JP2016511402A - 目的の分子の組織ターゲティングを評価するための方法 - Google Patents

目的の分子の組織ターゲティングを評価するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法であって、目的の分子及び/又は少なくとも1つの対照化合物を予め与えられた少なくとも1匹の動物のターゲット組織内又はターゲット組織表面での目的の分子の及び対照化合物の分布を、視覚化すること及び比較することを含む、方法に関する。有利には、目的の分子の分布は、ターゲット組織の表面において、質量分析イメージングを用いて、視覚化され、陽性及び陰性化合物の分布と比較される。

Description

(発明の分野)
本発明は、ターゲット組織中の目的の分子の分布を標定するための方法に関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの対照化合物との比較によって、目的の分子が少なくとも1つの所定のターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法を提供する。本発明の方法は、すなわち、ターゲット組織に対する目的の分子及び/又はその代謝物の特異性、吸着、分布、ベクトル化(vectorization)、代謝を評価することを可能にする。
本発明の方法により、試験システムにおける、すなわち1つ又はいくつかの生物学的組織における、目的の分子の挙動の研究を含む、全ての分野での応用が見出されている。本発明の方法は、候補分子をスクリーニングし、それらの治療潜在性又は診断潜在性を評価するために、プロテオミクス、リピドミクス又は薬学研究に有利に用いることができる。
(発明の背景)
初期の候補分子の発見から製品市場への投入までの薬物開発は、ヒト及び装置の著しい投資を伴う、長く出費のかさむプロセスである。特に、ヒト試験を伴った臨床試験は数年かかるおそれがある。これらの試験の目的は、薬物の有効性を保証し、潜在的副作用を際立たせ、治療法の安全上の懸念を評価することである。
これらの臨床試験の上流で、前臨床試験は大きな重要性を有する。候補分子が同定され、選択され、検証されるのは、この前臨床開発の途中である。前臨床開発は、具体的には、動物試験を用いて、候補分子の薬理学を研究する。特に、これらの薬理学的研究の目的は、作用機序をインビトロ及びインビボで検証し、動物疾患モデルで候補分子の活性を測定することである。そのうえ、それらは、生存生物における候補分子の挙動及びその潜在的変換の評価を提供し、それらのターゲット器官又は組織及びそのモデルに関する毒性用量を確立することを助ける。
結果的に、臨床試験の妥当性は、初めは興味深い多数の分子が最終的には捨てられる上流の前臨床研究に関係する。前臨床研究は、所定の病理の処置のための薬物製剤中の活性成分であり得る最も有望な候補分子を、数十の候補分子から信頼度高く選択することを可能にしなければならない。不十分な前臨床評価は、臨床相でその無効性が示される候補分子を選択させるおそれがあり、時間及びコストに関して損失を引き起こす。
したがって、候補分子が正しいターゲット、特に所定の組織に作用して、副作用を伴わないか又は生物学的障壁によって遮断されないかどうかを評価するための、信頼性のある検討を有することが重要である。例えば、中枢神経系(CNS)疾患処置のための潜在的活性化合物としてインビトロで同定された多数の分子は、インビボ試験の際に最終的に血液脳関門を通過することができず、したがって全く無効である。
今日、臨床試験で捨てられた候補分子の35%超は、ターゲット組織でのそれらの作用の不正確な評価の後に、前臨床相で誤って選択されている。
その理由から、所定のターゲット組織に対する候補分子の高い結合特異性を保証するための、候補分子を選択する信頼性のある方法であって、この組織内の候補分子の薬物動態の正確な評価を可能にする方法が、現実に必要である。衛生植物製品開発の場合、候補分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法を用いることによって、生存生物に対する製品の潜在的毒性又は無毒性に関しのより多くのデータを有する必要性もある。
(発明の概要)
これに関連して、本発明者らは、所定の組織について目的の分子のターゲティング効率を標定するための方法を開発した。本発明の方法は、この分子が投与後に生物学的障壁(単数又は複数)を通過して該組織に到達する能力を検証可能にするが、該組織に対する分子の特異性も標定可能にする。より全般的には、本発明の方法は、ターゲット組織又は選択された試験システムに応じて、目的の分子の、吸収、ベクトル化及び/又は代謝などの、その分子の生物学的パラメーターのインビボ又はエクスビボ/インビトロ評価を可能にする。
したがって、本発明の方法は、潜在的治療効果を有する分子の高速で信頼性のあるスクリーニングを達成するために用いられ得、ターゲット組織に応じて所定の疾患を処置するために薬物製剤中に入り得る分子を選択することが可能であり得る。本発明の方法は、また、例えば目的の分子が結合され得るターゲティングされていない組織(単数又は複数)での、該分子からの潜在的副作用を検証するために適用され得る。そのうえ、本発明の方法は、例えば所定の病理の信頼性のある診断用分子(単数又は複数)を選択するためのバイオマーカーをスクリーニングするために、プロテオミクスにおいて使用され得る。
今日、多数の分子が、それらのターゲット組織、これらの組織に対するそれらの特異性又は非特異性などに応じてリスト化され及び分類されている。本発明において、本発明者らは、新規な候補分子を選択するためにその従来の知識を用いることを提案する。より具体的には、本発明による方法は、ターゲット組織に対して周知の性質を有する分子をマーカーとして使用すること、及び該組織におけるその分布を候補分子の分布と比較することを提案する。組織内での分子の分布のインビボ、エクスビボ又はインビトロ視覚化を可能にする任意の方法を用いることができる。特に、マーカー及び候補分子の局在性は、磁気共鳴イメージング(MRI)を用いて動物全体で、又は例えば質量分析イメージング(MSI)を用いて組織切片で、行うことができる。
本発明の目的は、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法であって、目的の分子及び/又は少なくとも1つの対照化合物を予め与えられた少なくとも1匹の動物のターゲット組織内又はターゲット組織表面での目的の分子及び対照化合物の分布を視覚化すること及び比較することを含む、方法である。
本発明の方法は、イメージング技法を用いて測定可能な全ての分子、特にタンパク質、ペプチド、脂質、抗体、核酸、無機又は有機化合物など、の分布を評価するために用いることができる。より具体的には、目的の分子は、医薬又は衛生植物(phytosanitary)の開発に関与しているか又は関与し得る候補分子であり、したがって外因性である。本発明によると、候補分子は、また、医薬若しくは衛生植物の潜在性を有する分子又はそれらの代謝物の1つを表す。
研究されるターゲット組織は、器官全体、器官内の特定領域、生物学的障壁などであり得る。例えば、ターゲット組織は、肺、眼、肝臓、腎臓、心臓などといった器官、又は血液脳関門などの生物学的障壁、又は腫瘍組織、特に脳腫瘍組織などといった器官の特定領域である。
本発明によると、対照化合物(単数又は複数)及び目的の分子は、動物に予め同時投与され得る。
有利には、対照化合物(単数又は複数)及び目的の分子の濃度は、研究された動物モデルに適合される。いくつかの実施態様では、これらの濃度は同一である。
投与は、経腸又は非経口経路を用いて行うことができる。
特定の実施態様では、目的の分子及び対照化合物の分布の視覚化及び比較は、先の動物組織試料採取又は組織取り出しから得られた少なくとも1つのターゲット組織切片の表面で行われる。
