JP2016500701A - ポリスルフィド混合物、その製造方法、およびゴム混合物におけるポリスルフィド混合物の使用 - Google Patents

ポリスルフィド混合物、その製造方法、およびゴム混合物におけるポリスルフィド混合物の使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、式(I)[式中、カチオンK1+およK2+は相互に独立して、任意の所望の一価であるか、またはn価のカチオンの1/nであり、mは0、1、および/または2である]の2種以上の化合物を含むポリスルフィド混合物、それらのポリスルフィド混合物の製造方法、ゴム混合物におけるそれらのポリスルフィド混合物の使用、ゴム混合物、それらから製造されるゴム加硫物、ならびにそれらの使用に関する。

Description

本発明は、新規なポリスルフィド混合物、それらのポリスルフィド混合物の製造方法、ゴム混合物におけるポリスルフィド混合物の使用、それらから製造されるゴム加硫物、およびそれらの使用に関する。
シリカ含有ゴム混合物は、たとえば転がり抵抗性を抑制したタイヤを製造するための重要な出発物質である。それらは、(充填剤としてカーボンブラックのみを含むタイヤよりも)低い転がり変形エネルギーしか必要とせず、それにより、燃料消費量が抑制される。多くの国で、タイヤ上に転がり抵抗性を示す表示の義務化が決定されてきたため、この抵抗性をさらに低下させることに多大な関心が寄せられている。
たとえば(特許文献1)に記載されているように、ポリスルフィド系シランが、加硫物の物理的性質を改良するための補強用添加剤として使用されている。そのようにして得られるゴム加硫物の物性プロファイルは、依然として理想的なものではない。転がり抵抗性の改良に加えて、特に望ましい特性は、そのゴム混合物の粘度(ムーニー粘度、ML1+4 /100℃)が低いことであり、それによって加工性も改良される。この目的のために、その他のさらなる物質、たとえば脂肪酸エステル、脂肪酸塩、および鉱油などが提案されてきた。それらは、流動性は向上させるものの、それと同時に、比較的に高い伸び(たとえば、100%〜300%)のときの加硫物の弾性率を低下させるか、そうでなければ、それらの硬度を低下させ、そのために、充填剤の補強効果の幾分かが失われてしまう。しかし、加硫物の硬度や剛性が不足すると、特にカーブにおけるタイヤの走行性能が不十分なものとなる。補強用充填剤の割合を増やしたり、可塑剤のオイルの割合を減らしたりすることによって、加硫物の硬度を上げることは可能ではあるが、これら二つの方策のそれぞれが、加工の際の混合物の粘度をより高くするという欠点を有している。
(特許文献2)には、グリコール官能基を含み、良好な機械的性質および改良されたヒステリシス性能を有する添加剤が記載されている。しかし、(特許文献1)に記載のビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィドと比較すると、それらの実施例では、転がり抵抗性(60℃でのtanδ)についての改良がまったく認められない。
(特許文献3)では、SBRにおいてポリスルフィド系シランを特定の加硫戻り安定剤と組み合わせて使用することによって、物理的性質の改良が達成されているが、この場合においても、混合物の粘度または転がり抵抗性(60℃でのtanδ)のいずれにおいても、従来技術に比較して顕著な変化は達成されていなかった。
今日までのところ未公開である(特許文献4)の出願には、理想化された構造(II)を有する化合物の使用の記載がある。(特許文献4)における配合をみると、ポリスルフィドの分離が困難であることから、硫黄原子の数およびアルキレン架橋の数を平均すると式(II)にほぼ相当する各種の化合物の混合物が含まれていることが、ポリスルフィド化合物の分野における当業者には明らかである。その混合物の組成分析はまったく実施されていない。
Figure 2016500701
摩耗性および転がり抵抗性は、理想化された構造(II)を有する化合物を含まない参照混合物の場合よりも低かった。さらには、130℃でのムーニースコーチ時間が長くなるという望ましくない現象も存在した。
独国特許出願公開第2 255 577A号明細書 欧州特許第0 489 313号明細書 欧州特許第1 000 968号明細書 欧州特許出願第11164319号明細書
本発明の目的は、新規なゴム添加剤、それらの製造方法、および、新規なゴム混合物を提供することであり、それらのゴム混合物は、同等または改良されたゴム混合物の流動性を有しており、転がり抵抗性が低下した加硫物を与えることが可能でありながらも、それと同時に、同様に重要であるパラメーターのショアーA硬度、300弾性率、破断時伸び、引張強さ、および摩耗が、実質的に損なわれていない。
欧州特許出願第11164319号明細書に開示されている混合物についてさらに検討すると、これには、54%の式(II)の化合物に加えて、25%の2,2’−ジチオビス安息香酸、および、21%の、S−(CH−S−(CH−Sの鎖が二つの安息香酸残基のそれぞれ2位に結合している化合物が含まれていることが明らかになった。
驚くべきことには、ポリスルフィド混合物中におけるS−(CH−S単位の分布がより狭いと、このポリスルフィド混合物を含むゴム混合物およびそれらの加硫物の物性プロファイルが著しく改良され、それにより本発明の目的が達成されるということが、今や見いだされた。
さらには、ゴム混合物およびそれから得られる加硫物の所望の物性が、理想化された構造(II)を有する化合物を使用することだけではなく、それらの化合物の塩、特に亜鉛塩を使用することによっても達成されるということも見いだされた。
したがって、本発明は、式(I):
Figure 2016500701
[式中、カチオンK およびK は相互に独立して、任意の所望の1価または任意の所望のn価のカチオンの1/nのカチオンであり、かつ、mは、0、1および/または2である]の2種以上の化合物を含むポリスルフィド混合物であって、m=1である化合物の合計した割合が、式(I)のポリスルフィド化合物の全量を基準にして、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%、極めて特に好ましくは93〜99%であることを特徴とする、ポリスルフィド混合物を提供する。本出願の目的では、式(I)の化合物についての定量的データは、実施例3の末尾近くに記載しているタイプの、UV検出器を使用したHPLC測定からの面積パーセントのデータである。
カチオンK およK が相互に独立して、Hであるか、アルカリ金属カチオン、特にはLi、Na、K、1/2アルカリ土類金属カチオン、特には1/2 Mg2+、1/2 Ca2+であるか、1/3 Al3+であるか、またはn価の希土類金属カチオンの1/nのカチオンであるか、または1/2 Zn2+であるのが好ましい。
カチオンK およK が相互に独立して、Hであるか、または1/2 Zn2+であり、特には1/2 Zn2+であるのが極めて特に好ましい。
本発明のポリスルフィド混合物には、合計して、式(I)のポリスルフィド化合物の全量を基準にして、典型的には10%まで、好ましくは7.5%まで、特に好ましくは5%まで、極めて特に好ましくは3%以下の、m=0である式(I)のポリスルフィド化合物が含まれる。
相応に、本発明のポリスルフィド混合物には、合計して、式(I)のポリスルフィド化合物の全量を基準にして、通常は10%まで、好ましくは7.5%まで、特に好ましくは5%まで、極めて特に好ましくは2%未満の、m=2である式(I)のポリスルフィド化合物が含まれる。
