JP2016226190A - 回転電機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力電流の検出値に含まれる誤差の影響を抑制しつつ、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えが遅れることに伴うトルク応答性の低下を抑制する。
【解決手段】インバータ20から回転電機10に対して出力される出力電圧を調整することで、回転電機10の制御を行う制御装置40であって、PWM変調制御を実施するPWM制御部41と、矩形波制御(トルクフィードバック制御)を実施する矩形波制御部42と、制御の切り替えを行う切り替え制御部43と、を備え、切り替え制御部43は、dq座標系において、フィルタ電流と、切り替え判定曲線とを比較し、フィルタ電流が、切り替え判定曲線より遅角側となっている場合に、矩形波制御から、PWM制御への制御の切り替えを実施するとともに、回転電機10の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで切り替え判定曲線を設定する。
【選択図】 図1

Description

インバータ装置から回転電機に対して出力される出力電圧を調整することで、回転電機の制御を行う回転電機の制御装置に関する。
インバータ装置から回転電機に対して出力される出力電圧を調整する制御において、電流フィードバック制御の一種であるパルス幅変調制御(PWM制御)と、トルクフィードバック制御とが用いられている。
PWM制御は、回転電機の出力トルクを指令するトルク指令値及びインバータ装置から回転電機に出力される出力電流に基づいて、出力電圧の指令値として正弦波状の基本波を設定し、基本波と、基本波より周波数の高い搬送波とを比較する。そして、基本波と搬送波との比較に基づいて、インバータ装置から回転電機に対して出力される出力電圧を調整する。
また、トルクフィードバック制御は、出力電流の一周期において、所定の位相における複数の出力電流の検出値を取得し、その複数の出力電流の検出値、及び、トルク指令値に基づいて、出力電圧のパルスパターンを調整する。より具体的には、出力電流の一周期において、所定の位相における複数の出力電流の検出値を取得し、その複数の出力電流の検出値に基づいて出力トルクの推定値であるトルク推定値を算出し、トルク推定値とトルク指令値との比較に基づいて、出力電圧のパルスパターンを調整する。
PWM制御では、低回転領域においてトルク変動を抑制することができる一方で、電圧利用率に限界があるという問題がある。また、トルクフィードバック制御では、電圧利用率を大きくすることが可能となる一方で、低回転領域においてトルク変動が増加する。そこで、PWM制御と、トルクフィードバック制御とを使い分ける構成が用いられている(例えば、特許文献1)。
特許第5221261号公報
上記特許文献1に記載の構成では、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えの判定において、回転電機の動作状態が過渡的な場合に、インバータから回転電機に出力される出力電流の検出値を用いて判定を行う。具体的には、dq座標系において、出力電流が所定の切り替え判定曲線より遅角側となった場合に、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えを実施する。また、回転電機の動作状態が定常的な場合に、出力電流の検出値に対して高周波成分の影響を抑制するフィルタ処理を行い、そのフィルタ処理された出力電流の検出値(フィルタ電流)の電流位相を用いて判定を行う。
ここで、回転電機の動作状態が過渡的な場合に、インバータから回転電機に出力される出力電流の検出値を用いて判定を行うと、出力電流の検出値に含まれる検出誤差による影響が問題となる。即ち、出力電流の検出値に含まれる検出誤差による影響を抑制するためには、切り替え判定曲線を遅角側に設ける必要が生じ、制御切り替えが遅れるという問題が生じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回転電機の制御装置において、出力電流の検出値に含まれる誤差の影響を抑制しつつ、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えが遅れることに伴うトルク応答性の低下を抑制することを主たる目的とする。
第1の構成は、インバータ装置(20)から回転電機(10)に対して出力される出力電圧を調整することで、前記回転電機の制御を行う回転電機の制御装置(40)であって、前記回転電機の出力トルクを指令するトルク指令値及び前記インバータ装置から回転電機に出力される出力電流に基づいて、前記出力電圧の指令値として正弦波状の基本波を設定し、前記基本波と搬送波との比較に基づいて、前記出力電圧を調整する制御であるパルス幅変調制御を実施する第1制御部(41)と、前記出力トルクと前記トルク指令値との偏差に基づいて、前記出力電圧の波形を調整する制御であるトルクフィードバック制御を実施する第2制御部(42)と、前記第1制御部によるパルス幅変調制御と、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御との切り替え制御を行う切り替え制御部(43)と、前記出力電流の検出値を取得し、複数の前記出力電流の検出値に対して、高調波成分を除去するフィルタ処理を行うフィルタ処理部(43)と、を備え、前記切り替え制御部は、dq座標系において、前記フィルタ処理部によりフィルタ処理された前記出力電流の検出値と、切り替え判定曲線とを比較し、前記フィルタ処理された出力電流の検出値が、前記切り替え判定曲線より遅角側となっている場合に、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御から、前記第1制御部によるパルス幅変調制御への制御の切り替えを実施するとともに、前記回転電機の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定する、又は、前記フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正することを特徴とする。