質量分析イメージングが用いられる場合、ターゲット組織切片の表面の、目的の分子の質量スペクトル及び対照化合物にそれぞれ関連するシグナルをノーマライズする工程を加えることが可能である。この目的で、試料中のターゲット分子についてのシグナルとして選択されたスペクトル特性は、該分子及びターゲット組織の両方に特異的な消衰係数(TEC)によって重み付けされ得る。この重み付けは、シグナルをノーマライズし、シグナルをその起源での分子の量だけに依存させる。更に、MALDIマトリックスが用いられる場合、MALDIマトリックスの同種堆積を考慮するように、該組織中のターゲット分子及び対照化合物の質量スペクトルに関連するシグナルを重み付けすることが可能である。
有利には、本発明の方法は、目的の分子と、陽性対照化合物及び陰性対照化合物の両方とが、予め投与された動物由来の組織に適用される。
本発明の方法は、また、目的の分子及び中間対照化合物が予め投与された動物由来の組織試料と共に用いることができる。
優先的には、目的の分子の分布を得るために視覚化する工程は、イメージング技法を用いて、特に質量分析イメージング及びとりわけMALDIイメージングを用いて、達成される。
本発明によると、ターゲット組織内の目的の分子の分布を少なくとも1つの他のターゲッティングされていない組織中の該目的の分子の分布と比較することによって、ターゲット組織に対する該分子の特異性を評価することが可能である。
本発明によると、ターゲット組織内の目的の分子の分布を同じターゲット組織内の対照化合物の分布と比較することによって、ターゲット組織についての該分子の組織浸透比を評価することが可能である。
本発明の方法は、また、ターゲティング組織についての目的の分子の特異性及び該組織中の該分子の組織浸透比を考慮する、該組織についての該分子の組織ターゲティング係数を計算可能にする。
特定の実施態様では、本発明の方法は、目的の分子及び対照化合物を予め投与された動物を異なる時間(t1)及び(t2)に試料採取することによって予め得られたターゲット組織の少なくとも2つの切片中への該分子の分布を比較する、ターゲット組織中の目的の分子の動力学的消失を評価する工程を含み得る。
本発明は、また、本発明の方法による目的の分子の分布と1つの対照化合物の分布との比較をコンピュータシステムに実行可能にするのに適したコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ読み取り可能データ媒体に関する。
ターゲット組織(T1)及びターゲティングされていない周辺組織を含む組織切片に関する質量分析イメージング実験中に得られた3つの目的の分子(M1、M2及びM3)並びに2つの対照化合物(陽性M+及び陰性M−)の分布の概略図。目的の各分子の特異性は、該ターゲット組織及び非ターゲット組織における目的の分子の分布(スペクトルシグネチャー)を陽性(M+)及び陰性(M−)対照化合物の分布(スペクトルシグネチャー)と比較することによって評定される。 ターゲット組織(T1)及びターゲティングされていない周辺組織を含む組織切片に関する質量分析イメージング実験中に得られた3つの目的の分子(M1、M2及びM3)並びに2つの対照化合物(陽性M+及び陰性M−)の分布の概略図。対照化合物の分布に比べた目的の各分子の分布の類似性及び/又は相違性は、ターゲット組織における各分子についての分布の空間的類似性を認識可能にする。該ターゲット組織中の対照化合物の量に対して目的の分子及び対照化合物の強度マップを比較することによって、該目的の分子についての組織浸透比が評価される。 オランザピン(目的の分子Mc)、ポサコナゾール(陽性対照化合物M+)及びメトスクシミド(陰性対照化合物M−)が予め注射されたマウス腎臓組織切片の組織染色(図3A)、分子分布(図3B)及び概略図(図3C)に関する画像。分子画像は、それぞれ陽性対照化合物(図3B中央)及び陰性対照化合物(図3Bの陽性対照区域の周り全体)に対して2つの異なる区域(図3B)を明らかに示している。それは、ターゲット組織、すなわち腎臓の中央領域又は髄質(図3C中央の組織1)を、非ターゲット組織、すなわち腎臓の外部領域又は腎皮質(図3Cの周辺組織2)と容易に区別可能にする。 高オランザピン強度の組織区域(A)、非ターゲット組織(B)及びターゲット組織(C)のレベルでそれぞれ別個の画像座標に対応するオランザピン(A)、メトスクシミド(B)及びポサコナゾール(C)の質量スペクトル。該分子に対応する各イオンの同位体パターンも表示する(それぞれの対応する質量スペクトル上部の挿入図を参照されたい)。 質量分析イメージングを用いた髄質領域のレベルでのポサコナゾール(陽性対照化合物M+)(図5左画像)、腎臓全体におけるオランザピン(目的の分子Mc)(図5中央画像)、腎皮質レベルでのメトスクシミド(陰性対照化合物M−)(図5右画像)の分布の、マウス腎臓組織切片における視覚化。破線は、腎臓の周辺及び中央領域を示す。 目的の分子(Mc)と陽性対照化合物(M+)との(図6左画像);目的の分子(Mc)と陰性対照化合物(M−)との(図6中央画像)、並びに2つの対照化合物(M+)と(M−)との(図6右画像)分布の、マウス腎臓組織切片画像におけるオーバーレイ。これらの分布の類似性/相違性の精確な評価は、連続オーバーレイ画像を用いて容易に得られる。 受容体占有性研究の場合の、本発明の方法の一実施態様によるアゴニストの親和性効率を標定するためのストラテジーの概略図。 受容体占有性研究の場合の、本発明の方法の別の実施態様によるアゴニストの親和性効率を標定するためのストラテジーの概略図。
(発明の詳細な説明)
本発明の方法は、特定のターゲット組織について既に知られているコンパートメント特性(compartmental property)を有する対照化合物の該組織における挙動を、該組織について及び研究されなければならない未知のコンパートメント特性を有する目的の分子と比較することに基づく。動物にこれらの分子を投与した後、動物のターゲット組織におけるこれらの分子の分布を比較することによって、該組織内の目的の分子の存在の重要性又は非重要性だけではなく、その組織ターゲティング特異性、その組織浸透比、該組織中の相対又は絶対量、及びその代謝、調節などを検証することが可能である。
目的の分子及びターゲット組織に応じて、最良の投与経路を評価すること、有機体における分子の良好なベクトル化を確認すること、又は、生物学的障壁を通過してターゲット組織に到達するその能力を検証することも可能である。
対照化合物の選択
目的の分子の生物学的パラメーターの研究の上流で、ターゲット組織に対して所定の特異性を有する、参照として役立つ対照化合物を高い精度で選択することが重要である。
対照化合物は、ターゲット組織に対する性質、すなわちそのバイオアベイラビリティー(biodisponibility)(組織をターゲティングする能力)、そのベクトル化(ターゲット組織内での存在/濃度/生物学的障壁を通過する能力)及び/又はその調節(ターゲット組織内部の分子の挙動)が既に知られている分子である。対照化合物は、通常、研究されるターゲット組織から外因性の化合物である。したがって、「陽性対照化合物」は、研究モデルとして選択された動物への投与後にターゲット組織に特異的に分布されることが公知の分子である。優先的には、更なるデータ説明を助けるために、陽性対照化合物は、ターゲット組織に隣接する非ターゲット組織に局在/分布されない。逆に、「陰性対照化合物」は、動物への注射後にターゲット組織から消失することが公知の分子である。本発明によると、陽性及び陰性対照化合物に比べて、ターゲット組織について中間的な性質が際立つ「中間」対照化合物を使用することも可能である。特に、中間対照化合物は、同じ又は別の比(例えば60/40、70/30など)で2つの異なる組織をターゲティングする分子であり得る。本明細書中以下、「対照分子」、「対照」又は「マーカー」は、「対照化合物」を意味するために区別せずに使用され得る。
