本明細書に記載の様々な実施形態は、体表面の複数の部分上で処置を実行するための装置及び方法に関する。多くの様々な処置または処置の部分の任意のものが、本明細書に記載の装置および方法を使用して、実行され得る。いくつかの実施形態では、これらの装置および方法は、処置を単純に容易にしまたは向上させることができる。一般に、本明細書で使用されている「処置を実行する」という語句は、処置を容易にすること及び/または向上させること、及び/または、処置の一部を実行し、容易にし、及び/または向上させることも含むことを意味する。
本明細書に記載の実施形態は、体表面の複数の部分上で処置を実行するのに使用され得るが、その部分は隣接しており、かつ重なっていない。あるいは、上記と同じまたは他の実施形態が、例えば、その部分が均一な所望の量だけ重なっている場合、または所望の量のギャップが体表面部分間に存在する場合に、体表面の複数部分上で処置を実行するのに使用され得る。本明細書に典型的に記載された様々な実施形態は、互いにすぐに隣接しているような、互いに対して一貫した位置にある複数の体表面部分上で処置を実行するのを容易にする。
一態様によれば、複数の典型的に隣接し、重なっていない体表面セグメント上での処置を容易にするため、本明細書に典型的に記載した装置及び方法は、通常、第1部分及び第2部分を有する位置決め装置を含む。上記部分が互いに結合されている場合、それらは処置が実行される体表面のセグメントまたは領域の輪郭を描く。第1部分は、第2部分から(完全にまたは部分的に)取り外されて、新しい位置に動かされてもよいが、第2部分は体表面上で静止したままで基準として作動する。第1部分が体表面上に再配置されると、第2部分は、第1部分を再結合するように動かすことができ、それによって、処置が実行される第2体表面セグメントの輪郭を描く。このプロセスは、所望の数の体表面セグメントまたは領域上で処置を実行するために、所望する回数繰り返すことができる。
いくつかの実施形態では、位置決め装置は、処置のために複数の体表面の部分の輪郭を描く助けとなる位置決め器(すなわち、「ポジショナ」)として単純に作動する。オプションで、位置決め装置は、スキン/頭皮テンショナとしても作動し得る。他の実施形態では、位置決め装置は、処置を実行するイメージガイドシステムをガイドするための複数の基準(すなわち、「基準マーカ」)を含み得る。いくつかの実施形態では、位置決め装置は、スキン/頭皮テンショナであり、かつ基準も含み得る。
いくつかの実施形態では、輪郭を描いた体表面部分上で処置が実行されている間、位置決め装置はその場所に残っていてよい。他の実施形態では、位置決め装置は体表面をマーキングするのに使用することができ、次いで、位置決め器は動かされ、体表面のマークした部分で処置が実行され得る。いくつかの実施形態では、位置決め装置は中央開口を有するフレームを含むことができ、かつその開口は体表面部分の輪郭を描く。あるいは、他の実施形態においては、位置決め装置の外側縁または何らかの他の特徴が体表面部分の輪郭を描くことができる。
本出願の一態様によれば、患者の体表面上で処置を実行するための方法が提供される。この方法は、体表面の第1セグメントの輪郭を描くために体表面上に位置決め装置を配置することと、体表面上の第1セグメント上で処置を実行することと、位置決め装置の第1部分を動作させるとともに、位置決め装置の第2部分を静止させたままにしておくことと、ここで第2部分は第2部分に対する第1部分のガイド動作の基準を与えることと、位置決め装置を修正し、かつ体表面上の第2セグメントの輪郭を描くように位置決め装置の第2部分を動作させることと、を含む。いくつかの実施形態においては、体表面の第1セグメントの輪郭を描く場合、位置決め装置の第1部分、または位置決め装置の第2部分、またはその両方は、自由端を含む。他の実施形態においては、位置決め装置の第1部分及び第2部分の少なくとも1つが体表面上の第1位置から体表面上の第2位置に動かされ、かつ位置決め装置の第1または第2部分の他方が第2位置で修正するように動かされる。
本出願の他の態様によれば、患者の体表面で処置を実行するための方法が提供される。その方法は、第1体表面セグメントの輪郭を描くために第1位置の体表面上に位置決め装置を配置することと、ここで位置決め装置は複数の基準を含み、少なくとも部分的に複数の基準によってガイドされるイメージガイドシステムを使用して、第1体表面セグメント上で処置を実行することと、体表面上で位置決め装置の第1部分を動作させるとともに位置決め装置の第2部分を静止させたままにしておくことと、ここで位置決め装置の第2部分は第2部分に対する第1部分のガイド動作の基準を与えることと、位置決め装置の第2部分を動作させて、位置決め装置を修正し、かつ第2体表面セグメントの輪郭を描くことと、を含む
一実施形態においては、例えば、位置決め装置は、位置決め装置の対向する側面上に配置された少なくとも4つの基準マーカを含むことができ、マーカは体表面上に格子パターンを形成する。いくつかの実施形態においては、位置決め装置は、第1及び第2体表面部分の輪郭を描く中央開口を含む。開口は正方形であってもよく、基準マーカは正方形の開口の各側面に沿って配置される。一実施形態においては、例えば、開口の各側面に沿って少なくとも4つの基準マーカが配置される。
他の実施形態においては、患者の体表面で処置を実行するための方法は、患者の体表面上で処置を行うことを含み、その方法は体表面上で第1位置に位置決め装置を配置することと、位置決め装置によって輪郭を描いた体表面の第1セグメント上で処置を実行することと、位置決め装置の第1部分を位置決め装置の第2部分から体表面上の第2位置まで選択した距離動かすとともに、第1位置にある体表面上の位置決め装置の第2部分をそのままにしておくことと、ここで選択した距離は位置決め装置の1つ以上の特徴によって決定されることと、位置決め装置を修正し、従って、第2体表面セグメントの輪郭を描くように位置決め装置の第2部分を動作させることと、を含む。いくつかのの実施形態においては、その方法は、第2体表面部分上で処置を実行することも含み得る。オプションで、その方法はさらに、位置決め装置の第1部分を体表面上の第3位置に動かすとともに、第2位置にある体表面上の位置決め装置の第2部分をそのままにしておくことと、第3位置で位置決め装置を修正し、従って、第3体表面部分の輪郭を描くように位置決め装置の第2部分を動作させることと、第3体表面部分上で処置を実行することと、を含み得る。
様々な実施形態において、位置決め装置の第1及び第2部分は、互いに対して、多くの適切な方法のいずれかで動かされ得る。例えば、第1部分は、第2部分に対して、回転させ、振り向かせ、ひっくり返させ、旋回させ、または位置決め装置の第2部分に対して位置決め装置の第1部分を持ち上げ及び再配置することにより、動かされ得る。
いくつかの実施形態においては、体表面は頭皮であり、かつ処置は、毛髪移植片を採取すること、毛髪移植のサイトを作ること、または毛髪移植片を移植することを含む。この処置は、皮膚に刺青を入れること、皮膚移植片を取り外すこと、皮膚移植片を取り付けること、または任意の他の適切な処置を含み得る。
いくつかの実施形態においては、本発明の方法は、第1部分を第2位置に動かす前に、位置決め装置の第2部分から位置決め装置の第1部分を切り離すことをさらに含む。一実施形態においては、位置決め装置の第1及び第2部分の1つまたは両方は、基準特徴として使用することができる自由端を含み得る。そのような実施形態においては、例えば、位置決め装置の第1部分の1端は、第2位置に動かされると、位置決め装置の第2部分の自由端に当接する。すなわち、第2部分の以前の自由端は、第1部分を配置する基準として作動する。代替実施形態においては、位置決め装置の基準特徴は、第1部分が少なくとも1つのコネクタによって第2部分から選択された距離だけ動かされ得るように、第1部分と第2部分を結合する少なくとも1つのコネクタを含み得る。
