JP2016505834A - 広ダイナミックレンジ磁力計 - Google Patents
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Abstract
外部磁場を決定する磁力計100は、電極配列体104を形成する磁気抵抗材料とプロセッサとを含む。磁気抵抗材料の抵抗性応答は、第1範囲の増加適用外部磁場に対する減少応答と、第2範囲の増加適用外部磁場に対する増加応答とを含む。電極配列体104は、磁気抵抗材料の当該適用外部磁場に対する抵抗性応答を測定する。プロセッサは、磁気抵抗材料に適用された外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを決定するべく構成される。プロセッサは、外部磁場を、磁気抵抗材料の当該外部磁場に対する抵抗性応答に少なくとも部分的に基づいて決定し、かつ、当該外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを決定するべく構成される。
Description
本発明は一般に、広いダイナミックレンジの磁場測定を行う方法、システム及び装置と、当該方法、システム及び装置の、例えば、磁場センサ及び電流センサのような磁気エレクトロニクスデバイスにおけるアプリケーションに関する。
磁場測定を目的として多くの技術が目下利用可能であるが、低磁場(<1μΤ)及び高磁場(数十テスラまで)双方を確実に測定する磁力計デバイスのオプションは極めて少数である。ほとんどの場合、低磁場測定に有用な磁力計は、高磁場を確実に測定するべく使用することができず、かつ、高磁場測定に有用な磁力計は、低磁場を確実に測定するべく使用することができない。当該測定は、無停電電力システム及び他のデバイスにおける非接触電流測定を含むいくつかのアプリケーションが必要とする。
誘導さぐりコイルが最も多用途の技術である。当該コイルは、異なるアプリケーションに対して具体的に設計することができるからである。しかしながら、この技術は、AC磁場が測定できるのみであり、サイズが低減されるにつれて感度が減少する。電池、イオン輸送及び加速器システム用の電力制御のようないくつかのアプリケーションでは、ワイヤ又は電磁石いずれかを流れる電流から、広範囲の磁場にわたって磁場を精密に測定する能力が必要とされる。現在のところ、これは、いくつかの補足的なセンサを使用することによってのみ達成可能である。
精密な磁場測定は、ナビゲーションから加速器技術及び材料科学までの広範囲の分野及びアプリケーションにおいて必要とされる。当該測定はまた、例えば一般電池、太陽電池又は燃料電池の制御を目的とするような、接点なしで導体を流れる電流を測定する必要性が存在する場合にも必要とされる。これらの及び他のアプリケーションにとって、センサの寸法は限られる。多くの異なる技術が、電磁誘導、ホール効果、核歳差運動、ファラデー回転、超伝導量子干渉デバイス(SQUID)、磁気抵抗、巨大磁気インピーダンス及びフラックスゲートのような異なる物理原理に基づいて開発されている。様々な磁場範囲において優れた感度が得られた。しかしながら、広範囲の磁場(ナノテスラから数十テスラ)を測定するべく特定の磁気センサを使用することには課題が存在する。例えば、巨大磁気抵抗(GMR)センサ及び異方性磁気抵抗(AMR)センサは小さくかつ小さな磁場を測定することができるが、これらのデバイスは、磁気材料の飽和に起因して〜50mTまでに限られる。SQUIDも小さいが高価であり、この技術を利用するセンサは、大きな磁場の測定には使用されない。核歳差運動も高価であり、小型化することができず、かつ、小さな磁場を測定することができない。バルクホール効果センサは最も一般的な磁気センサであり、小型化可能ではあるが、小さな磁場を測定することができない。2D電子ガスホール効果センサはバルクホール効果センサよりも高感度(〜10倍)であるが、中程度の磁場において非線形となる。
大きな磁気抵抗器は、広範囲の磁場を測定するのに優れた方法を与えることができる。実際のところ、AMR、磁気トンネル効果接合(MTJ)及びGMRは、低磁場(数ナノテスラまで)を高感度でプローブすることができる。しかしながら、磁気材料の飽和により、〜0.1T未満の磁場に対してはその使用が限られる。さらに、これらはヒステリシスの影響を受けるので、飽和磁場をはるかに下回る磁場で操作される場合に感度の大きな変動を示し得る。他の磁気抵抗のタイプは、アバランシェ降伏、スピン注入磁気抵抗及び幾何学的磁気抵抗を含む。これらの磁気抵抗のタイプの一つを示す材料は、高磁場(>0.5T)を測定するべく使用することができるが、小磁場(<0.1T)を測定する感度としては十分ではない。例えば、電極間ギャップが広い二酸化ケイ素(SiO2)基板上の鉄(Fe)ナノ粒子のようなナノ構造材料は、大きな正の磁気抵抗を有する。相対的に大きな磁気抵抗は、圧縮された酸化鉄(II,III)(Fe3O4)ナノ粉末においても観測されている。しかしながらこの場合、磁気抵抗はスピントンネル効果に由来するので、界面境界及びその付近における近界面磁気無秩序及びスピン散乱の効果が意味するのは、上記材料は、小さな磁場の測定には使用できないということである。ナノ粒子Fe:Al2O3薄膜が、高磁場の線形挙動を有する大きな正の磁気抵抗を示している。磁気抵抗を示す化合物は磁場測定に使用することができるが、小磁場から高磁場までの広範囲にわたる単一の技術は存在しない。
したがって、本発明の目的は、上記システムの欠点を克服することにより、磁気センサに広いダイナミックレンジを与え及び/又は少なくとも有用な選択肢を与えることにある。
