JP2016225589A - 限流回路用インダクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 瞬時の大電流通電時でも小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができるコモンモード型の限流回路用インダクタを提供する。特に、通常運転時はインダクタンスを必要としない電気回路で用いられる。【解決手段】 このインダクタ1は、磁心2と、この磁心2に互いに逆向きに巻いた2本の巻線3A,3Bとを有し、コモンモードコイルとして限流回路に用いられる。前記磁心2の少なくとも一部に、または全体に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料を使用する。前記軟磁性材料は、例えば焼結製純鉄である。【選択図】 図1
Description
この発明は、漏電発生時や、ブレーカ動作時、落雷等による瞬時の大電流ノイズに対する対策として電流の突入速度を低減するためのインダクタとして用いられる限流回路用のインダクタ、特に通常運転時にはインダクタとして機能しない事が望ましい電気回路でコモンモードコイルとして用いられる限流回路用インダクタに関する。
種々の電気設備、例えば、太陽光発電や風力発電用のコンバータ、データセンター等では大出力化に伴い大電力を扱う用途が拡大してきている。これらの機器では大電力を扱うことから、高度な安全対策が求められることもあり、高価な機器である場合多く、近年ではサージ電流と呼ばれる、雷等の瞬時の大電流ノイズに対する安全面および装置の保護対策が重要になってきている。
漏電発生時や、ブレーカ動作、落雷等により発生する瞬間的な電流ノイズは、対象回路の定格電流の数倍以上の大電流になる場合が多い。特にサージ電流対策として回路への大電流の突入を防止するためにコモンモードコイルを設ける場合がある。
コモンモードコイルは少なくとも2個のコイルと1つの磁心からなるインダクタであり、通常使用時は2個のコイルの作る磁界が打消し合いインダクタンスを持たないが、コモンモード電流が発生した場合、2個のコイルの作る磁界が強め合うように電流が通電し、大きなインダクタンスを持つ構造である。
なお、遮断装置において、限流装置を設けることがある(例えば、特許文献1)。
コモンモードコイルは少なくとも2個のコイルと1つの磁心からなるインダクタであり、通常使用時は2個のコイルの作る磁界が打消し合いインダクタンスを持たないが、コモンモード電流が発生した場合、2個のコイルの作る磁界が強め合うように電流が通電し、大きなインダクタンスを持つ構造である。
なお、遮断装置において、限流装置を設けることがある(例えば、特許文献1)。
従来の瞬間的な大電流の突入防止対策として用いられるコモンモードコイルのインダクタは、いずれも、磁気飽和させないために、非常に大きくなる場合が多い。
サージ電流に代表される様な、電流変化速度が速くかつ非常に大きな電流がインダクタに流れる場合、磁心の磁気飽和に伴う透磁率の低下によりインダクタンスが減少し電流の抑制効果(インピーダンス)が小さくなる。インダクタを磁気飽和させないためには、用いる磁心のサイズを非常に大きし、大電流により発生る磁束密度を十分小さく抑える必要がある。なお、この明細書で言う「インダクタンス」とは、磁心形状とコイルの巻き数および磁心の材料特性に準ずる透磁率により決まるコイルの重要特性で、インダクタンス値が大きいほどインピーダンスが大きくなることから電流変化速度が小さくなり、電流抑制効果が大きくなる。
サージ電流に代表される様な、電流変化速度が速くかつ非常に大きな電流がインダクタに流れる場合、磁心の磁気飽和に伴う透磁率の低下によりインダクタンスが減少し電流の抑制効果(インピーダンス)が小さくなる。インダクタを磁気飽和させないためには、用いる磁心のサイズを非常に大きし、大電流により発生る磁束密度を十分小さく抑える必要がある。なお、この明細書で言う「インダクタンス」とは、磁心形状とコイルの巻き数および磁心の材料特性に準ずる透磁率により決まるコイルの重要特性で、インダクタンス値が大きいほどインピーダンスが大きくなることから電流変化速度が小さくなり、電流抑制効果が大きくなる。
この発明は、上記課題を解消するものであり、瞬時の大電流通電時でも小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスならびにインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができる限流回路用インダクタを提供することを目的とする。
この発明の限流回路用インダクタは、少なくとも磁心と、この磁心に互いに逆向きに導線を巻いた少なくとも2個のコイルとを有し、コモンモードコイルとして限流回路に用いられるインダクタであって、前記磁心の少なくとも一部に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料が使用されていることを特徴とする。