本発明のポリスルフィド混合物における、m=0および/またはm=2である式(I)のポリスルフィドの合計した割合は、式(I)のポリスルフィド化合物の全量を基準にして、20%まで、好ましくは15%まで、特に好ましくは10%まで、極めて特に好ましくは1〜7%である。
本発明のポリスルフィド混合物についての元素分析は、通常は22〜32%、好ましくは24〜30%、特に好ましくは27〜29%の硫黄含量を与える。
本発明によるポリスルフィド混合物における式(I)の分子中の硫黄原子の数を平均すると、通常は3.5〜4.5、好ましくは3.7〜4.3、特に好ましくは3.8〜4.2、極めて特に好ましくは3.9〜4.1である。
一つの好ましい実施形態においては、本発明のポリスルフィド混合物には、10%未満、特には3%未満、極めて特には1%未満の副生物または混入物、すなわち式(I)に相当しない化合物が含まれている。
本発明のポリスルフィド混合物の中に混入している元素状の硫黄の量は、典型的には2%未満、好ましくは1%未満、特に好ましくは0.3%未満、極めて特に好ましくは0.1%未満、最も好ましくはゼロである。
本発明のポリスルフィド混合物の中に混入している、メルカプトの群またはスルフェンアミドの群の促進剤の量は、典型的には2%未満、好ましくは1%未満、特に好ましくは0.3%未満、極めて特に好ましくは0.1%未満、最も好ましくはゼロである。
本発明のポリスルフィド混合物の全塩素含量は、典型的には1%未満、好ましくは1000ppm未満、特に好ましくは200ppm未満、極めて特に好ましくは50ppm未満、最も好ましくは10ppm未満である。
本発明にはさらに、2−メルカプト安息香酸またはその塩(III)を、ヘキサメチレン1,6−ビスチオ硫酸塩(IV)と接触させることによる、本発明のポリスルフィド混合物の製造方法もまた含まれる。
Figure 2016500701
ここでのカチオンK およびK は相互に独立して、任意の所望の一価のカチオンであるか、または任意の所望のn価のカチオンの1/nのカチオンであり、好ましくはHであるか、アルカリ金属カチオン、特にはLi、Na、K、1/2アルカリ土類金属カチオン、特には1/2 Mg2+、1/2 Ca2+、1/3 Al3+であるか、またはn価の希土類金属カチオンの1/nのカチオンであるか、または1/2 Zn2+であり、特に好ましくはH、Na、Kであるか、または1/2 Zn2+である。ここでの2個のカチオンK は、同一であるかまたは異なっており、好ましくは同一であって、相互に独立して、任意の所望の一価のカチオンであるか、または任意の所望のn価のカチオンの1/nのカチオンであり、好ましくはアルカリ金属カチオン、特にはLi、Na、K、1/2アルカリ土類金属カチオン、特には1/2 Mg2+、1/2 Ca2+、1/3 Al3+であるか、またはn価の希土類金属カチオンの1/nのカチオンであるか、または1/2 Zn2+であり、特に好ましくはNaである。
一つの特に好ましい実施形態においては、市場で入手可能なヘキサメチレン1,6−ビスチオ硫酸二ナトリウム二水和物を、式(IV)の化合物として使用する。
通常は、式(III)の化合物を、水性媒体または水性−有機媒体中で式(IV)の化合物と接触させ、この場合、不活性ガス雰囲気で実施して、酸化生成物が生成しないようにするのが有利である。
ここでの水性−有機媒体には、水と、1種または複数の有機溶媒、特にはアルコール、エステルおよびエーテルの群の溶媒とが含まれる。
使用する不活性ガスは、反応条件下で、まったく反応しないか、またはほんのわずかしか反応しない、任意のガスであってもよい。貴ガスまたは窒素を使用するのが好ましい。
一つの好ましい実施形態においては、その接触を、アルデヒドおよび/またはケトンの存在下、特にはホルムアルデヒドの存在下で実施する。
その接触を、−5℃〜19℃の範囲、好ましくは0℃〜15℃の範囲、特に好ましくは0℃〜10℃の範囲の温度で実施するのが好ましい。過度に高い温度および長い反応時間、ならびに長い連続撹拌時間は、副生物の量の増大をもたらす。m=1である式(I)の化合物は、0〜10℃の範囲の温度で、極めて高い選択率で得ることができる。20℃以上の温度では、この物質への選択率が早くも低下し、特に、比較的に長い反応時間の場合には、m=1である式(I)の生成物の割合が低下し、それに対して、m=0である式(I)の化合物の割合が増加し、それらをゴムにおいて使用すると、その加硫物の転がり抵抗性を所望通りに低下させることが達成されない。
一つの好ましい実施形態においては、水性媒体、化合物(IV)、およびホルムアルデヒドを初期仕込みとして使用し、その混合物の中に、その塩の水溶液の形態の2−メルカプト安息香酸(III)、すなわち、式(III)の化合物(ここで、K および/またはK はHではない)を計量添加し、ここでそのpHは、好ましくはブレンステッド酸を添加することによって、7〜13、特に好ましくは8〜12、特には9〜11の範囲に維持する。これは、任意の所望の濃度で添加することができるが、希釈した形態で添加するのが好ましい。1種または複数の鉱酸を使用するのが、特に好ましい。次いで、さらなる酸を添加することによって、そのpHを0〜4、特には1〜3の範囲に調節するのが好ましい。そのようにして、mが0、1、および/または2である式(V)の化合物を沈殿させ、式(I)のポリスルフィドに基づく本発明のポリスルフィド混合物(式中、K およびK はHである)を得ることが可能となる。
Figure 2016500701
その中で、カチオンK および/またはK の内の少なくとも一つが、H以外のカチオンである式(I)を有する本発明のポリスルフィドは、(特には、それらの水溶液の形態にある)それらのカチオンK および/またはK の塩を、式(I)のポリスルフィドと接触させることによって製造することができる。この目的で使用するのに好適な塩は、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、硝酸塩、塩酸塩、および酢酸塩、特には硫酸塩である。
上述の塩との接触は、水性媒体中、および好ましくは0〜20℃、特には0〜10℃の温度、および3〜10、好ましくは4〜9、特には5〜8のpH値で実施するのが好ましい。その中でK および/またはK がH以外のカチオンである、式(I)を有する本発明のポリスルフィドは、式(V)の化合物またはそれらの塩を途中で単離することのない、ワンポット法でも有利に製造することができる。
および/またはK がH以外のカチオンである、式(I)を有する本発明のポリスルフィドは、式(III)の化合物を式(IV)の少なくとも1種の化合物と接触させてから、そのポリスルフィドを、カチオンK および/またはK の塩(式中、K および/またはK は、H以外のカチオンである)、好ましくは亜鉛塩、特には硫酸亜鉛と接触させることによって沈殿させることによって得るのが好ましい。
したがって、本発明は、その中でK および/またはK が、好ましくはK およびK が、H以外のカチオン、好ましくは1/2 Zn2+である、式(I)のポリスルフィド化合物もまた提供する。特には、本発明には、K および/またはK が1/2 Zn2+であり、mが1および/または2、特には1である、式(I)のポリスルフィド化合物が含まれる。
および/またはK がH以外のカチオン、好ましくは1/2 Zn2+である式(I)の相当するポリスルフィド化合物は、なかんずく、本発明の製造方法を介することにより得ることが可能である。この種類のポリスルフィド化合物、特にはm=1である化合物、極めて特に好ましくは、m=1であり、K およびK が1/2 Zn2+である化合物は、ゴム混合物において使用したときに、本発明の効果が達成されるので、それらは、本発明のポリスルフィド混合物に相当するとみなされるべきである。