本発明の一側面によれば、外部磁場を決定する磁力計が与えられる。この磁力計は、磁気抵抗材料であって、外部磁場が当該磁気抵抗材料に適用された場合の抵抗性応答を有し、当該抵抗性応答は、第1範囲の増加外部磁場が適用された場合の減少応答と、第2範囲の増加外部磁場が適用された場合の増加応答とを含む磁気抵抗材料と、当該磁気抵抗材料に結合された電極配列体であって、当該磁気抵抗材料に適用された外部磁場に対する当該磁気抵抗材料の抵抗性応答を測定する電極配列体と、一以上のプロセッサであって、当該一以上のプロセッサの少なくとも一つが、当該磁気抵抗材料に適用された外部磁場が当該第1範囲にあるのか又は当該第2範囲にあるのかを決定するべく構成された一以上のプロセッサとを含み、当該一以上のプロセッサの少なくとも一つは、当該外部磁場を、当該磁気抵抗材料の当該外部磁場に対する抵抗性応答に少なくとも部分的に基づいて決定し、かつ、当該外部磁場が当該第1範囲にあるのか又は当該第2範囲にあるのかを決定するべく構成される。
一実施形態において、磁気抵抗材料は、大きな適用磁場がゼロまで低減される場合に無視できる残留磁気が存在する超常磁性挙動を示す。
一実施形態において、磁気抵抗材料はナノ粒子を含み、当該材料は、負の磁気抵抗に対して電子スピン分極を示す。これは、一定範囲の作動温度にわたるナノ粒子間のスピントンネル効果に由来する。一実施形態において、磁気抵抗材料は、室温において強磁性挙動を示す鉄、ニッケル、コバルト、これらの合金及び酸化物、並びにこれらの混合物からなる群から選択されたナノ粒子を含む。一実施形態において、磁気抵抗材料は強磁性フェライトのナノ粒子を含む。一実施形態において、強磁性フェライトは、ZnFe2O4、BaFe12O9及びNi0.5Zn0.5Fe2O4からなる群から選択される。
他実施形態において、磁力計は、磁気抵抗材料を含む薄膜を含む。一つの実施形態において、ナノ粒子は、薄膜の基板の表面上に合成されるか又は当該表面に埋め込まれる。一実施形態において、薄膜は二酸化ケイ素及び鉄ナノ粒子を含む。一実施形態において、磁気抵抗材料は、イオン注入及び電子ビームアニーリングによって作られた二酸化ケイ素(SiO2)上の表面鉄(Fe)ナノクラスターを包含する。
追加又は代替の実施形態において、磁力計は、薄膜の積層、厚膜、バルクナノ複合材料、及び/又は圧縮された粉末を含む。これらは磁気抵抗材料を含む。
一実施形態において、磁気抵抗材料は、半導体マトリクスに埋め込まれた電子スピン分極ナノ粒子及び非金属ナノ粒子を包含する複合材料である。電子スピン分極ナノ粒子間の、低磁場における負のスピン依存トンネル効果は、半導体マトリクス内の非金属ナノ粒子による正の幾何学的磁気抵抗と競合する。正味の結果は、低磁場に対する負の磁気抵抗、及び高磁場に対する磁場増加に伴い増加する磁気抵抗である。一実施形態において、電子スピン分極ナノ粒子は酸化鉄(II,III)(Fe3O4)である。一つの実施形態において、非金属ナノ粒子は銀(Ag)である。一実施形態において、半導体マトリクスは酸化アルニミウム(Al2O3)である。
一実施形態において、電極配列体は2つの電極を含む。一代替実施形態において、電極配列体は4つの電極を含む。
一実施形態において、磁力計は、一以上のプロセッサの少なくとも一つと電気通信するホール効果センサを含む。一実施形態において、ホール効果センサは、磁気抵抗材料から物理的に分離される。一代替実施形態において、ホール効果センサは磁気抵抗材料と一体化される。一実施形態において、ホール効果センサは、当該磁気抵抗材料に適用された外部磁場に応答して電圧を生成するべく構成される。一実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、ホール効果センサが生成した電圧がしきい値未満である場合に外部磁場が第1範囲にあると決定し、かつ、ホール効果センサが生成した電圧がしきい値を超える場合に外部磁場が第2範囲にあると決定するべく構成される。一代替実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、ホール効果センサが生成した電圧がしきい値未満である場合に外部磁場が第2範囲にあると決定し、かつ、ホール効果センサが生成した電圧がしきい値を超える場合に外部磁場が第1範囲にあると決定するべく構成される。
一実施形態において、磁気抵抗材料は非オーム特性を有する。これは、磁気抵抗材料を流れる一定範囲の電流が、磁気抵抗材料の両端間に適用される電圧の非線形関数となる特性である。一実施形態において、一以上のプロセッサの少なくとも一つが、磁気抵抗材料から非オーム性信号を決定するべく構成される。ここで、少なくとも一つのプロセッサは、磁気抵抗材料に適用された外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを決定するべく非オーム性信号を使用するように構成される。一実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、2つの異なる電流における磁気抵抗材料の両端間の電圧差に少なくとも部分的に基づいて外部磁場を決定するべく構成される。一代替実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、磁気抵抗材料に適用された、AC電圧をもたらすAC電流成分に少なくとも部分的に基づいて外部磁場を決定するべく構成される。一実施形態において、第1電流Ilに対する電極配列体を使用して第1電圧V1が測定され、かつ、第2電流I2に対する電極配列体を使用して第2電圧V2が測定される。一実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、磁気抵抗材料の非オーム特性からスイッチング磁場を決定するべく構成される。一実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、第1及び第2電流が適用された場合の磁気抵抗差ΔMRを、以下の式を使用して計算するべく構成される。
ΔMR=V1(B)/V1(0)−V2(B)/V2(0)
ここで、V1及びV2はそれぞれ、電流I1及びI2に対する測定電圧である。V1(B)及びV2(B)は、外部磁場Bが磁気抵抗材料に適用された場合の測定電圧であり、V1(0)及びV2(0)は、外部磁場が磁気抵抗材料に適用されない場合の測定電圧である。
