JP2016513645A - 肥満の処置および体重の制御のための化合物および方法 - Google Patents

肥満の処置および体重の制御のための化合物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ペプチドおよびペプチド組成物、ならびにそれによる体重の制御および肥満の処置の方法を提供する。

Description

[優先権の言明]
本出願は、合衆国法典第35巻第119条(e)に基づき、2013年3月12日に出願された米国特許出願第61/777,773号および2013年9月11日に出願された米国特許出願第61/876,592号の利益を主張し、これらのそれぞれの全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
[政府援助の言明]
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)により授与された認可番号AG02331およびAR061164に基づく政府援助でなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
[発明の分野]
本発明は、ペプチド、そのペプチドを含有する医薬製剤、ならびに体重の制御および肥満の処置におけるそれらの使用方法に関する。
インスリン様成長因子結合タンパク質−2(IGFBP−2)は、IGFBPファミリーのメンバーである、36,000ダルトンのタンパク質である。6つの型の高親和性IGF結合タンパク質がある。これらのタンパク質は、インスリン様成長因子IおよびIIと結合して輸送タンパク質として作用することに加えて、それらのIGFに結合する能力とは無関係のいくつかの作用をもつことが知られている。
IGFBP−2は、血清中で2番目に豊富な結合タンパク質である。それは、ヒトにおいて100〜600ng/mlの間で変動する濃度で循環している。タンパク質濃度は、胎児期中および出生時において高く、小児期および青年期中、徐々に降下する。60〜80歳の間にわずかな上昇、およそ25%の増加が生じる。IGFBP−2の血清中濃度は、ホルモンおよび栄養素によって調節されている。空腹は、IGFBP−2のかなりの増加を引き起こし、摂食(特に、タンパク質を摂食すること)は、濃度を正常へと回復させる。濃度はまた、インスリンまたは成長ホルモンの投与によっても抑制され、インスリン様成長因子−1(IGF−1)により増加する。これは、一つには、成長ホルモンおよびインスリンの抑制による可能性があり、それらのどちらもIGF−1を投与することにより抑制される。
本発明は、IFGBP−2のペプチド、ならびに肥満の処置および体重の制御におけるそれらの使用方法を提供することにより当技術分野における以前の欠陥を克服する。
一態様において、本発明は、X101112131415161718のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドであって、式中、
はK、HまたはRであり、
はH、RまたはKであり、
はG、AまたはPであり、
はL、R、IまたはVであり、
はY、FまたはMであり、
はNまたはQであり、
はL、VまたはIであり、
はK、RまたはHであり、
はQ、NまたはSであり、
10はCであり、
11はK、HまたはRであり、
12はM、F、W、またはYであり、
13はS、T、NまたはQであり、
14はL、VまたはIであり、
15はN、QまたはSであり、
16はG、A、SまたはPであり、
17はQ、N、SまたはTであり、
18はR、KまたはHである、単離されたペプチドを提供する。
さらなる態様において、本発明は、X10111213のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドであって、式中、
はK、HまたはRであり、
はH、RまたはKであり、
はG、AまたはPであり、
はL、R、IまたはVであり、
はY、FまたはMであり、
はNまたはQであり、
はL、VまたはIであり、
はK、RまたはHであり、
はQ、NまたはSであり、
10はCであり、
11はK、HまたはRであり、
12はM、F、W、またはYであり、
13はS、T、NまたはQである、単離されたペプチドを提供する。
一態様において、本発明は、a)アミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを含むペプチド;b)アミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを含むペプチドであって、任意の組合せで、位置1におけるKがRもしくはHと置換され、位置2におけるHがRもしくはKと置換され、位置8におけるKがRもしくはHと置換され、位置11におけるKがRもしくはHと置換され、位置18におけるRがKもしくはHと置換される、ペプチド;またはc)上記の(a)もしくは(b)のいずれかの薬学的に許容される塩であって、前記ペプチドが完全長インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP−2)ではない、ペプチドを提供する。
さらなる態様において、本発明のペプチドは、そのN末端、そのC末端、またはそのN末端とC末端の両方に(例えば、前記ペプチドのN末端および/またはC末端に含まれる反応性システイン残基を介して)連結したポリアルキレングリコール部分を含むことができる。
追加の態様において、本発明のペプチドは、薬学的に許容される担体を含む組成物において存在することができる。いくつかの態様において、前記組成物は、体重制御剤(weight control agent)をさらに含むことができ、その体重制御剤は、食欲抑制剤、リパーゼ阻害剤、抗うつ剤、抗けいれん剤、抗前脂肪細胞分化因子、およびそれらの組合せであり得るが、それらに限定されない。
追加の実施形態において、本発明は、対象において脂肪細胞分化を阻害する方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。
対象において体重増加を阻害する方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法もまた本明細書で提供される。
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において体重を低下させる方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、対象において体脂肪量を低下させる方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、対象(例えば、体重を制御することを必要としている対象)において体重を制御するための方法であって、本発明の組成物またはペプチドを、体重を制御するのに有効な量で前記対象に投与することを含む方法を提供する。
加えて、本発明は、対象(例えば、肥満を処置することを必要としている対象)において肥満を処置する方法であって、本発明の組成物またはペプチドを、肥満を処置するのに有効な量で前記対象に投与することを含む方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載されている方法を行うための、および/または本明細書に記載されている方法を行うための薬物の調製のための、本明細書に記載されているペプチドまたは組成物の使用である。
本発明は、下記で、より詳細に説明される。
IGFBP−2およびそれのヘパリン結合ドメインは、IGFBP−2ヌルマウスから単離された前脂肪細胞の分化を阻害する。(A)IGFBP−2−/−マウス由来の初代前脂肪細胞を、本明細書に記載された手順に従って鼠径部脂肪パッドから単離した。コンフルエンスに達してから2日後、細胞を分化培地で処理した(DM、レーン1〜8)。その後、この培地にHBD1ペプチド(HBD1、レーン2);スクランブル化HBD1ペプチド(HBD1 Ctrl、レーン3);HBD2ペプチド(HBD2、レーン4);IGFBP−5 C末端HBDペプチド(HBD2 Ctrl、レーン5);突然変異型HBD1配列を含むIGFBP−2タンパク質(HBD1突然変異体IGFBP2、レーン6);突然変異型HBD2配列を含むIGFBP−2(HBD2突然変異体IGFBP2、レーン7);または天然IGFBP−2(WT IGFBP−2、レーン8)を追加した。細胞可溶化液を、抗アディポネクチン抗体、抗aP2抗体、および抗PPARγ抗体、それぞれでイムノブロット(IB)した。負荷対照として、ブロットを抗β−アクチン抗体でイムノブロットした。3つの別個の実験からの結果の定量的分析を実施し、結果は、β−アクチン発現に対して表されている。各値は、平均値±SEを表す。p<0.05および**p<0.01は、2つの処理間の有意差を意味する。p,NSは、2つの処理間での有意差なしを示す。(B)IGFBP−2−/−マウスから単離された前脂肪細胞を、分化培地(DM)、DM+野生型IGFBP−2(Wt IGFBP2)、またはDM+IGF−I非結合性IGFBP2(IGF−I NB IGFBP−2)のいずれかで処理した。細胞可溶化液を、抗アディポネクチン抗体、抗aP2抗体、および抗PPARγ抗体、それぞれでイムノブロット(IB)した。負荷対照として、ブロットを抗β−アクチン抗体でイムノブロットした。 IGFBP−2、IGFBP−2突然変異体、または異なるヘパリン結合ドメインを含有するペプチドに曝されたIGFBP−2−/−前脂肪細胞のオイルレッドO染色。IGFBP−2−/−マウス由来の初代前脂肪細胞を、標準培地中で培養した。それらがコンフルエンスに達してから2日後、分化培地(DM)単独か、またはIGFBP−2 HBD1配列を含有するペプチド(HBD1)、スクランブル化HBD1配列を含有するペプチド(HBD1 Ctrl)、置換型HBD1配列を含有するIGFBP−2の突然変異型(HBD1 MP)、野生型ウシIGFBP−2(WT IGFBP−2)、IGFBP−2 HBD2配列を含有するペプチド(HBD2)、IGFBP−5 C末端HBD配列を含有するペプチド(HBD2 Ctrl)、もしくは置換型HBD2配列を含有するIGFBP−2の突然変異型(HBD2 MP)を加えたこの培地かのいずれかで、細胞を処理した。48時間後、培地を、0.5mMインスリンを加えた標準培地に交換した。さらに48時間後、培地を標準培地に交換した。培養物を、本明細書における手順に従ってオイルレッドOで染色した。結果を、ImageJソフトウェアを用いて定量化し、全面積(ピクセル)で割られたオイルレッドO陽性の面積(ピクセル)として表した。***p<0.001は、2つの処理間の有意差を示す。p,NSは、2つの処理間での有意差なしを示す。3つの独立した実験の代表的な画像が示されている。 IGFBP−2のヘパリン結合ドメインは、IGFBP−2−/−マウスにおいて体重増加を抑制するが、グルコース代謝および食物摂取量に影響しない。IGFBP−2−/−マウスを、IGFBP−2 HBD1配列を含有するペグ化合成ペプチド(PegHBD1、n=8)、IGFBP−2 HBD2配列(PegHBD2、n=10)、またはペグ化合成対照ペプチド(PegCtrl、n=18)のいずれかで、本明細書に記載された手順に従って、12週間、処置した。野生型マウス(Wt、n=8)にリン酸緩衝食塩水を注射した。(A)週1回の時点でのマウスの平均体重増加を各群について計算した。(B)1日の平均飼料摂取量を各群について計算した。(C)経口グルコース負荷試験を、全ての群のマウスにおいて、12週間の処置後、本明細書に記載された手順に従って実施した。各バーの値は平均値±SEを表す。異なる文字は、2つの処置間の有意差を表す。 IGFBP−2のヘパリン結合ドメインは、IGFBP−2−/−マウスにおいて、体脂肪量増加を抑制し、除脂肪体重の減少を防ぐ。IGFBP−2−/−マウスを、図3の説明に記載されているように処置した。各群からの体脂肪量および除脂肪体重を、Echo−MRIスキャニングを用いて、0週間目および12週間目、それぞれにおいて分析した。各群における0週間目と12週間目の間での総脂肪量または非脂肪量の変化は、体重に占めるパーセンテージとして表された脂肪量または非脂肪量の変化として提示されている(A、B)。各バーの値は平均値±SEを表す。p<0.05は、2つの処置間の有意差を示す。 IGFBP−2のヘパリン結合ドメインは、IGFBP−2−/−マウスにおいて、鼠径部脂肪および内臓脂肪形成を抑制する。IGFBP−2−/−マウスを、図3の説明に記載されているように処置した。屠殺時に、各マウスの肝臓および心臓を収集し、重量を測定した(A)。鼠径部脂肪および内臓脂肪を、本明細書に記載された手順に従って解剖し、重量を測定した。結果は、体重に占めるパーセンテージとして表された鼠径部脂肪量または内臓脂肪量として示されている(B、C)。各バーの値は平均値±SEを表す。p<0.05および**p<0.01は、2つの処置間の有意差を示す。p,NSは、2つの処置間での有意差なしを示す。 IGFBP−2のヘパリン結合ドメインは、IGFBP−2−/−マウスにおいて、脂肪パッドトリグリセリド含有量および血清中アディポネクチンレベルを減少させるが、HBD2は血清中レプチンを刺激する。IGFBP−2−/−マウスを、図3の説明に記載されているように処置した。12週間目の終わりに、各マウスから、それらが屠殺される前に、血液を収集した。(A)右鼠径部脂肪パッド中のトリグリセリドレベルを、本明細書に記載された手順に従って測定した。血清中アディポネクチンレベル(B)およびレプチンレベル(C)を製造会社の使用説明書に従って測定した。各バーの値は平均値±SEとして表されている。p<0.05および**p<0.01は、2つの処置間の有意差を示す。 IGFBP−2−/−マウス由来の初代前脂肪細胞を、標準培地中で培養した。(A)それらがコンフルエンスに達してから2日後、分化培地(DM)単独か、または野生型IGFBP−2(Wt IGFBP2)、マウスIGFBP−2 HBD1配列を含有するペプチド(mHBD1)、およびヒトIGFBP−2 HBD1配列を含有するペプチド(hHBD1)を加えたこの培地のいずれかで細胞を処置した。細胞可溶化液を、抗アディポネクチン抗体でイムノブロット(IB)した。負荷対照として、ブロットを抗β−アクチン抗体でイムノブロットした。(B)分化培地(DM)単独でか、またはHBD1ペプチド(HBD1)、HBD2ペプチド(HBD2)、IGF−I(100ng/ml、DM+IGF−I)、IGF−I+HBD1(DM+I+HBD1)、IGF−I+HBD2(DM+I+HBD2)、および野生型IGFBP−2(Wt IGFBP2)を加えたこの培地のいずれかで細胞を処置した。細胞可溶化液を、抗アディポネクチン抗体、抗aP2抗体、および抗PPARγ抗体、それぞれでイムノブロット(IB)した。負荷対照として、ブロットを抗β−アクチン抗体でイムノブロットした。 卵巣切除した(OVX)マウスの4週間のHBD−2処置後、体重および総脂肪量は有意に減少している。
本発明は、下記で、より詳細に説明される。この説明は、本発明が実行される可能性がある全ての異なる方法の、または本発明に加えられる可能性がある全ての特徴の詳細な目録であることを意図するものではない。例えば、一実施形態に関して例証された特徴は、他の実施形態へ組み込まれてもよいし、特定の実施形態に関して例証された特徴が、その実施形態から削除されてもよい。加えて、本発明から逸脱しない、本明細書に示唆された様々な実施形態への多数のバリエーションおよび付加は、本開示を鑑みれば、当業者には明らかだろう。したがって、以下の特定化は、本発明のいくつかの特定の実施形態を例証することを意図され、それらの全ての順列、組合せ、およびバリエーションを余すところなく特定化することを意図するものではない。
