JP2016501887A - ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物およびその製造プロセス、並びにリポソーム製剤 - Google Patents

ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物およびその製造プロセス、並びにリポソーム製剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2016501887A
JP2016501887A JP2015546152A JP2015546152A JP2016501887A JP 2016501887 A JP2016501887 A JP 2016501887A JP 2015546152 A JP2015546152 A JP 2015546152A JP 2015546152 A JP2015546152 A JP 2015546152A JP 2016501887 A JP2016501887 A JP 2016501887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
cationic amphiphilic
histidine
amphiphilic compound
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015546152A
Other languages
English (en)
Inventor
ガル、アラップ
モーク、ゴーピクリシュナ
アガワネ、サチュン、バード
チョードゥリ、アラビンダ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Council of Scientific and Industrial Research CSIR
Original Assignee
Council of Scientific and Industrial Research CSIR
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Council of Scientific and Industrial Research CSIR filed Critical Council of Scientific and Industrial Research CSIR
Publication of JP2016501887A publication Critical patent/JP2016501887A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D233/00Heterocyclic compounds containing 1,3-diazole or hydrogenated 1,3-diazole rings, not condensed with other rings
    • C07D233/54Heterocyclic compounds containing 1,3-diazole or hydrogenated 1,3-diazole rings, not condensed with other rings having two double bonds between ring members or between ring members and non-ring members
    • C07D233/64Heterocyclic compounds containing 1,3-diazole or hydrogenated 1,3-diazole rings, not condensed with other rings having two double bonds between ring members or between ring members and non-ring members with substituted hydrocarbon radicals attached to ring carbon atoms, e.g. histidine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/41Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with two or more ring hetero atoms, at least one of which being nitrogen, e.g. tetrazole
    • A61K31/41641,3-Diazoles
    • A61K31/4172Imidazole-alkanecarboxylic acids, e.g. histidine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C227/00Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton
    • C07C227/14Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton from compounds containing already amino and carboxyl groups or derivatives thereof
    • C07C227/18Preparation of compounds containing amino and carboxyl groups bound to the same carbon skeleton from compounds containing already amino and carboxyl groups or derivatives thereof by reactions involving amino or carboxyl groups, e.g. hydrolysis of esters or amides, by formation of halides, salts or esters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C269/00Preparation of derivatives of carbamic acid, i.e. compounds containing any of the groups, the nitrogen atom not being part of nitro or nitroso groups
    • C07C269/06Preparation of derivatives of carbamic acid, i.e. compounds containing any of the groups, the nitrogen atom not being part of nitro or nitroso groups by reactions not involving the formation of carbamate groups

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

様々なタイプの腫瘍に対抗しうる新規な抗ガン試薬が、多くの製薬リーディングカンパニーにおいて研究され続けている。この目的のため、本発明は、式1のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物の新規な系列を作製するプロセスを開示する。また、ここで記載される発見によると、本発明の化合物は、抗ガン活性など増殖抑制作用を有しており、様々なタイプのガンに効き、有用であるということが表れている。ここで開示されるカチオン性両親媒性化合物の薬剤活性組成物は、BaxおよびBcl−2の仲介するシグナル伝達経路を通して、細胞自然死を促進させる。ここに開示される本発明の、ヒスチジン頭部基をもつカチオン性両親媒性化合物は、将来、抗ガン治療の分野に適用できるであろう。

Description

本発明は、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物に関する。また、本発明は、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物の新系列を作製する方法に関する。本発明によれば、抗ガン活性を有する前記カチオン性両親媒性化合物を含む新規な化合物が提供される。また、本発明は、カチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤に関する。リポソーム製剤は、増殖抑制作用を示し、人間や動物の体内のガン治療に有用である。カチオン性両親媒性化合物は、アポトーシスのシグナル伝達経路を通ってアポトーシス(細胞自然死)を促進させる。医療科学分野は、ガン治療において、本発明から多くの恩恵を得られやすい。
ガンは、細胞成長を制御できないことに起因する、おそろしい病気である。ガン細胞の際立った特徴としては、外部的拡大を誘導するシグナルの助けなしに成長できる点にある。ガン細胞は、周囲の細胞や細胞外基質に緩く付着しやすく、一般に、普通の細胞よりも早く分裂する。既存の血管から新しい血管が形成される血管新生は、主に、胚発生、傷の治癒、繁殖周期、血管腫、糖尿病性網膜症、加齢による筋力低下、乾癬、歯肉炎、リウマチ性関節炎、固形腫瘍成長の間に起こる(Carmeliet, P.など、Nature 2000, 14, 6801)。腫瘍細胞は、1〜2mmのサイズを超えて成長すると、成長する腫瘍細胞に向けて副管を形成するよう、近くの血管に対して順々に命令する酵素および成長シグナル(サイトカイン)を分泌する(Folkman, J.など Science 1987, 235, 442-447; Folkman, J.など Science 1989, 243, 1490-1493)。このように新しく形成された腫瘍血管系(ナノ血管系)は、成長する腫瘍細胞への食糧や栄養の供給を確保する。このため、抗血管形成のガン治療では、成長する腫瘍に対抗することが見込みの高いアプローチとなる。
イミダゾール官能性を有する両親媒性物質は、従来、特に、非ウイルス性の遺伝子導入の分野において生物工学的にうまく適用できることが確認されている。
例えば、エンドソーム内で、加水分解による消化から遺伝物質を守ることを目的として、Wolffと彼の協力者は、弱塩基性であってリソソーム属のイミダゾール頭部基を含む、
pH感応がよいカチオン性のトランスフェクション脂質を、先駆けて設計した(Nature Biotechnol, 1996, 14, 760-764)。
カチオン性ポリマを介する遺伝子導入の分野では、Midouxとその協力者が、カチオン性ポリマの分子構造中に、エンドソームを破壊する多重のヒスチジン官能性を、共有結合的にグラフト反応させることで、トランスフェクションの効率を大幅に向上させた(Adv Drug Deliv Rev 2001; 53: 75-94)。
従来から、1つのヒスチジン官能性を頭部基の付近に共有結合的にグラフト反応させると、カチオン性両親媒性化合物を、高効率で遺伝子導入できるようにすることが明らかとなっており、これは、生体膜融合が高まることに起因するものと推測される(Kumar, V.
等 Gene. Ther. 2003, 10, 1206-1215; Karmali, P.P.等 Bioconjugate Chemistry 2006,
17, 159-171)。
しかしながら、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を抗ガン化合物として用いることについては、これまで報告されていない。本発明は、アスパラギン酸およびグルタミン酸をベースとする、ヒスチジン官能性を有する新規なカチオン性両親媒性化合物を合成する方法と、新規な抗ガン化合物としての治療可能性を明らかにする。また、本発明は、ヒスチジン官能性を有する新規なカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤について、マウスモデルの腫瘍内での腫瘍成長を抑制する特性を明らかにする。
本発明の主な目的は、式1に示すヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を提供することである。
(式1)

本発明の他の目的は、式1に示すヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物の新系列を作製する方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、前記カチオン性両親媒性化合物を含み、抗ガン活性を有する新規な化合物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、増殖抑制作用を示し、ガン治療に有用な、カチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、商業的に入手可能な類似の疎水性の抗ガン剤のリポソーム製剤よりも、ガン細胞に対する細胞毒性がよい化合物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、アポトーシスのシグナル伝達経路を通って、細胞自然死を促進させるカチオン性両親媒性化合物を提供することである。
本発明によれば、式1に示す、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物が提供される。
(式1)

式中、RおよびRは、それぞれ独立してH(hydrogen)または親油性部分であって、同時にH(hydrogen)ではなく、Xは、Cl(chlorine)またはBr(bromine)であ
り、nは、炭素数1〜2であり、前記親油性部分が、C8−24のアルキル基、モノ不飽和、ジ不飽和およびトリ不飽和のアルケニル基からなる群から選択される。
本発明の他の態様によれば、前記化合物は、式Aおよび式Bの化合物からなる群から選択される。
式中、RおよびRは、それぞれ独立してH(hydrogen)または親油性部分であって、同時にH(hydrogen)ではなく、Xは、Cl(chlorine)またはBr(bromine)であ
り、前記親油性部分が、C8−24のアルキル基、モノ不飽和、ジ不飽和、およびトリ不飽和のアルケニル基からなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記化合物が、
(i):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,4−ビス(ヘキサデシルオキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(HD16)、
(ii):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,4−ビス(オクタデシルオキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(HD18)、
(iii):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,5−ビス(ヘキサデシル
オキシ)−1,5−ジオキソペンタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(HE16)、および
(iv):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,5−ビス(オクタデシルオキシ)−1,5−ジオキソペンタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(HE18)
からなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記化合物が、細胞自然死を引き起こして、腫瘍血管内皮細胞および腫瘍細胞の両方での血管新生を抑制する。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記化合物が、濃度10〜17マイクロモルの範囲で、ガン細胞に細胞毒性効果を発現する。
本発明のさらに他の態様によれば、
細胞生存経路上のbCL−2およびNF−kBを抑制する化合物が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、1回あたり、3.0〜3.5mg/kgの投薬で、腫瘍の成長を70〜90%抑制する化合物が提供される。
本発明によれば、式1に示す化合物の作製プロセスであって、
(a)極性非プロトン性溶媒中で、カップリング剤およびラセミ化抑制剤の存在下で、脂肪族アルコールにN Boc保護誘導体を連結させた後、精製することにより、式2に示す化合物を得る工程、
(式2)

(b)工程(a)で得られた前記式2の化合物を、脱保護剤としてTFA(トリフルオロ酢酸)を用いて脱保護させ、ろ過することにより、式3に示す化合物を得る工程、
(式3)

(c)極性非プロトン性溶媒中で、カップリング剤およびラセミ化抑制剤の存在下で、式3の化合物にN Boc保護ヒスチジンを添加した後、精製することにより、式4に示される化合物を得る工程、
(式4)