ΔMR=V1(B)/V1(0)−V2(B)/V2(0)
ここで、V1及びV2はそれぞれ、電流I1及びI2に対する測定電圧である。V1(B)及びV2(B)は、外部磁場Bが磁気抵抗材料に適用された場合の測定電圧であり、V1(0)及びV2(0)は、外部磁場が磁気抵抗材料に適用されない場合の測定電圧である。
一実施形態において、磁気抵抗差ΔMRがしきい値ΔMRSwitchを超過する場合、少なくとも一つのプロセッサは、外部磁場が第2範囲の磁場にあると決定するべく構成され、かつ、磁気抵抗差ΔMRがしきい値ΔMRSwitchに等しい場合、少なくとも一つのプロセッサは、外部磁場が第1範囲の磁場にあると決定するべく構成される。一代替実施形態において、磁気抵抗差ΔMRがしきい値ΔMRSwitchを超過する場合、少なくとも一つのプロセッサは、外部磁場が第1範囲の磁場にあると決定するべく構成され、かつ、磁気抵抗差ΔMRがしきい値ΔMRSwitch以下の場合、少なくとも一つのプロセッサは、外部磁場が第2範囲の磁場にあると決定するべく構成される。
一実施形態において、制御磁気源が磁気抵抗材料に対し、外部磁場と相互作用をして当該磁気抵抗材料の両端間にAC成分を有する結果的な電圧がもたらされるように、第1周波数のAC磁場を適用するべく適合される。ここで、少なくとも一つのプロセッサは、磁気抵抗材料に適用された外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを当該AC成分に基づいて決定するべく構成される。一実施形態において、磁力計は制御磁気源を含む。一実施形態において、AC磁場は小さなAC磁場である。一実施形態において、第1周波数は、当該第1周波数が、決定対象の外部磁場の周波数範囲とは異なるように選択される。一実施形態において、外部磁場がDC磁場である場合、第1周波数は、約1Hz、好ましくは約25Hzを超過し、及び、好ましくは約1MHz未満である。一実施形態において、外部磁場がAC磁場である場合、第1周波数は、約1Hz〜約1MHz、及び、好ましくは約50Hz〜約500kHzである。一実施形態において、第1周波数は、外部磁場の測定された周波数範囲の値の少なくとも約2倍である。例えば、ユーザが0〜1kHzの磁場を測定したい場合、周波数fは1kHzを超過し、好ましくは少なくとも約2kHzとすべきである。一実施形態において、AC磁場は、周波数フィルタを使用して除去される。一実施形態において、磁力計は、第1周波数を有する電圧成分をAC成分から除去するべく構成された周波数フィルタを含む。一実施形態において、周波数フィルタは低域通過フィルタである。一代替実施形態において、周波数フィルタは帯域フィルタである。一実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、AC成分がしきい値を超過する場合に外部磁場が第1範囲の磁場にあると決定し、かつ、AC成分がしきい値未満の場合に外部磁場が第2範囲の磁場にあると決定するべく構成される。一代替実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、AC成分がしきい値を超過する場合に外部磁場が第2範囲の磁場にあると決定し、かつ、AC成分がしきい値未満の場合に外部磁場が第1範囲の磁場にあると決定するべく構成される。
本発明に関連する技術分野において既知の等価物を有する特定の整数がここに記載される場合、当該既知の等価物は、あたかも個別に記載されているかのように、ここに組み込まれるとみなされる。
加えて、本発明の特徴又は側面がマーカッシュ群で記載される場合、当業者には、本発明がまた、当該マーカッシュ群の任意の個々の要素又は下位群の要素についても記載されていることがわかる。
ここで使用されることだが、名詞に後続する「(複数可)」は、当該名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
ここで使用されることだが、用語「及び/又は」は、「及び」若しくは「又は」又はその双方を意味する。
本明細書において使用される用語「〜を含む」は、「少なくとも一部が〜からなる」ことを意味する。本明細書において用語「〜を含む」各文章を解釈するときは、当該用語の前に置かれた単数又は複数の特徴以外の特徴も存在し得る。「複数の〜を含む」及び「単数の〜を含む」のような関連用語も同様に解釈される。
意図されることだが、ここに開示される数の範囲(例えば1〜10)はまた、当該範囲内のすべての有理数(例えば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)、さらには、当該範囲内の有理数の任意の範囲(例えば2〜8、1.5〜5.5及び3.1〜4.7)への参照も含み、ひいては、ここに明示的に開示されるすべての範囲のすべての下位範囲も明示的に開示される。これらは、特定的に意図されたものの例にすぎず、列挙された最小値と最大値との間の数値のすべての可能な組み合わせが、本願において同様の態様で明示的に述べられているとみなされる。
本明細書において、特許明細書、他の外部文書、又は他の情報源を参照する場合、これは一般に、本発明の特徴を説明するための文脈を与えることを目的とする。特に述べない限り、当該外部文書又は当該情報源への参照は、当該書類又は当該情報源が、いずれの管轄権においても先行技術であり又は当業界の一般的な共通知識の一部を形成すると認めるものを解釈してはならない。
本発明は上述のように広く定義されるが、当業者には、本発明がそれに限定されないこと、及び、本発明が以下の記載により例を与える実施形態も含むことがわかる。
本発明の実施形態が、図面を参照して非制限的な例によって記載される。
以下に記載される磁力計の実施形態は、広いダイナミック磁場レンジにわたる磁場測定に適する。以下に記載の磁力計の実施形態は、例えば、磁場センサとして及び/又は電流センサとしてのアプリケーションを有する。