対照化合物の選択は、本発明の方法を用いて研究されたターゲット組織に関係する。例えば、ジアゼパムは、注射後に脳に局在化されることが公知である一方で、その分布は、腎臓では非常に限定されている。結果として、この分子は、脳についての陽性対照化合物及び腎臓についての陰性対照化合物として使用できる。同様に、オランザピンは、脳に局在化される一方で、肺には局在化されない。結果として、オランザピンは、脳についての陽性対照化合物及び肺についての陰性対照化合物として使用できる。
分子特性は、また、研究される動物モデルに依存し得る。したがって、所定の研究について、目的の分子及び対照化合物の特性が、同じ動物のモデルのターゲット組織について、好ましくは常に考慮される。
有利には、所定のターゲット組織に関する所定の目的の分子の研究について、少なくとも1つの陽性対照化合物及び1つの陰性対照化合物を使用して、目的の分子の分布をこれら2つの対照化合物の分布と比較する。もちろん、1つだけの対照化合物を使用することも可能である。この場合、陽性対照化合物が好ましい。
ターゲット組織における分子分布の更なる理解を助けるために、目的の分子と容易に区別できる対照分子が、有利には使用される。例えば、質量分析イメージング研究の場合、目的の分子の質量電荷比から遠く離れている質量電荷比を有する対照化合物が、有利には選択される。また、対照化合物及び目的の分子は、例えば異なる蛍光マーカーを使用して、投与前に標識され得る。
対照分子の選択を促進及び最適化するために、及び、方法の自動化を可能にするために、対照化合物として潜在的に使用できる分子に関して入手可能な全ての情報は、データベース中に、有利にはリスト化される。これらのデータは、文献(科学論文、特許…)、先の薬学研究などに由来し得る。
このデータベースに挿入できるデータの例を、特定の分子及び組織に関して下表にリスト化する。
対照分子及びターゲット分子の投与:
対照(単数又は複数)の選択を達成したら、対照分子及びターゲット分子を、研究モデルとして使用される動物に投与しなければならない。
所望の研究に応じて、動物モデルは変わり得る。当業者は、ターゲット組織、目的の分子、評価すべき生物学的特性などに応じて、どの動物モデルがよく適合するかを承知している。例えば、動物の供死を必要とする、候補分子に関する前臨床試験の場合、齧歯類(マウス、ラット、ウサギ、ハムスターなど…)のような非ヒト哺乳類が、優先的には使用される。他の非ヒト哺乳類、とりわけサル、イヌなどを使用できる。場合により、簡単な生検を用いてターゲット組織を得ることができる場合、ヒト哺乳類を動物モデルとして使用することが興味深い場合があり得る。例えば環境又は特定の生活環境(ecologic medium)に対する分子の影響を研究するために、魚、昆虫などの他の動物モデルを使用することも可能である。
一実施態様によると、非ヒト動物に目的の分子及び対照化合物(単数又は複数)を投与後、該動物を供死する。本発明によると、前記方法は、エクスビボ及び/又はインビトロで、有利には行われる。
本発明によると、及び一般的に、経腸経路(すなわち、胃腸管の消化過程による薬物投与)又は非経口経路(すなわち、胃腸管による以外の投与経路)などの、対照分子及びターゲット分子の全ての投与経路を使用できる。例えば、分子は、皮膚上、硬膜外、動脈内、静脈内、皮下(特定の局在化で)、心臓内、海綿体注射、脳内、皮内、筋肉内、骨内注入、腹腔内、クモ膜下腔内、膀胱内、硝子体内、鼻内、経口、直腸又は膣内などの異なる経路によって投与できる。
投与経路は、目的の分子、前記方法によってターゲティングされる組織など…に応じて選択できる。
本発明の方法は、また、最も適合した投与経路を選択可能にできる。実際、本発明の方法は、目的の分子が生物学的障壁を通過してターゲット組織に到達する能力を評価可能にする。この場合、実験は、投与経路だけを変化させた同じ条件(すなわち、同じ対照化合物、同じ濃度)を用いて、並行して、有利には行われる。
本発明によると、複数の目的の分子を同じ動物に送達して、これらの分子の潜在性を同時に研究することが可能である。
特定の実施態様では、目的の分子及び対照化合物(単数又は複数)が、動物に同時投与される(すなわち、全ての該分子を含む同じ媒体を用いて注射される)。したがって、全ての分子の投与を動物に同時(t0)に行うことが確実である。さもなければ、これらの分子を相互に独立して、又は目的の分子を対照化合物とは独立して投与することが可能である。この場合、分子は、例えば複数回の同時投与のため、動物に同時(T0)に、優先的には投与される。
別の実施態様では、対照化合物は、目的の分子を投与される動物とは異なる動物に投与できる。例えば、陽性対照分子を第1の動物に、陰性対照化合物を第2の動物に、目的の分子を第3の動物に、投与することが可能である。しかし、動物間の生物学的変動性を理由に、これらの実験は、好ましくは、この変動性を減少させるために、並行して行われる。
特定の実施態様では、同じ用量の目的の分子及び各対照化合物が動物に投与される。したがって、浸透比の評価工程を、容易に更に成し遂げることができる。
場合により、研究される動物モデルに対する分子の生物学的特異性を考慮するために、分子に応じて異なる用量又は濃度を投与することが興味深くあり得る。有利には、動物モデルにおける対照化合物(単数又は複数)の特性が既に知られており、その結果、当業者は用量を適合させなければならないかを承知している。目的の分子の用量を、例えば該動物モデルでの特性が既に標定されている類似化合物(構造類似性を有する)との比較によって、適合させることも可能である。
血液脳関門研究の場合
本発明の方法は、また、中枢神経系及び脳内の特定の組織学的領域(とりわけ腫瘍組織)をターゲティングする薬物の医薬開発において、候補分子を選択するために使用できる。実際、そのような分子は、患者に投与(例えば注射による)後に血液脳関門(BBB)を通過できなければならない。毛細血管を覆っている内皮細胞から主に構成されるこの生理学的障壁は、血流を脳脊髄液と分離している。BBBは、血中を循環している病原体、毒素及びホルモンから脳を保護するが、いくつかの薬物の浸透も制限し得る。候補分子についてのBBB透過性の評価は、潜在的な関連する処置の効果の測定に重要な要因である。
有利には、そのような場合、本発明の方法は、その最初の開発から中枢神経系を研究するために広く使用されている質量分析イメージング(MSI)を用いて行われる。MSI実験の際に利用可能な空間分解能の持続的改善は、BBBが採り得る微細な組織学的及び生物学的構造へのアクセスをもたらす。
本発明の方法は、BBB通過の陽性対照化合物(例えばジアゼパム)及びBBB通過の陰性対照化合物(例えばアテノロール)を用いた研究のBBBモデルを入手可能にする。動物への投与後に、これらのマーカーは、血管近くの組織切片上での直接MSIによって追跡される。したがって、目的の分子(又はその代謝物)の分布を該組織における陽性及び/又は陰性マーカーの分布と比較することによって、例えば多形性膠芽腫(multiform glioblastoma)の処置のための、抗ガン剤などの目的の分子のターゲット効果を評価することが可能である。
吸着ケースの研究:受容体占有性の例
薬理学において、受容体占有性は、アゴニスト(薬物などの小型又は大型分子)が生物学的組織内で特異的受容体又は酵素に結合する能力によって定義される。この結合は、病態又は疾患の効率的な処置に導く、有機体における機能的応答を伴う。結合(例えば共有結合、イオン相互作用、ファンデルワールス力、水素結合など)を成し遂げるために、異なるメカニズムを用いることができる。受容体に対するアゴニストの親和性は、例えば高度の結合及び完全な作用効果を示す該受容体に関する最良の薬物候補を選択するために評価できる。例えば、同じ受容体に対して異なる親和性を有するアゴニスト及びアンタゴニストを伴う競合結合が起こり得る。この場合、受容体が一度に1つの分子だけと結合できるので、2つの異なる分子の間に競合が存在する。