上記材質の軟磁性材料を磁心の少なくとも一部に用いることで、電流が増加するにつれインダクタンスが大きくなると言う、通常のコモンモードコイルとは逆の特性を有するインダクタとなることを見出した。このような特性をもつため、瞬時の大電流に対して磁気飽和することなく大きなインピーダンスを保持できることから、電流の突入速度を低減することができる。なお、通常運転時に通電される電流は、本インダクタが機能すべき大電流と比べると十分に小さいことから、通常運転時には、本発明のインダクタは低いインダクタンス特性となる。また大電流ノイズと比べると通常運転時の電流は、直流や50Hz程度の低周波の交流の場合が多いことから電流変化速度も小さく、低インピーダンスとなることから、異常時のみ機能することが望ましい限流回路用インダクタとして好ましい。
なお、限流回路用インダクタは、「限流コイル」とも呼ばれる。前記「低体積抵抗率」とは、フェライトに較べ体積抵抗率が低いものを言う。また、前記「高透磁率」とは最大透磁率が1000以上のものを言う。
なお、限流回路用インダクタは、「限流コイル」とも呼ばれる。前記「低体積抵抗率」とは、フェライトに較べ体積抵抗率が低いものを言う。また、前記「高透磁率」とは最大透磁率が1000以上のものを言う。
この発明の限流回路用インダクタにおいて、前記磁心の全体が前記材質の前記軟磁性材料であっても良い。
磁心の少なくとも一部に前記材質の軟磁性材料を用いれば、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができるという利点が得られる。
磁心の少なくとも一部に前記材質の軟磁性材料を用いれば、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができるという利点が得られる。
この発明の限流回路用インダクタにおいて、前記軟磁性材料が焼結製純鉄であっても良い。
前記磁心に用いる材料として、低体積抵抗率でかつ高透磁率の軟磁性材料であれば、特に材質の限定はないが、体積抵抗率が低くかつ高透磁率で飽和磁束密度も大きいと言う材料として、純鉄が好ましい。特に、低体積抵抗率で高透磁率となり易いことから、高純度純鉄粉を圧縮成形し焼結させた焼結製高純度純鉄が好ましい。
前記磁心に用いる材料として、低体積抵抗率でかつ高透磁率の軟磁性材料であれば、特に材質の限定はないが、体積抵抗率が低くかつ高透磁率で飽和磁束密度も大きいと言う材料として、純鉄が好ましい。特に、低体積抵抗率で高透磁率となり易いことから、高純度純鉄粉を圧縮成形し焼結させた焼結製高純度純鉄が好ましい。
この発明において、前記軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上であることが、より好ましい。
このように体積抵抗率が小さく、最大透磁率が大きいと、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができると言う利点が、より一層効果的に得られる。
このように体積抵抗率が小さく、最大透磁率が大きいと、瞬時の大電流通電時でも、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスおよびインピーダンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができると言う利点が、より一層効果的に得られる。
この発明において、前記磁心の全体が軟磁性材料からなり、前記磁心の磁路断面積/磁路長の比が0.9以上であっても良い。
試験によると、磁路断面積/磁路長の比によってインピーダンスが変わり、前記の比が0.9以上である場合に、効率良くインピーダンスが得られた。
試験によると、磁路断面積/磁路長の比によってインピーダンスが変わり、前記の比が0.9以上である場合に、効率良くインピーダンスが得られた。
この発明の限流回路用インダクタは、磁心と、この磁心に導線を互いに逆向きに巻いた少なくとも2個のコイルとを有し、コモンモードコイルとして限流回路に用いられるインダクタであって、前記磁心の少なくとも一部に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料が使用されているため、瞬時の大電流通電時でも小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスを保持し電流の抑制効果を発揮することができる。
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。なお、この限流回路用インダクタは、チョークコイルまたはリアクトルと呼ばれることがある。
図1は、この発明の一実施形態にかかる限流回路用インダクタの斜視図である。この限流回路用インダクタ1は、トロイダルコア型の例であって、中空の円筒形の磁心2と、この磁心2に巻き付けた2本の巻線3A,3Bとを有する4端子型であり、コモンモードコイルとして限流回路に用いられる。各巻線3A,3Bは、中空円筒形である磁心2の断面の外周に巻回されており、それぞれの巻き方向は互いに逆向きである。各巻線3A,3Bの両端部は、それぞれ引出し線とされ、その先端が端子3Aa,3Ab,3Ba,3Bbになっている。各巻線3A,3Bは、コイルボビン(図示せず)を介して磁心2に巻付けられていても良い。各巻線の巻き方はバイファイラ巻線のようなものでも良い(図示せず)。