本発明の磁力計100の一実施形態が図1に例示される。磁力計100は、薄膜102を形成する磁気抵抗材料と、磁気抵抗材料102に取り付けられた2つの電極104とを含む。各電極104は、金属膜を介して薄膜に取り付けられ、それぞれ他方の電極104からギャップ距離lだけ離間する。いくつかの実施形態において、4端子測定が可能となるように4つの薄膜及び4つの電極が存在する。
図1に示される実施形態において、薄膜102は基板108上に存在する。他実施形態において、磁力計は基板を含まない。
以下でさらに詳述されることだが、磁気抵抗材料は、外部磁場が磁気抵抗材料に適用された場合に非線形抵抗性応答を有する。磁気抵抗材料のいくつかの実施形態において、抵抗性応答は、第1範囲の増加外部磁場が適用された場合の減少応答と、第2範囲の増加外部磁場が適用された場合の増加応答とを含む。ここで使用されることだが、「減少応答」は、磁気抵抗の、磁場に対するプロットの傾斜が負となる磁場範囲を表す。「増加応答」は、磁気抵抗の、磁場に対するプロットの傾斜が正となる磁場範囲を表す。いくつかの実施形態によれば、第1範囲の磁場における磁場強度は、第2範囲の磁場のものよりも下範囲の磁場強度を含む。抵抗性応答が(減少応答から増加応答に又は増加応答から減少応答に)変わる磁場は、ここでは、スイッチング磁場BSwitchとして記載される。
磁力計は一以上のプロセッサ(図示せず)を含む。一以上のプロセッサの少なくとも一つは、磁気抵抗材料に適用された外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを決定するべく構成される。以下に記載の実施形態において、少なくとも一つのプロセッサは、外部磁場が下範囲の磁場gLにあるのか又は上範囲の磁場gUにあるのかを決定するべく構成される。さらに、一以上のプロセッサの少なくとも一つは、外部磁場を、磁気抵抗材料の当該外部磁場に対する抵抗性応答に少なくとも部分的に基づいて決定し、かつ、当該外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを決定するべく構成される。
プロセッサ(複数可)は、実行すべきアクションを特定する一組の命令を実行することができる任意の適切な演算デバイスである。用語「演算デバイス」は、磁気抵抗材料に適用された外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを決定するべく、並びに、外部磁場を、磁気抵抗材料の当該外部磁場の抵抗性応答に少なくとも部分的に基づいて決定し、及び当該外部磁場が当該第1範囲にあるのか又は当該第2範囲にあるのかを決定するべく、一組又は多数組の命令を個別に又は一緒に実行する複数デバイスの任意の集合を含む。
プロセッサは、一以上の組のコンピュータ実行可能命令及び/又はデータ構造が記憶された機械可読媒体を含み又は当該機械可読媒体とのインタフェイスを有する。命令は、外部磁場を決定する方法の一以上を実装する。命令はまた、実行中のプロセッサ内に完全に又は少なくとも部分的に存在する。その場合、プロセッサは、機械可読有体記憶媒体を含む。
コンピュータ可読媒体は、一例において、単数の媒体として記載される。この用語は、単数の又は複数の媒体を含む。用語「コンピュータ可読媒体」はまた、プロセッサによる実行を目的として一組の命令を記憶し、エンコードし、又は担持することができ、かつ、当該プロセッサに外部磁場を決定する方法を行わせる任意の媒体を含むとみなすべきである。コンピュータ可読媒体はまた、命令によって使用され又は当該命令に関連付けられるデータ構造を記憶し、エンコードし、又は担持することもできる。用語「機械可読媒体」は、固体メモリ、非一時的媒体、光媒体、磁気媒体及び搬送波信号を含む。
図1に示される実施形態によれば、磁力計は、薄膜102に近接して配置されて磁場スイッチとして作用する磁場センサ110を含む。磁場センサは、例えばホール効果センサである。ホール効果センサは、低コストなホール効果センサであってよい。少なくとも一つのプロセッサは、外部磁場が第1範囲にあるのか又は第2範囲にあるのかを決定するべく(図7に示される)、ホール効果センサ110と電気通信して当該ホール効果センサからの測定値を使用する。
図2に示される他実施形態において、磁力計200は磁場スイッチ210を含む。磁場スイッチ210は、磁気抵抗薄膜202と同じ基板208に配置される。図2に示される実施形態において、金属電極204は磁気抵抗材料を含む薄膜202上に位置決めされ、かつ、当該薄膜は半導体膜212上に位置決めされる。半導体膜212自体は、基板208上に位置決めされる。
図1を参照して記載される実施形態について、磁力計200の他の実施形態においては、当該磁力計は基板を含まない。
いくつかの実施形態において、プロセッサの少なくとも一つがスイッチング磁場を、磁気抵抗膜の非オーム特性から決定(図9に示される)し、又は小さなAC磁場を適用することにより決定(図12に示される)するべく構成される。これらの実施形態において、磁場スイッチ(図1及び2)は必要とされない。磁気抵抗材料に適用された外部磁場の極性を決定する必要がある場合、これは例えば、バイアスDC磁場を当該磁気抵抗材料に適用することによって決定することができる。
磁気抵抗材料
磁気抵抗材料は、適用される外部磁場に応答して測定可能な磁気抵抗特性を有する。用語「磁気抵抗特性」は、適用される外部磁場R(B)の関数である磁気抵抗を有する材料の特性を言及する。ここで、Bは、磁気抵抗材料に適用される外部磁場である。対応する磁気抵抗が、MR=[R(B)−R(0)]/R(0)として定義される。ここで、R(B)は、磁気抵抗材料の、磁場Bが当該材料に適用された場合の抵抗であり、R(0)は、当該材料に適用される磁場が存在しない場合の抵抗である。