いくつかの実施形態においては、位置決め装置が体表面に対して動かないような第1及び第2位置における皮膚のような体表面に位置決め装置を取り付けることも含み得る。例えば、体表面にフレームを取り付けることは、ピン、フック、バーブ、または針の少なくとも1つを使用して、皮膚にフレームを付着させることを含み得る。
本出願の他の態様においては、患者の体表面上における処置を容易にするための装置が提供される。この装置は、処置が実行される体表面のセグメントの輪郭を描くように構成されたフレームを含み、そのフレームは、第1部分と、動作可能に第1部分に接続され、かつ第1部分から少なくとも部分的に取り外し可能な第2部分と、第1及び第2部分が互いに着脱可能に接続できるように構成された第1及び第2部分の少なくとも一方上の連結部材と、底部表面と、上部表面と、を含み、フレームの第1及び第2部分が体表面の複数のセグメントの輪郭を描くために体表面上の様々な位置に動かされ得るように、フレームの第1及び第2部分の少なくとも1つの上の基準特徴、または、フレームの第1及び第2部分に接続された少なくとも1つの基準特徴を含む。
いくつかの実施形態においては、フレームは、患者の体表面に適合するように、少なくとも部分的に可撓性であり得る。いくつかの実施形態においては、フレームは開口を含むことができ、その開口は体表面のセグメントの輪郭を描き、処置は体表面上に配置したフレームの開口を通して実行される。
いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの基準特徴は、第1部分が体表面上の第1位置から第2位置へ動かされると、第1部分の縁が第2部分の対応する縁に当接させられるように、フレームの第1部分の縁とフレームの第2部分の対応する縁を含み得る。他の実施形態においては、少なくとも1つの基準特徴は、第1部分が第2部分に対して動作している間、フレームの第1部分を第2部分に接続するように構成される少なくとも1つのコネクタを含む。例えば、一実施形態においては、少なくとも1つのコネクタは、第1及び第2部分の対向する側面上の2つのヒンジを含む。
上記のように、いくつかの実施形態においては、本装置は、フレームの上部表面及び/または底部表面に取り付けられ、少なくとも処置の1部を実行するためにイメージガイドシステムをガイドするように構成された少なくとも3つの基準マーカを含み得る。例えば、一実施形態において、処置は、ロボット毛髪移植システムによって少なくとも部分的に実行することができ、基準マーカは、処置を実行する際にロボットシステムをガイドする。いくつかの実施形態においては、フレームは、マーカが格子を形成するように、フレームの4つの対向する側面上に配置された、少なくとも4つの基準マーカを含む。いくつかの実施形態においては、フレームは正方形または長方形の中央開口を含むことができ、基準マーカがその開口の各側面に沿って配置され得る。いくつかの実施形態においては、開口の各側面に沿って、少なくとも4つの基準マーカが配置されている。
いくつかの実施形態においては、フレームはスキンテンショナとしても作動する。フレームは、フレームの底部表面と結合される少なくとも1つの皮膚付着部材を含み得る。例えば、その皮膚付着部材は、接着剤、ピン、フック、バーブ及び/または針を含み得る。本装置は、少なくとも2つの取付部材を含むこともでき、その取付部材の少なくとも1つは、患者、または、患者が座ったり寝たりする椅子またはテーブルの少なくとも1つに第1及び第2部分を取り付ける助けとなるように、フレームの第1及び第2部分の各々に連結される。
本出願の他の態様によれば、患者の体表面上での処置を容易にする装置が提供される。本装置は処置が実行される体表面のセグメントの輪郭を描くように開口を形成するフレームを含み、そのフレームは、第1部分と、第1部分に接続され、かつ第1部分から少なくとも部分的に取り外し可能な第2部分と、第1及び第2部分が互いに着脱可能に接続できるように構成された第1及び第2部分の連結部材と、を含み、本装置は、フレームの第1及び第2部分が体表面の複数のセグメントの輪郭を描くために体表面上の様々な位置に動かされ得るように、フレームの第1及び第2部分の少なくとも1つの上の、または、第1及び第2部分に接続された少なくとも1つの基準特徴と、少なくとも処置の一部を実行するためにフレームに取り付けられ、イメージガイドシステムをガイドするように構成された複数の基準マーカと、を含む。
上記及び他の態様と実施形態は、以下に、より詳細に説明される。
以下の詳細な説明では、本発明を実施することができる実施形態のいくつかの実施例を図示によって示す添付の図面に対して、参照がなされる。この点において、「右」、「左」、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」等の方向性用語が、記載されている図の方向に関して用いられる。本発明の構成要素または実施形態は、多数の様々な方向で配置または作動することができるので、方向性用語は、説明の目的のために使用されるものであり、何ら限定を与えるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、構造的または論理的な変更がなされ得る。
本明細書で使用される用語「ツール」は、様々な医療の処置または応用における行為、処置、または手術を実行できる任意の数のツールまたはエンドエフェクタを意味する。例えば、ツールは、針、外科用メス、刃、様々なタイプの鉗子、止血鉗子、外科用器具、開創器、電気外科ツール、高周波除去ツール、縫合装置、刺青の配置または除去ツール、カニューレ、ドリルまたはレーザであり得る。毛髪移植処置に関しては、「ツール」は「採取ツール」または「移植ツール」を含むことができ、皮膚または体表面、例えば、頭皮に、毛包単位(「FU」)を切断するか、採取するか、または移植することができる。そのようなツールは、多くの様々な形態と構成を有し得る。多くの実施形態では、ツールは、中空管状シャフトを含み、従って、例えば、カニューレ、針、またはポンチにラベルをつけることができる。そのようなツール(例えば、ポンチ、コアリング装置、切断及び/またはトリミング装置、針)の遠位端は、組織を貫通し、毛包ユニットを抽出または移植するために、典型的には、様々な程度に尖っている。本明細書で使用される用語「動作可能に結合される」、「結合される」、「搭載される」、「取り付けられる」は、1つ以上の介在部品を介して、直接または間接に、結合され、取り付けられ、または、搭載されることを意味する。
本発明の方法の実施形態は、コンピュータソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアを用いて実行することができる。様々なプログラミング言語及びオペレーティングシステムが、本発明を実行するために使用され得る。
自動(ロボットを含む)システムまたはコンピュータ制御システムを使用して行われる毛髪移植処置は、例えば、本出願の譲受人によって共有され、参照によって本明細書に引用したものとするUS2007/0106306に記載されている。ロボット毛髪移植システムのようなロボットシステムは、一般に、ロボット制御の下で、ツールの正確な配置を必要とする。毛髪移植のような、位置の正確な制御を必要とする半自動化または完全に自動化された処置を実施する際には、患者の動きまたは一時的な中断にもかかわらず、そのような正確な制御を維持できることが望ましい。