上記構成では、出力電流の検出値に対して、フィルタ処理を実施し、そのフィルタ処理された出力電流の検出値(フィルタ電流)と、切り替え判定曲線とを比較する。これにより、出力電流の検出値に誤差が含まれる場合に、その誤差による影響を除去することが可能になる。
ここで、フィルタ電流を用いることで、出力電流の検出値における誤差の影響を除去できる一方で、回転電機の動作状態の変化に応じて、出力電流が変化する場合に、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えが遅れることが懸念される。そこで、回転電機の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、基準曲線を進角方向に補正することで、切り替え判定曲線を設定する、又は、フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正する。これにより、回転電機の動作状態の変化に応じて、出力電流が変化する場合に、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えを早めることができる。つまり、出力電流の検出値に含まれる誤差の影響を抑制しつつ、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えが遅れることに伴うトルク応答性の低下を抑制することが可能になる。
第2の構成は、インバータ装置(20)から回転電機(10)に対して出力される出力電圧を調整することで、前記回転電機の制御を行う回転電機の制御装置(40)であって、前記回転電機の出力トルクを指令するトルク指令値及び前記インバータ装置から回転電機に出力される出力電流に基づいて、前記出力電圧の指令値として正弦波状の基本波を設定し、前記基本波と搬送波との比較に基づいて、前記出力電圧を調整する制御であるパルス幅変調制御を実施する第1制御部(41)と、前記出力トルクと前記トルク指令値との偏差に基づいて、前記出力電圧の波形を調整する制御であるトルクフィードバック制御を実施する第2制御部(42)と、前記第1制御部によるパルス幅変調制御と、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御との切り替え制御を行う切り替え制御部(43)と、前記インバータ装置から前記回転電機に対して出力される出力電流の検出値を取得し、複数の前記出力電流の検出値に対して、高調波成分を除去するフィルタ処理を行うフィルタ処理部(43)と、を備え、前記切り替え制御部は、dq座標系において、前記フィルタ処理部によりフィルタ処理された前記出力電流の検出値と、切り替え判定曲線とを比較し、前記フィルタ処理された出力電流の検出値が、前記切り替え判定曲線より遅角側となっている場合に、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御から、前記第1制御部によるパルス幅変調制御への制御の切り替えを実施し、前記フィルタ処理部は、前記回転電機の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記フィルタ処理における時定数を設定することを特徴とする。
上記構成では、出力電流の検出値に対して、フィルタ処理を実施し、そのフィルタ処理された出力電流の検出値(フィルタ電流)と、切り替え判定曲線とを比較する。これにより、出力電流の検出値に誤差が含まれる場合に、その誤差による影響を除去することが可能になる。また、動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、フィルタ処理における時定数を設定することで、動作状態が急激に変化した場合に、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えが遅れることに伴うトルク応答性の低下を抑制することが可能になる。
第1実施形態の回転電機及びインバータ装置を表す電気的構成図。 第1実施形態の制御装置を表す機能ブロック図。 所望のトルク及び所望の回転速度を実現可能な制御モードを表す図。 過変調PWM制御を表す図。 PWM制御と矩形波制御の切り替えを表す図。 従来技術における、定常時のPWM制御と矩形波制御の切り替えを表す図。 従来技術における、過渡時のPWM制御と矩形波制御の切り替えを表す図。 過渡時にフィルタ電流を用いて、PWM制御と矩形波制御の切り替えを行った場合の問題点を表す図。 第1実施形態の切り替え判定曲線の補正を表す図。 第1実施形態の制御切り替え処理を表すフローチャート。 第2実施形態の切り替え判定曲線の補正を表す図。 第3実施形態の切り替え判定曲線の補正を表す図。 第4実施形態のフィルタ時間設定処理を表すフローチャート。
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる制御装置を車載主機としてエンジンを備える車両に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、回転電機10は、多相巻線を有する永久磁石型同期電動機であり、具体的には、3相巻線を有する永久磁石型同期電動機である。回転電機10のステータ13(固定子)には、電機子巻線14が巻回されている。電機子巻線14は、異なる中性点を有する3相巻線からなる。なお、回転電機10は、巻線界磁型同期電動機であってもよい。
回転電機10の電機子巻線14には、インバータ20が接続されている。インバータ20には、直流電源22が接続されている。インバータ20は、U,V,W相高電位側スイッチSUp,SVp,SWpと、U,V,W相低電位側スイッチSUn,SVn,SWnとの直列接続体を3組備えている。U,V,W相における上記直列接続体の接続点は、電機子巻線14のU,V,W相の端子に接続されている。
本実施形態では、各スイッチSUp〜SWnとして、IGBTを用いている。そして、各スイッチSUp〜SWnにはそれぞれ、還流ダイオードDUp〜DWnが並列に接続されている。また、各スイッチSUp〜SWnとしては、IGBTに限らず、例えばNチャネルMOSFETであってもよい。