図3は、2つの異なる電流(−0.07mA及び−1.5mA)における適用磁場に対する磁気抵抗材料の磁気抵抗応答の一例を示す。磁気抵抗材料の抵抗を決定するべく、磁気抵抗材料を通る電流が、電極配列体を使用して当該材料の両端間に電圧が測定できるように、適用される。これにより、磁気抵抗材料の抵抗を決定することができる。ここで使用されることだが、用語「磁気抵抗特性」、「磁気抵抗」及び「抵抗」は、磁気抵抗材料の抵抗を言及する。磁気抵抗測定は一般に、磁気抵抗材料に応じたマイクロテスラから数十テスラまでの範囲にある外部磁場の値を示す。磁気抵抗材料を含む薄膜の特性及び構造は、以下に詳述される。
磁気抵抗材料は、好ましくは以下を特徴とする。
・抵抗が最初は減少するがその後、増加磁場が適用されるにつれて増加する磁気抵抗挙動。
・大きな適用磁場がゼロまで低減される場合に、無視できる残留磁気が存在する超常磁性挙動。
・抵抗が最初は減少するがその後、増加磁場が適用されるにつれて増加する磁気抵抗挙動。
・大きな適用磁場がゼロまで低減される場合に、無視できる残留磁気が存在する超常磁性挙動。
図4を参照すると、電極配列体を使用して測定された磁気抵抗材料の両端間の電圧V1(B)が、当該磁気抵抗材料に適用される適用磁場Bの関数となる。V1(B)は、スイッチング磁場BSwitchまでは増加外部磁場Bに伴い最初は減少する。その後、V1(B)は増加磁場に伴い増加する。0T〜BSwitchの範囲の磁場が下範囲の磁場gLである一方、BSwitchから上の範囲の磁場が上範囲の磁場gUである。このように、一定範囲の磁場に対してV1(B)の測定値は、2つの可能な磁場に対応する。これは、図5に示されるように、BがBSwitchよりも大きいのか又は小さいのかによる。実際の磁場を、BがBSwitchよりも大きいのか又は小さいのかを決定することによって決定することができる。
高透磁率超常磁性磁気抵抗材料を含む磁力計は、ヒステリシスが無視できかつ残留磁化が無視できる。すなわち、当該磁力計は、破損すること又はGMR、AMR及びMTJセンサにとっては必要な消磁を要求することもなく、極めて高い磁場にさらすことができる。当該磁力計は、低磁場センシングを目的としたバイアス磁場を追加することなく動作することができる。これは、適用磁場の正確かつ再現可能な測定を目的としてバイアス磁場が要求されるGMR及びAMRセンサと対照的である。加えて、適用磁場のもとでの磁気抵抗の変化により、小磁場を測定するべく設計される場合のGMR、AMR及びMTJセンサによってはできない中程度の磁場から大きな磁場までの測定が可能となる。
一つの実施形態において、磁気抵抗材料は、大きな適用磁場がゼロまで低減される場合、無視できる残留磁気が存在する超常磁性挙動を示す。一つの実施形態において、磁気抵抗材料はナノ粒子を含み、当該材料は、負の磁気抵抗に対して、動作温度範囲にわたるナノ粒子間のスピントンネル効果に由来する電子スピン分極を示す。一つの実施形態において、磁気抵抗材料は、室温において強磁性挙動を示す鉄、ニッケル、コバルト、これらの合金及び酸化物、並びにこれらの混合物からなる群から選択されたナノ粒子を含む。一つの実施形態において、磁気抵抗材料は強磁性フェライトのナノ粒子を含む。一つの実施形態において、強磁性フェライトは、ZnFe2O4、BaFe12O9及びNi0.5Zn0.5Fe2O4からなる群から選択される。
他実施形態において、磁力計は、磁気抵抗材料を含む薄膜を含む。一つの実施形態において、ナノ粒子は、薄膜の基板の表面上で合成され又は当該表面内に埋め込まれる。一つの実施形態において、薄膜は二酸化ケイ素及び鉄のナノ粒子を含む。
いくつかの実施形態において、磁力計は追加的又は代替的に、磁気抵抗材料を含む薄膜、厚膜、バルクナノ複合材料、及び/又は圧縮粉末の積層を含む。
本発明のいくつかの実施形態において、磁気抵抗材料は、二酸化ケイ素(SiO2)基板における鉄(Fe)のイオン注入と引き続いての電子ビームアニーリングとにより合成される。これらの実施形態において、BSwitchは0.1〜2T、かつ、検出可能な磁場範囲は<100μΤ〜8Tである。好ましい実施形態において、BSwitchは0.8〜1.5T、かつ、検出可能な磁場範囲は20μΤ〜8Tである。
ある実施形態において、広ダイナミックレンジ磁気抵抗測定を可能とするべく、電極間のギャップlは、電極の寸法a×bよりもかなり小さい。一つの実施形態において、lは0.05〜0.2mmの範囲であり、a及びbは1〜4mmの範囲である。いくつかの実施形態において、薄膜は厚さ80〜500nmである。好ましい実施形態において、薄膜は厚さ400nmであり、ナノ構造領域は、当該表面上にかつ30nmまでの深さで存在する。
広ダイナミックレンジ磁力計の例
以下の記載により、図1に示される広ダイナミックレンジ磁力計の製作が説明される。
ケイ素基板上の10mm×10mmの二酸化ケイ素に均一に分散された鉄ナノクラスターを含む磁気材料が、イオン注入及び電子ビームアニーリングを使用して製作された。鉄原子は、15keVのエネルギー及び1×1016イオン/cm2のフルエンスによって注入され、それに引き続き1000℃において1時間の電子ビームアニーリングがされた。当該材料から8mm×4mmのサンプルが切り取られた。
2つの電気接点が、高真空蒸着を使用して当該材料の両端に厚さ2nmのチタン層を堆積し、それに引き続き厚さ20nmのアルニミウム層を堆積することによって製作された。電極の寸法はl=0.06mmかつa=b=4mmである。チタン層は、アルニミウムと磁気材料との接着及び電気接点を改善するべく使用された。磁気材料と接点との導電率を改善するべく、約300℃において30分間のアニーリングがされた。
様々な電流及び較正された精密な電磁石を備えた安定化電流発生器を有する市販の電子輸送測定ツールにおいて、トランスデューサが試験された。これは、異なる適用磁場を受けた。当該磁気材料は、広範囲の外部磁場(0T〜8T)にわたって大きな感度を示した。図3に示されるように、I=−1.5mAに対し、応答は2つの傾向を示した。一方は低磁場かつ約0.8Tまでであり、他方は約0.8T〜8Tを上回る高磁場であった。図3は、I=−1.5mAに対する磁気抵抗及びI=−0.07mAに対する磁気抵抗の非オーム性挙動を示す。