本明細書に記載の様々な実施形態によれば、ツール(または、より一般的には処置)が、隣接する体表面の複数の部分上での処置(または処置の一部)を、中断した場所から続けて行い、及び/または、容易にすることを可能にする、様々な装置及び方法が提供される。例えば、毛髪移植を参照すると、処置は、いくつかの実施形態においてイメージガイダンスを使用することを含み、手動、半自動または完全自動化された方法で実行され得る。任意のこれらの場合において、処置の一部が体表面上の特定の位置で終了する場合、第1及び第2処置領域の間にギャップがないように、またはそれらの重なりがないように、毛髪移植片が採取または移植される次の処置領域に正確に、的確に移動することが必要であるかまたは望ましい。このようなギャップは採取不足または移植不足をもたらし、重なりは、重なった領域に、乱獲や重複領域に採取過剰または移植過剰をもたらし得る。現在利用可能な方法を使用して、(イメージガイドシステムの場合には)基準を頭皮上の1つの位置から他の位置に手動で動かすか、または、第2処置位置が第1位置に対して置かれるべき場所を手動で判断する、等が必要である。ある場所から別の場所へのこの種の手動の移動は非常に困難であり、処置を実行するユーザのスキルに、大いに依存し得る。また、出血のような要因は処置領域を不明瞭にし、ある領域から他の領域へギャップまたは重なりなく移動する作業をさらにより困難にし得る。
本明細書に記載の様々な実施形態は、これらの課題を軽減しようとしている。下記の装置と方法は、一般に、処置をガイドするために使用される位置決め装置を含む。その位置決め装置は、2つの可動かつ少なくとも部分的に取り外し可能な部分を含み、その2つの部分の1つは体表面に固定されたままであるとともに、2つの部分の他の1つは動かされて、正しいアラインメントの基準となる。従って、本明細書に記載の装置及び方法は、皮膚、頭皮または他の体表面の複数のセグメント上で、処置を実行するためのセルフアラインメントを提供する。さらに、いくつかの実施形態において、このデバイスは、皮膚のテンショナ、基準キャリア、またはその両方としても作用する。
様々な実施例および実施形態は、本明細書中で、毛包単位(自然に1〜4個の毛包の凝集物を生じる)または毛髪移植片に関連して記載されることが多いが、様々な代替実施形態においては、ここで議論される様々な概念が、他の適切な応用に、より広く適用され得る。さらに、本明細書に記載の方法は、毛髪採取及び/または移植のための(ロボットシステムを含む)イメージガイドシステムとともに使用するに特に適しているが、それらは他のコンピュータ実装またはイメージガイドの応用に適用することができる。例えば、本明細書に記載の装置及び方法は、本明細書に記載の位置決め装置から便益を得ることができるような、様々なアブレーション処置、生検処置、脊椎処置、皮膚科的処置(例えば、刺青の配置または刺青の除去、または皮膚癌のような様々な皮膚科的状態の治療)、及び他の処置に使用され得る。従って、本明細書に提供される実施例は、説明及び例示のみの目的のためのものであり、本説明は、網羅的または限定的であることを意図するものではない。
図1は、体表面上で処置を行う際にイメージガイダンス及び基準を使用する方法の一実施例を示すブロック図であり、これは、本開示に係る位置決め装置とその使用方法によって実施することができる。ステップ110(予備ステップであってもよく、点線で示されている)において、複数の基準のような、1つ以上の基準点を有する体表面の1つ以上のイメージが、例えばイメージ取得装置を用いて、得られる。これは、当該分野で公知の任意の技術によって達成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、イメージ取得装置は、ロボットアームに取り付けられてもよく、その取り付けられたイメージ取得装置を有するロボットアームは、採取または移植領域がカメラの焦点にあるように配置することができる。他の実施形態では、イメージ取得装置は、自動化された(例えば、ロボット)システムに組み込むことができるが、ロボットアームに取り付けられない。また、さらなる実施形態では、イメージ取得装置は、ロボットシステムとは別個の装置であってもよい。あるいは、さらなる実施形態では、イメージ取得装置は、ロボットシステムから分離した装置であってもよい。
本出願で使用されるように、「基準」(または「基準マーカ」)は、基準として作用することができ、イメージング装置の視野内で識別可能とすることができる物体である。基準は多くの形態をとることができ、例えば、位置と方向の両方を一意的に識別する単一の人工的基準点が基準として使用され得る。例えば、表面に印刷された1セットの座標軸をとる。位置をそれぞれ一意的に特定する1セットの基準点が基準として使用され得る。3つ以上のそのような基準点の組み合わせは、位置及び方向の両方を指定する基準の固有のフレームを規定することができる。一実施例は様々な色を有する球であろう。1つの球は、方向ではなく、空間内の位置を一意的に指定する。さらなる2つの球は、位置および向きの両方を指定するために使用することができる。
解剖学的ランドマークまたは皮膚マーキングのような、皮膚や自然の特徴の上に直接配置されたドットは、いくつかの処置においては基準として使用することができるが、それらは、本明細書で議論される処置においては一般に作動しない。そのような基準は、血液および他の流体によって不明瞭にされることが多く、(例えば、マーカで皮膚上にマークされたドットの場合)洗い流され得る。従って、自然基準及び皮膚上に直接マークされた基準に関連した欠点を克服するための基準を含む位置決め装置の様々な実施形態が本明細書に記載される。
ステップ115において、その一実施例が図2を参照して後述されるプロセッサまたはイメージプロセッサは、イメージ取得装置の基準のフレームにおける(例えば、カメラの視野内で)それぞれの基準の同一性と位置を処理して記録する。基準のそのような初期記録は、「基準登録」と呼ぶことができる。基準は、例えば、固定「世界」座標系のような様々な座標系に記録することができる。追加の基準のイメージが必要とされるような、イメージ取得装置によってイメージが1サブセットの基準のみ含む状況では、ステップ120が、すべての基準が同定されるまで、例えば、基準の他のサブセットを含む、必要な追加のイメージを取得することを行う。オプションのステップ125(点線で示される)では、複数の基準のそれぞれの位置に基づいて、ある領域の境界を決定することができるが、その領域の中では毛髪移植片または毛包ユニットをそこから採取し、またはそこに移植することが意図されている。その境界は、例えば、様々な基準の間に線を描くことによって、自動的に決定することができる。その境界は、採取または移植が困難な結合した領域のある部分を除去するように調整することもできる。
カメラの基準フレームにおいて基準の位置のずれを引き起こす可能性がある、患者の動き、一時中断、及び任意の他の出来事に対処するために、要求されるたびに(ユーザによって決定することができるように)、複数の基準またはその1サブセットのイメージを含む、体表面の更新されたイメージが取得される。患者の動き、または別のそのような一時的な中断により、これらの更新されたイメージにおける基準の位置は、イメージ取得装置の基準のフレームに対して、修正された位置にあり得る。