本明細書に引用された全ての特許、特許公開、および非特許文書の開示は、全体として参照により本明細書に組み入れられている。
本発明は、脂肪細胞分化を阻害する、IGBP−2タンパク質内に含有されるペプチドの予想外の発見に基づいている。そのようなペプチドは、体重の制御および肥満の処置において治療的用途をもつ。本発明は、IGFBP−2のペプチド(例えば、ヘパリン結合ドメイン2(HBD2))により肥満を処置する方法、体重制御の方法、および脂肪形成を阻害する方法において用いることができる。
したがって、ある特定の実施形態において、本発明は、X101112131415161718のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドであって、式中、
はK、HまたはRであり、
はH、RまたはKであり、
はG、AまたはPであり、
はL、R、IまたはVであり、
はY、FまたはMであり、
はNまたはQであり、
はL、VまたはIであり、
はK、RまたはHであり、
はQ、NまたはSであり、
10はCであり、
11はK、HまたはRであり、
12はM、F、WまたはYであり、
13はS、T、NまたはQであり、
14はL、VまたはIであり、
15はN、QまたはSであり、
16はG、A、SまたはPであり、
17はQ、N、SまたはTであり、
18はR、KまたはHである、単離されたペプチドを提供する。
さらなる態様において、本発明は、X10111213のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドであって、式中、
はK、HまたはRであり、
はH、RまたはKであり、
はG、AまたはPであり、
はL、R、IまたはVであり、
はY、FまたはMであり、
はNまたはQであり、
はL、VまたはIであり、
はK、RまたはHであり、
はQ、NまたはSであり、
10はCであり、
11はK、HまたはRであり、
12はM、F、WまたはYであり、
13はS、T、NまたはQである、単離されたペプチドを提供する。
したがって、本発明は、XからX18までと定義される18個のアミノ酸(すなわち、18マーのペプチド)を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得るペプチドを提供し、XからX17までと定義される17個のアミノ酸(すなわち、17マーのペプチド)を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得るペプチドを提供し、XからX16までと定義される16個のアミノ酸(すなわち、16マーのペプチド)を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得るペプチドを提供し、XからX15までと定義される15個のアミノ酸(すなわち、15マーのペプチド)を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得るペプチドを提供し、XからX14までと定義される14個のアミノ酸(すなわち、14マーのペプチド)を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得るペプチドを提供し、XからX13までと定義される13個のアミノ酸(すなわち、13マーのペプチド)を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得るペプチドを提供し、およびXからX12までと定義される12個のアミノ酸(すなわち、12マーのペプチド)を含み得、それから本質的になり得、またはそれからなり得るペプチドを提供する。
本発明はまた、a)アミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを含み、それから本質的になり、またはそれからなるペプチド;b)アミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを含むペプチドであって、任意の組合せで、位置1におけるKがRもしくはHと置換され、位置2におけるHがRもしくはKと置換され、位置8におけるKがRもしくはHと置換され、位置11におけるKがRもしくはHと置換され、位置18におけるRがKもしくはHと置換される、ペプチド;またはc)上記の(a)もしくは(b)のいずれかの薬学的に許容される塩であって、前記ペプチドが完全長インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP−2)ではない、ペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドは、そのN末端、そのC末端、またはそのN末端とC末端の両方に連結したポリアルキレングリコール部分を含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリアルキレングリコール部分は、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。いくつかの実施形態において、PEGは、約10,000g/molから約30,000g/molまでの分子量を有し得る。
いくつかの実施形態において、単離されたペプチドは、そのペプチドを安定化するために、当業界で公知のような非天然アミノ酸を含むことができる。いくつかの実施形態において、単離されたペプチドは、そのペプチドの血漿中滞留時間を増加させる(例えば、半減期を延ばす)ために、当業界で公知の方法に従って修飾することができる。例えば、PollaroおよびHeinis「Strategies to prolong plasma residence time of peptide drugs」Med Chem Commun 1:319〜324(2010)(その全内容は参照により本明細書に組み入れられている)を参照されたい。
薬学的に許容される担体中に本発明の単離されたペプチドを含む組成物(例えば、医薬製剤)もまた本明細書において提供される。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドまたは組成物を対象に投与する方法は、そのペプチドまたは組成物の投与の前、後、および/またはそれと同時に体重制御剤を対象に投与することをさらに含むことができる。本発明の体重制御剤の非限定的な例には、当業界で公知のように、食欲抑制剤、リパーゼ阻害剤、抗うつ剤、抗けいれん剤、抗前脂肪細胞分化因子、およびそれらの任意の組合せが挙げられる。
本発明のペプチドおよび組成物を用いる方法もまた本明細書において提供される。したがって、本発明は、対象(例えば、体重の制御および/または肥満の処置を必要としている対象)において体重の制御および/または肥満の処置のための方法であって、本発明のペプチドおよび/または組成物を、体重の制御および/または肥満の処置に有効な量で前記対象に投与することを含む方法を提供する。
対象において体重の制御および/または肥満の処置のための方法のいくつかの実施形態において、ペプチドまたはそのペプチドを含む組成物は、1つもしくは複数の体重制御剤と共同的に、ならびに/または、1つもしくは複数の体重制御剤の投与の前および/もしくは後に、対象に投与することができる。
対象において体重増加を阻害する方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法もまた本明細書において提供される。
加えて、対象において脂肪形成を阻害する方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法が本明細書において提供される。
対象において体重を低下させる方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法が本明細書においてさらに提供される。
さらに、本発明は、対象において脂肪量を低下させる方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。
加えて、対象において肥満を処置する方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法が本明細書において提供される。
本発明のいくつかの実施形態において、対象はインスリン抵抗性をもち、本発明のいくつかの実施形態において、対象はインスリン抵抗性をもたない。
本発明の方法において、本発明のペプチドおよび/または組成物の量は、前記対象において体重増加を低下させ、もしくは体重減少を誘導するのに有効な量、および/または前記対象の肥満度指数を低下させるのに有効な量である。
本発明の方法のいくつかの実施形態において、対象は、少なくとも約25kg/mの肥満度指数を有し得、いくつかの実施形態において、対象は、少なくとも約30kg/mの肥満度指数を有し得る。
本発明のいくつかの実施形態において、ペプチドおよび/または組成物は、少なくとも約16週間または約24週間の期間、投与することができる。
本発明の方法のいくつかの実施形態において、ペプチドおよび/または組成物は、前記対象が、少なくとも5%の体重減少を達成するまで、または前記対象の肥満度指数が約25kg/m未満まで低下するまで、投与することができる。
本発明の方法のいくつかの実施形態において、ペプチドおよび/または組成物は、前記対象において脂肪減少を誘導するのに有効である量で、および/または前記対象において脂肪細胞分化を阻害する(例えば、脂肪細胞前駆体の成熟脂肪細胞への分化を阻害する)のに有効である量で投与される。したがって、追加の実施形態において、本発明は、対象において脂肪細胞分化を阻害する方法であって、本発明のペプチドまたは組成物の有効量を前記対象に投与することを含む方法を提供する。
本発明のさらなる態様は、本発明の方法を行うための薬物の調製における本発明のペプチドおよび/または組成物の使用を含む。
追加の態様は、本発明の方法を行うための本発明のペプチドおよび/または組成物の使用である。
いくつかの実施形態において、対象は肥満または過体重である。いくつかの実施形態において、対象は肥満または過体重ではない。
本発明の任意の特定の活性化合物の治療的有効量または用量は、化合物ごと、および患者ごとに異なり、とりわけ、達成されるべき効果もしくは結果、患者の状態、および/または送達経路に依存する。いくつかの実施形態において、約0.001mg/kg(すなわち、1μg/kg)、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0mg/kgから約30、40、もしくは50mg/kgまで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50mg/kg)またはそれ以上の用量が用いられ得る。
本発明の化合物または組成物の投与は、任意の適切な経路によってもよく、それには、クモ膜下腔内注射、皮下、皮膚、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内注射、経鼻、口腔内、舌下、吸入により、インプラント中、マトリックス中、ゲル中、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
A.定義
本明細書で用いられる場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、または「その(the)」は、1つ、または1つより多いことを意味する場合がある。例えば、「1つの(a)」細胞は、単一細胞または多数の細胞を意味する場合がある。
また本明細書で用いられる場合、「および/または」は、関連の列挙された項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組合せを指し、かつ包含し、加えて、選択的に解釈される(「または(or)」)場合には組合せを欠く。
本明細書で用いられる場合、投与量(例えば、脂肪酸の量)などの測定可能な値を指す時の用語「約」は、特定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、またはさらに±0.1%の変動を包含することを意図される。
本明細書で用いられる場合、移行句「から本質的になる」(および文法上の変化形)は、列挙された材料またはステップ、「および特許請求された発明の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しない材料またはステップ」を包含すると解釈されるものとする。したがって、本明細書で用いられる場合、用語「から本質的になること」は、「を含む」と同等として解釈されないものとする。
本明細書で用いられる場合、「対象」は、体重制御または肥満の処置が必要であり、または望まれる任意の動物を含む。本発明の対象は、体重制御または肥満の処置を必要としている対象であり得、したがって、いくつかの実施形態において、本発明の方法の対象は、肥満もしくは過体重であり得、および/または肥満もしくは過体重になりやすくあり得る。いくつかの実施形態において、本発明の対象は、体重制御を望む対象、または体重制御が望まれる対象であり得、そのような対象は、肥満または過体重であってもなくてもよい。いくつかの実施形態において、本発明の対象は、哺乳類対象であり得、それはヒト対象であり得る。本発明の対象は、男性または女性であり得、任意の人種または民族性であってもよく、それには、カフカス人、アフリカ系アメリカ人、アフリカ人、アジア人、スペイン系人、インド人などが挙げられるが、それらに限定されない。対象は、任意の年齢であってもよく、それには、生まれたばかりの新生児、生後28日未満の新生児、幼児、小児、青年、成人、および老人が挙げられる。対象にはまた、獣医学として、または医薬品開発を目的とした、動物対象、特にイヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、齧歯類(例えば、ラットおよびマウス)、ウサギ、霊長類(非ヒト霊長類を含む)などの哺乳類対象が挙げられ得る。
用語「処置する」、「処置すること」、または「の処置」(およびそれらの文法上の変化形)とは、対象の状態の重症度が低下し、少なくとも部分的に改善し、もしくは寛解すること、および/または少なくとも1つの臨床症状のある程度の軽減、緩和、もしくは減少が達成されること、および/または疾患もしくは障害の進行の遅延があることを意味する。
本明細書で用いられる場合、「処置する」、「処置すること」、または「処置」はまた、疾患または障害をもつ対象に利益を与える任意の型の行動または投与を指し、その利益には、患者の状態の改善(例えば、1つまたは複数の症状の低減または寛解)、治癒などが挙げられる。
本明細書で用いられる場合、「処置有効」量は、対象を(本明細書で定義されているように)処置するのに十分である量である。ある程度の利益が対象に与えられる限り、治療効果が、必ずしも完全または治癒的である必要はないことを当業者は認識しているだろう。
本明細書で用いられる場合、用語「治療的有効量」および「有効量」は、他に指示がない限り、同じ意味であり、処置されことになっている状態、疾患、もしくは障害を改善し、および/または所望の利益もしくは目標(例えば、体重の制御)を達成するのに十分である、本発明の化合物、ペプチド、または組成物の量を意味する。治療的有効量、加えて、剤形、投与経路、および投薬頻度を含む、本発明の対象への本発明の化合物の有効な投与に関連した他の因子の決定は、処置され、または取り組まれることになっている対象および状態、特定の対象における状態の重症度、用いられることになっている特定の化合物、用いられることになっている特定の投与経路、投薬の頻度、ならびに用いられることになっている特定の製剤を含む、遭遇する条件の詳細に依存し得る。本発明の対象についての治療的に有効な処置計画の決定は、医学または獣医学分野の当業者レベルの範囲内である。臨床用途において、有効量は、米国食品医薬品局または相当する外国の機関により推奨される量であり得る。単一の剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置されることになっている対象および特定の投与様式に依存して異なる。