図2に表される一代替構成は、ナノ構造磁気抵抗薄膜202によって部分的に覆われたSi又はAsGaのような半導体基板208の使用を含む。ナノ構造薄膜は、当該表面上に磁気ナノ構造を形成するべく絶縁体を堆積し、それに引き続いてイオン注入及び電子ビームアニーリングをすることによって製作することができる。当該膜は、化学蒸着、プラズマ蒸着及びイオンビームスパッタ堆積のような標準的な堆積法を使用して、マスクを通して堆積することができる。裸の半導体は、ホール効果測定を目的として使用することができる。ファン・デル・ポー幾何学形状にある4つの金属接点210が、裸の半導体上に堆積され、かつ、2つがナノ構造薄膜上に堆積される。上述と同じ堆積法を使用することができる。励起電流が2つの対向接点(IH +,IH −)を通じて供給されて、(VH +,VH −)の両端間の電圧が測定された。不変励起電流において、ホール効果は、電圧線形性に外部適用磁場による変化を引き起こす。適用磁場のもとでの磁気抵抗薄膜の抵抗を測定するべく、2つの金属接点(204)が使用される。ギャップ及び膜の寸法は、図1に示される実施形態に対して上述されたものと同様である。
上述の代替構成によれば、磁場を、良好な程度の空間精度で決定することができる。
外部磁場の決定
ホール効果センサの使用
一つの実施形態において、磁力計は、2つの別個のセンサ(図1に示される)又は一体化センサ(図2に示される)を含む。当該センサは磁気抵抗材料及びホール効果センサを含む。薄膜電極に電流I1が適用され、電圧V1(B)が、電極配列体を使用して測定される。一つの実施形態において、ホール効果センサに電流IHが適用されて電圧VH(B)が測定される。外部磁場は、図6に示されるような適用磁場の線形関数であるホール効果センサからの電圧VH(B)を使用して決定することができる。低磁場gLに対しては、ホール効果センサは、適用磁場を正確に検出するのに十分な感度がない。VHがVH,Switchを超過する場合(図6参照)、V1(B)はV1(B)曲線からの上磁場gUに対応し、かつ、V1(B)がV1(B)曲線からの上磁場gUに対応する場合、VHはVH,Switchを超過する。ここで、上磁場Bは、同じ磁気抵抗測定値を与える2つの磁場強度の高い方である。
VH,Switchしきい値は、全範囲の磁場にわたって磁気抵抗応答を測定することにより決定することができる。VH,Switchは、図4に示されるV1の最初の較正測定によって決定することができる。当該較正測定からは、BSwitchも決定される。図6に示されるホール効果センサの較正データから、実験的に決定されたBSwitchを使用してVH,Switchを決定することができる。
図7に示されるのは、ホール効果センサを使用して外部磁場を決定するべく、プロセッサの少なくとも一つによって使用されるアルゴリズムを示すフローチャートである。少なくとも一つのプロセッサがV1>V0か否かを決定する第1ステップにより、V1(B)が単数の値(磁場が実質的に高い結果、電圧が下磁場範囲における値に対応しない場合の値)であるか否かが決定される。当該単数の値の場合、磁場Bは上範囲の磁場gU(V1)にある。V1(B)が単数の値でない場合、少なくとも一つのプロセッサは、ホール効果センサからの電圧VHをしきい値VH,Switchと対比することにより、外部磁場が下磁場範囲gL内にあるのか又は上磁場範囲gUにあるのかを決定するべく構成される。
磁気抵抗材料の非オーム特性の使用
一代替実施形態において、磁力計は、電極配列体を有する薄膜磁気抵抗材料を含むが、ホール効果センサを含まない。この場合、一以上のプロセッサの少なくとも一つは、磁気抵抗薄膜の非オーム特性を使用して磁場を決定するべく構成される。本実施形態において、電流I1に対して電圧V1が測定され、かつ、電流I2に対して電圧V2が測定される。これらの電圧は電極配列体を使用して測定される。スイッチング磁場は、当該膜の非オーム特性から決定することができる。図3に示されるように、磁気抵抗は、適用電流を使用して測定することができる。2つの異なる電流I1及びI2に対する結果的な磁気抵抗差が、I1=−1mA及びI2=0.5mAに対し、図8においてプロットされる。ΔMRSwitchは、B=BSwitchの場合の磁気抵抗である。これは、外部磁場Bの関数としてのΔMRの較正測定を使用して決定することができる。すなわち、ΔMRがΔMRSwitchを超過する場合(図8に示される)、V1(B)はV1(B)曲線から上のBに対応し、かつ、V1(B)がV1(B)曲線から上のBに対応する場合、ΔMRはΔMRSwitchを超過する。ΔMRは、以下の式を使用して測定電圧から容易に決定される。
ΔMR=V1(B)/V1(0)−V2(B)/V2(0)
ここで、V1及びV2は、電流I1及びI2それぞれに対する測定電圧である。V1(B)及びV2(B)は、外部磁場Bが磁気抵抗材料に適用された場合の測定電圧であり、V1(0)及びV2(0)は、外部磁場が磁気抵抗材料に適用されない場合の測定電圧である。
ΔMR=V1(B)/V1(0)−V2(B)/V2(0)
ここで、V1及びV2は、電流I1及びI2それぞれに対する測定電圧である。V1(B)及びV2(B)は、外部磁場Bが磁気抵抗材料に適用された場合の測定電圧であり、V1(0)及びV2(0)は、外部磁場が磁気抵抗材料に適用されない場合の測定電圧である。
図9は、図8に示されるような磁気抵抗材料の非オーム特性と2つの異なる電流における電圧とを使用して外部磁場を決定するプロセッサの少なくとも一つによって使用されるアルゴリズムのフローチャートを示す。少なくとも一つのプロセッサは、2つの電流における磁気抵抗差ΔMRをしきい値ΔMRSwitchと対比することにより、外部磁場が下磁場範囲gLにあるのか又は上磁場範囲gUにあるのかを決定するべく構成される。
分離AC磁場の使用