ステップ130において、プロセッサは、イメージ取得装置の基準のフレームにおいて複数の基準のそれぞれの修正された位置を処理するが、その複数の基準のそれぞれの修正された位置は、前に処理された位置と異なっていてもよい。基準の修正位置を取得すると、基準の元の位置の知識とともに、少なくともいくつかまたはすべての基準位置に対するオフセットがステップ130で決定され得る。このオフセット情報に基づいて、プロセッサは、ステップ130においても、関心のあるそれぞれの位置に対して、修正位置を処理することができるが、そのような位置は、そこから毛包ユニットがすでに採取されている位置であり(境界内の関心領域ですでに採取が開始されている場合)、または、そこに毛包ユニットがすでに移植されている位置(そのような移植が開始している場合)である。
オプションで、ステップ130は、例えば、基準の修正位置に基づいて採取/移植する領域、の修正境界を決定することも含み得る。しかしながら、この情報は、基準の最小数のオフセットに基づいて単純に自動的に確認され得るので、いくつかの実施形態においては、すべての修正境界を決定することは必要ではない。オフセットを決定済みであり、かつ基準に対して採取または移植(もしあれば)した毛包ユニットの位置の知識を有する毛髪移植の実施例を参照すると、ステップ135において、毛包がすでに採取された位置から採取されないように、次の毛包が採取されるべき位置を決定または選択することができ、または、毛包がすでに移植された位置に移植されないように、次の毛包が移植されるべき位置を決定することができる。このような選択は、図2を参照して説明したプロセッサのような、上述したステップを実行するようにプログラムされたプロセッサを使用して行うことができる。
ステップ140では、毛髪移植片または毛包ユニットは、選択した場所から採取されるかもしくはそこに移植されるか、または移植用のサイトが作成される。次の毛包が採取または移植されるとき、毛包が採取されたかもしくは移植された位置、または新しいサイトが作成される位置は、ステップ145でプロセッサにより登録されるか記録され得る。この登録は、複数の基準の少なくとも1つ、または決定された境界に対する、採取または移植の位置の情報を含むことができる。
オプションで、ステップ150において、本方法は、毛包ユニットが採取された(または、鉗子または真空を使用してさらに除去するためにすくなくとも周囲の組織から切除された)位置、または移植サイトを作成する位置、または毛包ユニットが移植されている位置を、イメージ上に仮想表示を作成して表示することを含み得る。例えば、モニタ(例えばコンピュータ画面)上のそのような視覚的表示は、ユーザが、毛髪移植片が切断されるかまたは採取された位置を容易に迅速に同定するのに、及び既存の毛包ユニットと新しく移植された毛包ユニットを区別するのにも有益である。ステップ150の視覚的表示は、様々な色、形状または他の適切な差別化する特徴を使用して実施することができる。
ステップ155では、プロセッサは、採取されまたは移植された毛包ユニットの領域と位置に関して記録された情報に基づいて、毛包ユニットがすべての所望のサイトから採取されたかどうか、または毛包ユニットがすべての所望のサイトに移植されたかどうか、またはすべての所望のサイトが作成されたかどうかを決定する。すべての毛包ユニットが採取または移植されたか、またはすべてのサイトが作成された場合には、プロセッサは、例えば、イメージ取得装置に、この情報を通信することができる。さらに、プロセッサはこの情報をユーザに通信することができ、典型的には、ユーザに(モニタ、音声コマンド、または任意の他の適切な技術を介して)、例えば、ステップ110は、新しいドナーまたは受容領域で再び開始することができるという指示を与える。
採取または移植するべき毛包ユニット、または作成するべきサイトがまだ存在する場合、プロセッサは、すべての所望のサイトが作成されるか、またはすべての所望の毛包ユニットが採取されるか移植されるまで、ステップ130−155を繰り返し続ける。例えば、更新された基準情報によって更新されたイメージが処理され、オフセットが決定され、次の採取サイトまたは移植サイトが選択される、等。このように、潜在的な患者の動きや中断にもかかわらず、連続的かつ自動的なやり方で、毛包が体表面から採取されまたは体表面に移植され続けることを可能にする方法が提供される。このツールは、基準に対するそれぞれの新しい採取または移植位置に移動させることができ、その基準は、患者、またはイメージ取得装置の動きにもかかわらず、体表面上で採取/移植する領域の位置を認識するメカニズムを与える。
ここで図2を参照すると、本明細書に記載の方法の様々な実施形態を実施するのに使用することができる実施例が模式的に示されている。図2は、毛髪採取(及び/または移植)のためのロボットシステム200の一実施例の模式的斜視図である。システム200は、ツール210に結合されるロボットアーム205を含む。様々なモータ及び他の動作装置が、複数の方向におけるツール210の動作先端の微細な動きを可能にするために組み込まれ得る。ロボットシステム200は、以下により詳細に記載される少なくとも1つのイメージ取得装置215を含む。イメージ取得装置は、固定位置に取り付けてもよいし、ロボットアーム205または他の制御可能な動作装置に(直接的または間接的に)結合してもよい。ツール210の動作先端は体表面220の上方に配置されているのが示されており、この場合、患者の頭皮の一部がその上に毛包を有する。いくつかの実施形態においては、イメージ取得装置は分離して与えられており、システムに含まれなくてもよい。それらの実施形態においては、イメージ処理コンポーネントのような、システムの様々な他のコンポーネントやモジュールが、分離したイメージ取得装置と相互作用するのを可能にするインターフェースが提供され得る。
プロセッサ225は、イメージ取得装置215から得られたイメージを処理するために、イメージプロセッサ230を含むことができる。イメージプロセッサ230は、分離した装置であってもよく、またはそれはプロセッサ225の一部として組み込まれてもよい。プロセッサ225は、ロボットアームに動作的に接続することができるツール210を含むロボットアーム205の様々な動作装置を指示することもできる。例えば、プロセッサ225はコントローラ235を介して作用することができる。コントローラ235は、ロボットアームに動作的に連結され、イメージ取得装置により取得されたイメージまたはデータに基づいた動きを含む、ロボットアームの動きを制御するように構成されてもよい。あるいは、イメージ取得装置によって取得されたイメージまたはデータに基づくものを含む、すべてのツール、ロボットアーム及びアッセンブリの任意の他の可動部品のすべての動きの処理と制御が1箇所に集中されるように、コントローラ235は、プロセッサ225の一部として組み込むことができる。システム200はさらに、モニタ240、キーボード245、及びマウス250を含むことができる。体表面220拡大イメージは、モニタ240で見ることができる。また、システム200は、例えば、毛包の採取及び/または移植、または、ヘアトリートメント計画に有用な、他のツール、装置及びコンポーネントを含むことができる。システムは、さらに、イメージデータを受信するように構成されたインターフェースを含み、システムの様々な部品は、オペレータが状態を監視し、必要に応じて、指示を与えることを可能にする。プロセッサ225は、インターフェース(図示せず)を介してイメージ取得装置215と相互作用し得る。インターフェースは、ハードウェアポート、ケーブル、リード線、および他のデータ送信手段を含むことができ、または、コンピュータプログラムを含むことができる。
