JP2016515602A - Ibdの治療に使用するためのミルテホシンまたはペリホシン - Google Patents

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Abstract

炎症性腸疾患(IBD)の治療または予防に使用するためのミルテホシンまたはペリホシン。【選択図】なし

Description

本発明は、概して炎症性腸疾患(IBD)の治療に関する。特に、本発明は、ミルテホシン(ヘキサデシルホスホコリン)またはペリホシン(D−21266もしくはオクタデシル1,1−ジメチル−ピペリジノ−4−イルホスフェート)、特にIBD、特に小腸の炎症および大腸炎ならびに疾患関連腸外徴候を治療または予防するための経口投与用のミルテホシンまたはペリホシンを含む医薬組成物に関する。
この50年間、IBDを患っている人の発生率が増加している。統計学的には、100人に1人が生涯に1回または複数回の長期間のIBDを患う。この期間中、これらの患者は治療を要する。既存の薬剤は全てその使用に欠点を有する。これらの薬剤は極めて高価であるかまたは深刻な副作用を引き起こすかのいずれかであり、またこれらの薬剤のいずれも作用することが保証されていない。現在、アミノサリチレート(抗炎症薬)が軽症から中等症の患者を寛解させておくためにIBDの治療に使用されている。さらに、副腎皮質ステロイド(プレドニソン、メチルプレドニソロン、ヒドロコルチゾン)が患者を寛解にするために使用されているが、深刻な副作用のために短期間しか使用することができない。患者は治療に非感受性になり得る。免疫応答を阻害するために、免疫調節薬(アザチオプリン、6−MP、シクロスポリン、タクロリムス、メトトレキサート)がしばしば使用されている。ほとんどが細胞静止剤であり、細胞分裂を阻害し、それによって白血球を減少させる。あるいは、免疫応答を低下させると考えられている腸内細菌を減少させるために抗生物質(メトロニダゾール、シプロフロキサシン)がしばしば使用されている。また、改変タンパク質(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ナタリズマブ)を用いた生物学的療法も使用されている。これらのタンパク質は特異的分子(サイトカインTNFαまたはα4β7インテグリン)を標的化し、そうすることによって、抗炎症反応に干渉する。
新規な医薬品が依然として大いに必要とされている。
本発明の一態様によると、ミルテホシンまたはペリホシンがIBD、特に小腸の炎症および大腸炎の治療および予防に適していることが驚くべきことにかつ予想外に分かった。IBD、特に大腸炎を治療および/または予防するためのミルテホシンまたはペリホシンの医薬投与は、先行技術の刊行物で記載もされていないし自明にもされていない。
そのため、本発明は、炎症性腸疾患(IBD)の治療または予防に使用するためのミルテホシンまたはペリホシンを提供する。
さらなる態様では、本発明は、IBDの治療または予防に使用するための、治療上有効量のミルテホシンまたはペリホシンと、場合により抗炎症薬、副腎皮質ステロイドまたは抗生物質とを含む医薬製剤を提供する。
本発明の態様では、本発明の前記医薬製剤が経口投与によるIBDの治療に使用される。好ましくは、ミルテホシンまたはペリホシンが約10mg〜約250mgの一日量で経口投与される。好ましくは、全一日量が約20mg〜約150mgのミルテホシンまたはペリホシンである。好ましい実施形態では、全一日量が約30mg〜約100mgのミルテホシンまたはペリホシンである。
別の好ましい実施形態では、前記治療が約10mg、約20mg、約50mg、約100mgまたは約150mgの全一日量で1週間に1回、2回または3回の経口投与による。好ましくは、前記治療が2回または3回の等量で複数の一日投与による経口投与による。好ましくは、前記治療が約2週間〜約6週間の期間にわたって継続される経口投与による。別の好ましい実施形態では、前記治療が生涯治療である。
