNG2(LL2)の2つの臨床試験による統計的分析結果を下記表2にまとめる。
Figure 2016518396
(統計方法)
臨床試験LUME LUNG1及び2の中でサブグループを同定するために、2つの統計方法を用いた。即ち、Strasser及びWeber が開発したパーミュテーションテスト(Helmut Strasser & Christian Weber, On the asymptotic theory of permutation statistics, Mathematical Methods of Statistics, 1999, 8巻、220-250頁)をはじめとする、Hothorn等が開発した再帰分割法(Hothorn T et al., Unbiased Recursive Partitioning: A Conditional Inference Framework, Journal of Computational and Graphical Statistics, 2006, 15巻、11月3日、651-674頁)と、Collettにより解説されているが、ステップワイズ変数選択法(D. Collett, Modelling Survival Data in Medical Research, Chapman & Hall/CRC, London, UK, 第2版、2003)の2つである。同定した予後因子がニンテダニブの治療に対する反応性とも関連があるかどうかを調べるために、Collettの説明にあるように治療と共変量との交互作用試験を適用した(D. Collett, Modelling Survival Data in Medical Research, Chapman & Hall/CRC, London, UK, 2版、2003)。
治療と連続変数との間に有意な交互作用があった場合は、再帰分割による分類を検討するだけでなく、ハザード比HR(治療効果)も交互作用する共変量の異なる数値で包括的に評価した。交互作用する共変量に治療効果が依存することをグラフで示すために、治療交互作用と対応する95%信頼区間でハザード比をプロットした。
ハザード比(HR)点推定値が<1で、かつ、95%信頼区間(CI)の幅が小さいときの共変量値の下(又は上)(covariate values below (or above))が、治療のベネフィットが最もある患者のサブグループを画定すると考えた。結果をグラフで示すために、更にカプラン・マイヤープロット及びフォレストプロットを用いた。
(更なる実施形態)
化合物3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノン又はその医薬的に許容される塩、特にはそのモノエタンスルホネート塩の形態を、単独で、或は、任意で更なる医薬的有効成分及び/又は更なる治療、例えば放射線療法等と併用して使用した際に治療が可能な疾病は、骨髄細胞の増殖、移動又は自死、血管形成、線維形成を伴う疾病である。
好適な実施形態は、前記疾病が腫瘍の存在を含むことである。
更なる実施形態は、前記疾病が進行性の腫瘍である。
更なる実施形態は、前記疾病が非小細胞肺癌(NSCLC)から選択される。
前述のごとく、本願明細書で定義したように本発明の治療は、血管新生抑制効果及び/又は血管透過効果に関与している。癌(白血病、カポジ肉腫、多発生骨髄腫、リンパ腫、NSCLC、中皮腫、腎細胞癌、肝細胞癌、結腸直腸癌、卵巣癌)、糖尿病、乾癬、リューマチ性関節炎、血管腫、急性及び慢性腎臓病、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫疾患、急性の炎症、喘息、リンパ浮腫、子宮内膜症、機能不全性子宮出血、線維症、肝硬変及び加齢黄斑変性をはじめとする網膜血管増殖を伴う眼病等の広範にわたる疾病状態には、血管形成及び/又は血管透過性の増大が見られる。
本願明細書に定義した本発明の併用療法は、該併用療法の個々の成分を同時に、順次に又は別個に適用することで達成される。本願明細書に定義した併用療法は、単独の治療として適用してもよいし、或は、本発明の併用治療に加えて外科手術又は放射線療法又は更なる化学療法剤もしくは標的治療薬を伴ってもよい。外科手術は、本願明細書記載の併用療法の適用前、適用中又は適用後に腫瘍を部分的又は全体的に切除する工程を有してもよい。
ペメトレキセド又はニンテダニブ等の化学療法剤での治療は、骨髄抑制等の有害事象や粘膜炎、下痢、吐き気/嘔吐及び好中球減少をはじめとするや胃腸の有害事象を伴うことがある。このような毒性を抑えるために、患者は、デキサメタゾン(又は同等のコルチコステロイドの処方)、葉酸、ビタミン12、ロペラミド、メトクロプラミド、プロクロルプラミド又はジメンヒドリナートで適切な事前薬物投与及び併用薬を受けてもよい。