イメージ取得装置215のいくつかの非限定的な例は、任意の市販のカメラのような1つ以上のカメラを含む。もちろん、様々なイメージキャプチャ装置(すなわちイメージング装置)が、本明細書で説明されるシステム及び方法の任意の実施形態とともに使用され得る。例えば、イメージング装置は、任意の市販のカメラのような1つ以上のカメラであってもよい。ステレオまたはマルチビューイメージング装置は、典型的にはシステム200で非常に有用であるが、すべての実施形態においてこのような幾何学的形状または構成を採用する必要はない。同様に、イメージ取得装置はデジタル装置であることが好ましいが、それは必須ではない。例えば、イメージ取得装置は、最初のイメージを取得し、次いでデジタルイメージに処理する(例えば、市販の在庫のフレーム取込み器のようなアナログ−デジタル装置を介して)、アナログTVカメラとすることができる。
イメージ取得装置215は、イメージ取得動作を制御し、イメージデータを処理するために、図2のプロセッサ225に組み込まれて示されているように、処理システムに結合することができる。プロセッサ225は、様々な方法を実行するようにプログラムされ構成された任意の適切な装置を含むことができ、これらの方法は、毛髪ドナーまたは毛髪受容領域内での所望の動作方向を維持するかまたは変更するための毛髪採取/移植ツールの自動化動作を対象にしたものを含む。例えば、プロセッサ225は、1セットの指示を含むことができ、以下の動作を実行する。すなわち、1つ以上のイメージに現れる複数の特徴的な基準の位置を決定するために体表面の1つ以上のイメージを処理する(いくつかの実施形態においては、複数の特徴的な基準が境界を定義することができる)、最初の位置で最初の毛包を採取するか移植するためのツールを動作させる、最初の位置及び複数の特徴的な基準の少なくとも1つの位置に基づいて、体表面に対するツールの動作方向を特定する、特定された動作方向でツールを動作させる、及び/または、動作方向において、体表面上の第2位置で第2毛包を採取または移植するようにツールを動作させる。イメージプロセッサは、例えば、セグメント化、縁の検出、対象の認識及び選択といった様々な公知のイメージの処理技術を実行するように、プログラムされ構成され得る。
実施例により、かつ限定なく、適切なプロセッサすなわちイメージプロセッサは、1つ以上のプロセッサまたは他の型の装置を含むデジタル処理システムであってもよい。例えば、プロセッサ(イメージプロセッサ)はコントローラまたはいかなるタイプのパーソナルコンピュータ(「PC」)であってもよい。あるいは、プロセッサ(イメージプロセッサ)は、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)またはField Programmable Gate Array(FPGA)を含んでもよい。プロセッサは、メモリ、記憶装置、及び当該技術分野において一般に知られている(従って、本明細書では詳細に説明されていない)他のコンポーネントも含むことができる。上記のプロセッサは、毛髪採取または毛髪移植のためのシステムを含むがこれらに限定されない、様々な、部分的に自動化され及び完全自動化された(ロボットを含む)毛髪移植、処理のシステム及び装置と併せて使用することができる。
図2に関連する上記の説明は、単なる潜在的なシステムまたは装置の一実施例であり、本出願で議論した方法および装置で使用することができる。代替的実施形態においては、任意の他の適切なイメージガイドシステムを使用することができる。さらに、記載された方法は、手動で行うか、部分的に自動化された処置で実施することができる。例えば、いくつかの実施形態においては、ユーザが体表面上に位置決め装置を手動で配置することができ、次いで、以下に詳細に説明するように、その位置決め装置を再構成することによって、関連処置を実行するための1つ以上の後続の領域を正確に特定することができる。
ここで図3を参照すると、多くの実施形態においては、皮膚のような体表面の複数の隣接した、重なるまたは重ならない部分上で順次処置を実行することは望ましいであろう。毛髪移植を参照すると、例えば、毛髪移植処置の一部であり、かつ、頭皮の複数の部分上で実行され得る3つの処置は、採取(ドナー毛包を取り込むこと)、「サイト作成」(ドナー毛包の移植のために頭皮の一部を用意すること)、及び、移植(採取された毛包を用意されたサイトに配置すること)である。本明細書に記載の方法および装置は、任意の所与の実施形態で、任意のまたはすべてのこれらの処置(または「サブ処置」に適用することができる。さらに、本説明は頭皮上で実行される毛髪移植処置に注目しているが、様々な実施形態が、体の他の部分上の他の皮膚に、及び/または、皮膚移植、刺青配置及び多くの他の処置といった他の処置に適用することができる。従って、本明細書における毛髪移植処置の記載は、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図3は、皮膚(または他の適切な体表面)上で処置を実行する1つの一般的な方法300を示すフローチャートであり、その処置は頭皮上で実行される毛髪移植関連処置であるがこれには限定されない。一実施形態においては、方法300は、第1位置の皮膚上に位置決め装置を配置する(ステップ310)、位置決め装置によって輪郭を描かれた第1皮膚セグメント上で処置を実行する(ステップ320)、位置決め装置の第1部分を動かす(ステップ330)というステップを含むことができる。様々な実施形態では、位置決め装置の第1及び第2部分は、第1部分の動作に先立って、部分的にまたは完全に特定の実施形態に依存して、お互いから切断することができる。また、第1部分の動作は、例えば、第1部分を単純に回転させる(例えば180°)ことによって、前側から後側に第1部分を反転させるすなわち向きを変えることによって、第1部分を異なる位置に移動させる(例えば、前の位置から離れたある距離所)ことによって、または、これらの動作の任意の組合せによって、達成することができる。上記の様々な動作例は、限定を意図するものではなく、例示としてのみ提供されている。ステップ340においては、装置の第2部分は、第2皮膚セグメントの輪郭を描くために、第1部分と再結合するように動作させることができる。第2部分の動作は、第一の部分を参照して説明したような動作の組合せを含む、様々な動作を含むことができる。オプションで、ステップ350では、処置は第2皮膚セグメント上で実行することができ、ステップ330−350は、所望されれば、1つ以上の後続の皮膚セグメントに対して繰り返され得る(ステップ360)。一般に、位置決め装置の2つの部分の1つが動いている間、装置の他の部分は患者の体表面上のその場所に、その最初の位置に留まる。例えば、第1位置が移動すると、第2位置は基準として使用され、ユーザまたはマニピュレータ(例えば、人間またはコンピュータ支援装置)に、第1部分をどこに動かすかを示し、逆に第2位置が移動すると、第1位置はそこに留まり、基準として使用され得る。このように、位置決め装置は、体表面を横切って移動するのに使用することができ、順次、処置が実行され得る体表面部分の輪郭を描く。さらに以下に説明するように、いくつかの実施形態においては、第1及び第2部分は互いに取り付けることができ、第一の部分のみが第二部分に対してある距離及び/またはある方向に動くことができる。他の実施形態においては、第2部分は、第1部分の1つ以上の基準特徴に結合する基準特徴(または複数の特徴)を含むことができ、第1部分は、ユーザがその位置を決定するのに役立つように、第2部分に接触することができる。