(d)極性非プロトン性溶媒および脱保護剤としてのTFAの存在下で、工程(c)で得られた前記式4の化合物を反応させた後、イオン交換クロマトグラフィにより、一般式1に示す化合物を得る工程、を有する化合物の作製プロセスが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記脂肪族アルコールが、炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和のアルコールからなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記極性非プロトン性溶媒がジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンおよびトリエチルアミンからなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記カップリング剤が、EDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、およびDCC(13−ジシクロヘキシルカルボジイミド)からなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記ラセミ化抑制剤が、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)およびHOAt(1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール)からなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
式1に示すヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物、混合脂質およびポリアニオン性化合物、任意で、生理学的に許容できる添加剤を含む、リポソーム製剤が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記カチオン性両親媒性化合物が、単独、もしくはヘルパー脂質との組み合わせである。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記混合脂質が、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルホスホコリン、ホスファチジルグリセロール、コレステロール、1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、および1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホコリン(DOPC)からなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記ヘルパー脂質が、N,N−ジ−n−ヘキサデシル−N−[2−グアニジニル]エチル−N−メチルアンモニウムクロリド(Q16TG)である。
本発明のさらに他の態様によれば、
カチオン性両親媒性化合物と混合脂質とヘルパー脂質とのモル比率が、1:1:1〜3:2:1である。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記ポリアニオン性化合物が、アニオン性の合成リン脂質である。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記生理学的に許容できる添加剤が、生理食塩水および5%グルコース溶液からなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記製剤が、濃度が2〜30マイクロモルであるときに細胞傷害性を示す。
本発明によれば、
(a)メタノールおよびクロロホルムの混合物に、カチオン性両親媒性化合物、混合脂質およびヘルパー脂質をモル比率1:1:1〜3:2:1の範囲で溶解し、水分フリーな窒素ガスを少なく流しながら、前記溶媒を揮発させることにより、脂質膜を得る、
(b)工程(a)で得られた前記脂質膜を高真空で乾燥させる工程と、
(c)乾燥した前記脂質膜を滅菌脱イオン水に水和させる工程と、
(d)前記工程(c)で得られた混合物を撹拌して脂質膜の付着物を取り除き、撹拌した混合物を、超音波洗浄機を用いて室温で超音波洗浄して多重膜小胞(MLVs)を作製し、得られたMLVsをTiの超音波プローブで超音波洗浄して、純粋で半透明な単層小胞(SUVs)を作製する工程と、を有する、リポソーム製剤の作製方法が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記混合脂質が、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルホスホコリン、ホ
スファチジルグリセロール、コレステロール、1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、および1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホコリン(DOPC)からなる群から選択される。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記ヘルパー脂質が、N,N−ジ−n−ヘキサデシル−N−[2−グアニジニル]エチル−N−メチルアンモニウムクロリド(Q16TG)である。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記工程(a)で用いるクロロホルムおよびメタノールの比率が、1:1〜4:1の範囲内である。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記脂質膜の乾燥を6〜8時間、行う。
本発明のさらに他の態様によれば、
前記脂質膜の水和を、少なくとも12時間行う。
〔図面の簡単な説明〕
〔スキーム1〕アスパラギン酸系の、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するための合成法の略図である。
〔スキーム2〕グルタミン酸系の、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するための合成法の略図である。
ヘルパー脂質であるN,N−ジ−n−ヘキサデシル−N−[2−グアニジニル]エチル−N−メチルアンモニウムクロリド(Q16TG)の構造を示す図である。 脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびデキサメタゾン(DX)を、1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)および1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホコリン(DOPC)などの混合脂質や、Q16TGなどのヘルパー脂質と併用したときの、B16F10細胞(マウスメラノーマ腫瘍細胞)に対する細胞毒性効果であって、MTT試験にて濃度を16〜40μmol/mLとしたときをまとめたものである。細胞中の脂質がなくなるまでホルマザンを減少させたときの吸収量が100であった。(A)は、治療の24時間後の試験であり、(B)は、治療の48時間後の試験である。 脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXiを、DOPCなどの混合脂質やQ16TGなどのヘルパー脂質と併用したときの、A549細胞(ヒト肺ガン細胞)に対する細胞毒性効果であって、MTT試験にて濃度を16〜40μmol/mLとしたときをまとめたものである。細胞中の脂質がなくなるまでホルマザンを減少させたときの吸収量が100であった。(A)は、治療の24時間後の試験であり、(B)は、治療の48時間後の試験である。 脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXを、混合脂質であるDOPCやヘルパー脂質であるQ16TGと併用したときの、MCF 7細胞(マウス乳がん細胞)に対する細胞毒性効果であって、MTT試験にて濃度を16〜40μmol/mLとしたときをまとめたものである。細胞中の脂質がなくなるまでホルマザンを減少させたときの吸収量が100であった。(A)は、治療の24時間後の試験であり、(B)は、治療の48時間後の試験である。 脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXを、混合脂質であるDOPCやヘルパー脂質であるQ16TGと併用したときの、CHO細胞(チャイニーズハムスターの卵巣細胞ガン)に対する細胞毒性効果であって、MTT試験にて濃度を16〜40μmol/mLとしたときをまとめたものである。細胞中の脂質がなくなるまでホルマザンを減少させたときの吸収量が100であった。(A)は、治療の24時間後の試験であり、(B)は、治療の48時間後の試験である。 脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXを、混合脂質であるDOPCやヘルパー脂質であるQ16TGと併用したときの、C−26細胞(マウス結腸ガン細胞)に対する細胞毒性効果であって、MTT試験にて濃度を16〜40μmol/mLとしたときをまとめたものである。細胞中の脂質がなくなるまでホルマザンを減少させたときの吸収量が100であった。(A)は、治療の24時間後の試験であり、(B)は、治療の48時間後の試験である。 脂質1、2、3、4HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXを、混合脂質であるDOPCやヘルパー脂質であるQ16TGと併用したときの、非ガン性で健康的なマウスマクロファージ細胞(Raw264.7細胞)に対する細胞毒性効果であって、MTT試験にて濃度を16〜40μmol/mLとしたときをまとめたものである。細胞中の脂質がなくなるまでホルマザンを減少させたときの吸収量が100であった。(A)は、治療の24時間後の試験であり、(B)は、治療の48時間後の試験である。 脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXを、混合脂質であるDOPCやヘルパー脂質であるQ16TGと併用したときの、健康的な非ガン性COS−1細胞に対する細胞毒性効果であって、MTT試験にて濃度を16〜40μmol/mLとしたときをまとめたものである。細胞中の脂質がなくなるまでホルマザンを減少させたときの吸収量が100であった。(A)は、治療の24時間後の試験であり、(B)は、治療の48時間後の試験である。 ヒスチジン官能性を有する脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXの、B16F10細胞に対するアポトーシス誘導性を示す。ヒスチジン官能性を有する脂質で治療されたB16F10細胞において、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)およびPE(フィコエリトリン)の両方のシグナルが著しく増加することから、これら脂質の24時間後のアポトーシス誘導性が確認できる。フローサイトメトリーの4分割(FITCvsPE)において、左下(LL)の区画は、正常細胞を示しており、右下(LR)の区画は、早くに細胞自然死した細胞を示しており、FITCシグナルのみが増加している。一方、右上(UR)の区画は、遅くに細胞自然死した細胞を示しており、FITCおよびPEのシグナルが増加し、左上(UL)の区画は、壊死細胞を示しており、PEシグナルのみが増加している。ヒスチジン官能性を有する脂質で治療された細胞では、未治療の細胞と比べて、UR、ULおよびLRへのシフトが、2倍であり、顕著であることから、これら4つの脂質がアポトーシス誘導性をもつことが確認できる。 ヒスチジン官能性を有する脂質HD−16、HD−18、HE−16、HE−18およびDXの、A549ガン細胞に対するアポトーシス誘導性を示す。ヒスチジン官能性を有する脂質で治療されたA549細胞において、FITCおよびPEの両方のシグナルが著しく増加することから、これら脂質の24時間後のアポトーシス誘導性が確認できる。フローサイトメトリーの4分割(FITCvsPE)において、左下(LL)の区画は、正常細胞を示しており、右下(LR)の区画は、早くに細胞自然死した細胞を示しており、FITCシグナルのみが増加している。一方、右上(UR)の区画は、遅くに細胞自然死した細胞を示しており、FITCおよびPEのシグナルが増加し、左上(UL)の区画は、壊死細胞を示しており、PEシグナルのみが増加している。ヒスチジン官能性を有する脂質で治療されたA549細胞では、未治療の細胞と比べて、UR、ULおよびLRへのシフトが2倍であり、顕著であることから、これら4つの脂質がアポトーシス誘導性をもつことが確認できる。 ヒスチジン官能性を有する脂質でA549細胞を24時間治療した後の、(BAX、BAK、Caspase3および9)と抗アポトーシス遺伝子(Bcl−2、Bcl−xLおよびNF−kB)の逆転写PCR分析を示す。A549細胞は、ヒスチジン官能性を有する脂質のリポソームを混合脂質であるDOPCおよびヘルパー脂質であるQ16TGと併用し、濃度25μM/mlで治療した。4時間後、媒体を廃棄し、ウシ胎仔血清を10%含むDMEM媒体(シグマ)3mlを、それぞれに添加して24時間放置した。24時間後、すべての細胞からmRNAを採取して、cDNAは、逆転写反応により合成してポリメラーゼ連鎖反応により増幅させ、最後に2%のアガロースゲルに溶解させた。 ヒスチジン官能性を有する脂質HD−16(1)、HD−18(2)、HE−16(3)、HE−18(4)およびデキサメタゾン(Dx)のそれぞれの腫瘍成長阻害性を示す。生後6〜8週で、悪性のメラノーマ腫瘍をもつ、メスのC57BL/6マウス(0日目に、〜1×10のB16F10細胞を含む100μLのハンクス緩衝塩溶液(HBSS)を左の脇腹に皮下注射することにより作製)の複数(それぞれ体重が20〜22g)を無作為に6つのグループに分類し、各グループ(n=5)に、カチオン性リポソームHD−16(薄緑)、HE−16(深緑)、HD−18(黒)、HE−18(水色)、デキサメタゾン(赤)の、Q16TGおよびDOPCのみのリポソーム製剤(対照、濃紺)を、14日目、16日目、18日目、21日目および24日目に皮下注射した。腫瘍体積(垂直に測った腫瘍の長さの最大値をa、最小値をbとしたとき、V=1/2.ab)を、ノギスにより、23日間にわたって測定した。結果を、+/−SD(nが5つの腫瘍)で表わしている(P<0.01vsHD16、および、**P<0.005vs対照)。Bは、27日目に摘出したメラノーマ腫瘍のサンプルであり、Iは賦形剤のみで治療した腫瘍、IIはデキサメタゾンのみで治療した腫瘍、IIIはHE−18で治療した腫瘍、IVはHD−18で治療した腫瘍、VはHD−16で治療した腫瘍、VIはHE−16で治療した腫瘍である。 腫瘍血管内皮細胞および腫瘍細胞の両方に細胞自然死をもたらす、ヒスチジン官能性を有する脂質の腫瘍成長阻害性を示す。メスのC57BL/6Jマウスは、皮下に、B16F10メラノーマ細胞(1.5×10の細胞)が注入されており、その腫瘍は〜2000mmまで成長した。マウスには、カチオン性リポソームHD−16、HE−16、そして、Q16TGおよびDOPCのみのリポソーム製剤(対照)を、3日間連続して皮下注射した。マウスは注射の24時間後には死亡した。その腫瘍を摘出し、凍結切片し、固定させた。固定させた凍結部分を、アポトーシス細胞を標識するための、TUNEL(アポトーシスの生成に広く利用される、末端デオキシウリジン三リン酸のニック末端標識)試験用キットを用いて処理した(左から2番目の区画、緑)。その後、同一の腫瘍の凍結切片を、腫瘍血管内皮細胞を標識する、モノクローナル抗体VE−カドヘリンを用いて免疫染色した(左から3番目の区画、赤)。4番目の区画(左から)は、重畳イメージ(黄色)を示す。染色された腫瘍のスライドは、緑および赤のフィルターを用いて蛍光顕微鏡(10倍率)で同じ箇所を観察された。左から1番目の区画は、明視野(Bar=2.0μm)で観察したときの組織構造を、2つのイメージ(24時間および72時間)で示している。
本発明によれば、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物の新規な系列が開示される。また、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセス、より具体的には、アスパラギン酸およびグルタミン酸をベースとする、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセスに関する。本発明の化合物は、抗ガン活性のような増殖抑制作用を示し、人間や動物の体内の様々なガン治療に有用である。ここで開示される、新規な、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物の薬剤活性組成物は、アポトーシスのシグナル伝達経路を通って、ガン細胞の細胞自然死(プログラム細胞死)を促す。
本発明の一実施態様は、式1に示す、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物である。
(式1)

式中、RおよびRは、それぞれ独立してH(hydrogen)または親油性部分であって、同時にH(hydrogen)ではなく、Xは、Cl(chlorine)またはBr(bromine)であ
り、nは、炭素数1〜2であり、前記親油性部分が、C8−24のアルキル基、モノ不飽和、ジ不飽和およびトリ不飽和のアルケニル基からなる群から選択される。
本発明の第2実施形態によれば、開示したヒスチジン頭部基をもつカチオン性脂質は、構造1で示され、RおよびRがn−ヘキサデシルであり、Xが塩素イオンである。
本発明の他の実施形態によれば、開示したヒスチジン官能性を有するカチオン性脂質は、構造2で示され、RおよびRがn−オクタデシルであり、Xが塩素イオンである。
本発明のさらに他の実施形態によれば、グルタミン酸をベースとするヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物は、構造3で示され、RおよびRがn−ヘキサデシルであり、Xが塩素イオンである。
本発明のさらに他の実施形態によれば、グルタミン酸をベースとする、ヒスチジン頭部基をもつカチオン性両親媒性化合物は、構造4で示され、RおよびRがn−オクタデシルであり、Xが塩素イオンである。