図1は、この発明の一実施形態にかかる限流回路用インダクタの斜視図である。この限流回路用インダクタ1は、トロイダルコア型の例であって、中空の円筒形の磁心2と、この磁心2に巻き付けた2本の巻線3A,3Bとを有する4端子型であり、コモンモードコイルとして限流回路に用いられる。各巻線3A,3Bは、中空円筒形である磁心2の断面の外周に巻回されており、それぞれの巻き方向は互いに逆向きである。各巻線3A,3Bの両端部は、それぞれ引出し線とされ、その先端が端子3Aa,3Ab,3Ba,3Bbになっている。各巻線3A,3Bは、コイルボビン(図示せず)を介して磁心2に巻付けられていても良い。各巻線の巻き方はバイファイラ巻線のようなものでも良い(図示せず)。
図2は、磁心2だけを取り出した図である。図の例の磁心2は、均一厚さの内周部分4と、外周部分5との2層構造である。
内周部分4には、低体積抵抗率、高透磁率で、かつ高周波時の鉄損が大きい軟磁性材料が使用される。このような軟磁性材料であれば、特に材質は限定されないが、体積抵抗率が低く、かつ高透磁率で、飽和磁束密度も大きいとう材質であることから、鉄系焼結金属(例えば純鉄や低炭素鋼、SKD11等の鉄分を主成分とする金属)が好ましい。特に、低体積抵抗率で高透磁率となり易いことから、高純度の純鉄粉を圧縮成形し焼結させた焼結製純鉄がより好ましい。その場合、焼結製純鉄の密度が7.4/cm3以上であるのが良い。また、軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上であるのが良い。
外周部分5は、アモルファス粉末を用いた所謂ダストコアであり、絶縁被膜処理されたアモルファス合金粉末を圧縮成形したものを焼鈍して作られている。
外周部分5は、アモルファス粉末を用いた所謂ダストコアであり、絶縁被膜処理されたアモルファス合金粉末を圧縮成形したものを焼鈍して作られている。
なお、磁心2は、この実施形態のように内周部分4に前記材質の軟磁性材料を使用した構成に代えて、内外の材質を互いに逆に、つまり外周部分5に前記材質の軟磁性材料を用い、内周部分4に前記アモルファス合金粉製のダストコアを用いても良い。また、図8のように全体を同じ材質とし、前述した低体積抵抗率、高透磁率で、かつ高周波時の鉄損が大きい軟磁性材料を用いても良い。
前記コイル3の巻線3A,3Bとしては、例えば銅エナメル線が用いられる。詳しくは、ウレタン線(UEW)、ホルマール線(PVF)、ポリエステル線(PEW)、ポリエステルイミド線(EIW)、ポリアミドイミド線(AIW)、ポリイミド線(PIW)、これらを組み合わせた二重被覆線、または自己融着線、リッツ線等を使用できる。銅エナメル線の断面形状としては、丸線や角線を使用できる。特に、平角線の断面形状の短径側を圧縮成形磁性体の周囲に接して重ね巻きすることにより、巻線密度を向上させたコイル3が得られる。
この実施形態の限流回路用インダクタの特性を確かめるために、次の試験を行った。
試験体には、実施形態に含まれる試験体として、図2に示す内周部分4が鉄系材料(SKD11)で、他の部分5がアモルファス合金粉末に樹脂バインダを用いて射出成形により成形したポット型コア(外径120mm、内径28mm、高さ93mm)である磁心を用意した。また、比較例となる試験体として、前記実施形態の試験体と同形同寸法で全体がアモルファスのポット型コアである磁心を用意した。これらのコアに同じ仕様のコモンモードの空心コイルをセットして試験体とした。前記比較例には、図2に示す内周部分4に磁気飽和し難い材料として、アモルファスのポット型コアを用い、それより実施形態品が優れていることを確認した。
試験体には、実施形態に含まれる試験体として、図2に示す内周部分4が鉄系材料(SKD11)で、他の部分5がアモルファス合金粉末に樹脂バインダを用いて射出成形により成形したポット型コア(外径120mm、内径28mm、高さ93mm)である磁心を用意した。また、比較例となる試験体として、前記実施形態の試験体と同形同寸法で全体がアモルファスのポット型コアである磁心を用意した。これらのコアに同じ仕様のコモンモードの空心コイルをセットして試験体とした。前記比較例には、図2に示す内周部分4に磁気飽和し難い材料として、アモルファスのポット型コアを用い、それより実施形態品が優れていることを確認した。
図3は試験回路を示す。始めに、スイッチSWを接点aの位置にして、コンデンサCに充電した。次に、スイッチSWを接点bの位置に切り換えて、コンデンサCへの充電を終了すると共に、RLC回路を形成して試験体Lに通電した(図3の状態)。電源Vの電圧は50ボルトとした。前記各試験体Lに瞬時の大電流を通電し、電流およびインダクタの端子間電圧の時間変化を測定した。なお、試験において各試験体の磁心が異なる以外は同条件とした。
図4は、通電時における時間と前記各試験体Lの電流との関係を示すグラフである。すなわち、磁心にアモルファス合金粉末を用いたダストコアのみを使用した限流回路用インダクタ( 以下、アモルファス系限流インダクタ) は、電流が小さいときは大きな電流抑制効果が得られるが、電流が増加するのに伴い電流抑制効果が減少する。これに対し、図2の内周部分が鉄系材料、他の部分がアモルファス系合金粉末を用いたダストコアを使用した限流回路用インダクタ( 以下、一部純鉄系限流インダクタ) は、低電流時に電流抑制効果が小さく、電流が増加するにつれ電流抑制効果が大きくなる。