用語「予防する」、「予防すること」、または「の予防」(およびそれらの文法上の変化形)は、本発明の方法を行わない場合に起こるだろうことと比べての、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生および/もしくは進行の予防および/もしくは遅延、ならびに/または疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生および/もしくは進行の重症度の低下を指す。代表的な実施形態において、用語「予防する」、「予防すること」、または「の予防」(およびそれらの文法上の変化形)は、臨床疾患の他の徴候の有無にかかわらず、対象におけるウイルス血症の発生および/または進行の予防および/または遅延を指す。予防は、完全、例えば、疾患、障害、および/または臨床症状の全くの欠如であり得る。予防はまた、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の出現率、ならびに/または発生および/もしくは進行の重症度が、本発明の方法を行わない場合に起こるだろうものより低いような、部分的であり得る。
本明細書で用いられる場合、「予防有効」量は、対象において疾患、障害、および/または臨床症状を(本明細書で定義されているように)予防するのに十分である量である。ある程度の利益が対象に与えられる限り、予防のレベルが、必ずしも完全である必要はないことを当業者は認識しているだろう。
本明細書で用いられる場合、「共同的に(concurrently)投与すること」または「同時に(concurrently)投与する」は、2つ以上の化合物または組成物が複合効果を生じるのに十分な程度、時間的に接近して投与されることを意味する(すなわち、「共同的に」は「同時に」であってもよく、またはそれは、互いの前後の短い時間内に、例えば逐次的に、起こる2つ以上の事象であってもよい。)。同時投与または共同的な投与は、投与前に化合物を混合することにより、または同じ時点であるが、異なる解剖学的部位に化合物を投与することにより、および/または異なる投与経路を用いることにより、行われてもよい。
本明細書で用いられる場合、「薬学的に許容される」は、化合物または組成物が、疾患の重症度および処置の必要性を考慮して過度に有害な副作用なしに、本明細書に記載された処置を達成するのに対象への投与に適していることを意味する。
本明細書で用いられる場合、「体重制御剤」は、任意の体重制御剤を含み、それには、当業界で公知のような、抗前脂肪細胞分化因子;シブトラミン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジンなどの食欲抑制剤;オルリスタットなどのリパーゼ阻害剤;ブプロピオンなどの抗うつ剤;トピラメート、ゾニサミド、およびメトホルミンなどの抗けいれん剤が挙げられるが、それらに限定されない。
本明細書で用いられる場合、「ポリアルキレンオキシド」は知られており(例えば、米国特許第7,462,687号参照)、それには、ポリ(エチレングリコール)、すなわち「PEG」が挙げられる。追加の例は、SまたはNなどのヘテロ原子を含有してもよく、典型的には、O−(CHCHO)−、−O−C(O)CH−O−(CHCHO)−CHC(O)−O−、−NRCHCH2−O−(CHCHO)−CHCHNR−、および−SHCHCH−O−(CHCHO)−CHCHSH−などの直鎖ポリアルキレンオキシドであり、ここで上記式中、RはHまたは低級アルキル(好ましくはメチル)であり、xは、分子について約1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、15,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、または100,000ダルトンまたはそれ以上の総数平均分子量をもたらすかまたは生じる整数である。
本明細書で用いられる場合、「類似体」は、その親化合物の生理学的活性を有するペプチド、および天然に存在する親ペプチドのアミノ酸配列とは異なる1個または複数(例えば、2個、3個、4個、5個、または6個、またはそれ以上)のアミノ酸を含むペプチドである。そのような類似体は、好ましくは、親ペプチドの生理学的活性の少なくとも約70%を有する。そのような異なるアミノ酸は、付加、置換、欠失、またはそれらの組合せであってもよく、それには、非天然の側鎖基の付加およびバックボーンリンクが挙げられる。ペプチドの、その類似体を作製する修飾は、知られている。例えば、米国特許第7,323,543号参照;米国特許第7,482,171号、第7,459,152号、および第7,393,919号も参照されたい。
B.活性化合物
本明細書で用いられる場合、アミノ酸の一文字コードは以下である:A(Ala)、C(Cys)、D(Asp)、E(Glu)、F(Phe)、G(Gly)、H(His)、I(Ile)、K(Lys)、L(Leu)、M(Met)、N(Asn)、P(Pro)、Q(Gln)、R(Arg)、S(Ser)、T(Thr)、V(Val)、W(Trp)、およびY(Tyr))。
ヒトインスリン様成長因子結合タンパク質−2(IGFBP−2)のアミノ酸配列が下記に示されている。ペプチドKHGLYNLKQCKMSLNGQRは、下記の配列において太字で示されている。
本発明の活性化合物の非限定的な例には、アミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを含むか、それから本質的になるか、もしくはそれからなるペプチドが挙げられ、アミノ酸配列KHGRYNLKQCKMSLNGQRを含むか、それから本質的になるか、もしくはそれからなるペプチドが挙げられ、およびアミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを含むか、それから本質的になるか、もしくはそれからなるペプチド(このペプチドに示された18個のアミノ酸は、N末端からC末端まで連続して1〜18の番号が付けられている)であって、任意の組合せで、位置1におけるKがRもしくはHと置換され、位置2におけるHがRもしくはKと置換され、位置8におけるKがRもしくはHと置換され、位置11におけるKがRもしくはHと置換され、位置18におけるRがKもしくはHと置換される、ペプチド、または上記で示されたペプチドのいずれかのプロドラッグ、類似体、および/もしくは薬学的に許容される塩が挙げられる。本発明のペプチドは、完全長インスリン様成長因子結合タンパク質−2(IGFBP−2)ではない。
本発明のペプチドにおけるアミノ酸は、DまたはLの立体配置であり得る。例えば、全てDの立体配置であるか、全てLの立体配置であるか、任意の組合せでいくつかのDおよびいくつかのLの立体配置であり得る。
本発明の活性化合物の非限定的な例には、本発明のペプチド、その類似体、そのいずれかのプロドラッグ、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明の化合物の追加の例には、最初の1個、2個、3個、4個、もしくは5個のアミノ末端アミノ酸が欠失しており、および/または最初の1個、2個、3個、もしくは4個のC末端アミノ酸が欠失している、前述の化合物のいずれか、または全てが挙げられる。
本発明の化合物の追加の例には、前述の化合物に連結した、任意の型の1個、2個、3個、4個、もしくは5個の付加のカルボキシ末端アミノ酸および/または任意の型のN末端アミノ酸を有する、前述の化合物のいずれかまたは全てが挙げられる。
本発明の化合物の追加の例には、前述の化合物のN末端かもしくはC末端のいずれか、またはN末端とC末端の両方に連結した、10,000〜30,000の分子量のポリ(エチレングリコール)(すなわち、「PEG」)部分を有する、前述の化合物のいずれかまたは全てが挙げられる。
「ポリアルキレングリコール」は、限定されるわけではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ならびにポリブチレングリコール(PBG)、加えて、PEG、PPG、およびPBGの任意の組合せでのコポリマーを含む、直鎖状または分岐型ポリアルキレングリコールポリマーを意味し、ポリアルキレングリコールのモノアルキルエーテルを含む。したがって、本発明の様々な実施形態において、本発明の組成物におけるポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびそれらの任意の組合せであり得るが、それらに限定されない。
ある特定の実施形態において、組成物のポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、すなわち、「PEG」である。用語「PEGサブユニット」は、単一のポリエチレングリコール単位、すなわち、−(CHCHO)−を指す。
いくつかの実施形態において、ポリアルキレングリコール(例えば、PEG)は、多分散せず、単分散し、実質的に単分散し、純粋に単分散し、または実質的に純粋に単分散し得る。
「単分散した」は、混合物における化合物の約100パーセントが同じ分子量をもつ、化合物の混合物を記載するために用いられる。
「実質的に単分散した」は、混合物における化合物の少なくとも約95パーセントが同じ分子量をもつ、化合物の混合物を記載するために用いられる。
「純粋に単分散した」は、混合物における化合物の約100パーセントが同じ分子量をもち、かつ同じ分子構造をもつ、化合物の混合物を記載するために用いられる。したがって、純粋に単分散した混合物は、単分散した混合物であるが、単分散した混合物は、必ずしも純粋に単分散した混合物であるとは限らない。
「実質的に純粋に単分散した」は、混合物における化合物の少なくとも約95パーセントが同じ分子量をもち、かつ同じ分子構造をもつ、化合物の混合物を記載するために用いられる。したがって、実質的に純粋に単分散した混合物は、実質的に単分散した混合物であるが、実質的に単分散した混合物は、必ずしも実質的に純粋に単分散した混合物であるとは限らない。
細胞内部位に標的化される化合物の生物学的利用率は、投与および分布のために十分に極性でありながらも、なお細胞の非極性脂質二重層を介して分散するのに十分に非極性であるという必要条件によって決まる(Begley、Journal of Pharmacy&Pharmacology 48:136〜146(1996))。細胞膜を横切っての合成化合物の送達のためのストラテジーは、産業と大学の両方の研究者によって調査されてきた(R.Service、Science 288:28〜29(2000))。正荷電の陽イオン性ペプチドは、受容体または特定の輸送機構とは無関係に、細胞膜を横断することが知られている(Schwarzeら、Science 285:1569〜1572(1999);Hoら、Cancer Research 61:474〜477(2001);Morrisら、Nature Biotechnology 19:1173〜1176(2001);Poogaら、FASEB Journal 12:67〜77(1998);Derossiら、Journal of Biological Chemistry 271:18188〜18193(1996);Pieterszら、Vaccine 19:1397〜1405( 2001);ElliottおよびO’Hare、Cell 88:223〜233(1997);Dererら、FASEB Journal 16:132〜133(2002);Willら、Nucleic Acids Research 30:e59(2002);Rothbardら、Journal of Medicinal Chemistry 45:3612〜3618(2002);Chenら、Chemistry&Biology 8:1123〜1129(2001);Wenderら、Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 97:13003〜13008(2000))。輸送には、塩基性アミノ酸(アルギニンおよびリジン)を含有する、高荷電の短いペプチド(約10〜20個のアミノ酸)であり、かつ水素結合を形成する能力を有するタンパク質形質導入ドメイン(PTD)が関与している。PTDの細胞膜を横断する能力も濃度依存性である。
核酸、ペプチド、およびさらに大きいタンパク質のこれらのPTDへの付着は、それらの全ての細胞膜を横切っての高効率様式での形質導入を可能にする(SchwarzeおよびDowdy、Trends in Pharmacological Sciences 21:45〜48(2000))。潜在的なDNA結合タンパク質であるという共通の特性を共有する以下の3つのPTDが記載されている:HIV−TAT、VP22、およびアンテナペディア(Schwarzeら、Science 285:1569〜1572(1999);Derossiら、Journal of Biological Chemistry 271:18188〜18193(1996);ElliottおよびO’Hare、Cell 88:223〜233(1997))。
HIVゲノムのHIV−TAT(転写のトランス活性化因子(trans−activator of transcription)、「TAT」)由来のPTD(例えば、細胞透過性ペプチド(CPP))は、付着したペプチド、大きいタンパク質、および核酸を、脳を含む事実上全ての細胞膜を横切って非受容体媒介性形式で移動させる能力を有する(Schwarzeら、Science 285:1569〜1572(1999);Caoら、Journal of Neuroscience 22:5423〜5431(2002);Gustafssonら、Circulation 106:735〜739(2002);Nagaharaら、Nature Medicine 4:1449〜1452(1998))。付着したタンパク質は、細胞の内部に入るとすぐに、活性立体構造にリフォールディングされ、生物学的に活性である。GreenおよびLowensteinにより1988年に最初に記載された完全長TATタンパク質は、HIVウイルスによりコードされる86個のアミノ酸タンパク質である(Fawellら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:664〜668(1994);FrankelおよびPabo、Cell 55:1189〜1193(1988);GreenおよびLoewenstein、Cell 55:1179〜1188(1988))。より具体的には、通常膜を横断しないペプチドにコンジュゲートした、TAT配列の11個のアミノ酸、アルギニンリッチかつリジンリッチな部分、YGRKKRRQRRRは、細胞膜を横切って形質導入し、生物活性のある融合タンパク質を組織へ送達することができる。さらに、TAT融合タンパク質が2週間、マウスへ注射された場合、神経学的な問題または系の有害ストレスの全体的な徴候はなかった。以前、TAT融合タンパク質は、ミトコンドリア機能に影響する活性融合タンパク質を送達する能力があることが示されたが、どちらの場合においても、融合タンパク質はミトコンドリアによってプロセシングされなかった(Caoら、Journal of Neuroscience 22:5423〜5431(2002);Gustafssonら、Circulation 106:735〜739(2002))。