本発明のさらに他の実施形態によれば、構造AにおけるRおよびRは、同時に水素でなければ、それぞれ独立して水素もしくは脂肪族炭化水素鎖である。
本発明のさらに他の実施形態によれば、構造AにおけるRおよびRの基は、それぞれ独立してC8−24のアルキル基、モノ−、ジ−またはトリ−の不飽和アルケニル基である。
本発明のさらに他の実施形態によれば、構造AにおけるRおよびRは、同じであり、C8−24のモノ不飽和アルケニル基である。
本発明のさらに他の実施形態によれば、構造AにおけるXは、ハロゲン基から選択される。
本発明のさらに他の実施形態によれば、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物は、ヘルパー脂質と併用する。
本発明の他の観点によれば、混合脂質は、ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルグリセロールからなる群から選択される。
本発明のさらに他の実施形態によれば、製剤の混合脂質は、ステロール群、中性のホスファチジルエタノールアミン、中性のホスファチジルコリンからなる群から選択される。
本発明のさらに他の実施形態によれば、混合脂質は、好ましくは、1,2−syn−ジ
オレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、および1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホコリン(DOPC)からなる群から選択される。
本発明の他の特徴によれば、用いる混合脂質がDOPCであり、ヘルパー脂質がN,N−ジ−n−ヘキサデシル−N−[2−グアニジニル]エチル−N−メチルアンモニウムクロリド(Q16TG)である。
本発明の他の観点によれば、リポソーム製剤、カチオン性脂質と混合脂質とのモル比率が、1:1:1〜3:1:1である。
本発明のさらに他の実施形態によれば、カチオン性両親媒性化合物、混合脂質およびヘルパー脂質のモル比率が、好ましくは1:1:1である。
本発明のさらに他の観点によれば、化合物は、カチオン性両親媒性化合物の量が濃度2〜30マイクロモルであるときに、細胞傷害性を示す。
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記リポソーム製剤は、皮膚、皮下、皮内、鼻、静脈、筋肉内、腹腔内、もしくは肺の経路を介して投与される。
本発明の重要な観点によれば、前記化合物は、肺ガン、メラノーマ、乳ガン、結腸もしくは卵巣ガンなどの様々なガンの治療に有用である。
本発明のさらなる観点によれば、ヒスチジン官能性を有する脂質の前記リポソーム製剤は、マウスおよびヒトの両方のガン細胞株を細胞自然死に誘導する。
本発明のさらに他の特徴によれば、化合物は、BCL−2(B−細胞リンパ腫2)阻害およびBAX(BCL−2結合Xタンパク質)活性のシグナル伝達経路により、細胞自然死を促進させる。
本発明のさらに他の実施形態によれば、化合物は、システイン依存性でアスパラギン酸塩指向のプロテアーゼ3(カスパーゼ3)およびシステイン依存性でアスパラギン酸塩指向のプロテアーゼ9(カスパーゼ9)のシグナル伝達経路までを調整することにより、細胞自然死を促進させる。
本発明の他の特徴によれば、化合物は、生存促進性の核内因子κβ(NF−kB)のシグナル伝達を阻害することにより、細胞自然死を促進させる。
本発明の他の重要な観点によれば、前記脂質は、皮膚、皮下、皮内、静脈、筋肉内、腹腔内から動物の体内に投与することにより、腫瘍成長を抑制することができる。
本発明の他の実施形態によれば、ヒスチジン官能性を有する脂質は、腫瘍微小環境にある腫瘍細胞と同様に、腫瘍血管内皮細胞の細胞自然死を誘導する。
本発明の他の特徴によれば、ここに開示される化合物は、腫瘍微小環境にある腫瘍血管内皮細胞を死亡させることにより、血管新生を抑制する。
本発明のさらに他の実施形態によれば、前記化合物は、同じようなリポソーム製剤としたときに、商業的に入手可能な抗ガン剤であるデキサメタゾンと比べ、よりよい抗ガン活性を示す。
近年、ガン治療法は、手術、放射線治療、化学療法、もしくはこれらを組み合わせて行われている。これらの治療法の中でも、化学療法は、手術不可能なガンや転移性のガンには絶対に必要な方法となる。従来の化学療法薬(例えばシスプラチン、チオテパ、クロラムブシル、ドキソルビシン、パクリタキセルなど)では、薬剤耐性により効能が低下することが重要な問題となっている。従来、ガン治療のための多機能な抗ガン化学療法剤が報告されている(Willmann,J.K.等。Nat.Rev.Drug.Discov.2008,7,591)。
カチオン性脂質は、全身に適用できる遺伝子としてだけでなく、多くの治療薬となりうる医薬担体として、過去30年間、多くの着目を集めている。1つのヒスチジン官能性を頭部基の付近に共有結合的にグラフト反応させると、カチオン性両親媒性化合物に遺伝子導入を高い効率で行えることが明らかとなっており、これは、生体膜融合が高まることに起因するものと推測される(Kumar, V.等 Gene. Ther. 2003, 10, 1206-1215; Karmali, P.P.等 Bioconjugate Chemistry 2006, 17, 159-171)。しかしながら、ヒスチジン官能
性を有するカチオン性両親媒性化合物を抗ガン化合物として用いることについては、これまで報告されていない。本発明は、アスパラギン酸およびグルタミン酸をベースとする、新規な、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を合成する方法と、新規な抗ガン化合物としての治療可能性を明らかにする。また、本発明は、新規な、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤について、マウスモデルの腫瘍内での腫瘍成長を抑制する特性を明らかにする。ここに開示されるカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤は、増殖抑制作用を示し、人間や動物の体内のガン治療に有用である。ここに開示されるカチオン性両親媒性化合物は、健康的な非ガン性細胞ではなく、様々なガン細胞に、細胞自然死を促進させるように誘導する。また、本発明によれば、これらの新規なヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤による、マウスモデルの腫瘍内での腫瘍成長阻害性が開示される。
本発明で開示される、ヒスチジン頭部基をもつカチオン性両親媒性化合物に共通する、新規な特有の構造的特徴は、以下を含む。(1)親水性基、ヒスチジンのイミダゾール基が、正電荷をもつ窒素の近くに位置すること、(2)ここに開示するカチオン性両親媒性化合物の分子構造が、アスパラギン酸およびグルタミン酸に基づいていること、(3)非極性の長鎖脂肪族がアスパラギン酸またはグルタミン酸にエステル結合により共有結合されていること。本発明によれば、最も恩恵を得られるのは、科学分野の中でもガン治療の分野である。本発明の実施によれば、「カチオン性」は、ヒスチジンのα−アミン基におけるプロトン化された窒素原子の一つである正電荷を示す。このようなカチオン特性によれば、カチオン性両親媒性化合物と、負電荷をもつ生物学的な細胞膜との相互作用を向上させ、その結果、ここに開示する抗ガン性分子の細胞取り込みを向上させる。
ここで開示する、ヒスチジン頭部基をもつカチオン性脂質は、ある共通の構造および官能基を有する。そのようなものとして、前記化合物は、式Aおよび式Bの化合物からなる群から選択される。
式中、RおよびRは、それぞれ独立してH(hydrogen)または親油性部分であって、同時にH(hydrogen)ではなく、Xは、Cl(chlorine)またはBr(bromine)であ
り、前記親油性部分が、C8−24のアルキル基、モノ不飽和、ジ不飽和、およびトリ不飽和のアルケニル基からなる群から選択される。
本発明の好ましい態様によれば、前記開示された、アスパラギン酸をベースとするカチオン性両親媒性化合物が、構造1で示され、RおよびRがn−ヘキサデシルであり、Xが塩素イオンである。
本発明の他の好ましい第2の態様によれば、前記開示されたアスパラギン酸をベースとするカチオン性両親媒性化合物が、構造2で示され、RおよびRがn−オクタデシルであり、Xが塩素イオンである。
本発明のさらに好ましい第3の態様によれば、前記開示されたグルタミン酸をベースとするカチオン性両親媒性化合物が、構造3で示され、RおよびRがn−ヘキサデシルであり、Xが塩素イオンである。
本発明のさらに好ましい第4の態様によれば、前記開示されたグルタミン酸をベースとするカチオン性両親媒性化合物が、構造4で示され、RおよびRがn−オクタデシルであり、Xが塩素イオンである。
本発明のカチオン性両親媒性化合物は、水溶液において脂質の複合体や凝集体の作製を促進させる親油性ドメインを有する。疎水性ドメインの親油性と、頭部基における極性のヒスチジンの親水性とは、カチオン性脂質が水溶液と直面したときに、第2の化合物の存在下もしくは不在下で、脂質凝集体が形成されるような状態となる。親油性のRおよびRのグループは、例えば、(1)C8−24の飽和アルキル基、および(2)1、2、3、4二重結合を含むC8−22の不飽和アルケニル基である。ここに開示する、アスパラギン酸をベースとするヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物(X)を合成する合成方法としては、スキーム1に模式的に表される。アスパラギン酸をベースとするヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物(X、スキーム1)は、スキーム1に示す出発物アルコールに、適切に保護されたアスパラギン酸誘導体(Boc保護α−アミン基を含む)を結合することにより合成する。その結合物(中間物I、スキーム1)をTFAにより脱保護し、得られるアミノ化合物(中間物II、スキーム1)をNim,Nジ−Boc−L−ヒスチジン誘導体にペプチド結合することにより、中間物III(スキ
ーム1)が得られる。中間物IIIを従来の方法で酸脱保護した後、アンバーリストA−2
6塩素イオン交換樹脂により塩素イオン交換し、目的とするカチオン性両親媒性化合物X(スキーム1)を得る。カチオン性両親媒性化合物Xの合成方法の詳細は、カチオン性両親媒性化合物1および2(代表的な例として)を合成する実施例1として下記に記載する。グルタミン酸をベースとするヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物(Y、スキーム2)は、適切に保護されたグルタミン酸誘導体を用いて同様の方法を適用することにより合成する。カチオン性両親媒性化合物Yの合成方法の詳細は、下記の実施例2に記載する。スキーム1および2に示される、すべての合成した中間物や目的とするカチオン性両親媒性化合物の構造は、H NMRやESI質量分析法により確認し、目的とするカチオン性両親媒性化合物の純度(>95%)は、移動相として、純粋なメタノール、および95:5のメタノール:水(v/v)を用いた逆相分析HPLCにより確認した。
HPLC条件:
システム:Agilent 1100 series
カラム:Lichrospher(R) 100,RP−18e(5μm)
移動相:メタノール(A);メタノール:水,95:5,v/v,(B).
流量:1.0 mL/min
典型的なカラム圧力:60−65 Bars
検出:UV at 210nm.