インバータ20の高電位側の端子(各高電位側スイッチのコレクタ側の端子)には、直流電源22の正極端子が接続されている。低電位側の端子(各低電位側スイッチのエミッタ側の端子)には、直流電源22の負極端子が接続されている。また、インバータ20は、高電位側の端子と、低電位側の端子との間に平滑コンデンサ21を有している。なお、直流電源22は、例えば、二次電池や、二次電池から供給される電力を昇降圧する昇降圧回路である。
また、制御装置40は、回転電機10のトルク指令値T*と、インバータ20から回転電機10に対して出力される相電流IU,IV,IWの検出値と、直流電源22の出力電圧VB(インバータ20の入力電圧)の検出値と、ロータ11の回転角度θの検出値と、を取得する。制御装置40は、トルク指令値T*を、制御装置40より上位の制御装置から取得する。また、制御装置40は、相電流IU,IV,IWの検出値を電流センサ31から取得する。また、制御装置40は、電圧VBの検出値を電圧センサ32から取得する。また、制御装置40は、回転角度θの検出値を回転電機10に設けられた回転角センサ33から取得する。そして、制御装置40は、トルク指令値T*、相電流IU,IV,IW、電圧VB、回転角度θに基づいて、スイッチSUp〜SWnのオフオン制御(開閉制御)を実施する。
図2に、制御装置40の機能ブロック図を示す。制御装置40は、PWM制御部41(第1制御部)と、矩形波制御部42(第2制御部)と、PWM制御(電流フィードバック制御)と、矩形波制御(トルクフィードバック制御)との切り替えを行う切り替え制御部43とを備える。以下、PWM制御、矩形波制御、切り替え制御の順に説明を行う。ここで、矩形波制御とは、ワンパルス制御ともいい、電気角θeの一周期において、所定の通電期間(例えば、180度)にわたって、各相電圧VU,VV,VWの電圧が、VB/2→0→−VB/2の順に変化するような制御をいう。以下、PWM制御、矩形波制御、切り替え制御の順に説明を行う。
(PWM制御)
3相2相変換部45は、相電流IU,IV,IWの検出値を、回転角度θに基づいて、UVW座標系(3相)からdq座標系(2相)に変換し、d軸電流Id、及び、q軸電流Iqを算出する。電流指令値生成部46は、トルク指令値T*に基づいて、d軸電流指令値Id*、及び、q軸電流指令値Iq*を算出する。
偏差算出部47d,47qは、d軸電流指令値Id*とd軸電流Idとの偏差ΔId、及び、q軸電流指令値Iq*とq軸電流Iqとの偏差ΔIqをそれぞれ算出する。PID演算部48d,48qは、それぞれ偏差ΔId,ΔIqに基づいて、PID演算(比例・積分・微分演算)を実施する。PID演算部48dの出力値が、d軸電圧指令値Vd*1の基準値となるd軸電圧基準値Vdb*であり、PID演算部48qの出力値が、q軸電圧指令値Vq*1の基準値となるq軸電圧基準値Vqb*である。
ここで、電機子巻線14に印加される電圧のdq軸成分は、電機子巻線14を流れる電流のうち同一の軸成分に比例する項に加えて、異なる軸成分に比例する項や逆起電力といった、いわゆる干渉項を含む。
そこで、非干渉化制御部49は、d軸電流Id及びq軸電流Iqに基づいて、d軸干渉電圧Vd0及びq軸干渉電圧Vq0を算出する。そして、補正部50dは、d軸電圧基準値Vdb*からd軸干渉電圧Vd0を減算することで補正し、d軸電圧指令値Vd*1を算出する。また、補正部50qは、q軸電圧基準値Vqb*からq軸干渉電圧Vq0を減算することで補正し、q軸電圧指令値Vq*1を算出する。
2相3相変換部51は、d軸電圧指令値Vd*1及びq軸電圧指令値Vq*1を、回転角度θに基づいて、dq座標系からUVW座標系に変換し、U相電圧指令値VU*1、V相電圧指令値VV*1、及び、W相電圧指令値VW*1を算出する。電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1は、それぞれ、正弦波状であり、かつ、その中央値がゼロとされている。ここで、電圧VBに対し、電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1が大きい場合、つまり、変調率Ampが大きいときには、正弦波に所定の3次高調波を重畳したものを最終的な電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1として出力する。
搬送波生成部52は、搬送波CAとして三角波を生成する。本実施形態の搬送波生成部52は、基本波の周波数に依存しない所定の周波数を有する搬送波CAを出力する。
比較器53Uは、U相電圧指令値VU*1及び搬送波CAが入力され、U相電圧指令値VU*1と搬送波CAとの大小比較を実施し、信号gU1を出力する。比較器53Vは、V相電圧指令値VV*1及び搬送波CAが入力され、V相電圧指令値VV*1と搬送波CAとの大小比較を実施し、信号gV1を出力する。比較器53Wは、W相電圧指令値VW*1及び搬送波CAが入力され、W相電圧指令値VW*1と搬送波CAとの大小比較を実施し、信号gW1を出力する。比較器53U,53V,53Wの出力信号gU1,gV1,gW1は、それぞれ、基本波である電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1をパルス幅変調したものである。
出力信号gU1,gV1,gW1は、切り替え部44に入力される。そして、切り替え制御部43によってPWM制御が選択されている場合、出力信号gU1,gV1,gW1は、切り替え部44を介して、デッドタイム生成部55に入力される。また、出力信号gU1,gV1,gW1は、NOT回路54U,54V,54Wによって反転され、デッドタイム生成部55に入力される。
デッドタイム生成部55は、上アームスイッチSUp,SVp,SWpと、下アームスイッチSUn,SVn,SWnとの組み合わせにおいて、同一のレグに属するものが同時にオンされることで、直流電源22が短絡されることを抑制する。具体的には、出力信号gU1と、その反転信号とがともにハイ状態となることを抑制し、出力信号gV1と、その反転信号とが、ともにハイ状態となることを抑制し、出力信号gW1と、その反転信号とが、ともにハイ状態となることを抑制する。
デッドタイム生成部55によって、整形された出力信号gU1,gV1,gW1及び出力信号gU1,gV1,gW1の反転信号は、ゲート駆動回路56に入力される。ゲート駆動回路56は、gU1,gV1,gW1を駆動信号gUp,gVp,gWpとして、スイッチSUp,SVp,SWpのそれぞれのゲートに出力する。また、ゲート駆動回路56は、gU1,gV1,gW1の反転信号を駆動信号gUn,gVn,gWnとして、スイッチSUn,SVn,SWnのそれぞれのゲートに出力する。