本願明細書で既に記載した以外の化合物3-Z-[1-(4-(N-((4-メチル-ピペラジン-1-イル)-メチルカルボニル)-N-メチル-アミノ)-アニリノ)-1-フェニル-メチレン]-6-メトキシカルボニル-2-インドリノンの更なる医薬的に許容される塩としては、例えば、酸付加塩が挙げられる。このような酸付加塩は、例えば、製薬上許容できるアニオンを供与する無機又は有機酸との塩、例えば、ハロゲン化水素との塩又は硫酸もしくはリン酸との塩又はトリフルオロ酢酸、クエン酸もしくはマレイン酸との塩が挙げられる。更に、医薬的に許容される塩は、製薬上許容できるカチオンを供与する無機又は有機の塩基で形成することができる。無機又は有機塩基による塩としては、例えば、ナトリウム又はカリウム塩等のアルカリ金属塩やカルシウム塩又はマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
本発明によると、前記化合物は、1種以上の医薬的に許容できる賦形剤又は担体を使って製剤化することができる。本発明の範囲で使用できる適切な製剤は、本化合物に関連した文献や特許出願に既に記載されている。このような製剤は参照により本願明細書に含まれるものとする。
本発明の実施形態の1つは、式A1の化合物の製剤が有効成分の脂質懸濁液で、好ましくは脂質担体、増粘剤、滑剤/可溶化剤を含み、更に好ましくは、前記脂質担体が、トウモロコシ油グリセリド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エタノール、グリセロール、グリコフロール、マクロゴールグリセロールカプリロカプラート、マクロゴールグリセロールリノレアート、中鎖部分グリセリド、中鎖トリグリセリド、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリオキシルヒマシ油、ポリオキシル水素化ヒマシ油、プロピレングリコールモノカプリラート、プロピレングリコールモノラウラート、精製大豆油、トリアセチン、クエン酸トリエチル、又はこれらの混合物から選択され、前記増粘剤が、コロイダルシリカ又はベントナイト等のオレオゲル形成賦形剤、或は、ポリオキシル水素化ヒマシ油、水素化植物油マクロゴールグリセロール-ヒドロキシステアラート、マクロゴールグリセロール-リシノレアート又は硬質脂肪等の親油性又は両親媒性の高粘度賦形剤から選択され、滑剤/可溶化剤がレシチンから選択され、更に任意であるが、マクロゴールグリセロール-ヒドロキシステアラート又はマクロゴールグリセロール-リシノレアートから好ましくは選択される1種以上のマクロゴールグリセロールを含んでいてもよい。脂質懸濁液製剤は、文献から公知である従来からの製剤の製法により調製すればよく、即ち、均質な懸濁液を得るために所定の温度で所定の順序で構成成分を混合すればよい。
上記製剤は、製薬用カプセル、好ましくはカプセルのシェルが例えば可塑剤としてグリセロールを含むことを特徴としたソフトゼラチンカプセル、又はハードゼラチンカプセルもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル内に導入してもよく、任意でシーリング剤又はバンディング剤(banding)と一緒に導入してもよい。製薬用のカプセル剤形は、文献から公知である従来からのカプセルの製法により調製すればよい。ソフトゼラチンカプセルは、文献から公知である従来からのゼラチンカプセルの製法により調製すればよい。
前記で定義した製剤又は前記で定義したカプセル剤は、有効成分0.1〜20mg/kg(体重)、好ましくは0.5〜4mg/kg(体重)の投与量範囲で使用すればよい。
前記で定義したカプセル剤は、好適なガラス容器又は柔軟性のあるプラスチック容器、或は、アルミパウチ又は二重ポリ袋に詰めることができる。
投薬量及び投薬計画は患者の個々の病状と総体的な状態によって変えればよい。また、本発明の化合物A又はその医薬的に許容される塩での治療に加えて、1種以上の更なる化学療法剤を使用する場合も、前記投薬量及び投薬計画が異なってもよい。投薬計画は、個々の患者の治療を担当している専門医が決めればよい。
放射線療法は、臨床放射線療法の公知の通例にしたがって適用すればよい。電離放射線の適用量は、臨床放射線療法で使用されている公知の放射線量となる。
特定の疾病状態の治療又は予防治療に必要とされるそれぞれの療法の一回分の服用量は、治療するホスト、投与経路、治療中の疾病の重篤度に応じて必然的に変わる。したがって、個々の患者を治療している専門医が最適な投与量をきめればよい。例えば、有毒性を抑える目的で併用療法のそれぞれの成分の投与量を減らすことが必要又は望ましい。
(発明の概要)