〔スキーム1〕

〔スキーム2〕
(製剤)
さらに、本発明によれば、開示されるカチオン性両親媒性化合物を適量と、生体高分子と、混合脂質とを含む新規な製剤が提供される。本発明の調剤薬には、製剤の貯蔵性を安定化させるため、もしくは分子の細胞内伝達を促進させるために、1またはそれ以上の、生理学的に許容できる物質が含まれていてもよい。本発明の実施によると、混合脂質は、1以上のヒスチジン官能性を有する両親媒性化合物を混合するときに有用である。DOPCおよびDOPEは、ここで開示する両親媒性化合物と併用するのに優れた混合脂質であり、細胞内への伝達を促進させる。DOPCおよびヘルパー脂質Q16TG(図1)は、開示する両親媒性化合物と併用する別の組み合わせであり、細胞内への伝達を促進させる。カチオン性両親媒性化合物と、混合脂質DOPCおよびQ16TGとのモル比率の好ましい範囲は、1:1:1である。前記範囲からかなり広い範囲に変更することも本発明の範囲内である。
一般的に、リポソームは、カチオン性両親媒性化合物と、混合脂質またはヘルパー脂質
(DOPCおよびDOPE、もしくはDOPCおよびQ16TG)とを、適切なモル比率で、ガラス瓶中のメタノールおよびクロロホルムに溶解させることにより作製される。溶媒を、水分フリーな窒素ガスを少量ずつ流しながら除去し、乾燥させた脂質膜を高真空下に6−8時間おいた。乾燥した脂質膜を、総体積が1mLの滅菌脱イオン水に、少なくとも12時間水和させ、カチオン性脂質の濃度を1mMとした。リポソームを1−2分間攪拌して、脂質膜に付着するものを取り除き、超音波洗浄機(ULTRAsonik 28X)を用いて、室温で2−3分間、超音波洗浄し、多重膜小胞(MLV)を作製した。MLVを、Tiプローブ(Branson 450 ソニファイアーを、負荷サイクル100%、出力25Wで用いて)により、1−2分間、超音波洗浄し、純粋で半透明な溶液の構造で示されるような、小さな単層小胞(SUVs)を作製した。ここに開示されるヒスチジン頭部基をもつカチオン性両親媒性化合物は、1又はそれ以上の典型的なものを混合してもよく、前記生物活性のある分子を細胞/組織内への侵入を容易にさせるために、組み合わせて用いてもよい。
別の態様によれば、本発明で開示されるカチオン性両親媒性化合物は、ホスファチジルエタノールアミンやホスファチジルグリセロール等の他の脂質、もしくはヘルパー脂質と併用してもよい。前記治療製剤は、0−4℃で貯蔵するとよい。バクテリア成長を抑制し、その保存可能期間を延長させる物質は、例えばグリセロールを低濃度で安定的に作製できる試薬とともに含まれるとよい。特に、冷凍および解凍のサイクルは、製剤の効能を損なわせるおそれがあるので、注意されている。
さらに別の態様によれば、カチオン性両親媒性化合物の製剤、混合脂質(DOPCおよびDOPE、DOPCおよびQ16TG)は、皮下、筋肉内および腹腔内などの他の経路に加え、静脈内に投与されてもよい。さらに、前記製剤は、体外の10,000セルに対して、ヒスチジン官能性を有する脂質の濃度が2−30μモルの範囲で投与されるとよい。
(細胞毒性)
新規に発明されたヒスチジン官能性を有する脂質の抗ガン活性について理解するために、まず、ヒスチジン官能性を有する脂質について、悪性、または悪性でない様々な細胞株への細胞毒性効果を、MTT試験により評価した。これら本発明の脂質について、脂質濃度を4−40μモルの範囲とし、MTTに基づく細胞生存性試験を行うことにより、A549、B16F10、MCF−7、CHO、C−26、RAW264.7、およびCOS−1細胞への細胞傷害性を評価した(図2−8)。黄色のテトラゾリウム塩(MTT)は、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によって、代謝的に活性な細胞から、不溶であるが、DMSOおよびMeOHの混合物の添加により可溶化する、紫のホルマザン結晶を形成することにより、減少する。その色は分光光度法により定量化できる。それぞれの細胞タイプについて、細胞数と吸光度との間に線形関係があり、増殖の変化を正確、かつ直接的に定量化できることが確認された。脂質HD−16(1)、HE−16(3)およびHE−18(4)は、脂質濃度が最も高いときに(40μモル)、治療の24時間後における細胞生存率が15−30%近くであることが示されている。これらの脂質は、15−20μモルぐらいの範囲では、B16F10細胞において、24時間後の細胞生存率が50%であることが示されている。一方、48時間後では、これら4つの脂質の効能が増加している(図2A、B)。A549細胞株においては、脂質HD−16、HD−18、HE−16およびHE−18は、脂質濃度が最も高い40μモルのときに、24時間後の細胞生存率が20−40%であることが示されている。A549細胞株において、全ての脂質は、脂質濃度が10−17μモルの範囲のときに、24時間後の細胞生存率が50%となることが示されている。これら4つの脂質は、48時間後に、細胞毒性効果が向上することが示されている(図3A、B)。MCF−7細胞株においては、脂質HD−16、HE−16、HD−18およびHE−18は、濃度が最も高いときに、24時間後の細胞生存率が20−30%近くになることが示されている。一方、HE−16およびHE−18
は、濃度が低くても、48時間後と同様に、他の2つよりも強い細胞毒性効果を示す(図4A、B)。本発明におけるもう一つの知見は、ヒスチジン官能性を有する脂質のすべてが、商業的に入手可能な類似の疎水性の抗ガン剤であるデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、3つのガン性細胞のすべてにおいて高い細胞毒性を示すことである。CHO細胞株においては、脂質HD−16、HE−16およびHE−18が、48時間後と同様に24時間後に、最も高い細胞毒性を示す(図5A−B)。C−26細胞(マウス結腸ガン、図6A、B)を、ヒスチジン官能性を有する脂質で治療したところ、同じような傾向が観察された。脂質HD−16、HE−16、HD−18およびHE−18は、24時間後および48時間後に、正常なRAW−264.7細胞において細胞生存率が80%以上であり(図7A−B)、正常なCOS−1細胞において細胞生存率が〜70%である(図8A−B)ことが示されている。
(ヒスチジン官能性を有する脂質による体外でのアポトーシス誘導)
アポトーシス細胞死を定量化するため、ここで開示するヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物の、体外でのアポトーシス誘導の効能について、マウスメラノーマ(B16F10)およびヒトの肺ガンを悪性細胞のモデルとして、FITC−アネキシンVアポトーシス検出キット(シグマ)を用いたフローサイトメトリーにより検討した。この試験によれば、初期段階でアポトーシスを検出でき、簡単かつ効果的に行える(Dacharay-Prigent, J. 等、Blood 1993, 81, 2554-2565)。それは、ホスファチジルセリン(PS)が、アポトーシス誘導の直後に、細胞膜の内部の(細胞質の)リーフレットから外部の(細胞表面の)リーフレットへと転座されること、およびアネキシンVタンパク質がPSと強く、かつ特別な親和性を有していることを生かしている(Zhang, G.等 BioTechniques 1997, 23, 525-531)。細胞の外部リーフレットで細胞自然死するPSは、単染色法で基準となる、蛍光標識されたアネキシンVと結合することにより得られる。アネキシンV試験は、実行するのにちょうど10分を要する一段階の方法である。その試験は、非酵素的であり、固化を必要とせず、また付着細胞および浮遊細胞の両方に安定である。この試験は、B16F10(図9)だけでなく、A549細胞(図10)でも行える。
B16F10細胞およびA549細胞は、4つのヒスチジン官能性を有する脂質、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGを含み、疎水性の抗ガン剤であるデキサメタゾンのリポソーム製剤(ヒスチジン官能性を有する脂質:DOPC:Q16TGとのモル比率が1:1:1、25μM/mL)を用いて治療された。DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGのみの組み合わせ(モル比率1:1)を対照として用いた。治療の24時間後、細胞は、アネキシンVおよびPI(メーカのプロトコルによる、シグマ)で染色され、フローサイトメトリー(BD FacsCanto II)により分析された。HD−16およびHE−16は、
B16F10細胞およびA549細胞のいずれにおいてもアポトーシスを促進させることが示された。初期のアポトーシス細胞および後期のアポトーシス細胞の割合は、リポソームのデキサメタゾンおよび媒体物のみ(例えば、DOPCおよびQ16TGのみ)で治療した細胞と比べると著しく高い。両親媒性化合物の中でも、HD−16およびHE−16は、ステアリル鎖をもつ、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物、およびデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、アポトーシスの誘導性において優れている。重要なことに、ヒスチジン官能性を有する脂質の4つすべて(1−4)は、2.7−3.7回であり、商業的に入手可能なデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、B16F10細胞のアポトーシス誘導性において、効率的であることが分かった。同様に、その製剤は、2.2−3.2回であり、商業的に入手可能なデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、A549細胞のアポトーシス誘導性において、効率的であった。総合すれば、図9および10によると、ここで開示されたヒスチジン官能性を有する脂質は、ガン細胞を細胞自然死に誘導できることが分かった。ヒスチジン官能性を有する脂質は、Bcl−2およびNF−κBに基づく細胞生存経路を阻害する。
次に、ここで開示されるヒスチジン官能性を有する脂質による、体外におけるアポトーシス誘導性の観察から、メカニズム的に洞察するため、従来のRT−PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)試験を行った。ヒスチジン官能性を有する脂質の、様々なアポトーシスのmRNA発現への効果は、RT−PCRで分析された遺伝子と関連している。参考までに、ヒト肺ガン細胞(A549)は、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGを含む(25μM/mL)、ヒスチジン官能性を有する脂質のリポソーム製剤で治療され、治療されなかった細胞は、対照として用いた。24時間後、全てのmRNAを、トリゾールを用いた従来の方法により分離した。RT−PCR製造物は、2%のアガロースゲル電気泳動で分解され、臭化エチジウムで可視化された。ヒスチジン官能性を有する脂質のアポトーシス誘導性能が、抗アポトーシス性のBcl−2およびBcl−xL遺伝子の転写を抑制することにより、また、アポトーシス促進性のBAXおよびBAKシグナルの伝達経路を活性化することにより、もたらされているという知見に至った。細胞がHD−16およびHE−16のリポソームで治療されたときに、Bcl−2およびBcl−xLのmRNAレベルが大きく減少する。しかし、他の2つの脂質HD−18およびHE−18では、Bcl−2およびBcl−xL遺伝子の大きな減少は確認されなかった。興味深いことに、脂質HD−16、HD−18、HE−16およびHE−18は、アポトーシス促進性のBAXにおいて発現上昇したのと同様に、カスパーゼ3およびカスパーゼ9においても発現上昇することが示された。18S m−RNAは、全てのローディング対照として、全てのレーンで用いられた(図11)。総合すれば、図11によると、様々なアポトーシスのシグナル経路は、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤により、培養しているガン細胞を活性化させることが分かる。
(体内での腫瘍成長抑制)
最後に、新規なヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物の治療能力について評価するため、ヒスチジン官能性を有する両親媒性化合物のリポソーム製剤を全身に適用して腫瘍成長抑制能を検討した。C57BL/6Jマウスを体内のモデルの参考として用いた。悪性のB16F10メラノーマ腫瘍をもつ、C57BL/6Jマウスにおいて、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物による腫瘍成長抑制がかなり大きいことが観察された。ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物は、変化しやすい長さのアルキル鎖をもつ(HD−16、HD−18、HE−16、HE−18)。対照のために、商業的に入手可能な疎水性の抗ガン剤であるデキサメタゾン(ヒスチジン官能性を有する脂質:DOPC:Q16TGをモル比率1:1:1で含む)を腫瘍内に注射した。図12(部分AおよびB)に示されるように、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤、およびデキサメタゾンにより、対照として治療しなかったマウスと比べて、腫瘍成長を大きく抑制できることが観察された。しかし、HD−16およびHE−16は、より高い腫瘍成長抑制能を示し、HD−18、HE−18およびデキサメタゾンのリポソーム製剤は、腫瘍成長の抑制が緩やかである(図12)。ヒスチジン官能性を有する脂質、その他のリポソーム原料が、腫瘍成長抑制能で観察された媒介において重要な役割を担うことを確認するため、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGのみを含むリポソーム(モル比率で1:1含む)を対照として用いた。重要なことに、Q16TGおよびDOPCのみを含む対照用のリポソーム製剤は、腫瘍成長抑制効果をまったく示さなかった(図12)。ヒスチジン官能性を有する脂質は、腫瘍細胞および腫瘍血管内皮細胞の両方にアポトーシスを誘導できる。
腫瘍および腫瘍血管内皮細胞の両方の細胞自然死が、観察された腫瘍成長抑制よりも遅れているかどうかについてメカニズム的に洞察するため、免疫組織化学的な研究を行った。メスのC57BL/6マウスに、B16F10マウスメラノーマ細胞を注射し、腫瘍を15日間、成長させて血管を新生させた。このとき、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤と同様に、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGのみを含む対照用のリポソーム製剤を、悪性のB16腫瘍(〜2000mm)をもつマウ
スに、3日間連続して注射した。マウスは3日目の注射の24時間後には死亡した。その腫瘍を摘出し、凍結切片し、固定させ、固定した凍結部分を、プロメガのTUNEL試験用キットを用いて、アポトーシス細胞を標識するメーカのプロトコルに従って、着色した。続いて、腫瘍の凍結切片に、抗VE−カドヘリン単クローン抗体(内皮細胞マーカー、Satna Cruz)で免疫染色し、その後、腫瘍血管系を特定するために、テキサスレッドを付着させ、二次抗体処理した。蛍光顕微鏡により、緑(TUNEL、陽性)および赤(内皮細胞、陽性)の蛍光が、かなりの量、視覚化された(図13、部分AおよびB)。興味深いことに、図13に示す融合区画C(部分AとBとの混合)には、黄色、緑色、赤色があることが示されている。黄色(緑色と赤色との混合による)があることから、腫瘍血管内皮細胞において細胞自然死が生じていることが確認された。緑色蛍光で標識された細胞が多量にあることから、腫瘍細胞の細胞自然死が同時に生じていることが確認された。これらの知見から、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤は、腫瘍細胞および腫瘍血管内皮細胞の両方を細胞自然死に誘導できるという考えに至った。
(適用)
本発明のプロセスは、頭部基の付近にヒスチジンを含む、アスパラギン酸をベースとするカチオン性両親媒性化合物を作製することに利用できる。本発明によれば、前記カチオン性両親媒性化合物と様々な混合脂質およびヘルパー脂質とを含む、新規なヒスチジン官能性を有する脂質のリポソーム組成物が提供される。カチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤は、悪性進行を抑制することができ、ヒトおよび動物の体内のガンを治療する方法に有用である。カチオン性両親媒性化合物は、様々なアポトーシスのシグナル伝達経路から細胞のアポトーシスを促進させることができる。ここで開示する化合物は、肺ガン、メラノーマ、乳ガン、結腸ガン、卵巣ガンなどの様々なタイプのガンの治療に有用である。また、その化合物は、他の抗ガン剤や遺伝子と組み合わせて治療に用いてもよい。新規な、ヒスチジン官能性を有する脂質は、皮下、皮内、静脈、筋肉内、腹腔内の経路から注入することにより動物体内の腫瘍成長を抑制でき、腫瘍血管内皮細胞および腫瘍細胞の両方を細胞自然死に誘導することができる。化合物は、腫瘍微小環境における腫瘍血管内皮細胞を死滅させることにより血管形成を抑制することができる。重要なことに、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤は、商業的に入手可能な疎水性の抗ガン剤であるデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、体内外両方での腫瘍細胞のアポトーシス誘導性において、効果的である。本発明によれば、最も恩恵を得られるのは、医療科学分野でもガン治療においてである。
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲は、これらにより限定されない。
(実施例1)
HD−16〔2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,4−ビス(ヘキサデシルオキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド〕の合成(スキーム1):
ステップ(a):固体HOBt(0.58g、3.77mmol)、DIMAP(0.096g、0.7mmol)およびEDCI(0.72g、3.77mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNαBOC−L−アスパラギン酸(0.40g、1.72mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ドライDCM(10mL)に溶解するn−ヘキサデシルアルコール(0.80g、3.77mmol)を、反応混合物に添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホルム(80mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×90mL)および食塩水(1×60mL)を用いて順次洗浄した。
その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として4%の酢酸エチル−ヘキサン(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物Iを0.70g(収率63%)得た(R=0.8 TLC展開溶媒として5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
H NMR(200MHz,CDCl):δ/ppm=0.9[m,6H,CH−(CH15−];1.1−1.6[bs,52H,−(CH13−;m,4H,−(CH13−CH−CH−O−s,9H,CO−O−C(CH];2.4−2.8[m,2H,AspCβ];3.2−3.3[m,4H,t,4H,−(CH14−CH−O−];4.3[m,1H,AspCαH];6.1−6.3[m,1H,NH−CO−O−(CH];
ESIMS:m/z=681[M+1]for C4179NO
ステップ(b):ステップ(a)で作製した中間物I(0.55g、0.88mmol)をドライDCM(8mL)に溶解させ、0℃でTFA(4mL)を添加した。得られた溶液を0℃で3時間攪拌し続け、完全に脱保護させた。窒素でフラッシングすることにより過剰なTFAを除去した。得られた化合物をクロロホルム(80mL)に溶解させ、飽和NaHCO溶液(3×90mL)、食塩水(1×70mL)で洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を除去することにより、中間物IIIとして遊離アミンを0.41g(収率91%)得た
(R=0.2 TLC展開溶媒として10%のメタノール−クロロホルム(v/v)を用いる)。