図5、6は、通電時における時間と前記各試験体Lのインピーダンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、一部純鉄系限流インダクタに較べ通電直後は高いインピーダンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴い逆転する。
図7は、通電時における時間と前記各試験体Lのインダクタンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、通電直後は大きなインダクタンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴いインダクタンスが減少する。これに対し、一部純鉄系限流インダクタは、通電直後の低電流時はインダクタンスが非常に小さく、時間経過に伴い電流値が大きくなるとインダクタンスが大きくなる。
磁気飽和し難い磁心にアモルファス合金粉末を用いたダストコアのみを使用した限流回路用インダクタと比較しても、この実施形態の限流回路用インダクタは、瞬時の大電流を通電時におけるインダクタンスの増大特性が優れている。
図5、6は、通電時における時間と前記各試験体Lのインピーダンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、一部純鉄系限流インダクタに較べ通電直後は高いインピーダンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴い逆転する。
図7は、通電時における時間と前記各試験体Lのインダクタンスとの関係を示すグラフである。アモルファス系限流インダクタは、通電直後は大きなインダクタンスが得られるが、時間経過( 電流の増加) に伴いインダクタンスが減少する。これに対し、一部純鉄系限流インダクタは、通電直後の低電流時はインダクタンスが非常に小さく、時間経過に伴い電流値が大きくなるとインダクタンスが大きくなる。
磁気飽和し難い磁心にアモルファス合金粉末を用いたダストコアのみを使用した限流回路用インダクタと比較しても、この実施形態の限流回路用インダクタは、瞬時の大電流を通電時におけるインダクタンスの増大特性が優れている。
このように、この実施形態の限流回路用インダクタ1は、磁心2の少なくとも一部に低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料である焼結製純鉄を使用することで、磁心にフェライトを用いた通常の限流コイルとは逆の特性となり、電流が増加するにつれてインダクタンスが大きくなる。このため、対象とする電気回路と直列にこの実施形態の限流回路用インダクタ1を有する限流回路を設けることにより、瞬間的な電流ノイズが発生した場合に、対象とする電気回路に大電流が流れるのを制限することができる。
また、焼結製純鉄は低体積抵抗率で高透磁率となり易いが、この限流回路用インダクタ1は、低電流時はインダクタンスが非常に小さいという特性を持ち、通常の電流値では低インダクタンス部品として利用することができる。そのため、異常時のみ機能することが望まれる限流回路用インダクタとして好ましい。また、上記のように、この限流回路用インダクタ1は、低体積抵抗率で高透磁率となり易いため、小さな体格で大きなインダクタンスが得られる。
なお、この実施形態では、軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上であるため、小さな体格のインダクタで、大きなインダクタンスを得ることができる。
他の試験例につき説明する。
(試験体)
図8の実施形態に係る限流回路用インダクタの磁心2において、磁路断面積/磁路長の比が、インピーダンスにどのような影響を与えるかにつき試験を行った。図8において、符号Sで示す断面は、磁路断面積とする断面であり、符号l(図8(B)点線にて表記)で示す円は、内径と外径の平均径の円周であり磁路長を成す線である。
試験体は、密度7.70g/cm3の焼結系純鉄で、図1に示すトロイダルコア型の磁心2であって、次の表2に示すサイズのものを用意し、バイファイラ巻線(2重巻線)を行い、試験体(No. 1〜No.5)とした。
(試験体)
図8の実施形態に係る限流回路用インダクタの磁心2において、磁路断面積/磁路長の比が、インピーダンスにどのような影響を与えるかにつき試験を行った。図8において、符号Sで示す断面は、磁路断面積とする断面であり、符号l(図8(B)点線にて表記)で示す円は、内径と外径の平均径の円周であり磁路長を成す線である。
試験体は、密度7.70g/cm3の焼結系純鉄で、図1に示すトロイダルコア型の磁心2であって、次の表2に示すサイズのものを用意し、バイファイラ巻線(2重巻線)を行い、試験体(No. 1〜No.5)とした。
(試験方法)
試験体に瞬時の大電流を通電し、電流の時間変化を測定した。