さらなる態様では、本発明は、本発明による医薬製剤と、抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、抗生物質またはインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブおよびナタリズマブからなる群から選択される化合物を含む別の組成物とを含むIBDの治療または予防に使用するためのパーツのキットを提供する。
リンパ球増殖に対するミルテホシン処理の効果を示す図である。リンパ球をPHA(淡色バー)またはSEB(濃色バー)で刺激した。効果をデキサメタゾン処理と比較した。 大腸炎を誘発するためにSCIDマウスに注射するために使用した細胞を示すFACSプロットを示す図である。縦軸はCD4を表し、横軸はCD45RBを表す。プロット中の黒色四角はCD45RB低(左四角)またはCD45RB高(右四角)として使用した細胞を描いている。 ミルテホシンで治療した実験マウス大腸炎モデルにおけるマウスの各群の平均体重を示すグラフである。丸い表示による線は大腸炎を発症しておらず、処理していない対照群を表す。四角い表示による線は、大腸炎を発症しているが、ミルテホシンで処理していないマウスの群を表す。三角形の表示による線は、大腸炎を発症しており、ミルテホシンで処理しているマウスを表す。体重を実験開始時の各マウスの体重の百分率として示す。横軸はマウスの体重を計った日を示す。 実験の最後の各群の実際の平均体重を示す図である。 各群の平均疾患スコアを示す図である。疾患スコアは、結腸の炎症および便の硬さを考慮した累積スコアである。 各群を代表する結腸の写真を示す図である。 実験の最後の各群の実際の平均体重を示す図である。 結腸1cm当たりの各群の結腸の平均重量を示す図である。 各群の結腸の平均重量を示す図である。 各群の脾臓の平均重量を示す図である。 各群を代表するマウス結腸壁の横断面のHE染色を示す図である。 各群の平均病理学スコアを示す図である。病理学スコアは、結腸の炎症の重症度の尺度である。これは上皮細胞過形成、白血球浸潤、杯細胞の喪失、潰瘍化および腺窩膿瘍を考慮する。
定義
本明細書において、「治療する」という用語は、疾患の進行を抑止する、実質的に阻害する、遅くするもしくは逆戻りさせる、疾患の臨床症状を実質的に改善する、または疾患の臨床症状の出現を実質的に予防することを含む。
「予防する」という用語は、対象が最初に障害または疾患を得ることを防ぐことを指す。
本明細書で使用される場合、「炎症性腸疾患(IBD)」という句は、消化管の炎症活性によって特徴付けられる障害または疾患を指す。IBDには、それだけに限らないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、ヨーネ病、ベーチェット症候群、コラーゲン大腸炎、空置性大腸炎、不確定大腸炎(indeterminate colitis)、顕微鏡的大腸炎、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、リンパ球性大腸炎、小腸および/または近位腸の突発性炎症、IBDに関連した下痢、ならびに消化管の密接に関連した疾患および障害が含まれる。
本明細書で使用される「投与する」という用語は、ミルテホシンまたはペリホシンを体内に全身的にまたはIBDに罹患している消化管中の領域もしくは部位に運び入れる方法を指す。
「治療上有効量」という用語は、治療しているIBDの症状の1つまたは複数を少なくともある程度軽減する、投与しているミルテホシンまたはペリホシンの量を指す。
本発明は、ミルテホシンで処理した大腸炎を患っているマウスが、未処理対照と比べて有意に低下した病理学スコアを有したという驚くべき発見に基づく。さらに、本発明者らは、マウスをミルテホシンで予防的に処理することができることも示した。
実施形態