上述したPWM制御部41の動作によって、相電流IU,IV,IWの検出値をdq座標に変換したd軸電流Id及びq軸電流Iqが、それぞれ、トルク指令値T*に基づき算出されるd軸電流指令値Id*、及び、q軸電流指令値Iq*となるように制御される。
(矩形波制御)
トルク推定部57は、d軸電流Id及びq軸電流Iqに基づいて、回転電機10の出力トルクの推定値であるトルク推定値Teを算出する。トルク推定値Teは、例えば回転電機10の極対数p、誘起電圧定数φ、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqを用いて、下記の式によって算出できる。
Te=p{φ・Iq+(Ld−Lq)・Id・Iq}
偏差算出部58は、トルク指令値T*とトルク推定値Teとの偏差ΔTを算出する。電圧位相算出部59は、偏差ΔTに基づいて、電圧位相操作量α*を算出する。出力信号生成部60は、電圧位相操作量α*、及び、現在の回転角度θに基づいて、矩形波の位相を操作するべく、信号gU2,gV2,gW2を生成する。
出力信号gU2,gV2,gW2は、切り替え部44に入力される。そして、切り替え制御部43によって矩形波制御が選択されている場合、出力信号gU2,gV2,gW2は、切り替え部44を介して、デッドタイム生成部55に入力される。また、出力信号gU2,gV2,gW2は、NOT回路54U,54V,54Wによって反転され、デッドタイム生成部55に入力される。デッドタイム生成部55及びゲート駆動回路56の動作は、PWM制御と同等であるため、説明を省略する。
(切り替え制御)
図3に、PWM制御を行う領域と、矩形波制御を行う領域と、を示す。図示されるように、低回転速度領域から中回転速度領域まではPWM制御を行う領域であり、高回転速度領域は矩形波制御を行う領域である。PWM制御を行う領域と矩形波制御を行う領域との境界は、トルク指令値T*が大きいほど低回転速度側となる。高回転速度領域において、PWM制御から矩形波制御へ切り替えるのは、次の理由による。
電機子巻線14の各相に印加可能な電圧の最大値は、直流電源22の電圧VBである。このため、電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1の最大値が電圧VBの「1/2」以上となる状態、即ち、変調率Ampが100%以上(3次高調波を重畳した場合、115%以上)の状態では、電機子巻線14の各相に実際に印加される電圧を電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1とすることができない。
図4(a)に、変調率Ampが100%の場合に電機子巻線14の各相に印加される電圧(例えば、VU)の推移を示し、図4(b)に、変調率Ampが100%よりも大きい場合に電機子巻線14の各相に印加される電圧(例えば、VU)の推移を示す。図示されるように、変調率Ampが100%よりも大きい場合には電機子巻線14の各相に印加される電圧VUの振幅は、直流電源22の電圧VBの1/2に制限されるため、正弦波形状の電圧とはならない。しかし、この場合であっても、図4(a)に示される電圧と比較すると、図4(b)中斜線にて示す領域だけ電圧の利用度が向上している。
これにより、電機子巻線14の各相に印加される電圧の実効値を、図4(a)に示したものと比較して大きくすることができ、電流指令値Id*,Iq*によって定まる3相の電流指令値を電機子巻線14に流すことが可能となる。したがって、電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1の最大値が電圧VBの「1/2」以上となった場合に、PWM制御を継続することで、電機子巻線14、電流指令値Id*,Iq*によって定まる3相の電流を流すことが可能となる。図3に示すように、この変調率Ampが100%以上とされる領域を過変調PWM制御領域と呼ぶ。
電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1の振幅が増加していくと、最終的には、電機子巻線14の各相に印加される電圧は、電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1と同一周期で、「VB/2」と「−VB/2」とに交互に変化する矩形波状となる。ここで、理論的に、変調率Ampが4/πを超えることで、PWM制御による制御性が極度に低下することが知られている。そこで、一般的に、電圧指令値VU*1,VV*1,VW*1の振幅が、直流電源22の電圧VBの127%(<4/π)の値となることで、PWM制御から矩形波制御への切り替えが行われる。
図5に、PWM制御及び矩形波制御によってとり得るdq座標系の電流Id,Iqを示す。実線にて示す電流指令曲線CLは、電流指令値生成部46(図2)によって生成される電流指令値Id*,Iq*の描く曲線である。電流指令曲線CLは、回転電機10の制御に対する要求に応じ、適宜設定されるものであり、本実施形態では、トルク指令値T*を最小の電力損失で実現することのできる電流Id,Iqとなるように設定されている。
一方、2点鎖線にて示すのは、実際に回転電機10に流すことの可能な電流の境界をdq座標系上で定める制限曲線LLである。制限曲線LLは、直流電源22の電圧VB及び回転電機10の回転速度FRに応じて定まるものである。このため、PWM制御時には、d軸電流Id及びq軸電流Iqは、電流指令曲線CLと制限曲線LLとの交点である上限PMを超えることはできない。そこで、電流指令値Iq*,Id*が上限PMに達することで矩形波制御に切り替えられることになる。
矩形波制御が実施されている場合、電流Id,Iqは、電流指令曲線CLによって規定される電流Id,Iqとは一致しない。即ち、矩形波制御とPWM制御とでは、例えば図5のベクトルI1とベクトルI2とが互いに等しいトルクTを実現するにも関わらず、電流Id,Iqが異なるというように、トルク指令値T*が同一でも、電流Id,Iqが相違する。しかし、矩形波制御によって生成されるトルクTをPWM制御によって実現する際の電流ベクトルの長さが上限PM以下であるなら、矩形波制御によって生成されていたトルクTをPWM制御によって生成することが可能である。