ステップ(c):固体HOBt(0.15g、1.00mmol)およびEDCI(0.19g、1.00mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNα,Nω−ジ−t−ブチルオキシカルボニル−L−ヒスチジン(0.36g、1.00mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ステップ(b)で得られた中間物II(0.420g、0.810mmol)をドライDCM(10mL)に溶解させ、反応混合物に添加した。攪拌した反応混合物に、ジ−イソプロピルエチルアミン(DIPEA)を、リトマスでアルカリ性となるまで、液滴して添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホルム(100mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N
HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×70mL)および食塩水(1×80mL)を用いて順次洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として1.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物IIIを0.38g
(収率55%)得た(R=0.5 TLC展開溶媒として0.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
H NMR(200MHz,CDCl):δ/ppm=0.8[m,6H,CH−(CH15−];1.0−1.6[bs,52H,−(CH13−;s,9H,CO−O−C(CH;m,4H,−(CH13−CH−CH−O−;s,9H,CO−O−C(CH];2.3−2.9[m,2H,AspCβ];3.0−3.2[m,4H,t,4H,−(CH14−CH−O−;m,2H,HisCβH];4.2−4.6[m,1H,AspCαH;m,1H,HisCαH];6.0[m,1H,NH−CO−O−(CH];6.5[m,1H,AspCαH−NH−CO];7.7−8.4[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=919[M+1]for C5296
ステップ(d):ステップ(c)で作製した、氷冷した中間物III(0.2g、0.0
2mmol)の溶液を2mLのDCMに溶解させた。1mLのTFAを添加し、その混合
物を3−4時間、攪拌した。窒素を流してTFAを除去し、その残留物を、アンバーリストA−26塩素イオン交換樹脂を用いた塩素イオン交換クロマトグラフィにかけた。得られた化合物を、1:5(v/v)のMeOH:アセトンから再結晶の上で塩素イオン交換することにより、白い固体として、純粋な目的とする化合物HD−16を0.094g(収率47%)得た。
H NMR(200MHz,CDCl+CDOD):δ/ppm=0.8[m,6H,CH−(CH15−];1.0−1.6[bs,52H,−(CH13−;m,4H,−(CH13−CH−CH−O];2.2[m,1H,AspCβH];2.6[m,1H,AspCβH];3.0−4.6[m,4H,t,4H,−(CH13−CH−CH−O−;m,2H,HisCβH;m,1H,AspCαH;m,1H,HisCαH+CDOH+CHOD];8.5−8.6[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=719[M+1]for C4280
(実施例2)
HD−18〔2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,4−ビス(オクタデシルオキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド〕の合成(スキーム1)
ステップ(a):固体HOBt(0.58g、3.77mmol)、DIMAP(0.096g、0.7mmol)およびEDCI(0.72g、3.77mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNαBOC−L−アスパラギン酸(0.40g、1.72mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ドライDCM(10mL)に溶解するn−オクタデシルアルコール(0.80g、3.77mmol)を、反応混合物に添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホルム(80mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×90mL)および食塩水(1×60mL)を用いて順次洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として4%の酢酸エチル−ヘキサン(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物Iを0.70g(収率63%)得た(R=0.8 TLC展開溶媒として5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
H NMR(200MHz,CDCl):δ/ppm=0.9[m,6H,CH−(CH17−];1.1−1.6[bs,60H,−(CH15−;m,4H,−(CH15−CH−CH−O−s,9H,CO−O−C(CH];2.4−2.8[m,2H,AspCβ];3.2−3.3[m,4H,t,4H,−(CH16−CH−O−];4.3[m,1H,AspCαH];6.1−6.3[m,1H,NH−CO−O−(CH];
ESIMS:m/z=737[M+1]for C4587NO
ステップ(b):ステップ(a)で作製した中間物I(0.55g、0.88mmol)をドライDCM(8mL)に溶解させ、0℃でTFA(4mL)を添加した。得られた溶液を0℃で3時間攪拌し続け、完全に脱保護させた。窒素でフラッシングすることにより過剰なTFAを除去した。得られた化合物をクロロホルム(80mL)に溶解させ、飽和NaHCO溶液(3×90mL)、食塩水(1×70mL)で洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を除去することにより、中間物IIとして遊離アミンを0.41g(収率91%)得た(R=0.2 TLC展開溶媒として10%のメタノール−クロロホルム(v/v)を用いる)。
ステップ(c):固体HOBt(0.15g、1.00mmol)およびEDCI(0
.19g、1.00mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNα,Nω−ジ−t−ブチルオキシカルボニル−L−ヒスチジン(0.36g、1.00mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ステップ(b)で得られた中間物II(0.420g、0.810mmol)をドライDCM(10mL)に溶解させ、反応混合物に添加した。攪拌した反応混合物に、ジ−イソプロピルエチルアミン(DIPEA)を、リトマスでアルカリ性となるまで、液滴して添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホルム(100mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N
HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×70mL)および食塩水(1×80mL)を用いて順次洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として1.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物IIIを0.38g
(収率55%)得た(R=0.5 TLC展開溶媒として0.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
H NMR(200MHz,CDCl):δ/ppm=0.8[m,6H,CH−(CH17−];1.0−1.6[bs,52H,−(CH15−;s,9H,CO−O−C(CH;m,4H,−(CH15−CH−CH−O−;s,9H,CO−O−C(CH];2.3−2.9[m,2H,AspCβ];3.0−3.2[m,4H,t,4H,−(CH16−CH−O−;m,2H,HisCβH];4.2−4.6[m,1H,AspCαH;m,1H,HisCαH];6.0[m,1H,NH−CO−O−(CH];6.5[m,1H,AspCαH−NH−CO];7.7−8.4[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=975[M+1]for C56104
ステップ(d):ステップ(c)で作製した、氷冷した中間物III(0.2g、0.0
2mmol)の溶液を2mLのDCMに溶解させた。1mLのTFAを添加し、その混合物を3−4時間、攪拌した。窒素を流してTFAを除去し、その残留物を、アンバーリストA−26塩素イオン交換樹脂を用いた塩素イオン交換クロマトグラフィにかけた。得られた化合物を、1:5(v/v)のMeOH:アセトンから再結晶の上で塩素イオン交換することにより、白い固体として、純粋な目的とする化合物HD−18を0.094g(収率47%)得た。
H NMR(200MHz,CDCl+CDOD):δ/ppm=0.8[m,6H,CH−(CH17−];1.0−1.6[bs,52H,−(CH15−;m,4H,−(CH15−CH−CH−O];2.2[m,1H,AspCβH];2.6[m,1H,AspCβH];3.0−4.6[m,4H,t,4H,−(CH15−CH−CH−O−;m,2H,HisCβH;m,1H,AspCαH;m,1H,HisCαH+CDOH+CHOD];8.5−8.6[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=775[M+1]for C4280
(実施例3)
HE−16〔2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,5−ビス(ヘキサデシルオキシ)−1,5−ジオキソペンタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド〕の合成(スキーム2)
ステップ(a):固体HOBt(0.76g、4.96mmol)、EDCI(0.94g、4.96mmol)およびDIMAP(0.096g、0.7mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNαBOC−L−グルタミン酸(0.50g、1.9mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ドライDCM(20mL)に溶解するn−ヘキサデシルアルコール(1.19g、4.96mmol)を、反応混合物に添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホル
ム(80mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×90mL)および食塩水(1×60mL)を用いて順次洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として4%の酢酸エチル−ヘキサン(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物Iを1.20g(収率73%)得た(R=0.8 TLC展開溶媒として5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
中間物I、HE−16:
H NMR(300MHz,CDCl):δ/ppm=0.9[m,6H,CH−(CH15−];1.1−1.6[bs,44H,−(CH13−;m,4H,−(CH13−CH−CH−O−s,9H,CO−O−C(CH];2.4−2.8[m,4H,GluCβ,γ];3.2−3.3[m,4H,t,4H,−(CH14−CH−O−];4.3[m,1H,GluCαH,m,2H,CH−(CH13−0−CO−CαH].
ESIMS:m/z=695[M+1]for C4281NO
ステップ(b):ステップ(a)で作製した中間物I(0.5g、0.8mmol)をドライDCM(4mL)に溶解させ、0℃でTFA(2mL)を添加した。得られた溶液を0℃で3時間攪拌し続け、完全に脱保護させた。窒素でフラッシングすることにより過剰なTFAを除去した。得られた化合物をクロロホルム(80mL)に溶解させ、飽和NaHCO溶液(3×90mL)、食塩水(1×70mL)で洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を除去することにより、中間物IIとして遊離アミンを0.41g(収率91%)得た。
ステップ(c):固体HOBt(0.15g、1.00mmol)およびEDCI(0.19g、1.00mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNα,Nω−ジ−t−ブチルオキシカルボニル−L−ヒスチジン(0.28g、0.79mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ステップ(b)で得られた中間物II(0.410g、0.660mmol)をドライDCM(10mL)に溶解させ、反応混合物に添加した。攪拌した反応混合物に、ジ−イソプロピルエチルアミン(DIPEA)を、リトマスでアルカリ性となるまで、液滴して添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホルム(100mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N
HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×70mL)および食塩水(1×80mL)を用いて順次洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として1.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物IIIを0.38g
(収率55%)得た(R=0.5 TLC展開溶媒として0.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
中間物III、HE−16:
H NMR:(300MHz,CDCl):δ/ppm=0.9[m,6H,CH−(CH15−];1.1−1.6[bs,44H,−(CH13−;m,4H,−(CH13−CH−CH−O−s,18H,CO−O−C(CH];2.4−2.8[m,4H,GluCβ,γ];3.0−3.2[m,4H,t,4H,−(CH12−CH−O−;m,2H,HisCβH];3.2−3.3[m,4H,t,4H,−(CH14−CH−O−];4.2−4.4[m,1H,GluCαH;m,1H,HisCαH;m,]7.2−8.4[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=934[M+1]for C5395
ステップ(d):ステップ(c)で作製した、氷冷した中間物III(0.2g、0.0
2mmol)の溶液を2mLのDCMに溶解させた。1mLのTFAを添加し、その混合物を3−4時間、攪拌した。窒素を流してTFAを除去し、その残留物を、アンバーリストA−26塩素イオン交換樹脂を用いた塩素イオン交換クロマトグラフィにかけた。得られた化合物を、1:5(v/v)のMeOH:アセトンから再結晶の上で塩素イオン交換することにより、白い固体として、純粋な目的とする化合物HE−16を0.094g(収率47%)得た(Rf=〜0.3、10%メタノール−クロロホルム、v/v)。
HE−16:
H NMR(500MHz,CDCl+CDOD):δ/ppm=0.8[m,6H,CH−(CH15−];1.0−1.6[bs,44H,−(CH13−;m,4H,−(CH13−CH−CH−O];2.2[m,1H,GluCβH];2.6[m,1H,GluCβH];3.0−4.6[m,4H,t,4H,−(CH13−CH−CH−O−;m,2H,HisCβH;m,1H,GluCαH;m,1H,HisCαH+CDOH+CHOD];7.5[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=732[M+1]for C4382
(実施例4)
HE−18〔2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,5−ビス(オクタデシルオキシ)−1,5−ジオキソペンタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド〕の合成(スキーム2)
ステップ(a):固体HOBt(0.76g、4.96mmol)、EDCI(0.94g、4.96mmol)およびDIMAP(0.096g、0.7mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNαBOC−L−グルタミン酸(0.50g、1.9mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ドライDCM(20mL)に溶解するn−オクタデシルアルコール(1.19g、4.96mmol)を、反応混合物に添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホルム(80mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×90mL)および食塩水(1×60mL)を用いて順次洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として4%の酢酸エチル−ヘキサン(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物Iを1.20g(収率73%)得た(R=0.8 TLC展開溶媒として5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ/ppm=0.9[m,6H,CH−(CH17−];1.1−1.6[bs,44H,−(CH13−;m,4H,−(CH15−CH−CH−O−s,9H,CO−O−C(CH];2.4−2.8[m,4H,GluCβ,γ];3.2−3.3[m,4H,t,4H,−(CH14−CH−O−];4.3[m,1H,GluCαH,m,2H,CH−(CH13−NH−CO−CαH].
ESIMS:m/z=751[M+1]for C4689NO
ステップ(b):ステップ(a)で作製した中間物I(0.5g、0.8mmol)をドライDCM(4mL)に溶解させ、0℃でTFA(2mL)を添加した。得られた溶液を0℃で3時間攪拌し続け、完全に脱保護させた。窒素でフラッシングすることにより過剰なTFAを除去した。得られた化合物をクロロホルム(80mL)に溶解させ、飽和NaHCO溶液(3×90mL)、食塩水(1×70mL)で洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を除去することにより、中間物IIとして遊離アミンを0.41g(収率91%)得た。
ステップ(c):固体HOBt(0.15g、1.00mmol)およびEDCI(0.19g、1.00mmol)を、氷冷中で攪拌された、ドライDCM(15mL)に溶解するNα,Nω−ジ−t−ブチルオキシカルボニル−L−ヒスチジン(0.28g、0.79mmol)の溶液に順次添加した。30分後、ステップ(b)で得られた中間物II(0.410g、0.660mmol)をドライDCM(10mL)に溶解させ、反応混合物に添加した。攪拌した反応混合物に、ジ−イソプロピルエチルアミン(DIPEA)を、リトマスでアルカリ性となるまで、液滴して添加した。得られた溶液を室温で12時間攪拌し続けた。その溶液をクロロホルム(100mL)で希釈し、続いて、氷冷の1N
HCl(2×80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(2×70mL)および食塩水(1×80mL)を用いて順次洗浄した。その有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、回転式エバポレータを用いて、ろ過物から溶媒を取り除いた。その残留物に、60−120メッシュのシリカゲルと、溶離剤として1.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)とを用いてカラムクロマトグラフ的な精製を行い、純粋な中間物IIIを0.38g
(収率55%)得た(R=0.5 TLC展開溶媒として0.5%のクロロホルム−メタノール(v/v)を用いる)。