一代替実施形態において、磁力計は、磁気抵抗材料を含む薄膜を含むが、ホール効果センサを含まない。電圧V1(I)が、電流I1に対し、電極配列体を使用して測定される。磁力計は、小さなAC磁場Bmsin(2πft)を適用するべく構成された制御磁場源を含む。ここで、Bmは大きさ、fは周波数、及びtは時間である。Bmが小さい場合、磁場B0が適用されたときの結果的な検出電圧は、
となり、それゆえ検出AC電圧振幅は、
となる。
VACは図10に例示される。ここでは、BSwitchを、VAC(B0)=0となる磁場として定義することができる。図10の曲線は、現象論的フィッティング関数|V1|=M0exp(−B/T1)+a0+a1B+a2B2(図4において破線曲線として示される)を使用しての図4におけるデータへのフィッティングを微分することによって得られた。すなわち、VACがゼロを超過する場合、V1(B)はV1(B)曲線から上のBに対応し、かつ、V1(B)がV1(B)曲線から上のBに対応する場合、VACはゼロを超過する。AC信号は、例えば図11に示される低域通過フィルタを使用して除去することができる。この場合、DC信号のみが残る。他実施形態によれば、小さな適用AC信号を除去するべく帯域フィルタを使用することができる。fは、検出された磁場の既知の周波数範囲から外れるように選択することができる。DC磁場を測定するには、周波数fは、1Hzを超過、好ましくは25Hzを超過する必要がある。一つの実施形態において、周波数は約1MHz未満である。AC磁場を測定するには、周波数fは、約1Hz〜約1MHz、好ましくは約50Hz〜約500kHzとする必要がある。周波数fは理想的には、測定AC磁場周波数範囲から外れる必要があり、好ましくは当該測定周波数範囲の少なくとも約2倍である。例えば、ユーザが0〜1kHzの磁場を測定したい場合、周波数fは1kHzを超過し、好ましくは少なくとも約2kHzとする必要がある。
図12に示されるのは、図10における電圧データの微分を使用して外部磁場を決定するべく、プロセッサの少なくとも一つによって使用されるアルゴリズムのフローチャートである。少なくとも一つのプロセッサは、VACがゼロを超過するのか又はゼロ未満なのかを決定することにより、外部磁場が下磁場範囲gLにあるのか又は上磁場範囲gUにあるのかを決定するべく構成される。
磁力計のいくつかの実施形態は、当該磁力計に適用された外部磁場を決定するべく、ホール効果センサ、磁気抵抗材料の非オーム特性、及び分離AC磁場の2つ以上の組み合わせを使用する。
本発明の範囲を上述の例のみに限定することは意図されない。当業者にわかることだが、本発明の範囲を逸脱することのない多くのバリエーションが可能である。
一実施形態において、磁気抵抗材料は、半導体マトリクスに埋め込まれた電子スピン分極ナノ粒子及び非強磁性金属ナノ粒子を包含する複合材料である。電子スピン分極ナノ粒子間の、低磁場における負のスピン依存トンネル効果は、半導体マトリクス内の非強磁性金属ナノ粒子による正の幾何学的磁気抵抗と競合する。正味の結果は、低磁場に対する負の磁気抵抗、及び高磁場に対する磁場増加に伴い増加する磁気抵抗である。一実施形態において、電子スピン分極ナノ粒子は酸化鉄(II,III)(Fe3O4)である。一つの実施形態において、非強磁性金属ナノ粒子は銀(Ag)である。一実施形態において、半導体マトリクスは酸化アルニミウム(Al2O3)である。
Claims (36)
- 外部磁場を決定する磁力計であって、
磁気抵抗材料であって、前記外部磁場が前記磁気抵抗材料に適用された場合の抵抗性応答を有し、前記抵抗性応答は、第1範囲の増加外部磁場が適用された場合の減少応答と、第2範囲の増加外部磁場が適用された場合の増加応答とを含む磁気抵抗材料と、
前記磁気抵抗材料に結合された電極配列体であって、前記磁気抵抗材料に適用された前記外部磁場に対する前記磁気抵抗材料の抵抗性応答を測定する電極配列体と、
一以上のプロセッサであって、前記一以上のプロセッサの少なくとも一つが、前記磁気抵抗材料に適用された前記外部磁場が前記第1範囲にあるのか又は前記第2範囲にあるのかを決定するべく構成された一以上のプロセッサと
を含み、
前記一以上のプロセッサの少なくとも一つは、前記外部磁場を、前記磁気抵抗材料の前記外部磁場に対する前記抵抗性応答に少なくとも部分的に基づいて決定し、かつ、前記外部磁場が前記第1範囲にあるのか又は前記第2範囲にあるのかを決定するべく構成される磁力計。 - 前記磁気抵抗材料は、大きな適用磁場がゼロまで低減される場合において無視できる残留磁気が存在する超常磁性挙動を示す請求項1の磁力計。
- 前記磁気抵抗材料はナノ粒子を含み、
前記材料は、負の磁気抵抗に対し、一定範囲の動作温度にわたるナノ粒子間のスピントンネル効果に由来する電子スピン分極を示す請求項1又は2の磁力計。 - 前記磁気抵抗材料は、室温において強磁性挙動を示す鉄、ニッケル、コバルト、これらの合金及び酸化物、並びにこれらの混合物からなる群から選択されたナノ粒子を含む請求項3の磁力計。
- 前記磁気抵抗材料は強磁性フェライトのナノ粒子を含む請求項3の磁力計。
- 前記強磁性フェライトは、ZnFe2O4、BaFe12O9及びNi0.5Zn0.5Fe2O4からなる群から選択される請求項5の磁力計。
- 前記ナノ粒子は酸化鉄(II,III)(Fe3O4)である請求項3又は4の磁力計。
- 前記磁気抵抗材料は、半導体マトリクスに埋め込まれたナノ粒子及び非金属ナノ粒子を含む複合材料である請求項3から7のいずれか一項の磁力計。
- 前記非金属ナノ粒子は銀(Ag)である請求項8の磁力計。
- 前記半導体マトリクスは酸化アルニミウム(Al2O3)である請求項8又は9の磁力計。
- 前記ナノ粒子は、膜の基板の表面上に合成されるか又は前記表面に埋め込まれる請求項3から7のいずれか一項の磁力計。
- 前記膜は二酸化ケイ素(SiO2)基板及び鉄(Fe)ナノ粒子を含む請求項11の磁力計。
- 前記磁気抵抗材料は、イオン注入及び電子ビームアニーリングによって作られた二酸化ケイ素上の表面鉄ナノクラスターを包含する請求項12の磁力計。
- 前記磁気抵抗材料を含む薄膜、厚膜、バルクナノ複合材料、及び/又は圧縮粉末の積層を含む請求項1又は2の磁力計。