切り替え制御部43(図2)は、PWM制御における変調率Amp、d軸電流Id及びq軸電流Iqに基づいて、PWM制御と矩形波制御との切り替えを行う。PWM制御における変調率Ampは、インバータ20の入力電圧VBと、d軸電圧指令値Vd*1及びq軸電圧指令値Vq*1とに基づいて算出される。
以下、矩形波制御からPWM制御への切り替え処理について説明を行う。
図6に示すように、従来技術(例えば、特許第5221261号公報)において、定常状態では、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出値をフィルタ処理したフィルタ電流Ifの位相と、電流切り替え位相Cfとの比較に基づき、矩形波制御からPWM制御への切り替えを実施する。
図7に示すように、従来技術において、過渡状態では、d軸電流Id及びq軸電流Iqの実際値である実電流Irと、切り替え判定曲線CCとの比較に基づき、矩形波制御からPWM制御への切り替えを実施する。具体的には、実電流Irが、切り替え判定曲線CCより遅角側となった場合に、矩形波制御からPWM制御への切り替えを実施する。なお、切り替え判定曲線CCは、電流指令曲線CLより遅角側に設けられている。
ここで、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出値である実電流Irと切り替え判定曲線CCとの比較を行う場合、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出誤差を考慮して、切り替え判定曲線CCの設定を行う必要がある。即ち、d軸電流Id及びq軸電流Iqの実際の値が、切り替え判定曲線CCを遅角側に超えていないにも関わらず、電流センサ31の検出誤差によって、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出値が切り替え判定曲線CCを遅角側に超えていると判定される状況を抑制する必要がある。
仮に、d軸電流Id及びq軸電流Iqの実際値が、切り替え判定曲線CCを遅角側に超えていないにも関わらず、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出値が切り替え判定曲線CCを遅角側に超えていると判定されると、矩形波制御とPWM制御との切り替えが頻繁に行われることになり、制御性が低下する。
一方、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出誤差によって、制御の切り替えが行われないように、切り替え判定曲線CCをより遅角側に設定すると、矩形波制御からPWM制御への切り替えが遅れる。この制御の切り替えの遅れによって、インバータ20から回転電機10に対して過剰に高い電圧が印加されることが懸念される。
そこで、本実施形態の切り替え制御部43(フィルタ処理部)では、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出誤差の影響を除去するために、d軸電流Id及びq軸電流Iqの検出値(実電流Ir)に対し、高調波成分を除去するフィルタ処理を実施する。そして、そのフィルタ処理された出力電流の検出値(フィルタ電流If)と、切り替え判定曲線CCとを比較する。なお、フィルタ処理は、3相2相変換部45において実施してもよい。
ここで、フィルタ電流Ifを用いることで、出力電流の検出値における誤差の影響を除去できる一方で、回転電機10の動作状態の変化に応じて出力電流が変化する場合に、矩形波制御からPWM制御への切り替えが遅れることが懸念される。この切り替えの遅れについて図8を用いて説明する。
図8では、フィルタ電流Ifは、切り替え判定曲線CCより進角側となっている。一方、出力電流の実際値である実電流Irは、出力トルクTの急減に伴って、切り替え判定曲線CCより遅角側となっている。このような場合、実際にはPWM制御に適した状態となっているにも関わらず、フィルタの時定数に応じた時間が経過するまで、矩形波制御からPWM制御への切り替えが実施されず、トルク応答性が低下することになる。
そこで、本実施形態では、回転電機10の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで、切り替え判定曲線CCを設定する。これにより、回転電機10の動作状態の変化に応じて、出力電流が変化する場合に、トルクフィードバック制御からパルス幅変調制御への切り替えを早めることができる。つまり、出力電流の検出値に含まれる誤差の影響を抑制しつつ、矩形波制御からPWM制御への切り替えが遅れることに伴うトルク応答性の低下を抑制することが可能になる。
ここで、回転電機10の動作状態とは、具体的には、回転電機10の出力トルクT、インバータ20の入力電圧VB、及び、回転電機10の回転速度FRである。
出力トルクT(出力トルクTの実際値、又は、トルク指令値T*)が急激に減少する、つまり、出力トルクTの単位時間当たりの減少量が大きい場合、早めにトルクフィードバック制御からPWM制御に切り替えることで、トルク応答性の低下を抑制することが可能になる。そこで、基準曲線を進角方向に補正することで、出力トルクTの単位時間当たりの減少量が大きい場合に、矩形波制御からPWM制御に早く切り替えることが可能になる。本実施形態では、出力トルクTが急激に減少しているか否かの判断には、トルク指令値T*を用いる。
回転速度FRが急激に減少する、つまり、回転速度FRの単位時間当たりの減少量が大きい場合、早めに矩形波制御からPWM制御に切り替えることで、トルク応答性の低下を抑制することが可能になる。そこで、基準曲線を進角方向に補正することで、回転速度FRが減少する場合に、早めに矩形波制御からPWM制御に切り替えることが可能になる。