H NMR(300MHz,CDCl):δ/ppm=0.9[m,6H,CH−(CH17−];1.1−1.6[bs,44H,−(CH15−;m,4H,−(CH15−CH−CH−O−s,18H,CO−O−C(CH];3−3.3[m,4H,GluCβ,γ];3.3−3.5[m,4H,t,4H,−(CH16−CH−O−;m,2H,HisCβH];3.5−4[m,4H,t,4H,−(CH14−CH−O−];4.2−4.4[m,1H,GluCαH;m,1H,HisCαH;m,]7−8[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=989[M+1]for C57103
ステップ(d):ステップ(c)で作製した、氷冷した中間物III(0.2g、0.0
2mmol)の溶液を2mLのDCMに溶解させた。1mLのTFAを添加し、その混合物を3−4時間、攪拌した。窒素を流してTFAを除去し、その残留物を、アンバーリストA−26塩素イオン交換樹脂を用いた塩素イオン交換クロマトグラフィにかけた。得られた化合物を、1:5(v/v)のMeOH:アセトンから再結晶の上で塩素イオン交換することにより、白い固体として、純粋な目的とする化合物HE−18を0.094g(収率47%)得た(Rf=〜0.3、10%メタノール−クロロホルム、v/v)。
H NMR(500MHz,CDCl+CDOD):δ/ppm=0.8[m,6H,CH−(CH17−];1.0−2.7[bs,44H,−(CH15−;m,4H,−(CH15−CH−CH−O;m,1H,GluCβH,m,1H,GluCβH];2.8−4.6[m,4H,t,4H,−(CH15−CH−CH−O−;m,2H,HisCβH;m,1H,GluCαH;m,1H,HisCαH+CDOH+CHOD];8−8.3[m,2H,His−ring]
ESIMS:m/z=790[M+2]for C4790
(実施例5)
リポソームの作製。ヒスチジン官能性を有するカチオン性脂質(HD=16、HD−18、HE−16およびHE−18)、混合脂質(DOPE、DOPC)およびヘルパー脂質Q16TGを、1:1:1〜3:2:1のモル比率の範囲でクロロホルムに溶解させた。溶媒を、窒素ガスを少量ずつ流しながら蒸発させ、8時間、真空乾燥させ、脱イオン水に夜通しで水和させることにより、濃度が1mMであって、体外試験用の最終的な脂質、もしくは濃度が5mMであって体内試験用の最終的な脂質を得た。水和させた脂質は、まず、30秒間、攪拌し、それから、Branson 450ソニファイアーにより負荷サイクル10
0%、出力25Wで、透明になるまで超音波洗浄を行った。得られた純粋なリポソーム溶液を治療に用いた。
(実施例6)
MTT試験:治療前の18−24時間に、96−ウェルプレートのそれぞれに、細胞を、密度10000(B16F10、A549、MCF−7およびCHO)、もしくは15000(Raw264.7)でまいた。細胞を、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を濃度範囲40−16μモル/mLで含むリポソームを用いて、無血清培地にて培養した。その処理後すぐに、96−ウェルプレートに固定された細胞をPBS(2×100L)で洗浄した。培養の4時間後、その培地を、10%FBSを含む新鮮で完全な培地に交換した。新たに作製したPBS(5mg/mL)の溶解するMTT溶液10μlを、24時間または48時間後のプレートの各ウェルに添加した。黄色のテトラゾリウム塩(MTT)は、ミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ酵素によって、代謝的に活性な細胞から、不溶であるが、DMSOおよびMeOHの混合物の添加により可溶化する、紫のホルマザン結晶を形成することにより、減少する。その色の明度を分光光度法により定量化したそれぞれの細胞タイプについて、細胞数と吸光度と間に線形関係があり、増殖の変化を正確、かつ直接的に定量化できることが確認された。
結果:脂質HD−16(1)、HE−16(3)およびHE−18(4)は、脂質濃度が最も高いときに(40μモル)、治療の24時間後における細胞生存率が15−30%近くであることが示されている。24時間後、これらの脂質は、15−20μモルぐらいの範囲では、B16F10細胞において、細胞生存率が50%であることが示されている。一方、48時間後では、これら4つの脂質の効能が増加している(図2A、B)。A549細胞株においては、脂質HD−16、HD−18、HE−16およびHE−18は、脂質濃度が最も高い40μモルのときに、24時間後の細胞生存率が20−40%であることが示されている。A549細胞株において、全ての脂質は、脂質濃度が10−17μモルの範囲のときに、24時間後の細胞生存率が50%となることが示されている。これら4つの脂質は、48時間後に、細胞毒性効果が向上することが示されている(図3A、B)。MCF−7細胞株においては、脂質HD−16、HE−16、HD−18およびHE−18は、濃度が最も高いときに、24時間後の細胞生存率が20−30%近くになることが示されている。一方、HE−16およびHE−18は、濃度が低くても、48時間後と同様に、他の2つよりも強い細胞毒性効果を示す(図4A、B)。本発明におけるもう一つの知見は、ヒスチジン官能性を有する脂質のすべてが、商業的に入手可能な疎水性の抗ガン剤であるデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、3つのガン性細胞のすべてにおいて高い細胞毒性を示すことである。CHO細胞株においては、脂質HD−16、HE−16およびHE−18が、48時間後と同様に24時間後に、最も高い細胞毒性を示す(図5A、B)。C−26細胞(マウス結腸ガン、図6A−B)を、ヒスチジン官能性を有する脂質で治療したところ、同じような傾向が観察された。脂質HD−16、HE−16、HD−18およびHE−18は、24時間後および48時間後に、正常なRAW−264.7細胞において細胞生存率が80%以上であり(図7A−B)、正常なCOS−1細胞において細胞生存率が〜70%である(図8A−B)ことが示されている。
(実施例7)
フローサイトメトリー:A549細胞を、B16f10細胞と同様に、治療の18−24時間前に、6−ウェルプレートに1ウェルあたり細胞が10となる密度でまいた。ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物(1mmol/mL)のリポソーム30μLを、プレーンなDMEMで1mLまで希釈し、希釈した溶液を5分間緩やかに振った。細胞をpH7.4のリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で洗浄(1×100μL)し、細胞に1mLのリポソーム溶液を添加した。培養の4時間後、その培地を、10%FBSを含む新鮮で完全な培地に交換した。それから、細胞を、37℃、5%のCOを含む加湿雰囲気化で24時間、培養した。培養の24時間後、細胞をトリプシン処理して遠心分離し、そして、その沈殿物を、5μLのアネキシン−V FITCおよび5μLのPIを含む500μLの結合バッファーに再懸濁させた。その混合物を暗闇(BD、USA)で20分
間培養し、それから、フローサイトメトリー(FACS Canto II,BD)によりすぐに分析した。
結果:HD−16およびHE−16は、B16F10細胞およびA549細胞のいずれにおいてもアポトーシスを促進させることが示された。初期のアポトーシス細胞および後期のアポトーシス細胞の割合は、リポソームのデキサメタゾンおよび媒体物のみ(例えば、DOPCおよびQ16TGのみ)で治療した細胞と比べると著しく高かった。両親媒性化合物の中でも、HD−16およびHE−16は、ステアリル鎖をもつ、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物、およびデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、アポトーシスの誘導性において優れている。重要なことに、ヒスチジン官能性を有する脂質の4つすべて(1−4)は、2.7−3.7回であり、商業的に入手可能なデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、B16F10細胞のアポトーシス誘導性において、効率的であることが分かった。同様に、その製剤は、2.2−3.2回であり、商業的に入手可能なデキサメタゾンのリポソーム製剤よりも、A549細胞のアポトーシス誘導性において、効果的であった。総合すれば、図9および10によると、ヒスチジン官能性を有する脂質は、ガン細胞を細胞自然死に誘導できることが分かった。
(実施例8)
RT−PCR(逆転写PCR)分析
治療した細胞における遺伝子発現の変化を、治療していない細胞と対比させて、測定するために、半定量的なRT−PDR分析を行った。A549細胞(ATCC)を、トランスフェクションの18−24時間前に、6−ウェルプレートに1ウェルあたり細胞が10となる密度でまいた。ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物(1mmol/mL)のリポソーム30μLを、プレーンなDMEMで1mLまで希釈し、希釈した溶液を5分間緩やかに振った。細胞をpH7.4のリン酸緩衝塩類溶液(PBS)で洗浄(1×100μL)し、細胞に1mLのリポソーム溶液を添加した。培養の4時間後、その培地を、10%FBSを含む新鮮で完全な培地に交換した。それから、細胞を、37℃、5%のCOを含む加湿雰囲気化で24時間、培養した。トランスフェクションの24時間後、処理されたリポレックスおよび未処理の細胞を、TRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen)を用いて6−ウェルプレートに直接溶解させた後、培地を取り除き、PBS(1mL)で洗浄した。細胞をTRI試薬に溶解させ、細胞の溶解物を何回もピペットで移してモヤを取り除いた。細胞の溶解物を1.5mLの遠心管に入れ、10分後にクロロホルムを追加した。サンプルを密封して15秒間力強く振って、室温で10分間、培養し、4℃、14000Xgで15分間、遠心分離した。遠心分離に続いて、混合物を、下の赤いフェノール−クロロホルム相、中間相、および上の透明な水溶相に分離した。RNAは、もっぱら水相に存在する一方、DNAおよびタンパク質は、中間層および有機相にある。水相を新鮮なチューブに移し、0.8mLのイソプロパノールをピペットにより添加して混合し、−20℃で15分間維持し、4℃、20000gで20分間遠心分離した。その浮遊物を除去し、RNAペレットを、冷たい75%エタノールを500μL用いて洗浄し、4℃、20000gで10分間遠心分離した。エタノールを吸引し、チューブを反転させ、ペレットを空気乾燥させた。最後に、RNAペレットを、水で処理したDEPC15μLに溶解させ、260nmおよび280nmでのODと濃度を測定し、RNAの純度を算出した。260nmおよび280nmでの吸光度の比率によると、mRNAの純度(260nmおよび280nmでの吸光度の比率、Abs260/Abs280、純粋なRNAは1.8−2.1)が分かり、[A260×希釈係数×40]によると、RNAの濃度がμg/mLで分かる。8μgのRNAを、ランダムヘキサマーと一緒に第1ストランドのcDNA合成キット(Super script III、Invitrogen)を用いて、最終的な量が20μLとなるように、第1ストランドのcDNA合成を行った。つまり、PCR装置において、PCRチューブに、単離されたRNAを8μL(1μg/μL)、ポライマーを1μL、そしてdNTPを1μL、混合して65℃で5分加熱し、4℃まで冷却した。別のPC
Rチューブに、10×RTバッファーを2μL、25mMのMgClを4μL、0.1MのDTTを2μL、RNAse out(40U/μL)を1μL、およびsuperscript IIIを1μL、混合した。両方のPCRチューブの溶液を混合し、25℃で10分、5
0℃で50分、85℃で5分、そして4℃で30分で、逆転写反応を行った。cDNA混合物の一定分量(2.5μL)について、Platinum(R) PCR SuperM
ix(Eppendroff)を用いたPCR法により、Bcl−2、Bcl−XL、Bax、PI3k、カスパーゼ−9および18S RNAのcDNA(ローディング対照用として)を増幅させた。増幅させる溶液には、2.5μLのcDNA+2μLのプライマー(正逆、50ng/μL)+25.5μLのPCR混合物が含まれている。増幅を35サイクル行った。上記遺伝子の増幅での温度サイクルは以下のようにした。初期変性工程では94℃(2分)、変性工程では94℃(30秒)、プライマーのアニーリング工程では53℃(30秒)、伸長工程では72℃(30秒)、最終的な伸長温度が72℃(5分)とした。増幅させた配列を、2%アガロースゲル電気泳動で解析し、UV光の下で0.1%の臭化エチジウムを用いて可視化させた。
用いたプライマー配列:
Bcl2−For 5’−TGCCAGGACGTCTCCTCTCAG−3’
Bcl2−Rev 5’−AGGTATGCACCCAGAGTGATGCAG−3’
Bax Forward 5’−GTT TCA TCC AGG ATC GAG CAG−3’
Bax Reverse 5’−CAT CTT CTT CCA GAT GGT GA−3
Bcl−xL−sense 5′−TTTGAATCCGCCACCATGTCTCAGAGCAACCGGGAGCTG−3′
Bcl−xL−antisense 5′−TTTCTCGAGCTTTCCGACTGAAGAGTGAGCCCA−3′
カスパーゼ 3−Forward:CAGTGGAGGCCGACTTCTTG
カスパーゼ 3−Reverse:TGGCACAAAGCGACTGGAT
カスパーゼ 9−sense 5’−CGGAAGCGGACTGAGGCGGC−3’カスパーゼ 9−antisense 5’−CCAATGTCCACTGGTCTGG−3’
18S− Forward:GCAATTATTCCCCATGAACG
18S− Reverse:GGCCTCACTAAACCATCCAA
結果:細胞をHD−16およびHE−16のリポソームで治療したときに、Bcl−2およびBcl−xLのmRNAレベルが著しく減少することが観察された。しかし、その他の脂質HD−18およびHE−18では、Bcl−2およびBcl−xL遺伝子が著しく減少することは確認されなかった。興味深いことに、脂質HD−16、HD−18、HE−16およびHE−18では、アポトーシス促進性遺伝子の発現において上昇したのと同様に、カスパーゼ3およびカスパーゼ9においても上昇することが示された。これらすべてのレーンにおいて、18S m−RNAは、ローディング対照用として用いた(図1
1)。総合すると、図11によれば、様々なアポトーシスのシグナル伝達経路は、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物でガン細胞を培養することにより、活性化することができることが分かる。
(実施例9)
腫瘍成長抑制試験
複数の、生後6−8週のメスのC57BL/6マウス(それぞれ体重が20〜22g)をインドのハイデラバードのNINで購入し、動物用ガイドラインで維持する動物用の小屋で飼育した。0日目に、30ゲージの針が取り付けられた注射器を用いて、マウスの右
脇腹に、1×10のB16F1細胞を含む100μLのハンクス緩衝塩溶液を注射した。14日目に腫瘍が見えるようになったら、マウスを無作為に6つのグループに分類し、各グループ(n=5)に、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGを含み、ヒスチジン官能性を有する脂質およびデキサメタゾンのリポソーム製剤(モル比率として、ヒスチジン官能性を有する脂質:DOPC:Q16TGが1:1:1)、あるいは、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGのみ(対照用として、モル比率1:1で含む)を、14日目、16日目、18日目、21日目および24日目に、マウス1匹あたり150μMずつ、腫瘍箇所に注射した。腫瘍体積(垂直に測った腫瘍の長さの最大値をa、最小値をbとしたとき、V=1/2.ab)をノギスにより27日間にわたって測定した。結果を、+/−SDで表わしている(P<0.01vsHD16、および、**P<0.005vs対照)。
結果:図12(部分AおよびB)に示すように、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物およびデキサメタゾンを用いると、対照となる未治療のマウスにおける腫瘍成長の抑制と比べて、腫瘍成長をかなり抑制できることが観察された。しかし、HD−16およびHE−16は、腫瘍成長抑制において最も高い特性を示した。HD−18、HD−18およびデキサメタゾンのリポソーム製剤は、腫瘍成長の抑制が緩やかであった。ヒスチジン官能性を有する脂質、その他のリポソーム原料が、腫瘍成長抑制能で観察された媒介において重要な役割を担うことを確認するため、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGのみを含むリポソーム(モル比率で1:1含む)を対照として用いた。重要なことに、Q16TGおよびDOPCのみを含む対照用のリポソーム製剤は、腫瘍成長抑制効果をまったく示さなかった(図12)。
(実施例10)
TUNEL試験
複数の、生後6−8週のメスのC57BL/6マウス(それぞれ体重が20〜22g)をインドのハイデラバードのNINで購入し、動物用ガイドラインで維持する動物用の小屋で飼育した。0日目に、30ゲージの針が取り付けられた注射器を用いて、マウスの右脇腹に、1×10のB16F1細胞を含む100μLのハンクス緩衝塩溶液を注射した。腫瘍の平均体積が〜2000mmに到達したら、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤、および、対照用として、DOPCおよびヘルパー脂質Q16TGのみを含むリポソームを、悪性のB16腫瘍をもつマウスの腫瘍内に3日間連続して注射した。マウスは注射の24時間後には死亡した。その腫瘍を摘出し、5μmの厚さに凍結切片し、4%のホルムアルデヒドで固定させた。固定させた凍結部分をプロメガのTUNEL試験キットを用いて、アポトーシス細胞を標識するメーカのプロトコルに従って、着色した。続いて、腫瘍の凍結切片に、抗VE−カドヘリン単クローン抗体(内皮細胞マーカー、Satna Cruz)で免疫染色し、その後、腫瘍血管系を特定するために、テキサスレッドを付着させ、二次抗体処理した。抗VE−カドヘリン単クローン抗体(PBSにおいて1:100、100μl/区画)を、同じスライドに2時間、添加し、その後、PBS(3×10mL)で洗浄した。テキサスレッドが付着した二次抗体(PBSにおいて1:200、100μl/区画)をスライドに添加し、1時間培養した。最後に、これらのスライドをPBS(3×10mL)で洗浄し、空気乾燥させた。落射蛍光顕微鏡(100倍率)に、スライドを乗せ、DNA断片化を緑色の領域で可視化し、内皮細胞マーカーを赤色の領域で可視化した。
結果:蛍光顕微鏡により、緑色蛍光(TUNEL、陽性)および赤色蛍光(内皮細胞、陽性)のかなりの量が可視化された(図13、部分AおよびB)。興味深いことに、図13に示すように、融合区画C(部分AとBとの混合)には黄色、緑色、赤色があることが示されている。黄色(緑色と赤色との混合による)があることから、腫瘍血管内皮細胞において細胞自然死が生じていることが確認された。緑色蛍光で標識された細胞が多量にあ
ることから、腫瘍細胞の細胞自然死が同時に生じていることが確認された。これらの知見から、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤は、腫瘍細胞および腫瘍血管内皮細胞の両方を細胞自然死に誘導できることがわかる。
以下の特許は、過去に報告された抗ガン剤化合物を進展させた例である。
1.Shaw等。乳ガン治療のための、シスプラチンおよび葉酸の投与(U.S. Pat no. 6,297,245 October 2, 2001)
2.Backel等。血管新生、内皮の増殖または腫瘍成長を抑制する方法(U.S. Pat. No. 5,843,925 December 1, 1999.)。
3.Brooks等。血管新生の抑制に有用な方法および組成物(U.S. Pat. No.5, 753,230. May 19, 1998.)。
4.Danter等。反応抑制剤およびガン治療方法(U.S. Pat. No. 8,138,191. March 20, 2012.)
(本発明の利点)
(1)本発明のヒスチジン官能性を有する脂質は、商業的に入手可能な疎水性の抗ガン剤、例えばデキサメタゾン、のリポソーム製剤よりも、ガン細胞に対して高い細胞毒性を示す。
(2)本発明のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物は、腫瘍細胞および腫瘍血管内皮細胞の両方を細胞自然死に誘導することができる。
(3)前記化合物は、肺ガン、メラノーマ、乳ガン、結腸もしくは卵巣ガンなどの様々なタイプのガンの治療に有用である。
(4)前記化合物は、他の抗ガン剤または遺伝子と組み合わせた治療に用いることができる。
(5)ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物のリポソーム製剤を用いることにより、腫瘍成長を大きく抑制することができる。