本発明の方法は、特には好ましい実施形態において、本発明のポリスルフィド混合物を極めて高い収率で製造することができる。
式(I)の化合物をベースとする、本発明のポリスルフィド混合物は、製造後は、0〜35℃の温度で保存するのが好ましい。
驚くべきことには、本発明のポリスルフィド混合物が、ゴム混合物の流動性およびそれらのスコーチ時間を改良するのと同時に、比較的に低い転がり抵抗性と比較的に低い摩耗性とを有する加硫物を与えるということが今や見いだされた。
したがって本発明は、少なくとも1種のゴムと、式(I)の化合物をベースとする本発明の1種のポリスルフィド混合物とをそれぞれ含むゴム混合物を提供する。
特には、本発明は、少なくとも1種のゴム、1種の硫黄含有アルコキシシラン、1種のシリカベースの充填剤、および式(I)の化合物をベースとする本発明の1種のポリスルフィド混合物をそれぞれ含む、ゴム混合物を提供する。好ましいゴム混合物には、好ましいポリスルフィド混合物が含まれている。
本発明のポリスルフィド混合物はさらに、部分的または全面的に、不活性な、有機もしくは無機の担体の上に吸収させてから使用することもまた可能である。好ましい担体物質は、シリカ、天然および合成のケイ酸塩、酸化アルミニウム、および/またはカーボンブラックである。
本発明のゴム混合物における本発明のポリスルフィド混合物の合計した含量は、好ましくは0.1〜15phr、特に好ましくは0.3〜7phr、極めて特には0.5〜3phr、最も好ましくは0.7〜1.5phrである。phrという単位は、そのゴム混合物中で使用されているゴム100重量部を基準にした重量部である。
本発明のゴム混合物を製造するために使用できるのは、天然ゴムおよび/または合成ゴムである。好ましい合成ゴムの例は以下のものである:
BR:ポリブタジエン
ABR:ブタジエン/アクリル酸C〜C−アルキルコポリマー
CR:ポリクロロプレン
IR:ポリイソプレン
SBR:スチレン/ブタジエンコポリマー(スチレン含量が、1〜60重量%、好ましくは20〜50重量%のもの)
IIR:イソブチレン/イソプレン・コポリマー
NBR:ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー(アクリロニトリル含量が、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%のもの)
HNBR:部分水素化または完全水素化NBRゴム
EPDM:エチレン/プロピレン/ジエン・コポリマー
および、さらにはそれらのゴムの2種以上の混合物。
本発明のゴム混合物には、少なくとも1種のSBRと少なくとも1種のBRを、特にSBR:BRの重量比が60:40〜90:10の比率で含んでいるのが好ましい。
一つの有利な実施形態においては、本発明のゴム混合物がさらに少なくとも1種のNRを含んでいる。それらが、少なくとも1種のSBR、少なくとも1種のBR、および少なくとも1種のNRを含んでいるのが特に好ましく、そこでのSBR:BR:NRの重量比が、60〜85:10〜35:5〜20であるのが極めて特に好ましい。
本発明のゴム混合物のために好適な硫黄含有アルコキシシランの例としては、以下のものが挙げられる:ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン(たとえば、Si 69、Evonik製)、およびビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン(たとえば、Si 75、Evonik製)、3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンチオール、ポリエーテル官能性メルカプトシラン(たとえば、Si 363、Evonik製)、およびチオエステル官能性アルコキシシラン(たとえば、NXTまたはNXT Z、Momentive(旧GE)製)。硫黄含有アルコキシシランの混合物を使用することもまた可能である。計量の容易性および/または分散の容易性を改良する目的で、液状の硫黄含有アルコキシシランを担体の上に吸収させておくことも可能である(乾燥液体)。活性成分の含量は、乾燥液体100重量部あたり、30〜70重量部、好ましくは40〜60重量部である。
本発明のゴム混合物における硫黄含有アルコキシシランの割合は、それぞれ100%強度にある活性成分として計算して、好ましくは2〜20phr、特に好ましくは3〜11phr、極めて特に好ましくは5〜8phrである。硫黄含有アルコキシシランの量が、式(I)の化合物をベースとする本発明のポリスルフィド混合物の量に等しいか、それよりも多いのが好ましい。硫黄含有アルコキシシランの、式(I)の化合物をベースとする本発明のポリスルフィド混合物に対する重量比は、特に好ましくは1.5:1〜20:1、極めて特に好ましくは3:1〜15:1、最も好ましくは5:1〜10:1である。
本発明において好ましいゴム混合物にはさらに、1種または複数のシリカベースの充填剤が含まれる。ここで好適に使用される物質は、以下のものである:
− シリカ、特に沈降シリカまたはヒュームドシリカ、たとえばケイ酸塩の溶液の沈降またはケイ素のハロゲン化物の火炎加水分解によって製造され、5〜1000m/g、好ましくは20〜400m/gの比表面積(BET表面積)と、10〜400nmの一次粒径とを有するもの。それらのシリカは、任意選択的に、他の金属の酸化物たとえばAl酸化物、Mg酸化物、Ca酸化物、Ba酸化物、Zn酸化物、Zr酸化物、またはTi酸化物との混合酸化物の形態をとることもできる。
− 合成ケイ酸塩、たとえばケイ酸アルミニウム、アルカリ土類金属のケイ酸塩、たとえば、ケイ酸マグネシウムもしくはケイ酸カルシウムで、20〜400m/gのBET表面積と、10〜400nmの一次粒径とを有するもの。
− 天然のケイ酸塩、たとえばカオリンおよびその他の天然産のシリカ。
− ガラス繊維(マットおよびストランドの形態のものを含む)。
− ガラスミクロスフェア。
言うまでもないことであるが、追加の充填剤を使用することも可能である。ランプブラック法、ファーネスブラック法、またはガスブラック法によって製造したカーボンブラックが、この目的には特に好適であり、それらのもののBET表面積は20〜200m/gであり、たとえば、SAF、ISAF、IISAF、HAF、FEF、またはGPFカーボンブラックである。
充填剤の合計した含量は、好ましくは10〜200phr、特に好ましくは50〜160phr、極めて特に好ましくは60〜120phrである。
シリカ、カーボンブラック、および本発明のポリスルフィド混合物を組み合わせることにより、特に好ましい実施形態が得られる。ここでのシリカ対カーボンブラックの比率は、任意の所望の範囲内で変化させることができるが、タイヤ用途の場合では、シリカ:カーボンブラックの重量比が20:1〜1.5:1であるのが好ましい。
一つの好ましい実施形態においては、本発明のゴム混合物にはさらに、1種または複数の架橋剤が含まれる。この目的のためには、硫黄ベースの架橋剤またはペルオキシド系架橋剤が特に好適であり、ここでは硫黄ベースの架橋剤が特に好ましい。
好適に使用されるペルオキシド系架橋剤としては、以下のもの挙げられる:ビス(2,4−ジクロロベンジル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、4,4−ジ−tert−ブチルペルオキシノニルバレレート、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン。