通電時の試験回路は、図3と共に前述した回路である。同図のスイッチSWを同図のように接点bに接続した状態でコンデンサCを充電し、スイッチSWの切り替えによってコンデンサCの充電を終了すると共に、RLC回路を形成することで試験体に電流を通電した。
試験体に瞬時の大電流を通電し、電流の時間変化を測定した。
通電時の試験回路は、図3と共に前述した回路である。同図のスイッチSWを同図のように接点bに接続した状態でコンデンサCを充電し、スイッチSWの切り替えによってコンデンサCの充電を終了すると共に、RLC回路を形成することで試験体に電流を通電した。
試験の結果を表3に示す。インピーダンス/〔断面積/ 磁路長(以下、形状係数αとする)](以下、Z/αとする)と形状係数αの関係を表3および図9に示す。Z/αは、形状係数αによって得られるインピーダンスの具合を示し、大きい値ほど理想状態に近く、効率の良いことを示す。ピーク電流の小さいものほど、電流と電圧より求めたインピーダンスが大きく、形状係数αが0.9以上のときに、効率よくインピーダンスが得られていた。
上記試験の結果からわかるように、磁路断面積/磁路長の比によってインピーダンスが変わり、前記の比が0.9以上である場合に、効率良くインピーダンスが得られる。
なお、上記各実施形態では、磁心2を、外周に巻線3A,3Bを巻く円筒形としたが、磁心2は、コイル3の内周または外周のいずれか一方のみに設ける形状であっても良く、またポット型に限らず、他の種々の形状の磁心2を持つ限流回路用インダクタに、この発明を適用することができる。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…限流回路用インダクタ
2…磁心
3A,3B…巻線
3Aa,3Ab,3Ba,3Bb…端子
2…磁心
3A,3B…巻線
3Aa,3Ab,3Ba,3Bb…端子
Claims (5)
- 磁心と、この磁心に導線を互いに逆向きに巻いた少なくとも2個のコイルとを有し、コモンモードコイルとして限流回路に用いられるインダクタであって、前記磁心の少なくとも一部に、低体積抵抗率で、かつ高透磁率の軟磁性材料が使用されていることを特徴とする限流回路用インダクタ。
- 請求項1に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記磁心の全体が前記材質の前記軟磁性材料である限流回路用インダクタ。
- 請求項1または請求項2に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記軟磁性材料が焼結製純鉄である限流回路用インダクタ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記軟磁性材料は、体積抵抗率が7.0×10−7Ω・m以下で、かつ最大透磁率が2800以上である限流回路用インダクタ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の限流回路用インダクタにおいて、前記磁心の全体が軟磁性材料からなり、前記磁心の磁路断面積/磁路長の比が0.9以上である限流回路用インダクタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2016/065343 WO2016190319A1 (ja) | 2015-05-28 | 2016-05-24 | 限流回路用インダクタ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015108371 | 2015-05-28 | ||
JP2015108371 | 2015-05-28 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2015217456A Pending JP2016225589A (ja) | 2015-05-28 | 2015-11-05 | 限流回路用インダクタ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019176053A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | スミダコーポレーション株式会社 | コイル部品、電子機器、金属磁性粉末および支援装置 |
-
2015
- 2015-11-05 JP JP2015217456A patent/JP2016225589A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019176053A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | スミダコーポレーション株式会社 | コイル部品、電子機器、金属磁性粉末および支援装置 |
JP7114985B2 (ja) | 2018-03-29 | 2022-08-09 | スミダコーポレーション株式会社 | コイル部品、電子機器、金属磁性粉末および支援装置 |
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