方法300の様々な実施形態においては、第1及び第2皮膚セグメントが互いにすぐに隣接(すなわち「当接」)しているような状態で、位置決め装置を皮膚上の第1位置から第2位置に動かすことが望ましい。本明細書で使用される場合、語句「すぐに隣接する」は、接触するが、重ならないことを意味する。代替実施形態においては、第1及び第2体表面セグメントは、公知の、所望の量だけ重なっていてもよい。さらに他の代替実施形態では、第1及び第2体表面セグメントは、公知の、所望の量のギャップだけ離れていてもよい。これらの様々な実施形態においては、位置決め装置は、すぐに隣接した、重なった、またはギャップのある体表面セグメントの輪郭を描くような形状及び寸法で設計することができる。
上述したように、位置決め装置を1つの体表面セグメントまたは領域から1つ以上のその後の、すぐに隣接するセグメントまたは領域(または一貫して重なるまたはギャップのあるセグメント)へ動かすことは、非常に困難であり得る。例えば、頭皮上での処置において、基準装置が患者の頭皮から完全に取り出されて、次いで第2位置に再配置される場合、第1位置に対して第2位置がどこにあるかを視覚化するか又は決定することは困難なことが多いであろう。例えば、スキンテンショナが医師または他のユーザによって体表面から取り出されて、次いで第2位置に再配置される場合、正確な以前の位置の体上には、基準点はないであろうし、配置の精度は、単に、医師または他のユーザのスキル及び判断に依存するであろう。本出願に記載の装置と方法は、これらの課題に対処する。
図4A及び4Bを参照すると、基準を有する装置400の簡単な実施例が頭皮420のモデル上に(図4A)、及び装置だけ(図4B)示されている。この装置400は、説明の目的のみのためにのみ示されている。この例は、一体型装置であるため、図3を参照すると、上記の方法には適用しないが、これは、第一に、装置400の一実施形態の形状、サイズ、及びいくつかの特徴を一般的に説明するために提供されたものであり、本明細書に記載する方法で使用するための変更を加えて、例えば、装置400を2つの部分に分離することにより、適合させることができる。
示された実施形態では、装置400は、治療領域422を画定する内縁404を有するフレーム402、フレーム402に沿って配置された複数の基準マーカ406、頭皮上にフレーム402を安定化するためのフレーム402のコーナー部にあるピン408、患者が座ったり寝たりする処置用椅子のような、設備の頭部または何らかの要素にフレーム402を取り付けるための可撓性の拘束具410を含む。いくつかの実施形態では、位置決め装置400は、スキンテンショナであってもよく、これは、以前に参照によって引用したものとするUS2012/0158019、または、参照によって本明細書に引用したものとするUS2010/0191253に記載されたスキンテンショナのようなものであるが、これに限定されない。しかし、示された実施形態では、位置決め装置400は、頭皮420(または、いくつかの実施形態においては他の皮膚)の上に単に置かれており、皮膚にテンションをかけることなく、処置位置決め器及び基準フレームとして作用する。
フレーム402は、任意の適切な材料から形成することができ、任意の適切なサイズであってよい。本明細書に記載の方法で使用するための実際の実施形態においては、フレーム402は、少なくとも2つの要素に分割可能であるので、第1要素は頭皮上の異なる位置に動くことができるとともに第2要素は静止したままで、第1要素に対して基準として作用し得る。フレーム402は、シリコン、プラスチックまたはゴム入り材料から作ることができ、内縁404は、1つの治療領域の輪郭を描くようなサイズであるとよく、その治療領域は十分小さくて患者の頭部上でいくつかの治療領域を隣接して入れられるようなものである。また、内縁404は、任意の適切な形状を形成することができ、これには正方形、長方形、円形及び三角形があるが、これらに限定さない。代替実施形態では、フレーム402は、可撓性または非可撓性(すなわち、剛性)材料で作ることができ、同時に複数の治療領域等の輪郭を描くことができる。フレーム402は、1〜100個の基準のような、任意の適切な数の基準マーカ406を保持することもできる。示された実施形態は、18個の基準406を含む。
図4A及び4Bは、一実施形態を示しており、そこでは1セットの一意的なまたは独特な(互いに識別可能であるか異なることを意味する)基準406がフレーム402の上に形成されるか、またはフレーム402に貼り付けられており、それは毛髪移植処置で使用される。フレーム402は、一般に平面で存在することができ、それは、単一の要素、典型的には成形材料を含むことができ、おそらくは弛緩位置から内側に向って圧縮するように構成され得る。フレーム402は、円弧状であってもよく、さもなければ代替実施形態で様々な幾何学的パターンで配置され得るが、この実施形態では、正方形に実質的に配置された4つの側面を有する。
いくつかの実施形態では、基準406は単一の特徴、例えばドット、正方形、長方形、上記の組み合わせ等を含むことができ、各基準406は、特徴のサイズによって他から識別可能である。また、基準406は、各基準406上で同じ(または異なる)サイズを持ち得る特徴(ドット、正方形、長方形、上記の組合せ等)を含むことができるが、基準406は、例えば、その上に有する特徴の数によって、互いからさらに識別可能である。さらなる代替実施形態においては、各基準406は、異なる基準または複数の基準を含んでもよい。基準406は、イメージングシステムがそれらを特定及び/または識別可能であれば、任意の形状または構成とすることができる。
基準406は、例えば、毛包ユニットの採取または移植システムといったロボットシステムのような、処置を行うための装置のイメージガイダンスを支援するのに使用することができる。いくつかの実施形態においては、1つ以上の基準406が他から識別可能である。代替実施形態においては、すべての基準406は互いから識別可能である。基準406は、イメージ取得装置の視野内の対象物、または基準マークとして作用する。これらの基準406は、イメージで見たときに、そのイメージ内に認識することができ、後続のイメージにおいて、互いから個々に識別可能である。基準点406は、1−Dバーコード、2次元データマトリクスコード、英数字のような既知のマーキング、一連のドット、一連のバー、または任意の他の型の固有の識別子もしくはカスタムスキームによって、物理的に特定することができる。
図4A及び4Bに示した装置400の実施形態は、本明細書に記載の方法に対しては、その正確な形では使用できないが、図4A及び4Bを参照して説明された任意の特徴は、以下にさらに説明する本発明に係るシステム及び方法の任意の実施形態に取り入れられ、適用され得る。