それらペルオキシド系架橋剤と並行して、有利に使用することが可能なさらなる他の添加物は、架橋収率を向上させることが可能なものであり、この目的のために好適な化合物の例としては以下のものが挙げられる:トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルトリメリテート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛ジメタクリレート、1,2−ポリブタジエン、およびN,N’−m−フェニレンジマレイミド。
硫黄は、元素状の可溶性もしくは不溶性の形態、または硫黄供与体の形態で、架橋剤として使用することができる。使用可能な硫黄供与体としては、以下のものが挙げられる:ジモルホリルジスルフィド(DTDM)、2−モルホリノジチオベンゾチアゾール(MBSS)、カプロラクタムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、およびテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)。
本発明のゴム混合物の架橋は、原理的には、硫黄または硫黄供与体単独、または加硫促進剤を併用して達成することができ、それに適した化合物の例としては以下のものが挙げられる:ジチオカルバメート、チウラム、チアゾール、スルフェンアミド、キサントゲネート、二環または多環のアミン、グアニジン誘導体、ジチオホスフェート、カプロラクタム、およびチオ尿素誘導体。好適なその他の化合物としてはさらに、亜鉛ジアミンジイソシアネート、ヘキサメチレンテトラミン、1,3−ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン、さらには環状ジスルファンがある。本発明のゴム混合物が硫黄ベースの架橋剤と加硫促進剤を含んでいるのが好ましい。
特に好適に使用される架橋剤は、硫黄、酸化マグネシウム、および/または酸化亜鉛であり、公知の加硫促進剤、たとえばメルカプトベンゾチアゾール、チアゾールスルフェンアミド、チウラム、チオカルバメート、グアニジン、キサントゲネート、およびチオホスフェートがそれらに添加される。
架橋剤および加硫促進剤の好適な使用量は、0.1〜10phr、特には0.1〜5phrである。
本発明のゴム混合物には、たとえば以下のような、その他のゴム助剤を含んでいてもよい:反応促進剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、抗酸化剤、および特に、オゾン劣化防止剤、難燃剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、可塑剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、エキステンダー、有機酸、リターダー、金属酸化物、および活性化剤、特にトリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール、および加硫戻り防止剤。
それらのゴム助剤使用量は、慣用される量であり、なかんずくその加硫物の使用目的に依存する。慣用される量は、0.1〜30phrである。
使用される好適な老化防止剤としては、以下のものが挙げられる:アルキル化フェノール、スチレン化フェノール、立体障害フェノールたとえば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、エステル基を含む立体障害フェノール、チオエーテルを含む立体障害フェノール、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)(BPH)、およびさらには立体障害チオビスフェノール。
ゴムの変色が重要でないのならば、たとえば以下のようなアミン系の老化防止剤を使用することも可能である:ジアリール−p−フェニレンジアミン(DTPD)の混合物、オクチル化ジフェニルアミン(ODPA)、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、フェニル−β−ナフチルアミン(PBN)、好ましくはフェニレンジアミンをベースとするもの、たとえば、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(7PPD)、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン(77PD)。
その他の老化防止剤としては、以下のものが挙げられる:ホスファイトたとえば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、重合化2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール(MMBI)、亜鉛メチルメルカプトベンゾイミダゾール(ZMMBI)。これらのものは、ほとんどの場合、上述のフェノール性老化防止剤と組み合わせて使用される。ペルオキシド加硫するNBRでは主として、TMQ、MBI、およびMMBIが使用される。
オゾン抵抗性は、たとえば以下のような抗酸化剤を使用することにより改良することができる:N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(7PPD)、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン(77PD)、エノールエーテル、または環状アセタール。
加工助剤は、ゴム粒子の間で作用させ、混合、可塑化、および変形の際の摩擦力を打ち消すことを目的としている。本発明のゴム混合物には、加工助剤として、プラスチックの加工において慣用される任意の潤滑剤が含まれていてよく、そのようなものとしてはたとえば以下のものが挙げられる:炭化水素たとえばオイル、パラフィン、およびPEワックス、6〜20個のC原子を有する脂肪族アルコール、ケトン、カルボン酸たとえば脂肪酸およびモンタン酸、酸化させたPEワックス、カルボン酸の金属塩、カルボキサミド、ならびにたとえば、アルコールとしてエタノール、脂肪族アルコール、グリセロール、エタンジオール、ペンタエリスリトール、および酸成分として長鎖カルボン酸を用いたカルボン酸エステル。
本発明のゴム混合物の組成にはさらに、燃焼性を抑制するため、および燃焼の際の発煙性を抑制するための難燃剤を含んでいてもよい。この目的のために使用される物質の例としては、以下のものが挙げられる:三酸化アンチモン、リン酸エステル、クロロパラフィン、水酸化アルミニウム、ホウ素化合物、亜鉛化合物、三酸化モリブデン、フェロセン、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウム。
架橋させるより前に、そのゴム加硫物に対して、たとえばポリマー性の加工助剤として、または耐衝撃性改良剤として機能する、他のプラスチックを添加することもまた可能である。それらのプラスチックは、好ましくは以下のものからなる群より選択される:エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、分岐状または非分岐状のC〜C10−アルコールのアルコール成分を有するアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルをベースとするホモポリマーおよびコポリマー。特に好ましいのは、C〜C−アルコール、特にブタノール、ヘキサノール、オクタノール、および2−エチルヘキサノールの群からの同一または異なったアルコール部分を有するポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチルのコポリマー、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチルのコポリマー、エチレン−酢酸ビニルのコポリマー、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレンのコポリマー、およびエチレン−プロピレンジエンのコポリマーである。