インバータの入力電圧VBが急激に増加する、つまり、インバータ20の入力電圧の単位時間当たりの増加量が大きい場合、インバータ20の出力電圧が一定であるとすると、変調率Ampが急激に減少する。そこで、入力電圧VBが急激に減少する場合、フィルタ電流が基準曲線を遅角側に超える前に、矩形波制御からPWM制御に切り替えることで、トルク応答性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、基準曲線として、電流指令曲線CLを用いる構成とする。これにより、矩形波制御からPWM制御への切り替え後、速やかに、出力電流Id,Iqを電流指令値Id*1,Iq*1とすることが可能になる。このため、トルク応答性を向上させることが可能となる。また、本実施形態では、基準曲線をd軸弱め界磁方向(d軸負方向)にシフトするように補正を行う。
図10に本実施形態における矩形波制御からPWM制御への切り替え処理を表すフローチャートを示す。この切り替え処理は、制御装置40によって、所定周期λ毎に実施される。
ステップS01において、トルク指令値T*を取得する。ステップS02において、トルク指令値の単位時間当たりの変化量ΔT*を算出する。具体的には、トルク指令値T*の前回値と今回値との偏差を、所定周期λで除算することで、単位時間当たりの変化量ΔT*を算出する。ステップS03において、トルク指令値の単位時間当たりの変化量ΔT*に基づいて、切り替え判定曲線CCの第1補正値ΔId1を算出する。
ステップS04において、回転速度FRを取得する。具体的には、回転速度FRは、回転角度θの単位時間当たりの変化量として算出することができる。ステップS05において、回転速度の単位時間当たりの変化量ΔFRを算出する。具体的には、回転速度FRの前回値と今回値との偏差を、所定周期λで除算することで、単位時間当たりの変化量ΔFRを算出する。ステップS06において、回転速度の単位時間当たりの変化量ΔFRに基づいて、切り替え判定曲線CCの第2補正値ΔId2を算出する。
ステップS07において、入力電圧VBを取得する。ステップS08において、入力電圧の単位時間当たりの変化量ΔVBを算出する。具体的には、入力電圧VBの前回値と今回値との偏差を、所定周期λで除算することで、単位時間当たりの変化量ΔVBを算出する。ステップS09において、入力電圧の単位時間当たりの変化量ΔVBに基づいて、切り替え判定曲線CCの第3補正値ΔId3を算出する。
ステップS10において、補正値ΔId1〜ΔId3の中で最大のものを補正値として選択する。ステップS11において、ステップS10で選択された補正値分、基準曲線をd軸弱め界磁方向にシフトする補正を行う。
ステップS12において、フィルタ電流Ifを取得する。ステップS13において、フィルタ電流Ifが切り替え判定曲線CCより遅角側か否かを判定する。フィルタ電流Ifが切り替え判定曲線CCより遅角側の場合(S13:YES)、矩形波制御からPWM制御への切り替え処理を実施する。また、フィルタ電流Ifが切り替え判定曲線CCより遅角側でない場合(S13:NO)、そのまま処理を終了する。
本実施形態の構成では、出力トルクの単位時間当たりの減少量ΔT*に基づいて第1補正値ΔId1を算出し、回転速度FRの単位時間当たりの減少量ΔFRに基づいて第2補正値ΔId2を算出し、入力電圧VBの単位時間当たりの増加量ΔVBに基づいて第3補正値ΔId3を算出する。そして、補正値ΔId1〜ΔId3のうち最大のものを補正値として選択し、その補正値に基づいて、基準曲線をd軸弱め界磁方向にシフトする補正を行う。このような構成にすることで、出力トルクTの変化、回転速度FRの変化、及び、入力電圧VBの変化のいずれかによって、出力電流の実際値である実電流Irが、PWM制御に適したものとなっている場合に、矩形波制御からPWM制御へ適切に切り替えることが可能になる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、図9に示すように、基準曲線(電流指令曲線CL)をd軸界磁弱め方向にシフトすることで、切り替え判定曲線CCを進角方向に補正する構成とした。これを変更し、図11に示すように、基準曲線をq軸界磁弱め方向にシフトすることで、切り替え判定曲線CCを進角方向に補正する構成としてもよい。
具体的には、第1実施形態と同様に、出力トルクTの単位時間当たりの減少量に基づいて第1補正値ΔIq1を算出し、回転速度FRの単位時間当たりの減少量に基づいて第2補正値ΔIq2を算出し、入力電圧VBの単位時間当たりの増加量に基づいて第3補正値ΔIq3を算出する。そして、補正値ΔIq1〜ΔIq3のうち最大のものを補正値として選択し、その補正値に基づいて、基準曲線をq軸弱め界磁方向にシフトする補正を行う構成とする。
(第3実施形態)
第1実施形態では、図9に示すように、基準曲線をd軸界磁弱め方向にシフトすることで、切り替え判定曲線を進角方向に補正する構成とした。これを変更し、図12に示すように、基準曲線に対して、係数を積算することで、切り替え判定曲線を進角方向に補正する構成としてもよい。具体的には、切り替え制御部43は、マップとして、基準曲線を構成するdq座標上の各点を記憶している。そこで、基準曲線を構成するdq座標上の各点のq成分に対し、1未満の係数を積算する。なお、基準曲線を構成するdq座標上の各点のd成分及びq成分のそれぞれに対し、係数を積算する構成としてもよい。
さらに、第1実施形態と同様に、出力トルクTの単位時間当たりの減少量に基づいて第1係数k1を算出し、回転速度FRの単位時間当たりの減少量に基づいて第2係数k2を算出し、入力電圧VBの単位時間当たりの増加量に基づいて第3係数k3を算出する。そして、係数k1〜k3のうち最小のものを選択し、すなわち切り替え判定曲線CCの補正量が最大のものを基準曲線に対して積算することで、切り替え判定曲線CCを遅角方向に補正する。
(第4実施形態)
第4実施形態の切り替え制御部43は、第1実施形態における切り替え判定曲線CCの補正に加え、回転電機10の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、フィルタ処理における時定数を設定する。図13に、時定数の設定処理を示す。この処理は、切り替え制御部43によって、所定周期λごとに実施される。
ステップS20において、トルク指令値T*を取得する。ステップS21において、トルク指令値T*の単位時間当たりの変化量ΔT*を算出する。具体的には、トルク指令値T*の前回値と今回値との偏差を、所定周期λで除算することで、単位時間当たりの変化量ΔT*を算出する。ステップS22において、トルク指令値の単位時間当たりの変化量ΔT*に基づいて、フィルタ処理における第1時定数τ1を算出する。