- 前記電極配列体は2つの電極を含む請求項1から14のいずれか一項の磁力計。
- 前記電極配列体は4つの電極を含む請求項1から15のいずれか一項の磁力計。
- 前記一以上のプロセッサの少なくとも一つと電気通信するホール効果センサを含む請求項1から16のいずれか一項の磁力計。
- 前記ホール効果センサは、前記磁気抵抗材料から物理的に分離される請求項17の磁力計。
- 前記ホール効果センサは前記磁気抵抗材料と一体化される請求項17の磁力計。
- 前記ホール効果センサは、前記磁気抵抗材料に適用された前記外部磁場に応答して電圧を生成するべく構成される請求項17から19のいずれか一項の磁力計。
- 前記少なくとも一つのプロセッサは、前記ホール効果センサが生成した電圧がしきい値未満の場合に前記外部磁場が前記第1範囲にあると決定し、かつ、前記ホール効果センサが生成した電圧がしきい値を超過する場合に前記外部磁場が前記第2範囲にあると決定するべく構成される請求項18から21のいずれか一項の磁力計。
- 前記少なくとも一つのプロセッサは、前記ホール効果センサが生成した電圧がしきい値未満の場合に前記外部磁場が前記第2範囲にあると決定し、かつ、前記ホール効果センサが生成した電圧がしきい値を超過する場合に前記外部磁場が前記第1範囲にあると決定するべく構成される請求項18から21のいずれか一項の磁力計。
- 前記磁気抵抗材料は非オーム特性を有し、
前記一以上のプロセッサの少なくとも一つのプロセッサは、前記磁気抵抗材料から非オーム性信号を決定し、
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記非オーム性信号を使用して、前記磁気抵抗材料に適用された前記外部磁場が前記第1範囲にあるのか又は前記第2範囲にあるのかを決定するべく構成される請求項1から22のいずれか一項の磁力計。 - 前記少なくとも一つのプロセッサは、2つの異なる電流おける前記磁気抵抗材料の両端間の電圧差に少なくとも部分的に基づいて前記外部磁場を決定するべく構成される請求項1から24のいずれか一項の磁力計。
- 前記少なくとも一つのプロセッサは、前記磁気抵抗材料に適用された、AC電圧をもたらすAC電流成分に少なくとも部分的に基づいて前記外部磁場を決定するべく構成される請求項1から25のいずれか一項の磁力計。
- 第1電圧V1が、前記電極配列体を使用して第1電流I1に対して測定され、
第2電圧V2が、前記電極配列体を使用して第2電流I2に対して測定される請求項1から26のいずれか一項の磁力計。 - 前記少なくとも一つのプロセッサは、前記第1電流及び前記第2電流が適用された場合の磁気抵抗差ΔMRを、以下の式
ΔMR=V1(B)/V1(0)−V2(B)/V2(0)
を使用して計算するべく構成され、
ここで、V1及びV2は、電流I1及びI2それぞれに対する測定電圧であり、V1(B)及びV2(B)は、前記外部磁場Bが前記磁気抵抗材料に適用された場合の測定電圧であり、並びに、V1(0)及びV2(0)は、外部磁場が前記磁気抵抗材料に適用されない場合の測定電圧である請求項27のいずれか一項の磁力計。 - 前記磁気抵抗差ΔMRがしきい値ΔMRSwitchを超過する場合に前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外部磁場が前記第2範囲の磁場にあると決定するべく構成され、
前記磁気抵抗差ΔMRがしきい値ΔMRSwitch以下の場合に前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外部磁場が前記第1範囲の磁場にあると決定するべく構成される請求項28の磁力計。 - 前記磁気抵抗差ΔMRがしきい値ΔMRSwitchを超過する場合に前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外部磁場が前記第1範囲の磁場にあると決定するべく構成され、
前記磁気抵抗ΔMRがしきい値ΔMRSwitch以下の場合に前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外部磁場が前記第2範囲の磁場にあると決定するべく構成される請求項28の磁力計。 - 制御磁気源が前記磁気抵抗材料に対し、前記外部磁場と相互作用をして前記磁気抵抗材料の両端間にAC成分を有する結果的な電圧がもたらされるように、第1周波数のAC磁場を適用するべく適合され、
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記磁気抵抗材料に適用された前記外部磁場が前記第1範囲にあるのか又は前記第2範囲にあるのかを前記AC成分に基づいて決定するべく構成される請求項1から30のいずれか一項の磁力計。 - 前記第1周波数は、前記第1周波数が、決定対象の前記外部磁場の周波数範囲とは異なるように選択される請求項31の磁力計。
- 前記第1周波数を有する電圧成分を前記AC成分から除去するべく構成された周波数フィルタを含む請求項31又は32の磁力計。
- 前記周波数フィルタは低域通過フィルタ又は帯域フィルタである請求項33の磁力計。
- 前記少なくとも一つのプロセッサは、前記AC成分がしきい値を超過する場合に前記外部磁場が前記第1範囲の磁場にあると決定し、かつ、前記AC成分がしきい値未満の場合に前記外部磁場が前記第2範囲の磁場にあると決定するべく構成される請求項31から35のいずれか一項の磁力計。
- 前記少なくとも一つのプロセッサは、前記AC成分がしきい値を超過する場合に前記外部磁場が前記第2範囲の磁場にあると決定し、かつ、前記AC成分がしきい値未満の場合に前記外部磁場が前記第1範囲の磁場にあると決定するべく構成される請求項31から35のいずれか一項の磁力計。
- 第1周波数は、前記外部磁場の測定周波数範囲の値の少なくとも約2倍である請求項31から37のいずれか一項の磁力計。
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