いくつかの実施形態において、本発明のペプチドは環化している。ペプチドの環化は、当業界で周知である(例えば、米国特許第4,102,877号、米国特許公開第2008/0097079号参照(それぞれの全内容は参照により本明細書に組み入れられている))。1つの非限定的な例として、ペプチドは、固体支持体(例えば、樹脂)上で環化することができる。HBTU/HOBt/DIEA、PyBop/DIEA、PyClock/DIEAなどの様々な環化試薬を用いることができる。頭−尾のペプチドは、固体支持体上で作製することができる。ある適切なポイントでのC末端の脱保護は、脱保護化N末端とのアミド結合形成により樹脂上での環化を可能にする。いったん環化が起こったならば、ペプチドは、酸分解により樹脂から切断され、精製される。環化ペプチドの固相合成のためのストラテジーは、Asp、Glu、またはLys側鎖を通しての付着に限定されない。システインは、それの側鎖上に非常に反応性が高いスルフヒドリル基を有する。1個のシステイン由来のイオウ原子が、そのタンパク質の異なる部分における第2のシステイン由来の別のイオウ原子と単共有結合を形成する場合、ジスルフィド架橋が生じる。これらの架橋は、タンパク質、特に細胞から分泌されたタンパク質を安定化させるのに役立つ。S−アセトミドメチル(Acm)を用いる修飾システインは、ジスルフィド結合の形成をブロックするが、システインおよびタンパク質の最初の一次構造を保存するために用いることができる。
C.医薬製剤
上記の活性化合物は、知られた技術に従って、薬学的担体中に、投与のために製剤化されてもよい。例えば、Remington、The Science And Practice of Pharmacy(第9版、1995)参照されたい。本発明による医薬製剤の製造において、活性化合物(その生理学的に許容される塩を含む)は、典型的には、とりわけ、許容される担体と、混合される。担体は、当然のことながら、製剤中の任意の他の成分に適合するという意味において許容されなければならず、かつ患者に有害であってはならない。担体は、固体または液体、または両方であり得、好ましくは、0.01重量%または0.5重量%から95重量%または99重量%までの活性化合物を含有し得る、単位用量製剤、例えば、錠剤として化合物と製剤化される。1つまたは複数の活性化合物が、本発明の製剤中に組み入れられてもよく、その製剤は、任意で1つまたは複数の副成分を含む、構成要素を混合することを含む薬学のよく知られた技術のいずれかによって調製され得る。
さらに、本発明による組成物の塩、担体、賦形剤、または希釈剤などの「薬学的に許容される」構成要素は、(i)それが、本発明の組成物と、その組成物をその意図された目的に適さないようにすることなく組み合わせることができる点において、組成物の他の成分と適合し、かつ(ii)過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激作用、およびアレルギー反応)なしに、本明細書に提供されているような対象に用いるのに適している構成要素である。副作用は、それらのリスクが、組成物によって与えられる利益を上回る場合、「過度」である。薬学的に許容される構成要素の非限定的な例には、リン酸緩衝食塩水、水、油/水の乳濁液、マイクロエマルジョン、および様々な型の湿潤剤などの標準的な薬学的担体のいずれかが挙げられる。
本発明の製剤には、経口、直腸、局所的、頬側(例えば、舌下)、膣、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、または静脈内)、局所的(すなわち、気道表面を含む、皮膚表面と粘膜表面の両方)、および経皮の投与に適したものが挙げられるが、任意の所定の場合において最も適切な経路は、処置されることになっている状態の性質および重症度、ならびに用いられることになっている特定の活性化合物の性質に依存する。
経口投与に適した製剤は、それぞれがあらかじめ決められた量の活性化合物を含有するカプセル、カシェ剤、ロゼンジ、もしくは錠剤などの個別の単位として;粉末もしくは顆粒として;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油もしくは油中水の乳濁液として提供され得る。そのような製剤は、活性化合物と適切な担体(上記で述べられたような1つまたは複数の副成分を含有してもよい)を会合させるステップを含む、薬学の任意の適切な方法により調製され得る。一般的に、本発明の製剤は、活性化合物を液体または微粉化固体担体または両方と均一かつ密に混合し、その後、必要ならば、その結果生じた混合物を形作ることにより調製される。例えば、錠剤は、活性化合物を、任意で1つまたは複数の副成分と共に含有する粉末または顆粒を圧縮または成形することにより調製され得る。圧縮錠は、任意で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、および/または表面活性剤/分散剤と混合された、粉末または顆粒などの自由流動の形での化合物を適切な機械において圧縮することにより調製され得る。成形錠剤は、不活性液体結合剤で湿った粉末化合物を適切な機械において成形することにより作製され得る。
頬側(舌下)投与に適した製剤には、風味付け基剤(通常、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム)中に活性化合物を含むロゼンジ、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中に化合物を含む香錠が挙げられる。
非経口投与に適した本発明の製剤は、活性化合物の無菌水性および非水性注射液を含み、その調製物は、好ましくは、対象とするレシピエントの血液と等張性である。これらの調製物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を対象とするレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有してもよい。水性および非水性無菌懸濁液は、懸濁剤および増粘剤を含んでもよい。製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルにおいて提供されてもよく、使用直前に無菌液体担体、例えば、食塩水または注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。即時用注射液および懸濁液は、前に記載された種類の無菌粉末、顆粒、および錠剤から調製されてもよい。例えば、本発明の一態様において、密封容器における単位剤形での、活性化合物またはその塩を含む注射可能で安定な無菌組成物が提供される。化合物または塩は、適切な薬学的に許容される担体と再構成されて、対象への注射に適した液体組成物を形成することができる凍結乾燥物の形で提供される。単位剤形は、典型的には、約10mgから約10グラムまでの化合物または塩を含む。化合物または塩は、実質的に不水溶性である場合、生理学的に許容される十分な量の乳化剤を、水性担体中の化合物または塩を乳化するために十分な量で用いられてもよい。1つのそのような有用な乳化剤はホスファチジルコリンである。
直腸投与に適した製剤は、好ましくは、単位用量坐剤として提供される。これらは、活性化合物を1つまたは複数の通常の固体担体、例えば、カカオバターと混合し、その後、その結果生じた混合物を形作ることにより調製され得る。
皮膚への局所適用に適した製剤は、好ましくは、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形をとる。用いられ得る担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮賦活剤、およびそれらのうちの2つ以上の組合せが挙げられる。
経皮投与に適した製剤は、長時間、レシピエントの表皮との密接な接触を保つのに適応した個別のパッチとして提供され得る。経皮投与に適した製剤はまた、イオン泳動により送達され得(例えば、Pharmaceutical Research 3(6):318(1986)参照)、典型的には、活性化合物の任意で緩衝化した水溶液の形をとる。適切な製剤は、クエン酸緩衝液もしくはbis−tris緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含み、0.1Mから0.2Mまでの活性成分を含有する。
さらに、本発明は、本明細書に開示された化合物およびその塩のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁液を形成するためのテクノロジーは当業界で周知である。化合物またはその塩が水溶性塩である場合、通常のリポソームテクノロジーを用いて、それは脂質ベシクルへ取り込まれ得る。そのような場合、化合物または塩の水溶性のせいで、化合物または塩は、リポソームの親水性の中央またはコア内に実質的に同調するだろう。用いられる脂質層は、任意の通常の組成であってもよく、コレステロールを含有してもよいし、コレステロールを含まなくてもよい。関心対象となる化合物または塩が不水溶性である場合、この場合もやはり、通常のリポソーム形成テクノロジーを用いて、塩は、リポソームの構造を形成する疎水性脂質二重層内に同調し得る。いずれの場合においても、作製されるリポソームを、標準超音波処理およびホモジナイゼーション技術の使用によるように、サイズを低下させてもよい。
もちろん、本明細書に開示された化合物またはその塩を含有するリポソーム製剤は、水などの薬学的に許容される担体と再構成されて、リポソーム懸濁液を再生し得る凍結乾燥物を生じるように凍結乾燥されてもよい。
水性基剤乳濁液などの他の医薬組成物は、本明細書に開示された不水溶性化合物またはその塩から調製され得る。そのような場合、組成物は、所望の量の化合物またはその塩を乳化するための十分な量の薬学的に許容される乳化剤を含有する。具体的には、有用な乳化剤には、ホスファチジルコリンおよびレシチンが挙げられる。
活性化合物に加えて、医薬組成物は、pH調整添加剤などの他の添加剤を含有してもよい。特に、有用なpH調整剤には、塩化水素酸などの酸、塩基、または乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウムなどの緩衝剤が挙げられる。さらに、組成物は、抗微生物保存剤(microbial preservatives)を含有してもよい。有用な抗微生物保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびベンジルアルコールが挙げられる。抗微生物保存剤は、典型的には、製剤が、複数回投薬用として設計されたバイアル中に入れられる場合に用いられる。もちろん、示されているように、本発明の医薬組成物は、当業界で周知の技術を用いて凍結乾燥されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態において、本発明のペプチドまたは化合物は、皮下投与のために水溶液中に存在する。いくつかの実施形態において、ペプチドまたは化合物は、再構成されて、皮下に投与される凍結乾燥粉末として提供される。
以下の非限定的な例で本発明を例証する。
材料および方法
イモビロンP膜を、Millipore Corp.(Bedford、MA)から購入した。1リットルあたり4,500mgのグルコース(25mM)、ストレプトマイシン、およびペニシリンを含有するダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を、Gibco(Grand Island、NY)から購入した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)をコンジュゲートしたマウス抗ウサギ抗体およびヤギ抗マウス抗体を、Jackson ImmunoResearch Laboratories(West Grove、PA)から購入した。IGFBP−2抗血清を、以前に記載されているように(Cohick WS、Clemmons DR、1991)調製した。全ての他の試薬を、他に指定のない限り、Sigma Chemical Company(St.Louis、MO)から購入した。
合成ペプチドの作製およびペプチドペグ化
マウスIGFBP−2の、リンカーに位置したヘパリン結合ドメインを含有する合成ペプチド(KHLSLEEPKKLRP)(HBD1ペプチドと呼ぶ)を調製した。スクランブルされたHBD1(CKPLRLSKEEHPLK)(HBD1対照ペプチドと呼ぶ)を調製した。ヒトIGFBP−2のC末端ヘパリン結合ドメインを含有するペプチド(KHGLYNLKQCKMSLNGQR)(HBD2ペプチドと呼ぶ)も調製した。IGFBP−5のC末端ヘパリン結合ドメインを含有するペプチド(RKGFYKRKQCKPSRGRKR)(HBD2対照ペプチドと呼ぶ)を調製した。ペプチドは、University of North CarolinaのChapel Hill校のProtein Chemistry Core Facilityにより合成された。純度および配列を、質量分析法により確認した。
以下に、マウスIGFBP−2アミノ酸配列(GenBank(登録商標)データベース受入番号AAB60709)を示す。
以下に、ヒトIGFBP−5アミノ酸配列(GenBank(登録商標)データベース受入番号NP_000590)を示す。
以下に、ヒトIGFBP−2アミノ酸配列(GenBank(登録商標)データベース受入番号AAB22308)を示す。
C末端にシステインが付加されたHBD1、HBD2、およびHBD1対照ペプチドを合成し、その後、以下のようにペグ化した:10mgのペプチドを、4.0mlの0.05M NaPO(pH7.0)において380μgのメトキシPEGマレイミド(20000kDa)(1:3モル比のペプチド対PEG)(JenKem Biotechnology、Allen、TX)と混合した。4℃での一晩のインキュベーション後、システインを17mMの最終濃度まで加え、未処理の部位をブロックした。非ペグ化ペプチドおよびシステインを除去するために、混合物を、Zebra Desaltスピンカラム(Thermo Scientific、Rockford、IL)を用いて、製造会社の使用説明書に従って、脱塩した。ペグ化を、クーマシー染色を用いてのSDS−PAGE分析により検証した。
pLenti−IGFBP−2野生型(WT)および2つのHBD突然変異体の作製
マウスIGFBP−2 cDNAを、マウスpCMV−SPORT6(ATCC、Manassas、VA)から、マウスIGFBP−2のヌクレオチド89〜110に対応する5’プライマー配列(5’−ATGCTGCCGAGATTGGGCGGCC−3’)、およびヌクレオチド981〜1003に相補的な3’プライマー配列(5’−GGGCCCATGCCCAAAGTGTGCAG−3’)を用いて増幅した。正しい配列が増幅されていることを確認するためのDNAシーケンシング後、PCR産物を、pENTR/D−TOPOベクターへサブクローニングし、その後、LR Clonase反応を用いて、製造会社の使用説明書(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従い、pLenti6−V5 DEST発現ベクターへ移した。
pENTR/D−TOPOベクターへ挿入された野生型IGFBP−2を、置換突然変異体を作製するための鋳型として用いた。2つのIGFBP−2突然変異体は、配列KHLSLEEPKKLRPを含有するマウスIGFBP−2のHBD1ドメイン、および配列KHGRYNLKQCKMSLNGQRを含有するマウスIGFBP−2のHBD2ドメイン内のアミノ酸の置換を組み込んだ。太字で強調された置換は以下の通りであった:それぞれ、