本発明の一態様によると、医薬組成物を経口投与することによってヒトのIBDを治療または予防するための投与計画が提供される。本発明の適当な実施形態の場合では、以下の投与計画が経口投与によってヒトのIBDを治療または予防するのに適している。全投与量:ミルテホシンまたはペリホシン10mg〜250mg、適切には20mg〜150mg、特に30mg〜100mg。1日単一または複数用量:有効成分10mg〜50mgの全一日量を1日1回用量として適切に投与する。有効成分50〜250mg、適切には有効成分50〜150mgの用量を1日複数用量として、適切には1日当たり2回用量(有効成分100mgの全一日量)または1日当たり3回用量(150mgの全一日量)として適切に、毎日経口投与する。ほとんどの患者にとって、これが好ましい実施形態である。1日3回50mgの用量に耐えることができない患者もいる。これらの患者にとっては、50mgの用量1日2回が好ましい。患者のコンプライアンスの観点から、4〜5回用量に分割した一日量を一般的に上限とみなす。しかしながら、予防目的のために、1日当たり1〜5回用量に分割するのと異なって薬剤を投与することも可能である。
適当な実施形態の場合、同じ大きさの1日複数用量を投与する(例えば、1日当たり有効成分100mg=1日当たり有効成分2×50mgまたは1日当たり有効成分150mg=1日当たり有効成分3×50mg)。
本発明のさらなる態様によると、ヒト以外の哺乳動物のIBDを治療または予防するための投与計画が本発明の医薬組成物の経口投与によって利用可能になる。
本発明のさらなる態様によると、医薬組成物と抗炎症薬、副腎皮質ステロイドまたは抗生物質の組み合わせがIBDを治療または予防するための経口投与に利用可能になる。
本発明の適当な実施形態では、医薬組成物が抗炎症薬、副腎皮質ステロイドまたは抗生物質と組み合わせて投与される。後者は同時にまたは連続的に投与することができる。抗炎症薬、副腎皮質ステロイドおよび/または抗生物質は互いに独立に投与することができる。抗炎症薬、副腎皮質ステロイドおよび/または抗生物質は記載の医薬組成物にまたはこれと独立した医薬製剤に含めることができる。好ましい実施形態では、前記抗炎症薬が腫瘍壊死因子(TNF)に対する抗体を含む。
適当な抗炎症薬はアミノサリチレートである。適当な副腎皮質ステロイドには、プレドニソン、メチルプレドニソロンおよびヒドロコルチゾンが含まれる。適当な免疫調節薬には、アザチオプリン、6−MP、シクロスポリン、タクロリムスおよびメトトレキサートが含まれる。適当な抗生物質には、メトロニダゾールおよびシプロフロキサシンが含まれる。好ましい実施形態では、改変タンパク質(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブ、ナタリズマブ)を用いた生物学的療法も使用される。これらのタンパク質は特異的分子(サイトカインTNFαまたはα4β7インテグリン)を標的化する。
固形、経口医薬組成物がIBDの治療または予防に好適に有用である。
実施例
ミルテホシン
リンパ球が刺激されると活性化される異なる分子シグナル伝達経路を研究するために、本発明者らは、複数の医薬阻害剤を使用した。これらのうちの1つがミルテホシン、皮膚乳がん転移の局所治療のために開発されたが[1]、リーシュマニア症[2]、寄生虫感染症[3]の治療で最もよく知られているエーテル脂質薬であった。
薬剤がどのように正確に作用するのかはまだ懸命な調査中である。ミルテホシンは、細胞膜を構成するリン脂質と大きな類似性を有する。ミルテホシンが膜の外層に組み込まれ、特異的なトランスポーター複合体によって活発に内部移行されることが示されている[4]。この複合体は、脂質ラフトとして知られている、膜上のステロール密集領域中に存在する[5]。これらの脂質ラフトは、受容体およびキナーゼが蓄積して細胞の外側からのシグナルを伝達する重要なシグナル伝達プラットホームである[6]
リンパ球増殖に対するミルテホシンの阻害効果
末梢血リンパ球を、フィコール/パーコール密度勾配遠心分離によってバフィーコート(Sanquin)から単離した。要するに、バフィーコートを層フィコールの上面に置き、回転させて末梢血単核細胞を分離した。これらをRPMI1640媒体で洗浄し、高浸透圧パーコール溶液(48.5%パーコール、41.5%HO、10%1.6M NaCl)の上面にのせてリンパ球から単球を分離した。