図5A−5Dを参照すると、位置決め装置500の一実施形態がその使用方法とともに図示されている。この実施形態においては、位置決め装置500は、2つの取り外し可能なまたは部分的に取り外し可能な(例えば、図6−7を参照して説明されるような)要素または部分、すなわち、部分506(例えば、第1部分と呼ばれ得る)及び部分504(例えば、第2部分と呼ばれ得る)を有するフレーム502を含む。もちろん、それらの部分のいずれか一方が第1部分及び他が第2部分となることができる。上述のように、フレーム502は、剛性、半剛性または可撓性材料で作ることができる。各要素504、506は、上部側面に取り付けられた複数の基準508、患者の頭部または椅子または設備の他の要素に安定化のために取り付ける、オプションの可撓性取付部材512、514、及び、2つの部分すなわち要素504,506に互いに取り外し可能に取り付ける連結部材510、516を含むことができる。様々な代替実施形態では、連結部材510、516は、フック、掛け金、くぼみ、凹部、スプリング、磁石、圧入コンポーネント、パズルのピースのように適合する雄/雌合わせ機構、ベルクロ、スナップフィットピース等を含むことができる。2つの要素504、506を取り外し可能に連結するための任意の型の特徴を使用することができる。さらに、様々な実施形態においては、フレーム502は2つの要素504、506以外のものを含むことができる。それは必要でないかもしれないし、装置500の複雑性を増すことになるかもしれないが、例えば、フレーム502は、例えば、要素が位置から位置へ順に動き得るような一代替実施形態においては3つの要素に、分割することができる。
まず図5Aを参照すると、実施例による第1ステップにおいて、位置決め装置500は、処置を実行するための最初の頭皮セグメント518(すなわち「処置領域」)の輪郭を描く最初の位置で、患者の皮膚上に配置することができる。次いで、刺青配置、刺青除去、毛髪もしくは組織の採取、サイト作成または移植のような処置を、これらに限定されないが、最初の頭皮セグメント518上で実行することができる。
図5Bを参照すると、次いで、第1要素506上の連結部材516を第2要素504上の対応する連結部材(この実施形態においては、連結部材516に引っ掛けるためのフレーム502内の凹状領域)から取り外すことにより、第1要素506は、フレームの第2要素504から取り外すことができる。第2要素504は、この段階では、患者の皮膚上の場所に残しておくことができ、次に、第1要素506の以前の自由端522が第2要素504の以前の結合端520に当接するように、第1要素506を回転(すなわち「180°回転」)させることができる。
図5Cを参照すると、ここでは、第1要素506の以前の自由端522は第2要素504の以前の結合端520に当接している。この段階で、第1要素506の開放端は、第1頭皮セグメント518にすぐに隣接する第2頭皮セグメント524を形成し始めている。フレーム502の第2要素504はまだ動いていないので、それは第1要素506の登録または位置決め装置として作用するが、このことは、従って、第1頭皮セグメント518の1つの縁が、第2頭皮セグメント524の1つの縁に少なくとも近似的に一致することを確実にする。フレームの第1部分及び第2部分の縁は、第1部分が体表面上の第1位置から第2位置へ動く場合、第1部分の該当する縁は第2部分の対応する縁に当接するように、基準特徴を提供することができる。一般には、第1要素506と第2要素504はこの時点では取り付けられていないが、互いに単純に当接するであろう。代替実施形態においては、2つの要素504、506を取り付ける利点があれば、この段階で取り付けることができる。
最後に図5Dを参照すると、第2要素504はここでは回転(すなわち「180°回転」)しているので、端520は、ここで、連結部材516によって第1要素506に再び取り付けられている。フレーム502はこのように修正され、第2皮膚セグメント524の輪郭が描かれる。この時点で、第2皮膚セグメント524上で、処置が実行され得る。このプロセスは、所望する限り多くの皮膚セグメント上で処置を実行するために、所望する回数繰り返され得る。図5Cにもっともよく示されているように、再び、連続した頭皮セグメント518、524は、このように、容易にかつ単純に、互いにすぐに隣接して配置され、人間または機械による判断を必要としない。代替実施形態においては、皮膚セグメント518,524は、重なるように設計されてもよいし、または、間に小さなギャップがあるように設計さてもよい。
フレーム502の幅と全体サイズ及び形状は、フレームを第1及び第2部分506、504に分解し、次いで、続く体表面位置で再組立てした場合に、体表面セグメント間に重なりが生じないように、設計することができる。特に、中央開口を囲むフレーム502の側面の幅は、重なりを防ぐために、皮膚セグメント518、524(これらは、フレームの中央開口によって規定される)に比例するようにすることができる。
図5A−5Dに示した実施形態においては、基準508は、フレーム502の1つの側面(「上部側面」と呼ばれる)のみに位置している。以下にその1つを記載する代替実施形態においては、基準508はフレーム502の両側面に配置することができ、この方法は、フレームの少なくとも一部を、使用中に、「上部側面」から「底部側面」に完全に反転させることを含むことができる(図6A−6Dを参照して、以下にさらに記載される)。他の代替実施形態においては、基準は含まれなくてもよい。例えば、フレーム502は、処置の輪郭またはガイドとして単純に使用することができ、体表面部分の境界を定めるため、その処置は、フレーム502の内側で人間のユーザまたはコンピュータ支援装置によって実行することができる。他の実施形態においては、フレーム502はスキン/頭皮テンショナであり得るが、再び、基準を含まなくてもよい。そのため、図5A−5Dに記載の実施形態及び以下に記載される実施形態は基準を含むが、代替実施形態は基準を持たなくてもよい。
一代替実施形態においては、図示されているように、位置決め装置500は、皮膚セグメントの輪郭を描くために、図5A−Dを参照して説明された方法の変形を利用することができる。その代替方法においては、上記のように、位置決め装置500は、処置を実行するために、第1皮膚セグメント518(すなわち「処置領域」)の輪郭を描く第1位置に、患者の皮膚上で配置することができる。しかし、装置のフレームの部分504及び506を互いから取り外したのち、要素すなわち部分506は、この段階で患者の皮膚上にそのまま残すことができ、次に、部分504は、部分506の自由端がここで部分504の以前の結合端に当接するように、回転(すなわち「180°回転」)させて部分506の他の側に動かすことができる。
この段階で、第2要素504の結合端は第2頭皮セグメント524のより遠い縁を規定し始めており、セグメント524は第1頭皮セグメント518にすぐに隣接している。フレーム502の部分506はまだ動いていないので、それは、部分504の登録または位置決め装置として作用する。最後に、ここで、部分506はその場で回転(すなわち「180°回転」)しているので、装置504の端520は、ここで、連結部材516によって、再び、部分506に取り付けられる。フレーム502はこのように修正され、第2頭皮セグメント524の輪郭が描かれる。この時点で、処置は、第2頭皮セグメント524上で実行することができる。上述のように、このプロセスは、所望の数の頭皮の部分に処置を行うために、所望の回数繰返すことができる。