(HBD1突然変異体と呼ぶ)、および
(HBD2突然変異体と呼ぶ)。Stratagene(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)によるQuikChange部位特異的突然変異誘発キットを用いて、(下記の太字で示された)これらの置換をコードするために必要とされる塩基変化を組み込んだ。
HBD1突然変異体構築物を作製するために、以下のプライマーを用いた。
HBD2突然変異体構築物を作製するために、2ラウンドのPCRを実施した。以下のプライマーを第1ラウンドのPCRに用いた。
正しい配列が存在することを確認した後、第1ラウンドのPCR産物を鋳型として用いて、第2ラウンドのPCRを実施した。以下のプライマーを第2ラウンドのPCRに用いた。
配列分析に基づいた正しいクローンの選択後、2つの突然変異型のIGFBP−2をコードするcDNAを、製造会社の使用説明書(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従いLR Clonase反応を用いて、pENTR/D−TOPOベクターからpLenti6−V5 DESTベクターへ移した。
ウイルスストックの調製
それぞれの個々のpLenti構築物のために、293FT細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いてウイルスストックを作製した。細胞を、トランスフェクションの前日、成長培地(10%FBS、100μg/mlでのストレプトマイシン、および100U/mlでのペニシリンを含むDMEM−H)中、75cmプレートあたり5×10個で蒔いた。トランスフェクションの日、培地を、抗生物質と血清を含まない5mlのOpti変法イーグル培地I(Invitrogen、Carlsbad、CA)と交換した。各トランスフェクションのためのDNA−Lipofectamine 2000複合体を、製造会社のプロトコール(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従って調製した。次の日、DNA−Lipofectamine 2000複合体を含有する培地を除去し、成長培地と交換した。トランスフェクションから48〜72時間後、ウイルス含有上清を回収し、4℃で15分間、3000rpmで遠心分離して、細胞片をペレット化した。上清を濾過し、1mlのアリコートとして−80℃で保存した。
野生型および2つのHBD突然変異型IGFBP−2の精製
構築物を、以前に記載された手順(Gockerman A、1995)を用いることによりCHO−K1細胞において発現させた。無血清α−MEM中、48時間、維持された、WT IGFBP2またはHBD1突然変異体またはHBD2突然変異体を発現するコンフルエントなCHO−K1細胞から条件培地を収集した。発現したタンパク質を、以前に記載された手順(Shenら、2013)に従って精製した。
初代前脂肪細胞の細胞培養
初代前脂肪細胞を、週齢6週間のIGFBP−2−/−マウスの精巣上体の脂肪パッドから単離した。以前に記載された方法(Boney,CMら、1994)を用いて、細胞を培養した。脂肪パッドの重量を計り、組織を、HEPES緩衝液(0.1Mおよび1.5%BSA)中、37℃で45分間、同体積(W/V)のコラゲナーゼA型(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)で消化した。完全な消化後、前脂肪細胞を、500xgで5分間の遠心分離により間質血管細胞から分離した。ペレット化細胞を、30mMグルコースを含有するDMEM(Gibco、Grand Island、NY)で洗浄し、100μmのメッシュフィルター(BD Biosciences、Bedford、MA)に通した。その後、6ウェルプレート内に1.2〜1.5×10細胞/mlの密度で、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、および10%ウシ胎児血清を追加した30mMグルコースを含有するDMEM(以後、標準培地と呼ぶ)中、細胞を蒔いた。培養物は、それらがコンフルエンスに達するまで、2日ごとに培地を交換された。その後、コンフルエントから2日後の細胞を、分化培地(0.5mM IBMX、1μMデキサメタゾン、および5μg/mLインスリンを含有する無血清DMEM)に曝露し、2日間、インキュベートした。この培地に加えられる実験的処理は、野生型IGFBP−2(3μg/ml)、HBD1ペプチド(6μg/ml)、HBD1対照ペプチド(6μg/ml)、HBD2ペプチド(6μg/ml)、HBD2対照ペプチド(6μg/ml)、HBD1突然変異体IGFBP−2(3μg/ml)、またはHBD2突然変異体IGFBP−2(3μg/ml)のいずれかを含んだ。5μg/mlインスリンを追加した標準培地中、さらに2日間、培養物を維持した。その後、インスリンを含まない新鮮な標準培地中、さらに2日間、培養物を保持した。
オイルレッドO染色
処理後、細胞をPBSで2回、すすぎ、10%ホルマリンで室温で30分間、固定した。蒸留水での2回のすすぎ後、100%プロピレングリコール(Poly Scientific、Bay Shore、NY)を加え、5分間、インキュベートした。オイルレッドO溶液(Poly Scientific、Bay Shore、NY)を加える前に、プロピレングリコールを除去した。培養物を60℃で10分間、インキュベートした。オイルレッドO溶液を除去し、培養物を、80%プロピレングリコールと5分間、インキュベートした。インキュベーション後、培養物を、水道水で2回、すすいだ。Olympus IX81倒立顕微鏡を用いて画像を撮った。
免疫沈降およびイムノブロッティング
分化した脂肪細胞を、氷冷溶解緩衝液中に溶解した(Xiら、2008)。14,000xgで10分間の遠心分離後、可溶化したタンパク質を、Bradford方法(Thermo Scientific、Rockford、IL)により定量化した。等しいタンパク質量の可溶化液を、SDS−ポリアクリルアミドゲル上に負荷し、タンパク質を分離し、その後、イモビロンフィルターへ移し、適切な抗体を用いるイムノブロッティングにより可視化した。用いられる一次抗体希釈度は、抗アディポネクチン抗体(Affinity BioReagents、Golden、CO)について1:1000、抗PPARγ抗体(Cell Signaling Technology Inc.、Beverly、MA)について1:500、抗ap2抗体(ProSci Inc.、Poway、CA)について1:2000、抗β−アクチン抗体(Sigma Chemical Company、St.Louis、MO)について1:5000であった。免疫複合体を、高感度化学発光(Thermo Fischer Scientific、Rockford、IL)を用いて可視化した。
マウス
Igfbp2−/−マウスと呼ばれるB6.129−Igfbp2tm1Jepの作製は、以前に記載されている(DeMambroら、2008;Dannoら、1992)。マウスを、C57BL/6Jバックグラウンドへ少なくとも10世代、戻し交配した。交配対は、Maine Medical Center Research Institute(Scarborough、ME)から提供された。Igfbp2+/+マウスはC57BL/6J対照であった。全てのインビボおよびエクスビボの実験的研究を、雄マウスを用いて実施した。動物研究プロトコールは、University of North CarolinaのChapel Hill校のInstitutional Animal Care and Use Committeeにより審査され、承認された。マウスを、4つの処置群の1つに割り当てた。1)Peg HBD1ペプチド:Igfbp2−/−マウスに、0.1mL PBS中の50μgのペグ化HBD1ペプチドを投与した(n=9);2)Peg HBD2ペプチド:Igfbp2−/−マウスに、0.1mL PBS中の50μgのペグ化HBD2ペプチドを投与した(n=10);3)対照ペプチド:Igfbp2−/−マウスに、0.1mL PBS中の50μgのHBD1対照ペプチドを与えた(n=18);4)WT:Igfbp2+/+マウスに、0.1mLのPBSを与えた(n=9)。全ての注射を、週齢10週間から22週間まで、腹腔内に3回、投与した。全てのマウスは、18.6%タンパク質、6.2%脂肪、および3.5%粗繊維を含有する2018 Teklad global rodent diet(Harlan、Dublin、VA)への自由なアクセスが提供された。マウスの摂食量および体重を毎週、決定した。
体組成および血清中アディポカイン測定
体脂肪および除脂肪筋肉量を、無麻酔の動物において脂肪量および非脂肪量を測定する技術である、磁気共鳴画像分析(EchoMRI−100、Echo Medical Systems、Houston、TX)により処置の0週間目および12週間目に測定した(Kelly SAら、2010)。12週間の処置の完了後、マウスを屠殺した。血液を、心穿刺により収集し、3500rpm×15分間での遠心分離前の4時間、そのままにしておいた。血清を吸引し、分析まで−20℃で保存した。腹部鼠径部脂肪パッドおよび内臓脂肪パッドを、定義された解剖学的ランドマークに従って各動物から注意深く解剖した。胸郭の下部と大腿上方との間の全ての皮下脂肪は、腹部皮下鼠径部脂肪とみなされ、胃の小弯から始まり、S字結腸で終わる腸間膜に沿って見出される全ての脂肪は内臓脂肪とみなされた。脂肪貯蔵部位を、重量測定の前に拭き取って乾燥させた。右鼠径部脂肪パッドを切り離して解剖し、この組織のトリグリセリド含有量を、以前に記載されているように(Danno H、Kimura S 1992)、比色分析(Pointe Scientific、Canton、MI)により決定した。血清中アディポネクチンおよびレプチンを、ELISAにより、製造会社の使用説明書(Millipore、Billerica、MA)に従って測定した。
グルコース負荷試験
グルコース負荷試験を、6時間の断食後、実施した。経口グルコース負荷試験について、マウスに20%グルコース(2.5g/kg体重)を経口胃管栄養により与え、ベースライン、胃管栄養から15分後、30分後、60分後、90分後、および120分後にグルコースの決定(Bayer Contour Glucometer、Tarrytown、NY)のために血液を尾静脈から採取した。
統計学的解析
全てのデータは、平均値±標準誤差(SEM)として表されている。結果を、インビトロアッセイから得られたデータについてスチューデントt検定、またはインビボアッセイから得られたデータについて、ANOVA、続いてボンフェローニ事後多重比較検定を用いて統計学的有意差について解析した。統計学的有意性をp<0.05に設定した。
IGFBP−2、ならびにそれの固有の、およびC末端のヘパリン結合ドメインを含有するペプチドは、初代IGFBP−2−/−マウス前脂肪細胞の分化を阻害する
ヘパリン結合ドメインのそれぞれの脂肪生成への効果を調べるために、IGFBP−2のリンカー領域に位置するHBD配列(HBD1)またはC末端領域に位置するHBD配列(HBD2)(図1A)を含有するペプチドを合成し、IGFBP−2ヌルマウスから単離された前脂肪細胞の培養物とインキュベートした。結果は、3つの分化マーカー、アディポネクチン、aP2、およびPPARγの抑制により示されているように、天然IGFBP−2は成熟脂肪細胞への前脂肪細胞分化を阻害すること(図1B、レーン8)を示した。HBD1配列を含有するペプチドは、アディポネクチン(例えば、66±10%低下、p<0.01)、aP2(例えば、51±2%低下、p<0.01)、およびPPARγ(例えば、47±9%低下、p<0.05)の発現を阻害した(図1B、レーン2対レーン1)。しかしながら、スクランブル化HBD1配列を含有するペプチドは、効果を生じなかった(図1B、レーン3対レーン1)。興味深いことに、HBD2を含有するペプチドは、アディポネクチンおよびaP2の発現を完全に阻害し、PPARγ発現は、分化培地のみに曝された細胞と比較して低下した(67±7%(p<0.01))(図1B、レーン4対レーン1)。IGFBP−5配列の相同領域を含有するペプチドは対照としての役割を果たし、それはそれらの効果に影響しなかった(図1B、レーン5対レーン1)。
これらの結果を確認するために、HBD1またはHBP2ドメインのいずれかにおける荷電残基が中性残基に変化しているIGFBP−2突然変異体を調製し、発現させた。変化したHBD1配列を含有するが、無傷HBD2配列を含有するIGFBP−2突然変異体は、野生型IGFBP−2(図1B、レーン6対レーン8)およびHBD2配列を含有するペプチド(図1B、レーン6対レーン4)と同様に分化マーカー発現を阻害した。対照的に、変化したHBD2残基を含有するが、無傷HBD1配列を含有するIGFBP−2突然変異体は、前脂肪細胞分化を防ぐことに効果が有意に少なかった(図1B、レーン7対レーン2)。分化した脂肪細胞を形成する能力を、オイルレッドO染色を用いて決定した場合、同様の結果が得られた(図2)。これらの結果は、天然IGFBP−2、HBD1突然変異体、およびHBD2ペプチドが脂肪生成の最も強力な阻害剤であり、HBD1ペプチドおよびHBD2突然変異体は活性がより低かったことを実証している。総合すれば、結果は、IGFBP−2の前脂肪細胞の分化への阻害効果は、主に、それのHBD2ドメインを介して媒介されることを強く示唆している。
IGFBP−2のヘパリン結合ドメインがIGFBP−2−/−マウスにおいて体重増加を減少させる
IGFBP−2 HBDの体重増加および脂肪量への効果をインビボで調べるために、HBD配列を含有するペプチドをIGFBP−2−/−マウスに投与した。両方の対照ペプチドがインビボで、前脂肪細胞分化へ類似した効果を生じたので、スクランブル化HBD1ペプチドだけを対照として用いた。インビボで、ペプチドの半減期を延ばし、かつそれらのタンパク質分解に対する抵抗性を増加させるために、全ての3つのペプチドをペグ化した。週5回、3週間、腹腔内(IP)注射により投与された50μgのHBD1ペプチドは、IGFBP−2−/−雄マウスにおいて骨成長を促進するのに効果的であったことが示されている(17)。このプロトコールを、より長期の研究、および50μgの各ペプチドの3回/週、12週間の(IP)注射に適応するように改変した。同年齢の野生型C57BL/6J(Wt)雄マウスを、溶媒で処置し、ペプチド処置を受けた3群のマウスと比較した。この動物研究は多数のIGFBP−2−/−マウスを必要とするため、実験を2つの時期に分けた。第1時期において、HBD1および対照ペプチド処置、加えて野生型対照マウスを研究した。第2時期において、HBD2および対照ペプチドの効果を決定した。各時期における各群のマウスの体重および年齢は、処置の開始時点で類似しており、全てのマウスの体重を、研究中、毎週、計った。対照ペプチドを受けたIGFBP−2−/−マウスは、対照野生型マウスと比較して、12週間中、体重増加がより多かった(図3A)。研究の区間の間、HBD1またはHBD2ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスは、対照ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスと比較して、8週間の処置後、体重増加が有意により少なかった。この差は、12週間の処置後、対照ペプチド処置マウスと比較して、HBD処置マウスにおいて持続し、その差は有意のままであった(図3A)。加えて、10週間の処置後、体重増加は、HBD1ペプチドを受けたマウスと比較して、HBD2ペプチドを受けたマウスにおいて有意に少なかった(図3A)。重要なことには、研究中、野生型対照マウスにおける体重の増加は、HBD1かまたはHBD2のいずれかでそれぞれ処置されたIGFBP−2−/−マウスと類似した(図3A)。体重増加における違いが異なる食物摂取量により引き起こされた可能性を排除するために、摂食量を毎週、測定した。結果により、全ての処置の間で有意差はないことが示された(図3B)。加えて、経口グルコース負荷試験は、異なる処置の間でグルコース代謝において有意差が検出されなかったことを示した(図3C)。