ステップS23において、回転速度FRを取得する。ステップS24において、回転速度FRの単位時間当たりの変化量ΔFRを算出する。具体的には、回転速度FRの前回値と今回値との偏差を、所定周期λで除算することで、単位時間当たりの変化量ΔFRを算出する。ステップS25において、回転速度の単位時間当たりの変化量ΔFRに基づいて、フィルタ処理における第2時定数τ2を算出する。
ステップS26において、入力電圧VBを取得する。ステップS27において、入力電圧VBの単位時間当たりの変化量ΔVBを算出する。具体的には、入力電圧VBの前回値と今回値との偏差を、所定周期λで除算することで、単位時間当たりの変化量ΔVBを算出する。ステップS28において、入力電圧の単位時間当たりの変化量ΔVBに基づいて、フィルタ処理における第3時定数τ3を算出する。
ステップS29において、時定数τ1〜τ3の中で最小のもの、すなわち初期の時定数からの補正量が最大のものをフィルタの時定数(フィルタ時間)として設定し、処理を終了する。
回転電機10の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、フィルタ処理における時定数を設定することで、動作状態が急激に変化した場合に、トルクフィードバック制御からPWM制御への切り替えが遅れることに伴うトルク応答性の低下を抑制することが可能になる。
具体的には、トルクTの単位時間当たりの減少量が大きいほど、フィルタ時間を短く設定する。また、回転速度FRの単位時間当たりの減少量が大きいほど、フィルタ時間を短く設定する。また、入力電圧VBの単位時間当たりの増加量が大きいほど、フィルタ時間を短く設定する。
さらに、本実施形態では、時定数τ1〜τ3のうち最小のものをフィルタ時間として設定する。これにより、出力トルクTの変化、回転速度FRの変化、及び、入力電圧VBの変化のいずれかによって、電流ベクトル(Id,Iq)の実際値が、PWM制御に適したものとなっている場合に、矩形波制御からPWM制御へ適切に切り替えることが可能になる。
(他の実施形態)
・上記実施形態では、切り替え判定曲線CCを進角方向に補正する構成としたが、これを変更し、フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正する構成としてもよい。
・第1実施形態において、出力トルクの単位時間当たりの減少量ΔT*、回転速度FRの単位時間当たりの減少量ΔFR、及び、入力電圧VBの単位時間当たりの増加量ΔVBのいずれか1つの値に基づいて、補正値を算出する構成としてもよい。また、補正値ΔId1〜ΔId3の平均値を用いて、切り替え判定曲線を補正する構成としてもよい。
・第4実施形態において、出力トルクの単位時間当たりの減少量ΔT*、回転速度FRの単位時間当たりの減少量ΔFR、及び、入力電圧VBの単位時間当たりの増加量ΔVBのいずれか1つの値に基づいて、フィルタ時間を算出する構成としてもよい。
・第4実施形態において、切り替え判定曲線CCの補正を省略する構成としてもよい。
・回転電機10の出力トルクTの単位時間当たりの変化量を算出する際に、トルク指令値T*を用いる構成とした。これを変更し、出力トルクTの単位時間当たりの変化量を算出する際に、トルク推定値Teを用いる構成としてもよい。
・基準曲線として、電流指令曲線以外のものを用いてもよい。例えば、基準曲線として、電流指令曲線を遅角側にシフトさせた曲線を用いてもよい。
・出力トルクとトルク指令値との偏差に基づいて、出力電圧の波形を調整する制御であるトルクフィードバック制御として、矩形波制御(ワンパルス制御)以外のものを行ってもよい。例えば、電流検出値とトルク指令値とから出力電圧のパルスパターンを選択し、トルク推定値Teとトルク指令値T*との偏差に基づいて、出力電圧の位相を設定する制御を実施してもよい。
・以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明は、こうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得る。
10…回転電機、20…インバータ、40…制御装置、41…PWM制御部、42…矩形波制御部、43…切り替え制御部。

Claims (12)

  1. インバータ装置(20)から回転電機(10)に対して出力される出力電圧を調整することで、前記回転電機の制御を行う回転電機の制御装置(40)であって、
    前記回転電機の出力トルクを指令するトルク指令値及び前記インバータ装置から回転電機に出力される出力電流に基づいて、前記出力電圧の指令値として正弦波状の基本波を設定し、前記基本波と搬送波との比較に基づいて、前記出力電圧を調整する制御であるパルス幅変調制御を実施する第1制御部(41)と、
    前記出力トルクと前記トルク指令値との偏差に基づいて、前記出力電圧の波形を調整する制御であるトルクフィードバック制御を実施する第2制御部(42)と、
    前記第1制御部によるパルス幅変調制御と、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御との切り替え制御を行う切り替え制御部(43)と、
    前記出力電流の検出値を取得し、複数の前記出力電流の検出値に対して、高調波成分を除去するフィルタ処理を行うフィルタ処理部(43)と、を備え、
    前記切り替え制御部は、
    dq座標系において、前記フィルタ処理部によりフィルタ処理された前記出力電流の検出値と、切り替え判定曲線とを比較し、前記フィルタ処理された出力電流の検出値が、前記切り替え判定曲線より遅角側となっている場合に、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御から、前記第1制御部によるパルス幅変調制御への制御の切り替えを実施するとともに、前記回転電機の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定する、又は、前記フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正することを特徴とする制御装置。