一つの好ましい実施形態においては、本発明のゴム混合物には、0.1〜15phrの加硫戻り防止剤、1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン(CAS No.:151900−44−6)が含まれていて、その結果、tanδ(60℃)の低下、すなわち転がり抵抗性の低下、摩耗値の改良、ならびにスコーチ時間の短縮および完全加硫時間の短縮が達成される。
本発明のゴム混合物の好ましい特性は、170℃/t95の加熱条件下でそれから製造された加硫物の60℃での損失係数tanδが、0.16未満、特には0.12未満、特には0.11未満でありながらも、そのショアーA硬度(23℃)が66よりも高いということである。このことと組み合わせて、本発明のゴム混合物はさらに、2000秒未満の完全加硫時間も達成することができる。
本発明はさらに、少なくとも1種のシリカベースの充填剤、1種の硫黄含有アルコキシシラン、および少なくとも1種の本発明のポリスルフィド混合物を用いた少なくとも1種のゴムを混合することを介する、ゴム混合物の製造方法も提供する。この場合、以下の量で使用するのが好ましい:10〜150phr、特には30〜120phr、極めて特には50〜100phrの充填剤;0.1〜15phr、特には0.3〜7phr、極めて特には0.5〜3phr、最も好ましくは0.7〜1.5phrの本発明のポリスルフィド混合物;ならびに2〜20phr、特には3〜11phr、極めて特に好ましくは5〜8phrの硫黄含有アルコキシシラン。その混合プロセスにおいてさらに、上述の追加の充填剤、架橋剤、加硫促進剤、およびゴム助剤を、好ましくは上述の量で添加することも可能である。
多段混合プロセスにおいては、本発明のポリスルフィド混合物の添加は、その混合プロセスの第一の部分で実施し、1種または複数の架橋剤、特には硫黄、ならびに任意選択的に加硫促進剤の添加は、後続の混合段階で実施するのが好ましい。その場合のゴム組成物の温度は、好ましくは100〜200℃、特に好ましくは120℃〜170℃である。混合の際の混合物への剪断速度は、1〜1000sec−1、好ましくは1〜100sec−1である。一つの好ましい実施形態においては、その第一の混合段階の後でゴム混合物を冷却し、後続の混合段階で、架橋剤および任意選択的に架橋促進剤および/または架橋収率を向上させるために使用される添加物を、140℃未満、好ましくは100℃未満で添加する。本発明のポリスルフィド混合物を、後続の混合段階で、比較的に低い温度たとえば40〜100℃で、たとえば硫黄および架橋促進剤と共に添加することも同様に可能である。
ゴムを充填剤および本発明のポリスルフィド混合物とブレンドするためには、慣用される混合装置、たとえばロール、インターナルミキサー、およびミキシングエクストルーダーなどを使用することができる。
任意選択的な1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンの添加は、多段の混合プロセスの第一の段階で実施するのが好ましい。
本発明はさらに、本発明のゴム混合物を加硫するための方法も提供し、それは、組成物の温度が100〜200℃、特には130〜180℃のときに実施するのが好ましい。一つの好ましい実施形態においては、その加硫を、10〜200barの圧力で実施する。
本発明には、本発明のゴム混合物を加硫させることによって得られるゴム加硫物も含まれ、さらには、それらの加硫物を含むゴム製品、特にタイヤも含まれ、その理由は、それに相当するタイヤは、良好な転がり抵抗性および低い摩耗性と組み合わせて、高い硬度という利点を有しているからである。
車両、特に自動車に、本発明の加硫物を含むタイヤを装着すると、このことによって、それらの車両の運転の際のエネルギー消費量を低下させ、それにより、内燃機関を用いた自動車の場合では燃料消費量が低下し、電力駆動の車両の場合では走行距離が伸び、筋力駆動の車両の場合では、労力が減るかおよび/または速度が上がり得る。したがって、本発明にはさらに、本発明の加硫物を含むゴム製品を含む車両もまた含まれる。
本発明のゴム加硫物は、改良された性質を有する、たとえば以下のような成形物を製造するのに好適である:ケーブルシース、ヒューズ(fuse)、駆動ベルト、コンベア用ベルト、ロール被覆、タイヤ、靴底、シーリング用手段、および制震要素。
本発明のゴム加硫物はさらに、フォームを製造するためにも使用することができる。そのためには、化学的発泡剤または物理的発泡剤をそれに添加する。この目的のために公知の任意の物質、たとえば以下のものを、化学的発泡剤として使用することができる:アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、5−フェニルテトラゾール、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、炭酸亜鉛、または炭酸水素ナトリウム、さらにはそれらの物質を含む混合物。物理的発泡剤の例は、二酸化炭素およびハロゲン化炭化水素である。
本発明はさらに、ゴム混合物およびそれらの加硫物を製造するため、特に、少なくともそれぞれ1種のゴム、1種の硫黄含有アルコキシシラン、および1種のシリカベースの充填剤を含むゴム混合物を製造するための、本発明のポリスルフィド混合物の使用も提供する。
驚くべきことには、少なくとも1種の硫黄含有アルコキシシラン、特にはビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンチオール、ポリエーテル官能性メルカプトシラン、またはチオエステル官能性アルコキシシランを含むゴムのための添加剤組成物と、本発明のポリスルフィド混合物とが、反応性基の存在にも関わらず、それら成分の十分な混和性を有していて、ゴム混合物の中に均質に組み込み、所望の比率で正確に計量混合することが可能となることが見いだされた。したがって、本発明にはさらに、ゴムのためのこのタイプの添加剤組成物、ならびに、このタイプの添加剤組成物を製造するための本発明のポリスルフィド混合物の使用も含まれる。それらの添加剤組成物における、アルコキシシラン、特にビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンおよび/またはビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファンの、本発明のポリスルフィド混合物に対する重量比は、好ましくは1.5:1〜20:1、特に好ましくは3:1〜15:1、極めて特に好ましくは5:1〜10:1である。
本発明にはさらに、ゴムのための添加剤組成物の製造方法も含まれ、それが特徴としているのは、硫黄含有アルコキシシランを、本発明のポリスルフィド混合物と混合することである。
本発明にはさらに、タイヤの転がり抵抗性を低減させるための方法も含まれ、そこでは、本発明のポリスルフィド混合物を、少なくともタイヤの一部のための出発物質として使用される非架橋または部分架橋したゴム混合物と混合し、次いでその混合物を加硫させる。
ゴム混合物および加硫物の物性の測定:
ムーニー粘度の測定:
粘度は、ゴム(およびゴム混合物)が、その加工に抵抗する力から直接求めることができる。ムーニー剪断円板式粘度計の中で、襞付きの円板が上下共に試験物質で取り囲まれていて、加熱可能なチャンバーの中、約2回転/分で回転される。そこで、必要となった力を、トルクの形式で測定し、それぞれの粘度に対応させる。そのサンプルは一般的には、1分間、100℃に予備加熱しておき、さらに4分間かけて測定を行うが、温度はそこで一定に保持しておく。粘度は、それぞれの試験条件と共に記述するが、一例は、ML(1+4)100℃(ムーニー粘度、大ロータ、予備加熱時間および試験時間(分)、試験温度)である。
スコーチ性能(スコーチ時間t5):
同一の試験を上述の通りさらに使用して、混合物のスコーチ挙動を測定することができる。選択した温度は130℃であった。ロータを回転させて、トルク値が、最小値を過ぎ、その最小値より5ムーニー単位だけ高くなるまで続ける(t5)。その数値(単位:秒)が高いほど、スコーチが遅い。実務上有利なスコーチ時間は、おおむね、300秒よりも長い時間である。
レオメーター(バルカメーター)からの170℃/t95完全加硫時間:
MDR(ムービングダイレオメーター)加硫プロファイルおよびそれに伴う分析データは、ASTM D5289−95に従い、MDR 2000 Monsantoレオメーターで測定する。求めた完全加硫時間は、ゴムの95%が架橋したところの時間である。選択した温度は170℃であった。
硬度の測定:
本発明のゴム混合物の硬度は、表1の配合によるゴム混合物から厚み6mmのミル加工したシートを作製することによって求めた。そのミル加工したシートから直径35mmの試験サンプルを切り出し、それらのショアーA硬度は、デジタルショアー硬度試験器(Zwick GmbH&Co.KG,Ulm)を使用して求めた。ゴム加硫物の硬度が、その剛性の第一の指標を与える。
引張試験:
引張試験は、エラストマーの荷重限度を求めるのに直接役立ち、DIN 53504に従って実施する。破断時の長さの増加を初期の長さで除すと、破断時伸びが得られる。特定の段階の伸び、大抵の場合は50、100、200、および300%に達するための力も測定し、弾性率(所定の300%の伸びでの引張強度、すなわち300弾性率)として表す。
動的制動:
動的試験方法を使用して、周期的に負荷を変化させる条件下でエラストマーの変形挙動の特性を求めた。外部から加えられた応力が、ポリマー鎖のコンホメーションを変化させる。この場合、損失係数tanδは、損失弾性率G’’対貯蔵弾性率G’の比率から間接的に求める。60℃における損失係数、tanδは、転がり抵抗性と関係があり、可能な限り低くするべきである。
摩耗値:
摩耗値は、摩耗、したがって製品寿命の指標を与える。摩耗値は、DIN 53516に従って測定した。経済的および環境的理由から、低い値が望ましい。
実施例1:
装置:
温度計、均圧管付き滴下ロート、ガス排出付属品(バブルカウンター)付き還流冷却器、および配管、スターラー、ガス導入管を備えた、2000mL四ツ口フラスコ
初期仕込み:
99.1g(0.25mol)のDuralink HTS、ヘキサメチレン1,6−ビスチオ硫酸二ナトリウム・二水和物(Flexsys製)(98.48%)
600mLの脱イオン水
41.1g(0.5mol)のホルムアルデヒド溶液(約36.5%)
42g(0.5mol)の炭酸水素ナトリウム
フィード:
78.7g(0.5mol)の2−メルカプト安息香酸(98%)、窒素下、NaOHを添加してpH8で、500mLの水に溶解させたもの
助剤:
37%HCl
窒素でフラッシュした装置の中の最初の仕込みとして、Duralink HTSおよび水を使用した。撹拌しながら、最初に炭酸水素ナトリウム、次いでホルムアルデヒドを添加した。次いで、2−メルカプト安息香酸の溶液を、温度20〜25℃、窒素シール下で約1時間以内の時間で滴下により添加した。計量添加が終了した後、撹拌を22時間続けてから、窒素シール下、20〜25℃で、37%塩酸を用いてpHを2に調節した。pHを調節するときに、その混合物は、極めて激しい発泡を示した。撹拌を1時間続けてから、D4フリットを使用した吸引濾過により、固形物を単離した。次いで、その生成物を、その都度300mLの水を用いて複数回洗浄して、洗浄水の導電率が0.3mS/cm未満になってから、真空乾燥オーブン中25℃で乾燥させた。
収量:
113.3g(99.7%)の、m=0、1、および2である、式(I)のポリスルフィドの混合物
元素分析:
C:52.3%、H:5.2%、O:14.3%、S:28.0%、Cl:1200ppm
RP−HPLCおよび飛行時間型質量分析法(TOF MS)により、その生成物を分析した。式(I)の化合物に関するパーセントのデータは、UV検出器を使用したHPLC測定からの、面積パーセントの割合から得られたものである。K およびK がHである、以下の式(I)の化合物が得られた:
25%のm=0である化合物;54%のm=1である化合物;21%のm=2である化合物。
実施例2
装置:
温度計、均圧管付き滴下ロート、ガス排出付属品(バブルカウンター)付き還流冷却器、および配管、スターラー、ガス導入管、Dulcometerを備えた、4000mL四ツ口フラスコ
初期仕込み:
198.0g(0.5mol)のDuralink HTS ヘキサメチレン1,6−ビスチオ硫酸二ナトリウム二水和物(Flexsys製)(98.59%)
1200mLの脱イオン水
82.3g(1.0mol)のホルムアルデヒド溶液(約36.5%)
フィード:
157.4g(1.0mol)の2−メルカプト安息香酸(98%)、窒素下、60gのNaOHを添加し、1000mLの水に溶解させたもの
助剤:
292g(0.4mol)の5%HCl(Dulcometerにより計量添加)
108.4g(1.1mol)の37%HCl
窒素でフラッシュした装置の中の最初の仕込みとして、Duralink HTSおよび水を使用した。撹拌しながら、ホルムアルデヒドを添加した。次いで、2−メルカプト安息香酸の溶液を、温度5℃、窒素シール下で約90分以内の時間で滴下により添加した。2−メルカプト安息香酸溶液の添加の間、5%HClを滴下により添加することにより、その反応混合物のpHを9.5〜10.5に維持した。添加が終了した後、撹拌を5℃で1時間続けてから、窒素シール下、5℃で、37%塩酸を滴下により1時間以内で添加した。撹拌を1時間続けてから、D4フリットを使用した吸引濾過により、固形物を単離した。次いで、その生成物を、その都度600mLの水を用いて複数回洗浄し、洗浄水の導電率が0.3mS/cm未満になってから、真空乾燥オーブン中50℃で乾燥させた。
収量:
233g(102.5%)の、m=0、1および2である式(I)のポリスルフィドの混合物(式中、K およびK がHである)
元素分析:
C:52.4%、H:5.1%、O:14.3%、S:27.7%、Cl:130ppm
式(I)の化合物に関するパーセントのデータは、UV検出器を使用したHPLC測定からの、面積パーセントの割合から得られたものである。
3%のm=0である化合物;96%のm=1である化合物;1%のm=2である化合物。
実施例3
装置:
温度計、均圧管付き滴下ロート、ガス排出付属品(バブルカウンター)付き還流冷却器、および配管、スターラー、ガス導入管、Dulcometerを備えた、2000mL四ツ口フラスコ
初期仕込み:
99.0g(0.25mol)のDuralink HTS(Flexsys製)(98.59%)
600mLの脱イオン水
41.1g(0.5mol)のホルムアルデヒド溶液(約36.5%)
フィード:
78.7g(0.5mol)の2−メルカプト安息香酸(98%)、窒素下、30gのNaOHを添加し、500mLの水に溶解させたもの
助剤:
98.1g(0.1mol)の10%HSO(Dulcometerにより計量添加)
67.4g(0.275mol)の40%HSO