有利には、本発明の方法を用いて、高い結合親和性を有する陽性マーカー(アンタゴニスト)との比較によって特異的受容体又は酵素に対する目的の分子(アゴニスト)の親和性を評価するために、MSI又は任意の分子イメージング技法を用いて、この競合を組織切片内で直接標定できる。
一実施態様によると、生物学的モデルに目的の分子を投与及び試料採取後に、アンタゴニスト(陽性マーカー)を含有する溶液を用いて、そしてインキュベートさせて、ターゲット組織を洗浄することができる。或いは、実験は、分子(アゴニスト及びアンタゴニスト)の同時投与を用いて行うことができる。陽性マーカー(競合的アンタゴニスト)は、受容体に既に結合している目的の分子(アゴニスト)と競合する。次いで、投薬された組織切片上のアゴニスト及びアンタゴニストを、MSIを用いて追跡することが可能である。候補物質の効果は、結果として得られた分子イメージ上での2つの競合的分子の強度及び局在性を比較することによって、評価できる。アゴニスト/アンタゴニスト濃度、インキュベーション時間などといった異なるパラメーターをモニターできる。組織切片上の受容体自体の局在性は、とりわけ高分子種に関して、そのイオン化ポテンシャルに応じて標定できる。組織上の受容体又は酵素を検出するために異なるストラテジーを適用できる(消化、標識、タグ−マス(Tag−Mass)…)。例えば、インビボ/エクスビボプロトコールを組み合わせることによって、異なるストラテジーを、受容体占有性を標定するために、適用できる。例えば、組織切片上でアゴニスト及びアンタゴニストをインキュベートすること、並びに両方の化合物を同時に投与することなどが可能である。分子イメージングを用いてこれらの種類の評価を行うことに関して制限はない。
付加イオンの形状
質量分析イメージング実験のために、全てのマーカー又はターゲット分子は、それぞれ正イオン化又は負イオン化モードについてプロトン化[M+H]又は脱プロトン化[M−H]として検出できる。それにもかかわらず、それらは、異なる対イオンとの付加形として質量スペクトル上に検出できる。例えば、それは、カリウム[M+K]、ナトリウム[M+Na]、塩化物[M+Cl]など…であり得る。この列挙は網羅的ではない。
ターゲット組織の調製
本発明の方法は、目的の少なくとも1つの所定のターゲット組織における目的の分子の視覚化を可能にする。
本発明の文脈中で、用語≪組織≫は、群化した機能的細胞のセットを表す。ターゲット組織は、同じ起源を有する同様の細胞のセット、場合により複数細胞の集合を有する、器官、器官の一部、器官の特定領域であり得る。例えば、ターゲット組織は、器官内に局在する腫瘍であり得る。
使用される視覚化技法に応じて、前記組織に予備調製工程を行うことが必要又は有用であり得る。
選択される動物モデル及び/又はターゲット組織に応じて、例えば組織切片に、エクスビボ分析を行うことが可能である。その場合、組織又は組織試料は、投与後の所定の時間(t1)に試料採取される。試料採取は、とりわけ動物がヒト哺乳類の場合、単純生検であり得る。非ヒト動物の場合、動物の供死は、試料採取前に行うことができる。
場合により、生きた動物全体にインビボ分析を行うことも可能である。
特定の実施態様では、分析は組織切片で成し遂げることができる。この場合、組織切片は、新鮮組織、凍結組織、又は例えばパラフィンを用いて固定/包埋された組織から得ることができる。組織薄切片を厚さ数マイクロメートルとして得るために適した全ての手段を用いることができる。
必要ならば、組織切片は、とりわけ検出されるべき分子に応じて分析技法など…の、前処理を受けることができる。したがって、目的の分子及び対照化合物の検出を最適化するために組織切片上に化学又は生化学な試剤を使用することが可能である。例えば、溶媒及び又は洗浄剤を使用して、所定のクラスの分子を検出させるか、又は組織からの分子の直接抽出を改善することが可能である。また、例えば、組織上で親分子と同じ局在性及び/又は量を有する消化フラグメントをターゲティングするために、ペプチド又はタンパク質を切断できる特異的酵素を使用することが可能である。目的の分子及び対照化合物を検出させるために、組織切片に抗体標識(タグと結合又は結合していない)を行うこと、又は蛍光標識された分子若しくは放射活性を使用することも可能である。
使用される動物モデル及び/又はターゲット組織及び/又は組織切片が目的の分子と結合する、又は該分子を組み入れる能力を改変するために、それらを変化させることも可能である。したがって、この処置は、所定のターゲット組織に対する目的の分子の浸透又はターゲティング能を増加又は阻害することを可能にする動物モデル及び/又はターゲット組織及び/又は組織切片の化学的又は生物学的改変を含み得る。この処置は、目的の分子及び/又は対照化合物の投与の前、後又は同時に、行うことができる。例えば、BBBの場合、BBBを横切る分子を排出できるいくつかの排出トランスポーターが、障壁にある。これらのトランスポーターの効果は、阻害剤、又は、該トランスポーターの遺伝子若しくは遺伝子発現に対する「ノックアウト」のような遺伝子改変を用いて、モジュレート(減少又は抑制)できる。
組織切片を研究するためにマトリックスを必要とする質量分析イメージング、特にMALDI又はME−SIMS(マトリックス強化二次イオン質量分析)が使用されるならば、該マトリックスは目的の分子に有利に適合される。例えば、選択は、カバーされる質量範囲を考慮できる。当業者は、既存の液体又は固体マトリックスから、研究される分子及び/又はターゲット組織に応じて、どれを使用できるかを承知している。同様に、マトリックスの全ての堆積法、とりわけ手動噴霧、自動噴霧、昇華、篩過及びマイクロスポッティングを使用できる。
分子分布の視覚化及び生成されるデータの処理
目的の分子及び対照化合物の分布を視覚化する工程は、組織内の分子のインビボ又はエクスビボでの正確な同定及び視覚化を可能にする任意の技法を用いて行うことができる。
特にインビボ分析の場合、磁気共鳴イメージング(MRI)、オートラジオグラフィー、陽電放射出断層撮影(PET)、単一光子放射断層撮影などといった断層撮影技法を用いることが可能である。
組織切片の分析の場合、TOF(飛行時間)、オービトラップ(Orbitrap)、FTICR(フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴)、四重極(シンプル又はトリプル)など…のような異なる種類の質量分析器と組み合わせた、MALDIイメージング(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法)、LDI(レーザー脱離/イオン化法)、DESI(エレクトロスプレーによる脱離)、LESA(液体抽出表面分析)、LAESI(レーザーアブレーションエレクトロスプレーイオン化)、DART(リアルタイム直接分析)、SIMS(二次イオン質量分析) JEDI(ジェット脱離エレクトロスプレーイオン化)などの質量分析イメージング関連技法を用いることが可能である。
蛍光、免疫組織染色又は免疫組織化学などを用いることも可能である。原則として、組織切片の表面での分子の視覚化を可能にする全ての技法を用いることができる。
質量分析の場合、直接質量分析(MS)又はタンデム質量分析(Msn、MRM、SRM…)のようないくつかの検出モードを用いることができる。強度、感度及び分解能に関してターゲットの検出を最適化するために、質量範囲、レーザーのフルーエンシー(fluency)などの実験パラメーターを固定する。したがって、質量スペクトルの取得は、シグナルを得るために行われる。質量スペクトルから、ターゲット分子の研究に有用なデータにアクセス可能である。データ処理のために、質量スペクトル上のピーク強度、信号雑音比(S/N)、ピーク面積など…のような異なるスペクトル特性を用いることができる。もちろん、所定の研究について、目的の分子及び対照化合物の分布を分析するために、同じスペクトル特性が用いられる。
結果は、該組織の同じ組織切片から又は異なる切片から得ることができる。場合により、研究される分子と同数の組織切片を使用することが好ましくあり得る。