本発明の発明者らは、ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法で既に先行治療を受けた非小細胞肺癌(NSCLC)患者のNSCLCの治療方法に、又は、治療用医薬品の調製に、ニンテダニブが使用できることを発見した。前記治療方法は、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む治療レジメンで該患者を治療することを含み、治療対象の患者が、前記先行治療の開始から9箇月以内の期間内に前記癌の進行を示したことを基準に選択される。
更に、本発明の発明者らは、先行治療の開始後9箇月以内に癌の進行を示したことを基準に治療対象患者を選択した場合、プラセボと比較して無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)ともに中央値が1箇月以上向上したことが臨床試験で立証されたことを発見した。この患者等は、先行治療の開始後9箇月以内に癌の進行を示した、不応性で抵抗性がある患者である。
本発明の実施形態の1つでは、腫瘍の組織構造が、NSCLC腫瘍サブタイプの扁平上皮細胞癌又は類表皮腫に属する。

Claims (8)

  1. ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法で先行治療を受けた患者の、非小細胞肺癌(NSCLC)の治療方法でのニンテダニブの使用であって、前記治療方法が、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む治療レジメンで前記患者を治療することを含み、前記先行治療の開始から9箇月未満の期間内に前記癌の進行を示したことを基準に治療対象患者が選択される、前記治療法でのニンテダニブの使用。
  2. ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による前記先行治療が、プラチナ化合物による単剤療法、又は、ニンテダニブ以外の1種以上の更なる治療薬とプラチナ化合物との併用療法であり、アジュバント療法又はネオアジュバント療法を含んでいても含んでいなくてもよい、請求項1記載の治療方法でのニンテダニブの使用。
  3. ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む前記治療レジメンが、ニンテダニブ又はニンテダニブエシラートによる治療レジメンであり、単独使用するか、或は、更なる医薬的有効成分及び/又は更なる治療と別個に、同時に又は順次に併用する、請求項1記載の治療方法でのニンテダニブの使用。
  4. ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む前記治療レジメンが、ドセタキセル又はパクリタキセル又はこれらの医薬的に許容される塩から選択される植物由来抗癌剤、或は、ペメトレキセド又はプララトレキサート又はこれらの医薬的に許容される塩から選択される葉酸拮抗剤と併用する治療レジメンである、請求項1記載の治療方法でのニンテダニブの使用。
  5. ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法で先行治療を受けた患者の非小細胞肺癌の治療方法であって、ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む治療レジメンで前記患者を治療することを含み、前記先行治療の開始から9箇月未満の期間内に前記癌の進行を示したことを基準に治療対象患者が選択される、治療方法。
  6. ニンテダニブ以外の抗腫瘍療法による前記先行治療が、プラチナ化合物による単剤療法、又は、ニンテダニブ以外の1種以上の更なる治療薬とプラチナ化合物との併用療法であり、アジュバント療法又はネオアジュバント療法を含んでいても含んでいなくてもよい、請求項5記載の治療方法。
  7. ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む前記治療レジメンが、ニンテダニブ又はニンテダニブエシラートによる治療レジメンであり、単独使用するか、或は、更なる医薬的有効成分及び/又は更なる治療と別個に、同時に又は順次に併用する、請求項5記載の治療方法。
  8. ニンテダニブ又はその医薬的に許容される塩を投与することを含む前記治療レジメンが、ドセタキセル又はパクリタキセル又はこれらの医薬的に許容される塩から選択される植物由来抗癌剤、或は、ペメトレキセド又はプララトレキサート又はこれらの医薬的に許容される塩から選択される葉酸拮抗剤と併用する治療レジメンである、請求項5記載の治療方法。
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