Claims (25)

  1. 式1に示す、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物。
    (式1)
    式中、RおよびRは、それぞれ独立してH(hydrogen)または親油性部分であって、同時にH(hydrogen)ではなく、Xは、Cl(chlorine)またはBr(bromine)であ
    り、nは、炭素数1〜2であり、前記親油性部分がC8−24のアルキル基、モノ不飽和、ジ不飽和およびトリ不飽和のアルケニル基からなる群から選択される。
  2. 前記化合物は、式Aおよび式Bから選択される、請求項1に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物。
    式中、RおよびRは、それぞれ独立してH(hydrogen)または親油性部分であって、同時にH(hydrogen)ではなく、Xは、Cl(chlorine)またはBr(bromine)であ
    り、前記親油性部分が、C8−24のアルキル基、モノ不飽和、ジ不飽和、およびトリ不飽和のアルケニル基からなる群から選択される。
  3. 前記化合物は、
    (i):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,4−ビス(ヘキサデシルオキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(HD16)
    (ii):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,4−ビス(オクタデシルオキシ)−1,4−ジオキソブタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(HD18)
    (iii):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,5−ビス(ヘキサデシル
    オキシ)−1,5−ジオキソペンタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−イミダゾール−3−イウムクロリド(HE16)、および
    (iv):2−((S)−2−アンモニオ−3−((R)−1,5−ビス(オクタデシルオキシ)−1,5−ジオキソペンタン−2−イルアミノ)−3−オキソプロピル)−1H−
    イミダゾール−3−イウムクロリド(HE18)
    からなる群から選択される、請求項1に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物。
  4. 前記化合物は、細胞自然死を引き起こし、腫瘍血管内皮細胞および腫瘍細胞の両方での血管新生を抑制する、請求項1に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物。
  5. 前記化合物は、濃度10〜17マイクロモルの範囲で、ガン細胞に細胞毒性効果を発現する、請求項1に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物。
  6. 前記化合物は、細胞生存経路上のbCL−2およびNF−kBを抑制する、請求項1に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物。
  7. 前記化合物は、1回あたり、3.0〜3.5mg/kgの投薬で、腫瘍の成長を70〜90%抑制する、請求項1に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物。
  8. 式1に示す、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセスであって、
    (a)極性非プロトン性溶媒中で、カップリング剤およびラセミ化抑制剤の存在下で、脂肪族アルコールにN Boc保護誘導体を連結させた後、精製することにより、式2に示す化合物を得る工程、
    (b)工程(a)で得られた式2の前記化合物を、脱保護剤としてTFA(トリフルオロ酢酸)を用いて脱保護させ、ろ過することにより、式3に示す化合物を得る工程、
    (c)極性非プロトン性溶媒中で、カップリング剤およびラセミ化抑制剤の存在下で、工程(b)で得られた式3の前記化合物にN Boc保護ヒスチジンを添加した後、精製することにより、式4に示される化合物を得る工程、
    (d)極性非プロトン性溶媒および脱保護剤としてのTFAの存在下で、工程(c)で得られた式4の前記化合物を反応させた後、イオン交換クロマトグラフィにより、式1に示す化合物を得る工程、
    を有する、ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセス。
    (式2)
    (式3)
    (式4)
  9. 前記脂肪族アルコールが、炭素数が8〜24の飽和もしくは不飽和のアルコールからなる群から選択される、請求項8に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセス。
  10. 前記極性非プロトン性溶媒が、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンおよびトリエチルアミンからなる群から選択される、請求項8に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセス。
  11. 前記カップリング剤が、EDCI(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、およびDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)からなる群から選択される、請求項8に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセス。
  12. 前記ラセミ化抑制剤が、HOBtおよびHOAtからなる群から選択される、請求項8に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセス。
  13. 前記N Boc保護誘導体が、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群から選択
    される、請求項8に記載のヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物を作製するプロセス。
  14. 式1に示すヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物、混合脂質およびポリアニオン性化合物、任意で、生理学的に許容できる添加剤を含む、リポソーム製剤。
  15. 前記カチオン性両親媒性化合物が、単独、もしくはヘルパー脂質との組み合わせである、請求項14のリポソーム製剤。
  16. 前記混合脂質が、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルホスホコリン、ホスファチジルグリセロール、コレステロール、1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、および1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホコリン(DOPC)からなる群から選択される、請求項14のリポソーム製剤。
  17. 前記ヘルパー脂質が、N,N−ジ−n−ヘキサデシル−N−[2−グアニジニル]エチル−N−メチルアンモニウムクロリド(Q16TG)である、請求項14のリポソーム製剤。
  18. カチオン性両親媒性化合物と混合脂質とヘルパー脂質とのモル比率が、1:1:1〜3
    :2:1である、請求項14のリポソーム製剤。
  19. 前記ポリアニオン性化合物が、アニオン性の合成リン脂質である、請求項14のリポソーム製剤。
  20. 前記生理学的に許容できる添加剤が、生理食塩水および5%グルコース溶液からなる群から選択される、請求項14のリポソーム製剤。
  21. 前記カチオン性両親媒性化合物の使用量が濃度2〜30マイクロモルであるときに、細胞傷害性を示す、請求項14のリポソーム製剤。
  22. リポソーム製剤の作製方法であって、
    (a)メタノールおよびクロロホルムの混合物に、カチオン性両親媒性化合物、混合脂質およびヘルパー脂質をモル比率1:1:1〜3:2:1の範囲で溶解し、水分フリーな窒素ガスを少なく流しながら、前記溶媒を揮発させることにより、脂質膜を得る、
    (b)工程(a)で得られた前記脂質膜を真空乾燥させる、
    (c)乾燥した前記脂質膜を滅菌脱イオン水に水和させる、
    (d)前記工程で得られた混合物を撹拌して脂質膜の付着物を取り除き、撹拌した混合物を、超音波洗浄機を用いて室温で超音波洗浄して多重膜小胞(MLVs)を作製し、得られたMLVsをTiの超音波プローブで超音波洗浄して、純粋で半透明な単層小胞(SUVs)を作製する、
    ことを有する、リポソーム製剤の作製方法。
  23. 前記混合脂質が、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルホスホコリン、ホスファチジルグリセロール、コレステロール、1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホエタノールアミン(DOPE)、および1,2−syn−ジオレオイルグリセロホスホコリン(DOPC)からなる群から選択される、請求項22に記載のリポソーム製剤の作製方法。
  24. 前記ヘルパー脂質が、N,N−ジ−n−ヘキサデシル−N−[2−グアニジニル]エチル−N−メチルアンモニウムクロリド(Q16TG)である、請求項22に記載のリポソーム製剤の作製方法。
  25. 前記工程(a)で用いるクロロホルムおよびメタノールの比率が、1:1〜4:1の範囲内である、請求項22に記載のリポソーム製剤の作製方法。
JP2015546152A 2012-12-07 2013-12-06 ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物およびその製造プロセス、並びにリポソーム製剤 Pending JP2016501887A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
IN3767DE2012 2012-12-07
IN3767/DEL/2012 2012-12-07
PCT/IN2013/000751 WO2014087429A1 (en) 2012-12-07 2013-12-06 Histidinylated cationic amphiphiles, process for preparation thereof and their liposomal formulation