本発明によると、目的の分子の分布は、動物全体又は器官全体の分析の際にターゲット組織表面又は組織内部で直接視覚化される。これらの結果を検証するために、目的の分子の分布は、陽性及び/又は陰性対照化合物の分布と比較される。したがって、重要でない結果を考慮することが回避される。
ターゲット組織中の目的の分子の分布を、別の非ターゲット組織、例えば隣接組織と比較することによって、該分子が隣接組織よりも該ターゲット組織中に特異的に分布しているかどうかを確認することが可能である。例えば、該分子がターゲット組織と隣接組織との両方に分布しているならば、この分子は、該ターゲット組織を特異的/排他的にターゲティングする処置のための良い候補物質ではない。
ターゲット組織中の目的の分子の分布を別の非ターゲット組織と、及び/又は、目的の分子の分布を陽性対照の分布と、比較することによって、ターゲット組織中の目的の分子の浸透比又は相対量を評価することが可能である。目的の分子のバイオアベイラビリティー、とりわけ投与用量に対するターゲット組織に到達している該分子の比率も、公知の絶対的定量技法を用いる正確な方法により、標定できる。
本発明はまた、所定のターゲット組織についての目的の分子へのターゲティング係数を提供可能にする。このターゲティング係数は、該ターゲット組織についての目的の分子の特異性、及びターゲット組織中のこの分子の浸透比を考慮している。したがって、複数の分子、例えば所定の組織をターゲティングする治療的処置についての候補分子の組織ターゲティング係数を列挙可能である。これらのターゲティング係数は、最も適合した候補分子を選択するために、素早く比較され得る。
本発明の方法は、前記組織中の分子の消失動態又は代謝を評価することも可能にする。このために、同じ分子(目的及び対照)が、いくつかの同一の動物に同じ開始時間(t0)に同じ用量で投与される。次に、動物を異なる時間(t1〜tn)に供死する。次に、t0からtnの間の目的の分子のスケーラブル分布(scalable distribution)にアクセするために、目的の分子の分布を、各動物から試料採取されたターゲット組織の組織切片上で直接比較する。
シグナルのノーマライゼーション
質量分析イメージング実験中、組織消衰係数(TEC)を考慮するために、各分子に関する質量スペクトルをノーマライズすることが重要であり得る。加えて、マトリックス化合物を必要とする質量分析イメージングが分子の視覚化のために用いられる場合のマトリックス効果を考慮するため、ノーマライゼーション工程が有用であり得る。
より詳細には、所定の濃度での所定の分子は、それが検出される組織に応じて同じ強度のシグナルを発しない。同様に、所定の組織中の同一濃度の2つの異なる分子は、異なるシグナル強度を有する。組織の性質及び/又は該組織中の分子の局在性に応じて、分子シグナルの強度の消失又は増大を、不活性な試料支持体上のそのシグナルに対して又は標準分子のシグナルに対して、観測できる。この組織消衰係数は、各分子(及び各ターゲット組織)について計算でき、結果として、各分子について得られたシグナルを重み付けするために使用できる。
同様に、研究される組織切片がマトリックス化合物で覆われている場合、それは、目的の分子に関するシグナル強度の減損を誘導し得る。この事実を防ぐために、このマトリックス効果に関する消衰係数を計算し、その消衰係数を使用して、分析された組織切片に関して研究された各分子について得られたシグナルを重み付けすることが可能である。
TEC及び/又はマトリックス効果を考慮することにより、また、シグナル強度の対応するノーマライゼーションにより、使用される組織及び/又はマトリックス化合物のそれぞれの種類にかかわらず、各分子の実際の濃度に関係する信頼度の高いシグナルを得ることが可能になる。次に、質量分析でノーマライズされた結果からの分子の直接定量が可能である。
文書国際公開公報第2012/126873号は、組織消衰係数及びマトリックス効果係数を計算するための方法に関する。それは、更に、組織内の分子の検出のためにこれらの係数をどのように考慮に入れるかを開示している。この方法は、目的の分子及び対照化合物から得られるシグナルをノーマライズするために、本発明の方法を用いて、有利には実行できる。さもなければ又は加えて、研究された分子シグナルに関する質量スペクトルのそのようなノーマライゼーションを可能にする他の計算方法を使用できる。
有利には、シグナルのノーマライゼーション工程は、分子の分布の比較前に行われる。
質量分析イメージング分析
本発明の方法は、質量分析イメージング実験を用いて容易に実行できる。この場合、各目的の分子及び対照化合物のピーク強度、ピーク面積又は信号雑音比が視覚化され、比較される。
一般論として、ターゲット組織及び該組織を囲む隣接する非ターゲット組織を含む組織切片上でのMSIの使用に基づき、本発明による目的の分子の分布の分析工程の実行を、以下に例示する。3つの目的の分子(M1、M2及びM3)並びに1つの陽性対照化合物(M+)及び1つの陰性対照化合物(M−)のスペクトル特性、とりわけピーク強度が研究される。
a)ターゲット組織内の目的の分子の分布分析
図1は、ターゲット組織の質量分析イメージングを用いて得られた、3つの目的の分子(M1、M2及びM3)、対照分子M+及びM−についての強度を概略的に示す。これらの強度は、組織内のそれらの分布を反映する。
組織切片上で直接視覚化されたスペクトルデータから、ターゲット組織内の各目的の分子の存在又は不在を確認することが可能である。そのうえ、目的の分子及び対照化合物のスペクトル特性を比較することによって、この分布が有意であるか否かを確認することが容易である。
結果を単純化するために、異なる組織区域が2つの同重心の四角形として定義され、ターゲット組織は内側の四角に対応する(図1の2番目の画像列)。画像上の小さな四角内に表示された値は、各分子のノーマライズされた強度の値に相当する。これらのノーマライズされた値の平均が、各分子について、ターゲット組織(領域T1の全体のスペクトルシグネチャー)について、及び、隣接組織(領域T−T1の全体のスペクトルシグネチャー)について、計算される。
ターゲット組織上の目的の分子の作用効率を評価するために、その作用が、非ターゲット組織切片、すなわちTで示した隣接組織におけるその存在又は不在を考慮することによって、重み付けされる。このために、ターゲット組織内外における目的の分子の平均強度を、同じ組織中の陽性及び陰性対照化合物の平均強度と結び付ける。
図1に示すように、M2分子は、組織全体(ターゲット及び非ターゲット組織)で高い強度を際立たせ、ターゲット組織T1に対し全体的に非特異的である。逆に、M1分子は、もっぱらターゲット組織T1に高い強度を示し、隣接組織Tではほとんど検出されない。その分布は、どちらかといえばM+分子に類似している。
したがって、ターゲット組織の内外における陽性及び陰性対照化合物のピークのノーマライズされた強度と比較される、ターゲット組織内外における各目的の分子の質量スペクトルにおけるピークのノーマライズされた強度、を参照値として使用して、ターゲット組織中の目的の分子の分布の特異性を表す第1の因数F1を評価できる。計算を単純化するために、陽性対照化合物の因数F1は100%と見なされ、陰性対照化合物の因数F1は0%である。
下の表2に、各分子について得られた強度の結果を列挙する。
F1因数は、ターゲット組織に対するそれらの特異性に応じて、目的の分子を順位付け可能にする。
この因数だけに基づき、目的の分子を、それらの組織ターゲティング特異性に応じて、選別することが既に可能である。したがって、この場合、スペクトル効率25%未満のM3分子は、組織T1をターゲティングする処置についての候補分子から排除できる。
b)ターゲット組織中の目的の分子の割合の分析
本発明によると、投与された用量に対してのターゲット組織に到達する目的の分子の比率を評価し、陽性対照化合物と比較することも可能である。