IGFBP−2のヘパリン結合ドメインは、IGFBP−2−/−マウスにおいて、体脂肪量蓄積を阻害し、血清中アディポカインホルモン濃度を変化させる
体組成における変化を調べるために、全てのマウスに研究の開始時点および終了時点にMRIを実施した。脂肪量の変化を、体重に占めるパーセンテージとしての脂肪の変化として表した。結果により、対照ペプチド処置と比較して、両方のHBDペプチドが研究の12週間にわたって体脂肪量増加の減少を生じたが、HBD2処置だけが統計学的差(例えば、48±9%低下、p<0.05)に達したことが示された(図4A)。加えて、研究中、対照ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスは、激しい非脂肪量減少を経験した(例えば、7.2±1.0%低下)。両方のHBDペプチドは、この変化の程度を有意に阻止したが、HBD2ペプチドがより強力であった(例えば、HBD1について4.1±1.1%低下、p<0.05;HBD2について2.1±0.8%低下)(図4B)。
脂肪量への効果を確認するために、12週間の処置の完了後、マウスを屠殺し、2つの体脂肪区画の重量を測定した。結果により、異なる処置の間で肝臓および心臓の重量において有意差はないことが示され(図5A)、そのことにより、臓器重量変化が、HBDペプチド処置に応答して起こる体重変化に寄与する可能性が排除された。脂肪区画分析により、対照ペプチドを与えられたIGFBP−2−/−マウスは、全ての群の間で、鼠径部脂肪および内臓脂肪のパーセンテージが最も大きいことが示された。HBD2配列を含有するペプチドは、対照ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスと比較して、鼠径部脂肪パッド重量を有意に阻害し(例えば、32±7%低下、p<0.01)、一方、HBD1配列を含有するペプチドは効果を生じなかった(図5B)。内臓脂肪重量は、HBD1またはHBD2ペプチドのどちらで処置されたマウスにおいても有意に低下したが、HBD2配列を含有するペプチドがより効果的であった(例えば、44±7%対24±5%低下、p<0.05)(図5C)。興味深いことに、両方の脂肪区画の重量が体重に占めるパーセンテージとして表される場合、HBD2ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスにおける結果は、野生型マウスと類似した(図5B〜C)。鼠径部脂肪パッド中のトリグリセリド含有量の分析により、HBD1またはHBD2ペプチドのどちらで処置されたIGFBP−2−/−マウスにおいてもそれは有意に低下したが、HBD2がより効果的であった(例えば、37±9%対22±2%低下、p<0.05)ことが示された(図6A)。血清中アディポネクチン平均レベルは、対照ペプチド(例えば、36±4%、p<0.01)またはHBD1ペプチド(例えば、24±5%低下、p<0.05)で処置されたマウスのどちらと比較しても、HBD2ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスにおいて有意に低かった(図6B)。加えて、HBD2ペプチドでの処置は、対照ペプチド処置マウスと比較して、血清中レプチンレベルを有意に増加させたが(例えば、57±9%増加、p<0.01)、HBD1ペプチドは効果を生じなかった(図6C)。総合すると、これらの結果は、HBD1とHBD2ペプチドの両方が、脂肪生成を阻害することができるが、HBD2ペプチドがより強力な阻害剤であることを明らかに示唆している。
マウスペプチドKHGRYNLKQCKMSLNGQRのヒトペプチドKHGLYNLKQCKMSLNGQRとの比較
本明細書に記載されているように、前脂肪細胞をマウスから調製し、培養して成長させた。記載されているように、それぞれのマウスおよびヒトペプチドを細胞に加え、細胞を溶解し、可溶化液をSDSゲル上に流した。アディポネクチンについてのイムノブロッティングを、記載されているように行った。各ペプチドの3つの濃度、0.7、2.0、および6.0μg/mlを比較した。結果は、%抑制平均値±SE(N=3)として表され、以下の通りであった。
これらの結果は、ヒトおよびマウスペプチドが、それらの脂肪細胞分化を阻害する能力において等効力であることを示している。
インスリン様成長因子結合タンパク質2(IGFBP−2)過剰発現は、高脂肪摂食に対する抵抗性を与え、インビトロでの前脂肪細胞の分化を阻害する。しかしながら、IGFBP−2の投与がインビボで脂肪生成を調節することができるかどうか、およびこの応答を媒介するドメインは定義されていない。IGFBP−2は、2つのヘパリン結合ドメイン(HBD)を含有し、それらは、IGFBP2のリンカー領域(HBD1)およびC末端領域(HBD2)に位置する。これらのドメインの相対的重要性を決定するために、本明細書に記載された研究に、合成ペプチド、加えて突然変異誘発を用いた。HBD1とHBD2ペプチドのどちらも、前脂肪細胞分化を阻害したが、HBD2ペプチドがより効果的であった。HBD1またはHBD2領域における荷電残基の選択的置換は、その完全長タンパク質の細胞分化を阻害する能力を減弱したが、HBD2突然変異体が、最も大きい低下を生じた。インビボでそれらの活性を決定するために、各ペプチドのペグ化型を、IGFBP−2−/−マウスに12週間、投与した。MRIスキャニングにより、HBD2ペプチドのみが、総脂肪量の増加を有意に低下させることが示された(48±9%、p<0.05)。鼠径部脂肪(32±7%、p<0.01)および内臓脂肪(44±7%、p<0.01)の両方は、HBD2により有意に減少したが、HBD1は、内臓脂肪蓄積だけを低下させた(24±5%、p<0.05)。HBD2ペプチドは、トリグリセリド含有量および血清中アディポネクチンを低下させるのにより効果的なペプチドであったが、HBD2ペプチドだけが、血清中レプチンを増加させた。これらの所見は、IGFBP2のHBD2ドメインが、それの脂肪生成を阻害する能力の原因となる主要な領域であること、およびこの領域を包含するペプチドが、天然IGFBP−2に匹敵する活性を有することを実証している。
インスリン様成長因子−I(IGF−I)および−II(IGF−II)の生物学的利用能は、リガンド輸送および生物学的利用能を調節する高親和性IGF結合タンパク質(IGFBP)により調整される。IGFBP−2は、ヒト循環において2番目に豊富なIGFBPであり、脂肪生成中、白色前脂肪細胞により分泌されるIGFBPの主要な型である。それが、動物から単離された非不死化前脂肪細胞の分化を直接的に阻害するかどうか、およびこの効果を媒介するIGFBP−2内の特定のドメインは決定されていない。IGFBPファミリーのメンバーは、67%〜70%構造相同性を示すが、個々の結合タンパク質の生理学的効果の多くは異なる。6つの型のIGFBPの間で最も大きい相同性は、N末端およびC末端領域に含有される。N末端領域は、主要なIGF−I結合部位を含有し、一方、C末端領域は、IGF−I結合を促進し、かつ、ファミリーのいくつかのメンバーの細胞外マトリックスに結合する能力の原因である。ヘパリン結合ドメイン(HBD)は、IGFBP−2、−3、および−5のC末端領域で同定されているが、RGD配列は、IGFBP−1、および−2に存在する。C末端HBD(以下、HBD2と呼ぶ)に加えて、IGFBP−2は、リンカー領域内に位置する固有のHBD(以下、HBD1と呼ぶ)を含有する(図1A)。機能研究により、IGFBP−3および−5内のC末端HBDが、細胞外マトリックスタンパク質に結合することができるが(IGF依存性と非依存性の両方の作用を媒介すると提唱されている)、RGD配列は、IGFBP−1およびIGFBP−2のα5β1インテグリンへの結合に関与することが示されており、これが細胞遊走を媒介する。HBD1配列を含有する合成ペプチドは、IGFBP−2−/−マウスにおいて、骨芽細胞増殖を刺激し、海綿骨量を増加させ、骨吸収を低下させた。しかしながら、脂肪生成を変化させることにおけるHBD1およびHBD2の役割は決定されていない。したがって、本研究は、IGFBP−2が前脂肪細胞分化を阻害することができるかどうかを決定するため、およびこの効果を調節することにおけるHBD1と2ドメインの相対的重要性を定義するために企てられた。同様に、これらの配列を含有するペプチドが脂肪量獲得を阻害することができるかどうかを決定するために、インビボ研究を実施した。
合成ペプチドの作製およびペプチドペグ化。マウスIGFBP−2のHBD1ドメイン(CKHLSLEEPKKLRP)、スクランブル化HBD1ペプチド(CKPLRLSKEEHPLK)(HBD1対照ペプチド)、ヒトIGFBP−2のHBD2ドメイン(CKHGLYNLKQCKMSLNGQR)、およびIGBP−5のC末端HBD(RKGFYKRKQCKPSRGRKR)(HBD2対照ペプチド)を含有する合成ペプチドを、University of North CarolinaのChapel Hill校のProtein Chemistry Core Facilityにより合成された。N末端システインを含有しないHBD1および2ペプチドもまた調製された。純度および配列同一性を、質量分析法により確認した。HBD1、HBD2、およびHBD1対照ペプチド(それぞれ、N末端システインを含有した)を、本明細書に記載された手順に従ってペグ化した。
pLenti−IGFBP−2野生型(WT)、2つのHBD突然変異体、および非IGF−I結合性突然変異体の作製。pCMV−SPORT6(ATCC、Manassas、VA)から増幅された野生型マウスIGFBP−2を、pENTR/D−TOPOベクターへ挿入し、置換突然変異体を作製するための鋳型として用いた。2つのIGFBP−2突然変異体は、配列188KHLSLEEPKKLR199を含有するHBD1ドメイン内と配列243KHGLYNLKQCKMSLNGQR260を含有するIGFBP−2のHBD2ドメイン内にアミノ酸の置換を組み込んだ。置換は太字で強調され、それぞれ以下:
(HBD1突然変異体)および
(HBD2突然変異体)の通りであった。QuikChange部位特異的突然変異誘発キット(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)を用いて、これらの置換をコードするために必要とされる塩基変化を組み込んだ。IGFBP−2の非IGF−I結合性突然変異体を、以前に記載されているように調製した。
IGFBP−2の野生型、非IGF−I結合性突然変異型、および2つのHBD突然変異型の精製。構築物をCHO−K1細胞に発現させた。無血清α−MEM中に48時間、維持された、WT IGFBP2または非IGF−I結合性突然変異体、またはHBD1突然変異体、またはHBD2突然変異体を発現するコンフルエントなCHO−K1細胞から条件培地を収集した。発現したタンパク質を精製した。非IGF−I結合性IGFBP−2のIGF−I結合能力を決定するために、IGF−I結合アッセイを実施した。
初代前脂肪細胞の細胞培養。前脂肪細胞を、IGFBP−2−/−マウスの精巣上体脂肪パッドから単離した。培養物は、それらがコンフルエンスに達するまで2日ごとに培地交換された。コンフルエントから2日後、細胞を分化培地(0.5mM IBMX、1μMデキサメタゾン、および5μg/mLインスリンを含有する無血清DMEM)に曝し、2日間、インキュベートした。この培地に加えられる実験的処理は、野生型IGFBP−2(3μg/ml)、HBD1ペプチド(6μg/ml)、HBD1対照ペプチド(6μg/ml)、HBD2ペプチド(6μg/ml)、HBD2対照ペプチド(6μg/ml)、HBD1突然変異体IGFBP2(3μg/ml)、HBD2突然変異体IGFBP−2(3μg/ml)、または非IGF−I結合性突然変異体IGFBP−2(3μg/ml)のいずれかを含んだ。インスリン(5μg/ml)を追加した標準培地中にさらに2日間、培養物を維持した。その後、インスリンを含まない新鮮な標準培地中にさらに2日間、培養物を保持した。
オイルレッドO染色。細胞をPBSですすぎ、その後、10%ホルマリンで30分間、固定した。100%プロピレングリコール(Poly Scientific、Bay Shore、NY)を加え、5分間、インキュベートし、培養物を、オイルレッドO(Poly Scientific、Bay Shore、NY)と共に60℃で10分間、その後、80%プロピレングリコールと共に5分間、インキュベートした。Olympus IX81倒立顕微鏡を用いて画像を撮り、結果を、ImageJソフトウェア(NIH、バージョン1.45S)を用いて定量化した。
免疫沈降およびイムノブロッティング。分化した脂肪細胞を、氷冷溶解緩衝液中に溶解し、可溶化したタンパク質を定量化した(Thermo Scientific、Rockford、IL)。等しいタンパク質量の可溶化液を、SDS−ポリアクリルアミドゲル上に負荷し、タンパク質を分離し、その後、イモビロンフィルターへ移し、抗アディポネクチン抗体(Affinity BioReagents、Golden、CO)について1:1000、抗PPARγ抗体(Cell Signaling Technology Inc.、Beverly、MA)について1:500、抗ap2抗体(ProSci Inc.、Poway、CA)について1:2000、および抗β−アクチン抗体(Sigma Chemical Company、St.Louis、MO)について1:5000を用いるイムノブロッティングにより可視化した。免疫複合体を、高感度化学発光(Thermo Fischer Scientific、Rockford、IL)を用いて可視化した。
マウス。マウスB6.129−Igfbp2tm1Jep(Igfbp2−/−マウスと呼ぶ)を、C57BL/6Jバックグラウンドへ少なくとも10世代、戻し交配した。Igfbp2+/+マウスはC57BL/6J対照であった。全てのインビボおよびエクスビボの実験的研究を、雄マウスを用いて実施した。マウスを、以下の3つの処置群の1つに割り当てた:1)Peg HBD1ペプチド(N=8);2)Peg HBD2ペプチド(N=10);3)対照ペプチド(N=18)。Igfbp2−/−マウスに、0.1mL PBS中の50μgの各ペグ化ペプチドを投与した。0.1mLのPBSを与えられたIgfbp2+/+マウス(N=8)は対照としての役割を果たした(WT)。全ての注射を、週齢10週間から22週間まで、3回、IP投与した。全てのマウスは、18.6%タンパク質、6.2%脂肪、および3.5%粗繊維を含有する2018 Teklad global rodent diet(Harlan、Dublin、VA)への自由なアクセスが提供された。マウスの摂食量および体重を毎週、決定した。