窒素でフラッシュした装置の中の最初の仕込みとして、Duralink HTSおよび水を使用した。撹拌しながら、ホルムアルデヒドを添加した。次いで、2−メルカプト安息香酸の溶液を、温度5℃、窒素シール下で約90分以内の時間で滴下により添加した。2−メルカプト安息香酸溶液の添加の間、10%硫酸を滴下により添加することにより、その反応混合物のpHを9.5〜10.5に維持した。添加が終了した後、撹拌を5℃で1時間続けてから、窒素シール下、5℃で、40%硫酸を滴下により1時間以内で添加した。撹拌を1時間続けてから、D4フリットを使用した吸引濾過により、固形物を単離した。次いで、その生成物を、その都度300mLの水を用いて複数回洗浄し、洗浄水の導電率が0.3mS/cm未満になってから、真空乾燥オーブン中50℃で乾燥させた。
収量:
116.7g(102.7%)の、m=0、1および2である式(I)のポリスルフィドの混合物(式中、K およびK がHである)
元素分析:
C:52.5%、H:5.0%、O:14.5%、S:28.2%、Cl:10ppm未満
式(I)の化合物に関するパーセントのデータは、UV検出器を使用したHPLC測定からの、面積パーセントの割合から得られたものである。
3%のm=0である化合物;96%のm=1である化合物;1%のm=2である化合物。
HPLC装置:Agilent 1100シリーズ(脱気装置、二連(binary)ポンプ、カラムオーブン、波長可変検出器、およびオートサンプラー付き)
固定相:Inertsil ODS−3、粒子径:3μm
カラム長さ:150mm
カラム内径:2.1mm
移動相A:100%水+25mmol/Lの酢酸アンモニウム
B:95%メタノール:5%水+25mmol/Lの酢酸アンモニウム
Figure 2016500701
カラム温度:40℃
流量:0.3mL/分
溶離時間:72分
注入量:5μL
UV検出器波長:225nm
分析対象の生成物約50mgのサンプルを、50mLのメスフラスコの中に秤込み、2mLのジメチルスルホキシドを加え、その混合物に標線になるまでテトラヒドロフランを加え、均質化させてから、クロマトグラフィーに直接かけた。
実施例4
装置:
温度計、均圧管付き滴下ロート、ガス排出付属品(バブルカウンター)付き還流冷却器、および配管、スターラー、ガス導入管、Dulcometerを備えた、2000mL四ツ口フラスコ
初期仕込み:
99.0g(0.25mol)のDuralink HTS(Flexsys製)(98.59%)
600mLの脱イオン水
41.1g(0.5mol)のホルムアルデヒド溶液(約36.5%)
フィード1:
78.7g(0.5mol)の2−メルカプト安息香酸(98%)、窒素下、30gのNaOHを添加し、500mLの水に溶解させたもの
助剤:
146g(0.2mol)の5%HCl(Dulcometerにより計量添加)
フィード2:
375mLの水の中、44.8g(0.25mol)のZnSO×H
窒素でフラッシュした装置の中の最初の仕込みとして、Duralink HTSおよび水を使用した。撹拌しながら、ホルムアルデヒドを添加した。次いで、2−メルカプト安息香酸の溶液を、温度5℃、窒素シール下で約90分以内の時間で滴下により添加した。2−メルカプト安息香酸溶液の添加の間、5%硫酸を滴下により添加することにより、その反応混合物のpHを9.5〜10.5に維持した。添加が終了したら、撹拌を5℃で1時間続けてから、窒素シール下、5℃で、硫酸亜鉛溶液を滴下により1時間以内で添加した。撹拌を1時間続けてから、D4フリットを使用した吸引濾過により、固形物を単離した。次いで、その生成物を、その都度300mLの水を用いて複数回洗浄し、洗浄水の導電率が0.3mS/cm未満になってから、真空乾燥オーブン中50℃で乾燥させた。
収量:
124.8g(96.4%)の式(I)のポリスルフィドの混合物(式中、K およびK が1/2 Zn2+である)
元素分析:
C:45.7%、H:4.2%、O:13.4%、S:24.5%、Zn:12%、Cl;:120ppm
式(I)の化合物に関するパーセントのデータは、UV検出器を使用したHPLC測定からの、面積パーセントの割合から得られたものである。
4%のm=0である化合物;91%のm=1である化合物;5%のm=2である化合物。
ゴム混合物およびゴム加硫物の製造
表1に列挙したゴム配合物をそれぞれ、以下に記述する多段のプロセスに従って混合した。
第一混合段階:
・インターナルミキサーの中でBUNA(登録商標)CB 24およびBUNA(登録商標)VSL 5025−2を初期仕込みとして使用し、約30秒間混合した。
・VULKASIL(登録商標)Sの2/3、SI(登録商標)69の2/3、本発明のポリスルフィド混合物の全量の2/3を添加し、約60秒間混合。
・VULKASIL(登録商標)Sの1/3、SI(登録商標)69の1/3、本発明のポリスルフィド混合物の全量の1/3、さらにTUDALEN 1849−1を添加し、約60秒間混合。
・CORAX(登録商標)N 339、EDENOR(登録商標)C 18 98−100、VULKANOX(登録商標)4020/LG、VULKANOX(登録商標)HS/LG、ROTSIEGEL ZINC WHITE、さらにANTILUX(登録商標)654を添加し、約60秒間混合。混合温度は150℃であった。
第二混合段階:
第一の混合段階が完了したら、その混合物を下流のロールミルへ送り、シートに成形して、室温で24時間保存した。ここでの加工温度は、60℃未満であった。
第三混合段階:
第三の混合段階には、ニーダー中150℃での、さらなる混練が含まれていた。
第四混合段階:
80℃未満の温度のロール上で、追加の物質である、MAHLSCHWEFEL 90/95 CHANCEL、VULKACIT(登録商標)CZ/C、VULKACIT(登録商標)D/Cの添加。
次いでそのゴム混合物を、170℃で完全に加硫させた。表2に、製造したゴム調製物およびそれらの加硫物の物性を示す。
Figure 2016500701
Figure 2016500701
Figure 2016500701
参照例と比較すると、試験した加硫物は、高い硬度値および改良されたムーニー粘度を示している。ゴム配合2および4は、優れた転がり抵抗性および改良された摩耗性を示している。

Claims (22)

  1. 式(I):
    Figure 2016500701
    [式中、K およびK は、同一であるかまたは異なっており、好ましくは同一であり、相互に独立して、任意の所望の一価のカチオンまたは任意の所望のn価のカチオンの1/nのカチオンであり、かつ
    mは、0、1および/または2である]
    の2種以上の化合物を含むポリスルフィド混合物であって、
    m=1である化合物の合計した割合が、m=0、1、および2である式(I)のポリスルフィド化合物の全量を基準にして、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%、極めて特に好ましくは93〜99%であることを特徴とする、ポリスルフィド混合物。
  2. およびK が、同一であるかまたは異なっており、好ましくは同一であり、相互に独立して、H、アルカリ金属カチオン、特にはLi、Na、K、1/2アルカリ土類金属カチオン、特には1/2 Mg2+、1/2 Ca2+であるか、1/3 Al3+であるか、n価の希土類金属カチオンの1/nのカチオンであるか、または1/2 Zn2+であり、特に好ましくはHまたは1/2 Zn2+であることを特徴とする、請求項1に記載のポリスルフィド混合物。