より具体的には、図2に示すように、本発明の方法は、ターゲット組織中の陽性対照化合物に比べた目的の分子の分布の類似性及び相違性を評価することを可能にする。
分子の分布の空間的類似性は、ターゲット組織に対する各分子の特異的作用を評価することを考慮している。例えば、各分子について得られた強度マップ(図2の1列目及び2列目)から、各位置について(すなわち位置xを有する各四角について)の陽性対照化合物の値に比べた目的の分子の値の標準偏差又は分散が計算される。
標準偏差は、下の数式により計算できる:
σMi:陽性マーカーMに比べた目的の分子Miの標準偏差
Mi:座標(x,y)での目的の分子Miの強度の値
M+:座標(x,y)での陽性対照化合物M+の強度の値
(X):座標(x,y)での目的の分子及び陽性対照化合物の平均強度
これらの標準偏差の値から、本発明の方法は、ターゲット組織中の目的の分子の浸透比を際立たせる第2の因数F2を計算することを可能にする。F2因数は、目的の分子と陽性対照化合物(F2=100%)との分布の間の類似性の割合に相当する。一般的にいうと、陰性対照化合物のF2因数は0%である。目的の分子の標準偏差を陽性対照化合物(及び最終的には陰性対照化合物の)と比較することによって、該目的の分子についてのF2係数を評価することが可能である。
それぞれの目的の分子M1、M2及びM3について得られたこれらの因数F2の値を、図2に開示する。より具体的には、この実験は、分子M1が陽性対照化合物M+と一緒に、高い回収割合を示すことを視覚可能にする。分子M2に関しては、たとえM2がターゲット組織区域中に検出されても、陽性対照化合物M+と類似の分布を示さない。そして、M3の分布は、陰性対照化合物の分布に類似する。M+と一緒でのその回収割合は、ほぼゼロである。
c)所定の組織に関する目的の分子のターゲティング係数の計算
本発明によると、所定のターゲット組織についての所定の目的の分子のターゲティング係数を計算することが可能である。このターゲティング係数は、該組織に対する該分子の特異性及び該組織中のその空間的分布(又は浸透比)を反映する。
例えば、ターゲティング係数は、該組織中の該分子に関するF1及びF2因数について得られた値の平均に相当する。
ターゲティング係数(又はターゲティング率)を、それぞれの目的の分子M1、M2及びM3について下の表3に報告する。したがって、いくぶん効率的で該組織にいくぶん特異的な目的の分子の作用に応じて、それらの分子を順位付けすることが可能である。
この場合、M1分子は、M2分子よりも大きくターゲティングされて特異的な作用を有するので、この分子は、ターゲット組織T1に関する最良の候補である。先に標定されたとおり、M3分子は、組織T1に関して良い候補分子ではない。
実施例
ここで、具体的実施例及び上記の図を用いて、本発明の方法を更に詳細に説明する。これらの実施例は、例示的な目的のためだけに示されたものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。もちろん、ほぼ同一の態様で、MALDI以外のイメージング装置、例えば、以下の供給源などを使用できる:SIMS、DESI、DIOS、ICP、MALDI顕微鏡、SNOM、SMALDI、LA−ICP、ESI(組織上で液体抽出)、MILDI、JEDI、ELDIなど。
実施例1:腎臓の組織学的領域におけるオランザピン結合の評価
実施例1では、マウス腎臓におけるオランザピンの分布を評価するために、そして、腎臓の特定の領域へのそのターゲティングを研究するために、本発明の方法を用いる。
(材料及び方法)
ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)、Sigma Aldrich(Saint-Quentin Fallavier, France)製
トリフルオロ酢酸(TFA)、Sigma Aldrich製
アセトニトリル/DMSO/水、Sigma Aldrich製
オランザピン、Lilly Research Laboratories(Eli Lilly and Co, Indianapolis, IN)製
陽性対照化合物:ポサコナゾール、Sigma Aldrich製
陰性対照化合物:メトスクシミド、Sigma Aldrich製
ターゲット組織の境界設定
ターゲット組織(以下「組織1」)は、髄質及び腎杯を含む。
隣接する非ターゲット組織(以下「組織2」)も考慮され、腎皮質領域を含む。
目的の分子、陽性及び陰性対照化合物の選択
オランザピンは、特定の型の統合失調症及び双極性障害の処置に使用される薬物である。それは、最も一般的に使用される抗精神病薬の1つである。それは、チエノベンゾジアゼピンのクラスに属する。オランザピンは、脳をターゲティングする分子として既に知られている。薬物動態研究によって、オランザピンが有機体によって素早く吸収され、とりわけ肝臓、脾臓又は腎臓に堆積されることが実証されている。そのうえ、オランザピンの分布は、同じ器官内のいくつかの種類の組織に非常に特異的であり、腎臓の例では、皮質及び髄質の領域の卓越した識別を可能にしている。本実施例において、本発明者らは、腎臓内のオランザピンの組織ターゲティング特性を研究した。
2つの陽性及び陰性対照化合物を、それらがそれぞれ組織1及び2を選択的にターゲティングする特性について選択する。
組織1に特異的に結合し組織2に特異的には結合しないものとして公知のポサコナゾールを、陽性対照化合物として選択する。
組織2に特異的に結合し組織1に特異的には結合しないものとして公知のメトスクシミドを陰性対照化合物として選択する。
動物の準備
体重25〜40gのスイス系統の野生型マウス(Charles River製)を使用した。0.9%NaCl溶液に溶かした、オランザピン、陽性及び陰性化合物を、濃度8mg/kgで経口経路によって投与した。マウスをCO2窒息によって供死した。次に、腎臓を取り出し、急速凍結のために液体窒素で冷却された100%イソペンタン溶液中に入れた。最後に、腎臓を−80℃で保存した。
質量分析イメージング用試料の調製
−21℃に冷却されたMicrom HM560(Thermo Scientific, France)を使用して、腎臓を厚さ10μmの層(矢状切片)に切断した。次に、切片を、導電性ITO(酸化インジウムスズ)スライド(Delta Technology, USA)上に堆積させた。最後に、凍結乾燥のために、切片をクリオスタットチャンバー中に30分間保ち、次にデシケーター中に30分間置いた。
CHCAマトリックスを、全ての腎臓組織切片の分析のために使用した。このマトリックスを、アセトニトリル/水+0.1%TFA(6:1、v/v)中、濃度10mg/mlで調製した。SunCollectスプレーシステム(SunChrom, Germany)を使用して、最適化されたプロトコールに従って、マトリックス溶液を堆積させた。
MALDI画像の取得
Smartbeam IIレーザーを備えるAutoFlex Speed MALDI−TOF質量分析計(Bruker Daltonics, Bremen, Germany)を使用して、画像を得た。データを、ポジティブリフレクトロンモードで生成した。質量範囲100〜1000Daに対してレーザー周波数1000Hz及び画像空間分解能200×200μm2で各スポットについて合計500個のスペクトルを得た。FlexImagingバージョン4.0ソフトウェアを使用して画像を再構成し、Quantinetix 1.6ソフトウェア(ImaBiotech, Loos, France)が、それぞれの研究される分子に対応するイオンのスペクトル強度の抽出を可能にする。
目的の分子及び対照化合物の局在化
最初に、組織内に目的のイオンを局在化するために、イメージング質量分析実験を行う必要がある(図3)。
画像は腎臓全体で獲得した。使用した空間分解能は、腎臓の部分構造を容易に識別可能にする200μmであった。
図3は、腎臓組織切片を、その異なる組織学的区域を際立たせながら示している(図3A)。切片は、腎臓の中央で採取されたものである。