体組成および血清中アディポカイン測定。体脂肪量および非脂肪量を、無麻酔の動物を用いて、磁気共鳴画像分析(EchoMRI−100、Echo Medical Systems、Houston、TX)により処置の0週間目および12週間目に測定した。12週間の処置後、マウスを屠殺し、血液を、心穿刺により収集し、3500rpm×15分間で遠心分離した。血清を−20℃で保存した。腹部の鼠径部脂肪パッドおよび内臓脂肪パッドを、定義された解剖学的ランドマークに従って各動物から解剖した。胸郭と大腿上方との間の皮下脂肪を皮下鼠径部脂肪と名付け、一方、胃の小弯からS字結腸までの全ての脂肪を内臓脂肪と名付けた。脂肪貯蔵部位を、重量測定の前に、ブロッティング乾燥した。右鼠径部脂肪パッドを切り離して解剖し、この組織のトリグリセリド含有量を、比色分析(Pointe Scientific、Canton、MI)により決定した。血清中アディポネクチンおよびレプチンを、ELISAにより、製造会社の使用説明書(Millipore、Billerica、MA)に従って測定した。
グルコース負荷試験。経口グルコース負荷試験について、4時間の断食後、マウスに20%グルコース(2.5g/kg体重)を経口胃管栄養により与え、ベースライン、15分後、30分後、60分後、90分後、および120分後に血液を尾静脈から採取した(Bayer Contour Glucometer、Tarrytown、NY)。
統計学的解析。全てのデータは、平均値±標準誤差(SEM)として表されている。結果を、インビトロアッセイから得られたデータについてスチューデントt検定、またはインビボアッセイから得られたデータについてANOVA、続いてボンフェローニ事後多重比較検定を用いて統計学的有意差について解析した。加えて、適切な場合、反復測定ANOVAを用いた。統計学的有意性をp<0.05に設定した。
試薬。イモビロンP膜を、Millipore Corp.(Bedford、MA)から購入した。ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ストレプトマイシン、およびペニシリンを、Gibco(Grand Island、NY)から購入した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)をコンジュゲートしたマウス抗ウサギ抗体およびヤギ抗マウス抗体を、Jackson ImmunoResearch Laboratories(West Grove、PA)から購入した。全ての他の試薬を、他に指定のない限り、Sigma Chemical Company(St.Louis、MO)から購入した。
ペプチドペグ化。HBD1、HBD2、およびHBD1対照ペプチド(それぞれ、N末端システインを含有する)を以下のようにペグ化した:10mgのペプチドを、4.0mlの0.05M NaPO(pH7.0)において380μgのメトキシPEGマレイミド(20000kDa)(1:3モル比のペプチド対PEG)(JenKem Biotechnology、Allen、TX)と4℃で14時間、混合した。システイン(17mM)を、未処理の部位をブロックするために加えた。混合物を、Zebra Desaltスピンカラム(Thermo Scientific、Rockford、IL)を用いて、製造会社の使用説明書に従って、脱塩した。ペグ化を、クーマシー染色を用いるSDS−PAGE分析により検証した。N末端システインを含有するペグ化ペプチドを、N末端システインを含有しない非ペグ化ペプチドと比較した場合、等モル濃度が、前脂肪細胞分化へ類似した効果を生じた。種の違いの可能性を排除するために、合成マウスHBD1ペプチドをヒトHBD1ペプチドと比較した。これらのペプチドもまた、前脂肪細胞分化を阻害することにおいて等価であった。ヒトHBD1配列は、ウシIGFBP−2において同一である。無傷マウスHBD2配列は、HBD1突然変異体タンパク質に含有され、それの生物活性は、ヒトHBD2ペプチドおよびウシ野生型タンパク質と類似している。
ウイルスストックの調製。各pLenti構築物のために、ウイルスストックを、293FT細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて作製した。細胞を、トランスフェクションの前日、成長培地(10%FBSを含むDMEM)中、75cmプレートあたり5×10個で蒔いた。トランスフェクションの日、培地を、抗生物質と血清を含まない5mlのOpti変法イーグル培地I(Invitrogen、Carlsbad、CA)と交換した。各トランスフェクションのためのDNA−Lipofectamine 2000複合体を、製造会社のプロトコール(Invitrogen、Carlsbad、CA)に従って調製した。14時間後、培地を成長培地と交換した。トランスフェクションから48〜72時間後、ウイルス含有上清を回収し、4℃で15分間、3000rpmで遠心分離した。上清を濾過し、1mlのアリコートとして−80℃で保存した。
pLenti−IGFBP−2野生型(WT)、2つのHBD突然変異体の作製。HBD1突然変異体構築物を作製するために、以下のプライマー:
を用いた。HBD2突然変異体構築物を作製するために、2ラウンドのPCRを実施した。第1ラウンドPCRについて以下のプライマー:
を用いた。配列確認後、第1ラウンドPCR産物を、第2ラウンドPCRを実施するための鋳型として用いた。第2ラウンドのPCRについて以下のプライマー:
を用いた。IGFBP−2の2つの突然変異型をコードするcDNAを、LR Clonase反応を用いて、pENTR/D−TOPOベクターからpLenti6−V5 DESTベクターへ移した。
初代前脂肪細胞の単離。IGFBP2−/−マウスから得られた精巣上体脂肪パッドの重量を計り、その組織を、HEPES緩衝液(0.1Mおよび1.5%BSA)中、37℃で45分間、同体積(W/V)のコラゲナーゼA型(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)で消化した。前脂肪細胞を、500xgで5分間の遠心分離により間質血管細胞から分離した。ペレット化細胞を、30mMグルコースを含有するDMEM(Gibco、Grand Island、NY)で洗浄し、100μmのメッシュフィルター(BD Biosciences、Bedford、MA)に通し、その後、6ウェルプレート内に1.2〜1.5×10細胞/mlの密度で、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、および10%ウシ胎児血清を追加した30mMグルコースを含有するDMEM中に蒔いた。
脂肪細胞面積測定。性腺周囲脂肪組織の試料を、10%ホルマリンにおいて固定し、パラフィン内に包埋した。各試料から複数の切片を得て、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。Olympus BX61顕微鏡を用いて、各切片のデジタル画像を取得し、Image Jソフトウェア(1.45S)を用いて、試料アイデンティティについて知らされていない研究者により切片あたり少なくとも200細胞について細胞面積を手作業でトレースした。各脂肪貯蔵部位からの4つの切片を分析して、マウス(群あたりn=6マウス)あたりの平均細胞面積を引き出した。
IGFBP−2およびHBD1またはHBD2ペプチドはIGFBP2−/−前脂肪細胞の分化を阻害する。HBDのそれぞれの脂質生成への効果を調べるために、HBD1またはHBD2配列を含有するペプチドを、IGFBP−2ヌルマウスから単離された前脂肪細胞の培養物とインキュベートした。3つの分化マーカー、アディポネクチン、aP2、およびPPARγの抑制により示されているように、天然IGFBP−2は、前脂肪細胞の成熟脂肪細胞への分化を阻害した(図1A、レーン8)。HBD1ペプチドは、アディポネクチン(例えば、66±10%低下、p<0.01)、aP2(例えば、51±2%低下、p<0.01)、およびPPARγ(例えば、47±9%低下、p<0.05)の発現を有意に阻害した(図1A、レーン2対レーン1)。対照HBD1ペプチドは、効果を生じなかった(図1A、レーン3対レーン1)。興味深いことに、HBD2ペプチドは、アディポネクチンおよびaP2の発現を完全に阻害し、PPARγ発現は低下した(67±7%(p<0.01))(図1A、レーン4対レーン1)。IGFBP−5の相同領域を含有するペプチドはそれらの発現を変化させなかった(図1A、レーン5対レーン1)。HBD1またはHBD2ドメインのいずれかにおける荷電残基が中性残基に変化しているIGFBP−2突然変異体を試験した。変化したHBD1配列を含有するIGFBP−2突然変異体は、野生型IGFBP−2と同様に分化マーカー発現を阻害した(図1A、レーン6対レーン8)。対照的に、変化したHBD2残基を含有するが、無傷HBD1配列を含有するIGFBP−2突然変異体は、前脂肪細胞分化を阻止することにおける効果が有意に少なかった(図1A、レーン7対レーン6)。分化した脂肪細胞を形成する能力を決定した場合、同様の結果が得られた(図2)。加えて、IGF−I結合能力が1/5000を下回る低下を示すIGFBP−2の非IGF−I結合性突然変異型を利用した。結果は、この突然変異体が前脂肪細胞の分化へ阻害効果を生じないことを示した(図1B)。これらの結果は、天然IGFBP−2、HBD1突然変異体、およびHBD2ペプチドが脂肪生成の最も強力な阻害剤であり、一方、HBD1ペプチドおよびHBD2突然変異体は活性がより低かったことを実証している。総合すれば、結果は、IGFBP−2の前脂肪細胞の分化への阻害効果は、主に、それのHBD2ドメインを介して媒介され、それのIGF−I結合能力の存在も必要とすることを強く示唆している。
HBD1およびHBD2ペプチドはIGFBP2−/−マウスにおいて体重増加を減少させる。IGFBP−2 HBDの体重増加および脂肪量への効果をインビボで調べるために、各HBD配列を含有するペプチドをIGFBP−2−/−マウスに投与した。両方の対照ペプチドがインビトロで、前脂肪細胞分化へ類似した効果を生じたので、スクランブル化HBD1ペプチドだけを対照として用いた。インビボで、ペプチドの半減期を延ばし、かつそれらのタンパク質分解に対する抵抗性を増加させるために、全ての3つのペプチドをペグ化した。週5回、3週間、腹腔内(IP)注射により投与された50μgのHBD1ペプチドは、IGFBP−2−/−雄マウスにおいて骨成長を促進したことが以前に示されている。その以前のプロトコールを改変し、50μgの各ペプチドを3回/週、12週間、(IP)注射した。同年齢の野生型C57BL/6J(Wt)雄マウスを、溶媒で処置し、ペプチド処置を受けた3群のマウスと比較した。
この動物研究は多数のIGFBP−2−/−マウスを必要とするため、実験を2つの時期に分けた。第1時期において、HBD1および対照ペプチド処置、加えて野生型対照マウスを研究した。第2時期において、HBD2および対照ペプチドの効果を決定した。各時期における各群のマウスの体重および年齢は、処置の開始時点で類似していた。結果により、対照ペプチドを受けたIGFBP−2−/−マウスは、対照野生型マウスと比較して、12週間中、体重増加がより多いことが示された(図3A)。研究の区間の間、HBD1またはHBD2ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスは、対照ペプチドで処置されたマウスと比較して、8週間の処置後、体重増加が有意により少なかった。この差は、HBD処置されたマウスにおいて持続し、12週間の処置後、その差は有意のままであった(図3A)。加えて、10週間後、体重増加は、HBD1ペプチドを受けたマウスと比較して、HBD2ペプチドを受けたマウスにおいて有意により少なかった(図3A)。重要なことには、野生型対照マウスにおける体重の増加は、HBD1かまたはHBD2のいずれかでそれぞれ処置されたIGFBP−2−/−マウスと類似した(図3A)。体重増加における違いが食物摂取量の差によって引き起こされた可能性を排除するために、摂食量を毎週、測定した。結果により、全ての処置の間で有意差はないことが示された(図3B)。加えて、経口グルコース負荷試験は、異なる処置の間で有意差がないことを示した(図3C)。
IGFBP−2のヘパリン結合ドメインは、体脂肪量蓄積を阻害し、血清中アディポカインホルモン濃度を変化させる。体組成における変化を調べるために、全てのマウスに研究の開始時点および終了時点にMRIを実施した。12週間の処置後、両方のHBDペプチドが、対照ペプチド処置と比較して、脂肪量増加を低下させたが、HBD2だけが統計学的差に達した(例えば、0.58±0.12g増加対1.19±0.35g増加、p<0.05)(表1)。脂肪量の変化が、体重に占めるパーセンテージとして表された脂肪の変化として表された場合、同じ結果が得られた。HBD2ペプチドだけが、研究の区間に渡って体脂肪量増加の有意な減少を生じた(例えば、対照と比較して48±9%低下、p<0.05)(図4A)。HBD2ペプチド処置はまた、対照ペプチドと比較して、非脂肪量の有意な保存を伴った(例えば、非脂肪量増加:3.10±0.57g対1.85±0.49g、p<0.05)(表1)。非脂肪量変化が、体重に占めるパーセンテージとして表された場合、結果は、対照ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスが、いずれかのHBDペプチドで処置されたマウスと比較して、相対的により大きい非脂肪量変化を体験したが(例えば、7.2±1.0%相対的低下)、HBD2ペプチドがより効果的であった(例えば、HBD1について4.1±1.1%相対的低下、HBD2について2.1±0.8%相対的低下、p<0.05)ことを示した(図4B)。
脂肪量への効果を確認するために、12週間の処置の完了後、マウスを屠殺し、2つの体脂肪区画の重量を測定した。結果により、異なる処置の間で肝臓および心臓の重量において有意差はないことが示され(図5A)、そのことにより、臓器重量変化が、処置に関連した体重変化に寄与する可能性が排除された。脂肪区画分析により、対照ペプチドを与えられたIGFBP−2−/−マウスは、全ての群の間で、最も高い鼠径部脂肪含有量および内臓脂肪含有量を有することが示された。HBD2ペプチドは、対照ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスと比較して、鼠径部脂肪パッド重量を有意に低下させたが(例えば、0.23±0.02g対0.34±0.03g、p<0.05)、HBD1ペプチドは効果を生じなかった(表2)。体重に占めるパーセンテージとして表された鼠径部脂肪パッドを処置の間で比較した場合、類似した結果が得られた(例えば、対照ペプチドと比較した場合、HBD2処置に関して32±7%差、p<0.01)(図5B)。
絶対的内臓脂肪重量は、対照ペプチド処置と比較して、HBD1またはHBD2ペプチドのどちらで処置されたマウスにおいても有意に低下したが、HBD2ペプチドがより効果的であった(例えば、HBD2についての0.25±0.02gおよびHBD1についての0.34±0.01g対、対照についての0.46±0.04g、p<0.05)(表2)。変化が体重に占めるパーセンテージとして表された場合、類似した結果が検出された(例えば、HBD2と対照の間での44±7%の差、HBD1と対照の間での24±5%の差、p<0.05)(図5C)。興味深いことに、両方の脂肪区画の重量が体重に占めるパーセンテージとして表された場合、HBD2ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスにおける結果は、野生型マウスと類似した(図5B〜C)。脂肪細胞サイズを処置の間で比較した場合、有意差は検出されなかった(例えば、対照ペプチド、HBD1、HBD2、および野生型、それぞれについて、12399±1408、12406±748、11967±716、および12422±831ピクセル/細胞。p、N.S.(非有意))。鼠径部脂肪パッド中のトリグリセリド含有量の分析により、HBD1またはHBD2ペプチドのどちらで処置されたIGFBP−2−/−マウスにおいてもそれは有意に低下したが、HBD2がより効果的であった(例えば、37±9%対22±2%低下、p<0.05)ことが示された(図6A)。加えて、野生型マウスにおけるトリグリセリド含有量は、対照ペプチドで処置されたIGFBP−2−/−マウスのそれより有意に低かった(例えば、31±5%低い、p<0.01)(図6A)。血清中アディポネクチン平均レベルは、対照ペプチド(例えば、36±4%、p<0.01)またはHBD1ペプチド(例えば、24±5%低下、p<0.05)で処置されたマウスのどちらと比較しても、HBD2ペプチド処置に関して有意に低かった(図6B)。HBD2ペプチドでの処置は、対照ペプチド処置マウスと比較して、血清中レプチンレベルを有意に増加させたが(例えば、57±9%増加、p<0.01)、HBD1ペプチドは効果を生じなかった(図6C)。野生型マウスにおける血清中レプチンレベルもまた、対照ペプチド処置IGFBP−2−/−マウスのそれより高かった(図6C)。総合すると、これらの結果は、HBD1とHBD2ペプチドの両方が、脂肪生成を阻害することができるが、HBD2ペプチドがより強力な阻害剤であることを実証している。