  2. 前記切り替え制御部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量として、前記回転電機の出力トルクの単位時間当たりの減少量に基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定する、又は、前記フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記切り替え制御部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量として、前記回転電機の回転速度の単位時間当たりの減少量に基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定する、又は、前記フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記切り替え制御部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量として、前記インバータ装置の入力電圧の単位時間当たりの増加量に基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定する、又は、前記フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 前記切り替え制御部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量として、前記回転電機の出力トルクの単位時間当たりの減少量に基づいて、第1補正値を算出し、前記動作状態の単位時間当たりの変化量として、前記回転電機の回転速度の単位時間当たりの減少量に基づいて、第2補正値を算出し、前記動作状態の単位時間当たりの変化量として、前記インバータ装置の入力電圧の単位時間当たりの増加量に基づいて、第3補正値を算出し、さらに、前記第1〜第3補正値のうち最大のものに基づいて、所定の基準曲線を進角方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定する、又は、前記フィルタ処理された出力電流を遅角方向に補正することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
  6. 前記第1制御部は、dq座標系において、電力損失が最小となる電流指令曲線上の点を電流指令値として設定し、前記電流指令値と、前記出力電流の検出値とのd軸成分の偏差及びq軸成分の偏差に基づいて、前記基本波を設定し、
    前記切り替え制御部は、前記電流指令曲線に基づいて、前記基準曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
  7. 前記切り替え制御部は、前記電流指令曲線を、前記基準曲線として設定することを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
  8. 前記切り替え制御部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、所定の基準曲線をd軸弱め界磁方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御装置。
  9. 前記切り替え制御部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、所定の基準曲線をq軸弱め界磁方向に補正することで前記切り替え判定曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の制御装置。
  10. 前記切り替え制御部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて係数を算出し、その係数を前記基準曲線に積算して進角方向に補正することで、前記切り替え判定曲線を設定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の制御装置。
  11. 前記フィルタ処理部は、前記動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記フィルタ処理における時定数を設定することを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の制御装置。
  12. インバータ装置(20)から回転電機(10)に対して出力される出力電圧を調整することで、前記回転電機の制御を行う回転電機の制御装置(40)であって、
    前記回転電機の出力トルクを指令するトルク指令値及び前記インバータ装置から回転電機に出力される出力電流に基づいて、前記出力電圧の指令値として正弦波状の基本波を設定し、前記基本波と搬送波との比較に基づいて、前記出力電圧を調整する制御であるパルス幅変調制御を実施する第1制御部(41)と、
    前記出力トルクと前記トルク指令値との偏差に基づいて、前記出力電圧の波形を調整する制御であるトルクフィードバック制御を実施する第2制御部(42)と、
    前記第1制御部によるパルス幅変調制御と、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御との切り替え制御を行う切り替え制御部(43)と、
    前記インバータ装置から前記回転電機に対して出力される出力電流の検出値を取得し、複数の前記出力電流の検出値に対して、高調波成分を除去するフィルタ処理を行うフィルタ処理部(43)と、を備え、
    前記切り替え制御部は、dq座標系において、前記フィルタ処理部によりフィルタ処理された前記出力電流の検出値と、切り替え判定曲線とを比較し、前記フィルタ処理された出力電流の検出値が、前記切り替え判定曲線より遅角側となっている場合に、前記第2制御部によるトルクフィードバック制御から、前記第1制御部によるパルス幅変調制御への制御の切り替えを実施し、
    前記フィルタ処理部は、前記回転電機の動作状態の単位時間当たりの変化量に基づいて、前記フィルタ処理における時定数を設定することを特徴とする制御装置。
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