これから、ターゲット組織を正確に観測することが可能である。特に、図3Bは、陽性及び陰性対照化合物並びに目的の分子、オランザピンの、オーバーレイ分布を示している。概略図3Cに示されるように、それは、組織1(組織切片の中央区域)と組織2(組織切片の周辺区域)との間の区別を明らかに示している。
これらの結果は、陽性及び陰性対照化合物によってターゲティングされる組織学的領域の効率を評価することを可能にする。組織内の目的の分子を際立たせることも重要であり、この場合にあてはまる。
図4に、目的の組織学的区域、すなわち陽性対照化合物について組織1(m/z 204、図4C)、陰性対照化合物について組織2(m/z 725、図4B)及びオランザピンが高濃度の区域(m/z 313、図4A)、に相当する3つの質量スペクトルを示す。
(結果)
F1因数の計算
ターゲット組織内の目的の分子の空間分布の特異性に関連するF1を計算するために、最初に、質量分析画像(MS画像)から目的の分子及び対照化合物の全ての強度を抽出する必要がある。
図5は、陽性及び陰性対照化合物並びにオランザピンに関する分布を別々に視覚化することを可能にしている。
多色表示は、目的のイオンの相対的強度に関する情報を与える。各目盛の最大値は、異なっており、MS画像上のそれぞれ別個のイオンの最も高い強度の値に相当する。
目的の各組織領域を、分子画像上で区切り、図4及び5に破線で示す。各描画領域内の各位置(又はボクセル)について、目的の各イオン及び対照化合物の相対的強度を抽出するために、イメージングデータ処理ソフトウェアQuantinetixを使用する。
図5のMS画像は、以下のことを示している:
− ターゲット組織1のレベルでの陽性対照化合物(M+)の分布(左の分子画像);
− ターゲット組織2のレベルでの陰性対照化合物(M−)の分布(右の分子画像);
− ターゲット組織T1及び非ターゲット組織T2のレベルでのオランザピンの分布(中央の分子画像)
次の工程は、これらを比較するために、データセット全体をノーマライズすることである。位置毎の強度をノーマライズするために、各イオンに関して最も高い強度を用いる。各イオン及び組織タイプについてのノーマライズされた強度の平均を計算する。
定義により、陽性対照化合物の因数F1は100%に等しく、一方で、陰性対照化合物の因数F1は0%に等しいと見なす。
オランザピンについて得られた結果を、下の表4に報告する。
オランザピンのF1因数は、研究された組織T1及びT2におけるスペクトル及び強度の視点からのターゲット分子の平均効率を反映する。50%のF1値は、陽性及び陰性化合物に比べて両方の組織でオランザピンの相対濃度が全体的に平衡であることを示している。
F2因数の計算
組織ターゲティング評価の第2工程は、対照化合物に比べた腎臓におけるオランザピンの分布の空間的側面を考慮するものである。
F2因数は、対照化合物の空間的分布を目的の分子と比較することを可能にし、ターゲット組織のレベルでのそれらの類似性又は相違性についての情報を提供する。
MS画像上のこれらの特性を視覚化するために、オランザピン及び対照化合物の分布のオーバーレイを図6に示す。それは、ターゲット組織(T1)中のオランザピンの分布を隣接する非ターゲット組織(T2)と比較することを可能にする。
先のF1因数の評価からのノーマライズされた強度の値を使用して、F2因数の計算を行う。位置毎に、ターゲット組織(T1)のレベルでの、陽性対照を用いた目的の分子及び陰性対照の強度の値の標準偏差を標定する。次に、オランザピン及び陰性対照化合物について、標準偏差の平均値を計算する。
定義により、陽性対照化合物の因数F2は100%に等しく、一方で、陰性対照化合物の因数F2は0%に等しいと見なされる。
オランザピンについてのF2因数は27%と評価され、これは、ターゲット組織における陽性対照の分布との相違性を反映している。これは、とりわけ図6で際立っており、そこでは、オランザピンの分布は髄質の右側半分の切片に主に局在化され(図6の中央画像)、一方で、陽性対照化合物は組織1に均一に分布されている(図6右画像)。
(要約)
オランザピンは、髄質領域に対して平均的な親和性を示す。前記方法を用いて得られた結果は、オランザピンが、別のものに対してではなく腎臓中のある種の組織に対して平均ターゲティング挙動を有し、髄質領域の限られた区域に優先的に結合されると結論付けることを可能にする。
実施例2:吸着の計算
図7は、受容体占有プロセスの例を用いて、組織上への分子の吸着の方法論を説明する。この方法によって、動物に投与された薬物(アゴニスト)による受容体の占有効率をアンタゴニスト分子と比較して測定することが可能である。本実施例において、該方法論の全ての工程、すなわち投薬された組織の分析のみ、アンタゴニスト溶液を用いた対照組織の洗浄工程及び投与された試料への投薬/洗浄の組み合わせ分析を記載する。この種の実験に陰性マーカーは必要ない。
本実施例では、2つのベンゾジアゼピン化合物、すなわち脳内の同じ受容体(GABA)をターゲティングするジアゼパム(アゴニスト)及びロラゼパム(アンタゴニスト)の競合的結合を評価する。ロラゼパムは、良好に確立されたこの受容体に対して、より高い親和性を有する。そういうわけで、周知のロラゼパムを、脳内の受容体に結合するジアゼパムの親和性及び効率を研究するために、使用する。ラット脳内のアゴニスト(ジアゼパム)及びアンタゴニスト(ロラゼパム)の分布を、MALDI質量分析イメージングによって研究する。もちろん、ほぼ同一の態様で、MALDI以外のイメージング装置、例えば以下のソースなどを使用できる:SIMS、DESI、DIOS、ICP、MALDI顕微鏡、SNOM、SMALDI、LA−ICP、ESI(組織上で液体抽出)、MILDI、JEDI、ELDIなど。
材料及び方法
材料
− 2,5−ジヒドロキシ安息香酸(DHB)(Sigma-Aldrich, Saint-Quentin Fallavier, France)
− トリフルオロ酢酸(TFA)(Sigma-Aldrich)
− メタノール(Sigma-Aldrich)
− ジアゼパム(LGC Standard)
− ロラゼパム(LGC Standard)
動物
体重35〜40gの野生型ラットを使用した。0.9%NaCl溶液に溶かしたジアゼパムを、濃度15mg/kgで静脈内経路によって注射した。動物(投薬されたラット及び対照ラット)をCO窒息によって供死した。次に、脳を取り出し、急速凍結のために液体窒素で冷却された100%イソペンタン溶液中に入れた。最後に、脳を−80℃で保存した。
質量分析用の試料の調製
−20℃に冷却されたMicrom HM560(Thermo Scientific, France)を使用して、脳(対照組織及び投薬された組織)を、厚さ10μmの層(冠状切片)に切断した。次に、切片を導電性ITO(酸化インジウムスズ)スライド(Delta Technology, USA)上に堆積させた。最後に、切片を、凍結乾燥のためにクリオスタットチャンバー中に15分保ち、次にデシケーター中に20分間置いた。
アンタゴニスト溶液を用いた洗浄/インキュベーション工程
アンタゴニスト溶液を、ロラゼパムのストック溶液から、メタノール(100%)中1mg/mlで調製した。洗浄溶液の最終濃度を、メタノール/水+0.1%TFA(7:3)中100pmol/μLに固定した。アンタゴニストの濃度は、分子の結合能を改善する受容体占有性に重要な因子である。溶液20μLを組織切片上(投薬された試料1個及び対照試料上)にスポットし、次にインキュベーターIncu-line(VWR, France)内部のボックス中、37℃で1時間インキュベーションした。洗浄なしの投薬された脳切片も、インキュベーターに入れた。
インキュベーション後に、第一にアンタゴニスト洗浄溶液に相当するメタノール/水+0.1%TFA(7:3)の溶液を使用する2工程を用いて組織を洗浄して、組織から未結合の分子を除去する。第二に、組織を、水だけの溶液(10mL)を使用して洗浄し、その後、デシケーター中に15分間置く。