体表面で実行される処置に対して基準が作成される場合、これは、処置の1部、処置すなわち完全な処置の準備ステップを含む、体表面上で実行される任意のプロセスを一般に指すことを意図している。様々な代替実施形態では、上記の方法から、任意の数の方法ステップが、置き換えられ、追加され、または削除され得る。例えば、一実施形態において、装置500は、連続した体表面部分の輪郭を描くのに使用することができ、それぞれの新しい部分は、装置500をガイドとして使用して、体表面上にマークされ得る。すべての部分がマークされた後、体表面部分上で処置を連続して実行することができる。一実施形態では、例えば、体表面部分は刺青を使用してマークされ得る。あるいは、その部分は外科的マーカを使用してマークしてもよい。いくつかの実施形態では、装置500は基準を含まなくてもよいが、一方、他の実施形態では、装置500は、外科用マーキング装置をガイドするための基準を含むことができる。装置500を使用して体表面がマークされている他の代替実施形態においては、マーキングは、フレーム502の内側ではなく、装置500の外側の縁に沿って形成することができる。そのような実施形態では、例えば、フレーム502は中央開口のない中実形状となり得る。
いくつかの実施形態においては、可撓性の取付部材512、514は必要でないかもしれない。例えば、フレーム502は、バーブ、マイクロニードル、接着剤、吸引及び/または多くの付着させる部材または装置のうちの任意のものを使用して、頭皮または他の皮膚表面に付着させることができ、従って、取付部材512、514の必要性を排除している。示された実施形態では、取付部材512、514は、患者が座るか寝る椅子またはテーブルに取り付けることができる。あるいは、取付部材は、それらが患者の頭部上でフレーム502を安定に保つ助けとなる限り、患者に、または設備の何らかの他の要素に取り付けることができる。
ここで図6A−6Dを参照すると、位置決め装置600のさらに他の実施形態が、それを使用する方法とともに示されている。この実施形態においては、位置決め装置600は、第1頭皮612セグメント(すなわち「処置領域」)の輪郭を描くために、ヒンジ608で互いに取り付けられた第1部分604と第2部分606を有するフレーム602を再び含む。第1部分604は、それに取り付けられている第1のセットの基準610を有する上部側面616を具備し、第2部分606は、それに取り付けられている第1のセットの基準613を有する上部側面618を具備する。上述の方法に関しては、この方法の最初のステップは、位置決め装置600を、例えば、第1頭皮セグメント612の輪郭を描くための所望の位置の頭皮上に配置することができる。この実施形態においては、位置決め装置600は、位置決め装置600を患者の頭部または椅子等に取り付けるためのストラップを含まない。代りに、フレーム602の上部側面及び底部側面は、フレーム602を患者の頭皮に比較的安定したやり方で取り付けるための2つ以上の小さなピン、フック、バーブ、接着剤等を含むことができる。代替実施形態においては、1つ以上のストラップまたは他の取付装置が使用され得る。小さなピン、フック、バーブ、接着剤等は、図5A−Dに示した実施形態とともに使用できることが理解されるべきである。
ここで図6Bを参照すると、この方法の第2段階は、第2部分606から第1部分604を取り外して、第1部分604を、第2部分606に対して、頭皮上の新しい位置に反転させることを含み得る。反転すると、第1部分604の底部側面620は、ここで、底部側面620に取り付けられた基準622とともに、上を向いている。この段階で、第1部分604上の連結部材614(オプション)は露出している。この段階でも、第1部分604は、いくつかの実施形態においては、直接頭皮に固定されるのではなく、ヒンジ608を介して単純に第1部分に固定されていてもよい。あるいは、第1部分604は、一実施形態において、例えば、第1部分604の2つのコーナーのそれぞれに配置されたピン、フック、針等を使用して、頭皮に固定されてもよい。この特定の構成では、ヒンジ608は、ピボットの形態で、第1部分と第2部分を連結する少なくとも1つのコネクタをさらに提供するので、第1部分は、その少なくとも1つのコネクタ608によって、第2部分から選択された距離だけ動かすことができる。
図6Cを参照して、次のステップでは、第2部分606上の底部側面628と底部基準624が上を向くように、ここで、第2部分606は反転させることができる。次いで、第1部分604の連結部材614は、フレーム602を修正するために、第2部分606の対応する連結部材626(レセプタクルのような)に接続する(例えば、挿入する)ことができる。いくつかの実施形態においては、フレーム602は修正することができ、2つの部分604、606は、連結部材614、626なしに一緒に配置することができる。これらの実施形態においては、少なくとも1つの基準特徴は、フレームの第1部分の縁とフレームの第2部分の対応する縁を含むことができるので、第1部分が体表面上の第1位置から第2位置に動くと、第1部分の縁は第2部分の対応する縁に当接するようになる。
図6Dを参照すると、フレーム602はここで頭皮上の第2位置で修正され、従って、第1頭皮部分612にすぐ隣接する第2頭皮部分630の輪郭を描く。フレーム602はピン、フック、針等を介して頭皮に固定することができ、第2頭皮セグメント630上で処置を実行することができる。頭皮の所望する全領域をカバーするようにこれらのステップは所望する回数繰り返され得る。すべての上記の方法に関しては、様々な体部分で処置を実行するためのロボットまたはコンピュータ自動化システムをガイドするのに、基準610、611、622、624を使用することができる。上記でも説明したように、代替実施形態では、基準は含まれなくてもよい。
ここで図7A−7Eを参照すると、側面図が、第1部分604と第2部分606が上述の方法において組み合わさる方法を示している。図7Aは、第1体表面位置(第1体表面セグメントの輪郭を描く)で連結した第1部分604と第2部分606を示している。上述のように、かつ図7B及び7Cに示したように、位置決め装置600の第1部分604は、例えば、ヒンジ608を介して、新しい第2位置(図7C)内に第1部分604を配置するために、第2部分606に対して反転させることができる。ヒンジ608は、後続の体表面部分を互いにすぐ隣接させるような第2部分606からの距離に、第1部分604を配置する大きさである。
次のステップでは、図7Dに示したように、第2部分606は、自分自身に対して(すなわち、その場で)反転させられる。最後に、図7Eに示したように、第1部分604と第2部分606は再結合して第2位置においてフレーム602を修正し、結合部材614は、第1部分604上の凹部626(すなわち「対応する結合部材」)に嵌合することができる。代替実施形態では、フック、ピン、引金、磁石等の任意の数の代替接続構造が使用され得る。図7A−7Eは、一実施形態に係る装置の動作の様々な段階を示している。
当業者には、多くの変更、変形、及び置換が本発明から逸脱することなく思い付くであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態の様々な代替を、本発明を実施する際に使用され得る。一般に、本発明、ならびに本明細書に記載の特定の実施形態は、特定の形態または開示された実施形態に限定されるものではなく、反対に、添付特許請求の範囲内のすべての変更物、均等物及び代替物をカバーするものであることが理解されるべきである。非限定的な例として、特定の特徴または特性は、1つの図または実施形態を参照して説明される特定の特徴または特性は、他の図または実施形態に記載の特徴または特性と適宜組合せ得ることが、当業者によって理解されるであろう。同様に、本明細書に記載の装置および方法は、イメージガイド処置及びロボット処置を含む、手動処置、半自動化処置、及び完全自動化処置において、使用され得る。