  3. その全塩素含量が、1%未満、好ましくは0.1%未満、特に好ましくは200ppm未満、極めて特に好ましくは50ppm未満、最も好ましくは10ppm未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリスルフィド混合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリスルフィド混合物の製造方法であって、
    式(III):
    Figure 2016500701
    [式中、カチオンK およびK は相互に独立して、任意の所望の一価のカチオンであるか、または任意の所望のn価のカチオンの1/nのカチオンであり、好ましくはHであるか、アルカリ金属カチオン、特にはLi、Na、K、1/2アルカリ土類金属カチオン、特には1/2 Mg2+、1/2 Ca2+であるか、1/3 Al3+であるか、n価の希土類金属カチオンの1/nのカチオンであるか、または1/2 Zn2+であり、特に好ましくはH、Na、Kまたは1/2 Zn2+である]
    の1種または複数の化合物を、式(IV):
    Figure 2016500701
    [式中、ここでの2個のカチオンK は、同一であるか異なっており、好ましくは同一であって、相互に独立して、任意の所望の一価のカチオンであるか、または任意の所望のn価のカチオンの1/nのカチオンであり、好ましくはアルカリ金属カチオン、特にはLi、Na、K、1/2アルカリ土類金属カチオン、特には1/2 Mg2+、1/2 Ca2+であるか、1/3 Al3+であるか、n価の希土類金属カチオンの1/nのカチオンであるか、または1/2 Zn2+であり、特に好ましくはNaである]
    の1種または複数の化合物と接触させること、および
    前記接触を、−5℃〜19℃、好ましくは0℃〜15℃、特に好ましくは0℃〜10℃の範囲の温度で実施することを特徴とする、方法。
  5. および/またはK がHではない式(III)の化合物を添加し、前記反応混合物のpHを、好ましくはブレンステッド酸を添加することによって、pH7〜13、好ましくは8〜12、特には9〜11の範囲に維持することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. 式(III)の前記化合物を、式(IV)の少なくとも1種の化合物と接触させた後に、少なくとも1種の酸、特には塩酸または硫酸を添加すること、および/またはカチオンK および/またはK (式中、K および/またはK は、H以外のカチオンである)の少なくとも1種の塩と接触させることによって、前記ポリスルフィド混合物を沈殿させることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
  7. 式(III)の前記化合物を、式(IV)の少なくとも1種の化合物と接触させた後に、カチオンK および/またはK (式中、K および/またはK は、H以外のカチオンである)の少なくとも1種の塩、好ましくは亜鉛塩、特には硫酸亜鉛と接触させることによって、前記ポリスルフィド混合物を沈殿させることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. およびK が、同一であるかまたは異なっており、好ましくは同一であって、相互に独立して、任意の所望の一価のカチオンであるか、または任意の所望のn価のカチオンの1/nのカチオンであり、好ましくはH、アルカリ金属カチオン、特にはLi、Na、K、1/2アルカリ土類金属カチオン、特には1/2 Mg2+、1/2 Ca2+であるか、1/3 Al3+であるか、n価の希土類金属カチオンの1/nのカチオンであるか、または1/2 Zn2+であり、特に好ましくは1/2 Zn2+であり、
    および/またはK 、好ましくはK およびK が、H以外のカチオンであり、かつ
    mが、1または2、好ましくは1である、請求項1に記載の式(I)のポリスルフィド化合物。
  9. ゴム混合物であって、それぞれ少なくとも、
    − 1種のゴム、
    − 請求項1〜3のいずれか一項に記載の1種のポリスルフィド混合物または請求項8に記載のポリスルフィド化合物、
    を含むゴム混合物。
  10. 少なくとも
    − 1種の硫黄含有アルコキシシラン、および
    − 1種のシリカベースの充填剤
    をさらに含む、請求項9に記載のゴム混合物。
  11. 少なくとも1種の架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項9または10に記載のゴム混合物。
  12. ゴムとして、少なくとも1種のSBRおよび少なくとも1種のBRを含み、SBR:BRのゴムの重量比が、60:40〜90:10であることを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一項に記載のゴム混合物。
  13. 少なくとも1種のNRをさらに含み、SBR:BR:NRの重量比が、好ましくは60〜85:10〜35:5〜20であることを特徴とする、請求項12に記載のゴム混合物。
  14. 請求項9〜13のいずれか一項に記載のゴム混合物の製造方法であって、
    少なくともそれぞれ1種のゴムと、請求項1〜3のいずれか一項に記載の1種のポリスルフィド混合物または請求項8に記載のポリスルフィド化合物とを混合することによる、方法。
  15. 請求項9〜13のいずれか一項に記載の前記ゴム混合物を加硫させること、および前記組成物の温度が、好ましくは100〜200℃、特に好ましくは130〜180℃であることを特徴とする、加硫物の製造方法。
  16. 加硫物であって、請求項9〜13のいずれか一項に記載の前記ゴム混合物を加硫させることによって得ることが可能な、加硫物。
  17. 請求項16に記載の1種または複数のゴム加硫物を含む、ゴム製品、特にはタイヤ。
  18. 請求項17に記載のゴム製品を含む、車両。
  19. ゴム混合物、およびそれらの加硫物を製造するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリスルフィド混合物または請求項8に記載のポリスルフィド化合物の使用。
  20. 添加剤組成物であって、それぞれ、少なくとも1種の硫黄含有アルコキシシラン、特にはビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルファン、3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンチオール、ポリエーテル官能性メルカプトシラン、またはチオエステル官能性アルコキシシランと、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリスルフィド混合物または請求項8に記載のポリスルフィド化合物とを含む、添加剤組成物。
  21. 請求項20に記載の添加剤組成物を製造するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリスルフィド混合物および/または請求項8に記載のポリスルフィド化合物の使用。
  22. タイヤの転がり抵抗性を低下させるための方法であって、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリスルフィド混合物または請求項8に記載のポリスルフィド化合物を、少なくとも前記タイヤの一部のための出発物質として使用される非架橋または部分架橋したゴム混合物と混合し、次いで前記混合物を加硫させることを特徴とする、方法。
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