リンパ球をミルテホシン(61μM)またはデキサメタゾン(1μM)で処理し、10μg/ml植物性凝集素(PHA)または100ng/mlブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)で24時間刺激した。次いで、トリチウム標識チミジン(10μCi/ml)を各ウェルに添加し、一晩置いた。翌朝、MicroBetaカウンターを用いて取り込みを測定した。
グラフは、チミジン取り込みアッセイによって測定されるリンパ球の増殖を示している。値を未処理対照条件に補正した。ミルテホシン処理を合成グルココルチコイドデキサメタゾン、非常に強力な免疫抑制剤による処理と比較した。リンパ球を分裂促進レクチンPHAまたはスーパー抗原SEBで刺激した。後者はインビトロでステロイド抵抗性増殖を引き起こすことが知られている。両方の場合で、ミルテホシンは首尾よく増殖を抑制する。
実験マウス大腸炎モデルにおけるミルテホシン
抗炎症薬としてのミルテホシンの適用を研究するために、ミルテホシンを実験大腸炎移植モデルで試験した。このモデルでは、Tリンパ球およびBリンパ球を欠くSCIDマウスに調節性Tリンパ球(CD4CD45RB)を省いたエフェクターTリンパ球(CD4CD45RB)のみを注射する。調節性Tリンパ球が存在しないために、2ヶ月の期間にわたって、結腸の慢性炎症の発症が引き起こされる。
方法
マウスCD4陽性リンパ球を正常マウス(Balb/cOlaHsd)の脾臓から単離した。脾臓を取り出し、セルストレーナーに押し入れて単一細胞懸濁液を得た。水、すぐに引き続いてPBSを添加して赤血球を溶解した。残っている細胞を、B細胞(抗B220)、マクロファージ(抗Mac−1)および細胞傷害性リンパ球(抗CD8)に特異的な磁気ビーズを用いて負の枯渇によってCD4陽性細胞で富化した。残っている細胞を洗浄し、CD4(CD4−PerCP−Cy5)およびCD45RB(CD45RB−FITC)について標識した。FACSソーターを用いて、細胞を低レベルのCD45RBを発現しているCD4細胞(CD45RB)と高レベルのCD45RBを発現しているCD4細胞(CD45RB)に分離した。
大腸炎を誘発するために、SCIDマウス(C.B−17/lcrHsd−Prkcd)に5・10個のCD45RB細胞を注射した。大腸炎を発症していない対照群には5・10個のCD45RB細胞+2.5・10個のCD45RB細胞を注射した。
試験設計
マウスを各群10匹のマウスを含む3つの群に分けた。第1の群にCD45RBとCD45RBの両方を注射し、大腸炎を発症していない陰性対照群として用いた。2群と3群の両方ともCD45RB細胞のみを受け、大腸炎を発症した。3群のみ経口経管栄養を介してミルテホシン(50mg/kg)を受けた。処理を実験開始2週間後に始め、実験終了まで1週間に2回与えた。全実験期間中1週間に3回マウスの体重を計った。
図3の線は、陰性対照群としての丸い表示(球)による灰色線で、各群の平均体重を表している。この群のマウスの体重は、実験の全60日間にわたって着実に増加した。四角い表示(正方形)による黒色線は陽性対照群である。これらのマウスは結腸の炎症を発症している。この群をミルテホシンで処理した。4群は三角形表示(菱形)による暗線によって表される。42日目まで、これらのマウスの体重は陰性対照群と一致した。しかし、はっきりしない理由のために、これらのマウスは体重増加を続けた2日後に体重の10%を失った。この期間中、マウスは完全に健康に見え、そうあり続けた。
実験の最後での異なる群の平均体重は有意には異なっていない。各マウスの全体的な状態を評価するために、結腸の炎症および浮腫を便の硬さと併せてスコアリングした。スコアの和によって疾患スコアが得られた。陽性対照群と比べて、予防的に処理したマウスは有意に低い疾患スコアを有した。このことはこれらのマウスの挙動および外観でも明らかであった。これらのマウスはより活動的で、毛皮が滑らかであった。
炎症を定量化する別の方法は、結腸の長さおよび重量をスコアリングすることである。炎症が増加するにつれて、長さが減少する。部分的には長さの減少のためであるが、浮腫のために、結腸の重量が増加する。ミルテホシンによる処理によって、結腸重量が有意に改善した。炎症は脾臓を拡大させ重量を増加させ得る。ミルテホシンで処理するとこの増加が有意に減少した。