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016501887A true JP2016501887A (ja) 2016-01-21

Family

ID=49989873

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015546152A Pending JP2016501887A (ja) 2012-12-07 2013-12-06 ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物およびその製造プロセス、並びにリポソーム製剤

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20150315154A1 (ja)
EP (1) EP2928871B1 (ja)
JP (1) JP2016501887A (ja)
WO (1) WO2014087429A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018096853A1 (ja) * 2016-11-25 2018-05-31 学校法人近畿大学 新規なペメトレキセドのメドキソミル及びヘミアセタール型エステル、その製法、並びにエステルプロドラッグ含有医薬組成物

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07505371A (ja) * 1992-04-03 1995-06-15 バイオケム ファーマ インコーポレイテッド 免疫調節活性を有する新規親油性オリゴペプチド
JP2005517739A (ja) * 2002-02-19 2005-06-16 ノヴォソム アクチェンゲゼルシャフト 両性リポソームを製造するための成分
WO2006118327A1 (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Oxygenix Co Ltd カチオン性アミノ酸型脂質
JP2010513354A (ja) * 2006-12-19 2010-04-30 ノヴォソム アクチェンゲゼルシャフト トランスフェクションエンハンサー要素を含む脂質および脂質集合体
CN102603866A (zh) * 2012-03-15 2012-07-25 中国药科大学 基于寡肽的pH敏感型两性离子及其在药剂中的应用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5753230A (en) 1994-03-18 1998-05-19 The Scripps Research Institute Methods and compositions useful for inhibition of angiogenesis
US5843925A (en) 1994-12-13 1998-12-01 American Cyanamid Company Methods for inhibiting angiogenesis, proliferation of endothelial or tumor cells and tumor growth
US6297245B1 (en) 1998-08-04 2001-10-02 Unitech Pharmaceuticals Cisplatin and folic acid administered to treat breast cancer
CA2730890C (en) 2008-07-17 2018-05-15 Critical Outcome Technologies Inc. Thiosemicarbazone inhibitor compounds and cancer treatment methods

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07505371A (ja) * 1992-04-03 1995-06-15 バイオケム ファーマ インコーポレイテッド 免疫調節活性を有する新規親油性オリゴペプチド
JP2005517739A (ja) * 2002-02-19 2005-06-16 ノヴォソム アクチェンゲゼルシャフト 両性リポソームを製造するための成分
WO2006118327A1 (ja) * 2005-04-27 2006-11-09 Oxygenix Co Ltd カチオン性アミノ酸型脂質
JP2010513354A (ja) * 2006-12-19 2010-04-30 ノヴォソム アクチェンゲゼルシャフト トランスフェクションエンハンサー要素を含む脂質および脂質集合体
CN102603866A (zh) * 2012-03-15 2012-07-25 中国药科大学 基于寡肽的pH敏感型两性离子及其在药剂中的应用

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BIOCONJUGATE CHEM., vol. 19(5), JPN6017031296, 2008, pages 1055 - 1063, ISSN: 0003623699 *
GENE THERAPY, vol. 10, JPN6017031298, 2003, pages 1206 - 1215, ISSN: 0003623700 *
MOLECULAR MEMBRANE BIOLOGY, vol. 23(5), JPN6017031300, 2006, pages 385 - 395, ISSN: 0003623701 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018096853A1 (ja) * 2016-11-25 2018-05-31 学校法人近畿大学 新規なペメトレキセドのメドキソミル及びヘミアセタール型エステル、その製法、並びにエステルプロドラッグ含有医薬組成物

Also Published As

Publication number Publication date
EP2928871B1 (en) 2017-02-01
WO2014087429A1 (en) 2014-06-12
EP2928871A1 (en) 2015-10-14
US20150315154A1 (en) 2015-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang et al. The use of mitochondrial targeting resveratrol liposomes modified with a dequalinium polyethylene glycol-distearoylphosphatidyl ethanolamine conjugate to induce apoptosis in resistant lung cancer cells
EP2135600B1 (en) Targeting agent for cancer cell or cancer-associated fibroblast
US6825166B2 (en) Molecular conjugates for use in treatment of cancer
CN105283441B (zh) 用于递送药剂的二硫化合物
JP6997862B2 (ja) 生分解性化合物、脂質粒子、脂質粒子を含む組成物、およびキット
JP6887020B2 (ja) 生分解性化合物、脂質粒子、脂質粒子を含む組成物、およびキット
US20130210744A1 (en) Targeting agent for cancer cell or cancer-associated fibroblast
EP4434546A1 (en) Novel acid-sensitive aptamer triptolide conjugate and application
CN104306332A (zh) 一种喜树碱类磷脂化合物、其药物组合物及应用
WO2008144747A2 (en) Lipoproteins, lipopeptides and analogs, and methods for making and using them
US11312685B2 (en) Targeting nanoparticles
KR101000358B1 (ko) 인테그린 αⅤβ3 결합성 지질 유도체 및 그를 포함하는 지질 나노입자
JP2016501887A (ja) ヒスチジン官能性を有するカチオン性両親媒性化合物およびその製造プロセス、並びにリポソーム製剤
CN110522923A (zh) 果糖和rgd肽共修饰的双重靶向三阴性乳腺癌的脂质材料
JP6826014B2 (ja) 生分解性化合物、脂質粒子、脂質粒子を含む組成物、およびキット
CN116262132B (zh) 抗胰腺癌多肽药物偶联物及其无载体自组装纳米药物和制备方法及应用
RU2385324C1 (ru) Корректор паранеопластических повреждений и токсических эффектов цитостатической полихимиотерапии
US20240009321A1 (en) Immunogenic nanovesicles for cancer immunotherapy
JP2024503441A (ja) イオン化可能な脂質を含むナノ材料
WO2023236824A1 (zh) 一种树状样脂质化合物、脂质体、脂质复合物、脂质纳米颗粒及其应用
EP2543659A1 (en) Dendrimers as non-viral vehicles for gene therapy
US20210128592A1 (en) REVERSING THE UNDESIRABLE pH-PROFILE OF DOXORUBICIN VIA ACTIVATION OF A DISUBSTITUTED MALEAMIC ACID PRODRUG AT TUMOR ACIDITY
EP3535238B1 (en) Aminooxylipids for the construction of self-assembling liposomal systems enabling their subsequent modification by biologically functional molecules
WO2022208546A1 (en) A nanoformulation for glioma treatment and process for its preparation thereof
JP2020536104A (ja) 抗がんペプチド及びその使用

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160629

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161111

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170817

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170825

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20171122

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180316