上記のように、IGFBP−2がインビボで脂肪生成を変化させることができるかどうかを決定するために、合成ペプチドを用いた。IGFBP−2は、複雑なジスルフィド結合パターンを有し、それゆえに、哺乳類細胞における発現が必要とされ、これらの動物を処置することができるのに十分な材料を得ることが困難であろう。したがって、2つのHBDに由来した配列を含有する合成ペプチドが、前脂肪細胞分化を阻害する能力を保持するかどうかを決定するために研究を行った。
本明細書で報告された研究は、インビトロで、HBD1領域における荷電残基の突然変異誘発が、結果として、IGFBP−2の前脂肪細胞分化を阻害する能力の喪失を生じ、この領域を含有するペプチドが、結果として、脂肪量獲得の31%阻害を生じたことを実証している。対照的に、C末端ヘパリン結合ドメイン内の配列を含有するペプチドは、前脂肪細胞分化のより強力な阻害剤であり、その領域内の荷電残基がアラニンと置換されたIGFBP−2突然変異体は、分化を阻害する能力が低下した。HBD2ペプチドは、前脂肪細胞分化を阻害することにおいて、HBD1ペプチドより1.8倍、強力であった。
これらの所見は、IGFBP−2−/−マウスにおけるインビボ研究において確認された。HBD2ペプチドの投与は、対照ペプチドを受けたマウスと比較して、12週間の期間に渡って、脂肪量の増加を有意に阻害した。HBD1ペプチドもまた有意な効果を生じたが、HBD2ペプチドに対する応答が有意により大きかった。HBD2ペプチドはインビボでそれの優れた効力を保持すること、および両方のペプチドが天然IGFBP−2の代用物として利用し得ることが結論づけられた。処置は、食物摂取量への有意な効果を生じなかったが、研究は、観察される小さな差(例えば、8%)を検出するのに十分な力はなかった。ペプチドがエネルギー消費を増加させる可能性があるが、これは測定されなかった。この区間に渡る脂肪量の変化は、グルコース耐性の変化を生じなかった。
HBDペプチドが、IGF−I作用をアンタゴナイズすることにより前脂肪細胞分化を阻害する可能性を排除するために、分化培地において各ペプチドの存在下でIGF−Iを加える実験を行った。分化培地は、IGF−I受容体を活性化するのに十分である10−6Mインスリンを含有するため、IGF−Iを加えることは、細胞分化に追加の効果を生じず、したがって、HBDペプチドの追加の効果は直接、検出することができなかった。IGFBP−2またはHBDペプチドはインスリンを結合することができないため、IGFBP−2またはHBDペプチドは、IGF−Iまたはインスリンのこの受容体への結合を阻止することにより前脂肪細胞分化を阻害するのではないと結論づけられた。
要約すれば、本明細書に記載された研究は、インビトロおよびインビボで、IGFBP−2の両方のヘパリン結合ドメインが、前脂肪細胞分化を阻害するある程度の能力をもつが、C末端HBDが、有意に、より強力であることを実証している。このドメインの効果は、そのペプチドの12週間の投与が、脂肪量蓄積を、野生型マウスにおいて測定される比率と類似した比率に制限するようなことであった。これは、このドメインが、脂肪生成を制限することにおけるタンパク質全体の効果の多くを模倣することができることを示唆している。IGFBP−2レベルは、ヒトにおいて脂肪症およびインスリン抵抗性の発生と相関しているため、これらの所見は、このペプチドが、インスリン抵抗性を媒介することにおける脂肪症の役割を研究するための薬理学的ツールとしてだけでなく、有望な処置モダリティーとして有用である可能性があることを示している。
HBD−2ペプチドが脂肪減少を誘導するかどうかを決定するために、HBD−2ペプチドを、遺伝的に正常で、卵巣切除したマウスに投与する実験を行った。この実験の目的は、そのペプチドが、卵巣切除したマウスにおいて脂肪量を変化させることができるかどうかを決定することであった。エストロゲン欠乏マウスは、卵巣の除去後、脂肪量を増すことが知られている。遺伝子操作されていない動物モデルにおいてそのペプチドは試験されていなかったため、かつそれが既存の脂肪量を低下させることができるかどうかを決定するために、脂肪量が前に獲得されている状態においてそれは試験されていなかったため、この実験を行った。実験設計は以下の通りであった。
各処置群において8匹のマウスがあった。C57B6正常マウスは、週齢8週間に卵巣切除を受けた。その後、それらを、標準固形飼料食餌(6%脂肪)で3週間、維持した。その時点で、それらを、週2日で4週間の2.5mg/kgの活性ペプチドの皮下注射で処置した。そのペプチドは、本明細書に記載されたペグ化HBD−2ペプチドである。
同様に卵巣切除を受けている第2処置群を、同じアミノ酸であるが、スクランブルされた順序でアミノ酸を含有する対照ペプチドの同一の濃度で処置した。第3群は、切開が行われ、その後、閉じられて、卵巣が除去されないシャム手術を受けた。比較のために、IGFBP−2遺伝子が欠失しているマウスの応答を、同じ様式で処置した。
8匹のマウスが受け、正常な動物について記載されているように、活性ペプチドで4週間、処置された。8匹の追加のマウスが対照ペプチドを受け、8匹のマウスがシャム手順を受けた。動物の体重を毎週、計った。4週間後、それらは、体組成を決定するためにMRI分析を受けた。非脂肪量および脂肪量の両方を定量化し、全体重に占めるパーセントとしてのパーセント脂肪を数学的に決定した。
結果は、対照の、卵巣切除を受けている遺伝的に正常な動物において、そのペプチドが脂肪量を低下させることを実証した。卵巣切除した動物は、シャム手術の動物における2.83gから6.3gへ(p<0.001)の脂肪量の非常に有意な増加を示した。活性ペプチドの投与は、脂肪量を6.32gから4.0gへ(p<0.007)低下させた。これらのデータは表3に示されている。全体重もまた、25.87gから23.0gへ(p<0.01)有意に低下した。これは、シャム動物における22.8gに匹敵する。IGFBP−2遺伝子が欠失している卵巣切除を受けた動物は、類似した変化を示した。具体的には、対照ペプチドで処置された動物は、5.37gの脂肪を有したが、シャム動物は、2.9gを有した(p<0.035)。HBD−2ペプチドの投与は、結果として、対照ペプチド処置された動物と比較して、3.85gの脂肪量を生じた(p<0.001)。対照ペプチドと比較した場合の、活性ペプチドを受けた遺伝的に正常な動物における脂肪の変化を比較した結果は、図8に示されている。要約すれば、結果は、エストロゲンの欠乏の結果として脂肪量が増加している遺伝的に正常な動物へのHBD−2ペプチドの投与が、脂肪量において有意な低下を引き起こすことを実証している。これは、過剰な脂肪蓄積を有する正常な個体において効果的である可能性が高いことを示している。
本明細書に引用された全ての特許、特許公開、および非特許文書の開示は、全体として参照により本明細書に組み入れられている。
処置群は、HBDペプチド(HBD pept)、対照ペプチド(control pept)、およびシャムである。シャム動物は、それらの卵巣を除去されなかったが、その他の2つの群は除去された。マウスは2つの異なる遺伝子型を有する。+/+は対照マウスであり、−/−マウスはIGFBP−2ノックアウトマウスである。

Claims (26)

  1. 101112131415161718のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドであって、式中、
    はK、HまたはRであり、
    はH、RまたはKであり、
    はG、AまたはPであり、
    はL、R、IまたはVであり、
    はY、FまたはMであり、
    はNまたはQであり、
    はL、VまたはIであり、
    はK、RまたはHであり、
    はQ、NまたはSであり、
    10はCであり、
    11はK、HまたはRであり、
    12はM、F、WまたはYであり、
    13はS、T、NまたはQであり、
    14はL、VまたはIであり、
    15はN、QまたはSであり、
    16はG、A、SまたはPであり、
    17はQ、N、SまたはTであり、
    18はR、KまたはHである、単離されたペプチド。
  2. 10111213のアミノ酸配列を含む単離されたペプチドであって、式中、
    はK、HまたはRであり、
    はH、RまたはKであり、
    はG、AまたはPであり、
    はL、R、IまたはVであり、
    はY、FまたはMであり、
    はNまたはQであり、
    はL、VまたはIであり、
    はK、RまたはHであり、
    はQ、NまたはSであり、
    10はCであり、
    11はK、HまたはRであり、
    12はM、F、WまたはYであり、
    13はS、T、NまたはQである、単離されたペプチド。
  3. (a)アミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを有する単離されたペプチド;(b)アミノ酸配列KHGLYNLKQCKMSLNGQRを有するペプチドであって、位置1におけるKがRもしくはHと置換され、位置2におけるHがRもしくはKと置換され、位置8におけるKがRもしくはHと置換され、位置11におけるKがRもしくはHと置換され、位置18におけるRがKもしくはHと置換され、またはそれらの任意の組合せである、ペプチド;または、c)前記の(a)もしくは(b)のいずれかの薬学的に許容される塩であって、前記ペプチドが完全長インスリン様成長因子結合タンパク質2(IGFBP−2)ではない、ペプチド。
  4. 前記ペプチドが、そのN末端、そのC末端、またはそのN末端とC末端の両方に連結したポリアルキレングリコール部分をさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の単離されたペプチド。
  5. 前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコール(PEG)である、請求項4に記載のペプチド。
  6. 前記PEGが約10,000g/molから約30,000g/molまでの分子量を有する、請求項5に記載のペプチド。
  7. 前記ペプチドが環化している、請求項1から3のいずれか1項に記載の単離されたペプチド。
  8. 薬学的に許容される担体中に請求項1から7のいずれか1項に記載の単離されたペプチドを含む組成物。
  9. 体重制御剤をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
  10. 対象において脂肪細胞分化を阻害するための方法であって、請求項1から7のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項8もしくは9に記載の組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
  11. 対象において体重増加を阻害するための方法であって、請求項1から7のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項8もしくは9に記載の組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
  12. 対象において脂肪量を低下させるための方法であって、請求項1から7のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項8もしくは9に記載の組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
  13. 対象において肥満を処置するための方法であって、請求項1から4のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項5に記載の組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
  14. 対象において体重を低下させるための方法であって、請求項1から4のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項5に記載の組成物の有効量を対象に投与することを含む、方法。
  15. 対象において体重を制御するための方法であって、請求項1から7のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項8もしくは9に記載の組成物の有効量を対象に投与することを含む、方法。
  16. 前記量が、前記対象において体重増加を低下させ、または体重減少を誘導するのに効果的である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記量が、前記対象の肥満度指数を低下させることにおいて効果的である、請求項15に記載の方法。
  18. 前記対象が、少なくとも約25kg/mの肥満度指数を有する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記対象が、少なくとも約30kg/mの肥満度指数を有する、請求項17に記載の方法。
  20. 前記投与が、少なくとも約16週間または約24週間の期間、継続される、請求項15に記載の方法。
  21. 前記対象が少なくとも5%の体重減少を達成するか、または前記対象の肥満度指数が約25kg/m未満まで低下するまで、前記投与が継続される、請求項15に記載の方法。
  22. 対象において脂肪減少を誘導するための方法であって、請求項1から7に記載のペプチドまたは請求項8もしくは9に記載の組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
  23. 前記対象がインスリン抵抗性を有する、請求項10から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記対象がインスリン抵抗性を有さない、請求項10から22のいずれか1項に記載の方法。
  25. 請求項10から24のいずれか1項に記載の方法を行うための薬物の調製における、請求項1から7のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項8から9のいずれか1項に記載の組成物の使用。
  26. 請求項10から24のいずれか1項に記載の方法を行うための、請求項1から7のいずれか1項に記載のペプチドまたは請求項8から9のいずれか1項に記載の組成物の使用。
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