病理学
各マウスの結腸の一部をパラフィンに包埋し、切断し、ヘマトキシリンおよびエオシン(HE)で染色した。染色クーペを病理学者が盲検的にスコアリングし、結果を図8に要約した。病理学スコアは、上皮細胞過形成、白血球浸潤、杯細胞の喪失、潰瘍化および腺窩膿瘍を考慮する。
ミルテホシンによる処理によって病理学スコアが有意に低下した。腺窩長ならびに粘膜下層および筋層の厚さが明らかに減少する。
結論
ここで、本発明者らは、実験マウス大腸炎モデルにおいて炎症性腸疾患を治療するための経口薬としてのミルテホシンの可能な適用を調査した。処理を実験開始2週間後に始め、実験終了まで1週間に2回与えた。処理1回当たりのミルテホシンの量は50mg/kgである。これは許容される濃度であるが[11]、この濃度が体重に悪影響を及ぼし得ることが報告されている[12]。通常、体重は疾患発症を測定するための優れたパラメータである。しかし、この実験では、体重はマウスの炎症状態と相関しないように思われる。これは、42日目の異常によるが、ミルテホシンの投与量の減少により全体的な体重スコアは改善し得る。高投与量のミルテホシンによる処理はヒト患者で悪心および嘔吐を引き起こすことが知られており、マウスは嘔吐する能力がないが、処理により食欲が低下し得る。
1週間に2回のミルテホシンの経口投薬によって炎症が減少し、マウスの全体的な状態が改善した。体重曲線を除いて、病理学スコアおよび疾患スコアに基づき、この群がうまく治療されたと結論付けることができる。
参考文献
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Claims (11)

  1. 炎症性腸疾患(IBD)の治療または予防に使用するためのミルテホシンまたはペリホシン。
  2. IBDの治療または予防に使用するための、治療上有効量のミルテホシンまたはペリホシンと、場合により抗炎症薬、副腎皮質ステロイドまたは抗生物質とを含む医薬製剤。
  3. 治療が経口投与による、請求項2に記載の医薬製剤。
  4. ミルテホシンまたはペリホシンが約10mg〜約250mgの一日量で経口投与される、請求項3に記載の医薬製剤。
  5. 全一日量が約20mg〜約150mgのミルテホシンまたはペリホシンである、請求項3に記載の医薬製剤。
  6. 全一日量が約30mg〜約100mgのミルテホシンまたはペリホシンである、請求項3に記載の医薬製剤。
  7. 治療が約10mg、約20mg、約50mg、約100mgまたは約150mgの全一日量で1週間に1回、2回または3回の経口投与による、請求項3から6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  8. 治療が2回または3回の等量で複数の一日投与による経口投与による、請求項3から7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  9. 前記経口投与が約2週間〜約6週間の期間または生涯にわたって継続される、請求項3から8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  10. 炎症性腸疾患(IBD)の治療または予防に使用するための、請求項3から9のいずれか一項に記載の医薬製剤と、抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、抗生物質またはインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ベドリズマブおよびナタリズマブからなる群から選択される化合物を含む別の医薬組成物とを含むパーツのキット。
  11. 前記炎症性腸疾患が大腸炎である、請求項1に記載のミルテホシンもしくはペリホシン、請求項2から9のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項10に記載のパーツのキット。
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