MALDIイメージングによる取得のための準備
ロラゼパム溶液で洗浄した又は洗浄していない全ての脳組織切片の分析のために、DHBマトリックスを使用した。このマトリックスを、メタノール/水+0.1%TFA(1:1、v/v)中、濃度40mg/mlで調製した。SunCollectスプレーシステム(SunChrome, Germany)を使用して、マトリックス溶液を堆積させた。
MALDI画像の取得
Smartbeamレーザーを備えるAutoFlex Speed MALDI-TOF質量分析計(Bruker Daltonics, Bremen, Germany)を使用して、画像を得た。データを、ポジティブリフレクトロンモードで生成した。質量範囲0〜1000Daに対してレーザー周波数1000Hz及び画像空間分解能150×150μm2で各スポットについて、合計700個のスペクトルを得た。FlexImagingバージョン4.0ソフトウェアを使用して、画像を再構成した。
結果
図8は、異なる条件で、吸着評価方法論に従って、MSIによって得られた画像を示す。
アゴニストを投薬し、洗浄なしの脳は、脳の白質レベルでのジアゼパム(m/z 285)の特異的局在化を際立たせている。ロラゼパム溶液を用いた対照組織切片の洗浄を伴う第2の工程は、脳切片上に、とりわけ白質において、ロラゼパム関連イオン(m/z 321)を観測することを可能にする。明らかに、洗浄なしの投薬した脳切片において、及び洗浄工程を用いた対照脳切片において、それぞれ、ロラゼパム又はジアゼパムの検出は観察されなかった。これらの結果は、当該2つのベンゾジアゼパム種の受容体結合部位、すなわち白質に関していくらかの情報を与える。最後に、最後の実験は、ジアゼパムを投薬した組織をロラゼパム洗浄工程と組み合わせている。この画像を、ロラゼパム応答によりジアゼパムの効率及び親和性を計算するために、更に使用する。
要約すると、前記経験は以下のことを提供する:
・ ターゲット分子(Mc)であるジアゼパムの分布
・ 陽性マーカー(M+)であるロラゼパムの分布
・ ターゲティングされた区域(T1)である白質(受容体結合部位)及びターゲティングされていない区域(T2)である脳の残り
F1因数;強度因数
ターゲティングされた組織のレベルでのターゲット分子のスペクトルパラメーターに関連する因数1を計算するために、まず、脳の特定区域におけるジアゼパムイオン及びロラゼパムイオンの強度を抽出する必要がある。
次に、F1を計算するためにデータセットに対して前記方法論を適用する。
F2因数;空間因数
ジアゼパムの親和性標定の第2の工程は、陽性マーカーの局在化に対して、ターゲティングされた区域のレベルでのジアゼパムの空間的分布を考慮する。F2因数は、白質領域中のアゴニスト及びアンタゴニストの細かい局在化を比較することを可能にし、それらの類似性又は相違性に関する情報を与える。
F2因数は、ターゲティングされた区域(受容体部位)におけるジアゼパム及びロラゼパムの分布の高い類似性に反して72.5%に等しい。ジアゼパムは、そのアンタゴニストであるロラゼパムと同様、脳の白質に非常に局在化される。
結論
結論として、前記2つの因数を、表7に示すようにアゴニストの全体的ターゲティング因数を推定するために組み合わせることができる。ジアゼパムは、研究された陽性マーカーに関するベンゾジアゼピンの受容体部位に対して高い親和性を示す。ジアゼパムのターゲティングは、脳の白質領域に対して非常に効率的である。

Claims (15)

  1. 目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法であって、目的の分子及び/又は少なくとも1つの対照化合物を予め与えられた少なくとも1匹の動物のターゲット組織内又はターゲット組織表面での目的の分子及び対照化合物の分布を、視覚化すること及び比較することを含む、方法。
  2. 前記動物における試料採取によって予め得られた少なくとも1つのターゲット組織切片の表面での目的の分子及び少なくとも1つの対照化合物の分布を、視覚化すること及び比較することを含む、請求項1記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  3. 対照陽性化合物及び対照陰性化合物が、動物に予め投与されている、請求項1又は2記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  4. ターゲット分子及び対照化合物が、動物に予め同時投与されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  5. 同じ濃度の対照化合物及びターゲット分子が、動物に予め投与されている、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  6. ターゲット分子及び/又は対照化合物が動物に予め経腸又は非経口投与されている、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  7. 目的の分子及び対照化合物の分布の視覚化の工程が、イメージング技法を用いて達成される、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  8. 目的の分子及び対照化合物の分布の視覚化工程が、質量分析分子イメージング及び優先的にはMALDIイメージングを用いて達成される、請求項7記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  9. 組織消衰係数(TEC)及び/又は生物学的マトリックス効果を考慮するように、目的の分子及び/又は対照化合物の質量スペクトルに関するシグナルがノーマライズされる、請求項7又は8記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  10. ターゲット組織に対する目的の分子の特異性が、ターゲット組織中の該分子の分布を少なくとも1つの非ターゲット組織中の該分子の分布と比較することによって評定される、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  11. ターゲット組織に対する目的の分子の浸透比が、ターゲット組織内の該分子の分布を該ターゲット組織内の対照化合物の分布と比較することによって評価される、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  12. 目的の分子を予め投与された動物を異なる時間(t1)及び(t2)に試料採取することによって予め得られた少なくとも2つのターゲット組織切片中への該分子の分布を比較する、目的の分子の動態を評価する工程を更に含む、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  13. 目的の分子が、治療的若しくは衛生植物的潜在分子又はその代謝物の1つを含む候補分子である、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  14. 前記動物又はターゲット組織又は組織切片が、ターゲット組織内の目的の分子に結合する及び/又は目的の分子を組み入れるためのその能力を改変するように処理されている、先行する請求項のいずれか一項記載の、目的の分子が少なくとも1つのターゲット組織に結合する又は組み入れられるかどうかを評価するための方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項記載の方法の目的の分子の分布と1つの対照化合物との比較をコンピュータシステムに実行可能にするのに適したコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ読み取り可能データ媒体。
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